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戦乱のケンドリックス:公国、炎上

#クロムキャバリア #戦乱のケンドリックス

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#戦乱のケンドリックス


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●グリモアベース:予知者、白鐘・耀
「今回はクロムキャバリアに行ってもらうことになるんだけど、少し事情が複雑なのよ」
 耀はそう前置きした上で、背景事情を語った。

 問題となるのは、ふたつの小国家だ。
 ひとつは『ケンドリックス共和国』。
 オブリビオンマシンに洗脳された青年将校によるプラント占拠事件に端を発し、すでに二度戦いの舞台となった国である。
 猟兵たちの支援を受けたクーデターの成功により、政情は一時的に安定こそした。
 しかし疲弊による国力低下は否めず、共和国は領土を大きく手放すこととなった。
 また、クーデター以前の独裁政権時代に、国を逃れた難民たちも多く発生したようだ。

 今回猟兵たちが向かうのは、その共和国……ではなく、共和国の隣に存在する『グロンデール公国』だ。
 この国は以前、プラント占拠事件に乗じて共和国の撃滅を目論んだ前科がある。
 もっともそれ自体、オブリビオンマシンの狂気がもたらした欺瞞だった。
 当然この襲撃作戦も、猟兵たちの活躍によって解決されている。

 その後沈黙を保っていた公国は、共和国の衰退に合わせて版図を拡大。
 共和国や周辺国から逃れた難民も取り込んで、人口も増加傾向にあった。
 人が増えれば不満も増える。公国の内情は共和国の安定に反比例して悪化した。
 ……そこに、ひとりの「救世主」現れたというのだ。

「そいつが謳う希望ってのは、つまり……「空の奪還」よ」
 クロムキャバリアの世界には、暴走衛星兵器『殲禍炎剣』が存在する。
 あろうことかその「救世主」は、「殲禍炎剣を破壊しうる新兵器を完成させた」と謳い始めたのである。
 救世主の名は、ジャンゴ・イーグレット。
 もともと精強な公国軍でも特に人気の高い、武闘派の軍人だった男だ。
「当然だけど、『殲禍炎剣』を破壊することなんて出来やしないわ。
 それどころか殲禍炎剣は自動反応して、公国を焼き尽くしてしまうのよ。
 だからその前に、連中を止めないといけない……国民たちにとっては救世主でもね」
 偽りの希望にすがった結果国土が灼かれて皆殺しなど、最悪の結果だ。
 ゆえに、それを叩き潰す。……悪となる覚悟が必要だろう。

 耀は語る。
「まずは公国に潜入して、包囲戦を行うための準備を進めてほしいの。
 向こうは国民に受け入れられてるから、市街地に堂々と戦力を配置してるわ。
 現地の協力者を得られる可能性は低いけど……巻き込むわけにもいかないわよね」
 耀は潜伏に最適な場所として、国内に用意された難民キャンプを提案した。
 ここを拠点に市街地に入り込めば、見つかることはめったにないだろう。
「新兵器とやらがどんなものかはわからないけど、もし本当に存在してるならそれも確実に破壊して。けど、一番優先すべきはリーダーであるジャンゴのキャバリアよ。
 オブリビオンマシンさえ破壊すれば、洗脳されたパイロットももとに戻るはず。
 ……といっても、それが偽物の希望だったことまで信じてもらえるかはわからないけど」
 耀は嘆息しつつも、火打ち石を取り出した。
「後味が悪い戦いになるかもしれないわ――でも戦争って、そういうものよね」
 ためらいがちに、火打ち石は音を鳴らした。


唐揚げ
 過去の事件については、#戦乱のケンドリックスから辿れます。
 といっても、別に過去を知らなくても問題ありません。
 また、本作は共和国ではなく隣国が舞台になる点にご注意ください。

『グロンデール公国』
 軍部が大きな発言権を持つ厳粛な国家。共和国とは穏やかな関係「にあった」。
 軍人となるための訓練は相当のスパルタで、軍人は家族めいた絆で結ばれる。
 ジャンゴの出現により、民衆の士気は過去に例がないほどに高まっている。

『ジャンゴ・イーグレット』
 公国陸軍に所属する軍人。階級は少佐。年齢33歳。
 とある戦闘で敵側の無茶な作戦により、「殲禍炎剣」が戦場を蹂躙。
 出撃前だったジャンゴは、仲間を喪いながらも生還したという過去がある。

 本シナリオは、章ごとに断章とプレイング受付期間を投下します。
 それらが投下された時点から受付開始になりますので、ご了承ください。
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第1章 日常 『難民キャンプ慰問』

POW   :    運ばれた援助物資を配る。

SPD   :    暖かい料理をふるまう。

WIZ   :    歌や芸などを披露する。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●クロムキャバリア:グロンデール公国、難民キャンプ
 公国の外縁部に設置されたキャンプにも、市街地の高揚は伝わってくる。
 ビルのあわいにいくつものキャバリアが並び、物々しい布陣を敷いていた。
 それ以上に耳目を惹くのは、やはり歓声と軍歌だろう。
 公国民たちは、救世主の言葉に酔いしれていた。
 ……それだけ、この世界にとって、空を取り戻すことには大きな意義があるのだ。

「例の新兵器ってのは、本当に成功するんだろうかね」
「さあなあ。だが空が我々の手に戻るってんなら、最高じゃないか」
「もういい加減、人間同士で争い合うのも疲れちまったもんな……」
 疲れ果てた難民たちは、口々に囁いていた。
 疑うものも多少はいるが、全体的にはその希望に思いを託している。

 猟兵たちは、これからその希望を壊すことになる。
 軍人たちを称えるパレードの歓声は、虚しく聞こえた。

●プレイング受付期間
 07/12 13:59前後まで。
アトシュ・スカーレット
かぁー…希望を壊すって慣れねぇ…
しゃーねぇけど、ここにいる人らを明日に行かせる為だ。汚れ役上等!

そんじゃ、援助物資配る…フリして市街地に行くか
【指定UC】でできるだけ多くの荷物運ぶわ
必要があるなら【早着替え/変装/化術/言いくるめ】で突破も考えるぞ
【情報収集/聞き耳】で可能な限り兵器の情報も集めたいな…やれるなら、がつくが

アドリブ、連携大歓迎



●市街地の景色
 パレード真っ盛りの市街地は、誰も彼もが浮足立って喧騒に酔いしれていた。
 立ち並ぶビルディングは質素な作りで、この国の普段の雰囲気がよくわかる。
 軍部が力を持つというだけあって、あまり浮かれた雰囲気のない醒めた街なのだろう。
 灰色の建物群も、今はあちこちに飾り付けがされて彩られていた。
「……かぁー……希望を壊すって慣れねぇ……」
 そんなビルのあわいを、アトシュ・スカーレットは嘆息しつつ歩く。
 そうしなければこの国が滅んでしまうとはいえ、彼らの喜びは本物だ。
 仮にオブリビオンマシンの仕業であることを証明できたとしても、
 偽りの希望に湧いた市民たちの感情までは消せはしない。
 間違いなく後ろ指を差されることになる。それが心苦しかった。
(けど、しゃーねぇ。ここにいる人らを明日に行かせるためだ。汚れ役、上等!)
 アトシュは心のなかで気合を入れ直した。

「そこのお前、止まれ!」
「っと……はぁい、なんでしょうかねっと」
 アトシュは両手を上げて、兵士たちのほうに向き直った。
 こういう状況は慣れているのか、すぐに猫を被って人のいい笑みを浮かべる。
「このあたりでは見ない顔だな? 他の国から来たのか」
「え、ええまあ……難民キャンプに援助物資を配りに来たもんでして」
「こんな情勢で? ふうむ……」
 ふたりの兵士は、アトシュの頭からつま先までをじろじろと眺める。
 必要な変装はしてあるが、見破られた場合は突破する用意と覚悟もあった。
 作戦行動前に荒事は起こしたくないものの、捕まっては元も子もない。

 ……と、アトシュは警戒していたのだが。
「あんたはいい商人みたいだな。見上げた精神だ」
「えっ?」
 兵士はあっさりとアトシュの言い分を信じ、笑顔になって肩を叩いた。
「パレードを見に来たんだろう? ゆっくり楽しんでいってくれよ。
 しばらくすれば、ジャンゴ少佐殿もお目見えするはずだ」
「あ、どうも……って、軍部のおえらいさんがこんなパレードに顔出しを?
 その……余計なおせっかいかもしれないけど、暗殺の危険とかないのか?」
「ははは! 問題ないよ。俺らがいるし、あの人は強いお方だからな!」
 どうやら、浮かれているのは市民だけではないらしい。
「ようやく人類が空を取り戻せるんだ。それを邪魔したがる奴なんていないさ」
「…………そう、だね。そうだと思うよ」
 アトシュは苦み走った顔を見られないようにしつつ、その場を離れた。
「邪魔したがる奴が、ここにいんだけどなあ……」
 キャバリアを称える人々の歓声も、今は虚無的にしか聞こえなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イコル・アダマンティウム
【アドリブ歓迎】
希望……偽りなの?
残念、でも
「ん、壊すのなら……得意。」

僕の武器は拳
だから身一つで潜入する、よ
「バレないように、しなきゃ。」
拠点になりそうな大きめのキャンプを
屋根やコンテナの上を高速で走ったり跳んだりして
探しまわる、ね<ダッシュ><ジャンプ><足場習熟>

「……あれで、いっか」
大きいキャンプを見つけたら
地面に降りて入り口から入る、よ

「ん、こんにちわ。」
UC【手加減攻撃】
入って挨拶をしたら
警備の人も、難民の人も問わずに
一発ずつ頭を殴ってどんどん気絶させてく
「寝てて。」


下手に逃げられると、危ない
拠点で寝てれば……巻き込まない、護りやすい
ヨシ👍

「えっと、あとは……
布団、しかなきゃ。」



●安全確認、ヨシ!
 まるで日本の伝承にある天狗のように、ひょいひょいとテントからテントを跳んでいくイコル・アダマンティウム。
 あまりの身軽さとスピード、そしてなにより公国側の警戒心が薄らいでいるがゆえに、誰も屋根上を飛び歩くイコルの姿を捉えることはない。
「……バレてない、みたい。でも、気をつけなきゃ」
 イコルが探しているのは、難民たちができるだけ多く集まるキャンプだ。
 戦闘の際に被害が出ないよう、事前に彼らを集めておきたいらしい。
 逃げ回る市民を意識しながらの戦闘は、いくらイコルでも手に余る。
 ならば、最初から気絶させ、そもそも戦闘に入ってこないようにすればいい。
 正しい理屈ではある、あるのだが……そのために使うのが拳っていうのは、どうなんだろうか?

「……あれで、いっか」
 しばらくあちこちを跳び回って、いい感じの大型キャンプに目星をつけたイコル。
 警備の目を盗んで地面に降り立つと、なんと真正面からのこのこと近づいた。
「ん、こんにちわ」
「なんだお嬢ちゃん? 難民の受け入れ申請ならあっちのテント――ぐえっ!」
 目にも留まらぬ早業が炸裂した。素拳の一撃が、ふたりの兵士を一瞬で倒す。
 本気で打ち込めば、四度叩き込んだ時点で絶命必至のイコルの拳。
 いくら鍛え上げているとは言え、常人は一発でも受ければ意識を持っていかれる。
「なんだ? 妙な音がしたぞ」
 と、違和感を覚えてテントから出てきた難民も、容赦なく下顎を殴って脳を揺らし、かくんと気絶させる。
「寝てて」
 しゅっしゅっ。イコルは拳を素振りしつつ、数十人はいる難民を根こそぎ眠らせてしまった。

「……ヨシ」
 難民も警備員も全員昏倒させたイコルは、ひとりでサムズアップした。
 これで、この場にいる難民たちが戦闘に巻き込まれることはないだろう。
「……あっ」
 そこでイコルは、何かに気付いたようだ。
「布団、しかなきゃ」
 アフターケアはきちんと考えるタイプだったらしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノーウォー・ノーライフ
殲禍炎剣の破壊……空の奪還か
例え達成出来たところで人間同士の争いが止まるとは思えんが……
まあ、いいか、どうでも
どうせ壊す夢だからな

難民に身をやつして難民キャンプに潜入する
遠い国から命からがら逃げてきたような、ボロボロで疲れ切ったような風を装おう
そうして自分の寝床を探すフリをして、難民キャンプや市街地の地理や様子を詳細に調べ上げる
キャバリアが侵入しやすい地形、公国軍の配置、交戦が予想されるポイント……

……人気の少ない場所も一応調べておくか
一般市民がどうなろうと知らんが、そこを気にする猟兵もいるだろう
友軍の動きが鈍くなっては敵わん、面倒くさいが仕方ないな



●壊れる夢
「…………」
 人と人との争いには、もう疲れた。
 そんなふうに話す難民たちの背中を、ノーウォー・ノーライフは虚無的な表情で見返していた。
(殲禍炎剣の破壊、そして空の奪還……たとえ達成出来たところで、人間同士の争いが止まるわけもなかろうに)
 この世界の人々が争う理由は、言ってしまえば生存競争のためである。
 通信網の分断と、環境の荒廃……プラントなくして自給自足が不可能な状況。
 仮に空の暴君が堕ち、通信網が復活出来るようになったとしても、テクノロジーの差は明らかに大きい。
 なにより各国の戦力の保有率と、支配率の問題がある。
 物理的・電子的な分断が終われば、次に始まるのは「どの国が覇権を握るか」という争い……だと、ノーウォーは考えていた。
「まあ、いいか」
 どうでもよさそうに呟いて、ノーウォーは歩き出した。
 彼は、難民や市民の感情に寄り添うことも、彼らの命に倫理的な価値を見出すこともない。
 任務を果たし、戦いをいかに効率よく終わらせるか。そのことだけを考えていた。
 そもそもノーウォーは、彼らと同じ夢を見ることもないのだから。

 そんな彼の瞳は、他からすればいかにも「戦いに疲れ果てた者」の顔に見えたのだろう。
「なああんた、大変だったみたいだな」
 難民に身をやつして潜入した彼に、人の良さそうな男が話しかけた。
「…………ああ。遠い国で戦争が起きてな、命からがらここまで来れたんだ」
「そいつは難儀だな。けどもう心配はいらねえさ」
 人の良さそうな男はニカッと笑みを浮かべ、配給のパンを半分ちぎるとノーウォーに差し出した。その下には、一枚のメモが挟まっている。
「こいつでも食いな、兄ちゃん。寝床ならいいとこがある、そのメモの通りに行けば、雨風を凌いで寝れるはずだ」
「…………感謝するよ」
 ノーウォーは感情の希薄な声で言い、パンとメモを受け取った。

「……面倒だな」
 ノーウォーは道すがら、渡されたパンのかけらを適当な難民の子どもに放り投げてくれてやると、一言呟いた。
 求めてもいない優しさをかけられることは、実に面倒だ。
 ノーウォーの希薄化した心は、そんなことをされても何かを感じることはない。
 それでも、しがらみはついてまわる……それが実に面倒だった。
 彼のような人々を巻き込むかもしれないという不安よりも、もしも巻き込まれてしまった時の、お人好しな友軍たちの反応を思い浮かべて、ノーウォーは舌打ちした。
 いっそ敵も味方も、自分のようにマシーンのように戦えれば、こんな面倒もないだろうに。
 そんな益体もないことを考えながら、ノーウォーは人混みに姿を消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
何であれ。オブリビオンの跋扈を見逃す理由もない
正しく終わらせる道を整えようか

周囲の状況は『天光』で逐一把握
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

透化にて存在を隠し市街地に潜る
行動に伴う痕跡も『無現』にて否定し残さない
もし同様の行いをする者があれば確認し、同意があれば透化の対象としておく

主に外から見えない戦力などの確認と首謀者周りを探る
特に殲禍炎剣を討つと触れこんでいる兵器が、直接的にも国土を焼く道具となっている可能性を懸念
いずれにせよ使えなくする算段をつけるため現物を確認しておきたい
データなど残っていれば有り難いが

見付からねば『天光』にて走査して特定を図る

※アドリブ歓迎



●姿を隠し、潜る
「――あれが、例の兵器か」
 あらゆる知覚から隔絶されたアルトリウス・セレスタイトが見つけ出したのは、
 現代美術的なモニュメントめいた、巨大な「塔」だった。
 おそらくは展開式の機構があると見え、実際のサイズはさらに大きくなるはずだ。
 空に手を伸ばすかのような縦長のモニュメントの構造が何を意味しているのかは、奴らの最終目的がなんであるかを考えれば想像に難くない。
(大気圏を突破するレベルの巨大な砲塔……それで衛星を撃ち落とす、という算段なのだろうが)
 砲塔にはいくつものジェネレータが接続され、今も駆動実験を続けていた。
 首謀者であるジャンゴの姿は見えない。パレードに出ているか、あるいは軍備増強のために暗躍しているのか……。

 いずれにしても、アルトリウスが見てたしかなことがひとつあった。
 それはこの兵器が、仮に自壊してしまった場合、その被害範囲は市街地を飲み込んで余りある、ということだ。
(この場で破壊したいところだが、そこまでは望めんようだな)
 周囲には多数の警備と研究者がおり、ジェネレータは今も稼働している。
 物理的に破壊すれば自壊を早めるだけだろうし、分解などで無力化するには手が足りない。
 しかし、あれほど巨大な砲塔は、輸送することも不可能だろう。
(……正しく終わらせる道を整えるとしよう)
 アルトリウスは敵の戦力配置を確認したうえで、見つからないうちに姿を消した。
 国民にとっては希望の象徴というべき砲塔を、破壊する方法だけを考えて。

 あれは、この世界に本来あっていいものではない。
 たとえそれが、結果的に彼らに絶望を与えることになったとしても……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
公国軍の規模を調査します。
本当なら公的文書を確認したいんですが、ここでは叶いません。
聞き込みと立ち聞きでいきましょう。
喜んで教えてくれるんじゃないですか?
ああ、複数人から聞いて裏を取ります。この手の話って大体盛られるんで。

現地のキャバリアが噂より多いか少ないか。
少ないならどこかに伏兵がいると考えてよいでしょう。
まあ潜伏してる機体もそうなさそうですが。

だってこれは平和の為の式典ですよ。
晴れの日にこそこそやるのは民草に対して不誠実じゃありませんか。
武士と軍人はそういうところが愚かで大助かりです。

それでも念の為調べるのは職業病みたいなものですね。
オレはこういうところが愚かではないので。



●平和のための式典
「公国の軍隊は無敵さ! あの共和国の連中と戦っても、今なら勝てるはずだ。
 たしかにあの襲撃事件は災難だったがね。困難から成長したのさ、我らの国は」

「実を言うと、今の公国軍には他の国から流れ着いた傭兵どもが加わってるんだ。
 ほら、共和国のほうでクーデターがあっただろう?
 あれに加わろうとしたが叶わなかった連中が、こっちに来ているってわけさ」

「誰も彼もが目を背けてるが、現状の公国軍はいいことばかりじゃない。
 これまでなら出撃を許可されなかった若造も、戦力のうちに数えられててね。
 実際は軍の中は、見た目以上にスカスカなのさ。あれじゃあいずれ大変なことになるよ」

「……なるほど、ありがとうございました。感謝します」
 矢来・夕立は市民にそっけなく礼を言うと、その場を素早く離れた。
 彼の読みどおり、市民は夕立の質問にまったく疑うことなく答えてくれた。
 公国軍は、先の襲撃事件から勢力を拡大し続けていること。
 それは正式な軍人だけでなく、傭兵や新兵の登用によるものだということ。
 結果として、公国軍は質を落としているものの戦力は増強されていること……。
 どうやら見かけ以上に警備は多いらしい。そして、誰もが意気軒昂だ。
 個体として見れば戦力はさほどではないが、高い士気は戦局を覆しうる。
 例の「新兵器」とやらの存在も、見逃せないファクターになるだろう。

 夕立に……というより猟兵にとって好都合だったのは、伏兵や罠の類がほとんどないことだ。
 なにせこれは平和のための式典。ハレの日であり、戦意高揚のためのパレードだ。
 そんな華々しい式典でこそこそしていては、何のためのパレードかわからない。
(武士と軍人という人種は、こういうところで愚かで助かるな)
 つまり、夕立のような輩が裏工作をする隙がそこら中にある。
 こうして観光客のふりをして歩き回っていても、マークされない程度には。
(念の為、もう少しサンプルを採っておくか……)
 夕立は慢心することなく、別の兵士に取り入って情報を集めることにした。
 どんな烏合の衆が相手でも、夕立は油断することはない。
 生き延びるために染みついた職業病は、彼に妥協という怠慢を許さないのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネグル・ギュネス
偽造、迷彩、さらには動乱の最中こそ、潜入は容易い
まして疲れた人間は、視野が狭まるものだ

援助物資を運ぶトラックの運転手となり入り込む
お手伝い、ボランティアだよ、働き者だろ?

さらには印象をよくする為に、良く働き良く運び、良く労う
物資を配り、怪我をした人に薬や食料を渡しながら、話を聞く

他愛無い雑談から、情報を得て、励ますんだ

馴染むには、心の隙間に入り込んでしまうのが一番
「もう少しで争いは終わるんだ」
とな。…ああ、終わるよ、間違いなく

──良いツラの皮だろ?
正義だなんて、よくほざくもんだって
…悪いな、俺はお前達にとっての正義じゃないんだよ。極悪だ


未来を演算し、垣間見ながら、向けられるだろう視線を苦く思う



●偽りの希望、偽りの笑み
「よう兄ちゃん、もしかして援助物資を運びに来てくれたのかい?」
「ああ! よその国のおえらいさんが、あんたたちにってね」
 トラックの運転手に扮したネグル・ギュネスは、にこやかに微笑んだ。
 汚い身なりをした難民たちは、その言葉に手を叩いて喜ぶ。
「そりゃ助かる! このエリアは配給が遅れててね。着るものにも事欠いてるような有様だ。いやまったく、こんな世の中でもありがたい人がいるもんだねえ」
「……ああ、そうだな。運び出すのを手伝うよ、人手が要るだろう?」
「そこまでしてもらっていいのかい」
「もちろんだとも。よく言うじゃないか――困ったときはお互い様、ってな」
 ネグルはトラックを所定の位置に止めると、自ら率先して難民と交流した。
 様々な物資を荷台から運び出し、さらには配給の裏方作業まで手伝う。
 公国は勢いづいているとはいえ、難民すべてに手を差し伸べられるほどの余裕があるわけではない。
 肉体的、精神的に疲弊した人々にとって、ネグルの朗らかさは癒やしと成った。

「このあたりは病院……っていうと、まあ聞こえはいいんだけどな」
 案内役の難民がビニールシートをどかすと、そこは酸鼻な有様だった。
 様々な怪我人・病人が、寝台と呼ぶには粗雑すぎるベッドに横たわっている。
 野戦病院のほうがまだマシな光景といえよう。
「ひどいな……戦争なんてろくなもんじゃないと、こういうのを見るとひしひし感じるよ」
「同意見だね。それじゃああんたは薬を運んでやってくれるかい」
「ああ」
 ネグルはひとつひとつベッドを巡り、必要な医療品を渡していった。
 病人も怪我人も、ネグルに笑みを向けて感謝の言葉をノベル。
「ようやく薬が来てくれたのか……ははは、もう手遅れかもだけどな」
「何を言ってるんだ、これでよくなるさ。あんた、その顔からすると独り身じゃないだろう?」
「……よくわかるな。妻がいるよ。今の時間は市街地に働きに出てるはずだ」
 片足を片腕を怪我した男は、顔をうつむかせた。
「俺は兵士だったんだ。それが今じゃあこの有様、妻にも苦労をかけてる……」
「なに、治ったらたっぷりと礼を言えばいいさ。それにもう心配はない」
 ネグルは己を強いて笑みを作った。
「――もう少しで、争いは終わるんだ」
「ああ、そうだな! まったくジャンゴ少佐様様だよ!」
 ネグルは他愛ない雑談を続けながら、心のなかで思う。
(……我ながら、いい面の皮だ。その正義の軍人様を倒し、希望を摘み取りに来たってのに)
 だが、そうしなければ、彼らは皆災禍の炎に呑まれて死ぬだろう。
 同時にネグルの瞳は、己を痛罵し悲嘆にくれる人々の姿を演算してもいた。
 表向きは笑いながら、ネグルはその視線を、昏い未来を苦々しく思った。
 今はそうすることしか出来ない己の弱さに、やり場のない怒りを抱えて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アニエス・アルカンシェル
エミリアさんと(f30193)
【POW】判定
オブリビオンマシンが原因となればこの国もただ不幸だったと言うしかないですが……猟兵としての務めはしっかり果たしましょうか。
こうして他国に潜入するのも戦闘要員としてはなかなか新鮮ですが、気を引き締めていきましょう。

救援物資を配りつつ、話でも聞いてみましょうか。
狂熱に突き動かされているというなら、新兵器とやらも大々的に喧伝していることでしょう。
兵器の概要レベルだと兵士に聞く必要もありそうですが、
外観程度なら一般国民も把握しているのではないでしょうか。

調査を終えたらエミリアさんと合流しましょう。
情報の突き合わせと行動指針の決定を行います。


エミリア・ジェフティー
アニエスちゃん(f31989)と

居ますよね、空を取り戻すって気勢を上げてる国
…なんてアニエスちゃんと世間話をしてたのがこの前でしたっけ
とうとう関わる時が来ましたかぁ…ま、気楽にやりましょうか

それじゃ、手分けして市街地で情報収集
敵の配備状況に主力機、後は市街地の大まかな地形と…それから新兵器についての情報ね
噂話とかでもいいから片っ端から記録しましょう

郊外で落ち合って、エクストラガレージ展開
集めた情報をセシャートに入力して、オウルアイに作戦プランと新兵器の類推の演算をさせます
ほら、アニエスちゃんも入って入って
他国の人には普通見せないんですけど、共闘相手に手の内全部隠してるのは不誠実ですからね



●新兵器の噂
「砲塔、ですか」
「そうさ」
 首を傾げるアニエス・アルカンシェルに、恰幅のいい男は早口で語る。
「バカデカい砲台にいくつもの動力源を繋げて、殲禍炎剣まで届くほどの砲撃を飛ばす。まあやることはシンプルだが、今まで机上の空論だとされた技術がようやく可能となった、って話だぜ」
「……なるほど」
 噂の新兵器そのものは、パレードの列に加わっていない。
 聞いたところによると、一度設置したらもう動かすことが出来ないような代物らしく、現在進行形で組み立ての真っ最中なのだという。
 問題の新兵器――「砲塔」とだけ呼称されている――は、もっとも警備が厳重な、公国市街地の中心部に安置されているようだ。
「じき、組み立てが進めば、難民キャンプぐらい離れたところでも見えてくるんじゃないか? 楽しみだなあ!」
「そうですね。まあ、無事に発射できれば、の話ですが」
「え? そりゃどういう……」
「いえ、なんでもありません。では、失礼しますね」
 きょとんとした男を放っておき、アニエスはその場を離れた。

 同じ頃、エミリア・ジェフティーは敵の戦力に関わる情報を集めていた。
「知ってるか? ジャンゴ少佐のキャバリアは、新兵器とシンクロした特殊なマシンらしいって話」
「それは初耳ですね。もう少し詳しく教えてもらっても?」
 酒の入っているらしい兵士は、饒舌に語る。
「どういう原理かは知らないが……少佐殿のキャバリアは、殲禍炎剣がどこにあるのかを探知できるらしい。それどころかハッキング出来るとかなんとか……」
「……それは恐ろしい話ですね。撃ち落とすどころかコントロール可能なのでは?」
「ははは、そうなったら公国が世界最強だな!」
 笑い飛ばす兵士に対し、エミリアの表情は深刻なものだった。
(オブリビオンマシンの能力? あるいは、殲禍炎剣のコントロールを試みた国家の忘れ形見……? 少しデータベースを調べてみる必要がありますね)
 空の暴君たる殲禍炎剣を、あえて制御しようと試みた国家がないわけではない。
 しかしそれらは皆、蛮行の代償を自国の焼滅という形で支払ってきた。
 ジャンゴの乗るキャバリアが同系列のものであったとするならば……。
 噂の新兵器とやらも、ただ殲禍炎剣を破壊するためのものとは思えなくなってくる。

 ともあれ情報を集めたふたりは市街地の郊外で予定通り落ち合った。
「臨時格納庫、展開っと。ほら、アニエスちゃんも入って入って」
「……はい。失礼します」
 小さな念動球に触れると、ふたりは球体に吸い込まれるように姿を消した。
 ユーベルコードの力で構築された内部空間は、設備の整ったキャバリア格納庫だ。
 ハンガーには、エミリアの乗機であるキャバリア「セシャート」が鎮座している。
「セシャートのコクピットにご案内しますよ。データの入力も必要ですし」
「それはありがたいのですが……いいのでしょうか?」
 アニエスは首を傾げる。キャバリアの操縦系など、トップシークレットもいいところ。
 同じ国の人間でもない自分に、そこまで見せていいのか、と気になったようだ。
 するとエミリアはにこりと笑い、こう答えた。
「もちろん、普通は見せませんよ。手の内を晒すも同然ですからね」
「では、どうして……」
「教頭相手に手の内を隠しているのは不誠実じゃないですか?
 少なくとも私はそう思います。一蓮托生になるんですから、開示できるものは開示しますよ。私のためにも」
「なるほど。それは……たしかに、そうですね」
 アニエスは納得した様子でうなずく。
「エミリアさんの信頼に応えられるように、私も努力します。この国ごと焼かれておしまい、なんてことがないように」
「そうしてもらえると助かります。それじゃあまずは、情報の突き合わせをしましょうか」
「はい。私が調べたところ、新兵器は高高度への攻撃を行う巨大な砲台のようで……」
 生まれも立場も異なる少女たちは、来たる戦いへの準備を始めた。
 生き延びるためには、信頼できる仲間は必要不可欠なものである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルナスル・アミューレンス
僕ら猟兵は、こうやって先が見えて、9の為に1を切れるけどさぁ。
彼らにとっちゃ、あれが10の希望なんだよねぇ。
いやぁ、ままならないねぇ。

――嗚呼、ここの空も灰色かぁ。


【POW】
まぁ、世界は違えど物資を運ぶのは奪還者のお仕事だねぇ。
それに、物資の運搬ならそれ用の経路もあるだろうし、道も探りやすいだろうし。

生活に必要なモノは当然として、やっぱ娯楽系に嗜好品かなぁ。
お菓子に酒に煙草に……一通り持っていこうかぁ。
多少警戒が解ければ、その分後がやりやすいからねぇ。


中に入れば如何様にも破壊工作は出来るしねぇ。
置かれてるだけのキャバリアとか兵器があれば、纏めて『侵食(キエテ)』もらっちゃおうかな。



●灰色の空の下
 猟兵は、グリモアという神秘によって未来を垣間見ることができる。
 この希望が偽りのものであり、オブリビオンマシンの陰謀であることを知っている。
 偽りの希望がもたらす絶望と、それを避ける術を知っている。

 だが、人々はそうではない。
「いやぁ、ままならないねぇ……」
 アルナスル・アミューレンスは灰色の空を見上げ、マスクの下で嘆息した。
 希望すら見いだせない荒れ果てた故郷の空と、
 偽りの希望にすがるしかない、この世界の枯れた空。
 どちらがマシなのか考えて、比べるだけ無駄だという結論に至った。
 どちらもまともなものではない……自分にとっても、人々にとっても。

「どうしたんだい空を見上げて。雨でも降るって?」
「ああ、いやぁ……ようやくこの空が自由になるんだなあと思ってね」
 アルナスルは適当にごまかし、難民に煙草をくれてやった。
「おじさん吸うでしょ? これ、僕からの差し入れね」
「ははっ、ありがたいね! あんた、子どもたちに菓子をやったりしてただろ?」
「うん、やっぱりこういうときに欲しいのは、娯楽とか嗜好品かなってねぇ。
 せっかく市街地でパレードやってるんだから、こっちもお祝いしたいでしょ?」
「わかる、わかる。助かるよ、本当に。あんたはいい人だなあ」
「……そりゃあどうも。まあこういう奪還者(しごと)、だからね」
 アルナスルは難民の男の言葉に、ひらひらと手を振った。
(いい人ってのは、ちょっと違うかもしれないけどねぇ)
 なにせ自分たちは、彼らの希望を根こそぎ刈り取ることになるのだ。
 たとえそれが、破滅の前触れたる偽りの希望であれ、彼らにとっては真実。
「……嗚呼。ここの空も、灰色かぁ」
 アルナスルは枯れた空を見上げて、しばし佇んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
そりゃま、空に蓋されて散々人間同士で争ってきたんだしいい加減嫌にもなるわよねぇ。実際空の奪還できれば万々歳だし。
…まあ、「100%不可能」ってのが玉に瑕なワケだけど。

●忙殺で天狗の隠れ蓑に○早着替え、ラグ(幻影)と摩利支天印(陽炎)で〇迷彩かけて目立たないように潜入しましょうか。大々的にパレードやって堂々と戦力置いてるわけだし、〇情報収集自体は楽かしらねぇ。
後は本番に向けて色々〇破壊工作しておきましょうか。煙幕なり閃光弾なり遠隔起爆できるようにしとけば陽動くらいにはなるでしょ。

…そりゃまあ、事情が事情だし仕方ないコトではあるんだけど。
ホント、やってることはテロリストと変わんないわねぇ、コレ。



●思想なきテロル
 煙幕、閃光弾、あるいはワイヤートラップ。
 市街地だからこそ使えるトラップというのは、いくらでもある。
 パレードで浮ついた空気のなか、ティオレンシア・シーディアは目立たないようにルーンと印の力を使い、あちこちにトラップを仕掛けて回った。
 実にやりやすい仕事だ。まあ、公国軍の戦力もかなりのもののようだが……。
「事情が事情とはいえ、これ完全にテロリストと変わらないわねぇ」
 思想も信条も特にない破壊工作なぶん、そこらのテロリストより厄介かもしれない。
 とはいえ、やめる選択肢はない……国土がまるごと焼け野原など冗談にもならない惨劇だ。
 ともすれば重犯罪者として後ろ指を差されかねない仕事だが、ティオレンシアにとっては慣れたことだった。

 トラップを敷設し終えたティオレンシアは、敵戦力の概要を掴むために情報収集に移る。
 新兵器が準備されているという市街地中心部への侵入は困難だったが、
 そこを除けば警備はザルもいいところ。ほとんど顔パスで行き来が出来た。
(空に蓋されて散々人間同士で争ってきたんですもの、それがようやく終わるってなれば、これだけ盛り上がるのも無理はないわねぇ)
 ティオレンシアが市街地の大通りに目をやると、軍部のキャバリアを載せたトレーラーが勇ましい軍歌を流しながら道路を走るのが見える。
 大通りに並んだ人々は紙吹雪を投げたり公国のエンブレムが印刷された旗を振って、我らの国を……いや、世界を救う勇敢な戦士たちのマシンを称えていた。
 空には低速で浮かぶ飛空船がいくつも見える。ずいぶんと挑戦的なことだ。
(……実際、空の奪還ができれば万々歳よね。"できれば"だけど)
 そう、「空の自由を取り戻す」という目的自体は間違っていない。
 いやむしろ、人類の悲願、いずれ猟兵が達成すべきクエストとも言えた。

 しかしそれは、今ではない。
 ましてや、オブリビオンマシンが叶えることでもないだろう。
 性急に過ぎる偽りの希望の息の根を確実に止めるため、ティオレンシアは人混みに紛れて闇を進んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

遠桜・星黎凪
クロムキャバリア世界の人にとって、自由な空は憧れですからね…
でも、殲禍炎剣からの反撃で國が滅びるのを見過ごす訳にはいきませんから
心苦しいですが、諦めてもらうしかないんですよね

それに猟兵なら、きっといつか、殲禍炎剣をどうにかできますよね…?

