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月は狂える射手の神

#クロムキャバリア #企業連合体サガルマータ

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#クロムキャバリア
#企業連合体サガルマータ


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 ―企業連合体国家サガルマータ―
 ―首都タバリア・中央評議会議事堂前広場―

 円形に広がる広大な石畳の広場を取り囲む様に8つの社旗が風になびいている。
 中央にはロケットの発射台めいた構造物が組まれ、軍用キャバリアを中心とした物々しい警戒体制が敷かれていた。
 そこから少し離れた一角。
 式典用のステージが組まれた壇上で、初老の男が群衆に向かって熱弁を奮っている。
『今日は記念すべき日だ。我が国だけでなく、この世界に生きる全ての人々にとって、
 後世に語り継がれる偉大な日になるだろう。何故ならば、今日という日をもって、人類は再び、【空】をこの手に取り戻すからである!!』
 WOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!
 割れんばかりの歓声を一身に受け、尚も男は続ける。
『戦乱は未だに全く、収まる気配を見せない。何故か。資源の不足? それもあるだろう。しかし、より深刻なのは情報の不足だ。我が国が周辺諸国、或いはもっと遠くの国々と対話し、解り合う為に必要不可欠な物。それこそが情報である。
 狂える神は、我らがそれを手にするのを良しとしなかった。一度手を伸ばそうとすれば、直様炎の剣で叩き落される。これでは諸君の平穏は遠のくばかりだ』
 握った拳を演説台に叩き付け、真っ直ぐに指差すのは中天。
『ならば!! 最早我らの敵は地上にはいない。あの高みに座す殲禍炎剣こそ!! 滅ぼすべき怨敵なのだ!! この【OPERATION ARTEMIS】を持って!! 人類の地べたを這いずる歴史に終止符を打ってみせよう!!!』
 WOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!

 そう、この日は、サガルマータ国民にとって記念すべき日になる……………はずだった。

●OPERATION ARTEMIS
「今回は皆さんに少し、辛い役目を担って頂かねばなりません」
 ある日のグリモアベース。ホログラムウインドウに予知映像を流し終えたユノ・ウィステリア(怪異蒐集家・f05185)は、猟兵達にそう切り出した。
「以前皆さんに救援をお願いしたクロムキャバリアのサガルマータと言う国ですが、此処で今、殲禍炎剣を破壊を目的に掲げた軍事作戦が決行されようとしています」
 ホログラムウインドウに【OPERATION ARTEMIS(オペレーション・アルテミス)】の字幕が現れ、簡略図が表示される。
 地表から何かが打ち上げられ、更に宇宙空間でそこから飛び出した人形が【TARGET】に腕を向けている。
「皆さんも御存知の通り、殲禍炎剣とはクロムキャバリアの軌道上に存在する攻撃衛星の事ですね。今回の作戦を簡単に説明すると、最近国内で発掘された特殊なキャバリアをロケットに搭載して軌道上に打ち上げ、至近距離からの高出力ビーム砲で撃墜する、と言う物の様です。何でもこの機体は神機シリーズと呼ばれ、月面からエネルギーをチャージ出来るのだとか」
 一人の猟兵から近付く前に撃墜されないのかと質問が飛ぶ。
「公式発表によれば殲禍炎剣の探知網に穴を見つけたそうですよ。その範囲を縫って打ち上げれば攻撃を受けること無く軌道上への到達が可能との事ですが……」
 簡略図が大きく×で塗りつぶされた。
「仰る通り、この作戦は失敗に終わります。それどころか、もし決行されてしまった場合、殲禍炎剣によってサガルマータ国は消滅します。文字通り、跡形もなく」
 どよめきが起こる中、ホログラムウインドウに表示されたのは組織体制を表す表だ。
 八角形の各頂点にそれぞれ会社のロゴと思われるマークが表示されている。
「勿論サガルマータの首脳陣にもその懸念はあるようで、我々に秘密裏にこの軍事作戦を鎮圧する様に依頼してきました。サガルマータの政治は、8つの大企業の代表による合議制なのですが、どうも今回はその内の一社が独断で作戦を強行しようとしているみたいですね」
 あの国も一枚岩では無いと言うことですね。と締め括ったユノは、最後に活気に溢れる現地の様子を映し出した。
「只この作戦、民衆の支持は大いに得ているようです。世紀の瞬間を一目見ようと、現場には大勢の一般人も詰め掛けています。場所も街のど真ん中ですし、くれぐれも周囲への被害は最小限に留めるようにお願いしますね」

 天球儀が回転を始め、サガルマータへの門が開かれる。
 皮肉な事に、空には雲ひとつ無い青空が広がっていた。


龍眼智
 丁度このオープニングを書き終わった時、A○azonの会長さんが宇宙に行ったニュースが流れました。
 なんてタイムリーなんだ(; ・`ω・´)
 龍眼智です。

 という訳で今回は政府の極秘任務によりお偉いさんの暴走を止めていただきます。
 ミッションがインポッシブルだったりメタルがソリッドだったりするかもしれませんね。
 尚、本作の舞台であるサガルマータ国は拙著「Red Line on the SkyHigh」にも登場します。
 雰囲気を知りたい方は合わせてどうぞ。
 では以下構成です。

 第一章:日常
 打ち上げ準備が着々と進む現場に潜入して妨害工作を行うターンです。
 場所は3つ。
 ①広場の地下に建設された管制室
 ②発射台
 ③資材置き場になっている議事堂駐車場
 人混みが近いので余り派手な破壊工作は推奨しません。
 バレずにこっそり、罠を仕掛けるつもりでやりましょう。
 一般人に被害を出さないようにするのも大事だと思います。

 第二章:集団戦
 作戦開始と同時に発射台に奇襲をかけます。
 敵キャバリア部隊を排除して下さい。

 第三章:ボス戦
 強制起動した神機シリーズと戦闘になります。

 ―――OPEN COMBAT―――
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第1章 日常 『マシンも人も補給の時間』

POW   :    機体の搬入、重たい荷物を運ぶのを手伝う

SPD   :    燃料やパーツ、食料などの配給を手伝う

WIZ   :    電装、パーツの在庫などのデータ管理、ムードを盛り上げる

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

賀茂・絆
【Lv2】
最近ダイナミックな集団巻き込み自殺が流行ってマスネ…くわばらくわばら。

さて、未来のお客様方が御陀仏になったらえらいことデスし、お仕事お仕事。
①にこっそり侵入しマス。当然バレるデショウけど、この格好でコソコソ侵入してきたヤツなんて怪しすぎて疑念MAXデスヨネ!催眠波動マシマシでお送りしておりマス!
どーもどーも!ワタクシ管制システムの最終チェックを任されておりマシて!ちょぉーっと失礼しマスネ!
そしてシステムに触りながら【降霊】!機械に誤作動を起こさせる低級霊をシステムに仕込み、打ち上げ本番に誤作動を起こさせ打ち上げを妨害しマス!

作戦が成功したら皆で打ち上げでもやりマショウ!
…なんてね。



 広場地下。
 位置にして発射台の真下に位置する管制室では、オペレーター達が着々と打ち上げの準備を進めていた。
 それを扉の影から様子を伺う銀髪の女が一人。
(う〜む……最近ダイナミックな集団巻き込み自殺が流行ってマスネ…くわばらくわばら)
 頭上に揺れる大きな兎耳カチューシャ、改造バニースーツの様な衣装に身を包んだその姿は明らかにサガルマータ軍人のそれではない。
 人呼んで戦場の薬屋。「キズナさん」こと賀茂・絆(キズナさん・f34084)である。
「時計合わせ。テレメーター信号同期完了しました」
「殲禍炎剣座標X328Y195Z256、送ります」
「姿勢情報来ました。NEP237,23,44,180。軌道傾斜角90度です」
「よし、では15分後に発射シークエンスの読み合わせを行う。ブリーフィングルームに集合だ」
「「「ハッ!!」」」
(お、これは人がいなくなりそうな予感デスネ?では今のウチにお仕事お仕事)
 にわかに人の動く空気を感じ取り、絆が腰を浮かしたその時、ゴリッと彼女の後頭部に何か固い物が押し付けられた。
「ハイ?」
「動くな! 何者だ貴様。どうやって此処に入った」
 次いで降ってきたのは怒りと警戒心を剥き出しにした怒号だ。
 最早振り返らなくても解る。自分は今、銃口を押し当てられているのだ。
(オォ――ット、もしかしてコレは所謂ピンチって奴デスネ?)
 まぁ、この格好で忍び込んで怪しまれなかったら逆にこの国が心配になるところだが、ともかくこのままでは頭の風通しが良くなってしまう。
「の、ノー、ワタシ決して怪しいモノでは……」
「黙れ! 寧ろ怪しくないところを見つける方が難しいわ!!」
 銃口が更にグリッと押し付けられるが、急に立ち上がった絆に縋り付かれた兵士は驚きに目を剥く。
「信じてください!ワタシたちはお友達じゃないデスカ!」
「……………お、おぅ」
 瞬く間に兵士の顔から険しさが消えていくが、これは何もハニートラップにやられたわけではない。
 絆の放つ催眠波動によって兵士の敵意を絆への好意で上書きしたのである。
「どうした! なにがあった!」
 しかし今の騒ぎで管制室内部にも自分の存在が伝わってしまったようだ。
(ムム、これはもう強行突破しかなさそうデスネ…)
 絆は羽織った上着を翻すと、堂々と管制室に足を踏み入れた。
「なっ、何者だ貴様!?」
「どーもどーも! ワタクシ管制システムの最終チェックを任されておりマシて! ちょぉーっと失礼しマスネ!」
「そんな話は聞いていな……そうですか、ご苦労さまです」
 室内に一瞬どよめきが走るも、直ぐに誰も騒がなくなり、それぞれの仕事に戻り始めた。
「さてさて、ではちょっと見させてもらいマスねー」
 絆はコンソールを適当に叩いて画面を表示させる。
 勿論中身など解る筈がない。だが、そんな必要はないのだ。
(よし、降霊成功。後はコノ子が打ち上げ本番の時に誤作動を引き起こしてくれマス)
「OK、ご協力ありがとうございマス! 作戦が成功したら皆で打ち上げでもやりマショウ!」
「ありがとうございます。お気をつけて!」
 そうして、それぞれのコンソールにウィルスならぬ低級霊を感染させた絆は、オペレーター達の敬礼に見送られながら管制室を後にしたのだった。

(…なんてね。まぁ、これで成功はしないのデスケド…)

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
…この作戦名…神機シリーズ…大体察しました
「うん、あの子が関わってるねー」(銀髪少女に変じた神機シリーズ

