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一陣の追走劇

#ブルーアルカディア #タンペット一家

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#ブルーアルカディア
#タンペット一家


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●追う者と追われる者たち
 紺碧の空がどこまでも続く世界『ブルーアルカディア』。
 澄み切った空の下、大海原さながらに広がる雲海の上にはポツポツと飛び石のように浮遊大陸が浮かんでいる。人々はごく僅かな浮島に肩を寄せ、豊かとまではいかないが慎ましやかながらも幸せな生活を営んでいた。しかし、浮遊大陸には寿命があり、寿命が尽きた大陸は雲海に沈んで消滅した後にオブリビオンを満載した『屍人帝国』として黄泉がえり、魔獣を従えて浮遊大陸に侵攻してきた。
 だが、人々の中には屍人帝国の暴虐に抗う者たち……勇士と呼ばれる者が立ち上がり、ガレオンと呼ばれる飛空艇を駆って屍人帝国の尖兵を駆逐している。とは言え、一口に勇士と言っても、その姿は様々である。義勇に駆られて立ち上がった者がいれば、国家に帰属して専門に討伐を担う一団も居る。そして今、交差する剣の真上に頭蓋骨が描かれたいわゆる海賊旗、ジョリー・ロジャーとも呼ばれるシンボルをはためかせながら大空を駆ける飛空艇もその一つである。
 船の名は『ペレグリン・ファルコン号』。屍人帝国、もしくはその傘下に下った者を獲物として襲撃し、依頼があれば交易船の護衛もするという空賊『タンペット一家』らが駆る海賊船だ。彼らは手薄となっていた屍人帝国拠点の襲撃を終えて、奪われた物資を回収していつものように帰還の途に就いているところであった。だが、事前の下調べでは出航して追撃を受けない遠方へと向かっていた屍人帝国飛空艇が、空賊の襲撃に備え雲に隠れていたのだ。今や勇士は追われる身となり、屍人帝国船との距離は縮まる一方だ。

「チッ、たらふく頂いちまったのが裏目に出ちまったようだ」
 顔の半分をすっぽりと包み込むゴーグル付きの航空帽を被りながらも、この空賊船の舵を取る船長、アレックス・タンペットが苦々しく舌打ちする。タンペット一家は正面からの戦いではなく、相手の虚を突いた奇襲攻撃、つまりゲリラ戦を得意とする空賊である。その特徴はハヤブサの意を持つペレグリン・ファルコン号にも色濃く現れており、軽貨物船程度の船体ではあるが大幅な改造が施されて一撃離脱を体現した高速性を有している。だがその反面、対艦戦闘用の火力と装甲を犠牲にしてまでの軽量化、ならびに屍人帝国から奪い取った物資が船底部に設けられた貨物室にて重しとなっているハンデを抱えている以上、相手の戦力がどれほどあるか分からないまま何も策を講じずに追っ手との戦闘は自殺行為に他ならない。

「頭ァ、このままだと腹を括らねばなりませんぜ!」
 中性的な身体付きなアレックスとは対照的に屈強な大男である副船長のモーリスが、兜に髑髏細工をあしらった動力甲冑を着込んだ自らと手下たちを引き連れ、対決の姿勢を顕にしていた。確かにこのまま拿捕されて捕縛されれば、今まで屍人帝国相手にやってきたことを考えれば八つ裂きなどでは生ぬるい報復を受けるのは明白だ。それならばいっその事刺し違えてでも、と捲し立てる部下たちを宥めていると、風に飛ばされないよう爪先を船体に食い込ませているオウムによく似た鳥がけたましく喚き始めた。

「アレックス! アソコ、アソコ!!」
 バサバサと翼を羽ばたかせながら嘴を向けた先を見れば、遠くから雷鳴が鳴り響くだんだんと黒くなりつつある雲の塊が見えた。

「なるほど……雷雲の渓谷か。出来したぞ、ビジュ」
「ま、まさか……頭ァ!?」
「そのまさかだ。あそこに突っ込んで追手を振り切るのさ!」
「行ケ、行ケ。ゴーゴー!」
 正気の沙汰とは思えない船長の決断に狼狽える部下たちを他所に、アレックスは舵を雷雲の渓谷へと切った。クレバスのように細く、まるで生きているかのように蠢く峡谷にペレグリン・ファルコン号が吸い込まれるように侵入した。中型船とも言える大きさの空賊船に対し、屍人帝国の飛行艇はその巨体が仇となって下手に侵入すれば押しつぶされて圧潰されると寸法だ。だが、屍人帝国船は追手の魔獣を甲板から放つと、積乱雲や積雲が集まった巨大な雲の集合体を大きく迂回したのであった。


●グリモアベースにて
「この度はお集まり頂き、誠にありがとうございます」
 純白の鎧を軽く鳴らし、シグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)は集まった猟兵を前に軽く会釈すると、予知した事柄の説明を続けた。

「この度予知しましたのは、新しく発見されたブルーアルカディアと呼ばれる世界に纏わるものです。既に多くの猟兵が足を運んでいるのもありますし、どのような世界かは軽く掻い摘んでご説明するだけにしましょう」
 陸地はなく空に浮かんだ浮遊する島だけが点在する世界、沈んだ島そのものがオブリビオン化して復活する世界、それらは屍人帝国として無辜の住民を襲撃している世界。そして、屍人帝国に立ち向かう勇士と呼ばれる者がオブリビオンを相手に抵抗を繰り広げている世界であると、いつものように落ち着いた様子でシグルドは淡々と語り継ぐ。

「この度予知しましたのは、とある勇士の飛行艇が屍人帝国、つまりオブリビオンに撃墜されるというものでございます」
 シグルドが語るには、その勇士とは屍人帝国やそれに与する者のみを狙った義賊の空賊であるという。馴染みあるもので例えれば、悪しき権威に対して徹底的に反体制的な行動を取る海賊であると。

「この世界においても様々な盗賊が居るようですが、彼らは勇士として屍人帝国に立ち向かう海賊、いえ空賊と言って差し支えないでしょう。本来であれば屍人帝国を翻弄している彼らでありますが、運命の歯車が狂ったことにより今や袋の鼠となりつつあります。このままでは、屍人帝国の艦船とそれが放った追手との挟み撃ちになってしまうからです」
 タンペット一家の飛空艇は屍人帝国の追撃を振り切るべく、雷雲の渓谷と呼ばれる積乱雲が積雲を引き寄せて巨大な雷雲に成長を遂げようとしている切れ目を疾走している。しかし、このままでは出口にまで回り込んだ屍人帝国の飛行艇と追手で放たれた魔獣と呼称されるオブリビオンにより挟撃され、勇士の空賊には絶望の顛末が待ち構えているのだ。

「ですが、そのような非業の運命を変えるのが、我ら猟兵の務め。我々が介入することで彼らはこの窮地から脱することができるのです」
 既にこの世界では突如として現れた新たなる勇士、猟兵の存在が知られつつある。なので、転送されていきなりのご対面となっても彼らは事情を汲み取るだろう。

「幸いなことに、彼らは船長の統率が行き届いている集団です。空の荒くれ者でありますが、窮地を脱するべく協力は惜しまないことでしょう」
 そう締めると、シグルドが瞼を閉じて静かに念じ始める。掌の上に集められたフォースが白く輝かせながら周囲を光に包むと、猟兵たちを空賊の飛行艇甲板へと転送させるのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 親の顔よりも見た某ソシャゲはサービス開始時に手を付けましたが、当時の最新端末でもカクついたり通信回線が非常に重かったりなどの理由で早々にアンストしていました。まさか、今やこんなビッグタイトルにまで成長するとは思いもよりませんでした。

●シナリオ概要
 空賊の勇士『タンペット一家』の飛空艇『ペレグリン・ファルコン号』が屍人帝国に追われ、今や撃墜の危機に直面しています。彼らを助け、屍人帝国の追撃挺を返り討ちにしてさしあげましょう。

●戦場の情報
 第一章目は『冒険』フレームとなります。
 物語の展開は、猟兵たちが「勇士の飛空艇」に乗り込んだ所から始まります。空賊の飛行艇は屍人帝国の追撃を振り切るべく、雷雲の峡谷と呼ばれる徐々に狭まる雲の回廊を疾走しています。その背後からは屍人帝国の飛空艇が放った魔獣が追いかけており、これらを撃退しながら出口を目指す事になります。
 飛行艇にはセイルフローターと呼ばれる一人乗り用の小型飛空艇が備わっています。空中戦を繰り広げる手段をお持ちでない場合は、これらを活用して追撃部隊との交戦を繰り広げても良いでしょう。
 飛空艇の勇士達と交流しながら、危険な空域や障害を突破しましょう。

