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山で無くしものをした時は

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●グリモアベースにて
「サムライエンパイアの東間山(あずまやま)という山の峠で、飛脚が重大な書簡をなくす……という事件を予知しましてな」
 集った猟兵たちにむけて、月殿山・鬼照(不動明王の守護有れかし・f03371)は語り出した。
「実は、この飛脚だけではないのです。東間山とその峠では、最近、なくし物をする人々が急増しているのでござる」
 マタギや木こりが大事な仕事道具をなくしたり、旅人が笠や荷物をなくしたり。問題の飛脚も含め、皆に共通しているのは、ほんの一瞬目を話した隙になくしてしまうということだ。
「金目のものが無くなっているわけではないので、掏摸や置き引きの仕業ではないようでござる。むしろ愉快犯のような気配が致しまする」
 巫山戯たオブリビオンの仕業ではないかというのだ。

●1章
「手始めにやるべきことは2つございます。ひとつ目は、なくし物現象についての情報収集でござる」
 周辺の宿場町や村で、実際なくし物をした人に、話を聞いてみるとか。
 一般人の旅人のふりをして、峠道を実際歩いてみるとか。
 ドローンや監視カメラなどハイテク機材を使って、山や峠道の調査をするとか。
「ふたつ目は当然ながら、集めた情報を元に、件の飛脚の書簡の紛失を防ぐことでござる」
 この依頼はまだ予知にすぎないので、護衛するにしても飛脚本人に知られぬよう、こっそりが望ましいであろう。
「ところで此度は、拙僧も麓に住む人々に、少しばかり話を聞いてみたのでござるが」
 鬼照は、何故か少々悩ましげな表情で。
「なくし物をしても、その後、無事に探し当てた者もいるようでござってな」
 それは良かった……はずなのに、どうして鬼照は微妙な表情をしているのか。
「発見できた者は、山に伝わるまじないを実行したらしいのですが」
 まじない?
「いやあの、東間山だけではなく、全国幾つもの山に伝わっているまじないではあるのですが、これがちょっと……」
 鬼照は激しく言いよどむと、慌てて、
「こっ、ここはやはり、貴殿らが村の者たちから直接聞き出すのがよいでござろう。と、いうわけで、どうかよろしくお願い申し上げまする」
 鬼照の掌の上で小さな護摩が燃え上がり、猟兵たちは何だか強引にサムライエンパイアへと送り込まれたのであった。


小鳥遊ちどり
 猟兵の皆様、ごきげんようでござる。

●シナリオの目的
 東間山のなくし物現象の元凶であるオブリビオンを撃破する。

●シナリオの構造
 1章:なくし物現象の情報収集をし、飛脚が書簡をなくさないよう予防する(冒険)
 2章:集団戦
 3章:ボス戦

●1章について
 飛脚の護衛も大切ですが、情報収集もしっかりやった方が面白くなると存じます。
 飛脚を峠道で上手いこと追跡しただけでも、なくし物現象の実行犯には遭遇できますが、ある程度情報を得ておいた方が護衛しやすいですしね。
 1章で得た情報は、2、3章でも生きてきます。

●また、本文で鬼照が言いかけたまじないについては「ははあ、アレかな?」と見当がついた方もいらっしゃると存じます。
 しかし残念ながら、1章はまだ出番がありませんので大事にしまっといてください(出番があるとしたら3章です)。

 すでに見当はついていると存じますが、このシナリオはお下劣方面に流れる可能性を孕んでおります。
 それも皆様のプレイング次第なわけですが……何卒よろしくお願い致します。
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第1章 冒険 『峠越え』

POW   :    実際に歩いて確かめてみる

SPD   :    宿場町で聞き込み、飛脚を追跡

WIZ   :    ドローンで空撮などアイテムや技能を活用

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

不知火・桂花
【恋華荘】のいちごに同行

…するのはいいんだけど護衛には向かないし
アタシも情報収集に行くしかないわね

技能的にも微妙だからいちごが集めた情報をメモったり
必要ならいろいろ再現や実演してみたり?
(フラグを立てていることに気づかない)

って、それよそれ、まじない!
具体的にどんなモンか聞いてみてよ、いちご
できそうならアタシが手順教わってもいいし

えーっと、ちょっと待って?コレ…
って近いって…何赤くなってんのよスケベ!
(無意識に顔も寄せていたし、胸も押し付けている)
え?なんで怒るって、そ、それは、いちごだからよ…ふんっ

●残念な美女
ポンコツかつツンデレ
知能もそこそこだが人はいいので
お下劣でもまじないを照れつつ学ぶ


彩波・いちご
【恋華荘】の桂花さんと

私の能力だと護衛よりは情報収集の方ですかねぇ
誘惑、言いくるめ、催眠術なんかも必要なら使って、宿場町で聞き込みと行きましょう

無くしものの話はもちろん、それが見つかるという山に伝わるまじないという方が気になりますね
グリモア猟兵さんが言いよどんだのも気になりますし…
聞いた話はちゃんとメモとって

そうですね、桂花さんが実践できることなら、試してみるのもいいかもですか
詳しく話聞いてみましょう
…って、桂花さん、近い、近いです、メモのぞき込むのはいいですけど、顔近付けすぎですってばっ、後胸当たってますからっ
……なんで私が怒られるんでしょう、近付いてきたのは桂花さんなのに
(赤面しつつ苦笑い



「さ、宿場町で聞き込みといきましょう」
「そうね、いちごもアタシも護衛には向かないし」
 なんやかや言いながらも【恋華荘】の彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)と、不知火・桂花(逆弦紅娘・f05277)は、仲良さそうに宿場町へと聞き込みにやってきた。
 まずは鬼照に紹介された宿屋の下男に会ってみることにした。彼は柴拾いに行って、草鞋の片っぽをなくしてしまったのだという。主にいちごが技能を使って話を聞き出す。
 下男は老齢に近い、幾分腰の曲がった小柄なオジサンであった。
 東間山は峠であると同時に、麓の住人にとっては親しみ深い生活の山なのだという。
「柴拾いだからね、そんな山奥でねえよ。中腹まで行かねえあたりをうろうろしとったんだが」
 それでも動き回っているうちに喉が渇き、
「水を飲もうと思ってね、切り株に腰掛けたら、左っ側の草鞋の紐がすり切れかけとったのよ」
 補強しようと草鞋を脱いで小脇に置き、腰に下げていた道具袋から縄と小刀を出した、その時。
「ぼふんっ、てな音がして」
「ぼふん?」
 何だ? と振り返るともう草鞋は無かったという。
「草鞋を置いといたはずの場所に、何だか黒っぽい煤みたいなのが散っとってな」
「煤……」
 それは貴重な情報である。
「それで、その草鞋は帰ってきたんですか? なんか、なくし物が出てくるおまじないがあるって聞いたんですけど」
「いいや、ちっとは捜したけどボロ草鞋だったからねえ」
 諦めて木の皮を足にくくりつけて下山したという。
「それに」
 下男はウヒョヒョと変な風に笑い、
「わしみたいな貧弱な年寄りがあのまじないをやったところで、山の神様は喜ばんだろうよ」
「そ、それよそれ、まじない! 教えて欲しいわ」
 一生懸命メモを取っていた桂花が身を乗り出す。
 だが下男は笑っているだけで教えてくれず、まじないを実行しなくし物を取り返した者に直接聞いた方がいいだろうと、隣村の木こりを紹介してくれた。
 隣村に移動しながら、いちごと桂花はメモを繰り情報のおさらいをする。
「無くしものの話はもちろん、それが見つかるという山に伝わるまじないがやっぱり気になりますね」
「できそうならアタシが手順教わってもいいわよ」
「……って、桂花さん、近い、近いです、メモのぞき込むのはいいですけど、顔近付けすぎですってばっ」
 熱心に話し合うあまり、無意識のうちに顔がくっつきそうなくらい近づいていた……ばかりでなく。
「あと、胸も当たってますからっ」
「って……何赤くなってんのよスケベ!」
「……なんで私が怒られるんでしょう、近付いてきたのは桂花さんなのに……」
「え? なんで怒るって、そ、それは、いちごだからよ……ふんっ」
 ツンッと桂花は遠ざかってしまい、いちごとしては苦笑するしかない。
 それはさておき。
 次の聞き込み先の木こりが大事な鉈をなくしたのは、山の随分奥だったようだ。そしてやはり、なくし物をした瞬間には弾力のある軽い物が跳ねるような、ボフッという音を聞いており、煤のような黒い粉が飛び散っているのも目撃したと話してくれた。
 しかし肝心のまじないについては、
「こんなに可愛い娘さん達には聞かせらんねえなぁ」
 等と言い渋ってしまう。そこでいちごが技能を使いまくり、そして実は彼がれっきとした男子だと知るにあたり、やっとこさ耳打ちで教えてくれたのだった。
「え……そ、そんな」
 耳打ちされたいちごは驚愕の表情で、赤くなったり、青くなったり。
 もちろん桂花は木こりの家を辞すなり、
「さあ、教えてよ! アタシでもやれそうなおまじないだった!?」
 胸ぐらつかんでいちごを問い詰める。
 いちごは桂花から眼を逸らし。
「えと……あ、あの……残念ながら、桂花さんには無理な内容でして……」
「ええっ!? 一体何なのよ!!?」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

