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翼あるもの達のパストラール

#ブルーアルカディア

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#ブルーアルカディア


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 澄み渡る夏の青い空から、ふと視線を足元に移してみれば――もくもくと湧き立つ白雲が海となって、浮島の間に時おり虹の橋を架けていきます。
「わあ、今日もきれいな虹が見えるねえ」
 そよそよとさざ波を立てる牧草地の傍らで、幻獣たちのお世話をしていた女の子が笑顔を浮かべると、草を食むヒポグリフの幼獣も「ぴぎー!」と頷いて、まだちっちゃな翼をぱたぱたさせます。
「あ、危ないよ! あんまり端のほうに行くと、崖になってるからねっ」
「……ぴ、ぴぎ!」
 豊かな自然に恵まれたこの浮遊大陸は、幻獣たちの格好の住処となっており、島の住人たちは主に牧畜を営んで、日々の暮らしの糧にしているようでした。
 今も広大な草原では、ペガサスの親子が思いっきり駆け回っていたり、一方の崖の上では、グリフォンの子ども達が食後のお昼寝をしていたり。はたまたぶ厚い雲のなかから、次々に顔を覗かせるのはワイバーンの群れでしょうか――ちんあなごのようにも見えますね。
 ――かぁぁん、かあああぁん。村外れの聖堂が古びた鐘を鳴らして、三時のおやつの時間が来たことを教えてくれました。
 気の遠くなるほど昔に建てられた聖堂は、かつてこの大陸を守護していた天使を讃えるもので、その地下に安置されている天使核こそが、島に豊かな恵みをもたらしてくれているのだと言われていたのです。
「今日も明日も、ずっとずっと……こんな素敵な日が続きますように」
 鐘の音に合わせて、白亜の聖堂にふと――七色に輝く薄雲のヴェールが、極彩色の祝福を降らせたその直後。
「あ……あれは! みんな、早く逃げなきゃ!」
 ――空に滲んだ不吉な黒が、みるみるうちに屍人の騎士団と化して、浮遊島に攻め込んで来たのです。

 新たな世界、ブルーアルカディア――其処は雲海に無数の浮遊大陸が浮かぶ、正しく空の幻想世界と言ったところ。しかし、オブリビオンの脅威に晒されているのは他の世界と同じで、寿命が尽きた大陸は雲海に沈み、『屍人帝国』として蘇ってしまうのだそうです。
「それでね、急な話になるんだけど……辺境の島に、屍人帝国の尖兵が迫っているらしいんだよっ」
 篝・燈華(幻燈・f10370)が調べたところによれば、ブルーアルカディアの浮島のひとつが帝国兵に襲われ、このままでは消滅してしまう、とのことでした。
「と言うのもね、帝国は浮島の動力源である『天使核』を手に入れようとしているみたいで、既に黒翼騎士団の軍勢が、天使核の安置されている聖堂へ向かったようなんだ……!」
 ひとびとを守るため屍人帝国と戦い、雲海に消えたエンジェル達――そんな勇ましい彼らであっても、オブリビオンとなる運命からは逃れられず、帝国の一翼を担うことになってしまう。やるせない表情で俯く燈華でしたが、このままでは島に住むもの達もオブリビオンと化してしまうのです。
「天使核の不思議な力によるものなのか、この浮遊島は豊かな自然に恵まれていて、色んな幻獣さんの住処になってるんだよっ。島のひと達も、彼らのお世話をしながら素敵な関係を築いていて……うん、空の楽園って言葉が相応しい、平和な島のようなんだ」
 ――餌も豊富だからでしょうか、幻獣たちは穏やかな性格のものが多く、人懐っこいため騎乗用として飼い慣らすのも容易だそう。もし島に平和が戻れば、幻想的な七彩の雲海を幻獣と一緒に飛び回ることだって出来るでしょう。
「それに……もふもふのグリフォンさんに餌をあげたりとか、雲から顔を覗かせるワイバーンさんに手を振ったりして、飛び石みたいに浮く島を散歩したり、色々楽しめそうだよね!」
 ぱああ、と両手を広げて微笑む燈華は、翼持つ不思議な動物に興味津々のようですが――その為にはちゃあんと、屍人帝国の騎士団を倒さなければなりません。
「さぁ、冒険の準備が出来たら……空を目指そう」
 ――虹の橋を渡って、雲より高く。遮るものの無い蒼の楽園へ、冒険のはじまりです。


柚烏
 柚烏と申します。今回は新世界ブルーアルカディアにて、わくわくするような冒険のはじまりへ、猟兵さん達をご案内出来たらいいなと思います。

●シナリオの流れ
 辺境の浮島を襲撃する、屍人帝国のオブリビオンを倒し、島の平和を守って下さい。集団戦を経て、ボス敵に勝利すれば、幻獣さんと一緒に島でのひと時を楽しむことが出来ます。
 第1章:集団戦『黒翼騎士』
 第2章:ボス戦『グリフォンナイト』
 第3章:日常『空ゆく獣たち』

●第1章について
 島の聖堂に安置されている天使核を狙って襲い掛かる、黒翼騎士の集団を倒して下さい。島の建物や幻獣、一般人への対処は無くても大丈夫ですが、プレイングで触れるぶんには大丈夫です(有効だなと判断した場合はボーナスがつきます)

●プレイング受付につきまして
 期限内で書けるぶんだけ、リプレイをお返ししていく予定です(大体10名様前後になりそうです)何かありましたら、マスターページやシナリオのタグなどで連絡いたします。此方のスケジュールの都合などで、新しい章に進んだ場合でも、プレイング受付までにお時間を頂く場合があります。
 ※内容に問題がなくても、人数次第では返金の可能性があります。ご了承のうえで参加頂けますと幸いです。

 オープニング文章のような、ゆるっとした童話っぽいリプレイになると思います。レベルなどは気にせずに、ご新規の猟兵さんでもお気軽にどうぞ。これをきっかけに、第六猟兵を楽しんで頂ければとても嬉しいです。それではよろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『黒翼騎士』

POW   :    集団突撃戦術
【背中の翼と飛行魔術】によりレベル×100km/hで飛翔し、【一緒に突撃を仕掛ける人数】×【速度】に比例した激突ダメージを与える。
SPD   :    黒翼斧槍
【敵の頭上に飛翔し、ハルバード】による素早い一撃を放つ。また、【追い風を受ける】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    黒翼防御戦術
自身の【部隊の守備担当】になり、【翼に風を受ける】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御門・結愛
ユニコーンと契約した心優しきアリスナイト。
ヒーローに憧れ、ノブレス・オブリージュが信条のお嬢様。
幻獣が封じられたメダルで変身して戦う。

幻獣や一般人に
「彼らの狙いは聖堂です!聖堂から離れてください!」
「安心してください。この島の聖堂はわたくし達が守りますわ!」
ベルトポーチからメダルを取り出して右手で握り囁く。
「『あなた』の仲間たちを共に守りましょう」「『ペガサス!』」
UCで純白の翼とドレスを身に纏い、天馬の雷銃を構え空を翔ける。
「建物を巻き込まないようにしないと」
突撃してくる敵の動きを見切り雷弾を放ち、高速の残像で攪乱させる。
「天馬は雷を運ぶと云われる幻獣です。あなた達に雷を捕らえきれますか?」


ミア・ミュラー
おー、本当に島が、浮いてる。すごい……!景色も綺麗だし……あれは、幻獣さん?
ここはのどかで素敵なところ、ね。この島が平和なままでいられるように、わたしも頑張る、よ。

ん、わたしは地上で戦う、よ。走り回って攻撃を、避ける。上空から攻撃してくるみたいだから上をよく見て、こっちに風が吹いてきたら注意したほうが、いいかな。できるだけ建物とか牧場がないところに引きつけたい、な。
後は攻撃しに降りてきたところに、【プリンセス・ローズベアー】で熊さんを呼び出してやっつけちゃう、ね。逃げ回ってる間に薔薇も召喚して、おくよ。
ん、この島の平和はわたしたちが、守る。だから、あなたたちはもう休んで、ね?



 舞い降りた世界には、果てしない青が広がっていて――ゆっくり瞬きをするミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)の頭上では、浮島から流れ落ちる大瀑布が次々に虹を生み出して、彼女の来訪を祝福してくれているようでした。
「おー……、本当に島が、浮いてる。すごい……!」
 見渡す限りの青のパノラマに、時おり顔を覗かせるのは不思議な幻獣たち。翼持つ彼らに並ぶように、ミアが魔法の白い傘を広げれば――風に乗ってふわりと浮いた彼女もまた、ちいさな浮島を階段のように飛び越えて目的地へと向かうのです。
「景色も綺麗だし……あれは、」
 次々に現れる幻想的な風景を、ほんの少しの間だけ楽しむミアでしたが、行く手に待ち受ける不吉な影を確かめると、感情の窺えない相貌にちいさな決意を滲ませます。
「ここは危ない、から……逃げ、て」
 いななきと同時に、くるりと背を向けたペガサス達が遠ざかっていくのを確認してから、ミアは一気に跳躍を決めて島の聖堂の方まで走っていきました。
 途中、怯える幻獣を落ち着かせたりして避難を促しながら、村の広場を通ります。突然の屍人帝国の襲撃に、島のひとびともだいぶ混乱しているようでしたが――思った以上に統率が取れているのは、駆けつけた御門・結愛(聖獣の姫騎士・f28538)が上手く指示を出してくれているからでしょう。
「彼らの狙いは聖堂です! 聖堂から離れてください!」
 艶やかな銀の髪が陽光を弾くのに合わせて、凛とした結愛の号令がひとびとの背を押していきます。未だあどけなさが残る少女とは思えぬ、その誇り高き佇まいは、ノブリスオブリージュの精神を見事に体現しているようでした。
「安心してください。この島の聖堂はわたくし達が守りますわ!」
 そう言ってベルトポーチから取り出すメダルは、天駆ける力を持つペガサスのもの。アリスナイトとして契約を交わした幻獣の封印を解きながら、結愛は集団で襲い掛かる黒翼騎士へ向けて手を翳します。
「『あなた』の仲間たちを共に守りましょう――『ペガサス』!」
 直後――メダルから放たれた眩い光が結愛を包み込むと、その背には純白の翼が大きく広がって、天馬融合の加護を彼女に齎していたのでした。
「ん、……じゃあ、わたしは……地上で戦う、よ」
「了解ですわ。……建物を巻き込まないようにしないと」
 そのまま集団突撃を行う騎士を牽制するように、結愛の手に現れた銃が雷弾の雨を撃ち出していくと、囮となるべく駆け出したのはミアです。頭上すれすれを掠めていくハルバードを視界に捉えつつも、ミアは聖堂から距離を取り、今は使われていない牧草地へと敵をおびき寄せていきました。
「……上」
 ――黒翼騎士が追い風をつかまえられないよう、常に走り回って有利な位置を取りながら。その可憐な姿に見合わぬ健脚は、オウガから逃げ回ったアリスならではのものですね。そう言えば、愉快な仲間たちにも随分と助けられたのでした。
「そうだ……今も。……一緒に、戦って?」
 と、そんなミアの立ち向かう勇気に呼応して、クラブのスートが熱を帯び――滑空を行う騎士たちの目の前に、お伽噺の熊さんが召喚されていきます。
「ぐるる」
「……!!!」
 べしゃあああ――赤と白の薔薇を守る熊は、飛び込んできた黒翼騎士目掛けて前足を振りかぶり、痛烈なカウンターを叩き込みます。
 そう、熊の力を甘く見てはいけないのです。逃げ回る間にしっかり魔力の強化を行っていたミアによって、熊の加速はとんでもないことになっていたのでした。
「……ん、この島の平和はわたしたちが、守る」
 それはまるで、川で鮭を取る熊のような光景でした。ばっさばっさとなぎ倒されていく鮭――ではなく黒翼騎士たちは、何とか残った仲間を集めて突撃を再開しようとしましたが、既に結愛はその戦術を見切っています。
「残念でしたね……もう、数を頼みにすることは出来ませんわ」
 そうしてペガサスの翼で一気に空を翔けると、高速の残像が虹を纏って騎士たちを撹乱していきます。追い風を受けて波打つドレスを優雅に払いつつ、結愛は天馬の雷銃で、散り散りになった敵を素早く撃ち抜いていくのでした。
「天馬は雷を運ぶと云われる幻獣です。あなた達に雷を捕らえきれますか?」
 ――次々と雲海に落下し消滅していく、嘗ての天使たち。屍人帝国の軍勢として蘇った彼らも、元々はひとびとを守る騎士だったのでしょう。
(「ここはのどかで素敵なところ、ね」)
 きっと、彼らもこの世界を愛していたと思うから――ミアは誓うのです。この島が平和なままでいられるように、わたしも頑張るのだ、と。
「ん、だから、……あなたたちはもう休んで、ね?」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アパラ・ルッサタイン
嗚呼、此処は穏やかでよい所だね
この平穏を壊されている事をを見過ごす訳にはいかぬな
それに、石くれの身にとって翼持つ姿は憧れるものがある
彼らの事も守りたいのさ

やあ騎士諸君
此処から先を進ませはしないよ

頭上から襲い来ると解っているのならば
羽ばたきに注意をしておこう
頭の上から聞こえたならば【火色】で身の回りに炎を喚ぼう
追い風に乗った状態で、すぐ避ける事は出来るかな?

火で刃は止まらぬかもしれないが
熱せられた空気の揺らぎで『残像』を作り誤認を誘おう
捕らえられたならば、さあ
『全力魔法』だ
焼いて差し上げる

嗚呼、
予め燃えやすいものが無いか確認し
あれば可能な限りどかしておくよ
この景色を焼きたい訳ではないものね


浮世・綾華
訪れた空の世界は壮大でうつくしい
こんな状況でなければ心ゆく儘楽しめたのだろう

黒き群れを見れば息を吐き
のんびりする時間はねーってか

幻獣や住人達が避難していくのをちらり横目に
さてと鍵刀を構える

数には数を。操る数多の鍵刀をぐるりと配置させ
敵が近づく前から向かい来る攻撃を受け止めるべく備える

…まぁ、そう来るわな
全部止めるだけ、だが

追い風を感じたなら懐から扇を取り出し仰いで相殺

平和を守ろうなんて柄でもねーケド
折角こんな胸躍る場所に来たんだ
のんびり楽しませてくれたっていーんじゃねーの

敵の攻撃に対応しながら鍵刀を振るい反撃を狙う

――まぁ、そんなに戦いたいってんなら
付き合ってやるよ
後、もう少しだけ、な?


鈴久名・紡
どの世界であっても……
オブリビオンが脅威なのは変わらないんだな

むすび、むすび
幻獣達が気になるのは判るが……
今は戦闘に集中しよう
敵を退ければ、彼らの許を訪ねることも叶うから

共にある兎型の幻獣の『むすび』にそう声を掛けたら
存在証明で竜神形態に変身して空へ
むすびは鬣の中に隠れておいで

上空に位置取らせないよう常に注意して立ち回り
槍に形状変化させた禮火に氷結能力の属性攻撃と斬撃波を乗せた先制攻撃
二撃目は属性攻撃と斬撃波で翼に部位破壊を仕掛けつつ
天候操作で敵のど真ん中に突風を起こして統制を乱そう

