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Dog fight

#ブルーアルカディア

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#ブルーアルカディア


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 ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!
 轟音とともに機銃が吼え猛り、奔る火線がガンシップを追い立てる。
「あーっはははは!かこめかこめーっ!」
「ガンナーどもをみなごろしだーっ!」
 無邪気というにはあまりにも残虐な笑い声。引き金を引くのは、残酷に笑う少年たち――屍人帝国の兵隊である、戦闘飛空艇乗りのオブリビオンの軍団だ。天翔ける彼らのガンシップはざっと数えて30機を越す。
「くっそ……囲まれてる!」
 そして――敵集団に追い立てられているのは、一機のガンシップである。
 ガンシップを駆る少年の名はラルク。
 今回の敵の目的である、この浮島に集まる戦闘飛空艇乗りたちの一員であった。
 浮島『ネージュ』は多くの技術者を抱え、そしてその技術者たちによって提供されるガンシップを頼って戦闘飛空艇乗りが集まる浮島であり、ブルーアルカディア世界でも名の知れたガンシップ乗りたちの拠点のひとつだ。
 ――そのガンシップ乗りたちを全滅させることが、今回のオブリビオンたちの目的であった。
 島のガンシップ乗りたちは善戦していたが、現時点で既にその多くが撃墜されている。
 敵の攻め手は緩むことなく、最後の生き残りであるラルクのガンシップを追い立てている。このままでは、彼が落とされるのも時間の問題と言えるだろう。
 そして――戦力であるガンシップ乗りたちを失った島がどうなるかは、想像に難くない。

「おしごとの時間よ」
 ロスタ・ジーリード(f24844)は猟兵たちに次げる。
「いますぐ現場に向かってちょうだい。ブルーアルカディアでいま現在進行形の事件よ」
 短く告げると、ロスタは手元の端末を操作し、モニターへと情報を映し出した。
 浮島『ネージュ』。
 多くの技術者を擁し、天使核を用いた兵器の開発――特にガンシップの製作が盛んな空中都市である。
 今、ネージュの島は大きな危機に陥っていた。
「ある屍人帝国の空戦部隊が、この島を攻撃してるのよ。……目的はねー、この島のガンシップ乗りたちね」
 曰く――ネージュの島には、技術者たちが作り上げる戦闘飛空艇を求めて多くのガンシップ乗り達が集まり、ちょっとした規模の拠点となっている。
 それを脅威であると捉えた屍人帝国の空戦部隊が、彼らを一網打尽にすべく急襲をかけてきたのだ。当然ながら迎撃のために島に残っていたガンシップ乗りたちが出撃したが、そのほとんどが撃墜され、もはや最後の一人を残すのみとなっているのだという。
「とゆーわけで、いますぐ現場に向かって敵をやっつけてちょうだい。でないとここの島はもーしっちゃかめっちゃかにされるわ」
 さーさーいますぐ出発して、とロスタは猟兵たちに急ぎ出発を促す。
「……あ、そうだわ。それと、敵は空戦部隊だからー、ガンシップとかロケットを使って空中戦闘を仕掛けてくるわよ。もしそういうのが苦手なひとがいたら、現地でガンシップを調達してちょうだい。屍人帝国とたたかうって言えばよろこんで貸してくれるわよ」
 とにかく今回は空中での戦闘が中心になる。うまく対応して、敵を迎え撃ってもらいたい。
「まずは浮島の周りに展開している敵の部隊を叩いてちょうだい。そうしたら敵の指揮官が出張ってくるはずよ。それをやっつければ今回のお仕事は完了ね」
 ――とにかくやること自体はシンプルだ。現場に赴き、敵の部隊と指揮官を撃破する。
 以上である。
「……あ、そうそう。戦いが終わったら、祝勝会くらいやってくれると思うわよ。愛機を壊されて落ち込んでるガンシップ乗りとか、撃ち落とされて凹んでるガンシップ乗りのひとたちとかもいるから、なぐさめてあげる意味もこめて気晴らしに一緒に騒いであげてちょうだいね」
 ついでのようにロスタは補足説明を付け加え、そして一度言葉を切った。
「というわけで、説明は以上。いいわね。それじゃ、がんばっていってらっしゃい」
 かくして――グリモアは輝く。


無限宇宙人 カノー星人
 ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
 ブルーアルカディアでの初シナリオになります。よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『バッドスクワイア・スクワッド』

POW   :    「ターゲットローック!」「いっせいはっしゃー!」
【照準】を向けた対象に、【戦闘飛空艇からのミサイル一斉発射】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    「囲め囲めー!」「追えー!」「落とせ落とせー!」
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【機銃斉射】で包囲攻撃する。
WIZ   :    「弱い者イジメはたまんねーぜ!」「逃がすなー!」
敵より【自分たちの数が多い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 拍動する天使核エンジン。吼えるマシンが空を舞い、そして機銃の叫びが交差する。
「おおおおッ!!」
 操縦桿を押し込みながら、ラルクはペダルを強く踏み込んだ。
 ガンシップの中枢で激しく鼓動する天使核が躯体の内で炎を燃やし、そしてマシンを加速させる。包囲を逃れようとしているのだ。
「逃げろ逃げろ!」
「囲んでころせー!」
 しかし、敵の空戦部隊は巧みに陣形を組みながらそれに追い縋る。
「だあッ!」
 ここでラルクは機体を回転させた。急激なターン!火砲の射線から逃れながらもマシンを反転させ、敵群と正面から向き合うかたちになる。
「ぎょえっ!?」
「落ちろおっ!!」
 そこでラルクは引き金を絞った。ダダダダダッ!ラルクのガンシップから迸る火線!吼える機銃が吐き出す鉛玉の嵐が、オブリビオンのガンシップを捉える!
「だっしゅつーっ!」
「……やっと1機!」
 爆発するガンシップから離脱する敵の姿を尻目に、ラルクは機体を再加速させた。
「ヤロー!よくもやりゃあがったな!」
「落とせ落とせ落とせー!」
 しかし、それでも彼を追う敵の空戦部隊は30機以上のガンシップを未だ残している。それら全ての照準が、ラルクを追いかけている状況だ。戦況はまるで好転していない。

 全滅は、もはや時間の問題であった。
ルパート・ブラックスミス
猟兵でもない者が雑魚とはいえオブリビオンに一矢報いるか。
この世界の船乗りは中々の猛者らしい。

UC【神・黒風鎧装】で真の姿と青く燃える鉛の翼を展開し【空中戦】。
超音速【空中機動】に伴う【衝撃波】と旋風で敵飛空艇や敵UCのミサイルを【吹き飛ばし】。
突破してくるミサイルは短剣【投擲】【弾幕】で【武器落とし】迎撃する。

【体勢を崩す】敵は再度照準を此方に向けようとするだろう。
そこを【カウンター】の要領で急加速【ダッシュ】し操縦席を黄金魔剣で【串刺し】撃墜する。
我がUCの【呪詛】は要約して言えば敵の「咄嗟の反応」を封じる。
攻撃を意識する限り回避はありえない。

往くぞ、蚊蜻蛉。黒騎士が残らず潰して回ってやる。


馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎、四天流星

空中戦、ということはだ。霹靂に騎乗しての戦いであるの。
念動力で四天流星を、わしらの周りに浮遊させておく。

さて、照準とは合わせて意味をなすと聞いたことがあるが。
はて、四天流星を視認したことによる錯誤呪詛にて位置を間違えた場合、どうであろうかの?
まあ、防御は内部三人と陰海月(影の中にいる)が結界張ってくれておるのだが。

出来た隙に接近し、炎属性攻撃+指定UCの乗った黒燭炎を叩きつける。
それに、霹靂も分類が武器であるからの。密かに指定UCの影響浮けるのよな…。


霹靂「クエッ!」


エドゥアルト・ルーデル
わぁい空戦!拙者空戦だーいすき!

拙者も盛大に銃撃したいでござるね…あ”あ”?生半なので満足できる訳ねぇだろ、【軍用機】召喚、A-10サンダーボルトⅡ
対地攻撃機で対空戦闘をこなす事ができるのか?
出来る
出来るのだ

相手のなまっちょろい機銃斉射の弾幕を機体の全身に浴びながら正面攻撃でござるよ
この程度この機にはぬるま湯のシャワーみたいなもんでござるからネ…拙者が本当の機銃掃射を教えてやる
お返しに30mmガトリング砲で一撫ですると相手のガンシップは寝ちゃうみたい

良いこと思いついたチキンレースしようずぇ
ガンシップに急降下仕掛けてスレスレで自由落下爆弾を投下!空中ボムキル!このスリルが堪らねぇでござるな!



「イヤーッハー!」
「殺せ殺せ殺せーっ!」
 轟――ッ!風を裂く翼!編隊を組みながらオブリビオンの戦闘飛行艇群がガンシップを追う。ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!吼える機銃!飛び交う火線!鉛玉の嵐が吹き荒れた!
「く、……ッ!」
 装甲板が火花を散らす。――直撃こそ免れたが、既に完成された包囲を抜けだすことは困難だ。
 反撃の手を打つには、彼我の戦力差がありすぎる。操縦桿を握りながら、ラルクは歯噛みした。
「だけ、ど……ッ!!」
 しかし、ここで諦めたとあってはネージュのガンナーの名折れだ。既に撃ち落とされた他のガンシップ乗りたちにも申し訳が立たない。
 ラルクは再び機体を反転させるとトリガーを引き絞り、敵の砲火を掻い潜りながら火線を放った。
「ぎゃわッ!」
「こいつっ!生意気ー!」
 ――命中。だが、撃墜にまでは至らない。
 まだ反抗する気があるのか。――オブリビオンたちの目に、苛立ちの感情が映る。しかしてそれは、すぐに色を変える――嗜虐の色だ。じわじわ甚振って、苦しめて殺してやる。
 悪辣に笑ったオブリビオンが舌なめずりをした――その時である。
「猟兵でもない者が雑魚とはいえオブリビオンに一矢報いるか」
 黒と青の色彩を伴って、激しい風が吹いた。
「うえッ!?」
 その風は音を越える加速度でもってオブリビオンの飛行編隊へと突入すると、激しい衝撃を巻き起こした。
 すれ違い様に触れた燃ゆる翼が、オブリビオンのガンシップを灼き切り――破壊する!
「ギャワーッ!!」
 爆発するガンシップから放り出されてオブリビオンが落下する。それを尻目に、ルパート・ブラックスミス(f10937)は態勢を立て直し、軌道を変えた。滑るように空中を機動するルパートは、ラルクのガンシップに並行するように飛行する。
「これほどの数の敵を相手に、よくここまで持ちこたえた。この世界の船乗りは中々の猛者らしい」
「……あなたは、一体」
『デュフフフフ!騎兵隊の到着でござるゾ~!!』
 ザ――ッ。短いノイズに交じって、ガンシップの無線機に通信が届いた。
 驚くラルクが見上げた上方――そこに見えた機影はA-10サンダーボルトⅡ。主にアース世界線で見られる戦闘機の一種である。

 そのコクピットに座す猟兵こそエドゥアルト・ルーデル(f10354)であった。
「ぎえっ!?」
「なんだあれ!」
「ガンシップじゃないぞ!」
「かまーもんか!囲んで撃て!ぶっころせ!」
 戦域に突如現れた新たな機影にオブリビオンの群れがいきり立つ。ガンシップの舳先を上げながら加速した飛行編隊が、サンダーボルトを追った。
「わぁい空戦!拙者空戦だーいすき!」
 だが、エドゥアルトは一切怯むことなく機体を加速させた。機首を敵飛行編隊へと向けながら、エドゥアルトは口の端を吊り上げる。
「ヤロー!」
「ぶっころしてやる!」
「死ねっ死ねっ!!」
「落とせ落とせー!」
 ギャリギャリギャリギャリ!飛行編隊のガンシップ群が機銃を放ち、エドゥアルトに追い縋る!ダダダダダッ!7.7ミリ口径天使片弾頭がサンダーボルトの装甲板を叩く!
「ア゛ア゛!?ナめてんのか!!こんな生半なので満足できるわけねぇだろ!!」
 ――だが正面突破!エドゥアルトのサンダーボルトⅡは敵の機銃斉射をものともせず加速する!
「げっ!?効いてねー!?」
「効いてねーわけねーだろ!!落ちるまでぶち込むんだよ!!」
「ハァ~ッ!ぜんぜんダメでござるな~!!この程度、この機にはぬるま湯のシャワーみたいなもんでござるぞ!」
 装甲の厚みが違いすぎる。慄くオブリビオン群。こうなってしまえば、もはやただの獲物に過ぎない。エドゥアルトは照準を定めた。
「拙者が本当の機銃掃射を教えてやる」
 そして、トリガーを引いた。
 ――吐き出されたのは30ミリ口径機銃!オブリビオンたちの用いる7.7ミリ天使片弾頭の3倍以上の口径をもつ鉛玉が、嵐となって吹き荒れる!
「ぎょえーっ!?」
「やられたー!!」
 爆発するガンシップ!響き渡るオブリビオンの悲鳴!炸裂する弾頭が撫で切るように敵群を崩した!

「なん……なんだっ!?どーなってんだ!?」
「援軍がくるなんてきいてねーぞ!?」
 猟兵たちの介入により、戦況は急激に変化した。
 ――もはや狩りの時間だとばかり考えていたというのに!その状況を急に崩されたことでオブリビオン群の中には動揺が広がっていた。
「兵法の素人か。――いくさ場でそのような甘い考えとはな」
「ぎゃっ!?」
 その間隙を縫い一陣。熱と炎を纏いながらの風が吹き荒れた。
 黒燭炎。焔を纏う黒槍の一撃である。――それを放ったのは、馬県・義透(f28057)。その身に宿した四つの人格の内ひとつ、『侵す者』だ。
 爆発するガンシップから脱出して転げ落ちるオブリビオンを一瞥し、義透は乗騎の手綱を握る。霹靂――翼を広げるヒポグリフが、くえ、と喉を鳴らした。
「ゆくぞ、霹靂。わしらで片っ端から落としてやろうではないか」
 義透は霹靂の頭をひと撫ですると、その腹を足で軽く叩いた。意をくみ取って霹靂は広げた翼を羽ばたかせ、視界に捉えた次なる敵のもとへと向けて飛び立つ。
「な、なめるなよーっ!!」
「全員、機体を立て直せっ!反撃だ、反撃しろっ!」
 向かい来る義透の姿を捉えたオブリビオンたちが一斉に騒ぎ立てる。――敵も態勢を立て直しつつあるのだ。そして迎撃へと移り始めたのである。
 照準ヨシ!火器管制ヨシ!天使片反応弾頭ミサイル、一斉発射!
「ほう――立て直したか。多少は骨があるようだな」
 義透は少しだけ感心した。――しかしそれも刹那、義透は油断なく手を打つ。
「ならば、手筈通り行くとしよう」
 念動ッ!悪霊としての本領発揮だ。超常の念動力により、義透は呪具を浮かべた。――四天流星である。それは暗器としての鏢のかたちをしているものの、事実上は呪詛を放つ術具だ。
 それらは視認した者の視覚を歪め錯誤をもたらす呪いとして発揮される。
 その呪詛はここにおいて――照準を逸らすジャミング効果として機能する!
 霹靂と義透を追って飛んでいた筈の天使片反応弾頭ミサイルは目標を見失ったかのように標的を逸れ、あらぬところで炸裂した。
「なんだよ……なんなんだよっ!?どうなって――」
「お主らでは役者不足に過ぎる――出直してくるがよい」
 そして、炸裂するミサイルの合間を縫って霹靂は空を走った。
 その加速の勢いのままに、霹靂はガンシップへと真正面から激突する。単純だが、重い質量攻撃だ。ヒポグリフは【それは火のように】熱く吼え猛りながら、ガンシップをばらばらに打ち砕く。破壊されたガンシップから投げ出されたオブリビオンが覚えてろよと悔し涙に叫びながら落ちていった。
「ち、ちくしょう!このまま落とされっぱなしでいられるかっ!!」
「囲め!」
「落とせ!」
 わずかな時間で30機以上いたはずの飛行戦隊は10機以上が落とされてしまった。瞬く間にひっくり返された戦況に敵が焦りを見せる。――しかし、敵はここで底力を見せつけるつもりだ。
 残存するガンシップ隊のうちの何機かが霹靂を包囲した。上下左右からの同時攻撃だ!火線が檻のように義透を取り囲む!
「む、っ……!」
 ざ、っ。弾頭のひとつが霹靂の羽を掠めた。かすり傷にもならない程度だが――。良い兆候ではない。なるほど、兵法も知らぬ小童どもかと思っていたが、追い込まれた方が力を発揮するタイプだったか。
 なればこの包囲、どこから突破すべきか――義透が思考しかけた、そのときである。
「――そうはさせん」
 鉛の翼が奔った。
 包囲外の領域から、ルパートが駆け付けたのだ。手にした黄金魔剣に蒼炎を宿し、空を舞う黒鉄がオブリビオンへと襲い掛かる!
 意識の外から差し込まれた一撃に、オブリビオンは抵抗するべくもなくガンシップの機体を貫かれた。悲鳴と共に爆発する機体を放棄し、青空の中へ落ちてゆく。
「ぎゃっ!」
「次!」
「うわあああああああッ!」
 ルパートは続けて剣を携えながら次なるターゲットへと視線を移した。
 射抜かれるような殺気に怯えたオブリビオンが、咄嗟にルパートへと機首を向け、機銃のトリガーを――――引けない!
 【神・黒風鎧装/ロードレッドロゴス】。
 ルパートの躯体の内側で練り上げられたユーベルコード出力が呪詛となって放射されたものである。その呪詛は、敵の無意識化に干渉し『咄嗟の反応』を封じるものだ。
 結果、迎撃に移ることもできる――次なるガンシップも、ルパートの剣に切り落とされる!
「ウヒヒヒヒ良いこと思いついた!!チキンレースしようずぇ!!」
 そして――爆発!
 爆発音に気づいた者たちが視線を上へと上げれば、そこには急降下するエドゥアルトの機体と、そこから投げ放たれた爆弾によって破壊されたガンシップの残骸が落下する光景があった。
 エドゥアルトが上方から急襲を仕掛けたのだ。――しかも、急降下による急接近からの爆弾投下、という危険極まりない手段でもって!
「このスリルが堪らねぇでござるな!」
 かくして、敵集団は猟兵たちの攻勢によって次々に刈り取られてゆく――!

 しかし!
「ヤロー!なめやがって!」
「囲んで叩け!生意気な猟兵どもをぶっつぶせー!」
 ――戦域外の空より、近づく天使核エンジンの音!見ればこちらへと近づく新たな敵群の姿。増援がきたのだ!
「やはりまだ兵を残しておったか」
「デュフフ!的が増えたでござるな!」
「いくら戦力を投入しようとも無駄なことだ。……往くぞ、蚊蜻蛉。黒騎士が残らず潰して回ってやる」
 しかして、猟兵たちは一歩も退くことなく此方へと向かう新たな敵群の迎撃へと移行する。
 かくして、ブルーアルカディアの空に戦端は開かれた。
 ――戦いは、続く!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

チル・スケイル
依頼内容を確認しました。吉報をお待ち下さい。

絶凍を発つ船に、我が氷雪を巡らそう
まず氷の船長席を生成し、着席。それを中心に氷の帆船を生成
アイスシップ、浮上!

魔力回路、正常に稼働中。攻撃用砲撃魔法陣、魔力エコー式探知機能、各マスト及び魔力風推進機構、魔力振動式通話機能、全て正常に稼働中
敵ミサイルを濃縮雪弾で迎撃。重量による威力減衰を試みます

いい機会です。本船の攻撃力を試験しましょう
射線上の友軍に退避を要請。本船はこれより、氷槍弾の一斉射撃でミサイルごと敵を掃討します

全魔法陣を前面に展開。魔力回路の正常動作を確認。射撃準備よし
撃てーッ!

(アドリブを歓迎します)


メフィス・フェイスレス
【血反吐】

包囲して袋叩き、ね
じゃ、私もそれに倣わせてもらうわ
その手の戦術って味方が敵より多いから出来る事でしょ?