 第二章目は『ボス戦』フレームとなります。
 見事追撃部隊を殲滅して雷雲の峡谷から脱出し、挟撃の目論見が崩れた屍人帝国の飛空艇との決戦です。
 この章では猟兵ほどの強さはありませんが、勇士の空賊らが戦闘に加勢してくれます。プレイングボーナスは特に発生しませんが、共闘を希望する旨をプレイング内に記載して頂ければ、微力ながらも猟兵の支援を行ってくれます。
 メンバーは下記の通りとなります。

 ・アレックス(人間/飛空艇パイロット相当)
 ・モーリスと手下たち(人間/ロケットナイト相当)
 ・ビジュ(賢い動物/クリスタルサモナー相当)

 また第二章のボスが何であるかは、章の進展と伴い情報を公開致しますのでご了承下さい。

 第三章目は『日常』フレームとなります。
 危機を脱した空賊一味は、とあるポイントで屍人帝国から奪い返した様々な物資をとある交易船の飛行艇へと引き渡します。
 また商人はタンペット一家の協力者でありますので、船長の紹介でお得なお買い物ができるかも知れません。


 それでは、手に汗握る空中の追走劇にも負けない熱いプレイングをお待ちします。
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第1章 冒険 『蒼穹の救出劇』

POW   :    追っ手の前に割り込み、足止めする

SPD   :    小型飛空艇を駆り、救援に駆け付ける

WIZ   :    敵の狙いを読み、妨害する

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「まったく、しつこい野郎共だもんだ」
「シツコイ! シツコイ!」
 首尾よく雷雲の峡谷に逃げ込んだのは良かったが、雷鳴が五月蝿く響く嵐の回廊を突き進むペレグリン・ファルコン号の後方から屍人帝国が放った追手の魔獣らが追撃してくる。
 奴らは例え倒されて食肉にされようとも生皮を剥がれて天使核を取り出されようとも、どういう理屈か分からないが屍人帝国の領内から無限に湧き出る存在だ。飛空艇が作り出す衝撃波によって刺激された雲の谷が、まるで罠に掛かった獲物を捕食するかのように蠢いて遅れを取った魔獣らを巨大な臼歯で潰すかのように呑み込んでいる。その様子はまるで死を怖れぬ様である。
 こちらは窮地から脱して生き抜くため、この危険極まりない雷雲の峡谷を抜けようとしているが、アレがこちらの飛空艇に到達すれば纏わり付いて速度を落とそうとするのは明白だ。

「機関室。ガレオンの心臓はどうなっている!?」
「安心せぇ、まだ天使核暴走の兆しは出ておらん。だが、これ以上無茶をすれば保障はできんぞい」
 アレックスはこの船のメインエンジンでありかつてオブリビオンの一部であった天使核の様子を、舵の直ぐ側に設けられた伝声管越しに声質からして初老を迎えているであろう機関長から聞き取る。そして、航空帽のゴーグルから覗かせる眉を潜めて舵を切りながら思案する。

 ──どうする。一か八か、暴走する直前まで出力を上げて振り切るか。
 確かに、そうすれば重みの船体とて魔獣らの追撃を振り切るまでの速力は得られよう。だが、天使核が暴走すれば良くて機関停止により空の藻屑に、悪ければこの船事態がオブリビオン化してしまう。何か他に手立てがあるかと探ろうとしたその時、眩い光と共に甲板に何者らかが現れたのだ。

「てめぇら、なにもんだ!?」
 突如として現れた一団を前に手下たちが殺気立つ中、アレックスは目を丸くしながら突然の来訪者、猟兵らを見据えると腹の底から高らかに笑い出した。

「ハッハッハッハ! こいつぁ良い。どうやら、幸運の女神様に愛想を尽かされてなかったようだ。野郎ども、コイツらは味方だ。天からの客人相手に粗相するんじゃねぇぞ! モーリス、気前よく船の装備を使わせてやれ」
 さぁて、面白くなってきたぞ。小石のように打ち付ける雨粒混じりの風を一身に浴びながら、空賊の船長は不敵にもニヤリと白い歯を剥きだした。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:灰遠雷

空の戦いも何度目か。まあよい、行くぞ霹靂。
こういうのは、放っておけぬのよ。

霹靂に騎乗しての空中戦。
さて、追手を視認したら、即座に【四天境地・雷】にて迎撃。
矢と侮るなかれ。これは、目標を追撃し続ける。つまりは風なぞには流されぬのよ。
逃れられぬ矢の恐ろしさを知るがいい。

防御は四天霊障による結界術にて。わりと硬いからのう。


霹靂「クエッ」
霹靂はこの世界の牧場出身。
『侵す者』は一番、霹靂に乗り慣れてる人となります。
依頼説明時に、空賊にはよい印象を持ちました。



「空の戦いも何度目か」
 グリモアによるゲートが作り出す導きの光より姿を見せた馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は周囲を見渡した。謂わば台風の目に近いものであろう大気の渦が作り出す雷雲の峡谷内は、生物の内蔵を思わせるかのように今にも空賊の飛空艇を挟み込もうと絶えず脈動している。気を抜けば吹き飛ばされそうな激しい強風と打ち付ける雨粒に細めながらも、彼は柔和な表情を崩さず共に転送された『相棒』の首筋を撫であげた。

「まあよい、行くぞ霹靂。こういうのは、放っておけぬのよ」
 雷鳴を意味する霹靂(かむとけ)と呼ばれた金色混じりで焦げ茶の美しい羽毛が特徴的なヒポグリフが、主である義透にクエッと元気よく鳴いて応えた。

「よく懐いたヒポグリフじゃないか!」
 耳元で激しく風切り音が鳴る中、はっきりとした声が背後から聞こえる。霹靂の背に乗り込んだ義透が後ろを振り向くと、どうやら声の主はこの風の中にも関わらず絶えず舵を切っているこの空賊船の船長であるようだ。

「ああ、『四人』の中でワシが一番乗り慣れておるのでな」
「なるほどな、残りの三人も顔を合わせてみたいもんだね」
 今の義透としての人格『侵す者』は自らの人格の事を言っていたのだが、どうやらこの船の主は義透の仲間であると勘違いしているようであった。それも無理のない話で、一見すると柔和そうな人間である義透自身だが、その実は複数の悪霊による集合体である。その中の一人である豪快古風な性格で、取り分け武に秀でた『侵す者』が今の人格であり、屍人帝国がとある幻獣牧場を襲撃するという事件で共に戦ったのが、この霹靂との出会いであった。
 親しい者でも今はどの人格であるかの区別が難しい多重人格者に近い義透であるが、このヒポグリフに限っては今の義透が誰であるかを判別できるようである。その証拠にヒポグリフ独特の嘶きを機嫌よく鳴かせ、『侵す者』を背に乗せ終えると翼を広げて飛び上がった。義透を乗せた霹靂が飛空艇の甲板から離れると、船は徐々にと峡谷の先へと進んでいく。そして振り返れば、牙を剥かせながら異形の魔獣らが彼らを追いかける様がよく見える。

「さて、まずはこの追手をなんとかせねばの」
 ちょうど魔獣と正対するよう霹靂が飛ぶ向きを調整しながら、灰遠雷を構えるとキリキリと強弓の弦を引き絞って『侵す者』が狙いを定める。純粋な馬に跨りながらの流鏑馬ならぬ下半身が馬であるヒポグリフに跨りながらの流鏑馬であるが、雷雲の峡谷の中は複雑に風が乱れている。ただ弓を射れば矢は乱流で流され満足に中てることができまいと、魔獣らが嘲笑う中で徐々に矢筈から矢じりにかけて黒く染まりつつあった。