敵の攻撃は見切りと空中機動で回避
島に被害が及ぶ可能性がある場合は
オーラ防御と盾に形状変化させた葬焔で防いで凌ぐ



 ――艶やかなベルベットを思わせる青の空へ、精緻なレースを織り込むように、ゆっくりと白い雲が広がっていきます。
(「空の世界、か……。壮大で、うつくしい」)
 雲のなかの氷晶が、陽の光を受けて祝福を降りまいているのでしょうか――浮世・綾華(千日紅・f01194)の見上げる空は時おり七色に輝き、雲の切れ間から覗く緑の島が、エメラルドの輝きとなって空を彩ります。
「嗚呼、此処は穏やかでよい所だね」
 そんな煌めきに魅せられたように、ゆらりと足を浮遊島に向けるのは、アパラ・ルッサタイン(水灯り・f13386)で。彼女の纏う薄布が風に揺れるたび、その身体の裂け目から覗く鉱石が、不思議な色合いを宿して空と共鳴するかのように見えました。
「くえー、くえー!」
「おや、こんにちは」
 アパラのプレシャスオパールが作り出す遊色に、グリフォンの子ども達が興味津々といった様子で近づいてきます。黄金を守ると言う伝説のある通り、光り物には目が無いのでしょうか――何だかカラスみたいですね。
「……そちらの子は少し変わった感じだね?」
「あ、……むすび、むすび」
 おや、グリフォンの群れに、ちょこんと紛れ込んでいた兎のような幻獣は、鈴久名・紡(境界・f27962)の相棒の女の子のようです。『むすび』と言う名前のおっとりしたその子は、いつの間にかグリフォン達の人気者となっているようでしたが、今は戦闘に集中しなくてはなりません。
「こんな状況でなければ、心ゆく儘楽しめたんだろうケドな」
「……だね。それでも、この平穏が壊されている事を、見過ごす訳にはいかぬな」
 ここも戦いに巻き込まれるだろうと、まだお昼寝の途中だったグリフォンを、アパラや紡と手早く避難させつつ――綾華の瞳は既に、此方へ向かってくる黒き群れを捉えていました。
「ま、のんびりする時間はねーってか」
 気怠そうに息を吐くも、紅のまなざしには空での戦いを制する為の、確かな策があるようです。さて、と呟き黒鍵刀を構えた綾華の傍で、アパラも鉱石ランプを取り出して炎を呼びます。
「やあ、騎士諸君――此処から先を進ませはしないよ」
 ――死を告げる凶鳥の如く頭上で羽ばたき、ハルバードの穂先を一斉に突きつける黒翼騎士たち。そんな彼らの包囲に穴を開けようと、まずは完全な竜神に姿を変えた紡が、一気に青の世界を突っ切っていきました。
(「むすびは鬣の中に隠れておいで」)
 ひしっと紡にしがみ付くむすびは、空での戦いを上手に行えるよう、主人に加護を与えることも忘れてはいません。頭上から狙いを付けられぬよう、鞭のように唸る竜の尾に紛れて、白銀の神器が氷の槍となって黒翼騎士たちを貫きます。
(「敵を退ければ、彼らの許を訪ねることも叶うから」)
(こくんと頷くむすび)
 斬撃波となって散っていく氷の粒が、陽光を受けてきらきらと虹色のひかりを振り撒いていく、その下では――数多の鍵刀の配置を終えた綾華が、黒翼斧槍を受け止めようと待ち構えていました。
「数には数を……まぁ、そう来るのは分かってたしな」
 オリジナルの鍵をくるりと回しながら、飛来するハルバードを刃で受け止め、そのまま封印を施していく綾華。得物を使えなくなった騎士たちは、態勢を立て直そうと更に上空へ羽ばたこうとしますが――其処に待ち受けるのは、突風を起こして彼らの統制を乱そうとする紡でした。
「追い風は掴ませない。……その翼も、もう使えないだろう」
 荒れ狂う風に紛れた紡の刃が、黒翼の群れを斬り裂き雲海に沈めていく最中にも、封印を逃れた騎士たちはしぶとく突撃を行おうとしています。
(「だが、嗚呼」)
 頭上から襲い来ると分かっているのならば、地上で戦うアパラにも対処の仕様があるのです。凶兆の羽ばたきを、勝利の前触れにする為に――追い風に乗った敵を待ち受ける彼女は、ファイアオパールの炎を纏い、一気にその身を燃え上がらせていきます。
「その速度で……すぐ避ける事は出来るかな?」
 ――そうして生まれた火色の揺らめきが、激しく大気を熱して陽炎を生むと。妖しく微笑むアパラの残像に惑わされた騎士たちは、自ら火色のなかに飛び込んで塵と化していったのでした。
(「それに……石くれの身にとって、翼持つ姿は憧れるものがある」)
 彼らの事も守りたいのさ、と呟く彼女が守る背後には、岩影で身を潜めるグリフォン達が居るのです。彼らは勿論のこと、このうつくしい風景にも手を出させやしないのだと――懐から扇を取り出した綾華が、すぐにそれを一振りすれば、黄金の輝きを纏う風がたちまち追い風を相殺していきました。
「……平和を守ろうなんて柄でもねーケド、折角こんな胸躍る場所に来たんだ」
 怯んだところにすかさず黒鍵刀の一撃を叩き込み、ちょっぴり意地悪な笑みを浮かべながら、綾華はぽつりと呟きます。
「のんびり楽しませてくれたって、いーんじゃねーの」
「しかし、どの世界であっても……オブリビオンが脅威なのは変わらないんだな」
 島の地形が被害を受けないよう、葬焔を振りかざして守りを固めてくれる紡に続き、アパラはこのまま押し切るべく全力で炎を浴びせていきました。
「さあ――焼いて差し上げる」
 数で来るなら、全部止めるだけ――空舞う鳥を地に繋ぐために放たれた、青を貫く波動は綾華のもの。
「……まぁ、そんなに戦いたいってんなら、付き合ってやるよ」

 ――後、もう少しだけ、な?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セフィリカ・ランブレイ
スウォミちゃん(f33629)と

高所苦手な人には辛い世界だけどスウォミちゃんは高い所平気?
私は大好き!

『危機感が足りないのよね』

シェル姉は息をするようにディスらないで
軽口を叩くのは意志もつ相棒の魔剣シェルファ

天使核を守るために神殿の近くで戦うのは避けたい、打って出よう!

【蒼剣姫】、空中に複数の魔力壁を展開、飛び渡れば空中戦適応も可能!
相手の機動力の要があの翼

スウォミちゃん、行くよ…って、いやいや、流石に奴らとオトモダチは難しいよ?!

でも、このピュアなオーラ、相手にも届いてる!
悪いけど容赦なし!鈍ったうちに翼狙いで攻撃!

純真さが武器になるあたり、スウォミちゃんに魔性の女の才能と片鱗を感じる…!


スウォミ・リーデンスベック
セリカ様と(f00633)

どこまでも続く青い空なんてワクワクしますね!
シェル様とセリカ様と新しい世界にご一緒できてうれしいわ。高いところも意外に大丈夫みたいです。

セリカ様たちが翼を狙うなら、私は援護に廻ります。【寵姫の瞳】発動!
にこー。

「さあ、一緒に冒険しましょう!」

あの方たちにも、友好的になってもらえたら嬉しいわ。さすがに厳しいかしら?



「わぁ……!」
 緑溢れる大地にふわりと降り立った、セフィリカ・ランブレイ(蒼剣と姫・f00633)は、そよぐ風を両手いっぱいに受け止めて、大きく深呼吸をします。
「どこまでも続く青い空……ワクワクしますね!」
「だね、高所苦手な人には、ちょっと辛い世界だけど」
 真珠のような光沢を放つ、乳白色の長い髪を風に遊ばせているのは、スウォミ・リーデンスベック(ヤドリガミの魔女・f33629)で――彼女もまた、目の前に広がる豊かな自然の色合いに、すっかり魅せられているようでした。
「そうだ、スウォミちゃんは高い所平気?」
「えっと……はい、意外に大丈夫みたいです」
 ふたりが立っているのは、大きくせり出した崖の近くで、そこから顔を少し下に向ければ、雲海に流れ落ちる巨大な滝から、深い霧が立ち昇っていく光景を目にすることも出来ます。
 ――高い所が苦手なひとは、眩暈を起こしたり足が震えたりするかも知れませんけど、綺麗な景色に出会う喜びが、スウォミの心を弾ませるのでした。
「ふふ、宝石箱のなかを覗いているみたい」
「私も大好き! あ、あそこに虹が出てるよ!」
 大滝の周りにぽつ、ぽつと浮かぶちいさな浮島の間には、時おり虹が生まれ幻想的な橋を架けていくのが見えて。雲海からひょっこり顔を覗かせたワイバーン達に、手を振ろうとしたセフィリカでしたが、傍らの優美な剣がちりちりと刃を振るわせたのに気づいて、眉根を寄せます。
「え、『危機感が足りない』? ……シェル姉は息をするようにディスらないで」
 主を諫めるような素振りを見せたのは、意思ある魔剣のシェルファ――シェル姉です。彼女が軽口を叩くのはいつものことで、それもセフィリカを思い遣ってのことだと分かっていましたから、返す言葉も和やかなのでした。
「まあまあ、私はシェル様とセリカ様と、新しい世界にご一緒できてうれしいわ」
 そんななか、朗らかに微笑むスウォミの様子にシェルファも小言を言うのを止めたようで――気を引き締めたセフィリカと共に、蒼剣姫の力を解放して空へ羽ばたきます。
「分かってる。天使核を守るために、神殿の近くで戦うのは避ける……だよね?」
 ――オブリビオンが狙う島の神殿は、ふたり(とシェル姉)が居る崖の下。集団で攻め込むならここを通るだろうと言う読み通り、黒翼騎士たちはまず防衛戦術を展開して、追い風を味方に付けようとしていました。
「なら――その前に、打って出よう!」
「了解しましたわ、セリカ様」
 すぐさま無数の魔力壁を空に展開し、それを足場にして器用に飛び渡っていくセフィリカに続いて、スウォミも優雅な足取りで空中散歩に加わっていきます。
(「相手の機動力の要は、あの翼……」)
 守備担当となった騎士は、翼に風を受けて自在に空を舞うことが可能――その回避能力に追いつくことが出来るか、とシェルファを握る手に力が籠ります。
「それでは、私は援護に回りますね」
「スウォミちゃん、行くよ……って、いやいや!」
(「にこー」)
 ――と、其処で。寵姫の持つ魅惑の力を瞳に宿したスウォミが、守備騎士へ向けてふんわりとした笑みを浮かべました。
「流石に奴らとオトモダチは難しいよ?!」
「でも……あの方たちにも、友好的になってもらえたら嬉しいわ」
 咄嗟にツッコミを入れてしまったセフィリカにも、おっとりとした態度を崩さないスウォミは、もしかしたら大物なのかも知れません。
 さすがに厳しいかしら――と琥珀色の瞳を瞬きさせますが、彼女のピュアなオーラは、元天使のオブリビオンにもちゃんと効果があったようです。
「え……防御戦術が崩れて……相手にも届いてる!」
「あ、守備騎士さんが、離れていきましたね」
 ――友好的な行動を取ることになった騎士たちは、構えを解いて戦場から離れていきましたが、スウォミの魅了にも限りがあるのです。時間が経てば再び向かってくることを見越して、急加速したセフィリカが魔剣を振り上げて天使の翼を狙います。
「悪いけど容赦なし! ……スウォミちゃんに魔性の女の才能と片鱗を感じるのは、今は置いておくとして!」
 蒼い軌跡が一直線に空を走り、動きの鈍った黒翼騎士を次々に蹴散らしていくなか――友達の純真さに、空恐ろしいものを感じてしまうセフィリカでした。
「さあ、皆さんも一緒に冒険しましょう!」
 ――まだ見ぬ未来へ、素敵なものと出会う為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナスターシャ・ノウゼン
え、冒険?あー……妾は遠慮しとくのじゃ。ほれ、最近他の世界から猟兵が来たというし、そやつらに任せたらどうじゃ?

はぁ……人手が足らんと。まぁ、帝国のやつらをブッ飛ばすのは気晴らしになるしの。ついでにもふもふグリフォン枕で寝れると思えば手を貸してやるか。良い睡眠には適度な運動。これ、豆知識じゃよ?

わらわらと黒い塊が集まりおって。おまんらは街灯に群がる虫か!ならば、遠慮なく【地獄の炎】で焼き払ってやるとするかの。

奴さんはたまらんと突っ込んでくるじゃろうて。斧錨を【ぶん回し】て叩き落としてやろうか。なぁに、すぐにお仲間も同じ墓に入れてやるでな。遠慮せず逝くがよい。



 勇壮なガレオンが雲海から姿を現し、その翼を誇らしげに空へ向けると――翼持つ幻獣は思い思いに声をあげて、勇士たちの訪れを歓迎します。
 さあ、遮るものの無い蒼の楽園へ。未だ見ぬ冒険が貴方を待っていま――、
「え? 冒険? あー……妾は遠慮しとくのじゃ」
 高らかに鳴り響くファンファーレが、急速にしぼんでいくような気配とともに、のどかな島の隅っこでごろりと寝転がり始めたのは、ナスターシャ・ノウゼン(召喚獣「イフリート」・f33989)です。
「その、なんじゃ……ほれ。最近他の世界から猟兵が来たというし、そやつらに任せたらどうじゃ?」
 ごろ、ごろごろごーろ。魅惑的なスタイルを惜しげもなく晒し、慣れた様子で寝返りを打つナスターシャの姿は、解放的なおねーさんを通り越して大分ぐうたらな、
「……何か言ったかの?」
 ――いえ、大変お美しゅうございます。ほら、周りでお昼寝しているグリフォン達も、一緒にごろごろしたがっているみたいですよ。いやいや、そんな場合ではなくて、島が屍人帝国に襲われているんですけど。
「はぁ……それで、人手が足らんと」
 遠くを見つめるようなまなざしで、ふむふむと状況を把握したナスターシャは、これが「お約束」と言うやつなんだろうなと、何となく理解したようでした。
 例えば「私たちの村を助けてくれませんか」とお願いされて、「いいえ」を選ぶと延々と質問をループされるような。最終的に「はい」を選ばないと話が進まない鬼畜なイベントは、ナスターシャの知る古代帝国記でも語られていたような気が――しなくもないです。
「……まぁ、帝国のやつらをブッ飛ばすのは気晴らしになるしの」
 よっこいしょと起き上がり、ついでに近くにいたグリフォンのちびっこを抱っこして、もふもふ羽毛を堪能してリフレッシュ――戦いが終われば、こんな風にグリフォン枕で思う存分寝られるのだと、自分にご褒美を与えて頑張ることにしたのでした。
「ならば、手を貸してやるとするか。……良い睡眠には適度な運動じゃな」
 豆知識じゃよ? と呟き、グリフォンの背中をぽんと押せば、たちまちナスターシャの手のひらから炎が生まれ、空を覆う黒翼に向かって渦を巻きます。
「わらわらと黒い塊が集まりおって――おまんらは街灯に群がる虫か!」
 速度を活かして飛び込んで来る黒翼騎士たちですが、ゲヘナの業火に煽られてしまえば、追い風を味方にすることも出来ません。これはたまらんとばかりに、数人の騎士がナスターシャの炎を止めようと斧槍を振るってきますが、のこのこ地上にやって来たのが運の尽きでした。
「それじゃあ遠慮なく……叩き落としてやろうかの!」
 うおりゃあああああ――大気を焦がす雄叫びとともに、ナスターシャのぶん回した炎斧錨が黒翼騎士を直撃し、次々にモザイクのかかったミンチに変えていきます。
「なぁに、すぐにお仲間も同じ墓に入れてやるでな。……遠慮せず逝くがよい!」
 彼女こそが炎の化身、召喚獣「イフリート」――長き眠りから目覚めたのならば、今は取り敢えず運動をしておくことにします。

大成功 🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
懐かしい何処かや
大切な場所に帰れたら、と願うのは
無意識のうちでも
胸を焦がしていても
誰もが奥底に抱いている想いやもしれず

然れど
斯様な帰還は
きっと
望んではいなかったでしょうに

空を昏く染める数多の影を眺め
小さく吐息

柔らかな薄紗で包むようにオーラを広げ
建物や大地、
逃げ遅れたいのちがあれば
護り抜く

屍翼の羽搏きより速く
幾重にも詠い紡ぎ
凶々しき宵と化した天に
符を挟んだ指先で
七つの星を描こう

七縛符にて技を封じ
骸を護る盾にも
地を穿つ矛にも
ならせてあげない

嘗てあなた方が慈しんだ此の地を
愛しく想う沢山のいのちが
今も耀いているの
傷付けるなんて矛盾は、痛ましいもの

翔けるべきは彼方の海よと
抜刀し、奔る
冴ゆる刃で澪を標そう


華折・黒羽
眸を閉じれば感じる
髪や獣耳を擽っていく風
豊かな緑の匂いが全身に巡るようで
こんなにも心地の良い場所
幻獣達が住処にするのも分かる気がした
だから…

守る、それが俺の務めだ

言葉を口にすれば黒翼広げ空へ
同じ色の翼を広げる相手へと対峙する
顕現した屠を手に視線は真っ直ぐに

島に被害が及ばぬよう空中戦を主体とし
空中での動きのバランスは己の尾で上手く調整
襲い来る攻撃は屠で受け、薙ぎ払う
相手が少しでも体勢を崩す隙があれば好機と

無数に舞う氷の花弁
防げるものなら防いでみろ

黒が花弁と成って舞ってゆく
此れは白姫の涙
がら空きの身に襲いくる攻撃の手は
隠で防ぎ

さあ、あなた達の翼は白姫の腕を抜け出せるのか
──勝負と、行きましょうか


イア・エエングラ
やあや、随分、高いこと
お話するにお声の遠いねえ
降りてきてはくださらない

なんて、そうな、お話は聞いてくださらないねえ
仕方のないからお帰り願いましょう
逃げる方は逃げてねえ
聖堂へ花をたむけましょうな
しろいしろい僕の花
硝皚の星がお前を穿つよう
狙い定めるのは人を狙う黒い子を
撃ち落とせたなら十二分
気を引けるなら、それで良いよう

祈りを、願いを希い
黒い鎧を穿ちましょ
人のねがいのかたちをした
聖堂の壁を崩してしまう前に

どうぞ僕と踊ってくださる
ねえ、だって、暴れるだなんて、いけないでしょう?