・【宵闇】で「滑空」し「対空戦闘」、敵を【骨身】で「切断」する形で場面に乱入
・【微塵】を複数「投擲」して「爆撃」「吹き飛ばし」で陣形を乱す「破壊工作」を行い、味方を逃がしつつ自身に引きつける

・UC発動、躰から大量噴出した【飢渇】が飛行形態に変貌し、「集団戦術」で敵に追い縋る。時に船体を直接「捕食」し、時に【尾刃】で搭乗員を叩き落とし、時に【微塵】化自爆特攻で撃墜していく

ならその前提が無くなれば簡単に瓦解するって訳。それどころか…
囲まれて追い詰められる恐怖をアンタ達も味味わえばいいわ


試作機・庚
シューティングゲームの時間だゴルァ!!
というのは冗談で普通に救出に行くデスよ
付かうUCはノーヒットゲームで回避特化型デス
これをキャバリアの【C101-R】を乗った状態で使う予定デス
このキャバリアは一応戦闘機に変形し稼働できるのでドッグファイトメインならこっちを使うデスよ
可能であれば要救助者をキャバリアで確保してそのままカスリ点を稼ぎつつ敵を撃墜
スコアを稼いでいきたいデスよ
完全に遊び目的に思われるかもしれないデスけど一応真面目に救助意思はあるのでちゃんと撃墜していくデス
『きつねさん!後ろの敵を倒してよ!』は無視しない主義デスからね



「では、出撃しましょう」
 チル・スケイル(f27327)は、頭上で繰り広げられる空中戦を仰ぎ見ながら湖畔に立った。
「そうね。あの手の連中をいつまでも調子に乗らせておくのも癪だし」
 メフィス・フェイスレス(f27547)は頷いた。そして、その背に翼を突き出す。骨格がかたちづくる羽を広げて、メフィスは目を細めた。
「よろしく頼みます」
「それから……撃ち落とされた連中が救助を待っているかもしれません。できればそちらも」
「了解デスよ。並行して救出任務も行うということデスね」
 街の人々の声に、試作機・庚(f30104)は頷いてみせた。
 ここに至るまでのオブリビオンとの戦いで、破壊された機体から脱出して島に降りたガンナーたちが数名いるとのことだ。放置していれば、流れ弾やミサイルの余波などに巻き込まれて命を落とす危険も考えられる。
 彼らを救助してほしい、という人々の願いを、庚は承諾した。
「私のマシンなら可能デスね。こちらで進めておくデスよ」
「なら、こっちで敵を引きつけておくわ」
「作戦は了解しました。私も敵を引きつける側に回りましょう」
 一方、チルとメフィスは敵の攻撃の手が救助活動の手を妨げぬよう、敵の攻め手を引きつけつつ迎撃に回る算段を整える。
 話が決まったところで、3人はそれぞれの手段で空へと飛び立つ準備を終えた。

「……絶凍を発つ船に、我が氷雪を巡らそう」
 湖畔である。
 ネージュの浮島には、島の2割ほどを占める大きな湖がある。
 チルはそこの水を利用し、編み上げた術式を通すことで氷塊を作り出していた。
 更にその氷塊へとユーベルコード出力を流し込み、チルは更に氷塊を巨大化させながらかたちを作り上げ、一艘の船を作り上げる。
 かくして完成するのは【氷術・船/アイスシップ】。空に浮かぶ魔法の船である。
「アイスシップ、浮上!」
「……なんだありゃ!」
「ヘンなのが飛んできたぞ!?」
「知らねーっ!おめーら照準向けろ!撃ち落とせーっ!」
 対するオブリビオンたちは、その接近を気取るや否や一斉にその照準を向けたのである。
「来ますか。たしかにこれは目立つでしょうからね」
 術式を流し込み操舵するチルは、空より襲い来る敵群を仰ぐ。
「ですが……易々と沈められはしませんよ」
 作り上げられた氷の船は、外観こそ御伽話の産物だがその中身は氷を媒介として複雑に編み上げられた術式の塊である。メルヘンじみた見た目に似付かわしくなほどに、その戦闘性能は高い。
「魔力回路、正常に稼働中。攻撃用砲撃魔法陣、魔力エコー式探知機能、各マスト及び魔力風推進機構、魔力振動式通話機能、全て正常に稼働中……」
「ブツブツうっせーっ!!」
「死ねーっ!」
 ――ミサイル一斉発射!オブリビオン群のガンシップから、天使核片反応弾ミサイルが次々に打ち出され糸ひくように煙の軌跡を残しながら、チルの氷船へと押し寄せる!
「……迎撃!」
 対し、チルは船上にかたちづくった砲台より術式を放射する。凍結の魔法によって雪弾となった砲が、ミサイル群れを迎え撃つように放たれ、そして空中で激突して爆発した。
「く、っ……」
 止めきれなかった一発のミサイルが雪弾の迎撃をすり抜け、チルの氷船を掠めてゆく。――近距離で炸裂。ダメージには至らぬものの、船体が揺らいだ。
「このまま押し切れっ!」
「囲んで叩いてつぶせー!」
「沈めろー!」
 その様子に沸いたオブリビオン群が調子に乗るように声をあげる!更に数を集め、囲んでチルの氷船を射ち落とすつもりだ!
「包囲して袋叩き、ね――」
 しかし、次の瞬間である。
「ぎゃびっ!?」
「なんだぁ!?」
 突如として、飛行編隊を組むガンシップが一機爆散したのである。
 真っ二つに切断されるように破壊されたガンシップの残骸を躱し、爆煙を切り裂きながら――メフィスがその姿を見せる!
「じゃ、私もそれに倣わせてもらうわ」
「なにぃ!?」
 メフィスの身体で、肉体がぼこりと膨らむように蠢いた。――びしゃりと血を撒きながら、彼女の身体よりそのふくらみが離れる。メフィスの身体を離れた黒い塊は、しかしてたちまちのうちに異形のものへと姿を変えた。
 ――飢渇に喘ぐものども。メフィスの身体から生み出される眷属である。
《ぎゅいぎゅいぎゅいぎゅい》
《ぎぎぎぎぎぎぎ》
《ああああぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶうううう》
 それもひとつやふたつではない。メフィスはその身体から次々に眷属たちを放った。生み出された眷属たちはその躯体に被膜の翼を生み出し、群れ成す蝙蝠めいて蠢きながら広がってゆく。
「な、なんだぁ!?」
「き、気持ち悪~っ!?なんなんだよおまえっ!?」
 オブリビオンたちは目の前に突如出現した空飛ぶ異形の群れに慄きながら悲鳴めいた声をあげる。
「うるさいわね」
 メフィスはそのやかましさに若干眉根を寄せると、手近なところを飛んでいた眷属をひっ掴んで目についたところのガンシップへと投げつけた。
「ぐわっ!?」
 命中。同時に爆発。
 メフィスの意に沿い爆散するタイプへと生体を変異させた眷属が、血糊や骨片を撒き散らしながら爆発し、生体爆弾としての使命を果たしたのだ。
 しかして、たった一体欠けたところで――メフィスの拵えた眷属たちは、既に敵の数を大きく上回る巨大な群れと化し、気付けばオブリビオンたちの戦闘飛行艇群を半ば包囲していた。
「囲んで叩く……えーっと、包囲殲滅っていうんだったわね?その手の戦術って味方が敵より多いから出来る事でしょ?」
《ぎいぎい》
《ぎゅぶぶぶぶ》
《あぶぶぶううううう》
「なら、その前提が無くなれば簡単に瓦解する……、って訳」
 メフィスは指揮者めいて指先を振り下ろす。
 応じるように、眷属たちが甲高い声をあげながらオブリビオンの飛行編隊へと向かって襲い掛かった。
「うわーっ!?」
「なんなんだよ!?俺達がなにしたってゆーんだよぉ!?」
「つくづく自分たちのことを省みれないのえね……まあ、いいわよ」
 メフィスは半ば呆れながらため息を吐き、そして骨格の翼を羽ばたかせた。その手に同じく骨から形成した刃を生やしながら、眷属たちと共に敵群へと仕掛ける!
「囲まれて追い詰められる恐怖を、アンタ達も味味わえばいいわ」

「――お、いましたいました。あれデスね」
 一方。
 浮島の地表付近を、鉄の翼が駆ける。
 C101-R:Residual。変形機構を備えた庚のマシンである。現在は高速形態である戦闘機状のモードで運用中だ。
 出撃前に定めていた方針の通り、庚は他の猟兵たちが敵の目を引きつけている間に撃ち落とされたガンシップ乗りたちの救助活動へと赴いていたのだ。操縦性のモニタには、熱源探知で捉えた生体反応が確認できている。
 庚は機体を素早く繰り、その現場へと急行した。
「こちらは猟兵デス。この島のガンシップ乗りの方々デスね?」
「そうだ!あんた、助けに来てくれたのか!?」
「肯定デス。さあ、さっさと乗ってくださいデス」
「ありがたい、助かった!」
 ガンシップ乗りの男たちは、庚の指示に従ってキャバリアへと収容されていく。
「では、ここから非戦闘区域へ移動……おや」
 ここで庚は安全地帯へと救助者を送り届けるべく移動を開始するが――その瞬間、コクピットモニターがアラートを叫んだ。
「おらおらーっ!」
「おまえもやっつけてやる!」
 飛行編隊を外れていた何機かのガンシップが、庚のキャバリアめがけて突っ込んできたのだ!ギャギャギャギャギャッ!奔る火線!機銃がキャバリアを追う!
「どうやらこっちにも敵が来たようデスね――なら、こちらも迎撃に移りますデスよ。皆さん、シートベルトちゃんとしめてくださいデス」
「アイ・マム!」
 庚はペダルを踏み込みながら操縦桿を押し込んだ。躯体内部の動力炉の出力を一気に増大させ、素早く推進機に火を灯したのだ。機銃の射線から逃れるように、キャバリアが急加速する!
「なにっ!?」
「躱されたあ!?」
「速い!?どんな機動性だよ!?」
「不意打ちだろうと鬼畜弾幕だろうと回避不可だろうと……気合と根性で毎フレーム避け続ければなんとかなるもんデスよ」
 ぎゅお、ッ!急加速したマシンは機首をあげながら天へ昇るように上を向く。尚も追い縋る機銃の7.7ミリ天使片弾頭を躱しながら、オブリビオンたちのガンシップをすり抜けるように庚は機体を飛ばした――そこから急速旋回!高い運動性能を見せつけながら、反転したキャバリアはその照準器の先にオブリビオンたちのガンシップ躯体を捉える!
「『後ろの敵を倒してよ!』は無視しない主義デスからね――落としますデスよ」
 そして、トリガー。砲声とともに放たれた弾丸が、ガンシップ群へと降り注いだ。

「さて――これでどうかしらね?」
「ぎゃーっ!!」
 悲鳴をあげるオブリビオンが、爆発するガンシップを放棄して脱出し空へと落ちてゆく。
 メフィスは既に眷属たちと共に10機以上のガンシップを撃墜していた。
「くそっくそっくそっ!囲め!囲めっ!」
「そいつ逃がすんじゃねーぞ!!絶対ブッ殺してやる!」
「おっと、今度は私が目当てか……」
 しかし、敵の戦力は多い。既に多くのガンシップを落とされて尚、敵の飛行編隊はまだ戦力を残しているのだ。反撃とばかりにガンシップ隊がメフィスを包囲しにかかる。
「……そちら、突破できますか?」
 その最中、チルがメフィスへと魔術による通信を向けた。
「無理やりやればなんとか。出来たら何かある?」
「はい。こちらの火力であれば、そこにいる敵の掃討は可能かと」
「要は巻き込まれないように離脱しろってことね。わかったわよ」
 チルは氷船に織り込んだ術式のうちのいくつかに魔力を通す。船の前方に、魔力の流れが魔法円としてかたちを成しながら展開した。
「では、今から5カウントで発射します。ゼロまでに退避を」
「了解。じゃ、よろしく頼むわね」
 短く言葉を交わしながら、2人は素早く意思疎通した。
 メフィスは敵が射線上に集中するよう、なるべくぎりぎりまで引きつける。チルは確実に墜とすために魔力を練り上げる。
 ――そして、カウントゼロ。その瞬間、メフィスは身体を捻りながら急降下し、射線から外れる。
 気づいた敵群がメフィスを更に追いかけようとしたその瞬間――
「撃てーッ!」
 チルは術式を解放した。
 氷槍へと変換された魔法力が、巨大な出力となってオブリビオンの飛行編隊を飲み込むように放たれる。
「グアーッ凍死!!」
 そして――氷の魔力奔流へと飲まれたガンシップの群は、そのいずれもが機能を停止しアルカディアの空へと落ちていったのである。

「首尾は」
「上々デスよ」
「そうみたいね」
 3人は一旦合流し、状況を報告しあった。
 要救助者の殆どは庚によって非戦闘域へと移され、敵群も一時撃退に成功した。猟兵たちの戦果は上等なものであったといえるだろう。
 ――しかし、である。
「……またエンジン音がするデスよ」
「しぶといわね……。何機いるのかしら」
「もう70機くらいは落とされてるはずですから……ざっと数えて100以上、でしょうか」
 3人が再び仰ぎ見た空に移る敵影の群。――もう第三波か。敵はどれほどの戦力を持ってきているのか。3人は半ば呆れる思いであった。
「とはいえ、黙ってるわけにもいかないデスね。さ、再出撃デスよ。撃墜スコアを稼ぐデス」
 かくして、3人は再び迎撃へと向かう。
 未だ底の見えぬ敵の物量であったが、戦況はこちらが押している――決着までの時間は、そう遠くはないはずだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

ほうほう、新技の試験に丁度よさそうですなぁ。ねぇ、螟ァ逾馴ェク鬲?(召喚術、式神使い)
『        』
背中合わせに立つ螟ァ逾馴ェク鬲の言葉が聞こえないけどまぁいいや。
結界術で創った足場で空中機動、1100本からなるヤマラージャ・アイビーでバッドスクワイア・スクワッド達の撃破を狙いましょうか。
前情報では30機以上って話だし、1100本もあれば流石にこっちのが数は上でしょ?
敵からの攻撃は多重詠唱結界術で位相をずらしてすり抜けるわ♪私とあなた達では位相が違うの、ごめんあそばせ♡仮に被弾しても高い継戦能力で即座にリポップできるし問題なし♪
一匹は味見し文字数



「ほうほーう……なるほど?」
 アリス・セカンドカラー(f05202)は浮島から天を仰ぐ。
「オラオラーッ!」
「ブッ殺してやらー!」
 見上げた青空を駆け抜けるのは、気炎を吐きながらガンシップを乗り回し、そして殺気と敵意をぶちまけるオブリビオンの飛行編隊である。機銃から放たれた7.7ミリ天使片弾頭の雨がアリスの右30センチの位置に弾痕を穿って走っていった。
「まあ、なんだかずいぶんたくさんいるみたいだけど……それなら、新技の試験に丁度よさそうですなぁ」
 飛行機雲を残して頭上を抜けていったガンシップ隊を見送り、アリスは呑気に呟いた。
 その手の中にはひと振りの短刀を握る。
「ねぇ、螟ァ逾馴ェク鬲?」
『       』
 ――語り掛けるアリスの背中で空間が揺らぎ、おぼろげな人影がたたずむ。
 和服の少女――にも見えるその影法師は、ゆら、と笑うように揺れて、それからなにごとかと呟いた。
『       』
「……んー、やっぱりむずかしいわね。なに言ってるかぜんぜんわかんないけど……まぁいいや」
 そのなにごとかを聞き取ろうとすることをアリスはすっぱりと諦め、それから再び青空を仰ぐ。
「じゃ、いきましょうか♡」
 アリスは術式を繰る。
 彼女の用いる技術の本質は空間支配と改変だ。その結界術を応用すれば、空中に足場を創造することで疑似的な空中機動を行う程度は造作もない。
 アリスは浮島の地面を蹴って飛び立ち、そして虚空に生成した足場を踏んで再びジャンプ。その身体を宙へと押し上げてゆく。
「……なんだぁ!?」
「どうやって飛んでんだこいつ!?」
「企業機密よ♡」
 しかしてその姿は知識をもたぬ者たちにとっては謎の技術による飛行である。突如空中に現れたアリスの姿にオブリビオンたちが戸惑いを見せる。
「ビビってんじゃねーバカ!敵だ敵!囲んで撃ち殺してやれ!」
「い、いえーっ!」
 だが、すぐに立て直す!とにかくやっつければいい。シンプルな思考は時に身を助ける。飛行編隊はアリスを撃滅すべき包囲陣形を取り始めた!
「ころせっ!」
「ふふ――」
 ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!アリスを包囲したオブリビオンのガンシップ部隊が一斉に機銃を撃ち放つ!7.7ミリ天使片弾頭がアリスへと押し寄せた!
 ――しかし!
「私とあなた達では位相が違うの――ごめんあそばせ♡」
「なんだァ!?」
 弾丸は、アリスをすり抜ける。
 結界術とはすなわち、別の空間――いわばひとつの異界を作り出す技術と言い換えてもいい。
 今のアリスはこのブルーアルカディアの世界に自らの像を置きながらも、その本体は裏側に作り上げた異界の中に在った。
 テレビモニタを叩き割ってもそこに映るものにはなんら影響が起きないのと同じように、いまオブリビオンたちに見えているアリスの姿に兄をしたところで、ダメージを与えることは不可能なのだ。
「なにが……何がどうなって……ッ!?」
 オブリビオンたちは恐怖した。完全に未知の領域であるアリスは、彼らにとってはもはやオバケや妖怪の類と同様のおそろしいものであった。
 アリスはその怯えを敏感に感じ取り、愉しげに口の端を歪めながら次なる手を打つ。
「そぉれ♡」
「!?」
 その瞬間、その空域を飛んでいたオブリビオンのガンシップの約半数が機能を停止した。
【模倣結界術式刀「生と死を繋ぐもの」】。かつて存在したオブリビオンフォーミュラが手にしていた武具と、それを用いたユーベルコードを模倣した術である。
 これによって作り出された贋作刀は――およそ1000振。突如空間に出現したそれらが、一斉に飛行編隊のガンシップを襲ったのだ。
 その一瞬で致命的な部位を破壊されたのが約半数。それらが一斉にエンジンを停止し、爆発する。
「わーっ!」
 編隊はすでに半ば瓦解していた。
「ふふ♡」
 ――ここで、アリスは笑みを深める。
 アリスは爆発するガンシップから脱出するオブリビオンの一体のもとへ素早く跳びかかると、その首根っこを掴んで捕えたのだ。
「えっ何」
「大丈夫よ♡ わるいようにはしないから♡」
 ここまで敢えて説明を避けていたが、あらためて言及しよう。
 アリス・セカンドカラーは吸精鬼めいた生命である。身もふたもない言い方をすればえっちな猟兵であった。
 そして他者からエナジーを吸うことは彼女にとって趣味の一つであり、当然ながらオブリビオンもそのターゲットである。
 特に見た目女子にしか見えない男子――男の娘に目がない倒錯的な趣味も抱えていた。
「あなた、よく見ると割とカワイイわね♡ ツリ目で小生意気そうなところとか♡ きっと似合うわ♡」
「なんだよ……オマエ、オレになにするつもり――」
 飛行編隊を撃滅されもはや為すすべないオブリビオンへと襲い掛かるのは飛行変態である。もはや彼に逃げ延びる手段は存在せず、あとはもはや墜ちてゆくだけだ。
「んー……イイコト♡」
「アアーッ!!!」
 悲鳴。――同時に、アリスと彼女に捕らえられたオブリビオンの姿が吸い込まれるように掻き消えた。
 そして――ここから先は年齢制限が必要な描写である。この描写を許すことは全年齢向けコンテンツの平和を乱すこととなるため、ここで筆を置くことをお許しいただきたい。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳴上・冬季
「ふむ、まとめて鏖殺の依頼ですか。ならば私はここで陣でも描いていましょう。暫くは他の猟兵だけで間に合うでしょう」
「それでは黄巾力士、ラルクをここまで連れてきなさい」
飛行しながら30機のスカイシップを取り込めるような八卦天雷陣を仙術で空中に描きラルクから見て陣の向こう外側で待つ
黄巾力士に空中戦と空中機動を駆使させてオーラ防御でラルク機庇わせつつ金磚の制圧射撃で敵を引き付けラルクと敵を陣まで誘導
ラルクと黄巾力士が陣を抜けた瞬間にUC使用
陽の颶風で陣内の敵に極大ダメージ与え撃墜する

「下準備に時間が掛かる術ですが、皆さんとラルクさんの腕を信用しておりましたので。終わり良ければ全て良し、ですよ」


ミスト・ペルメオス
・SPD

愛機たる機械鎧を駆って参戦。
ヘルム等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
空中戦も得意とするところ。スラスターを駆使して飛翔し、積極的に射撃戦を仕掛けていく。

三次元的な戦闘機動を行いながら敵ガンシップ部隊に取りつき、対空砲火を引き付ける。
宇宙戦艦とガンシップ部隊、違いはあれど対空砲火を凌ぐのは慣れている。
凌ぎながらも攻撃を仕掛けていく。ビームアサルトライフル、ヘルファイアデバイス、セット。
エネルギー弾の連射と圧縮エネルギー散弾の投射。灼熱の閃光で空と敵部隊を焼き焦がし、喰い破るかのように。
敵の数を減らし、隊形を崩し、片っ端から撃ち落とす。
【“黒い鳥”】が全てを焼き尽くす……!


