猟書家の侵略~紅怨暗涙之秋
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きのたけ藩の藩主、日下部少輔次郎野比就は、堅実的な政策できのこ国とたけのこ国の二国を治める名君で、二年前のエンパイアウォーでは、幕府軍の一員としてオブリビオンとの戦いにも参戦している。
そして、実は。
野比就の祖父である野比元(のびもと)は、戦国時代に秀吉の家臣だったことがあり、彼の血を継ぐ野比就も、祖父に豊臣家を守る為の剣術を教わった過去があった。
「じじうえ……懐かしゅう御座んスなぁ……」
今日は年忌法要にて、日下部家の親族と家臣、そして故人と縁の深かった者達を招いて法要を営んでいたのだが、野比就と住職が野比元を偲んでいた際、事件は起きた。
「御城主、その刀は……?」
「ふむ。これはじじうえが嘗て戦場で振るっていた刀で、豊臣家に仇成す者を次々に斬り捨てたという武勇伝をよく聞いたで御座んスよ」
強い望みを持った使い手に、強靭な力と命を与えた、と――。
祖父の姿を思い浮かべながら刀を手にした、その時、手の甲に雫のようなものが落ちたような、ヒヤリとした冷たさに触れた野比就が、急に立ち上がり、人語を手放した。
『……フェン……フェンフェン!』
「御城主!? いかがなされましたかな!?」
『フェンフェン、フェフェーン!!』
「!? 分からない……何が起こったのか分かりませぬぞ!!」
野比就の変貌を間近に見た住職が、驚きのあまり腰を抜かす。
奇声を聞いた家臣たちも慌てて立ち上がるが、野比就は目を丸々とさせて叫び、
『フェンフェン、フェンフェンフェーン!!』
豊臣の世を蘇らせるべし――と!!
然しその言葉は、御殿に居る者では解読する事が出来なかった。
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「きのたけ藩の城主が御乱心召された」
まるで憑き物に憑かれたようだと言を足すは、枢囹院・帷(麗し白薔薇・f00445)。
但し、悪さをしているのは狐でも蛇でも猫でもないとは、彼女に呼びかけに応じた猟兵こそ理解っていよう。
オブリビオンの仕業だと首肯を揃えた帷は、また一体、クルセイダーが画策する「江戸幕府の転覆」を実現すべく、猟書家の幹部が現れたと説明を始める。
「此度の敵は、淀の涙……豊臣家が滅ぶ際、秀吉の側室で秀頼の母なる『淀殿』が流した涙から生まれた涙剣のヤドリガミだ」
この者が何らかの方法できのたけ城に侵入し、野比就に接近した。
かの男には『淀の涙』に選ばれる素質があったのだとは、帷が詳述して、
「野比就は豊臣秀吉の依代となった刀に触れた事で、内に眠る『豊臣に仕える者の血』を呼び覚まされたんだ」
彼の祖父、日下部野比元は秀吉の家臣だった。
かの刀を振るって豊臣の栄華を助けた事もある。
その血を受け継ぐ野比就に目を付けた『淀の涙』が、豊臣秀吉を憑装する刀を持たせて何をさせようとしているか……何であれ、平和を乱す事は間違いなかろう。
ここに帷は猟兵に向き直り、
「直ぐに向かえば助けられる命にて、皆には彼を救助して欲しい」
秀吉の依代となる刀を破壊すれば、野比就は正気を取り戻す。
彼が「幕府の打倒を!」と言ってしまえば――いや、現状では「フェンフェン」としか言わない彼の思いは常人には伝わらないのだが――きのたけ藩はお家お取り潰しの危機も迫る案件にて、なるべく早く助けてやって欲しいと言う。
「野比就は秀吉が憑いている時はフェンフェンとしか喋る事は出来ないが、耳はちゃんと聞こえているので、嘗てエンパイアウォーに参戦していた彼に昔話などをして、説得しても良いだろう」
エンパイアウォーでの思い出や、戦後の様子を語る。
平和を愛する男にて、各地の穏やかな風景や暮らしぶりなどを話せば、剣を止めて耳を傾けてくれるに違いない。
「野比就を正気に戻したら、首魁の『淀の涙』が現れるから、涙を変幻自在に操って戦う幹部を倒し、きのたけ藩に平和を届けてやってくれ」
涙が武器の相手にて、涙を止める作戦も有効だろう。
この時には、正気を取り戻した野比就より協力を得る事も出来るので、何とか倒して欲しいと言を結んだ帷は、ぱちんと弾指してグリモアを喚ぶ。
「淀殿は豊臣の家政の実権を握った一廉の人物であったが、さて、彼女の涙はどうかな」
果して猟兵に敵うか。
云って、光が精鋭を包んだ。
夕狩こあら
オープニングをご覧下さりありがとうございます。
はじめまして、または、こんにちは。
夕狩(ユーカリ)こあらと申します。
こちらは、猟書家の幹部の一人『淀の涙』の侵攻を食い止める「豊臣の怨念は死なず」シナリオ(難易度:普通)です。
●戦場の情報
サムライエンパイアの九州地方のどこかにある「きのたけ藩」。
戦場はきのたけ城の本丸御殿で、二条城の二の丸御殿のような広さがあります。
●シナリオ情報(二章構成です)
第一章『梔子』(ボス戦)
終わらぬ戦いを望むモノ。
強い望みを持った使い手に、力と命を与える呪われた武器。
嘗ての主「日下部野比元」が望む限り、その身を何度でも再生させ、戦場へと駆り立てたと言われる刀で、現在は「豊臣秀吉」の霊を憑装しています。
この刀を手にした城主と真向勝負をしたり、エンパイアウォーでの思い出や戦後の平和を語る事で説得し、隙を作る事も出来ます。刀を奪って破壊すると、野比就は正気に戻ります。
第二章『淀の涙』(ボス戦)
「主のため、豊臣の世を蘇らせるのです」
豊臣家が滅ぶ際に淀殿が流した涙から生まれた涙剣のヤドリガミ。
淀殿の強い悲憤の情念が誕生時に転写され、徳川への報復を存在理由として活動します。憑装はしていません(猟書家の力が制限される模様)。
