10
空飛ぶ世界の冒険者達~封印の浮島と食いしん坊ドラゴン

#ブルーアルカディア #空飛ぶ世界の勇士達

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ブルーアルカディア
#空飛ぶ世界の勇士達


0




● 封印の島のドラゴン
 ブルーアルカディアの一角に、小さな浮島があった。
 浮島の中央には、朽ちた古城。長い間風に晒された城はあちこちが崩れ落ち、かつての栄華を伝えるものはほとんど残されていない。
 古城にしがみつくように生えた木々とわずかに生き残った生き物達、中庭の噴水から湧き出す水。それだけしかない廃墟の城に、動く影があった。

 廃墟の城の最深部にほど近い通路からひょっこり顔を出したのは、一頭のドラゴン。体長50センチくらいの大きさの青い目をした純白のドラゴンは、目の前を通り過ぎようとするトカゲをぱくりと食べた。少しお腹は満ちるけれど、これじゃまだまだ足りない。生まれて初めて感じる「飢え」に、白いドラゴンは不安そうに視線をさ迷わせた。
 あちらを見ても石。こちらを見ても石。食べ物がこんなに無い場所は初めてだった。

 白いドラゴンに名前はない。物心ついた時からこの古城にいて、自分以外の知的生命体と出会ったことは一度もなかった。
 だが、白いドラゴンはそれを寂しいと思ったことはない。生まれた時から一匹だけで生きていたから、寂しいすら分からないのかも知れない。
 ここには天敵もいない。天変地異もない。喉が渇けば噴水の水を飲み、お腹が空いたら鳥や獣を狩り、甘いものが欲しければ木々に実った果実を食べ。どこで寝ても凍えることはなく、朽ちた古城は格好の遊び場だ。
 食べたい時に食べ、眠りたい時に眠り、遊びたい時に遊び。
 この古城からは出られないが、白いドラゴンはおおむね満足に生きていた。

 その日も、白いドラゴンは古城探検に出掛けていた。大きな廃墟も、長い時間掛けて探検していればもう庭も同然。最後に残された奥の奥に行ってみよう。気まぐれを起こして入り込んだが、見慣れたはずの古城はどんどん知らない色を帯びていく。
 お腹がすいたし、もう帰ろうか。でもここまで来て何もなかったではつまらない。
 それに、途中の罠を抜けられたのは偶然だ。次にここに来れるかは分からない。
 好奇心に急かされた白いドラゴンは、ついに古城の最深部へと辿り着いた。

 そこには、金色があった。鳥の卵を大きくしたような形の金色は宙に浮き、キラキラと輝いている。
 その金色は、面白い模様をしていた。白いドラゴンの翼と似た羽を身体にピッタリとくっつけた、なんだかのっぺりとしたものは長い手足を折り畳んでいるようで。空中に浮く金色に、白いドラゴンは声を掛けた。
「きゅう!」
 白いドラゴンが掛ける声に、金色は応えない。近づいて鼻先でつついても、ぴくりとも動かない。しばらく遊んでみたけれど、やっぱり何も動かない。
 きっとこれは木の実だろう。外の木に成る木の実だって、鼻でつついても声を掛けても何も反応しない。だからこれは木の実だ。木の実だったら食べていい。
 そう結論づけた白いドラゴンは、大きな口を開けると、金色の実をぱくりと食べた。

● グリモアベースにて
「……って、それは天使核ってんだよ!」
 自分が見た光景を一通り説明し終えたリュート・アコルト(竜騎士・f34116)は、額に指を当てると大きなため息をついた。
「まあ、この白いドラゴンが知らないのは仕方ねえとしてもだ。白いドラゴンが天使核を食っちまったせいで、この古城がある浮島の封印が解けちまったみたいなんだ。そして、このドラゴンと天使核を狙ってオブリビオンが攻め入ってくる。皆で行って、助けてやってくれねえか?」
 リュートの頼みに、集まった猟兵達は大きく頷く。嬉しそうに笑みを浮かべたリュートは、周囲の状況を詳細に伝えた。

 この浮島の周囲は、常に大嵐が吹き荒れていた。巨大な積乱雲はそこかしこに存在し、横殴りの雨に視界は悪い。炸裂する雷はいつ落ちるか分かったものではなく、小さな浮島が風に煽られ飛空艇を殴りつけにかかる。
 オブリビオンさえ遠ざける空域だったのだが、白いドラゴンが天使核を食べてしまったことで嵐の影響は弱まっている。だが、嵐であることに変わりはない。まずはここを踏破し、浮島を目指して欲しい。

「皆を乗せる飛空艇の手配はできてる。やってほしいのは飛空挺の護衛と先導だ。飛んでくる岩や雷を避けながら、浮き島を目指す道を切り開いてやってくれ。自力で飛んでもいいし、飛空艇乗りに声を掛ければ協力してくれるはずだぜ。よろしく頼むぜ、皆!」
 力強く頷く猟兵達にリュートはにかっと笑うと、グリモアを発動させた。


三ノ木咲紀
 オープニングを読んでくださいまして、ありがとうございます。
 念願の! 待ちに待ったお空の世界の冒険へとご案内します。
 この浮島にいるドラゴンを巡る、続き物の第一作目となる予定です。協力してくれる飛空艇乗りの冒険者達も、常に同じ予定です。
 お声掛けがあれば出てきます。フレーバーとして活用していただければ幸いです。

 飛空艇シザンサス
 ルシアス 人間 男 無口無愛想な青年剣士。船長。翔剣士。
 リン   ガレオノイド 女 物腰柔らか。年齢を聞くとニッコリ怒る。航空士兼メカニック。
 カナン  エンジェル 女 明るく賑やかなかしまし娘。ディバインウィザードの飛空艇パイロット。
 サフラン 召喚獣 男 気は優しくて力持ちのモフ好き。飛空艇パイロット。
 ラビ   召喚獣 女 兎耳。語尾が独特で飛ぶのが大好き。飛空艇パイロット。
 サイ   召喚獣 男 サイの姿の元軍人。お喋り好き。ロケットナイトの飛空艇パイロット。

 第一章は冒険です。
 乱気流踏破行です。大冒険の幕開けですね!
 飛空艇乗りの後ろに乗せて貰っても良いですし、自前の羽やユーベルコードで飛んでも構いません。
 なんとかしますので、飛空艇乗り達の被りは気にしなくて大丈夫です。
 飛んでくる岩を破壊したり気流に乗って先行して偵察したり。だいたいそのようになりますので、ご自由にプレイングをお掛けください。

 第一章のプレイングは7/20朝8:31~7/22夜12時頃まで。それ以降はロスタイムです。
 それでは、良き空の冒険を。
143




第1章 冒険 『嵐を越えていけ!』

POW   :    意地と根性と気合いで乗り越える

SPD   :    卓越した操舵/操縦技術で乗り越える

WIZ   :    経験に裏打ちされた知恵で乗り越える

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※訂正
 カナン  エンジェル 女 明るく賑やかなかしまし娘。【ディバインウィザード→クリスタルサモナー】の飛空艇パイロット。

また、ここに出てきていない乗組員も、プレイングにありましたらそんな感じで出てきます。
※ 追記
 今後、小型の飛空艇はセイルフローター、大人数が乗る飛空艇は飛空艇と呼称します。
 また、「空飛ぶ世界の冒険者たち」としていた共通タイトルを「空飛ぶ世界の勇士たち」と改めます。
 世界設定の確認が甘く、大変失礼しました。
● 巨大な岩と乱気流
 巨大な稲光が、暴風吹き荒れる暗い空域に鋭い光を投げつけた。
 直後に鳴り響く雷鳴。吹き荒れる嵐は勢いを増し、横殴りに叩きつける雨粒は痛いくらいに打ち付けてくる。
 大嵐の空を飛行する飛空艇シザンサスの甲板に立ったビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)は、全身を強く叩きつける雨粒に目を細めた。
 激しく打ち付ける嵐は情報通りの激しさで、息をするのも難しい。目をすがめたビスマスは、手で目を守りながら乗組員のサイを振り返った。
「凄い嵐ですね! サイさん、ブルーアルカディアは、嵐だとこんなに荒れるんですか?」
「いや、ここまで酷いのがずっと続くなんてあまり無いでありますな! このままじゃいつ岩石が飛んできても対応し切れないであります!」
 同じく打ち付ける雨から目を防御するサイに、ビスマスは頷いた。これだけの大嵐に囲まれた空域の中心にいるのだ。生まれた時から古城にいるという白いドラゴンが外へ出られず誰にも会わず、天使核の知識も無いのは仕方が無いだろう。
「その白いドラゴンさん、天使核を食べたんですよね? その子大丈夫なのでしょうか? ……そんな意味でも心配ですが」
「天使核というのは、言うなればこの世界のオブリビオンの心臓でありますな。汚染と暴走の危険は常にありますぞ。それを生身のドラゴンが食べたとなれば、どんな影響が出るか正直分かりませぬぞ」
「その天使核を狙ってオブリビオンが先行してるんでしょう? じゃあ急がないと!」
「ま、待つであるビスマス殿! 自分も行くのであります!」
 慌てたように手を伸ばすサイの声に構わず、ビスマスは一気に駆け出した。
 気まぐれに向きを変える風を全身に受けながら、ビスマスは走る。甲板縁の手すりに向かうビスマスは、走りながら腰に装備したディメイション・ローカルドライバーにカードを通した。
『Namerou Hearts Blazing Gaiwhale!』
 甲板に響く機械音声を合図に、ローカルドライバーに力が集まるのが分かる。わずかな振動に起動を確認したビスマスは、手すりに手をつくと躊躇なくヒラリと乗り越えた。
 止める暇もあればこそ。甲板を蹴り空中に躍り出たビスマスは、直後に感じる落下の無重力に息を飲みながらも、最後の節を詠唱した。
「超弩級鯨艦鎧装、転送!」
 その直後。稲光ではない光が飛空艇の隣に生まれ、光球となりビスマスを包み込む。光が消えたのと同時に現れたのは、超弩級鯨鎧装艦ブレイジング・ガイホエールの姿だった。
 巨大な鯨型戦艦の姿になったビスマスは、飛空艇の隣に並走すると一気に加速した。先陣を切り宙を駆けたビスマスは、雲の隙間からふいに現れた巨大な岩に全砲口を向けた。
「コバンザメ・ホーミングミサイル、ファイヤー!」
 声と同時に放った108発のホーミングミサイルが、岩石に向けて一斉に放たれる。迫りくる巨大な岩は直後、大爆発を起こした。直撃すれば飛空艇を粉々に破壊してしまう巨大な岩は、轟音を立てて小さな岩に砕かれ後方へと遠ざかる。ホッと息をついたのもつかの間。岩石の後ろに隠れていた2つ目の岩石が、ビスマスの眼前に迫った。
 咄嗟に抜いたご当地主砲(関東牛刀)を、思い切り振りかぶる。全身を大きくしならせたビスマスは、構えた関東牛刀を思い切り振りかぶり、振り下ろした。
「二枚おろしにしてあげます!」
 一閃した関東牛刀が、岩石を切り裂く。二つに割れた岩石は、思い出したように左右に飛んでいった。
 そのうちの一つが、風に煽られ飛空艇へと向かっていく。目を見開いた時、隣を飛ぶサイが動いた。
「ROCKET DIVE! 背中は任せるであります!」
 詠唱を完成させたサイが、飛空艇に迫る巨大な岩を体当たりで打ち砕く。バラバラと弾け飛ぶ岩に、ビスマスはヒレを挙げた。
「ありがとうございます、サイさん!」
「なんの! ビスマス殿のおかげでありますですからに!」
 視線を交わして頷きあった二人は、続けて飛び来る岩石に向けて飛翔した。
ビスマス・テルマール
その白いドラゴンさん、天使核を食べたんですよね?その子大丈夫なのでしょうか?……そんな意味でも心配ですが

●POW
『早業』UC発動でグランホエールになり
鯨鎧装艦のテストも兼ね

飛空艇の皆さんを先陣切って『空中戦&空中機動』で駆け『オーラ防御』を『範囲攻撃』で広域展開し『盾受け』守りつつ障害物の排除と護衛

サイさんと連携しつつ

艦の海洋生物武装は今回はこれ
【海洋生物武装『コバンザメ・ホーミングミサイル』】を108発『砲撃&レーザー射撃』と一緒に『一斉発射』し障害物や岩を破壊

他にも【ご当地主砲(関東牛刀)】で『レーザー射撃&切り込み&なぎ払い』で魚を卸す様に岩を切断してみたりも

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎



● 巨大な岩と乱気流
 巨大な稲光が、暴風吹き荒れる暗い空域に鋭い光を投げつけた。
 直後に鳴り響く雷鳴。吹き荒れる嵐は勢いを増し、横殴りに叩きつける雨粒は痛いくらいに打ち付けてくる。
 大嵐の空を飛行する飛空艇シザンサスの甲板に立ったビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)は、全身を強く叩きつける雨粒に目を細めた。
 激しく打ち付ける嵐は情報通りの激しさで、息をするのも難しい。目をすがめたビスマスは、手で目を守りながら乗組員のサイを振り返った。
「凄い嵐ですね! サイさん、ブルーアルカディアは、嵐だとこんなに荒れるんですか?」
「いや、ここまで酷いのがずっと続くなんてあまり無いでありますな! このままじゃいつ岩石が飛んできても対応し切れないであります!」
 同じく打ち付ける雨から目を防御するサイに、ビスマスは頷いた。これだけの大嵐に囲まれた空域の中心にいるのだ。生まれた時から古城にいるという白いドラゴンが外へ出られず誰にも会わず、天使核の知識も無いのは仕方が無いだろう。
「その白いドラゴンさん、天使核を食べたんですよね? その子大丈夫なのでしょうか? ……そんな意味でも心配ですが」
「天使核というのは、言うなればこの世界のオブリビオンの心臓でありますな。汚染と暴走の危険は常にありますぞ。それを生身のドラゴンが食べたとなれば、どんな影響が出るか正直分かりませぬぞ」
「その天使核を狙ってオブリビオンが先行してるんでしょう? じゃあ急がないと!」
「ま、待つであるビスマス殿! 自分も行くのであります!」
 慌てたように手を伸ばすサイの声に構わず、ビスマスは一気に駆け出した。
 気まぐれに向きを変える風を全身に受けながら、ビスマスは走る。甲板縁の手すりに向かうビスマスは、走りながら腰に装備したディメイション・ローカルドライバーにカードを通した。
『Namerou Hearts Blazing Gaiwhale!』
 甲板に響く機械音声を合図に、ローカルドライバーに力が集まるのが分かる。わずかな振動に起動を確認したビスマスは、手すりに手をつくと躊躇なくヒラリと乗り越えた。
 止める暇もあればこそ。甲板を蹴り空中に躍り出たビスマスは、直後に感じる落下の無重力に息を飲みながらも、最後の節を詠唱した。
「超弩級鯨艦鎧装、転送!」
 その直後。稲光ではない光が飛空艇の隣に生まれ、光球となりビスマスを包み込む。光が消えたのと同時に現れたのは、超弩級鯨鎧装艦ブレイジング・ガイホエールの姿だった。
 巨大な鯨型戦艦の姿になったビスマスは、飛空艇の隣に並走すると一気に加速した。先陣を切り宙を駆けたビスマスは、雲の隙間からふいに現れた巨大な岩に全砲口を向けた。
「コバンザメ・ホーミングミサイル、ファイヤー!」
 声と同時に放った108発のホーミングミサイルが、岩石に向けて一斉に放たれる。迫りくる巨大な岩は直後、大爆発を起こした。直撃すれば飛空艇を粉々に破壊してしまう巨大な岩は、轟音を立てて小さな岩に砕かれ後方へと遠ざかる。ホッと息をついたのもつかの間。岩石の後ろに隠れていた2つ目の岩石が、ビスマスの眼前に迫った。
 咄嗟に抜いたご当地主砲(関東牛刀)を、思い切り振りかぶる。全身を大きくしならせたビスマスは、構えた関東牛刀を思い切り振りかぶり、振り下ろした。
「二枚おろしにしてあげます!」
 一閃した関東牛刀が、岩石を切り裂く。二つに割れた岩石は、思い出したように左右に飛んでいった。
 そのうちの一つが、風に煽られ飛空艇へと向かっていく。目を見開いた時、隣を飛ぶサイが動いた。
「ROCKET DIVE! 背中は任せるであります!」
 詠唱を完成させたサイが、飛空艇に迫る巨大な岩を体当たりで打ち砕く。バラバラと弾け飛ぶ岩に、ビスマスはヒレを挙げた。
「ありがとうございます、サイさん!」
「なんの! ビスマス殿のおかげでありますですからに!」
 視線を交わして頷きあった二人は、続けて飛び来る岩石に向けて飛翔した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桜雨・カイ
羽を描いて飛ぶ方法もありますが、今回は先が読めないので飛空挺で。
サフランさん、偵察したいので後ろにのせてもらっていいですか?
飛んでくる石などはこちら(想撚糸)でも防ぎますね

移動しながらサフランさんとお話
普段も色々な浮遊大陸をまわってたりするんですか?

もふもふ好きなんですか!?いいですよね、もふもふ(にこにこ)
この辺りにはどんな生き物がいるんですか?

…おっと今は偵察が優先でした
浮島を上から見て全体を確認しつつ、飛空艇が近づけるルートを探しましょう
お城があるようですがだいぶ朽ちてますね…白いドラゴン以外に今は誰もいないんでしょうか?