蝶ヶ崎・羊
『屍人帝国の行いを止める為にガンシップが必要なのです。お貸しできませんか?』
お借りできれば【運転】して向かいます(環境耐性、空中起動使用)
『大丈夫ですか?ラルクさん。助けに来ましたよ。』
『…さて、おいたはそこまでですよ。』
風の【属性攻撃】で複数の敵を【なぎ払い】、陣形を崩します
陣形が崩れる前に各個撃破に移りUCでしっかりと打ち落とします

『囲まれるのなら一部を崩す…立て直す前に撃ち落とせば戦力は落ちる…団体戦のデメリットですねぇ?』

敵の攻撃は風の【属性攻撃】で風の壁を作って防御
その衝撃を利用して距離を詰めて【全力魔法】



「ああああああッ!」
 ダダダダダダッ!機銃が吼え、奔る火線が交錯する!
 蒼穹を舞う鉄の翼が鉛の炎を吐きながら、追跡と交差を繰り返す。その度に交わる炎が、甲高い音と共に火花を散らした。
 ――ここまできてなお尽きぬ戦力を投入するオブリビオンの軍団が、未だにラルクのガンシップを追い、機銃戦を繰り広げているのである。
 ネージュの街のガンナーで未だ戦場に残る最後の一人であるラルク少年は、既に長く続く戦いの中で疲弊しかけていたが――それでも、気力を絞って飛び続けていた。

「なるほど。随分奮闘しているようですね」
「ええ。オブリビオン相手によく頑張っていらっしゃいます」
 鳴上・冬季(f32734)と蝶ヶ崎・羊(f01975)は、空を仰いで頷きあった。
「しかし……いつまでもはもたないでしょうね。敵の数が多すぎる」
「はい。こちらも急がなくては――機体の準備はいかがですか」
 ここで羊が振り返り、ネージュの技術者たちへと尋ねる。
 ――彼らが居るのは、浮島の中に作られた街ネージュの工業区画。その中でも多くのガンシップを待機させている、格納庫であった。
 羊はマシンを借り受けるためにここを訪れ、冬季はその途上で行き会ったのだ。
「ああ、もうばっちりだ。いつでも飛べるぜ」
 格納庫にいた技術者の男が、羊へと声をかける。男が示した先には一台のガンシップ。7.7ミリ口径機銃を2門備えたオーソドックスなタイプだ。
「ありがとうございます。では……お借りします」
 羊は技術者の男と頷きあい、そしてマシンのコクピットへと飛び込んだ。
「そちらはどうされますか?」
「私は黄巾力士を出します。ラルクといいましたか。彼の救出が現時点での優先事項でしょう」
 羊が尋ねるそばで、冬季は顎で格納庫の奥を示す。
 がしゃ、ん――。響く駆動音と重い足音。そこに姿を見せたのは、冬季の保有する人型戦車、『黄巾力士』であった。
「ラルクさんの救出が急務というのはワタシも同感です」
「なら、目的は同じというわけでしょう。私の黄巾力士をつけます。彼を援護しながら誘導し、戦闘空域の中心からなるべく離してください」
「なにか作戦が?」
「ええ。任せてください」
 そして冬季は頷いた。
 
 ――一方。
「はあ……ッ!」
 ラルクの消耗はピークに達していた。
 戦闘飛行時間は現段階で既に1時間を超過している。僅か一瞬でも気を抜けば命すら落としかねない極限状況の中、彼は疲弊しつつあったのだ。
「いひひっ!反応が鈍いぜっ!」
「よーっし、いま楽にしてやるぞっ!」
 悪辣にも敵集団はそれを見逃すことなく、今度こそ撃墜の好機とばかりにラルクのガンシップへと押し寄せる!
「――遅い」
 しかし、その時であった!
「ギャッ!?」
 ラルクのガンシップへと迫る敵の戦闘飛空艇を遮るように、閃いたのは赤い光――レーザー熱線兵器!貫かれたオブリビオンのガンシップが爆発し、パイロットが慌ててパラシュートで飛び降りる。
「なんだよ!?今度はなにもんだ!?」
 更に次の瞬間――彼らの真上を駆け抜けたのは、黒く輝く漆黒の機体。
 すなわち、ミスト・ペルメオス(f05377)の鎧装、ブラックバードである。
 舞うようにブラックバードの躯体を回転させ、ミストは同時に携行火器を引き抜いた。ヘルファイア・デバイス。圧縮エネルギー散弾を撃ち出す中近距離射撃戦用のビームショットガンである。ミストは更に引き金を引き、また一機敵のガンシップを撃墜した。
 続けざま、ミストは操縦席のパネルを叩いて通信器の周波数を合わせて無線を開く。
『こちらブラックバード。これより貴君の援護に入ります』
「りょ……了解!助力に感謝する!」
 聞こえた声にラルクは慌ただしく叫び返す。
「……なめんなーっ!」
「たかだか巨人が一体増えたくらいで、俺らがビビるかよ!」
 だが、敵集団はますますもっていきり立つ!――完全に囲んでいた筈だ。勝っていた筈だ。それがどうしてこんな状況にひっくり返されたのか。オブリビオンたちは怒りに拳を震わせる。
「かくなる上は……いくぞオメーら!囲んでブッ潰せ!」
「おおーっ!」
 逆上する敵集団は、再び鬨の声をあげながらラルクとブラックバードを包囲すべくガンシップを加速させる!
「……」
 ミストは視線を巡らせ、ブラックバードの視覚センサ越しに周囲の様子を伺った。
『(まずは、包囲の薄い場所を見つけてそこからこの状況を抜けないと――)』
 ミストは包囲陣形の中から、突破するに適した敵の少ないポイントを探った。彼ひとりであればこの程度の包囲、突破するのは容易いことだっただろう。だが今はラルクがいる。彼を連れてでも脱出できる可能性がもっとも大きいポイントを探さなくてはならない――
 ――ミストがそのように考えを巡らせた、その時である。
《命令を受諾。突入します》
「グアーッなんだぁ!?」
 轟音、爆発!硬質な機械の腕が包囲陣形を組むオブリビオンの飛行編隊の陣形に切り込んだのである。
 その機体こそ冬季の黄巾力士。飛び込んだ鉄の躯体が、敵の包囲網を崩し、穴をあけたのだ!
「大丈夫ですか、ラルクさん」
 そして、慄く敵の合間をすり抜けて一機のガンシップがラルクのもとへと飛んでゆく。――羊である。黄巾力士とともに戦闘空域に到達した羊は、先に冬季と共にたてた作戦を進めるべくラルクのもとを目指してきたのである。
「ああ……ありがとう。なんとか……かな」
「ですがだいぶお疲れのようですね。……安心してください。ワタシたちはあなたを助けに来たのです」
 ラルクへと話しながら、羊はちらと戦場を振り仰いだ。
 ブラックバードと黄巾力士が状況へ介入したことにより、敵集団はパニックに陥りつつある状況であった。包囲陣形も崩れつつある。ラルクを連れてここを逃れるなら、いまが好機だろう。
「一旦ここを逃れましょう。ワタシたちがあなたを援護しながら誘導します。ついてきてください。そちらも、それで構いませんね?」
 羊は通信機越しにブラックバードへと問いかけた。
『こちらブラックバード。友軍機を一時退避させるということですね。了解しました。私も協力します』
 ミストは通信機へと返答を返しつつ、機体を反転させた。続けざまに引き金を引き、手にしたビームアサルトライフルから閃光を迸らせる。
「ギャッ!」
「あっぶねえ!」
 それは狙いすら付けぬ牽制射撃であったが、ワールド間の技術差は時として見せつけるだけでも効果を発揮する。その上、つい先ほどあの光に貫かれたマシンが爆発するのを目の当たりにしたばかりだ。オブリビオンたちにとってほとんど未知である光学兵器の登場に、敵群は慄いていた。
「では、道を開けていただきます」
 だが、そこへ間髪入れず追撃が入る!
 ブラックバードが火器による牽制射を行っていた一方で、羊もまたその手の中で術式を練り上げていたのだ。
 そして――解放する。
 手の中に圧縮された術式は解放と同時に羊を中心とした半径数十メートルの空間に吹き荒れた。ここに編み上げられていたのは、風の魔法である。
 そこに生み出されたのは限定的な空間内で局地的に引き起こされた乱気流である。暴れ回る風圧を浴びせられ、オブリビオンたちの飛行編隊は更にその陣形を乱された。
《――皆さん。こちらの準備も整いました。こちらまで退避をお願いします》
 黄巾力士に搭載されたスピーカーを通して、冬季の声が届いたのはその時であった。
 風火輪によって戦闘空域へと上った冬季は、ラルクの救助を黄巾力士と羊に任せ、彼自身は敵を一網打尽にするための術式構築を進めていたのだ。
 冬季が仙術を用いて描き出していたのは、彼の知る術の中でも最大級の威力をもつ極大術式・【八卦天雷陣・万象落魂】の陣である。
「わかりました。すぐそちらへ向かいます。いいですね、ラルクさん」
「了解」
『私が殿を務めます。速やかに移動しましょう』
 冬季の促す声に従って、3人は素早くそれぞれの機体を走らせた。
 離脱に気づいた敵のガンシップが彼らに追い縋ろうとするも、ブラックバードが適宜牽制射撃を行い、その動きを抑制する。
 そうしておよそ20秒後――3人は冬季の指定したエリアへと到達することになる。
「離脱しましたか。手筈通りですね――では、打ち上げと参りましょう」
 そうして3人が戦闘空域を離脱した――その瞬間である。
「いざ――万象流転し、虚無に至れ!」
 冬季はその指先から電光を走らせた。その雷は、彼が戦域へと描き出していた天雷陣へと届き、そして爆ぜる。
 ひとつの陣が起動したのを皮切りに、戦場へと仕込ませていた無数の術式陣が連鎖的に次々と連続起動してゆく。
 そうして、陣によって囲まれた戦闘空域の内部に生じるのは、先に羊が作り出した風の魔術をも超える大嵐だ。凄まじい風速でもって、極大の颶風が戦場に吹き荒れる。
「――!」
「……! ……!」
 激しく吼える風の音に交じり、オブリビオンたちの悲鳴が聞こえた。時折、ガンシップの残骸と思しき破片が吐き出されるように落ちてゆく。
 やがて、術式の効力が切れて風がおさまる頃――そこにはもはや、敵群は跡形もなく消え去っていた。
「すごい……これが猟兵。噂には聞いていたけど」
 はじめて目の当たりにした猟兵たちのユーベルコードの威力に、ラルクが驚嘆する。
「僕にももっと……あなたたちみたいな力があれば」
「いえ、我々がここに間に合ったのはラルクさん、あなたがここを守ってくださっていたからです」
 あなたは十分に頑張っていた。羊はガンシップのコクピットから、ラルクに向けて微笑みかけた。
「さて、これで鏖殺……終わり良ければ全て良し、といったところでしょうかね」
『……いえ、どうやらまだのようです。皆さん、6時の方向……複数の熱源体の接近を捉えました。恐らく、敵の増援です』
 ここで、ミストは鋭く警告を投げかける。ブラックバードの備えた広域レーダーが新たな敵の接近を感知したのだ。
「ふむ。だいぶ落としたと思っていたのですが……随分とまあ、しぶといようですね」
『こちらは余力を残しているので、先行して迎撃に移ります。皆さんは先に補給と休憩を済ませてきてください』
 ミストはブラックバードの操縦桿を押し込み、機体を加速させた。推進剤の燃える軌跡を残して、ブラックバードが新たな敵を迎え撃つべく飛び立ってゆく。
「わかりました、こちらも準備ができたらすぐ向かいます」
 その姿を見送って、3人は一度ネージュの街へと帰投するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

チェルノ・アマキリ
猟兵として、この蒼穹世界の外に出る前に、愛機ドゥームズ・デイの整備を頼みたかったのだけれど……
なんだか大変なことになっているわね

頭の悪そうな子供とはいえ、数は驚異ね
分断しましょう

機体に取り付けたディザスター・トランペットⅢから、UCの音色を響かせる
空を飛ぶのに必要なモノは、墜ちればトマトがケチャップになるように潰れ死ぬという『恐怖』を乗り越える『勇気』
その勇気を絶望の音色に塗り潰されて、まともなドッグファイトができるかしら?
……まあ、アタシは機体が墜ちても翼があるから、翔ぶのにそんなに勇気はいらないのだけど

敵集団の動きが崩れて来たら【空中起動】で上を取り、召喚砲からの汚染【呪殺弾】の連射を放つ


ティオレンシア・シーディア
あらあら、中々気合入ったのが頑張ってるわねぇ。

〇空中戦・空対空戦闘ならあたしもそれなりに心得あるわぁ。ミッドナイトレースでテイクオフ、一気に●轢殺の○騎乗突撃で切り込みかけましょ。
乗騎を落とせばいいんだし、摩利支天印(雷撃)とかパルスグレネードとかを中心に組み立てたほうがいいかしらぁ?
そのミサイル、照準合わせる必要があるみたいだけれど…ラグ(幻影)と摩利支天印(陽炎)でずらされた認識で、まともに当たるのかしらぁ?まあ、流れ弾やまぐれ当たり怖いしエオロー(結界)で〇オーラ防御も展開はしておくけれど。

ふふ、やっぱり愉しいわねぇ。勝ちを確信した連中に横殴りかけて目算崩すのって。



「整備を頼みたかったのだけれど……」
 チェルノ・アマキリ(f34095)は困ったように眉根を下げた。
 彼女はブルーアルカディアの住人であり、猟兵としての活動をこれから始めるビギナーである。
 チェルノはこれから猟兵としてオブリビオンたちと多くの世界の平和をかけた戦いに挑むことになる。
 ――それにあたって、彼女は技術者たちが集まることで有名なこのネージュの街へと、愛機ドゥームズ・デイの機体整備を依頼するために訪れていたのである。
「悪いな嬢ちゃん、今緊急事態なもんでよ……」
「ええ、見ればわかるわ。なんだか大変なことになっているわね」
 頭を下げる整備士に頷き返し、チェルノは空を仰ぎ見た。
「ウオオオーーッ!」
「ぶっころーーす!」
 空に響き渡るのは、乱暴なエンジン音とワルガキどもの騒ぐ声。
「いい加減……諦めなよ、ッ!!」
 そしてチェルノが視線をやった先には、敵の飛行編隊相手に空中戦を繰り広げるネージュのガンシップの機影が見えた。
「あらあら、中々気合入ったのが頑張ってるわねぇ」
 その時である。
 チェルノの隣に一人の女が立った。
 ティオレンシア・シーディア(f04145)である。彼女はチェルノとは対照的に、既に多くの修羅場を潜り抜けて来た歴戦の猟兵だ。
「そうね。なかなかの腕みたい」
「とはいえ、このまま見物してたらその内落とされるでしょうねぇ」
 ティオレンシアはちらと横目でチェルノを見た。
「まあ……相手は頭の悪そうな子供、って感じだけど。とはいえ、数は脅威ね」
「じゃ、手を貸しにいくとしましょう。あなたも猟兵でしょぉ?」
「えーっと……ただしく言えば、『これから猟兵になる』わ」
 チェルノは頷きながら、横に停めた愛機ドゥームズ・デイの躯体を見る。
「あらぁ。そうなのねぇ……それなら、一緒に行きましょうか。引率してあげるわぁ」
「引率付きでデビュー戦?……んー……まあいいわ。なら、ありがたくエスコートしてもらいましょうか」
 チェルノは眉根に僅か皺を寄せながら頷いた。それから、ドゥームズ・デイの操縦席へと飛び乗って、機体の動力炉を始動させる。
「えぇ。よろしく頼むわねぇ」
 同時にティオレンシアはマシンのシートへ腰を下ろす。ミッドナイトレース。空中戦闘に対応したバイクタイプのマシンである。
「それじゃ」
「発進」
 かくして2台のマシンは浮島の地より蒼穹へと飛び出した。

「――チクショー!絶対ブッ殺す!」
「このままじゃシレーカンに叱られっからな!」
「追え追え!殺せー!」
 ガンシップを駆るオブリビオンたちが、乱暴に喚き散らしながら空を駆け巡る。
 逆上。操縦席の風防越しに見える彼らの表情には怒りと焦燥の色が見て取れた。
「さて、どう攻める?」
 半ば面白がるように、ティオレンシアはチェルノへと尋ねた。
「まず、アタシがテを打つわ。こいつを使ってね」
 チェルノは機体へと搭載した召喚砲を指し示す。
「で、うまくいけば敵は総崩れになるから、そこを撃ち落としていくってわけ」
「なるほどねぇ。じゃ、やってみてちょうだい。あたしが後詰めにまわるわぁ」
「オッケー。フォローお願いするわね、先輩」
 チェルノは言葉を終えると機体を操り、加速させながら上昇した。敵の飛行編隊の上を取ったかたちだ。
「それじゃ……鳴らしてやりましょうか!」
 チェルノはそこから戦闘空域に展開した敵群を見下ろし、召喚砲に仕込んだ喇叭の音色を吹き鳴らした。
 【終ワリノ空デ喇叭ヲ吹ク者/トランペッター】――。
 チェルノ・アマキリは召喚獣である。
 彼女の種族は――『トランぺッター』。それは世界の終末に現れ災厄の運び手としてトランペットを吹き鳴らす、と言われる上位精霊の一種だとも言われる。
 ここに展開されたのは、トランぺッターという召喚獣としての権能のひとつだ。
 吹き鳴らされる音色は、あまねく生命に『終末』を想起させる。――それが与えるものは、『恐怖』の感情である。
「……!?」
「な、んだ……?」
 終末。生命としての終わり。存在としての消失。チェルノの鳴らす喇叭の音を浴び、オブリビオンの群は一斉にざわめいた。
 空を飛ぶという行為には、勇気がいる。
 今時分を乗せているこの飛空艇が突然機能を停止したら。破壊されたら。その先は――浮島の地面に激突して潰れるか、アルカディアの雲の中へと落ちて骸の海に還るかのどちらかだ。
 空を飛ぶ者たちは、常にそうした恐怖を克服して戦っている。
 しかし、その恐怖が理性や感情で抑えきれないほどに膨れ上がってしまったら――。
「さて――恐怖に塗り潰された心で、まともなドッグファイトができるかしら?」
 チェルノは敵群の機影を見下ろしながら、酷薄な笑みを浮かべた。

「ひ――ッ」
 ガンシップを操るオブリビオンたちの指先が震え出す。チェルノの介入によって呼び起こされた恐怖心が、彼らの心を縛っているのだ。
「いい仕事ねぇ。これならこっちもやりやすいわぁ」
 そして、ティオレンシアは敵のガンシップ隊の動きが鈍るのを見逃さなかった。ティオレンシアは素早く判断を働かせ、ミッドナイトレースを加速させる。
 切り込むように敵群の中へとティオレンシアは飛び込んだ。
「うわ……ッ!」
「なんだァ!?」
「く、来るなっ!」
 恐慌状態に陥ったオブリビオンの群れは、急速で接近するティオレンシアへと明らかに怯えた反応を見せた。慌ただしく照準もつけずにトリガーを引き、天使核片反応弾頭ミサイルを一斉に発射する。
「あらぁ――そんなんじゃ当たるものも当たらないわよぉ?」
 無論、その程度の攻撃に当たるティオレンシアではない。ティオレンシアは巧みに機体を操り、目視から計った弾道を外れる機動をとって回避する。
 そしてティオレンシアは再びミッドナイトレースの機体を加速させると、敵群へと突っ込んだ。
「うわ――」
「はぁい、ちょっと失礼するわねぇ」
 ティオレンシアは敵群の中を駆け抜ける――そして、通過の瞬間に、彼女はポーチから引き抜いたグレネードを投げ放った。
「あ――」
 即時爆発。炸裂する爆風に巻き込まれて、オブリビオンのガンシップが砕け散る。
「ごめんなさいねぇ?こっちも仕事なのよぉ」
 続けてもう一つ。更にもう一つ。ティオレンシアはオブリビオンの飛行編隊の間を飛びまわりながら、更にグレネードを投げ込んだ。
「グアーッ撃墜!!」
「グアーッ爆発!!」
「グアーッ脱出!!」
 そこかしこで炸裂する爆風に巻き込まれて、オブリビオンたちが悲鳴をあげながら撃墜されてゆく。