「矢と侮るなかれ。これは、目標を追撃し続ける。つまりは風なぞには流されぬのよ」
 ──パァンッ!
 黒染めの矢が軽快な弦音と共に放たれた。一見するとただの弓矢であるが、その正体は雷の力秘めし強弓が作り出す霊力と呪い殺す悪霊の力で込められた呪詛が織りなす一矢であり、狙いを定めた者を外さないUC『四天境地・雷』だ。群れなす魔獣の一匹に対して放たれた黒い矢は分裂し、かつ風の影響を受けて流される様子もなく一直線に獲物たちを射抜いてみせた。射たれた魔獣らはそのまま失速し、大口を開けながら落ちてくる生者を喰らおうとせんばかりの亡者さながらな積雲の壁に呑まれ消えていった。しかし、ある程度を仕留めてみせたとは言え、まだまだ魔獣らは後方より追い上げてきている。

「クエッ!」
「そうか、霹靂。あの者たちを逃げ切らせるため、なんとかせねばとか。ならば、もう一働きせねばの」
 屍人帝国が放った魔獣の追撃部隊第二波が接近しつつある中でそのようなやり取りをしつつも、『侵す者』は二の矢をつがえた。そして再び一筋の漆黒の矢が、颯然と雷雲の峡谷の風を切ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

片桐・公明
【WIZ】
「相手の目的は何かしら?」
「撃沈?お宝は惜しくないのかしら。」
空賊の一人から借りた()双眼鏡で後方の魔獣を眺めながら適当に考察する

「周囲は積乱雲。遠距離攻撃はダメね。」
双眼鏡を返しながら足腰を重点的にストレッチを行う
小型飛空艇を勧められたら遠慮する
「私には不要よ」
そのままUCを使用して魔獣に突っ込んでいく

UCの勢いのまま戦闘の魔獣を蹴りつける
魔獣の背を足場に、UCで空を翔け、その勢いで敵に攻撃する

(絡み、アドリブ歓迎です。)



 時には上昇し、時には急降下。一本道ながらも起伏に飛んだ雷雲の峡谷の中を、髑髏旗をはためかせながら空賊と猟兵らを乗せた飛空艇は突き進む。入り口から追っている魔獣らも猟兵らの活躍によって、次第にその数は減りつつある。だが、依然として執拗に追いかけてくるさまを、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は見張員と思わしき空賊の一人から借用した(と言っても、奪い取るように借りた)単眼の望遠鏡を覗きながら、つぶさに観察していた。

「ここまで執拗に追いかけてくるだなんて、相手の目的は何かしら?」
 そもそもこの空賊船は屍人帝国を獲物として襲うものと聞くが、各地で略奪された物資を奪い返して船体が鈍重になって本来の速度が発揮されないのであれば問答無用に撃沈するのも容易いはずだ。なのに、彼らは敢えて拿捕するかのように追いかけ、更にはこうして追手を差し向けてきた。であれば、この船を沈ませてはならない何らかの理由があるという疑問を彼女は抱いたのだった。

「撃沈するなら、もっとなりふり構わず仕掛けて来るわよね。お宝が惜しければ……かしら?」
 その何気ない呟きを聞いた空賊らが思い当たるところがあるという顔ぶりをしたのを、望遠鏡を覗いていない片目で覗き、やっぱりねと公明は小さく頷いた。とは言え、この様子を見ると彼らは、しいては敢えてこの難所に進路を取って生きるか死ぬかの瀬戸際を楽しんでいるようでもある素振りでガレオンを操舵している船長の様子を見る限りでは、事前にそれが何かを知った上で狙い奪ったものでもなさそうだ。
 たまたま藪蛇を突いてジョーカーを引いてしまったか、それとも奪い返した物資を引き渡す先であるクライアントが情報を伏せていたのか。彼女の脳裏で様々な憶測が浮かんでは消えていく中、数匹の魔獣が仲間の猟兵の防御網をくぐり抜けてこちらに向かってくるのを望遠鏡越しに捉えた。

「周囲は積乱雲。遠距離攻撃は……ダメね」
 押し付けるように望遠鏡を借りた空賊へと返すと、準備運動とばかりに手を当てながら腰を回したり屈伸運動をするなど足腰のストレッチを念入りに行ない始める。交戦の意思を示した彼女へ空賊の一人が小型飛行艇が格納されている船艇へ案内しようとしたが、公明は大きく背伸びし終えると掌を向けた。

「私には不要よ。それに、時間が惜しいしね?」
 そう残すと、彼女は羽織っている青いジャケットの裾を風ではためかせながらジャンプし、船べりを足場にして船外へと躍り出た。その様子に空賊たちは慌てふためいていたようだが無理もない。彼らは天使核ロケットエンジンを搭載した『動力甲冑』で身を固めていて、もし船外に振り落とされようともその推力によって飛行しながら母船に戻れる手段を講じている。だが、公明とはいうとそんな物を身に着けていない着の身着のままな状態と言って過言はない。風を読んで空を蹴るように駆け巡る翔剣士であったとしても、不規則に風が渦巻く峡谷は元よりこの距離では魔獣の背に着地するまで落下してしまうのが関の山である。
 だが、それは一般論に過ぎず、彼女は生命の埒外の体現である猟兵だ。それに公明は無策で飛び出した訳でもない。彼女が『空翔』と呼んでいるUCによって、あたかも見えない足場があるかのように空を蹴り上げ、その勢いのままライオンのようで様々な動物が混ぜ合わわせたかのような魔獣の眉間を狙って大口径の大型拳銃を抜き撃った。

「諸葛流は何物にもとらわれないわ。当然、空ぐらい駆け回れるものよ」
 反動で若干後退はしたが、再び脚に力を込めると銃傷の反対側から飛び散った脳漿が風にのって流される魔獣の背中に乗り移る。そして、何が起きたか狼狽しているヤギ頭の魔獣を見据えると、休む暇もなく沈みゆく船のように落下しようとしている魔獣の死骸から飛び上がり、今度は腰の入った回し蹴りを叩き込んだ。

「…すっげぇな……。あれが船長が言ってた猟兵って奴か」
 公明が次から次へと魔獣を蹴り上げていく光景を望遠鏡を返された空賊が呆然となりながらも見ていたが、そこへ風の乗って雷雲の峡谷に響くかのようなアレックスの張り上げた声が彼を現実へと引き戻させた。

「出口が見えてきたぞ! 野郎ども、待ち伏せられていないか気を引き締めて警戒だ。手の空いてる奴は、客人たちにその事を伝えろ!」
 後ろより振り向けば、トンネルのように薄暗い雷雲の峡谷の先から眩しい光が溢れているのが確かに分かる。副船長が船の操縦に専念する船長に変わり現場の指揮にあたり始める中、見張員の空賊は慌てながら望遠鏡を仕舞い込むとガレオン同士の連絡に用いる投光器を点滅させる合図を送った。

「ようやく出口に辿り着いたようね。でも、私の予想が的中しなければいいけど、ね!」
 最後の一匹となった鳥頭な魔獣の首を蹴り終えると、仲間の猟兵と共に公明はペレグリン・ファルコン号へと帰還する。こうして無事にタンペット一家、そして猟兵を乗せた空賊船は魔獣の追撃を振り切って雷雲の峡谷を抜けたのであった。
 だが、一難去ってまた一難。新たな脅威が彼らの前に待ち構えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレスベルク・メリアグレース
空の義賊ですか
メリアグレースにて伝わる十三代教皇と協力関係にあったヘリポーンキャバリア盗賊団の話を思い出しますね
そして、人手があるに越した事は無いでしょう
そう言って殺竜武器を手にしたメリアグレースの聖騎士103人を呼び出し、飛空艇の周囲を魔法剣術や射撃武器で魔獣を撃破して行きます

無論、わたくしも撃って出ましょう
後方で指揮するだけが猟兵(わたくし)ではありません
瞬間、ヴォーパルソードと生と死から解き放つものの二振りの剣を用いて空へと踊りだし、飛翔の帰天の加護で空中戦を繰り広げて魔獣を騎士よりも多く屠っていく

単純な話です
我が騎士総員よりも、わたくしの方が個として強いと言うだけです



 魔獣の骸を喰らい続けてきたせいか、獲物はひとりも逃さまいと雷雲の峡谷は急激に雷が渦巻く谷壁を完全に閉塞させた。そこからギリギリながら空賊船『ペレグリン・ファルコン号』が危機一髪さながら雷雲の峡谷を抜けきると、長いトンネルから抜け出したかのように眼前には果てしない青空がどこまでも続いていた。
 地獄の底から生還した彼らを祝福するかのように陽の光が上空から降り注いでいたが、それを遮る形で再び船は影に覆われた。上空に雲がかかったのだろうか。いや違う。これはシルエット…ガレオンの影である。