ともかく難民キャンプに潜入です
難民に扮すれば入れますかね?
必要なら年相応の子どもっぽく振る舞いますよ

不審に思われない程度に新兵器とか市街地について周りに訊いて調べますね



●今は夢物語でも
 難民の子どもに扮した遠桜・星黎凪は、誰にも警戒されることなくキャンプに入り込むことが出来た。
 猟兵はその姿形で違和感を持たれることがない……というのに加え、星黎凪自身がまだたった11歳の少女であるということ。
 そして彼女は、このクロムキャバリアで育ったアンサーヒューマンであるがゆえに、どうすれば違和感なく溶け込めるかをよく知っていた。
 そんな星黎凪が、まさかこの国の希望を叩き潰そうとしている不穏分子だとは、疲れ果てた難民たちも夢には思わなかったようである。

 ……そう、難民たちは疲れていた。
 先のプラント制圧事件から続いた、共和国での数多くの戦い。
 そしてそれに伴う周辺国の小競り合いは、この地域の小国家全体を疲弊させていた。
 すでに滅んだ国もいくつかあり、難民の多くはそうした亡国から逃げ出したものばかりである。
 誰もが疲れていた。それゆえに、空を取り戻すという希望にすがりついていた。
(……こんな光景は、きっとどの国でおありふれたものなんでしょうね)
 星黎凪はそんな疲れた人々の顔を見ながら、表情に出さないようにしつつも嘆息した。
 空を取り戻す。自由に空を行き来する――それはまさしく、人類の夢。
 世界がこんなふうに成り果てた最大の原因であり、真の平和を手にするための第一歩。
 それを、自分たちはこれから打ち砕く……もともと成功しないものであれ。
(今は、そうするしかありません。けど……)
 不可能を可能とする猟兵ならば。
 いつかは、本当に空を取り戻すことが出来るのではないか。
 星黎凪はそう思った……いや、信じるしかなかった。
 それが、人々の希望を打ち砕くことになる、自分たちの責務だと、星黎凪は心のなかで静かに誓った――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリジ・グッドウィン
相手方の失策とはいえ「殲禍炎剣を撃ち倒し仲間の敵をも取る」っていうシチュエーションにヒトは釣られるものだからな。
膨れ上がる人口から成る騒動の抑止にも一役買ってるし
オブリビオンマシンに狂わされたとはいえ一人の英雄を仕立てあげ希望を運ぶ、だが最終的に呼び込むのは炎。
……ま、オレ自身には何も関係ないが


生憎と慰問に相応しい芸事はないし、援助物資を運んだり力仕事に従事し現地の奴等から情報を仕入れ目立たずに入り込むルートを模索

残念ながら笑顔は持ち合わせてないんで愛想良くは無理だが。まあそういう押し付けられた感情だけが必要ってわけでもないしな



●人々の求める英雄
「おい、この荷物はD地区に運べばいいんだよな?」
「ああそうだよ、手伝ってもらって悪いな。あんた新入りかい」
「……まあそんなとこだな。色々あって、住処が焼けちまってよ」
 キリジ・グッドウィンは荷物を積み上げ、監督役の男の雑談に無愛想に応えた。
 もちろん、キリジの言ってることは嘘八百だ。難民に馴染むための詭弁である。
 慰問に相応しい芸のひとつでもあればよかったのだが、あいにくキリジにそんな洒落たことは出来ない。
 だからこうして、力仕事に従事し、同じ立場であるように振る舞う。
 地道な作戦ではあったが、これがキリジの思った以上に功を奏した。
「そいつは大変だったな……けどまあ、ここなら仕事もあるし配給もある。
 あんたがやる気なら、市街地で職が得られるかもしれんぞ。好景気だからな!」
「そりゃなによりだ」
 このクロムキャバリアで、景気のいい国家なんてものはほとんど存在しない。
 あるとすれば、どこかの国との戦争に大勝し物資を奪い取った国家ぐらいだ。
 あらゆる物資をプラントに依存した小国家に、余裕などないのだから。

 市街地のほうを見れば、騒がしいパレードの音がここまで聞こえてきた。
「ひとりの英雄を仕立て上げ、希望を運ぶ……か」
「ん? なんか言ったかい?」
「いいや。荷物は運び終えたんで、休憩に入らせてもらうぜ」
 キリジは監督役との会話を早々に切り上げた。
(だが、最終的に呼び込むのは炎……ま、オレ自身には何も関係がない)
 難民キャンプの中を歩けば、そこかしこで目につくのは疲れ果てた人々の乾いた瞳だ。
 キリジが、そうした人々を憐れむことはない。寄り添うこともない。
 ……ただ、だからといって、意味もなく焼かれるのをよしとするほど、キリジは冷血漢でもなかった。
(英雄なき混迷した世界と、偽りの英雄のもとにまとまる人々。マシなのはどっちなのかね)
 答えのない考えを頭の中で巡らせながら、キリジはしばし難民キャンプの中をさまよい続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

斑星・夜
 人間同士で争う事に疲れた、かぁ
 外の人間の俺が何か言うのはあれだけど……うん、気持ちは少し分かるかな
 命の危険がなくて、ぼうっと空を見上げて、ただただ平穏に過ごせるのは幸せな事だもの
 ……ごめんね

 とにかく、まずは潜入だね
 難民キャンプから市街地へのルート、了解

 怪我人がいるかもしれないから、UCで歌ってそっと治癒しつつ
 不自然にならない程度の会話(※コミュ力)をして『情報収集』しながら市街地へ向かいます
 
 新兵器に不安を感じている人には、少し詳しく話を聞きます
 もし成功しなかったら、どこへ逃げたら良いかな、とか
 場所を事前に知っていれば、そちら方面に被害がいかないように戦えるかもしれない。



●平穏という幸せ
「今日も、空に星が見えるかな――」
 斑星・夜は壊れかけた椅子に背中を預け、誰にとっても懐かしい旋律を口ずさんだ。
 彼の歌声が持つ魔力のせいか、あるいは娯楽というものに飢えた難民たちの性か。
 はじめはがらんとしていた夜の周りにも、多くの難民が集まってくる。
 市街地から聞こえてくる、勇ましい軍歌とも違う。
 失った故郷を偲んで、涙ぐみながら歌われる唄とも違う。
 ありきたりな日常を象徴するような、他愛もない歌声に、人々は静かに耳を傾けていた。

「おお……なんだか、兄ちゃんの詩を聞いていたら身体が楽になってきたよ」
 夜がひとしきり歌い終わると、あちこちに包帯を巻いた老人が笑みをほころばせた。
「そう? それはなにより。評判なんだよね、俺の歌」
 もちろんこれは老人の思い込みなどではなく、夜の歌声が持つ力だ。
 白い星の光は、傷や病を癒やす。身体の傷も、心の傷も。
「お兄さん見ない顔だね、もしかして市街地に行きたいのかい?」
「ああ、うん。ほら、今は兵隊さんも大々的に兵士を募集してるんでしょ?
 この国は景気がいいみたいだからさ、どこかで働けたらいいな、みたいなね」
「それならいくらでも働き口はあると思うよ。市街地行きのバスも出てる」
「ほんと? それってどこから乗れるのかな?」
 などと不自然でない会話をしつつ、夜は歩き始めた。
 案内を買って出た難民たちと、他愛ない会話を続ける。
「……それにしても、そんなに市街地に入るのが簡単なら、どうしてみんなはこのキャンプに居るの?」
 という夜の問いに、ある青年が答えた。
「不安なんだよなあ」
「不安?」
「もしかしたらこの国も、俺のいた国と同じように戦火に塗れるんじゃないか、ってね。例の新兵器の作戦とやらも、成功するとは限らんしさ」
「……そうだねぇ。ならもし、失敗したら、お兄さんはどこに逃げる?」
「ははは……シェルターでもありゃそこに駆け込むんだけどな。噂じゃ放棄された地下施設があるとか聞くけど、俺は見たことがないよ」
 難民の青年は力なく笑った。
「だから、ダメだったらこの国からも逃げるさ」
「そのあとはどうするの?」
「……さあね。俺が知りたいくらいだよ」
 その言葉に、夜は顔を顰めた。
(……ごめんね。俺たちはこれから、この国をめちゃくちゃにすることになるんだ)
 そんなことを、言葉にするような度胸は、夜にはなかった。

 夜は思う。
 誰もが安心して、戦いに怯えることなく、空を見上げられたらいいのにと。
 ただただ平穏に過ごすという幸せは、この世界ではまだまだ遠い先の話だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メレディア・クラックロック
ねぇねぇ、もしかしてキミ達もパレード見に来たの?
すっごいよねぇ。自信満々で格好いいし。
こうなると例の新兵器ってのも期待しちゃう。
…でもさ、ここからだと見えにくくない?
人が減ることなんて絶対ないよ。みんな少佐を一目でも見たいもん。
それにキャバリアって大きいからねー。全景を見たいならむしろ遠い方が見やすいと思わない?
ふふ、ちょっと興味惹かれたでしょ?
ボク穴場知ってるから案内してあげる!こっちだよ!

……よし、一般人の引き離しはこんなもんかな。
世論に流されてるだけの人は生かしておいた方が後々の国家の為だもんね。
それに証人は多い方がいい。
第二、第三の“英雄”が二度と空を目指せないように。



●英雄という虚構
「兄ちゃ~ん、ぜんぜん見えないよ~。肩車してよ~」
「うっさいなあ、我慢してろって!」
 ……と、壊れたフェンスの近くで、難民と思しききょうだいが話していた。
 きっとパレードを一目見たくて、キャンプを離れてここまで来たのだろう。

「ねぇねぇ、もしかしてキミたちもパレードを見に来たの?」
「「えっ?」」
 そんなきょうだいに、メレディア・クラックロックがにこやかに話しかけた。
「すっごいよねぇ、あのキャバリア。自信満々で格好いいし!」
「う、うん……おねえさんも、パレード見に来たの?」
「ボク? ボクはお仕事かな~。本当は例の新兵器っていうのも見たかったんだ」
「それは無理だぜ! だって「しんへーき」は、市街地のもっともっとど真ん中で組み立て中だって話だからな」
「……ふうん、そうなんだ。それは残念だねぇ」
 メレディアは兄の言葉ににこやかに頷きつつ、こう言った。
「ところでさ、ふたりが一番見たいのは、やっぱりジャンゴ少佐かな?」
 きょうだいはぶんぶんと首を縦に振る。
「でも兄ちゃんが意地悪してて……」
「だから、意地悪とかじゃねーよ! 見えないんだから仕方ないだろ!」
「うーん、わかるわかる。みんな見たいのは一緒だし、人は減らないと思うよ。
 それにキャバリアって大きいからさ、どうせなら遠くから見たほうがかっこよくない?」
 メレディアの言葉に、きょうだいは顔を見合わせた。
「ふふ、興味を惹かれた? ……実はね、ボクいい穴場を知ってるんだ」
「「穴場!?」」
「そう、こっちだよ。特別に教えてあげる。ついでおいで!」
 メレディアがそう言って駆け出せば、ふたりは否応なしにあとに続いた。
 人類を救う英雄の姿を見たいのは、誰もが同じだからだ。

 だがこれは、メレディアが一般市民を引き離すためのウソである。
 市街地を見渡せるスポット……というのは真実だが。
 彼女は証人を求めていた。英雄が堕落するその時を、その眼で目の当たりにする証人を。
(第二、第三の"英雄"が、二度と空を目指せないように――人々は、見届けなきゃいけないんだ)
 それは、ジャーナリストとしての矜持といってもよかった。
 たとえその真実が、人々にとってどれほど残酷であったとしても。
 メレディアは、偽りなく真実を伝えることをこそ尊び、己を貫くのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クラリス・クレスト
空を想う気持ち、わからなくはないよ
「あの空を自由に飛んでみたい」って……その夢が仕組まれたものだと知って
それでもボクはあの空が好きだと思うから
だからこそ、それを利用するのは許せない

難民キャンプから来た子供を装って歩くよ
上着のフードを被って、背中が見えないように
立派な工作員みたいなことはできないけど
普段から仕事で色んな国家に出向いてる
足で稼ぐのは得意だよ
地図と見比べながら、市街地の地形や高低差を把握
どこにどれくらい兵が配備されてるかは
キャバリアがいくつで、生身の兵士がどれくらいか
どんな武装を装備してるか……あたりまで見ておくよ

空を取り戻す、か
「私」のそれは、熱狂というよりは
妄執、って感じだけどね



●妄執と夢想
 己の夢だと思っていたものは、仕組まれたものであり、妄執だった。
 しかしそれを知った今でも、クラリス・クレストは空への想いを抱いている。
「私」の妄執(ゆめ)は関係ない――彼女自身が、空を愛しているのだ。
 だからこそ、それを利用しようとするオブリビオンマシンは、許せなかった。

 クラリスはフードを被り、難民キャンプの来たばかりの子どものふりをして、市街地がどんな場所か、公国軍にはどんなキャバリアがあるのか、そういった情報を集めていた。
 普通であれば、そのふるまいはスパイとして目に留まったかもしれない。
 しかし彼女程度の年齢のやること、大人たちにとっては「軍部に憧れる子どもの遊び」ぐらいにしか捉えられなかったようだ。
 命を奪うキャバリアという兵器も、戦場に立たない人間にとってはおもちゃに似た「カッコいいモノ」でしかない――大人たちは、クラリスがそういう無邪気な子どもだと思いこんでいたのだろう。
 よもや、そのキャバリアに乗り込み、命を奪い合う兵士という立場であることなど、夢にも思わなかった。

「……このエリアは、警備が重点的。攻め込むにはそぐわないかな」
 クラリスは手製の地図にペンで警備情報を書き込み、しばし考え込んだ。
 兵士としての直感と経験は、どこをどう攻めるべきかを教えてくれる。
 そこに加えて、出来るだけ市民を巻き込まないように戦う……となると、
 採れる手段はどんどん少なくなっていく。簡単な仕事ではない。

 けれども。
「空を取り戻せるかもしれないと思わされて、戦火に巻き込まれて死んでしまうなんて……そんなのは、よくないよね」
 オブリビオンマシンへの怒りと同時に、クラリスは人々への憐憫も抱いていた。
 彼らが誰かの国を、土地を、大事な何かを奪ったというのならば、裁きを受けるべきかもしれない。
 しかし市民の大部分は罪なき人々で、何より己はそれを裁けるほど偉い立場でもない。
 この戦いでは、決して無辜の犠牲を出すことなく、敵だけを狙い撃つ。
 クラリスは、改めてその決意を固め、そびえ立つビル群を見上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儚・ソラ
※十拳・一二三(f31985)と
※アドリブ歓迎

二人で難民支援に混じって、敵戦力や国民の熱狂度を推し量りたいです。
「計画を挫いた後の国民感情を思うと心苦しいですね」

難民の方々から同意を得られるような話題を広げます。
「殲禍炎剣は誰にとっても忌々しいものですよね。うちの社長も"あまねく世界に栄光を。世界に降り注がれるべきは、聖杯を僭称する愚者からの災禍ではない。私による栄光という祝福であるべきだ"と常々語っています」
(もっとも、社長の言葉の傲慢さには不快に思っている)

「一二三さんはよくそこまで口が回る……嘘でしょう!?」
一見ふざけたようなナンパに呆れますが、それで情報を入手してくるのに驚きます。


十拳・一二三
※儚・ソラ(f30723)と
※アドリブ歓迎
基本チャラいあんちゃん

難民支援の炊き出しに潜入
情報収集が目的
未亡人風の美人に料理を差し出しながら
「ねぇねぇおねーさん。今回の作戦どう思う?成功してくれたら嬉しいよねぇ」「そろそろ一区切りつきそうだからさ、おしゃべりしよーよ」
ナンパに話しかけます。まずは警戒を解く

「親父も参加者なんだけどさ、詳しい作戦計画とか『機密情報だ』って教えてくんないんだよねぇ。俺も戦力になりたいのにひっでーよな!おねーさん詳しい人知らない?」
もちろん嘘。父親はとっくに死んでいる。純朴なナンパ青年を装う

運良く高官の元愛人口説けたらいいな

「いいネタ教えてもらったぜソラっち!」



●言葉を手繰る
 現在のグロンデール公国はかつてない好景気にあり、難民支援も手厚い。
 事実、難民の中で手に職を持つ人々は、他国では考えられないほどの比率で働き口を見つけ、市街地で暮らせるようになった難民も少なくないのだ。
 現在もキャンプに出入りしているのは、職を逃したか、傷病のせいでキャンプから動けないものか、あるいはそういった理由のある難民の近親者か……自らの意思でキャンプに残っているか、そのどれかである。
 ともあれ、そうした人々にも、公国や近隣国の資産家は支援を惜しまなかった。
 それもこれも、空を取り戻せるという希望が明るい未来を約束しているからだろう――。

 今日何度目かの炊き出しに紛れ、儚・ソラと十拳・一二三は国民や難民たちがどの程度熱狂しているか……を、己の耳と目で確かめることにした。
「……すごい活気ですね。他の国ではこうもいかないでしょう」
 その結果わかったのは、誰もが笑顔で明るく、目を輝かせていること。
 戦勝国によく見られるような、一時しのぎの高揚とは違う。
 もうこれで、クロムキャバリアという世界の閉塞はきっと打ち破られる。
 そんな展望に胸躍らせる、喜びに満ちた活気だった。
「そりゃあまあ、通信網が復活できれば小国家同士の争いも激減するだろうしねぇ。
 もっとも仮に殲禍炎剣を落とせても、戦争そのものはなくならないだろうけど」
 一二三は肩をすくめた。
「そうでしょうか?」
「だって、世界が元通りになったって、プラントに依存した国家形態が変わるわけじゃないだろう? となれば、資源の奪い合いはなくならないわけがない。
 空を取り戻したら、次に始まるのは「どの国が世界の覇権を握るか」って争いだよ」
「……考えてみると、大地に草木が根付くようになるわけでもないですしね」
 ソラはどこぞの社長の傲慢な物言いを思い出し、顔を顰めた。
 ああいう支配者然とした連中が、空の暴君という縛りから解き放たれて争い合うのだと考えれば、一二三の考えを悲観的と言えそうにもなかった。
「まあ、そうだとしても……計画をくじいたあとの国民感情を思うと心苦しいですね」
「そのためには情報を集めないとだけど、ね。んじゃ手分けするとしよっか」
「はい。では、またのちほど」
 ふたりは目配せしてうなずきあい、ごくごく自然に人の波に溶け込んだ。

 一二三が目指したのは、炊き出しに紛れ込んでの情報収集だ。
 しかも相手は女性……彼の得意の話術を生かした最適な作戦ではあるのだが。
「ねぇねぇおねーさん、今回の作戦どう思う?」
「えっ? どう……って?」
 いかにも未亡人めいた風貌の女性に狙いを定めると、一二三は配給の料理を差し出しつつ人懐っこく笑った。
「成功してくれたら嬉しいよねぇ、って。おねーさんはどうかなぁ?」
「まあ……そうね。でも戦いが終わっても、私の夫は帰ってこないもの……」
「ああ、旦那さんは兵士だったのかな? その話聞かせてよ、そろそろ一区切りつきそうだからさ」
 一二三は警戒を解きほぐす話術でまくし立て、未亡人の心にうまく入り込んだ。
「実は俺の親父も参加者なんだけどさ、詳しい作戦計画とか『機密情報だ』って教えてくんないんだよねぇ。俺も戦力になりたいのにひっでーよな!」
「……戦場なんか行くものじゃないわよ。ろくなことにならないもの」
「でも、国のために働けるならいいことじゃん?」
「私の夫も、そう言って……結局、帰ってこなかったから」
 その言葉に一二三は頬杖を突き、女性に言った。
「俺はそんなことにならないよぉ。だからさ、おねーさん詳しい人とか知らない?」
「……」
「大丈夫だって! 別にどっかの国と戦争するわけじゃねーんだからさ! ね!」
「……そうね。この作戦が成功すれば、あの人も報われるのかな……」
 女性は遠い目をし、そして、語り始めた……。

 一方ソラは、難民たちにこんなメッセージで語りかけた。
「殲禍炎剣は誰にとっても忌々しいものですよね。
 うちの社長も、"あまねく世界に栄光を。世界に降り注がれるべきは、聖杯を僭称する愚者からの災禍ではない。私による栄光という祝福であるべきだ"……と、常々語っています」
「そりゃまた大層な考えを持った方だねぇ。俺にゃよくわからんが」
「いや、だが素晴らしいお考えだぜ! これからの世界ってのは、そういう人に導かれるべきなんだよ!」
 難民たちの中にも様々な考えの持ち主がいるようで、場はいつになく騒然とした。
 そんな彼らの様子に、ソラはにこやかな表情を保ちつつ、内心では不快さに呻いた。
(僕としては、そんな世界は今以上に勘弁願いたいですけどね……)
「ジャンゴ少佐殿がこの国のリーダーになってくれたら、きっと安泰だよなぁ」
「……そういえば、実は僕は少佐殿については詳しくないものでして。よければ、どんな人なのか教えていただいても?」
「ん? ああ、そりゃ構わないよ。あの方は実直な人でね、殲禍炎剣の被害に遭いながらも生き延びて、あれをどうにかしなきゃいけねえって考えをお持ちになられた方なんだ。それで……」
 おそらく元兵士と思しき難民のもたらした情報に、ソラは聞き逃さないように注意深く耳を傾けた。
 そうして集めた情報が、これからの戦闘を有利に進ませてくれるはずだ。情報なくして、堅固で知られる公国軍を被害なしに突破することは出来ないゆえに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイオライト・セプテンバー
近頃増えたわね、この手合いが
この世界に住む人々なら、誰もが多かれ少なかれ抱いているであろう気持ち
あの破壊の光のない空を取り戻すという、当然の憧れ

私も、ずっとずっと、それを夢見て戦ってきた
だからこそ……その夢を、オブリビオンマシンの狂気に歪められることだけは、許せない

とにかく、まずは難民キャンプに潜り込まないとね
それはそれとして……料理、料理ね
料理する機会があれば手を抜くわけにはいかないわね
戦いも真面目にやるけど私にとってラーメンは、空を取り戻すのと同じくらい真剣な戦いなのでね

封神武侠界まで出向いて編み出した
この特性の【濃厚豚骨醤油黄金ラーメン】で、まずは人々の舌を悦ばせるとしましょう!!!!!


御門・白
「殲禍炎剣」が狂って百年。
人類が空を諦めるには充分すぎる時間。
それでも、諦めきれないという希望。
それを操作し滅びと為す企みを許容するわけには……いきませんね

キャンプに潜り込んでいざというときのための情報収集に当たりましょう
キャンプの配置、全員避難が必要になった際に採るべき経路
ついでに市街地の見取り図なんかが手に入れば御の字だけれど

あとは……難民のキャンプ、などというものから完全に軍が目を離しているとも思えません
見張りや巡回などもあるでしょう
……もしも普段とは違う動きをするなら、それは時が近いということ
見落とすわけにはいきませんね

事を起こせばきっと憎まれるでしょうね
でも……そういうの慣れてるから


嗣條・マリア
自社から援助として送るチョコレートやレトルト食品等、援助物資を運ぶ車両に同乗して乗り入れ、難民キャンプへ
到着後は自分も物資の配給を手伝います

これから、彼らの希望を砕くのですから、この目で見ておくのが筋です
……これぐらいはせめて、実利があってもいいでしょうし


自分の作って、売った武器がこの状況を産んだ要因の一つかもしれない
そう思うと心が痛まないわけではありませんが――

私も、想いは同じです。空、宇宙を取り戻す
だから――ごめんなさい

私はみなさんのそれ事、跳んでいきますから
跳んで、その先で確実に敵の首元へ届かせる
……そのためなら、どんな業も背負って行きます



●学園生たちの憂鬱
「配給はこちらです、数はありますから、順番を守ってくださいね」
 嗜好品の配給に自ら混ざって従事する嗣條・マリア。
 それは彼女なりの一種の罪滅ぼしでもあり、同時に難民たちに溶け込むための作戦でもあった。
「ひとつ、いただけますか」
「私もほしいわね。どうせなら甘いチョコレートがいいわ」
「ええ、どうぞ……って、アナタたちは」
 そんなマリアのところにひょっこりと顔を出したのは、同じ私立新世界学園の仲間である、アイオライト・セプテンバーと御門・白だった。
「……これは難民の方々のための配給です。アナタたちは自前でいくらでも確保出来るでしょう? 買い物なら市街地に行けばいいではないですか」
「まあまあ、ちょっとしたジョークよ。ねぇ?」
「もらえるならもらいたかったのは、本当ですけれどね」
「だから、あげませんよ……ほら、配給の邪魔になるから脇に退いてください」
 マリアはふたりを列から遠ざける。が、アイオライトが妙なことを言い出した。
「待って、実は私、ここで自前の配給をするつもりで来たのよ」
「は? 一体何を配るつもりで……」
「ラーメンよ!!」
「「ラーメン」」
 ジャキン! なぜか中華鍋を取り出すアイオライト!
「封神武侠界まで出向いて編み出した、この濃厚豚骨醤油黄金ラーメンで、みんなの傷ついた心を癒やしてあげるのよ!!!!!」
「……はぁ、勝手にやってください。我が社の配給の邪魔にならないならなんでも」
「それ、一杯いただけますか」
「食べるんですかアナタ!?」
 案外、見かけ以上に食い意地の張っているらしい白だった。
 なお、アイオライトのラーメンも、娯楽に飢えた難民たちには大いに好評を博したという。

 ともあれ、そうして配給は一通り終わり。
「なんだか妙に疲れました……ところでアナタたち、情報収集は?」
 とマリアが言うと、アイオライトが手をぽん、と叩いた。
「ラーメンを作るのに精一杯でさっぱり忘れてたわ、それ」
「……アナタ、真面目にやる気あります?」
「何を言っているのよ!!!」
 呆れた顔のマリアに食って掛かるアイオライト。
「私にとっては、空を取り戻すのもラーメンを作るのも同じぐらい真剣な戦いなの!! オブリビオンマシンも許せないし、ラーメンを食べたいのに食べられない難民たちが飢えているのだって絶対に許せないわ!!!」
「アナタ時々、いえかなりの頻度で妙なこと言い出しますよね……」
「実際美味しかったから、いいと思います」
「ちゃっかり食べていらっしゃいますし……」
 口元をふきふき、満足げな顔の白に嘆息するマリア。

「……私は、思うんです」
 マリアは空を見上げてひとりごちた。
「自分の作って売った武器が、この状況を産んだ一院なのかもしれないと。
 だからあの配給も、結局は私の自己満足でしかないし、ただの驕りです」
「いいんじゃない? その業を背負ってでも、マリアは戦う覚悟を決めてるんでしょう?」
「……そうですけれど」
 アイオライトの言葉にマリアが何かを返そうとすると、そこで白が口を開いた。
「憎まれるのは、私たち全員でしょう。だから、その責任もみんなで背負えばいいものだと思います」
 ふたりは白の顔を無言で見つめた。
「……それに、そういうの、慣れてますから。違いますか?」
「そうね。慣れてるわ、たしかに」
 アイオライトは苦笑を浮かべた。
「だからといって、楽になることはないですけれどね」
 マリアの言葉にふたりは何も答えない――それがある種の肯定である。
 近づいてくる戦いの気配に、学園の乙女たちは憂いの表情を見せた。
 それが、必要な戦いとわかっていても――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルヴトー・シフトマン
……こんな不確かな時代です
目の前に希望があれば、縋りたくもなる
俺はそれを責められない
今を変えられると期待してしまう人達を、愚かだなんて言えない
……だけど、壊さなきゃいけない
嫌な気分です 本当に

キャバリアをしっかり確認しておきましょう
戦いになれば真っ先に相手しなければなりませんから
武装と各部パーツから推測される基本スペック、戦法を分析
量産機のパーツは何度も鹵獲して見てきましたから、それなりの眼はありますよ

それから、新兵器に関しても何か盗み聞き出来れば御の字です
末端の兵士では噂程度にしか知らないかもしれませんが、それでも充分
手掛かりを得られさえすれば、兵器の詳細や在処も自ずと割れるでしょう



●愚かさの定義
 パレードの警備に駆り出されているキャバリアの多くは、ルヴトー・シフトマンも見てきたような汎用性の高い量産型ばかりだ。
 しかし市街地の中心に行くにつれ、徐々にグレードの高い機体が混じるようになる。
 すでに「新兵器は市街地中心部で建造中」という情報を得ていたルヴトーは、
 親衛隊めいた敵集団の中にオブリビオンマシンが混ざっていることを感じた。
 すべてのキャバリアが「そう」というわけではない……あくまで一部だ。
 つまりこの部隊のほとんどは、ジャンゴの思想に同調した純粋な兵士、ということになる。

「今の状態で忍び込めるのはこのあたりまでか……」
 奥に進むにつれ厳重になる警備から、ルヴトーが潜入を中断しようとした時。
 ちょうどそこに二人連れの兵士が通りがかり、ルヴトーは身を隠した。
「しかし、我が国がこんなに活気で賑わうのはいつぶりだろうな?」
「共和国との休戦協定が結ばれて以来じゃないか?」
「…………」
 ルヴトーは息を潜め、兵士たちの会話に耳をそばだてる。
「てことはもう何年も前か……忘れちまってたな、こんな時間は」
「ああ。けどもう心配はいらねえさ、空のあのクソッタレを堕としさえすれば、戦争も激減するだろうしな!」
「違いねえ」
「…………戦争が激減する、か」
 兵士たちが離れたのを確認し、ルヴトーは呟いた。
 この世界の荒廃は、殲禍炎剣の暴走によって生まれたと言っていい。
 物資の困窮や国同士のいがみ合いなど、解決されるべき問題はいくらでもある。
 しかし、本当に空を取り戻すことができれば、復興と平和への大きな一歩となろう。

 ――そう、本当に取り戻すことができれば、だが。
「……嫌な気分だな、本当に」
 ルヴトーは吐き捨てた。
 偽りの希望にすがる人々を、愚かと誹れるわけもなかった。
 こんな時代だからこそ、目の前に希望があればすがりついてしまう。
 その気持ちは、ルヴトーにもよくわかったからだ。
(揺れるな。こうしなければ、この国自体が失くなってしまうんだ)
 己の心を一喝し、ルヴトーは気を引き締めた。
 戦場で心揺れれば、それは己の命を奪うことになる。
 そんな結果だけは避けねばならない――希望を壊される彼らのためにも。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェルト・フィルファーデン
希望を信じたい気持ちも、諦めたくない思いも、わかるのだけれどね……
……その先に死しかないのなら、止めなきゃね。

新しく来た難民、という体で潜入するわ。
そして住人と話して情報を聞き出しつつ、皆がどう思っているのか詳しく聞いてみましょう。もしかしたら、反対してる集団もあるかもしれないし……なんて、これはむしのいい話よね。
「ねえ、ここには殲禍炎剣を落とそうとしている人がいると聞いたのだけれど……もしそれが失敗したら、わたし達も巻き込まれるわよね。もしそうなっちゃったら……どうするの?」


馬鹿なことしてるわね、わたし。話してどうにかなるわけでもないでしょうに。――ごめんね、何も、出来なくて。



●無意味だとしても
 猟兵は、その見た目で人々に違和感を与えることがない。
 フェアリーであるフェルト・フィルファーデンも、少し見た目を整えれば「新しくやってきた難民の少女」と認識される。
 そこでフェルトは、情報収集も兼ねて難民たちと交流することにした。
 だが彼女にとって一番気になるのは、敵の陣営の情報だけではなかった。

「……ねえ、ここには殲禍炎剣を落とそうとしている人がいると聞いたのだけれど」
 仮設食堂に集まった人々を前に、フェルトは口を開いた。
「ああ、ジャンゴ少佐殿だね。しっかりしたお方だよ、今の時代にゃ珍しいぐらいの立派な軍人さんだ」
「そうなのね……たしか、殲禍炎剣の攻撃に見舞われたとか……」
 難民は「そうなんだよ」と頷く。
「自分ひとりが生き残って、それからずっとアレをどうにかしたいって気持ちで戦い続けてこられたそうなんだ。
 もともと腕の立つ方だったけれど、どこぞの遺跡でキャバリアを発掘した時に、例の新兵器の設計図も見つけたそうでね。そこから作戦が始まったそうだよ」
「キャバリアを発掘……それが、新兵器と一緒に使われる機体なのかしら?」
「みたいだねえ。詳しいこたわからんが」
 おそらく、その発掘されたキャバリアがオブリビオンマシンだったのだろう。
 竜の尾を踏んでしまったというべきか、不運だったと憐れむべきか。
 仮に新兵器を破壊したとしても、キャバリアを破壊しなければ元の木阿弥だ。
「……教えてくださってありがとう。でも、わたし、もうひとつ気になることがあるの」
 フェルトは言った。
「もし、作戦が失敗したら……当然、わたしたちも巻き込まれるわよね」
「え? そりゃあまあ……」
「もしそうなっちゃったら……どうするの?」
 難民たちは顔を見合わせた。
 ……フェルト自身、こんなことは無意味な問いかけだとわかっていた。
 希望を信じる人々に、その希望が叶わなかったifを問いかけるなど。
 なにせその希望を叩き潰すのは、自分たちなのだ。
「……そしたらもう、立ち上がれる力が残ってるかわからねえなあ」
 初老の難民男性が言った。
 フェルトはその言葉に胸を締め付けられながら、ごめんなさいと苦笑して詫びる。
「こんな話、しても仕方ないわよね」
 彼らを生かすために、生きる希望を奪わなければならない。
 かつての己なら耐えきれなかったであろう矛盾に、フェルトはぐっと胸を抑えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
私、いいえ私達はあのマシンを滅ぼす、それが最優先。
ただ……
アレに唆され暴走した軍が己の国を滅ぼす所なんて、見たくはないから

潜り込めたらUCを
小動物に偽装・明細機能付きの自律歩行メカを呼び出して情報を集める。
……見つかりそうになったらネズミか猫の真似をする事。いい?じゃあ、お願い。

探っておきたいのは軍や民衆より……国を動かしている政治に係わる人間の本気具合

本気で資金や人材を投入する国家事業なのか、
とりあえずやらせて上手くいけば儲けもの、ぐらいのつもりなのか。
それ次第で敵が公国軍だけで済むのか、
公国そのものになるか変わってくるもの
そして
この国がこの後も同じ事を繰り返すかどうかも

※アドリブ他歓迎です



●「そのあと」の話
「殲禍炎剣を落とそうだなんて、だいそれたことを考えたものね……」
 アルカ・スィエラは空を見上げ、嘆息した。
 そんなことが、そう簡単に出来るわけがない。
 なにせあの空の暴君は、この世界を100年に渡って苦しめ続けてきたのだ。
 戦乱の原因は、無論オブリビオンマシンの跳梁跋扈にこそある。
 だからこそ、オブリビオンマシンを取り除かない限り、空の脅威は消えない。
「それを「アレ」のほうが利用するなんて……許せないわ」
 アルカは静かな怒りに拳を握りしめ、端末を操作した。
《コマンド・オン、対象:ARC-05――転送完了》
 システムメッセージとともに、いくつかの小型機械兵器が転送されてくる。
『ARC-05 フェルム・アニマリア』。こういった潜入任務に役立つ頼れる仲間だ。
「……見つかりそうになったらネズミか猫のマネをすること、いい?」
 猫、ネズミ、仔犬、はたまた別の小動物……に擬態した自律歩行メカが、
 アルカの言葉に、なぜかニャーンという見た目にそぐわぬ鳴き声で答えた。
「上手くいくといいんだけど……そもそも忍び込ませてくれるかしらね」
 アルカの狙いは、軍部や民衆ではなく、この国のトップの思惑にあった。

 オブリビオンマシンの破壊は――思うところがないわけではないが――前提と言える。
 問題は、「そのあと」……つまり、二度目三度目の無謀な作戦が実行されるかどうか。
 今回の作戦は、オブリビオンマシンの狂気によって引き起こされるものだ。
 だから、マシンを破壊しさえすれば、作戦自体は叩き潰すことができる。
 しかし……同じことを、正気なはずの人間が繰り返してしまったとしたら?
(この国が、本気で資財を投入して作戦をやろうとしているなら……)
 仮にオブリビオンマシンを破壊しても、同じことが繰り返されるだろう。
 アルカは、それを懸念していたのだ。

 ……結論から言えば、状況は悪い方に傾いていた。
 公国の政治を司るトップ層のほとんどは、ジャンゴの作戦を奨励している。
 新兵器の建造には相当の資金と物資が賄われていた。当然、税金でだ。
「ただキャバリアを破壊するだけでは、話は終わらないみたいね……」
 彼らの偽りの希望を、完膚なきなまでに打ち砕く。
 ……思うところが、ないわけがない。アルカは、ぐっと奥歯を噛み締めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋由良・インテグラ
お客さんどちらまで?高くはしないわよ。

自前の車、四環RS7に乗ってタクシーでもやらしてもらおうかしら。
乗せた客から世間話的に情報を引き出せるといいわね。核心には触れれなくても動向位は分かるでしょう。
……それに愚痴くらいは聞いてあげてもいいんじゃないかしら。
溜まってるモノもあるんじゃない?