● こんなところにモフリスト
 岩石群を抜けた飛空艇シザンサスの甲板に立った桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)は、落ち着く気象に周囲を見渡した。
 さっきまで立っていられないほどの暴風雨が吹き荒れ岩石が飛び交っていたのが、まるで台風の目のように静かになっている。甲板から身を乗り出したカイは、雲の間から見え隠れする朽ちた古城の姿に目を凝らした。
 あそこまで行ってみよう。上陸はできないまでも、少しでも情報は集めておかなければ対応が遅れてしまうかも知れない。
 カイは振り返ると、甲板でセイルフローターの準備をしていたサフランに歩み寄った。
「サフランさん。あの雲の間に見えるのは古城ですよね? 偵察に行きたいのですが、乗せていただけますか?」
「偵察? いいねいいね! 偵察のサフランが今から行こうと思ってたところなんだ。カイの兄さんがよく見てくれたら、セイルフローターの操縦に集中できてありがたい」
「そうですか。それは良かった」
「さ、乗ってくれカイの兄さん! この凪は長く続かないからな!」
「はい!」
 頷いたカイは、セイルフローターの後ろに乗り込む。直後にふわりと浮いたセイルフローターは、飛空艇の甲板を離れると古城へと向かって飛翔した。
 一見凪に見えた気流は荒く、セイルフローターを大きく揺さぶってくる。乱気流としか思えない気流に乗ったセイルフローターは、まるで波乗りをするように器用に古城へと近づいていった。
「すごいですね! もっと荒々しいかと思っていました」
「ふっふっふ。このサフラン、伊達に長年空を飛んでないからな!」
「普段も色々な浮遊大陸をまわってたりするんですか?」
「そうだな。この世界じゃまだあまり回れてないなぁ」
「この世界?」
 首を傾げるカイに、サフランは頷いた。
「そう。俺やサイの旦那やラビ嬢は、カナンの嬢ちゃんに召喚されてこの世界に来たんだ。召喚獣だからな」
「そうなんですか」
「おうよ。でもまあ、この世界にもモフはたくさんいるから寂しくはないな」
「もふもふ好きなんですか!? いいですよね、もふもふ」
 顔をぱあっと明るくしたカイは、にこにこしながら頬を綻ばせた。心からモフを愛するカイのワクワクした声に、サフランも声を弾ませた。
「お、カイの兄ちゃんもモフリストかい? いいよなぁもふ!」
「ええ! あったかくて柔らかくて、なでなでしていると心がやすらぎます」
「分かる! 元の世界でもモフ好きのサフランと呼ばれてたからな! ここから少し離れた島にいる猫なんて、それはもうモフがモフして」
「この辺りにそんな生き物がいるんですか? いいですね! 今度ぜひモフりたいです!」
「おお! ぜひともあのモフを堪能させてやりてぇ!」
 思わぬところにいた同志に、モフリスト談義に花が咲く。楽しく話していたカイは、大きく煽られるセイルフローターに慌てて身体を支えた。
「……おっと今は偵察が優先でした」
 花開いたモフ談義から意識を戻して心を落ち着かせたカイは、遠くに見える古城をよく観察した。
 高い尖塔を持つ白い古城はあちこちが崩れ落ちているが、優美な雰囲気は感じ取れた。一番高い城の壁に描かれた大きな紋章はドラゴンを象っているように見えて、なにか重要な意味があるのだろう。もっとよく見ようと目を凝らしたが、すぐに雲の間に隠れて見えなくなる。
「お城があるようですがだいぶ朽ちてますね……。白いドラゴン以外に今は誰もいないんでしょうか?」
「さてなあ。さすがのサフランも、そこまでは分からねぇよ」
「そうですね。……このまま直接は行けないんですか?」
「うーん……」
 カイの問に、サフランは額の上に手を当てるとじーっと目を凝らした。眉間に皺を寄せてしばし。ゆっくり頭を振ったサフランは、小さくため息をついた。
「いや、無理だな。風読みのサフランの勘じゃこの先、大きな飛空艇が横付けできるほど風は凪いじゃいない。リンの姉御が近寄らないのがいい証拠だ」
「そうですか。仕方ありませんね」
 カイが頷いた時、セイルフローターが大きく煽られた。また風が荒れてきたのだ。最後に全体を見渡したカイは、荒れてくる空にその場を後にした。 

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒影・兵庫
(「これで威力が弱まっているってマジなの!?黒影!{皇糸虫}を『念動力』で操作して船と体を結んでおくけど何かに捕まっておきなさい!」と頭の中の教導虫が話しかける)
わかりました!せんせー!
(「でもこのままだとこの飛空艇自体が壊れるわね・・・」)
なら『電撃耐性』を付与した『オーラ防御』で船体を保護します!
飛んでくる岩は『衝撃波』で弾き飛ばせば
嵐を乗り切れるはず!
(「船体丸ごとガードするとなると長時間は無理よ!?大丈夫なの!?」)
問題ありません!
こんな無謀な依頼を引き受けてくださったパイロットの皆さんです!
俺たちがへばる前に余裕で抜けきれますよ!
(UC【脳内教室】発動)


御園・桜花
「多少の障害なら打ち砕いて見せましょう。戦場デリバリーにお任せあれ」

UC「出前一丁・弐」使用
飛空艇に先行して飛行
飛空艇に被害を与えそうな障害物を発見したらケータリングカーで突進し正面から激突して障害物を破壊又は進路を変更させて飛空艇を守る
それ以外の障害物は第六感や見切りで躱すように操縦
障害物情報は適宜飛空艇にも連絡し飛空艇から優先排除の依頼があればケータリングカーで激突して進行方向を変えておく

「シャシーもエンジンも換装済みですから、うふふ。陸と空のデリバリーは完璧です…水中は、未だですけれど」
「勿論車内はきっちり固定した食材満載です。島に着いたら、皆さんにもドラゴンにも充分お振るまいしますね」



● 兵庫と教導虫
 一時の凪は終わり、再び勢いを増した嵐が飛空艇に襲いかかってくる。真っ暗になった視界の全方位から叩きつけるような雨と風に晒された黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は、一瞬浮いた足元に慌てて手すりに手を伸ばした。
 その足元が突然揺れる。足元を掬われた兵庫は手すりを掴みそこね、吹き荒れる突風が背中を大きく煽る。内臓がひっくり返るような浮力に、兵庫は目を見開いた。飛空艇の下はどこまでも広がる空。受け止めてくれる大地があるかどうかさえ分からない。
 これは落ちたな。そう思いながらも伸ばした手を、白い手が掴んだ。
「兵庫さん!」
 自前のケータリングカーに乗り空を飛んだ御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)が、窓から大きく身を乗り出して兵庫の手を掴む。辛うじて落下を免れた兵庫の脳内に、ひどく焦った声が響いた。
(「黒影!」)
 兵庫の脳内に寄生する教導虫・スクイリアの声だ。ひどく焦った声は、兵庫の頭の頭の中から更に指示を出した。
(「{皇糸虫}を『念動力』で操作して船と体を結んでおくわ。でも確実じゃないから何かに捕まっておきなさい!」)
「わかりました! せんせー!」
「ええっ!? 私はせんせーじゃありませんよ!?」
「いえ、今のは頭の中のせんせーに返事しました!」
 口の中に雨が入ってくるのも構わずに返事をした兵庫は、手の毛穴から出てくる無数の白い糸が甲板の手すりに向けて伸びるのを見下ろした。やがて手すりと兵庫を固定した白い糸の長さが短くなり、宙に浮いた兵庫をゆっくりと甲板へと導く。それに合わせるように高度を下げた桜花は、甲板に着地すると安堵の息を吐いた。
「良かった。落ちそうになった時にはどうしようかと思いました」
「助かりました、桜花さん! ありがとうございます!」
 礼儀正しく頭を下げた兵庫は、桜花が乗るケータリングカーを興味深そうに眺めた。公園などで軽食を販売する時によく見かける車だが、ユーベルコードで強化されているのだろう。そこかしこから漂う強者感に目を輝かせた。
「その車、空も飛べるんですか? カッコいい……!」
「そうなんです。シャシーもエンジンも換装済みですから、うふふ。陸と空のデリバリーは完璧です。……水中は、未だですけれど」
「水中もできたら完璧じゃないですか! 今度ごちそうになりましょうよ、せんせー!」
(「それはいいけど、今はまだ嵐の中よ黒影」)
 呑気な会話に呆れたような声が、兵庫の脳内に響く。その声に答えるように、岩が飛空艇にぶつかってきた。
 揺れる甲板に、掴む手すりに力を込める。勢いを増す嵐に、脳内にスクイリアの声が響いた。
(「でもこのままだとこの飛空艇自体が壊れるわね……」)
「なら『電撃耐性』を付与した『オーラ防御』で船体を保護します! 飛んでくる岩は『衝撃波』で弾き飛ばせば嵐を乗り切れるはず!」
 拳をギュッと握り締めた兵庫の脳内に、怪訝そうな声が響く。
(「船体丸ごとガードするとなると長時間は無理よ!? 大丈夫なの!?」)
「問題ありません! こんな無謀な依頼を引き受けてくださったパイロットの皆さんです! 俺たちがへばる前に余裕で抜けきれますよ!」
「ええと、兵庫さんが飛空艇の防御をしてくれる、んですか?」
 兵庫の声しか聞こえていない桜花が、戸惑ったように首を傾げる。頼もしそうに桜花を見た兵庫は、信頼の目で頷いた。
「はい! 防御は俺とせんせーで固めますから、桜花さんは飛んでくる岩をお願いします!」
「分かりました。車内はきっちり固定した食材満載ですから、島に着いたら充分お振るまいしますね。兵庫さんにもせんせーさんにもドラゴンにも」
「楽しみにしてるっす!」
 嬉しそうに頷く兵庫に、桜花のケータリングカーがヒラリと宙を舞う。その後姿を見送った兵庫は、飛空艇全体を守るようにオーラ防御を展開した。

● 安全運ぶ戦場デリバリー
 淡いオーラに包まれる飛空艇を見守った桜花は、甲板から飛び出すと空中へと躍り出た。飛空艇は再び岩石が飛び交う空域に差し掛かったようで、風に煽られた大小様々な岩石が不規則に回転しながら飛空艇に襲いかかってくる。
 戦場全体を見渡した桜花は、飛来する巨大な岩に加速すると飛空艇の前に躍り出た。
「こんなこともあろうかと、ケータリングカーのシャシーと搭載エンジンは改造済みですの、うふふ。さあ、戦場デリバリーと参りましょう」
 楽しそうに微笑んだ桜花は、ハンドルを握り締めるとアクセルを踏み込んだ。岩石に対してあまりにも小さなケータリングカーは、そのまま質量差で押しつぶされそうに見えた。
 真正面から真っ直ぐに駆け抜けたケータリングカーが、岩石に激突する。力が拮抗してしばし。破壊されたのは岩石の方だった。動きを止めた岩石は、桜花のケータリングカーが激突した場所を中心に放射状にヒビが入り、思い出したように割れて砕ける。小さくなった岩石は風に煽られ飛空艇にいくつも叩きつけられるが、兵庫のオーラ防御に弾かれて損傷は軽微のようだ。
 ホッと息をついた桜花は、ぞわりとする嫌な予感にケータリングカーの高度を下げた。間一髪飛んでいった岩石はケータリングカーの頭上を通り抜けるが、すぐ斜め前から次の岩石が飛来する。息つく暇もなく飛んでくる岩石を回避し、あるいは軌道を変えて飛空艇を守った桜花は、視界の端に見えた岩石に急いで船橋に繋いだ。
「リンさん! 右舷2時方向から巨大岩石! 回避をお願いします!」
『分かりました!』
 操舵手の声が通信機から響いた直後、飛空艇の船体が大きく動く。巨大岩石を回避しようと必死の操舵が続いているのだろう。だが、回避はし切れない。ここからでは位置が悪くて桜花にも破壊は難しいだろう。
 急いで向かった桜花は、岩石が軌道を変えるのを見た。兵庫が衝撃波で弾き飛ばしたのだ。できた隙間に潜り込んだ桜花は、勢いよく岩石に突進すると軌道を変えさせようとエンジンを吹かした。
「飛空艇は、破壊、させません!」
 桜花と兵庫の軌道修正の攻撃に、飛空艇と岩石が徐々に離れていく。遠くへ飛んでいった巨大岩石の姿に胸を撫で下ろす桜花に、船橋から安堵の声が響いた。
『ありがとうございます、桜花さん、兵庫さん!」
「これもせんせーのおかげですから!」
「多少の障害なら打ち砕いて見せましょう。戦場デリバリーにお任せあれ」
 親指を立てて健闘を称え合った桜花は、エンジンを吹かすと再び周囲の警戒に入った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

秋山・軍犬
※リンさんの後ろに乗せてもらいます

軍犬「おかしい、料理人や解体師の
紹介が無かった…」

魔獣剥ぎ取りグルメ旅なブルーアルカディアで
こんな事が許されるのだろうか…?

ナンシー「そういうの後で良いから、仕事して?」

ジョン「あ、リンさん 航空師でメカニックですよね?
とりあえず、この空域の比較的安全なルート情報(航空図)と
(カクリヨファンタズムで)ガチもんの雷避けの御札を
仕入れときましたんで、使って下さい」

御札はともかく、この空域の情報なんて
何時何処でどうやって仕入れたんすか?

…で、軍犬の仕事は?
あ、浮島とかが接近してきたら肉体労働で
如何にかする的なお仕事っすか…頑張ります
(覇気+怪力+グラップル+空中戦)



● グッドナイト・イェーガーショッピング
 岩石群最大の山場を乗り切り安堵の息が漏れる船橋で、秋山・軍犬(悪徳フードファイター・f06631)は、改めて飛空艇の乗組員一覧を読み込むとわなわなと拳を握り締めた。
「そ、そんなことってあるっすか……?」
「軍犬さん? どうかされましたか?」
「おかしい、料理人や解体師の紹介が無かった……。魔獣剥ぎ取りグルメ旅なブルーアルカディアで、こんな事が許されるのだろうか……?」
 なにしろこの世界は、美味しい……もとい、危険な魔獣がゴロゴロいるのだ。職業として魔獣を狩る者たちがいるというのに、この飛空艇の船員紹介の中に最も重要な職業を持つ者がいない。いないのだ。
「魔獣解体士ですね。少し前まではいたのですが、色々あって旅に出てしまいました」
 軍犬の指摘に切なそうに頬に手を当てたリンは、仏頂面で空図を睨む船長をチラリと見ると小さく微笑んだ。
「代わりに船長に資格でも取らせましょうか? それか、どなたかスカウトするのもいいですね」
「そうだな」
 憮然とした表情で腕を組む船長に、軍犬も同じく腕を組んだ。そう。このブルーアルカディアではグルメ旅というのが一つの大きなテーマなはずだ。何かと忙しい猟兵の代わりに素材を剥ぎ取り、解体して肉にしてくれる勇士の一人や二人や三人や四人、いてもいいはずだ。いやいなければならない。なぜならば。魔獣の肉を解体してくれなければ、美味しくいただけないからだ!
「深夜の猟兵通販の品揃えにも影響出るっすから! という訳で、次の冒険までに頼んだっす! さあ盛り上がって参りましたグッドナイト・イェーガーショッピング! 続いてのアイテムはこちら!」
 いつの間にかド派手なジャケットを羽織った軍犬は、マイクを空中に大きく振り上げた。同時に流れてくる音楽。船橋にできた舞台の上に流れてくる軽快な音楽と拍手喝采のSEとともに、一組の男女が現れた。金髪碧眼リーゼントでメリケンハッハー! な男は上手から、ボン、キュ、ボン! な金髪美少女は下手から、自らをアピールするように真ん中のスタンドマイクに歩み寄るとビシッとポーズをキメた。
「ジョンと」
「ナンシーの」
「「グッドナイト・イェーガーショッピングぅ~!」」
 派手な音楽と共にポーズを決めたジョンとナンシーは、突然の出来事に対応できないリンをよそに台に置かれた二枚の紙を得意げに掲げた。
「さて今日の目玉商品はこちら!(wow!) この空域の比較的安全なルート情報(航空図)さ!」
「ねえジョン。このもう一枚はなあに?」
「こっちはカクリヨファンタズムで仕入れたガチもんの雷避けの御札だよナンシー。どっちも航空士でメカニックなリンさんの役に立つはずさ♪」
「安全にこの空域を抜けられるなら、お値段はタダ! 命の値段ならお安いわね!」
「まあ、ありがとう」
 辛うじて我を取り戻したリンは、にっこり微笑むと受け取った航空図に目を落とした。そのあまりの正確さに、柔らかな笑顔を浮かべた目に真剣な光が宿る。偵察に出た猟兵達の情報を元にマッピングしながら作っていた航空図と一致し、更に先まで描かれている。
「これは……」
「ふむふむ。ところでジョン。御札はともかく、この空域の情報なんて、何時何処でどうやって仕入れたんすか?」
「ええ。私もそれが知りたいです」
「ふふん。それは……」
 得意げにほくそ笑んだジョンとナンシーは、ビシッとポーズを決めるとカメラ目線で笑みを浮かべた。
「「深夜の猟兵通販(グッドナイト・イェーガーショッピング)だからさ(よ)!」」
「やんややんやー! さすがっす! これでこの先も安泰っすね! さて、この間の残りの魔獣ジャーキーで一杯……」
「ねえ軍犬。そういうの後で良いから、仕事して?」
 呆れたように肩を竦めるナンシーに、その場にいた全員が大きく頷く。迫る同調圧力に魔獣ジャーキーをしまった軍犬は、やれやれというように立ち上がった。
「分かったっすよ。仕事の後のビールは格別っすから。で、軍犬の仕事は何っすか?」
「それはもちろん、岩石の除去をお願いしますね」
 ニッコリ微笑むリンに、軍犬はため息をつく。
「岩石が接近してきたら肉体労働で如何にかする的なお仕事っすか……頑張ります」
 これも美味しい魔獣料理のため! と立ち上がった軍犬は、暴風吹き荒れる甲板へと出るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

上城・桂悟
空の上の冒険か……、ゲームの中くらいでしか聞いたことがないところに行くのは少しわくわくするな。もちろん猟兵として依頼はしっかりやらないと

飛空艇の後ろに乗せてもらうことにするか。相手はサイさんで。お喋り好きだしこの世界について教えてもらおう。俺も自分の世界や以前に行った世界について話す

空を飛ぶなんて機会はあまりなかったけど、すごく自由な感じがする。風もいつもより身近な気がするし

【追跡する風霊の眼】で周囲を確認しながら進む。もし障害物があった場合は風の属性魔法や衝撃波で飛空艇に影響がない場所に吹き飛ばすか破壊して、無理そうなら避けるように呼び掛ける



● どこまでも続く空の世界を
 飛空艇の甲板に立った上城・桂悟(静かに佇む蒼月・f04997)は、打ち付ける風雨に目を細めた。立っていられないほどの暴力的な暴風はようやく収まり、乱れ飛んだ岩石地帯を抜け残るはあと少し。先行した猟兵と交代した桂悟は、目の前に広がる光景に目を輝かせた。
 黒い雲はうねるようにどこまでも続き、所々から見え隠れする雷鳴が金色の光を投げかける。真っ黒な塊のような雲の隣を抜けるスピードがふいに緩めば、鼻先を通過する岩石達に背筋がヒヤリとする。生身で感じる風と雨、雷と岩石の迫力に、桂悟の背筋にも武者震いが走る。
「空の上の冒険か……、ゲームの中くらいでしか聞いたことがないところに行くのは少しわくわくするな」
「そうである! 空の上は危険がいっぱいで、でもワクワクする冒険に満ちているのである!」
 桂悟の声に応えるように手を握ったサイは、整備が終わったセイルフローターを甲板に出すと後ろに乗るよう促した。
「さあ、行くである! まだまだ油断は禁物であるからして、気を抜かず行くであるぞ!」
「もちろん! 猟兵として依頼はしっかりやらないとな。……風霊よ、俺が指示した相手を追ってくれないか?」
 セイルフローターの後ろに飛び乗った桂悟は、すぐに詠唱を開始した。桂悟の手のひらに現れた掌くらいの大きさの風の精霊は、桂悟の周囲をくるりと回ると風に溶けるように消えていった。
「な、なんであるか?」
「【追跡する風霊の眼(チェイサー・シルフ)】だ。俺と五感を共有してる。周囲に危険があれば、すぐに教えてくれるはずだ」
「ほぉ。それは良いユーベルコードでありますな」
 感心するように唸るサイに、桂悟は目を閉じた。全身に感じる浮遊感覚。頬を撫でる風は少し冷たく、見下ろす空は無限の雲海。見上げてみても雲に覆われているが、晴れたら無限に広がる青の世界が広がっているのだろう。そう思える程度には、今の所周囲に危険はない。加速に合わせて高鳴る鼓動を宥めるように、桂悟はサイに話しかけた。
「空を飛ぶなんて機会はあまりなかったけど、すごく自由な感じがする。風もいつもより身近な気がするし」
「そうなのである! どこまでも続く空はどこまでも自由なのである!」
「なあサイ。この世界のこと教えてくれよ! 俺、空の世界って初めてなんだ!」
「そうなのであるか! 自分が知っていることならば、なんでも話すであるぞ! まずは何から話をするであるか?」
「そうだな……。この世界って天使核文明っていうんだよな。天使核って食べられるものなのか?」
 桂悟の疑問に、サイは首を傾げた。しばらく考え込むように唸っていたが、やがて観念したように空を見上げた。
「分からぬのである! 生身の生物が天使核を食べたらどうなるか、それはその時々の状況次第としか言いようがないであるな。だがしかし! 天使核はオブリビオンの核。器物に埋め込んだ時でさえ暴走や汚染の危険は付き物であるからして、良い結果はあまり聞かないのである」
「そうか……」
 サイの答えに、今度は桂悟が唸って考え込んだ。今桂悟達が目指している浮遊大陸に住んでいる白いドラゴンは、予知の段階で食べてしまったのだという。すぐに行って助けてやらないと。決意を新たにした桂悟に、今度はサイが話しかけた。
「次は自分が質問してもいいであるか? 桂悟殿がいた世界は、どんな世界であるか? 興味津々なのである」
「俺がいた世界?」
 目を見開いた桂悟は、自分のことを話した。幼少期に過ごした世界はもとより、猟兵として過ごした日々はいろいろな世界を渡り歩き、様々な戦いをくぐり抜けた話にサイは一つ一つ相槌を打った。
「ほう、そうであるか! 素晴らしいのである! 吾輩、一度見てみたいものであるな!」
「そうだな。いつか……サイ!」
 桂悟の警告に、サイは気を引き締める。眼前に迫る巨大な岩は、ゆっくりとこちらに近づいている。積乱雲を横切るように飛んでくる岩は、今までで一番巨大な物だろう。とても砕ききれるものではないし、砕いたところで大きな破片は飛空艇の害になるだろう。
 そう判断した桂悟は、飛空艇に通信を入れた。
「こちら上城・桂悟! 巨大な岩石がそっちに向かってる! 破壊は不可能だ、回避してくれ!」
『分かったわ!』
「あれであるな! しっかり掴まっているのである!」
 サイの声に頷いた桂悟は、直後に加速するセイルフローターに息を飲んだ。雲の間から目の前に現れた巨大な岩石すれすれを、ほぼ垂直に駆け上がる。一気に飛び上がり宙返りした桂悟は、眼下に広がる光景に目を細めた。
 巨大な岩石スレスレを、飛空艇が飛ぶ。所々こすれた場所が火花を上げるが、大きな破壊につながる様子はない。やがて回避を終えた飛空艇に安堵した桂悟は、サイと共に帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

彩瑠・翼
わぁ、空の上の冒険ってなんかカッコいいね!
飛空艇護りながら戦うってなんか難しそうだけど…(弱気)
で、でも来ちゃったんだし、やるしかないよね…!