 ――青磁を思わせる淡いいろの空は、雨上がりの爽やかな気配を連れてくるようでした。雨粒に濡れた深い緑たちが、さやさやと交わす囁き声を、華折・黒羽(掬折・f10471)の獣耳がそろりと拾っていきます。
(「……風を感じる。豊かな緑の匂いも、」)
 眸を閉じればより一層、濃密な自然が黒羽を取り巻いているのが分かります。雲海よりも高くに吹きつける風は、思ったほど冷たくは無くて、髪を撫でる感覚がちょっぴりくすぐったく思えることも。
(「全身に巡っていくのを感じる。……幻獣達がここを住処にするのも、分かる気がするな」)
 黒羽に混ざる獣の血が、大自然と共鳴するかのような喜びに湧き立ち、思わず駆け出していきたくなったものの――そよ風に紛れた溜息が、知っている誰かのものだと気づいたので、そっと瞼を開きます。
「あ……」
「おや」
 ――黒羽の双眸が結んだ像は、空のいろを映したような香炉の化身、都槻・綾(絲遊・f01786)のもので。深緑に靡く彼の衣に、ふと片翼の鳥が重なった気がして、黒羽はゆるく瞬きをしました。
「懐かしい何処かや、大切な場所に帰れたら――」
 うたを詠むような口ぶりで、空に浮かぶ島の――その更に上へと手を伸ばす綾は、とうに終わった夢を追いかけようとでも言うでしょうか。
(「無意識のうちでも、胸を焦がしていても。……それは、」)
 否、浮かべる淡い笑みは、この世界に生きるもの達に向けたもの。彼らを戦火から守ろうと、綾が霊符を操れば、柔らかな薄紗が虹となって辺りの森を包み込んでいきます。
(「誰もが、奥底に抱いている想いやもしれず」)
 然れども――震えていたヒポグリフの子どもを優しくあやしながら、綾が見上げた空はいつしか、数多の黒翼騎士たちによって昏く不吉ないろに染まっていたのでした。
「斯様な帰還は、きっと。……望んでは、いなかったでしょうに」
「やあや、随分、高いこと」
 ふと、其処で――泡のように弾けた声が雫を散らして、昏く澱んだ呪詛を祓うようなひかりを生めば。夜色の裾が緩く星の尾を曳いて、襲撃から逃れるひとびとを導いていくのが見えました。
 逃げる人は逃げてねえ。イア・エエングラ(フラクチュア・f01543)の纏う、うつくしい装束――ライラの腕が指し示す先を確かめて、黒羽もこの場所を守る決意を固めます。
「お話するに、お声の遠いねえ。……降りてきてはくださらない」
 防御戦術を取る騎士たちを視界に捉えつつも、イアの指先から零れ落ちる花びらは、しろいしろい道標を描いて、聖堂を慎ましやかに彩っていくのでした。
(「なんて、……そうな」)
 ――雲海に落ち、屍人として蘇った天使たち。冷ややかな骸の手触りは、イアにとって馴染み深いものでしたから、此方の話を聞いてくれないことに対して落胆はしません。
「なら、仕方のないからお帰り願いましょう」
 彼が呟くのと同時、天使の核を守るように聖堂に咲く花びらが、眩い星となって空を駆け上がっていきます。そうして――さかしまに降るサフィレットの雨が、真っ先に降りてきた騎士の斧槍を砕いた直後、翼を広げた黒羽も空へ羽ばたいていったのでした。
「……守る、それが俺の務めだ」
 そう言葉を口にして、遥かな空で相撃つのは――同じ黒の翼を持つ騎士と騎士。顕現した屠の黒剣が、無数の羽根を引き裂いていく中、優雅にしなる猫の尾はするりと宙を掻き、その姿を容易に捕えさせたりはしないのでした。
(「そう、屍翼の羽搏きより速く」)
 空中戦を仕掛ける黒羽を援護するように、地上を幾重にも包んでいく符は、綾の詠い紡いでいったもの。符のひとつを挟んだ指先が天をなぞり、破魔の紅糸が七つの星を描いていけば、七星七縛符の完成です。
「凶々しき宵と化した天に、……七縛符にて技を封ず」
 ――骸を護る盾にも地を穿つ矛にも、ならせてあげないのだと、空を見上げる綾が告げます。不意に訪れた凪が、上空で展開していた黒翼防御戦術を掻き消していくのに合わせて、イアも硝皚の星を次々に撃ち出して、黒き鎧を穿っていったのでした。
(「祈りを、願いを希い」)
 ――そのまま撃ち落とせたのなら十二分、気を引けるならそれで良いと。
(「人のねがいのかたちをした、聖堂の壁を崩してしまう前に」)
 イアによって態勢を崩された騎士には、すかさず黒羽が追い縋って、屠を突き立てると同時に氷の花びらを舞わせていきます。
「此れは白姫の涙、……防げるものなら防いでみろ」
 そうして――解けた黒が氷の花雨になって、天降る涙が黒翼を凍らせていくと。煌めく硝皚は死した騎士の氷像を粉々に打ち砕き、そのまま大地へと降り注がせていくのです。
「嘗てあなた方が慈しんだ此の地を、愛しく想う沢山のいのちが、今も耀いているの」
 ――だから、傷付けるなんて矛盾は、痛ましいもの。翔けるべきは彼方の海よと、奔り翻るのは綾の刃。澪を標すべく放たれた一撃に、追従するイアと黒羽もまた、残る騎士たちを彼方へ送り届けるべく力を籠めます。
「……どうぞ僕と踊ってくださる。ねえ、だって、暴れるだなんて、いけないでしょう?」
「さあ、あなた達の翼は白姫の腕を抜け出せるのか──勝負と、行きましょうか」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
【双星】アドリブ◎

差し出された手に引かれるまま
ひらりとアレスの天馬に飛び乗る
何時もなら内に向けがちな魔力を外に
歌で風の属性魔法で追い風をふかせて援護する

つって一体ずつ倒すより
惹き付けて一気に叩いた方が島も人も無事だろう
なら…歌い上げるは【囀ずる籠の鳥】
誘って、煽って、的を絞らせる
アレスがいるから無茶とも無謀だとも思わない
未来を、道を切り開いてくれるって絶対の信頼を持ち機をうかがって

アレスの雷が敵の動きを鈍らせたのを見ると同時
ほぼ反射で天馬から飛び降りる
剣に炎の、脚に風の魔力を纏わせ
風や敵を足場に翔ぶように駆けて敵を斬る

さすがアレス!
タイミングバッチリじゃん
だって…何回だって受け止めてくれるだろ


アレクシス・ミラ
【双星】
アドリブ◎

島に住む彼らに代わって、僕達が奴らを追い払おう
【耀光の天馬】に騎乗しセリオスに手を差し出して乗せよう

…彼の歌は数多を惹きつけて離さない
正直、少し心配になるくらいだけれど
君からの確かな信頼も感じるから
新世界の空でも思い切り歌えるように、君を導いてみせる
引き寄せられた敵の攻撃を見切り
盾からオーラ防御『閃壁』を僕らを包むように展開
攻撃を止めた瞬間を狙い
麻痺を乗せた雷属性魔法を周囲に迸らせる

ッセリオス!?
風属性に切り替え
風で彼の足場を作り、敵には颶風で妨害を

落下する前に両手で受け止めよう
全く、君は…
…僕からの答えは、よく知ってるだろう?
ほんの少しだけ抱き寄せ
何度だって受け止めに行くよ



 ――青の楽園へ押し寄せる黒に向かって、舞い降りた双星がひかりを放つと、輝ける天馬が翼を羽ばたかせて雲の草原を駆けていきます。
「さあ、僕達が奴らを追い払おう」
「……よっと、怖いくらいに空が広いな」
 耀光の天馬を召喚したアレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)の、恭しく差し出した手に引かれるまま――セリオス・アリス(青宵の剣・f09573)はひらりと天馬の背に飛び乗って、吹きつける風に長い黒髪を押さえました。
「あれが敵か……随分数が多い」
「島に住む人たちを巻き込まないように、となれば……この位の距離なら大丈夫だと思うけれど」
 ヴェガスの蹄が空を蹴るたびに、千切れた雲がミルクのように解けて虹を生みます。ふたりが居る場所は、浮島から少し離れた空の只中で、気流も安定しているため戦うには打ってつけです。
「セリオスは、行けそう?」
「ああ……って、一体ずつ倒すより、こっちに惹きつけて一気に叩いた方が良さそうだな」
 その方が、島も人も無事だろう――そう言ってにやりと不敵な笑みを浮かべたセリオスは、その天性の声を存分に響かせて、黒翼騎士たちを誘い出すことにしたようでした。
 ――何時もなら、内に向けがちな魔力を外に向けて。青い炎を静かに燃やすように心と身体を奮い立たせて、自らをひとつの旋律に変えていくのです。
(「誘って、煽って――」)
 やがて囀ずる籠の鳥が、見えない檻を空に張り巡らせていくと、魔法によって生まれた追い風が、セリオスの声を更に遠くへ届けていきました。
(「……彼の声。正直、少し心配になるくらい魅惑的だけれど」)
 ――数多の存在を惹きつけて離さないその歌声が、運命を狂わせることになりはしないかと、アレクシスの瞳にふと、影が差します。
 魅了され、陣形もばらばらに押し寄せてくる黒翼騎士――しかしセリオスは悠然と構えたまま、揺るぎない信頼のまなざしをアレクシスに向けていたのでした。
「……別に、アレスがいるから。無茶とも無謀だとも思わない」
「ああ、そうだね。君の信頼に、僕も応えないと」
 未来を、道を切り開いてくれるからと、続く声にしっかり頷いて。背中に感じるセリオスのぬくもりを引き寄せつつ、アレクシスは天馬を急旋回させます。
「なら――新世界の空でも思い切り歌えるように、君を導いてみせる!」
 襲い掛かるハルバードの一撃を見切り、白銀の大盾を展開させて閃壁を生めば。セリオスの歌に魅入られた騎士たちを纏めて痺れさせようと、アレクシスの剣から稲妻が迸ります。
「よし! ……じゃあ、俺も行くかな」
「ッ、セリオス!?」
 ――と、敵の動きが鈍ったと見るや否や、セリオスはぱっと天馬から飛び降りて、青い空のど真ん中へ。振りかざした剣に炎を、エールスーリエの靴に風の魔力を纏い、雲の間を身軽に飛び越えて、次々に黒翼を墜としていくのでした。
「危なっ……足場!」
「お、」
 それでも――騎士の背中を踏んづけて、セリオスが跳んで向かう先に、風の加護はありません。其処でアレクシスが咄嗟に風を生み、竜巻に乗せたセリオスを空へ打ち上げていくと、彼が落下する前に急いで両手で受け止めます。
「さすがアレス! タイミングバッチリじゃん」
「全く、君は……」
 残る敵を鎌鼬で一掃することも忘れずに、天馬の光翼が舞うなかで――そっと溜息を吐くアレクシス。ちょっと、いや大分ひやりとしたのに、セリオスの方はと言えば、涼しい顏で彼にこう告げるのです。
「だって……何回だって受け止めてくれるだろ」
 ――ああ、もう本当に、この相棒は。
「……僕からの答えは、よく知ってるだろう?」
 ほんの少しだけ抱き寄せ、セリオスにだけ聞こえるように耳元で答えを囁きます。さらさらと金色のひかりが揺れるなかで、青と赤の星が瞬き――やがて双つはひとつに重なっていったのでした。
(「何度だって、受け止めに行くよ」)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーファス・グレンヴィル
ここが新しい世界か
折角キレイな空が見えるんだから
わざと落とすのなんて野暮だろ

肩の上に座る黒竜の頭を一撫でして
鞘から双子鉈を引き抜いた

集団の黒翼騎士にも動じず
口許には不敵な笑みが浮かぶ
視線の先には幻獣や一般人たち
安心しろ、お前らのことも
ちゃんと守ってやるから

おら、ナイト!
アイツらを避難させとけよ!

相棒竜へ指示を与えれば
先読みしてたかのように
幻獣たちへ避難誘導始め

お前らにも自分の足があるだろ
安全な場所まで走って逃げろ
此処にある建物も壊させねえよ

ぶんぶんと得物を振り回し
空を舞う敵へ牽制を

ほら、来いよ!

挑発的な態度を見せれば
見事に突撃してくる敵へと
鋭い視線を向けながらも放つ斬撃

ここから先は行かせねえ!



 ――浮島をなめらかに滑り落ちていくヴェールのような雲が、陽の光を受けて七色に輝いています。ゆったりとした時が流れるなか、雲海から時おり顔を覗かせる群峰のうつくしさは、アルカディアの名を戴くに相応しいと言えるでしょうか。
(「……ここが、新しい世界か」)
 いつもより近くに感じる空の青。吹きつける風は、ルーファス・グレンヴィル(常夜・f06629)の灰色の髪をくすぐって、彼を更なる高みへ誘っていくかのようでした。
「折角、こんなキレイな空が見えるんだから――なぁ、」
 彼の肩の上に座るちいさな竜も、存分に空を飛びたいと微かに身じろぎをしますが、のどかな島に迫る危機を見過すルーファス達ではありません。
「わざと落とすのなんて、野暮だろ」
 ――余りに慣れ親しんだ、戦の気配。炎と鉄錆と泥が混じった匂いの向こうから、怒号と悲鳴が聞こえてくるより先に、ひとりと一匹は飛び出していきます。
(「行くぞ」)
 黒竜の頭を一撫でして、腰に下げた鞘から双子の鉈を引き抜けば、深紅の刀身が獲物を見つけた喜びに打ち震えたようでした。
 集団で此方に向かってくる黒翼騎士にも動じず、ルーファスの口許に浮かぶのは、不敵な笑み。突如現れた只ならぬ者の姿に、島のひとびとや幻獣が息を呑む様子が伝わってきましたが――ルーファスは存外に優しい声で、彼らへ早く逃げるように伝えるのです。
「安心しろ、お前らのこともちゃんと守ってやるから。……おら、ナイト!」
 そうして肩の上の相棒に、皆を避難させておけと指示を与えますが、彼はちゃあんと先読みをしていたらしく、幻獣たちの先頭に立って誘導を行うのでした。
「お前らにも自分の足があるだろ。安全な場所まで、走って逃げろ」
「ぴ、ぴぎ!」
 まだ羽ばたくことが覚束ないヒポグリフの幼獣も、ルーファスに背中を押されれば、ちんまい足を懸命に動かしてナイトの後に付いていきます。ヒポグリフと言えば下半身は馬ですが――何だか道産子に似ていますね。
「あの、聖堂の方は……!」
「大丈夫だ。此処にある建物も壊させねえよ」
 天使核を奉る聖堂について気にする者も居ましたが、他の猟兵たちも上手く注意を逸らしてくれているようでしたから、心配しなくても良いでしょう。
 ルーファスの方もぶんぶんと得物を振り回すことで、敵を牽制しつつ離れた場所に誘導すると――、
「ほら、来いよ!」
 堂に入った仕草で挑発を行う彼に、集団で突撃を行う騎士たちが見事に釣られます。そのまま、大振りの一撃を食らわせようとする敵に鋭い視線を向けながらも、増強された紅蓮の鉈は、激しい咆哮を轟かせて黒翼を屠っていったのでした。
「ここから先は行かせねえ――!」
 ――堕ちろ、地獄へ。鮮血の花を咲かせ、雲海の果ての骸の海へ。
 ルーファスの繰り広げる遊戯は、まだまだ終わりを見せないようです。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『グリフォンナイト』

POW   :    グリフォンスパイク
自身の【グリフォン】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[グリフォン]から何度でも発動できる。
SPD   :    鷲獅子の主
【グリフォン】を操縦中、自身と[グリフォン]は地形からの激突ダメージを受けず、攻撃時に敵のあらゆる防護を無視する。
WIZ   :    ソニックグレイヴ
【グレイヴ】から【衝撃波】を放ち、【全身に走る痺れ】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 島に攻め込んできた黒翼の騎士団は、猟兵たちの活躍によって撃退され――彼らは再び雲海の下で、安らかな眠りにつくことになりました。
 けれど。はらはらと風に舞う黒い羽根が、茜色に染まる空に消えゆこうとした時、稲妻を思わせる魔獣の咆哮が、島全体に響き渡ったのです。
(「クエエエェェェ!!!」)
 ――鷲と獅子の半身を併せ持つ、魔獣の名はグリフォン。その雄々しき翼は、まるで邪悪で染め上げられたかのように、白から黒に変わっていました。
 そんな荒ぶる空の魔獣を、凍てつく眼光で従えるものこそが、屍人帝国の騎士団長――グリフォンナイトです。
「ああ、そうだ。弱ければ死ぬ。……それが空の理だ」
 漆黒の甲冑を踏みつけて、彷徨う羽根を鬱陶しそうに払いのける彼の素振りからは、配下の死を悼む様子は見えませんでした。
「さあ、……心臓を、あるべきものの手に」
 生前の高潔さや誇りは見るかげも無く、ただ生きるものを殺戮するだけの存在と化した騎士。屍人帝国の版図を広げるため、蘇った騎士はグリフォンを駆り、天使核のある島の聖堂を目指すのです。
「立ち塞がるものは――全て、殺す」
 かぁん、かあぁぁぁん――早く逃げてと叫ぶような鐘の音が、魔獣の咆哮に儚い抵抗をみせる中で。真珠貝を思わせる聖堂の白壁は、傾く陽射しを受けて鮮やかな薔薇色に染まり、これから始まる戦いの烈しさを物語っているようでもありました。


●第2章補足
・黒翼騎士を率いていた、グリフォンナイトとのボス戦になります。戦闘狂っぽい敵は、聖堂に向かうよりも猟兵さんとの戦いを優先するようです。なお島の皆さんの避難は、第1章で完了しておりますので、そちらは気にしなくても大丈夫です。
・敵がグリフォンに騎乗しているので、こちらも騎乗して戦いたいと思った場合、島の幻獣さんが協力してくれます(ブルーアルカディアの幻獣なら何でもOK。フレーバー程度ですが「空中戦」が1レベルあるものとして考えてください)
ナスターシャ・ノウゼン
グリフォンを駆る騎士、その団長。なるほど、相手にとって不足なし。
いや、不足ありじゃったら返品とかできんか?こう、チェンジで、とか伝えれば。
……無理じゃよなぁ、やっぱり。
しゃーない。あと少しだけ気張るとするかのぉ。

騎乗していたグリフォンと共に。最後まで付き合っておくれ。後で毛づくろいしてやるからの。
妾の身体を切り裂いて噴き出すは地獄の炎。≪ブレイズフレイム≫をあやつに叩き込んでやるとしようか。
差し違えるつもりでの急接近。受ける傷など気にせずに。なにせ、その傷口からも炎を噴き出せるからのぉ。
さぁ、燃えろ燃えろ。消えぬ炎に苦しむがいい!


鈴久名・紡
お前はさっきの……
うん?あぁ、乗っていいのか?

むすびを心配してくれたんだろう幻獣の背に乗って
いざ、今一度空へ

むすびもいい子にしておいで?