【戦闘知識・情報収集・視力】
発射台への侵入ルートと何より発射台自体の構造をきっちり把握する

【属性攻撃・迷彩】
光水属性を己とメルシーに付与
光学迷彩で存在を隠しつつ水の障壁で熱源や匂いも隠蔽

このまま侵入し

発射台の構造と発射の為の重要な連結部分や燃料を確認

【切断・盗み・念動力】
こういうのはデリケートですからね
起動自体をさせないためにいくつかの電線を切断
発射に必要な燃料も盗み出す
大きい場合は念動力も併用

盗んだり工作は盗賊の醍醐味ですしね

空への憧れはわかりますが
なんで皆リスクから目をそらすんだか



「OPERATION ARTEMIS……ですか」
 一方、広場から道路一つ隔てた雑居ビルの屋上。そこには一組の男女が発射台に目を光らせていた。
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は双眼鏡の視界に発射台を収めたままぽつりと呟く。グリモア猟兵の少女は出発前確かにこう言った。「神機シリーズ」と。
「…この作戦名…神機シリーズ…大体察しました」
「うん、あの子が関わってるねー」
 隣で欄干に寄りかかって座っている銀髪の少女、メルクリウスが答える。
 そう、彼らには心当たりがあるのだ。
 何故なら神機シリーズなら【此処にもう一体いる】のだから。
 作戦概要から考えるに今広場に眠っているのが何なのか。
 答えはほぼ決まったような物だ。
「まぁ、差し当たって燃料でも頂いてきますか。先立つものが無ければ動かせないでしょうしね」
「でも警備もそれなりに厳重そうだよー。どうするつもり?」
 カシムはそれには答えず、改めて広場全体をじっと眺めた。
 今、発射台では巨大な作業用アームを備えた飛行型キャバリアがロケットのリベッド止めを行っている真っ最中だ。
 長年の盗賊としての勘が、脳内で瞬時に侵入ルート、潜伏場所、目標までの到達時間を割り出す。
「……うん、大体固まりました。行くよメルシー」
「あ、ちょっと待ってよー」
 ひらりと屋上から飛び降りるカシムを追って、エルシーもまた宙へと身を投げる。


 発射台周辺を不可思議な揺らぎが通り過ぎる。
 まるで景色を水中眼鏡で見ているかの如く、そこだけ背後の景色が人型にブレるのだ。
 勿論これは心霊現象でも何でも無く、カシムの施した光学迷彩によるものだ。
 やがて二人はロケットの真下までやってくると、何やら給油口のような物を見つけた。
『燃料充填率:45%』と近くのパネルに表示されている。
「どうやらこれが燃料の様ですね。では…」
 カシムは手動で燃料充填を止めると、給油タンクを取り外しにかかった。
 一つ一つが大型の業務用冷蔵庫程もあるタンクだ。外すだけなら簡単だが、盗み出すとなると中々厳しいかもしれない。
「メルシー、これを持って先に戻って下さい」
「え?」
 だが、それは人間サイズの話。キャバリアの膂力を持つ彼女ならばどうということはないだろう。
「カシムはどうするの?」
「僕はもう、2,3個仕込みをしてから戻ります。先程のビルで落合いましょう」
「わかったー」
 燃料タンクを持ち上げ空へと逃れる彼女を見送ろうとした時、彼の目に飛び込んできたのは抜けるような青空だ。
(空への憧れはわかりますが、なんで皆リスクから目をそらすんだか……)
 ため息と共に燃料供給のコントロールパネルを開け、電源ラインを切断する。
 これでもう、ロケットにこれ以上燃料を入れる事は出来なくなった。
(さて、念の為もう2,3本何処かを切っておくとしますか)
 コントロールパネルを元通りに組み立て、カシムは次のポイントへ向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

イリア・ナイン
【SPD】

ディさん(f34040)と共に

うぅぅ…猟兵として、初の戦場です
緊張しますが、頑張らないと…!

私達は、地下の管制室を目標とします
管制室ですし、警備の目もあるでしょう…でも、その警備の目が向かない人もいる

私は、極小の発信機搭載の通信機を製作します
これでもメカニックを多少齧っていますし…武器や防具を現地改造するのも、得意ですから
それを、ディさんの能力で使い魔化してもらい、要人の服に取り付けてもらいます
管制室に到着すれば…使い魔を介し、UCも用いて遠隔ハッキング開始です

あまり考えたくありませんが…作戦が失敗した場合は、使い魔に自爆してもらいましょう
だっ大丈夫です、機器を壊すだけですから…!


ディ・アルカード
【POW】

イリア(f34107)と共に
広場に集まっている人々の中に身を潜めます
管制室ジャミング或は破壊が目標
ただこの物々しい警戒体制の中、地下に潜入は何かとリスクが高い

作戦は、イリアに造って貰った極小の通信機を、機能はそのままオレの能力で使い魔(スクラップ)に作り変える
後は、、、数撃ちゃ当たる方式
個別で操作、周囲の動きを観察し要人達の服に取り付かせて管制室へ
通信が可能になればイリアの出番、彼女が集中出来るように守ります

作戦が成功しても失敗しても
厳戒態勢が敷かれるだろうから
事前にイリアに準備して貰った
劇薬を服用して【悪魔】を使用
「行くで」と
イリアをお姫様抱っこで抱え瞬間移動で速やかに離脱します


エル・クーゴー
【Lv3】



サガルマータ国には、キャバリア一機を融通頂いた〝恩〟の履歴が存在します
滅亡を看過することは出来ません


・周辺風景を取り込み生成する電子迷彩を体表に描画(撮影+迷彩)、潜入
・【マネギ・カーペンターズ】全機に同様の迷彩を施し、置かれた資材に取り付かせたり紛れ込ませたりする
・電子錠付のコンテナなんかは適宜【ハッキング】し解錠

・定点に隠れ潜み、ゴーグル内の電脳世界にマネギ達の視覚を巻き取り全機の動向を統括(情報収集+瞬間思考力)
・燃料なら抜いちゃう、爆薬なら信管を無力化、機械部品ならロック機構をバカにする等、各資材を「破壊工作が明らかに展開されている」と気付かれなさげな絶妙さでダメにしていく


御魂・神治
大企業が政治に介入しとん?そのうちの一社がやる気満々やて?
あるあるやけど、きな臭いなぁ
株主らを立てたいつもりかもしれんけどなぁ、勝手な事したらあかんて

ワイはコソコソするのがイヤやさかい
最後にパーっと破壊するまでの御膳立てと妨害工作は天将のホームグランドやろ?な?
天将『仕方ないですね』

天将の【ジャミング】で警報の類を全部ダメにした後、
【ハッキング】で管制室のOSに侵入させてファイアウォールを強行突破、
発射台の電源を制御するプログラムを強制終了させて【切断】する
これくらい朝飯前や



 国を挙げた一大イベント。
 今回の作戦はそう認識されている。少なくとも、内情など何も知らない一般大衆の間では。
 人が集まればお祭り騒ぎがしたくなるのが世の常であり、実際、広場と議事堂をぐるりと囲んだ道路はその全てが歩行者天国と化し、屋台が軒を連ねるフードコートと化していた。
 さて、そんなテラス席の一角で何やら卓上に工具を広げ工作をしている金髪の少女がいる。
(うぅぅ…猟兵として、初の戦場です。緊張しますが、頑張らないと…!)
 少女、イリア・ナイン(波の乙女・f34107)が作っているのは極小の発信機搭載の通信機だ。レプリカントである自らの身体からパーツを拝借している急造品だが、今回の使用目的を考えると十分な性能と言えるだろう。
(よし、後はシステムを走らせれば……)
 ハード制作が終わり、回路基盤にプログラムデータを読み込ませれば完成と言うその時、イリアの華奢な肩に男の手が置かれた。
「ひゃぁっ!?」
「おっと……オレやオレ」
「あ、ディさん……」
 思わず黄色い悲鳴を上げたイリアの背後に立っていたのはディ・アルカード(【D】・f34040)。屋台で買い物をしてきたのだろう。片手にはポリエチレンの袋を下げている。
「驚かして悪かったな。飯買うて来たから今の内に食っとこうや」
「すいません……私、緊張しちゃって」
「はは、最初は皆そんなもんや。腹が減っては戦は出来んっちゅうてな」
 誰から聞いたのか忘れたが、と付け足しつつタコスの紙包みを開けるディに、強張っていたイリアの表情が少しだけ緩んだ。
「で、モノは?」
「あ、はい。丁度完成したところです」
 イリアは読み込みが終わった発振器をディの目の前にかざしてみせる。
 硬貨程の大きさの円盤状のチップだ。それが数十枚、イリアの手元に積み上げられている。
「上出来や。どれ、貸してみ」
 ディはチップを一枚拾い上げると、自らの指を噛んだ。
 膨れ上がる様に溢れた血の雫をチップに馴染ませると、忽ちそれはテントウムシの様な姿の使い魔へと変じた。
 今回の彼らの作戦はこうだ。
 この物々しい警戒体制の中、地下に潜入するのは何かとリスクが高い。
 ならばこの極小の使い魔を無数に放ち、リモートでハッキングをしかけようと言うのだ。
 二人は食事を勧めながらも、目立たない様に一匹ずつ使い魔を空へ放っていく。
「よっしゃ、これで全部やな。どれどれ…どっかに地下に潜るお偉いさんは、と」
 ディは使い魔と視界を同調させ、管制室への道のりを探る。
(お、あのおっちゃんが良さそうやな)
 やがてディは議事堂から発射台に向けて歩くスーツの男に目をつけた。数人の護衛に囲まれ、胸元に勲章をぶら下げている辺り見るからに高官と言う感じがする。
「よし、どうやら地下には行けそうやな。ドアのセキュリティぐらいなら、もう潜れるんちゃうか」 
「い、いよいよですね……あれ?……」
 早速とばかりに管制室へと繋がる地下シャッターのロックを解析し始めたイリアが怪訝な表情になる。
「やっぱり……これ、ハッキングされた痕跡があります」
「……なんやて?」
 それは電子戦・後方支援特化型レプリカントのイリアから見ても、極めて巧妙な隠蔽だったと言えるだろう。ある意味彼女でなければ気付かなかっただろうが、このドアは数分前、何者かによってこじ開けられている。


果たしてその侵入者は、正に今、管制室でコンソールのクラッキングの真っ最中であった。
フィギュアサイズの女性型AIが管制室を忙しなく飛び回っている。
御魂・神治(除霊(物理)・f28925)の相棒である人工式神、天将である。
管制室の画面に神治の顔が映し出される。
「どや天将、何とかなりそうか?」
『はい、警報回路のカット及び監視カメラのカムフラージュは完了しました。これより中枢システムへ侵入します』
「ちゃちゃっとな。最後にパーっと破壊するまでの御膳立てと妨害工作は天将のホームグランドやろ?な?」
『仕方ないですね』
「どうも今回の件はきな臭いわ。奴さんも株主らを立てたいつもりかもしれんけどなぁ、勝手な事したらあかんて」
『少しお静かに。気が散ります』
「へいへい……」
 天将の周りで目まぐるしくホログラムウインドウが明滅し、やがてその結果は管制室全体の停電となって現れた。

―緊急警報:メインシステムがダウンしました―
―非常用電源に切り替えます―

 その時、薄闇に包まれた管制室に突如怒号が響き渡った。
 見ると管制室の入り口からズカズカと数人の男が入ってくる。
「何事だこれは……打上げ予定時刻までもう1時間無いんだぞ!!」
 それは先程地上でディが使い魔を忍び込ませた、あのスーツの男だった。
 彼の目には、不気味に目を光らせ宙に浮く女性型の人形が写った事だろう。
「な、何だアレは!?」
 護衛の軍人達が一斉に銃を構えようとするが、
「馬鹿者!! 機材に当たったらどうする! 生け捕りにしろ!」
 男の一喝に慌てて素手で天将を取り押さえにかかる。