宝仙院・刀華
なくし物……?私はしないけれど
そんなの心に隙がある証拠ではないかしら

そうでないとするなら、何か原因があるのよね
それなら私は、一般人の旅人のふりをして
峠道を実際に歩いてみることにするわ

女の一人旅より「道連れ」がいる方が、信憑性があるかしら
そう思ってユーベルコード「ファムファタル」を使用するわ
一緒に旅をしてもらえないかしら?とお願いする

確か、ほんの一瞬目を話した隙になくしてしまう
……という事だったわね。でも、わざとでも隙を作るのは嫌ね
だから、道中では「誘惑」「挑発」をさりげなく使用して
「道連れ」に隙だらけになっていてもらうわ

その隙に何があるのか、注意しておくつもり
「視力」「暗視」には自信があるわ



 同じ頃。
 宝仙院・刀華(雷光ブンブン丸・f03186)は、一般人の旅人のふりをして、件の峠道を男の『連れ』と共に上っていた。飛脚が書簡を無くすと予知されている峠まで、もうすぐの地点だ。
「(なくし物なんて、心に隙がある証拠ではないかしら……私はしないけれど)」
 刀華は事前に与えられた数少ない情報を思い起こす。
「(確か、ほんの一瞬目を話した隙になくしてしまう……という事だったわね。でも、私がわざとでも隙を作るのは嫌ね)」
 女剣客のプライドというものであろうか。
 と、刀華はちらりと横を歩く『連れ』を見やった。
 この連れ、実は彼女がユーベルコード【ファムファタル】で出現させた【自身に劣情を抱く者】なのである。なるほどいかにも下心ありそうな目つきで、先ほどからちらりちらりと刀華の方を盗み見ている――隙だらけだ。
「ねえ」
 刀華はいつになく色っぽく誘惑的に。
「そこの峠で少し休まない? 私、疲れてしまったわ」
 うなじをかきあげてみたりもして。
 狙い通り、連れは刀華の挑発に乗ってきた。
 峠まで上ると、そこには『東間峠』と書かれた棒杭と、休むに良さそうな平たく大きな石が置いてあった。
「ちょうどいいわ、ここに座りましょう……隣にお座りなさいよ」
 刀華は先に石に座ると、隣をぽんと叩き連れを誘った。
 連れはあからさまに嬉しそうな笑顔で、三度笠の紐を解き誘いに乗ってきた。笠をひょいと、丁度帽子掛けのように突き出していた枝にひっかけ、いそいそと刀華の隣に座った……その瞬間。
 ぼふんっ。
 笠を掛けた枝が、ボールかぶつかったかのように弾み……笠が消えた。
「!!?」
 一瞬のことであったが、彼女の鋭い目は見た。枝に黒い柔らかそうな丸いものが飛んできて、笠をかっさらっていったのを。
 それが姿を現したのはほんの一瞬。しかも素早く森の中へと消えてしまい、もう姿は見えない。
 だが、枝の下の地面には、確かにそれが現れた証拠のように、煤のような黒い粉が飛び散っている――。
「……犯人が人外であることは、確かなようね」

成功 🔵​🔵​🔴​


 猟兵たちの調査により、東間山のなくし物現象についての情報が大分集まってきた。
 ひとつ。現象は山の至るところで起きている。つまり犯人の行動半径はかなり広そうである。
 ふたつ。なくし物の犯人は、必ず黒い煤のようなものを残していく。そしてその姿は、黒くて丸くて柔らかそう。つまり犯人は少なくとも人ではない。
 みっつ。件のまじないについて……は、まあ焦らず明かしていくとして……。
トラゴス・ファンレイン
【POW】
【野生の勘】をあてにして、実際歩いて確かめることにしよか。
俺の持っとるモンといえばポケットの煙草と飴ちゃん、顔のグラサンくらいやけど、本当になくすんかなあ。
一応【視力】はええし周囲を見回しながら普段通りに歩こ、手がかり出てこーい。

それにしても、なくし物が見つかるおまじないって何なんやろ。グリモア猟兵さんもなんや様子おかしかったし、気になるなぁ。

※アドリブ・絡み・ネタオール歓迎


アトシュ・スカーレット
【SPD】
んーと、なら、旅人を装って情報収集しようかなー?
…いや、実際旅人なんだけどね、傭兵色が強いだけで

【行動】
宿場で【コミュ力】と【聞き耳】を駆使して【情報収集】

「あ、すみません。今度この山に行きたいんですが、どのような道順がいいんですか?あんまりこの辺には来なくて…」
「え、最近なくし物多いんですか!?…うわぁ、探すの大変だ…。」
「何かあります?その…願掛けとか、おまじないとか」



「ふうむ……」
 トラゴス・ファンレイン(エスケープゴート・f09417)は、ここまで仲間たちが集めてくれた情報と、【野生の勘】をあてにして、峠道を歩いてみることにした。
 とはいえ、彼はほぼ手ぶら。
「俺の持っとるモンといえばポケットの煙草と飴ちゃん、顔のグラサンくらいやけど、本当になくすんかなあ……?」
 たしかに、彼のような眼光鋭いタイプを、人外といえども狙うかどうか……は、ともかく、トラゴスはぶらぶらと、敢えて隙だらけを装いながらのんびりと峠道を上っていく。
「おお、ここ眺めええやん」
 岩場の上に出ると、葉を落とした木々の隙間から麓の村と田畑が見下ろせた。季節的に緑が少なく、ちょっと寂しい景色ではあるが、わずかに膨らんだ木の芽から、春が近づいていることを実感できる。
 立ち止まって景色を眺めていると。
「トラゴスさーーーん!」
 追いかけてきたのか、道を駆け上がってきたのはアトシュ・スカーレット(銀目の放浪者・f00811)。
 彼は宿場で聞き込みをしていたはずなのだが。
「どないした、何かあったんか?」
 振り返ったドラゴスに、アトシュは息を切らせて。
「わかったよ、例のおまじない!」

 ちょっと前。
 アトシュは、旅人を装って宿場で情報収集をしていた……いや、装うまでもなく実際旅人なのだが。傭兵色が強いだけで。
 聞き耳を立てて山に詳しそうな地元の人をみつけ、さりげなく声をかけてみる。
「あ、すみません。今から東間山の峠を越えるんですけど、気をつけた方がいいこととかありますか? なんだか最近なくし物多いって聞いたんですけどー?」
 声をかけたのは、宿場に納品にきた炭焼きだった。
「ああ、そうなんだよ、気をつけた方がいいよ。わしも腰籠を無くしちまってねえ」
「ええっ、困ります。何かあります? その、なくし物しちゃった時の……願掛けとか、おまじないとか?」
 【コミュ力】全開で人なつっこく尋ねると、炭焼きはニヤリと笑って。
「ま、ないことはないけどね。男にしか出来ないまじないならば……聞きたいかい?」
「はいっ、ぜひ教えてください」
 アトシュは作り笑顔も全開である。
「そうかいそうかい、じゃあ教えといてやろうか。兄さんみたいな可愛い少年だったら、きっと女神様も大喜びだろうしね……」