空に上がったら
乗せてくれた幻獣も含めてオーラ防御を展開しておく
その後に、煉獄焔戯使用
槍に形状変化させた神力を投擲して先制攻撃
その後は禮火を槍に、葬焔を刀に変化させて攻撃
禮火には先と同様に氷結系の属性攻撃を乗せ
敵幻獣の翼を狙って部位破壊

敵の視界を奪うように
翼の自由を奪うように
敵の周辺のみ天候操作で吹雪かせよう
敵の攻撃は見切りと空中機動で回避

あぁ、凄いな……お前
あの、堕ちた幻獣と互角だ

もはやお前に正義もなかろう……?
雲海に沈んで還れ

※幻獣の種類や色、性格等はお任せ


御門・結愛
「射撃戦は不利……なら、あなたの相手はこの子が相応しいですわ!」
ベルトポーチから、ヒポグリフの描かれたメダルを取り出し構える
「行きますわよ!」『誇り高き孤高の幻馬、我が想像の力に依りて、騎士の誓いを此処に示せ! 『ヒポグリフ』!!』
純白のドレスから女騎士の鎧へ、美しき翼から逞しき翼へ、最後に幻馬の魔槍を構える。
「騎士として、全力で参ります!」
高速飛行能力を駆使し、敵のグリフォンと騎士の攻撃を見切り避けながら怪力でランスを振るいます。
「くっ!?まだまだ、これからですわ!」
不安げにこちらを見守る幻獣や住民たちを見て、力強く宣言し敵へ立ち向かう。
「大丈夫。この島は、わたくし達が必ず守りますわ!」



 ――見上げた空が青から紫へ、豊かなグラデーションを描いていく中で。屍人帝国の黒き騎士は、空のキャンバスを絶望の色で塗り潰そうと、魔獣と共に襲いかかってきます。
「……あれがグリフォンを駆る騎士、その団長か」
 傾く陽射しがあかあかと、ナスターシャ・ノウゼン(召喚獣「イフリート」・f33989)の立つ草むらを、燎原のように燃え立たせていくさなか――彼女は「なるほど」と頷いて、不敵な様子で微笑んだのでした。
「相手にとって不足なし……じゃな」
「はい。それと……向こうが衝撃波を放ってくるのであれば、射撃戦は不利かも知れませんわね」
 幻獣の封じられたメダルを探りながら、御門・結愛(聖獣の姫騎士・f28538)も敵の動向を窺い、どう立ち向かうべきかと考えを巡らせます。
 ――騎士が駆る、魔獣と化したグリフォンの機動力も勿論なのですが、グレイヴによる麻痺の方が厄介か。さてどの子の力を借りようかと、結愛の指がベルトポーチに伸びた時、ナスターシャのぼやきが種火のように弾けました。
「……いや、不足ありじゃったら返品とかできんか? こう、チェンジで、とか伝えれば」
「はあ……チェンジ、ですか?」
「いや、その、そんなに考え込まんでも! ……無理じゃよなぁ、やっぱり」
 お嬢様育ちの結愛には、まだよく分からない世界だなあ、と思ったのですが――見れば鈴久名・紡(境界・f27962)の方も、無言のまま神器を構えています。もしかしたらちょっぴり人見知りなのかも知れませんが、一緒にいる幻獣は、随分と彼に懐いている様子です。
「ん……お前は、さっきの……」
 と、どうやらお供の幻獣――むすびを気にしているのか、一匹のグリフォンが紡に近づいて、彼の袖をぐいぐいと引っ張り始めました。
「うん? あぁ、乗っていいのか?」
「くえー!」
 戦いを前にしたむすびを心配しているのか、或いは自分の背に彼女を乗せたいと思ったのか――そう言えばグリフォン達に気に入られていたなと、むすびのもふもふ羽毛を撫でながら、先ほどの戦いを思い返す紡です。
「ああ、なら行こうか。……むすびもいい子にしておいで?」
(こくこくと頷くむすび)
 そう言ってひらりと幻獣の背に飛び乗れば、「くえ!」と勇ましい声を上げたグリフォンは、魔獣と化した同胞に立ち向かう為、一気に空へと駆け上がっていったのでした。
「……ううむ、しゃーない。なら、あと少しだけ気張るとするかのぉ」
「くえー」
 そのまま、敵めがけて禮火の槍を投擲した紡に続き、覚悟を決めたナスターシャもグリフォンに騎乗します。どうも、こちらの子は大分のんびりした性格のようでしたが――餌をちらつかせつつ、何とか懐柔を試みるナスターシャです。
「ほれ、最後まで付き合っておくれ。後で毛づくろいをしてやるからの」
「くえ、くえくえ」
「……何、妾が添い寝もしろじゃと。贅沢な!」
 どうやらこの島に棲むグリフォンには、面食いさんが多い様子。ともあれ、空中戦を挑むことになった仲間たちと共に、メダルを構えた結愛も空を睨むのです。
「あなたの相手は、この子が相応しいですわ――行きますわよ!」
 ――刻まれた幻獣は、風の属性を持つ幻馬ヒポグリフ。幻馬融合の力が迸ると、彼女が纏う純白のドレスがみるみるうちに、騎士の鎧へと変わっていきました。
「……誇り高き孤高の幻馬、我が想像の力に依りて、騎士の誓いを此処に示せ!」
 ふわりとその背に広がるのは、逞しき鷲の翼であり――最後に幻馬の魔槍をひと振りすれば、結愛は一気にグリフォンナイトまで接近し、勢いを乗せたランスの一撃を叩き込みます。
「騎士として、全力で参ります!」
「……ほう」
 ――五感を狂わせる魔槍の穂先が、騎士の鎧を捉えたと思った直後。その間から鉤爪を突き出したグリフォンが、結愛を捕食しようと嘴を震わせました。
(「キエエエェェェェ!!」)
「くっ!?」
 咄嗟の怪力を活かして、その鼻先に突きをお見舞いしたものの、すぐに態勢を整えた騎士が槍を振るいます。しかし、そこに立ちはだかったのはナスターシャで――彼女は迫る刃に怯むこと無く、自らの肉体を切り裂いて紅蓮の炎を生み出したのです。
「なに、……差し違えるのは覚悟の上じゃ」
 ――受ける傷など気にせずに、その傷口からも炎を噴き出せるのだから、と。地獄の炎に抱かれて嫣然と微笑むナスターシャは、そのままオブリビオン目掛け、イグニスの錨を振り回して咆哮します。
「さぁ、燃えろ燃えろ。消えぬ炎に苦しむがいい!」
「……まだまだ、これからですわ!」
 そうして――彼女が暴れ回るのに合わせて、結愛も敵の攻撃を上手く回避し、騎士の誓いと共に魔槍を振るうと。ここまでナスターシャを運んできた幻獣が、不安げにこちらを見つめていることに気づいて、気丈に微笑んでみせるのです。
「大丈夫。この島は、わたくし達が必ず守りますわ!」
「ああ、後は俺達に任せておけ」
 一方で、神器を変化させて戦う紡はと言えば、自在に立ち位置を変えてオブリビオンを翻弄し――その視界を、翼の自由を奪おうと、煉獄焔戯を繰り出していました。
「こっちだ――」
 白銀の槍が吐き出す氷の飛礫が、吹き荒れる風に乗って局地的な吹雪に変わると、魔獣の翼が凍りついて粉々に砕け散っていきます。それでも神力を奪い取ろうと敵が動きますが、紡の指示によって味方のグリフォンが鮮やかに一回転して、相手の捕食を上手く回避したのでした。
「あぁ、凄いな……お前。あの、堕ちた幻獣と互角だ」
 むすびに格好いい所を見せられてご満悦なのか、紡の声にも「くえ」と頷き胸を張るグリフォンです。
「もはや、お前に正義もなかろう……?」
 ――雲海に沈んで、還れ。翼あるもの達の戦場に、紡の声が厳かに響き渡りました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
んー、これは強そう、ね。聖堂も危ないし地上で戦うのはよくない、かも。
けどわたしは速く飛べないし……あなたは、ヒポグリフさん?ん、一緒に来てくれるなら、わたしも空で戦ってみよう、かな。

わたしが相手の攻撃をよく見て伝えて、ヒポグリフさんに避けてもらう、よ。危ない時はグリッターハートを光らせて攻撃を邪魔する、ね。
衝撃波はソリッドダイヤを盾にして直撃は防ぐけど、わたしたちが痺れるのは防げない、かな。
でも口さえ動けば、平気。わたしはウィザード、なの。【水鎚】を詠唱して、追撃してきた相手の正面からどーんと叩きつけちゃう、から。逆にグリフォンさんの翼を水で包んで動きを止めたい、な。後は他のみんなに、お任せ。


アパラ・ルッサタイン
弱ければ死ぬ、かァ
成程解りやすいけれど、弱肉強食の摂理などつまらないよ
此処の景色の方が余程心が躍ると思わない?
ダメ?あ、そう…

グリフォンを一頭、お借りしようか
この最中でも冷静に此方を見遣っているコがいいな
其処の黒い瞳をした……嗚呼、あなた
空へご一緒して頂けるかい?

グリフォンに乗って、空へ
身を走るオパールから炎を喚ぶよ
【ブレイズフレイム】
炎が喰われぬように操作をしながら
先ずはその翼を焼こう
ちと心は痛むがね
将を射んとする者はまず馬を……と言うしさ

周りにも火を散らして機動力を削いでおきつつ
騎士殿の上空後ろに回りたいな
グリフォンさん、行けるかい?
さあて、二手目だ
全力の炎をお贈りしよう

んふ、お疲れ様


華折・黒羽
雄々しい咆哮が聴こえた
振り返ればこの島に住み着くグリフォンの一頭だろうか
騎士を乗せる魔獣を真っ直ぐに見て鳴き続けている

仲間を助けようと、しているのか…?

逃げようとしない様子に傍へと近づき
一緒に、往くか?
問い掛ければ力強く響いた咆哮に頷いて
島のグリフォンと共に空へ

軌道はこの空を知り尽くしているであろうその仔に任せ
己は攻撃に集中する
相手の攻撃を屠で受けながら
喚び出した水の精霊、紬

頼む

一言のみにくるり元気良く応じたお前が
生み出す数多の水の奔流

助けようとするこの仔の気持ちに沿う様
可能な限り魔獣を傷つけたくは無いから
狙いは騎士団長の機動力を奪う事
氷の属性付与で凍てつく剣へ変えて敵へと放つ



 ――こちらを睥睨する屍者の瞳は、今やどろどろとした憎悪に塗れて、呪われた黄金を思わせる妖しい輝きを放っていました。
「……弱ければ死ぬ、かァ」
 配下の骸を踏みしだき、暴風と化して迫り来るグリフォンナイトを遊色の煌めきで惑わしながら、アパラ・ルッサタイン(水灯り・f13386)の唇が優美な笑みを形づくります。
「成程解りやすいけれど、弱肉強食の摂理などつまらないよ」
 その手元で揺れる鉱石ランプ目掛けて、魔獣が突進してくるのをひらりと躱し――そうして薔薇色の夕陽を写し取った聖堂に、ほんの少しだけ視線を泳がせてから、アパラは気まぐれのようにぽつりと呟きました。
「……それより此処の景色の方が、余程心が躍ると思わない?」
 けれど――つまらぬ戯言だと切り捨てるように、騎士の翳したグレイヴが衝撃波を生みます。一直線に地面を抉っていく敵の攻撃を、それでも持ち前の素早さで回避したミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)は、焼け焦げた葉を指で摘まんで「んー」とアパラと顔を見合わせるのでした。
「ダメ? あ、そう……」
「んー、これは強そう、ね」
 敵の攻撃を躱すことは出来ますが、このまま地上で戦い続ければ、周囲の地形に被害が出そうです。聖堂も危ないし、どう迎え撃つべきか――思案する華折・黒羽(掬折・f10471)の元に、雄々しい咆哮が聴こえてきたのはその直後でした。
「お前、は――」
 ――黒羽が島に降り立った時、瑞々しい緑の間から見え隠れしていた、翼の主。思ったよりつぶらなその瞳が彼の姿を捉えると、その後からもよく似た幻獣たちが姿を現します。
「グリフォンか……この島に住む」
 くええええ――オブリビオンの方を真っ直ぐに見て、しきりに鳴き続けているグリフォンは、魔獣と化した仲間を助けたいと思っているのでしょうか。
「ん、……あなた、は……ヒポグリフさん?」
「ぴぎー!」
 一方で、軽やかに蹄を鳴らしてミアの元へ駆けてきたのは、鷲と馬が合わさったヒポグリフのようです。グリフォンと微妙に鳴き声が違うなあ、と思ったのはさておき――足の速いこの子となら、ミアも空中戦を挑めそうです。
「一緒に、来てくれるなら……わたしも空で、戦ってみよう、かな」
「ふむ、ならあたしは――」
 敵が来ても逃げようとせず、立ち向かう気概を見せる幻獣たちを見て、アパラも一緒に戦おうと近づいていきます。そう、この最中でも冷静に、此方を見遣っている子がいれば――、
「其処の黒い瞳をした……嗚呼、あなた」
「くえ!」
 ――もしかしたら、揺らめくアパラのオパールに見惚れていたのかも知れませんが、丁度いいタイミングで目の合ったグリフォンをパートナーに決めます。
「さあ、ご一緒しよう」
「……俺達も一緒に、行くか?」
 そう問いかけた黒羽に、力強く頷いたグリフォンがひと声鳴けば――翼あるもの達は一斉に羽ばたいて、紫に変わりゆく空のなかへと飛び込んでいったのでした。
(「この空のことは、きっとお前達が知り尽くしているだろうから」)
 ――眸を閉じれば感じる風を、彼らはその全身で受け止めて、この世界で生きているのです。屍人帝国の尖兵と化した存在が、強引に自然を従えようとする一方で、黒羽のグリフォンは風の軌道に上手く乗り、更に速度を得て高みを目指します。
(「だから……俺は、攻撃に集中する」)
 敵の頭上を取ったところで屠の封印を解き、魔獣の行く手を阻むように水の精霊を召喚――それと同時に、グリフォンに跨ったアパラが、その身に走るプレシャスオパールを燃やして炎を喚びます。
「さて、先ずはその翼を焼こう。……ちと心は痛むがね」
 ――蛍石の如くぱちぱちと弾けながら、光輝く飛沫となって舞う、クリスタリアンの魔力鉱石。辺りに飛び散っていく紅蓮の炎が、グリフォンナイトの機動力を削いでいくなか、ミアの乗るヒポグリフがぐんぐん速度を上げていきました。
「ま、将を射んとする者はまず馬を……と言うしさ」
「ん、それじゃ……わたしが相手の動きを伝えるから、ね」
 身動きが上手く取れないながらも、騎士は衝撃波を放って牽制してきますが、ミアの指示に従ってヒポグリフがしっかり回避を行います。ソリッドダイヤの輝きを盾にしつつ、多少の痺れがあっても口さえ動けば平気と頷いて、彼女は追撃を行うグリフォンナイトの前に「えい」と立ち塞がったのでした。
「……わたしはウィザード、なの」
 囁くような詠唱と共に、空間から突如として生まれたのは――魔法で出来た水の鎚。
 それを真正面からどーんと叩きつけるのと同時に、ミアは水の膜で魔獣の翼を包み込み、その動きを止めてしまいます。
「頼む、紬」
 ――そこへ押し寄せる数多の水の奔流は、黒羽の願いに元気良く応じた精霊が、流麗に綯う細水でした。可能な限り魔獣を傷つけないと誓いながら、黒羽もまた凍てつく剣と化した屠を振るい、乗り手である騎士へと向かっていくのです。
「さあて、二手目だ。……全力の炎をお贈りしよう」
 行けるかい――と呼びかけたアパラに応え、旋回するグリフォンが、敵の上空真後ろへ急降下していくと。噴出する地獄の炎が騎士目掛けて一気に叩きつけられ、そのまま彼女は相棒のグリフォンとハイタッチを交わしたのでした。
「んふ、お疲れ様」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セフィリカ・ランブレイ
スウォミちゃん(f33629)と

相手は流石の乗りこなしだね
主従関係の為せる技かな

『ま、悪くない相手ね』
シェル姉も、やりがいのある相手と認めた
こちらは対等の相棒。更に今回は友情パワーもプラスだ、スウォミちゃん!
奴の動きの予測、任せるね!

【黄槍の飛竜】にて、飛行形態に変形するゴーレムを召喚
これで空中戦だ!
スウォミちゃん、一緒に来てくれる?
予測してくれるなら近い方が確実だし。しっかり掴まっててね、飛ばすからさ!

あの槍と打ち合っちゃまずいなら……あいつに槍を振らせて、懐に潜り込む…!

そのほか相手の行動への対応は全面的にスウォミちゃんの助言を信頼
私は回避に重点を置いて、攻撃に転じる一瞬に集中するよ!


スウォミ・リーデンスベック
セリカ様(f00633)と

あれがグリフォンナイト、漆黒の騎士ですか。
さすがに魅了は通じなさそうですわね。

ここは私の出番ですね。セリカ様との友情パワーを見せつけてやりますわ!

セリカ様の許可を得て飛行型ゴーレムに一緒に乗らせてもらって、遅滞なく未来を予測、伝達します。

【未来へのカウントダウン】発動!

グリフォンナイトは雷を纏った槍で攻撃してきます。打ち合ったら痺れて動けなくなってしまいます。そこを狙うのが彼の戦い方。

セリカ様、気をつけて!
槍と撃ち合わずに攻撃なさって!
そうしたら有利に戦えるはずです!

あとはセリカ様を全面的にバックアップして、グリフォンナイトの動きをお伝えします。頑張って、セリカ様!