UCで白馬召喚して、背中に乗って戦うよ
今日のウィンは翼のある白馬、ペガサスだよ、空も飛べるんだよ
こう、想像力でカバーして、頑張って飛んで!(無茶言ってる)

うまくいくならウィンに乗って、
ダメそうなら飛空艇乗りの人に協力お願いして空へ

護衛は飛んでくる岩を破壊するのを中心に
アリスランスを構えて、ジャンプして、ランスチャージで破壊するよ

あんまり高く飛び上がったら嵐に巻き込まれそうだし
岩の勢いハンパなくて怖いけど…(ひぃ、と怯み
とりあえずどーにかなる、はず…!


ユディト・イェシュア
ここがブルーアルカディア
空を旅するのは
サクラミラージュで飛行船に乗った時以来
天使核文明というのも興味深いです

ここは大天使が求めた天上界なのでしょうか…
こういった冒険を通して
天使戦争の伝承を紐解いていけば
少しは何かがわかるかもしれませんね

どなたかの飛空艇に同乗させてもらいます
よろしくお願いします
その腕頼りにしています

障害物はこちらで排除します
ただ雷は相殺できそうにないので…
音を頼りに危険が迫れば声をかけるので
避けてもらえると助かります

飛んでくる岩や障害となるものを
UCで狙い撃ち破壊

こんな雷雨でなければ
景色の良い空の旅だったのでしょうが…

またあとでみなさんの素晴らしい冒険譚も聞かせてくださいね



● 空の上でも修行中!
 嵐の中を進む飛空艇。その甲板に出た彩瑠・翼(希望の翼・f22017)は、吹き付ける強風に思わず目を閉じた。この空域の空図が手に入って、岩石地帯を無事抜けることができた。まだまだあるけれど、ひっきりなしに飛び交っては飛空艇を落としにかかるような状況ではなくなってきたようだ。
 次は雷雲地帯を超えなければならず、さすがにそこを担当することはできない。飛行から帰ってきた猟兵達と入れ違いに甲板に出た翼は、台風のような空と、眼下に広がる雲の隙間の雷鳴に目を輝かせた。
 危険なことは分かっている。だが目の前に広がるのは轟く雷鳴、吹き荒れる嵐。やっぱりこういう光景にはワクワクせずにはいられない。
「わぁ、空の上の冒険ってなんかカッコいいね!」
「こんな雷雨でなければ、景色の良い空の旅だったのでしょうが……」
 翼の隣に立ったユディト・イェシュア(暁天の月・f05453)は、吹き付ける雨と風に身を竦ませながら残念そうに目を細めた。
「ここがブルーアルカディア……。空を旅するのはサクラミラージュで飛行船に乗った時以来。天使核文明というのも興味深いです」
「ここって、浮遊大陸の世界なんだよね?」
 首を傾げて尋ねる翼に、ユディトは極上の笑顔で頷いた。
「ええ。空中戦が主な世界、というのも珍しいですね。修行のし甲斐があります」
「ええ!? 修行!? ここまで来て!?」
 驚いてユディトを振り仰ぐ翼を、ユディトは慈愛の目で見つめて頷いた。その視線は今まで何度も見てきて、逃れられないことは経験上知っていた。
「しゅ、修行かあ。うん。そうだね。飛空艇護りながら戦うってなんか難しそうだけど……」
 間近で光る稲光に驚いて身を竦ませた翼は、ちぢこまったまま両手で頬を叩いた。ぱん! と音を立てて両頬を叩くと、ほっぺがジンジンするけど気は引き締まる。いつまでも逃げてちゃだめだ。それに今回、翼は最初から冒険に来たのだ。遊びに来たのではない。
「で、でも来ちゃったんだし、やるしかないよね……!」
「その意気です」
 嬉しそうに頷くユディトに、翼もうなずき返す。とにもかくにも、空を飛ばなければ話にならない。だが翼は、直接空を飛ぶユーベルコードを持っていない。手を握り締めた翼は詠唱を始めた。
「来て、ウィン! 一緒に空を飛ぼう……!」
 翼の召喚に応じて現れたのは、一頭のペガサスだった。白い翼を持つ優美な白馬は、空を飛ぶことだってできる。ペガサスに跨った翼は、ふわりと飛んだウィンに感動の声を上げた。
 その直後感じる強風に煽られ、転びそうになるのをなんとか堪える。馬に乗り空を飛ぶと、甲板にいる時よりも風の影響を受ける。当然といえば当然だが、実際体験してみるとそのことが実感として感じ取れた。
「わわっ!」
「大丈夫ですか翼くん!」
「大丈夫! 今日のウィンは翼のある白馬、ペガサスだよ、空も飛べるんだよ!」
「そうですか。良かったです」
「へへっ! ユディトさんは、どんなユーベルコードで飛ぶの?」
「俺ですか? ラビさんの後ろに乗せていただきます」
「ええっ!?」
 ががーん! と驚きの声を上げた翼は、ユディトの背中を何も言えずに見送った。空を飛ぶ修行といっていたのに、自分は自力で飛ばずに飛空艇乗りの人の後ろに乗せて貰うなんて理不尽だ。
「ユディトさん、自分で飛ばないの!?」
「はい。餅は餅屋ですし。ラビさんと息を合わせて飛ぶのも、立派な戦略ですよ」
「任せるのね! 空を飛びたくて飛びたくてウズウズしてたのね。思う存分、空を飛んであげるのね!」
 拳をぎゅっと握り締めるうさ耳の少女が乗るセイルフローターの後ろに乗るユディトに、翼は気を取り直してウィンの手綱を握った。ウィンで空を飛んで、だめだったら翼もセイルフローター乗りの人に協力してもらえばいいのだ。ユディトだって文句は言わないだろう。
「よおし! 行くよウィン! こう、想像力でカバーして、頑張って飛んで!」
 無茶なことを言いながらもふわりと空を飛んだウィンの拍車を掛けた翼は、岩石飛び交う空中へと飛翔した。

● 師として 友として
 果敢に困難に立ち向かう翼の後ろ姿に目を細めたユディトは、浮上する二人乗り用のセイルフローターに捕まると翼の背中を追いかけた。
 翼と修行を始めて、どのくらい経ったか。少年の成長は目覚しく、今日なんて自分からペガサスを召喚したのだ。
「翼くんの成長は嬉しくもあり、寂しくもありますね」
「なにか言ったのね?」
「いえ。ラビさん、今回はよろしくお願いします。その腕頼りにしていますね」
「そうね! 空を飛ぶことでは負けられないのね!」
 嬉しそうに頷いたラビのセイルフローターは、急加速を開始する。あっという間に翼に追いついたユディトは、眼下に広がる雲海に目を細めた。
 猟兵になったユディトは、いろいろな世界を旅してきた。そのつど広がる景色にいつも驚かされているが、どこまでも広がる空の世界というのはあまり見たことがなく、翼ではないが胸に湧き上がる興奮に手を握り締めた。
「ここは大天使が求めた天上界なのでしょうか……」
「ラビはこの世界についてあんまり詳しくないから、お役には立てそうにないのね」
「そうなんですか?」
 首をかしげたユディトに、ラビは頷く。
「ラビ達は召喚獣。カナンに召喚されてこの世界に来たのね」
「そうなんですか。こういった冒険を通して天使戦争の伝承を紐解いていけば、少しは何かがわかるかもしれませんね」
「天使伝承、ラビも興味津々なのね」
「またあとで、みなさんの素晴らしい冒険譚も聞かせてくださいね」
「もちろんなのね! ……来たのね!」
 ラビの警告に、ユディトは気を引き締める。翼も迫る岩に気付いたのだろう。アリスランスを構えた翼は迫る岩石に狙いを定めるが、迫る勢いに怖気づいたように飛びよけた。
「ひぃ! やっぱり怖いよ」
「恐れてはいけません翼くん! 岩石の動きをよく見るのです!」
 翼を激励したユディトは、指先を迫る次の岩石に向けるた。直後降り注ぐ天からの光が、岩石を打ち砕く。音を立てて破壊された岩石に目を輝かせた翼は、手を叩いて喜んだ。
「すごいやユディトさん! よおし、オレだって!」
 改めてアリスランスを握り締めた翼は、大きくジャンプすると迫る岩石に向けて穂先を向けた。ジャンプで勢いをつけてランスチャージ。迫る巨大な岩石を恐れず立ち向かった翼の槍は、迫る岩石を見事に打ち砕いた。
「その調子です、翼くん!」
「えへへっ! 次も頑張るよ!」
 得意げに鼻を掻いた翼の背後に、再び岩石が迫りくる。再びジャンプして迎え撃とうとした時、雷鳴が轟いた。
 直後に落ちる雷。岩を粉々に打ち砕いた雷に、翼は恐る恐る後ろを振り返った。
「ユ、ユディトさんだよね、今の光」
「いいえ。俺はまだユーベルコードは詠唱して……」
「雷神の巣に近づいて来たのね! 金属槍は危険なのね!」
 ラビの警告に応えるように、雷鳴が轟く。翼が振り上げたアリスランスに向けて落ちようとした雷は、ふいに動きを変えると遥か下へと落ちていった。猟兵が作った避雷符の効果だろう。だがそれもいつまで保つか。顔を青くした翼は、飛空艇を見ると詠唱を開始した。
「ゆ、ユディトさん、先に戻ってるね!」
「翼くん!」
 ユディトの呼びかけが終わるのが早いか、翼の姿が掻き消える。飛空艇の味方の許へテレポートした翼が一瞬前までいた場所を、雷が切り裂いていった。
「ここは危険なのね! ラビ達も一回戻るのね!」
「はい!」
 ユディトが頷くのが早いか、セイルフローターは飛空艇へ向けて帰還する。
 雷神の巣と呼ばれる空域は、すぐそこまで迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

乱獅子・梓
【不死蝶】
食いしん坊のドラゴンか
何だかお前達と仲良くなれそうだな?
うちの食いしん坊の焔と零の頭を撫で
早く会ってみたいなものだな、そのドラゴンに

特に厄介な障害物は雷と岩か
俺は雷をどうにかするから、お前には岩の対処を任せたぞ
UCで雷属性のドラゴン達を召喚
一匹は飛行手段として綾に貸してやろう
飛空艇を守るように取り囲んで飛行
雷が直撃しないように、特に飛行艇の上空に集中させる

ドラゴン達に指示し
雷に向かってブレス攻撃を放ち雷同士の相殺を狙う
間に合わなければ身を挺して雷から飛行艇をかばってもらう
雷属性だから他のドラゴン達より雷撃耐性が強いはず
身体張った大仕事だが、どうかやり切ってくれ


灰神楽・綾
【不死蝶】
ふふ、ドラゴンが絡んでいるとなると
いつも以上に張り切っている感じがするね、梓

はいはーい、任されたよ
お互い、島につく前に事故死しないといいね
へらへらとそんなジョークを言いつつ
梓の召喚したドラゴンに乗せてもらって飛行

まずは自分の手を斬りつけUC発動
手持ちのナイフ全てを念動力で浮かせて準備完了
超強化した反応速度を活かして
飛空艇に向かってくる岩目掛けてナイフを放つ
小さめの岩ならそのまま破壊出来そうだけど
大きめの岩が来たら念動力で横からぶつけて
飛行艇に直撃しないように軌道を変化させよう
それでも手に余る大物なら
Emperorをバットのように構えて力溜め
迎え撃ってバコーンと吹っ飛ばそう



● 守りたいもののために
 飛空艇の甲板に立った乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は、近く遠く鳴り響く雷鳴に目を細めた。雷神の巣と呼ばれる空域を抜ければ、件の古城まであと一息。朽ちた古城にたった一匹で住む白いドラゴンの話を聞いた時から、梓は思うことがあった。
「食いしん坊のドラゴンか。何だかお前達と仲良くなれそうだな。な? うちの食いしん坊達」
「キュー?」
「ガウ!」
 ちょっとだけ抗議するように鳴く焔と零の頭を撫でた梓は、未だ遠い古城に住む白いドラゴンを思う。たった一匹で生まれ、狭い世界しか知らずに育ったドラゴン。自分が孤独であるということすら知らないドラゴンと、かつての相棒の姿がなんとなく重なるのは気のせいだろうか。
 梓の視線に気付いた灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は、梓の視線に嬉しそうな笑みを浮かべた。
「ふふ」
「何だよ」
「いや、ドラゴンが絡んでいるとなると、いつも以上に張り切っている感じがするね、梓」
「うっせ」
 綾を小突いた梓は、未だ遠い古城を見つめてぽつり呟いた。
「早く会ってみたいなものだな、そのドラゴンに」
「そうだね。……その前にお互い、島につく前に事故死しないといいね」
「だな」
 頷いた梓が突き出した拳に、綾が拳を合わせる。綾はヘラリとジョークを飛ばすが、目は笑っていない。この世界では、万が一墜落してしまったら命取りなのだ。だがそれは、どんな仕事でも同じこと。いつもと同じように作戦をこなして、いつもと同じように帰ってきて軽口を飛ばす。そのために、梓は何でもするつもりだった。
「さあて、やるぞ綾。俺は雷をどうにかするから、お前には岩の対処を任せたぞ。……集え、そして思うが侭に舞え!」
 頷きあった梓は、詠唱を開始する。やがて現れた101体の雷属性のドラゴンたちを見渡した梓は、その中の一頭に手を伸ばした。最も騎乗に適したドラゴンを綾に貸し出した梓は、空へ飛び立つ綾を見送ると残り100体のドラゴン達に指示を出した。
「お前たちは雷から飛空艇を守れ! ここから先は雷神の巣と呼ばれる雷の多発地帯だ。飛空艇の周囲に展開して、直撃から守ってくれ。頼んだぞ!」
 梓の指示に、雷属性のドラゴン達が一斉に飛び立つ。飛空艇の周囲に展開したドラゴン達が定位置についたのを確認すると、操舵手に連絡を入れる。ドラゴン達に守られた飛空艇はゆっくりと雷神の巣へと動き出すのだった。

● 背中を預かってくれていたから
 一方その頃。
 梓と別れてドラゴンに騎乗した綾は、遠ざかる飛空艇と近づく雷神の巣に興奮した面持ちで目を細めた。梓が貸してくれたドラゴンは気立ても良く、綾の意図を汲んでなめらかに飛ぶ。まるで自分で飛んでいるような錯覚さえ覚えた綾は、雷の間を飛び交う岩石にJackを一本手にとった。
 逆手に持ち、滑らせる。深々と斬りつけた手のひらの傷から血の花が咲き、風に乗って虚空へと消えていくのを見送った綾は、知らず口元に笑みを浮かべた。
 深く斬りつけすぎたか。感じる痛みは不思議と甘美で、手首に落ちる血を舐め取れば口の中に鉄の味が痺れるように広がった。
「ちゃんとついてきてね」
 ふわりと高揚した意識のままユーベルコードを完成させた綾は、浮かび上がった無数の小型ナイフを従えた。
 背後から迫る気配は、ドラゴンに守られた飛空艇のものか。ゆっくりと前進する飛空艇を先導するように飛んだ綾は、飛来する岩石群にJackを放った。それを合図にするかのように、飛空艇は雷神の巣に入っていく。
 雷の間から飛来する無数の岩石群。風に煽られ軌道を変えて飛び交う岩石を見極めた綾は、飛空艇へ害を及ぼす危険の高い岩石に向けてJackを放った。小型ナイフが突き刺さった岩石が、音を立てて砕け散る。その感覚に、綾は続けざまに飛来する岩石を攻撃し続けた。
 雷鳴は轟き、天地を駆ける。雷神の咆哮のように響く雷鳴にも怯まずJackを放ち岩石を吹き飛ばせば、シューティングゲームのようで面白い。だが、なんだか物足りない。弾け飛ぶ岩は砕けても岩で、中から血が溢れ出ることはない。
 それはつまらない。岩石砕きも楽しいけれど、もっと楽しいことがあったはず。ドラゴンを駆り空を翔けた綾は、編隊を組む飛空艇と離れて前に出た。
 次へ。また次へ。岩石の破壊で溜まるフラストレーションは、次の戦いに血への渇望へ変わるだろう。獲物を求めるように飛んだ綾は、ふいに頭上で生まれるひときわ大きな雷に目を細めた。
 ああ、これは避けられないな。どこか冷静に頭の隅で考えた綾は、ふいに陰る視界に目を見開いた。
 直後に鳴り響く雷鳴。耳をつんざき、音というより衝撃波に近い衝動が綾を貫き過ぎていく感覚をやり過ごす。衝撃が過ぎ去ったのを確認した綾は、自分の上空にいる雷属性のドラゴンの姿に口元を緩めた。綾を庇った梓のドラゴンは、自身の雷属性を活かして綾の避雷針になってくれたのだ。
 少し冷静になって飛空艇を見れば、綾を守ったようにドラゴン達が守っている。ドラゴン達がいくら雷属性を持っているとしても、直撃を受け続けていてはダメージも行く。ドラゴンをこよなく愛する梓が、そのこと前提で飛空艇を守っている。その気持ちを思うと胸が痛むと同時に、気がついたことがあった。
 思えば岩石の破壊に夢中になっている時も、綾を襲う雷はあったはずだ。だが、あの巨大な雷が降るまで、あまり気にしたことはない。
 ドラゴン達が綾がいる空間まで前進して避雷針になってくれていたのか。冷静さを取り戻した綾は、少し飛空艇の側まで戻ると飛来する大きな岩石に相対した。
「こっちは任されたからね。仕事はきっちりこなすよ」
 あの岩を砕けば……と脳裏によぎるが、それを追い出してEmperorを構えた。血を吸わせたハルバードは羽のように軽い。野球のバットのように構えた綾は、飛んでくる岩石に向けて力を溜めた。
「ピッチャー振りかぶって第一球……投げた! 打った!」
 タイミングを合わせた綾のハルバードが、岩石の芯を捉える。心に澱のように溜まった感情と一緒に振り抜くハルバードに、岩石は破壊されることなく遠くへ飛んでいく。ホームランを見送った綾は、その向こうに広がる陽光に目を細めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『天馬騎士団』