 ――かくして。
「これであらかた潰したかしらぁ?」
「相当やっつけたし、これ以上の増援なんかは流石にこないと思いたいけど……」
 猟兵たちの活躍によって、ネージュの浮島を襲ったオブリビオンの軍勢はその殆どが撃墜されていた。
 もはやネージュの周辺には、敵飛行編隊のものと思われるガンシップの機影は一機たりとも存在していない。ほぼ全滅したといっていいだろう。
「……なら、この流れなら司令官だか親玉だかの登場ねぇ?」
「そうね。このありさまならすぐに飛んでくるだろうし……迎撃の備え、しておこうか」
 しかして、猟兵たちは油断することなく敵の指揮官の襲来を予期して備えを取る。
 そうして見上げた青空の向こうに――猟兵たちは、これまでのガンシップ軍団のオブリビオンよりもより強く色濃いユーベルコードの気配を感じ取った。
 戦いはこれより、敵指揮官との戦闘へと移行するのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『騎士道を捨てた略奪騎士』

POW   :    アーマー・クラッシャー
【左手の剣による強烈な水平斬りを放って】から【右手の剣による急所を狙った振り下ろし】を放ち、【装甲を砕く頑丈な双剣の重たい斬撃】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ミサイル・テンペスト
【目標を追尾するマイクロミサイル】が命中した対象に対し、高威力高命中の【時間差で放った大量のミサイルでの飽和攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    フェイタリティ・コンボ
【マイクロミサイルで陽動攻撃を行う事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【死角から高速で突撃し両手の双剣】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はグレゴワール・ロジェです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 渦巻く風。吼える天使核動力エンジンの音。
 雲間を裂いて、鎧の男が飛来する。
「……役立たずどもめ。この程度の仕事ひとつこなせんとは!」
 略奪騎士。
 ある屍人帝国に所属する指揮官級オブリビオンであり、此度のネージュ襲撃を企てた首魁である。
 派遣した戦闘飛空艇部隊が成果を出せぬことにとうとう業を煮やし、自ら攻撃に乗り出したのである。
「あれは……!」
 ラルクはガンシップの操縦席から、ターゲットサイト越しに敵の姿を捉えた。
「ネージュのガンナーか。……まずは貴様から撃ち落とす!その翼をへし折り、残骸を雲海へとぶち撒けて骸の海に沈めてくれるッ!」
「や、らせるかあああああッ!」
 略奪騎士はアーマーに装備されたミサイルコンテナを開き、搭載した追尾式天使核片反応弾ミサイル群を撃ち出した。ラルクは機体を加速させ、追い縋るミサイル群を引き離しにかかる。
「甘いわッ!」
「く、ッ!」
 略奪騎士は背負ったロケットの出力を引き上げて加速し、ラルクのガンシップへと間合いを詰めながら手にした剣を薙ぎ払う。躯体を捉えた!叩き込まれた衝撃にラルクのガンシップが揺らぐ!
「貴様を落とし、猟兵どもを抹殺し、そしてこの浮島を我らが帝国の領土とするッ!」
 そして、略奪騎士は叫んだ。

 その戦闘力とユーベルコード出力は、ここまで猟兵たちが戦っていた戦闘飛空艇部隊の比ではない。
 だが――これを打ち破らなくてはネージュの島の平和は奪われ、人々は踏み躙られてしまう。

 抗わなくては、ならない。
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

私のことは親しみを込めてアリス院さんと呼ぶように。
さて、こいつが指揮官か。ま、どうとでもなるわね。
手に持つは結界術を武器改造して形成した刀。
武器を振るう腕の間合い、胴を入れる腰の間合い、踏み込む足の間合い、走り込む歩の間合い、そのすべてが私の剣戟結界の内。
体感時間が引き伸ばされる程の集中力で最大のパフォーマンスを発揮する神憑りの秘技で先読みし、相手の行動の悉くを略奪し蹂躙してあげるわ。
必要なテクは想像から創造できるしね、まぁ、漫画とかアニメのキャラを元にするのはご愛嬌ということで。

なぁに?私だって気が乗らない時はシリアスの真似事ぐらいはできるわよ。


馬県・義透
引き続き『侵す者』にて

さて、あやつを叩かねばなるまい。
すまぬ霹靂、少し無茶をするが…うむ。
どうしても、お互いに近づく必要があるのよなぁ。

水平斬りは第六感で見切る。
さすがに急所狙いは結界術とこの黒燭炎で弾く必要があるか。
装甲を砕くほど。さすがに痺れるが…お主、気づいておらぬな?
たしかにわしも霹靂も動けぬよ。だがの、ただ一つ見落としがある。

出番である、陰海月。
さて、陰海月の間合い…避けられるかの?


影に待機してた陰海月、UCつきでアッパーカットの要領で下から急襲。
空中浮遊できるので、落ちない。ぷきゅ。
霹靂、陰海月の潜みは知っていたので、動じない。



「落ちろッ!」
「くッ……やられる!」
 逃れるガンシップと、追い縋る侵略騎士。速度は同等か。しかし、侵略騎士の背負うロケットモジュールの性能は脅威的だ。
 飛行艇は基本的に機体後部やウイング部分などに装着した推進機からエネルギーを噴射する力で機体を加速させる仕組みになっており、その構造上、まっすぐ前に進むようにできている。方向転換をするためには、機体のバランスを取って上手く旋回することが必要だ。
 対して、ロケットモジュールを装備した侵略騎士は最高速度や直線での加速力において飛行艇に劣る反面、四肢を動かす反動や身体を捻ることで推力方向を巧みに変えることができる。飛空艇の行うそれよりも非常に素早く巧みなターンが可能だ。それは即ち、ガンシップの機動よりも小回りが効く、ということである。
 これは空中戦闘における大きなアドバンテージだ。そのため、装備するガジェットの性能が同等であれば、飛空艇とロケットナイトの一騎討ちは、7:3でロケットナイトが優位にあるというのが通説である。
 であるが故に、ラルクは勝てない。
 仮に。彼が猟兵であれば――ユーベルコードという呪わしき加護を用いる戦鬼であれば、その力に於いて敵を下すことができたのであろうが。
 彼はそうではない。
 であるが故に、彼は勝てない。――そうして彼が死を覚悟した、そのときである。
「それはだめよ」
 ギャン、ッ!――硬質な激突音。振りかざされる刃一閃!跳ね上がる刀身が、ラルクのガンシップを狙う略奪騎士の剣を弾いたのである。
 そこに佇む姿は――アリス・セカンドカラー(f05202)であった。
「むう、ッ!」
 刃を弾かれた略奪騎士はロケットブースターで姿勢を制御しながら態勢を立て直し、そして向き直った。
「すみません、助かりました。ええっと――」
「私のことは親しみを込めてアリス院さんと呼ぶように」
「えっ?あっ、はい、アリス院さん……」
 本気とも冗談ともつかない語り口に、ラルクは思わず素直に頷いた。
「素直でよろしい」
「何を和気藹々とッ!!」
 ――そこに邪魔をしにかかったのは、当然のごとく略奪騎士の刃である!
「っと!」
 アリスはここで咄嗟にラルクのガンシップを蹴った。ラルクの機体は蹴り足の衝撃で吹き飛び、アリスはその反動で逆方向へ飛ぶ。結果、そうして2人が離れたことでそこを狙った略奪騎士の刃が空を切った。
「ラルク!あなたはそのまま離れてなさい!こいつはわたしが相手をするわ!」
「賢しい女がッ!!貴様のような何処のものとも知れぬ馬の骨がこの俺に勝てるものかッ!」
 追撃!略奪騎士は再びアリスへと間合いを詰めながらその手に携えた刃を振るう!
「あらまあ――さすがに指揮官ね」
 しかして、アリスは素早く身を躱す。彼女の空中戦闘は、結界術の応用によって作り出した力場によって足場を作り出すことで疑似的な空中機動を行うものだ。足場から足場へ飛び移り、ときに自由落下を交えることでアリスは推力や揚力に依存しない不規則な軌道での機動を可能とし、振るう刃を届かせない。
「ま……でも、これならどうとでもなるわね」
「貴様ッ!『どうとでも』だと!略奪騎士たるこの俺を……この俺を愚弄するつもりか!!」
 躱すアリスと追い縋る略奪騎士。奇しくも追い追われる戦闘飛空艇同士のドッグファイトめいた戦いが繰り広げられた。
 数多の戦場を渡り歩いてきたアリスは、猟兵の中でも上位に君臨する実力者だ。戦いの中で磨かれた感覚と、身に宿すユーベルコード出力は桁外れに強力なものである。
 しかし――このブルーアルカディアの空は、略奪騎士にとってのホームグラウンドである。それがアリスのもつそれに匹敵する戦闘出力を発揮させているのだ!
「おおおおっ!」
「……っ、押し込んできたわね」
 膂力ッ!力任せに振り下ろした略奪騎士の刃が、アリスの身体を押し込んだ!圧力に後退を余儀なくされたアリスへと、略奪騎士が振り上げた刃で追撃にかかる!
「このまま切り捨てる、ッ!」
 ――しかし、その時!
「いいや、そうはいかぬ!」
 ばさ、っ――羽撃きの音と共に、風を切って炎が奔った!振り抜かれた刃が、略奪騎士の剣を押し止め、そしてその剣筋を弾く!
「なに……!また猟兵かッ!!」
「驚くことでもなかろう。お主らのような者がおるのであれば、わしら猟兵は必ず現れる」
 黒燭炎。燃ゆる槍を携えてここに参じたのは、馬県・義透(f28057)と、彼の乗騎であるヒポグリフの霹靂である。
「貴様、ッ!」
「屍人帝国。亡霊どもよ。わしはお主を叩かねばならぬ」
「……なんだとォ、ッ!」
「ま、年貢の納め時……ってやつね。でなければ運の尽き?」
 義透とアリスは略奪騎士へと対峙する。――敵意と戦意が交錯した。睨みあう3人の間で、空間が熱を帯びる。
「ふざけるなよ、猟兵ども……!この空の上であれば、俺は無敵だ!貴様らが何人束になろうが、この俺が切り伏せてくれるッ!」
 先に動き出したのは略奪騎士である。略奪騎士は背負ったロケットモジュールに火を入れながら推進剤を燃やして加速。アリスと義透へ襲い掛かる。
「はッ!」
「えいっ!」
 ――殺陣!刃と刃のぶつかり合う音が甲高く響き渡った。
 加速しながら手にした刃を振るう略奪騎士の剣は、自らの特質であるロケットモジュールの加速力、すなわち運動エネルギーを載せることで圧力を増した強烈でかつ速く巧みな斬撃だ。空の戦場を主とされるブルーアルカディアで発達した独自の空中剣技の一種である。
 一般的な剣士であれば、この巧みな技術の前にたちまち敗れていたことであろう。しかして、ここに対峙するのは猟兵だ。
 アリスは繰り出す剣技で略奪騎士の剣を弾く。彼女の手の中に握られているのは、実体を持たぬ概念的な剣。即ち、彼女が得意とする結界術の応用によって生成した剣だ。
 アリス・セカンドカラーの最も得意とする能力は限定的な空間内を掌握する支配術である。それを便宜的に結界術と呼ぶ。
 アリスは既に周囲に自己領域を展開していたのだ。敵のユーベルコード出力による阻害を受けながらであったが、彼女の世界は既に構築されていた。――ここに作り出した支配領域を、彼女は剣戟結界と定義する。この支配領域において、彼女は物理現象の内、白兵戦にかかわる事象について完全とも言える知覚を得た。
「ぬうッ!」
「わかるわよ、全部……。武器を振るう腕の間合い、胴を入れる腰の間合い、踏み込む足の間合い、走り込む歩の間合い、そのすべてが」
「たわけたことをッ!」
「どこを見ておる。わしがおるのを忘れてはおらぬか!」
「ちいいッ!」
 ――一方!義透もまた炎を纏う黒燭炎の刃を振り抜き、略奪騎士への攻勢の手を緩めない!
 一進一退。互角の攻防であった。
 空間支配の力によって敵の一挙手一投足を読み切ったアリスが略奪騎士を惑わすように刃を振るって牽制をかけ、そこへと生じた間隙を狙い義透が黒燭炎を突き入れる。
 しかして敵もさるもの。略奪騎士もまたただ攻め立てられるのみにはあらず、攻め手の僅かな合間を縫ってはアリスと義透へと鋭い一撃を突き込んだ。
 事態が動いたのは、攻防が始まって数分後である、
「――ッもらったァ!」
「ぐ……ッ!!」
 【アーマー・クラッシャー】!略奪騎士の激しい攻撃が、とうとう義透を捉えたのだ。
「なんという膂力……ッ!!」
 義透もまた、猟兵たちの中でも多くの戦場を経て来た歴戦の戦士である。――しかして、その彼をもってしても略奪騎士の一撃は容易に受け切れるものではない。
「さすがに、痺れる……――!」
 義透は表情を歪めた。苦悶めいて荒く息を吐き出し、態勢の立て直しを図る。
「ならば、そのまま死ねッ!!」
 だが――敵はその隙を見逃さない!そこに生じた無防備な一瞬に、略奪騎士はとどめの一撃を叩き込むべく刃を振りかざした!
「は、ッ……だが、お主。気づいておらぬな?」
「……何!?」
 しかし、その時である!
 ――義透は眼前へと迫り来る刃を仰ぎ見ながら、にや、と口の端を吊り上げてみせた。
「出番である、陰海月」
『ぷきゅ』
「ぬうううッ!?」
 ぷわ――ッ!!
 その時、突如として略奪騎士の体勢が崩されたのだ。
 それは突然の衝撃であった。略奪騎士は義透へととどめの一撃を叩き込むべく刃をかざし、今まさに振り下ろさんとしていたが――その身体が、突然に下から突き上げられたのである!
『ぷきゅ』
 陰海月――!それは、義透の使役する巨大なクラゲであった。
 義透は透き通った身体をもつ陰海月を敵の視界に入らぬよう潜ませていたのである。そして、略奪騎士が攻勢に出たその瞬間を狙って、陰海月をぶつけることでその態勢を崩させたのだ。【それは火のように】――海月であったが、まさにその攻め手は不意の火攻めのように、敵の虚を突くには効果的であった!
「こ――姑息な手をぉッ!」
「気づけなかったお主の落ち度よ」
「そうね。油断した方が悪いわ」
 更に――続く一瞬。その瞬間に、刃が奔った。
 否、吹いたのは風ではない。アリスが放った刃の一閃だ。――その神速の刃は、そよ風すらもたらさぬ凪の一刀。人智を越えた加速によってのみ為される究極の剣技のひとつ。天翔ける龍の如き閃きの一刀である。
「さあ――これでどうかしら!」
 それは【不可思議なる妙技】。『想像』が引き出したユーベルコードの領域にすら達する剣技である。
「ぐお、おおおおおおおおッ!……ごブ、ッ!お、お、ッ、の、れ……ェッ!」」
 防御態勢をとる暇などありはしない。アリスの剣が、略奪騎士の鎧に大きな傷跡を刻み込んだ。堪らず血を吐きながら、略奪騎士が後退する。
「まだだッ!わしの一撃、受けてもらうぞッ!」
 だが追撃!ここで義透は霹靂を蹴立て加速した。奔る翼と炎の刃が、逃れようとする略奪騎士に更なる一撃を叩き込む!
「ヌオオオ、ッ!……馬鹿な、この俺が……これほどまでの手傷をッ!?」
 衝撃!炎纏う刃に打ち据えられた略奪騎士が、苦悶の呻きと共にきりもみ回転しながら吹き飛ばされた!
「甘く見たお主の負けよ!」
「ちいいッ!」
 ――上手を取られた!その事実に屈辱を感じながらも、略奪騎士は巧みにロケットモジュールを操作し、状況を立て直すべく後退する。
 敵はすぐに態勢を正し、そして猟兵たちへと逆襲を試みるだろう。戦いは続くのだ!

 ところでアリス院さん。
「なぁに?地の文さん」
 今回は珍しく変な方向にいきませんでしたね。てっきりいつものように(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)するかと思っていましたが。
「たまにはね。私だって気が乗らない時はシリアスの真似事ぐらいはできるわよ」
 なるほどありがとうございます。
「……誰と話しているのだ?」
 他者には感知が困難である地の文との会話を繰り広げるアリスに、義透がツッコんだ。
「いいのよ。気にしないで」
 アリスはごまかすように緩々と首を振って適当にはぐらかした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

チェルノ・アマキリ
うわっ、歴戦の騎士サマみたいなのが来たわね
私のような、か弱い薬売りには荷が重いわ
まあ、頼れる先輩方もいるようだし、ここは後方……いえ上方に回らせてもらいましょう

高空に退避して、UCの詠唱を開始
他の人が戦ってくれている間に威力上昇を目指す

敵に見つかったら、ミサイルは【空中機動】で回避
接近されたら【騎乗突撃】で斬りかかられる前に敵機のバランスを崩しましょう

タイミングを見計らって、召喚砲を腕に装着し、ドゥームズ・デイは浮き島の方に乗り捨てて囮に
自前の翼で空中に浮かび、UCを発射
墜ちる星をぶつけて、敵を雲にまで押し込む

雲とは水滴
苦艾彗星はあらゆる水分を汚染する
苦悶の檻と化した雲に包まれ、反省なさい


ティオレンシア・シーディア
やぁっと親玉のお出ましねぇ。
…追尾式ミサイルポッドかぁ。また厄介なモノ詰んでるわねぇ…

引き続きミッドナイトレースに○騎乗して●轢殺・適応を起動。強化するのは移動力、変形は高機動特化――ではなく、「精密操作」特化モード。
ミッドナイトレースはバイク型UFO…空を飛ぶのがデフォのこの世界じゃ、「UFO」なんて存在しない概念よねぇ。
0→100・100→0加減速に慣性を無視した鋭角機動…すなわち、「物理法則を無視したような機動」がUFOの特徴のひとつ。当然この子もできるのよぉ?
…ものすごぉくしんどいし疲れるからあんまりやらないけど。
わからん殺しの異次元機動相手の○空中戦、初見で対応できるかしらぁ?


ミスト・ペルメオス
・SPD

なるほど、強敵だ。
…だが無敵ではないのだろう?

引き続き、愛機たる機械鎧を駆って参戦。
念動力を利用した機体のフルコントロール、スラスターを駆使した立ち回りも継続。

敵とは一定の距離を保つよう飛び回り、ビームアサルトライフルとヘルファイアデバイスによる射撃戦を実施。
敵がミサイル攻撃を放ってくれば、一転して回避機動を取りつつ射撃兵器での撃ち落としも図る。
しかし落としきれず被弾――と見せかけて。
【シュラウド・ジャンプドライブ】。サイキック・ゲートを介した擬似的な瞬間移動。
ミサイルを振り切ると同時に一息に彼我の距離を詰め、ヘルファイアデバイスの近距離射撃で叩き落とす!