 ――魔力を帯びた水滴が空をつたい、魔獣の羽ばたきを封じ込めていくなかで、劫火に包まれた漆黒の騎士が浮島目掛けて墜落してきます。
 猟兵たちとの戦いによって、敵将のグリフォンナイトはだいぶ追い詰められているようですが――それでも彼は鷲獅子の主たらんと、鮮やかに手綱を捌いてグリフォンの制御を行ったようでした。
「あれがグリフォンナイト……漆黒の騎士」
「成程、相手は流石の乗りこなしだね」
 地面すれすれの所で、再び空へ舞い上がっていくオブリビオンを見据えつつ、魔剣を構えたのはセフィリカ・ランブレイ(蒼剣と姫・f00633)で。
「……さすがに、ワタシの魅了は通じなさそうですわね」
 そんな彼女の後ろで、おっとりと溜息を吐くスウォミ・リーデンスベック(ヤドリガミの魔女・f33629)の仕草は、セフィリカが見ても惚れ惚れしたのですが、相手の速度を考えると相性が悪いのかも知れません。
(「主従関係の為せる技かな」)
 ふとそんなことを思い、握りしめた蒼の刃に目を遣れば――『悪くない相手ね』と囁くように、その切っ先で物憂げな光が瞬いたのでした。
(「シェル姉も、やりがいのある相手と認めたんだ」)
 ――意志持つ魔剣のシェルファとセフィリカは、互いに認め合った対等の相棒なのです。更に今回は友達のスウォミも一緒なのですから、人馬一体で向かってくる騎士にだって、しっかりと立ち向かえる筈です。
「スウォミちゃん! 奴の動きの予測、任せるね!」
「ええ、ここは私の出番ですね」
 グリフォンを駆る騎士を迎え撃つように、セフィリカの頭上から二槍が突き出すと――そこから瞬く間に、黄槍の飛竜の名のもと、飛行型ゴーレムが召喚されていきます。
「これで空中戦だ……!」
 直後、突撃形態に変形するプログラムを走らせ、更に身軽さを得て加速していけば、ゴーレムに騎乗したセフィリカはスウォミに向かって手を伸ばしていました。
「一緒に来てくれる? ……予測してくれるなら、近い方が確実だし」
「はい、勿論です」
 ――恭しくその手を取って、共に空へ羽ばたいていくふたりの姿は、さながら騎士と姫君のよう。
「セリカ様との友情パワーを、見せつけてやりますわ!」
「しっかり掴まっててね、飛ばすからさ!」
 そのまま――未来へのカウントダウンを発動したスウォミのナビゲーションに従って、フェインナルドの騎士が駿馬のように空を翔け、迸る雷槍を優雅に回避していきます。
「あれと打ち合ったら、痺れて動けなくなってしまいます。……そこを狙うのが、彼の戦い方」
 ゴーレムをセフィリカが操るぶん、スウォミは未来予測に集中出来ます。そうしてほんの僅かな先の敵の動きを垣間見て、遅滞なくその情報を伝達していくのです。
「セリカ様、気をつけて!」
 急加速したグリフォンの動きに合わせて、騎士がグレイヴを振りかざし――衝撃波を生むと思った瞬間、そのまま此方に突っ込んできました。咄嗟に武器で受け流そうと身体が反応したものの、未来を掴み取ったスウォミがセフィリカを制止します。
「槍と打ち合わずに攻撃なさって! そうしたら有利に戦えるはずです!」
「わかった、あの槍と打ち合っちゃまずいなら……」
 そう、オブリビオンが発動していたのは、鷲獅子の主――攻撃時に相手のあらゆる防護を無視するのであれば、打ち合う間もなく押し切られてしまうのでしょう。
「あいつに槍を振らせて、懐に潜り込む……!」
「頑張って、セリカ様!」
 ――未来は、いくらでも変えられるのだと。そう言って背中を押してくれるスウォミに応えるべく、ゴーレムに回避を命じ、セフィリカは攻撃に転じる一瞬に集中します。
「さあ、七虹最速のその姿、その目に焼き付けなさい――!」
 直後――鷲獅子の主が加護を失った僅かな隙を逃さずに、飛竜と化したフェインナルドの二槍が、グリフォンナイトを一直線に貫いたのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
黒に染まり行く羽根が、
名残りの白翼が、
斜陽を紅々と纏い
破滅と終焉を報せる

――勿論、あなたのですよ、騎士団長殿

翔ける空路は頼みます、と
騎乗する幻獣の首元を柔らかく撫でつつ
穏やかな声音で
グリフォンナイトへ平然と宣う

羽搏きは空を知り尽くした幻獣に任せ
追いかけ
迎え撃ち
剣戟の度に閃くひかり、飛び散る火花

幾重にも詠唱を連ねながら
擦れ違いざまに振るいし一刀
僅かに肌を裂く程度でも
双眸を細めてかんばせに浮かべるのは
艶やかな笑み

まるで種を埋め込んだかのように
傷から生え、伸び、絡む桎梏

植物の焼き印が騎士の身を苛み
生い茂る草木に鎖され
昊へ飛び立つこと能わぬ幻覚の檻に囚えよう

翼を失った鳥の如く
堕ちる先は雲海の底、骸の海


イア・エエングラ
おや、ま、悼んであげてはしないのかしら
海へ還ったのにかなしいこと、ね
溜息と伏せた視線も羽搏きにすぐ上向いて

僕ものせて、くださるかしら
ね。小さめのグリフォンの力を借りましょ
僕の骨の子らは、どうぞ怒らないでね
お前たちにのってたら僕は行けないのだもの
てのひらが触れるならあたたかな
僕の子らとは違うねえ
そしたら戦うのはかわいそうかしら

なんて、おしゃべり、お前は許してくれないかしら
せっかちさんねえ
膨れる素振りで手を伸べて
暮れ行く空に星をかざそう
赫辜の星がたかくたかくから、穿って落とすように

そうっと羽毛を撫ぜたなら
ほうと笑うのは従順さに
ねえ、お前も、飛ぶなら穏やかな空が、良いものな


ルーファス・グレンヴィル
響き渡る魔獣の咆哮
びりびりと空気が震えるようで
隠しきれない戦闘狂の血が騒ぐ

なあ、相手してくれよ

ぎらつく紅蓮の瞳で敵を見据え
無意識に上がる口角もそのままに
相棒竜と視線だけを重ね合わせ

行こうか、ナイト!

その言葉を合図にして
槍へと変じた彼の柄を持つ

お前が空を駆けようと
オレは此処から相手してやるよ

敵の前へと立ち塞がり
槍の長いリーチを活かして
時には挑発的な態度を見せて
何度となく槍を交えて不敵に笑う

最期まで遊んでやるから
──本気で、ぶつかってこいよ

無事に敵を倒せたなら
煙草を咥えて葬送の煙を送ろうか



 おや――と瞬く、イア・エエングラ(フラクチュア・f01543)の声を遮ったのは、ぼろぼろになった甲冑を踏みしだく、敵将の非情な靴音で。
「ま、……悼んであげては、しないのかしら」
 深い水底へ誘うイアの衣が、さざ波のドレープを伴って空を泳げば、玻璃細工を思わせる骨がカタカタと鳴って、彼の細い腕に巻き付いていきました。
「海へ還ったのにかなしいこと、ね」
「ほざくな、死霊術士が」
 ――幾度となく肉体を穿たれ、生者ならばとっくに動けなくなる程の傷を受けても、屍人帝国の騎士は未だ立ち止まることをしません。
 凍りついた翼を、それでも強引に動かそうとする騎士のグリフォンを認めて、溜息と共にそっと視線を伏せたイアでしたが――直後、力強い羽搏きを耳にして、すぐにその顔を上向かせます。
「まあ」
「……一緒に、戦ってくれますか」
 魔獣と化した仲間を止めたいと言うように、都槻・綾(絲遊・f01786)の傍まで近づいてきたのは、まだ年若いグリフォンでした。イアの方にやって来た、小さい子とは兄弟のようで――そちらはちょっぴり人見知りしているらしく、こわごわ死霊を突いています。
「僕ものせて、くださるかしら」
「く、くえー!」
 柔く問いかけるイアに、慌てて頷くグリフォンの子ども。いつも一緒にいる蛇竜は不満そうでしたが、怒らないでと宥める主人の声に、溜飲を下げた様子でした。
「お前たちにのってたら、僕は行けないのだもの。……おや」
 と、ふかふかなグリフォンの背に跨って、鷲の頭を撫でたイアのてのひらに、あたたかな温もりが伝わってきます。それは――ひんやりした死霊には無い、生命あるものの鼓動が生み出す、確かな熱でした。
「僕の子らとは違うねえ」
 そしたら、戦うのはかわいそうかしら――なんてお喋りも、続けている暇は無さそうです。イアや綾が幻獣たちと心を交わす間にも、魔獣の制御を取り戻したグリフォンナイトが、彼らを空へ往かせまいと槍を振るってきたのです。
「許してくれない? ……せっかちさんねえ」
(「キィエエエェェェ!!!」)
 ――響き渡る魔獣の咆哮は空気を震わせて、砕け散った空の破片が、無数の硝子の雨となって大地に降り注いでくるかのよう。
(「だが」)
 否、だからこそ。ルーファス・グレンヴィル(常夜・f06629)の血は湧き立ち、戦好みの本性を隠しきれぬ彼は、衝撃波の中を一気に突っ切っていったのでした。
「なあ、相手してくれよ――」
 ぎらつく瞳が紅蓮の炎と化し、凍てついた屍人のまなざしを見据えるなかで。無意識に上がる口角もそのままに、ルーファスは傍らの相棒と意思を交わして、騎士目掛けてその手を突き出します。
「行こうか、ナイト!」
「――……ッッ!!!」
 その言葉を合図に、黒き竜が炎を纏い――瞬く間に鋭い槍へ姿を変えていくと。ルーファスの繰り出した一撃はグリフォンナイトの鎧を豪快に貫き、その内側から召喚されていったドラゴンが、炎を噴き出して荒れ狂います。
「例えお前が空を駆けようと、オレは此処から相手してやるよ……!」
 そうして――ナイトの柄を握りしめたまま、敵の前へと立ち塞がったルーファスに頷くと、綾たちは空へ羽ばたいていくのでした。
「……翔ける空路は頼みます」
 騎乗するグリフォンの首元を柔らかく撫でれば、心地良さそうな鳴き声が返ってきて。この空を知り尽くした彼らに後の進路は任せようと、綾は穏やかな貌を引き締めて、陰陽術の詠唱に移ります。
(「黒に染まり行く羽根が、名残りの白翼が、」)
 ――幾重にも重ねた言霊に紛れるように、囁かれるうたがあって。追い縋る鷲獅子の主を迎え撃ち、一合二合と切り結ぶ清澄な刃が、涼やかな音を鳴らして拍を刻んでいきます。
(「斜陽を紅々と纏い、破滅と終焉を報せる――」)
 ――剣戟の度に閃くひかりと、飛び散る火花。すれ違い様に振るった一刀が、騎士の肌を僅かに裂いたのが分かりましたが、かすり傷にもならないとオブリビオンが嗤います。
「それは――勿論、」
 しかし、双眸を細める綾が、そのかんばせに浮かべたのは、艶やかな笑みでした。勝負は決したとばかりに平然と宣う彼の指先で、緑のひかりが弾けていきます。
「あなたのですよ、騎士団長殿」
「な、――あ、ああああああ!!」
 ――肌に刻まれた蔦蔓の焼印が、種を埋め込んだように不気味に脈打つと。騎士の傷口から芽吹き、葉を伸ばして絡みつく桎梏は、瞬く間に五感を狂わせる檻へと変わり、哀れな獲物を囚えていたのです。
「ねえ、お前も――」
 耳鳴りが残響となって纏わりつき、己の感覚に頼れなくなった騎士へ向けて、そっと手を伸べたのはイアでした。先ほどのお喋りを遮られたことに、少し膨れる素振りを見せつつも――暮れ行く空に星をかざして、ユーディアライトの剥片を無差別に穿ち、落としていきます。
「飛ぶなら穏やかな空が、良いものな」
「くえ!」
 たかく、たかく。降り注ぐ赫辜の星たちと戯れるように、すいと空を横切ったグリフォンも頷きます。すっかり懐いたその様子に「ほう」と笑い、ふわふわの羽毛をイアがそぅっと撫ぜていく間にも、
「最期まで遊んでやるから──本気で、ぶつかってこいよ」
 赫辜と共にオブリビオンが墜ちていくその先では、不敵な笑みを浮かべたルーファスが、ナイトの槍を構えて待ち受けていたのでした。
「ブラッド・エンド――!」
 ――翼を失った鳥の如く、騎士が堕ちる先は雲海の底、骸の海。二度と飛び立つこと能わぬ、綾の生んだ檻に囚われたオブリビオンの元へ、終焉の一撃が叩きつけられて、竜の咆哮が轟きます。
 直後にふわりと空へ昇った紫煙は――ルーファスが咥えた煙草の、葬送の煙であったのかも知れません。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
【双星】アドリブ◎
やっと親玉のお出ましか
そんじゃまたさっきみたいに…って
飛び出す前にアレスに止められた
…しょうがねぇな
でもアレスばっかに戦わせる気はねぇからな!
照れ隠しに額を雑に抑えつつ
今はまず、アレスを
それとアレスのヴェガを鼓舞するように
歌を歌おう

守られるだけのお荷物じゃなくて
俺はアイツの剣だから
アレスが剣を届かせる機を作ってくれるなら
俺はそこに俺の…いや、俺たちの全力をぶつける為に
もっと鋭く、もっと強く
庇ってくれる腕から伝わる力も織り混ぜて
炎と光属性の魔力を剣へ
力を溜める
アレスの光が放たれる直前に目を閉じ
光が晴れると同時に開いた眼で敵を見据える

【彗星剣・熾天赤星】―俺たちの全力を叩き込む!


アレクシス・ミラ
【双星】
アドリブ◎

天馬…ヴェガに騎乗したままで
飛び立とうとするセリオスを阻止
相手は空中戦のつわものだ
今は少しだけ…僕の言う通りにしていてくれるかい
彼の前髪を撫で、指で掻き分け
僕の額を彼の額にこつんと合わせる
―いい子だ
僕が君を支えるから
しっかり掴まっていて

セリオスの剣を届かせる機を狙いつつ
光属性を銃弾のように放って迎え撃とう
捕食攻撃を見切れば
腕の中の彼をマントで庇うように包み
攻撃を僕へと向ける
誰も喰わせない覚悟で
盾からオーラ『閃壁』展開
止めた瞬間を狙って閃壁に光属性を流し
閃光で目眩しを
貴殿を空に還す剣なら此処に在るさ
僕達は最初から…ふたりで戦っている
光が晴れる瞬間
僕達の力で【彗星剣・熾天赤星】!



 光輝く翼を持つ天馬の背に揺られて、セリオス・アリス(青宵の剣・f09573)は浮島の端――土煙の上がる岩場で膝をつく騎士へと目を向けます。
「あれが親玉か。そんじゃまた、さっきみたいに――」
「待って、セリオス」
 そのまま自信たっぷりにヴェガから飛び降りつつ、攻撃に移ろうとする彼の腕を掴んで、待ったをかけたのはアレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)でした。
「相手は、空中戦のつわものだ」
「む」
 配下の天使たちと戦った時のように、強引に足場を突っ切っていく気なら、返り討ちに遭うかも知れない――穏やかな表情のなかで輝く、アレクシスの真剣なまなざしに射すくめられて、セリオスは剣の柄に伸ばした手をそろそろと戻していきます。
「今は少しだけ……僕の言う通りにしていてくれるかい」
「……しょうがねぇな」
 子どものようにちょっぴり頬を膨らませつつも、セリオスはアレクシスと向き合って溜息を吐きます。
「――いい子だ」
 と、その艶やかな黒髪を撫でたアレクシスは、前髪を指で掻き分けセリオスの額を露わにすると――そこへ約束だと言うように、自分の額をこつんと合わせたのでした。
「僕が君を支えるから、……しっかり掴まっていて」
「――っ」
 不意打ち気味のぬくもりを受けて、セリオスの頬にまで熱が伝わってきましたが、照れ隠しのように額を雑に抑えつつ、憮然とした素振りで口を挟みます。
「でも、アレスばっかに戦わせる気はねぇからな!」
「うん、分かった」
 直後――ふたりを取り巻く風の流れが変わり、地上に居たグリフォンナイトが一直線に、此方へ向かって突っ込んでくるのが見えました。
(「なら……今はまず、アレスを」)
 ――支えると言ってくれた彼を、しっかり自分が鼓舞するのだと。鳥の囀りを思わせるセリオスの歌が、空を駆ける力を更に与えようと高らかに響きます。
(「俺は、守られるだけのお荷物じゃない」)
 グリフォンの突撃を迎え撃つべく、アレクシスの剣が光を纏い――意念の光刃が銃弾と化して、その行く手を遮っていくなかで、青星の祈りが鮮やかに翻りました。
「……行くよ!」
 その腕のなかに抱えた黒鳥を、マントで庇うように包み込んで、敵の捕食をすれすれで見切って躱します。獰猛なグリフォンの嘴は、尚もふたりを狙い続けていましたが、蒼天の盾を構えたアレクシスは退く素振りを見せませんでした。
「誰も、喰わせない……!」
 攻撃を一手に引き受けると同時に、相棒の剣が届く機を作ろうとしているのだと――その覚悟が伝わってきたから、セリオスも応えない訳にはいきません。
(「俺は、アイツの剣だから」)
 そこに俺の――いや、俺たちの全力をぶつける為に。もっと鋭く、もっと強く。グリフォンの捕食が幾度も襲い掛かるなか、セリオスは持てる魔力を剣に注いで、その力を高めていきました。
「大人しく、喰わ、れろ……ぉォォ!!!」
「――……ッッ!」
 悪鬼の如き表情で、魔獣と共に槍を繰り出してくる屍人の騎士。閃壁を展開させたアレクシスが、その力を受けて僅かに顔を顰めますが、セリオスに目配せをしてすぐに前を向きます。
「貴殿を空に還す剣なら、――此処に」
 直後、空を焼き尽くすほどの閃光が放たれると、オブリビオンの視界が真っ白に染まって。その僅かな隙を突いたセリオスが、炎と光を織り混ぜた彗星の剣を掲げるところへ、アレクシスもそっと手を重ねていたのでした。
「僕達は最初から……ふたりで戦っている」
 ――庇ってくれる腕から伝わる力が、何度だって受け止めに行くと告げているから。
 空を覆う光が晴れると同時、青の瞳を見開いたセリオスは――自信に満ちた笑みを浮かべたまま、無防備な姿を晒す敵を見据えていたのでした。
「俺たちの全力を……叩き込む!!!」
 それは無窮の剣と盾――双つの星が生み出した、空さえ断つ熾天赤星の剣。
 その膨大な魔力を受けたオブリビオンが、雲海ごと真っ二つになって消滅していくなかで、千切れた雲がふわりと空に舞い、浮島へ微かな虹を架けていきました。

 そうして――再び優しい風が流れてきた時、空の世界は平穏を取り戻していたのです。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『空ゆく獣たち』