POW   :    ランスチャージ
【ランスを構え直し、騎乗突撃形態を取る事】によりレベル×100km/hで飛翔し、【飛翔距離】×【スピード】に比例した激突ダメージを与える。
SPD   :    スカイポジション
敵より【制空権を制覇した】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
WIZ   :    怒れる空神の加護
自身の【盾】から【荒れ狂う突風】を放出し、戦場内全ての【射撃武器】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※第二章は断章追加後に募集を開始します。
● 竜帝の居城
 嵐の空域を抜けた猟兵達は、降り注ぐ陽光に目を眇めた。
 古城の周囲は晴天が広がっている。まるで台風の目のように穏やかな光が降り注ぐ古城は、高い尖塔やめぐらされた回廊が、朽ちたりとはいえ過去の威容を高らかに示していた。
 周囲の嵐など嘘のように静かな古城は今、オブリビオンの侵略を受けていた。天馬に乗った騎士たちは古城を探索しているのだろう。無数の影は尖塔や回廊、森の中をくまなく飛び回っていた。
 飛び交う天馬騎士団達は、突如現れた飛空艇に一斉に警戒態勢を取る。セイルフローターに乗り迎撃に出た猟兵達は、上空から響く声に振り仰いだ。
「ほう。あの嵐を抜けてくるとは。賊にしては優秀、と言っておきましょうか」
「賊だと?」
 くつくつ、と笑い声を上げながら妖しげな視線を向けてくる帝国魔道士は、魔力の籠もった椅子に腰掛けたまま空を飛んでいる。上空から見下し冷酷な笑みを浮かべた帝国魔道士は、得物を構え問いかける猟兵達に両手を広げた。
「賊と言わずになんと呼べば良いのです? ここは我が主、竜帝陛下が居城。お前達のような下賤の輩が立ち入て良い場所ではないのです!」
 腹立たしげに拳を握り締めた帝国魔道士は、耳打ちする天馬騎士団の声に一つ頷くと、更に高く飛び上がった。
「このような場所で時間を浪費している場合ではない。行きなさい、天馬騎士団よ! 賊どもを皆殺しにせよ!」
「「「はっ!!」」」
 帝国魔道士の指令に、天馬騎士団達は槍を構えると一斉に襲いかかってくる。迎撃態勢を整える猟兵達は、突撃してくる天馬騎士団達を迎え撃った。

※第二章は天馬騎士団との空中戦になります。
 第一章と同じく、飛空艇乗り達が力を貸してくれます。ご指名があればプレイングにお書きください。第一章と同じでなくても大丈夫です。
 自前の羽やユーベルコード、アイテム等で飛行することもできます。飛空艇の甲板から遠距離攻撃もできます。
 また、この城について調べたいことなどございましたら、プレイングにお書きください。リプレイもしくは断章にて描写が入ることがあります。
 余談ですが、騎士は食べられませんが天馬は桜肉です。手羽先が美味しそう。

 プレイングは8/6(金)8:30~8/7(土)23:59頃までにお寄せください。それ以降はロスタイムです。
 よろしくお願いします。
黒影・兵庫
(「ムキーッ!誰が賊よ!下賤の輩よ!腹立つわね!」と頭の中の教導虫が怒る)
ちょちょっとせんせー、俺にしか聞こえないのに怒鳴らないでくださいよぉ
(「う゛~!」)
ったく!お前らのせいでエライ迷惑だ!
さっさと片付けてせんせーを宥めるためにも
最初から全力でぶちかます!
ついでに俺もうっぷん晴らさせてもらうからな!
(UC【神虫擬き】を発動し巨大な虫に変身後、敵に向かって『オーラ防御』で身を護りながら『衝撃波』を引き起こすほどの速度で突進する)


上城・桂悟
随分と好き勝手に言ってくれるな。こいつらに見つかったらあのドラゴンがどうなるか想像もしたくない。早く倒さないといけないな

今回は飛空艇の甲板から敵や戦場の様子を確認しながら戦う。それと突風等で飛空艇から落とされないように気をつけておく
水や風の属性攻撃を高速詠唱や全力魔法を使って敵が集中しているところを狙って撃ち込んでいく。【絶氷暴風陣】も出来るだけ多くの敵を巻き込んで使いたいところだ
仲間が近くで戦っているなら魔法による援護射撃で支援

もし余裕があれば城の構造等について把握しておきたい。ドラゴンがどこにいるか推測できるかもしれないし



● 教導虫は頭の中で
 配下を引き連れ古城の中へと姿を消した帝国魔道士の背中を飛空艇の甲板から見送った黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は、突如頭の中に響く声に思わず耳を塞いだ。
(「ムキーッ! 誰が賊よ! 下賤の輩よ! 腹立つわね!」)
「ちょちょっとせんせー、俺にしか聞こえないのに怒鳴らないでくださいよぉ」
(「う゛~!」)
 兵庫の脳内に棲む教導虫・スクイリアは、兵庫の声に低い唸り声を上げながらも怒りのボルテージを下げた様子はない。むしろ溜め込んだ怒りの熱で脳が沸騰しそうになる。戦闘前に少し頭を冷やさなければ。額に手を当てた兵庫は、ガンガン響く声を宥めようと声を上げた。
「唸り声も不穏ですって。落ち着いてくださいせんせー!」
「せ、せんせー? 誰だ?」
 兵庫の隣に立った上城・桂悟(静かに佇む蒼月・f04997)が、突然空中に向けて話し出す兵庫に驚いたように振り返る。その視線に我を取り戻した兵庫は、桂悟の視線に慌てて手を振った。スクイリアが表に出て活動いるのならばともかく、彼女の声は今兵庫にしか聞こえない。桂悟には、兵庫が突然独り言を言ったように聞こえただろう。
「驚かせてごめん! 俺の頭の中にいる教導虫のせんせーが怒り心頭で」
「そ、そうか。猟兵にはそういうこともあるだろう。……なあ、作戦があるんだが、乗ってくれるか?」
「え、作戦って?」
 言葉少なく頷く桂悟に、兵庫はホッと胸を撫で下ろす。桂悟の作戦に頷いた兵庫がユーベルコードの詠唱を開始した時、天馬騎士達の鬨の声が響いた。
「ここを通すな! 全軍突撃!」
 リーダー格の天馬騎士団の声と同時に、飛空艇に向けて一斉に襲いかかってくる。戦場に意識を戻した兵庫は、詠唱を完成させた。
「もどきなんですがねぇ……腹が減ってしょうがねぇんだよ!!」
 叫んだ兵庫は、甲板の手すりを乗り越えると空中に身を躍らせた。その直後、兵庫の体が光に包まれた。吸い込まれるように空に落ちていく兵庫の姿は、ふいに落下をやめると巨大な体を空中に現した。
 甲虫の胴から伸びた8本の手足が宙を掻き、巨体に見合った見事な翅が4枚伸びている。翅が空中を掻く度に速度を増した兵庫の姿に、天馬騎士団はランスを構え直した。
「何!? この羽虫、どこから現れた!?」
(「誰が羽虫よ! 兵庫が羽虫ならあんた達は羽馬じゃないの!」)
「だーかーらー! 頭の中で怒鳴らないでくださいせんせー!」
 天馬騎士団の物言いに、スクイリアのボルテージがワンランク上がる。巨大な甲虫に警戒のランクを上げた天馬騎士団が、槍を構え直すと騎乗突撃形態を取り突進を仕掛けた。
「この槍の錆にしてくれよう!」
「ったく! お前らのせいでエライ迷惑だ!」
 勢いをつけて迫る天馬騎士団の槍を、甲虫の装甲で受け止め、受け流す。オーラ防御で攻撃を軽減した兵庫は、カウンターのように天馬騎士団に突撃を仕掛けた。
 巨体に似合わない俊敏な動きで迎撃した兵庫は、衝撃波を起こしながら天馬騎士団を跳ね飛ばす。そのまま空に落ちる天馬騎士団をチラリと見た兵庫は、包囲し、同時に攻撃を仕掛けてくる天馬騎士団達に逆に突撃を仕掛けた。
「さっさと片付けてせんせーを宥めるためにも、最初から全力でぶちかます! ついでに俺もうっぷん晴らさせてもらうからな!」
 包囲する天馬騎士団を薙ぎ払うように、巨大な甲虫が再び弧を描く。猛スピードで叩き落としてくる兵庫に、天馬騎士団達は警戒のランクを引き上げた。

● 軍師は甲板の上で
 巨大な甲虫が空を舞うのを甲板から見守った桂悟は、吹き付ける風から目を守りながらも詠唱を開始した。
 兵庫に群がる天馬騎士団に、甲板から氷の魔法を放つ。aquamarineを構えた桂悟は、戦場全体を見渡すと少し遠くにいる敵にエレメンタルロッドを構えた。
「させねえよ!」
 距離を取り、兵庫の死角からランスチャージを仕掛けようとする天馬騎士を氷漬けにして叩き落とす。高速詠唱を繰り返しながら戦場を把握し戦う桂悟に、天馬騎士は苛立ちの声を上げた。
「この、臆病者が! 貴様も勇士なら、空へ出て戦え!」
「やなこった。自分たちが得意なフィールドに引っ張り出そうったって、そうは行かねえんだよ!」
「ならば空に叩き落とすのみ!」
 盾を構えた天馬騎士は、天馬の浮き彫りがされた大きな盾を構えると桂悟に向けた。盾に描かれた豪奢な鬣の天馬は目を輝かせると、大きな嘶きを響かせた。
 直後に吹き荒れる突風。戦場全体に吹き荒れる暴風に、桂悟の体が甲板から浮きあがりかける。慌てて手すりを掴んで突風をやり過ごした桂悟は、エレメンタルロッドを構えると練り上げた氷の魔法を天馬に向けて放った。
「風じゃ魔法は止められねえよ!」
 突風をものともせずに放たれた魔法は、天馬の羽を凍りつかせる。辛うじて飛ぶ天馬の手綱を掴んだ天馬騎士は、憎々しげな目で桂悟を睨みつけた。
「下賤の輩めが! 貴様達に、この城の天使核を渡す訳にはいかぬ!」
「お前たちはどうしてこの城の天使核を探してるんだ?」
「貴様が知る必要など無い!」
 叫んだ天馬騎士が、桂悟に向けて再び盾を構える。その姿に眉を顰めた桂悟は、変化する戦況に詠唱を早めた。
「随分と好き勝手に言ってくれるな。こいつらに見つかったらあのドラゴンがどうなるか想像もしたくない。早く倒さないといけないな」
「桂悟さん!」
 高速詠唱で魔力を練り上げる桂悟の耳に、兵庫の声が響く。戦場を飛び交う小さな甲虫達は兵庫の指示の許、天馬騎士達の動きを制限し散開を防いでいる。作戦通りの展開に口の端に笑みを浮かべた桂悟は、兵庫に指示を出した。
「高度を下げろ! ……荒れ狂う吹雪をその身に受けろ!」
 詠唱の完成と同時に、兵庫が力を抜く。一気に下降した兵庫の頭が一瞬前までいた空間を、空間に猛吹雪が吹き荒れた。エレメンタルロッドから放たれる雪と氷は戦場を凍てつかせ、絶対零度の氷檻の中へと封じ込めていく。
 氷柱と貸した天馬騎士達が、空に落ちる。第一波を凌ぎきった桂悟は、遠くに見える古城に目を細めた。
「あの城……。ただの城じゃないな」
 桂悟はSeekerを取り出すと、眼鏡を掛けた。視界がクリアになり、城の外観が一望できるようになる。この浮島は、大きく森と居城部分に分かれていた。コの字型の居城は朽ち、所々崩れて顕になった室内は人間サイズ用のもの。いくつもの居室や広間があり、執務のための城というよりは居城という方がしっくりきた。
 森は鬱蒼と茂り、ここからはよく分からない。中庭はかつて整えられていたのだろう。庭園の中央には噴水があり、そこがこの浮島自体の中心部に見えた。城の裏には飛空艇が接舷できる設備があり、そちらが正門なのかも知れなかった。
「桂悟さん! 来ます!」
 もっとよく見ようと目を凝らした桂悟に、兵庫が鋭い声を掛ける。眼鏡を外し意識を戦場に戻した桂悟は、天馬騎士団の第二波に向けてaquamarineを向けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

灰神楽・綾
【不死蝶】
わぁ…嵐を抜けた先にこんな立派なお城があるなんて
その荘厳な雰囲気にぽかーんと口を開けて見上げてしまう
かつてどんな人たちがいたんだろうなぁ

そういえばこの世界のオブリビオンは食用にもなるんだよね
ねぇねぇ、馬肉ってどんな味がするのかな?
梓は馬肉料理作ったことある?
わぁ、早く食べてみたいな
それじゃあ張り切って狩るとしようか

UC発動し、自前の羽で空中戦を挑む
この姿あまり好きじゃないけど、この方が戦いやすいからね
遠距離攻撃が効かないのなら強引に接近するまでさ
紅い蝶によるオーラ防御で守りながら接敵し
まずはその邪魔な盾を威力増強したEmperorで叩き壊す
そのまま素早く2回攻撃を浴びせて斬り倒そう


乱獅子・梓
【不死蝶】
この中に例の白いドラゴンがいるんだったな
早く助けてやりたいが…まずはこいつらか

え?あー、桜肉はまだ調理したことはないが
定番は馬刺し、他にはステーキや桜鍋にも出来るだろうか
ちなみに桜肉は低脂肪、低コレステコール、高タンパク質
味はあっさりとして食べやすいらしく…ってそういう話は後な!
うちにはドラゴン以外にも食いしん坊がいたな…

UC発動し、雷属性のドラゴンたちを召喚
さっきは飛行艇を守るのが仕事だったが
今回は思う存分暴れるといい
一斉に逃げ場が無いほどの広範囲の雷ブレス攻撃を放ち
ダメージ+感電のマヒ攻撃を喰らわせる
自由に飛べなくなった敵にすかさず
頭突きや噛みつきといった追撃を与え仕留めていくぞ



● 食いしん坊ドラゴンと食いしん坊猟兵
 眩しい光に包まれた古城を見上げた灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は、目の前に広がる荘厳な古城の姿にため息をついた。
 風に晒され、朽ちてあちこち崩れ落ちてはいるが、随所に施されたレリーフや複雑な文様を埋め込んだ白い外壁はかつての栄華を物語り、室内には手つかずの調度品が数多く残されているようだった。
「わぁ……。嵐を抜けた先にこんな立派なお城があるなんて。かつてどんな人たちがいたんだろうなぁ」
「口、開いてるぞ綾」
「おおっと」
 隣に立つ乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)の指摘に、綾は慌てて口を閉じた。未だ遠くにある古城の姿はいつまで見ていても飽きないが、その周囲をまるで羽虫のように飛び回る天馬騎士団の姿はいただけない。だが美味しくならいただけるかも知れない。
 猟兵達の姿に警戒の度合いを高める天馬騎士団の姿に、綾は美味しそうに目を細めた。
「そういえば、この世界のオブリビオンは食用にもなるんだよね。ねぇねぇ、馬肉ってどんな味がするのかな? 梓は馬肉料理、作ったことある?」
 綾の問に、梓も楽しそうに口の端を歪める。天馬騎士団達の前に出てきた帝国魔道士が何事か言っているが、そんなのは放置。どうせ大したことは言っていない。
 梓も同じことを思っているのか、天馬騎士団……が駆る天馬をまじまじと見た梓は、自分が知る馬の食べ方を指折り数えた。
「え? あー、桜肉はまだ調理したことはないが、定番は馬刺しだな。他にはステーキや桜鍋にも出来るだろうか」
「馬刺し! 新鮮な肉は生でも美味しいっていうやつだね!」
「ちなみに桜肉は低脂肪、低コレステコール、高タンパク質。味はあっさりとして食べやすいらしいぞ」
「わぁ、早く食べてみたいな」
「キュウ!」
「ガウ!」
「……って、そういう話は後な!」
 まだ見ぬ馬肉料理をイメージした綾は、美味しそうな肉料理の数々に思わず口元を拭った。綾とシンクロしたように、焔と零も同時に口元を拭う。仲良しな一人と二匹の背中に、梓の微苦笑含みの声が響いた。だが、綾は順番を間違えたつもりはない。
「え? 食いしん坊のドラゴンを助けるよりも先でしょ? 少なくとも狩りは」
「それはそうだが……」
 思わず言葉に詰まった梓に、殊更に首を傾げてみせる。一人と二匹で同時に首を傾げると、梓は観念したように大きなため息をついた。
「うちにはドラゴン以外にも食いしん坊がいたな……」
 とりあえず食材としてしか見ていない視線に気付いているのかいないのか、空を駆けた天馬騎士団は盾を綾に向けて構えた。
「立ち去れ! ここは我らが主の居城にして墓所! お前達が立ち入って良い場所ではない!」
「話の要約、ありがとう! この姿、あんまり好きじゃないけど、これも美味しい馬刺しのため。張り切って狩るとしようか」
 吹き抜ける突風を耐え抜いた綾は、蝙蝠のような大きな黒い羽根を広げると甲板を蹴り宙を駆けた。

● 暴れん坊ドラゴンと暴れん坊電雷
 蝙蝠の羽で飛び立った綾を見送った梓は、吹き抜ける突風を堪え抜くと詠唱を開始した。
「集え、そして思うが侭に舞え!」
 梓の召喚に応じて現れたのは、雷属性のドラゴン達。先程も召喚したドラゴン達は、飛空艇の周囲に展開すると梓の命令を待った。
 チラリと見上げた空では、綾が【Emperor】を構え応戦している。ヴァンパイアの姿になった綾は強い。だが、天馬騎士団は数に勝る上に制空権を有している。このままでは綾は負けて空の下へ落とされてしまうだろう。視線を戻した梓は、雷竜達に差し伸べた手を勢いよく振り下ろした。
「さっきは飛行艇を守るのが仕事だったが、今回は思う存分暴れるといい。まずは制空権の確保だ! 天馬騎士団を思い切り蹴散らせ!」
 梓の指示に、雷竜達は一斉に空へと舞い上がった。綾に一斉攻撃を仕掛けていた天馬騎士団が警戒するが早いか。口元に膨大な量の雷を溜めた雷竜達は一斉にブレスを放った。

 直後。空間が白く染まった。

 音と認識できないほどの稲光が場を制圧し、直後鳴り響いた雷鳴は場を凍てつかせるほどの圧をもって天馬騎士団達に襲い掛かる。嵐の中で飛空艇を雷から守り抜いた雷竜達は、溜め込んだ力を思う存分放ち続けた。
 やがて静かになった空間にいた天馬騎士団は、その数を大幅に減らしていた。辛うじて残った騎士たちも、感電し辛うじてその場に漂っているに過ぎない。
 そこへ、黒い蝙蝠が飛び立った。
「さっきのお返しだよ!」
 守勢に追いやられていた綾が、守りのために展開していた紅い蝶の間から抜け出し、構えた盾をハルバードで叩き壊す。一振りで盾を無効化した綾は、返す石突で天馬騎士を貫くと、引き抜く勢いで次の天馬騎士を叩き落とす。乗り手を失い逃げようとする天馬に止めを刺して、とりあえず甲板へと放り込む。
 軽やかに宙を駆ける綾に、感電から立ち直った天馬騎士が迫る。槍を手に綾を串刺しにせんと迫った天馬騎士に、雷竜が迫った。頭突きやかみつきで天馬騎士を攻撃する雷竜達が掃討した空に、再び古城が姿を現した。
 朽ちてなお威容を誇る白い城。ここに助けを求めるドラゴンがいるのだ。予知の内容からすると、おそらく地下に。
「この中に例の白いドラゴンがいるんだったな。早く助けてやりたいが……」
 目を細めた梓は、更に現れる天馬騎士団の姿に眉間にシワを寄せる。だいぶ倒したと思ったが、数だけは多いらしい。ならば全て倒すまでだ。
「まずはこいつらか」
 制空権を回復せんと迫る天馬騎士団の姿に、雷竜達は再び雷のブレスを放った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ビスマス・テルマール
わたし達は天使核を食べたドラゴンの子助けに来たんです、そちらこそ邪魔をするならっ!