涙を武器にする相手につき、涙を封じる(笑わせる・感動させる等)作戦も有効です。
●プレイングボーナス『豊臣家臣と縁ある者を救出する/協力する』
このシナリオフレームには、特別な「プレイングボーナス」があります。
野比就は猟兵ほど強くはありませんが、人徳と権力があります。
●リプレイ描写について
フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や【グループ名】をお書き下さい。
また、このシナリオに導入の文章はございません。オープニング公開後、すぐにプレイングをお送りいただけます。
以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
第1章 ボス戦
『梔子』
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POW : その願いは何よりも強く
【持ち手を戦いへと駆り立てる魔性の刀】に変形し、自身の【移動能力】を代償に、自身の【持ち手の膂力と剣術の腕】を強化する。
SPD : その願いはどこまでも届く
自身に【持ち手を包む不可視の妖気】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : その願いは決して朽ちない
【渇望】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【黒く燃える火種】から、高命中力の【非常に高い再生効果を持った黒炎】を飛ばす。
イラスト:オペラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠オブシダン・ソード」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
弥久・銀花(サポート)
これはもう一番私の得意とする所です
基本的には愛刀の白嵐玉椿で接近戦を挑みます
相手が遠距離を得手としているのなら、石を投げたりして距離を詰めてユーベルコードの鋭刃線閃で斬り掛かります
特に強大な敵の場合はオルタナティブ・エネミーを使って戦います
これはどんな相手にでも勝てる様にと作ったユーベルコードですので大体の相手には優位に立てるでしょう
エッチな感じで拘束され責められてる場合は、一人で切り抜けられないと分かるまで頑張ってみて、駄目なら名誉はあんまりない撤退と使って、相手を私と同じ様に拘束(この時、拘束具などで顔や全身が隠れてたら味方にも判別し難くなります)して、味方の前に逃げますね
シャーロット・ゴッドチャイルド(サポート)
ダークセイヴァ―の貧しい農村に生まれた聖なる力を宿した女の子です。暗い過去を背負った子ですが、いつも周りに気を使っていて笑顔を絶やしません。
ホーリー・ボルト~光の精霊の力で、光属性の魔法の矢を放ちます。
エレメンタル・ファンタジア~炎の精霊を呼び出し、炎の竜巻を巻き起こす。予想以上の威力のため、制御するのがやっと。
絶望の福音~10秒後の未来を予測する。
生まれながらの光~左の手のひらにある聖痕から他者を癒す。
「私は笑うって決めたの・・・じゃなきゃ、前に進めないもん!」
エロやグロに巻き込まれなければ大体のことは大丈夫です。
早臣・煉夜(サポート)
どんな方だろうとも、容赦なんてしませんですよ
僕はそのために作られたんですからね
妖刀もしくはクランケヴァッフェを大鎌にかえて
それらを気分で使って攻撃です
妖剣解放を常時使用して突っ込みます
使えそうならアルジャーノンエフェクト
怪我なんて気にしません
この身は痛みには鈍いですから
死ななきゃいいんです
死んだらそれ以上倒せなくなるので困るです
僕は平気なのですが、なんだかはたから見たら危なっかしいみたいですので
もし、誰かが助けてくださるならお礼を言います
ありがとーございますです
勝利を優先しますが、悲しそうな敵は少し寂しいです
今度は、別の形で出会いたいですね
なお、公序良俗に反する行動はしません
アドリブ歓迎です
東天・三千六(サポート)
僕は瑞獣×悪霊×寵姫の男子です
いつも笑顔で人懐っこく友好的です
猟兵になったのは人の役にたちたいから…
でも他者を呪いたいって衝動が抑えきれないんです
とはいえ他の猟兵の迷惑になるのは嫌です
多少の怪我は厭わず行動して事態の解決に尽力しますね
UCは状況に適した物をどれでも使用します
武器は霊剣と縄
呪いの縄で縛る、誘惑で怯ませるなど
敵にデバフ与えるのだーいすきなので積極的に行動の邪魔しにいきます
斬撃波や呪殺弾での遠距離攻撃を好んでいます
強敵相手だった場合は無理せず味方の援護中心に動きます
公序良俗に反する行動はしませんっ
アドリブ連携歓迎です
よろしくお願いします
グリュック・ケー(サポート)
「なんかよく分かんないけど、よろしくなっ」
ノリのいい兄ちゃん。旅が好きでふらふら出歩いている割には呼べば現れる。ひとりも好きだが大勢も好き。楽しそうなことには顔を突っ込みたがる。汚れ役も引き受けられる基本的にいい人。
プリンと睡眠が大好きで常にプリンを持ち歩き、少しでも時間が空けば夢の中へ。寝起きはいいほうだが寝つきがかなり良い。
普段から顔を隠しているが、「見せて」と言われれば普通に見せる。
好戦的というわけではないが、必要であれば躊躇わない。
ユーベルコードも普通に使う。正面から戦うよりかは罠をかけるほうが好き。
きのたけ藩主、日下部少輔次郎野比就の變容に動揺が疾る本丸御殿。
然も今日は年忌法要にて、寺の住職や親族の他、既に隠居した家臣らも集まっており、非戰闘員たる彼等は、突如として突き抜けた奇声と、抜身の刀に戸惑うばかり。