「どうやら同着のようだったみたいだな」
 アレックスが舵を取りながら、やるじゃないかと口笛を軽く吹いて顔を上空へと向けると、太陽に背を向けながら獲物を見つけた猛禽類さながらに急降下してくるものが見えてくる。一際大きな影から放たれて先行してやってくるのは……牙を剥かせながら迫りくる魔獣の群れだ。しかしながら、その数は追撃していたものよりも少ない。となれば、これらはとっておきの精鋭というところであるかもしれない。とは言え、彼ら本来の目論見は失敗に終わっている。なんせ、多少の犠牲を込みで先に放った魔獣らは、猟兵らの手によって雷雲の峡谷、今や強大な積乱雲となった中で雲の藻屑と化したのだ。

「やはり、抜けた先の出口で待ち構えていましたか」
 彼女、フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)もまた上空を見上げていた。

(空の義賊……メリアグレースにて伝わる十三代教皇と協力関係にあった、ヘリポーンキャバリア盗賊団の話を思い出しますね)
 クロムキャバリアの宗教国家『メリアグレース聖教皇国』。彼女はその小国家出身の猟兵であり第十六代教皇、すなわち若き国主である。メリアグレース聖教を国教とする宗教国家の歴史は古く、国教たる聖教の教義は『航空技術と広域通信網による恩恵の礼賛、それ故の関連技術の復元・そして空への憧憬』と言うものだ。元々は航空技術の開発に力を注いだ技術者の支援団体が母体であり、いつしか空と航空技術を崇める教義を纏めて宗教国家の設立に至った訳であるが、殲禍炎剣による広域通信網の壊滅により空の自由を奪われてしまっている。
 その殲禍炎剣の災厄が起きる前の十三代教皇時代に、義を重んじるヘリポーンキャバリア盗賊団が前教皇と共に国難へ立ち向かったという記録がある。今となっては迂闊に高速飛行するならば暴走衛星に迎撃されるとしてそのような者は居なくなって久しいが、もし居たのであればこの空賊のような者たちであったのかもとフレスベルクは感じ得れた。ならば、かつての教皇のように世界を違えているとは言え、この空の義賊に訪れた危機をみすみす見逃すことは出来ない。

「…人手があるに越した事は無いでしょう」
 直上からの奇襲に対して迎撃体制を取ろうと慌ただしくなる中、純白の聖別天衣姿である彼女は両目を閉じながら手を組んで祈りだした。常人であるならばこの危機を乗り切るための神への祈りとなるのかもしれない。だが、彼女もまた猟兵だ。周囲に淡く発光する光の粒子が漂い始めたかと思えばそれらは人形へと集合し、徐々にその輪郭や姿がはっきりとフレスベルクの前に敬々と跪いた姿で実体化しつつあった。

「拝跪せよ、我が聖騎士。汝に授けるは竜殺しの御業たる武器。その剣、槍、弓、遍く殺竜たる武装を以て正義を為せ」
 教皇からの言葉を賜った聖騎士の一団は、ガチャリと鎧を鳴らして応えた。そして、竜殺しの権能を持つ弓を上空に向け引き絞ると、飛空艇の目の前にまで辿り着いている魔獣らに向けて一斉に射ち出した。突如として現れた聖騎士の迎撃により意表を突かれた魔獣らはその勢いのまま甲板へとぶつかって藻掻く中、剣や槍などを携えた聖騎士と思い思いの武器を携えた動力甲冑姿の空賊らが止めを刺す追い打ちによる乱戦が始まった。
 しかし、先程のは第一波であり、今迫りくる第二波の数はこれよりも多い。おそらく、あれが戦力として本命であろう。それを穏やかな表情ながらも睨むように見据えるフレスベルクの手には、いつの間にか抜いたであろう二振りの革命剣…ヴォーパルソードを両手で握り締めていた。

「無論、わたくしも撃って出ましょう。後方で指揮するだけが猟兵(わたくし)ではありません」
 そう呟いて、彼女は高らかに翔んだ。目の前からは、獲物を八つ裂きにせんと闘志を露わにさせた魔獣の雄叫びが風に乗って聞こえてくる。だがそれに臆するフレスベルクではない。確固たる決意に反応してか、ほのかにではあるが自身の身体にデザインされて刻まれた因子が熱を帯びる感覚が身体に走り、彼女を猟兵へと至らしめる異能たる能力『帰天』が発現した。その現能と加護により、徐々に飛翔を速める彼女はひとつの風となって魔獣の群れを突き抜けた。

『ゴガァアアアッ!!?』
 同時に魔獣らから苦悶に満ちた断末魔が響かれる。見れば、分厚い皮や体毛に覆われた身体には無数の傷跡が疾走っている。だが、よほど鋭利な物で切り裂かれたのか鮮やかにぱっくりと割られるように斬られた傷口に反して、そこから流れ落ちる血は少ない。

「当然ですわ。わたくしの身体で切った風、振るわれた剣風。それらを触媒として帰天によって創り出された真空の刃…鎌鼬でありますから」
 そう言い終えると、時間差を置いて魔獣の体中から鮮血が勢いよく吹き出した。たった一撃で彼女がUCで召喚した騎士団よりも多くの魔獣を屠ったのは、ひとえに彼女が個として抜きん出ていることを如実に物語っている。

「そしてあれが……彼らを追っていたものですね」
 他に残敵が居ないかどうか飛翔し続けるフレスベルクの横を、先程の魔獣とは比較にならない巨大な質量を有した屍人帝国のガレオンがすれ違っていく。この下には空賊の船がある筈であり、敵船の狙いと進路はそれであろう。周囲の空域に魔獣の気配が既に無いことを確認したフレスベルクは、敵船を追尾しながら新たな危機に直面しようとするペレグリン・ファルコン号へと帰還するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ガレオンドラゴン』

POW   :    属性変換
【ドラゴンの牙】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【部位を持つ『属性ドラゴン』】に変身する。
SPD   :    ガレオンブレス
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【口】から【ブレス砲撃】を放つ。
WIZ   :    飛竜式艦載砲
【飛空艇部分の艦載砲】を向けた対象に、【砲撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「頭ァ!!」
「わかってる。とうとう追いつかれちまったな!」
「オイツカレタ! オイツカレタ!」
 これはしてやられたと豪快に笑うアレックス、巨漢ながらも船長とは対象的に不安さが拭えない副船長のモーリス、そして道化さながらにおどけているビジュの喚きを落雷のような咆哮が遮った。
 その正体、その主は、空賊らを追っていた屍人帝国所属のオブリビオン……ガレオンドラゴンだ。この飛空艇『ペレグリン・ファルコン号』の動力である天使核が暴走した末の物、オブリビオンの心臓を採取して利用するというこのブルーアルカディアでは避けては通れない顛末が空賊船と併走していた。
 謂わば意思を持った船とも言えるガレオンドラゴンの甲板には、それに座して指揮する者の姿は見当たらない。おそらくだがこれは周辺空域の警備を担う個体であり、手筈通りに警備が手薄になった拠点の襲撃には成功したが、運悪く警戒線に引っかかってしまったのがすべての事の顛末であろう。
 艦載機でもある魔獣を全て放ったものの、それらすべて撃退されたことによりこうして実力行使に打って出たのか。はたまた目の前にしている積荷は各地から略奪した物資であり、それらを奪いに来たのか。それとも……。いずれにせよ、この異質なガレオンを排除せねば空賊の勇士『タンペット一家』に訪れた危機を払拭できないのは確かだ。

「こうなりゃ、やるっきゃないだろ。野獣は放ち続けて、もうカンバンになったに違いない。モーリス、任せた!」
「アイアイサー! こうなりゃ乗り込んで対艦戦闘でっさ」
「アレックス。石ダ、石クレ。ガチャダ、ガチャ」
「悪いな、ビジュ。石はもう尽きちまってる。奪い返した物資を引き渡す報酬までオアズケだ」
「ノォォォ! 詫ビ石、タダ石、クレクレ!」
 そんな緊張感があるようでないようなやり取りを遮るように、敵ガレオン船から空気を振動させながら砲撃が放たれる。炸裂で船が揺れる中、改めて全神経の集中を艦の操縦に向けたアレックスが巧みに操って難を逃れるが、敵の追尾と攻撃は緩まる気配はない。
 かくしてガレオン同士の空の追走劇は、第二幕の幕開けとなったのであった。
土御門・泰花(サポート)
※アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱変更・その他OK