※アドリブ、連携歓迎



●車中にて
「はぁ~、やれやれ……ん?」
 疲れ果てた様子の市民の前に、白い4WD車が勢いよく停止した。
「お客さん、どちらまで? 高くはしないわよ」
 ドアが開くと、運転手……秋由良・インテグラが顔を覗かせた。
 タクシーか何かだろうか? 市民は首をかしげるが、それ以上に疲れがあった。
「ああ、それじゃあ自宅まで頼むよ……」
 引き寄せられるようにふらふらと乗り込み、座席に腰を下ろす。
「シートベルトは忘れずにね。じゃ、出発するわよ」
 よもやその運転手が、これからテロじみた包囲作戦を起こそうとしている猟兵だとは、男性市民は思うわけもなかった。

「それにしてもずいぶん疲れているみたいねお客さん、お仕事は?」
「役所で色々とね……原因なんで、見ればわかるだろう?」
 男性市民が窓の外を顎で示せば、道路を練り歩くパレードが遠くから見えた。
「そうね。みんな平和がやってくるってはしゃぎまわっているもの」
「そう、おかげで難民はどんどん流入するし、よその国から傭兵やらなんやらがわんさかやってくる。キャバリア一機維持するのだって楽じゃないさ……」
 などと言いつつも、男性市民の声音からはやりがいと誇らしさが感じられた。
「まあ、戦争が起きて忙しくなるよりは、ずっといいがね」
「……まったくだわ。誰が死んだのか、弾薬や整備にいくら金がかかるとか……。
 そんな血なまぐさい問題に頭を悩ますよりは、こっちのほうがまだマシかもね」
 もっとも、インテグラはそれを破壊しに来た「敵」なのだが。
「平和になれば、それはそれで忙しいものよ。……多分、だけどね。
 お客さんの苦労は報われると思うわよ。だってあなた、いい顔してるわ」
「そうかい、そりゃどうも……悪いが着くまで少し寝かせてもらうよ」
 男性市民はそういうと、すぐに寝息を立ててしまった。
「ええ、おやすみなさい。今のうちにゆっくり休んでおくといいわ」
 そう言って、インテグラは窓の外を眺めた。
「……今のうちぐらいしか、心休まるときはないでしょうから」
 窓の外では、あいも変わらずパレードの騒ぎが遠くに聞こえた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミレア・ソリティス
ミレア・ソリティス、任務を了解しました。

現着後、UC【コール・レギオン:3α】を使用
隠密装備の簡易型の私の部隊を転送し《情報収集》、
並びに公国軍部隊の各種設備への《破壊工作・偵察》を行います
ただし工作は直接的なものより通信阻害、補給妨害等に重点を置き、
「後の交戦時に公国側が動員できる(≒猟兵との交戦で破壊され得る)兵力を削ぐ事」を狙います

その間、私自身は、

……

データリンクによる状況把握を並列で処理しつつ、
難民キャンプ内で不要物資から物質転換(《ハッキング・薬品調合》であって料理技能ではない)で『マナ・キューブ』を作るという「芸」を披露しています。

…必要であれば、どうぞ。
※アドリブ他歓迎です



●必要なもの
「こちらD小隊、異常なし」
「本部了解。そのまま警備を続行……。……」
「あ? 本部? 本部! ……ダメだ、通信が途切れちまった」
 パレードを警備するキャバリア小隊の隊員が、このポンコツめ、と通信機に当たり散らした。
「どうした?」
「通信障害だ。本部との連絡が取れねえ」
「なんだ、そんなことか。仕方ないだろ、ウチの設備はオンボロだからな」
「そうは言うがよ……なんかあったときにまずいんじゃねえか?」
「ハハハ、心配要らねえよ。仮に俺らがダメでも、少佐殿の「アレ」があればな」
「まあそうかもしれねえが……」
 警備小隊はたいして重大視することなく、任務に戻った。
 これから包囲殲滅戦が繰り広げられるなどとは、露ほどにも思っていない。
 そしてその通信障害は、実際のところ「通信阻害」であることも……。

『通信阻害作戦、第一次段階に着手。警備キャバリアの連携行動を妨害します』
『補給妨害班、展開完了。作戦開始に合わせて攻撃を開始します』
『市街地中央への潜入は依然継続中。警備部隊の展開情報を共有……』
 ……市街地に展開したミレア・ソリティスの同型機から、リアルタイムで情報が伝わってくる。
 それらのデータを並列処理しているミレア本体が何をしているかと言えば、
「……マナ・キューブ、生成しました。必要であれば、どうぞ」
 なんと難民キャンプに潜伏し、一種の「食料配給」に従事していたのである。
 といっても生成される物質――つまりマナ・キューブは、栄養面では完璧でも嗜好品としては少々……いや、だいぶ難があった。
「へー、すげー! まるでプラントみたいだ!」
「ねえねえ、わたしにもちょうだい!」
「はい。味覚については保証できませんが……」
 ミレアは難民たちの反応にやや困惑しつつ、キューブを生成する。
「うわ、硬っ! なんだこれ歯が折れそう!」
「味も……う、うん、なんていうか……すっごい独特!」
 さっそくかじってみた子どもたちが予想通りな反応をしているが、それはさておき。
 ミレアの不思議な「芸」を見て、難民たちはわいわいと騒いでいた。
 娯楽に乏しい彼らにとっては、これだけでも騒ぎの種になるのだろう。
「…………」
 ミレアは、朗らかに笑う子どもたちや、それを宥める大人たちをじっと見ていた。
 思うところはない……はずだ。任務を達成することこそが重要なのだ。
 しかし、なぜだか……ミレアは、その営みから、目をそらせなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

玉響・飛桜
【他キャラ、特に新世界学園との絡み歓迎】
まーた殲禍炎剣絡みの……オブリビオンにも流行りがあるでござるか。
とりあえず難民キャンプに潜伏しつつ、他の新世界学園の委員と連絡網を作っておくのが放送委員の仕事で………

難民キャンプなんて出来ち待ってるんだから、まずは内政に力を入れたら良いだろうに……
でも内政が上手く行かないからこそ外部に不満の捌け口を作ることも必要か……政治ってめんどくせーー………

故郷が吹き飛ぶなんて、この世界じゃありふれてるけど。
ありふれてるからって見過ごして良い訳でもないでござるよな…
久魔みたいに、誰もいなくなっちまう前に。なんとかしないと。
とりあえず、物資でも配っていくでござるか。



●繰り返される喜劇
「はーぁ、まーた殲禍炎剣絡みの仕事でござるか……」
 どうやら、オブリビオンマシンにも流行り廃りがあるらしい。
 他にも似たような案件に関わったことのある玉響・飛桜は、物資配給員のふりをしつつ嘆息した。
 他に数名、新世界学園の「委員」たちが潜り込んでおり、彼女らの存在と位置についてはマーク出来ている。
 放送委員として、同じ学園の生徒が連携して動けるように手配するのが彼の仕事。
 そしてオブリビオンマシンの破壊が、猟兵としての仕事といったところか。

 しかし、この状況は飛桜にとって、なんとも「面倒くさい」ものに見えた。
「難民キャンプなんて出来ちまってんだから、まずは内政に力を入れたらいいだろうに……でも内政が上手くいってないからこそ、外部に不満の捌け口を作って……」
 ブツブツ。配給はそつなくこなしつつ、どんどん眉根に皺が寄る。
 面倒くさい。政治とは本当に面倒くさい。
 本来なら不満が溜まっている難民たちも、この戦勝ムードめいた雰囲気に割と流されているあたりも不気味だった。
 ……いや、無理もない。なにせ100年の分断が終わろうとしているのだ。
 その裏にオブリビオンマシンという邪悪がいることを、彼らは知らない。
 作戦が成功すればきっと人と人の戦いは終わるのだと――希望を、信じている。

 あるいは、信じようとしている、というべきか。
「……ありふれてるからって、故郷が吹っ飛ぶなんてのは見てらんないしな」
 焦土と化す国家。行き場を失う民草。そして蔓延する死。
「あーーーーー、めんどくせーーーーー!!」
 そんなものから目をそらすことが出来ないあたり、飛桜も充分お人好しのようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

安野・穣
(アドリブ連携歓迎)
…まあ、国は違えど俺もこの世界出身っすからね。気持ちは分かるっす。
空を塞ぐアレがなければ、と思った事は一度や二度じゃない。
…水を差すどころの所業じゃねえっすね。今から俺達がやろうとしてる事は。

…新兵器について調べるなら市街地に置かれてるキャバリアを見るのがよさそうっすかね。
市街地と難民キャンプ間の物資輸送とかに紛れて市街地へ行けたらいいんすけど。
『アズライト』を広げて、公国の人間の思念から新兵器の<情報収集>をしてみますか。
性質、範囲…対策考えるためにも、分かる情報はかき集めたいっすね。

…ああクソ。この熱に浮かされた…希望を信じきってる空気は…やっぱ苦手だ。



●空を塞ぐもの
 もし、あんなものがなければ。
 もし、世界が分断されていなければ。
 こんなふうに争いが起きることはなく、誰もが平和だったのだろうか。
 鳥と同じように、空を人々が自由に飛び、世界の果てから果てまで人同士で繋がり合う。
 そんな世界があったのかもしれない――子どもじみたifを、考えなかったわけではない。

 しかし、現実は残酷だ。
 空は塞がれ、世界は分断され、国と国とが争い合う。
 平和だった頃を知る人物は、もうどこにもいない。
 だから人々が疲れ果てて希望にすがる気持ちが、安野・穣にはよくわかった。
「新兵器は建造中……エース機とシンクロした超大型の砲台……っすか」
『アズライト』によって流れ込んでくる思念から、穣は情報を精査した。
 問題の兵器は設置型の砲台であり、その起動と運用にはキャバリアが不可欠であること。
 そしてキーとなるのが、ジャンゴの騎乗する謎の遺跡発掘キャバリアであること。
 ジャンゴの機体以外にも、何機かオブリビオンマシンが紛れており、それらが新兵器を運用するための補助機となっていること。
 オブリビオンマシンをすべて破壊し、新兵器――「砲塔」も完全に破壊しない限り、おそらくこの事変が完全に収束するとは言いがたいこと……。
 それ以上に伝わってくるのは、来たる勝利を祝う人々の希望への熱だった。

 ……熱。
 それは本来であれば、喜ばしいもの、世界を進歩させるもののはずだ。
「ああ、クソ……やっぱ苦手だ、こういう空気」
 穣はアズライトとの接続を一時中断し、嘆息した。
 希望を信じきっている空気。未来は明るいものであるはずだという喜び。
 それは、穣にとって、空気のない海のように息苦しく心すり減らされるものだった。
 枯れ果てた世界に生きてきたがゆえに、彼はその熱を信じることが出来ない。
 そして事実、希望は偽りのものであり……だからこそ、吐き気がしそうだった。
「ままならねえっすね、こういうのは……」
 "酔い"が醒めるまで、穣はしばし空を見上げ、息を整えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
誰もが待っていやがるのさ
現状を変えてくれる革命家ってやつを
諦めと疲弊の中でも、その期待だけは決して消えない
消えないから、この上なく厄介なんだ
一度火がついたら誰も止めようとしねーんだから、さ

民間人の顔パターンを収集
それを基に存在しない人間の顔を作り上げる
そいつを自分に貼り付ければ、盤石な潜入の完成だ

Balor Eyeを展開
ステルス性を重視して広域に張り巡らせ、情報を集める
新兵器がどんなもので、何処にあって、何時使われるものなのか
そいつを探ってやる
それと、ここに待機してるキャバリアにバックドアを仕込んでおこうか
こいつらに派手に動かれると、いらねえ被害を生みかねないからな
まったく、忙しくなりそうだ


鳴宮・匡
要は憎まれ役になれってことだろ
……まあ、慣れた仕事だ

【無貌の輩】も総動員して状況把握に努める
軍施設や、市内各地で兵を配備してる場所
その辺りを重点的に探らせる
敵の陣容……兵士の数、機動兵器の種別・数
武装まで調べられると御の字か
必要に応じて影に潜ませて会話を盗聴させるよ
何ヶ所同時でも問題ない、聴き分けられる

地形の方は自分の足で調べていく
大まかな地勢の把握のほか
狙撃に適したポイント、爆発物を仕掛けられそうなところなど
作戦行動の際に必要になりそうな情報は全てカバーするよ

無知や無謀の代償、と言えばそれまでだけど
それは自分の意思でそうしたなら、だ
選ぶ余地もなくそう“させられる”のは本意じゃないだろうさ



●戦いはすぐそばに
「――誰だ」
 市街地に潜伏していた鳴宮・匡の背後に、何者かが立っていた。
 振り返った匡が銃を構えると、市民と思しきその男は両手を上げて降参の意を示す。
「そう簡単に見つかるつもりはなかったんだけどな……一体何のつもりだ?
 興味本位でここに踏み込んだっていうなら、まだ見逃してやってもいいぜ」
「……」
「だが、俺の仕事を邪魔するつもりなら……」
「待て待て。待てって。わかった、俺も遊びすぎたよ。よっと……」
 両手を挙げていた市民は、自分の顔に手をかけると……まるでゴムマスクのように、それを「脱ぎ去って」しまった。
 するとその下から現れたのは、匡のよく知る猟兵だったのである。

「そこらの素人がお前のことを尾けられるわけないだろ? ま、それだけ俺の変装が完璧だったってことかね」
 その猟兵……ヴィクティム・ウィンターミュートは、電脳魔術で作り出したデスマスクをくるくると指で回しながら、にやりと笑った。
「万が一、ってこともあるからな。次はもう少し早く種明かしをしてくれよ」
 匡は驚いた様子もなく銃を下ろす。彼もおおよそ予想はしていたらしい。
 それはそれとして、指はトリガにかけていたあたり、油断ない匡らしいとも言える。
 ヴィクティムがそれを揶揄することはない……プロフェッショナルとして、敵を警戒するのは当然のこと。危険なジョークをふっかけたのは自分の方だからだ。

「で、調子はどうだ? こっちは新兵器とやらを一目拝んできたぜ」
「あの警備を潜り込めたのか……いやまあ、お前ならそのくらいやるよな」
「伊達にランナーじゃねえのさ。厳重ではあったが、簡単な仕事だよ」
 匡とヴィクティムは、お互いに集めた情報を素早く交換した。
 ヴィクティムはハッキングと潜入によって、
 匡は『影』を使った一種の盗聴によって集めた情報だ。
 敵キャバリア部隊の配置状況や戦力数、その他の無人兵器の種類や場所。
 また、敵部隊の中にどの程度オブリビオンマシンが混ざっているか、etc,etc。
 特にヴィクティムが目視してきた新兵器――すなわちキャバリアとシンクロする形で駆動する巨大な「砲塔」は、この作戦の第二次優先目標と言えた。
「あれを破壊しない限り、例のなんとかいう隊長を潰しても焼け石に水だな。
 キャバリアとデータベースにはバックドアを仕込んでおいたから、
 現物を破壊しさえすれば設計図は全部消し去ることができる。あとは……」
「戦いが終わったあと、第二第三の「英雄」が出ないようにする方法、か」
 匡の言葉に、ヴィクティムは頷いた。
「連中のすがる「希望」って奴を、徹底的に踏みにじって破壊しなけりゃならん。
 ま、そのへんの演出なら端役にお任せだ……せいぜい派手に、センセーショナルに、そして悪辣に彩ってやるさ。そのほうが効果がある」
「……そうだな。憎まれ役なんて慣れた仕事だ。必要なら俺がやるよ」
 匡はなんでもないように言った。事実、こんな仕事は慣れたものだった。
 猟兵になる前から……いや、なったあとでも、希望をあえて叩き折るなんて仕事は何度もやってきた。
 必要なら、ジャンゴを撃つことをすら匡はいとわない――もっともオブリビオンマシンに操られたパイロットに罪はないし、この場合は「英雄」をあえて生かしておいたほうが効果は高いだろうが。
「下手に殺すと、逆に神格化されちまうからな。生け捕りにして、作戦が失敗したっていうことをしっかりわからせたほうが効果はあるだろ」
「ああ。その先この国がどうなるか、までは俺らの知ったことじゃないがね」
 ヴィクティムは肩をすくめた。
「誰もが待っていやがるのさ、現状を変えてくれる革命家、ってやつを。
 諦めと疲弊のなかでも、その期待だけは決して消えない……そう、決して」
 匡は、ヴィクティムの横顔をじっと見つめる。
「……消えないから、この上なく厄介なんだ。一度火がついたら誰も止めようとしない」
「止められない、でもあると思うけどな」
 匡は呟いた。
「……自分でそうしたならともかく、"させられた"人間は、本意じゃないだろうさ。
 だからって手助けは出来ないけど……俺らが憎まれ役になることでやり直させられるんなら、それでいいんじゃないか」
「やり直す余力が、連中に残ってればの話だがね」
 パレードの声援が遠くに聞こえる。
 作戦決行の瞬間は、徐々に近づいていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『八八式機航甲冑・大風』

POW   :    焔と燃えて、迫る見よ
【友軍に巻き添え覚悟の支援射撃や砲撃】を降らせる事で、戦場全体が【敵味方関係なく餌食となる地獄の混戦下】と同じ環境に変化する。[敵味方関係なく餌食となる地獄の混戦下]に適応した者の行動成功率が上昇する。
SPD   :    玉散る剣、抜きつれて
【肩に装備した防盾によるぶちかまし】が命中した対象に対し、高威力高命中の【太刀による斬撃や刺突】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    轟裂の音、地を喰み
【サイカ社製120mm滑腔砲】を向けた対象に、【対キャバリア用徹甲弾】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵たちの下調べと工作により、敵の陣容は大きく分けて三層に分かれていることがわかった。
 第一層は、無人兵器および量産型キャバリアによる防衛網。
 これらを構築しているのは若い兵士や傭兵などであり、個々の戦力は乏しい。
 いくつかの猟兵による事前の工作と、事前調査によって発見された警備の抜け穴により、第一防衛ラインは大した労力もなく突破できるだろう。

 第二層は、空中を遊覧するいくつもの飛行船と、公国軍兵士による防衛線だ。
 現時点で敵部隊には広域の通信障害および機体の不調が発生しており、この防衛網はほとんど意味をなしていない――無論、これも事前の工作の成果である。

 ゆえに猟兵たちは、この第一・第二層はたやすく突破できる。
 問題は第三層……市街地中心部に設置された新兵器=巨大砲塔を守る「親衛隊」の存在である。

『八八式機航甲冑・大風』と呼ばれる重装近接型の機体を駆る敵は、いずれも精鋭。
 ジャンゴと志を同じくする歴戦の強者ばかりであり、なお悪いことにオブリビオンマシンと通常の機体が入り混じっている。
 しかも敵は、友軍や市街地への被害を厭わず、「砲塔」による苛烈な砲撃を見舞う。
 手こずっていると、死なばもろともの攻撃で市街地に甚大な被害が出てしまう、というわけだ。
 ……オブリビオンマシンの狂気によるものならばまだしも、そうでない兵士すらもこの自爆めいた攻撃を厭わないというのは、恐ろしい話だ。
 まさしくこの作戦は、公国の威信をかけた背水の陣、ということだろう。

 事前の猟兵たちの手引により、市街地中心部からは民間人のほとんどが避難している。
 戦いが長期化しない限り、外縁部にまで戦火が広がることはないだろう――もっとも、公国の中枢機能は大打撃を受けるだろうが。

 なお市街地中心部には高層ビルが立ち並び、障害物には事欠かない。
 うまく地形を生かして戦えば、こちら側の損耗は最小限に押さえられるだろう。
 もっともいたずらに逃げ回れば、壊滅的な被害が広がることになってしまう。

 迅速に、かつ、敵の反撃を許すことなく、一切を殲滅する。
 事前準備の成果を身を以て発揮する時間が、ついに訪れた。

●プレイング受付期間
 7/19 08:30前後まで。
キリジ・グッドウィン
GW-4700031『(今回のキャバリア名、アドリブで)』で出撃
レゾナンス値良好。どこまでも追いかけてぶん殴れそうだ

無知か狂気かこっから見分けがつかねぇし、逆に言えば猟兵なんてのは恵まれてる方だよなァ
…悪者になってどっちもへし折ってやればいいんだろ?こいつらの希望をな

大通りは避け狭いところに誘導すりゃ気にするのは後ろだけで済むか?射線も避けやすいしな
推力移動で一気に近付き両腕のランブルビーストによるインファイト。懐に飛び込み盾をグラップルと麻痺攻撃で内側から破壊
敵を盾にして……破壊した盾をも利用し突き進む
味方サンが通るぞそこ退きな!
まあ、悪者になるならこのくらいやって自衛してもいいだろ。



●鋼の盾
 馴染み深いコクピットがキリジ・グッドウィンを受け止め、抱擁する。
「レゾナンス値良好、どこまでも追いかけてぶん殴れそうだ」
 心地よい睡眠のあと、晴れ渡る空を窓越しに見上げたような爽快感があった。
 キリジは二度ほど掌を握りしめて感触を確かめると、操縦桿を握る。
「GW-4700031、『シャロン』。出撃するぜ!」
 隠しカタパルトがランプを点灯、地上に露出すると同時に射出開始。
 キリジと機体は風となって飛翔する。すでに猟兵たちの「仕込み」は始まっていた。
 本来であれば機体を迎撃するはずの無人兵器群は、ぴくりとも動かない。
 ハッキング、物理的な破壊工作、あるいはまた別のなにか。
 沈黙させられた無人兵器が下を向くさまは、王の凱旋を祝う臣下めいていた。

 着地と同時、強い振動がキリジの身体を縦に揺らす。
「たしか情報じゃ、連中の機体はオブリビオンマシンとそうでねえのが混ざってんだったな……ま、こっからは見分けがつかねぇが」
 ピピピピ! と、ディスプレイ上にターゲッティングアラートが並ぶ。
「いいぜ、かかってこいよ正義の味方サンよ。悪者が希望をへし折ってやる」
 キリジは目を見開き、大通りを目指してブースターを噴射。
 そのすぐ後ろをグレネードが弓なりに通過し、無人のビルを炎に染めた。
「情報通り無茶をしやがる! だが大通りに出りゃ前から来ざるを得ねえだろ」
 キリジの読みどおり、高層ビルに囲まれた大通りは事実上の二次元的な決闘場だ。
 前後から囲めば、友軍機体を攻撃に巻き込みかねない。挟み撃ちは不可能。
 シャロンが着地すると同時、その眼前に二体のキャバリアが飛び出した!

「撃て! 市街地の被害なんぞどうなっても――」
「二度もやらすかよ、バカが!」
 着地衝撃を前に生かした高速のブーストが、敵の支援砲撃を遮った。
 スラスターの噴射に巻き込まれ、路肩に停まっている空き車両が吹っ飛ぶ。
 大通りに植えられた並木の葉が舞い上がり、結婚式のライスシャワーめいて機体を包んだ。
「オラァ!!」
 懐に飛び込んでのクロー攻撃。めきめきと音を立てて肩部の盾が破壊された。
「ぐ……!」
「悪いが、盾代わりに使わせてもらうぜ」
 ドウン!! とゼロ距離射撃が炸裂し、敵機体の駆動系をダウンさせる。
 キリジは沈黙させた機体を肉の盾めいて利用し、二体目のキャバリアに「シールドバッシュ」を仕掛けた。
「こいつ、機体を盾に……卑劣なテロリストが!!」
「いい台詞じゃねえか。そうだぜ、こちとら卑怯下劣なテロリストだよ!」
 一体目のキャバリアを放り捨てると、キリジは二体目のキャバリアをクローで捕縛。
「味方サンが通るぞ、そこ退きな!」
 増援部隊に攻撃を躊躇させながら、肉の盾ならぬ鋼の盾で突き進んだ。
 敵はキリジの卑劣な所業に怒りを燃やし、さらなる苛烈な攻撃を見舞う。
 キリジは不敵に笑っていた――その胸の裡の情動を、戦の熱で塗りつぶして。

成功 🔵​🔵​🔴​

斑星・夜
※キャバリア:灰風号搭乗

被害はなるべく少なくしたいし、難民キャンプへも攻撃は届かせないよ
彼らにとって俺達が希望を奪う敵で、酷い悪者だったとしても

高層ビル等の『地形の利用』をし『RXSシルバーワイヤー』を張り巡らせ、相手をワイヤーに引っかけて敵の移動を阻害します

強引に攻撃に出てくる可能性もありそうだから、
『AEP可変式シールド・アリアンロッド』で盾を作って接近
敵の攻撃を『盾受け』し、そのまま突進して【グラウ・ブリッツ】を込めた『シールドバッシュ』で攻撃

魔を開けずに至近距離(※零距離射撃)で『対キャバリア大型拳銃『ペネトレーター』』をクイックドロウ

とにかく迅速に、確実に減らしていくよ!



●灰色の風が滅びを運ぶ
 突如街中に襲来した正体不明の敵性存在に、人々は震え上がった。
「どうしてこんな式典の最中に!」
「まさか、共和国の連中が意趣返しを仕掛けてきたのか」
「きっと新兵器を奪いに来た傭兵に違いない!」
 そんな憶測と誤解が飛び交い、人々は身を寄せ合ってシェルターへ向かう。
 それは難民キャンプでも同じだ……彼らは皆、恐怖していた。
「も、もしかしたらここも戦場になるかも……」
 市街地で繰り広げられる戦闘は、彼らにそう思わせるのに十分だった。

 ――その他ならぬ襲撃者たちが、出来るだけ被害を広げないように苦心していることなど、彼らは知る由もない。
 無論、人々を本来の意味で救うための戦いであることも、推測すら出来ない。
「ああもう、軍の兵士なら自国の被害には躊躇しなよ……!」
 斑星・夜は高層ビルのあわいをワイヤーで飛びながら、敵の躊躇のなさに歯噛みした。
 灰風号が高速で通り過ぎた直後、無人のビルは機関砲で穴だらけになる。
「それ以上は、やらせないよ!」
 夜は移動に使うワイヤーを敵機体に射出し、両腕を拘束。
 ぐいとワイヤーを引くことで灰風号を前に押し出しつつ照準を上に逸らした。 BRATATATATATA! 自国を焼く弾丸は、むなしく空にばらまかれてしまう。
「我らの平和を邪魔する敵め……! この程度で我らを黙らせられると思うな!」
 敵はマシンガンを放り捨てると、肩部の盾を前に展開し腰を落とした。
(強引にぶつかってくる気か、諦めの悪い……!)
 灰風号が両腕をクロスさせ、AEP可変式シールドを展開。
 盾と盾とが真正面からぶつかりあい、ゴォン!! と鐘のような音と衝撃が響く。
 あまりの衝撃に、両者の周囲に林立するビル群の窓ガラスがひび割れた。
「悪いけど、こっちも急いでるんだよね……! そこ、退いてくれるかなッ!!」
 灰風号の背部バーニアが加速、鍔迫り合いならぬ盾迫りの状況から強引なシールドバッシュを繰り出した。
「ぐおっ!?」
 威力差で敗けた敵機体は大きく吹き飛び、着地した灰風号は滑るように突撃。
「殺しはしないからさ、じっとしててよ」
 BLAMN!! ペネトレーターの弾丸が、キャバリアの駆動系を貫いた。
 仰向けに倒れた機体は死にかけの虫めいて痙攣し、そのまま沈黙する。
「さて、次の敵はっと……!」
 灰風号は振り返り、ワイヤーに引っかかった敵機体を撃ち抜く。
 絶対に街に被害は出させない――たとえこれが希望を奪う戦いだとしても。
 憎まれ、恐れられたとしても、命だけは守り抜く。
 矛盾した困難な戦いを、夜は己の信念と技量、そして覚悟で潜り抜けていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

矢来・夕立
国家を維持する中枢機能はそもそもダメージを禁じ得ないと。

じゃあいつも通りでいいですね。
いつも通り環境を利用して隠れて不意打ちでいい。
目立って逃げ回るならまだしも、敵の場所が確実でないなら下手に自爆特攻はしないでしょう。
クイーンは確実に取れるコマに使うべきですから。

ビル群の《闇に紛れる》。高所を取りましょう。
キャバリアの上に飛び移って【竜檀】。
武器や駆動機構をちょん切ります。
必要ならパイロットも真っ二つにしときますけど、まあいらないことを祈っときましょう。

威信だのなんだの、共和国と同じくらいくだらない。
国民からの信頼は失墜するでしょうに。
この国、終わっちゃうかもですね。知りませんけど。



●"いつも通り"
 矢来・夕立は、殺しが得意だが好きなわけではない。
「パイロットを殺す必要がない」ことを祈っているあたりが、その証左だ。
 殺す、という行為は非常にハイカロリーで、短絡的ゆえに影響が大きい。
 殺さずに済むならそれに越したことはない――面倒がないからだ。
 ……手間の問題であり、この国の行く末に思うところはなかった。

 爆炎と轟音渦巻く市街地を、黒い影が立体的に駆ける。
 敵はそのスピードと身の丈ゆえに、夕立の姿を捉えることが出来ない。
 "忍ぶ"とは、単に物陰を負け犬めいておっかなびっくり歩くことではない。
 ときにはあえて目の前に姿を晒し、あるいは死角を盗んで回り込む。
 一流の忍びとは大胆なものである――感覚と意識を同時に読み、掠めるのだ。
「我らグロンデール公国軍の威信にかけて! 奴らを絶対に通すな!!」
 激昂する兵士の声が聞こえる。夕立はその機体の頸部に座っていた。
(くだらない)
 ひゅん、と腕が煌き、まるで紙のような手際で駆動機構を密かに断った。
 エラーメッセージすら出ずに、あらゆる動作をカットされた形である。
 人間で言えば、痛みもなしに脊髄を真っ二つにしたような感じか。
「な、なんだ……!? 機体が言うことを効かない! こ、これは……!」
 夕立は機体を蹴り、次のキャバリアをめがけてビルの壁面を駆けた。
 すぐそばでグレネードが炸裂し、無人のビルを破壊する。
 かかずらうことはない。連中が自分の国を自分で燃やしているだけだ。
「仮にオレたちを撃退したところで、こんなざまでは国民からの信頼もガタ落ちでしょうに」
 この作戦が成功すれば、充分なリターンがあると思っているのだろう。
 まったくふざけた話だ。大義というのはいつの世も人の目を眩ませる。
 ……いや、最初から目が眩んで頭が腐っているから、そんなものに耽溺するのか。

 人を殺すのも、機械を殺すのも、夕立にとっては変わらない。
「殺したほうが楽かもしれませんが、オレは介錯人でもお人好しでもないので」
 パイロットの命は奪わない――奴らが味わう地獄など知ったこともなし。
 影は炎に紛れて駆ける。氷のように冷たい刃を振るって。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルナスル・アミューレンス
守るべき場所を無差別に撃ち込んでも構わないとは、なんか本末転倒だねぇ。
まぁ、どっちにしろ狂ってるんだからそんなもんかなぁ。

じゃあ、仕方ないけどお『怒涛(ワカレ)』しましょうか。
確実に、気付かぬうちに、喰い尽くさないとねぇ。

物陰が多いのはいいね、存分に地形の利用をさせてもらおうか。
第三層まで行ったら、あえて見つかって逃げようか。
で、他のキャバリアと視線が切れる位置に引き寄せた所で、
――偽神拘束制御、限定解除
体を影の様な不定形の異形に変化させ、通信する間も無く一気に呑み込んで捕食し尽くすよ。
一体ずつ釣れるといいんだけど、まあ複数体でも関係ないけどね。

ああでも、やっぱりヒトを喰うのはやめておこうか。



●オワカレ
「――いたぞ! 襲撃者だ! 生身で我々に対抗するつもりか……!!」
 アルナスル・アミューレンスの姿を見咎めた敵小隊が、彼を追いかける。
 機動力は圧倒的に敵が上だ。しかもここは公国軍にとってのホームである。
 彼我の距離がぐんぐんと縮む……しかし不思議とアルナスルは捕まらない。
「そうそう、追ってきてね。でないと手間だからさ」
 アルナスルは見つかったわけではない――わざと「見つけさせた」のだ。
 あえて姿を現すことで敵の注意を引き、障害物を利用して散開させる。
 そして敵が独りになったところを叩く……そういう作戦だった。
 スピードは向こうが上だとしても、小回りはこちらのほうが利くもの。
 ビルの間、路地裏を渡っていけば、敵の目を盗むのはたやすい。

「見失っただと……!?」
「各自で別れて捜索すべきかと!」
「……そうだな。よし、各自散開し、ブロックごとに虱潰しに調べろ!」
「「「はっ!」」」
 敵小隊は四手に別れ、ビルの合間を一つずつつぶさにチェックする。
 生身の相手なら、キャバリア一体で充分事足りるという認識があるのだろう。
 それもアルナスルの読み通り……分散させさえすればこちらのものだ。
「偽神拘束制御、限定解除――」
 ぐにゃりと、その体が影めいた不定形に変じた。紛れもない異形。
 アルナスルはビルのあわいに身を潜め、敵機体が近づいてくるのを待つ。
 5秒、10秒――そしてついに、小隊のうちの一機が餌に食らいついた。
「! そこか、テロリストめ! こちら――」
「おっと、通信されちゃ最初からやり直しなんだ。だから、お怒涛(ワカレ)しましょうか」
「……!?」
 影からぞわりと異形が溢れ出し、通信する暇もなく機体を飲み込んでしまった。
 全方向からの圧力でキャバリアはべきべきと圧潰し、そして「喰われて」しまう。
 このまま中身(パイロット)ごと食らうのはたやすいが……。

「……やっぱり、ヒトを喰うのはやめておこうか」
 プッ、と肉食獣が骨を吐き出すように、気絶したパイロットが路地裏に放り出された。
 アルナスルの身体は影に沈み込むように、その場から姿を消す。
 一体一体確実に……狩人が、慢心した兵士の背後に忍び寄っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルトリウス・セレスタイト
では始めよう

戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には『煌皇』にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

魔眼・封絶で拘束
行動と能力発露を封じる魔眼故、捕らえればユーベルコードも霧散する
時の原理で無限加速し即座に起動、且つ行使の瞬間を無限循環させ一手での多重拘束にて完全封殺を図る
砲塔込みで交戦範囲の敵勢力残らず捕らえよう

静止の原理は対象を問わぬ
当然砲塔も機能停止する。使いたければシステムの起動からやり直しだ
俺を排さぬ限り拘束からは逃れ得ぬがな

捕らえたら打撃で片端から始末
纏う原理を無限に廻し、無限量の圧と破壊の原理を乗せ撃ち込む

※アドリブ歓迎



●魔眼は砲火を睨む
「敵性個体を発見……攻撃を開始する!」
 アルトリウス・セレスタイトを目視した敵機体は、即座に120mm滑腔砲を装填。
 対キャバリア徹甲弾を――その戦力はともかく――生身の人間に放つという無謀。
 もはや奴らは、自分たちの理想を阻む敵を人間としてすらみなしていない。
 それがオブリビオンマシンのもたらした狂気なのか、
 あるいは来たるべき希望に酔いしれた兵士の愚かさなのか、外からは区別がつかない有様だ。
 アルトリウスは無言で砲口を睨む――そして、徹甲弾が放たれた!