先ずは彼等を警護すべきか――。
無辜の命を守るべく、幾人かの猟兵が支援に出た。
「藩主が手に持つ刀に『豊臣秀吉』が憑依していると……分かりました」
仔細承知したと凛然を萌すは、弥久・銀花(隻眼の人狼少女剣士・f00983)。
御殿の襖をスパーンッと開くや、一気に高座へと駆け走った佳人は、妖氣を帯びる刀が最も近い場所に居る住職を斬るより速く、冱刀『白嵐玉椿』を差し入れる。
「誰も斬らせはしません……!」
『フェンッ!?』
鈞ッと劍戟が響き、邪刃を止められた藩主が瞠目する。
少女の細腕に彈かれたのかと、丸眼鏡の奥で何度か瞬いた野比就は、「退け」とばかり刀を振り被るが、上段より閃いた妖刀は柔肌を掠めて逸れ、花車を一縷と動かせず。
而して銀花は雄渾と立ち塞がろう、
「この体は如何なる攻撃にも負けません。さあ、掛かって来なさい!」
眼前の鉄壁こそ【不死身の人狼】――超再生状態と化した銀花は、美し白皙に刻まれた朱い筋を瞬く間に癒し、無敵の盾アイギスの如く刃撃を撥ね退ける。
蓋し痛撃を得ぬ訳では無い。
(「……どれだけ痛くても、気合で、痩せ我慢!」)
佳人は柳眉を顰めつつ、我が背に護る人々が避難する迄の時間を稼ぐのだった。
「んむぅ……腰が抜けてしもうたわい……!」
藩主の變容を目の当たりにした住職は、吃驚仰天して動けない。
そこに現れたシャーロット・ゴッドチャイルド(絶望の福音・f23202)は、急ぎ彼の傍に駆け寄ると、左手の聖痕より【生まれながらの光】を溢れさせた。
「これで治るはず……どう? 立てるかな?」
聖性溢れる耀きと、少女の柔らかな微咲(えみ)が恐慌を宥めてくれよう。
交感神経の昂ぶりと筋肉の炎症を収めた住職は、忽ち矗然(すっく)と立ち上がった。
「おぉ、足腰が矍鑠と! なんという力じゃ!」
「ここから急いで避難してもらいたいのだけど……大丈夫?」
「うむ! これなら千里も駆けられるわい!」
其は嘗てオブリビオンにも狙われた、奇跡を齎す力。
この力の爲に故郷を滅ぼされた過去を持つシャーロットは、だからこそ無辜の命が巻き込まれてはいけないと、自身の疲労を惜しまず癒しに掛かる。
(「誰にも傷ついて欲しくないから……!」)
強い意志を秘めた緋の麗瞳は輝々煌々、足が竦んで逃げられぬ者を映しては駆け寄り、聖なる力を注いで避難を助けるのだった。
而して御殿に集まった人々が避難を始める中、尚も妖刀を振り回す藩主を掣肘するは、颯然の風と疾った早臣・煉夜(夜に飛ぶ鳥・f26032)。
月白の艶髪を躍らせて駆け寄った彼は、繊指に握れるクランケヴァッフェ『グレイ』を大鎌と變じると、間もなく振り下ろされる『梔子』に弧刃を嚙み合せる。
鏘々と劍戟が響く中、佳脣は冷艶たるテノールを紡いで、
「藩主だろうと城主だろうと、容赦なんてしませんですよ」
『ッッ、フェンフェン!』
「オブリビオンを倒す。僕はそのために作られたんですからね」
斯く云う間にも閃くは、【プログラムド・ジェノサイド】――身丈に迫る大鎌を輕々と振り回して連撃を叩き付けた煉夜は、野比就を高座に釘付けて離さない。
『フェンフェンッ! フェーン!!』
攻撃の途中にも刀の鋩が白皙を掠めるが構わず。
彼は創痍も損耗も気に留める事なく、我が役儀にだけ集中して、
「この身は痛みには鈍いですから、死ななきゃいいんです」
唯、死んだらそれ以上倒せなくなるので困るですが――と佳聲は小さく囁いたか。
搖れる前髪の奥、乙女色の麗瞳を烱々とさせた少年は、一縷と呼吸を亂す事なく大鎌を振い続けるのだった。
「慥かに、高座から出さない方が良いでしょうね」
全員の避難が完了するまでは、藩主らしく上座に居て頂こうと微咲(えみ)を湛えるは東天・三千六(春雷・f33681)。
目下、『梔子』に憑いた豊臣秀吉の魂も、其を望んでいようと皮肉を噛み殺した彼は、「他者を呪いたい」という衝動のぶつけ先を見出したか――透徹の翠瞳に妖刀を映す。
湖水の如く澄める双眸は、翠緑の光彩を皓々と輝かせるや閃爍を湛え、
「ちょっとだけびりびりしますよお」
『――ッッ、ッ!!』
而して閃くは【轟神来雷】(シンバツ)――ッ!
三千六が藩主の握れる刀に敵意を結んだ瞬間、内より迸る呪詛が秀吉の霊魂を拘束し、刀身より滲み出る黑炎を掻き消すと同時、霊力を帯びた稲妻に身を打たせた!
『フェン……ッ、フェン……ッッ!!』
「ええ、金属の躰なら尚更でしょう」
苦痛を與え、弱体化し、行動を阻害する事が大好きな三千六が莞爾と頬笑む。
元より呪われた妖刀、更に「隠し将」を宿す依代に容赦は無し、三千六はお役に立てるならともう一閃、藩主が握れる『梔子』を霹靂に楔打つのだった。
而して痺れた野比就の前に、更なる影が現れる。
音もなく近付いた黑影は、蓋し随分と気爽に話し掛けよう、
「……で、そのフェンフェン言うのが、隠し将『豊臣秀吉』の影響?」
飄然と、伸びやかに滑り出るテノール・バリトン。
聲の主はグリュック・ケー(なんか黒い・f32968)。
ふらり出歩いていた旅先から呼ばれたような、至極ナチュラルな雰囲気で現れた彼は、すっぽりと被ったフードの下から青藍の烱瞳を覗かせると、視線を結んだ先、『梔子』が纏う妖氣を見た。
前髪の奥、紫黑の妖氣を辿った瞳が光を湛えたのも一瞬のこと、
「自身は徳川に仕える身でありながら、祖父の代より受け継ぐ『豊臣家に仕える者の血』を呼び起こされたとは……難儀だな」
溜息交じりにそう囁(つつや)いたグリュックは、爪先を彈くなり一気に前進すると、ダガーを手に【シーブズ・ギャンビット】ッ!
諸刃の短刃を素早く突き付け、刀を振り被る直前の腕を切り付けた!