「あらあら……。ふふ、ご安心を。お手伝い致します」

一人称:私
口調:基本的に敬語。柔和な印象を与える口ぶり。
表情:基本的に柔和な笑みを湛え、義憤もその下に隠す。
性格:普段はおっとりだが「陰陽師の家系の当主」という自覚があり、凛々しくみせる時も。

敵の攻撃は【第六感】【聞き耳】で察知し、【早業】【軽業】【地形の利用】にて回避。
式神の白揚羽で【結界術】と【オーラ防御】を展開。
通用しなければ薙刀で【武器受け】し、【カウンター】攻撃。

UCは、戦況と効果に合わせて発動。
可能な限り【早業】で敵のUC発動前に発動を狙う。

指定したUCは何でも使用可。
後はお任せ。


レイ・キャスケット(サポート)
アルダワ魔法学園の生徒であり謎解きや冒険となると首を突っ込まずには居られない

性格は明るくポジティブ
性善説的な考え方が強く非オビリビオン相手であれば甘すぎる慈悲を与えることも
楽しければ悪ノリする部分もあり、またその場のノリに流されやすいことも


一人称はボク
二人称はキミ
三人称は年上は~さん、年下は~くん、~ちゃん

戦闘では『ブランクソード』と高速詠唱を軸にした七色の属性攻撃で敵を翻弄するオールレンジラウンダー
得意な戦法は挑発やフェイントを多用したイヤガラセからの主導権奪取
状況に応じ回復も使い分ける万能型だが、体力は並程度を魔力ブーストで補う

明確な弱点は水中、水上行動を極端に嫌うことである


フレスベルク・メリアグレース
成程、ガレオンドラゴンですか
では、このUCで打ち砕きましょうか
瞬間、八つの死の概念を宿す光が迸る

このガレオンドラゴン相手には……事故、ですね
瞬間、『事故』……相手の過失を引き起こす能力が展開され、艦載砲が暴発して竜の体を砕き、焼いていく

これこそ教皇級帰天……全ての帰天の頂点に立つ神子代理たるわたくしは全ての教皇級帰天を扱えます
そう言って魔銃の死の光で魔弾魔術を解き放ち、貫通弾と炸裂弾を以てガレオンドラゴンを撃ち抜いていく

全ての存在が迎える死……それを体現するというのは絶滅による支配ではありません
死を齎す存在を征服する事による、生命賛歌に他ならないのですよ



 晴天の空の下で、雷鳴によく似た爆音が轟々と鳴り響く。今までは放った魔獣により空賊船を制圧し拿捕しようとしていたガレオンドラゴンだったが、魔獣の全滅を悟ってか自らの実力行使に打って出てきたのだ。
 空賊一味の船長アレックスによる舵さばきで直撃はなんとか免れているもの、依然として生物なのか無機物なのか定かではない天使核が暴走した末路の異形なる船が並走しながら絶えず砲撃を与えてきていた。

「まったく、次から次へときりがありません」
 時限信管なのか、それとも砲弾自体がUCによるものなのだろうか。ペルグリン・ファルコン号へ直撃と至らなかったガレオンドラゴンの艦載砲より放った砲弾が、少し離れてから炸裂したと思えば躱す直前で炸裂している。直撃せずとも至る箇所が鋭く尖った破片の雨あられは空賊船に四方から降り掛かろうとしていたが、陰陽師の家系「土御門家」の若き当主である土御門・泰花(風待月の菫・f10833)が船を取り囲むように放った白揚羽の式神が作り出す結界がそれらを防いでいた。とは言え、船全体の全てをカバーしきれていると言うわけでもなく、船体に多大な損害を与えるであろう大きな破片を重点的に防御しなければならない都合で、細かい破片には多少ではあるが目を瞑らなければならない。

「ここは一家に一台、便利なレイちゃんにお任せあれ!」
 防御網から抜けてきた破片に対し、ノリのよい言葉を発しながらもレイ・キャスケット(一家に一台便利なレイちゃん・f09183)が対処していた。船の表面に無数に突き刺さった破片へレイの掌から風に乗って飛んでいくUC製のタンポポの綿毛が引っかかると、綿毛の下にある種子が船体へと潜り込んで怪我した傷から肉を盛っていくかのように破片を押し出していく。こうして船体は傷つき、そして修復されながらガレオンドラゴンからの砲撃に耐えていたものの、四方八方に炸裂する砲弾の破片により命知らずな空賊のロケットナイトでさえも打って出ることが憚れる状態であった。

「成程、ガレオンドラゴンですか」
 そんな中フレスベルクは冷静な趣きで、船外から鎌首をもたげてこちらを凝視しているガレオンドラゴンの頭部を見据えていた。

「間髪を入れずに砲撃を与えてくるこのガレオンドラゴン相手には……事故、ですね」
 事故。即ち行動によって起きてしまった不運な出来事である。彼女が差し示した事故とは、艦載砲に何らかの不具合を起こさせて爆発させるものだ。
 偶然に偶然を重ねての事故となろうが、彼女にはそれを可能とする秘策があった。自らのUC『生命根絶司りし八の殲滅たるは絶滅の光』により、死に由来する現象を司り体現する絶滅の光をガレオンドラゴンに浴びせることだ。
 だが、彼女にはそれをためらう事情があった。光である以上、放射状に拡散していくことである。つまりは、ガレオンドラゴンに浴びせるということはこの船にも不運な事故を引き起こす光を浴びてしまう。その問題を解決せねば、女神の加護でも受けているのか悪運強いこの船も最後を迎えてしまうかもしれない。

「どうしたの? そんな難しい顔しちゃってさ」
 自然と険しい顔となっていたフレスベルクの顔を、ひょこっとレイが覗き込んだ。考え込んでも仕方ないと実は……と、自らの考えをふむふむと相槌を打って頷いていたレイが元来の明るさでこう答えた。

「それならさ。その光を防いでしまえば良いんじゃない?」
「あっ……」
 答えは至って単純である。この船に浴びせないよう、光を防いでしまえばいいことであった。抱える問題を解決する手段なら仲間の猟兵たちがいくらでも持っており、その話を傍で聞いていた泰花も何か考えが浮かんだようである。

「そうですか。では、まず……この砲撃をいくらか抑えねばでございましょう」
 すみれ色の狩衣から呪力が込められた霊符を取り出した泰花が、それらをガレオンドラゴンに向け投げ放つ。長方形状の霊符はひらひらと風に身を任せていたが、いくらかの間を置いてピンと伸ばされると、風を切りながらガレオンドラゴンの船体から絶えず上がる黒煙へと向かっていった。そこには横並びされた艦載砲があり、黒々しい砲身ひとつひとつへ砲火をくぐり抜けた霊符が張り付いていく。それを感じた泰花が印を切ると、霊符に書かれた印字がほのかに発光し、今まで絶えることがなかった砲撃がピタリと止んだ。

「ささ、ここは私が抑えておりますので……」
 柔和な笑顔を浮かべている泰花だったが、その下には少しばかしの陰りがあった。それもそのはずで、今発動している彼女のUC『七星七縛符』は、相手のUCを封じる代償として自らの命を灯火を削ってしまうものである。秒単位で彼女に掛かる負担を考慮すれば、数十秒の間になんとかせねばならない所である。

「OK。ボクもちゃちゃっとやっちゃうね」
 奇しくもレイが作り出しているUC製のタンポポの綿毛も同じ性質を持ったものだ。彼女の場合は作り出した量に比例して身体に負担が掛かるというもので、過去に調子に乗ってどんどん作り出した結果、瀕死となって生死の境目を彷徨った経験がある。だが、そんな経験あってか自らの限界というものも身を持って体感したのもあり、瀕死状態にならないラインを彼女は体得している。風に煽られたタンポポの綿毛は意思を持ちながら一つの塊となって、ペルグリン・ファルコン号とガレオンドラゴンを遮る壁となった。二人の猟兵が作り出したこのタイミングを無下にせねばと、フレスベルクは白き銃型のデバイスを構えながら瞳を閉じて祈り始めた。

