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Let it go around the cosmos(作者 しじる
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#クロムキャバリア  #プレイング受け付け中 


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#クロムキャバリア
#プレイング受け付け中


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 人類が空を失ってからどれほどの時が過ぎただろうか。殲禍炎剣により宇宙への道は閉ざされ、虫のように地を這いずってきた人類が、再び空を取り戻すことはできるのだろうか。
 そんな夢物語に挑戦する愚者がいた。その結末が分かったうえで行う愚者がいた。自らと共に国一つ消し飛ばそうとする愚者がいた。
「我らは長い時間、この死んだ揺り籠に閉じ込められてきた。醜い争いを続け、わずかながらの資源を奪い合い、無意味に死ぬ日々を繰り返してきた。だがそれも今日で終わりだ。この『螺旋の剣(テメニングル)』にて、空を封じる忌まわしき殲禍炎剣を粛清する!」
 ブロンズ像めいて緑青色に錆びたキャバリア越しに男が叫ぶ。その右肩には巨大な塔のような砲が、その姿を民衆にさらしていた。それを見れば民衆は声を上げて叫ぶ。あれなら、あれならば空を取り戻せると。
 熱気は凍える寒空も関係ないとばかりに膨らみ、民衆の希望が一つになってそのキャバリアと男に向けられる。男はコックピットの中で嗤った。
 照準をブレることなく真上に合わせ、螺旋の剣が吼え、一発の巨大な弾丸を天に打ち出した。
 それはブレることなく高く高く飛び、本当に殲禍炎剣に届くのではないかと思われた。しかしそれは薄氷の希望。重しが乗ればたやすく砕ける。
 無意味な行為であるとあざ笑うように、閃光は弾丸を呑み、真下にあった国さえも蒸発させて無に帰した。その時男は、やはり嗤っていた。

「というのが、このままだと起こってしまう未来になるよ」
 自身の予知を可視化させ、輸送列車の中に集まった各猟兵たちにそれを伝えるのは、グリモア猟兵のクトゥルティア・ドラグノフである。
「現在向かっている小国は中規模企業【コルヒドレ】が支配してる国なんだけど、支配体制がかなり厳重で、住民の不満が溜まっていたんだよね。そこにこのオブリビオンマシンに操られちゃったパイロットが来ちゃったんだ」
 グリモアに映し出されるのは先ほどの騎士キャバリア。古代魔法帝国時代の騎士型キャバリアであり、本来なら現存しているのは珍しい。オブリビオンマシンであることはある意味自然だったのかもしれない。
「彼の驚異的なカリスマによって、住民たちは彼がコルヒドレから奪った最新武器『螺旋の剣』で空を開放できるって信じちゃってるの。でもこの螺旋の剣、本当は超長距離狙撃用の右肩固定レールガンで、殲禍炎剣に届くことは絶対にない。これを撃つことで、殲禍炎剣による反撃で国を焦土にする、それがオブリビオンマシンの目的なんだ。自分も消し飛ぶのは計算に入れているおまけ付きでね」
 このある種の自爆攻撃とでもいえる悍ましい行為を止められるのは猟兵だけだ。それを把握しているのはクトゥルティアだけではなく、支配側の企業も同じである。
 もっとも、彼らは事態の鎮圧化のほうが優先したく、そもそも殲禍炎剣が反応するとは微塵も思ってない。故に猟兵を傭兵として雇おうと、依頼を出していた。この愚かな軍事行動を鎮圧せよと。
「それに乗っかる形にはなるけど、かのオブリビオンマシンを討って、みんなを助けないと……それが希望をへし折ることになるとしても」
 何も知らない住民たちからの不満は大きいだろう。彼らのことも考えるなら、オブリビオンマシンの本音を戦闘中に引き出すことも考えたほうがいいかもしれない。
「オブリビオンマシンの凶行は、コルヒドレが最新兵器を発表している会場のすぐそばで起こる予定だよ。企業の人も、民間人も入り混じった場になるね。なるべくどちらも巻き込まないように立ち回る工夫が必要になるかもね。また、コルヒドレから発表している新兵器は好きなように使ってくれて構わないと許可が出てるよ。あ、壊したら弁償しろとは言ってたよ」
 最新兵器は多種多様、どれか一つは猟兵の趣味に合うだろうとは企業談である。
 敵の布陣は難しくはなく、自らを正義というだけあって堂々としており、奇襲自体の難易度は非常に低いとのことだ。
 元凶のオブリビオンマシンが連れてきた量産キャバリアが護衛についているが、そちらには螺旋の剣は搭載されていない。気にすることなく速やかに排除し、本命を叩けとクトゥルティアが伝える。
「量産のほうは無人機だから、こっちは遠慮なくコックピットを打ち抜いて大丈夫だけど、本命は洗脳されてるパイロットがいるから気を付けてね。それじゃあ、皆気を付けてね!」
 そうクトゥルティアがいうのに合わせて、寒空の下汽笛が鳴り響いた。