『フェンフェン!!』
「今の臣下や親族は徳川についてる。刃傷沙汰は御法度だ」
現在の絆を失うな、と――。
鋭利い痛撃が時間を止めるようだった。
成功
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宴・段三郎
ほほう 出来の良いやや子じゃのう…刃文から察するに古備前派の作刀かのう
それに梔子の号まで付いておる
まこと雅じゃのう
さて…迷いし妖刀を刀鍛冶が救わんとのう
【行動】
まずは太閣殿をのかせんとのう
妖刀には妖刀が一番効くでの
使用するわ三振り
号 『原刀狩令』
号 『戎』
先ずは一ノ太刀、原刀狩令。
刀狩りをした事のある太閣殿なら
この号の意味を知っておるはずじゃ
原刀狩令で梔子と刀身を合わせ、太閣殿の力を抑えようかのう。ついでに【早業】で梔子の柄巻き等の刀装を分解して刀身だけにして振りにくくしたいのう。
奴の攻撃には【見切り】で避けるのじゃ
次いでニノ太刀、戎で更に妖刀へ【生命力吸収】をしようかの
ついでに人命救出じゃ
老臣や親族らが急いで外へ避難する中、その騒然の向こうに響く鋭い劍戟を聽き拾った宴・段三郎(刀鍛冶・f02241)は、切り結んでは閃々と白虹を描き、迫り合っては鏘々と鍔を震(おのの)き鳴らす妖刀に、先ずは感嘆を零した。
「ほほう。出来の良いやや子じゃのう……刃文から察するに古備前派の作刀かのう」
耳を澄ませた後は、白銀の麗瞳に形姿を捉えて。
目下、藩主の手に在る『梔子』は、冷たい妖氣を澎湃と漲らせているが、段三郎は其の禍々しさの中にも在る冷艶を聢と瞶(みつ)める。
「――梔子の号まで付いておると。まこと雅じゃのう」
賞讃の科白は直截に、鴇色の脣を滑る佳脣は淡々と。
斯くして慥かな鑑識(めきき)を見せた少年は、烱眼を刀の鋩から鍔へと滑らせると、妖氣の影響で正気を失った野比就に視線を結び、ひとつ、呼吸を置いた。
「さて……迷いし妖刀を刀鍛冶が救うかのう」
刀工名は『地国』。
荒魂宿りし妖刀のみを打つ稀代の刀工は、これもまた己が役儀の一つと凛然を萌すと、柳腰に差したる二振りを抜いて構えた。
「内に御坐す太閣殿をのかせんとのう」
妖刀には妖刀が一番効くと、云うや拇指球を踏み込み、一気に高座へ駆け走る。
初撃を與るは、号 『原刀狩令』。
刃長77cmの打ち刀は、鞘より暴かれるや【妖剣解放】――溢れる怨念で段三郎を包み、一振りするや疾風の如き斬撃を『梔子』に叩き付けたッ!
「先ずは一ノ太刀、原刀狩令。刀狩りをした事のある太閣殿なら、この号の意味を知っておるはずじゃ」
『フェンフェン……ッッ!!』
其は刀身に触れた刀の「能力」と「刀身」を喰らい、無限に成長する妖刀にて、梔子は衝撃を往なす度に『豊臣秀吉』の霊力と、依代としての「器」を削られていく。
若き刀工の狙いは、柄巻き――刀装を分解して刀身だけにすれば振りにくくなろうと、狂邪を映す白銀の瞳は烱々煌々、玲瓏の彩を増していく。
「次いでニノ太刀、戎じゃ」
更に詰め寄るは、号 『戎』。
野比就の太刀筋を目尻に掠めつつ懐に入った段三郎は、多くの釣針返しが付いた刀身を差し入れ、踏み込んだ勢いの儘、梔子の邪刃と閃爍を散らした!
「その生命力、鹵掠(うば)わせて貰おうかの」
妖刀の怨嗟を吸い尽す“妖刀殺し”は、畢竟、野比就を救う。
刹那、段三郎はギャァンッと喊ぶような――悲鳴に似た劍戟を鼓膜に掠めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
荒谷・ひかる
日下部のお殿様は、どうしてこうも猟書家案件に巻き込まれるのかと思っていましたが……なるほど、元は豊臣の家臣のお家でしたか。
しかし時代は変わり、今は徳川の家臣です。
平和を乱す旧き悪縁は断ち切るに限りますね。
【精霊さんのくつろぎ空間】発動し場を整え
お茶を飲みながらゆっくりお話をします
わたしからは、城下の人々から聞いたお殿様の……ではなく、奥方様の評判を
奥方様にぞっこんなお殿様のことです、そんな話を聞いては惚気話をしたくて仕方なくなるでしょう
ふぇんふぇんでは何を仰ってるかわかりませんので、まずは刀を置いて頂けますか?
後の刀の始末は、精霊銃の火炎弾と冷凍弾の連続攻撃で刀身を劣化させて破壊します
これまで、きのたけ藩が危機に見舞われる度に救いの手を差し伸べてきた荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)は、此度、外様ならではの實情を知った気がした。
「日下部のお殿様は、どうしてこうも猟書家案件に巻き込まれるのかと思っていましたが……なるほど、元は豊臣の家臣のお家でしたか」
日下部氏が江戸より遠い九州の地に在るは、関ヶ原で西軍についたから――。
嘗ては豊臣から禄を得ていた家にて猟書家に狙われたのだと、野比就の手に在る妖刀を見詰めた佳人は、然しふるふると頭(かぶり)を振って云った。
「しかし時代は変わり、今は徳川の家臣です。これからもそうです」
藩主に翻意が無いとは、きのたけ藩と深く関わって来たからこそ断言できる。
そして此度も城下を回り見聞を広めてきた少女は、共に街中の空気を味わった精霊達と相談し、【精霊さんのくつろぎ空間】(エレメンタル・リラクゼーション)を発動!