POW   :    美味しいエサをあげてみる

SPD   :    背中に乗せてもらい、空中散歩に行く

WIZ   :    思う存分撫でさせてもらう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――蘇った屍人帝国の騎士たちが、雲海の底に沈んでいくのを見届けてから、間もなくのこと。
 平和を取り戻した浮遊島では、住民や幻獣たちが一緒になって、猟兵たちの勝利を祝うささやかな宴を開くことを決めたようでした。
「ほら、この子たちも皆さんのこと、すっかり気に入ったみたいですよ」
「くええー!」
 一緒にオブリビオンと戦った幻獣たちの中には、このまま猟兵たちの仲間に加わりたいと思っている子もいて、望むのならぜひ連れていってくれないか、と島のひとびともお願いします。
「あ……勿論、それに関係なく、この島でのひと時をゆっくり楽しんでくださいねっ」
「ぐるるるる」
 皆を歓迎するように、ぶ厚い雲から次々に顔を出してウェーブを作るのは、ちんあなご――ではなくワイバーン。崖の上でごろごろ寝転がるグリフォンや、牧場でのんびり草を食むペガサスも、猟兵たちと触れ合える時を今か今かと楽しみにしているようです。
 ゆったりした時を過ごしたいなら、聖堂の近くがお薦めでしょうか。広場では、島のフルーツを使ったひんやりスイーツも振る舞われ、色とりどりのジュレやジェラートを食べ比べてみるのもお薦めです。
「ぴぎ!」
 あ、そうそう。ヒポグリフは、島で一番大きな滝へと猟兵さんを案内したいそうです。雲海へ流れ落ちる大瀑布は、ところどころで大きな虹を作り――幻獣に乗ってウォータースライダーのように滑り落ちていくのも楽しそうです。
 その近くにはちゃんとした湖もありますので、水着でのんびり泳ぐならこちらでも。今年の水着を仕立てた猟兵さんは、如何でしょうか。

 ――荒れ狂っていた空はいつしか穏やかな風を纏って、薄く伸びた雲がゆっくりと、空の果てに向かい波を立てていきます。
 紫紺のグラデーションの向こうに、きらきらと銀色の星たちが瞬き始めるなか、空ゆく獣たちの長閑なパストラールが奏でられていきます。


●第3章補足
・平和を取り戻した浮島で、空飛ぶ幻獣たち(ワイバーン、グリフォン、ヒポグリフ、ペガサス)との交流を楽しんでください。
・猟兵さんについて行きたいと思っている子もいるようですので、仲間にすることも可能です(ただしアイテム発行はありません。ロールプレイの範疇でどうぞ)
・断章での行動指針に対応するのは以下になります。ですが能力値は参考までに、これ以外にやりたいことがあれば、お好きな行動を取ってみてください。
【POW】聖堂の近くでの宴(ひんやりスイーツ)
【SPD】浮島の大滝へダイブ! 水着で泳ぐ!
【WIZ】自然の中で幻獣さんと触れ合う(もふもふ)
・水着コンテストもありましたし、そちらの水着のお披露目などしても大丈夫です。
・ずっと書き忘れておりましたが、幻獣さん達の鳴き声は適当です。
鈴久名・紡
ジュレを……

そう思ったけれど
先ほどの幻獣がこっちこっちと袖を引くから
彼?の後に付いていこう
折角だから、むすびを背に乗せてやってくれないか?

そう許可を得て、むすびをその背に乗せれば
懐いた様子で寛ぐむすびの姿と少し誇らし気な幻獣の姿
自然と笑みが浮かぶ

案内してくれたのは彼が自身の仲間たちと過ごす場所
中でも一番のお気に入りな場所に連れて行ってくれるらしい
……動物と話す技能を持っていないから
憶測だけれど

というか、これは凄いな……いい眺めだ

そう褒めれば、言葉が判らないなりに
嬉しそうに鳴いて、頭をぐいぐいしてくる

あぁ、もしかして……
お前一緒に来るか?

そう問えば、嬉しそうな声一つ
あぁ、『動物と話す』覚えないと



 黄昏から宵へ――ゆっくりと時計の針が進むのに合わせて、白亜の聖堂に落ちる影もまた薔薇色からインディゴへ、鮮やかにその色合いを変えていきました。
 真珠貝の壁に彫刻されている、優しい天使たちの像が浮島を見守るなか、猟兵たちの勝利を祝う宴がいよいよ始まります。
(「さて、まずはジュレを……」)
 色とりどりの紙吹雪が舞うなかを歩く、鈴久名・紡(境界・f27962)は、さっそく大好物の甘味を頂こうと広場へ足を向けたのですが――その袖を「くいくい」と引っ張るのは、一頭のグリフォンのようです。
「お前は、先ほどの?」
「くえ!」
 何となくその仕草に見覚えがあるなと思い起こしてみれば、どうやら一緒にオブリビオンと戦った子に間違いないようで。そう言えば、紡の連れている幻獣――むすびのことが気になっている様子だったなと、藍の双眸が和らぎます。
「そうだ……折角だから、むすびを背に乗せてやってくれないか?」
 紡たちを何処かへ案内したいらしい彼へ、ふとそう問いかけてみれば、「くえー!」と嬉しそうに鳴いたグリフォンが、手招きをするように翼を広げます。
(――ぽふん)
 白黒うさぎの幻獣を背に乗せて、誇らしげに胸を張って歩くグリフォンは、お姫様の騎士になったつもりでいるのでしょう。彼に懐いた様子でのんびり寛ぐむすびと、ちょっぴり緊張したグリフォンの取り合わせが何だか微笑ましくて――紡の口許にも、自然と笑みが浮かぶのでした。
「……こっち、だな」
 ――そんな幻獣たちの後ろに着いていきながら、長閑な浮島をゆるりと散策していくと。
 いつしか紡の前には、切り立った崖を囲むように浮かぶちいさな島が、螺旋階段のように続いている幻想的な風景が姿を現したのでした。
「これは……凄いな」
 浮島のあちこちで生い茂る緑のなかには、珍しい果実や花をつけているものもあるようで――蝶々を追いかけていた他のグリフォンたちも、紡とむすびを歓迎してくれているようです。
「ここは、お前が仲間たちと過ごす場所なのか?」
「くえ!」
「……中でも、ここが一番のお気に入りの場所?」
「くええ!」
 ――動物と話すことの出来ない紡には、何となくの憶測でしかありませんが、たぶんそんな感じなんだろうなあと思います。
「……いい眺めだ」
「くえー!」
 それでも、そう言ってグリフォンを「よしよし」と褒めてみれば、言葉は判らないけれど――彼が嬉しそうに鳴いているのが伝わってくるのでした。
「あ、こら、つつくな……あぁ、」
 薄闇に瞬く星灯りの下、きらきら輝く紡の髪をつっつき何か言いたげなグリフォンに、おずおずと言った感じで口を開いてみます。
「もしかして……お前、一緒に来るか?」
 ――そう問いかけてみれば、「くえ!」と嬉しそうな声ひとつ。それに合わせて、周囲の仲間たちまで「くえ」くええー」「ぐへえ」と大騒ぎです。
(「あぁ……『動物と話す』覚えないと」)
 それでも――「ぐへえ」は何だか違うなあ、と思った紡なのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アパラ・ルッサタイン
お疲れ様と、共にしたグリフォンの頭を撫でて
宜しければもう少しお付き合い頂いても構わないかい?
大瀑布っていうの、見てみたいんだよね
案内して頂ける?

再びあなたと青空へ
風をなんと気持ち良いこと!
あれが瀑布かな
青空に虹が映えてうつくしい
さて、スリリングなひと時の始まりだ
エスコートをたのむね?

全身に水しぶきを浴びて滑降する
あは、楽しい!!
妙に気が高ぶってしまって笑いが止まらないよ

真黒な瞳を見ていると、誰かさんを思い出す
ね、ウチに帰るかい?
一鳴き応えがあれば頷いて
なら、名前を考えないとねえ……ううん
そうだ、「モリオン」なんてどう?

ふふ、気に入ってくれた様で良かった
けれど、あの、ちょいと
髪つつかないで!?



 鮮やかな連携を決め、オブリビオンを撃ち落とした興奮の覚めやらぬままに――アパラ・ルッサタイン(水灯り・f13386)はお供のグリフォンの頭を優しく撫でて、沈みゆく陽を背に、浮島の上空へと向かっていきます。
「お疲れ様、……宜しければ、もう少しお付き合い頂いても構わないかい?」
「くえくえ!」
 どうやら彼のほうも、まだまだ翔び足りないと思っていたのでしょうか。アパラの提案に快く頷き、祝祭に湧き立つ島の上をぐるりと回ると、そのまま島一番の名所に向かって羽ばたいていくのでした。
「大瀑布っていうの、見てみたいんだよね」
 ――案内して頂ける? と。ゆらゆら移り変わる色彩をその身に宿した美女の指が、楽しいことを見つけたみたいに彼方を示します。
「くえ!」
 絶え間なく流れ落ちる膨大な水は、轟音を伴って巨大な滝となり――雲海に沈むより先に、濃い霧へと姿を変えていくように、遠くからは見えます。
「嗚呼、風がなんと気持ち良いこと!」
 涼しげな水滴が肌を弾くような、その爽やかな霧混じりの風は、離れた此処にいても感じられそうなほど。再び空を突っ切っていくグリフォンにしっかりしがみ付きながら、アパラはより深みを増していく空のいろを、自分の瞳に精一杯焼きつけようとするのでした。
「……あれが、瀑布」
 と――やがて目の前に立ち塞がるように現れたのは、空の裂け目の如く広がる大きな滝。天使核の力でしょうか、夕闇に浮かぶ虹は昼間のように鮮やかで、滝のそこかしこで七色のひかりが弾ける光景は、アパラの宿すオパールの煌めきを思わせます。
「さて――」
 ゆったりと流れていく時間。けれど彼女は、もっと興味のあることに飛び込んでいこうと、悪戯っぽく瞳を輝かせてグリフォンの背を「ぽん」と押しました。
「スリリングなひと時の始まりだ。……エスコートをたのむね?」
「くえー!」
 直後――勇ましい鳴き声をあげた彼が、翼を折り畳んで一気に急降下していくと。大瀑布の天辺に降り立ったと思う間もなく、そのまま滝の流れに乗ってぐんぐん滑り落ちていきます。
「あは、楽しい!!」
 ――全身に水しぶきを浴びながら、ほぼ直滑降に落下していくのは、ウォータースライダーと言うよりフリーフォールでしょうか。時おり滝の裏側にある洞窟が顔を覗かせ、そうかと思えば霧のなかに飛び込んでしまって何も見えなくなったり。
「あはは、ああ……駄目だ、笑いが止まらないよ」
 目まぐるしく変わっていく景色を眺めているうちに、妙に気が昂ってしまうのを抑え切れなくなったアパラは、いつしかグリフォンをぎゅっと両手で抱きしめながら、身体をゆすって大笑いしていたのでした。
 そうして――途中に浮かんでいた小島を何度か経由しつつ、無事に滝を下って浮遊島まで帰ってくると。水しぶきを受けてずぶ濡れになった髪をどうにか整えながら、アパラはグリフォンに向けて問いかけるのです。
「……ね、ウチに帰るかい?」
 真黒な瞳を見ていると、誰かさんを思い出す――なんて、そんな彼女の想いを知ってか知らずか「くえ!」と元気な応えが返ってくると、頷いたアパラは大きく伸びをして空を見上げました。
「なら、名前を考えないとねえ……ううん」
 ――それは、夜に灯す光のような。静かな輝きを放つまなざしが、黒水晶にも似ていると思ったから。
「そうだ、『モリオン』なんてどう?」
 続けて呼ばれた名前が、自分に与えられたものだと分かったグリフォンが、嬉しさの余りアパラに抱きついてくるなかで――再びこみ上げてきた笑い声は、風に乗って遠くどこまでも響いていったのでした。
「ふふ、気に入ってくれた様で良かった……って」
 ――けれど、あの、ちょいと。
「折角整えたのに! 髪つつかないでー!?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
f01543/イアさん

震えていたヒポグリフの子も
今は元気に嘴で袖引いて
こっちこっち、と誘うものだから

参りましょうか

イアさんへと手を差し伸べ
共に空駆けた戦友のグリフォンさんも
さぁ
滝まで遊びに
いざ行かん

背に乗せてくださるの?

水辺は清らかに煌き
浅瀬に浸した足は冷たく心地良い
滑り落ちる爽快感は
格別に違いないけれど、

イアさんは、急流は平気?

もし怖いなら
手を繋いでいますから――なんて、
言うも言わずも早々に
得意気に翼を広げる彼らに瞳を瞬いて

水流を落ちて落ちて、急上昇
今度はぐんと空を翔け
虹の橋を渡りに行こう

羽搏くまま
心の華やぐまま
空を游ぎ回ったなら
毛並みは風を孕んでいっそうもふもふね

何てあたたかい
いのちの温度


イア・エエングラ
綾/f01786と

ご機嫌斜めの骨の子を
宥め賺して水辺へと
海には足りなくとも懐かしかろ

ねえ、仲良くしてくださる?
すこしこわいかしらと笑って
気丈な翼の子にほおずり一度
ほらほら、綾も呼んでるよう

迷わず手を取り波紋と踊ろ
跳ねるよな水面に輪を描いて
次の一歩は、悪戯気な瞬きと

そうな、怖いよりも
――今にも翼広げて駆け出したい、くらい
羽搏きに紛れた笑い声

眼下に広がる世界へ飛び込んで
水の飛沫が砕けて散った宝石のよう
歓声も水音に、風に視界を開いたら

前行く貴方に翼の影と
掛かる虹はまるで、
暖かな温度に触れる心地も
一瞬が煌めいて焼けつくような
まるでいつか開いた一頁のようで



 黒翼の羽ばたきに震えていたヒポグリフの子どもも、今はすっかり元気を取り戻したようです。「ぴぎー」と嬉しそうな鳴き声を上げつつ、彼が引っ張るのは都槻・綾(絲遊・f01786)の裾で――ちょっぴり遊び心を出した綾のほうも、柔く微笑んでその後に続きます。
「……こっち? 何があるの」
 可愛らしいお誘いを一緒に受けようと、綾が手を差し伸べたイア・エエングラ(フラクチュア・f01543)はと言えば、いつも連れている死霊を宥めるのに難儀しているみたいでした。
「さて、参りましょうか……イアさんは大丈夫?」
「ええ、さっきからご機嫌斜めのようね」
 ――ご主人を乗せる役目を、幻獣たちに取られてしまったからか。はたまた、生命あるものに興味を惹かれたイアの様子が面白くないのでしょうか。蛇竜の骨がカラカラと、いら立つように空気を震わせていきましたが、彼らがこれから向かうのは浮遊島にある滝なのです。
「……ねえ、海には足りなくとも懐かしかろ」
「さぁ、いざ行かん――ですよ」
 骸の海とまではいかないだろうけど、水辺で寛ぐなら楽しめるだろうと。どうにか死霊を宥め賺すイアに続けて、綾もその背を押すように、宝物のように輝く滝を示して進んでいくのでした。
「おや」
 ――そうしている内に、綾たちの気配に誘われたグリフォン達も加わって、水辺に着く頃には「くえー」「ぴぎー」とだいぶ賑やかになってきました。
「ねえ、仲良くしてくださる?」
「くえ!」
 彼ら幻獣にとっても、ここは憩いの場所となっているのでしょう。すこしこわいかしらと呟く、イアの従える蛇竜であっても、同じ水辺で寛ぐ仲間として歓迎してくれいるようです。
 沈みゆく夕陽を写し取った水面は、透明で清らかな煌めきを放っていて――波紋が生まれるたびに空の雲が輪郭を失って水面に溶け、暫くするとまたゆっくりと広がっていくのが分かります。
「ふふ……ありがとうね。ほらほら、綾も呼んでるよう」
 そうして気丈な態度を見せるグリフォンに、ほおずりを一度してから。水面を蹴立てて波紋を生んでいくイアは、静かに佇む綾に向かって、跳ねるように近づいていきました。
 ちゃぷん、と――綾が浅瀬に浸した足は冷たく心地良く、戦いの疲れも癒してくれそうで。このままのんびりするのも良いのでしょうが、ここまで来たのだからとっておきの体験をしてみようと、グリフォン達がその背を示して綾たちを誘います。
「……乗せてくださるの?」
「くえくえー!」
 問いかけに力一杯頷いたグリフォンの元へ、イアもやって来たところで、念の為に綾は訊いておきます。
「イアさんは、急流は平気?」
「そうな、怖いよりも――」
 滝の天辺から滑り落ちる爽快感は、格別に違いないけれど、もし怖いのなら――、
「手を繋いでいますから……って、」
 綾が言い終わるか終わらないかのうちに、イアは迷わずその手を取ると――グリフォンの背に腰掛けたまま、垂直に落ちていく滝に向かって一気に飛び込んだのでした。
「今にも翼広げて駆け出したい、くらい!」
 ――一瞬生まれた浮遊感は、まるで時が止まったかのように鮮烈で。羽ばたきによって生まれた水飛沫も水面の輪も、粒のひとつひとつが宝石のように煌めいているのが伝わってきます。
「――……!!」
 悪戯気に瞬きをするイアが、遠くで笑っているのが見えましたが、その声もすぐに羽ばたきに紛れ――直後、ごうごうと轟く滝の音とともに、綾の視界を一気に水飛沫が覆っていきました。
「ぴぎ!」
 彼の腕に抱かれたヒポグリフの子どもが、急降下に怯えて震えているのが分かったので、安心させるようにそっと撫でつつも。飛沫の合間から見上げた空では、他のグリフォン達が得意げに翼を広げ、夕暮れのなかを飛び立っていくのが見えました。
(「……水流を落ちて、落ちて」)
 瞬く瞳に焼きついた、あのうつくしい空に向かって――一気に急上昇。滝を滑り降りた綾のグリフォンは、今度はぐんと空を翔けていき、先に飛んでいた仲間たちと合流を果たしたのでした。
(「まあ」)
 ――イアの眼下に広がる世界はまるで、砕け散った水の欠片が生み出す万華鏡のよう。自分のこえも水の音に変わってしまったような、大自然とひとつに溶け合う感覚を経て、肌を撫でる風にそぅっと瞳を開けてみれば。
「綺麗ねえ」
 ――前を行くのは綾。その彼が駆る翼の影に向かって、ゆっくりと虹が架かっていく光景に、思わずイアは吐息を漏らしていたのでした。
(「さあ――虹の橋を、渡りに行こう」)
 羽搏くまま、心の華やぐままに。空を游ぎ回り、風を孕んで一層もふもふになったグリフォンの毛並みを撫でれば、あたたかな鼓動とぬくもりが、確かに伝わってきます。
 ――ああ、何てあたたかい、いのちの温度。
 その心地も、目の前に広がる世界も――一瞬一瞬が煌めいて焼けつくようで。それはまるでいつか開いた一頁のような、ことばにならない文字がきらきらと囀っている光景のようだと、イアには思えたのでした。
「そうねえ……飛ぶなら穏やかな空が、良いものな」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
ん、これで平和な島に元通り、ね。ヒポグリフさんも一緒に来てくれて、ありがと。ここを無事に守れたのはあなたのおかげ、だよ。

雲から出てくるワイバーンさんを見てると、わたしも雲の中を飛んでみたいなって、思っちゃう。わたしも連れて行って、くれる?
ワイバーンさんに乗せてもらって、この島をのんびり一周するなんて楽しそう、ね。海みたいに流れる雲は見てて飽きないけど、雲の中に飛び込んだりまた顔を出したりも、してみたい。雲から顔を出してくれるワイバーンさんたちには手を振ってあげよう、かな。
景色は綺麗だし、なんだか風も優しい、気がする。ん、こうしてのんびり空を飛ぶのはとっても気持ちいい、ね。


ナスターシャ・ノウゼン
さぁ、面倒な戦いも終わったんじゃ。遊ぶぞー!
なにやら巨大な滝があるというではないか。これは突貫しないわけにはいかないのう。

水着姿になって、戦いを共にしたグリフォンと共に大瀑布へ。
妾は炎の化身じゃないのかって?気にしたら負けじゃよ!楽しい水遊びが、妾を待っておるのじゃ!