第3章 ボス戦 『ヴェルディグリース』

POW ●メラルダの剣
【サイキックエナジーを実体化させて自分の剣】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD ●ベリドートの鎧
全身を【緑青色に輝く強固なサイキックオーラ】で覆い、自身の【搭乗者を顧みない出力のサイキックエナジー】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ ●ロムスフェーンの外套
自身の【搭乗者の生命力および精神力】を代償に、【対象の至近距離へテレポートし、サイキック】を籠めた一撃を放つ。自分にとって搭乗者の生命力および精神力を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ツェリスカ・ディートリッヒです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 防衛網は突破され、猟兵のすべてがオブリビオンマシン・ヴェルディグリースの前に集う。螺旋の剣を装備した彼のものは、猟兵の突破を確認するや否や演説を取り止めこちらを見る。
「きたか、民の空への思いを砕かんとする、浅ましき企業の先兵たちよ。だが私は負けん。民の思いを背負う以上、私に負けは許されぬのだから」
 そういって螺旋の剣を折りたたみ、特殊砲撃形態から通常形態に戻る。骨董品にも見えるが、その性能は折り紙付きのキャバリアである。危険度は推して知れるだろう。
 巻き込まれる心配はないとはいえ、避難地区から住民たちの歓声がヴェルディグリースに降り注いでいる。このまま倒しても良いが、その場合はどうなるかは目に見えているだろう。
 今までの情報から、奴はコルヒドレ、ひいてはこの国自体に相当の恨みがある。それを刺激するようなことを挑発にでも乗せれば、本音が出るやもしれない。
 さあ、最後の戦いを始めよう。ヴェルディグリースは剣を抜き、猟兵をなぎ倒さんと剣を構えた。
インディゴ・クロワッサン
POW ※引き続き一対二翼で浮遊中/アドリブ連携大歓迎
んっふっふー♪
「そんな事言っちゃってー、実は復讐の為に民衆煽ってただけじゃないのぉ?」(精神攻撃/傷口をえぐる)
「僕は聞いてたんだよ?キミが、この国…そしてコルヒドレに並々ならぬ憎しみを抱いてる事を、ね!」(威厳)
煽るだけ煽ったら、愛用の黒剣を片手に空中から攻撃開始だー!
敵の攻撃はなるべく見切り/フェイント/残像を組み合わせて対処、当たりそうならオーラ防御/怪力/武器受けで凌ぐよー
指定UCで影から生成した短剣は目立たない部位に投擲、短剣から棘蔦を這わせて徐々に邪魔をして、隙が出来たら嘆きの金糸雀で拷問具を召喚して射出、UCを封じちゃうぞー