 ……だが。
「な、なんだ、あれは!?」
 アルトリウスおよび周囲のアスファルトを微塵に吹っ飛ばすはずの徹甲弾は、
 アルトリウスの眼前1メートルほど、着弾寸前で不可解に停止していた。
「なんらかの斥力場か? し、支援砲撃を!」
「そ、それが……こちらの射撃システムが沈黙しているのだ!」
「こちらもです! エラーは検出されず、駆動系も無事です。なのに撃てない!」
 何度トリガーを引こうと、次なる弾丸が放たれることはなかった。
「静止の原理は対象を問わぬ。俺を排さぬ限り、拘束からは逃れ得ないぞ」
 蒼い魔眼が、あらゆる道理を超えた「原理」によって破滅を止めていた。
 空中で静止した弾丸を手の甲で押しのけ、アルトリウスが地を蹴る。
「く、くそっ! こうなったら白兵戦装備で……!」
「遅いな」
 ただの人間の拳が、キャバリアのコアユニットを粉砕した。
 不可解な力により、無傷のパイロットが通りに転がり、機体は爆砕。
 燃え盛る炎を飛び越えて、鋼を打ち砕く魔人は姿を消した。
「な、何者なんだ、あれは……!!」
 兵士はそれから終生、アルトリウスの蒼い光を忘れることが出来なかった。
 狂気をも払うほどに、原理の灯火は強烈だったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒川・闇慈
「さて、遅参した分はしっかり働かせていただきますよ。クックック」

【行動】
SPDで対抗です。
私もアヴィケブロンに搭乗して戦いましょうか。
全力魔法、高速詠唱の技能を用いてUCを使用します。アヴィケブロン諸共に超アストラル体に転化して戦闘です。
物理的な位相からズレている超アストラル体ならば複雑な地形でも障害物への接触を気にせず高速で戦えるでしょう。相手の物理的な攻撃も、効果が薄い。
超アストラル体のエネルギーを活かして、そのまま高速で吶喊するだけでも十分に強力でしょう。

「コクピットブロックは避けて差し上げますよ。クックック」

【アドリブ歓迎】



●魔人、進撃
 そこら中で吹き上がる爆炎、轟音、そしてキャバリアのバーニア音。
 まさしく地獄の戦場。そこにまた一機、新たなキャバリアが降臨した。
「さて……遅参したぶんはしっかり働かせていただきますよ、クックック」
 魔導ゴーレムキャバリア『アヴィケブロン』を駆る黒川・闇慈だ。
 その異質なフォルムは戦場でよく目を引く。ましてや近代化されたこのビル街では。
「新たな敵性体を発見しました!」
「全機、攻撃を開始しろ! テロリストどもを生かして返すなッ!」
 敵はフォーメーションを組み、肩部のシールドを前部に展開して吶喊。
 直撃を受ければ、続けざまの太刀でコアユニットごと真っ二つにされるだろう!

「なるほど、力押しで来ますか……ならばこちらは搦手を使うとしましょう」
 闇慈が呪文を唱えると、アヴィケブロンのシルエットがぐにゃりと歪んだ。
 一時的に物理世界(マンデイン)から位相をズラした、アストラル体に変じたのだ。
 とはいえ、アストラル体とてキャバリアの攻撃を直接受けるのは危険である。
 闇慈は超アストラル体になったことでビル街を透過し、横滑りで突撃を回避!
「なんだ、ビルをすり抜けただと? あのキャバリアの能力か……!」
「だがまったく触れられないわけではあるまい、回避したのがその証拠だ!」
 別機体がアヴィケブロンに突撃! エネルギーフィールドとシールドが激突!
「南無三ッ!」
 フィールドを斬り裂く形で放たれた横薙ぎの斬撃を、アヴィケブロンはふわりと後ろ斜めに跳躍することで避けた。
「油断ならないですねぇ、これほどの練度の軍隊を殲滅しなければならないとは」
 ハイメギド・カノン、点火。極太のレーザーがキャバリアの上半身を呑んだ。
「なっ、なんて火力だ……!」
「コクピットブロックは避けて差し上げましたよ、クックック」
 アヴィケブロンは着地と同時に加速、意趣返しめいてチャージを仕掛けた。
 ガァン!! という轟音が大気を震わせ、敵機体はビルを巻き込み吹き飛ぶ。
 倒れ込んだところへレーザーの雨が降り注ぎ、機体は沈黙。
「今回の役目は悪のテロリストですからね。容赦はせずに行きますよ」
 魔人のオーラが機体を墨めいて染め上げ、不気味な迫力を醸し出した。
 希望を叩き潰す絶望の先触れとして、これ以上ない見た目と言えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

遠桜・星黎凪
味方すらも巻き込むなんて…
いえ、でしたらわたし達が彼らを殺さずけれど迅速に打ち倒せばよいだけのこと!
では、いきましょうか!

【桜爛漫】を使用
操縦自体は楽しみ、戦闘は理性的に!

ダッシュや推力移動で機動しつつ
敵の攻撃は
センサーによる情報収集から瞬間思考で次の動きや軌道を読んで
建物や敵機の陰を利用して回避
回避しきれなかったら「閃桜」による対抗射撃で撃ち落としたり「天桜剣」で切り払い

攻撃時も関節部を狙って切断や狙撃することで、パイロットを生かしたまま無力化させます

一応、「殲禍炎剣からの反撃でこの国が滅ぼされてしまわないよう、殲禍炎剣への攻撃を止めに来た」っていうのを敵軍に伝えつつ戦います



●弾む心、醒めた頭
 暮れ始めた空に、少し早い『夜桜』が跳ねるように舞い踊る。
 敵の攻撃で街が破壊されないように、あえて姿を見せつつ弾幕を回避する。
 熟練のキャバリア乗りでも不可能に近い仕事を、遠桜・星黎凪は楽しげにこなす。
「味方すらも巻き込むなんて……そうさせるまえに、迅速に打ち倒します!」
 対キャバリア徹甲弾が夜桜の装甲をかすめ、火花が黒の中の桜を照らした。
 星黎凪は臆することなく、弾幕の中に飛び込んでいく。
「くそっ、なんて機動力だ! 照準を合わせても追いつかない!」
「エイミングシステムは頼れん、目視で行き先を読むのだ!」
 敵は120mm滑腔砲を構え、無数の対キャバリア徹甲弾で弾幕を張っている。
 その照準は、星黎凪ほどのアンサーヒューマンですら回避が至難だった。
(少しでも気を抜いたらやられる……このスリル、最高ですね!)
 星黎凪は危険を、キャバリアを操ることを楽しむが、快楽狂ではない。
 一刻も早くこの防衛網を突破し、事態を防がねばならないという認識を冷静に持つ。
 矛盾しているようだが、彼女の中で任務達成と「楽しむこと」は同居しうるのだ。

 戦線が住民の避難で無人化したブロックに入ると、星黎凪は作戦を変えた。
 小規模のジャンプではなく、推力移動による地上戦へ移行したのだ。
 この戦場は星黎凪にとってアウェイだが、夜桜の演算力を借りれば地形のシミュレートは容易である。
 事前に集めた情報の甲斐もあって、星黎凪はまるで故郷のように地形を把握していた。
「撃て! 撃てーッ!」
 ドウン! 対キャバリア徹甲弾が、無人のビルを貫通する。今のは危なかった。
(この距離なら、突撃したほうが早いですね……行きますよ!)
 星黎凪は敵の砲撃の合間を突き、ビルを飛び越える形で一気に突撃。
 飛来する徹甲弾を『天桜剣』で切り払い、滑腔砲の懐に飛び込んだ!
「おのれ、なんという速度……だが!」
 振るわれた剣と、とっさに抜き放たれた太刀が激突、両者は後退!
「通告します! 我々はテロリズムや他国の政治的意図ではなく、独立した集団として、起こりうる悲劇を止めるためにここへ来ました!」
 星黎凪は通信を開いて叫んだ。
「あなたがたの作戦は確実に失敗します。殲禍炎剣の反撃が来れば、公国全体が焼け野原になるんですよ! だから攻撃を止めに来たんです!」
「何を戯言を……構うな、撃てーッ!」
「……まあ、そうなるでしょうね。ですがこれで通告はしましたよ」
 星黎凪は弾幕を切り払い、一機また一機と関節部を破壊し敵機を行動不能に陥らせる。
 言葉で矛を収めてくれるはずがないことなど、百も承知だった。
 これは対外的なアピールであり、戦後に備えた処置であり……。
「こうなった以上は、全力で行きますからね!」
 星黎凪からの、ある種の宣戦布告でもあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネグル・ギュネス
敵を殲滅するだけならわけはない
被害なんざ気にしなければ、被害、なんざ──(妻がいるんだ)(働きに出てて)

…クソが
悪が、何を引っ張られてんだよ、馬鹿が

マシンにも弱点はある
視界となるカメラがデカく狙い撃ちしやすいのと、関節部はやはり人と同じように脆い、あとは機械だってことだ

物陰に隠れ、無線とカメラをハッキング、5秒騙せれば良い
混乱したところで、カメラ部分を射撃
師匠が優秀なんでね、外さない

すぐにポイント移動し、ハック、撃つ、或いは潜り込んで斬る
殺しはしない、行動不能にするだけだ
止まらず、障害物を利用して、迷彩を纏い暗躍する
我が友のように

死にたいやつは、好きに死ね
遺した人間を絶望に叩き落としたい奴はな



●悪は無慈悲でなければならず
 己は悪である。
 人々の希望を叩き潰し、英雄を堕とし、国を平らげに来た、悪である。
 悪は情に流されることはない。
 悪は躊躇などしない。
 悪は目的だけを達成し、絶望だけを残す。

 ――そのはずだ。そうあるべきなのだ。
 だが、ネグル・ギュネスは、脳裏によぎる人々の笑顔を消しされなかった。

 ――よくわかるな。妻がいるよ。今の時間は市街地に働きに出てるはずだ。

「……クソが」

 ――いやまったく、こんな世の中でもありがたい人がいるもんだねえ。

「……悪が、何を引っ張られてんだよ、馬鹿か」
 ネグルは鋼の拳を握りしめた。だが、鋼の拳は痛みさえも伝えてくれない。
 奥歯を噛み締め、ハッキングに集中する。5秒騙せればそれでいい。
「なんだ!? カメラがエラーを……うわああああっ!?」
 BLAMN!! 敵がうろたえたところに精密なスナイプ。キャバリアが火を吹いた。
「"師匠"が優秀なんでね。外さない」
 駆動部を撃ち抜かれて沈黙したキャバリアに駆け寄り、刀でとどめを刺す。
 無論、動作的な意味でだ。兵士には手を出さない――殺せば話が早いのはわかる。
 それでも、殺さない……彼の行動をお人好しと誰が謗れよう?
 これは、オブリビオンが振りまく何の意味もない絶望とは違う。
 彼らを真の絶望から救い出すための、偽りの希望を奪うための破壊。
 希望も喜びも、平和への憧憬さえもなくなったとしても、命だけはあるべきだ。
 ……そうでなければネグルは、全身がばらばらになりそうな気持ちに耐えられない。

「敵性体を発見した! 全機、攻撃開始!」
「我らの希望を奪うテロリストめ……命を賭けて必ず止めてみせる!」
 漏れ聞こえてきた声に、ネグルは己を強いて冷たく昏い表情を作った。
「死にたいやつは、好きに死ね――遺した人間を絶望に叩き落としたい奴はな」
 希望を奪おうとしている者が、なんて傲慢な言葉だろうか。
 浮かべた自嘲の笑みを傲慢なものに見せかけて、悲しみを背負う男は戦場を征く。
 たとえその行いが誰にも理解されないとしても、ネグルは止まれなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳴宮・匡
キャバリアを起動、【影装の牙】で武装する
装甲は最小限に
距離と一度に対応する敵数に応じ
銃器とその長所を作り変えて立ち回る

味方を巻き込むのもお構いなしか
このために死んだって構わない、って?
……狂信ってのは怖いよな

けど、生憎
十数年、そういう戦場で生き続けてきた
生身がキャバリアになったところで変わらない
碌に狙わない無差別な砲撃なんかに当たってやるつもりはない
その戦い方、自分たちの首を絞めるだけだぜ

戦場全体を常に意識の内に入れて交戦
一度に攻撃を仕掛けてくる数は限られてる
予備動作を見切り、機先を制するように撃ち抜いていく
もちろん殺さず、無力化する程度だ

……まあ
待ってるのは死ぬより辛い現実かも知れないけどな



●狂信の恐ろしさ
『ジャンゴ』の全身を影が覆い、薄いヴェールめいて装甲に"滲み込んだ"。
 一見すると装甲を強化しているように見えるが、実際のところは逆である。
 装甲を最小限に抑え、機動力や攻撃回数を劇的に強化する。
 この影は鳴宮・匡と一心同体ゆえに、増幅も減少も自由自在だ。
 どんな距離、どんな敵種だろうと、即座に対応した武装を作り出せる。

 そして敵は、自国を燃やすことさえ厭わずに砲火を放った。
「テロリストをこの先に通すな! ジャンゴ少佐に笑われるぞ!」
「必ずやこの空を取り戻すために……諦めるなよ!」
 と、オープンな回線から、敵兵たちの鬨の声が聞こえてくる。
「目的のためなら、味方を巻き込んで死んだって構わない……か」
 狂信。希望を達成するという「正義感」が、奴らの心を支配していた。
 なるほどそれは「正しい」感情だろう……作戦が成功する可能性があれば、だが。

「――ああ、そうだな。怖いよな」
 だが、そうではない。そして戦場において、「正しさ」など何の価値もない。
 そういう感情が、己を誤魔化し麻痺させるためのものだと匡は知っている。
 なぜなら彼は戦場(ここ)で育ち、戦場で生きてきた。
 人間の精神はもろく弱い。人を殺すことを耐えるには才能が要る。
 大義、金銭、生存――理由をつけて心を殺さなければならないことを、知っている。

 匡は砲撃を回避し、アサルトライフルの徹甲弾をぶちまけた。
 敵はシールドでガードする。その隙にさらに突撃、駆動部にハンドガンを撃つ。
 生身がキャバリアになろうと変わらない。やることは同じだ。
 背後で無人のビルが燃える。振り返ることはない。それは仕事に必要ない。
「こ、こいつ、動きが効率的すぎる……ッ、パイロットはどんな化け物だッ!?」
 ザザッ、と回線がノイズまみれになり途切れた。機体がぐらりと膝を突く。
 パイロットは殺していない。彼らは狂信に取り憑かれたとは言え国軍の兵士。
 生きていれば国を守る役目がある――国が国として機能していれば、だが。
「殺しはしないよ。……死ぬより辛い現実が待ってるかもしれないけど」
 それを可哀想とは思わない。これは自業自得だし、戦争はそういうものだ。
 燃え盛る戦火の生み出す影に、波のように静かに沈んで敵を討つ。
 どこまでも冷たく、昏く――その闇の恐ろしさを知るがゆえに、彼はそこに立てる。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミレア・ソリティス
1・2層の部隊がこちらを押し止め砲撃で葬る為の囮の可能性も考慮し、
「襲撃」を公国側が把握する前に「重要防衛対象」である砲塔近隣まで肉薄する事を目指すべきと判断します

侵攻開始とともにUCで変形、地面すれすれを推力移動しUCでの認識阻害ジャミングを展開しつつ、迅速な敵防衛目標への肉薄を狙います
途中遭遇した敵機に対しては『ジャミングミサイル』→接近時に格納していた『ペインレス・セイバー』でのナノマシンを浸透させる斬撃で無力化を狙い、Oマシンであれば追撃し完全に停止させます

後は目標近辺で砲塔の解析を行いつつ、
敵意識を市街地や味方から「目の前の」私へ向けさせ、囮として振舞います

※アドリブ連携歓迎です


アトシュ・スカーレット
うへぇ…混ざってんのかよ
しゃーね、暴れますか

生身で相手すんぞ
Fragarachを大剣形態にさせて【属性攻撃(雷)/怪力/鎧無視攻撃/呪詛(腐敗)】でいくか
カメラとかセンサーぶっ潰せねぇかな…
隙をついて【指定UC】でカメラとか狙うか
前、メカ相手にしてひでぇ目にあったから串刺しにはしねぇぞ

アドリブ、連携大歓迎


アルカ・スィエラ
……ッ!
一体、誰の、何の為に戦っているの、あなた達は……っ!!

突入と共にドラグレクスを転移召喚し【ドラゴニックロアー】を!
これで殆どの「ただの機械や兵器」はマトモに動かなくできる筈
……残る「自我のある機体」にはルーナグラディウスでの砲撃から推力全開で切り込み、
そのまま実体剣モードで切断する!!

多少の損傷は平気、今は早く制圧を…!


(それと……これ以降、もし砲塔を破壊するような事態になった時には
……【ルクス・ソリス】を使う)
(この失敗は武装勢力の攻撃のせいだ、等と言い訳させず
あなた達の希望は、「天からの光」に屈したのだ、と示すために)

(……どこまでも、自己満足でしかないけれど)
※アドリブ連携他歓迎


秋由良・インテグラ
さて……あなた達の希望を、絶たせてもらうわ。

キャバリア【インフィニティ/B16A】に搭乗して作戦を行う。
障害物が多いみたいだし【カバーアクション】を駆使して敵を減らすわ。
マークスマンにサルヴォミサイルにアームブレイド。全て駆使して市街地に被害が及ばないよう速攻をかける。
あなた達の正義をぶつけてきなさい。聞くだけは聞いてあげるわ。

まぁ、なんていうの?今は空に唾吐くのは止めたほうがいいんじゃない?自分の顔にかかるだけよ。
上を見上げるの止めてもうちょっと周りを見てみたらどう?他にすることあるんじゃない?

※アドリブ連携歓迎



●ぶつかり合う正義、広がる戦火
 ビルの林立する大通りを、戦闘機形態に変形したミレア・ソリティスが通過する。
 地面スレスレの、音速をはるかに超えた高速飛行、まさしく曲芸だ。
 ミレアが通り抜けたあとには、ソニックブームで割れ砕けたガラスが花びらのようにきらきらと舞い踊った。
「見つけたぞ、敵機体だ! キャバリアではないがすさまじく疾い!」
「このシステム障害も奴のせいか……動けなくなる前に叩き落とす!」
 すでに散布されたジャミングミサイルとナノマシンによってかなりの機体が無力化されていたが、いまだミレアを付け狙う敵キャバリアは多い。
 滑腔砲が対キャバリア徹甲弾を吐き出し、無人のビルを破壊する。
 倒壊したビルの瓦礫をミレアは躱す、土煙が舞い上がり爆炎が空を染めた。
「……ジャミングミサイル、追加生成完了。攻撃開始」
 ミレアは極力攻撃が自分に集中するよう囮として意識し、敵を集めた。
 道路が爆ぜ並木が焼け、アスファルトが破片で融ける。まさしく地獄絵図。
 問題の「砲塔」への接近は徹底的に阻まれている。敵も伊達ではないか……!

「……ッ!」
 広がり続ける戦火と、それが生み出す惨状に、アルカ・スィエラは憤った。
 世界に希望を取り戻すため、空を解放しようとする英雄たち。
 だが実際にやっていることは、いたずらに国土を焼く無益な行為……。
「一体、誰の、なんのために戦っているの、あなたたちは……ッ!!」
 アルカの機体『プロトミレス』の頭上、機竜『ドラグレクス』が転移出現した。
 鋼の竜は雄叫びをあげ、自我なき機体――つまり通常のキャバリアを機能不全に陥れる力ある敵意を放つ!
「行くわよ……これ以上戦火は広げさせない、全員黙らせるッ!」
 ジャミングミサイルの影響もあって多くの機体が機能不全に陥るなか、
 少なくない機体がゆらりと立ち上がり、実体剣を引き抜いた。
 ドラグレクスの咆哮(ロアー)に耐えられるのは、自我を有する機体のみ。
 すなわち狂気もたらすオブリビオンマシンであるという証左だ。
「くそっ、システムダウン……! 再起動まで持ちこたえてくれ!」
「ああ、任せておけ。悪しきテロリストしても食い止める……!」
 だが、おお……狂気に呑まれたオブリビオンマシンのパイロットと、そうでないはずのパイロットは目的を同じくし、連携すらしていた。
 オブリビオンのそれでなくとも、彼らは狂信という狂気に呑まれていたのだ。
 この空を絶対に取り戻す――恒久的平和を実現するという「正義」に!
「テロリストでもなんでも好きに呼びなさい、けれどッ!」
 ルーナグラディウスと太刀型近接武装がぶつかりあい、火花を散らした。
 強烈なチャージから繰り出された斬撃の衝撃が大気を揺らし、燃え落ちたビルの残骸を吹き飛ばす。
「自分の国を焼いてまで達成される正義に、なんの意味があるというの!?」
「テロリストごときが戯言を! 100年の戦乱を終わらせることに比べれば、我らの故国が燃え上がることなど必要な犠牲でしかない!」
 再び鋼と鋼がぶつかり合う。粉塵が吹き飛び、敵小隊と高速のドッグファイトを繰り広げるミレアの姿が現れた。
「そんな勝手な理屈、認めるわけにはいかない……ッ!」
「ならば認められぬままに死ね、テロリスト! 希望の礎となれぇっ!!」
 激突、激突! そのたびに道路が割れ、粉塵が噴き上がり、炎を斬り裂いた。
 アルカは決して退かない。ここで退いてしまえばなんのための己かわからなくなる!

 ――BRRRRTTTTT!!
「なあっ!?」
 次の斬撃を繰り出そうとした敵キャバリアの駆動部に、吸い込まれるように機関砲が叩き込まれた。
 シールドの守りを掻い潜る見事な射撃。横合いからインタラプトを仕掛けたのは、秋由良・インテグラの駆る『インフィニティ/B16A』だった。
「そう、それがあなたたちの正義、そしてあなたたちの希望なのね」
「き、貴様、卑怯な……」
 BRRRRRTTTT! 機関砲『RSマークスマン』がダメ押しの弾雨を浴びせ、キャバリアを黙らせる。
 コクピットと動力部は避けられている。小爆発を起こしてキャバリアは停止。
「ええ、そうでしょうね。私たちは卑怯で卑劣で、そして後先を考えない「悪者」なんでしょう。そう思っていればいい、そのほうがきっと楽だから」
 インテグラの声はどこまでも冷たかった。彼女は兵士の感傷に寄り添わない。
「……私たちはあなたたちの希望を絶ちにきた。何があろうと確実に。
 だから好きなだけ正義をぶつければいいわ、聞くだけは聞いてあげるから」
「あ、ありがとう――って、後ろ!」
「!」
 アルカの通信音声に、インテグラは振り返りざまにアームブレイドを展開。
 ビルの物陰から飛び出した敵キャバリアの太刀型実体剣と、ブレードが激突!
 ルーナグラディウスと違い、インフィニティ/B16Aのアームブレイドはあくまで護身用。
 そう簡単に壊れはしないが、速度を乗せた斬撃を受け止めきれず、インフィニティはがりがりと地面を削りながら後退した。
「よくぞほざいたテロリスト! ならばその命を以て知れ、我らの大義を!」
「……今は空に唾吐くのはやめておいたほうがいいと思うんだけれどね」
 インフィニティ/B16Aは脚部バーニアで攻撃の衝撃を後退に活かし、林立するビルを盾にすることで敵の追撃を躱した。
「この状況であそこまで動いてるってことは、相手はオブリビオンマシンよ。注意して!」
「情報共有感謝するわ。一筋縄ではいかなさそうね」
 アルカの通信にインテグラは応え、ホーミングミサイルで牽制しつつビルからビルをすり抜けるように渡っていく。
「味方キャバリアの交戦を確認、援護します」
 そこへミレアが合流、ジャミングミサイルがフレアめいて撒き散らされ敵キャバリアのシステム系を誤認させた。
「邪魔をするなッ!」
 敵キャバリアは太刀型実体剣で弾幕を切り払い、猛スピードで突撃する。
 オブリビオンマシンの狂気がなせるわざか? あるいは正義という狂気ゆえか?
 どちらでもあるのだろう、兵士の士気は異常に高く、練度もまた同様!

「ったく、混ざってやがるから手間がかかる……そこだッ!」
 その時ビル群から飛び出したのは、なんと生身の少年だった。
 ジャミングミサイルの効果で識別システムが破壊されていたため、敵兵士は少年――アトシュ・スカーレットの不意打ちに気づけない。
 連結大剣『Fragarach』の斬撃がカメラを完全に破壊し、敵兵士の目を潰す。
「何ッ!? 生身で我が大風を欺くだと……!?」
「いくらキャバリアだろうが、カメラもセンサーも潰されりゃどうしようもないだろ」
 アトシュは空中を蹴るようにして太刀型実体剣の斬撃を躱し、懐に飛び込むと装甲の隙間の駆動部に刃を滑り込ませた。
 これで「目」は死んだ。事実上の無効化――否、敵はコクピットハッチを開いた!?
「こいつ……!」
「機械の目が頼れるなら、肉眼で戦うまでよォ!」
 アトシュは舌打ちした。串刺しにして殺すのは簡単だがそれでは意味がない。
 オブリビオンマシンの狂気は、パイロットの意思を歪めているのだ。
 ……しかし、この兵士は、本当にオブリビオンマシンに囚われたからこんなことをしているのか?
 ならばなぜ、オブリビオンマシンではないキャバリアに乗っている兵士が、必死にシステムを再起動させて立ち上がろうとしている?
(卵が先か鶏が先かだ、考えても仕方ねぇ……!)
 アトシュは続けざまの横薙ぎ斬撃を躱し、振るわれた太刀を足場に駆けた。
「今は! 動けなくなってもらうぜ!」
 大剣が関節部を破壊! 両腕が脱落して、ついで腰部ユニットが破壊された!
「く、くそぉ……!」
 ガラクタと化したオブリビオンマシンが仰向けに倒れ、パイロットは脱出する。
 じきに彼は正気を取り戻すだろう……だが正気とはなんだろうか?
 狂気に呑まれていないはずの兵士が自国を焼くこの地獄じみた有様で、何が正気だというのだ……?

「……ッ、ここは一気に攻め込もうぜ! 動けないうちに連中のキャバリアを沈黙させる!」
「……そうね。咆哮だけで足りないなら、物理的に破壊するしかない」
 アトシュの言葉に、アルカは頷いた。
 これは、戦争だ――きっかけはオブリビオンマシンだとしても、少なくとも敵兵士は自分の意思で戦い、そして国土を焼いている。
 アルカはそれが許せなかった。許してしまえば己が己でなくなるような気がした。
「残存敵部隊の攻撃はこちらで惹きつけます、皆さんはその間に攻撃を」
「ええ、周りを見ることも出来ない頭でっかちどもには灸を据えてやるわ」
 ミレアの言葉にインテグラが頷き、インフィニティ/B16Aはビル群を縫うようにして加速する。
「――……正義を心に宿せば、それを実現するために戦わずにはいられない。
 どんな国、どんな人種、どんな世界であろうとも、それは変わらないのね」
 インテグラはちらりと空を見た。暮れかけた空は、表向きは平和だった。
 それは暴君の君臨によって維持される偽りの静謐であり、傲慢なる支配の静寂だ。
「……気持ちはわかるのよ、気持ちは」
「ですが今は、一刻も早く砲塔を破壊する必要があります。
 それが我々の任務であり……そして、この戦火を止める唯一の方法でしょう」
 ミレアの言うことを、誰も否定しなかった。彼女が正しいのだ。
 戦いを終わらせるために戦う、その矛盾を抱えて彼らは戦場を駆ける。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

アニエス・アルカンシェル
エミリアさんと(f30193)

アルカンシェルの推力であれば重装型には優位に立てるでしょう。
エミリアさんから共有されたデータを活用し攻撃の回避と敵の誘導を行います。
私とてアンサーヒューマン、情報処理に問題はありません。
建物など遮蔽を活用して多対一の状況を避けつつ、
【戦闘機動・蜘蛛の巣断ち】にて各個撃破していきます。

ビットからの射撃と斬撃の集中が基本ですが、
余剰のビットは攻撃対象以外への牽制として用います。

猟兵であればオブリビオンマシンを判別できるのは幸いです。
無差別砲撃を考慮するなら通常機は撤退用の機動力を失わない程度に無力化したいですね。
それでも引かないのであれば、悪いですが容赦はしません。


エミリア・ジェフティー
アニエスちゃん(f31989)と

向こうの精鋭部隊も流石に必死ですね
色んな意味で無駄な抵抗だっていうのに、よくもまあ
…さっさと引導を渡してやりましょ

脱出した兵が砲撃に巻き込まれたら元も子もないですし、とにかく前に突っ込みましょう

アルバトロス、広域展開
戦場をスキャンして敵の行動や支援射撃の弾道をリアルタイムで予測演算、アニエスちゃんにフィードバックします
膨大なデータ量だと思いますが…まあ大丈夫でしょ
見せて下さいよ、天然物の瞬間思考力を
私もサイコアクセラレータの機能で擬似瞬間思考力を発揮、演算データと超感覚も併用して状況を予知
アニエスちゃんの動きに合わせて散弾砲とリッパーで敵機を無力化していきますよ



●無益なる戦い
「向こうの精鋭部隊も、さすがに必死ですね……」
 各猟兵たちの奮戦を俯瞰し、エミリア・ジェフティーは呆れた声で嘆息した。
 敵の抵抗は想像以上に苛烈だ。オブリビオンマシンの狂気もあろうが、それ以上に彼らの「空の支配を取り戻す」という大義と、その大義に賭ける「正義感」が、彼らに死にものぐるいの戦いをさせているのだろう。
「色んな意味で無駄な抵抗だっていうのに、よくもまあ」
「戦いは、すべて無益なものですよ」
 アニエス・アルカンシェルが、エミリアに言った。
「どんな大義があろうと、どれほど正義に守られたものであっても、戦いが生み出すのは死と絶望だけです。私たちもそのためにこの作戦に参加したんですから」
「まあ、そうですけどね……ならせめて、さっさと引導を渡してやるしかありませんね」
「そういうことです。迅速に終わらせましょう」
 アルカンシェル、およびセシャート、アクティブ。
 広がり続ける戦火を食い止めるため、両機は地獄と化した市街地へ飛び込む!