※他の方との共闘等、歓迎です



 戦場に、鋼鉄の風が吹き荒れる。
 略奪騎士は咆哮とともに雲を裂き、そして蒼穹を翔けた。
「――なめるなよ、ッ!」
 その全身に仕込まれた武装コンテナが開いた。そこに覗く追尾式天使核片反応弾ミサイル群。その火力は絶大だ。略奪騎士はその視線の先にネージュの島の都市部を捉え、そこを破壊しようとしているのである!
「やぁっと親玉のお出ましねぇ」
「うわっ。歴戦の騎士サマみたいなのが来たわね……。私のような、か弱い薬売りには荷が重いわ」
 チェルノ・アマキリ(f34095)とティオレンシア・シーディア(f04145)は、敵の姿を捉える。
「あらぁ。そんなことないんじゃないのぉ?」
「いやいや、アタシみたいなヒヨッコ、先輩方に比べたら……。ここはここは後方……いえ上方に回らせてもらいますよ」
「謙遜しちゃってぇ。まぁ、いいわよぉ。それなら、先輩らしく矢面に立つのは任されてあげるわねぇ」
 ティオレンシアは半ば冗談めかした調子で笑いながら、ミッドナイトレースのハンドルを切った。ティオレンシアはチェルノと二手に分かれ、乗騎を加速させる。
「それじゃ、いこうかしらぁ」
 ――加速!
 ティオレンシアはスピードを上げながら、捉えた敵の姿めがけてマシンを進ませた。
「ほう――こちらへ向かってくるか!ならば……貴様から落とす!」
 エンジンの駆動音に、略奪騎士がティオレンシアの接近を気取る。略奪騎士はその視線の先にティオレンシアの姿を捉えながら、その意識を兵装に同調させる。追尾式天使核片反応弾ミサイル群はティオレンシアをターゲットとして認識した。
「死ねッ!」
 略奪騎士は素早く機動し、その身に纏ったミサイルコンテナから弾頭を放つ!ドドドドドドッ!連装ミサイルコンテナから放たれたミサイル群が糸引くように推進剤の燃える軌跡を描き、猟犬めいてティオレンシアを追った!
「っと……!」
 ティオレンシアは素早くマシンを反転させた。急激なターンとともに方向を変え転進。そして再び機体を加速させる。
 だが、追尾式天使核片反応弾ミサイルは機体の熱源を捉え、それを目標として軌道を変えたのだ。その名の通り、標的を追尾する!
「……追尾式ミサイルポッドかぁ。また厄介なモノ積んでるわねぇ」
 ティオレンシアのこめかみにじわと汗が滲んだ。
 ――その瞬間である!
『ここは――引き受ける!』
 赤く閃光が迸り、そして光は飛来するミサイルを貫くとそのまま爆発させた。続けざまに降り注ぐ光の雨!
「なに……俺のミサイルを落としただと!」
『高い火力と高度な追尾性。それに、これを使いこなす戦闘技術……なるほど、強敵だ」
 略奪騎士が驚愕したその瞬間――情報から飛来する、一機の鎧装!黒き翼で蒼穹を翔ける機体はブラックバード。そして、その操手こそミスト・ペルメオス(f05377)である!
『……だが無敵ではないのだろう?』
 赤く光る視覚センサ越しに、ミストは敵の姿を捉えた。敢えての挑発的な言動は、敵の狙いを引きつけるためだ。
「フン……。読めているぞ、小僧。その程度の挑発に乗るものか!まとめて撃ち落としてくれる!」
 対し、略奪騎士はその鎧に据え付けられたミサイルコンテナを再び開いた。そこから間髪入れずに再びミサイル群を撃ち放つ!
「貴様ら猟兵など恐れるに足らぬ!見るがいい!この火力!この圧力!このパワー!我が帝国の力だッ!」
 轟音!そして襲い来るミサイルの群れ!放たれたミサイルの弾数は先の攻撃の倍以上だ。空を埋め尽くさんばかりに放たれたミサイルの雨が、吼え猛りながら猟兵たちを襲う!
『く、ッ……』
 ミストは操縦桿を倒しながら歯噛みした。あれの火力はひとつひとつが必殺級の威力を持つ天使核兵器だ。ブラックバードの装甲でも、あれを全身に浴びせられれば大破は免れないだろう。ミストは念動力を併用したマニューバで回避機動をとりつつ、ターゲット・サイトの先に捉えたミサイルの群へと携行火器のビームアサルトライフルを叩き込んで迎撃する。
「ははははは!どうだ、この威力ッ!!」
「あれま。ムチャクチャやってくれちゃって、ねぇ」
 その一方――ティオレンシアは冷静であった。短く息をひとつ吐くと、彼女はミッドナイトレースの制御パネルを素早く叩いた。
 【轢殺・適応/ガンパレード・インプルーブ】。ティオレンシアはマシンのギアを変動させる。――通常の戦闘状態から、機動性能を極限まで高めた『精密捜査』特化モードへと。
「女ッ!貴様もこの火力の前に押しつぶされて死ぬがいい!」
 しかしてその瞬間にも暴れ回るミサイルの群は空を乱れ飛ぶ!そして、その中のいくらかがティオレンシアを捉える軌道をとったのだ。推進剤の火を噴き上げて、ミサイル群は再びティオレンシアを襲った!
「……この子の性能、甘く見ないでもらいたいわねぇ?」
 ティオレンシアは口の端に薄く笑みを浮かべながら、ミッドナイトレースのアクセルペダルを踏み込んだ。
 ここでミッドナイトレースは常軌を逸した機動性を披露する。――ミッドナイトレースというマシンは、本来ヒーローズアースの宇宙文明技術で制作された、いわゆるUFOに分類される機体である。であるが故に、この機体はそう呼ばれるものがもつ特性を備えていた。
 それは即ち、慣性の法則を無視したかのような、0から100%の最高速へと瞬時に移行し、瞬間移動めいた高速移動を断続的に繰り返す鋭角機動である。
「なにィ!?」
 それはブルーアルカディアにおいて存在するいかなる航空機をもちいても不可能な挙動だ。追尾ミサイルのホーミング性能もこの異常な高速機動への対応は想定していない。
(……ものすごぉくしんどい、けどねぇ)
 実際、それは乗り手にかける負担も相応であった。内蔵された反重力装置が身体にかかる圧力を緩和してこそいるものの、この鋭角機動を長時間繰り返せばティオレンシアほどの猟兵であっても通院と診療は避けられない。
 だが、それだけの価値はあった。ミッドナイトレースの機体は見事に追い縋るミサイル群を振り切り、そして徐々に略奪騎士との間合いを狭めていったのだ。
「だ、だが――こっちはどうだあ!」
 しかし、そのまた一方で押し寄せるミサイル群が牙を剥いていた。ブラックバードの躯体へと攻め寄せたミサイル群はミストの迎撃を掻い潜り、そしてとうとうブラックバードの装甲に触れるに至る間合いまできていたのである!
『ぐあ……ッ!』
 爆発――ッ!着弾した一発目が激しい炎とともに煙を噴き上げ、そこへ追撃とばかりに次々とミサイルが襲い掛かった!爆発が重なり、吹き上がる炎と煙がその濃さを更に増す!
「フハハハハ!どうだァ!まずは一人葬ったぞォ!!」
 爆煙に包まれるブラックバードの躯体を見下ろして――略奪騎士は確信した勝利に高笑いする!
 ――しかし!
『……ああ。そう見えただろう』
 その次の瞬間、略奪騎士の耳に声が届く。
「な――」
 訝しみ振り返る略奪騎士の視界へと現れたのは――今炎の中で破壊されているはずのブラックバードの躯体だ!
『これ以上は許さない』
 【シュラウド・ジャンプドライブ】!
 ミストは自らのサイキック能力を励起することによって、空間転移ゲートをその場に作り上げたのだ。一発だけわざとミサイルを浴びることで爆発の中に消えたと思わせながら、実際は開いた転移ゲートで敵を捉える位置へと空間跳躍を行っていたのである。
「なにを――なめるなッ!ならば、白兵戦で……」
 略奪騎士は慌ててその手に携えた刃を振りかざした。近接戦闘でブラックバードに挑もうというのだ!
 一見これは無謀な行為に見えるが、実際はそうではない。ユーベルコードを用いる猟兵とオブリビオンの戦闘に、彼我の質量差はさほど影響しないのだ。最も重要視されるのはユーベルコード出力の多寡であり、猟兵やオブリビオンの用いる武具であれば自分の10倍以上の大きさを持つ敵を両断することも難しくはない。
「駄目よぉ。それは止めさせてもらうわねぇ」
「む……ッ!?」
 しかし、ここで銃声が轟いた。
 45口径弾頭が略奪騎士の手首を叩き、剣を振るおうとした腕を止めたのだ。――ミッドナイトレースの高速機動によって間合いを詰めたティオレンシアが、敵の手を妨げるために叩き込んだのである!
(……くらえ!)
 そして、ミストは照星の先に定めた敵の姿へと、引き金を引いた。連装粒子散弾砲ヘルファイア・デバイスが火を噴き、その光が略奪騎士の鎧を激しく叩き、揺さぶる!
「ぐ、うううううう、ッ!だが……この程度で、この俺がアッ!」
 衝撃に態勢を崩す略奪騎士が、激昂と共に叫んだ。
「まだ元気そうね。……なら、もう少し凹んでもらうわよ」
 略奪騎士の頭上より声が降ったのは、その時であった。
 声に気づいた略奪騎士が、上方を見上げる。――そこに見たのは、災厄の運び手たる角笛吹きの御使い――トランぺッターの姿であった。
 すなわち、上方において待機していたチェルノである。
 そして――チェルノは、その頭上に昏き星を浮かべていた。
 【終末召喚・苦艾彗星/アポカリプス・サード】。
 そこに展開されたユーベルコードは終末の予言に謳われる滅びのひとつ。苦艾の星――即ち、毒と呪詛を孕む災いをここへと呼び込む魔術である。
「なん……だ、あれは」
「我は厄災の呼び水となる者」
 そして、この魔術は詠唱の時間に応じてその完成度を増し、限りなくそのユーベルコード出力を高めることが可能である、という特性をもつ。
「解封、終末編成第二部三楽章……」
 チェルノは、ティオレンシアとミストが敵の相手をしている時間を利用してこの術式の完成度向上に注力していたのだ。――確実に、敵を仕留めきるために!
「くそ――ッ!そんなもの、ッ!」
 あれをもらえば如何にしても無傷では済まないだろう。頭上に浮かぶ重篤かつ強大な脅威に、略奪騎士は戦慄する。ならば一度逃れるべきか。略奪騎士は後退のために身体を反転させようとした――その時である。
「逃がさないわよぉ?」
『ああ。逃げ場はない』
 交錯するように、弾丸と閃光が飛び交った。放たれた鉄と光は、略奪騎士の路を閉ざす檻めいてその行く道を阻む!
「ヌオオオーーーッ!!」
「さ、やっちゃってねぇ」
「わかってるわよ!――堕ちろ明けの明星、命の祖を苦渋で汚せ! 『終末召喚・苦艾彗星』っ!」
 かくして、禍星は墜ちた。
 ユーベルコードによって構成された緑に燃える苦艾彗星は略奪騎士を巻き込みながら青空の中を落ちてゆく。
 ――そして、雲塊の中へと略奪騎士ごと沈むように入り込む。
「ごぼ、ッ!」
 『苦艾彗星』の呪詛が真価を発揮するのはここからだ。
 このユーベルコードによって構築された苦艾彗星は、触れた水分に毒素を行き渡らせ、あらゆる水を汚染する特質をもっている。
 それは――水蒸気であっても有効だ。
「苦悶の檻と化した雲に包まれ、反省なさい」
 すなわち、苦艾の星が押し込まれた雲塊は、それそのものが猛毒の気体の塊へと変じるのだ。マスクを通してもなお強力な毒素に身体を蝕まれながら、略奪騎士は苦悶に呻いた。

「ぐおおおおおおおおッ!!」
 ――しかし。
 帝国騎士の意地か誇りか底力か。略奪騎士は渾身の力を振り絞った咆哮と共に、猛毒の雲から逃れ出る。
「お、おのれ、猟兵ども……ッ!よもや、これほどまでの力とは!」
 略奪騎士は未だ健在であった。その身に刻まれたダメージは既に無視することのできないものとなっており、もはやいつ崩れてもおかしくはない傷を負ってこそいたものの――
 それでも、そこに猟兵たちへの敵意は燃え続けていた。
 すなわち、戦いは未だ続くのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ルパート・ブラックスミス
真の姿での【空中戦】維持。

ラルクと言ったな。
動きを合わせろ、敵を挟み撃ちにする。
飛空艇乗りのドッグファイトを見せてみろ。

自分の短剣【投擲】とラルク殿のガンシップの【弾幕】を張りつつ
自分はラルク殿より先行し【挑発】的な【空中機動】で敵を【追跡】。

多勢で攻め立てれば敵は手近な相手、つまり自分を潰して突破口を開こうとするはず。
【おびき寄せ】た敵の攻撃を【見切り】、UC【黒と青の舞刀曲】。
放っていた短剣を【誘導弾】として操作し四方八方から牽制、
敵の攻撃【体勢を崩す】のと併せ黄金魔剣で【切り込み】にかかる。

さぁ、逃げ出す腰抜けは船乗りが背中を撃つぞ。
【決闘】だ、略奪騎士。亡霊騎士が貴様を墜としてくれる。


エドゥアルト・ルーデル
なんでぇたかが騎士道捨てただけかヨ

A-10は捨ててきた、弾切れで戦いについてこれそうもない
という訳で味方の飛空艇にダイナミック乗船、すかさず【流体金属生命体】と合体!
わからナい
わかッてキた
わかルマン!
という感じで変身したのがこのメタル(クロヒゲ)マンでござる

後は近づいてくるのを待てばいいでござるよ!来たら水平斬りをボディで受ける!斬れてないんだなぁこれが!流体に斬撃が効くわけないんだ、残念だったな!
すかさず完全に流体に変形するマン!
武器を辿って取り付くマン!
鎧の隙間から潜って心臓貫くマーン!

拙者の方が強くて、本当に申し訳ない
でも常識も捨てられない奴が勝てる訳が無いんだ、知らなかったでござるか?


鳴上・冬季
「良いですね。この重厚さは次に黄巾力士を作る時の参考になります」
飛行したまま拍手する

マイクロミサイル自体をUCで打ち落としそのまま周囲に落雷を連続で落とさせ高速突撃してきた敵を落雷の豪雨に巻き込む
また敵の攻撃は黄巾力士にオーラ防御で庇わせる

「良いんじゃないですか。こういう目眩ましからの奇襲も。私は自分の鬼門に黄巾力士を置きますので、敵の奇襲が成功したことはほぼないですが」
言いながら雷公鞭振るい電撃と足止め
防御していた黄巾力士に龍脈使いの能力で継戦能力高め鎧無視攻撃で蹂躙させる
手数が必要なら自分も前に出て雷公鞭と
功夫使用

「仲間が多く居ますので、足止めだけでも充分じゃないかと言う気がするのですよ」



「猟兵ァ、ッ、ども、ォォォッ!」
 唸るエンジン。駆ける鋼。空気を裂く咆哮と共に敵はブルーアルカディアの空を翔け、そして猟兵たちへの敵意を剥き出しにしながらスピードを上げた。
「この俺を愚弄したこと……絶対に許さんぞォッ!」
 そして、略奪騎士は激昂と共に叫ぶ。
 咆哮が空気を震わした。――そして、略奪騎士は再びその身に敵意と闘志を滾らせる!
「おおおおおおおおおおっ!!」
 しかし、その時であった。
 側面から、略奪騎士へと向けて7.7ミリ機銃の弾頭が襲い来る。――ラルクであった。一度は敵との戦力差に後退せざるを得なかった彼だったが、戦意を失ったわけではなかったのだ。ラルクは猟兵たちの戦いぶりを見ながら態勢を立て直し、戦場へと舞い戻ったのである。
「チッ……!ネージュのガンナー!まだ残っていたか!」
 略奪騎士は不愉快そうに吐き捨てると、その手に携えたブレードを掲げてその視線をラルクのガンシップへと向けた。
「今度こそ落とす!」
 そして略奪騎士は翔けた。ロケットモジュールの出力を上昇させ、その速度を上げながらラルクへと迫る。
「させるかああああッ!」
 一方、ラルクは恐れることなく真正面から略奪騎士へと向かった――否、恐れている。機銃の引き金を絞る指先は震えている。彼我の戦力差を理解しながらも、それでも負けるわけにはいかないと、ガンシップ乗りの意地で恐怖を抑え込んだのだ。
「……馬鹿めが!」
 しかし、その内心の恐れを見透かすように略奪騎士は嘲笑った。そして、機銃弾の火線をすり抜けながらラルクのガンシップへと間合いを詰め、掲げた刃を振り下ろす――!
「はッ!」
「行きなさい、黄巾力士」
「ヌウッ!?」
 だが、その瞬間である!ガァンッ!二つの影が戦闘領域の空を高速で駆け抜け、ラルクのガンシップと略奪騎士の間に割り込んだのである!
 舞い上がる蒼炎が略奪騎士の刃を弾き、そして鋼の躯体が略奪騎士を押し返す。
「――ヌゥン、ッ!」
 だが、敵もさるもの。入れられた横槍に戸惑うことなく、略奪騎士はすぐさま態勢を立て直し、そして力強く手にした剣を薙いだ。ガァンッ!金属同士のぶつかり合う硬質な音が響き、略奪騎士が鉄の躯体を押し返す!
 鉄の躯体――鳴上・冬季(f32734)の操る自律型戦闘宝貝・黄巾力士は、押し込まれて崩された態勢を立て直しながらもう一度略奪騎士へと挑みかかった。
「ほう……。さすがの戦闘力といったところですか。空中を自在に駆ける機動性と、装甲による防御性能。そして搭載武器の火力と膂力による攻撃能力……。良いですね。この重厚さは次に黄巾力士を作る時の参考になります」
「何を呑気なッ!」
 一方、冬季は僅かばかり離れた場所に位置取って、その戦いの趨勢を観察していた。

「無事か、少年」
 そのまた一方で、ルパート・ブラックスミス(f10937)がラルクへと声をかける。
「は、はい……ありがとうございます」
「礼を言われるほどのことはしていない。……ラルクと言ったな。動きを合わせろ、向こうの猟兵とも連携して敵を挟み撃ちにする」
「……はい!」
 ルパートはラルクと頷きあった。相手は一筋縄ではいかない強敵だ。ルパートほどの猟兵であっても、一対一で勝つのは容易なことではない。
 故に、ルパートはこの空を知るラルクとの連携に勝算を見出したのである。
「ちょお~っと待つでござるぞォ!」
「……うえっ!?」
 だが、ここでその作戦に更なる乱入者が殴り込みをかける!
「トオッ!」
「わっ!?」
 ダンッ!――ラルクのガンシップが、衝撃に揺れた!突然上方から“降りて”きたエドゥアルト・ルーデル(f10354)が、ラルクのガンシップへとダイナミック乗船したのである。
「……む。貴殿は」
「デュフフ!その作戦、拙者も混ぜてもらうでござるよ~!」
「ちょ、ちょっと待って!?どこから来たの!?さっき乗ってたガンシップは!?」
「ガンシップぅ~??A-10のことでござるか?それなら捨ててきた。弾切れで戦いについてこれそうもない」
 なのでアシにするためにラルクのガンシップめがけてダイビングしてきたのだ、とエドゥアルトは語る。ラルクは絶句した。
「問題ない。ラルク、彼はこう見えて腕のいい猟兵だ。このまま協力してもらう」
「は、はい……!」
「作戦は了解した!ポジションはクラッシャーでいく!さあ、さっさと始めるでござるよ!早くしナいト拙者がドうなルかわかナいでゴザる」
「……」
 顔を上げたラルクの視線の先で、エドゥアルトはその身体をメタリックカラーに変貌させていた。【Innovator/マタノナヲアタラシキモノ】。流体の身体をもつ金属生命体と融合することでメタルクロヒゲマンへと変身するエドゥアルトのユーベルコードである。
 ラルクはそっと視線をそらし、そしてターゲットサイトの先に略奪騎士の姿を追った。