「そんな事言っちゃってー、実は復讐の為に民衆煽ってただけじゃないのぉ?」
 ヴェルディグリースの少し上空から声がする。奴がそれにつられて上を確認すれば、そこにいるのは一対二翼で優雅に宙を浮く【インディゴ・クロワッサン】である。
 彼は知っている、ヴェルディグリースのパイロットが、コルヒドレと国に憎しみを抱いていることを。憎しみの果てに、奴が何をするかは予知で知っている。だからはインディゴはヴェルディグリースを止める。
「僕は聞いてたんだよ?キミが、この国…そしてコルヒドレに並々ならぬ憎しみを抱いてる事を、ね!」
 そういいながら抜くのは愛剣Vergessen、片手に持って急速降下しヴェルディグリースへと切りかかる。それを奴はその巨大なツヴァイヘンダー形状の剣、メラルダの剣を横へ薙ぎ軽くいなす。
 いくら猟兵とて、単純な重量差には抗えない。乗っているのが一流パイロットならば猶更。しかしそれはまともに切り合えばの話。このサイズ差を生かさない手はなく、ヴェルディグリースの懐へ懐へと潜り込みながらを1、2閃と刃を振るうなら傷は増え、リーチの内側である以上逆にヴェルディグリースには攻撃が行いにくい。
「小癪な……ならばそんな憎しみを持つ私が何故、螺旋の剣にてこの国の民を救おうとしているのか……矛盾しているのでないか?」
 されどヴェルディグリースはそういいつつ、懐に潜り込んだインディゴに膝蹴りを喰らわせようと足を上げる。それはインディゴ、あらかじめ出しておいた残像にて認識をずらすことで直撃を避け、当たったものもオーラ防御と怪力を生かした武器受けにて巧みにそらす。金属がぶつかり不快な金切り音が鳴り響くも、インディゴに傷一つない。
 ずらし受け流せば隙は生まれる、インディゴはとあるユーベルコードを発動しつつ、ヴェルディグリースの空いたわき腹目掛けて逆袈裟懸けに切り上げる。確かにまた一つの傷を奴に負わせていく。
「矛盾してないよ、だってそれこそ復讐の手段だよねぇ! 撃ったら殲禍炎剣に反応されて、全部滅びるんだから……っね!」
 その言葉に一瞬動揺したヴェルディグリースの隙をまた付き、インディゴの刃が装甲を抉り剥がし取る。奴の動揺は、なぜそのことを知っているといった驚愕の物であったが、インディゴの声が聞こえた民衆にも動揺は広がる。
「出鱈目を言ってく……何!?」
 自身の動揺が証明とされないためか、反撃に出ようとしたヴェルディグリースの動きが止まる。奴の両脚部がいつの間にか無数の薔薇の棘蔦によって地面に縫い付けられていたのだ。
 これこそインディゴが先に発動させたユーベルコード【影の拘束(シャドウ・リストリクション)】である。あの一瞬インディゴは自身の影から生成した短剣を投擲しており、それは奴のアキレス腱に突き刺さっていたのだ。
 これが生身の肉体であれば気づいただろうが、クロムキャバリアという外部装甲。そのため短剣から延びだした棘蔦が地面に絡みつくまで気づくことができなかったのだ。
「それ飛んでけ!」
 完全な虚を突かれたがゆえにできた多大な隙をインディゴは見逃さない。召喚し発射されたのは、嘆きの金糸雀と呼ばれる苦悩の梨と鳥籠を合体させた様な形の拷問器具。
 それは真っすぐヴェルディグリースの右肩に向かっていき突き刺さる。刺されば装置上部のネジが高速で回りだし、合わせて刺さったパーツが一気に開口される。それだけでも傷口が広がり破損を甚大にするが、そこから藍色の棘蔦が無数に飛び出してヴェルディグリースの内部機関に甚大な被害を与えた。
 その際に起きた破砕音は、まさしく嘆くにふさわしいものである。これによってヴェルディグリースのユーベルコードの一つが封印され、後の猟兵への大きな貢献となった。
大成功 🔵🔵🔵

アンノウン・シー
1i(プロトタイプ・タウミエル)と連携
呼称は一章から継続
「1i……後で当艦から説明します」
 1iが突っ込むのを止めずフォローに回ります。ニワトリと卵の理論ですが、もし搭乗者が動かしているので有れば、動きを読むことは可能です。UCによる周囲の力学的運動を理解する能力で搭乗者の脳の動きを読み取りその結果から敵機とⅰの動きを把握して対処していきます。状況に応じアンカー、帆柱による船闘一船流(二章プレ参照)、探照灯で動きを狭めさせるよう立ち回って行きます。


プロトタイプ・タウミエル
メイン(アンノウン・シー)と連携
呼称は一章から継続
「とりあえず、当船には言ってることがよくわからないので! 介護食くらいわかりやすい説明をお願いします!」(相変わらず話が分かってない)
とりあえずぶん殴ればいいのは分かっているのでUCを発動してぶん殴りに行きます! 難しい話はメインが理解してくれるでしょう! 絶対!
戦闘は問題ありません。得意のオリオンを併用した徒手空拳でストレートパンチやらフェイント、キックを混ぜながら常人から見れば無茶苦茶な動きで強力な一撃をぶつけて見せます!