●POW
開幕『早業&大食い』UC発動
白銀竜装態になり
サイさんと『集団戦術&団体行動』
で連携

『空中戦&推力移動』で駆け『第六感&瞬間思考力』で『見切り&空中機動&残像』で回避しつつ

〈弱い鰯のなめろうの大地の力の絶対超硬剣〉に『属性攻撃(氷)』込め馬に放ち続け(余裕があれば、桜肉のなめろう用に後程回収)ながら

【ディメンション・なめろうブレイカー改】の光学ミサイルと【ディメンション・チョップスティック(サイコレールガン)】の『念動力』の『砲撃&レーザー射撃』の『弾幕&範囲攻撃&一斉発射』

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎


御園・桜花
「馬ごと轢くと…使えるお桜肉が減りそうです」
魔獣肉料理に目が眩んだ
「中型馬で約600kg、馬刺に使える部分は約1割…此方ではどんなお料理が主流でしょう、うふふ」

「幾ら屍人で関節可動域が人と異なっても。馬上では敏速に盾を向けられない場所がありますもの」
UC「精霊覚醒・扇」使用
馬体で死角となる下から桜鋼扇掲げて吶喊しまず天馬にダメージ
動きの止まった天馬下から敵の長柄武器掴み一気に肉薄し馬上の敵の首を狙い桜鋼扇振り抜き敵の首を飛ばす
そのまま長柄武器を引いて敵の身体を雲下に投げ捨て次は天馬の首を桜鋼扇で叩き折る
落下する天馬を押して味方の飛空艇の甲板に落下するよう調節

「さあ、どんどんお肉を集めましょう」


秋山・軍犬
さて、断章さんが天馬の事
桜肉って言っちゃったから、集団戦の敵なら
軍犬がフードファイター×超級料理人
という時点で勝負はついた、戦闘プレまで
書く事は無いだろう

はい、という訳で 船長&リンさん
分け前は弾みますんで
軍犬が【指定UC】の空中戦で狩ってきた獲物
どんどん飛空艇に積み込んどいてね
勇士の飛空艇なんだから獲物を美味しく
保管する設備とかあるよね!

【古城の調査について】
可能なら周辺の森や水場の植物や動物
庭園や井戸などに生活の痕跡が無いか
調査する…ついでに食材も探します
あくまでもついでっすよ?

まあ、真面目な話 軍犬の場合
食材調査という切り口からの方が
何かしらの情報が得られる可能性が高いんすよ…本当だよ?



● 天馬は桜肉
 迫りくる天馬騎士団達を見上げた御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は、躍動する天馬の筋肉に嬉しそうな笑みを浮かべた。
 天馬は桜肉。いいことを聞いた。天を駆ける馬は身が引き締まっていて、健康そうでさぞ美味しいだろう。早く天馬騎士団を倒してドラゴンの許へ駆けつけなければ。理性の片隅はそう語りかけるが、魔獣肉料理に目が眩む。
「あの天馬騎士団、早く倒さなければですね」
 桜花の良心を代弁してくれたようなビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)の声に、桜花は深く深く頷いた。馬刺しは鮮度が命なのだ。
「そうですね。手っ取り早く馬ごと轢くと……使えるお桜肉が減りそうです」
「確かに。最終的になめろうにするにしても、やっぱり塊から叩いた方が……ってそうじゃなくて!」
 思わず乗ってしまったビスマスの裏拳ツッコミに、桜花は手をぽむ、と叩いた。なめろうは新鮮なアジを薬味と一緒に叩いた漁師料理。これを応用して馬肉のなめろうにしても美味しそうだ。
 馬肉のなめろう。さぞかし美味しいだろう。桜花とシンクロしたビスマスは我に返ったように両手で空間を区切るとそれを脇に置く。
「置いておいて! 私達は天使核を食べたドラゴンの子を助けに来たんです! 早くあの天馬騎士団を倒して駆けつけてあげなきゃ……」
「まあ、断章さんが天馬の事桜肉って言っちゃったから、集団戦の敵なら軍犬がフードファイター×超級料理人という時点で勝負はついたも同然」
「断章さんって誰ですか断章さんって!」
 さも当然の如く腕を組んで頷く秋山・軍犬(悪徳フードファイター・f06631)の姿に、ビスマスは思わずツッコミを入れてしまっている。ツッコミには激しく同意するが、問題はそこではない。
「中型馬で約600kg、馬刺に使える部分は約1割……此方ではどんなお料理が主流でしょう、うふふ」
「馬の肉はタレに漬け込んで焼いても美味いでありますな」
「サイさんまで!」
 ビスマスは相棒を務めるセイルフローター乗りのサイに慌てて振り返る。ブルーアルカディアの桜肉の焼き肉も気になるが、まずは刺身で肉の味を確かめたいところ。
 深々と頷いた軍犬は、伝声管に向けて当然のように言った。
「という訳で 船長&リンさん。分け前は弾みますんで、軍犬達が空中戦で狩ってきた獲物、どんどん飛空艇に積み込んどいてね」
『もちろん、保管庫はありますからご安心くださいね。空で食料が無くなるのは死活問題ですから』
「さすがは勇士の飛空艇っすね! 獲物を美味しく保管する設備とか標準装備っすね!」
 頼もしそうに指示を出す軍犬に、航空士のリンが楽しそうに請け負う。きちんと保管できるなら、とても安心できる。傷ませて処分するのは心が痛むのだ。
「保管庫があるなら、心置きなく馬肉狩りができるというものですね!」
「っ……! 分かりました! 私はドラゴンを早く助けたいので倒すのを優先しますが、超級料理人としても正直桜肉のなめろうに興味があります! 凍らせて落としますので、保管よろしくおねがいしますね!」
『まあ、凍らせてくださるのならば大歓迎です』
 やけくそ気味に言うビスマスも、料理人の系譜に連なる者。葛藤の末に馬肉を保存してくれるのはとてもありがたく嬉しく思う。
 そんな話をしている間に、天馬騎士団は距離を詰めてくる。槍を構えランスチャージを仕掛ける天馬騎士団を見上げた桜花は、呼吸を整えると詠唱を開始した。
「さあ、そろそろ接敵します。どんどんお肉を集めましょう! ……我は精霊、桜花精。呼び覚まされし力もて、我らが敵を討ち滅ぼさん!」
 桜花精に変身した桜花の身体を、桜吹雪が包み込む。軽く甲板を蹴った桜花は、迫る天馬騎士団に向けて桜鋼扇を構えた。

● 料理人の血は疼くのです
 セイルフローターに飛び乗ったビスマスは、近づく天馬騎士団の姿に唇を噛んだ。
 こうしている間にも、帝国魔道士は白いドラゴンの許へと向かっている。天使核を食べてしまったドラゴンがどうなっているのか情報は無いが、今も無事でいるという保証は無い。速攻倒すのが先。冷凍馬肉は後。決意を固めたビスマスに、天馬騎士はランスを構えて躍り出た。
「我らが主を盗みに来たか盗賊が! このランスの錆にしてくれる!」
「我らが主? わたし達は天使核を食べたドラゴンの子助けに来たんです、そちらこそ邪魔をするならっ!」
 得物を構えたビスマスは、絶対超硬剣・秋刀魚のなめろう(蜂蜜味噌)味を生成すると素早く口へと運んだ。蜜ぷにのコクのある甘味と味噌の塩味が奥深さを与える新鮮な秋刀魚のなめろうが口の中いっぱいに広がり、ビスマスに力を与えてくれる。ロード・プラチナの力と己の力を合わせて白金竜装態となったビスマスは、隣を飛行するサイと視線を合わせると頷きあった。
 左右に分かれて展開したビスマスは、ランスを手に騎乗突撃態勢を取る天馬騎士を迎え撃った。一本の槍のような勢いで突進を仕掛ける天馬騎士達をギリギリまで引きつけ、一気に飛翔。残像を残して飛び立ったビスマスは、急な回避に進路を停止できずに互いに串刺し合う天馬騎士団を眼下に見下ろした。
 ビスマスの眼前に、槍が迫る。回避に飛び立ったビスマスを追いかけるようにランスチャージを仕掛ける天馬騎士が、死角を突き猛攻撃を仕掛ける。
 空中制動が間に合わない。目を見開くビスマスは、脇から飛び出したサイのセイルフローターに安堵の笑みを零した。
「ROCKET DIVE! させませんぞ!」
「助かりましたサイさん!」
「なんのこれくらい!」
 特攻を仕掛けたサイに跳ね飛ばされた天馬騎士に、超硬剣を叩き込む。天馬から落ちた天馬騎士を見送ったビスマスは、弱い鰯のなめろうの大地の力の絶対超硬剣を放った。氷属性の絶対超硬剣が残された天馬を氷結させ、飛空艇へと落下させる。
 甲板で受け取る軍犬を見下ろしたビスマスは、突然の突風に身を屈めた。特攻は危険だと判断したのだろう。一斉に盾を構えた天馬騎士達が、突風を放ちビスマスを叩き落としにかかる。
 風の軌道を読み暴風域を抜けようとするが、三方向から吹き付ける風がそれを許してくれない。必死に風を耐えたビスマスは、ふいに止む風に顔を上げた。
「幾ら屍人で関節可動域が人と異なっても。馬上では敏速に盾を向けられない場所がありますもの」
「桜花さん!」
 桜吹雪を纏い、桜鋼扇を手に宙を駆けた桜花が、ビスマスの隣に躍り出るとニコリと微笑む。馬体で死角となる下方から吶喊し、天馬にダメージを与え怒れる空神の加護を中断させた桜花は、動きの止まった天馬騎士に向けて一気に加速。敵の騎士の首めがけて桜鋼扇を振り抜き馬上から叩き落とすと、返す扇で天馬の頭を落とした。
 ぐらり、と態勢を崩す天馬を飛空艇へと蹴り落とした桜花は、次の天馬騎士へ向けて桜鋼扇を構えた。
 再び空を駆ける桜花に向けて、態勢を整えた天馬騎士がランスチャージを仕掛ける。扇と槍。リーチの長さでは圧倒的不利に立たされた桜花は、攻撃を見切り懐に入り込もうと身を屈めた。
 再び吶喊を仕掛けた桜花を狙った槍が、ふいに落ちた。ぐらりと態勢を崩した天馬騎士の後ろにいたのは、ディメンション・なめろうブレイカー改を構えたビスマスだった。
 三頭の天馬を傷つけた桜花が一体に攻撃を仕掛けている間に光学ミサイルを放ち一体倒したビスマスが、桜花の補助に回ったのだ。天馬騎士を倒された桜花は、桜鋼扇を翻すと天馬の首を落とす。飛空艇へと落ちる馬を見送った桜花は、ビスマスと視線を交わすと笑い合い、ハイタッチで健闘を称え合った。

● 肉、肉、野菜、肉と調査報告
「オーライオーライオーラ……はいキャーッチ!」
 甲板に残った軍犬は、上空の戦闘で落とされる馬肉に向けて飛翔するとガシッと受け止めた。いくら飛空艇に向けて落としたからといって、正確に狙えているわけではない。それに勢いよく落とされる馬肉は、甲板に直撃したらせっかくの肉が全部ミンチになって挽肉系以外の選択肢は無くなってしまう。それを許す軍犬ではなかった。
「食材はできる限り旨い状態で食べる! 馬だけに! それが軍犬の、フードファイターとしての矜持っす!」
 黄金のオーラを纏った拳を握り締めた軍犬は、次々に落ちてくる馬肉を余すこと無く受け止め続けた。旨い馬肉を食べたいという意思の力にフードファイターとしての矜持を乗せた軍犬は今や百人力と言っても過言ではない。最大で時速10400km/hに達する飛翔能力を活かして戦えば、襲いくる天馬騎士団を一人で相手することも可能かも知れない。
 だが、軍犬はそれを良しとしない。何故ならば今の軍犬の矜持は、仲間が狩ってくる馬肉を少しでも美味しく食べられるように受け止め、下処理を済ませ保管庫に運ぶ。そこに集約されているのだから。
「下処理は本当なら魔獣解体士の仕事っすよ! 本当に軍犬を働かせすぎっす!」
 ハイスミマセン。
 ともあれ、ある意味戦闘せずに味方を勝利に導いた軍犬は、外にいた天馬騎士団を倒し終えたのを確認するとヒラリと身を躍らせた。戦いは終わった。桜肉も確保した。後は水と野菜や果物を手にするのみ。
「予知にあったドラゴンは、天使核を果物と間違えたっす。なら果物があるに違いない……いやいや。周辺の森や水場の植物や動物、庭園や井戸などに生活の痕跡が無いかの調査っす。食材はあくまでもついでっすよ? ……本当だよ?」
 なんとなく言い訳を呟いた軍犬は、背負籠を背負うと一人森の中へ分け入った。手入れのされていない森は木漏れ日も届きにくく、薄暗くはあるが闇というほどでもない。しばらく森へ入っていくと、古い石畳が見えた。雑草が伸び放題になってはいるが、確かにそれは人が整備した林道の痕跡に他ならない。林道を辿ってしばし。整備されていたはずの庭園に野生化した薔薇が咲いていて、ドラゴンを象った噴水からは綺麗な水が尽きることなく溢れ出ては水路を辿り流れ出ていた。川をたどれば果樹園と思われるエリアがあり、季節の果物がたわわに実っている。
 果物を収穫しながら周囲を歩く。ここは確かに誰かが住んでいた城だったのだ。かつてはたくさんの人が暮らしていたのだ。では彼らはどこへ行ってしまったのか。まるで突然いなくなってしまったかのようにも見えた。
 周囲を調査した軍犬は、ふと足元に転がる小石を拾い上げた。見た目も形も卵ほどの大きさの石は、あちこちに落ちている。天使核のようにも見えなくはないが、特有の力などは感じられない。
「何っすかね? これ」
 首を傾げた軍犬は、果物を収穫すると飛空艇へと戻っていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

彩瑠・翼
ユディトさん(f05453)と

こ、今度はちゃんと戦うよ!

ウィン(アイテム)に乗って、UC発動
今日のオレの鎧は敵のランスチャージも通さない、強力なバリアシールドが張れる鎧だよ
ウィンの翼も守れるくらい強いんだ!

うわぁ、ユディトさんとラビさん、カッコいい!
それじゃ、オレ、ユディトさんの攻撃に続くよ
ユディトさんのUCでバランスを崩したタイミングを狙って急接近
[勇気]と[覚悟]で[ジャンプ]して、乗り手の騎士めがけて[ランスチャージ]を仕掛けるね

ユディトさんは調査してるんだね
それじゃあ、オレは調査しやすいように攻撃に専念するよ
天馬騎士団の意識がユディトさん達にいかないように
オレが引きつけるんだ


ユディト・イェシュア
翼くん(f22017)と

天馬騎士団に魔道士…
ここを居城にするつもりなのでしょうか

翼くんやる気ですね
天馬騎士対決、強くなった翼くんなら負けませんね

引き続きラビさんのお力を借してもらいましょう
騎士団というからにはある程度統率が取れているのでしょうが
それを乱すようにUCで攻撃
天馬の翼を集中的に狙います
翼が機能しなければ戦力も低下
攻撃を防ごうとすればそれだけこちらの攻撃も手薄になるでしょう

敵を攪乱させることを目的に
ラビさんに操縦してもらい
戦場を駆け回ります
翼くん後はお願いします

この古城の中も調べておきたいですね
天使核を飲み込んだドラゴンも心配です
戦況を見ながら
何か手がかりになるものがないか調べてみます


桜雨・カイ
主の住居を守りたい気持ちはわかりますが
オブリビオンというのも気になりますし、あちこち探すのを見ると狙いは天使核でしょうか…?

さきほどので操縦の腕は信頼してます、サフランさん操縦をおねがいします!できるだけ古城壊されない位置へ引きつけてくれると嬉しいです(これ以上壊したくない)

自分は攻撃に集中。【練成カミヤドリ】発動
数体一組に分け、一頭は馬を 残りは騎士へ攻撃
天馬の制御と戦闘に意識を割かれるのを狙う

戦闘後は城を調べてみましょう
予知ではドラゴンは奥に行ったようなので、その痕跡をたどれないか調べてみましょう
竜帝陛下の居城と言っていたので、移動する間にそれ(竜帝陛下)に関する情報がないかも調べてみます