 同時に動きがあったのは地上のディとイリアだ。
「あかん! バレたでイリア!」
「えぇぇえええ!? ど、どどどどどうしましょう!」
「いや、オレ達やない。どうも先客がいたみたいや。ソイツが今追われとる」
「な、なぁんだ……ってやっぱり大変じゃないですか!」
「虚を突ける様な何かがあれば良いんやけどな…」
 考え込むディに、イリアは意を決したようにある提案をする。


「「「グワッ!?」」」
 それは一瞬の出来事だった。
 薄闇の中で追いかけっこが続く管制室内。
 高官を含めた男達を、突如衝撃と破裂音が襲った。
 男達の身に付けていた通信機に取り付いたディの使い魔を、イリアが自爆させたのだ。
 その隙を付いて管制室を脱出する天将。
「おい逃げたぞ! 追え! 絶対に逃がすな!!」
 号令と同時に護衛の男達が一斉に管制室を後にする。


「無事逃げ遂せたか…?」
「……だと良いですね」
 使い魔を失った二人に、既にそれを確かめる術はない。
 そして状況も、それ以上考えを巡らす事を許してはくれなかった。
 発射台のスピーカーからアナウンスが流れる。

【業務連絡、業務連絡、CODE−178発令、CODE−178発令、地上部隊は至急対応されたし。繰り返す、CODE−178発令、CODE−178発令】

【ご来場の皆様に、お知らせ致します。只今、管制室内にて、システム障害が発生致しました。恐れ入りますが、発射予定時刻を、延期させて頂きます。復旧まで、暫くお待ち下さい】

「……此処も危ないな」
 椅子から立ち上がったディが懐から取り出したのは銃の薬莢だ。
 それは本来イリアの医療ノコギリ【GL-09】に装填する劇毒弾頭なのだが、何とディは毒が含まれた弾頭だけ取り外すと口の中に放り込んだ。
「ッ!?」
 たちまち毒がディの全身を焼き、口から一筋の血が伝って落ちる。
「ッハァ……目が覚めたわ」
 これが彼のUCである。ダンピールであるディは、致命傷を負う事によってヴァンパイアへと変身する事が出来るのだ。
「行くでイリア。撤収や」
「わ、わっ、ディさん!?」
 お姫様抱っこの体勢で抱えられたイリアが何か言うよりも先に、二人の姿は霞の様に、その場から消えていた。


【ご来場の皆様に、お知らせ致します。只今、管制室内にて、システム障害が発生致しました。恐れ入りますが、発射予定時刻を、延期させて頂きます。復旧まで、暫くお待ち下さい】
――議事堂駐車場
雑多な機材が山と積まれたその中に、動くものは何もいない。
しかし、時折何故か、何処からともなく猫の鳴き声がするのだ。
「んなぁ〜〜ご」
 聞くものを脱力させる様な鳴き声。
「友軍が管制室の無力化に成功したものと思われます」
 それに答えるのは大きなコンテナの陰に腰掛け、宙を眺めているエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)だ。
 一見ぼんやりしている様に見えるが、下ろしたバイザーから漏れる光が不規則に明滅している事から高速演算中である事が読み取れる。
 実際、今彼女の視界は幾重にも分割され、その一つ一つが周囲を飛び回るマネギの視界とリンクしている。
 エル共々全身にステルス迷彩を施している為、視認するのは至難の業だろう。
 先程から聞こえる謎の猫の声の正体はこれだったのだ。
 バイザーの明滅が止まる。
「周辺機材のリスト化を完了。これよりサガルマータ国への〝恩〟返しの為、妨害工作を実施します」
 駐車場内をふよふよ飛び回るだけだったマネギ達の動きが変わった。
 一斉にコンテナの鍵を開け、中身を漁り出したのだ。
 ぶっとい前足で器用にエンジンからシャフトを抜き取り、ミサイルの雷管だけを破壊して元に戻し、キャバリアのスペアパーツからネジを外してしまう。
 備蓄された資材が残さず食い荒らされるまで、恐らくそれ程時間は掛からないだろう。

 こうして、OPERATION ARTEMISは、作戦開始を待たずして、絶体絶命の危機を迎える事になってしまった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ハルピュイア』

POW   :    タロン・クロー
【猛禽類の爪を思わせる鋭いクローアーム】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    マルチプル・コンバット
【対キャバリア用三連装チェーンガン】が命中した対象に対し、高威力高命中の【無誘導式ロケット弾】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    ツインローター・アングルチェンジ
自身の【二基のティルトローター・ユニット】を【戦闘中に角度を垂直と水平のどちらかへ同時】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【追って第二章の幕間を更新します。プレイング受付までしばらくお待ちください】
 ブゥ………ン

 低い駆動音と共にコンソールに起動シーケンスが高速で流れる。
 次いで非常用電源の赤い光が消え、管制室に明かりが灯る。
 必死に復旧作業を行っていたオペレーター達の動きがにわかに慌ただしくなる。
「ッ!? 復旧しました!!」
「システム正常稼働! 設定も変わっていません!」
「軌道傾斜角は!?」
「NEP239,23,45,110, 110度です!」
 報告を聞いた管制室長はガックリと肩を落とし汗を拭う。
「何とか最悪の事態は免れたか……」
 殲禍炎剣の探知網の死角領域が議事堂の上空を通り過ぎるのが丁度今日。
 勿論その位置は刻々と変化している。
 ロケットの航行範囲が死角領域から外れてしまったら、この作戦は成立しなくなってしまうのだ。
「行けるのかね?」
 背後から掛けられた声に、管制室長は襟を正すと振り返り敬礼をする。
「ハッ、ご心配をお掛けしました会長。いつでも発射可能です」
「勘弁してくれ……この計画に掛けた予算が全て水の泡になるかと思ったぞ…」
 憔悴した表情で眉間の皺を指で揉み解す会長と呼ばれた男は、先程護衛を伴い管制室に怒鳴り込んできたスーツの男であった。
 この男こそサガルマータ中央評議会第八席・ヴェリタスインダストリーCEO
 ユアン・マクレガーである。
「ともかく、既に作戦決行時間は過ぎている。始めてくれ」
「了解致しました! 客員配置に付け! 発射シークエンスを開始する!」
 しかし悲しいことに、彼らの試練は、まだ何も終わっていなかったのだ。
 ユアンの一声に管制室長が号令を掛けたその時、突如非常警報のアラートが鳴り響く。
「ッ! 今度は何だ!!」
「き、キャバリア反応です! 発射台周辺に急に所属不明機が複数出現!!」
「馬鹿な!! 此処を何処だと思ってる! 首都のど真ん中だぞ!! 他国の襲撃だとしてもどうやって入ってきた!」
「映像、モニターに出します!」
 次の瞬間、泡を食ったオペレーターがメインモニターに大写しにした光景に、一同は呆然とする事になる。
「あれは……サガルマータ軍用機じゃないのか…?」
 突如飛来した完全武装状態の量産型キャバリアが、広場を包囲するように降り立ったのだ。機体は確かにサガルマータの軍用機モデルだ。
 しかしその識別コードは、サガルマータの軍属を表していない。
 民衆にもどよめきが広がる中、先手必勝とばかりに所属不明機が警備隊のキャバリアにロケット弾を撃ち込み大破させる。
「何だ……何が起こっているんだ……」

 一気に修羅場と化した発射台で、猟兵達の電撃作戦が幕を開ける。

―――CAUTION―――

・キャバリアが必要な場合はサガルマータ軍用機(量産型)を借りることが出来ます。
 専用機があるならそれでも良いでしょう。

・敵機「ハルピュイア」は発射台の防衛を最優先に動きます。民衆の避難はまだ完了していませんが、お構いなしにぶっ放してくるので、守りながら戦うとプレイングボーナスが付きます。

・広場周辺はビルが立ち並ぶオフィス街です。街並みへの被害は極力避けるべきですが、遮蔽物にはなるでしょう。
ディ・アルカード
イリアと一緒に

▼回収
先に依頼主である評議会に予め準備して貰っていた廃倉庫へ、隠して置いたキャバリアの回収に向かいます

あれ?なんや?
イリア顔真っ赤やけど大丈夫か?

▼発射台
友軍機も参加しとんのか?
アホが!!やり過ぎや!?

逃げ遅れた民衆が
ぶっ放される弾幕に晒される瞬間

【魔術師】で周囲の瓦礫を集めて防御力を強化
『ハウンド・ドッグ』の機体を滑り込ませて庇います

ツッ!?お返しや喰らえ!!
切り返しで2回攻撃+念動力で集めた瓦礫を発射
よろめいた所を、小型ニ連装ガトリングで追撃を仕掛けます

あぁクソ守るべきモンが間違っとる

高速で移動しながら引き付けつつ通信を開きます

頼むでイリア
この馬鹿騒ぎを止めてくれ!!


イリア・ナイン
ディさんと一緒に

【SPD】

顔が赤…、……っ!
いっいえ、何でもありませんよ…ただ、初体験な事が多かったものですから
お姫様だっこ?ですとか…

そ、それは兎も角!
私達が機体の元に辿り着く、時間稼ぎが必要ですね
如何に厄介な武装や思考ルーチンでも、相手が機械であれば…UCで、封じてみせます
それが私の、得意とする戦いですから
だから任せて下さい、ディさん
住民の方の被害も、防いでみせます…っ!

機体に搭乗後は、近接戦で手早く斬り捨てていきましょう
UCを繰り返し発動して敵の動きを封じ、迅速に破壊…電子戦や後方支援特化の私に近接戦闘機なんて、と思っていましたが、案外相性が良いのかもしれませんね



広場から少し離れた裏道。
 そこには周囲のビル群から取り残されたように、古びた廃工場が存在する。
 その中の倉庫前、虚空から突如現れたのはイリア・ナイン(波の乙女・f34107)をお姫様抱っこしたディ・アルカード(【D】・f34040)だ。
「よっと……着いたで。ココに場所を借りてオレのキャバリアを隠してある」
そのまま歩き出そうとするディだが、腕の中から聞こえるか細い声に足を止める。
「あ、あの……ディさん」
「ん?どしたん?」
「も、もぅ自分で歩けますから……」
 湯気が出そうな程真っ赤な顔で此方を見上げるイリアに、ディはハッとする。
「おぉ、すまんすまん。忘れてたわ」
 画して、ディの腕から解放され、ようやく地面に降り立つ事が出来たイリアは身なりを整えつつも落ち着かない様子だ。
 レプリカントと言えども乙女は乙女なのである。些か刺激の強い体験にメモリの処理が追い付かないが、そこにディの無慈悲な鉄槌が下される。
「あれ? なんや? イリア顔真っ赤やけど大丈夫か?」
「顔が赤…、……っ!? いっいえ、何でもありませんよ…ただ、初体験な事が多かったものですから……お、お…」
「お?」
(お姫様だっこ?ですとか…)
「ん?すまん、聞こえんかった」
「も、もぉ! 良いじゃないですかそれは。早くキャバリア取りに行きましょうよぉ」
 イリアの謎の気迫に気圧されディは今度こそ倉庫へと足を進める。
 ……もう一度言っておこう。レプリカントと言えども乙女は乙女なのである。