「ふうん……? 男にしかできひんまじないってかぁ?」
「うん、だってね、山の神様は女だから、男のアレを」
「アレって……股間のアレか?」
 トラゴスはアトシュを睨み付けるようにサングラスをとり、頭にひっかけた。ツルが角に良い具合にフィットしている。
「うん。アレを見せると喜んで、無くした物を返してくれるんだって」
「なんやてぇ! 山の神様ってのは、痴女かいな!?」
「怒らないでよ、僕が創作したわけじゃないからねっ、炭焼きのオッサンがそう言ってたんだってば!」
 と、2人が思わず叫んだその時。
 ぼふっ。
 トラゴスの頭に黒い物体が飛びついた。
「な……!?」
「あっ!」
 出た! 噂の黒くて丸くて柔らかい盗人だ!!
 バレーボールくらいの大きさの黒い物体は、ドラゴスのサングラスを盗ろうとしたが、そこは猟兵、反射神経も一般人とは比べものにならない。
「うりゃあ!」
 トラゴスは咄嗟にサングラスを抑え、頭を勢い良く振って、黒いのを振り落とした!
 地面にもふっと叩きつけられた黒いのは、
『ぴぎゃあ!』
 何だか可愛い声で鳴いた。
 だが、
「うわっ!」
 同時にぼふうっ、と大量の煤が飛び散り、2人の猟兵の視界は閉ざされ、
「げふっ、げふっ」
 咳き込んでいるうちに黒いのは逃げてしまった。
「……あれが実行犯だね」
 アトシュは、黒いのが逃げていったとおぼしき山頂方面の森をじっと見つめた。
「なくし物の範囲が広いとこから見て、多分あれ一体じゃあないんだろうね」
「ああ、うじゃうじゃ居そうな気がするで」
「まずあれと戦わなきゃいけないのかな」
「やろな。あいつらを倒さんと、痴女の女神様にはお目見えできひんのやろ」
 2人は黒くなった顔を見合せ、揃って溜息を吐いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


 なんと! 例のまじないが男子にしか出来ないものだったとはー!
 ということが判明し、いよいよ調査は大詰めである。
 おそらく、なくし物実行犯である黒いのを追跡すれば、黒いのや、そのボスである山の女神(?)のアジトも見つけられることだろう。
 それにはまず黒いのを誘き出さなければならないが、件の飛脚は必ず襲われることが分かっているのだから……気の毒だが、使えそう。
(続きのリプレイ掲載は2月20日8:30以降となります。お待たせして申し訳ございませんが、しばしお待ち下さいませ)
月藤・紫衣
なくしものをする人々の仕事や立場に違いはありますが、仕事や生活に必要な物がなくなっているのは困ったことですね。

出来れば、被害はなるべく少なくしたいのですが…犯人には出てきてもらわなければもっと被害が出ますし、申し訳ありませんが囮になっていただきましょう。

狙われている飛脚と共に行動出来れば話が早いですね。
宿場町で【情報収集】をして、旅人として件の飛脚に接触出来ないか試してみます。
崖崩れとか山賊が出るとか、適当な理由をつけて一人では心細いということにして共に峠道を、件の飛脚と一緒に通らせてもらいます。
盗人が書簡を盗めばそれを【追跡】したいところです。

【なんでも歓迎】


ヴィクトル・サリヴァン
おまじないって言うか…何か個人の嗜好的な邪悪な意志を感じるような?
というかおまじないやったら返ってくるって事はどこかから常に見てるの…?
うーむ、取りあえずはアジトとか突き止めないとね。

【SPD】
こっそり飛脚を追跡。
可能なら周辺の地図を入手し休憩し易いと思われる場所に先回り。
目立つから距離は十分とった上でね。
休憩したら山頂側に回り込み周囲警戒。
黒いのの姿とか動く音聞こえたら盗みを阻止。
倒しはせず逃して追跡、そのアジトの位置を探るよ。

もし余裕あればコートを木にかけて取りに来るか観察。
見た目で選り好みしてたり?
…何となくだけど泉とか川とかそういう場所に居たりして。山の邪神(仮)

※アドリブ絡み等お任せ



 麓の宿場町にある茶店の奥まった席で、団子など食べながらひそひそ相談する猟兵が2人。
「なくしものをする人々の仕事や立場に違いはありますが、仕事や生活に必要な物がなくなっているのは困ったことですね」
 心配そうに言う月藤・紫衣(悠々自適な花旅人・f03940)に、頷いたのはヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)。
「なくし物現象に、何か個人の嗜好的な邪悪な意志を感じるよね。特におまじないに。おまじないやったら返ってくるって事はどこかから常に見てるってこと……? うーむ、取りあえずはアジトとか突き止めないとね」
「そうですね。出来れば、被害はなるべく少なくしたいのですが……犯人には出てきてもらわなければもっと被害が出ますし、申し訳ありませんがやはり飛脚さんに囮になっていただきましょう」

「そこの飛脚さん」
 宿場での情報収集で飛脚の出立をつかんだ紫衣は、一般の旅人の風で、峠道に入ったところで早速声をかけた。
「この峠道、崖崩れとか山賊が出るとか、なくし物が多いとか何だか物騒な話をきくので、ひとりでは心細い。同行させてもらってもいいですか?」
「いいけどよ」
 飛脚は紫衣の頭から足の先までサッと目を走らせ、身なりや物腰から怪しいものではないと判断したのだろう、すぐに是と答えたが、
「俺ァ早飛脚だからな、速いぜ。兄さん、ついてこれるかい?」
「はい、大丈夫です」
 紫衣は胸を張った。
「足には自信がありますので」
 だって猟兵だもの。

 一方、目立つ容姿のヴィクトルは、なくし物現場と予知されている峠へと先回りして潜んでいた。予め手に入れていた付近の地図などを見ながら警戒していたが、さほど待つこともなく……。
「に、兄さん、本当に速いな」
「いえ、それほどでも」
「いっそ飛脚になんねえかい?」
 荒い息と共に、話し声が聞こえてきた。
「ホントに速いね」
 ヴィクトルが呟く。
 どうやら紫衣と飛脚は競走するように、一気に峠まで駆け上ってきたようだ。
「ちょっと休もうじゃないか、丁度峠だ。水飲んでおこうぜ」
「え……」
 紫衣は一瞬躊躇した。ここで休むということは、予知通り書簡が盗まれてしまうフラグに他ならないわけで。
 だが、
「そうですね、休みましょう」
 すぐにニッコリ同意した。
 実行犯の黒いのを誘き寄せるためなら仕方ないよね!
 2人は大きな石に腰掛けて、竹筒に入れた水を飲む。飛脚は膝の脇に書簡の入った挟み箱を置いている。
 飛脚は水を飲んでいる最中、挟み箱から目を離してしまっているが、猟兵たちはじっと注目している……と。
 ぼふっ!
 黒くて丸い物が、森から飛び出してきて挟み箱にとびついた。
「!!」
 それを察知して、すかさず茂みからしなやかに身を躍らせたのは、大柄なシャチキマイラ!
「盗らせないぞ!」
 ヴィクトルは黒いのに飛びかかる……ではなくて、がっちり死守したのは挟み箱であった。黒いのはわざと逃がして追跡し、アジトを突き止める作戦なのだ。
『ぴきゅーーーっ』
 可愛いけど明らかに怒りの声を上げ、黒いのは弾むように逃げていく。
 黒いのが逃げた拍子に盛大に煤が立ちこめ、
「げほっ、何? 何が起こってんだい!? げほげほ」
 突然飛び出してきたシャチにも驚き、飛脚は咳き込み動転しまくっているが、構っている暇はない。
「大事な届けものから目を離すんじゃないよ!」
 せっかくのオシャレ白黒ツートンのボディを煤塗れにしたヴィクトルは、挟み箱を飛脚に押しつけ、
「さあ、追いかけよう!」
 黒いのの動きは速かった。だが、その特徴をすでに仲間たちから聞いていた2人の猟兵は、弾むゴム鞠のような素早い動きから目を離すことはなかった。
「はい、あっちです! 山頂の方へ行ったようです!」
 紫衣が木の幹にこびりついた黒い煤の痕を指す。
 2人の猟兵は躊躇なく森に分け入った。
「おーい、あんたら、何だかわかんないけど、書簡を護ってくれたんだなー?」
 飛脚の声が追いかけてきたが、もう2人の猟兵の目は前方を、そして周囲の森を見ている。
「本当に大事な手紙なんだ、大名の姫様の嫁入り道具の発注書なんだよ。ありがとーーー!」
 そりゃ盗られなくて本当によかった……いや、飛脚に例のまじないをやらせれば取り戻せたかも? 等と思いながらも猟兵たちは黒いのを追う。
 前方の木々が、黒いのの動きでザワザワと蠢くのが見える。更に目をこらせば落ちたばかりの煤も、地面や周囲の枝に見ることができる。
「これなら追跡できそうですね」
「うん、絶対山の邪神(仮)のアジトを突き止めてやろう!」