グリフォンと共にウォータースライダーじゃ、ひょっほーい!!
いやぁー、風に水に気持ちええのう。

水遊びを存分に楽しんだら、グリフォンを毛づくろいして、ぐっすりもふもふタイムじゃ。約束通り、添い寝もしてやらとな?

いやぁ、めんどうな依頼じゃったが、終わりよければすべてよし。満喫できて、満足じゃよ。



「……ん」
 遠くから聞こえてくる、賑やかな祭りの音楽に耳を傾けながら、広い草原でゆっくり伸びをしているのはミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)です。
「これで平和な島に元通り、ね」
 そう、ぽつりと口にしてみれば――ようやく戦いが終わった実感が伴って、これで少しは恩返しが出来たかなと、少女は風にそよぐ緑の海を愛おしそうに見つめたのでした。
「ヒポグリフさんも一緒に来てくれて、ありがと」
「ぴぎ!」
 隣で草をもしゃもしゃ食べているヒポグリフは、ミアともうちょっと遊びたいと思って、ここまで付いてきたのでしょうか。
「……ここを無事に守れたのはあなたのおかげ、だよ」
「ぴぎぎ!」
 ミアからお褒めの言葉を頂戴し、まんざらでもない様子のヒポグリフ。と、そんな彼を冷やかすように、雲海のなかから次々にワイバーン達が現れて「ぐるるるる」とウェーブを作りながら咆哮します。
「おお、壮観じゃのう」
 白と黒の斑模様のワイバーンなどは、何だか本当にちんあなごみたいだなあと思いつつ、ナスターシャ・ノウゼン(召喚獣「イフリート」・f33989)のほうは悠々と空の散歩を楽しんでいるようです。
「さぁ、面倒な戦いも終わったんじゃ。遊ぶぞー!」
「くえー」
 彼女と戦いを共にしたグリフォンも、のんびりした鳴き声のなか嬉しそうな様子が伝わってきますが、たぶんナスターシャの水着姿に喜んでいるのでしょう。セクシー&キュート、と叫んでいるのかも知れませんね。
「いやいや、そんな風に叫ばれるのって、一体どんな罰ゲームなのじゃ……と、それはさておき」
 ――水着に着替えたナスターシャの目的地は、浮遊島にあると言う巨大な滝。その瀑布に架かる虹をくぐり抜けて、大自然のウォータースライダーを目一杯楽しむとしましょう。
「これは、突貫しないわけにはいかないのう……む、妾は炎の化身じゃないのかって?」
 ――え、私は何も突っ込んでいませんよ。やだなあ、ワイバーン達が何か言っているんですかね。はっはっは。
「気にしたら負けじゃよ! 楽しい水遊びが、妾を待っておるのじゃ!」
 そんな感じで、地の文で何かやり取りがあったような気配を漂わせつつ、ナスターシャ達は滝の上目掛けて羽ばたいていきます。
 と――そんな一連の騒動を眺めているうちに、ミアもまた雲の間を飛んでみたいな、と思ってしまうわけで。
「ん、……わたしも連れて行って、くれる?」
「ぐるるるるる」
 ナスターシャとは逆回りに、のんびりと。綿飴のような雲の上と下を行ったり来たりして、この島を一周してみるのも楽しそうです。
「ぴぎー!」
 そうして――斑模様のワイバーンがひょっこり顔を出すのに合わせて、その背中へ飛び乗ったミアに続くように、後からヒポグリフもやって来たようでした。
「みんな一緒で、賑やか、だね」
「ぐるる」
 ――鮮やかな赤から紫へ、それからさらに藍色へと。刻々と色合いの変わる夕暮れの空を、雄大な雲がかたちを変えつつ流れていく光景は、まるで海を見ているかのよう。
 ゆったりとしたその様子を眺めているだけでも、飽きないと言うものですが――折角空を飛んでいるのです。思い切ってふかふかの雲の中に飛び込んだり、そこからワイバーンのように顔を出したりも、してみたいのです。
「……わ、ひんやり」
 そんな訳で、夕陽を浴びて琥珀色に染まった雲に顔を埋めてみたミアでしたが、巨大な冷凍庫の中に入ったような涼しさに、思わず瞬きを繰り返しました。
 余り表情には出ないものの、好奇心が満たされて楽しそうな彼女は、もしかしたらワイバーンさんもこんな風に、暑い日には涼んでいるのかも知れないなと思ったりもしたのでした。
「ぐるるるる」
「おおおお、ひょっほーい!!」
 そんなミアが飛び込んだ雲の向こう、ちいさな浮島の近くから顔を出すワイバーンの傍では、ぐるりと島の外側を滑って来たナスターシャが、水飛沫とともに大ジャンプをしていくのが見えます。
「いやぁー、風に水に気持ちええのう」
 爽やかな霧となった雲を突き抜け、浮島を流れる支流に乗りながら、再び大滝に向かってダイブ――そうして水遊びを存分に楽しんだら、お待ちかねのぐっすりもふもふタイムに突入です。
「毛づくろいに……約束通り、添い寝もしてやらんとな?」
「くええー」
 ――戦い続きで面倒な依頼ではありましたが、終わりよければすべてよし。空ゆく獣たちとのひと時を満喫したナスターシャの寝息が聞こえてくる頃、ミアも幻獣たちとお別れをすることにしたのでした。
(「景色は綺麗だし、なんだか風も優しい……気がする」)
 最後に顔を出してミアを見送るワイバーンに手を振って、ヒポグリフの背に揺られながら帰路につきます。
「……ん、こうしてのんびり空を飛ぶのはとっても気持ちいい、ね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浮世・綾華
【千陽】

どの子もかっけーよな
青の中をゆく幻獣たちに目を奪われていると
中の一匹が此方に興味を示し傍へ

お前は――ヒポグリフっていうんだっけ
しゅっとした身体に生える翼がかっこいい

乗っていいの?
よっしゃ、じゃあお邪魔しよーぜ
ほら。セトが前
乗ればよろしくなと背を撫で

すげーな…あ。セト、虹だぞ、虹!
ははっ、きれーだな!

連れられた大瀑布
…セト、此処、多分下る
ちゃんと掴まってろよ?
言いつつ、自分もぎゅっと

――っ
ふふ。やべー!!
楽しー
な、もっかいやって貰う?

ヒポグリフにお願いして、もう一度
今度は上昇する感覚も楽しみながら

何よりセトが楽しそうなのが嬉しくて
笑顔が絶えることはない

今度はちゃんと、目ぇ開けてろよ?


セト・ボールドウィン
【千陽】

うん。すげーカッコいい!
空にも地面にも幻獣たちの姿を眺めて

強そうだったり綺麗だったりして
どこを見てても楽しいね

ひぽぐりふ…
おっきな翼、それに強そうな脚
何だか不思議ですごくカッコいい

…えっ?あ、うん!(見惚れてた
前乗っていいの?やったぁ
ありがとうって挨拶して、その背中へ

――はやっ!?
こんな速く飛べるんだ。すげ…
空の中に溶けちゃいそうでドキドキする

虹?どこどこ?あ、ほんとだ!

背中から聞こえる綾華の笑い声が嬉しくて
大きな声で返事する
うん!すごいきれーだねっ

めっちゃ流れてるけど。滝
え、わ、ちょ、待って待って

~~!
っふふ、はは
何かめちゃめちゃ楽しい

うんっ
俺、目ぇ閉じちゃったし
もいっかい行きたい!



 ――平和を取り戻した浮島のそこかしこで、空ゆく獣たちの賑やかな声が聞こえてきます。
「……どの子もかっけーよな」
 やさしい青の向こう――連れ立って飛び去っていく幻獣たちに目を奪われた、浮世・綾華(千日紅・f01194)が思わずそう口にすれば、すぐ傍で「うんうん」と薫風のような声が応えました。
「すげーカッコいい! みんな、強そうだったり綺麗だったりして」
 そう言って、にかっと綾華に笑ってみせたのは、一緒に島巡りをすることにしたセト・ボールドウィン(木洩れ陽の下で・f16751)で。傾く陽射しを浴びてきらきら輝くセトの髪は、あたたかな陽だまりをぎゅっと閉じ込めたような感じがします。
「空も、それに地面も……どこを見てても楽しいね」
 そう、ふたりの居る森も、幻獣たちの住処となっているようで――先ほどから色んな子が興味を惹かれたのか、ちらちらと此方の様子を窺っているようなのでした。
「あ、お前は――ヒポグリフっていうんだっけ」
「ぴぎ!」
 と、その内の一頭が、ちょこちょこっと近づいて来て綾華に鼻先を擦りつけます。鷲の頭をしているのに、その仕草は何だか馬みたいですが、よくよく見れば下半身がそうだったので、妙に納得してしまいます。
「ひぽぐりふ……おっきな翼、それに強そうな脚だね」
「ちょっと短いけどな、安定感はありそうだケド」
「ぴぎ……」
 ――しゅーん。
「あ! でもでも、何だか不思議ですごくカッコいい!」
「そーそー、しゅっとした身体に生える翼がかっこいいなー」
「……ぴぎ!」
 どうやら、ヒポグリフはもうちょっと脚の長さが欲しいと思っているようでしたが、セトや綾華が褒めるとすぐに気を良くして、とっておきの場所へ招待しようと翼を広げました。
「……お、乗っていいの?」
 よっしゃ、と目を輝かせた綾華が、早速お邪魔しようとその背に跨ると――前のほうを空けてから、セトに向かって手を差し伸べます。
「ほら。セトが前な」
「……えっ? あ、うん!」
 何処か遠くを見ていたような貌で、慌てて瞬きを繰り返すセトでしたが、見惚れてた――なんて言ったら笑われるでしょうか。
「前乗っていいの? やったぁ、ありがとう」
「んじゃ、よろしくな」
「ぴぎぎ!」
 ――いつか、ふたりが出会った時のように。深い緑に抱かれて、顔を合わせて笑い合って。それでも綾華がヒポグリフの背を撫でると、蹄が力強く地面を蹴る音とともに、鷲の翼が大きく羽ばたいて、緑の世界がぐんぐん遠ざかっていくのです。
「――はやっ!?」
 木漏れ日が瞬いた、と思った次の瞬間――セトの視界には、何処までも夕焼けが広がっていて。すぐ近くを流れる雲に飛び込むかと思いきや、ヒポグリフは急上昇して、浮島の更に上――純白のヴェールを思わせる大瀑布へと、ふたりを案内していくのでした。
「こんな速く飛べるんだ。すげ……」
「ああ、ゴメン……ちょっと脚短いとか言って」
 雲海に沈んだ島は消滅するのだと言いますが、こうして幻獣の背に揺られていると、この風景はずっと続いていくような、不思議な安心感に包まれる気がするのです。
(「……何だか、空の中に溶けちゃいそう」)
 ――移り変わる空のいろ。流れる雲もまた、大気に混じりかたちを変え、まるで雄大な音楽を奏でるように風と戯れていきます。
「すげーな……あ。セト、虹だぞ、虹!」
「虹? どこどこ? ……あ、ほんとだ!」
 ドキドキと高鳴るセトの鼓動に合わせ、綾華の笑い声が背中越しに聞こえてくるのが、何だか嬉しくて。
「ははっ、きれーだな!」
「うん! すごいきれーだねっ」
 滝の音にも負けないくらい、大きな声でセトが返事をすると、鮮やかな虹のアーチをくぐり抜けたヒポグリフは、大瀑布の天辺までふたりを連れていったのでした。
「……で、めっちゃ流れてるけど。滝」
 ずどどどどどど――と言う轟音は、もう振動と呼んだほうが良いかも知れません。立ち昇る霧がすごくて、はっきり下が見えないのが幸いかも知れませんが、恐らくこれはほぼ垂直だろうと綾華は結論づけました。
「……セト、此処、多分下る」
「え、わ、ちょ、」
「ちゃんと掴まってろよ?」
「待って待って、――~~!!」
 ぎゅっ、と――ちょっとしっとりしてきたヒポグリフの背中にしがみつき、ふたりは滝からダイブして、そのまま垂直の大波に乗るかのように、一気に下まで滑り落ちていきます。
「――っ」
 息が止まりそうなほどの風が吹きつけるなか、宙に投げ出された身体は、あっと思う間もなく別の場所へ向かってジャンプ――滝の裏に隠れていた洞窟を経由しつつ、違うところから再び滝へ飛び込みます。
「っふふ、はは」
 ――降りかかる水飛沫があちこちに跳ねていくのが、くすぐったくも心地良くて。
「ふふ。やべー!! 楽しー」
「うん、何かめちゃめちゃ楽しい!」
 目が回りそうなほどの激流に呑まれながらも、綾華とセトは無邪気に笑い合いながら、こころは既に滝の天辺へ向かっているようでした。
「な、もっかいやって貰う?」
「……うんっ。俺、目ぇ閉じちゃったし、もいっかい行きたい!」
 もう一度――今度は上昇する感覚も楽しみながら、違うルートを辿って、新しい景色に出会うとしましょう。ああ、何よりセトが楽しそうなのが嬉しかったから、綾華の笑顔が絶えることはないのでした。
「なら……今度はちゃんと、目ぇ開けてろよ?」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

スウォミ・リーデンスベック
セリカ様(f00633)と

見てくださいセリカ様、もふもふさんたちがたくさん! かわいいですね。この子達、触っても逃げないんですのね。

(ペガサスのたてがみを梳きながら)
あ、この子、セリカ様に懐いているみたいです。

え?
(髪の毛を引っ張られて振り返る)
まあ、グリフォンさん!
え、なんですか? あっちに何が?
(ぐいぐいと聖堂のほうへ引っ張られていく)

あっ!
セリカ様セリカ様、大変です、こっちに美味しそうなスイーツがたくさん! ジェラートやケーキがありますわ! 一緒に食べませんこと〜?


セフィリカ・ランブレイ
スウォミちゃん(f33629)と

幻獣さんふれあいタイムと行こっか!
今後の参考に写真撮っておこう
次のゴーレム新型は幻獣型なんてのも良いかも

にしても、スウォミちゃんは幻獣達から大人気じゃん
向こうの方から寄ってきてる!
やはり時代は優しい微笑みなのか?!

『セリカ、動物に好かれないものね。昔から』
シェル姉…相棒の魔剣は一言多い
シェル姉が怖がられてるだけでーす、と反論しつつ

でもこのペガサス君とかわかってる奴いるじゃない
お前は見所があるぞー!
(ぐりぐり撫でる

お、スウォミちゃん、パーティにご招待されたみたい
甘いのイケる口?
私は大好き!
この世界のスイーツはまだじっくり味わったことなかったし
色々試そうか!