「――チイッ!」
「下がりなさい、黄巾力士」
 一方、冬季と略奪騎士の戦いは続いていた。近接戦闘では略奪騎士が黄巾力士のパワーを上回っていたが、冬季の仕掛ける雷公鞭が略奪騎士の攻撃の手を阻み、互角に近づけていたのである。
 しかし、ここで業を煮やした略奪騎士が一度大きく後退したのだ。そしてミサイルコンテナを開いた――マイクロミサイルによる面制圧で黄巾力士と冬季を一気に叩こうという算段だ!
「死ぬがいいッ!」
 ドドドドドッ!放たれる天使核片反応弾ミサイル群!花開くように広がってゆくミサイル弾頭の群が、冬季と黄巾力士へと襲い掛かる!
「それは止めさせていただきます」
 だが、ここで冬季は冷静であった。【八卦天雷陣・青天の霹靂】。振るう雷公鞭が陣を描き、そして電光が迸る。奔る稲妻がミサイル群を迎え撃ち、その雷管を炸裂させて次々にミサイルたちを自壊へと追い込んだ。花火めいてミサイル群が爆散する!
「すまない。貴殿一人に負担をかけたな」
「さっきは助けていただきありがとうございました。ここからは、僕らも手を貸します!」
 ――ここで、ルパートたちが冬季へと合流を果たす。
「ええ、お待ちしていました。それでは畳みかけるとしましょう。足止めと目眩ましはお任せください」
「デュフフ……拙者もいイ感じにわかッてキたでごザるぞ!」
「よし……行くとしよう。ラルク、当然貴殿にも働いてもらう。飛空艇乗りのドッグファイトを見せてみろ」
「はい!」
 かくして合流を果たした猟兵達は頷きあい、そして動き出す!
「では、こちらから参りましょう」
 まず動いたのは冬季である。掲げた雷公鞭の先から放つ電光が陣を描き、増幅された雷が空を満たす。天雷陣の放つ豪雨めいた連続的な落雷が、檻のように略奪騎士を包囲した。
「ぐ……ヌウッ!」
 拡散する電光の中、略奪騎士はそれを辛うじて躱しながら飛ぶ。――この状況ではミサイルは出せない。撃った瞬間に電撃を浴びて爆発させられてしまえば、そこに略奪騎士自身も巻き込まれるからだ。手を一つ封じられたに等しい。
「合わせろ、挟撃する!」
「おおおおおおおっ!」
 そして、雷奔る中を二つの影が駆け抜けた。ラルクとルパートである!
「はッ!」
 【黒と青の舞刀曲/ブレードオブブラックスミスバッラータ】!ルパートは胸郭部を開き、そこから無数の短剣を撃ち放った。燃える炎の色を伴って駆ける刃の群が、略奪騎士のもとへと押し寄せる!
「これでどうだああああっ!」
 同時、ラルクは引き金を強く引き絞った。ガンシップに搭載した機銃が7.7ミリ天使核片弾頭の雨を降らす!
「ぐ、オ……!」
 略奪騎士はロケットモジュールの出力を上昇させながら回避機動を取る。しかし、周囲に展開された天雷陣の放つ電光がそれを容易には許さない。交錯する刃と弾丸が、騎士鎧の装甲をしたたかに打ち据えた。
「いかん、このままでは……!ここから、脱出せねば……!」
 略奪騎士は形成の不利を悟る。このままでは座して死を待つのみだ。ならば乾坤一擲。略奪騎士はここで強引にロケットブースターによる加速を行いながら猟兵たちの包囲を力ずくで突破する作戦に出た。
 ――しかし!
「ああ。そうくると思っていた。貴様は必ずこの包囲を抜けだそうとするだろう」
「……むう、ッ!」
 ルパートが、逃げ道を塞ぐように追い縋った。手にした黄金魔剣を薙ぎ、略奪騎士へと襲い掛かる。略奪騎士はこれを剣で払いのけた。
「さぁ、逃げ出す腰抜けは船乗りが背中を撃つぞ」
「小癪な……ッ!」
「決闘だ、略奪騎士。亡霊騎士が貴様を墜としてくれる」
「戯けたことをッ!」
 ルパートが剣をかざした。略奪騎士はそれを打ち払い、ロケット加速で間合いを詰めながらルパートへと反撃の刃を振り下ろす。ルパートは側面へ回避し、続けざまに刃を突き込んだ。紙一重!略奪騎士はこれを躱しつつブーストしてルパートの上を取った。そして唐竹割めいて剣を打ち下ろす――
「甘い!」
「な――ッ!?」
 だが、その瞬間である!側面の死角から、略奪騎士は衝撃に襲われた!
 その正体は、先んじてルパートが放っていた短剣である。ルパートはこれを念動力によって操作し、略奪騎士に不意の一撃を見舞ったのだ。
「馬鹿な……!」
「仕上げだ。任せるぞ、ラルク!」
 態勢を崩した略奪騎士の身体めがけて、ルパートが力強く剣を叩き込む。衝撃に吹き飛ばされる略奪騎士が、苦悶しながらきりもみ落下した。
「……きた!」
「来たでゴざルな!」
 そうして飛んできた略奪騎士の姿を、ラルクとそのガンシップに乗り合わせたエドゥアルトが視認した。
「な、ッ、める、な……アッ!!」
 しかして略奪騎士も易々とやられる下位オブリビオンではない。ヘルムの奥で歯を食いしばり、気迫と共にロケット出力を上昇。態勢を立て直しながらその手に刃を握りなおす。
「死ね、ェッ!」
 そして略奪騎士はその視界の先に捉えたのだ――ガンシップの上に立つ、エドゥアルトの姿を。
 姿勢を制御し機動を安定させた略奪騎士は、その勢いを乗せエドゥアルトめがけて加速し――そして、すれ違い様に水平斬り!エドゥアルトの身体を薙ぎ払いながらガンシップ上に降り立つ!
「……!」
 ざ、ッ――!刃が、エドゥアルトを切り裂いた!
 胴から真っ二つに断ち切られたエドゥアルトは、苦悶の声を――
「デュフフフフフ!!見通しガ甘いでゴざルゾぉ!」
「なにッ!?」
 ――否、エドゥアルトが漏らしたのは苦悶ではなく嘲笑めいた笑い声である!
 更に、エドゥアルトは液体金属化した身体を解くと分かたれた身体を再結合し、そこから再び流体化する。
「流体に斬撃が効くわけないんだ、残念だったな!」
「なんだ……!?どういうことだ!貴様、よもや精霊種……!?」
「違うんでござるなァ~!」
 戸惑う略奪騎士へとエドゥアルトは這い寄り、流体化した身体で鎧へと取り付いた。鎧の隙間を通して内部に潜りながら、ぎりぎりと締め上げるように流体の身体で圧をかけてゆく。
「ぐお、……ッ!」
「拙者の方が強くて、本当に申し訳ない。……でも常識も捨てられない奴が勝てる訳が無いんだ、知らなかったでござるか?」
「ぐ、ッ……ぅ、お、おのれ……ェッ!!」
 略奪騎士は咆哮した。
 ――略奪騎士の鎧の一部が爆発したのはその瞬間である。
「ヌアーッ!」
「ぐおおおおおッ!」
 爆発の衝撃にエドゥアルトは略奪騎士の身体から引き剥がされる。――略奪騎士はエドゥアルトから逃れるために小規模な自爆を行ったのだ。当然、間近でミサイルを爆発させれば彼自身にも跳ね返るダメージは相当なものである。
「づゥ、ッ……!ハア、ハア……ま、まだだ……まだ俺は負けていない!」
 略奪騎士はそこから間髪入れずガンシップから飛び降りた。同時にロケットモジュールを再点火し、再び戦闘領域の空へと舞い戻ってゆく。

 ――しかし、もはや略奪騎士の身体は限界を迎えつつあった。
 まもなく、この戦いにも決着がつけられるだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

メフィス・フェイスレス
【血反吐】

あんなのを数に任せて嗾けるだけしか能がないなんて随分と単細胞な指揮官もいたもんね

・引き続き【宵闇】で「空中戦」、【飢渇】の「投擲」「爆撃」、【宵闇】の「斬撃波」で迎撃しつつ「ダッシュ」でクロスレンジへ
・【飢渇】の「オーラ防御」を纏った【骨身】の「武器受け」で水平斬りを捌く
・しかし直後の振り下ろしをモロに喰らい躰バッサリ…のように見せかけ「肉体改造」で躰に形成した【顎門】で剣を「武器受け」し「捕食」「捕縛」している
・即座に「先制攻撃」「カウンター」のUCの初撃で敵を貫き「捕縛」、二撃目の「飢牙」ドリルを叩き込む

アンタさ、タルタルステーキって料理知ってる?好き?嫌い?
――私はね、大好きよ


蝶ヶ崎・羊
貴方が指揮官さんですか
おやおや、部下のせいにするとは…貴方にも灸を据えなくてはいけませんね

マイクロミサイルは【衝撃波】で威力を落として回避
そしてUCの子羊さんにあらかじめ死角を見てもらい、来たところを鳴いてもらいます
そしてすかさずC・Cで【武器受け】もう片方の手で鎌鼬を扱い、至近距離で【全力魔法】を行います

そして【戦闘知識】を元に子羊達に蹄による【重量攻撃】を指示します
『さぁ、気を抜くと蹄…ですよ?』
その間ワタシは【呪詛】で足止めを…
『指揮が良ければ兵は強くなります。勉強になりましたね?』

アドリブ大歓迎


チル・スケイル
敵オブリビオンを確認。本船は引き続きアイスシップにて戦闘を行います

ターゲットの飛行エリアを予測。氷槍弾幕で広範囲を攻撃
…当てても効果が薄いか。剣技で弾かれている

…試験も兼ねて、奥の手を使う

射線上の友軍に退避を要請。
本船はこれより、最大火力により敵オブリビオンを撃滅します

自動旋回によりオブリビオンを追尾。魔力充填開始。魔力回路問題なし。脱出用バックドア型魔法陣全開放。全砲撃魔法陣を推進魔法陣に変換。完了。魔力充填率、120%
オールグリーン。アイスシップ、射出!

船体を秒速約2.8kmで高速直進させ、オブリビオンを船体で直接攻撃します
私は突撃の直前にベイルアウト(脱出)し、顛末を見下ろします



「ハアー……ハアー……!」
 略奪騎士が荒く息を吐く。――ここに至るまでに重ねた猟兵たちとの交錯で、彼の躯体は既に限界を迎えつつあった。もあやオブリビオンとしての存在核も崩壊まで秒読みだと言えるだろう。
「おのれ、おのれ、おのれ……ッ!!何故、この俺がここまで追い込まれねばならんのだ……!クソ、クソ、クソッ!もとはと言えば、ガキども……!奴らがもっとしっかりしていれば、せめて目的は果たせていたものを!」
 略奪騎士は眼下を睨む。ネージュの浮島の地には、ここに至るまでの戦いの中で破壊された無数のガンシップの残骸が積み重なっていた。
「おやおや、戦いの失敗を部下のせいにするとは……指揮官さんとしては、失格ではありませんか?」
「……なに、ッ!」
 ダダダダ、ッ!銃声!ガンシップ搭載の7.7ミリ機銃が火を噴いた。浴びせられる火線!略奪騎士は歯噛みしながら慌ただしくスラスターを吹かし、7.7ミリ天使核片弾頭を躱す。
 その側面をすれ違うようにガンシップが通過した――操縦桿を握るのは、蝶ヶ崎・羊(f01975)である。
「ちいッ!」
「ま、指揮官が指揮官なら部下も部下って感じだったけどね!」
「ぬ――ッ!」
 ここで更に弾丸めいて空を翔ける翼!回避動作で生じた隙をめがけて飛び込んだのは、メフィス・フェイスレス(f27547)である!
 ギャン、ッ!飛び込むメフィスの腕から肉を突き破り姿を見せているのは彼女自身の骨格を変形させて作り出した『骨身』の剣!メフィスはこれを薙ぎ払うように叩きつけたが、敵はこれに素早く反応し、対応していた。空中でぶつかり合った略奪騎士とメフィスは、鍔迫り合うように互いに力を込め、押し合う。
「ふざけるな、ッ!俺の作戦は完璧だったはずだ……。帝国の脅威となりうるこの島のガンナーどもを急襲し、必要な火力で反撃の暇も与えず徹底的に叩きのめす!この俺の計画した電撃作戦のどこが――」
「完璧な作戦?……笑っちゃうわね。兵隊の数を増やしただけじゃない」
「ええ、まったくです」
「ムウ、ッ!」
 ダダダ、ッ!――側面から再び襲い来る火線!羊が再びガンシップでの攻撃を仕掛けたのだ。
 万全の状態であれば歯牙にもかけぬ機銃弾であるが、猟兵たちとの戦いを繰り返し疲弊したいまの身体ではそれですらとどめの一撃になりかねない。略奪騎士はロケットモジュールの出力を上げて後退。一旦メフィスから間合いを取りつつ、機銃の射線から逃れる。
「あんなのを数に任せて嗾けるだけしか能がないなんて……随分と単細胞な指揮官もいたもんね」
「この敗北はあなたの失策ですよ、指揮官さん」
「おのれェ……ッ!この俺を愚弄する気かッ!!」
 略奪騎士は激昂と共にミサイルコンテナを開き、そこに搭載した追尾式天使核片ミサイル弾頭群を一斉に撃ち放つ!戦闘空域に広がるように、ミサイルの群が駆け巡った!
「おっと……そうやってすぐ怒るところも指揮官向きじゃないわよ!」
「同感ですね……ッ!」
 メフィスと羊は散開するように別方向へと飛んだ。各々が加速しながら、追い縋るミサイル群を振り切りにかかる。
『めえ!』
『めえめえ!』
「下方・4時の方向?ええ、わかりました!」
 羊のガンシップにしがみつくように同乗した子羊たちがめえめえと声をあげて警告する。――【飛翔し蹴り倒す子羊/シープトリック】。子羊たちを呼び出す彼のユーベルコードだ。これによって召喚した子羊たちを、羊はガンシップへと同乗させて警戒を命じていたのである。これで死角を補ったかたちだ。
「あれですね……」
 操縦席から身を乗り出した羊は、手にした風の魔法銃の引き金を引く。瞬間、吹き荒れる疾風。迫るミサイルを風圧が迎撃し、叩き落とした。
「だあっ!」
 一方、メフィスはその身体から生み出した異形の使い魔たちを放り投げ、そして爆発させていた。爆発するように躾けられた『飢渇』たちでミサイルを迎撃していたのである。
「フン……なめるなよ、猟兵ども!俺の火力はまだこんなものではないッ!!」
 しかし、ここで略奪騎士は再び咆哮し、その身に纏う武装コンテナから更なるミサイル弾倉を開いた!追加のミサイル群が再び空に広がり、猟兵たちを追いかける!
「やぶれかぶれって感じかしら……!とはいえ、ここまで出されると流石に面倒ね!」
『めえめえ!』
「ええ、わかっています!」
 羊のガンシップへと同乗する子羊たちが迫る危険に震えながら叫びをあげた!――追い込まれた方が力を発揮するタイプか。敵の攻勢はこれまでに増して苛烈だ。
 このまま押し込まれれば、猟兵たちとて無事では済まないだろう。――メフィスが内心で僅かに焦れ始めた、そのときである!
「敵オブリビオン、及び無数の熱源体を確認……迎撃します」
 上空で、術式が開いた。
 展開された魔術式は氷の魔法。形成されるのは無数の氷槍である。
 無数に構成された氷槍は、術者であるチル・スケイル(f27327)に命じられるままに降り注いだ。
「まずは……攻撃の手を、阻む」
 そして、降り注ぐ氷槍の雨は展開したミサイル群へと落ちてゆく。氷槍に激突されたミサイル弾頭は雷管部分を凍結させられ、不発化して落下してゆく。
「そして、このまま……仕留められるか?」
 同時に、チルはその意識を敵本体へと同時に向けた。その意を受けて、氷槍が略奪騎士のもとへと向かう!
「ふざ、ッけるなアッ!!」
 だが――略奪騎士は降り来る氷槍の雨を剣で薙ぎ払った。膂力とユーベルコード出力によって繰り出される剣技の威力が攻撃の手を上回ったのだ。
「この俺が!帝国騎士のこの俺が敗れるはずがないッ!!貴様ら如きに、この俺が――」
「うっさいわね!」
 叫ぶ略奪騎士!しかして、その言葉は爆発に遮られる。メフィスが投げつけた『飢渇』が略奪騎士の間近で爆ぜたのだ。
「ムウ……ッ!」
 略奪騎士は爆圧を払い除けるように仰け反り後退する――しかし、その時である!
『めえ!』
「なにッ!?」
 頭上!侵略騎士の死角より彼に襲い掛かったのは――子羊であった!
「油断していたようですね。気を抜くと蹄……ですよ?」
「グオ……!」
 子羊一頭!その重量を突然浴びせられ、略奪騎士はそこに態勢を崩したのだ。そこに生じる隙――!
「チャンス、っ!」
 それを見逃すことなく、メフィスは翼を開き、略奪騎士のもとへと再び間合いを詰めた!
「ッ、ざ、ける、なあアアッ!!」
 だが、略奪騎士は子羊を放り捨てながら咄嗟に剣を構えた!わずかな時間で迎撃態勢をとり、真正面から迫るメフィスへと向けて剣を薙ぐ!
 ――交錯!略奪騎士の刃と、メフィスの骨剣が再び交差する!
「ごッ、ぶ」
「かは、ッ……!」
 そして――その結果は、相討ちであった。
 メフィスの骨は略奪騎士の鎧を貫き、その肉体を裂いて胸郭まで届いていた。
 しかしその一方、略奪騎士の振り下ろした刃もまたメフィスの身体を袈裟懸けに切り下ろし、メフィスの身体を文字通りに真っ二つへと切り裂いていたのである。
「お、お、お……!」
 略奪騎士は苦悶のうめき声をあげた。――しかし、メフィスは口の端に血を零しながらも、口の端に笑みさえ乗せてみせる。
「アンタさ、タルタルステーキって料理知ってる?」
 そこで、不意にメフィスが口を開いた。
「なに、を――」
「あのさあ。……要は、挽肉に味付けした奴なんだけどね。……アンタ、好き?嫌い?」
 茶化すような声音。喋るメフィスの傷口が、蠢く。――否。それは傷口ではなかった。そう見えた亀裂の中からは、獣めいた乱杭歯がその姿を見せる。
 この時略奪騎士は謀られたことに気づいた。メフィスは剣を受けたのではない。身体そのものを『顎門』に変化させ、その『口』でもって向けられた刃にかじりついたのだ。
「――私はね、大好きよ」
「ッ……!」
 【穿】。
 メフィスの身体に生じた牙が、一斉に動き出した。
 ――喰おうとしているのだ。オブリビオンを。
「お、おおおおおッ!」
 咄嗟であった。略奪騎士は最後に残った力を振り絞り、自らの腕を切り落としたのである。
 蜥蜴めいて捨てた片腕をメフィスに食わせながら、略奪騎士は悲鳴を叫びながらロケットモジュールの出力を最大限まで上昇させた。
「―――!」
 もはや言葉にもならぬ叫びとともに、略奪騎士は何もかもを投げだして戦闘空域からの脱出を図る。
「猟兵、猟兵、猟兵、猟兵アアアアアアアアアアッ!!クソ、クソ、クソ!クソクソクソクソクソクソクソ!よくも――よくも、ッ!」
「おっと……それは、いけません」
 しかし、その退路を遮るように、翼持つ子羊たちが略奪騎士へと追い縋り纏わりつき、その道を塞いだ。
「この……離せ、ッ!家畜共がァッ!」
「家畜という言い方は心外ですね。この子たちも――そうですね、言わばワタシの『兵』ですよ」
 その様子を見下ろして、羊が告げる。
「指揮が良ければ兵は強くなります。勉強になりましたね?」
「き、ッ、様、ァアアアアァ!」
「――足止めはしました。今なら大丈夫でしょう」
 そして、羊は略奪騎士の咆哮を意にも介せず視線を上へとやった。
 つられてオブリビオンが仰いだ先に浮かぶのは――氷によって形成された、船である。
 【氷術・船/アイスシップ】。チルの繰る魔術によって構築された氷の船である。
「了解しました。本船はこれより、最大火力により敵オブリビオンを撃滅します」
 応じて、チルは氷船へと術式を通す。
「自動旋回によりオブリビオンを追尾。魔力充填開始……魔力回路問題なし。脱出用バックドア型魔法陣全開放。全砲撃魔法陣を推進魔法陣に変換。完了。魔力充填率、120%。オールグリーン」
 そうしてチルは氷船へと仕掛けを施した。――『敵めがけて、まっすぐ突っ込め』というシンプルな命令を、充填した魔力の続く限り続けろ、というプログラムである。
「アイスシップ、射出!」
 かくして、チルは氷船を発射した。
 船一つ分の大質量が、加速の魔法術式によって弾丸にも匹敵する加速度をもちながらオブリビオンめがけて撃ち出される。
 着弾まであと2秒。
「……!?」
 半ば恐慌状態に陥っていたオブリビオンは、回避機動へと移ることができなかった。
 否、可能であったとしても、その動きは著しく緩慢なものとなっていただろう。――まとわりつく子羊たちが、略奪騎士を逃さない。
「ア――」
 激突。
 十分な破壊力をもった質量と速度が、オブリビオンの躯体を圧し潰しながら通り過ぎて行った。

 ――そして、爆発する。
 オブリビオンとしての存在核がとうとうダメージに耐えることができなくなり、内部に圧縮されたエネルギーが行き場を失うことで爆発というかたちで放散されたのである。
 爆散したその残骸は塵となって砕け散り、ブルーアルカディアの風の中へと融けて消えていくのであった。

 かくして。
 ネージュの浮島を襲ったオブリビオンの軍勢はここに滅び、人々に迫っていた侵略の手は猟兵たちによって防がれたのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『勇士達の酒盛り』