「とりあえず、当船には言ってることがよくわからないので! 介護食くらいわかりやすい説明をお願いします!」
 ただそれだけ言い残して爆発加速でヴェルディグリースへとかっ飛んでいくのは【プロトタイプ・タウミエル】。精神年齢がミスによって幼くなっている彼女にとってはヴェルディグリースの話は難しいようで、とりあえず住民からの評価を気にしないならば倒すだけで良いと理解はしていた。
「1i……後で当艦から説明します」
 今説明したところで、頭が蒸気を噴き上げるのが分かっているからか、【アンノウン・シー】は説明は後にし、タウミエルの援護を行うことに注力する。
 スピードはシーよりタウミエルのほうが早く、先に戦闘開始となるのもタウミエルである。ユーベルコード【制限解除(リミットオーバー)】を発動させ、爆風で吹っ飛びながら格闘戦を行うという、人間であればGで潰れる出鱈目そのもの戦法で、ヴェルディグリースに襲い掛かる。
 さしものヴェルディグリースも、この戦法には面食らったのか一瞬で遅れるも、中のパイロットが優秀なのかすぐさま適応していく。
「一見出鱈目無茶苦茶な素人の動きだが……そうではない。確実に殺しに来る玄人の動き、ならばある程度は予測できる!」
 目で追えてないが、持ち前の勘で対処するヴェルディグリース。タウミエルが拳を放てば柄で止め、蹴りを放てば肘で脛を打つなどして、確実に対処していく。タウミエルが一人だけならば、完全に封殺されていたかもしれない。だが彼女は一人ではないのだ。
「あらゆる事象は原因と結果の因果によって結ばれている。砕氷っ!」
 ユーベルコード【敗北理論「ラプラスの悪魔」(ラープラーシジズ・ディーモン)】の詠唱、それが聞こえた時にはもう遅い。勘で対処しようとしたヴェルディグリースであるが、その勘さえも予測されているのであれば回避にならない。躱した先には大太刀『帆柱』の一戦が振り下ろされた。シーの我流剣術の船闘一船流が牙を剥く。
「潜水!」
 先の上からの渾身の一振りが、回避できたと思った直後に頭部に落とされたヴェルディグリースの上体は深く首を下ろされており、腹部は完全にがら空きであった。そこにシーが帆柱を添わせて、コックピットを切断しないようにしながら一気に切り上げる。
 今度は上体が完全に打ち上げられ、若干弓なりに反ったような体勢となる。この状態では人間ならばいざ知らず、キャバリアで回避行動を行うには無茶が過ぎる。完全な隙である。
「これなら、当たるでしょぉ!!」
 声掛けはいらない、タウミエルがその隙逃さず拳を腹部に炸裂させた。爆発による超加速で慣性を乗せ、さらにインパクトの瞬間にもう一度爆発させ威力を上乗せしたそれは最重量狙撃ライフルよりも上回る威力。
「何ぃ!? ヌガアアアアアアアアアア!!?」
 装甲が異音を立てて潰れ、5メートルの鉄の巨人が少女の拳で仰向けに宙へ浮く。異常な光景は一瞬で終わり、ヴェルディグリースが後頭部からアスファルトに叩きつけられ、まさしく格闘技のKOの様相を見せた。
 しかしヴェルディグリースの本音を引き出せてない以上、住民から上がるのは歓声でなくブーイング。先の猟兵によって揺らいだとはいえ、ヴェルディグリースはすぐに崩れ去るほどやわな信用を築いていない。
 ヴェルディグリース自体の破壊は加速したが、住民の信頼が少し減った気がした。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!

助けを呼ぶ声が耳に入り、参上しマシタこのワタシ。
バルタンデース!
愛機、オブリビオンマシン・メガリス・キャバリアのスコールに乗って現場入りデース!

ヘイ、ヴェルディグリースのパイロット殿!
コルヒドレの何が不満なのデスカ!
日々働いて頑張るサラリーマンの姿、すごく頭を働かせて頑張るお偉いさんの姿が目に入らぬデスカー?
そういうアナタは、今までどこで何をしてきたのデース!
大きなことを言ってマスガ、……実は私怨なのでは?

と、挑発はこれくらいでOKデスカナ?
上手く怒らせることに成功したなら、迎撃バトル!
「六式武装展開、煙の番!」
向かってくるところをカウンターの一撃で吹っ飛ばしマース!