 中で待っていたのは、廃工場には似つかわしくないキャリアウーマン然とした若い女性だ。女はディに目を留めると腕時計型の端末を操作し、手を差し出す。
 掌の上に浮かび上がったホログラムウインドウには、顔写真付きの社員証が表示されていた。
「サガルマータ中央評議会第三席、E.G.M(エバーグリーン・マテリアル)の者です。極秘任務を遂行中の猟兵の方……で、宜しいですね?」
「あぁ、オレ達がそうや。キャバリアを受け取りに来た」
「承っております。では、シャッターの開閉キーは此方に」
 女は古びた鍵をディに渡すと、そそくさとその場を後にする。
 恐らくディが現れなかった時の保険の様なものだったのだろう。
 女は入り口のドアに手をかけ、思い出したように付け加えた。
「そうでした。広場では既に評議会側のキャバリア部隊による牽制攻撃を行っております。広場の外周沿いに展開する機体は、自動操縦で立哨をしているだけですので、万が一の際は予備機としてお使い下さい。では、私はこれで」
「ディさん……」
 イリアが不安げにディを見つめる。
「あぁ、コイツはちょいと急がなあかんな」


「なんじゃこりゃ……」
 ディのキャバリア『ハウンド・ドッグ』に乗り込んだ二人が到着した時、広場は既に戦場の様相を呈していた。
 群衆の悲鳴が響く中、発射台を中心に飛び回るハルピュイアがチェーンガンを掃射し、地上に展開する量産型キャバリアからも対空砲撃が撃ち込まれる。
「友軍機も参加しとんのか? アホが!! やり過ぎや!?」
「ディさんあれ!!」
 イリアが指差した先、そこに幼い娘を抱えて逃げる母親の姿を見つける。
 恐らく全力疾走はしているのだろうが、量産型キャバリアの背中が近い。
 大破したら確実に巻き込まれるだろう。
「くっそ間に合え!」
 チェーンガンの直撃を受けたキャバリアが大破し、爆炎が撒き散らされる。

 ―――スローモーションで今の場面をもう一度見てみよう。
 キャバリアが爆発する直前、四足獣型特有のしなやかな動きで母親との間に
立ち塞がったハウンド・ドッグ。
 同時、足元の地面が波打ち、瞬時にコンクリートの防壁を形成していた。

「ツッ!? お返しや喰らえ!!」
 爆風でヒビが入った防壁は次の瞬間瓦礫の山へと転じたが、ディは念動力で破片を浮き上がらせると、ハルピュイアへと投げ付けた!
 大きさはキャバリアの頭部パーツ程もあろうか。即席の砲弾と化した巨大な飛礫はハルピュイアのローターを吹き飛ばし、続くガトリング砲によって空に爆炎の華を咲かせた。
「あぁクソ守るべきモンが間違っとる!」
 頭を掻きむしるディは、その時ハウンド・ドッグのハッチが開く音を聞いた。
「イリア!?」
「ごめんなさいディさん、私、あの親子を安全な場所に連れていきます!」
「ちょ、ちょい待ち、こんなとこで降りたらお前!」
 静止の声も虚しく、既にイリアは外に飛び出した後だった。


 広場に降り立ったイリアは娘を庇う様に蹲る母親に駆け寄り、周囲を見渡す。
 外周沿いまで、およそ100mと言ったところだろう。
 例え一般人の足だろうと1分も掛からない距離だ。只、そこでキャバリアが戦闘を
繰り広げていると言う事を除けば……
(彼処まで行ければ、私もキャバリアに乗れる。この人達も助かる……だったら、如何に厄介な武装や思考ルーチンでも、相手が機械であれば…UCで、封じてみせます)
 イリアのヘッドパーツが光を放ち、背中の浮遊翼が展開する。
(それが私の、得意とする戦いですから。だから任せて下さい、ディさん…)
「住民の方の被害も、防いでみせます…っ!」
「お姉ちゃん.....?」
「大丈夫....お姉ちゃんが、絶対、お家に帰してあげるからね」
イリアは土埃に塗れた顔で見上げてくる幼い少女に笑い返し、右手を空に掲げる。

ーWelcome to Nine giants Networkー
  ーSerialNo.9 IRIA−Acceptー
  ーCODE:Veðrfölnir Unlockー

「打ち消して、見せます…害為す逆風は、全て…っ!」
浮遊翼に集まった光が肌を伝って右手へと収束していく。中天に向かって放たれた一筋の光条は高高度で弾けると、光の波と化して一気に放射状に広がった。
同時、空を飛び回っていたハルピュイアのローターが一斉に火を噴き制御不能に陥った。
渡り鳥の集団自殺の如くバラバラと墜落していく。
「今です!走って!」
「は、はい!」
親子を伴ってイリアは外周沿いのキャバリア目指してひた走る。
時間にして恐らく10数秒の出来事ではあったが、2人にとってはその何倍にも感じたことだろう。
母親が娘を抱えて広場を脱出したのを見届け、イリアは目の前に佇む量産型キャバリアのコックピットを開ける。


高速で広場を駆け抜けながらハルピュイアを撃ち落としていくハウンドドックに通信が入る。
「ディさん、お待たせしました。無事キャバリアに乗れましたので合流しますね」
「おぅ、どっち方面や!」
「真横です!」
スピーカー越しに聞こえるイリアの声と同時。
ハウンドドックの側面を狙いクローアームを叩き込んで来たハルピュイアが電撃に打たれた様に硬直する。
次の瞬間、斬艦刀で真っ二つ断ち割られた向こうにはイリアの乗る量産型キャバリアが立っていた。
「やるやないか、さっきのママさんは?」
「はい、無事逃げおおせたと思います」
「よっしゃ、じゃあ頼むでイリア。この馬鹿騒ぎを止めてくれ!!」
「はい!」
背中を合わせ死角をカバーし合った2人は、再び目の前のハルピュイアに向かっていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

白斑・物九郎
【LV3】
【エル(f04770)と】


・『ストームライダー』を【操縦】しエントリー
・操縦席(複座仕様に改造された)にエルと同乗


エルに呼ばれて来てみりゃ……露払いをやれだァ?
ってゆーか狭いんスよ!
なんで自分のキャバリアで出撃しないんですかよ!?


・【スチームドライブ】で自キャバリアに魔導蒸気機関を搭載、機動力爆上げ(推力移動+限界突破)
・ハルピュイアへ飛び付く(ジャンプ)、ネコパンチキックテイルスイングをブチかます(暴力)、敵機を足掛かりに空中方向転換とかもやる(軽業)

●守りながら戦う
・敵注目を集めつつ【野生の勘】で致命的な包囲をかわしながら、避難未完了の民衆や街並みへ敵の射線が掛からぬよう立ち回る


エル・クーゴー
【LV3】
【物九郎(f04631)と】


・物九郎の『ストームライダー』に同乗しエントリー
・操縦席は【メカニック】ぢからで無理矢理複座仕様に改造したよ


――最終撃破目標が未だ捕捉に至っていません
よって、当機のキャバリアは『温存』します(しれっ)


・【万象改竄:電脳大天球儀(ハッキング+範囲攻撃)】
・集団敵に対し、照準の誘引――『ストームライダー』へ極端にヘイトを集中させる干渉を展開/維持

●守りながら戦う
・物九郎の立ち回りがノッて来るまでは「チェーンガン発砲時の照準に干渉しての同士討ち誘発」や「ロケット弾倉を強制的にパージさせる誤指令の送付」といった、電脳魔術による電子戦を行う(暗号作成+瞬間思考力)



 戦火は、徐々に広がりつつあった。
 如何に広場とは言え、キャバリアが暴れまわるには余りにも手狭だ。
 ましてや空戦型の機体ともなれば尚更である。
 ロケット弾の直撃を受けたハルピュイアの一機が爆炎を上げながら墜落していく。
 その軌道は広場上空を大きく外れ、数秒後にはそびえ立つ高層ビルの土手っ腹に直撃するだろう。
「おいおいおいこっち来るぞあれ!!?」
「逃げろォォ!! 巻き込まれるぞぉぉーーー!!」
「キャアアア―――――ーーーーッッ!!」

 ―――だが、そうはならなかった。

「開門。塔を扉に」
 誰かが、そんな事を言ったような様な気がした次の瞬間。
 その場の民衆は信じられない光景を目の当たりにした。
 巨大な火球とかした残骸がビル壁に激突した瞬間、すり抜けるように消えてしまったのだ。
 まるで水面に石を投げ込んだかの様な、円形の波紋を残して。
 ではアレは消えてしまったのか?
 答えは一瞬の後、轟音として帰ってきた。
 発射台に高速で激突し、大爆発を起こしたのは紛れもなく、今しがたビルに直撃しようとしていたハルピュイアの残骸だ。
『警告――警告――第一、第二シュラウドリンク破損、第一、第二シュラウドリンク破損、直ちに発射シークエンスを中断して下さい』
 スピーカーから緊急警報が流れる中、突如として広場全域を襲ったものがある。
 砂嵐だ。砂塵の竜巻とでも言うべき強烈な旋風が、突如として広場全体を覆ったのだ。
 風に煽られハルピュイアが次々と地面に叩き落される。
 否、これは風ではない。砂の旋風を乗りこなしながら、宙から宙へ、次々とハルピュイアに飛び掛かる何者かがいるのだ。
 硬質な音と共に石畳に爪を立て降り立ったそれは、巨大な黒猫の姿をしていた。
 『M96式キャバリア【ストームライダー】』。
 白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)の駆る四脚機獣である。
「エルに呼ばれて来てみりゃ……露払いをやれだァ? 全く、猟団長様をパシリに使おうたぁ、偉くなったもんですわな?」
 白いマダラとヘアピンだらけの黒髪に甚平と言うお馴染みのスタイルで操縦桿を握る物九郎は仏頂面で眉をしかめる。
「まぁ百歩譲ってそれはいいですわ……」
 物九郎の額にピキッと青筋が浮く。 
 その後頭部には、先程からずっと柔らかいものが押し当てられていた。
 サラッとした手触りで程よく弾力があり、人肌程度に温かい。
 つまりエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)の胸が当たっているのである。
「狭いんスよ!! なんで自分のキャバリアで出撃しないんですかよ!?」
 そう、ストームライダーは本来一人乗りだ。今回、エルによって操縦席がタンデム仕様に改造されている。
『――最終撃破目標が未だ捕捉に至っていません。よって、当機のキャバリアは『温存』します』
 背後でバイザーが複雑に明滅し、如何にも高度な演算の結果ですと言わんばかりの態度でエルが応じる。
「アーハーハー、そうですかよ……キャバリアが無かろうとあのサイズだったら生身で相手も出来んでしょうわ。オラッ、出撃!」
 物九郎がコンソールの赤いボタンを押すと、ストームライダーの風防が展開し、後部座席の緊急脱出装置が作動した。
『「マスターのいけず」を確認しました』
 瞬時に高度20m付近まで打上げられるエルだが、彼女とて空戦型のミレナリィドールだ。直様飛行ユニットを展開し、チェーンガンを撃ち込んでくるハルピュイアに機関砲で応戦する。
やがて発射台上空に逃れたエルは電脳魔術を展開。
『戦場全域の走査を実行します』
 眼前に天球儀状のヴィジョンが現れ、数十を超えるレーザー光の赤い光が広場を弄る様に動き回る。高速でプログラム言語が流れるウインドウが目まぐるしく開いては消え、やがて全てのウインドウが姿を消した。
『敵機火器管制システムの掌握を完了。これより敵機の照準をストームライダーに固定します』
 これが今回の彼らの作戦だった。
 エルのハッキング能力を持ってハルピュイアの狙いからキャバリアや群衆を外し、自らは囮になりつつ殲滅する。
 中々にピーキーな戦術だが、そこは信頼の為せる技だろう。
 飛び回っていたハルピュイアが一斉に交戦中のキャバリアに背を向け、ストームライダーを包囲しに掛かってくる。
「ま、仕事はちゃんとやったやでってとこッスか?」
 操縦席で踏ん反り返っていた物九郎は改めて操縦桿を握ると、犬歯を剥き出した凶悪な笑みを見せる。
「エンジン始動。王の出陣の時間ですでよ」
 ギラン、とストームライダーの目が光り、全身の関節部から蒸気を噴き出す。
 蒸気によって舞い上がる砂塵を纏いながら、ストームライダーがハルピュイアに飛び掛かるのとチェーンガンの集中砲火が始まるのはほぼ同時。
 先手必勝とばかりに低空飛行の一機の頭を大上段からの爪の一撃で吹き飛ばし、それを足場に更に跳躍! 進行方向上の一機がローターを変形させて急上昇を掛けるが、エルによってローターシャフトのメンテナンスハッチを強制的に開けられてしまう。
 風圧によってローターがひしゃげ、急激に高度が落ちていく。
 そこに、鋼鉄のネコキックが打ち込まれ、また一機、石畳に残骸が増えていく。
 