 ……そして2人が黒いのを追いかけ、ついに辿り着いたのは、山頂にほど近い岩場の下であった。
 そこには何故か、山には似つかわしくない割と立派な小屋が在り……。
 2人は森に隠れ、その小屋を遠目に観察する。
「小屋ってか……家畜小屋っぽい?」
「ですねえ……?」
 扉はなく、前面が開放した造りで横木が渡され、土間に藁が敷いてある。
 しかし小屋の内部は妙に暗く、中の様子までは窺えない。
 追いかけてきた黒いのは小屋の前で、ぴいぴいと激しく鳴いた。おそらく、書簡を盗み損なったとでも報告しているのだろう。
 すると。
 ぴいぴいぴいぴいぴいぴい。
「うわ……!」
「い、いっぱいいますね……」
 小屋の中から、ぞろぞろぞろぞろぞろぞろと黒いのが山ほど出てきたではないか。30匹ほどが、ぽんぽん跳ねまくり、煤がもうもうと立ちこめている。
「うーん、この数、さすがに2人じゃ倒せそうもありませんね」
 黒いのは全然強くはなさそうだが、数が多いし、何よりやたら飛び散る煤がやっかいだ。黒幕を誘き出すためにも、なるべく効率的に黒いのを排除してしまいたいし。
「そうだね、みんなを呼んでこよう」
 2人はそっと小屋を離れ、麓へと仲間を呼びに走ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ススワタリ』

POW   :    まっくろくろすけの通り道
【対象が煤だらけになる集団無差別体当たり 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    かつての住処
【ススワタリがかつて住んでいた巨大な屋敷 】の霊を召喚する。これは【扉から射出した大量のミニススワタリ達】や【窓から射出した巨大ススワタリ】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    煤だらけ
【対象に煤が付くフンワリあたっく 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を煤で黒く塗りつぶし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●2章補足
 この章ではひたすら黒いもふもふ……ススワタリを退治してください。煤まみれになりながら。
 演出に必要なければ、敵アジトまでの移動は書かなくても構いません。戦闘開始から書いちゃってください。
 ススワタリは、煤まみれにはなりますが、感触は……悪くないかもよ。
アトシュ・スカーレット
うぉ、予想通りというか、予想外というか
まぁ、なんとも数が多いことで

【行動】
現場に着く前にいくつかの宝石や水晶をSchamrockから取り出しておく

【念動力】で放り投げて宝石や水晶に込めた無色の魔力の暴走によって発動するUC【時空両断】による【範囲攻撃】を行う
なるべくススワタリが多いところへ投げるようにする

防御はオーラの代わりに魔力を使って【オーラ防御】

「あ、気をつけてー。その宝石、爆発するよー。」

アドリブ、共闘大歓迎


トラゴス・ファンレイン
【WIZ】
うわ、あの黒いのマジでうじゃうじゃおるやん。
あいつ等目ぇあるな、なら【閃光弾】でまず目くらましや。動き止めとる間に次々殴って退治や!
俺【視力】だけやなくて【暗視】にも自信あるし、真っ黒な中でもなんとか見えるやろ。
煤は厄介やからなるだけ吸わんように注意。服はまあ後からどうとでもなるわ、諦めよ。
しかしふっかふかで良い感触やなあ、黒いの。
拳痛めんで済むし助かるわ、どんどん倒すでー!

※アドリブ・絡み・ネタオール歓迎



「うぉ、予想通りというか、予想外というか……まぁ、なんとも数が多いことで」
 仲間の報告を受け、いち早く現場の謎の小屋に到着したアトシュ・スカーレットは、わちゃわちゃと跳ね回っている『ススワタリ』の群に目を丸くした。
 調査で得た手がかりから、敵の種類の見当はついていたが、これだけの数がいるとは思っていなかったのであろう。
 だが、数が多いことも聞いていたアトシュは、道々Schamrockからいくつかの宝石や水晶を取り出していた。掌にはキラキラと輝く宝石。彼の魔力がたっぷりと込められている。
「まずはこれでびっくりさせてやろう」
 アトシュは握りしめた宝石に向け、ユーベルコード【時空両断】を発動した。
「無色の魔力よ、その暴挙にて、全てを引き裂け!」
 そして【念動力】をも使い、ススワタリが一段と固まってわちゃわちゃしている場所に、狙い違わず放り投げた。
 木漏れ日を受けキラキラと輝きながら、宝石が煤をまき散らす黒いもふもふの上に落ちていく。ススワタリたちも、うっとりとその美しさに見とれている様子。
 見とれているだけではなく、なにせコイツら置き引き常習犯である。こんな綺麗なブツを放っておくはずもなく、わちゃわちゃと群がっていく――。
「あ、気をつけてー。その宝石、爆発するよー」
 ……バシッ。
『ぴきゃーーーー!』
 込められた魔力の暴走によって宝石が時空を断つようにして爆発し、それに巻き込まれたススワタリはボタボタと地面に落ちた。
「やったね!」
 作戦は成功……だが。
『ぴぎゃーーーーー!』
 当然ススワタリはげきおこである。宝石が投げられた方……つまりアトシュのいる方に向かってきた。
「わわわ、来るよ来るよ」
 オーラ防御を纏って、アトシュはとりあえず隠れられそうなところを探す。1匹1匹は弱っちいとはいえ、何せ数が多いし、煤もかぶりたくはないし……。

 その時。
「わ、あの黒いのマジでうじゃうじゃおるやん――そら、食らえや」
 怪しい関西弁が聞こえると同時に群に向かって何かが投げられ、視界がホワイトアウトするほど目映く輝いた。
「うわ」
 慌ててアトシュは目を閉じたが、それでも瞼の裏が白い。
 ススワタリたちはその光をまともに喰らったらしく、
「ぴきゃーーーー!?」
 悲鳴を上げて右往左往。揃って目がくらんでしまったらしい。お互いぶつかったり、見当違いの方にとんでいったり、木の枝にひっかかってしまったり。
「目ェあるなら、まずは目眩ましやろ」
 閃光弾の混乱に乗じ、ススワタリの群に飛び込んでいったのはトラゴス・ファンレインであった。
「見えへんうちに、どんどん殴って退治や!」
 トラゴスは拳を握ると躊躇なくススワタリを殴りだす。
 当然。
 ぼふっ。
『きゅわっ』
 ぼふっ。
『ぴゅいっ』
 ぼふっ。
『ぴいっ』
 もふっとした身体に拳をめり込ませる度に盛大に煤が立ちこめ、あたりはみるみる黒い煙に包まれたようになってしまう。しかしトラゴスは視界を失うことはない。視力もいいが、暗視の能力も高いのだ。
 しかも、なんだかうっとりと。
「ふっかふかで良い感触やなあ。拳も痛めんで済むし、助かるわー」
 殴り心地もよいようで何より。
 だけど……。
「げふっ。なるべく吸わんようにしとったんやけど、限界はあるな」
 さすがに咳き込みはじめた。ずっと息止めてるわけにもいかないしね。
 それでもゲホゴホしながらどんどん殴り倒していると……。
『ぴぎゅーーーー!』
 やっと目眩ましから立ち直ったススワタリたちが一塊になり、トラゴスを恨みがましい目で睨み付けた。
「わ、なんやねん!?」
 ここまでの攻撃により数は半分以下まで減っているが、さすがに固まって睨まれると嫌なカンジ。
『ぎょいいぃーーーー!』
 ススワタリたちは今までとは違った凶悪そうな鳴き声を一斉に上げた。すると。
 どーーーん。
「うお~、なんじゃこら!?」
 現れたのは、巨大な牛小屋であった。この現場に存るこぢんまりとした家畜小屋とはまるで規模が違う、牛舎と言っていいくらいの。
 そしてそこから。
「えええええええ~! そりゃないで~!!」
 ジャーン! 
 並ススワタリを10個くらい合わせたくらいの、巨大ススワタリがぬうっと登場したではないか!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月藤・紫衣
先程は追跡と他の猟兵方への連絡に気をとられていましたが…また、新たなもふもふとした妖怪ですか。
いっそもふもふエンパイアと名称変更いたしませんか…。

…気を取り直して。
魅惑的な見た目をしていますが、妖怪は妖怪。退治いたしましょう。
【満月夜に歌え、藤花のように】で他の猟兵方も含めて【鼓舞】し、戦闘力を強化していきたいですね。
ススワタリ自体は【なぎ払い】で地道に対処しつつ、隙を見て【高速詠唱】で魔法による【2回攻撃】をしてみようかと。

…ところで、数さえ減ってしまえば、少しくらい、ススワタリの感触を楽しんでもいいですよね?