 住民からの信頼はまだ安定こそしてないものの、ヴェルディグリース自体は損傷が大きく、猟兵優位であることはほぼ確定に近い状態である。
 そこに新手に現れるのは【バルタン・ノーヴェ】である。
「助けを呼ぶ声が耳に入り、参上しマシタこのワタシ。バルタンデース!」
 かつて自身に明るく振舞う楽しさを教えたサバイバルガンナーのように明るく威勢のいい声を上げ、彼女は愛機であるエルダーフェンリル改造機『スコール』に乗りながらヴェルディグリースの眼前に降り立つ。
「ヘイ、ヴェルディグリースのパイロット殿! コルヒドレの何が不満なのデスカ! 日々働いて頑張るサラリーマンの姿、すごく頭を働かせて頑張るお偉いさんの姿が目に入らぬデスカー?」
 コルヒドレを庇護する物言いに、ヴェルディグリースだけでなく住民さえも怒りに燃え出す。実際コルヒドレで働く者はバルダンのいう通り汗水たらして必死に働いているが、結果として圧政を敷いているのも事実。住民らの怒りが頂点を超えたがために怒った武装蜂起でもあるのだ。
 それを知らないのかと、煽るようにヴェルディグリースがメラルダの剣を構えながら口に出す。
「貴様は知らぬようだが、そのコルヒドレこそがこの国の膿なのだ。圧政を敷き、民に重税を課せ、逆らうものは悪とする。どれだけ小さく武力のない国でも、少し意見しただけで滅ぼしにかかる。それこそが悪であり、排除すべき存在となぜわからんのか!」
 いやに実感が籠った言い方と口調、そして武力のない国を潰したということは、住民たちも知らなかったのか、かなり動揺している。そこに付け入るスキがある。それこそバルダンが住民の怒りを買ってまで引き出したかった言葉。
「そういうアナタは、今までどこで何をしてきたのデース!」
 バルダンの指摘は的確だ。ヴェルディグリースのパイロットほどコルヒドレに憎しみを持つものが国内にいるなら、コルヒドレとしても気づくはずだし、住民としても噂として流れていておかしくない。
 だがそんな話はヴェルディグリースが国に来るまで煙も火も起たないほどになかった。流れはヴェルディグリースの出自を疑うものへと変わっていく。
 これはまずいと感じたか、ヴェルディグリースは剣を手にバルダンへと襲い掛かる。大上段から振り下ろされる剣は、正しく二の太刀いらず。この一撃でバルダンを仕留めるつもりだ。それほどにヴェルディグリースは損耗しているし、住民らの疑問をねじ伏せる戦果となると考えたからだ。
 しかしその一発をじっと待っていたのがバルダンだ。ヴェルディグリースは油断しすぎた。明るい声やキャバリアに乗り込む前に見えたメイド服姿で。相手は戦い慣れしていない素人であると決めつけてしまった。
「六式武装展開、煙の番!」
 ユーベルコード【粉塵纏・破城槌(ヴァニッシング・バトリングラム)】。機体各所から高濃度の煙が一気に噴射され、辺りを灰一色に染め上げる。
 ここでヴェルディグリースはとっさに大上段の縦斬りから袈裟懸けに切り下そうと、キャバリアの性能に任せた強引な太刀筋変更を行う。
 パイロットは考えたのだ。素人の考えることならば、この煙幕に乗じて上に飛ぶか、下がって砲撃か、しゃがんでカウンターか。ならば三つとも防げる太刀筋にしてしまえばいい。上に飛んでもひっかけ切り落とし、後ろに下がる前に切り伏せ、しゃがんでも肩などの部位を切り捨てる。
 三手潰す力と業を合わせた一撃は唸り風を上げてさあと振り下ろされた。煙に隠れたバルダンのスコールを一刀のもとに切り伏せんと振るわれたそれは、しかし掠ることもなくヴェルディグリースの一歩上を行くバルダンの戦術に敗れた。
「なぁにぃ!?」
 ヴェルディグリースの想定よりもさらに下。二足歩行ならとっさに不可能なほど低く地に着くような体制。スコールは煙幕の中で四足歩行の狼型獣化形態にすでに変形しており、ヴェルディグリースの想像を超える回避を行って見せた。
 バルダンは見た目こそメイド、しかしその正体は生後数日と間もなくサイボーグ手術を施された機械兵士。渡った戦場数知れず、潜った修羅場は幾千万、屠った敵数覚えておらず。圧倒的経験数の違いが勝敗を分けた。
 即座にバルダンは形態をヒト型に戻し、振り切り動けぬヴェルディグリースのメインカメラ目掛けて、パイルバンカーを殴りつけ、そのままトリガーを引いた。
 打ち出された鉄杭はメインカメラを易々粉砕し、背後にあった螺旋の剣さえも破砕して、ヴェルディグリースを大きく吹き飛ばしてみせた。
「とっ……大きなことを言ってマスガ……実は私怨なのでは?」
 その添えられた一言は、先のヴェルディグリースの発言も合わせて、住民らのヴェルディグリースへの信用を揺らがせるには充分であった。
大成功 🔵🔵🔵