 彼我の物量だけ見れば正に多勢に無勢。
 しかし、勢いを握っているのは、完全に彼らの方だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

賀茂・絆
【Lv3】
あらら…混乱の極みデスネ。というかワタシが仕込みをした後のあの騒ぎ…ワタシ何もしなくても良かったのでは…?
いやでもまだ何があるか分かりマセンし…あの子まだ残ってるといいんデスガ…。

…今は目の前の仕事をこなしマスカ。降臨するのデス!別雷大神!
ってな感じで広場にいるワタシのところに機体を呼び出しマス。
そしてそのまま敵機1体を掴んで動きを奪い、敵からの攻撃を防ぐ盾にしマス!
入神導入剤で底上げされた【瞬間思考力】で敵機が民衆に攻撃を当ててしまいそうなのを察知したら盾でガード!壊れたら別の機体を捕まえて再度盾に!パイロットいたらごめんなさい戦法!

障害がなくなったら発射台を切り裂いてやりマス!



 地下管制室から地上へと繋がる出入り口。
 その陰に賀茂・絆(キズナさん・f34084)の黒いウサ耳が揺れている。
(あらら…混乱の極みデスネ)
 潜入前の光景は何処へやら、今や広場は硝煙と機械油、それに焦げた鉄の臭いが支配する戦場と化している。発射台からも濛々と黒煙が立ち上っており、どう見ても一朝一夕で修復出来るものではない。
(というかワタシが仕込みをした後のあの騒ぎ…ワタシ何もしなくても良かったのでは…?)
 彼女もこっそり見物していたが、先程管制室でも大立ち回りがあったばかりだ。
 自らの仕込みが水泡と化したであろう事実に思わず溜息を付いてしまう。
(はぁ…あの子まだ残ってるといいんデスガ…)
「まぁ……今は目の前の仕事をこなしマスカ」
 仕方がない。ビジネスにアクシデントは付き物と言うものだ。
 状況が悪化している訳ではないのだから、精々利用させてもらうとしよう。

 只―――序に少しばかり、憂さ晴らしをさせてもらうぐらいは構わないだろう。

 そう結論づけた絆は手にしたトランクを開け、中からカプセルの硬質塩化ビニールシートを取り出した。
 包装を破り、無造作に口の中に放り込んでいく。
「ッ!!」
 ドクン…と脳に大量の血流が送られ、意識が一気にゾーンへ没入した。
「フゥ……目が醒めマシタ。サテ、行きマスヨ!」
 絆はトランクを閉じると、一気に砲弾の飛び交う中へ飛び出していった。
「降臨するのデス!別雷大神!」
 雷鳴と共に石畳を極大の落雷が穿つ!
 一瞬の後、絆の背後には黄金に輝く装甲を持つオブリビオンマシン【別雷大神】が仁王立ちしていた。
 腕を伝って身軽な動きでコックピットに滑り込んだ絆は、ブースターを噴かして空中でハルピュイアの一気を鷲掴みにするとそのまま急降下!勢いもそのままに地面に叩き付ける!爆炎を上げてローターが吹き飛び、ハルピュイアが動きを止める。
「ハハッ! まだ終わってマセンヨ!」
 絆は地上で更に加速! ハルピュイアを片手で石畳に押し付けたまま広場を疾走する! 芝刈り機の如く石畳が捲れ、同時に削り取られたハルピュイアの部品が宙に撒き散らされていく。
「あなたたちの未来は! DEATH! DEATH!! DEATH!!!」
 既に原型を留めていないハルピュイアの残骸を、絆は何度も何度も地面へと叩き付ける。
 その常軌を逸した【暴力】は、無人機である筈のハルピュイアをして明確な恐怖を刻みつけるものであった。
 少なくとも危険とは判断したのだろう。
 編隊を組み、三方からアームクロ―を振りかざして向かってくる。
「逃がさないのDEATH!」
 迫る一機のアームクロ―を正面からガッチリ受け止めた絆は、そのままアームクロ―を掴んでフルスイング。野球よろしく続く二機目と三機目を弾き返し、発射台に叩き付けた。
 軋むような音を立ててロケットを支える架台が崩落し、長大な鉄骨の構造物が倒れ込んでくる。
「おぉっと、やり過ぎてしまいマシタネ」
 別雷大神が青白い光を放つ大剣を抜き放つ。

 まるで料理に少し調味料を入れすぎてしまったかの様な気軽さで、
 雷神は鉄の山を瞬く間に瓦礫へと変えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

カシム・ディーン
機神搭乗

おいおい…防衛戦力なのに一般人気にしないとか正気じゃねーですね
「どうするご主人サマ?」
一般人防衛も兼ねるなら数で対抗するしかねーだろ

【戦闘知識・情報収集・視力】
敵陣の陣形と動き
更に民衆を護衛するのに必要な陣形を把握
敵機体の構造も分析

UC発動
1体だけ3体合体
残り二体合体
【属性攻撃・迷彩】
機体と竜に光水属性を付与
光学迷彩と共に熱源探知も隠蔽

【念動力・弾幕・スナイパー】
念動光弾を撃ち込み敵を無力化
搭乗席は外し不殺徹底

ダイウルゴス軍
【捕食・切断・盗み攻撃・盗み】
市民への巻き添えを起こさせないように護衛陣形を展開しつつ半分は機体に襲い掛かりくらいついて四肢を破壊
無力化を狙いつつパーツは強奪


御魂・神治
何やて?まだ避難完了してへんし、周辺にビルばっかやって?
派手に暴れ回ろう思たらこれかい、守りつつ雑魚蹴散らすってか、めんどくさ...

天将、武神を天人型にして自律稼働モードで敵蹴散らしてや
ワイは【結界術】の【オーラ防御】で守りつつ
『蒼天』の【弾幕】で敵の動きを止めたる

天将『【情報収集】で敵の最も脆い箇所を突き止め、
動きが止まった敵を三神のスナイパーライフル形態で【破魔】の【スナイパー】射撃で破壊
取り囲まれたら紫電符のプラズマ火球の【追尾弾】の【一斉発射】で、敵のみを破壊します』



「……は? 何やて?」
 御魂・神治(除霊(物理)・f28925)の額にピキッと青筋が浮く。
『聞こえませんでしたか? 作戦地域周辺は高層ビル群が立ち並ぶオフィス街であり、極力被害を抑えるようにとのクライアントのオーダーです。民衆の避難も完了しておらず、広場は恐慌状態にあると考えられます』
 淡々と現場の状況を伝える天将の声に、神治は思わず頭を抱えてしまう。
 こう見えて彼は中々の派手好きである。取り敢えず何でもかんでも綺麗サッパリ爆破してしまえば片が付くと思っている。
 そんな彼にとって、先程までの様な慎重さと周到さが物を言う局面はさぞや退屈だったことだろう。
 そして迎えたお待ちかねの戦闘局面ではあったが……悲しいことに、やはりそこにも彼の望むものは待ってはいなかった様だ。
「せっかく派手に暴れ回ろう思たらこれかい、守りつつ雑魚蹴散らすってか、めんどくさ……」
『任務遂行には必要のない感情と推測します』
「わかっとるわい、やったるがな……天将、武神を天人型にして自律稼働モードで敵蹴散らしてや」
『了解しました。人工式神強化外骨格『武神』、起動します』
 神治の背後に停車していた大型バイクのカウルが硬質な音を立てて展開すると、人型に変形した。
 天人型と呼ばれる機体は背部スロットからライフルを抜き放つと広場に向けて出立する。


そしてこの時、広場はもう一つの【軍勢】によって包囲されようとしていた。
微細な光の粒子を棚引かせながら広場の外周をナニカが飛び回る。その正体はかつてアックス&ウィザーズの文明侵略領域に君臨した帝竜ダイウルゴス………の、小型版である。
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)によって召喚されたそれらは今、広場内の戦火が外に漏れないようにガッチリと広場全体にバリアを張るように展開していた。
その頂点。神機シリーズとして本来の姿を見せたメルクリウスことメルシーの中で、カシムは眼下に広がる戦火を見下ろしていた。
「全く…防衛戦力なのに一般人気にしないとか正気じゃねーですね」
「展開終わったよご主人サマー。でもこんなに出してどうするの?」
コンソールから響くメルシーの声にカシムは思わず溜息をつく。
「一般人の防衛も兼ねてるんだ。数で対抗するしかねーだろ」
「ふーん、そんなモンかー」
「まぁ、これだけガッチリ包囲すればもう広場の外には出られないでしょうけどね」
「で、この後は?」
 そう問いかけてくるメルシーに、カシムは微笑を浮かべる。
「敵を囲んだらその後は相場が決まってるでしょう。つまり」

 ―――殲滅と、略奪。

 彼がそう呟くと共に広場内の空気が動いた。
 如何なる業によるものか、突如、ハルピュイア達の装甲が次々とひしゃげ、空中分解を起こしていくのだ。
 そして、その謎の圧壊を逃れた者達を待ち受けているのは、天から正確にローターを撃ち抜いてくる光弾の雨だ。
 種明かしをすれば謎の圧壊は光学迷彩を施したダイウルゴスが襲いかかっているだけ、光弾はメルシーによる狙撃なので何も不思議な事はない。
 だが、それでもハルピュイア達は大混乱だ。
 明後日の方向にチェーンガンを乱射し始め、流れ弾で同士討ちが始まる。