「平和を乱す旧き悪縁は断ち切るに限ります」
と、凛々しく告ぐ佳聲を、草木の香り溢れる爽涼の風に運ばせた。
『フェンフェン……!?』
その匂いを嗅ぐだに緊張が解けていくのは、本丸御殿が森林浴効果に溢れる癒しの空間となったからで、城下の茶屋で買い求めた玉露(特産品)を淹れたひかるは、湯気を挟みゆっくりお話をすることにした。
ひかるは精霊たちと顔を見合わせるや、街で聞いてきた話を持ち出し、
「城下の人々は、困難にあっても藩を支える奥方様を尊敬されているようです」
『フェンフェン! フェンフェンフェン! フェンフェン、フェンフェン、フェンフェンフェンフェンフェン……フェンフェン、フェンフェンッッフェンフェン、フェーン!』
「えぇ、何を仰っているのかさっぱりわかりません」
『フェーン!』
奥方の話題に喰い付いた野比就が何かを力説するが、ひかるは靜かに首を振る。
奥方にぞっこんな彼の事だ、惚気話のひとつやふたつせねばとウズウズしていようが、そんな事はお見通しなひかるは、『梔子』に視線を結んで云った。
「まずは刀を置いて頂けますか? そしたらたっぷりお話が出来ますよ」
柔かい微咲(えみ)に絆されるが、刀を離してはならぬとは中の秀吉が訴えよう。
野比就が腰を据えてゆっくり話したいと屈めば、憑依した秀吉は「ならぬ」と立たせ、せめて茶を飲みたいと野比就が手を伸ばせば、またも秀吉が「いかん」と手を引っ込める――まるで毀れた絡繰り人形の、奇妙で奇天烈な動きだ。
『フェン……フェン……ッ……フェン……ッッ!』
野比就と秀吉が爭う間にも、ひかるはお茶を一口。
傍の精霊銃『Nine Number』には、炎の精霊が火炎彈として、氷の精霊が冷凍彈として待機しており、刀身を劣化・破壊する手筈は既に整っている。
「どうぞお殿様の惚気話を聽かせてください」
科白は變わらず穩やかに、朗らかに。
ひかるは一時的な行動の阻害を永続的に掛け続け、「中」を撹乱させるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
月舘・夜彦
【華禱】
ふぇんふぇん……
血によって呼び覚まされたものの言葉が話せなくなるとは
家臣達に避難するよう指示
その合間も敵から攻撃が来るようであれば武器受けにて攻撃を防ぐ
私達が来たのは野比就殿を助ける為、どうか信じて此処はお任せください
エンパイアでの大きな戦は嘗ての者達が起こしたとも言えるもの
如何に偉大な者であろうとも、今を生きる者の妨げてはならず
未だ傷跡が残る世界に再び戦乱を起こす訳にはいきません
私は、貴方に戦いの切っ掛けを作って欲しくはない
どうか私達の声を聞いてください、野比就殿
刃には破魔の力を加え、攻撃は幾重刃
刃を交えながら動きを読んでいき、攻撃を仕掛ける
衝撃波には同じく衝撃波にて相殺
篝・倫太郎
【華禱】
人語話せてたらオオゴトだぜ、これ
避難状況を確認後
家臣達にも避難を促す
あんたらも一時避難しといて?
大丈夫、ちゃんと連れ帰るから!
往こう、夜彦
さて、聞こえてるよな?
そいつはあんたの爺さんの矜持を
矜持を持って生きた爺さんを敬愛するあんたの情を
利用してる
初めてじゃねぇんだ……もう、判ってるだろ
利用してどうするつもりなのか
あんた、それでいいのか?
覇権争いはとうの昔に終わったんだぞ?
これからは争いもなく
穏やかに生きていけるはずの、藩の民を
あんたが苦しめていいのか?
いい訳ないよなぁ、日下部少輔次郎野比就!
攻撃力強化に篝火使用
破魔を乗せた華焔刀で太刀を狙って部位破壊
夜彦の一撃が通り易くなるよう立ち回り
『フェンフェーンッ!!』
仲間の猟兵に行動を阻害され、内なる混乱を示す日下部野比就。
今も妖刀『梔子』より流れ込む邪悪な霊と戰っていようと、急ぎ本丸御殿へ駆け走った月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は、姿を捉えて幾許……そっと長い睫を伏せた。
「ふぇんふぇん、と……」
「間違いない。あいつだ」
同じく豊臣秀吉の存在を気取るは、跫音を揃えた篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)。
約二年前のエンパイアウォーでは、『第六天魔軍将図』に名を連ねる事は無かったが、かの男(?)が関門海峡で弥助アレキサンダーと共に現れた記憶を洗った歴戰の勇士は、不覚えず、野比就に黑い毛玉のシルエットを重ねる。
不幸が重なる不憫を嘆くは、きのたけ藩に幾度と関わった二人ならでは、
「血によって呼び覚まされたものの言葉が話せなくなるとは……」
「人語話せてたらオオゴトだぜ、これ」
幕府に事が知れたら、日下部氏は断絶を命じられ、所領の没収は必至。
またもお家お取り潰しの危機に見舞われたかと眉根を寄せた夜彦と倫太郎は、その原因が外様の、関ヶ原で西軍についた事に所以すると知り、小さく溜息を揃えた。
「此度も藩主に翻意は無し、潔白を示しましょう」
「ああ、二年前の参戰を無駄にはさせない」
バレる前に、揉み消す――!