 きゃっきゃ――まるで花たちが笑いさざめくように、浮島の一角は華やいだ空気に包まれていました。幻獣たちがのんびり暮らす牧場の片隅、白い柵の向こうにある木陰では、宝石みたいに輝く髪が時おり風に揺れています。
「ぶも、ぶももも」
「見てくださいセリカ様、もふもふさんたちがたくさん!」
 スウォミ・リーデンスベック(ヤドリガミの魔女・f33629)の淑やかな声が、ちょっぴり興奮した様子で友達を呼べば――カメラのフラッシュが何度か瞬いたあとで、セフィリカ・ランブレイ(蒼剣と姫・f00633)が近くにやって来ます。
「うわぁ……スウォミちゃん、大人気じゃん」
「うふふ、かわいいですよね」
 幻獣さんとのふれあいタイムを楽しむことにした彼女たちは、やはりと言うか彼らに大人気。木陰でのんびり寛いでいたスウォミの元へは、ペガサスからワイバーンまでぞろぞろと、撫でて欲しいと言わんばかりに列を作っていたのです。
「……にしても、向こうの方から寄って来てる?!」
「ええ、それにこの子達、触っても逃げないんですの」
 ――なでなでなで。天真爛漫な笑みを湛えたスウォミは、幻獣のふわふわな鬣を撫でたり、ひんやりした鱗を触ってみたりと楽しそうな様子です。うっとりと、されるがままになっているヒポグリフなどは、まるで乙女に跪くユニコーンと言った感じになっていますね。
「あ、もしくはアイドルの握手会だ、これ……!」
 そう言えば、スウォミの放つピュアなオーラには黒翼騎士たちも魅了されていたのでした。ああ、やはり時代は優しい微笑みなのか――愕然としつつも大いに悩むセフィリカの傍で、澄んだ音を立てた魔剣が悪戯っぽく笑う気配がします。
「えええ、『昔からセリカは動物に好かれないものね』って……シェル姉!」
 青の刀身にふと、長い髪の女性の姿が映ったような気がして、セフィリカはちょっぴり頬を膨らませますが――シェル姉、もとい魔剣シェルファが一言多いのはいつものことです。
「違いますー、シェル姉が怖がられてるだけでーす」
 そんな風に反論してもみますが、やはり寵姫としての力を持つスウォミは、センター並みの存在感があるのでした。
「うっ、私だってお姫様だもん……」
 思わずそんなユーベルコードを使いそうになってしまいますが、そこでふと――落ち込んでいたセフィリカの近くで「ぶもぶもっ」と鼻息荒い鳴き声が聞こえてきます。
「あ、この子、セリカ様に懐いているみたいです」
「え、え、本当に?」
 たてがみを梳くスウォミを振り切る勢いで、純白の翼をばっさばっささせるのは、うつくしき天馬――ペガサスでした。見た目と鳴き声のギャップがだいぶ大きいですが、セフィリカを気に入ったのは本当のようです。
「おー、何だ、わかってる奴いるじゃない! お前は見所があるぞー!」
「ぶもも!」
 ――頭をぐりぐりされて、嬉しそうにいななくペガサスを、折角なので写真に収めたりもして。今後のゴーレム製作の参考にしようかなあと、幻獣たちの資料集めにも余念がないセフィリカなのでした。
(「次の新型は、幻獣型なんてのも良いかも……」)
「え? ……まあ、グリフォンさん!」
 ほわりと空想に耽る彼女の隣では、スウォミがグリフォンに髪の毛をつつかれて、そのまま何処かへ連れて行かれようとしています。
「え、なんですか? あっちに何が?」
 ぐいぐい着物の袖を引っ張られていくスウォミに、遅まきながら気づいたセフィリカも、彼女の後に続きますが――グリフォンが向かう先にある建物を認めると、その貌に満面の笑みを浮かべて駆け出していったのでした。
「お、スウォミちゃん、パーティにご招待されたみたいだね」
「あっ! セリカ様セリカ様、大変です、こっちに美味しそうなスイーツがたくさん!」
 ――色とりどりの紙吹雪が舞うなか、島を見守る聖堂からは重厚な鐘の音が響いてきて。ふたりの英雄を歓迎するかのように、新しいご馳走が広場のテーブルに並べられていきます。
「まあ、ジェラートやケーキがありますわ!」
「……スウォミちゃんは甘いのイケる口? 私は大好き!」
「なら――」
 島のフルーツを使ったジェラートは色も形も様々で、幻獣さんの形をしたものは食べるのが勿体ないくらいでしたけれど。
「一緒に食べない?」「一緒に食べませんこと~?」
 この世界のスイーツは、まだじっくり味わったことがありませんでしたし、魔獣料理にも興味があります。笑顔で頷いたセフィリカとスウォミを見守るように、きらきらと剣先を輝かせたシェル姉も、もしかしたら笑っていたのかも知れません。
「じゃあ、色々試そうか!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
【双星】アドリブ◎
なぁアレス、アイツらアルタイルに顔が似てねぇか?
ヒッポグリフに近づき
触っていいかと尋ねる
歓迎されるなら
お腹に埋もれるようにもふもふと
ふふ、なに
俺じゃももふもふ足りねぇんじゃねぇの?
何て言いながらも
伸ばされた手に甘えるようにすり寄って
優しい時間を堪能する

けどやっぱ、飛んでるとこも見たいよなぁ
お前のかっこいいとこ見せてくれる?
ヒッポグリフに乗せて貰い空中散歩
ひとりと一頭の空は風が気持ちよくて
でも、ちょっと寂しい
なんて、思ってんのがばれたのか
目が、行けって言ってる気がする
そう思いたいだけかもしんねえけど
促されるまま飛び降りて
自由落下でアレスの所へ

ただいま
ああ、ここが一番しっくりくる


アレクシス・ミラ
【双星】
アドリブ◎

あれは…ヒッポグリフだったかな?物語の挿絵でも見た事があるよ
彼らに一礼して挨拶した後
僕も触っても?と尋ねるよ
許可を得られるなら柔く撫でよう
…ふと、隣でもふもふしているセリオスを見て
その髪に手を伸ばして撫でる
いいんだ
僕にとっては…触れたくなってしまうほど、特別だから

ああ、それなら皆で一緒に飛ぼうか
折角の空だからと【暁穹の鷲】でアルタイルも呼んで
ヴェガに跨り、一緒に空中散歩へ
平和な青空は気持ちがいいね
セリオ、ス…!?
空から飛び込んでくる彼に驚きつつも受け止める

全く…飛び移るなら先に言ってくれ
さっきぶりな体勢に苦笑するが
…腕の中でご機嫌な様子には嬉しくも思うから
おかえり、セリオス



「あれは……」
 島を見渡せる丘の上――向日葵の咲く路を少し歩いたところで、アレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)は隣にいる相棒の肩を、ちょいちょいと突きました。
「ヒポグリフだったかな? 物語の挿絵でも見た事があるよ」
 背の高い草花の向こうにちらちらと、勇ましい鷲の頭が見え隠れ。それでも地面を叩く蹄の音は、馬のものだから不思議です。その格好良い見た目から、騎士物語にもたびたび登場するヒポグリフですが――実際にこうして道端を散歩しているのは、ブルーアルカディアならではの光景と言ったところです。
「へぇ、って……なぁアレス」
 そんなアレクシスの声に耳を傾ける、セリオス・アリス(青宵の剣・f09573)は、のんびり散歩をしているヒポグリフたちの顏をじぃっと眺め――やがて悪戯を思いついたような声音で、彼に耳打ちをしたのでした。
「アイツら、アルタイルに顔が似てねぇか?」
「ああ……同じ鷲だから、かな」
 ――アレクシスの召喚する鷲はアルタイルと言って、暁光を纏う姿により景色に溶け込むことも出来るのです。とは言え、お散歩中のヒポグリフは向日葵畑に溶け込むどころか、向日葵の種までむしゃむしゃ食べている子もいて、随分と寛いでいる様子でした。
「……なぁ、触っていいか?」
 そんな訳で――ふたりが傍に近づいても逃げないことを確認してから、セリオスがヒポグリフに声をかけると。「ぴぎ!」と嬉しそうに鳴いた子に続いて、近くにいた幻獣たちもわらわらと集まってきたのでした。
「おおお、もふもふだ……って、お前はちょっと食べ過ぎなんじゃ」
「こんにちは。……僕も触っても?」
「ぴぎぎ!」
 ヒポグリフのお腹に埋もれるように、もふっと顔を埋めてみたセリオスでしたが、向日葵の種の食べ過ぎなのか随分と恰幅のいい子だったようです(そのぶん、すごくふかふかです)
 その様子を見たアレクシスも、丁寧にお辞儀をしてから近くにいた子を柔く撫でますが――その手がふと、もふもふを堪能していたセリオスの頭に伸ばされると、その長い髪を梳くようにして、優しく行き交いをし始めたのでした。
「ふふ、なに……俺じゃ、ももふもふ足りねぇんじゃねぇの?」
「いいんだ」
 口ではそう言いつつ、セリオスのほうは伸ばされた彼の手に、甘えるようにすり寄っています。
「僕にとっては……触れたくなってしまうほど、特別だから」
 まるで黒猫をあやしているような、愛おしくも優しい時間を堪能しながら、ふたりの距離はゆっくりと近づいていくのでした。

 ――とは言え、やっぱり幻獣たちが飛んでいるところも見たいというもので。
「お前のかっこいいとこ見せてくれる?」
「ぴぎー!」
 あまあまムードを取っ払ったセリオスが、ヒポグリフの背に乗せて貰い、一足先に空中散歩へと飛び出していきます。そんなひとりと一頭が駆ける空は、何処までも行けそうな気がして、風も気持ちよいのですが――、
(「……でも、ちょっと寂しい」)
 視線を少し下に向けると、天馬のヴェガに騎乗したアレクシスが、のんびり空を飛んでいるのが見えて胸がぎゅっとなります。折角の空だからと、彼らの近くにはアルタイルもいるのでしょうか――あの輪に入っていきたいような、もどかしさが募ってくるのです。
「ぴぎ……」
「あ、お前……俺の思ってること、ばれたのか」
 そんなセリオスに向けて、こくりと頷いたヒポグリフの目は「行け」と言っているように見えました。
(「そう思いたいだけかもしんねえけど、でも……」)

 ――平和な空は気持ちがいいね。そう言って愛馬たちと空をゆくアレクシスの元へ、天からセリオスが飛び込んで来たのは、それから間もなくのこと。
「セリオ、ス……!?」
「ただいま……ああ、ここが一番しっくりくる」
 驚きつつもしっかりとセリオスを受け止めたアレクシスは、先ほどと同じ体勢になって苦笑しましたが、腕のなかでご機嫌な様子の彼を見れば、嬉しさがこみ上げてきて瞳が和らぎます。
「全く……飛び移るなら先に言ってくれ」
「何度だって受け止めに行く――だったよな?」
 ――冒険のはじまりは、空から少女が落ちてくるのだと言うけれど。彼の元へ落ちてきたのは、囀る声もうつくしい黒い鳥、彼の剣となる青き星のようでした。
「おかえり、セリオス」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーファス・グレンヴィル
お疲れサン
さすがに腹減ったな
飯でも食おうか、ナイト

相棒とハイタッチして迎えた平和
ひんやりスイーツを頼んで
分け合いつつ先へ進めば
不意にマントを引っ張る幻獣の姿

瞬きを数度繰り返してから
くしゃくしゃと頭を撫でてやった
けれど、その場から離れようとしない様子を見て

何だ、遊びたいのか?

まるで甘えるように
頭に触れる掌へとすり寄る様子
それに、くくく、と喉奥を震わせた

悪いな、
オレにはもうコイツが居るから
肩の上でどや顔決めるナイトを横目に
しょんぼりしてる幻獣も放置は出来ず
此処に居てる間だけ、遊んでやるよ
オレじゃなくて、ナイトが、な!
黒竜を抱き上げればそのまま幻獣の前へ

戸惑い慌てる相棒の姿に
けらけらと笑い声をあげた



 ――ぱぁん! 宵色に染まりゆく空の下、軽やかにハイタッチを決めたのは、ルーファス・グレンヴィル(常夜・f06629)とその相棒、黒炎竜のナイトです。
「お疲れサン――と、さすがに腹減ったな」
 ルーファスの労う声を受け、くるりと宙を一回転したナイトは、そのままいつもの定位置へ。肩の上でゆらゆらと、気持ち良さそうに揺られながら彼に同意します。
「飯でも食おうか、ナイト」
 未だ戦いの熱も冷めやらぬと言った感じで、名残惜しそうに双鉈の鞘を撫でるルーファスですが――涼しげな風を浴びて気持ちを切り替えると、ひんやりスイーツが待つ会場へと向かっていったのでした。
「おにーさん、これでも如何ですか?」
「へぇ……氷で出来てるのか、これ」
 広場に出ていた屋台では、氷細工の幻獣たちがルーファスを出迎えてくれます。どうやら棒のついたアイスキャンディのようで、爽やかなラムネ色をしているのはペガサスでしょうか。
「で、こっちは、好きな味を組み合わせたりも出来る……と」
 一方で、ひんやりした容器の中にずらりと並ぶジェラートは、自家製のものをそれぞれ持ち寄ったのか、七色に輝いてルーファスを手招きしているよう。
 定番はフルーツか、いやいや甘いキャラメルにまろやかなクリームチーズも捨てがたい。トッピングのナッツも種類が豊富で、もう一気に全部乗せてしまったほうが良いだろうか――。
「……何だか、ヤケ気味にサービスしてくれたな」
 そうしてカップに盛られた三色ジェラートを、スプーンで分け合いつつナイトと進んで行けば、不意にルーファスのマントを引っ張る何かがいます。
「――お。お前、さっきの」
「ぴぎ……!」
 彼の足元に居た、ちんまい足の幻獣は――避難誘導を行う際に出くわしたヒポグリフでしょうか。
「何だ、遊びたいのか?」
 瞬きを数度繰り返してから、その頭をくしゃくしゃと撫でてやったルーファスですが、彼はその場から離れようとせず、甘えるようにひしっとしがみ付いてきます。
「――悪いな、」
 掌へすり寄る様子を見ているうち、知らず知らず喉奥から「くくく」と笑みが漏れますが、決して意地悪をしたいと思っている訳ではないのです。
 だって、ルーファスにはもう――、
「オレにはコイツが居るから」
 肩の上でどや顔を決めるナイトの口元に、アイスの残り滓がついているのを確かめて、再びこみ上げて来た笑いを抑えつつも。しょんぼりした幻獣も放置は出来ないと、ルーファスは更に言葉を続けます。
「此処に居てる間だけ、遊んでやるよ」
「ぴぎ!」
「オレじゃなくて、……ナイトが、な!」
 そうして――ぱっと顔を輝かせたヒポグリフの前へ、肩の上にいた黒竜を抱き上げ「ひょい」と放り投げれば、戸惑い慌てたナイトが、ぱちぱちと瞬きをして口元を拭ったのが分かりました。
「ははっ、おい! その顏!」
 ――直後、けらけらと響いていくルーファスの笑い声に、賑やかな幻獣たちの声が重なって。楽園の島は、平和な空気に包まれていました。

大成功 🔵​🔵​🔵​

華折・黒羽
のしり頭に感じる重さ
満足気でそれでいてご機嫌な鳴き声が間近な獣耳に届く

…何故、其処を気に入るんだ

座る己を覆うように伏せるグリフォン
その顎は上手に黒猫の頭に乗っていて
重い…

伸びた手はその立派な羽毛へ
労うように撫でてやる
お前が助けようとしていた仲間達は
無事平穏な雲海へと還っていったのだろうか
良く頑張ったな

島の果てを眺め暫くそのままで
そろそろ戻ろうかと思い立ち上がれば
服端引かれる感覚
名残惜しげに注がれる眸

お前は仲間を守りたいんだろう
なら、ここに居るべきだ

…わかった
ならこうしよう
此の紐を結んでおいで
お前が困った時、俺が困った時
此の紐が俺とお前を再び繋いでくれるから

結いだ紐は黄金の編紐
此度の絆を繋ぐもの



 ――かぁん、かあぁぁぁん。
 どうやら、広場の宴も終わる頃になったのでしょうか。ちょっぴり切ない鐘の音が、華折・黒羽(掬折・f10471)のいる森まで聞こえてきます。
 名残り惜しいけれど、そろそろこの世界ともお別れで。最後に幻獣たちの住処であるここで、もう一度緑の匂いや風の気配を感じておきたかった――のですが。
(のしり)
「……う」
 黒羽の頭に感じる重さが「かぁぁん」と言う鐘の音に合わせて増していくと、それと一緒に「くええー」と言うご機嫌な鳴き声が、彼の獣耳を震わせ森に木霊していきます。
「満足気だな」
「くええー!」
「……で、何故、其処を気に入るんだ」
「くえ! くえ!」
 ――大樹の根元に腰掛けた黒羽の頭の上、彼をすっぽり覆うように、グリフォンがのしかかっていました。
 その顎は上手に黒羽の頭に乗っかっていて、黒猫の耳もへたりと垂れているのですが――耳元でさっきから叫ばれているせいか、微かに耳鳴りがします。
「重い……」
 オブリビオンとの戦いの際、黒羽に力を貸してくれた子なのですが、どうやら妙な風に懐かれてしまったようで、先ほどからこんな感じで座っているのでした。
 ――何だか、こんな兜を被った戦士がどこかの世界にいそうだなあ、なんて思いつつも。やがて黒羽の手がグリフォンの元へ伸ばされると、今までの戦いを労うように、その立派な羽毛をもふもふと撫でてやるのです。
「……お前が助けようとしていた仲間達は、無事平穏な雲海へと還っていったのだろうか」
 ぽつり、ぽつり。緑に染み入る雫のように、黒羽の呟きが辺りに吸い込まれていくと、グリフォンも静かに聴き入っているような気配がします。
「良く頑張ったな」
「くえ」
 ――交わした言葉はそれだけで。あとはただ、ふたりで島の果てを眺めてそのままでいましたが、沈黙のなかで感じるぬくもりは、重いながらも嫌ではありませんでした。
「……さて、そろそろ戻ろうか」
 やがて黒羽がゆっくり立ち上がると、顎をどかしたグリフォンも起き上がったようで。それでも服の端を引かれる感覚に黒羽が振り向けば、名残り惜しげに注がれる彼の眸と目が合いました。
「お前は、仲間を守りたいんだろう」
「くえ!」
「なら、ここに居るべきだ」
「くええ!」
 仲間を守る――と言う黒羽の言葉に大きく頷いたグリフォンですが、どうもその仲間の中には黒羽も入っているようなのです。
 ――そう言えばこの子は、魔獣と化した仲間に向かってもずっと鳴き続けていた、頑固な性格の持ち主だったなと。そのことを思い出した黒羽は、何かを決意した様子で彼と向き合ったのでした。
「……わかった、ならこうしよう」
 懐から取り出したのは、黄金の編紐で。それをグリフォンの前脚にそっと結いでから、黒羽は目と目を合わせてまじないを囁きます。
「此の紐を結んでおいで。お前が困った時、俺が困った時……此の紐が、俺とお前を再び繋いでくれるから」
 そう。あたたかな糸が絡めて、綯いで、ふたりを結んでくれるから。
 たとえ進む道が違ったとしても、繋いだ糸は――此度の絆は、途切れはしないのだから。
「くえ!」
 誇らしげに黄金の編紐を空に翳すグリフォンの頭上、風に乗って舞っていたのは、お祭りの紙吹雪だったのでしょうか。

 ――黒羽にはそれが、優しい桜の花びらのように見えたのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年08月02日


挿絵イラスト