 その光景は神治の目からはさぞや奇妙に見えたことだろう。
「何や……? 敵さんら急に共食い始めよったぞ…? 誰かコンピューターウィルスでも流したんか?」
『特にジャミング電波の類は観測されていません。宙域に敵機以外の熱源反応を多数確認。どうやらステルス迷彩を展開した友軍機がいるようです』
「ほぉ……そらまたエグい真似する奴もおったもんや。まぁどっちにしろチャンスやな。天将、三神スナイパーライフル形態や!」
『了解しました。ターゲットをノーダメージの機体に限定。クリティカルポイントを策定します』
「よっしゃ、じゃあダメ押しいこか。コイツも喰らえや!」
 神治は神器銃『天地』を抜き放つと斜め上に向けてぶっ放す!
 信号弾の如く、光の軌跡を描いて飛翔する追尾弾がハルピュイアの編隊にぶつかり、弾ける。
 広場を照らす一瞬の強烈な閃光。
 その一瞬を狙って天将の狙撃がハルピュイアを貫く。

 ―――最早趨勢は決した。
 文字通り袋のネズミと化したハルピュイア達が根刮ぎ鉄塊に帰られるまで、それほど時間は掛からないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『狂月神機『ディアーナ』』

POW   :    BSサテライトキャノン『三ツ星への愛』
【月面発電施設からの次元エネルギーチャージ】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【大規模戦略級ビーム砲撃】で攻撃する。
SPD   :    報いの女神『猟犬の鹿狩り』
自身が装備する【FXRソードビット&FSBレーザービット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    対情報戦術機構『月の女神』
自身の【全身】から【月光の如く揺らめく光】を放出し、戦場内全ての【正気・理性・判断力】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はテラ・ウィンディアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ーーーニューラルネットワークにアクセスを確認
ーーーID照合:ユアン・マクレガー様
ーーーようこそMr.ヴェリタス。熾天の塔は貴方を歓迎致します。

漆黒の空間に響くのは管理AIの無機質な声だ。
次いでその空間に光が走ったかと思うと、ワイヤーフレームで歯車が形成され、それが無数に分裂、組合わさり巨大な塔を形成していく。
そしてその屋上。八角形のテーブルを囲むように、同じく八つのモノリスが鎮座している。
熾天の塔と呼ばれるこの場所は、VR空間上に存在するサガルマータ中央評議会の会議室の一つだ。所謂密室会議をする為の場所であり、一般市民はおろか、軍部や議事堂職員ですら存在を知る者はほぼいない。
ジッとそれぞれのモノリスに社名ロゴが表示される。

<サガルマータ中央評議会>

第一席 ネフィリム製薬
第二席 Hack&Decker 
第三席 E.G.M.
第四席 神龍電影有限公司
第五席 タバリア通商連合
第六席 アークウィングシステムズ
第七席 ハザマ精機
第八席 ヴェリタスインダストリー

次いで表示されるのは人の顔だ。
老若男女様々ではあるが、比率としては若者が多い。
第八席のモノリスに映ったユアンは開口一番、机に拳を叩き付けながら怒鳴り声を上げた。
「正気か卿ら!! 何故動かない!!!!」
「うーるさいって聞こえてるから。あーし等まだおじいちゃんみたいに耳遠くないからー」
「いややわぁ……歳を取ると怒りっぽくなるって聞きますさかい…」
「何を呑気な!! 見ろこの惨状を!! 我が国の中枢部が攻撃を受けているのだぞ!!!!」
 第六席の派手なギャル風の少女と、第四席の妖艶な糸目の女性のからかう様な言動に腹を立てたか、ユアンは無残な廃墟と化した広場の様子をホログラムウインドゥに出し、更に唾を飛ばす。
 そこに水を差したのは第二席のドレッドヘアーの男だ。
 彼はヘブライ文字のタトゥーが入った顔に凶悪な笑みを浮かべ、言った。
「オイオイ察しが悪りーなジーさんよ」
「何……?」
「まぁ?確かに言う通りだわな。議事堂の真前でドンパチかましてんだ。俺ら全員に報告が来ねぇ訳がねぇ。だがよ、やり合ってるのは両方サガルマータ機なんだろ......?」
「.......だから何だ....」
「こうは考えなかったのか? 誰かが裏切って計画を潰しに来たってよ....?」
「ッ!!!? き、貴様らまさか!?」
「.....そう言う事だMr.ユアン」
 話を継いだのは、ドレッド男の隣で優雅に紅茶を飲んでいた金髪の青年だ。
「ネフィリムの!? お前さんまで!?」
「正確には【卿以外の全員】だ。非常に遺憾な事だが、評議会としてOPERATION ARTEMISを実行に移させる訳には行かない」
「なんっっっと言う事を貴様ら.....!! 覚えておれ!!!」
 断末魔の様なユアンの怒声を最後に、ヴェリタスのモノリスが消失する。
「あーぁ、怒っちゃった。良いのアレ放っておいて」
「少なくとも打ち上げはもう不可能だ。一先ず殲禍炎剣から狙われる可能性は無くなったな」


広場は惨憺たる有様になっていた。
黒煙を上げて崩れ落ちた発射台を取り囲む様に、キャバリアの残骸が点々と転がっている。
その場の誰もが、戦いは終わったと思っていた事だろう。
しかしそれは、突如としてロケットそのものから立ち昇った光柱によって覆された。
爆炎を突き破って宙へ飛び出したのは白銀の装甲に包まれたキャバリアだ。
背中に背負った光輪が眩い光を放ち、浮かび上がる【狂】の文字。
あれこそOPERATION ARTEMISの要にして、宇宙に打ち上げられる筈だった神機シリーズが一体。
狂月神機『ディアーナ』である。
コックピットで操縦桿を握るのはユアン・マクレガーその人である。
「フハハハハハハハハ!! 最早これまでよ! だがしかし! 殲禍炎剣だけは堕としてみせる!! 絶対に! 絶対にだ!!!!」

焦点の定まらない目で狂った様に笑う彼の瞳孔には、ディアーナと同じ【狂】の文字が浮かび上がっていた。

ーーーcautionーーー

・議事堂周辺の民衆の避難が完了した事により、戦時防衛機構が作動しました。周辺のオフィスビルが地下に収納され、見通しが良くなっています。
とは言え、ディアーナのサテライトキャノンは防衛機構の範囲外まで射程が届きます。容易く郊外の街並みを焼き払えるので、なるべく地上に向かって撃たせない様にしましょう。
エル・クーゴー
【Lv3】
●POW


『スナップスネーク』整備士チーム諸兄へ
約束を果たしに来ました
躯体番号L-95、並びにアルテミス
『無用の戦乱の芽を摘むべく作戦行動を適宜展開します』――オーヴァ


・『アルテミス』を【操縦】しエントリー
・まず機動重視戦型で敵機へ飛翔し接近(空中機動+推力移動)、【威嚇射撃】も交え敵射線を地表へ向けさせない

・ドローン『マネギ』をその辺に射出
・【ハッキング】も辞さず「殲禍炎剣探知網死角領域」に関するデータを【情報収集】させる
・データ受領次第、敵機よりも更に上、今この時だけ許されるだろうかクロムキャバリアの空を高く高く飛び――

・火力重視戦型へシフト
・渾身の【レーザー射撃】を撃ち下ろさん



 ―約束(やくそく)―
・当事者間でのとりきめ。将来についての、自己の行動を他者に言明すること。
・広義において守るべききまりごと。ルール。慣習。
・パターン化された進行。
・望ましいものが確実に得られると見込まれること。

 エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)のデータベースには、【約束】と言う単語は上記の様に記載されている。
 このL-95式キャバリア【アルテミス】も、元はと言えばこのサガルマータより譲り受けた機体である。
『キャバリアを譲渡する対価として、サガルマータ国にオブリビオンマシンの脅威が及びし時は戦力支援を行う』
 これは謂わば、そう云う【契約】―――だった筈だ。

【Logic Error―There is an error in the definition of the term】

 バイザーのスクリーンがエラーを吐き出す。
 同時に泡沫の様に表示されるのは、かつて前線基地スナップスネークにてアルテミスを改造した時の整備士チームとのやり取りの記録映像だ。
【契約】ではない。これはきっと、論理では説明出来ない何かなのだ。

 ザッ―――
『スナップスネーク』整備士チーム諸兄へ
【約束】を果たしに来ました。
 躯体番号L-95、並びにアルテミス
『無用の戦乱の芽を摘むべく作戦行動を適宜展開します』――オーヴァ

 国境警備を主任務とするスナップスネーク部隊が此処に来ることは恐らく無い。
 聞こえるかどうかも解らない通信をエルが敢えて入れた瞬間。
 発射台の空に、もう一人の月の神にして狩猟の女神が舞い降りる。

 ディアーナが手にしたサテライトキャノンをアルテミスに向けるよりも早く、背部スラスターを変形させたアルテミスは超スピードで肉薄していた。
『パイル装填』
 何という精密さか。サテライトキャノンの銃口に寸分違わず銃口を合わせたアルテミスが叩き込んだのはパイルバンカー。
 L95式杭打機より射出された杭によって、サテライトキャノンはコルク栓をされたワインボトルと化してしまった。
「おのれ新手か!! 今度はどいつの差し金だぁ!!」
 だが勿論それで終わりではない。直様FSBレーザービットを展開し反撃してくる。
 縦横無尽に襲いかかってくるレーザーを躱しながら、アルテミスもマネギデコイを射出。空に爆炎の華が乱舞した。
 揉み合うようなドッグファイトを繰り広げながら徐々に高度を上げていく両機。
「邪魔をぉぉぉぉするなぁぁぁぁぁーー!!!」
 握り潰した射出杭を乱暴に銃口から引き抜いたディアーナの光輪が眩い光を放つ。
 機体表面に刻印された複雑なエネルギー回路を通った光がキャノン先端に届いた瞬間、サガルマータの空全体を覆い尽くす程の光刃が横薙ぎに振るわれる。
 莫大量の閃光が世界を焼き、収まったその後、アルテミスの姿は何処にも無かった。
「フッ…フフフ……何という威力だ…素晴らしいぞ! これなら地表からでも!!」
 狂気的な嗤いを溢すユアンはしかし、レーダー上でアルテミスの反応が消えていないのを発見する。
 何処か。上である。
 エルのバイザーに猛スピードで表示されるのは地下管制室の殲禍炎剣軌道演算のデータである。
 既に最終データとの時間上の誤差は15分以上ある。
 エルはこの戦闘の最中、マネギがハッキングによって収集してきた値から軌道計算を行い、現在時刻における「殲禍炎剣探知網死角領域」を割り出したのだ。
『座標確定。航空高度の限界値を更新します』
 高度3万Ft。現代社会における航空機の稼働高度であり、この世界においては殲禍炎剣の支配によって失われた領域である。
 アルテミスのスラスターが分離し、砲身へと接続される。
 長大なボウガンの如き形態はアルテミスの変身形態である機動重視戦型【セレーネー】と並ぶ火力重視戦型。その名も【ヘカテー】である。

 太陽を背にしたその砲身から地表に向かって放たれる出力全開のレーザー砲は、文字通りのアルテミスの矢となり、ディアーナを地表に縫い付けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

御魂・神治
やっと壊し甲斐あるやつ出てきよったわ
ようけ予算使ったんやろなぁ
ほな、派手にやったろかい
投資家や株主らの顔色は...しらんわそんなん!勝手に有り金溶かした顔になっとけ!