「新たな敵キャバリアの接近を確認、数は2!」
「速いな……こちらのスピードでは追いつけないか。だが!」
 DOOOM!! 120mm滑腔砲が近代マスケット部隊めいて横列を組み、対キャバリア徹甲弾を斉射!
「いきなり弾幕でお出迎えですか、でも……『アルバトロス』、広域展開!」
 セシャートに追従する多数のドローンが、敵砲弾の予測弾道を演算、算出。
 打ち出されたデータはアルカンシェルと即座に共有され、視覚に投影される。
 もっともアニエスは、データを見た時点ですでに「答え」を見出しているが。
「なっ!? あ、あの弾幕を無傷で掻い潜るだと!?」
 敵兵士は驚愕した。アルカンシェルとセシャートの動きは舞めいていた。
 隙間なき弾幕の隙間を見出し、すり抜けるようにして躱してしまう。絶技!
「こちらを甘く見ていますね。せめて倍の物量を容易すべきですよ」
 アニエスは冷たく言い、さらなる追撃をビル群に紛れることで防いだ。
 無人の高層ビルが徹甲弾によって穴だらけになり、音を立てて崩落する。
 アルカンシェルはすでにそこにはいない。眼を見張るような速度の推力移動!
「膨大なデータ量なので大丈夫かと思いましたが、さすがですねその瞬間思考力!」
「私とて、アンサーヒューマンですから。情報処理に問題はありません」
「天然物は伊達じゃない、ってことですか。これは負けてられません!」
 エミリアはサイコアクセラレータを起動、アンサーヒューマンの持つ瞬間思考力をテクノロジーの力で疑似再現し、鏡合わせめいてビルのあわいを駆け抜ける。
 敵がどのように展開し、何の武装を構え、どうやってこちらを止めるつもりなのか。
 まるで障害物を透視して、神の視点で見下ろしているかのように、すべてがわかった。

「各機、連携を維持しろ! 敵は一対一でこちらを潰しに来るはずだ!」
「了か……う、うわあああああっ!?」
 敵兵も、けして練度の低い三下などではなかった。
 アニエスとエミリアの狙いが、多対一を避けての各個撃破であることは言うまでもなし。
 ゆえに常に編隊を組み、数的有利を維持しようとした――そう、"した"。
「一体撃破しました。通常機のようでしたので、機動力は残してあります」
「砲弾に巻き込まれても困りますからねぇ、撤退してくれることを祈りましょう」
 少女たちはそんな言葉を躱しながら、ビット射撃および散弾砲で敵を片付けていく。
 害虫駆除じみた、一切の無駄のない完璧なまでのヒットアンドアウェイ。
 仮に敵が三倍の戦力を用意して飽和攻撃を仕掛けたとしても、二機は生き延びただろう。
 絶対的な性能差――機体としてもパイロットしても、あまりに格が違う!
「化け物め……ッ!!」
「心外ですね」
 歯噛みする敵兵の言葉に、アニエスは言った。
「私たち、普通の女の子なんですけどねぇ?」
 エミリアは冗談めかしつつ、別の敵機体の駆動部をリッパーで貫いて沈黙させた。
 別次元の戦い――これが、「答え」を見出す者たちの住まう世界なのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

牙・虎鉄
◆ヒュウガと

民の夢を砕く、か。
必要ではあれ寝覚の悪い仕事だな。泥を被る仕事は慣れているか、ヒュウガ?

……そうだな。
慣れるべきでもない。
だが誰かがやらねばならぬ。

……何にせよ一先ずは
鼻先にいる連中を片付けねばならんらしい。
彼奴らに気つけの拳を見舞ってやるとしようか。

【竹藪】。
遮蔽物が多いのは有難い。
それに近くには"フーガ"もいる。

「周辺の建造物」「フーガ本体」「フーガの出すフォトン力場」を己の足場とし地形利用、生身で縦横無尽に駆け回る(空中戦)。

あとは竹藪に潜む虎が如く、最小限に纏ったシャンユエの機甲と己の功夫以って、獲物を刈り取るのみ。

戦法と気の合う友がいると捗るな。さて、先に進もうか。


風祭・ヒュウガ
◆虎鉄と

――無いワケじゃねェよ。
戦いは別にオブリビオンとだけ、っワケでもなし。
……慣れたくは、ねェけどな。

トラの言葉にそう返して

洗脳されてる奴もハイになってるだけの奴もまとめてお出ましってか……
いいぜ、ぶん殴って目ェ覚ましてやんよ。――歯ァ食いしばりな!!


全身にフォトン力場を纏い、縦横無尽に戦場を駆け巡る
数の多い敵をまとめて吹っ飛ばす、敵の目を惹いて小回りの利くトラに好きに動いて貰う――そういう寸法だ
なに、一撃でぶっ壊しはしねぇさ――動けなくは、なってもらうがな!!

トラの奴、フーガのフォトン力場さえも足場にしやがった――
ヘ、何でだろうな、いいように使われたってのにちっとも悪い気はしねェ!!



●誰かがやらねばならぬこと
「民の夢を砕く……か」
 牙・虎鉄は、閉じたままの瞼で風祭・ヒュウガを――彼が駆る『フーガ』を見た。
「必要ではあれ、寝覚めの悪い仕事だ。泥を被る仕事は慣れているか、ヒュウガ?」
「その手の仕事は、学園に居りゃあ経験することにはなるさ」
 ヒュウガはそう答えるが、彼の声音はあまり明るい感じのものではなかった。
 それは当然だろう――この世界の戦乱のきっかけがオブリビオンマシンとて、
 争い戦うすべての戦士のマシンが、オブリビオンというわけではない。
 広がった戦火は、正気であるはずの兵士をも飲み込む……そう、今のように。
「慣れたくは、ねェけどな。お前だってそうだろ、トラ」
「……そうだな」
 虎鉄は曖昧に返した。あいにく思索は打ち切らねばならない瞬間である。

 なぜなら無数の弾幕が、砲声が、ふたりを出迎えたからだ!
「慣れるべきではない、だが誰かがやらねばならぬ。ならば我らがやるまでだ」
「ああ……洗脳されてる奴もハイになってるだけの奴も、まとめてやってやる」
 ふたりは自国さえも焼く砲火を避け、さらに加速した。
「ぶん殴って目ェ覚ましてやんよ――歯ァ食いしばりな!!」
「気つけの拳を見舞ってやる。ただし、手加減は出来んぞ」
 信念を乗せた拳で弾丸を弾き飛ばし、ふたりの少年が戦場を駆ける。
 かたや生身である。しかし、フーガと虎鉄の速度はほぼ同等だ。
「先行かせてもらうぜ、ついてきなッ!」
 そこでフーガが一歩前に出る。機体の全身をフォトンの力場が覆った。
 瞬間、空気抵抗を激減させたフーガは、フォトンの反作用により大きく加速。
 並の砲撃では、分厚く展開されたフォトン力場を突破することは不可能だ!
「来るかテロリスト、我らの理想はそう簡単に潰えはしないぞ!」
「何が理想だ、おれの拳で目ェ覚ましやがれ!」
 敵は肩部シールドでチャージを仕掛け、真正面からフーガと激突!
 さすがは重量級キャバリアか、全速力のフーガの突撃をこらえてみせた!
「おらァ!!」
 しかし、推進力と威力は、どう考えてもフーガとヒュウガのほうが上だ。
 踏みこらえる敵キャバリアを強引に押しのけ、フーガはさらに加速!
「チェストォオオオ!!」
 分厚い太刀型実体剣による斬撃! フーガはその刃をがちりと握り止めた!
「いい腕してやがるな……勿体ねえぜ、てめぇらみたいな兵士が目ェ曇らせてるとはよ!」
「う、うおおおおっ!?」
 そして掴んだ刃ごと敵キャバリアを振り回す。豪傑の如き暴れっぷりだ。
 ハンマーよろしく勢いをつけた敵キャバリアを、別の敵小隊へ投擲! KRAASH!!

「あの機体、なんて頑丈さだ! エネルギーフィールドを纏っているのか!」
「撃て、撃て! いくら無効化出来るとしても弾幕を浴びれば動きが鈍る!
 動きを止めたところを総攻撃で叩き潰すのだ! 被害など考えるなぁ!!」
 大暴れするフーガに気を取られ、敵は虎鉄の存在を忘れていた。
 それこそがヒュウガの狙いであり……虎鉄は障害物に隠れて敵の背後に回っている!
「此処はいま、猛虎潜む竹藪の中と心得よ――迂闊に動けば」
 だんっ!! とビルの壁面を蹴り、虎鉄は敵キャバリアに急接近。
 拳にシャンユエの機甲を纏い、脊髄をへし折るかのような拳を見舞った!
「ぐ、ぐあああああっ!?」
「な……背後だと!? しかしキャバリアの反応は――生身!?」
 SMASH!! うろたえた敵キャバリアの頭部を回し蹴りで破壊!
「虎の爪牙で狩られるものと知れ」
 虎鉄はふわりと空中に降り立つ――フーガの展開したフォトン力場に。
 そしてフォトン力場を地の如く蹴ると、立体的な機動で次の敵を襲った。
「戦法と気の合う友がいると捗るな。このまま頼むぞ、ヒュウガ」
「お前……フォトン力場まで足場にしやがるのか!」
「何かまずかったか? 不作法であったならば詫びよう」
 虎鉄の言葉に、しかしヒュウガはにやりと笑った。
「へ……なんでだろうな、他の野郎だったらブチギレてるところだが……。
 てめぇに使われんのは、ちっとも悪い気がしねェ。このまま行くぜェ!!」
「そうこなくてはな」
 虎鉄は頷き、瞑目したまま稲妻あるいはピンボールめいて次々に敵を破壊する。
 お互い示し合わせずとも、必要な場所にその身を置いて互いを支援した。
 まるで一心同体のようなコンビネーションに、敵キャバリア部隊は打つ手なし!
 閉じられた岩戸をこじ開けるかのように、ふたりは市街地中心部へと猛攻を仕掛ける――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

十拳・一二三
※儚・ソラ(f30723)と
※アドリブ歓迎

作戦直前:
砲塔で絨毯爆撃は困る
作戦は“狭い路地に誘い、建物の倒壊に巻き込んで一網打尽”
「ワンダラー了解。信用してるぜリベリー21、なんせ俺の命がかかってる」
(作戦中は互いにコードネームで呼称)


行動開始:
戦闘中ヒャッハー口調
①自身を深追いさせる
奇襲しすぐに撤退。例の美人から頂いた秘密をスピーカーで暴露し挑発(例:なぁ隊長!アンタそんなナリで夜は三擦り半なんだってェ!?)
②自身を雑魚だと錯覚させる
敵の攻撃は瞬間思考力頼りで避けるが、途中で自身の腕をわざとパージして手負い感を演出

ポイント到達後指定されたビルにC4を投げ込んで爆破
「コレでもくらっとけコラァ!」


儚・ソラ
※十拳・一二三(f31985)と
※アドリブ歓迎

「情報収集を開始すると僕は戦闘行動を行えません。前衛をお願いします、ワンダラー」
「システム・ソムニウム起動。空間情報と敵座標入力。解析開始」
因果の解析、すなわち因果律操作システムの実験機。
それがCSQN-404ソムニウムと儚・ソラの秘匿された役割である。
ステルスで身を隠したまま戦場の情報を分析します。

「ワンダラー、このポイントまで敵機を誘導してください」
多数の敵機が巻き込まれ、戦闘不能になり、パイロットは助かる。
そんな偶然が起きる因果を導き出し、その場所に誘導します。

「これでチェックメイトです」
ワンダラーの一撃でビルが倒壊し、その偶然が発生する。



●導き出された必然の偶然
 戦場に立った十拳・一二三と儚・ソラは、もはや仲のいい男子コンビではない。
 互いをコードネームで呼び、任務を達成することだけを考える「戦士」だ。
「情報収集を開始すると、僕は戦闘行動を行えません。前衛をお願いします、"ワンダラー"」
 ソラ……コードネーム・リベリー21は、システム・ソムニウムの起動準備を進めながら"ワンダラー"に言った。
「ワンダラー了解。信用してるぜリベリー21、なんせ俺の命がかかってる」
「問題ありません。すでに準備は済んでいます、あとは任せてください」
 ソラがそう言うと、彼の駆る『CSQN-404 ソムニウム』がステルス状態に。
「システム・ソムニウム起動。空間情報と敵座標入力。解析開始」
「んじゃ始めるとするか……せいぜいかき回してやるぜ!」
 一二三の駆る量産型キャバリア『ボイジャー』が、闇に沈み込んだ。

 ビルの林立する近代的風景は、ゲリラ戦を行うための格好のフィールドだ。
 すでに事前の入念な調査により、ふたりは地形をおおよそ把握している。
 敵の配置も同様……あの未亡人から手に入れた情報のおかげで、警備兵たちの"説得"は大いにスムーズに進んだ。
「クソッ、テロリストどもめ……ここは絶対に通さん……!」
「ハッ! 後ろに目もついてねェくせに偉そうなこったなァ!?」
「なっ!?」
 路地裏から飛び出した『ボイジャー』に、敵小隊は反応が遅れた。
 一二三はその一瞬の隙を突き、対キャバリア用電磁ナイフを機体駆動部に突き刺し、抉る――敵キャバリアは痙攣するかのように小刻みに動き、仰向けに倒れた。
「き、機体の駆動系を一撃でやられた! くそぉ!!」
「こんな近くに潜み込んでいたのか……! 全員、攻撃開――」
「なぁ隊長、アンタずいぶん夜はお盛んらしいなァ? 軍の金を使って豪遊たァいいご身分じゃねえか、えぇ!?」
「何を……!?」
 一二三の挑発は、少なからず敵小隊の隊長のメンタルを揺らした。
 希望の象徴である公国兵士が、軍の経費を流用して遊び放題……士気に関わる重大なスキャンダルではある。
「た、隊長! これは一体……」
「ええい、構うな! 今は敵を倒すことだけを考えろ!!」
「は、はッ!」
 DOOOM!! 120mm滑腔砲から放たれる対キャバリア徹甲弾!
「おっとォ! 図星突かれて慌ててんのかァ? おっかねェなァ!!」
 一二三はアンサーヒューマンとしての瞬間思考力を発揮し、攻撃を回避。
 だがさりげなく機体の腕をパージし、「避けそこねた」ような感じを演出する。
 敵を食らいつかせるには、狩りやすい雑魚だと思ってもらわなければならない。
「っと、こりゃさすがにやべぇや……退散させてもらうぜ!」
「逃げる気か! 逃すな、追え! やつは必ず叩く!」
「「「はっ!」」」
 敵小隊は撒かれた餌にまんまを食いつき、ボイジャーを追撃した。
 白兵戦に持ち込まれないよう、一二三は全速力で逃げ続ける。

「ワンダラー、解析が終わりました。このポイントへ敵機を誘導してください」
 そこへ、ソラからの通信。目的地が赤い光点で地図上に浮かび上がる。
「了解! 仕込みはキチンと済んでるよな?」
「もちろんです。システム・ソムニウムならば、どんな因果でも」
 彼らの作戦はこうだ――敵を誘き出し、システム・ソムニウムが導き出した因果に従って、敵を巻き込む大規模な「偶然のハプニング」を起こす。
 しかもキャバリアは戦闘不能になるだけで、パイロットには一切被害なし。
 荒唐無稽、都合のいい理想論だが、システム・ソムニウムの解析と因果律操作で収束した「偶然」は「必然」である。
 ソムニウムは目的ポイントのすぐそばで気配を潜めていた。
 気付かれれば終わりだ。命を賭けているのは一二三だけではない。
「目標ポイントまであと300、250、200――」
 ソラは落ち着いた様子でシステム・ソムニウムを操作し続けていた。
 一二三ならば――ワンダラーならば、きちんと役目をこなしてくれる。
 ならば己は、それを信じて命を預けるのみ。彼がそうしたように。
「100、50……ワンダラー、背後のビルを爆破してください」
「了解――コレでも喰らっとけコラァ!!」
 袋小路へ追い込まれた一二三は、ノールックでC4を大型ビルに投げ込んだ。
 KA-BOOOM!! 爆発は連鎖し、老朽化していた高層ビルはくの字に折れる!
「こ、こいつ、我々を巻き込んで自爆するつもりか!?」
「――いいえ、巻き込まれるのはあなたたちだけですよ」
 ソラは静かに言った。
「つまりは、これでチェックメイトです」
 倒壊するビル、立ち上がる粉煙、そして……!

「……ふう、作戦成功だな」
 驚くべきことに――いや、当然か、ボイジャーは無事だった。
 高層ビルの倒壊は中階層から始まったため、ビルの根本にいた一二三はギリギリで被害を免れていたのだ。
「お疲れさまです、ワンダラー。ではさっそくですが次のポイントへ」
「あいよ。まあ生きてんなら放っておいて大丈夫だろ……だよな?」
「ええ。パイロットの五体には一切問題ありませんよ。あとは向こうがなんとかします」
 瓦礫から這い出してくるパイロットたちを一瞥し、一二三は次の戦場へと急いだ。
 未来を選定する力と彼の技術が合わされば、それはすなわち無敵となる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クラリス・クレスト
異常に気付いたのは、予想接敵地点に辿り着いた直後

……アウト・オブ・コントロール?
考える間もなく手が覚えのないコードを打ち出した
"CODE:Stasis"
ほとんど同時に、敵の動きが乱れるのが見えて――

敵機の制御を奪った「私」が
彼らを自害させようとしてるのが、わかる

――ダメだ
それだけは、絶対にさせちゃいけない

システム(私)を止める術がなくたって
ボクは「脳」だ
機体(ボク)を制御することはできる
痛む頭に構ってはいられない
彼らが自害する前に――機体を行動不能にする
ブルーバード(ボク)の疾さなら、できるはずだ

お前の好きになんてさせない
ボクは、ヒトを、平和を、未来を
……誰かの背中を! 守るためのモノだ!


ルヴトー・シフトマン
これが、テメェらのやり方か
革命という大義名分を振り翳して!!
あらゆる犠牲を!痛みを!
一切厭わないこのやり方が!正義だって宣うか!!
なら、ここで潰してやる
歯ァ食い縛れ!クソ野郎どもォ!!

『殺界』
砲撃?精鋭キャバリア?
俺の縄張りに踏み入ったなら、首を垂れろ それが出来ぬのなら、死ね
溢れ出す覇気が、砲撃も敵の行動も掻き消し、叩き潰す

長く続けていられるわけじゃない
適宜オフにして、2秒の未来視による【見切り】を使いながら、砲撃を撃ち落としつつ射撃戦で対処
事前に良く観察したおかげで、何をしてくるか読める
時には奴らの武装を奪い取って、投擲してやる

地は俺が支配する
空は任せるさ
一番上手くやるのが、いるからな



●引き金を引くのは誰なのか
 崩れゆく建物、燃える街、響き渡る砲声。
「……これが」
 国が滅んでいく。戦争ではありふれた光景。
「これが、テメェらのやり方か!!」
 国を守るために国を焼くという矛盾を、戦争の狂気は肯定する。
 ルヴトー・シフトマンは怒った。その狂気と、狂気に呑まれた兵士たちに。
「革命という大義名分を振りかざして! あらゆる犠牲を! 痛みを!!
 一切厭わないこのやり方が――正義だって言うのか! テメェらはッ!!」
「黙れ、テロリストめ! 空を取り戻すことは全人類の悲願であり希望!
 分断された世界が平和を取り戻すならば、国が焼けようと本望なり!」
「……いいぜ、なら、ここで潰してやる」
 敵兵の言葉に、ルヴトーは操縦桿を強く強く握りしめた。
「歯ァ食いしばれ! クソ野郎どもォ!!」
 天狼が加速! 降り注ぐ砲撃をスパイクホイールで弾き、実体剣を振り回した。
 発射寸前の滑腔砲を真っ二つに叩き切り、勢いそのままに体当たりを仕掛ける!
「ぐっ!? こ、この八八式機航甲冑を揺るがすほどのパワーとは……!」
「ここは俺の縄張りだ。頭を垂れろ、それが出来ぬのなら死ねッ!!」
 天狼は強引に敵キャバリアの頭部を破壊、さらにマニピュレータを機体内にめり込ませ駆動系を握りつぶした。
 動かなくなった残骸を蹴り捨て、覇気に縫い留められた敵機体を叩き潰す!
「精鋭だろうが砲撃だろうが知ったことじゃねえ、ここはオレの猟場だ!!
 てめぇらは狩られるだけの雑魚なんだよ――思い出せ、恐怖ってものをな!!」
 未来視で敵の砲撃を読み、機先を制した射撃で砲台ごと機体を破壊する。
 王狼が地を蹂躙する。ならば、空は――。

 ……ルヴトーの信頼をよそに、空の覇者たる青い鳥は窮地に陥っていた。
「……アウト・オブ・コントロール?」
 戦域に到着したクラリス・クレストは、コンソールの表示を訝しんだ。
 そして、次いで己の両手の異様な挙動に気付く。
「え?」
 自分の両手が、意識してもいないのに、覚えてもいないコードを打ち出した。
 なんだ、これは? 何が起きている? どうしてボクは知らないコードを、気付かないままに打ち込んでいる? これではまるで……。

 ……地上で異変が起きた。
「なんだ……?」
 ルヴトーの覇気によるものではない。
 急に敵キャバリアの動きが止まり、そして……『先駆け』の見せたものに、ルヴトーは目を見開く。
「自害だと!?」
 そう、敵キャバリアは一斉に、太刀型実体剣でコクピットを貫いていた。
 何故? 理屈よりも先に、ルヴトーは空のブルーバードを見上げて直感した。
 何かが起きている。彼女が――いや、彼女にも!

「……ダメだ」
 "私"のやろうとしていることを察したクラリスは、震える唇で言った。
「それは、ダメだ。ボクらは、虐殺をしに来たんじゃない!」
 頭がズキズキと痛む。いいから黙って従えと、誰かが囁いている気がした。
 戦っているのに、何を寝ぼけたことを言っているのかと。
 これがもっとも効率よく、もっとも最適で、もっとも優れた方法なのだ。
 狂気に侵された兵士など、生きている必要はない。
 こうすれば戦火は広がらなくなる、そこに何の違いがあろうと。
 CODE:Stasisの文字が、コンソール上で挑発するように瞬いていた。
「違う!!」
 クラリスは叫んだ。己の中にいるもうひとりの自分へ。
「ボクは――ボクらは、ヒトを殺しに来たんじゃない。止めに来たんだ」
 ルヴトーの怒りはクラリスにも伝わっていた。あの奮戦ぶりが。
 それは憎悪ではなく、誤った正義を叩き潰さんとする、義憤である。
「ボクは、ヒトを、平和を、未来を――」
 ……未来。
 この国の罪なき人々と同じように、兵士たちにも未来はあるはずだ。
 彼らは間違っている。だが、その志は、誰もが同じはず。
 空を取り戻したいという欲求は、クラリスだって同じなのだから。
「……誰かの背中を! 守るためのモノだ! だから――」
 ブルーバードは地低くまで降り、猛スピードで弾丸をばらまいた。
 自害行動が行われるより先に、物理的にキャバリアを行動不能にする!
「お前の好きになんて、させない――!」
 彼女ひとりでは、すべてのキャバリアを抑えることは難しかったろう。
 そこにはルヴトーがいた。ふたりの攻撃が、自害の刃を狂気から取り上げる。
 CODE:Stasisの文字が口惜しげに消えた。ひとまず……今は。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イコル・アダマンティウム
【アドリブ歓迎】
高層ビルを利用……
「ん、わかった」
僕は格闘特化の愛機で出撃
第三層までは、<ダッシュ>で一気に走り抜ける
「ここに……用はない」

【ビルの利用】
第三層の敵機に発見されたら
<ジャンプ>で上に跳んだり、ビルの隙間に隠れたりして
敵の攻撃をやり過ごす、よ
「下手には、倒せない」
正気の人もいる、らしい

だから……動けなくする、ね
「ブースト、起動」
敵機が増えてきたらオーバーブーストを起動

手足のスラスターで加速し
全速力で回転しながら突撃して、ビルを倒壊させる
<暴力><推力移動><地形の利用>
「せいやー」
倒壊の方向は突撃の角度で微調整して
敵機には瓦礫に埋もれてもらう、よ
「僕達は……壊しに来た、それだけ」



●クラッシュ・アンド・ブースト
 イコル・アダマンティウムの駆け抜けたあとには、爆炎と残骸だけが残る。
 無人兵器など、仮に動作していたとしてもイコルは止められなかっただろう。
『T.A.:L.ONE』の吶喊力は、たとえ公国が万全であったとしてもそれを量がする。
「ここに……用はない」
 無力化された無人兵器を踏みつけ、T.A.:L.ONEはさらに加速する。
 そして跳躍――直後、T.A.:L.ONEの立っていた場所に降り注ぐ砲撃!
「見え見え、だね」
 背後で高層ビルが倒壊する。イコルは振り返りはしない。
 目指す先は前のみであり、立ちふさがる敵はすべてその拳で叩き潰す。
 それが彼女の任務、やるべきこと。そう考えれば物事は至ってシンプルだ。

「くそっ、なんて速度だ! 射撃隊は次弾装填! 小隊は私についてこい!」
「「「了解!」」」
 隊長格のキャバリアとその側近が、太刀型実体剣を鞘走らせた。
 後方部隊に援護させつつ、近接戦でT.A.:L.ONEを押し止めるつもりか。
「……下手には、倒せない」
 オブリビオンマシンと何の変哲もない機体が混じり合う様は、いびつだ。
 どのみち落とさねばならないが、パイロットは殺せない。ならば――。
「ブースト、起動」
 イコルは加速した。躊躇なく! 一瞬にして音を超え、T.A.:L.ONEは深蒼の風と化す!
「我らの理想は、邪魔させ――」
「せいやー」
 KRAAAASH!! ビル倒壊! T.A.:L.ONEは斬撃を躱して機体をかすめる。
「な……ち、直接ぶつかり合うことすらしないというのか!? おのれ――」
 ガラガラガラ、と雪崩かかる瓦礫に呑まれ、キャバリアは機能停止した。
 イコルは周囲の地形を利用し、敵キャバリアを触れずして生き埋めにしていく。
「僕たちは……壊しに来た。それだけ。殺しに来たわけじゃ……ない」
 イコルは振り返らず、倒すべき最優先目標を目指してすべてを蹂躙する。
 砲撃も、太刀も、信念でさえ――彼女を止めることは、出来ない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メレディア・クラックロック
いやー、雰囲気って怖いねぇ。
一兵卒に至るまで『殲禍炎剣』倒せるって信じてるんでしょ?
マスコミの端くれとしては理想的なプロパガンダだと思うけど。
猟兵としては阻むしかないから大人しく止まってくれるかな?

【Garnet】、お仕事の時間だよ。
照準プログラム・ファイアリングシステムへの干渉開始。
砲塔は味方機体じゃなく何もない空へ。
それを戻される前に発射機構そのものにロックかけちゃおっか。
無理に発射しようとしたら機体ごと無惨になるし、それも禁止しちゃうね。

あ、やっと気づいた?
ここまでシステムを掌握された以上、キミ達はボクの思うままに動くしかないんだよ。
――つまり、抵抗は無駄だ。
大人しく降伏しな。


フェルト・フィルファーデン
命を救うためには、心をへし折るしかない……そんなの、最初から分かっている。けれど………ともかく、今はやれる事をやりましょう。そのために、わたしはここへ来たのだから。

出来るだけ無駄な争いはしたくはないわね。ここは静かに事を済ませましょう。
まずは隠れながらUCの射程内へ。建物も多いしフェアリーの体躯なら見つかる可能性は低いはず。そしてUCでキャバリア本体とパイロットを眠らせ無力化。パイロットは操って戦場から離し、念のため縛って拘束。後で戦線離脱で責められないよう、被害者らしくしないとね。
キャバリアはオブリビオンマシンなら破壊。それ以外は動力を停止させて無力化しておくわ。

……お願いだから、生きてね。


ヴィクティム・ウィンターミュート
オーオー、派手な戦力揃えやがって。
随分と楽しそうじゃねえか 革命の炎で熱くなってんのは分かるが、もうちょい落ち着きを持とうぜ
───俺は悪だ テメェらの理想を砕く為のな
かかってこいよ、『正義ども』

事前に仕込んでいたバックドアが役に立つ
【ハッキング】でキャバリアの制御権を奪い取り、それぞれのシステムを掌握して、連結
繋がって増幅された演算能力をフルに活用して、敵に広域ジャミングを仕掛ける

滑腔砲と『砲塔』の雨あられは許容できない
曲芸の時間だ──『Reflect』
反射板を展開して砲弾を跳ね返し、防御とカウンターを一気にやる

知らなかったかい?
炎は自分自身をも容易く焦がす
過ぎた力はこうして、返ってくるのさ


ティオレンシア・シーディア
ま、目的が目的だけに親衛隊はそりゃガンギマリよねぇ。とはいえ、張っ倒さないわけにもいかないんだけど。

とりあえず、仕掛けたトラップは適宜起動して、と。多少気を引ければ御の字、本命相手に通じるとも思えないしここで使い切っちゃいましょ。
…さぁて、ちょぉっと〇覚悟決めなきゃねぇ。
エオロー(結界)で○オーラ防御の傾斜装甲を展開。●轢殺で○騎乗突撃かけるわぁ。動体○視力第六感総動員で射線見切ってすれ違いざまに流鏑馬でブチ貫いてやりましょ。

敵味方ぐちゃぐちゃの大混戦?やぁねぇ、あたしこれでも元スラムドッグで裏の住人だもの。周りのお互いがお互いぜぇんぶ敵とか、複数集団の大乱闘とかそれなりに経験あるのよぉ?


安野・穣
(アドリブ連携歓迎)
…なるほど、国の威信とか国民の希望とか諸々を背負った親衛隊。
この士気の高さの理由は救世主様のカリスマ性もあるんでしょうが…
誰に命令された訳でもない。皆…末端の兵士にいたるまで、平和を強く求めてるってことでしょう。
それこそ、自分の命を犠牲にしても構わないと思えるほどに。

…ふざけやがって…っ!!
来い!『カサンドラ』!
【颪】を『ライア』を通して広範囲に発動、
敵攻撃は『ローレル』で受けるが、俺への攻撃より味方と敵軍を巻き込む攻撃を優先して受け止めろ!
そういうつもりなら攻撃する術からへし折り回ってやる…!



●ハック・アンド・クラッシュ
「……なるほど」
 ビルの屋上、広がり続ける惨状を目の当たりにした安野・穣が、拳を握りしめる。
 国の威信、国民の希望、人類の進歩への執念……。
 言葉に尽くせぬ「大義」を背負い、意気軒昂たる精鋭の兵士たち。
 それはおそらく、"救世主"ジャンゴとやらのカリスマ性もあるのだろう。
 末端の兵士に至るまで、強く平和を求める。軍隊としては理想的だ。
「自分の命を犠牲にすることも、国を焼くことも厭わないってわけっすか……」
 ぎりり、と、血が出そうなほどに拳を握りしめた。
「……ふざけやがって……っ!!」
 穣の心を怒りが支配する。義憤? いいや、もっと私的な怒りだ。
 その身勝手さを、愚かしさをどうしても許せないという、青臭い怒り!
「来い、カサンドラッ!!」
 サイキックエナジーが吹き荒れ、虚空からキャバリアが出現した。
「そういうつもりなら、攻撃する術からへし折り回ってやる!!」
 穣はカサンドラに飛び乗り、一気に加速。弾幕の只中へと飛び込んだ!

「新たな敵キャバリアの接近を確認しました!」
「テロリストどもめ、次から次へと! 撃て、なんとしても止めろ!」
 飛翔するカサンドラを認識した敵部隊は、無数の砲撃を降り注がせた。
 その中には、例の新兵器――つまり「砲塔」からの支援砲撃もある。
 殲禍炎剣を撃ち落とせると豪語するだけあって、その火力は絶大だ。
 弾丸が降り注ぐたび、市街地にクレーターが生まれた。凄惨な威力である。
「あらぁ、めちゃくちゃやってるわねぇ。完全にガンギマリだわぁ」
 KA-DOOOM!! 巨大な爆炎をすり抜けるようにして、ティオレンシア・シーディアを乗せた『ミッドナイトレース』が走行する。
 この世界では空を翔べないが、仮に飛翔したとしたら弾幕に呑まれて穴だらけになるだろう。
 ゆえに地面ギリギリを超低空飛行するか、騎馬めいて突撃するのが最適だ。
 対人にはそぐわない対キャバリア徹甲弾が、ヒュンヒュンとティオレンシアをかすめる。
 砲弾の起こす風が黒髪を揺らした――だが彼女の不敵な笑みめいた表情は崩れない。
「とはいえ、はっ倒さないわけにもいかないのよねぇ、覚悟してもらうわぁ」
 言いつつティオレンシアは、手に握りしめたスイッチを親指で押した。
 すると、KRA-TOOOOM!! 事前に設置されていたトラップが火を吹く!
「じ、地雷!? いやクレイモアか! こんなものがいつの間に……!」
「そこ、いただきよぉ」
 ミッドナイトレースが加速。タイヤがアスファルトを焦げ付かせるほどのスピード!
 ティオレンシアは片手でハンドルを握りながら、無造作にリボルバーを撃つ。
 しかしそれは、彼女の動体視力によって研ぎ澄まされたスナイプも同然。
 BLAMN!! 弾丸はキャバリアの駆動部を貫き、パイロットは無事なまま機能停止させた!
 まるで流鏑馬めいた見事な手際だ。後方で小爆発!
「こんなぐちゃぐちゃの状況、スラムに居た頃から慣れたものよねぇ」
 燃え盛る戦火も敵味方入り乱れる地獄の戦場も、裏の世界の住人であるティオレンシアにとってはゆりかごめいて慣れ親しんだ場所である。
 カサンドラの強襲に手間取る敵キャバリアの足元を、荒れ狂う原子めいてジグザグに駆ける!

 ティオレンシアとカサンドラの攻撃は、精鋭である敵部隊をして脅威的だった。
「ただ立つことがどれだけの力に支えられてるのか――この国があることが、
 どれだけの奇跡の上に成り立っているのか、少しは知るといいっすよ!」
 サイキックエナジーがほとばしり、実体剣や滑腔砲だけを破壊する。
 攻撃手段を奪われたキャバリアを、ティオレンシアの弾丸が射止めた。
「なんだあのサイキックキャバリアは!? ええい、目障りな!」
 BRATATATATATA! 降り注ぐマシンガン、だが盾型スラスターで防御!
「まだ武器を構えるのかよ、だったら!」
 サイキック振動波放出! 機関砲破壊!
 命を奪う力だけを破壊するその力は、穣の優しさの証でもある。
「ええい、遠距離戦では埒が明かんか……全機抜刀! 白兵戦に移るぞ!」
 敵キャバリアは使い物にならない射撃武器を投げ捨て、太刀を抜き放った。
「後方へ伝達! 支援砲撃を開始せよ!」
 国土を焼き尽くすほどの飽和攻撃が始まる――はず、だった。
「……HQ? HQ、応答せよ! なぜ支援砲撃を始めない!?」
 だがいくら呼びかけようと、通信機から帰ってくるのはノイズのみ。
「なんだこれは、何が起き、て……」
 隊長はこんわくしたまま、ふらりと昏倒してしまった。

 当然これは、ユーベルコードの力である。
「……そのまま眠っていて。起きる頃には戦いは終わらせているわ」
 小さなフェアリーの身体を活かし、密かに敵陣に忍び込んでいたフェルト・フィルファーデンの力だ。
 フェルトが散布した電脳ウィルス『Sleep-marionette』は、意識を掌握し有機物でも無機物でも自由に制御することができる。
 眠らせることも、戦わせることも、フェルトがその気になれば自由自在だ。
 戦術的に考えれば、同士討ちさせるのがもっとも効率的なのだろう。しかし……。
「……出来るだけ、無駄な争いはしたくないの」
 ここは市街地の中心部であり、しかもパイロットの多くは正気なままだ。
 そう、正気なのだ――オブリビオンの狂気に浸されているわけではない。
 だのに彼らは争う。理想を謳い、希望を掲げ、こちらを悪と断じて争う。
 命を救うためには、心をへし折るしかない――フェルトにはわかりきっていた。
「でもわたしは、絶対に殺さないわ。アナタたちの命を救ってみせる。
 たとえ悪と呼ばれようと、その結末が絶望だったとしても、絶対に……!」
 それは、ただ害し奪い殺すよりも気高く、それゆえに困難な戦い。
 ……そしてなにより、敵側からは決して理解されぬ哀しき理想……!
「ウィルスの発信源を特定しました!」
「あそこか……我らの邪魔立てをする愚か者め!」
 敵部隊の照準がフェルトに合わさる。精鋭は伊達ではないということか!
「アナタたちはまだ戦うつもりなのね。けれど――ここにいるのはわたしだけではないのよ!」
「全隊、砲撃開始ィーッ!」
 無情にも引き金は引かれる……だが!