● 空中の戦い
 古城へと最接近した猟兵達は、飛空艇から躍り出ると城へ向けて飛翔した。外に展開していた天馬騎士団はほぼ倒し終えた。後は城内に侵入し、白いドラゴンが待つ「石ばかりの場所」へ向かうのみ。
 古城へ降り立とうとした時、古城の内部から天馬騎士団が躍り出た。
「おのれ、護衛隊を倒すとは! 我らが主の居城、これより先へは一歩も行かせん! 掛かれ!」
 隊長と思われる天馬騎士の号令の許、制空権を得るべく飛び立った天馬騎士達は空に陣を敷く。一斉に踊りかかってくる騎士団の姿に、桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)は同意するように頷いた。
「主の住居を守りたい気持ちはわかります。……サフランさん! できるだけ古城壊されない位置へ引きつけてくれると嬉しいです!」
「了解だよ! 引きつけ役のサフランの腕、見せてやるぜ!」
 カイの乗るセイルフローターを駆るサフランが、親指を立てて応じる。操縦桿を握り治したサフランは、ギリギリまで天馬騎士の攻撃を引きつけると急旋回で回避した。
 ギリギリを飛び回り、古城から引き離す。見込んだ通りの飛行を見せるサフランに、カイは嬉しそうに微笑むと人形を宙に放った。
「制空権、取らせていただきます!」
 放たれた108体の人形は数体一組に分かれ、天馬騎士団に迫った。騎士に向けて一騎打ちを挑むように立ちふさがった人形に、天馬騎士はランスを構えて突撃を仕掛ける。スカイポジションにより命中力が向上した天馬騎士のランスは、狙い違わずカイの人形を貫き通さんと迫った。
 だがその寸前、ランスの軌道が大きく逸れた。下方より天馬を狙い念糸を放った人形達が、乗騎を絡め取ったのだ。バランスを崩した天馬騎士に、上空の人形が止めを刺す。
 数には数をもって相対するカイの戦術に、天馬騎士達は徐々に制空権を失っていった。悪くなる戦況に、残った天馬騎士達は横列に並ぶと一斉に盾を構えた。
「風に巻かれ、地を這う芋虫となれ!」
「させません!」
 並べた盾から突風を放とうとする天馬騎士団に、天から光が降り注いだ。
 ユディト・イェシュア(暁天の月・f05453)が放った天からの光は、突風を放とうとしていた騎士の天馬の翼を貫いていく。ユディトが乗るセイルフローターを操縦するラビは、吹き抜ける風をものともせずに、まるで空中を踊るように飛び回っている。
 陣形が崩れ、集中が逸れたのを見計らったユディトは指を向ければ、天馬に天からの光を落としていく。そこに好機を見たカイの人形たちが、すかさず攻撃を仕掛けては叩き落としていく。
 まるでダンスのような戦いを見上げた彩瑠・翼(希望の翼・f22017)は、愛ペガサスのウィンの手綱を握り締めると目を輝かせた。
「うわぁ、ユディトさんとラビさん、カッコいい! カイさんとサフランさんもスゴイ!」
「翼くん!」
「わわっ! こ、今度はちゃんと戦うよ!」
 思わず観戦モードに入ってしまった翼に、ユディトの声が飛ぶ。慌ててウィンに拍車を掛けた翼は、バランスを崩した天馬騎士に向けて一気に距離を詰めた。手にしたアリスランスを握り締め、狙いは騎馬の制御に気を取られた天馬騎士。
 大丈夫。翼ならやれる。ユディトにたくさん修行をつけてもらったのだ。今が勇気と覚悟を見せる時!
「オレだって、戦うんだ……!」
 天馬騎士に狙いを定めた翼は、ウィンと一体になるように身を屈めると一気にランスチャージを仕掛けた。ここまでの猟兵達の戦いを観察していたのだ。天馬を駆る天馬騎士団と、ペガサスに騎乗して戦う翼。敵とはいえ学ぶべきことは多い。
 翔け抜けた翼の槍が、天馬騎士を貫き通す。落馬して消えていく天馬騎士を見下ろした翼は、勢いのまま空を駆けると頬を綻ばせた。
「や……った!」
「翼さん、危ない!」
 喜びに沸く翼に、カイの鋭い声が飛ぶ。振り返った翼は、こちらに向けてランスチャージを仕掛ける天馬騎士の姿に振り返った。このタイミングでは回避は不可能。十分に助走をつけた天馬騎士のランスは鋭く、まともに食らったら大ダメージは免れない。
 胸の中に湧き上がる恐怖を振り払った翼は、確固たるイメージを頭に思い浮かべた。
「今日のオレの鎧は敵のランスチャージも通さない、強力なバリアシールドが張れる鎧だよ。ウィンの翼も守れるくらい強いんだ!」
「死ね小僧!」
 叫び声と同時に、天馬騎士のランスが翼の鎧を捉える。貫き通されそうな圧が翼の腹を捉えるが、想像から創造した無敵の鎧は天馬騎士のランスチャージを受け止め切る。
 敵の槍を掴んでしばし。天馬騎士の頭上に天からの光が落ちた。ユディトが放った光に撃たれた天馬騎士は、ぐらりとバランスを崩す。そこへカイの人形が迫った。天馬騎士と馬を別々に攻撃したカイの人形達の姿に、腹に感じていた圧力がふいに消える。
 ホッと胸を撫で下ろした時、ユディトの声が響いた。
「翼くん! 大丈夫ですか!?」
「もちろん! オレだってやればできるんだ!」
「さすがですね翼さん」
「へへっ」
 笑顔で褒めてくれるカイに、翼はくすぐったそうに首を竦める。照れて頭を掻く翼に、再び天馬騎士が迫った。死角から勢いよく投げられたランスに、翼の対応が追いつかない。硬直する翼の前に、ユディトが割って入った。
「危ない!」
 翼に迫る槍が、ユディトの肩を貫く。セイルフローター上に立ち上がり強引に射線に割って入ったユディトは、肩に受ける衝撃と激痛にバランスを崩す。
 セイルフローターから足が離れる。落下時の内臓が裏返るような浮遊感覚。見えるのは青い空と、真っ青な翼の顔。地面に叩きつけられるか空に落とされるか。覚悟を決めたユディトは、消える落下の感覚に目を見開いた。
「大丈夫ですか?!」
 カイが繰る人形に抱きとめられたユディトは、大きく息を吐くと恐る恐る下を見下ろした。眼前に迫る中庭の石畳に背筋が凍る。ユディトを受け止めたカイは、死角から攻撃を仕掛けた天馬騎士に人形たちを差し向けた。急いでユディトの許へと飛び寄ったラビは、カイの人形からユディトを受け取ると怒りと安堵の入り混じった声で叫んだ。
「猟兵っていうのはどうしてこう無茶ばっかりするのね!」
「すみませんラビさん」
 ラビの声に、ユディトは肩を竦めて謝るしかない。ほどなく全ての天馬騎士達を倒した猟兵達は、ついに古城の中庭へと降り立った。

● 古城探索
 ユディトの応急処置を終えたカイは、古城の中へと足を踏み入れた。ここから先は狭く、セイルフローターは入っていけない場所も多いだろう。サフラン達と分かれたカイは、辺りを警戒しながらも古城の奥へと入っていった。
「予知ではドラゴンは奥に行ったようですね。痕跡をたどれないか調べてみましょう」
「そうですね。罠があったようなことも言っていましたし、探索してみましょう」
 頷くユディトに、翼はアリスランスを握り締めると真剣な目で掲げた。
「ユディトさん達は調査してるんだね。それじゃあ、オレは調査しやすいように護衛に専念するよ」
「翼くん、やる気ですね」
「もちろん! さっきは油断したけど、もうそんなことしない! まだ残ってるかも知れない天馬騎士団の意識がユディトさん達にいかないように、オレが引きつけるんだ!」
 決意も新たに、翼は拳を握り締める。汚名返上名誉挽回とばかりに槍を構えて周囲を警戒する翼を、ユディトは頼もしそうに見つめた。
「では、お願いしますね。それにしても、さっきの天馬騎士団達はこの城を探索していたようですね。天馬騎士団に魔道士……。ここを居城にするつもりなのでしょうか」
「竜帝陛下の居城、と言っていましたし。移動する間に「竜帝陛下」に関する情報がないかも調べてみましょう」
 城内へ足を踏み入れた猟兵達は、周囲を警戒しながら探索を続けた。
 風に晒され崩れた古城は、直前まで人がいた気配を色濃く残していた。会議室のような部屋に広げられた空図には、まるで戦略会議のように駒が残されたまま放置されている。厨房にある鍋や窯の中には食材らしき残骸が干からびて残り、空のカップの中には茶色のラインが残されている。中には書斎もあったが、ページを開いても文字を読むことができない。
「まるで……突然人が消えてしまったみたいですね」
 静かに時を刻むだけ。そんな気配の漂う中を探索して歩くカイに、ユディトは拾い上げた石を示した。
「ところで、この石は何でしょう? あちこちに落ちているのですが……」
 ユディトが手の上に乗せたのは、卵のようなのっぺりとした石だった。よく見ると似たような石がたくさん落ちている。話に聞く天使核に見えなくもないが、不思議な力は何も感じない。
「オブリビオンというのも気になりますし、彼らが厨房や書斎を荒らした様子がありません。なら狙いは天使核でしょうか……?」
「そうですね。この島が落ちる様子がないところを見ると、この島の天使核は無事でしょうし」
 話し合いながらも探索を続けた猟兵達は、やがて地下へ続く階段を発見する。この下に白いドラゴンがいるのだろう。駆け込もうとした猟兵達に、新しい予知情報が伝えられた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『帝国魔道士』

POW   :    マッドネスメイジ
自身の【知的好奇心と魔道を極めんとする欲望】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    フロストベイン
質問と共に【生命を蝕む魔の吹雪】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
WIZ   :    帝国式魔道弓術
【指を鳴らすこと】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【魔法陣】で囲まれた内部に【巨大な魔法の矢】を落とし、極大ダメージを与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


● かつての栄光を
 古城の最下層に辿り着いた帝国魔道士は、玉座の上で苦しむ白いドラゴンの姿にそっと跪いた。
「おいたわしや我が君。天使核と成り果て、挙句ドラゴンなどに食べられてしまうとは」
 怒りと憐憫に声を震わせた帝国魔道士は、恭しく頭を垂れるとそっと白いドラゴンに手を差し伸べた。荒い息を繰り返す白いドラゴンを抱き上げ背中を撫でた帝国魔道士は、唇を噛むと震える声で白いドラゴンに問いかけた。
「この時を、どれほど待ちわびたことでしょう。一刻も早く、陛下をその肉の殻より救い出して差し上げます。我らが帝国の威光を取り戻すのです。そしてーー」
 立ち上がった帝国魔道士は、白いドラゴンに……否、白いドラゴンが飲み込んだ天使核に恍惚とした声で問いかけた。
「陛下、聞かせてくださいませ。あの時、何があったのです? 勝利も目前だった我らが帝国の臣民全てが、この地より放たれたユーベルコードにより封じられるなど、よほどのことがあったとしか思えません。助かったのは遠征に出ていた少数の臣民のみ。必ずや下手人をーー」
「きゅう!」
 陶酔した声が止まる。滔々と語る帝国魔道士の指を、白いドラゴンが噛んだのだ。帝国魔道士は冷徹な目で白いドラゴンを睨みつけると、腕を振り上げ床に叩きつけた。
「この、どこの馬の骨とも知れぬドラゴンが! 貴様などこの城の結界を解いた時点で用済みなのだ! 腹を裂いて天使核を取り出してやりたいところだが、貴様からも話を聞かねばならぬ。……誰か!」
「ここに」
 振り返った帝国魔道士に、近衛の天馬騎士がひざまずく。残った数人の天馬騎士を一瞥した帝国魔道士は、床の上で気を失った白いドラゴンを顎で示した。
「あのドラゴンを連れ、骸の海へ還れ。オブリビオンとなれば、我が君も蘇りあのドラゴンも話をする気になるだろう」
「かしこまりました」
「私はこれより、この島の天使核へ向かう。この島を骸の海へ還し、封印された精鋭たちを蘇らせれば、陛下のお力になろう」
「必ずや、陛下を現世に蘇らせてご覧に入れましょう! 屍人帝国として蘇り、我等が栄光を再び!」
 歓喜に打ち震えた天馬騎士は、白いドラゴンを抱き上げると外へと向かい走り出す。その背中を見送った帝国魔道士は、彼らに背中を向けるとこの浮島の天使核へと向かった。

※ 第三章は地上戦です。古城の奥深くへと潜るため、乗組員達は登場しません。
 白いドラゴンを救出するか帝国魔道士を倒しに行くかをお選びください。
 反対方向へ向かったため、どちらかしか選べません。一人の猟兵が両方に向かった場合、よほど上手くプレイングを掛けないと失敗するでしょう。
 青丸が溜まればクリアとなりますので、帝国魔道士を倒せなくても白いドラゴンを救助できなくても問題ありません。
 プレイングの冒頭に、以下の印をお書きください。無い場合は○が選ばれたと判断します。天馬騎士が使うユーベルコードは第二章と同じです。

○……天馬騎士を追いかけ、白いドラゴンを救出する。
●……帝国魔道士を追いかけ、この島の天使核を守る。

 皆様の選択とプレイング次第で、次の展開が決定します。
 プレイングは8/13(金)朝8:31~8/14(土)23:59まで。その後はロスタイムです。
 サポート様を採用した場合、帝国魔道士と戦いますが投票には加えません。

 また、もしよろしければ白いドラゴンに名前をつけてあげてください。
 多数の場合は、公正にダイスで決めさせていただきます。無ければこちらで決めさせていただきます。
 公序良俗に反する名前や版権に関わる名前はそっと除外します。

 それでは、良き選択を。
黒影・兵庫

くそっ!二手に分かれた!
(「黒影、魔導士を仕留めなさい。アイツを自由させておくのは危険よ。ドラゴンの方は他の猟兵に任せればいいわ」と頭の中の教導虫が指示をする)
...すみません!せんせー!
(教導虫の指示を無視して『衝撃波』を使った『ダッシュ』でドラゴンの救出へ向かう)
確かにあの魔導士は今すぐ倒す必要があると思います!でも...
でも目の前で堕とされそうになっている命を放って置くことができませんでした!
(「そう、わかった。じゃあ絶対に救出しないとね!」)
はい!せんせー!
(UC【蜂蜜色の奔流体】を発動し腕を伸ばして天馬騎士を『捕縛』しようと試みる)
絶対に逃しません!



● 己の意思で 己の足で
 改めて見えた情報に大きな舌打ちを打った黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は、眉を顰めると真っ先に城内へと駆け出した。仕掛けられた罠を素早くクリアして最初に玉座の間に辿り着いた兵庫は、腹立たしげに床を蹴った。
「くそっ! 二手に分かれた!」
(「黒影、魔導士を仕留めなさい。アイツを自由させておくのは危険よ。ドラゴンの方は他の猟兵に任せればいいわ」)
 迷宮化した古城の内部に入り込んだ兵庫の頭の中で、教導虫のスクイリアが指示を出した。その声に、兵庫は一瞬立ち止まる。
 スクイリアの指示はもっともだ。この城にはかつて、オブリビオンが巣食っていた。何らかの事件が起き、ユーベルコードで封じられているらしい。竜帝と呼ばれる屍人帝国の皇帝の居城だ。そこにいるのは精鋭達と見て間違いはないだろう。もし万が一この城にいるオブリビオンが蘇ることがあれば、本格的な侵攻を開始し周囲の浮島への被害だって出るかも知れない。
 冷静で的確な指示は有無を言わさぬ説得力を持って、兵庫の行動を制限しにかかる。迷宮を抜けて辿り着いた玉座の間を前に、兵庫は拳を握り締めた。
 玉座の間には2つの通路。右へ行けば帝国魔道士が、左へ行けば白いドラゴンがいる。脳内のスクイリアは、右へ行けとさかんに指示を出す。大きく息を吸った兵庫は右側へと一歩踏み出した。
(「そうよ兵庫。急いで……」)
「……すみません! せんせー!」
 叫んだ兵庫は、くるりと振り返ると左の通路へと一気に加速を掛けた。十分な助走をつけて衝撃波を放ち、加速をつけて先を行く天馬騎士達を追いかける兵庫の脳内に、スクイリアの声が響いた。
(「ちょっと兵庫! そっちじゃ……」)
「確かにあの魔導士は今すぐ倒す必要があると思います! でも……」
 唇を噛んだ兵庫は、白いドラゴンの様子を思い出すと唇を噛んだ。天使核を飲み込んで弱っているドラゴンに、抵抗なんでできはしない。なら、代わりに兵庫が抵抗するのだ。例え教導虫に逆らうことになってでも。
「でも、目の前で堕とされそうになっている命を放って置くことができませんでした!」
 きつい叱責を覚悟した兵庫は、小さなため息に顔を上げた。教導虫に逆らった兵庫に下されるのは罰か叱責か失望か。息を飲んだ兵庫の脳内に、思いの外明るい声が響いた。
(「……そう、わかった。じゃあ絶対に救出しないとね!」)
「はい! せんせー!」
 スクイリアの声に、視界が明るくなる。滅私奉公、品行方正、公明正大を美徳と指導されてきた兵庫にとって、教導虫に逆らうのは並大抵のことではない。例え罰せられても白いドラゴンを救うつもりだったが、承認してくれた。認めてくれた。これほど心強いものはなかった。
 沸き立つ心を乗せて更に加速。やがて先行する天馬騎士団の背中を捉えた兵庫は、廊下を出ようとする隊列に手を伸ばした。
「俺の心が折れない限り、俺の体は無敵です!」
 伸ばした腕が、蜂蜜色のオーラに変わる。天馬騎士の脇をすり抜けたオーラは伸び続け、天馬騎士の先頭を抱え込むように曲がる。
「何!?」
 蜂蜜色の奔流体に足元を取られた天馬騎士が転倒する。将棋倒しに倒れた天馬騎士の前に立ちはだかった兵庫は、決意の目で睨みつけた。
「絶対に逃しません!」
「たかが一人の小僧が、我等を止められるとでも思ったか!」
「一人では無いのであーる!」
 態勢を立て直し臨戦態勢を整える天馬騎士団に、少女の声が響き渡る。駆けつけた援軍の姿に、兵庫は笑みを浮かべると得物を構えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋山・軍犬

さて、作戦は竜の救出メインだが
魔導士を完全放置もヤな予感がするんで
軍犬は魔導士に威力偵察仕掛けてきます

で、竜の救出は…カムヒア!【指定UC】

夜「私が超級料理塾一号生! 星月 夜であーる!」

話は断章見て把握済み!
という訳で竜の救出は私に任せるのであーる!

先ずは、結界術で古城からの逃走経路を封印!
逃がさんのである!

さて、天馬騎士団とやら
なかなかに使命感に燃えた(狂った)目をしているが
か弱き者を傷つけオブリビオンに堕とそうというのは気に食わん

故に貴様らの使命感
私の気合いと根性と漢娘魂と超級料理塾魂を込め
結界術で強化した拳で殴り飛ばすのである!

夜「私が超級料理塾一号生ッ! 星月 夜ッであーるッ!!」



● 召喚主より召喚先
 今まさに空へと落ちようとしていた天馬騎士団を足止めした猟兵が、頼もしそうな笑顔で秋山・軍犬(悪徳フードファイター・f06631)……の召喚した少女に向けられる。猟兵の視線を受けた黒髪の少女は、警戒を顕にする天馬騎士達に向けて大きく胸を張り決めポーズを決めた。
「私が超級料理塾一号生! 星月 夜であーる!」」
「超級料理塾だと!?」
 怪訝そうな天馬騎士が問いかけかけた時、夜の後ろから夜そっくりな少女が現れた。
「私も星月 夜であーるッ!!!!」
「私だって星月 夜であーるッ!!!!」
「私こそ……って、そこちょっと詰めるのである」
 次々出てきては微妙に違う決めポーズを披露する少女たちの姿に、場が思わず凍りつく。続々現れる少女はその数、104人。同じ格好の少女たちは天馬騎士達を取り囲むように展開すると、声を揃えて決め台詞を言った。
「「「大切なのは根性 友情 罪なお夜食! 私が闇の精霊……の亜種! お夜食の精霊にして超級料理塾一号生!『星月 夜』であーるッ!!!!」」」
 四方八方から一寸違わぬ声が響き、どこからともなくジャジャーン! とSEとエフェクトが掛かる。ドヤ顔で非日常をキメた夜達は、白いドラゴンの入れられた鳥籠を守る天馬騎士達に向けて指を突きつけた。
「話は断章見て把握済み! という訳で竜の救出は私に任せるのであーる!」
「やはり貴様らの狙いはドラゴンか! ここは我等が引き受ける! お前は急ぎ骸の海へ向かえ!」
「分かりました!」
 ランスを構えた隊長格の天馬騎士が、突撃態勢を整えると夜へ向けてランスチャージを仕掛けた。一斉に攻撃を仕掛ける天馬騎士団を迎え撃った夜は、ランスを結界術で守った脇で受け止めると間近で睨みつける騎士に不敵な笑みを浮かべた。
「天馬騎士団とやら。なかなかに使命感に燃えた(狂った)目をしているな」
「我等は使命を全うするまで! そこをどけ小娘!」
「どかーぬ! か弱き者を傷つけオブリビオンに堕とそうというのは気に食わん!」
「元より気に入られようなど思ってはおらぬわ!」
 吠えた天馬騎士の脇を抜け、一人の騎士がバルコニーへ向かう。あそこから飛び降りられては全てが終わる。勝利を確信した騎士の前に、月が躍り出た。
「させぬ! 私の(人海)結界術が逃走経路を封印済なのである!」
「それは結界術なのか!?」
 思わず足を止めた天馬騎士の前に躍り出た月が、フンフンディフェンスで天馬騎士の足を止める。白いボール(ドラゴン)を抱えた天馬騎士は、ディフェンスの薄いところを狙い大きく駆け出す。そこに大きな笛の音が響いた。
「ボール(ドラゴン)を持ったまま三歩以上歩くのはトラベリングなのであーる!」
「そんなルール知らぬ!」
「ルールを守らぬ卑怯者どもめ! 私の気合いと根性と漢娘魂と超級料理塾魂を込め、結界術で強化した拳で……」
 拳を握り締めた月が、天馬騎士に迫る。轟! と唸りを上げた月の拳が迫り、天馬騎士の顎に叩き込まれる。アッパーカットをキメた月は、スローモーションで吹き飛ばされる天馬騎士の姿にすう、と目を開くと口元に笑みを浮かべた。
「殴り飛ばすのである!」
 呻き声を上げた天馬騎士が、床に叩きつけられる。ファイティングポーズをキメた月に、月達が楽しそうな歓声を上げる。
「私が超級料理塾一号生ッ! 星月 夜ッであーるッ!!」
「り、料理もバスケットボールも関係……ない……!」
 天馬騎士が思わずツッコミを入れる。やんややんやと盛り上がっている間、召喚主である軍犬は魔道士にサクッと威力偵察を仕掛けたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユディト・イェシュア

ドラゴンの救助へ
ここで逃げられてしまっては取り返しがつかないかもしれません
幸い敵はこの島を破壊する気はないようですし
後々の憂いはありますが
その企みを知るためにも救出を優先させます
(翼くんそちらは頼みます)

天馬騎士たちは外に向かって…
外に出る前に救い出しましょう
古城の中ならば
機動力を活かすこともできないはず

あなた方の目的は何ですか?
それにこの古城は……
口を開くかはわかりませんが
問いかけてみましょう

飲み込んだ天使核が大切なようですね
ドラゴンを盾にすることもなさそうですし
逃げられないよう気を付けながら戦います

ドラゴンはずっとひとりだったと聞きました
この外に広い世界があることを教えてあげたいですね


彩瑠・翼

えっと…ドラゴンはもちろん助けたいけど、
ここの島の天使核も守らないとなんだよね?