POW   :    沢山飲んで沢山食べる

SPD   :    宴会芸で盛り上げる

WIZ   :    自慢の料理やドリンクを振る舞う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あ゛ーッ!チクショウ!負けた負けた!」
「ったく、情けねえぜ。あの連中が来てなけりゃ、今頃俺ら全員雲海の底じゃねーか」
 街でいちばん大きな酒場、『壊れたオルゴール』亭。
 ネージュの浮島のガンシップ乗りたちはいま、ここに集い――やけっぱち気味にジョッキを交わしていた。
「まあまあ……勝ったんだから、よかったじゃない」
 そんな中、ラルクは苦笑いしながらバゲットをかじる。
 ここで開かれているのは祝勝会――という名目で開かれた、実質的には『反省会』、『残念会』である。
「……っていうか、さっきの戦いで助けてくれた人たちにお礼の意味をこめて宴会をするんだ、って聞いてきたんだけど」
 ラルクは睨むような目つきになって、クダを巻くガンシップ乗り連中を見渡した。
「おっ、そうだったな。すっかり忘れてたわ」
「なんで忘れてんの!?準備は!?」
「今やる!席用意しろ席!」
「女将さーん!山羊焼いといてくれ山羊!上等な奴で!」
「あいよォ!」
 促されて本来の目的をようやく思い出したか、男たちが声をあげてようやく宴会の準備が開始される。
「酒も!」
「わかってるさ!」
「あとジュース!」
「お任せあれ!」
 ――かくして、酒場には料理と飲み物が準備される。
「いやァ、しかし。どうやったらあんなに強くなれるのか聞いてみてえもんだな」
「そういや知らない機械なんかも使ってる奴いたな。アレ見せてくれねーかな……」
「そんなに質問攻めしちゃかわいそうだよ。ほどほどにしときな?」
 そして酒場は賑わいを増し、猟兵たちを迎え入れる準備が次第に整ってゆく。
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
アリスはロリショタが大好物ですが、おじさまも好みの内です。ええ、ええ、日常生活でエナジー提供してくれる存在はだいたいおじさまなので。
UCの“なかよし”には飲食を共に楽しむ、ゲーム(ポーカーなどのギャンブル含む)で遊ぶなども含まれますので、アリスが宴会に参加した時点で条件は満たされます。なお、領域は概念的なものなので今回は見た目に影響は与えません。
ナンパされたらほいほい部屋まで着いてイキます。向こうから誘われたら遠慮なく“なかよし”(いつもの)するわよ♡酔っぱらいのあしらいは慣れたものなの♪
あ、真の姿(今年の水着)で普通の食事も可能な肉体になってるわよ。



「ふうん……」
 アリス・セカンドカラー(f05202)はほくそ笑んだ。
「おお、来たか!」
「よっ、功労者!」
 祝勝会の開催される酒場へと足を踏み入れたアリスを出迎えたのは、ガンシップ乗りの男たちである。
 年齢層は二十代の半ばから立派な白ひげをたくわえた老紳士まで。30代から40代あたりの中年男性が多くを占めるように見える。
 いずれもそれなりの修羅場を潜り抜けて来た歴戦のパイロットたちだ。
(悪くないわね。ええ。おじさまも好みの内です♡)
 アリスはそんな彼らを順繰り見渡しながら、やや不純なことを考えていた。
 アリス・セカンドカラーという存在は他者の精神エネルギーを主に(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)を通じて吸収する生命体だ。
 そして、そんな彼女が日常生活を送るにあたって必要とするエナジーの提供源の多くを占めるのが、いわゆる“おじさま”と呼ばれる年代の男性なのである。
 したがって、ここに集まったガンナーたちもまた、彼女の目には提供源として映っていた部分もあったのだ。
「「かんぱーい!」」
 それは一旦さておいて。
 男たちはいずれもアリスを功労者として迎え入れていた。杯を交わし(アリスには肉体的に未成年であるということもありぶどうで味付けしたノンアルコールドリンクが振舞われた)、上等な岩塩で味付けされた山羊肉のステーキや、じゃがいもに似たイモ類をすりおろしてフライパンで焼き上げた上に独特な味わいのソースをかけたネージュ近辺の文化圏における定番料理などが供される。
 アリスはこれをしっかりと味わっておいた。(なお、アリスは精神エネルギーを糧とする生命体であることが前述されているが、今回に限ってはこの宴会の場に合わせて通常の飲食が可能な肉体へと自らを変じている。見事な空気の読み方である)
 閑話休題。
「いやあ、しかしこんなカワイイお嬢ちゃんがあんな見事に戦うたァなァ……」
「いよっ!我らが戦乙女!」
 男たちは猟兵たちの戦いぶりを絶賛しながら酒を酌み交わし、そしてアリスを戦乙女だの勝利の女神だのと大層な勢いで祭り上げた。
 やはりオブリビオンとの戦闘においては、猟兵という存在はそのエキスパートなのだ。どの世界に於いても、猟兵ではないという一点において現地の戦力はいずれもオブリビオンとの戦いでは不利を強いられる。
 そうした苦境を覆してくれる猟兵の存在は、彼らのような前線に立つ戦士たちにとってはやはり羨望の的であった。
「まったくだ。なあ、嬢ちゃん、結婚を考えたことはねえか?ウチの息子と一度会ってみてもらいてえんだが――」
「まあ。フフフ、どうしようかしら」
 おっと。ちょっと予想外のところから球が来てしまった。アリスはあいまいに笑ってはぐらかす。
「ああ、もう。みんなもうこんなに酔っちゃって……すみません、飲むとみんないつもこうで。女将さーん!おみずー!」
 ここでラルクが飛んできた。困ったような顔をしながらアリスに向けて頭を下げ、そして男たちに水を配って回る。
「いいのよ♡ 酔っぱらいのあしらいは慣れたものなの♪」
「そう言ってもらえると……うわっ!」
「失礼」
 ――ここで首を突っ込んできたのは、ネージュのガンナーたちの中でももっとも女癖が悪いことで有名な伊達男であった。
 男はラルクをぐいと横に追いやって、アリスへとあからさまなナンパをする。
「お嬢さん、ここは少し騒がしいだろう。君には少し似付かわしくない……どうかな、私と静かな場所でコーヒーでも」
「あっ、テメー!俺達の戦乙女に手ェ出そうってのか!」
「テメーみたいなウラナリヤローに俺らの女神が微笑むかってんだ!なあ嬢ちゃん!!」
 ここでそのナンパに気づいた男たちが伊達男へと文句をつけた。喧々諤々!酒場は急激に騒がしさを増す!
「んー……そうね♡ いいわよ♡」
 アリスはにこやかに微笑んで快諾した。
 ――そして、アリスは内心でほくそ笑む。そう、これも彼女の計算の内だ。男たちの中にはこうした女好きが一人はいるだろうとアタリをつけていた。
 生身の肉体で飲食を行うのも悪くはないが、やはり糧を得るにはエナジーの吸収に限る。もともと、こういうナンパを受けたらほいほい部屋までついてイってやろうと思っていたのだ。むしろ彼女はこういう誘いを待っていたフシすらある。
「ほら、戦乙女様もそう言って――いいわよ!?!?!?」
「「「「いいわよ!?!?!?」」」」
 ――そうしたアリスの内面は露知らず、男たちは一斉に叫んだ。
「ハハハ!今日は私の勝ちのようだね!では行きましょうかお嬢さん」
「ええ。それじゃ、ちょっと“なかよし”してくるわね♡」
 困惑する男たちを尻目に、アリスはかわいらしくウインクをひとつ飛ばしてから伊達男と共に酒場の二階へと向かって階段を昇って行ったのである。

 ここから先は全年齢向けコンテンツでは決して描写できない内容になることは自明の理であるがために、部屋で起こることを知るのはアリスただ一人だ、
 ただひとつ言えるのは――この日を境に、アリスを部屋へと誘った伊達男は、女癖の悪さをすっかりあらためたのだという。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
まあ、いくら腕利きでも連中はちょぉっと相手が悪いわよねぇ。ヤケ酒くらいなら付き合ってあげるわよぉ?
(ちなみにこの女、それなりに健啖だがそれ以上にめっっっっっちゃくそ呑む。具体的にはスピリタス10本イッキ程度ではシラフなバケモノ)

えーと…話するのもミッドナイトレース見せるのも別に構わないけれど、多分あんまり参考にはならないわよぉ?
操縦と射撃は「練習した」だけだし、機体のほうは元々は強奪したモノだからそもそも何がどうやって動いてるのか知らないもの。…あ、一応言っとくけどバラさないでねぇ?あたし直せないから。
…弾幕突破とか轢き逃げとかいろいろ蛮用してきたし、メンテのこと考えたほうがいいかしらねぇ…


エドゥアルト・ルーデル
機体を見せて欲しい?話聞きたい?
デュフフ…下手でござるな下手っぴだ、欲望の解放のさせ方が…
話や見るだけで満足できるものか、本当に欲しいのは実物に乗ってさ、大空を思う存分ぶん回したい…

そんなに気になるんなら乗ってもええよ
という訳で召喚しました軍用機、Fw190でござる
電脳魔術でちょちょいと作ってるようなもんなので壊れても別に問題ないでござるしな

串片手に乗り方やら機体特性やらをあーだこーだ
ま、操縦はガンシップと大体一緒でござろう
実弾も撃っていいぞ!7.7mmなんてシャバい弾使うな、20mm使え20mm!
あいつの20mmをぶっ放してみろよ!もうガンシップの7.7mmには戻れないねェ


ミスト・ペルメオス
・SPD

なんやかんやでオブリビオン……ここでは屍人帝国でしたか、その撃破と浮島の防衛に成功しましたし。
今のところはこれで良しとするべきでしょう。

せっかく用意していただいた宴の席、ぼくも参加させていただきますッ。
世界ごとに現地の食べ物や飲み物を楽しみつつ、人々と交流する。そういうのって素敵なことだと思いません?
あと、この世界の技術や文化には個人的に興味があります。

ガンシップを見せていただく代わりにぼくの愛機を問題無い範囲でお見せする、のはいかがでしょうか。
そのついでで……【サモン・ブラックバード】。
ぼくの動きや思考に合わせて愛機を動かしたり飛ばしてみせるというのは、ちょっとした余興になりますか?



「……いやア、しかし。アンタらがいなけりゃ本当にヤバかったぜ」
「ガンナーとしちゃ情けねェ話だがなァ」
「うるせえ!」
 ジョッキを叩く音が交錯し、男たちの銅鑼声が響き渡る。
「まあまあ。なんやかんやでオブリビオン……ここでは屍人帝国でしたか、その撃破と浮島の防衛に成功しましたし……今のところはこれで良しとするべきでしょう」
 カウンター席にかけたミスト・ペルメオス(f05377)が男たちをなだめすかす。
「まあ、いくら腕利きでも連中はちょぉっと相手が悪いわよねぇ……ヤケ酒くらいなら付き合ってあげるわよぉ?」
 そして、ティオレンシア・シーディア(f04145)もまた同じく男たちを慰めた。エールを注いだジョッキを持って店内を回り、男たちに乾杯を勧めて杯を交わしあう。
「おーっ!」
「チクショー!乾杯だ乾杯!」
 男たちは半ばやけっぱち気味に声を上げ、猟兵たちとジョッキをぶつけ合う。
 ミストはそれをやや苦笑いしながら眺めつつ、供された料理に手を付けていた。山羊肉のステーキにナイフを入れ、一口大に切り分けて口に運ぶ。岩塩の塩気と、野趣あふれる山羊肉の味わいがミストの下の上に広がった。
 ブルーアルカディアの地において、山羊はポピュラーな家畜だ。大小の差があるとはいえ、アルカディア世界を構成する浮島はどれもこれもが農耕や牧畜に適したじゅうぶんな広さの土地を有しているわけではない。それゆえ、山岳地や高地といった環境でも生育が可能な山羊はうってつけの家畜だったのである。
 また、同様にブルーアルカディアの気候や地質への適性が理由で、この世界での農業はじゃがいもやとうもろこしに似た作物が主食として栽培されている。乾燥させたポテトやとうもろこしを砕いた粉を水で練るなどしてつくった生地を焼き上げたパンのような料理がこのあたりの浮島では一般的な主食として扱われている。アース世界線やアックスアンドウィザーズ世界の山岳地帯などの食文化に似通っていた。ミストはそれらの味を舌先に感じながら、ブルーアルカディア世界の食文化を楽しむ。
「んーっ……。ここのお酒もなかなかねぇ」
 一方、ティオレンシアは近隣の浮島から輸入された葡萄酒を呷っていた。葡萄もまたブルーアルカディアの環境に適性をもつ作物であり、様々な浮島に多くのブドウ農家と醸造所が存在している。
 流石に文明の進歩度や醸造技術の違いからか、その味はアース世界線のワインには及ばぬものの、ティオレンシアの舌を楽しませた。
「いよっ、いい飲みっぷり!」
「女将さーん!そこの坊主に何か出してやってくれよ!」
 そして、男たちは次々と注文を繰り返し、飲食を楽しむ猟兵たちに飲み物と食事を提供する。
「なあ、アンタたち。どうやったらあんなに強くなれんだよ?」
「マジでそれだぜ……そうだ!アンタらもたしかマシンに乗ってたよな?」
 ――と、ここで少しばかり風向きが変わる。
 男たちは先の戦場に於いて見上げていた猟兵たちの戦いを思い返したのだ。
 ミストは愛機である鎧装ブラックバードを駆っての空中戦を繰り広げ、また、ティオレンシアも乗機であるミッドナイトレースを乗りこなしてオブリビオンの群を相手に八面六臂の活躍を披露していた。
 男たちはその雄姿を思い起こしたのである。
「いいよなあ。なあ、アンタら。さっき乗ってた機体、俺達にあとで見せて――」
「ンン~~ッ?機体を見せて欲しいィ?話を聞きたいィ?」
 そして、猟兵たちへと頼み込もうとする男たちの声に――ここでエドゥアルト・ルーデル(f10354)が割り込んだ。
「ウワッなんか出た!」
「出たとは失礼でござるな~!さっきから拙者もちゃんといたでござるよ!」
 エドゥアルトは山羊肉の串焼きに齧りつきながらその存在感を強め、男たちにニタニタと気色悪い笑みで笑いかけた。
「それにしてもでござるぞ……デュフフ……下手でござるなア……下手っぴだ。欲望の解放のさせ方が……」
 そして、エドゥアルトはぐいと顔を男たちに近づけながらその“圧”を強める
「話や見るだけで満足できるものか……。おっさんたちが本当に欲しいのはこっち……!実物に乗ってさ、大空を思う存分ぶん回したい……!だろ……?」
「ぬ、っ……!」
 見透かされた本心に、男たちがどよめく。
「デュフフ……だけど……それはあまりに不躾だと思うから……『見せてくれ』なんて頼みでごまかそうっていうんだ……そういうのが実にダメ……!」
 畳みかけるエドゥアルト!粘っこくしかして巧みな喋りに、男たちの纏う空気が変わり始める!
「じゃ、じゃあ……」
「えーと……話をするのもあたしのマシン見せるのも別に構わないけどぉ……」
 乗せるのはちょっとねぇ、とティオレンシアはやや難色を示す。見せるのが嫌なわけではないが、と付け加えながらティオレンシアは首を傾いだ。
「ぼくの愛機も機密事項があるのでさすがに乗せるわけにはいきませんが……。ですが、問題無い範囲でお見せする、のはいかがでしょうか」
 ミストもまた搭乗については丁寧に断った。しかして、機体を見せること自体は合意する。――ミスト自身も、この世界の技術体系に興味を持っていたのだ。マシンの心臓となっている天使核エンジンの構造や機体の設計、メカニック部分……。今後愛機のカスタマイズを重ねていく際に何か役立つこともあるかもしれない。互いに利を得る情報交換会のような形式であればブラックバードを見せても良い、とミストは男たちに提案していた。
「拙者のは気になるんなら乗ってもええよ」
 その一方で、エドゥアルトは軽く搭乗許可を出した。
「マジか」
「いいのか?!」
「こうしちゃいられねえ!おい、行くぞ!」
 エドゥアルトから出された搭乗許可に、男たちが沸き立った。
「デュフフ!勇み足でござるな~!拙者そういうの嫌いではないでござるよ!さぁお二人もご一緒に!」
 そして男たちを煽りながら、エドゥアルトは両手を振って店を出る。男たちもまたそれに続いて慌ただしく店を飛び出した!
「えぇ……」
「……まあ、これもひとつのきっかけと思えば?」
「というか、ねぇ。酒気帯び運転になるんじゃないかしらぁ?」
「たしかに……そうですが」
 その様子を後ろから眺め、ティオレンシアとミストは顔を見合わせて苦笑いした。

「というわけでご用意しました軍用機、Fw190でござる」
 ――その一方、エドゥアルトは店から少し離れたガンシップの発着基地に男たちを連れ出し、そこで用意した戦闘機を男たちへと見せつけていた。
 Fw 190 ヴュルガー。ある世界において生じた大きな戦乱の時代に活躍したと戦闘機である。
「ま、操縦はガンシップと大体一緒でござろう。さあ。動かしてみるでござる!」
「おおっ!」
「実弾も撃っていいぞ!」
「マジか!」
「おうおう!いいでござるぞ!7.7mmなんてシャバい弾使うな、20mm使え20mm!」
「20ミリ口径だって!?」
「そうでござるぞ!デュフフ、あいつの20mmをぶっ放してみろよ!もうガンシップの7.7mmには戻れないねェ……」
「乗る!俺がやる!」
「待て、順番だ!くじ引きで――」
 ざわめき。集まった男たちとエドゥアルトは、発着基地で大騒ぎを始めていた。
「やってるわねぇ……これ収拾付くのかしらぁ?」
「一応、万が一には備えておきますよ。あれが終わるまではブラックバードを待機させておきます」
 そして、追いついたティオレンシアとミストが再び顔を見合わせる。
「おっ、そちらのお二人も!」
「そうだ、二人のマシン見せてくださいよ!」
 ここで2人に気づいた男たちがミストとティオレンシアに群がった。こちらもこちらでまた騒がしい場へと変わってゆく。
「……まぁ、いいけどぉ。でもあたしのミッドナイトレース、機体の方は元々もらってきたモノだからそもそも何がどうやって動いてるのか知らないのよねぇ……」
「へえ、姐さんでもわからねぇとは」
「そりゃ調べ甲斐が――」
「……あ、一応言っとくけどバラさないでねぇ?あたし直せないから」
「あっ、そうですか」
 愛機ミッドナイトレースの周りへとにわかに集まり出した男たちへと、ティオレンシアは釘を刺しておく。
「……けど、そろそろそうも言ってはいられないかしらぁ?」
 しかしてここでティオレンシアは悩まし気な顔を見せた。――ヒーローズアースでの戦い以来これまで彼女を乗せて数多の戦場を走ってきた愛機ミッドナイトレースであったが、これもそろそろくたびれてきたようにティオレンシアは思う。
 ティオレンシアはこのマシンを重宝してきたと同時に酷使してきた。なるほど普通に考えればそろそろ大規模なオーバーホールが必要になる時期と考えるのも道理だろう。
「……弾幕突破とか轢き逃げとかいろいろ蛮用してきたし、メンテのこと考えたほうがいいかしらねぇ……」
「その時はお声がけいただけりゃいくらでも手伝いますぜ」
「そうねぇ、気が向いたらお願いするわぁ」
 ティオレンシアは男たちと頷きあい、それからブルーアルカディアの夜空を見上げる。
 仰ぎ見た先では、酔っ払い運転でメチャクチャな軌道を飛ぶ戦闘機Fw190と、それを救出に向かうブラックバードの機影が星空を彩っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

馬県・義透
引き続き『侵す者』にて。

守れたことはよきことである。
わしは(死んだ後も)戦い続けておるからの…必然的に強くなるといった方が正しいか。

陰海月も陰海月で、どうも運動して鍛えておるようでの。
霹靂は、わし(ら)に慣れ途中といおうか。そろそろ出会って一ヶ月は経つかの?
二匹は生まれも種族も違えど、友達なのだよ。


陰海月、未成年なのでオレンジジュース飲んでる。仄かにオレンジ色になる。ぷきゅ
霹靂、お肉食べてる。染まった陰海月にビックリしてる。クエッ


チル・スケイル
【アドリブを好む】

モンスターを倒せば、宴。
故郷もここも変わりませんね。

そうですね、お酒も美味しいですし…見知らぬ土地の物は何でも美味しいものです。適当に頼みます
(ほろ酔い)

強さの秘訣と言われましても…結局の所、魔法は反復練習し魔力を高めていくのが一番でしょう。武術も操縦も、それは同じではありませんか?