 DOOOM! ……KA-BOOOM!!
「「「なぁっ!?」」」
 その時、敵兵にとってはあまりにも異常な事態が起きた。
 少女――つまりフェルト―ーに定められていた照準がぐんと急に空を向き、まったく意味のない空砲を撃ち出したのである。
 そればかりか一部の機体の滑腔砲は、砲撃を放つどころか自爆!
 火砲の暴発により、射撃部隊のキャバリアの多くが無力化された。
 加えて、「砲塔」からの大規模支援砲撃も停止している。これは一体!?
「いやー、雰囲気って怖いねぇ」
 無数の小型機動兵器――ドローンとも似て非なるBOTを従えたメレディア・クラックロックが、困惑する敵部隊の姿を写真に収めつつ言った。
「一兵卒に至るまで、まるごと「殲禍炎剣」を倒せると信じてるわけだ。
 まあオブリビオンマシンに洗脳されてるのはともかく、普通の兵士もねぇ。
 マスコミの端くれとしては、理想的なプロパガンダだと思うけど――」
 メレディアのBOTは、広域的なハッキングを可能とする。
 知らずうちに展開されていた機甲部隊が、火器制御システムを乗っ取っていた、というわけだ。
 そう……彼らの謳う反撃を象徴するかのように、空へ。
「し、システムが汚染されているだと!? ならばリカバリを……!」
 敵部隊は急いでシステムを再起動し、制御を取り戻そうとした。
「あ、やっと気付いたのかな? でも残念、"干渉してるのはボクだけじゃない"んだよねぇ」
 メレディアはキャバリアにも乗らず、呑気に生身で歩いている。
 戦場ではあまりにも不用心だが、彼女にはそうするだけの理由があった。
 メレディアのBOTたちは、あらかじめ用意されていたバックドアを利用したに過ぎない。
 そう、システムへの干渉はすでに行われているのだ。もうひとりのハッカーによって。

「ダメダメ、やられ約はもう退場しねえと……出番はここまでさ」
 ヴィクティム・ウィンターミュートは、チッチッと指を振った。
「革命の炎で熱くなってんのはわかるが、もうちょい落ち着きを持とうぜ?
 ――テメェらの理想は、ここでおしまいなのさ。それがわからねえなら……」
 KA-BOOM!! システムを再起動しようとした敵キャバリアが、一斉に火を噴いた。
 一種のブービートラップだ。もうすでに種は撒かれていたのである。
 ヴィクティムのハッキングは、キャバリアのシステム全隊に及んでいた!
「き、機体が……! おのれ、卑劣なテロリストどもめぇ!!」
「ハハハ! ああそうさ、俺は「悪」だよ、テメェらの理想を砕くためのな」
 コクピットハッチを開け、屈辱に叫ぶ敵兵に、ヴィクティムは笑った。
「悔しいか? 悔しいだろうなあ、なんせテメェらは『正義ども』なんだ!
 テメェらの威信だの信念やらは、今日ここで完全に砕け散ることになる。
 ご自慢の炎が、テメェら自身を灼き焦がすのさ……過ぎた力ってやつだ」
 ヴィクティムを撃とうとした敵キャバリアは、滑腔砲や機関砲の自爆により無力化される。
 よしんば無事な機体があったとしても、戦場のあちこちに展開された無数の障壁が、これ以上市街地を焼くことを許さなかった。
 もはや反抗者なき戦場を、ティオレンシアと穣のカサンドラが走っていく。
「じきにテメェらの救世主様も、ご自慢の新兵器とともに地に落ちるだろうなァ!」
「あ、悪魔め……なぜ我らの、空を取り戻そうとする力を奪う……!!」
「……何故? だから言っただろう、俺は「悪」なんだぜ」
 煙を上げるキャバリアから這い出した敵兵に、ヴィクティムは皮肉な笑みを浮かべた。
「絶対に、止めてやる……!」
「これが仕事だから、仕方ないのよねぇ」
「無駄な血は流させはしないわ……!」
 怒りを燃やして突き進む者。
 あくまでビジネスライクに戦う者。
 信念のために苦難を選ぶ者。
 多くの猟兵がいる――目指す先は同じだが、思いはバラバラだ。
「同じ方向を向いているだけじゃ、見えないものもあるってことだよね」
 メレディアは猟兵たちの背中をカメラに撮り、笑った。
 そびえ立つ砲塔を目指し、悪と呼ばれた者たちは突き進む。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

アイオライト・セプテンバー
ここからは、猟兵としての仕事
軽量高機動型キャバリア【ブルーテイル・エクス】で出撃するわ

……憎まれ役なんて、慣れているつもりだったけど
本心から国のため、命をかけて戦う兵士たちと戦うのは
オブリビオンを相手にするよりも……手強く感じるものね

それでも、可能な限り――この国に、必要以上の痛みは与えたくない
非殺傷武装群【ERT】の使用
ビルに隠れず、前に出ながら攻撃を【見切】り、迅速に格闘戦で、敵機の装甲の薄い部分をプラズマブレードで叩いていく

戦火は広げない、被害も広げない……できるだけ、パイロットの命を救う
そのためなら、この機体を使い潰しても構わない

彼らだって自由な空を夢見て戦う……私達の同士なのだから


ノーウォー・ノーライフ
【新世界学園との連携歓迎】

なるほど、親衛隊というだけあって機体性能も練度もかなりのものだ
だが、死なば諸共が前提なのは下策中の下策だな
自軍の戦力を自ら削る無能指揮官に付き合わされるのは大変だな、まったく

地獄の混戦下こそ俺のフィールドだ
どれだけ被弾しようと構わない
射撃砲撃の餌食となった敵機のまだ無事な装備を瞬時に奪い、【緊急換装】でPatchworkへ装備すれば被弾していないも同然だからな
俺はそれをただ繰り返しながら敵機を撃破するだけだ
淡々と、機械的に、敵機が全ていなくなるまで

……戦闘開始とは随分様変わりしたな、この区域は
馬鹿だな、全く


嗣條・マリア
そろそろ出番でしょうか
難民への援助物資も配り終えましたし――

物資を運搬してきた車両の奥からもう一つの荷物
私のキャバリア、タイラントを出して敵陣への強襲を開始
目指すは巨大砲塔。邪魔になる物は片っ端から叩き伏せて攻め上がります




いいキャバリアですが――タイラントはただ同じ重キャバリアでは止められません
当たらなければ、どんな強力な兵器も意味はありませんから

“声”による未来予測で被弾を抑えながら
武器を、腕を、脚を、頭を。搭乗者を殺さない程度に無力化しながら前進していきます

さあ、暴君の凱旋です。怖れることは許可します
頭が高いですよ。頭を垂れて、道を開けてください


玉響・飛桜
【他キャラ、特に新世界学園との絡み歓迎】
すぅ、はぁーー…
よしこっからが本番!

トランペッター!まず親衛隊切り崩さなきゃ意味がねえ!出し惜しみ無し!
2番から8番機まで分身全機展開!
「行進曲(マーチ)」ついで8倍音で「倍音(ハーモニクス)」!
各機に追加の手裏剣配布して親衛隊へ攻撃!
―――「協奏曲(コンチェルト)」!

…だけで終わってくれねえよなあ……
とりあえず、陽動と妨害に専念する!
分身各機はビル群を盾にしつつ奴らの注意を引け!
後は新世界学園の委員なら、どうにかしてくれる…はず!!!

親衛隊(お前ら)の生死なんてどうなったって良いが!
邪魔だ!生死より大事なもんを守りに行かなきゃいけないんだ!オレ達は!


御門・白
※アドリブ歓迎、特に新世界学園勢

三層目ともなれば主力機が出て来ますか。
……すこし、懐かしい
文化的に私の出身国と近いのかもしれない。
だとしても、することは変わりないけれど
行こう、ツクヨミ。
力の差を、見せつけに。

ずいぶんと大口径の大筒。まともに喰らいたくはないですね
で、あれば変幻自在の武器で対抗しましょうか

精度に自信があるようだけれど、夜を凝らしてキャバリア状のデコイを幾つも準備して
撃ち抜いたつもり?
いいえ、これが妖怪の戦い方。化かすこと。

ここは我らが領土である。
夜に陥った敵兵へは夜は休むもの、と囁きかけて眠らせて
抵抗する敵機体へは首を刎ねてカメラを潰したり、武器を執るマニピュレーーを破壊します



●学園生徒たちの奮戦
 ――ギャギャギャギャ!!
 アスファルトを火花で焦がしながら、大型トレーラーが戦場を走る。
 当然のように弾幕が張られ、砲火が降り注ぎ……立ち上がった「何か」が、それを弾いた。

 トレーラーの荷台から立ち上がったのは、一輝のキャバリアだ。
「ここまでで十分です、輸送班は後退を。ここからは私が道を切り開きます!」
 嗣條・マリアの駆る『タイラント』が、どうんっとトレーラーから跳躍した。
 BRATATATA! BRATATATATA!! KRA-TOOOM!!
 榴弾が直撃して爆炎がタイラントを飲み込む……噴煙を斬り裂く鋼の躯体!
「直撃を受けて無傷だと!? 化け物か、あのキャバリアは!」
「化け物? ――それは違いますね」
 タイラントは一瞬にして間合いを詰め、滑腔砲を握り潰した。
「私は暴君(タイラント)。邪魔するならば片っ端から叩き伏せます……!」
「う、うわあああああっ1?」
 KA-BOOOM!! 小爆発を起こして機能停止したキャバリアを踏み越え、暴君は進む。
 そして戦場を駆けるのは、彼女だけではなかった。

「すぅ、はぁーー……よし、こっからが本番だ」
 玉響・飛桜は愛機『トランペッター』のコクピットで深呼吸する。
 感傷も情けも無用。すでに彼がつないだ通信から学園生徒たちの状況は常に流れてきている。
 敵が大群でこちらを阻むならば、そのすべてを踏み越えることが我らの流儀!
「トランペッター! 出し惜しみなしだ、2番から8番機まで分身全機展開!
 行進曲(マーチ)ついで8倍音で倍音(ハーモニクス)、行くぞ!」
 多重分身による同機体が出現し、活劇の忍者めいてビル街を駆ける。
 弾幕をきりきり舞いで躱し肉薄、実体剣から繰り出される斬撃とクナイの雨が降り注いだ!
「こ、こいつら、量産型とは違う、まるで同じ人間が操作しているようだ!?」
 一糸乱れぬ連携の前には、いかな精鋭兵士といえど遅れをとる。
 敵の足並みが乱れた瞬間、トランペッター各機が空に跳び上がり……。
「――協奏曲(コンチェルト)!」
 手裏剣を降り注がせる! それらの狙いはいずれもキャバリアの駆動系ないし動力部を狙った的確なスナイプだ。
 鋼の雨を浴びた親衛隊各機は小爆発を起こし、機能停止。パイロットは無傷!
「これで終わり――な、わけねえよなあ!」
 奥からさらに降り注ぐ砲撃、太刀を抜いて接近する多数の機影。
 飛桜は舌打ちし、残存機体による陽動と妨害に専念する。
「お前らの生死なんざどうなったっていいが! 邪魔だ!!
 生死より大事なもんを守りに行かなきゃならないんだ、オレたちは!!」
「黙れテロリストめ、ここは通さん!!」
「――だったら、やられちまえよ! オレよりおっかねえ奴らがいるんだぞ!」
 飛桜の言葉を示すように、立ちはだかるキャバリアの頭部を銃弾が撃ち抜いた。
 Justitia Ind.製JRS-02C“イレイザー”。ノーウォー・ノーライフによる狙撃だ。
「機体性能も練度も、士気もなかなかだ――だが"死なばもろとも"が前提なのは、下策中の下策だな」
 砲撃が降り注ぐ。トランペッター各機がビルのあわいを飛び回り砲撃を逸らした。
 ノーウォーはそのまま無造作に突き進む。被弾しようが構いはしない。
「地獄の混戦下こそ俺のフィールドだ。ここが、俺の戦場だ」
 肩部に被弾を受け腕部が脱落する……するとノーウォーは、仰向けに倒れた手裏剣まみれのキャバリアの腕を掴み、無造作にもぎ取った。
 そして腕を二度三度振って手裏剣を捨てると、破損した肩部に腕を接続。
「"パーツ"ならいくらでもある。好きなだけ砲撃しろ」
 高層ビルが穴だらけになって倒壊する。ノーウォーは振り返らない。
 近づき、叩き潰し、あるいはさきほどのようにライフルで撃ち抜く。
 被弾のたびに、無力化されたキャバリアの部品(パーツ)を奪い取って「換装」する。
 まるで死なずの兵士のようだった。爆炎がキャバリアを黒く照らす。
「な、なんだあいつは!? どうすれば落とせるんだ!?」
 不気味な逆光の影に、意気軒昂たる精鋭たちは恐怖した……!

 敵が怯んだ隙を突いて、アイオライト・セプテンバーの『ブルーテイル・エクス』が猛スピードで肉薄した。
「どいてもらうわよ……!」
「うおおおおッ!!」
 横薙ぎの斬撃! シールドで視界を遮り斬撃軌道を読ませない、攻防一体の戦国武士めいた攻撃だ。
 アイオライトは瞬間思考力や異能ではなく、純粋な経験とカンでそれを読んでいた。
 低く身を伏せて、ブルーテイル・エクスが斬撃を寸前のところで躱す。
 モトクロスドライバーめいて、肘部ユニットが地面にこすれてギャリギャリと火花を散らした。
「もらった!」
 そして立ち上がりざま、プラズマブレードがコアユニットの接続部を貫通!
「く、くそ……テロリストめ……なぜ我らの希望を奪う……!」
「そうね。あなたが納得できる理由を好きに考えればいいわ」
 アイオライトは動かなくなったキャバリアを蹴り飛ばし、次へ進む。
 憎まれ役なんて慣れている――そのつもりだった。
 だが剥ぎ出しの憎悪と怒りは、心を殺しでもしなければ耐えられない。
 彼らは――オブリビオンマシンで狂わされているものはともかく――本心からこの国のため、世界のため、命を賭けて戦っているのだ。
「理由なんて、伝えても理解してくれないでしょう……"空を取り戻したい同士だから"なんてね」
 弾丸がブルーテイル・エクスの装甲を削る。しかしアイオライトは止まらない。
 ここで止まってしまっては、アイオライトはアイオライトでいられないからだ。

「無理に突き進むべきではありませんよ、連携して行動しましょう」
 そんなアイオライトに、飛桜の開いた回線を通じてマリアの声がした。
 タイラントがブルーテイル・エクスの横につき、『JRS-15B“エリミネーターⅡ”』で正面の敵キャバリアを無力化する。
「……ありがとう」
「礼には及びません。作戦を成功させるためなら当然のことです」
 マリアはにべもなく言い、ぎらりと敵集団を見据える。
 そこへ降り注ぐ無数の弾幕――だがそれは、空中に浮かび上がったキャバリアの幻影にとって受け止められ、幻影もろとも消失した!
「なんだ、今の現象は!?」
 驚愕する敵隊長……彼は見た。空からふわりと降り立つキャバリアを。
「まだ、正義をなせると思っているのですか。自分たちは勝てるのだと」
 オブリビオンマシン『ツクヨミ』から、御門・白の声が響く。
 浮かび上がった幻影は、ツクヨミが生み出す『夜』から生じたもの。
『夜』は暮れゆく空を墨めいて染め上げ、降り注ぐ弾丸そのものを呑んだ。
「ここは我らが領土である。夜に陥ったものは、休むものですよ――」
「く、来るな! なんだこいつは……!?」
 染み出す黒に呑まれたキャバリアは、そのパイロットごと眠りについた。
 なおも抵抗しようとするキャバリアは、ツクヨミが無慈悲に首を刎ねる。
 気絶するものもいれば、戦意喪失して機体を捨てて逃げ出す者もいた。
「夜は終わりの証。……彼らの正義に、終わりをもたらしましょう」
「……そうね。戦火が燃やすのはここだけで済ますわ」
 アイオライトは、白の言葉に頷いた。
「敵の照準はトランペッターで妨害するでござる! みんなは進んでほしいでござる!」
「ええ、暴君の凱旋です。すべてを叩き潰し、頭を垂れさせ、道を開かせましょう」
 タイラントとブルーテイル・エクスが吶喊した。その両脇を埋めるようにトランペッターたちが跳梁する。
 染め上げられた夜のなか飛び跳ねるさまは、忍びというよりも化性のそれ。
 ノーウォーもまた彼女らに追いつき、被弾をものともせず屍人めいて猛進する。
「……戦闘開始とはずいぶん様変わりしたな、この区域は」
 ふとノーウォーは振り向いた。そこには焼け野原があった。
「馬鹿だな、まったく」
「……そうですね、愚かです。だからこそ、止めねばならない」
 白の言葉は重々しかった。先を進む三人もまた、それはわかっていた。
 戦いを終わらせるための戦い――矛盾でしかない行為を、彼らは続ける。
 思いを託す者もいれば、任務でしかないと割り切る者もいた。
 だが、目指す先はひとつ……天を衝くような巨大な砲塔だ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ネハシム・セラフ』

POW   :    天使の梯子
【自身が殲禍炎剣にアクセスできる状態 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    廻転する炎の剣
【自身の翼から放たれた車輪状の炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【あらゆるものを焼き尽くす】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな
自身が【歌うような機械音を発し、翼が輝いている 】いる間、レベルm半径内の対象全てに【炎のように輝く翼】によるダメージか【機械音】による治癒を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は天音・優歌です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 屹立する「砲塔」を背に、白亜の機体が猟兵たちを迎え撃つ。
 翼を広げた熾天使めいたフォルムは、キャバリアとしては極めて異形だ。
『……コイツの名は「ネハシム・セラフ」』
 オープン回線を通じて、ジャンゴ・イーグレットの声が聞こえた。
『この機体は何のために作られたと思う? ……殲禍炎剣の制御のためさ。
 馬鹿げた話だろう? あんなモノを、人間が制御できるわけないのにな』
 ジャンゴの声は、震えていた。
 意気軒昂、目的のためなら国土すらも焼く兵士たちの頂点としては、不釣り合いなほどに弱々しく。
『遺跡から発掘したコイツに乗った時、俺には「声」が聞こえたんだ……。
 ……あの作戦で灼き尽くされた、俺の仲間たちの、救いを求める声が』
 ジャンゴ・イーグレットは、殲禍炎剣に蹂躙された戦場で唯一人生き残った。
 仲間も、上官も、部下も――何もかもを失って、ただひとり。

『あいつらは空に囚われている』
 ジャンゴが言った。
『あの空の覇者を、殲禍炎剣を落とさない限り、あいつらは解放されない!
 炎の中で苦しみ続ける声が、俺には聞こえるんだ……助けてくれっていう声が!』
 声は激情を帯びる。
『あの炎に呑まれた魂は、すべて空に囚われ、いまも苦しんでいる。
 だから誰かが解放しなけりゃならない。たとえ何を犠牲にしたとしても!!』
 ネハシム・セラフが翼を広げた。

 ――聖なるかな。聖なるかな。聖なるかな。

 邪悪なまでに神聖な唱和が響く。ごうごうと炎が渦巻いた。
 砲塔にエネルギーラインの光が走り、ネハシム・セラフの目が輝く!
『こいつがあれば、それが成せる。何も出来なかった俺がようやく報いられるんだ。
 俺の邪魔をするな。俺たちの、遺された者の鎮魂の邪魔をするな! 消えろ!!
 故国(くに)が焼けたって構いやしない、この声を止めて、生き延びてしまった過ちを償えるなら……!!』
 ジャンゴは哭いていた。後悔と慚愧を背負うものの声だった。
『俺たちの復讐を、邪魔するな……!!』
 人々は希望を託したが、その象徴たる男に希望などなかった。
 ただ終わらせたい、すべてを過去にして前に進みたいという願いがあった。
 その願いこそが、過去の残骸によって歪められたものであると気付くこともなく。

 偽りの英雄に終わりをくれてやるときだ。
 生き延びた彼には地獄が待っているだろう――しかし放っておけば、その地獄は国を焼き尽くす。
 これ以上の戦火を広げぬために、偽りの天使を地に堕とせ。

●備考
 ネハシム・セラフを破壊すれば、そのまま砲塔を破壊することは出来ます。
 砲塔を集中攻撃して破壊することで、敵の気を引くことも出来るでしょう。

●プレイング受付期間
 7/25 08:30前後まで。
●追記
 ジャンゴの言っていることはほぼ確実に狂気からくる妄想です。
黒川・闇慈
「オブリビオンの影響とはいえ……ここまで妄言を吐いているのを見るといっそ気の毒ですねえ……クックック」

【行動】
wizで対抗です。
引き続きアヴィケブロンに搭乗してお相手いたしましょう。
相手の攻撃にはホワイトカーテンを拡張展開し、オーラ防御、火炎耐性の技能で防御しましょう。
相手のUCの要はあの翼のようです。翼を奪えば戦闘力を削げますし、ついでに地に叩き落とすこともできるでしょう。
高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃の技能を用いてUCを使用します。その目障りな翼を切り刻んで差し上げる。

「地に墜ちるのは殲禍炎剣ではなく、あなたの妄言と恩讐ですよ。クックック」

【アドリブ歓迎】



●地に堕ちるべきは
 ネハシム・セラフの翼から炎が噴き出し、同時に奇妙な共振音が響き渡った。
 それは賛美歌のようにも聞こえるし、悲鳴を上げる阿鼻叫喚にも思える。
 黒川・闇慈はそれが、オブリビオンマシンの『歌声』だと気付いた。
「なるほど、これがあなたの言う『声』とやらですかね? クックック」
 アヴィケブロンのツインアイが赤く輝き、『声』を遮る障壁を展開した。
 ネハシム・セラフのフォルムがブレ、炎の翼が倍近く広がる!
「しかしオブリビオンの影響とはいえ、ここまで妄言を吐き散らかすとは。
 いっそ気の毒ですねぇ、クックック……目を覚まさせてあげるとしましょう」
 ネハシム・セラフの姿が消えた。アヴィケブロンは垂直に上昇する。
 直後、消えたはずのネハシム・セラフが、アヴィケブロンの居た地点に出現。
 消えたのではなく、姿を捉えられないスピードで突撃を仕掛けたのだ。
 炎の熱がごうっ!! と大気を焼く。防ごうとしていれば消し炭になっていた!
「逃すか……!」
 ジャンゴがアヴィケブロンを追う。いつ殲禍炎剣が気づくともしれぬ空中戦。
 続ければ市街地に甚大な被害が出ると考えた闇慈は、空中で静止。
「咲き誇れ致死の花。血風に踊れ銀の花。全てを刻む滅びの宴をここにーー」
 突き出した掌に液体銀が集まり、花びらめいて膨れ上がった。
「その目障りな翼を切り刻んで差し上げる――"銀嶺に舞え斬翔の花弁"!」
 液体銀、炸裂。ネハシム・セラフを包み込むように銀の刃が荒れ狂った!
「くそ……ッ!?」
 炎の翼は真空を生じさせるほどのスピードで切り裂かれ、浮力を失う。
 ネハシム・セラフは地面に落下。そこへ銀が杭めいて降り注ぎ機体を貫いた!
「地に堕ちるべきは殲禍炎剣ではなく、あなたの妄言と恩讐ですよ?」
「くそぉ……俺を、俺たちを見下ろすな! 悪魔め!!」
「さて、己の目的のために国を焼こうとするあなたとどちらが悪魔でしょうか」
 アヴィケブロンの赤い瞳が不気味に輝く。その様は、まさしく悪魔だ。
 ……はたしてジャンゴにとって、猟兵は悪魔か、救世主か。
 彼の妄執は終わるべきなのかどうか――どちらが彼にとって幸せなのか。
 狂気に歪んだジャンゴの思考では、もはやそれはわからない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
邪魔するな、か
断る


戦況は『天光』で逐一把握
攻撃には煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し阻み逸らし捻じ伏せる
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から常時供給

絢爛を起動
起点は目の前の空気
因果と破壊の原理を以て戦域の空間を支配
万象一切を終わらせる破壊の原理を無限量の刃とし空間内を隈なく終わりなく斬断「し続ける」
因果の原理により「砲塔」とネハシム・セラフ及びそれらの攻撃のみを対象とする

個人的な意趣返しなら個人の範囲でやれ
頼みとする得物が無くなって、まだ復讐を誓えるほど狂えているのか
己を試してみるも良かろう

※アドリブ歓迎



●狂気の秤
 ざくん――と、「空間そのものが斬撃を放った」。
『くっ!? 見えない斬撃……どんな魔術だ、これは……!?』
 ジャンゴは卓越した技量でこれを躱すが、"斬撃"に終わりなどない。
 空間支配によるアルトリウス・セレスタイトの"斬撃"は、ある意味でその空間自体によって物質を斬り裂くという無茶をやってのける。
 終わることない無限のギロチン。罪人を裁く死という名の終焉だ。

 ――聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな。

 忌まわしい輪唱が響き渡り、炎の翼が空間を燃やしながら広がった。
 空中に浮かぶアルトリウスは、愚かしい男のあがきを冷たく見下ろす。
「個人的な意趣返しなら、個人の範囲でやれ。国や民を巻き込むな」
『黙れッ! 俺に希望を託したのはあいつらだ。あいつらも当事者だ!』
「――どこまでも勝手なことを言う」
 アルトリウスは目を細めた。
「頼みとする得物がなくなって、まだ復讐を誓えるほど狂えているのか――」
『……! 貴様!』
 ジャンゴは理解した。アルトリウスの目的はこの機体ではなく、砲塔か!
『うおおおおッ!!』
 砲塔が徐々に寸断されていく。ジャンゴはそれを止めようと吶喊した。
 燃え盛る翼を避け、アルトリウスは淡々と言う。
「己を試してみるもよかろう。もっとも、結果は見えているが」
 崩された破片が地面に落下し、砕け散り、土煙をあげる。
 地獄じみた有様のなかに響き渡る輪唱は、どこまでも空虚だ。
 アルトリウスは神に祈らない。死者に縛られることもない。

 彼はただ、どこまでも孤独である。
 狂気の秤など、アルトリウスはとうに踏み潰していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メレディア・クラックロック
『やめてくれ、ジャンゴ』

『故国には家族が、親友が、恋人が遺っているんだ』

『――俺達の国を、焼かないでくれ』


本物知らないから荒いけど…
通信越しにバカになった頭かき回すにはこれで十分でしょ。
止まりな鍍金の英雄。報道するまでもなくキミの真実は伝わった。
だからこそ思い通りになんかさせてあげない。

声が聞こえる?馬鹿馬鹿しい。
それは機体の機能じゃないんでしょ?
いくらオブリビオンの介入があるとはいえ、自分が聞きたかった言葉を捏造するんじゃないよ。
それこそが一番の冒涜だってどうして分からない?

オマエが本当にするべきは罪に喘ぎながら国を守ることだったのに。
これじゃ本当に、どうして生き残ったのか分からないね。



●もうその声は聞こえない

 ――やめてくれ、ジャンゴ。

『……ッ!?』
 突然聞こえてきた『声』に、ジャンゴは困惑した。
『モーリス!?』

 ――故国には家族が、親友が、恋人が遺っているんだ。

『ファラモン……!』

 ――俺たちの国を、焼かないでくれ。

『コルネイ!!』
 ……それは、ジャンゴを遺して死んでいったはずの戦友の声。
 正しくは、それをメレディア・クラックロックが再現した、ただのノイズ。
「止まりな、鍍金の英雄。報道するまでもなくキミの真実は伝わった」
『お前は……!!』
「だからこそ、思い通りになんかさせてあげない」
 メレディアは、ジャンゴの亡くした友たちのことを知らない。
 しかし彼女の複製したノイズは、ジャンゴにとっては真実だった。
 それこそが彼女が敵対する最大の理由であり、根拠である。

 ――つまりジャンゴはもう、戦友の声すらまともに判別がつかないのだ。
 オブリビオンマシンの狂気と、それによって引きずり出された彼自身の心の歪が、ジャンゴという人間の根源を壊してしまっている。
 メレディアは憐憫と呆れを同時に抱いた。英雄などバカバカしい。
「自分が聞きたかった言葉を捏造して耽溺して、それこそが一番の冒涜じゃないか」
『違う……違う! これは俺の捏造したものなんかじゃないッ!!』
「オマエが本当にするべきは、罪に喘ぎながら国を守ることだったんだ」
『違う、違う違う違う――』
 メレディアは、ため息をついて言った。
「――これじゃ本当に、どうして生き残ったのかわからないね」

 人は信じたいものを信じる。
 辛い真実よりも、甘やかな嘘にすがる。

 どんな世界でも、どんな社会でも、どんな時代でも。
   Nothing hurts like the truth.
 《真実こそが、一番人を傷つけるのだ。》

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリジ・グッドウィン
『シャロン』で出撃
こういった類のヤツはまあ幾人も見てきたが…たとえ歪められたものだとしてもその自己憐憫みてェなやつは理解できない
国を巻き込んでのそれは流石に度が過ぎるぜ


砲塔を狙うと宣言し挑発。収束飛刀を複数引き出してネハシム・セラフを通り過ぎ砲塔に当たるように投擲し、それが嘘ではない事を知らしめる
手前ェだけの希望がどんどん傷付いていくけど?
激昂した敵のを捉えるなんざ容易い。ランブルビーストによるグラップル
そのままブースターをリミッターを解除し【使用UC】磔台に狙うのは象徴である砲塔

生きている奴等を引き連れて死に縋る英雄、この卑怯下劣なテロリストがぶっ潰してやるッ!


斑星・夜
※キャバリア:灰風号搭乗

俺には君の方がよほど苦しんでいるように見えるよ
だけど、だからって故郷を苦しめようとするのは放っておけない
その復讐、止めさせてもらうよ!

EPワイズマンズユニット『ねむいのちゃん』で随時ハッキングとジャミングを仕掛け、殲禍炎剣とアクセスするのを邪魔するよ
それ自体は成功しなくても注意を多少でも散漫に出来れば、隙を作れるかもしれない

動きを見つつ動き、戦場の様子を情報収集しながら、RXSシルバーワイヤーを射出、捕縛し拘束を試みる
機動力が高そうだから相手の速さを奪うよ

拘束出来たらワイヤーを引っ張り、怪力に任せて地面に叩きつけ
そのまま接近しグラウ・ブリッツを込めた拳で思い切り殴ります



●誰がための"希望"
「――オレは砲塔(そいつ)を壊す」
 キリジ・グッドウィンは、ネハシム・セラフに向かって言い放った。
『なんだと……?』
「手前ェよりもそいつを壊す。そのほうが目的としては手っ取り早いしな。
 止めたいならオレを堕としてみな。さもないと――」
 ガギョン、と腰部にマウントされた『BXS対装甲重粒子収束飛刀』を引き出し、キリジはそれを投擲した。
 ネハシム・セラフではなく……宣言通り、砲塔へ。
『貴様ッ!』
 ジャンゴは激昂し、擲たれたそれを一瞬だけ展開された炎の翼で焼き切る。
「な? 本気出さないと、手前ェだけの希望がどんどん傷ついていくぜ?」
『ナメるな!!』
 ネハシム・セラフが超低空飛行で加速し、一瞬にして亜音速に到達。
 キリジの乗る『シャロン』はゆうゆうと突撃を回避した――激昂した敵の攻撃など見え透いている。
『おのれ……! いいかひとつ訂正しておく、これは俺だけの希望じゃない!』
「ア?」
『俺たちの希望だ! 現に民も兵士も、俺とこいつに希望を委ねている!』
 ジャンゴはまくしたてる。
『俺の行いは人々の行いだ! だからこれは必要なことで、間違ってない!
 たとえあいつらが俺を勝手に英雄とみなしているとしても、願いは同じだ!』
「……とんだ自己憐憫だな。愚行の責任を手前ェ一人で背負うことすら厭うかよ」
 キリジは吐き捨てた。
「国を巻き込んでまでンなことやるのは、流石に度が過ぎるぜ!」
『俺たちの邪魔をするなァアアア!!』
 再びネハシム・セラフが、『シャロン』に猛スピードで近づく!

 だがその時、機体の動きは大きく鈍り、コースを外した。
『な!? ……ハッキングか!』
「ご明察~。さすがに見知った顔を潰されると困るしねぇ」
 ひらりと現れたのは、斑星・夜が駆る『灰風号』だ。
「チッ……余計なお節介だぜ。『シャロン』なら十分避けれた」
「まあまあ。目的は同じだし……俺らは「卑怯卑劣なテロリスト」じゃないの」
 夜は軽く言う。
「俺には彼のほうが、よほど苦しんでいるように見えるけどね」
「あんな野郎を憐れむのか?」
「もちろん、だからといって故郷を苦しめようとするのは放っておけないさ」
 ハッキングがシステムを妨害し、さらに広域ジャミングが展開される。
「だからその復讐、止めさせてもらうよ! キリジちゃん、よろしくぅ!」
「言われなくてもやるってンだよ!!」
 キリジは再び収束飛刀を投擲、ネハシム・セラフの行動を阻害する。
 灰風号からのハッキングにより、ジャンゴは明らかに機体性能を落としていた。
 殲禍炎剣、そして『砲塔』とのリンクが維持できない!
『く、くそ……砲撃が……!』
「オラオラどうした! 手前ェの希望をぶっ壊しちまうぜェ!」
『うおおおおッ!!』
 砲塔に迫るシャロンを追うネハシム・セラフ――だが途中で強制停止!
『ぐっ!?』
「残念。相手は俺だよ、英雄さん」
 ワイヤーだ。『RXSシルバーワイヤー』がネハシム・セラフを拘束していた。
 ネハシム・セラフは炎の翼を展開して暴れるが、ワイヤーは焼灼不可能!
「生きている奴らを引き連れて死にすがる英雄なんざ、この卑怯下劣なテロリストがぶっ壊してやるッ!」
「苦しんでいるところ悪いけどさ――少し、正気に戻りなよッ!」
 砲塔、そしてネハシム・セラフに、シャロンと灰風号の拳がそれぞれ同時に叩き込まれた!
『ぐあああッ!?』
 鋼の拳は装甲をひしゃげさせ、希望/英雄に大きなダメージを与える。
 ――そもそもその希望は、誰のもので、誰のためのものなのか。
 ジャンゴにはもうそれすらわからなくなっていた。
 拳の痛みは、狂い死にすがった脳髄を、大きく大きく揺らした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ノーウォー・ノーライフ
【新世界学園との連携歓迎】

そうか。断る。

それだけ言ってジャンゴを無視して「砲塔」への攻撃を開始する
当然ジャンゴからの攻撃が来るだろうが
幸い、先の戦闘を経て今のPatchworkは親衛隊の上質な装備に換装されている
他の機体を相手取りながらの半端な攻撃ならば撃墜されることもないだろうし
【過剰供給】した120mm滑腔砲での「砲塔」への攻撃は確実にヤツの処理能力を削り動揺を誘うだろう

俺はエース級の相手を出来るほど優秀ではないからな
こうして間接的に削らせて貰おう

ネハシム・セラフと「砲塔」、破壊されるのはどちらが先か

まあ、俺が言えることは一つ
苦しんでいるのはお前1人だけだ、ジャンゴ
死者は何も言いはしない


御門・白
“御使い”
この星を裂いた“殲禍炎剣”というバベルの塔にある意味似合いの使者かもしれない
実際のところ、どうなんですか“オブリビオン”
彼の衛星が狂ったのも、お前たちの仕業?