武神を強化外骨格モードにして装着、天将の演算をフルにして、【ジャミング】と【ハッキング】を駆使して複製された武器の挙動をおかしくする
そらもう荒ぶって明後日の方向に飛んでったり、同士討ちしたり、本体を攻撃したりな
ワイは本体を三神をハンドガン形態にして【エネルギー充填】させたフォトン弾を叩き込む
相殺し切れん攻撃が飛んで来たら、【結界術】を込めた爆龍符をチャフとして【乱れ撃ち】して誘爆させたりする
最後は『探湯』で纏めて破壊して終わりや



 濛々と立ち込める土煙を打ち払い、ディアーナが起き上がる。
「おぉぉぉのれぇぇぇぇぇぇ!! 何処までも邪魔をしおってぇぇぇ!!!」
 ユアンの絶叫と共に背中の光輪からFXRソードビットとFSBレーザービットが射出され、それが円を描く様な軌道を取りながら影分身めいて数を増やしていく。
 御魂・神治(除霊(物理)・f28925)の糸のような細目がくわっと見開かれた。
「はっ、やっと壊し甲斐あるやつ出てきよったわ。天将、アレがそうやな?」
『肯定。機体名:狂月神機『ディアーナ』。クライアントのブリーフィング情報とも一致します。当該機体の破壊が本作戦の成功条件になります』
「ようけ予算使ったんやろなぁ……ほな、派手にやったろかい!」
 周りに邪魔なものはもう何もない。溜まりに溜まった鬱憤を晴らすかの如く、神治は力強く真横に腕を突き出した。
 同時、傍らの武神が浮き上がったかと思うと、空中でパーツ毎に分離し、鎧装として神治の身体を覆っていく。
『余談ですが、本作戦後の原状復帰は評議会側が負担する事となっていますが、過剰な破壊と見なされる事象が観測された場合、我々に賠償が求められる可能性があります。その際はヴェリタス・インダストリーに請求を求められると思いますが、金額次第では――』
「しらんわそんなん!! 投資家や株主共なんぞ勝手に有り金溶かした顔になっとけ!!」
 連連と耳元で戦後処理について話を続ける天将の話をぶった切り、レーザーの雨が降り注ぐ広場へと躍り出た。
 不規則な軌道で襲い来るソードビットを三神で弾き返しながら、神治はバイザーにジャミングプログラムを展開。
「ええもん持っとるやないか。わいも使わしてもらうでぇ!」
 見る限りレーザーもソードも狙いが出鱈目だ。怒り任せで振り回している様なものなのだろう。加えて、未だディアーナに神治が認識されていないと言う事もある。
 ならば―――制御を奪うのは簡単な話だ。
 始めは、レーザービッドがソードビットを撃墜した事だった。それだけならば勢いあまってやってしまった…で済ませられたかもしれない。
 しかし。
 次の瞬間には別のレーザービットが制御圏内を離れ郊外へと離脱していき、ソードビットが明らかにレーザービットを狙った挙動を始め、ディアーナの周囲を固めていたレーザービットが一斉にディアーナに狙いを定める。
「なんだこれは……!! どうなっている!!」
 コンソールを幾ら叩いてもエラーメッセージが吐き出され操作を受け付けない。
 ギリッとユアンが歯ぎしりした瞬間、ふと見つけてしまったのだ。
 メインカメラに映る、土煙に紛れて地上から対空射撃を叩き込む武神の姿を……
「おぉぉぉぉおおおおまぁぁぁぁええぇぇぇくぁあああああああああ!!!!!」
 光輪から波の様に光の粒子が撒き散らされ、制御権が回復する。
 塊の様な量のレーザービットが飛来し、神治に集中砲火を浴びせる!
「上等や!! いてこますぞワレェ!」
 だが神治も山程の爆龍符と紫電符を展開し真っ向勝負を挑む!
 爆符とビットがぶつかり合いながら連鎖爆発を起こし、広場は爆炎の海に包まれた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ディ・アルカード
イリア、、、大丈夫か?

ハウンド・ドッグのコックピットからモニター越しに惨憺たる戦場を眺め

クライアント【神龍電影有限公司】に通信を繋ぎ、政治的な結末を確認している最中、目の前に現れた『ディアーナ』についてのスペックを知らされます

冗談も休み休みに言いや、、、
この一騎でサガルマータを余裕で壊滅できるやんけ!!

イリア機と連携
地面に落とされた敵機に対して
高速で移動しつつ小型ニ連装ガトリング砲の制圧射撃で牽制
様子を見てスペックを再確認

街もしくは地面に対して『三ツ星への愛』を使用しようとした場合
【審判】を使用し発動を妨害
更にコピーすることで、カウンターで『ディアーナ』に対して『三ツ星への愛』を叩き込みます


イリア・ナイン
大丈夫です
…と言いたいところですが
キャバリア単騎で発生させる被害規模としては類を見ないでしょうし、驚きとも呆れともつかぬ感覚が…
…いえ、そんな事を言っている暇も無いですね
クライアントを満足させる事も大事かもしれませんが…何より、無駄な被害を防がなくては!

どんな強力な武器でも、使用する前に破壊すれば、何も無かったのと同じ
私の専用機・ヒミングレーヴァに乗り換えた後、ディさんの機体と連携し、高機動で翻弄しながら、UCで武装や敵機の各所を破壊していきます
仮に武器の破壊に時間が掛かっても、腕部を損傷させれば、結果的には同じ筈…!
武器を取り落とせば、細切れにして二度と使えない様にしてあげます…!



 熱波の様に放射状に広場を舐め尽くした爆炎は、転がる残骸達を再び燃え上がらせ、辺り一帯を炎の海へと変えた。
 その中からゆらりと立ち上がるディアーナ。
 神々しさすら感じた銀色に輝くメタリックな装甲は既に見る影もないが、未だに決定打は与えられていないと言った所だろう。
 ディ・アルカード(【D】・f34040)は、乗機ハウンド・ドッグのコックピットからモニター越しにその惨状を目の当たりにしていた。
「ハッ…何処が月の女神やねん…オレには地獄の獄卒にしか見えへんわ…」
 隣、イリア・ナイン(波の乙女・f34107)が彼女の専用機『CCX-09ヒミングレーヴァ』に乗り換えて並ぶのを確認した瞬間、コンソールのモニターに通信が入る。
 ディが通信を繋ぐと画面には妖艶な雰囲気の糸目の女性が映っていた。
 彼女こそサガルマータ中央評議会第四席・神龍電影有限公司董事長、李小梅(リー・シャオメイ)その人である。
「まぁまぁようやってくれはりましたわぁ。流石猟兵さんやねぇ」
 鈴のような声で笑いながら労いの言葉を掛けてくる彼女に、ディは早速とばかりに現状を報告する。
「あぁ、ご依頼通りロケットも発射台も木っ端微塵の鉄くずにしたったわ。中のキャバリアは起動してもうたけどな」
「こっちでも確認したところどす。はぁ…まさか自ら乗り込んで暴れるなんて…」
 芝居がかった様子でしなを作る小梅にディの目が見開かれる。
「アレに社長さん乗っとるんかいな!? どないすんねん!」
「評議会として問題はあらへんよ。ヴェリタスの頭が挿げ替わるだけやさかい」
 優しそうな笑顔で躊躇いもなくそう云う小梅に、ディは少し背中が寒くなった。
 つまり彼女はこう言っているのだ―――殺しても構わないと。
「それより問題はディアーナや。状況がこうなった以上、アレを止めてもらわな作戦成功とは呼べへんねぇ」
「……そんなゴツい奴なんかアイツ」
 息を呑むディに、小梅はディアーナの機体データをハウンドドッグ宛に送信する。
 連連と表示されるデータに目を通すディだが、武装データの項目に信じられない事が書いてあるのを見つける。
「BSサテライトキャノン『三ツ星への愛』…射程10km!!? 冗談も休み休みに言いや……この一騎でサガルマータを余裕で壊滅できるやんけ!!」
「まぁ、そうやろうな」
「何を呑気な……」
 最早興味すら失ったか、爪のお手入れを始めた小梅に、ディは苛立たしげに返す。
「そやさかい、うちらもあんたを雇うたんどす。仕事はきっちり、終わらしてもらw」
 
 ―――その瞬間、或いは気付けたのは奇跡だったのかもしれない。
 何故ならコンソール画面上で豪奢な爪ヤスリを指揮棒の様にビシッと此方に向ける小梅の上。メインモニターに映る外の様子に、映っていたのだ。

 その、サテライトキャノンを此方に向ける、ディアーナの姿が―――!!

「まぁぁぁだ新手がいたかぁぁぁぁ!! どれだけ湧いてきやがるネズミ共がぁぁぁぁぁぁ!!!」
 発射前の余波によって磁場が乱れ、通信が砂嵐となって途絶する。
(クソがッ!! 間に合うか!?)
 撃たせてはいけない。絶対に。
 何故なら発射されたが最後、自分達のみならず10kmに渡る直線上は根刮ぎ更地にされてしまう。
 ディの身体から溢れ出た真紅の帯がハウンドドッグのコックピットに吸い込まれ、機体の背に巨大な円盤を精製した。
 閃光が世界を白く焼き、破滅の光がぶち撒けられる。
 しかし―――
「何ィィッ!?」
 刹那の後、そこにあったのは彼方まで続く破壊の轍ではなく、【ディアーナに向かって】突き進むサテライトキャノンの一撃だった。
「ハァ……ハァ……」
 ディの額にどっと冷や汗が噴き出す。
 今のは危なかった。一瞬気付くのが遅れていたら、イリア共々どころか街並み諸共消し炭になっていたところだ。
「イリア……大丈夫か?」
ザッ、と言うノイズ混じりの音声でイリアの声が帰ってくる。
「大丈夫です…と言いたいところですが、キャバリア単騎で発生させる被害規模としては類を見ないでしょうし、驚きとも呆れともつかぬ感覚が……」
「あぁ…全くその通りやな…」
 あのサテライトキャノンをどうにかしない限りジリ貧なのは目に見えている。
 さっきは上手く弾き返すことが出来たが、もし乱射でもされれば全てを捌き切れるとは限らない。
「ディさん、援護をお願いできますか。私が前に出ます」
「………何か案があるんやな?」
「はい、どんなに強力な武装でも、使えなければ無いのと同じ。先にあのキャノン砲を破壊しましょう」
「へっ、なるほどな…よっしゃ、後ろは任しとき!」
「お願いします!」
 通信が切れたコックピットの中で、イリアは逸る気持ちを落ち着かせようとする。
(クライアントを満足させる事も大事かもしれませんが…何より、無駄な被害を防がなくては!)
 目を見開き、イリアは操縦桿を握り直した。

  ―CODE:Hræsvelgr:Unlock―
  ―Nanomachine Generator:Type-Steele Eater―
  ―Generation rate:65.77329%―