ユディトさん達があっち行くんなら、
ドラゴンは皆にお願いして、オレは帝国魔道士を追いかけるよ
だって、どっちも気になるし
できるなら、全部守りたいって思うのがオレ達だもんね?

引き続きUCで強化して、できるだけ近づいて戦うよ

この島の天使核がある場所に先回りしてみたいけど
追いかけるので精一杯な気もするから、
[ジャンプ]して帝国魔道士の後ろから体当たりでぶつかって[ランスチャージ]するんだ

落っこちそうで怖いけど、ここは[気合い、勇気、覚悟]で!
敵と前だけを見てどーんと!
頑張る!

ウィン、オレが落っこちたらちゃんと拾ってね?


灰神楽・綾

梓はきっと何よりもまず白いドラゴンを助けたいはず
でも親玉を倒さないとまたドラゴンは狙われるだろう
とはいえ二兎を追う者は一兎をも得ず…それならば
俺がもう一兎を追う方に回ってあげるよ
親玉ならさっきの天馬騎士よりも歯応えがありそうだしね
…食べる方なら馬の方が断然歯応えありそうだけど

UC発動
戦場内の魔法陣の位置を意識し
魔法陣の外部か、魔法が発動しても即座に外に逃げられるような
場所を選びながら飛翔能力で敵へ接近
その間も念動力でナイフ飛ばし、指を鳴らす動作を妨害
至近距離まで近づけば敵は迂闊に魔法を発動出来なくなるだろう
自分も巻き込まれかねないからね
再び距離を取る暇も与えずEmperorの一撃を叩き込む


乱獅子・梓

白いドラゴンをオブリビオンにするだなんて
そんなふざけたことさせるか!
だが親玉を逃してしまっては元も子もない…
そんな俺の気持ちを察した綾の提案を受け入れ
俺は白いドラゴンを、綾は帝国魔道士を追うことに
あとで御礼に美味しい桜肉料理を振る舞ってやろう

奴らはドラゴンを抱えているから
手荒な攻撃法でドラゴンまで巻き込まないように気を付けねば
それならば、UC発動し零の咆哮を響かせる
壁に囲まれた城内ならよりよく響くだろう
即座に眠りに落ちなくても動きや思考は鈍くなるはず
その隙に成竜の焔の体当たりを喰らわせる
他の猟兵たちとも連携し、ドラゴンを救出するチャンスを作りたい
救出成功すればあとは残りを殲滅するだけだ



● やりたいこととやるべきこと
 一方その頃。
 トラップを抜け玉座の間に辿り着いた灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は、二方向に伸びる通路の中央で立ち止まった。
 右へ行けば帝国魔道士が、左へ行けば白いドラゴンがいる。この浮島を骸の海へ還すと言っていた帝国魔道士を放置したらどんなことが起こるか分からない。ここで倒してしまわなければ。そんな綾の心に同調したかのように、彩瑠・翼(希望の翼・f22017)が右へ続く通路を覗き込みながら言った。
「えっと……。ドラゴンはもちろん助けたいけど、ここの島の天使核も守らないと、なんだよね?」
「そうだねえ。親玉を倒さないとまたドラゴンは狙われるだろうから」
「……分かってる。親玉を逃してしまっては元も子もない。……だが、ああクソッ!」
 苛立ったように拳を掌に打ち付けた乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は、逸る気持ちを押さえきれないように左の通路を睨みつけた。苛立たしげな梓を、二匹のドラゴン達が心配そうに覗き込む。その視線を受け止めた梓は、焔の頭を撫でると拳を握り締めた。
「白いドラゴンをオブリビオンにするだなんて、そんなふざけたことさせるか!」
「天馬騎士たちが外に出る前に、ドラゴンを救い出しましょう。古城の中ならば、機動力を活かすこともできないはず」
 梓の隣に立ったユディト・イェシュア(暁天の月・f05453)は、誰もいない左の通路の奥に目を細めると払暁の戦棍を握り締めた。
「ここで逃げられてしまっては、取り返しがつかないかもしれません。幸い敵はこの島を破壊する気はないようですし。後々の憂いはありますが、その企みを知るためにも救出を優先させましょう」
「だが、帝国魔道士を放っておく訳にいかないだろう!? 今助けられても、ここで逃したら何度でも襲いかかってくるはずだ。白いドラゴンの方には他の猟兵達も向かった。任せておけば心配はない。俺達は帝国魔道士を追うべきだ……!」
 顔を上げた梓のサングラスの奥が、辛そうに歪む。梓はきっと何よりもまず白いドラゴンを助けたいはず。だがやりたいことよりやらねばならないことを優先させようとする梓の肩を叩いた綾は、眉根を寄せる梓に微笑むと深く頷いた。
「二兎を追う者は一兎をも得ず。それならば、俺がもう一兎を追う方に回ってあげるよ」
「綾……?」
「そうだよ梓さん!」
 辛そうな梓を見上げた翼が、にかっと笑う。アリスランスを握り締めてペガサスの背中を撫でた翼は、帝国魔道士が去った通路に視線を送った。
「ドラゴンは梓さん達にお願いして、オレは帝国魔道士を追いかけるよ」
「翼……」
「だって、どっちも気になるし。できるなら、全部守りたいって思うのがオレ達だもんね?」
 ペガサスに飛び乗った翼が、笑顔でサムズアップ。ふわりと飛び上がった翼に、綾もユーベルコードを詠唱した。蝙蝠のような大きな黒い羽根を背中から生やし、蝶を従えた綾は少年の勇気に目を細めると腕を組んだ。
「親玉ならさっきの天馬騎士よりも歯応えがありそうだしね。……食べる方なら馬の方が断然歯応えありそうだけど」
「分かった! あとで御礼に美味しい桜肉料理を振る舞ってやろう。翼も何が食べたいか、考えておけよ」
「楽しみにしてるね」
「お、オレもいいの!?」
「こういうのは大人数の方が楽しいからな!」
「翼くん、そちらは頼みます。……行きましょう、梓さん!」
「おう!」
 親指を立てた梓が、天馬騎士団が去った通路へ向けて駆けていく。その背中を見送った綾は、翼と共に帝国魔道士を追い右側の通路へと翔けた。

● 天使核の間にて
 綾と共に帝国魔道士を倒すべくペガサスのウィンに飛び乗った翼は通路を駆ける。ウィンに振り落とされないように手綱を握りながら、翼はドキドキする心臓を宥めた。今ここにはユディトもいない。綾はこの依頼でも見かけたけれどちゃんと話をしたことはあっただろうか。二人で帝国魔道士をなんとかしなければならないのだけれどできるかな。いや、できるかな、ではない。やらなければ。拳を握る翼を振り返った綾は、不安そうな翼に話しかけた。
「翼君は、ひょっとして戦闘慣れてない?」
「え? う、うん。でも頑張るから!」
 アリスランスを握り締める翼を、綾は珍しいものを見るような目で見つめる。その視線に居心地の悪いものを感じたが、やがて綾は笑みを浮かべた。
「俺が君くらいの頃は戦闘しか考えてなかったなあ。……気をつけて!」
 綾の警告に、翼はアリスランスを握り締める。その直後、奥の部屋で大きな爆発が起こった。部屋の中から慌てて駆け出してくる猟兵が、転びそうになりながらも翼の脇を駆け抜けていった。
「威力偵察、完了っす! 後は任せたっす!」
「え? ちょっと!? 偵察なら戦力を教えて……」
「来た!」
 綾の声が響いた直後、翼の身体が宙に浮いた。強く押された翼の身体が一瞬前まであった空間を、魔法が通り抜ける。慌てて前を見た翼に、帝国魔道士が傲然と顔を上げた。
「ふん。よくもここまで入り込んだものだな、雑魚どもが!」
 天使核を背にした魔道士が、酷薄な笑みを浮かべながらこちらを睨みつけてくる。驚いた翼は、アリスランスを握り締めて一瞬身体を硬直させる。その様子に前に出た綾は、周囲を見渡すと心から楽しそうな笑みを浮かべた。
「他人を雑魚っていう連中は、自分が雑魚だっていうことに気付いていないものさ!」
「黙れ!」
 ピクリと眉を跳ね上げた魔道士が、綾に向けて魔法を続けざまに放つ。蝶の残像を残しながら回避した綾は、Jackを構えると続けざまに投擲した。鋭く放たれた短剣は指を鳴らそうとした帝国魔道士の手の甲に突き刺さり、動作を阻害する。動きが止まった一瞬の隙を突いて飛び出した綾は、帝国魔道士の内懐まで素早く間合いを詰めると手にしたハルバードを叩き込んだ。
「すごい……!」
 鮮やかな戦いに、翼は思わず称賛のため息をついた。綾の動きは一切無駄がなく、相手に反撃の隙を与えない。至近距離で睨み合った綾は、帝国魔道士に笑みを浮かべた。
「この距離まで近づけば、迂闊に魔法を発動できないよね。自分も巻き込まれかねないからさ」
「ふ。どうかな!」
 帝国魔道士の不敵な笑みに、綾が目を見開いた直後。指を鳴らす音が響いた。その直後、巨大な雷の矢が上空に現れた。自分も巻き込む超巨大な雷の矢は、極大ダメージを与える。それだけではない。自分も狙うという不利な行動のために、その威力は増強されている。巨大な矢に更に魔力を乗せた帝国魔道士は、狂ったような高笑いを上げた。
「この矢は雷を司る。そして私は雷の属性を得ている。大したダメージにはならぬわ! そして完成した我が魔術は、この天使核を傷つけることはない! 私は必ずやこの城を掌握し、我が君の許へと献上してみせようぞ!」
「綾さん!」
 翼が叫んだ直後、場を埋め尽くすような雷矢が突き刺さる。回避不能な魔法の矢が巻き起こす衝撃をやり過ごした翼は、広がる光景に目を見開いた。
 魔法の矢を受けた綾は、地面に叩きつけられて地に伏している。よろりと立ち上がろうとするが、受けたダメージは決して浅くはない。帝国魔道士も同様にダメージを受けているが、強化された身体能力に守られて未だ健在だ。地面に向けて指を向けた帝国魔道士は、綾の心臓めがけて魔力を溜めた。
「終わりだ猟兵! 骸の海へ堕ちたならば、我が手下としてくれよう!」
「だめ!」
 叫んだ翼は、アリスランスを握り締めると一気にジャンプした。綾に気を取られていた帝国魔道士の上空をとんぼ返りで飛び越し、天使核に着地。渾身の力で天使核を蹴りつけアリスランスを構えた翼は、勢いをつけると帝国魔道士の心臓に向けて体当たりを仕掛けた。
「がっ! ……っ、この、小僧がぁっ!」
 アリスランスに胸を貫かれた帝国魔道士が、小さな呻き声を上げる。背中にぶつかった翼の姿を憎々しげな目で睨みつけた帝国魔道士が立ち上がった時、暴風が巻き起こった。
 ウィンが蹴りつけた天使核に、大きなヒビが入っている。魔法陣の中央に浮いていた天使核は虹色に輝きながら風を巻き起こし、唸り声のような音を立てている。
 立ち上がった帝国魔道士は、翼のことなど目に入らないかのように詠唱を開始する。光に包まれた天使核は風を少し弱めるが、ヒビが直る気配はない。
「くっ……! 鎮まれ天使核よ!」
「綾さん!」
 必死に魔法を唱えている隙に急いで綾に駆け寄った翼は、綾に肩を貸すとその身体をウィンに乗せた。
「綾さんしっかりして!」
「ははっ……カッコ悪いなぁ」
「そんなことない! 綾さん、すっごいカッコよかったよ!」
 翼が言った直後、膨大な魔力が巻き起こる。急いで飛び立ったウィンの足元では、大きな地震と地鳴りが響き渡っている。
「わわ! ここから逃げなきゃ! ウィン、オレが落っこちたらちゃんと拾ってね?」
 主の要請に嘶きで答えたウィンが飛翔する。天使核が傷ついた古城は、細かく振動すると崩壊を始めた。

● 2つの白の乱舞(ラグビー)
 一方その頃。
 綾に帝国魔道士を任せて通路を急ぐ梓は、ユディトと共に通路を駆け抜けた。天馬騎士はドラゴンを抱えたまま雲海に身を躍らせればそれで済む。こうしている間にも白いドラゴンはオブリビオンと化してしまっているかも知れない。焦燥感に背中を押された梓は、静かな声に振り返った。
「白いドラゴンはきっと大丈夫ですよ。先行した猟兵もいますし」
「そうだといいんだが……」
「本当にドラゴンがお好きなんですね」
 ユディトの声に、梓は迷わず頷く。いつも梓についてきてくれる焔と零は、最高の相棒だ。
「これでも竜騎士だからな。……急ぐぞ!」
 ユディトの前に駆け出した梓は、テラス前のホールに出ると目の前の光景に目を丸くした。
 蜂蜜色の奔流体と少女の結界に阻まれた天馬騎士団達が、結界を破こうと攻撃を仕掛けている。なかなかカオスな光景だが、騎士団の中央にいるドラゴンの姿に気を引き締めた。ドラゴンは鳥籠に入れられているのだ。無事を確認し安堵の息を吐いた梓は、同時に沸き起こる怒りに拳を握り締めた。
「お前たち! 白いドラゴンは返してもらう!」
「ええい、新手か! 第二班! 新手を排除せよ!」
「はっ!」
 隊長格の号令に、天馬騎士団達が一斉に梓に向けて踊りかかってくる。ランスチャージを繰り出し突き殺そうとする槍を、梓は辛うじて回避する。戦意高く連携して襲いかかってくる天馬騎士団が、梓に詠唱の隙を与えない。舌打ちした梓は、目の前に迫るランスを受け止めようと腕を振り上げた。
 そこに、白い影が割って入った。
「危ない!」
 払暁の戦棍を水平に構えたユディトが、梓と騎士団の間に割って入る。唸りを上げるランスの下から跳ね上げたユディトは、態勢を崩した天馬騎士団の懐に入り込む。
 鋭い打撃を繰り出しながら天馬騎士を迎撃するユディトの姿に、梓は詠唱を開始した。
「……歌え、氷晶の歌姫よ!」
 距離を取り心を落ち着かせた梓のユーベルコードに応えた零が口を開けた直後、神秘的な咆哮が空間を震わせた。場の全てを凍てつかせ、氷の眠りに誘うような咆哮が放たれる。全てを死の眠りへと誘う咆哮は城内の壁や窓に反射し、共鳴しながら天馬騎士団達に襲いかかる。強烈な眠気に襲われた天馬騎士団は、歯を食いしばり眠気に耐えながらもランスを握り締めた。
「くっ……! こんな睡魔、召喚者を倒せば消えて無くなる!」
 叫んだ天馬騎士達は、一斉にランスを握り締めると梓と零に向けてランスチャージを仕掛ける。よろけながらも一斉に突撃する天魔騎士の前に、赤い竜が躍り出た。
「キュー!」
 成竜となった焔は、梓と零を守るように立ちふさがるとランスチャージに臆せず体当たりを仕掛けた。襲う眠気に甘くなる狙いの隙を突き、薙ぎ払うように巨体を叩きつける。前衛を倒された天馬騎士団に、梓は叫んだ。
「ユディト!」
「俺には視えます……あなたの強さも弱さも」
 梓の声に駆け出したユディトが、一瞬目を閉じる。再び目を開いたユディトは、攻撃を次々と回避すると鳥籠を抱える天馬騎士に迫った。咄嗟に応戦する姿に、ユディトは戦棍を構えた。
「あなたの弱点は足元です!」
 身を低くしたユディトは、渾身の力で下段に構えた払暁の戦棍を振り抜いた。バランスを崩した天馬騎士は倒れざま、白いドラゴンの籠を取り落とす。慌てて伸ばした天馬騎士と同時に鳥籠に飛びついたしたユディトは、間近で競り合う天馬騎士と激しくぶつかり合い、白いドラゴンを奪い合った。
 慣れない荒事だが、そうも言っていられない。手を伸ばし、競り合ったのは一瞬のこと。白いドラゴンの籠を抱きしめたユディトは、勢いを殺すように前転すると衝撃を全身で受け止めた。
 転がりながら鳥籠を庇う。息が詰まり、全身に痛みが走るが抱き上げた白いドラゴンに衝撃が行かないよう細心の注意を払う。やがて身体をはね起こしたユディトは、急いで腕の中の籠を覗き込んだ。籠の中で目を回していたドラゴンはユディトの姿に警戒したように首を竦めるが、大きな怪我はなさそうだ。ホッと安堵の息をついたユディトは、響く怒声に視線を離した。
「そのドラゴンを返せ!」
 隊長格の声に、天馬騎士が一斉にユディトに飛びかかる。人海戦術で奪い返しに掛かる天馬騎士に、ユディトは梓を振り返った。
「梓さん!」
「任せろ!」
 ユディトに駆け寄る梓に、白いドラゴンの入った鳥籠を投げる。多少手荒だが仕方ない。ラグビーボールをパスするように投げられた鳥籠が梓にキャッチされたのを見届け、間近で睨み合う天馬騎士に叫んだ。
「あなた方の目的は何ですか?」
「我等は我等が主を迎えに来たまで! 我等が主と軍勢が揃えば、再びこの世界を我等がものにしてみせようぞ!」
「そんなこと、させません!」
「盗人が吠えよるわ! この城までも奪いに来たか!?」
 猛る天馬騎士の声に、ユディトは眉を顰めた。本来ならば帝国魔道士本人があのドラゴンを連れて骸の海へ迎えば良い。だがそれをせず、部下に任せてまで天使核に向かったのは何かあるのだろうか。
「それにこの古城は……一体何なのですか?」
「この城は我が主の力の源にして、我等が力の源なり! 陛下のユーベルコードは我等を護り、無敵の力を与えてくださる。その陛下に力を与えるのが、この城の天使核! 陛下と城が揃えば、我等は無限の力を手にすることができるのだ!」
 狂った目の天魔騎士が叫んだ時、赤いドラゴンが飛来した。ユディトに攻撃していた天馬騎士が、一気に弾き飛ばされ壁に激突する。起き上がったユディトは、天馬騎士達を退け鳥籠を抱き上げる梓に微笑んだ。
「梓さん、ドラゴンは無事ですか?」
「おう! ……ってお前くすぐったい舐めるな!」
「きゅう!」
「ガウ!」
 天馬騎士を退けた梓に礼をするように、鳥籠から鼻先を出した白いドラゴンが梓の頬を舐める。それにヤキモチを焼いたように、零が梓を鼻先でつつく。良かった、無事に守ることができた。安堵の息を吐いた時、床が大きく揺れた。大きくひび割れた床は陥没し、足元を掬う。突然の出来事に、梓の手から白いドラゴンの鳥籠が跳ね出された。
「しまった!」
「我が主の天使核、返してもらおう!」
「返せ!」
 必死に手を伸ばす梓をあざ笑うように、天馬に乗った騎士が宙に浮いた白いドラゴンを拾い上げる。必死に手を伸ばす梓が叫んだ時、戦場に人影が駆け込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ビスマス・テルマール

その子を連れ去り何をする気ですか?まさか……オブリビオンにするつもりではありませんよね?