決意を同じくして進み出た二人は、御殿の奥から轉げるように逃げて来る家臣や親族に話し掛け、無辜の命が巻き込まれぬよう避難を促していった。
藩の者達に顔が知れた彼等が云えば、誘導の聲も届きやすく、
「おおっ、月舘さまに篝さま! 貴人方が来て下さったなら心強い!」
「この場は與る。だから、あんたらも一時避難しといて?」
「皆様方は、劍戟に怯える奥方や女房らをお守り下さい」
藩主に代わって藩を護るが役儀と云えば、彼等も合點(こっくり)と頷く。
中には不安を隠せぬ者も居るが、その者も二人の言なら信じられようか、
「御城主は……野比就さまはどうなってしまうのでしょうか……」
「大丈夫、ちゃんと連れ帰るから!」
「私達が来たのは野比就殿を助ける為、どうか信じて此処はお任せください」
野比就の變容に動揺していた家臣も、涙を拭って動き出せば、大勢が集まっていた御殿もすっかり広くなり、格好の戰場が差し出された。
蓋し「中」の豊臣秀吉は面白くあるまい。
『フェンフェン……フェーンッ!』
渇望の刃が妖し白虹を描いて迫れば、僅かな氣の流れに反應した二人が、爪先を揃え、
「往こう、夜彦」
「ええ、共に」
云って須臾、鏗鏘たる音と閃爍の光を散らす。
熾烈な刃撃の嚙み合いに益々邪氣を迸った『梔子』は、野比就を血闘に駆り立てるが、その荒ぶる劍筋を躱した夜彦は、藩主の丸眼鏡の奥に耀く翠瞳に光を訴えた。
「二年前の大戰は、嘗ての者達が起したとも言えるもの。如何に偉大な者であろうとも、今を生きる者の妨げてはならず、未だ傷跡が残るエンパイアに、再び戰乱を起こす訳にはいきません」
『……フェンフェン……ッ!』
想いを乗せた斬撃が、斯くも鋭く重いとは秀吉も感じ得よう。
其は【幾重刃】――決して一方的ではない刃撃は、祖父より劍術を習ったという野比就の太刀筋を、体捌きを、攻撃の癖を佳く見極め、答えを置くかのように振るわれる刃は、閃く毎に精度と威力を増していく。
聞えている、届いているとは倫太郎が示して、
「あんたが握る刀は……そいつは、あんたの爺さんの矜持を、矜持を持って生きた爺さんを敬愛するあんたの情を利用してる」
『フェンフェンフェーン! フェーンッ!』
「初めてじゃねぇんだ……もう、判ってるだろ。利用してどうするつもりなのか」
語り掛ける一語一音に連れ立つ神氣こそ【篝火】――篝の焔、西賀の水、斎雁の風と、災禍狩りを使命とする一族の神力で自身を強化した倫太郎は、華焔刀 [ 凪 ]を一薙ぎ、滾々と励起する破魔の力を邪刃に叩き付けたッ!
「あんた、それでいいのか? 覇権爭いはとうの昔に終わったんだぞ?」
『ッッ、フェンフェンッ!』
野比就が腕の痺れを感じた時が狙い目。
我が「刃」が通り易くなるよう道を切り開いた倫太郎は、きのたけ藩の未来を信じる、眩き一条の光を眼路に掠める。
「……私は、貴方に血腥い戰いの切っ掛けを作って欲しくはない……。どうか私達の声を聞いてください、野比就殿」
「これからは血を流す爭いもなく、穏やかに生きていける筈の藩を、その民を、あんたが苦しめていいのか? ――いい訳ないよなぁ、日下部少輔次郎野比就!」
反撃の太刀筋すら見切った二刃が交点をひとつに結ぶ。
而して十字に結ばれた冱撃が、防禦に差し出た『梔子』を押し込む。
『ぁぁ嗚呼ァァッ!!』
時にして須臾。
胴ッと倒れた野比就は、人間らしい悲鳴を喊んでいた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
千思・万考
人語を失っている事が悲惨さに輪を掛けている…
猟書家の思い通りにはさせないから、僕たちに任せて欲しい
目的は野比就さんによる臣下殺しの阻止と
刀の奪取&破壊。奪えそうなら即行動だね
ここで使えそうなのは…足下にあるじゃないか
芭蕉扇で局所的に風を起こし、手近な畳をひっくり返してUC乱戦遊戯
叩きつけての移動阻止や防御に利用
畳返し最中でも、彼を見失わないよう留意して行動したい
野比就さん、どうして戦争に参加したのかを思い出して欲しい
何を果たしたかったのか、勝利する事で何を得られたのかを。
…平穏とか平和って良いよね
ここに向かう道中の人達は笑顔が多かった
だから、この領地を治めている野比就さんの事…心から尊敬するよ
藩主の變容に吃驚仰天した家臣や親族らが、這々の体で御殿から避難してくる。
彼等と擦れ違う形で敷居を跨いだ千思・万考(千紫万紅・f33981)は、その中に羽袖を濡して來る者を捉えると、烱瞳を真直ぐ、高座に据わる藩主を見詰めた。
『フェン……ッッ……フェンフェーン!』
「人語を失っている事が悲惨さに輪を掛けている……」
臣下らの涙を慰める男では無いが、佳脣は凛乎たるテノール・バリトンを滑らせよう。
「猟書家の思い通りにはさせないから、僕たちに任せて欲しい」
「お頼みします。どうか、どうか御城主を……!」
「大丈夫、傷付けはしないよ」
藩主による臣下殺しを阻止し、豊臣秀吉を宿す刀を奪取して破壊する――。
器となった野比就を殺さずに済む方法がある筈だと、広い視野で周囲を見渡した彼は、御殿に入りし時より鼻腔を掠めていた燈芯草(イグサ)の匂いの元を辿った。
「ここで使えそうなのは……足下にあるじゃないか」
九州は八代より取り寄せたる京間の畳が44枚。
己に掛かればこれら全てが壁となり盾となると『芭蕉扇』を翻した万考は、颯然の風を巧みに操って畳を捲り上げ、【乱戦遊戯】――忽ち變幻自在の攻防を成す!
「畳返しってね」
『!? フェンフェンッ!?』
刃鳴一閃して飛び掛かる衝撃波を数枚の畳に受け止め、野比就が刀を振り切った瞬間、別なる畳を叩き付けて次撃を禦ぐ。
その間にも湖水の如き翠瞳は烱々と、藩主の影を見失わぬよう角度や高度を變えつつ、細心の注意を払って距離を詰めていった。
遮蔽物に視線が妨げられる事はあっても、音ならば空気を伝って届けられよう。
万考は畳の間から狂亂にある藩主に語り掛け、
「野比就さん、どうして二年前の戰爭に参加したのかを思い出して欲しい。何を果たしたかったのか、勝利する事で何を得られたのかを」
『フェン……ッッ……』
慈雨の如く沁みる聲に、科白に、手が止まる。
島原で「首塚の一族」を護る爲に奮戰した記憶を辿った野比就は、更に耳を澄まして、
「……平穩とか平和って良いよね。きのたけ城に向かう道中の人達にも笑顔が多かった。だから、この領地を治めている野比就さんの事……心から尊敬するよ」
『……っっ、うう……!!』
天下泰平を敷く徳川への帰順の心が、豊臣に從う血に抗っていく――。
刹那、万考は畳と畳の間から、妖刀『梔子』の鋩が下がるのを聢と見るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
丑三・勘太郎
エンパイアウォーで味方になってくれた城主が、
敵方に回っちまうとはな
正気じゃねぇなら仕方ねぇ。
後腐れ無くぶちのめしてやるぜ”!