 ヒミングレーヴァの全身に通気孔が展開し、ジェット噴射もかくやという勢いで瓢風を巻き起こす。
 Hræsvelgr(フレスヴェルグ)とは、北欧神話において「死体を飲みこむ者」の意を持つ鷲の名である。これはその名の通り、ナノマシンによって触れたものを徐々に分解していく死の風なのだ。
「行きます!」
 高周波振動剣【VB-09】を構え、ディアーナへと斬りかかるヒミングレーヴァ。
 一方のディアーナもソードビットを展開し応戦してくる。
 5mの巨人が轟音と共に激しく剣を打ち付け合うその様は正にラグナロクの一幕を彷彿とさせる。
「調子に乗るなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 ハウンドドッグの援護も手伝い、徐々に戦況が優勢に傾き始めたかの様に見えたその時、ディアーナの全身が茫洋とした怪しい光に包まれた。
(あ、あれ……?)
(なんやコレ……)
 二人を強烈な虚脱感が襲う。
 キャバリア操縦とは、瞬時の判断力と反射神経が物を言う世界である。
 ましてや実戦の、それも交戦中にボンヤリするなど自殺行為に他ならない。
 しかし、ディアーナにはその状態を意図的に引き起こす、恐るべき兵装が搭載されていたのだ。
 対情報戦術機構『月の女神』。
 ディアーナの全身から発せられるその光を目にしたものは、冷静な判断力を失ってしまうのである。
「キャァッ!!」
「イリアッ!!」
 結果、無防備な瞬間にソードビットのクリーンヒットを喰らい、滑るように石畳を転がるヒミングレーヴァ。
「手間を掛けさせおって…さっきは妙な術を使われた様だが、貴様はどうかな!?」
 そして再び始まるサテライトキャノンのチャージ。
 自身は体勢を崩していて、ディの反射攻撃も当てに出来ない絶体絶命の状況。

 しかし次の瞬間―――遂に死の風が牙を剥く。

「ッ!!!!?」
 軋むような音を立て、突如ディアーナの片腕が根本からもげた。
 同時に全身を包んでいた光も消え去り、精神攻撃も途切れる。
 ディアーナはもう片方の腕でサテライトキャノンを拾おうとするが、ディのガトリング掃射がそれを許さない。
 弾き飛ばされ、宙を舞うサテライトキャノンに、イリアはヒミングレーヴァのスラスターを全開。
 剣閃が走り、十字に分断されたサテライトキャノンが大爆発を起こした。

「感じますか、風が吹いているのを。感じたのならば…ごめんなさい、さようなら…」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
「また会えたねディアーナちゃん☆」

【情報収集・視力・戦闘知識】
ユアンという人物についても調べておく

…はぁ…まるであれだ
カリギュラかよ
「ディアーナちゃんに狂わされたって皇帝だね☆」

そういう意味でもとんでもない程厄ネタな作戦だなこれ

【戦闘知識・情報収集・視力】
展開されるビットの位置と敵機自体の動きを見据え分析

UC発動
【空中戦・属性攻撃・念動力・弾幕・スナイパー】
火炎弾と雷属性によるレーザーによる弾幕展開でビットの迎撃
念動力の補助で複雑な機動で飛び回りながらも常に敵機の砲撃が地上に向かないように舞

【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
超高速で距離を詰めて鎌剣で切り裂き
パーツの一部の強奪も狙う


賀茂・絆
【Lv3】
寧ろあの人今まで正気だったんデスカ…?最近流行りの国家自殺作戦を計画しておいて…?オブリビオンマシンの狂気が伝染してたとかではなく…?
――怖っ!

…深く考えずにとにかく今は尊い人命のため、そして美味しいコネ作りのためひと仕事するとしマショウ。
『月の女神』の光に金鵄装甲の【破魔】の力で少しでも抵抗し、なんとか【先制攻撃】を一撃ぶち当てマス!
一撃当てさえすればそこからワタシが正気を失おうと問題ありマセン。魂を縛り付けた相手に【暴力】による【神罰】を与え続ける巫術が発動しているのデスから。

正気に戻った時に相手を殺してしまっていないかだけが気掛かりデスガ。神機シリーズの力をワタシは信じマス…!



 スローモーションで部品を撒き散らしながら地面に落ちていくサテライトキャノンの残骸。コックピットのユアンからはきっと、その様に見えたことだろう。
 それは今度こそ、本当に、軌道上に座す殲禍炎剣へアプローチする方法が無くなった瞬間であった。
 そして、そんなディアーナの前に颯爽と現れた機体がある。
「やっほー☆、また会えたねディアーナちゃん☆」
 外部スピーカーから場違いとも言える明るい少女の声が聞こえる。
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の駆る神機シリーズ「メルクリウス」ことメルシーである。
「あれあれ? どうしたのかな? 私のこと覚えてる?」
 首を傾げるメルシーに対し、電源が落ちたように項垂れたまま微動だにしないディアーナ。
「ぉ……ぉぉぉ……」
 それは―――例えるならば、幽鬼の呻き声の様な苦悩、絶望、悲哀
 そんな様々な負の感情を内包しながら、同時に限界まで膨れ上がった憤怒と殺意を感じさせる声だった。
(ヤバいな……完全に狂ったか?)
 カシムの脳裏をそんな思考がよぎった瞬間・
「おぉおぉおおおおおおおおおOOOOOOOOOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 天を仰ぎ、咆哮を上げたディアーナに呼応する様に、高速回転するソードビットがねずみ花火の如く撒き散らされた。
「チッ! メルシー!」
「オッケー行っくよー!」
 メルシーも瞬時に火炎弾で弾幕を張りソードビットを撃ち落とす。
 隻腕となり、メイン武装であったサテライトキャノンを潰されたとは言え、まだまだビットによる広範囲攻撃は脅威だ。
 数の増加スピードもさる事ながら、文字通り狂ったような軌道で広場の空を蹂躙するソードビットとレーザービットにメルシーも徐々に防戦を迫られていく。
 そんな中、カシムはコックピットの中でユアンの素性を調べていた。

【ヴェリタスインダストリーCEO:ユアン・マクレガー】
 二世社長の多いサガルマータ中央評議会において数少ない、自らの手腕で成り上がり、末席とは言え評議会の席次を勝ち取った辣腕起業家。その鋭い戦略眼と豊富な知識で、かつては評議会のご意見番として一目置かれる存在だった。
しかし、ある時自社のプロジェクトで郊外の遺跡からディアーナを発掘して以来、人が変わったように殲禍炎剣への執着を見せ始め、遂には【OPERATION ARTEMIS】を計画、強行するに至る。

 思わず溜息が出た。どう見てもディアーナを発掘したのが彼の運の尽きだ。
「…はぁ…まるであれだ。カリギュラかよ」
「ディアーナちゃんに狂わされたって皇帝だね☆」


 同時、地上では賀茂・絆(キズナさん・f34084)が、キャバリア【別雷大神】のコックピットから神機同士の撃ち合いを見上げていた。
(寧ろあの人今まで正気だったんデスカ…?最近流行りの国家自殺作戦を計画しておいて…?オブリビオンマシンの狂気が伝染してたとかではなく…?)
「――怖っ!」
 猟兵にとって、オブリビオンマシンを見分ける事は容易い。
 しかし、オブリビオンマシンに思考を侵された人間と、正常な思考の人間を見分けるのは猟兵だろうと難しいと言うことだろう。
「まぁ……ここまで来たら深く考えるのは止めマショウ。とにかく今は尊い人命のため、そして美味しいコネ作りのためにお仕事するダケデス!」
 絆の見立てでは、頭上で繰り広げられている激戦が徐々に敵側有利に傾いているのは事実だ。ここで少しテコ入れする必要があるだろう。
「と言うわけデェー……喰らいやがれデース!」
 雷刀『咲雷神』を逆手に構え、振りかぶる。
 そこから繰り出されるのは槍投げめいた投擲だ。
 その名の通り雷と化した咲雷神がディアーナの左肩に深々と突き刺さる。
「オォォォおおおオォぉオォおおおオオおお!!!!」
 痙攣するように頭を振り乱すディアーナの背後で光輪が激しく回転し、戦場を白光で照らし出す。
(こ、これは!? 話に聞いていた見たら正気を失う光…!)
 白く染まっていく視界の中、それでも絆は口元に笑みを浮かべた。
 何故なら―――たった今、彼女の仕込みは済んだのだから。
(イイデショウ…簡単に壊れナイで下サイヨ? 神機シリーズの力…ワタシは信じマス…!)
 絆の意識が闇に落ちると同時、遂に『オブリビオンマシン・別雷大神』がその真の姿を開放する。
 爆発的な速度で空中のディアーナに迫ると、ディアーナの頭を鷲掴みにし咲雷神の柄を握った。
 そのままフレーム内部まで刃が食い込んだ咲雷神を強引に引き抜き、握ったディアーナはジャイアントスイングで投げ飛ばす。
「おぉ、あれもカリギュラ?」
 突如現れた救いの手にメルシーの声が弾む。
「そう何人もいてたまるか……」
 しかしこれはチャンスでもある。あの機体がディアーナ本体を引き付けてくれるなら自分達もビットの殲滅に力を注げる。
 カシムは意識に霞が掛かっていくのを実感しながら、コンソールにコマンドを入力する。
「一気に決めるぞ…加速装置起動…メルクリウス…お前の力を見せてみろ…!」
『Yah,神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)を起動します』
 機械音声が響くと同時、メルクリウスの光輪が展開し、一気に上空へと姿を消す。
 それは音速の壁すら易々と突破し、時速3万キロと言う途轍もなく速さを持って瞬時に広場内を暴れまわるビットを手にした鎌剣で切り裂いていく。
 そして、大上段からディアーナの背後に接近すると光輪と機体のジョイント部に鎌剣を滑り込ませた。
(獲った!)
 カシムの直感がそう告げた次の瞬間、激しい火花と共にディアーナの背から光輪が分離する。
「このまま離脱するぞ。メルシー」
「ふぇっ? あ、うん……何か頭がボーッとする」
 光輪を手にしたメルシーは、再び超スピードへ移行すると、そのまま空の彼方へ消え去った。
 

「う……ここは…」
徐々に視界がはっきりしていく中、絆は、どうやら自分がキャバリアのコックピットにいると解る。
(ワタシは確か…あの白い光を浴ビテ……)
「ッ!」
 そうだ、戦いはどうなったのだろう。
 スクリーン上ではどうやら地上に降りてきているらしい。
 別雷大神も動きを止めている。戦いは終わったのだろうか……
「確認しなくテハデスネ…」
 絆はレーダー上に敵影が残っていないことを確認すると、意を決してコックピットを後にした。


「OH MY GOD……」
 別雷大神に乗っていた時は分からなかったが、降り立って改めて全体像を見てみるとかなりシュールな光景が広がっていた。
 両腕と光輪を失ったディアーナを、別雷大神がパイルドライバーの体勢で地面に突き立てているのだ。
 装甲が剥がれ剥き出しになったコックピットシェルの中では、ユアンが白目を剥いて気絶している。
 瞼がピクピク痙攣しているのを確認すると、絆は胸をなでおろした。
「フゥ……流石神機シリーズ。頑丈デスネ♪」

 ―――こうして、首都タバリアの長い一日は終わりを告げた。
 ユアン・マクレガーがその後どうなったのか、残念ながら記録が残っていない。
 しかし、暫くの後、郊外の遺跡に顔付きの似た浮浪者が一人、住み着いたと言う。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年08月20日


挿絵イラスト