「殲滅を司りし八の尖光を迸らせる。これを弑し楔に繋げるは生命賛歌の裏返しとみなす。故に、究極の礼賛者を起動させよう」
 聖句を言い終えると同時に、白磁色の銃身の先端でぽっかりと空いた黒い銃口から魔弾魔術により生み出された死の光が射たれる。綿毛の壁を突き抜けると、より一層と光を強めて両者を照らした。だが、タンポポの綿毛によって隔絶された空賊船には死の光は遮られ、その身代わりとなった白い綿毛がみるみると枯れていく。死の魔弾はガレオンドラゴンの生身の身体を穿ち、同時に泰花はUCを解除して激しく息をついた。
 艦載砲を封じていた忌まわしき束縛から開放されたガレオンドラゴンが、再び砲撃しようと照準を綿毛に覆われた空賊船へ向ける。先程の光は虚仮威しに過ぎないと思っていたガレオンドラゴンであり、急に作られた綿毛の壁の意図は何なのか見当もつかなかった。どちらにせよ、砲撃でたやすく破られるものであり、無駄なあがきであろうと再び砲を放ったその時、今までにない轟音が周囲に鳴り響いた。その衝撃で綿毛の壁は吹き飛び、強烈な衝撃波が空賊船を大きく揺らした。

「全ての存在が迎える死……それを体現するというのは絶滅による支配ではありません。死を齎す存在を征服する事による、生命賛歌に他ならないのですよ」
 フレスベルクが呟きながら見据える先には、艦載砲の火薬庫が爆発して大きく船体部が抉られたガレオンドラゴンの姿があった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

馬県・義透
引き続き『侵す者』にて
武器変更:黒燭炎

さてさて、この世界もドラゴンはおるのよな。
まあ、あれを倒せば終わる。単純にてわかりやすいことよ(深く考えないタイプ。書類仕事苦手)

霹靂、なるべくあのガレオンドラゴンと近く、すれ違うように飛んでくれぬか。

ドラゴンの牙は結界術で弾くが。弱点属性は水なのよな…『わし』は。まあ、そのときは槍に宿る碎輝の力を借りるか。霹靂も雷じゃし。

まあ、見えておる敵に対応するのはわかるがの?それが致命的なのだ。
出番である、陰海月。


実は影の中に居た、空中浮遊できる陰海月(分類:武器)。UCつき触手パンチ。霹靂とは友達。
陰海月「ぷきゅっ」



「「「ィィイッヤッフゥゥウウッ!!」」」
 大きな爆発と共に再び姿を現したガレオンドラゴン。その船体の側面に備え付けられていた大小様々な艦載砲は、猟兵によって引き起こされたUCにより無残にも吹き飛ばされて外殻とも言える船体からは焼け爛れた血肉が見えてくる。
 忌々しい砲撃が止んだのも加えて、兜にドクロを描いた空賊のロケットナイトらが歓声を沸き立たせながら反撃に転じ始めた。今までのお返しとばかりに手にした擲弾筒からの放たれる炸裂弾を次々と撃ち込んでいき、今や攻守は逆転したと言っても良い。

「さてさて、この世界もドラゴンはおるのよな。まあ、あれを倒せば終わる。単純にてわかりやすいことよ」
 うんうんと頷く義透こと『侵す者』。ガレオンの中枢エンジンとして使われている天使核が暴走した末のモノであるが、ガレオンドラゴンの姿は名は身体を示すと言わんばかりに確かに竜である。多少異なる点といえば、翼にある鳥状の羽毛とも言える天使の翼だ。だが、多少の差異はあれどドラゴンに相違はない。ならば、今までに屠ってきたドラゴンのように戦うだけよと、あまり深く考える事なく侵す者は呵呵と小気味よく笑った。
 一振りの黒槍を携えた彼を乗せたヒポグリフ『霹靂』も主の笑い声を真似してクワックワッと鳴きながら天使核ロケットを吹かせて飛び交う空賊に続いて飛ぶ中、侵す者はじっと目を凝らしてガレオンドラゴンの頭部を見据えていた。

「霹靂、なるべくあのガレオンドラゴンと近く、すれ違うように飛んでくれぬか?」
 他ならぬ主からの頼みにクエッと元気よく答えた霹靂は翼を羽ばたかせ、雲霞の如くガレオンドラゴン船体の周りを自由自在に飛び交っている空賊らとは別の行動に出た。長い首を振り回してしつこく纏わりつくロケットナイトをはたき落とそうと躍起になって苛立ちを隠せないガレオンドラゴンであったが、無機質な甲冑とは異なる生身の身体の義透と霹靂の姿を視界に捉えるや、威嚇しながら鋭い牙を剥かせた。さらに挑発するかのように鼻先を掠める距離まで霹靂が接近する中、その軌道を先読みしたガレオンドラゴンは馬鹿めと白く濁った目を邪悪に歪めて喰らいつこうとした。
 如何に俊敏なヒポグリフとは言え、急に軌道を変える事はできない。霹靂もろとも義透を噛み砕こうと生物特有の生臭さが漂う牙が迫る刹那、侵す者は手にしていた黒槍を大きく掲げた。

 ──バシィィィンッ!!

 雷とはまた別の乾いた炸裂音が周囲に響いた。その正体は彼が手にしている黒槍……。その正体は先の世界の存亡を賭けた戦、カクリヨとUDCアース2つの世界を戦場とした大祓百鬼夜行において戦った竜神親分『碎輝』の力を宿した槍『黒燭炎』による雷を帯びた炎である。思わぬカウンターに脳髄の深部までも痺れさせたガレオンドラゴンを義透は尻目にしながら、未だ意識が回復しない敵の元へ接近を図るべく、霹靂を大きく旋回させた。

「まあ、見えておる敵に対応するのはわかるがの? それが致命的なのだ。出番である、陰海月」
「ぷきゅっ」
 霹靂に跨っている義透の背後から半透明状の何かがうぞうぞと蠢きながら姿を見せた。その正体は、日頃は彼の影に潜んでいる空飛ぶジャイアントくらげのミズクラゲ『陰海月』である。その可愛らしい鳴き声に釣られ、思わず霹靂も嬉しそうにクエクエと鳴いた。彼らは生まれも姿も異なるが気の合う仲良し同士であり、侵す者が霹靂と今もこうして空を飛ぶのも陰海月によるものであるのだから仕方ない。嬉しさのあまりに速度がより一層早まる中、一人と二匹の目の前には再びあの意識が朦朧としているガレオンドラゴンの頭部が迫りつつある。
 そして再び掠めてすれ違う直前、陰海月は引いた触手による重い一撃の触手パンチをガレオンドラゴンの頭部へに叩きつける。多くの水分を蓄えている陰海月は金属のように硬く、更にはミズクラゲならではの質量もさながら霹靂が生み出したスピードも相乗して生み出された破壊力。その威力は粉々に砕かれて宙に舞いながら散っていく竜の牙だった無数の破片が雄弁に物語っていたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

片桐・公明
【SPD】
「船みたいな竜。……いや、この場合竜みたいな船の方が適切ねかしら」

飛空艇にしがみつきながら敵を見据える公明
敵の攻撃を見ながら対策を考える
「参ったわね。私じゃまともに攻撃を通す自信がないわ。」
「それでも戦うけどね。」
空戦対応拡張パック『爲虎傅翼』を装備した赤兎にまたがり出撃

UCで相手の攻撃を回避しながら[誘導弾]で攻撃する
色々なところを攻撃して、弱点を見つけたらそこめがけて突進
衝突しないギリギリをすれ違いざまに妖刀で斬り付ける
「やっぱり取り付いて近接戦の方がいいかしら。」
(絡み、アドリブ歓迎です)



「船みたいな竜。……いや、この場合竜みたいな船の方が適切ねかしら」
 生物としての竜であればヤドカリのように船を背負っているようにも思えるガレオンドラゴンであるが、その正体はガレオンに搭載されていたこの世界におけるオブリビオンである魔獣の心臓たる天使核が、何らかの要因で元の姿を取り戻したと言うべきの存在だ。であれば、体内に寄生した生物の卵が孵化して宿主の身体を食い破ったという表現が近いのではと表情に疑問を浮かべながら興味深そうに異質な竜の姿を、彼女はペレグリン・ファルコン号の手すりにしがみつきながら見据えていた。
 だが、彼女が今まで観察に専念していたのは興味本位もあるが、全長数十メートルにも及ぶ巨大な船そのものと言っても差し支えない巨体相手に人間サイズが下手に攻撃を与えようとも豆鉄砲に過ぎないかもしれない。その考えであれこれと対策を考えては是正を繰り返していたが、ここに来て何時もの答えに行き着いた。