ヴィクトル・サリヴァン
いやあ、まさかこんなにいるとはね。
倒す他に手がかりもなさそうだし頑張って退治するかな。
…まあ服は後で洗えばいいし。乾き早いし。

巨大化に驚きつつ、一つに固まったのなら話は早いとUCで一気に叩く。
すすなら濡れれば多少は飛散が防げるかもだし?
煤で塗り潰された地形も水で洗い流せば効果薄れるかな。
すすまみれになっても気にせず遠慮なく。
むしろ触り心地を楽しむくらいの気概で行かないとね。
ほらほら、ボサっとしてると洗っちゃうぞと挑発したり。

一段落ついたら周辺を観察、何か手がかりになるものないか調べるよ。
盗まれて返ってきてないものとかあるかもしれないしね。
黒幕の狙いも分かればいいんだけど。

※アドリブ絡み等お任せ



「いやあ、まさかこんなにいるとはね」
「いっそもふもふエンパイアと名称変更いたしませんか……」
 茂みの陰からカオスな戦場を眺め、呆れたように囁きあっているのは、ヴィクトル・サリヴァンと月藤・紫衣。彼らは仲間達を麓まで迎えにいき、首尾良く戻ってきたところだ。
 ヴィクトルは愛用している仕立てのよい紳士服を見下ろすと、ちょっと悲しそうに。
「倒す他にボスへの手がかりもなさそうだし、頑張って退治するかな……まあ服は後で洗えばいいからね。乾き早いし」
「それしかないですね。魅惑的な見た目をしていますが、妖怪は妖怪。退治いたしましょう」
 と紫衣も気を取り直す。
「巨大なのは、むしろ叩きやすいよ。ユーベルコードで一気にいっちゃおうかな?」
 とサリヴァンが銛を構えると、
「ならば」
 と紫衣は。
「満ちる月に踊り咲くは藤の花、共に唄うは祝福の歌」
 先にユーベルコードの【満月夜に歌え、藤花のように】を歌った。澄んだ声はヴィクトルだけでなく、果敢に(?)黒もふに立ち向かっている仲間たちを鼓舞し、戦闘力を高める。
「ありがとう……じゃあ、いくよ!」
 ヴィクトルは力を込めて、ブン! と銛を投げた。
「さあ、追いかけて、齧り付いて――喰い千切れ!」
 勢い良く投げられた銛は、空中で水で象った巨大なシャチへと変化し、がっぷりと巨大ススワタリに喰らいついた。
『ぴぎゅーーーーー!』
 巨大ススワタリ、じたばた。煤、ぼっふぼっふ。
「煤だもの、濡れれば多少は飛散が防げるかもだし!」
 続いてヴィクトルも、えいっとばかりに黒もふ(大)に組み付いた。シャチと巨大ススワタリが、相撲を取っているような光景である。
 ヴィクトルはぐいぐい圧して、
「ほらほらボサっとしてると洗っちゃうぞー!」
 とか何とか威勢良く言ってるが、一張羅が汚れるのも構わず微妙にうっとり巨大黒もふに埋もれている。水シャチ攻撃で濡れているにもかかわらず、いい案配にもふもふさは残っているらしい。
 紫衣も酔蜜月刀を掲げて戦場に飛び込んだ。こちらは群がるノーマルサイズ・ススハライを薙ぎ払い、合間に高速詠唱で魔法を浴びせ、地道に数を減らしていく。
 ……と。紫衣は、大分減ったところで、辺りを素早く見回した。誰も自分を注目していないのを確かめると、
「このくらい減ったら……少しくらいいいですよね?」
 睡眠魔法で朦朧とし、ふらふら飛んでいる黒もふ1体をぐっとと引き寄せ、
「あ。これはなかなか良い感触……」
『ぴ、ぴいぃ……』
 白い肌が黒くなるのも構わずに、すりすりもふもふ頬ずりなどしてみたり。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

彩波・いちご
【恋華荘】の桂花さんと引き続き

おまじないの話は…とりあえず今はやめておきましょう、ええ
それよりこのススワタリをなんとかしないとですね…
あ、桂花さん、もふもふかもしれませんけどそんなに刺激したら…けほっけほっ
すすが思いっきり舞って、視界が全く効かなく…
なんとか手探りでススワタリの方をと…むにゅ…あ、これですかね?
むにゅむにゅと揉みつつ、もふもふと言ってましたけど、これはなんか柔らかくて水風船のような…まさか桂花さんの胸です?
気付いた時には桂花さんに投げ飛ばされてススワタリにぶつけられ
「にゃーーーー?!」
と叫んだ声が【天使のような悪魔の歌声】になってススワタリに攻撃となったのでした…


不知火・桂花
【恋華荘】のいちごと

ごにょごにょとろろーとろろー♪
あ、歌ってる場合じゃないわよね…こほん
(おまじないの破廉恥さに動揺気味)

とにかくチャイナドレスを煤だらけにされちゃ堪らないし
《サイコキネシス》を薄く放出してガードしましょ
(眼帯の奥の左目が輝き、全身を金の光でコーティング)

…なんで薄く?だってコイツラもふもふしてるじゃない
目もカワイイし、倒す前にちょっと感触を味わいたいかなって
んーっ、かーわいーっ♪(もっふもっふぼっふぼっふ)

なんてやってたら胸に強い感覚が…!
んぅ、ひぁあああぁぁぁっ!?
アタシの胸、何もふもふしてんのよ…いちごぉぉっ!
(咄嗟にいちごを念動力で掴んで振り回しススワタリに叩きつける)



「おまじないの話は……とりあえず今はやめておきましょう……ね? あの、桂花さん……桂花さん?」
 彩波・いちごは、
「……ごにょごにょとろろーとろろー♪」
 等と口ずさんでしまっている不知火・桂花の目の前で手を振った。桂花は、おまじないのあまりの破廉恥さに動揺しているらしい。
「はっ」
 桂花は我に返って首をぶんぶんと振って、キリっとした顔を取り戻すと、
「そ、そうね、歌ってる場合じゃないわよね」
「ですよ、このススワタリをなんとかしないとですね……」
「とにかくチャイナドレスを煤だらけにされちゃ堪らないし【サイコキネシス】を薄く放出してガードしましょ」
 桂花の眼帯の奥の左目が輝き、全身が金の光でコーティングされた。
「へ? せっかくガードするのに、どうして薄く、なんですか?」
「だあって」
 桂花は、不思議そうな表情のいちごを尻目に、
「こいつらモフモフしてるじゃなーい!」
 仲間たちに大分やられているとはいえ、まだそれなりに残っているススワタリの群に飛び込んだ。
「目もカワイイし、倒す前にちょっと感触を味わいたいかなってー!」
「えー、そんな、だってこいつら一応敵なのに」
 いちごも慌てて後に続く。
「んーっ、かーわいーっ♪」
 真面目に戦おうとしているいちごには構わず、桂花はもっふもっふぼっふぼっふと楽しそうにススワタリと戯れている。
「んもー。桂花さん、もふもふかもしれませんけどそんなに刺激したら……けほっけほっ」
 桂花の乱暴狼藉(?)とススワタリの【煤だらけ】で、あたりにはもうもうと黒い煤が立ちこめている。
「視界が全く効かなくなっちゃいましたよう」
 いちごはそれでも手探りでススワタリをひっつかもうと……むにゅ。
「あ、つかまえた……なんかむにゅむにゅしてますね……もふもふっていう話だったのに……」
 つかまえたはいいが、何か感触が違うような?
「なんか柔らかくて水風船のような……」
 いちごがむにゅむにゅしながら首を傾げた瞬間。
「んぅ、ひぁあああぁぁぁっ!?」
 桂花の絶叫が響き渡った。
「アタシの胸、何もふもふしてんのよ……いちごぉぉっ!!!!!」
「えっ、まさか桂花さんの胸です!?」
 桂花は咄嗟に念動力を発動すると、いちごの胸ぐらをひっつかみ容赦なく投げ飛ばした。
「にゃーーーーーーーーー?!」
 地べたに叩きつけられたいちごの悲鳴は図らずも、ユーベルコード【天使のような悪魔の歌声】となって戦場に鳴り響いた。そーでなくともボロボロだったススワタリたちを、超音波がキュピーーーーンと貫く!
『ぴゅわ……』
『ぴ……』
 ボタ……ボタボタボタ。
 ススワタリたちは世にも哀れな鳴き声を上げながら、次々と地面へと落ちていく。
 同時に、巨大牛舎も、ラージ・ススワタリも消えた。