いらえは要らない。どちらにしても
お前たちの好きにはさせないから

ツクヨミに劔を抜かせて、歌うように詠唱しながらゆっくりと前へ

『私は天帝の使いである』『手にする鋼は不祥を滅する』
『千のわざわいも、万の邪悪も皆伏して滅ぶべし』

放たれる炎を畏れる風もなく、金の光を帯びていく劔を振って掻き消して

いそぎいそぎ天帝(我)が定めた通りとせよ

金色を帯びた劔を振り下ろし世界を分かち
味方や周囲に燃え広がることを断ち切っていく

好きにはさせないと、言った



●その滅びは天のさだめか
 ガシャン――と重々しい音を立て、120mm滑腔砲のチャンバーに対キャバリア徹甲弾が装填される。
 それは、ノーウォー・ノーライフが戦場から「拾い集めた」武器のひとつ。
 砲口が狙う先は、天に向かってそびえる『砲塔』だった。
『やめろォオオ!!』
 ネハシム・セラフが迫る。だが今の『Patchwork』なら避けれる速度だ。
「断る」
 ノーウォーは端的に言い、トリガを引く。――KRAASH。
 冷たい爆音とともに、『砲塔』にまたひとつ大きな弾痕が穿たれた。

『なぜだ!? なぜ俺たちの希望を、復讐の道具を奪おうとする!?』
「それが俺の任務だ。俺はお前の希望だの復讐だのに興味はない」
 ノーウォーはあくまで『砲塔』を狙う。それが合理的だからだ。
 事実、ジャンゴは激昂し、それによって処理能力は大きく削れていた。
 攻撃は散漫になり、炎の翼はPatchworkに届かず、回避されてしまう。
 そしてまた砲撃。黒煙があがる。バベルの塔の滅びが近づく。

 ――聖なるかな。聖なるかな。聖なるかな。

 空虚な輪唱が響き渡る。御門・白はどこまでも無表情にそれを聞いていた。
「"御使い"――ある意味似合いの使者なのかもしれない」
 実際のところ、殲禍炎剣が狂ったのはオブリビオンの仕業なのだろうか?
 仮に白がそれを問うても、御使いたるマシンは何も答えまい。
 オブリビオンとは「そういうもの」だ。ただ滅ぼすためにあるもの。
 白の駆るツクヨミも「同じもの」である――だが敵対はしている。今のところは。
「どちらにせよ、お前たちの好きにはさせない」
 ツクヨミは劔を抜き、歌うように詠唱した。

 ――私は天帝の使いである。

 ――手にする鋼は不祥を滅する。

 ――千のわざわいも、万の邪悪も、皆伏して滅ぶべし。

 撒き散らされる炎も何もかも、ツクヨミとPatchworkを穢すことはない。
 回避しているからではない。
 劔から放たれる金の光が、あらゆる邪悪/障害を「斬り裂いて」いるからだ。
『なんだ、この力は……!?』
 ジャンゴは驚愕した。オブリビオンマシンは怒り恐怖していた。

          われ
 ――いそぎいそぎ、天帝が定めたとおりとせよ。

 炎が断ち切られていく。戦場(せかい)そのものを、神の器たる劔が制御し、切り分け、定めていく。
「好きにはさせないと、言った。この国も、私も、仲間も、誰も燃やさせない」
 強大なる呪いが白を蝕む。それだけの代償を伴うチカラだ。
 だが白は手綱を握り続ける。この力は己の目的のためにこそ……!

「……わざわいを切り分ける力か。味方ながら脅威的だな」
 ノーウォーは淡々と言い、滑腔砲をまたひとつぶっ放した。
「あえて言うなら、ジャンゴ」
 砲音――爆発。
「苦しんでいるのはお前ひとりだけだ。死者は何も言いはしない」
 砲音――爆発。
『やめろ……やめてくれ』
「断る」
『やめろォ!!』
 砲音――爆発。

 懇願しても泣き叫んでも、滅びはやってくる。
 そのためにこそ、彼らは戦っているのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルナスル・アミューレンス
あーあ、死んだ上に免罪符にされちゃって可哀そうに
そんな事したって何もならないのにさぁ。
ただただ自分が逃げたいだけ、背負いたくないだけなんでしょ?

お空を飛んでくれてるのはいいねぇ。
暗いお空に真っ白な的がよく見えるや。
じゃあ――

――偽神拘束制御、限定解除――

――お『暴食(ソウジ)』しましょうか。


対空戦闘の経験を活かしましょうか。
第六感と戦闘知識から奴さんの動きを見切り、逃がさずに撃ち抜いて捕食し尽くすよ。

「声」が聞こえてるなら、もうそれは背負うしかないのさぁ。
それが生き残った、生き残された、抱え込んだモノの責任で義務で咎で罪だからねぇ。
それすら出来ないようだし、地獄(むこう)に逝って謝ってきなよ。



●"暴食(そうじ)"の時間
 白と黒。
 本来ならば正が白であり邪が黒であるべきだろう――だが、此度は。
「あーあ、死んだ上に免罪符にされちゃって可哀想に……」
 アルナスル・アミューレンスという黒は、ジャンゴよりも彼を遺して死んだ者たちを哀れんだ。
「そんなことしたって何もならないのにさぁ、ただただ自分が逃げたいだけ、背負いたくないだけなんでしょ?」
『黙れ、黙れ黙れ黙れッ!!』
「子どもみたいな癇癪まで起こしちゃって。まったく本当に――」
 頭上にわだかまる白を見上げ、アルナスルは言った。

「――お暴食(ソウジ)するしかないよねぇ」

 黒が膨れ上がる。
 射撃形態に変化した偽神兵器=アルナスルがネハシム・セラフという白に狙いを定めた。
 一瞬の超加速も邪悪なる輪唱も、黒の暴食を止めることは出来ない。
「"声"が聞こえてるなら、もうそれは背負うしかないのさぁ。
 それが生き残った、生き残らされた、抱え込んだモノの義務で咎で罪だからねぇ」
 語りかける言葉は、どこかアルナスルの自嘲めいてもいる。
「それすらも出来ないなら、地獄(むこう)へ逝って謝ってくるかい?」
『黙れ――俺は、俺は!』
「言葉で止まるとは思ってないさ。だから、キミを"食らう"よ」
 白が攻撃しようとした瞬間、バベルの塔めいて伸びた黒がすべてを飲み込んだ。
 それは原初の暴威であり、あらゆる感情も悲嘆も後悔も愚かさも何もかもを飲み込む海であり、救いであり、あるいは裁きだった。

 そう、ある意味でアルナスルの攻撃は、ジャンゴにとっての救済でもあった。
 ここで死ねば、彼は「英雄」として死ねたのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アニエス・アルカンシェル
エミリアさんと(f30193)
狂わされた彼自身に罪がないことは理解していますが、それだけです。
放っておけばいたずらに被害を増やす以上、撃墜しない理由にはなりません。

速く動く物を無差別攻撃するということであれば、エミリアさんのハッキング中こちらに攻撃を集中させることは可能でしょう。
推力移動にて高速移動してこちらを標的にさせ、エミリアさんのデータも加味して回避に徹します。
敵の耐久力も上がる以上その最中に無策で攻撃に転じる意味は薄いですから。

エミリアさんのハッキングが成功したら攻撃に転じます。
閃刀起動、ビット展開。
全ビット、全光刃を対象の一点に集中。
偽りの希望をへし折り、狂気に終止符を打ちましょう。


エミリア・ジェフティー
アニエスちゃん(f31989)と

復讐ねぇ
それが本当に彼の望みで、本当に成せる事だったなら
手を貸すのも吝かじゃないですよ、私
でもそうじゃない
だからここでお終いなんです

オウルアイの情報収集をアクティブ
敵機の動向を調べながら対空散弾でアニエスちゃんを援護
腕利き同士の連携、見せてやりましょうよ

殲禍炎剣へのアクセスを確認したら、敵機へサイキックパワーを使ったハッキング
アクセスを奪い取ります
照準先は例の砲塔…殲禍炎剣からの報復が来ないよう、照準データには細工しときますのでご安心を

下手に殲禍炎剣に対抗できそうな装備を見せて、希望を持たせるわけにもいかないもので
申し訳ないですけど確実にへし折らせてもらいますよ



●ありえない可能性
「――復讐、ねぇ」
 ジャンゴの戯言に、意外にもエミリア・ジェフティーが反応した。
「それがあなたの本当の望みで、本当になせることであれば……」
「……エミリアさん?」
 アニエス・アルカンシェルは、エミリアの様子を訝しむ。
「"本当になせるのであれば"、手を貸すのもやぶさかではないですよ」
「……!」
「けど」
 エミリアは言葉を継いだ。
「現実はそうじゃない。だから、ここで"おしまい"なんです」
「エミリアさん……」
「安心してくださいアニエスちゃん、この状況で裏切りなんてしませんよ」
「わかっています。ただ……迷いがあるかどうかは重要ですから」
 エミリアは心配させてごめんなさい、とアニエスに詫びた。

 ――そう、殲禍炎剣を落とすことなど、「今この場では」出来ない。
 いずれ、それが可能となる日も来るかもしれない――いや、不可避だろう。
 猟兵の仕事が世界を救うことである以上、あの狂った暴君は落とさねばならない。
 だが、それは今ではないし、それをなすのはあの『砲塔』でもない。
「行きますよアニエスちゃん」
「ええ。たとえ狂わされた彼自身に罪がないとしても――ここで、堕とします」
 アニエスは頷き、敵を見据えた。

『……なら、その忌むべき力でお前たちを薙ぎ払ってやる』
「! アクセスを確認しました。ハッキングを行います、アニエスちゃん!」
「はい!」
 エミリアがサイキックパワーを発動すると同時、アルカンシェルは前進。
 ハッキングで敵のシステムアクセスを妨害しつつ、アニエスが敵を叩く形だ。
『く、ハッキングか……!』
「システム掌握はさせません。私を無視していられますか?」
『そんなに落とされたいなら、死ねッ!』
 ネハシム・セラフの機体から炎の翼が噴き出し、それは無数の炎の矢となって飛来した。
 アルカンシェルは高速移動で攻撃を回避し、あえて敵の攻撃を誘う。
 エミリアが完全にシステムを掌握し、アクセスを不可能にさせるためだ。
『なぜ俺たちの意志を理解しない!? なぜだ!』
「"たち"ではありません、これはあなたひとりの意志であり独善です。
 死者が語りかけることなどない――あなたを取り巻く狂気を私たちが払います」
『黙れェッ!!』
 ネハシム・セラフの超音速のチャージを、アルカンシェルはギリギリで回避!
「……よし、ハッキングは成功しました。データへの細工も万全です!」
 エミリアの通信を聞き、アニエスは頷くと同時に攻撃に転じた。
「申し訳ないですけどその希望、確実にへし折らせてもらいますよ!」
 エミリアはさらに一時的に『砲塔』をシステムロックし、砲撃を封殺。
 その隙にアルカンシェルがビットを展開し、光刃を出力する。
「閃刀、起動――偽りの希望は、ここまでです」
『う、うあああああ……ッ!?』
 ビット兵器を織り交ぜた光の刃が、ネハシム・セラフを――ばっさりと斬り裂いた!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イコル・アダマンティウム
【アド・連携歓迎】
「助けてくれ……ん、分かった」
僕達だって、アレは壊したい
囚われているのなら、解放したい
「けど、今日は……壊しに、来た」
だから、まずは機体を壊して
ジャンゴを悪夢から解放したい、な

【突撃】
機体が炎に晒されても、ダメージ覚悟で格闘を挑んで
削り削られつつ本命の攻撃を当てる隙を探る、ね
「……煩い、な」

【使用UC:覇気解放】
スタミナ切れや油断、大技を待ってからUCを使う、よ
「かな、かな、かな、かな……喧しい」
イジェクトモジュールを起動
僕を射出
UCを発動して
炎の翼も機械音も、何もかも覇気で吹き飛ばしながら
セラフィムに向かって生身で跳ぶ、よ
「起きて」
あとは、一発
全力でコックピット付近を殴る


遠桜・星黎凪
違います
生き延びてしまったことは過ちなんかじゃありません
先に行ってしまった者から希望を託されたのです
けれどその希望は、誰かを犠牲にすると穢れてしまうもの

あなたのお仲間の、真の希望を繋ぐために─あなたの偽りの希望を断ち切り、解き放ちましょう…あなたを生かしたまま!

車輪状の炎は軌道を瞬間思考で先読みし見切って回避して
ミサイルポッドやレーザー砲台からの牽制射撃も交え
煌桜斬空の斬撃波を叩きこみます!
その際はジャンゴさんを救えるように、オブリビオンマシンの武装や四肢を切り落とすような場所を狙います


ミレア・ソリティス
UC発動し推力移動で撹乱しつつ、砲塔の詳細スキャン(情報収集)を行いデータを味方と共有、また『ジャミングミサイル』を放ち敵行動の妨害を行います
可能ならば砲塔へとペインレス・セイバーを使用、ナノマシン侵食による機能停止を狙います

…ですが敵目的は「殲禍炎剣への攻撃」
追い詰められた敵が攻撃を強行する場合は……やむを得ません

ノヴァ・バスターを過剰チャージしつつ砲塔へ接近、敵UCに対しては塔に沿って加速・急上昇する事で砲塔への誤射を誘導し、
砲塔内部へ突入後、内部でノヴァ・バスターを暴走・自爆させ「小型ブラックホール(重力属性・継続ダメージ・捕縛)」を生成、砲塔や衛星の攻撃を丸ごと巻き込む事で抑え込みます


ティオレンシア・シーディア
あー…サバイバーズギルトとメサイアコンプレックスこじらして頭の中グチャメチャになってるわねぇ、コレ。そりゃ破滅願望も抱かせやすいはずだわぁ…

ラグ(水)・水天印・エオロー(結界)で○火炎耐性オーラ防御を展開、●轢殺・先駆で○騎乗突撃して突っかけるわぁ。弾丸には帝釈天印とソーン、「雷」の「茨」で〇マヒ攻撃と足止め仕掛けるわよぉ。
こっちの得物は拳銃、「なんでも燃やす炎」なんてのを防御に回されたら普通は詰んじゃうけれど。最近、「防護を無視する」だけならできるようになったのよねぇ。
砲塔に向かうような動きを見せれば〇フェイントもかけやすいかしらぁ?


アルカ・スィエラ
(ジャンゴの発言を聞いてもう何かが振りきれた)
……そう、言いたい事は、それだけ?


―――【XXX-01Dαルクス・ソリス集束モード】
砲塔も敵機もその攻撃も、この目に映る限り全て
遥か高空のドラグレクスからのビーム砲撃で撃ち貫くわ
超精密砲撃よ。操縦者を殺しはしないし、他を巻き込むような真似もしない。

何度でも(砲撃)
徹底的に(砲撃)
執拗に(砲撃)

その砲塔が融け崩れ焼き尽くされるまで(砲撃)

本当に自身が向き合うべきだった相手は誰で(砲撃)
そして彼らに対し何をしようとしたのか(砲撃)
あの馬鹿が思い知るまで(砲撃)

そして
あの馬鹿を唆した狂機を、
穿ち、地へ墜とし、完全に灼き滅ぼすまで
(機竜の咆哮)
(砲撃)



●向かい合うべきは

 ――聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな。

 炎の翼を広げるネハシム・セラフから響くは、邪悪でいびつな賛美歌。
 それはけして聖なるものを崇め奉る、祈りの歌などではない。
 狂い、歪められ、そして世界の破滅だけを願う、あってはならぬ歌声だ。
「……うるさい、な」
 イコル・アダマンティウムは珍しく嫌悪を示し、まっすぐ格闘戦を挑んだ。
 彼女のキャバリア『Tactical Armor-001:Last ONE』には、それが可能なだけの頑強さがある。
『近づくな! 俺たちの希望を、復讐のための力を、奪わせはしない!』
「……僕たちだって、殲禍炎剣(アレ)は壊したい、よ」
 イコルは炎の翼による攻撃をものともせずに言った。

 そう、殲禍炎剣の破壊は、人類の夢。
 だからこそ民は、ジャンゴを英雄として称えて希望を預けた。
 だからこそ人々は、来たるべき平和を心から喜んだ。
 それは猟兵とて変わらない――ただ、この力では不可能なだけだ。
「けど、今日は……壊しに、来た」
『なぜだ!?』
「……君を、悪夢から解放するために」
 ネハシム・セラフが加速する――激突! だが機体は押し負けない!
『そんなことはさせない……俺を遺して死んでいったあいつらのためにも!
 俺が生き延びた理由を果たすために! 俺は、あれを落とさなければならない!』

「――違います!」
 その時横合いから、遠桜・星黎凪の駆る『夜桜』のミサイルポッドがネハシム・セラフを襲った。
「生き延びてしまったことは、過ちなんかじゃありません。
 先に逝ってしまった者から希望を託されたのです。生きるという希望を!」
 ドウドウドウドウ……ミサイルに続いてレーザー砲台が火を噴く。
「けれどその希望は、誰かを犠牲にすると穢れてしまうか弱いものです。
 あなたのお仲間の真の希望を繋ぐために、あなたの偽りの希望を断ち切ります!」
『黙れ!! 声が云うんだ――俺たちを解き放ってくれと!!』
「解き放たれるべきは、あなた自身です!」
 炎の翼から放たれた車輪状の炎を、夜桜は高速機動で回避した。
 ネハシム・セラフは素早く照準を定め、回避軌道の先に車輪状の炎を『置く』。
 夜桜はキャバリア用巨大刀『天桜剣』を振るい、炎を切断!
「わたしたちはあなたを殺しません、生かしたまま救い出してみせます」
「……ん。助けてくれっていう声なら、僕にも聞こえてる」
 イコルと星黎凪は連携し、徐々にネハシム・セラフの動きを抑える。
 だがジャンゴは、深く根付いた狂気ゆえに、彼女たちの救いを否定した。
『うるさい、うるさいうるさいうるさい――それじゃあ何も終わりはしない!
 俺の戦いはまだ続いてる、あれを落とさない限り、いつまでも続くんだ!
 生き延びてしまった俺がそうしなければ、あいつらは囚われたままなんだ……!』

「……そう」
 おとなしく言葉を聞いていたアルカ・スィエラは、どうやら我慢の限界に達したらしい。
「言いたいことは、それだけ? なら――堕ちなさい!」
 超高空に待機する機竜『ドラグレクス』が、さながら殲禍炎剣めいてビーム砲撃を落とした。
 それはオブリビオンマシンを、そして砲塔を、あるいはジャンゴの抱いた狂気と偽りの希望すべてを叩き潰すような、無慈悲で苛烈で容赦のない雨である。
『やめろ!!』
「やめないわ」
 アルカは端的に返した。
「あなたが本当に向き合うべきだったものが、その相手が誰なのか!
 そして彼らに対し、何をしようとしたのか、あなたが思い知るまで!
 ――あなたが、自分がいかに莫迦な愚か者かを理解するまで! やめない!!」
 KRA-TOOOM!! 砲塔が小爆発をいくつも起こす。ジャンゴは悲鳴を上げた。
『やめろ! どうしてだ、なぜ死者に報いることを認めない!?』
「そもそもそれが間違っているのよ、この馬鹿!」
 アルカの叫びに呼応するように、空から機竜の咆哮が轟いた。
「狂気に飲まれているかなんて関係ない、自分の行いを思い知りなさい!
 本当に終わらせたいと思うなら、お前が向き合うべきはそんな「声」じゃない!」
『お、俺は――』
 機竜の咆哮、そしてさらなるビーム砲撃――いや、それだけではない。
「ジャミングミサイル、展開。ペインレス・セイバーを使用します」
 戦闘機形態に変形したミレア・ソリティスが、アルカ=ドラグレクスによる砲塔への攻撃を支援する。
 物理的ダメージではなく、ナノマシン侵食によって機能停止させるための電子敵攻撃だ。
 最悪の場合、『ノヴァ・バスター』による超近接自爆攻撃をすら覚悟していた。
「敵の目的は「殲禍炎剣への攻撃」……それはなんとしても食い止めます。
 私自身を犠牲としてでも、必ず。私は自爆したとしても機能に問題ありません」
 たしかにミレアは、データを同期させた同型自機がいる。
 仮に今いる「彼女」が自爆・消失しても、並列接続した別の「子機」が新たなミレア・ソリティスになることが出来る。
 しかしジャンゴは理解できなかった。なぜ、そこまでして己を止めようとするのか。
『遺された者の声を解放しようとすることは、間違っているのか?
 誰もが希望として願うことを達成しようとするのは、悪なのか!?』
「すでに指摘されている通りだと返します」
 ミレアはぴしゃりと言った。
「あなたが死者の声だと定義するものは、すべてオブリビオンマシンのもたらす幻覚であり、それによって惑わされたあなた自身が生み出したものです。
 ゆえにあなたの行為に正当性はなく、不要な被害を防ぐために私たちは戦います」
 ミレアにしては稀有なことに、彼女の声にはわずかに感情めいたものが見えた。
「――仮にこの砲塔に目的を達成する能力があったとしても、私は止めます」
『なぜ……』
「それによって小国家が滅ぶという結果を、私自身が許容しないからです」
 ミレアは目的のために自らを犠牲にはする。だが他者を犠牲にすることはない。
 感情なきウォーマシンにも、倫理という名のセーフティはあるのだ。

「……まぁ、サバイバーズ・ギルトとメサイア・コンプレックスこじらせちゃってるってのは同情するけどねぇ」
 一方で、ティオレンシア・シーディアは冷静かつドライにジャンゴを見ていた。
「頭の中ぐちゃぐちゃで、これはさぞかし狂わせやすいパイロットだこと。
 オブリビオンマシンに出会っちゃったのがあなたの運の尽き、だけど――」
 バイク型UFO『ミッドナイトレース』で車輪状の炎を躱し、砲塔に弾丸を叩き込む。
 ルーンあるいは天印を刻まれた弾丸は、雷と茨の力でシステムに打撃を与えた。
「だからって、あなたにカウンセラーみたいに寄り添うつもりはないのよ。
 あなたがやろうとしてることで、他のいろんな被害が出ちゃうわけだし。
 つまるところ――"これ"があたしたちの仕事なの。だから、ここで終わりよぉ」
 BLAMBLAMBLAM!! 味方がネハシム・セラフの炎を惹きつけている間に、ティオレンシアは思うがままに弾丸という名の破壊を叩き込んだ。
 そこに憐憫や嘲笑はない。ただ、与えられた仕事をこなすだけ。
 ……それでももしも、マシンの狂気に取り込まれたのが己であったら、とは思う。
 なぜならティオレンシアもまた、逝ってしまった者の傷を背負うがゆえに。

『ぐぅ、あ……やめろ、やめてくれ! やめろぉ!!』
 ――聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな……。
「かな、かな、かな、かな……やかましい」
 イコルがイジェクトモジュールによって射出された。
 まっすぐにネハシム・セラフに向かって飛翔し、炎も何もかもを覇気で吹き飛ばし、握りしめた拳を白き邪悪なる御使いに叩きつける!
「――いい加減に、起きて」
『ぐ……!?』
 異能を封殺するその拳は、オブリビオンマシンのもたらす炎を消し去った。
 そしてジャンゴはわずかに正気を取り戻し、見た――焼け落ちた都市の風景、己の暴走がもたらしたものを。
『お、俺、は……俺は……』
 束の間、あるべき声は消えた。それはジャンゴが願ったもののはずだった。
 己が真に向き合うべきものが何かを、彼は徐々に理解し始めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

儚・ソラ
※十拳・一二三(f31985)と
※アドリブ歓迎
※ジャンゴの撃破メイン

「殲禍炎剣に接続可能な機体……ターゲット281に該当」
「あの機体、持ち帰りたいのですが……いえ、売れないのは分かってるので中枢パーツだけ。できます?」
社長から回収を命令されていた能力持ちであることを確認。
その命令をしぶしぶ遂行するために、一二三に作戦を聞いてみる。

「システム起動。それでは行ってきます」
機体を透明化して隠れながら砲塔の破壊に向かいます。
剣で砲塔の弱い個所にダメージを与えていきます。

矢面にも立てず、空の敵には届かず、強力な武器があるわけでもない。
自分にはそのような機能が与えられていないことに改めて無力感を覚えます。


十拳・一二三
※儚・ソラ(f30723)と
※アドリブ歓迎

他の猟兵と協力して物量作戦。ひたすら数で押してジャンゴの対応力を越える

「ああいうワンオフ機は汎用性がなさすぎて売れねぇんだよなぁ…いいぜ。やってやる」下っ端のキャバリアの方が売れそう

ジャンゴには
「アンタの言い分に興味はねぇ。金が貰えるからここにいる。けど、そうだな。あえて何か言うなら…」
最大限の煽りをこめて
「今度、良い耳鼻科紹介してやるよ」

「炎の剣」に注意しつつバズーカやライフルで攻撃。接近する機会があればワイヤーアンカーで張りついてチェンソーで翼を切り落とす

撃破後、更生不可と判断したら積極的に止めを刺す
「あの世でじっくり話し合って来いよ、おっさん」



●戦う理由に貴賎なし
「殲禍炎剣に接続可能な機体……ターゲット281に該当」
 儚・ソラはネハシム・セラフの戦力を解析し、呟いた。
「あの機体、持ち帰りたいのですが……」
「ああいうワンオフ機は汎用性がなさすぎて売れねぇんだよなぁ……」
 ソラの言葉に、十拳・一二三はけだるげに答える。
「いえ、売れないのは分かってるので、中枢パーツだけ。できます?」
 ソラが回収にこだわるのは、そもそもネハシム・セラフの「殲禍炎剣にアクセスできる」という能力こそが目的だったからだ。
 彼自身が望んでいるわけではない――そんな己の立場に、ソラは思うところがあった。だが仕事は達成してこそのエージェントである。
「いいぜ、やってやる。あの「炎の剣」はこっちで受け持ってやるよ」
「お願いします――システム起動。それでは行ってきます」
『CSQN-404 ソムニウム』が噴射剤を燃焼し、一気に加速した。
「仕事熱心だねぇ……ま、そいつは俺もか」
 一二三は自嘲の笑みを浮かべ、バズーカを構え援護に回った。

 対するネハシム・セラフは、車輪状の炎――すなわち「炎の剣」を多数射出し、ソムニウムの接近を警戒する。
『邪魔をするなッ! 声が求めているんだ、俺に役目を果たせと!』
「アンタの言い分に興味はねぇんだ、悪いな!」
 ドウン! 一二三の量産型キャバリアが「炎の剣」を撃ち、相殺する。
『ならば、なぜお前は戦う!? なぜ俺の邪魔をする!?』
「金がもらえるからだよ。けど、そうだな、あえて何か云うなら――」
 一二三はコクピットで、ことさらに皮肉げな笑みを浮かべた。
「今度、良い耳鼻科紹介してやるよ」
『……貴様ァアアアッ!!』
 ジャンゴの激情に呼応するかのように、炎の翼が長くそして猛々しく燃えた。
 猛スピードでの突撃! だがソムニウムは目の前で消失する!
『消えた!?』
 透明化によるステルスだ。ジャンゴは即座にソラの狙いを看破する。
『目的は砲塔か……!』
「おっと! アンタの相手は俺だぜ!」
 一二三が肉薄! ワイヤーアンカーを機体に突き刺し縛り付ける!
『やめろ! あれは失われてはならない力だ!』
「だからよぉ、アンタの言い分には興味ねえんだよッ!」
 ギュガガガガガ! と、チェーンソーが悲鳴じみた音を立てて装甲を削る。
 それを尻目にソムニウムは砲塔に近づき、実体剣を破損部に突き刺した。
「…………」
 矢面には立てず、空の敵には届かず、強力な武器があるわけでもない。
 言われた通りの命令をしぶしぶ実行するだけの、小間使いめいた自分。
「僕にも、あんな機能が与えられていれば……」
 剣を引き抜き、また突き刺しながら、ソラは呟いた。
 使命に狂うジャンゴの姿が、ある意味で彼には羨ましく見えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ケンタッキー・マクドナルド
――ケッ、出遅れたなクソ……まァいいさ、最低限は間に合ったろ

しかし宇宙から星引っ張ってくるわ焔呼び出すわ 終いには聖なるかなだ?神にでもなった気か?……頭が高ェんだよ

――だからお前には"何もさせてやらねェ"

お前の下らねェ夢も
偽物の希望も叶えてやらねェ
――況してや俺の"一番大事なモノ"に傷一つつけさせやしねェ。

俺の創造力を有りったけ注ぎ込んで神を"織る"。
――来い、【ヤルダバオト】。
天国の梯子だろォが炎の剣だろォが
喧しい輪唱だろォがどれも関係ねェ。
"全ての攻撃は通さねェ"。
俺にもアイツにも指一本触れるな。

……お前なら90秒もいらねェだろ。
イイのブチこんでこいよ。


フェルト・フィルファーデン
本当に、馬鹿なことを。……まるで、昔のわたしみたいね。
皆の命は救えても、心は救えない。ならばせめて、ジャンゴ様。貴方の心だけは救ってみせる……!

騎士人形アーサーに乗り込み、【オーラ防御で炎を防ぎながら敵に肉薄。
ハッチをこじ開け手を伸ばし、アーサーが敵を抑えている間にジャンゴ様に語りかけるわ。

ねえ、貴方の仲間は全てを犠牲にしても助けてくれと、願うような仲間だったの?
今ならまだやり直せる。たとえ偽りの希望でも、貴方を信じてくれた人達を、仲間を救うために!
大丈夫よ。罪は全て、わたし達が背負うわ。

UCは万が一の保険。殲禍炎剣でも一撃なら防げるはずよ。
これ以上、ジャンゴ様が自分を責めないために……!



●"神"
「本当に、馬鹿なことを……まるで、昔のわたしのようだわ」
 フェルト・フィルファーデンは、哀れみを込めてジャンゴを、彼の駆る――あるいは駆らされている――白い機体を見つめた。
 あれは、己のカリカチュアだ。絶望に浸りながら希望を歌っていた頃の。
「みんなの命は救えても、心は救えない。ジャンゴ様、もう終わったことなのよ。
 あなたが本当になすべきは、ありもしない声に踊らされることではないわ!」
『……それなら、俺はなんのために生き残ったというんだ』
「その答えを探すために命を使う――それが、私のたどり着いた答え」
 フェルトは決然とした眼差しで"敵"を見つめる。
「だからわたしは、あなたの心だけは救ってみせる。たとえその先にあるのが絶望だとしても。
 わたしが大切な友達と、愛するひとに救われたように――戦うわ!」
『ならば、そのまま堕ちろ……!!』
 フェルトの乗り込む騎士人形アーサーに、炎の剣が襲いかかる。
 アーサーは車輪状の炎を斬り裂きながら突き進む――と、その時だ!

「宇宙から星引っ張ってくるわ焰呼び出すわ、しまいには"聖なるかな"だァ?」
「……この声は……ケン!?」
 然り。アーサーを護るように立つのは、ケンタッキー・マクドナルドが操縦する決戦式機神人形「ヤルダバオト」ではないか!
「神にでもなった気か? 頭が高ェんだよ!!」
『なんだと……!?』
「お前には"何もさせてやらねぇ"――行けよ、フェルト!」
 神の手によって創造された神(ヤルダバオト)の神罰は、偽りの御使いの権能をつかの間封じ込めた。
 それはケンタッキーの命を蝕むほどの強力な術式だが、ゆえにこそ効果は覿面!
「お前の下らねェ夢も、偽物の希望も叶えてやらねェ。
 ましてや"俺の一番大事なモノ"には、傷ひとつつけさせやしねェ!」
「……!」
 フェルトは無言で頷き、ヤルダバオトを飛び越えてネハシム・セラフに肉薄する。
「ねえ、貴方の仲間は全てを犠牲にしても助けてくれと、願うような仲間だったの?」
『……黙れ』
「いまならまだやり直せる。たとえ偽りの希望でも、貴方を信じてくれた人たちを、仲間を救うために!」
『黙れ……黙ってくれ!』
「――大丈夫よ。罪はすべて、わたしたちが背負うわ」
『黙ってくれ――!!』
 慟哭めいた悲鳴は、未だ続く偽りの声に対するものか、あるいは。
 なおも吹き上がる炎の翼を、フェルトの護身剣は静かに、優しく断ち切った。
 もうこれ以上、彼が己を責めないでいいように。
 それは誰よりも慈悲深く、ゆえにこそ彼にとっては裁きと呼ぶべき剣だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クラリス・クレスト
ルヴトーさん(f31792)と

無力さを嘆くことは、ボクにもある
何かを、許せないと思うことも
――でもそれは、「ボク」のものでなきゃダメなんだ
生き死にも、殺すも守るも、全部

……あなただって、そうじゃなきゃいけないんだ
だから、そいつを壊す
それで、あなた自身の願いを思い出してもらう!

建物の残骸も、瓦礫も、「砲塔」でさえ
ボクには空を舞うための足掛かりだ
地形を利用して加速していく
そんな炎に捕らわれたりはしない

好きにはさせないよ、「フォーアンサー」
あの人は殺さないし、ルヴトーさんも傷つけさせない
今ならお前に負けたりしない
彼と一緒なら、ボクはどこまでだって高く飛べる

……うん、行ってくるよ
全部、終わらせるから!


ルヴトー・シフトマン
クラリスさん(f30400)と

──復讐、大いに結構だ
恨みとは、憎しみとは…晴らすためにある
だがテメェのそれは、醜い心中でしかない
何もかもを巻き込んで、焼き払おうって破滅願望だ
復讐とはッ!『己の為』にするものだッ!

『王狼』の歩みは止められない
どれだけ苛烈な炎で俺を焼こうとしても、【覇気】で地に堕とす
その砲塔、邪魔だな…叩き折ってやる

──クラリス、なぁ…クラリス
こいつは醜いクソ野郎さ だけど殺しちゃいけない
俺が、お前に殺させない
そしてお前も堕とさせない 絶対に守る
俺は、群れを護る王狼だから
俺が全部請け負うから、飛んで来いッ!!
この偽りの革命を終わりにして、俺たちの日常に帰るぞッ!いいなッ!