●POW
開幕『属性攻撃(氷)&誘導弾』込めた【全遠距離武装】による『砲撃&レーザー射撃』の『一斉発射&制圧射撃』を『弾幕』を『念動力』で操り『範囲攻撃』でドラゴンの子に当てない様敵に

サイさんや皆と『集団戦術&団体行動』で連携

『激痛耐性&オーラ防御』で備え『早業』UC発動

『空中戦&推力移動』で駆け
攻撃や風の動きを『第六感&学習力』で『瞬間思考力&見切り』『残像』回避しつつ『怪力&2回攻撃&切り込み』光学蟹鋏突撃

●ドラゴンの子の名前
雪の様に白い身の魚の
鱈からシラタラは如何でしょう?

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎


上城・桂悟

あの魔術師のやることも気になるが、危機に瀕している命を見捨てるわけにはいかない

さっきと同じように距離を取って戦う。それと出来れば突風に備えて何か掴まれそうな物がありそうなところで戦いたい
風の属性攻撃を高速詠唱や全力魔法を使って敵に撃ち込んでいく。場合によってはそれで吹き飛ばして隙を作りたいな
敵の攻撃は見切りや第六感で回避
仲間が近くで戦っているなら魔法による援護射撃で支援

【水蛇変化】は攻撃や敵の妨害用に使うが、周囲に影響を与える技だから気を付けて使わないと。水は変幻自在、そう簡単に避けられると思うなよ?

戦い終わったらドラゴンの無事を確認したい。天使核を飲み込んだけど大丈夫なのか……?



● 情熱と焦燥の蒼鉛
 迷宮を抜け、玉座の間の通路を左に進んだビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)は、突如崩壊を始める古城に足を取られながらも先へ先へと急いで駆けた。迷宮を抜けるのに、随分時間が掛かってしまった。先行した猟兵を信じているが、どうなっているのか連絡がつかない。そうこうしている間に崩壊を始める古城に、ビスマスは焦りの声を上げた。
「この城、崩壊を始めてるんですか……!?」
「どうやらそのようだな」
 冷静沈着な上城・桂悟(静かに佇む蒼月・f04997)が静かに頷く。焦りの色を見せるビスマスを落ち着かせるように、桂悟は静かに語りかけた。
「落ち着け。あの魔術師のやることも気になるが、危機に瀕している命を見捨てるわけにはいかない」
「っ……! そうですね。今は一刻も早く、あの子を助けなければ……!」
 桂悟の声に、大きく深呼吸。少し落ち着きを取り戻したビスマスは、通路を抜けると辿り着いたホールの様子に息を飲んだ。テラスに続くホールの床はあちこち崩れ、ところどころに下に広がる雲海が見える。崩壊を続けるホールの中で、猟兵の手を離れ空を飛ぶーー否、空に投げられている白いドラゴンの入った鳥籠が見えた。崩れる床に足を取られた猟兵が必死になって手を伸ばしているが、あと一歩届かない。
 鳥籠の中で身を縮める白いドラゴンが天馬に乗った騎士に攫われるのを見たビスマスは、全身が総毛立つのを感じた。
 考えるより早く、身体が動く。全砲門を天馬騎士へと向けたビスマスは、氷属性の誘導弾を一斉に発射した。白いドラゴンを抱えた天馬騎士を避けて放たれた砲弾が、護衛の天馬騎士を凍てつかせる。続けざまにレーザー射撃を加えて範囲を制圧したビスマスは、空中に残った天馬騎士を睨んだ。
「その子を連れ去り何をする気ですか? まさか……オブリビオンにするつもりではありませんよね?」
「それ以外に何がある? 我等はオブリビオン。我等が主をオブリビオンとして迎え入れるのは、至極当然のことではないか」
 鼻先で笑う天馬騎士の声に、ビスマスは指を突きつけた。あの騎士を絶対に逃がすわけにはいかない。絶対に。決意を新たにしたビスマスは即座に詠唱を開始した。
『Final build Bi!Bi!Bi!Biscancer!』
 鎧から機械音が鳴り響き、周囲に警戒を伝える。機械音に導かれたように現れた鎧が空中に展開すると、眩い光を放った。
「ビスキャンサー転送! 蒼鉛式生成戦術起動!」
 一層強い光が、ビスマスから放たれる。白い光の中で鎧装ビスキャンサーを装着したビスマスは、蟹鋏を構えると床を蹴った。
「お、おい待て!」
 そのまま空中に踊り出すビスマスに、桂悟の焦りの声が掛けられる。桂悟の警告に構わず中を蹴ったビスマスは、鳥籠を抱く天馬騎士へと一直線に突撃を仕掛けた。
「その子を、返しなさい!」
「かかったな!」
 鳥籠を抱いた天馬騎士の頬がニヤリと歪むと、別の天馬騎士が盾を構え割って入った。思いの外強い抵抗を感じたが、構わず突撃を続ける。
 天馬騎士を撃破し、白いドラゴンがいるはずの空中に踊り出す。だが既にそこには誰もいない。目を見開くビスマスに、散会した天馬騎士が一斉にランスを構えた。
「突撃!」
 隊長の命令で、ビスマスに向けて一斉にランスチャージが放たれる。回避しきれず防御姿勢を取ったビスマスを、水の蛇が包み込んだ。

● 冷静と援護の水蛇
「お、おい待て!」
 制止を振り払い飛び出したビスマスの姿に、桂悟はaquamarineを構えた。ビスマスを狙い突風を放とうとする天馬騎士に向けて、高速詠唱で錬成した風の魔法を叩き込む。ビスマスを誘うように宙を舞う天馬騎士と、それを取り囲むように飛行する他の天馬騎士。地上から冷静な目で見上げれば、狙いは明らかだった。
 ビスマスの突出を誘い、集中攻撃を仕掛けるのだ。あれだけの天馬騎士に一斉に狙われては、いくらビスマスでもただでは済まないだろう。少しでも数を減らそうと、桂悟は床から連続して魔法を撃ち出した。桂悟に気付いて散開し回避した天馬騎士は、腹立たしげに盾を向けた。
「小うるさい蝿め! 雲海へ叩き落としてくれるわ!」
 天馬騎士の動きを察知した桂悟は、すぐに手すりにしがみつく。
 その直後、ものすごい突風が桂悟を襲った。必死にしがみつく桂悟を引き剥がし、床に叩きつけんと迫る風を渾身の力で耐え抜く。
 所々砕けた床に瓦礫は既になく、見下ろす先に雲海がどこまでも続いていた。あの雲の先にあるのは骸の海。落ちたら桂悟とてただでは済まない。ようやく盾の風をやり過ごした桂悟は、お返しにとばかりに杖を振りかざすと風の魔法を叩き込んだ。
 雲海へ消える騎士を見送った桂悟は、古城にしがみつくように残る床に目を向けると詠唱を開始した。
「一時の間、水蛇に変われ!」
 桂悟が放った魔力は、危険な瓦礫を水へと変える。空中に放たれた水の玉は雲海へ落ちることなく浮かび上がると、水蛇の姿を形作った。幾匹もの水の蛇は勢いよく舞い上がると、ビスマスの周囲を螺旋に回る。天馬騎士の視界からビスマスを攫った水蛇は、彼女と同時に空中へと舞い上がった。
 一点に向けてランスチャージを仕掛けた天馬騎士が、互いに貫き合い雲海へと落ちる。ビスマスから離れた水蛇は、その隣にとぐろを巻くと力を溜めた。残る天馬騎士を、ここで掃討しなければ。同じことを考えたのだろう。天馬騎士に向けて砲門を向けるビスマスに合わせて、水蛇がざわりとざわめいた。
「天馬騎士団を、ここで全て倒します!」
「骸の海へ還れ。お前達だけでな!」
 ビスマスの砲門から放たれた氷の砲弾が、雹のように天馬騎士へと降り注ぐ。呼吸を合わせて水蛇を放った桂悟は、白いドラゴンの入った鳥籠を抱いた天馬騎士以外の天馬騎士を次々に雲海へと叩き落としていく。
 単騎残った天馬騎士に相対した桂悟は、じりじりと後退する姿に指を突きつけた。
「さあ、最後はお前だ」
「その子を返して貰います!」
「かくなる上は……! 我が君! 後ほど必ずお迎えに上がります!」
 桂悟とビスマスが天馬騎士に迫る。二人の猟兵の姿に頬を歪ませた天馬騎士は、抱えていた鳥籠から手を離した。
 目を見開く桂悟とビスマスの目の前で、鳥籠が雲海へと落ちる。急いで追いかける桂悟とビスマスを、決死の天馬騎士が体当たりで妨害する。腹立たしげに倒すが、それがタイムロスとなった。
 届かないと知りながらも鳥籠に手を伸ばした時、一筋の光が飛び立った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桜雨・カイ

その子(ドラゴン)は連れて行かせません!
【想撚糸】発動
結界をドラゴンの身を包む網のように編み騎士から奪い取る
保護できたら、今度は騎士の攻撃を防ぐ結界として発動。
どんなに激しく突撃してきたとしても、この絆の糸で編んだ結界は絶対に破らせません!

飲み込んだものと島の天使核……少なくとも天使核は二つあったんですよね。天使核はオブリビオンの心臓…あちこちに落ちていた石といい、ここにいた人達は全て天使核となったんでしょうか…?

ところでドラゴンさん…あなたの名前を教えてくれますか
無い…?どうしましょう白いからシロさん…とか(他にいい名前があればそちらで)
このままだとまた狙われると思うので一緒に来ませんか?


御園・桜花

「島が落ちれば全てがオブリビオンになってしまうけれど…私はドラゴン救助に向かいます、ごめんなさい」

UC「精霊覚醒・桜」使用
ソニックウェーブ巻き起こしながら凡そマッハ9の最高速度で追跡
「激突時に与える衝撃はそちらの方が上かもしれませんけれど。速度に差はないのですもの、突進させなければ良いのでしょう?」
敵の激突躱しすれ違いざま竜持つ腕や天馬の羽根狙い桜鋼扇で殴打
竜を取り落とさせたり天馬自身が落下するよう仕向ける
勿論竜が雲海に落下しないよう、騎士が取り落としたら最高速度で竜を追いかけ確保する

名称
「白いからと言って、ハクやパイロンじゃ捻りが無さすぎますし…暴食や空腹からイメージして、クウさんとか?」



● 天空の空中戦
 時は少し遡る。
 迷宮の罠を抜けて玉座の間へと辿り着いた御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は、左右に伸びる通路に視線を向けた。
 右へ行けば帝国魔道士の向かう先。左へ行けば白いドラゴンが連れ去られた先。迷いに視線をさ迷わせた桜花は、唇を噛むと左の通路へと駆け出した。
「島が落ちれば全てがオブリビオンになってしまうけれど……。私はドラゴン救助に向かいます、ごめんなさい」
「私も同じ気持ちです」
 桜花と共に迷宮を抜けた桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)もまた、通路を左へと進む。ここまで来るのに随分時間をロスしてしまった。突然起こる地震に迷宮の壁や床が崩れ、遠回りを余儀なくされてしまった。この島になにかあったのだろう。一刻も早く駆けつけたい気持ちで胸が締め付けられるが、狭い通路を高速で飛行するのは危険すぎる。
 通路を駆け抜けた桜花は、目の前の光景に目を見開いた。鉄の鳥籠に入れられた白いドラゴンが、天馬騎士の手から離れて雲海へと落ちる。地震で床は既に無く、受け止めるものもないままに鳥籠は視界から消えようとしている。
 その光景に、桜花は一気に飛翔した。最高速度マッハ9を記録する桜花は矢のように飛び出すと、脇目も振らず鳥籠へ向けて飛翔し手を伸ばす。渦巻く桜吹雪を軌跡に残しながら伸ばした桜花の指が鳥籠に掛けられた時、白い影が雲海から飛び出した。
 隠れていた天馬騎士が、一直線に飛び出す。桜花と同じ速度で下から上へとカタパルトで射出されたかのように飛翔した天馬騎士は、一瞬の隙を突き鳥籠を攫うと更に上昇。屋根を突き破り上空に出ると、その場を飛び去ろうと天馬の馬首を巡らせた。
「さらばだ!」
「その子は連れて行かせません!」
 そのまま飛び去ろうとした天馬騎士に、白い結界が放たれた。鳥籠を絡め取るように想撚糸を放ったカイは、そのまま手元に引き寄せようと力を込める。じりじりと手元に引き寄せるカイの想撚糸に舌打ちした天馬騎士は、鳥籠を抱えたまま勢いよく飛び立った。
「お前など振りほどいてやる!」
 再びユーベルコードで突進を仕掛ける天馬騎士の推力に、カイの身体が引きずられる。腕が千切れそうな痛みを訴えるが、念糸は決して離さない。
 ついに身体が宙に投げ出され、無防備な身体が猛スピードで空を飛ぶ。意識が飛びそうになるくらいの風を全身で受けたカイは、歯を食いしばりながらも襲う重力を耐えた。ここで想撚糸を解いてしまえば、もう二度と白いドラゴンに手が届かなくなる。そんなことは決してさせない。決意を新たにしたカイは、強く叫んだ。
「どんなに激しく飛んだとしても、この絆の糸で編んだ結界は絶対に破らせません!」
「その強がり、どれだけ持つかな!」
 叫んだ天馬騎士は、カイを振りほどこうと曲芸飛行を繰り返す。だが、カイは決して想撚糸を解除しようとしない。その執念に恐怖の視線を向けた天馬騎士は、ふいにスピードを緩めた。ホバリングした天馬騎士は、雲海に向けて吊り降ろされたカイに向けてランスを構えた。
「雲海へ落ちろ!」
「落ちるのはあなただけです!」
 天馬騎士を追いすがった桜花は、カイにランスが放たれる寸前割って入った。カイを抱きしめるようにすれ違いざま抱えて飛翔。カイと繋がった鳥籠は、攻撃のために持ち方が甘くなっていたのだろう。天馬騎士の手を離れると、大きな弧を描いた。遠心力をいなして想撚糸を強化させたカイが、鳥籠を手繰り寄せる。天馬騎士と距離を取り相対した桜花に、天馬騎士はランスを構えた。
「しつこい小娘め」
「激突時に与える衝撃はそちらの方が上かもしれませんけれど。速度に差はないのですもの。それに速度の持続力は、私の方が上のようですね」
「荷物を抱えた小娘が、この攻撃を避けられると思うな!」
 叫んだ天馬騎士は、ランスを手に猛突進を仕掛ける。回避しようと試みるが、一人と一匹を抱えたままでは機動力をそがれるのは確かにその通りで。ダメージを覚悟した桜花は、突然飛び出してくる勇士の姿に目を輝かせた。
「ROCKET DIVE! ようやく追いついたね!」
「サフランさん!」
 鳥籠を抱えたカイが、目を輝かせる。崩壊する古城に、猟兵達を回収して飛び立った飛空艇が、救援に来てくれたのだ。サイのROCKET DIVE!を受けた天馬騎士が、大きくバランスを崩してのけぞる。カイをラビのセイルフローターに預けた桜花は、桜鋼扇を構えると天馬騎士を追いかけた。
「追いかけっ子はここでおしまいです!」
 すれ違いざま閃いた桜鋼扇が、天馬騎士を叩き落とす。雲海へ消える天馬騎士を見送った桜花は、響く轟音に顔を上げた。
 美しい古城は大きく崩れ、雲海へと沈む。高度を下げていく古城を見守ったカイは、目を細めると誰にともなく言った。
「飲み込んだものと島の天使核……少なくとも天使核は二つあったんですよね。天使核はオブリビオンの心臓……。あちこちに落ちていた石といい、ここにいた人達は全て天使核となったんでしょうか……?」
 カイの問いに、応えられる者はここにはいない。飛空艇の甲板に集まった猟兵達は、古城の終焉をただ静かに見守っていた。

● 戦いが終わり
 古城が雲海へ沈むのを見送った桂悟は、鳥籠から解放されてヘロヘロになっている白いドラゴンにあわてて駆け寄った。
「お、おい!」
 抱き上げられて膝の上でへばっている白いドラゴンの背中を、恐る恐る撫でる。気持ちよさそうに目を細める白いドラゴンに安堵の息を吐いた桂悟は、誰ともなく見ると少し不安そうな声を上げた。
「なあ、こいつ無事か? 天使核を飲み込んだけど大丈夫なのか……?」
「なんとも言えませんが……」
「今の所、無事そうに見えますね」
 同じく駆け寄ったビスマスが、顔を上げた白いドラゴンの背中にそっと手を当てた。膝の上の白いドラゴンの心臓がコトコトと感じられ、冷たい中にもほんのり温かい体温がとても尊い。
 気持ちよさそうにする白いドラゴンに目を細めたカイは、ふと思い立ったように覗き込んだ。
「ところでドラゴンさん……。あなたの名前を教えてくれますか?」
「きゅう?」
 首を傾げたドラゴンは、何のことかよく分からないというように瞬きを繰り返す。名前という概念を理解していないのだろう。ぐぅー……というお腹の音で応えた白いドラゴンに微笑んだ桜花は、楽しそうに目を細めると白いドラゴンの頭を撫でた。
「お腹すいたんですか? そうですね。……白いからと言って、ハクやパイロンじゃ捻りが無さすぎますし。……暴食や空腹からイメージして、クウさんとか?」
「捻りがない……。どうしましょう白いからシロさん……とか考えていました」
 少しショックを受けたようなカイが、ちょっとだけ涙目で桜花を見る。慌てて手を振った桜花は、フォローするように言った。
「シロさんもかわいいですね。この子を真っ直ぐ現していて」
「名前、ですか」
 白いドラゴンの目をじっと見つめたビスマスは、真っ青な目を見つめると小さく微笑んだ。
「雪の様に白い身の魚の鱈から、シラタラは如何でしょう?」
「きゅう!」
 白い身の魚、に目を輝かせたドラゴンは、嬉しそうにビスマスの手に頬を寄せる。その姿に頷いたカイは、白いドラゴンのーーシラタラの背中を撫でた。
「シラタラ……いい名前ですね」
「食べ物の名前がいいなんて、やっぱり食いしん坊さんですね」
「そうですね」
 桜花の声に、甲板に和やかな笑いが広がる。微笑んだユディトは、シラタラと目を合わせた。
「あなたはずっとひとりだったと聞きました。この外に広い世界があることを教えてあげたいですね」
「きゅ?」
「このままだとまた狙われると思うので、一緒に来ませんか?」
「きゅ!」
 首を傾げるシラタラに語りかけるカイに、嬉しそうに頷く。さっきまでの暴風雨が嘘のように晴れ渡った空に、太陽の光が優しく降り注いでいった。


※ 白いドラゴンの名前募集に応えてくださり、ありがとうございます。
  名前を決めたスレは、以下になります。
名前決めスレ
https://tw6.jp/club/thread?thread_id=69179&mode=last50

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月17日


挿絵イラスト