だが、その時。
「んもーーーーーーー。五月蠅いわね、あたしの昼寝を邪魔したのは、誰?」
 けだるげに、元から在った家畜小屋から出てきたモノがいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『女流くだん』

POW   :    件の如く
自身の【告げた予言の実現】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    らぷらすの悪魔
【対象がこれからとる行動を予言することで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    終末の大予言
【予言として告げた通りの災害や疫病など】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は世良柄野・奈琴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


(3章導入部と補足を入れますので、プレイングは少々お待ちください)
●3章
 家畜小屋から出てきたのは、牛女……『女流くだん』。この妖怪がなくし物現象の黒幕のようだ。
 女流くだんは、黒もふがボトボト落ちている戦場を見回すと、
「ヤダあ、あなたたちアタシの可愛いススワタリちゃんたち、やっつけちゃったの?」
 妙に可愛らしく頬を膨らませ、
「ゆるせなーい、今度はアタシがあなたたちをやっつけちゃうんだから~!」
 と蹄を蹴立てて猟兵たちを睨みつけた……が。
「あら……」
 その視線が、男性猟兵たちの上で止まった。
「ステキな男の子がいっぱいいるじゃない」
 女流くだんはウフフと含み笑いをして、くねくねと身をよじり。
「そうねえ……じゃあ、こうしましょう。男の子たちが、股間の大事なタカラモノ❤️を思う存分見せてくれたら、アタシ退いてもいいわ」
 股間の大事なタカラモノって……要するにアレか。
「あ、でも何でもいいってわけじゃないわよ。アタシ好みのタカラモノじゃなきゃ、駄目よぉ~」
 ――あんたの好みなんか知るか!

●3章補足
(お待たせしました、3章募集開始です)

 ここからがお下劣になるかもしれないパートと相成ります。先に謝っておきます。本当にすみません。
 女性猟兵の方々は、不埒な女流くだんをぶんなぐってください。遠慮無く。
 しかし男性猟兵が取るべき道は2つあります。
 ひとつ目は、女性達と同様、問答無用でぶんなぐって撃破する。
 ふたつ目は、タカラモノ❤️を披露して満足させ、平和的に骸の海に帰っていただく。
 以下、ふたつ目を選んだ勇者へのルールです。

★タカラモノ披露ルール
 女流くだんは、自分好みのタカラモノであればあるほど喜んで、🔵をたくさんくれます。
 どのくらい好みだったかは、ダイスで決定します。
00~29🔵🔵🔵「ちょ~好み~!」
40~69🔵🔵🔴「なかなかステキよ!」
69~89🔵🔴🔴「ん~まあまあかな」
90~99🔴🔴🔴「無理」
 このダイスの結果は、戦闘結果と同等にリプレイに反映します。
 もちろん戦闘プレイングと同じく、ボーナスもありえます。
 但し、全年齢向けゲームですから、お下劣の方向性には気をつけてくださいね!
(たかなしも気をつけます) 

 さあ、女流くだんのややこしいユーベルコードを受けて立つか……それともお下劣だけど平和な解決方法を選ぶか……ここから先、どっちに流れるかはあなた次第です!
※修正 30~69🔵🔵🔴「なかなかステキよ!」
    70~89🔵🔴🔴「ん~まあまあかな」 (すみません)
アトシュ・スカーレット
やらねぇよ、そんなの!!
あ、やる勇者の方はフォローはします…

【行動】
開戦直後に【暴走術式・天災】!(属性攻撃)
剣と刀に業火と氷雪、腐敗の【呪詛】を付与するね
自分に雷の魔力を付与するけど、これ、制御してないから対策しておかないとオレの安全が保障できないんだよなぁ…
(火炎耐性、氷結耐性、電撃耐性)

【残像】すら置いていく速度で行動して【2回攻撃】で手数を稼いでいくよ!

回避は速度を生かしてそのまま避けるね

…勇者の方のフォローとして、上着で女性陣に見えないように隠すよ…いない事を祈るけど…

アドリブ、共闘大歓迎


彩波・いちご
【恋華荘】の桂花さんと引き続き

うむむ…そもそも私の扱いが素敵な男の子といえるのかどうかは甚だ疑問ではありますが…いわゆる男の娘ですし…多分信じさせるのに苦労しそうですし
でも戦わずしてなんとかなるならそれも手でしょうか、と頭ぐるぐる

すぅ、はぁ…

「えっと…これでいいんですか?」
スカートの中に手を入れて、そのまま下着をシュルっと脱ぎ(なお下着も女物)
そのまま顔を真っ赤にしながら、スカートをたくし上げて、股間の可愛いタカラモノを、見せます…

「ちょ、桂花さんまでそんなまじまじと見ないで?!」

あまりにも恥ずかしいので、向こうの反応次第では、赤面したまま【異界の抱擁】呼び出してやけっぱちの攻撃になるかも


不知火・桂花
【恋華荘】のいちごと
※アドリブ歓迎

ん、牛が昼寝中だったの?悪いわね…で、どーすんのよ
アタシにアレはないし、一気にぶちのめし…いちご?

ちょ、ちょっ、いちごーっ!?
何オンナノコが脅されてパンツ魅せる様なこと…!
しかも、顔もそんな、そんなキュンと来てヤバそうなっ…!?
(真っ赤になって狼狽しつつも上から下まで観察)

ま、まじまじって!和風ホルスタイン(女流くだん)に
ガッツリ魅せつけといて何言ってんのよ!?
…ぐす、ううぅ…!いちごのばかぁぁぁーっ!!!

●戦闘
攻撃時は《紅華鬼刃》でヤケッパチの『破魔』光刃放射
痴話喧嘩のツッコミとしていちごの眼前スレスレで飛ばす
(結果として予知対策になるが、桂花に自覚はない)




「な……なんつぅ恥ず……やらねぇよ、そんなの!!」
 アトシュ・スカーレットは、女流くだんの破廉恥さやらあつかましさ、下劣さやら下品さ、そして女性への幻滅等々、各種憤激の力を借り、即座にユーベルコードを発動した。
「我が身に宿りし天災よ! この身を喰らいて蹂躙せよ!」
【暴走術式・天災】、この技は暴走させた天災のエネルギーを身体や武器に纏う技だ。
 但し、
「これ、制御してないから対策しておかないとオレの安全が保障できないんだよなぁ……」
 それについては【火炎耐性、氷結耐性、電撃耐性】を体得しているのである程度大丈夫。だが戦闘終了まで毎秒寿命を削ってしまう技でもあるので、できるだけ早く片を付けたいところだ。
 バリッ!
 アトシュは雷の火花を散らし、残像すら置きざりにする速度で地を蹴った。女流くだんは、そわそわと物欲しげな様子で男子たちを見つめており、隙だらけ。
「せいっ!」
 二刀流の剣と刀に業火と氷雪、更に腐敗の【呪詛】を宿して、2筋の光のような2度の斬撃が走った。
「きゃあ、何すんのよ、いったあああい!」
 牛柄の着物が斬り裂かれ、血が飛沫き、白い肌がちらりと覗く。
 うん、さすが牛。なかなかグラマー。
 ってのはおいといて。
 アトシュは、踏み込んだスピードの勢いを借りてそのまま敵の攻撃を躱すつもりだった――が、
「んもーー、怒ったよッ」
 女流くだんはビシっとアトシュを指さして。
「件の如く――あなたに、逃げられる!」
「ウッ」
 予言されてしまったぞー。
 思わず立ち竦んだアトシュに、女流くだんはずかずかと接近してくると鼻の穴を膨らませて、
「ほら、逃げなさいよ。逃げれば? それともおタカラを見せてくれるぅ?」
「ううっ……確かこの技は、くだんが自分のした予言にわざと不利な行動を取ると、身体能力が増大するんだよな……? 逃げられると言っておいて近づいてきたってことは……ええと、この場合オレはどういう行動を取るべきなんだあ!?」