●復讐するは――
「――好きにはさせないよ、「フォーアンサー」」
 瓦礫を、残骸を、破壊されつつある「砲塔」を足場に、蒼き鳥は"飛翔"する。
 そのなかに胎動する邪悪なる意志を、クラリス・クレストは己の意志力で抑え込んだ。
 システムが求める答えはひとつ――殲滅、そして殺害。
 目の前の敵を徹底的に破壊し、殺戮し、そのための道具となること。
「あの人は殺さない。ルヴトーさんも傷つけさせない。ボクはお前に敗けない」
 クラリスの声ははっきりとしていて、決然的だった。
「彼と一緒なら、ボクはどこまでだって高く飛べる――だから!」
 システムの力をねじ伏せ、クラリス=ブルーバードは炎を躱して飛ぶ。
 いまだ空には暴君が君臨し、翼で大気を叩いて飛翔することは出来ない。
 そんな道理に逆らうように、鳥の名を持つ機体は大地を力強く踏みしめる。
 その力こそが、クラリスという少女自身が持つ心の力なのだ。

「……そうだ、こいつは醜いクソ野郎だ。だけど殺しちゃいけない」
 聞こえてくるクラリスの決意の言葉に、ルヴトー・シフトマンは頷いた。
「復讐は大いに結構だ。恨みとは、憎しみとは――晴らすためにある。
 けどテメェのそれは、醜い心中、何もかもを巻き込む破滅願望だ!
『己のため』ですらない復讐なんて認められねェ! ……だとしてもッ!!」
『うおおおおッ!!』
 炎が近づく、王狼はただ覇気でもってそれを霧散させた。
「俺は、クラリスは、お前を殺させない。お前を真の意味で堕とさせもしない。
 俺は群れを護る王狼だ――クラリス! 俺が全部請け負ってやる、飛べッ!!」
「……うん! この偽りの革命を終わらせるために!」
「ああ、俺たちが日常に帰るために――!!」
 ふたりは離れ別個でありながら、ひとつの生命めいて完璧に動いた。
 ネハシム・セラフの攻撃は狼の覇気に潰され、狂気すらもがねじ伏せられた。
 がら空きの白い御使い――偽りの邪悪なる機体に、青い鳥は降りていく!
「全武装展開――CODE:Blue Glint、起動!」
 落下速度を乗せたブルーバードの砲撃が、斬撃が、ネハシム・セラフを直撃!
 炎の翼を焼き切り、白い機体に銃痕を刻み貫き焼灼し、偽りを焼き剥がす!
『お、俺の力が、復讐のための力が……!』
「……そもそもその力自体が、間違っていたんだ。だからこれは、終わるべき物語なんだよ」
 クラリスは言った。
「偽物の希望で、誰かを殺させはしない――もちろん、キミ自身も」
 ジャンゴは畏れた。
 ……彼女らの力を? それはもちろんだ。
 だがそれ以上に彼が畏れたものは、ただひとつ。

 死というありきたりで安らかな終わりすらも許さぬ、彼らの意志。
 生という絶望を己に強いる、容赦なき――だからこそ慈悲深き、彼らの気高さだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイオライト・セプテンバー
【ブルーテイル】に代わり、その後継モデル――
私専用に開発された新型キャバリア【リベルタス】で出撃する

因果なものね
この機体も、本来は……殲禍炎剣を壊すために開発された
無謀と呼ばれても仕方がない、青すぎる夢のためにね

でも、それがどんな無謀だとしても
人が掲げる『夢』と、オブリビオンが見せる『狂気』とは、違う

解放のため、復讐のため……そんなんじゃあないでしょう
だってそのやりかたでは、空を開放したとしても……取り戻した青空を見上げる人がいない

『夢』は生きるために見るものよ
だから……今は生きて苦さを知りなさい

ブラストナックル【フェニックス】を起動
【リベルタス】の全リミッターを解除

持てる力の全てで、奴を叩く


玉響・飛桜
【他キャラ、特に新世界学園との絡み歓迎】
親玉まで辿り着いたでござる―――が、やっぱヤバそうでござるな、親玉らしく。
あーもー範囲攻撃持ちは厄介でござるーーー!分身薙ぎ払われたら陽動もクソも無い!!

こっち使うしか無いか!
トランペッター!「分散和音(アルペジオ)」!!!
目標敵オブリビオンマシン!もしくは砲塔のどっちか!!
トランペッターの上半身だけの分身を作って接続して駆動系の妨害をする!
分身和音中はオレはそっちに集中するから、回避はトランペッターに任せる!今回はとにかく妨害に徹して味方を援護する!

何でもかんでも何でもかんでも!自分でどうにかしなきゃいけねえ訳ねえだろうが!!


嗣條・マリア
せいなるかな――――
いいえ、ここからは人の時代です。前に進むことを諦めない人の
貴方のそれは、逃げでしかない
終わりたいのなら、一人で終わりなさい。それに気づいていないわけでも、ないでしょう

『ヴォイドバンカー、アクティベート』
どれだけ頑丈でも、この一撃からは逃れられません
敵の動き、間合いを計りながら最初で最後の一撃に備えてポジショニングや射撃による牽制を行います

連携も密に
こちらのキャバリアを知る友軍なら、意図は察してくれるでしょう

何もかも失ったのは、別に貴方だけでもありません
残った人間の責務――と感じる気持ちはわかりますが

炎の呪縛から、貴方を開放して差し上げます



……まだ遠いですね、宇宙は



●宇宙(ソラ)はまだ遠く

 ――聖なるかな。聖なるかな。聖なるかな。

 それは祈りであるはずの言葉。
 人ならざる、いと高く尊きあるじを称えるためのことば。
 されど響き渡るのは、偽りの希望と必然の絶望を強いる邪悪な呪いだ。

「いいえ、ここからは人の時代です」
 その呪い(いのり)に、嗣條・マリアは言った。
「前に進むことを、希望を、未来をつかもうとする人のための時代です。
 ……だからあなたのそれは、逃げでしかない。終わりたいなら一人で終わりなさい」
『……ッ!』
「それに気付いていないわけでも、ないでしょう?」
 返ってこない言葉がその証左。
 暴君の名を持つキャバリアは悠然と、あるいは傲然と歩みを進めた。
 苦し紛れの炎の輪が大地を焦がす――しかし。

「トランペッター! 「分散和音(アルペジオ)」!!」
 上半身だけの分身と「接続」したトランペッター=玉響・飛桜の叫びとともに、車輪状の炎=剣は、最初から存在しなかったかのように霧散した。
『なんだと……!? クソっ、なら砲塔の力で……!』
「それをさせねえための形態でござるよ! まったく厄介でござるな!!」
 トランペッターの本懐は、陽動による敵の妨害である。
 しかしネハシム・セラフと砲塔が自由に動けば、超範囲攻撃は必至。
 ゆえにこの「分散和音」は、分身による妨害ではなく術式による駆動系への妨害でもって敵を封じ込める。
 分身が「接続」するのは本体だけでなく、砲塔やネハシム・セラフも同様なのだ!
『ハッキングの一種か……!?』
「なんでもかんでもなんでもかんでも! 自分でどうにかしなきゃいけねえわけねえだろうが!!」
 飛桜は怒号を放った。
「頼るべき仲間が、部下が、友人が! お前には残っていたはずだろ!!
 たとえその全部が逝っちまったとしても、生きてりゃまた作り出せるんだ!
 そうしなかったのは――お前が! また失うのが怖かったからじゃねえのか!?」
『ぐ……う、ああああ……!』
「オレは、拙者は違う……仲間がいるなら一緒に戦うでござるよ。こうやって!」
「ええ、そうです。私たちは学友(なかま)を忘れない。常にともに戦います。
 私という暴君(タイラント)は、仲間がいるからこそ独立独歩出来るのです」
 タイラントの強烈な打撃が、ネハシム・セラフに叩きつけられた。
 そこに続くのは……アイオライト・セプテンバーの『ブルーテイル』……いや!

「……この機体はね、本来は――殲禍炎剣を壊すために作られた」
 アイオライトは操縦桿を握りしめた。
「無謀と呼ばれても仕方がない、青すぎる夢のためにね」
『なら、わかるはずだ! 俺の気持ちが! 願いが!!』
「ええ、わかるわ。けれど」
 アイオライトはジャンゴのすがるような声をはねのけた。
「人が掲げる夢と、オブリビオンが見せる「狂気」とは違うのよ」
『――!!』
「あなたの願いは、解放のためでも復讐のためでもないでしょう」
『何を……ッ』
「だってそのやり方では――取り戻した青空を見上げる人がいない」
『!!』
 ブルーテイル後継モデル、『LIB:ERT-AS〝リベルタス〟』が翼を広げた。
 それは炎の翼と対になるような――そして、空のような蒼。
「夢は生きるために見るものよ。だから、今は生きて苦さを知りなさい」
「……そのために、あなたを炎の呪縛から解き放ちます」

 リベルタス、全リミッター解除。
 ヴォイドバンカー、アクティベート、レディ。

 トランペッターの生み出した隙を逃さず、タイラントとリベルタスが走った。
 その拳が、虚無の名を与えられた矛が、ネハシム・セラフに――叩きつけられる!

 そう、まっすぐに、すべての力と思いを込めて、白い装甲を貫く。
 それは、宇宙(ソラ)という届かぬ星を目指す人類の願いのように。
 彼ら/彼女らは、独りではなく誰かとともに進むことを、いとわないのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

牙・虎鉄
◆ヒュウガと

人の希望を負うた者が
どのような者かと思えば
そうか、コレがそうか。

(開眼。)

巫山戯るなよ。
仮にも人の希望を背負う者が
己の望みの為ならば何者をも犠牲にしてもいい等と。

その仁義の欠片も莫き
腐れ果てた夢、打ち砕く。

……"早く動くもの"を自動で追い攻撃する仕組みか。
ならば――先に行くぞヒュウガ。二の矢は任せる。

二つを同時に追える程賢しくあるまい。
ならば「俺がヒュウガより早く駆け殲禍炎剣を引きつける」。

【毀鋼拳】
俺を殺さんと狙う炎剣、その音と気配を感じ
俊脚にて紙一重で躱した上で敵に肉薄、"破山"の一撃を入れる。
(防御特化×見切り×野生の勘×功夫)

――隙は作った
ありったけをブチかませ、ヒュウガ。


風祭・ヒュウガ
アイツ等は、てめぇに望みを託してたんだ
……その当の本人が、これだってのか
――テメエが「俺たち」なんぞと語るなよ。お前は今の仲間なんか眼中にねぇ。過去しか見ちゃいない
……自分の贖罪なんざ、てめぇだけでやるこった、クソ野郎!!



――任せろ。
そう、短く相棒に答える

正直、出し惜しみナシで突っ切ってきたツケが回り始めている
フォトン力場の出力なんざロクに残っちゃいない、いつ止まってもおかしかねェ
だがな――無理じゃねぇ!


キャバリアも肉体も、変わりゃしねェ
力の流れを、敵にまっすぐ打ち据えるイメージを――フーガでやってやればいい
ただし――コイツのゲンコツは、ちっとばかしでけェぞ
喰らえよ、"ただの正拳突き"を――!



●破滅を乗り越えて
 人々は、男を英雄と称えた。
 愚かなことではある――英雄などいない、人は人でしかない。
 背負うものは重く、大きく、只人には耐えられないだろう。

 だが。
 そもそも人々の見ていた希望が、偽りでしかなかったとしたら。
 英雄たろうとする意識すらなく、ただ復讐のみを考えていたとしたら。
 ――そしてその復讐さえも、偽りでしかなかったとしたら。

「……その当の本人が、これだってのか」
「――巫山戯るなよ」
 牙・虎鉄は己の眼を見開き、風祭・ヒュウガは静かな怒りを燃やした。
「テメエが「俺たち」なんぞと語るなよ。お前は今の仲間も目に入れてねえ!
 過去しか見ちゃいないクソ野郎が、自分の贖罪のために他人を巻き込むな!!」
「仮にも人の希望を背負う者ならば、己の望みのために他者を犠牲にするなど言語道断。その仁義のかけら、腐れ果てた夢、ことごとくを打ち砕いてくれる」
 怒気が溢れかえり、己らを焼こうとする炎をさえ退けた。
『お前たちに何がわかる、何が……!!』
 ジャンゴはすがるような声で叫び、操縦桿を握りしめる。
 彼の正気がかった頭に響くのは、声――そう、偽りの祈りの声。

 聖なるかな。
 聖なるかな!
 聖なるかな!!

「……俺があれを惹き付ける。隙は作るゆえ、ありったけをブチかませ、ヒュウガ」
「ああ――任せろ」
 相棒が言った瞬間、虎鉄は風となった。
 それは何もかもを飲み込む嵐であり、あらゆる障害を吹き飛ばす烈風だ。
 ジャンゴよりも先にオブリビオンマシンがそれに反応し、威力を解き放つ。
 降り注ぐは破滅の光――すなわち殲禍炎剣。何者をもすら滅ぼすもの!

 ……だが!
「――遅い」
 局所的に降り注いだレーザーの柱を、虎鉄は間一髪で避けていた。
 研ぎ澄ませた集中と、極限まで鍛え上げた武功、生身であるという有利。
 何よりもネハシム・セラフの強制接続によって強引に降り注いだ力。
 それらの条件が、必然の滅びを回避するという超絶の奇跡/必然を招いた。
『なん、だと……!? 殲禍炎剣を、避け――』
 驚愕するジャンゴは、眼前に立つ恐るべき虎を見た。
「これぞ""毀鋼"の真髄也――噴ッッ!!」
 KRAAASH!! ネハシム・セラフは山をも破る一撃で吹き飛ばされる!
「ヒュウガ!」
「うおおおおおッ!!」
 ヒュウガは吠えた。だが彼の意気に反して、フォトンはもはや風前の灯。
 いかなオブリビオンマシンとて、出力は無限ではない。
 むしろヒュウガの意志下にあるからこそ、フォトンの力には限度がある。
 いつ止まってもおかしくない。いつ倒れてもおかしくない。

 だが。
「それでも――無理じゃねぇ! そしてなにより!!」
 相棒が道を切り開き、奇跡という必然を起こしたならば!
「おれも、ゲンコツのひとつぐれぇは叩き込まねえとな――!!」
 それは、異能によるものでもなんでもない。
 ただ速く、強く、硬く、そして重い……そう、ごく普通の拳である。

 されどヒュウガもまた、功夫を積み技を練り上げ意志を研ぎ澄ませた戦士。
 ならばその怒りを乗せた拳は、あらゆる守りをも貫く無敵の一撃となる!
「コイツの拳は、ちっとばかしでけェぞ――喰らえよ、"ただの正拳突き"を!!」
 肉体とキャバリアを同一視したがゆえの、至極単純、最速最大の一撃が放たれた。
 そびえ立つ砲塔よりもなお強力な一撃が、白き偽りの御使いを真芯に捉える。
『が――!!』
 そして威力は、ジャンゴにすらも浸透した。
 まっすぐな怒りが、彼らの愚直なる敵意が、狂気を束の間吹き飛ばす。

 それこそが、どんな一撃よりも男には効いた。
 己の愚かさを、無様さを、ジャンゴは己の目と心で見据えてしまったからだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
死んだ人間に報いなきゃならない、と思う気持ちが
わからないわけじゃない

だからこそ、それがどんなにバカげたことかを知ってる
生きる理由も、戦う理由も
他人の“せい”にすべきじゃない

引き続きキャバリアで戦うよ
“影”で銃器を形成して応戦
向かってくる炎は出来るだけ“影”で相殺し
戦火を広げないよう留意する
地形を燃やされればこちらの立ち回りが厳しくなるからな

粘り強く相手の手を封じながら
決定的な隙を晒すのを待つよ
僅かな間隙でも見逃さない
――それが身上だからな

後悔には果てがないし
生きている限り罪の重さから逃れることなんてできない
……それでも、いや、だからこそ
お前が聴くべきは、死んだやつの声なんかじゃないと思うけどな


ネグル・ギュネス
悪いが、貴様の妄言に付き合う時間は無い
正義を気取った人形風情が、いちいち囀るな

炎が何処から来るか判れば、対処は容易
迷彩を纏い、残像を駆使しながら、悪路も壁も、縦横無尽に走りながら、破砕された建造物も岩も全てを投げつけたり、遮蔽物にしながら掻き回す
理性の無い獣なんざ、指向性を持たせれば猪以外の何者でも無い

其処を狙い、懐に入り込んで羽根の関節部を斬る、撃つ、破壊する
破壊出来ずとも、挙動の癖を引き出し、後続の味方に伝えればそれでいい
独りで倒そうなんて程、傲慢じゃない

惨めだな、ジャンゴ
何も出来ない人間が、玩具に魅入られ英雄気取りか
それに酔った挙句、貴様はさらに多くの犠牲者を増やす

お前は、ただの虐殺者だ


ヴィクティム・ウィンターミュート
甘ったれんな、馬鹿野郎が
恨みも憎しみも、後悔も…正当なもんだろうさ
だがこれは何だ?散々希望を煽った挙句、全て巻き込んで終わらせる気でいやがる
『背負った』んだろ、革命の願いを
それを投げ出して、自分が一番気持ち良い方向に逃げんなよ
…まるで俺と同じじゃねーか
散るなら一人で散りやがれ

Void Link Start──『Void Sly』
その耳障りな歌も、鬱陶しい翼も…奪ってやる
それだけじゃねえ、背負ったものも俺の物だ
さぁ見るがいい!これがお前らが願った未来の果てだ!
今ここで!空への熱情は潰えるのさ!
この下劣で残酷な『悪党』の手によって!!

俺は夢を踏み潰す悪徳を、背負っていくぞ
無責任なお前と違ってな



●孤独という名の逃げ道すら
 言ってしまえばジャンゴは、明日に向き合うことから逃げてしまったのだ。
 仲間を失ったことは、たしかに辛く苦しいことだろう。
 乗り越えるのは困難で、克服したとしても痛みが消えるわけではない。

 しかしだ。
 それでもこれまで猟兵たちが戦ってきたように、彼を慕う者たちはいた。
 希望を預け、英雄と――それが空虚なものだとしても――称え、信じる者たちが。
 彼はそこに向き合わなかった。
 孤独という名の逃げ道を選んでしまった。

 ……それがどれだけ甘やかで、安らかで、だからこそ辛いか。
 彼らは知っている。彼らもまた孤独を選ぼうとしていたのだから。
 逃げることの甘やかさも、向き合うことの辛さも、歩むことの苦しさも。
 ……仲間がいるということの暖かさも、3人は知っている。

 炎が、滅びが降り注ぐ。
 響き渡る輪唱に耳を貸すことなく、ネグル・ギュネスは破滅の兆しだけを見つめていた。
『消えろ、消えろ消えろ消えろ!! 俺からすべてを奪おうとする者ども!!』
「悪いが、貴様の妄言に付き合う時間はない」
 ネグルの声は冷ややかだった。
 彼はあえて人々とふれあい、その希望の強さと重さを知っていたからだ。
 人々が希望を預けた男の哀れさ愚かさは、ネグルの静かな怒りの炎に火を点けた。
 こんな者のせいで、人々が滅んでいいはずがない。
 迷彩を纏い、残像を駆使し、稲妻のような変則的軌道で駆ける。
 向かう先はひとつ――白き偽りの御使い。復讐という蜜に飲まれた愚者。
「惨めだな、ジャンゴ。何も出来ない人間が、玩具に魅入られ英雄気取りか」
『なんだと!?』
「それに酔った挙げ句、貴様はさらに多くの犠牲者を増やす」
 頭上からレーザーが降り注ぐ――ネグルは躱さない。

 なぜならそれは、後ろから飛来した"影"によって相殺されたからだ。
「……死んだ人間に報いなきゃいけないって気持ちは、わからないでもないけどな」
 相棒――鳴宮・匡の乗るキャバリアが、そこにいた。
 示し合わせたわけではない。
 お互いの存在を、知っていたわけでもない。
 ただ信じていただけだ――ネグルは匡を、匡はネグルを。
 だから避けなかった。相棒がいるならこの程度は撃ち落とすと知っている。
 だから撃ち落とした。相棒がそう考えるであろうことを、匡は知っている。
「けど、だからこそ――生きる理由も、戦う理由も、他人の"せい"にすべきじゃない」
 匡は、知っている。
 生きる理由をほかに置くことが、どれだけ馬鹿げているかを。
 ゆえに、潰す。影は破滅の光を飲み込むように空を駆け抜けた。
 後悔に果てはない。生きている限り、罪の重さからは逃れられない。
「お前が聴くべきは、死んだやつの声なんかじゃないんだよ」
『わかったようなことを……!!』
「そう聞こえるだろうな」
 だから匡はもう何もいわなかった。ただ、"影"によって答えを示す。
 落とすという意志。その影の下でネグルは走る。相棒を信じて。
 信頼という名の真実が、ジャンゴに己の愚かさをなおさら自認させた。

『俺の復讐は、後悔は、恨みは! 間違っているとでもいうのか!?』
「――ああ、そいつは正当なもんだろう。誰だって持ち得るものだ」
 さらに広がり炎の剣を生み出そうとした翼が、ふっと霧散した。
 虚無を纏うヴィクティム・ウィンターミュートが、すべてを奪い取ったのだ。
「だがこれはなんだ? 散々希望を煽った挙げ句、全部を巻き込んで終わりだ?
 甘ったれんなよ、馬鹿野郎。テメェは――『背負った』んだろ、願いを」
『……!!』
「それを投げ出して、自分が一番気持ちのいい孤独(ほう)へ逃げるなよ」

 ――それじゃあ、俺と同じじゃねーか。

 ヴィクティムの辛辣な言葉には、ジャンゴへの怒りと己への憎悪が同時にあった。
 かつて己は誤った。仲間を失い、落伍し、得られた栄光のすべてを泥に変えた。
 だから見ていられなかった。優しさや慈悲ではない――これは、嫌悪だ。
「その耳障りな歌も、鬱陶しい翼もすべて奪ってやる。背負ったものも俺のものだ。
 そして見ろよ! お前らの願った未来の果てを! 空への熱情が潰える様を!!」
 ヴィクティムは大きく手を広げ、演技がかって叫んだ。
「――この下劣で残酷な『悪党』の手で、お前らのすべては奪われる!!」
 ヴィクティムは、背負うものから逃げたりはしない。
 夢を踏み潰す悪徳を背負う。これを見ている民たちからの憎悪をもすら。
 それしか己には出来ないと、彼は諦めていた。

「……お前だけじゃないさ」
 ネグルは言った。
「なあジャンゴ、俺ははっきりと言ってやる。お前が何者なのかを」
 抗う手段を奪われたネハシム・セラフに、彼は肉薄した。
 そして呆然とするジャンゴに、ネグルははっきりと、告げた。

「――お前は、ただの虐殺者だ」

 英雄を殺す言葉。
 刃は白い偽りの御使いを切り裂く。はらわたを晒すようにして。
 これが夢の終わりだ。
 これが希望の真実だと。
 孤独という甘やかな逃げ道を、ネグルは拒絶する。
 だからこそ彼は、その刃を突き立てられた。

「……生きることが楽じゃないなんてのは、俺ですらわかることなんだけどな」
 コクピットで、匡は小さく呟いた。
 その声音に乗せられたものは、憐れみでも嘲りでもない。
 おそらくそれは、狂気に浸ることすら出来ない己へのものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

安野・穣
(アドリブ連携歓迎)
救世主…空の奪還を謳ってみせたのがどんな奴かと思えば。
…ああクソ、あの時何も出来なかった自分がようやく、なんて…!
そんな…そんなの俺と同じじゃねえか…!

『カサンドラ』!【虚空】を発動するぞ!
翼からの炎は当たると延焼する。『ローレル』のシールド機能で防ぐより
スラスター機能の<推力移動>で回避に努めつつ
『ポイボス』の射撃による破壊を狙う!
避けるなら上空を飛んでも構わない、
<瞬間思考力>と<操縦>で対応してみせる!

見ろよ!ちゃんと空を見ろよ救世主!
本当にあんたらの仲間の声が空から聞こえんのかよ!?
真剣に考えてんならもっと向き合えよ!空にも!散った仲間にも!あんた自身にも!


秋由良・インテグラ
見事な妄言ね。狂人の妄想になんて付き合ってられないわ。そこを退いて。

引き続きインフィニティで対応。
砲塔をサルヴォミサイルとマークスマンで攻撃する……んだけど、砲塔を守るように敵キャバリアは立ち回るんでしょ?
立ちはだかった所を【TTB】を装填、攻撃するわ。
狙いは翼。攻撃の起点みたいだしね。
敵の攻撃は見切って避けるしか無いわね。幸い味方も多い。ヒット&アウェイで行くわよ。

ただの個人の妄想で後味悪い思いをしている他人の身にもなって欲しいわ。

※アドリブ連携歓迎


アトシュ・スカーレット
うげぇ、流石にAuroraに乗らんとダメか…

低空飛行で【空中浮遊/残像】で回避盾やるか
一応【火炎耐性/結界術/オーラ防御】で時間は稼ぐ
どでかい攻撃に対しては【幻想召喚・城壁式】で防御するぞ
【属性攻撃(氷)】で可能な限り炎と相殺させるか
あ、砲台は【呪詛(腐敗)】を帯びさせて殴るわ

あんたの狂言に付き合って滅びる必要はねぇ国なんだよ!

……あんた達の取り戻したい空、いつか取り戻せるようになるまで、諦めてくれ



●狂気の果て
 炎の翼が、まるで空を焦がすように高く長く広がる。
 それは触れるものすべてを焼き尽くす狂気であり、救いを求めて伸ばされた亡者の手のようでもある。
『俺は、俺は……ッ!』
 ジャンゴは諦められなかった。復讐という甘やかな幻想を捨てきれなかった。
 だから縋る。生き延びたことに意味があり、償えるはずだという妄想に。

「……ああ、クソッ!」
 サイキックキャバリア『カサンドラ』が、射出される炎の輪を避けて走る。
 安野・穣はコクピットで極限速度の思考をしながら、苦しげに呻いた。
「あの時何も出来なかった自分がようやく、なんて……そんな、そんなの……!」

 ――俺と、同じじゃねえか。

 故国の破滅を予期した少年は、しかし破滅を止めることが出来なかった。
 なにか出来るはずだと、何度後悔し、夢想し、そして自己嫌悪してきたことか。
「見ろよ! ちゃんと空を見ろよ、救世主! 本当にあんたの仲間の声が空から聞こえんのかよ!?」
 だから穣は叫ぶ。目の前の破滅を、もう一度否定するために。
「真剣に考えてんならもっと向き合えよ! 空にも! 散った仲間にも! ――あんた自身にも!」
『……黙れ、黙れェッ! 俺からこの復讐(ちから)を奪うなァ!!』
 ジャンゴは悲鳴じみて叫び、攻撃をカサンドラへ集中させた。
 嵐のように飛来する攻撃を高速思考で予測し回避し、レーザーライフルで反撃する。
「あんたにはまだ、向き合うことが出来るはずだろ……!」
『……そんなもんはない。だって俺の仲間たちはもう、逝ってしまったんだ!!』
 ジャンゴの怒気に呼応して、邪悪なる輪唱はさらに高らかに響いた。

「……見事な妄言ね。こと此処に至って、まだ現実を認められないだなんて」
 秋由良・インテグラの駆る『インフィニティ/B16A』が、砲塔を狙う。
 燃える炎の翼が、インフィニティの放ったサルヴォミサイルを焼き尽くした。
「狂人の妄想になんて付き合ってられないわ。そこを退いて」
『断る! これは俺にとっての、絶望を終わらせるための力だ!』
「その個人的な妄執で、後味悪い思いをしている他人がいるっていうのに……。
 あなたに希望を託した人たちは、あなたのその姿をどう思っているかしらね」
『……言うなッ!』
「いいえ、言うわ。そしてあなたの望みも何もかも、破壊し尽くす」
 BRRRRTTTT!! 『RSマークスマン』が火を噴き、炎の輪を相殺する。
 インテグラはどこまでもクールに、ドライに、そして公平に接した。
 ジャンゴの苦痛に寄り添うことはなく、彼の狂気を憐れむこともなく。
 ただ「悪辣なテロリスト」として、希望という名の絶望を破壊するために。
「この国はな、あんたの狂言に付き合って滅びる必要はねぇ国なんだよ!」
 ヒットアンドアウェイを続けるインフィニティを、アトシュ・スカーレットの駆る『Aurora』が援護した。
 次々に飛び出す炎の剣めいた攻撃を、空中に展開された魔力の障壁が防ぐ。
 それはさらに質量を伴って現実化し、ジャンゴの癇癪めいた攻撃の嵐を物理的に封じ込める城壁として顕現した。
「なあ、さっきも言われただろう。あんたの上に広がる空を見てみろよ。
 そこにあんたのお仲間の魂とやらは、居ないんだよ。声も、何もかも!」
『……ッ!!』
「あんたを英雄と呼んだ人たちは、恨みとか憎悪とかを望んでたんじゃない。
 空を、平和を! 取り戻したいからこそ、希望を抱いてあんたを選んだんだ!」
 Auroraから氷の魔力が膨れ上がり、広がり続ける炎の翼を拮抗した。
「あんたは目的から間違っちまったんだよ。だってもうあんたの悲劇は終わってる。
 存在しないものを解放しようとしたところで、待ってるのは滅びだけだ……!」
『俺は……もう、あいつらを、仲間たちを裏切りたくないんだ……ッ!』

「それが狂人の妄想だと言っているのよ。"そもそも望まれてなんていない"んだから」
 インテグラは言い、アトシュの魔力で炎の翼の熱量が弱まったところを狙い、TTB(トリプルトレブルバレット)を装填、とっておきの弾丸をネハシム・セラフに叩き込んだ。
 BRATATATATATA!! 弾丸は白き偽りの御使いの翼を、そして彼が守ろうとする砲塔を貫き、破壊していく。
『や、やめろ! やめてくれ!!』
「あなたが目指す先にはなにもない。そして"これ"が、私たちの仕事。
 恨むなら、あなたをそんな行動に走らせたそのキャバリアを恨みなさい」
 BRATATATATA……無慈悲なガトリング音が、妄執という名の夢を砕いていく。
「救世主――悪いけどさ、俺はあんたを間違えさせるわけにはいかないんだ」
 穣はレーザーライフルを構えて言った。
「たとえその結果、あんたが孤独という絶望にまた引き戻されたとしても!
 ここであんたに間違えさせたら! あんたを遺して逝った奴らにだって申し訳が立たないんだ!」
『――!!』
 腕部から展開されたブレードが、ネハシム・セラフを袈裟懸けに切り裂く。
 オブリビオンマシンの狂気から脱しつつある男が見上げたものは、
『――俺は、間違っていたのか……?』
 都合のいい声なんて聞こえてこない、嫌味なほどにキレイな夕焼け空だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
譫妄に囚われながら国ひとつ騙すなんて。詐欺師の才能がありますよ。
あとは隠蔽さえ上手ければこのオレとも並んだかもですね。
…あるいは、この諫めてくれる誰かが生き残っていたなら。

――死人の魂なんざ美しいものではありません。
救うだの報われるだ見守ってるだの、そんなのは“死亡”という現象のなごりを崇拝してるだけです。
死んでいった輩はこう使うんですよ。
【神業・影暗衣】。
火力と速度を得て砲塔を破壊しに掛かります。
刃より拳がよいでしょう。…幸いにしてこの姿を使えます。

ただ一人生き残った。そうですか。
ではおまえが殺したも同然ですね。
ならおまえには見ている義務があります。
おまえの希望が無残に殺されるところを。



●公国、炎上
 グロンデール公国は、取り戻せないほどのダメージを受けていた。

 市街地中心部での戦闘による、行政へのダメージ。
 国を挙げての作戦が失敗したことによる、市民感情と国家予算への痛手。
 夕陽が暮れゆくなか、人々は「英雄」が地金を晒し落ちゆく様を見ていた。
 希望(ゆめ)の終わり。熱狂が醒める時――現実への回帰の時間。

「譫妄に囚われながら国ひとつ騙すなんて。詐欺師の才能がありますよ」
 壊れたネハシム・セラフのコクピットから、ジャンゴが這い出す。
 そして彼は見た――『砲塔』の前に立つ、黒い忍びの姿を。
「あとは隠蔽さえ上手ければ、このオレとも並んだかもしれませんね。
 ……あるいは、こんなことになる前に諌めてくれる誰かが生き残ってたなら」
「……やめてくれ」
「声は聞こえますか」
 矢来・夕立は言った。
「あなたがご自身で作り出した、あなたを慰撫する死人の声は、聞こえますか」
「…………」
「そう、聞こえない。――なぜなら、死人の魂なんざそんな美しいものじゃない」
 夕立の瞳は凪いでいた。
「救うだの、報われるだの見守ってるだの、そんなのは生者の作り出す概念です。
 "死亡"という現象の名残を信仰し、崇拝し、利用しているだけに過ぎない」
 壊れかけた砲塔に、夕立は握りしめた己の拳を――叩きつけた。

 崩壊が始まった。
「ただひとり生き残ったというなら、おまえの仲間はお前が殺したも同然です」
 ジャンゴはへたりこむ。偶像が生み出したバベルの塔は夕焼け空のもとに崩れ落ちていく。
「……俺は、どうすれば償えるんだ。どうすればあいつらに報いれるんだ」
「出来ません」
 夕立の瞳は凪いでいた。
「おまえに遺されたのは「生き続ける」という義務であり、残念ながらそんなことで償えるほど、「生き延びた」という罪は軽くはありません。
 生きて、希望の滅びるさまを、おまえという偶像にすがった人々が苦しむさまを見ていることしか、おまえには出来ませんよ」
「まだ苦しめというのか」
「そうです。これからもずっと」
 どこからか悲鳴と怒号が聞こえた。憎悪の矛先は猟兵であり、夕立である。
「おまえが英雄だというなら、彼らを救ってみせればいいんじゃないですか」
「出来るわけがない――出来ない! 俺はただ遺されちまっただけなんだ!!
 あいつらの死に、俺が生き延びたことに意味がほしかった! ただそれだけなのに……!!」
「言ったでしょう」
 夕立は掻ききった首の傷を隠すように、赤いマフラーを巻き直した。
「死人の魂なんて美しいものじゃない。なら、生き延びた人間の明日も同じです。
 おまえに、美しい終焉なんてきません。おまえを信じた人々にも」
 終わりとは救いだ。終わってしまえば苦しむことはない。
 だがジャンゴは、そして彼を信じた人々は、終わることは出来なかった。
 滅びという終焉を、猟兵が奪い取ったがゆえに。

 慟哭する「英雄」を残し、夕立は沈みゆく陽のほうへと歩き出した。
 やがて来る夜に抗うように、つかの間の通り雨が降り始めた。

 グロンデール公国が燃えている――明日に続く「夕立」の中で、燃えている。
 燃えるような夕陽の赤が、この国の最期の灯火となるのか、再起する篝火となるのか。
 それは誰にもわからない――雨の中泣き続ける「英雄」に、誰も答えはくれなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月02日


挿絵イラスト