ただ、そうですね…私は氷しか使えませんが、魔力の流れを見るくらいはできます。何か指導できる事があるかもしれません
まあ、さっきも言いましたが魔力は使ってなじませるのが一番ですよ


ルパート・ブラックスミス
強さの秘訣。『死ななきゃ安い』だ。
どう負けようが傷つこうが再起し続ければ自然と強くなるのが生きている証左だろう。
結果、自分は人の身で無くなっているわけだが。

そもそも自分は強くなどないし、話を聞きたいのは此方の方だ。
なにせこの世界の技術などまるで知らんし身についてもいない。

先程の敵騎士、あれはロケットナイトというやつだったか。
推進力もそうだが、背の重火器も興味深かった。
両手が塞がる状態での発射機構や照準器はどうしていたのか解る者がいるなら参考がてら聞きたいところだな。

さっきから二人いないかと?
これも食事を楽しむのを諦めなかった結果だぞ、と。
(【指定UC】で出した仮初の身体が山羊肉を頬張りながら)


鳴上・冬季
「仙骨を育て仙になれば強くなります。錬丹術を極めようと辰砂を使う方も居ますが、普通は死ぬのでお勧めしません」

仙丹噛りながら出された酒を飲む
「私は甘党なので砂糖や生クリームをツマミに酒を飲めますが、大多数の方は違うでしょう?これは私が作った仙丹ですが、一般の方が食べて身体を悪くするものは入っていません。食べてみます?」
劇甘党だが一応場を読むので他者に無理には勧めない
劇甘党だが味覚音痴ではないので美味しい料理は普通にいただき誉める
黄巾力士は壁際に立たせ物を取ったり運んだりは式神使用
「料理はさっさと運びませんと。お手伝いしましょう」
仙桃も式神に剥かせデザート代わりに配る
「よければうちの名産もどうぞ」



「――いやァ、しかし。本当にマジでだよ」
 宴もたけなわに近づきつつある頃である。
「負けっぱなしってわけにもいかねえからなあ……」
「そうそう。強さの秘訣ってやつをさ、やっぱ俺らとしちゃ聞きたいわけよ。このままじゃ勇士の名が廃る!ってコトで、な!?」
 相も変わらず男たちは猟兵へ迫っていた。
 やはり彼らも戦士なのだ。ガンシップを駆り屍人帝国の侵略を退けるべく戦うガンナーとして、彼らは愛する人々や土地、そして誇りを守るために貪欲なのである。
「仙骨を育て仙になれば強くなります。錬丹術を極めようと辰砂を使う方も居ますが、普通は死ぬのでお勧めしません」
 鳴上・冬季(f32734)はしれっと言ってのけた。
 冬季は仙術と宝貝を繰る仙人である。多くの術を繰り出し、稲妻の陣で敵を落としたその姿はガンナーたちの記憶にも新しい。
「仙骨……?」
「ど、どういうことだ……?」
「死ぬような思いで修行をしなくちゃならねーってことだろきっと……」
 男たちがざわめく。なるほど、それほどの修行を経たからこそ猟兵たちは強いのだ。男たちはそのように合点して頷きあった。
「あんたはどうなんだい?」
「わしか?」
 ここで男たちは馬県・義透(f28057)に水を向ける。急に話を振られてやや困惑したが、義透は僅かに思案すると、あらためて口を開く。
「まあ、わしは長いこと戦い続けておるからの……必然的に強くなった、といった方が正しいか」
「お、なるほど……長い戦いの経験がそのまま強さになってるっつーわけだな」
「くっそー、俺らも負けてられねえぞ!」
 義透のコメントに再び男たちがいきり立つ。ここに集まるガンナーの男たちは30代から40代にかかる頃の中年が多い。そうした彼らは、ガンシップのパイロットとして10年以上の経験があるベテランの乗り手だ。戦いの年季という話では、彼らも猟兵たちに決して引けは取らない。
 ――とはいえ、義透は一度滅びを迎えたその先で悪霊となってまで戦いを続けている、いわば死すらも超えた歴戦の猛者であるといえるだろう。義透は経験という点でもこの場に揃ったガンナーたちを凌駕していた。
「……あとは、地道に鍛えるのが一番だろうな。……見よ、陰海月も陰海月で、どうも運動して鍛えておるようでの」
 更に、義透は窓の外を指した。
 そこでは義透の友である陰海月と霹靂が羽を休めていた。(※この2体はネージュの人々には恐らく召喚獣の類であろうと捉えられ、受け入れられている)
『ぷきゅ』
 陰海月はジョッキに注がれたジュースを器用に触腕で抱え、口柄部から吸収していた。その身体は飲んだジュースのオレンジがかった色に染まり、まるでハロウィン飾りの巨大な南瓜めいた様相を呈している。
『くえ……?』
 一方、ヒポグリフの霹靂はそのように染まった陰海月の変化に驚いてか、警戒するようにそっと距離をとりながら餌箱に与えられた山羊肉をつついている。
「……まあ、今は休息の時間であるが。しかし、彼らも普段から鍛えておるよ」
「そうでしょうね。とにかく鍛えるほかにはないかと思います。魔法は反復練習し魔力を高めていくのが一番でしょう。私もそうでしたから」
 ここで、チル・スケイル(f27327)が口を挟んだ。
 チルはほろ酔い加減にジョッキを傾けてエールを飲み干す。
「武術も操縦も、それは同じではありませんか?」
 そして、その口から語られる言葉は――ド正論であった。
 武術。魔術。猟兵たちの巡る世界には、様々な戦闘術が存在する。多くの場合、それらは『道』の名を付けられ、そして多くの『道』を往く者たちによって日々研鑽が重ねられている。
 そして――いかなる『道』にも、近道は存在しない。反復練習の繰り返し、すなわち地道に己の身体と技術を鍛え続けてゆくほかに高みへと至る手段などあり得ないのだ。チルの言葉は、それを端的に示していた。
「……」
「だが……」
 しかして、男たちは食い下がる。
 ――努力も研鑽も、既に重ねているのだ。前述したとおりにガンナーの男たちの多くは何年もの間ガンシップでの空中戦闘を行ってきたベテランの戦士たちである。
 彼らが求めているのは――ブレイクスルーであった。
 否、それは存在しない概念だ。――いかなる世界に於いても、対オブリビオン戦闘においてその主役となるのはユーベルコードを用いて戦うことのできる猟兵たちである。彼らがユーベルコードを用いる戦士として覚醒するほかに、この差を埋められるファクターは存在しない。
「……」
 おそらく彼ら自身もそのことに気づいているのだ。その空気を敏感に感じ取ったチルは、僅かに口を噤んだ。
「ただ、そうですね…私は氷しか使えませんが、魔力の流れを見るくらいはできます。何か指導できる事があるかもしれません」
「魔力……魔法か」
「では、心持ちを変えてみる、というのはどうだろうか。『死ななきゃ安い』だ」
 ――そこで鋭く口を挟んだのは、ルパート・ブラックスミス(f10937)であった。
「どう負けようが傷つこうが、再起し続ければ自然と強くなるのが生きている証左だろう」
 ルパートは語る。
 ――勝てずとも、及ばずとも、負けるとも傷つくとも。生き延びて、再び立ち上がることさえできれば、必ず“強く”なれるはずだ、と。
「……それはそうかもしれんが」
 何人かが眉根に皺を寄せた。
「いえ、あながち誤ってもいませんよ。何しろ、研鑽を積むにせよ修行するにせよ、生きてこそですから」
「まあ、素養があれば死んだあとでも戦い続けることもできるでしょうが――」
「それができるような方は滅多にいませんよ。あなたはレアケースでしょう」
 猟兵たちが更に口を挟んでゆく。
「というか、だ。そもそも自分は強くなどないし、話を聞きたいのは此方の方だ」
 飛び交う言葉の最中、ルパートは男たちへと詰め寄るように迫り、そして男たちに向けてまくし立てた。
「なにせこの世界の技術などまるで知らんし身についてもいない。……そうだ。先程の敵騎士、あれはロケットナイトというやつだったか。推進力もそうだが、背の重火器も興味深かった。両手が塞がる状態での発射機構や照準器はどうしていたのか解る者がいるなら参考がてら聞きたいところだな。どうだ、詳しい者はここに……」
「ああ、なるほど。さっきのロケットナイトの武装についてか。ありゃあな、天使核片を使った火器管制システムを積んでんのさ。一つの破片を二つに砕いてな、片方を武器コンテナ。もう片方をヘルメットに埋め込む。そうすると、連動するふたつの天使核片ができるわけだよ。ヘルメットの方に埋められた天使核片は脳波に反応して活性化するようになってるんだな。で、これの出力を上げることで武器コンテナ側の天使核片に火が入って発射機構が……」
 応じて男たちの中から一人が進み出て、ルパートの質疑へと饒舌に回答する。
「なに。つまり精神感応で動いているということか。想像していたより革新的な技術だな……」
「だいたいが天使核のお陰よ。こいつの特性を利用すればどんな武器だって作り放題みたいなもんさ」
「なるほどな……では尋ねるが、貴殿らの乗るガンシップには、一台当たりどれほどの天使核が……」
 ――武装談義が過熱する!この世界の技術について興味を持つルパートと、それに答える男たちのやる気がかみ合ったのだ。矢継ぎ早に質問を投げかけるルパートと答える男たちの間で濃密な問答が交わされる。
 そのような激論を交わすうち、沈み気味だった男たちの気分も旨く切り替えられたか、酒場の空気も和らいでいた。
「……すまないが、この串焼きを追加でもらえるか」
 その一方で、ルパートは酒場の女将へと料理の追加注文を行っていた。――否、この追加注文を行っているルパートは、ルパートではあるがルパートではない。彼とは別にもう一人のルパートは今この瞬間も男たちと武装や戦闘技術についての熱論を続けているのだ。
 このルパートは、彼がこの宴会において男たちとの会話と提供される料理の両方を楽しむためにユーベルコードを用いて作り出した仮初の肉体であった。
「それ、美味しそうですね。私にもお願いします」
 ルパートの注文に、チルも便乗した。
 なお、此処で注文されたのは山羊肉の串焼きである。岩塩やハーブをふんだんに使って香りと味をつけた山羊肉は、冷えたエールとの相性も抜群だ。
「うむ。……美味いな」
「そうですね、お酒も美味しいですし……見知らぬ土地の物は何でも美味しいものです」
「たしかに、ここの酒も悪くはありませんね」
 そしてルパートたちが山羊肉に舌鼓を打つ一方で、冬季は仙丹を齧りながらワインを嗜んでいた。
 仙丹は冬季自身がここへ持ち込んだものである。その味付けは――徹底的に、甘い。
 冬季はこう見えて絶大な甘党なのである。であるが故に、彼の舌先を満足させる食べ物は、なかなか見つからないのだ。そのため彼は常にこの仙丹のように彼の嗜好を満たせる甘味を携行しているのである。
「なんだいそりゃあ」
「菓子か?」
 冬季が仙丹を齧る様子に、見慣れぬものへの興味を抑え切れず数人の男たちが尋ねた。
「これですか?……仙丹ですよ。仙の力を高める霊薬です」
「へえ、そいつは凄い」
「私の好みに合わせているのでかなり甘いですが……一般の方が食べて身体を悪くするものは入っていません。食べてみます?」
「いいのかい?」
「ええ。どうぞ」
 冬季はにこやかな笑みを浮かべて興味を引かれた数人へと仙丹を分け与える。
「んじゃ、遠慮なく頂きま――甘ぇッ!!!!」
「甘ぇッ!!!!」
 ――そして、男たちの叫びが響き渡った。
「ははは。すみませんね、私は甘党なので。では、お口直しというわけではありませんが……式神たち、あれを」
 叫ぶ男たちの様子を面白がるように見届けた冬季は、続けて式神たちへと指示を出した。
『きゅう』
 狐に似た獣の姿をとった式神たちが、冬季の指示に従って店内を駆け回る。
 式神たちは皆一様に、芳しく香果実を抱えていた。――仙桃である。式神たちは店内の男たちや猟兵たちへとデザート代わりに仙桃を配って回った。
「今度はなんだい?」
「うちの名産の仙桃ですよ。よければどうぞ」
「……」
 受け取った男――仙丹のあまりの甘さに数秒前まで悶絶していた――が、やや疑るような目で渡された仙桃と冬季を見比べる。
「……仙丹ほど甘くはありませんから、ご安心を」
「うむ。これは美味いぞ」
 義透が仙桃を齧り、横から会話に口を挟んだ。果実に刻まれた噛み跡から芳醇な果実の香りがふわりと広がって、店内に満ちてゆく。
「……」
 その香りの誘惑にとうとう抗えなくなって、男たちもまたそれぞれに渡された仙桃に口を付け始めたのであった。
「……おお、こっちは美味え!」
「さっきの薬はとんでもねえ甘さだったが、こっちは上品な味だ……。仄かな酸っぱさと芳醇な香りがたまんねえ!」
「今度はお口に合ったようですね」
 打って変わって響く絶賛の声に、冬季は顔をほころばせた。

 かくして、酒盛りは更に賑わいを増してゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

メフィス・フェイスレス
さーて、さっそく祝勝会のご馳走をたかりに……行く前に

・医療施設を探し怪我したガンシップ乗り達の病室に真の姿でいきなり乗り込む

辛気くっさい顔してるわねぇ。折角の祝勝会だってのに

・文句を尻目にさっさとUCで怪我治療(脊椎損傷等にも対応、無くなった手足も生えるよ)

ほら、治ったならさっさと部屋出て行きなさい
祝勝会は此処で一番大きい酒場よ

・ガンシップ乗り達を病室から文字通り蹴り出し。文句を付けようと振り返るも幻だったかのようにもう居ない

ごめん、遅れたわ。ちょっと野暮用でね

・一足遅れ通常姿でしれっと祝勝会参加。後から到着した元怪我人達を中心に「謎の赤髪の女」に関する話題が上るも、もうご馳走にしか興味なし


チェルノ・アマキリ
ふぅ、猟兵としての初陣としてはまずまずかしら?
独りじゃ、こうも上手くいきそうはないのは課題だけど

さて、怪我をした人はいる?
アルコールじゃ痛みは誤魔化せても、傷は治らないわよ

呪療師の薬箱から薬草を取り出し【薬品調合】

各地の浮遊大陸で勝手に採取してきたモノとはいえ、一応は売り物だけど……
オブリビオンの被害も出て大変そうだし、お代はここの食事で良いわ
その代わり、しみても文句は聞かないわよ
煮詰めた薬草の汁(エグい色と匂い)を患部にダバーっと

さて、そもそもアタシはデゥームズ・デイの整備に来たのだけど……
このお祭り調子じゃそうもいかない、か
まあ良いのだけれど
急ぐ旅ではないのだし、一晩くらい泊まっていっても



「ふぅ……。猟兵の初陣としては、まずまずだったかしら?」
 チェルノ・アマキリ(f34095)はネージュの街を行く。
「独りじゃこうも上手くいきそうはない、っていうのは課題だけど……」
 やや思案気な顔をしつつ、チェルノがいま向かっているのは祝勝会の会場ではなかった。
 彼女が今目指しているのは、ネージュの街の診療所である。
 チェルノの本業は薬草売りである。そして、今回の案件である戦いの中で少なくない男たちがガンシップを落とされ、負傷した者も少なくない。
 彼女はそれを見舞うために負傷したガンナーたちの様子を見に向かっていたのだ。
「……あら?」
 ――と。そうしてチェルノが診療所の前へとたどり着いたその時である。
「おっと。アンタも見舞い?」
 先客であった。
 チェルノと同じタイミングで診療所を訪れていたのは、メフィス・フェイスレス(f27547)である。
「まあ、そんなところよ」
 ツギハギだらけのメフィスの身体を、チェルノはじと、と見た。
「アタシにはむしろアナタが入院患者に見えたわ」
「あっははは。よく言われるわ。……さて。こんなところに来たってことは、アンタも私と同じでしょ。さっさと用事済ませて、祝勝会のご馳走たかりに行きましょ」
「そうね」
 2人は頷きあい、そして診療所へと足を踏み入れた。

「さーて……と」
 メフィスは身体を作り替えた。ごきごきと音を立てて骨格が変異し、みぢ、と鳴る肉体がそのかたちを変えてゆく。
「うわっ何!?」
 目の前でかたちを変えたメフィスの様子に、チェルノが素っ頓狂な声をあげた。
「え?何って……姿を変えてるんだけど」
 その間に変異を終えた赤毛の女――『別の姿』へとかたちを変えたメフィスが、僅かに首を傾ぐ。
「なんで……?」
「いいからいいから。……さ。さっさと済ませるわよ」
 困惑するチェルノをよそに、赤毛の女――メフィスは、バアンと無遠慮に病室の扉を蹴破るように足で開けてどかどかと踏み込んだ。
「ウワッなんだァ!?」
「誰だ!?」
 室内に詰め込まれたベッドの上で、男たちが困惑に叫ぶ。
「……猟兵よ。お見舞いに来たわ」
 そして、メフィスの後ろからひょいと顔を出してチェルノが男たちへ声をかけた。
「見舞い……?」
「何よ。辛気くっさい顔してるわねぇ。これから折角の祝勝会だってのに」
 一方でメフィスは不躾に室内へと踏み込んでゆく。チェルノもそれに続いて病室へと入り込んだ。
「アタシは薬師よ。さっきの戦いで落とされて怪我してた連中でしょ、アナタたち」
「ああ……いやあ、情けない限りさ」
「そうね」
 そしてチェルノは薬箱を開いた。そこには、彼女がこのブルーアルカディアの世界を渡り歩き、各地の浮遊大陸で採取していたいくつもの薬草と、それを加工した薬が詰められている。
「一応は売り物だけど……オブリビオンの被害も出て大変そうだし、お代は祝勝会の食事で良いわ」
 そしていくらか見繕った薬を手に取り、チェルノはベッドに横たわる男たちのもとへと近寄った。
「その代わり、しみても文句は聞かないわよ」
「えっ、なに。なんだそれは――」
 チェルノの手に握られたのは、どろりとした暗褐色の薬品が詰まったフラスコである。彼女が独自の調合を行い作り上げたものだ。薬草の汁を煮詰めたもの、とも言う。
「良薬は口に苦いし、あと……しみるものよ。はい、覚悟して」
 そして、チェルノは負傷した男たちの患部へとそれをだば、とかけて回った。
「それじゃ、私もやらせてもらうわね。こっちのお代も祝勝会のご馳走でいいわ」
 続けて、メフィスはその身にユーベルコードの出力を高めた。漏れ出したエネルギーの片鱗が、白い花びらに似たかたちとなって可視化され、周囲へと漏れ出る。
「塵は塵に、灰は灰に……」
 そして、病室を満たしたその光は、負傷した男たちの治癒力を引き上げたのである。
「……お、おお!?」
「なんだこりゃ……治ったのか!?」
「す、すっげえ、どんな魔法――」
 急激な体の変化に男たちが困惑する。消えた痛みと動く手足。怪我が治癒した喜びよりも先に状況の変化に追いつけない困惑がきていた。
「治ったわね。じゃ、さっさと出ていきなさい。祝勝会、行くんでしょ?」
 メフィスはそんな彼らの尻を蹴って病室から叩き出す。
「……そういう魔法を使われちゃ、薬師の立場がないんだけど?」
「相乗効果よ、相乗効果。アンタの薬が効いたのもあるでしょ。……そんなことより、祝勝会よ!さっさと行かなきゃ食いっぱぐれるわ」
 そして2人は素早く病室を後にした。無論ここから向かう先は祝勝会の会場である酒場だ。
 ――その道中、メフィスは再び身体を変異させ、もとのツギハギの姿へとかたちを戻した。
「別にアタシはどっちでもいいし、そもそもアタシは飛空艇の整備に来たのだけど……」
「今はそういう空気じゃなさそうね」
 ぼやくように呟いたチェルノの声に笑みを漏らし、そしてメフィスは通りの向こうから漏れ聞こえる祝勝会の騒ぎに耳を澄ませる。
「たしかに……このお祭り調子じゃそうもいかない、か」
 ため息交じりにチェルノが呟く。
「人生、ままならないことの方が多いわよ。こういうときは楽しんで過ごす方が吉ね」
「まあ、良いのだけれど……そうね。急ぐ旅ではないのだし、一晩くらい泊まっていっても」
「それがいいわよ。そうしなさい」
 そうして、2人は会場である酒場へとたどり着いたのであった。
「ごめん、遅れたわ。ちょっと野暮用でね!」
「アタシたちの食べる分、まだ残ってるかしら?」
 メフィスとチェルノを加え、祝勝会の夜は更けてゆく。

 ――かくして、ネージュの浮島における屍人帝国との戦いの記録は幕を閉じる。
 しかし、このブルーアルカディアの空での戦いはまだ始まったばかりだ。
 猟兵と勇士たちの戦いは、続くのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年08月08日


挿絵イラスト