「あ。あのっ、私のでよければ……っ」
 混乱するアトシュに助け船を出すかのように、
「むむ……そもそも私の扱いが素敵な男の子といえるのかどうかは甚だ疑問ではありますが……いわゆる男の娘ですし……信じさせるのに苦労しそうですし……でも戦わずしてなんとかなるならそれも手でしょうか」
 やはり頭をぐるぐるさせている様子ながら、勇気を振り絞って介入してきたのは彩波・いちご。
「なによ、私のでよければ、って」
 女流くだんは、いちごをじろりと一瞥し。
「あなた女の子じゃん。女には用はないのー。自分のと大して変わらないモノ見たって面白くないもーん」
 女流くだん、男子と女子では態度が全然違うしー。
「わ、私、男の娘なんです!」
「えー、そうなの?」
 女流くだんは、改めていちごを頭の先から爪先まで舐め回すように観察し、
「そう言われてみれば胸がないかしら。でもウソみたーい。証拠を見せてよ」
「は……はい」
 すぅ、はぁ……。
 いちごは深呼吸すると、スカートの中に手を入れて、そのまま下着をシュルっと脱いだ。なお下着も女物の可愛いヤツである。
「ちょ、ちょっ、いちごーっ!?」
 ここに及んで突然慌てだしたのは不知火・桂花。
「何オンナノコが脅されてパンツ魅せる様なこと………しかも、顔もそんな、そんなキュンと来てヤバそうなっ……!?」
 しかしいちごは、そのまま顔を真っ赤にしながら、スカートをたくし上げた。
「えっと……これでいいんですか?」
 よっ、漢だねえ!
 女流くだんは顔を近づけて、カワイラシイタカラモノを見つめ、
「かっわいー! うん、なかなかステキよ!」
 嬉しそうに評価を下した。
「そ、そんなに近くで……ってか、桂花さんまでそんなまじまじと見ないで?!」
「そうだよ、見ないでやってくれよ!」
 いつも可愛らしいいちごの意外な漢っぷりに呆然としていたアトシュが、慌てて上着で桂花の視界からソレを遮ってやるが、
「ま、まじまじって! 和風ホルスタインにガッツリ魅せつけといて何言ってんのよ!?……ぐす、ううぅ……! いちごのばかぁぁぁーっ!!!」
 ドッカーーーーン!
 桂花の怒りが炸裂した。
「まずは十秒間。アンタ、付き合ってくれるかしらーーーッ!?!」
 桂花の全身が金色の呪詛で覆われ、紅耀刀の赤い輝きが力を帯びる。
「喰らえ、紅華鬼刃―――――ッ!」
 赤い光線が走る。
「ひゃあっ」
 可愛い悲鳴を上げたのは、桂花の怒りに、もとい光線に小屋の壁までぶっとばされたくだんではなく、いちごだった。破魔の光線が彼の目の前スレスレを通り過ぎたのだ。
 その勢いで尻餅をついてしまい……そしてまだパンツ履いてなかったもんだから。
「わっ、やだっ、恥ずかしーッ。もうやだ、見ないでーーー!」
 動揺し赤面したまま、
「ふんぐるいふんぐるい……、星海の館にて微睡む我が眷属よ!」
 自身の影から無数の触手を呼び出し、くだんに絡みつかせた。
 うにょろにょろにょろ。
 くだんは当然触手から逃れようともがいたが。
「や、ちょっと……何コレ……ん……悪くないかも❤️」
 何かちょっと気に入っちゃったらしい。

 敵味方入り乱れての不健全なカオス状態に、
「……ったくもう……勇者が出ない事を祈ってたのに……」
 アトシュは頭を抱えて溜息を吐いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

トラゴス・ファンレイン
【POW】
(目の前で繰り広げられる光景に唖然)
あれが痴女の女神様かいな。
ウソみたいなまじないやと思っとったけど、マジやったんやなぁ。

ほんなら俺も男気見せよ。【覚悟】は決まっとるで。
あー、ちょっと近付いて貰ってええか。
そんで俺の翼と尻尾でガードして他の猟兵さんには見えんように……よし。
ほれ、アンタに見せるだけでええなら。
……恥ずかしさ耐性とか持ってたらこう、もっとバーンといけたんやけどなあ……

羞恥心は人並みにあるんで、敵さんが満足出来んかったらさっさと戦闘に移行や。
【灰燼拳】で思いっきりぶん殴る方向で。場合によっちゃ八つ当たりみたいになるかも知れんけど、別にそういう訳やないで。


※アドリブ歓迎


太刀花・百華
男の、こ、股間……? な、なな何と破廉恥な!?
ええい、不埒なオブリビオンめ! そのけしからん乳と一緒に成敗してくれる!

そもそもそんな下らぬ戯れ言が、我らに通用すると(思わずナニかを想像して赤面)
……くっ! 落ち着け自分!
取り乱せば相手の思う壺、ここはどうにか気を紛らわせねば!
だ、だが……私も一応女の端くれだ、そういうモノに興味がなくは……
そ、それに折角だから、誰かが挑戦するなら少しくらい……ではなくて!

と、とにかくそこの牛女を早く始末しないとな
意識を集中させて、滾る戦意を刀に籠めて、黒炎羅旋撃を叩き込む!
どれだけ色香を振り撒こうが所詮はオブリビオン
下品な輩はとっとと目の前から消え失せるが良い!


月藤・紫衣
ススワタリ、ふわっとした触り心地でした。

見られたところで減るものでもないんですよね…ああ、いえ、一般的な女性や女性猟兵に見られるのは遠慮申しあげますが。
倒してしまえば何も残りませんし…評価されようが、されまいが、気になりませんし…うん、いっそのこと脱いで【誘惑】出来ないか試してみましょう。
とはいえ、私はこういった服装ですから、前を開けて下着を下ろせばいいだけなのですが。

もちろん、ただ見せるだけではありません。
ようは声を出なくしてしまえば少しマシに戦える気がするので、顔を近づけるか頭を下げたところで、喉を狙って【散花風棘】を放ちましょう。
攻撃と同時に【残像】で距離も取って身なりは整えますよ。


ヴィクトル・サリヴァン
ないわー。…ないわー…
はっ想像以上の邪心に現実逃避してる場合じゃない。
最悪勇者やるしかないかもだけどそもそも…?