「はぁ……やっぱり、考え込むよりも当たって砕けろよね」
 大きくため息をついて火照った脳に酸素を取り込みながら、公明は手すりを離れて傍に控えていたあるものに跨る。それは一見すると赤いオフロード仕様の二輪バイクだが、その正体は改造が施されて速度をガン振りにした彼女の愛車『赤兎』である。エンジンを駆けると命を吹き込まれたかのようにライトに光が灯り、調子を確かめようとアクセルを少し吹かせば、先程の雷雲の峡谷で鳴り響いていた雷鳴にも負けない鋭い轟音がマフラーから迸る。

「さてと、うまく行けばいいけど」
 公明が視線を背後に向けて視線を落とすと、赤兎の車体からせり出している後から増設されたユニットであろう物を、楽しさ半分不安半分と言った具合に確認する。それはここに来る前、とあるルートで手に入れた天使核ロケットエンジンである。彼女の手に渡り改造を施されたそれは、今こうして赤兎の空戦対応拡張パック『爲虎傅翼(イコフヨク)』として生まれ変わった。テストは既に済ませてはいたが天使核ロケットが生み出す推進力の強さは想像以上で、その暴れ馬っぷりに死を覚悟して肝を冷やしてしまったのが苦々しい記憶として一瞬思い出すと、公明は軽くため息を付いて不安感を払拭させた。ではあるが、いくつかの問題点を洗い出して改良済みであるので大丈夫であろうと自らに言い聞かせながら、ハンドル部分に仕込んでいある爲虎傅翼作動のスイッチを押し込んだ。
 エンジンに火が灯り、空気の出口から聞こえる排気ジェット音と入り口から聞こえる軸流圧縮機の音が互いに絡み合い、独特の耳をつんざくような甲高い音となった所で彼女は発進した。自分たちの天使核ロケットエンジンとは異なる音を聞き取った一人の空賊が思わす振り返り、背後から赤いオフロードバイクが迫り来る。だが彼らにして見れば、それは車輪がついた奇妙なセイルフローターに見えたはずで、特に取り乱すことも驚くこともなく軌道を逸して一直線に翔ぶ公明へ道を譲るように軌道を変えたのであった。

「リミッターの限界を見直して正解だったわね。船を離れて近づいてみたのはいいけど…参ったわね。私じゃまともに攻撃を通す自信がないわ」
 当然の話しではあるが、互いにある程度の距離を取っていた船上からと間近から見た大きさというのは異なるもので、その巨大さと質量を前にすれば人間が手持ちできる並大抵の武器や火器では致命傷を与えることは厳しいだろう。艦載砲を喪い牙をも折られたガレオンドラゴンではあったが、未だに戦いを続ける意思は確かにあり、そして手段もまだ失われていない。人間一人分を丸かじりできそうな口を開くと、そこから吐き出された火弾が公明を焼き落とさんとばかり襲いかかってくる。

「それでも戦うけどね」
 火弾から伝わる周囲の空気をも灼く熱風を切り裂きながら迎撃のブレスを掻い潜り、彼女はガレオンドラゴン胴体の先端から伸びる長い首に視点を向けた。太陽の光に反射して水色の龍鱗が隙間なく並ぶ中、一箇所の焼き焦げたような綻びを見つけ出す。おそらく空賊の誰かが撃った擲弾が命中して炸裂した痕跡なのだろう。そしてだが見たのは一瞬ではあるが、着弾の衝撃で鱗が剥がれ落ちていたようでもあった。

「なるほど。これなら私でも勝機があるかもね?」
 確信を得た公明は大きく弧を描きながら、赤兎を再びガレオンドラゴンの頭部…いや、首に向けてアクセルをより深く回した。チキンレースさながらに突っ込んでくる羽虫に苛立ちを隠せないガレオンドラゴンの口に再び炎が灯り始める。あの様子では先程の火弾のようなものではなく、広範囲を焼き払うブレスであろう。しかし、公明はそれを目にして眉毛と口元を僅かに歪ませた。さながら計算通りである、と。

「それならこっちも本気で行かせてもらうわ」
 公明が刃長2尺半の妖刀『血吸』を抜くと、それを握り締めた手でであるスイッチを押す。ガレオンドラゴンから灼熱のブレスが吐き出されたと同時に、赤兎に取り付けられた爲虎傅翼からも炎が吹き出された。彼女が押したのはリミッター解除のスイッチで、爲虎傅翼本来の性能が今ここに解放されてたのだ。一度は手こずった暴れ馬ではあるが、不思議なことにそれが頼もしく思えてしまう。不敵な笑みを浮かべながら、公明はアクセルを限界にまで回した。ガレオンドラゴンのブレスが彼女と赤兎を呑み込もうとしたが、今までとは比べ物にならない加速力で灼熱の炎を一つの風が吹き抜ける。そして、狙い済ましていた焼き焦げて鱗が剥がれ落ちた部位へ急接近すると、彼女は血液の凝固した色に近い乱刃で竜の首を斬り抜いた。
 公明を乗せた赤兎が風のようにガレオンドラゴンから走り去ると、程なくして斬られた部位はぱっくりと裂けながら体内から吐き出される灼熱の炎が破れたホースのように勢い良く漏れ出した。ガレオンドラゴンの漏れ出したブレスは首を、頭部を、船体にまで燃え移り、竜は断末魔に近い咆哮を強く轟かせた。そうしても暫く藻掻いていたが、まだ残っていた艦載砲の火薬に引火したのか大きな爆音と共に爆破四散した。その残骸は空の下に延々続く雲の海にへと落下して沈んでいき、こうして飛空艇ペレグリン・ファルコン号とタンペット一家を襲っていた危機と追走劇に幕が下ろされたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『鞄にはナイフと食料を』

POW   :    沢山買い物をしておまけを貰う

SPD   :    冒険で手に入れた品物を見せ、物々交換を持ちかける

WIZ   :    巧みな話術で価格交渉する

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ふぅむ……やけに遅いのぅ」
 雷雲の峡谷でのトラペット一家とそれを追う屍人帝国との攻防が繰り広げていた空域より少し離れた場所にある小さな浮島。切り立った崖が周囲を取り囲む空と島の境界線とも言える入り江の中で、身を隠すように一隻の大型商船が停泊していた。その上で水タバコを吹かしながら、恰幅の良い初老の商人が辺りを心配そうに見回してる中、周囲を警戒している船員から一方が届く。彼らがやってきたと。
 船体の至るところに生々しい交戦痕を作ったペレグリン・ファルコン号が、悠々と降下して商船へと横付けするよう着地する。双方の船の間に板橋がかけられると、空賊船よりオウムによく似た鳥のビジュを肩に乗せたアレックスが、今まで顔半分を隠していた飛行帽を脱ぎながら移り渡った。

「待たせたな、サルキスのジジイ! ちぃっとばかし遅れたが、今回もしっかり頂戴してきたぜ」
「おお、ご苦労ご苦労。して、そちらの見慣れぬお方らはどちら様かの?」
 ああ、と素っ気ない返事をしながら素顔となったアレックスが、ようやく解放された長いブルネットの髪を片手で掻き上げながら、ナイフのように鋭い蒼い瞳を猟兵たちに送った。彼、いや彼女の顔立ちは、確かに女性の物であった。

「何だい何だい。面を喰らったような顔をしちまって。空賊の頭が女でおかしいかい? こいつらはアブねぇところを助けてくれた命の恩人さ」
「おお、なるほどなるほど。アレックスの恩人となれば、ワシの恩人でもあるのぉ。ワシからも礼を申すばかりじゃ」
 まるで祖父と孫娘のような年の差の二人であったが、その再開も束の間でガヤガヤと空賊船から商船へ屍人帝国から奪い返した物資を積み替える作業が始まった。