野比元のいる場所に着いたら、出来る限りの説得はしてみるか
「エンパイアウォーで勇敢に戦った奴が、刀ごときに振り回されるんじゃねぇ」ってな。
説得が効かなかったら【鬼神速】を使用し、自分の身体能力を上げる。
味方は殴らねぇ、寿命が減るなんざたいしたことでは無いからな!
斬劇による衝撃波は《気合い》で避けて、野比元に近づく。
攻撃出来る位置まで来れたら、殴れるだけぶん殴る!
「丑三流奥義! 『鬼乱打』!! こいつを喰らって立ってたら褒めてやるぜ!」
凡そ生命に流れ巡る血の神秘は、刻印『C.C.proto』によりグールドライバーの力を得た丑三・勘太郎(妖憑依を継ぐもの・f10108)なら佳く理解ろう。
「エンパイアウォーで味方になってくれた城主が、敵方に回っちまうとはな……」
翻意の無い城主に刀を抜かせたのは、豊臣の家臣だった者の血。
二年程前の大戰では、きのたけ藩は島原に集められた「首塚の一族」の警護に当たったと家臣らより聽いたが、今、徳川に叛いては、嘗ての奮戰が水の泡となって仕舞う。
「……猟書家もイヤなところ衝いて來るぜ」
一人でも家臣を斬れば、御上に咎められる。
妖刀『梔子』に誰も斬らせてはならぬと、続々と避難する人々に道を譲った勘太郎は、敷居を跨ぐや広間を駆け走り、高座に居る野比就を雷喝した。
「エンパイアウォーで勇敢に戦った奴が、刀ごときに振り回されてんじゃねぇ!」
『フェンフェンフェン!』
「その刀に憑いてるのは、あの黑い毛玉みたいな豊臣秀吉の霊だ!」
『フェーンッ!』
人語は手放したが、言葉は慥かに届いている。
目下、『梔子』は彼の説得を拒絶むように不可視の妖氣を迸發(ほとばし)らせると、刃鳴一閃して衝撃波を放ち、聲も科白も掻き消さんと畳を駆け疾る。
眼路いっぱいに其を捉えた勘太郎は、丑三流の継承者たる證左(あかし)『逢魔の紋』を赫々熾々と輝かせると、直ぐさま怪腕を振り払い、我が身に嚙み付く衝撃を散したッ!
逆巻く余波に銀髪が波立つ中、彼は風の層に身を滑らせるよう疾駆し、
「正気じゃねぇなら仕方ねぇ。後腐れ無くぶちのめしてやるぜ!」
『フェンフェン、フェンッッ!』
返す刀に放たれる斬撃波を躱しつつ、ジグザグに走る、疾る、馳る!
時に弧月と撓る衝撃が接近を抗拒するが、勘太郎は氣合充分、研ぎ澄まされた勘と感で致命傷を裂けつつ、44畳の大広間を一気に駆け抜けた。
赫緋の烱眼、その怜悧に耀く虹彩に邪を捉えたなら、悪鬼を宿した拳は眩く閃こう。
「丑三流奥義! 『鬼乱打』!! こいつを喰らって立ってたら褒めてやるぜ!」
『フェン――ッッ!』
防禦に迫り出る妖刀『梔子』を殴る、殴る、殴る殴る、殴る殴る殴る殴る殴るッ!!
寿命が減るなんざ大した事では無いと、我が拳を全て妖刀へ叩き付けたなら、その一つ一つに閃爍を合わせていた『梔子』も遂に押されて軌跡を逸らし、噴煙を吹き払うように妖氣を霧散させた!
『ずァアアア嗚呼ッッ!!』
而して刻下。
勘太郎の耳に人間の悲鳴が届いた。
大成功
🔵🔵🔵
クロム・エルフェルト
アドリブ◎
刀に憑いた天下人は、お前だけではないのだけど
「憑紅摸」も、何だか不機嫌みたい
……?
茶々を、頼む?