念の為、俺みたいに人型じゃないのはストライクゾーンじゃないよね?と聞こう。
子って年でもないし色々とこう、ね?
イケると聞いたらちょっと絶望顔、でも気を取り直し攻撃。
大丈夫、物理で倒しきれれば…!(ふらぐ)

不利な行動した時に銛と水鯱喰らわせる。
身体能力上げても追撃は躱せるかな?
一通り頑張って割と無理そう、かつ非人型イケるなら諦めタンマ、脱ぐ。
焦らすようにやりつつ最後の一枚を外す瞬間に銛投げUC発動。
…普通にしてれば見えないんだよね(構造シャチ準拠、つまり普段は収納)

※アドリブ絡み等お任せ



 目の前で繰り広げられる光景に唖然としているのは、
「あれが痴女の女神様かいな。ウソみたいなまじないやと思っとったけど、マジやったんやなぁ……」
「ないわー。……ないわー……」
 トラゴス・ファンレインとヴィクトル・サリヴァン。
「せっかくススワタリは、ふわっとした触り心地でしたのに、台無しです」
 溜息を吐いたのは月藤・紫衣。しかし彼は、
「でも、見られたところで減るものでもないんですよね……ああ、いえ、一般的な女性や女性猟兵に見られるのは遠慮申しあげますが」
 冷静に呟いた。
「……それもそうか」
 トラゴスも衝撃から立ち直ったようで。
「ほんなら俺も男気見せよ。【覚悟】は決まっとるで」
「倒してしまえば何も残りませんし……評価されようが、されまいが、気になりませんし……うん、いっそのこと脱いで【誘惑】出来ないか試してみましょう」
「ええ覚悟や。ほな、行くで」
 2人は頷き交わすと、触手に(気持ちよさそうに)捕まっている女流くだんの方へと歩き出した。
「……はっ、くだんの想像以上の邪心に現実逃避してる場合じゃない」
 ヴィクトルも我にかえり、
「えっ、2人共勇者やるの? ええっ、俺はどうしよう? だってそもそも人型じゃないしさ……」
 考えこみつつも、
「一応、俺みたいに人型じゃないのはストライクゾーンじゃないよね? って訊いておこうかな。男の子って年でもないしさ……」
 2人の後ろを慌てて追いかける。

 一方、太刀花・百華(花と廻りて・f13337)は。
「男の、こ、股間……? な、なな何と破廉恥な!? ええい、不埒なオブリビオンめ! そのけしからん乳と一緒に成敗してくれる!」
 激しく憤っていた。
「そもそもそんな下らぬ戯れ言が、我らに通用すると……っ」
しかし何か想像しちゃったようで、突然パアッと顔を赤くして。
「……くっ! 落ち着け自分! 取り乱せば相手の思う壺、ここはどうにか気を紛らわせねば!」
 そわそわしながら刀を握りしめ精神統一を図ってみたり、かなり挙動不審である。
「だ、だが……私も一応女の端くれだ、そういうモノに興味がなくは……そ、それに折角だから、誰かが挑戦するなら少しくらい……ではなくて!」
 とかなんとか言いつつも、勇者3人組(?)にふらふらとついていってしまったりして。
 まあね、青少年が異性のアレコレに興味を持たなかったら、人間だけでなく、色んな種族が亡んでしまうわけだから。

 トラゴスと紫衣は、まだ触手にうにょうにょされている女流くだんの前に、堂々と立った。
「オラ、そこの痴女、俺らが見せたるわ」
 トラゴスに言われ、くだんは鼻の穴を膨らませた。
「失礼ね、誰が痴女よ! アタシ、触ったりしないわよ。見せてくれれば満足するんだもん、可愛いもんでしょ~?」
 そうかなあ~。
「ま、いいわ、見せてくれるんでしょ? 失礼は許してあ・げ・る」
 痴jy……くだんは目を爛々とさせて2人を見上げた。
 覚悟を決めた2人がそれぞれベルトと帯に手をかけた時、
「ちょ、ちょっと待って」
 ヴィクトルが割り込んだ。
「俺はいいよね? どう見てもストライクゾーンから外れてるでしょ?」
 見たくないと言ってくれ、とそのつぶらな瞳が訴えているが、
「ううん、見たいわ!」
 くだんはますます目をきらっきらさせて。
「シャチのってどういうのか、すっごく見たい!」
「そぉ…………」
 絶望顔のヴィクトルの肩に、ぽむ、と2人の仲間の手が置かれた。
「一緒に勇者になろうぜ」
「大丈夫ですか?」
「……あ……ああ、大丈夫、物理で倒しきれればいいんだから……!」
 3人の勇者はくだんの間近に立った。紫衣は着物の前を解き、するりと優雅に下着を脱いだ。トラゴスはズボンの前を開けると、翼と尻尾で、背後でそわそわしている百華には絶対見えないようにがっちりガードした。
「……恥ずかしさ耐性とか持ってたらこう、もっとバーンといけたんやけどなあ……」
 見せ方にも個性が出るものである。
 ところで、ヴィクトルは絶望顔をしていた割には、ササッと脱いですまし顔。というのも。
「……どこにあるのよ」
「シャチのはね、普通にしてれば見えないもんなの」
 ホントにダイジな際にしか外に出ないモノのようである。
「なーんだ。つまんないのっ」
 くだんは、ぷんっとむくれたが、すぐに残る2人の勇者の方に食い付いていく。あ、食い付くってあくまで視線の話だからね?
「ふふふ、こっちの2人のはどうかしらね……」
 まずは羞恥心を必死に堪えているトラゴスのをまじまじと眺め。
「ちょ~好み~! いいわ、これ~!」
 と大喜び。
 そしてクールに佇む紫衣の、はだけた着物の中に顔を突っ込み。
「これもちょ~好きぃ~! とってもステキなち……ゲフッ!?」
「――花を散らすは風の棘」
 危険な単語を最後まで言わせることなく、くだんの喉に紫衣のユーベルコード【散花風棘】の棘が突き刺さった。
「さあ、声を奪いました。今のうち片付けてしまいましょう」
 喉を抑えて苦しむくだんから、紫花は残像を残しながら飛び退り、素早く前をかき合わせた。
「そ、そやな!」
「グッジョブだよ!」
 トラゴスもヴィクトルも慌てて前を閉める――と。
 勇者たちが身繕いをしている間に。
「そ、そうだ、とにかくそこの牛女を早く始末しないと。意識を集中させて、滾る戦意を刀に籠めて――」
 思春期らしい動揺から精神を立て直したらしい百華が刀を抜き、気合いの籠もった声で。
「どれだけ色香を振り撒こうが所詮はオブリビオン、下品な輩はとっとと目の前から消え失せろ――悪を滅する黒き炎に、身も魂も灼き尽くされるが良い!」
 ユーベルコード【黒炎羅旋撃】を発動し、刀に宿した炎をくだんに叩き込んだ。螺旋を描き黒く燃えさかる炎には、昂ぶる戦意だけでなく、思春期の懊悩とかグラマーへの羨ましさとか色々な感情が含まれているような気がしないでもない。
「あ……あづい……けど、予言しちゃうんだから……」
 くだんは激しい炎に包まれ、棘が喉に刺さっている状態のかすれ声で、それでも予言を発しようとする。
「火が、火が……消え」
「俺が消してあげるよ!」
 皆まで言わせず、くだんに襲いかかったのは、今度は水のシャチであった。ヴィクトルのユーベルコードだ。
 くだんの頭から食らい付いた鯱は、即座に水へと戻り、敵を包み込むように流れおちる。
 ザバアッ……!
 火は消えたが、今度は大量の水がくだんの息を詰まらせ、予言を口にさせない。
「よ……よげ……」
 喘ぐくだんに躍り掛かったのは、やっとズボンの前を閉めたトラゴス。
「八つ当たりに見えるかも知れんけど……そういう訳やないで」
 くだんの胸ぐらをひっつかむと、握った拳を動きが見えぬ程の超高速で鳩尾に叩き込んだ。
 ドス……ッ。
 渾身の力とスピード、羞恥を込めた拳は件の胴を突き抜けようかという威力でめりこんだ。
「ぐぁ……」
 口から血反吐を吐きながら、くだんは僅かに微笑み。
「……まあ、いいわ。イイモノいっぱい見せてもらったから……」
 割と幸せそうに、骸の海に帰っていったのであった。

 無人になった牛小屋からは、麓の人々が東間山で無くした物がごろごろと出てきた。やはり物が欲しかったわけではなく、あくまでおまじないでアレを見せてもらうのが目的だったようだ。
「そういや無くしものした人て、男ばっかしやったんちゃう?」
「言われてみればそうだったな」
 なんとも欲望に忠実なオブリビオンである。
 おそらく、おまじないを実行しようとする気配を感じると、山のどこへでも飛んでいって盗み見ていたのだろう……。

 ――その後。
 猟兵たちは村人たちのなくし物を麓へと運んで全て持ち主に返し、大いに感謝された。
 けったいな事件を解決した猟兵たちの名と男気は、麓の宿場や村で長く語り継がれることだろう……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月28日


挿絵イラスト