「アタシらは勇士だが、屍人帝国相手の空賊家業で敵も多くてね。そのまま奪い返した物資を島々に届けても良いんだが、付けてきた屍人野郎共から住民が巻き込まれねぇようにこうして荷替えをしているのさ」
「アレックスの親父さんとは長い付き合いじゃったし、ワシもこうして陰ながら手伝っておるわけじゃ。さて、命の恩人さんとなれば、何かお返しをせんとのぉ……」
「それなら、アタシらの補給物資を融通してやってくれ。ここ、ブルーアルカディアで何か役立つものがきっとあるさ」
「タダ! タダ! タダダゾ、タダダゾ!」
 ふぅむと白く長い顎髭を撫でながらサルキス老が少しばかし思案し、言葉を濁さず気前よく快諾したのであった。食料、水の他に島々との交易商品であろう物など、船底の倉庫はさながら宝物庫と言わんばかりであった。こうして猟兵と空賊は、先程の激流のような追走撃とは打って変わって、ひとときの休息を送るのであった。
陽環・柳火(サポート)
 東方妖怪のグールドライバー×戦巫女、21歳の女です。
 普段の口調は「チンピラ(俺、てめぇ、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの? )」

悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
冒険等では割と力業を好みますが、護符衣装を分解して作った護符などを操作したりなどの小技も使えます。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「へぇ……色々あるんだねぇ」
 黒い毛並みで二股の尻尾を振りつつ、陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)は興味深そうに金色の瞳を輝かせながら、薄暗い船倉に積まれた荷物を一つ一つ見て回っていた。火車という炎を扱う妖怪としての本能なせいか、装飾が施されたランプやその燃料となろう魔獣から取り出した油に興味を持って手にていた。しかし、彼女の興味と好奇心を一際刺激したのはそんな日用品ではなく、猫ならではの嗜好品であった。

「こ、これは……にゃんジュールそっくりじゃねぇか!?」
 ふと猫とスティック状の容器が描かれたパッケージが目に止まり、手にとって見ればまさしく普段彼女がおやつとして一日一本と制限している猫用のおやつであった。聞けば、材料に摩り下ろした魔獣の肉に様々なエキスを混ぜ込んだ大人気の猫用おやつとの事。そうと聞いてしまえば、試してみたくなるのが人情というものである。試しに一本だけと口に含めば、鶏肉をペースト化したような食感に加えて彼女にとっては馴染み深い風合いを感じ得れた。

「かつお…いや、マグロか? どっちでもなくて、その間のような……」
 その魔獣はどんな魔獣なのかと船員に聞くと、どうやら彼女の知り得るマグロやカツオによく似た魚型魔獣であること。普段は群れをなしていて、時としては超高速で島という島に突っ込んで天災に匹敵する被害を招く害獣でもあるそれらはであるが、島によっては食する風習もなく只々廃棄されるケースがあるという。それを食文化に左右されないようもったいないの精神で作り出したのが、この猫用嗜好品のにゅ~るという次第である。

「ふぅ~ん。でも、これ中々イケるじゃんか。気に入ったぜ、纏めてくれよ!」
 世界のご当地にゃんジュールとあれば、これを見逃さぬ柳火ではない。自分への土産にと大量に貰ったにゅ~るを得た彼女だったが、その中毒性に自ら化した一日一本の誓いを守れるかどうかはまた別の話であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

馬県・義透
引き続き『侵す者』にて

うむ?そういえば、性別聞いておらんかったの。さして重要なことでもなかったし。
(妻が二回攻撃の達人なお転婆娘だった『侵す者』。わりと気にしない)

さて、欲しいものな…ああ、ヒポグリフ用のブラシはあるかの?
霹靂の毛を整えてやりたいんじゃが、合うブラシが見つからんでのう…。
だが、この世界にならばあるであろ?ヒポグリフが確実にいるこの世界ならば。
毛並みは重要だぞ?(生前は狼獣人だった『侵す者』である)

ちなみに、ブラッシングは基本は『わしら』がやっておるのだが、たまに陰海月も内緒話ついでにやっておってなぁ。
それを見て和むことがある。



(うむ? なるほど、空賊の頭とはおなごであったのか)
 よくよく考えれば、自分たち猟兵が横付けされている空賊の飛空艇へ降り立ったのは、屍人帝国との戦闘の最中であった。悠長にお互い挨拶を交わしている暇もなかったとは言え、確かにアレックスは顔を飛行帽で隠されていたものの、その骨格は女性だと思えば女性である。だが義透の人格のひとつである『侵す者』にとっては些細なことであり、寧ろ武芸百般で目にも留まらぬ連続攻撃の達人であったお転婆な妻と彼女の姿を重ね合わせていた。身近であった者に近しい者ともなれば、彼にとっては勇ましい女性はさほど珍しくもなく気にしていない様子のまま、無邪気にも甘えてくる霹靂の頭をなで上げた。

「さて、欲しいものな……。ああ、ヒポグリフ用のブラシはあるかの? 霹靂の毛を整えてやりたいんじゃが、合うブラシが見つからんでのう……」
 生前は狼の獣人であった侵す者にとって、毛並みを維持させる毛づくろいには並ならぬ情熱と関心を抱くものである。サルキス老が霹靂の全体をうんうんと頷きながら見て回り、満足そうな趣きで顎に蓄えた豊かな髭を再びさすり始めた。

「おお、おお。あるともあるとも。それにしても、こいつは良きヒポグリフじゃ。毛並みと言い顔立ちと言い、どれも良いものじゃの」
 ほっほっほと笑うサルキス老につられてか、霹靂も首を傾げながらきゅるると上機嫌そうに喉を鳴かせてしまう。程なくして船員らが船倉からヒポグリフ用の手入れ具一式を甲板にまで持ってくると、それらを並べてサルキス老自らが実演をし始めた次第である。

「まずは毛並みを整えるのとは別になりおるが、蹄用のお手入れ道具じゃな。グリフォンじゃと野獣のような肉球じゃが、ヒポグリフは馬と同じく蹄となる。これで蹄の裏に詰まった土や泥を掻き出し、終わったらブラシでゴシゴシと綺麗にするのじゃ」
「うむ。馬の扱いは心得ておる。蹄なくして馬なし、いやこの場合は蹄なくしてヒポグリフなしか?」
 どんなに優れた能力を持っている名馬であろうとも、蹄の状態が悪ければその能力を十分に発揮することは出来ない。馬にとって蹄は『第二の心臓』とも言われるほど大事な役割をしており、蹄の病気が原因で命を落とすこともありえる。それはヒポグリフも同様であり、翼で大空を羽ばたく性質から蔑ろにされがちだとサルキス老は熱心に語っていた。

「次に、魔獣より採取した体毛で作られた根ブラシと毛ブラシじゃの。主は馬の扱いを心得ているそうじゃし、ここは割愛するとして……。ヒポグリフ上半身は鳥の体毛となる。ここは下手にブラッシングをすると羽根そのものを傷めてしまう事になりおるのでの。そうさせない為のものは……ほれ、コイツじゃ」
 サルキス老が取り出したのは、先端に毛先がとても細やかで柔らかい鳥の羽を棒状に纏めた毛バタキであった。これらもとある鳥型の魔獣より厳選した素材が使われてるとのこと。

「これをこうして撫でるように、優しくなぞっての。毛の表面に付いた細かいゴミを取ってやるついでに艶も出すという訳じゃ」
「なるほど。確かに霹靂が随分と気持ちよさそうにしておる」
 サルキス老より受け取った毛バタキで侵す者が霹靂の上半身を撫でれば、確かに羽根が艷やかになっているのがよく分かる。その様子を義透の影より眺めていた陰海月が恐る恐る出てくると、変わってとでも言いたげさに半透明の触手を侵す者へと伸ばしてきた。

「む? そうか。陰海月もやってみたいか。そら、交代だ」
 そう言うと、侵す者は手にしていた毛バタキを陰海月に渡し、ぷきゅぷきゅくえくえと互いに鳴きあいながら会話している二匹の様子を眺めることにした。

「ブラッシングは基本は『わしら』がやっておるのだが、たまに陰海月も内緒話ついでにやっておってなぁ。それをこうして見て和むのが、最近の専らな楽しみでな」
「ほっほっほ。なるほどのぉ。確かにこれは和むものじゃ。こやつも多くの者に面倒を見てもらって、さぞ果報者じゃな」
 今度はお返しとばかりに霹靂が嘴で毛バタキを咥えて陰海月のぷるんとした表面を撫であげようとしてじゃれ合う様子を、二人のヒポグリフ好きは時を忘れて只々見守るよう眺めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月11日


挿絵イラスト