――御意に。
豊臣家臣の縁者を護る様、凶刃を弾いて割って入る
私は生憎口下手だけど
海峡の社に縁結びを願う人々の、戀を謳歌する賑わい
妖の力と共に平和の祈りを鋳込める、刀匠の里の人々
刀交え刃筋逸らし乍、必死に語りかける
剣撃弛めば、更に隙を作る事を狙いたい
『儂(オレ)の夢見た天下泰平を崩さんとする不遜、手討は当然至極よのう……"禿鼠"』
秀吉に向け、"御屋形様"より預かった言伝を放つと同時に
UCを発動し、視線惑わす▲騙し討ちの足裁きで死角に潜り込み
梔子の刀身を▲切断する勢いで至近距離の抜刀術を繰出そう
家臣や親族らが急ぎ避難するのと入れ違いに御殿の敷居を跨いだクロム・エルフェルト(縮地灼閃の剣狐・f09031)は、柳腰に提げたる刻祇刀『憑紅摸』の何處か不機嫌な樣子に、つと青藍の麗瞳を落す。
劫火を秘める神祇の刀は、高座より迸る妖氣に何を云ったろう。
その細かな搖らぎを受け取った彼女は、繊細き金絲雀の聲を持ち上げた。
「……? 茶々を、頼む?」
刀の言を代わりつつ睫を上に、冷たい妖氣を迸る『梔子』に視線を結ぶ。
太閤を憑依したという妖刀を前に凛然を萌した佳人は、交睫ひとつを首肯に代え、
「――御意に」
云うや、間もなく振り落とされる凶刃の射線に割り入った。
『フェンフェンッ!?』
「先ずは、豊臣家臣の縁者を護る」
鈞ッという鏗鏘の響きに刃を彈いたのは鞘。
拇指球を踏み込むや一足で高座に飛び込んだクロムは、妖し白虹を描いて迫る太刀筋を逸らし、鞘の蔭より鴇色の佳脣を暴いて藩主に語り掛ける。
「私は生憎口下手だけど、私に関わってくれた人達が言葉をくれる」
『フェン……ッ!』
海峡の社に縁結びを願う人々の、戀を謳歌する賑わい。
妖の力と共に平和の祈りを鋳込める、刀匠の里の人々。
透徹の藍瞳に焼き付いた美景は、人々は、故郷を同じくする己に頗る雄渾を呉れたと、刀の閃きに鞘を噛ませて刃筋を往なしつつ、クロムは必至に言の葉を紡いだ。
『フェンフェン、フェンフェン……ッ』
平穩な人の営みを愛する野比就も心が傾いたか。
振るう刀に迷いを見出したクロムは、ここに“御屋形様”より預かった言伝を放ち、
『儂(オレ)の夢見た天下泰平を崩さんとする不遜、手討は当然至極よのう……“禿鼠”』
『フェン――ッッ!!』
淀の方を「茶々」と呼び、太閤を「禿鼠」と呼ぶは。
刀に憑いた天下人はお前だけではないと鞘を抜いた佳人は、【仙狐式抜刀術・椿】――玻璃鏡(かがみ)と澄める境地より、秋水を遡上る魚鱗の如き閃爍一条を放ッた!
『ッッ、フェンフェーン!』
心を亂し、視線を游がせた隙に滑り込むヒヤリとした風に戰慄いたのも一瞬のこと。
懐に潜ったクロムは『梔子』の刃を眼路いっぱいに映しながら、その妖し刀身を別たん勢いで刃撃を叩き付け、ギャァンッという悲鳴にも似た音を喊ばせる。
『ぁぁあ嗚呼嗚呼ッッ!!』
斯くして冱撃を受け取った野比就は、胴ッと倒れながら『梔子』を手放すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『淀の涙』
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POW : 涙華・はなもまた君のために
自身の装備武器を無数の【流した涙を結晶化させて形成された桜】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 涙剣・君かみゆきのけふをはしめに
いま戦っている対象に有効な【流した涙を結晶化させ作り上げた激情兵装】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 涙雨・とてもないて眺めにあかし深雪山
【結晶化し鋭い針の如く降り注ぐ涙の雨】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
イラスト:猫月みらい
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠東雲・深耶」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵の冱撃に押し込まれた藩主が体勢を崩し、背の屏風を押し倒す。
次いで妖刀『梔子』がギャァンッと悲鳴を喊び、畳に突き刺さる。
「ずぁぁあ嗚呼嗚呼ッッ!!」
丸眼鏡の奥、翠緑の瞳に光を取り戻した日下部野比就が辺りを見渡せば、広間には幾人かの猟兵と、儚き乙女色をした櫻の花片がチラチラと舞い込んでくる。
脣を滑る科白に最早『豊臣秀吉』の影は無かろう。
「!? この季節は櫻木にも青葉が繁る筈に御座んスが……」
季節外れの櫻に野比就が首を傾げ、一同が視線を集めた時だった。
冷ややかな風に運ばれた櫻吹雪は漸う輪郭を成し、艶帯びた射干玉の黑髪を躍らせる、美しき女劔士の姿を暴き出す。
『――豊臣の臣が、また奪われて終いました』
鈴を振るような聲を囀るは、猟書家『淀の涙』。
淀殿が流した涙から生まれたヤドリガミである彼女は、涙を結晶化させた細劍を携え、野比就と猟兵の集まる高座へと近付いてくる。
まだ諦めていないとは、続く言が示そう。
『これで終った訳ではありませぬ。豊臣の世は必ず訪れます』
狙いは、野比就の抹殺か――。
嘗て豊臣に仕えた者の「血」で洗脳が叶わぬなら、骸の海を潜らせて從わせようかと、鋭利い劍鋩を向けたなら、純然たる殺意を受け取った野比就もまた義気凛然と、秀吉の霊と妖氣を霧散させた『梔子』を握り直して構えた。
「猟兵殿、助太刀をお頼みするで御座んス……!」
祖父の刀と、彼に仕込まれた劍術があれば身は護れる。
然し身を護るだけで無し、この者を「倒す」には、猟兵の力が必要だと助力を請えば、彼等も過酷な連戰を甘んじよう。
野比就の意志を汲んだ精鋭らが、瞬刻、爪先を彈いた。
神威・くるる(サポート)
普段の口調は京都弁(not関西弁)
コロコロ笑い、ポックリをカラコロ鳴らして歩く
自分の見た目の良さを自覚しており、あえて蠱惑的かつ色っぽい仕草や口調で相手を翻弄する
(内心は初心)
ただし低身長はコンプレックス
性格は猫(気まぐれ、マイペース、イタズラ好き、神出鬼没)
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、基本的に猟兵仲間のサポートや裏方的に動きます
言動で敵を煽って攪乱したり、小柄さを活かして情報収集したりすることが得意
肉弾戦は苦手
例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません
他お任せ、アドリブ歓迎
よろしくお願いします!
マティアス・エルンスト(サポート)
アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱改変・その他OK
「……俺が前に出る。お前は俺を盾にしろ。」
一人称:俺
口調:寡黙で無機質。表情も一見無愛想で感情が読み取りづらいが仲間想い。
性格:知らない物事へ対する好奇心と知識欲が旺盛。自身を精密な電子機器と思っている様子。
戦法:高いPOWを活かし、エネルギー充填したアームドフォートによる威圧感たっぷりの威嚇射撃や一斉発射等、「攻撃は最大の防御」を体現した戦法を好む。
仮に間合いに踏み込まれても剣や槍で受け流し、鎧砕きも狙いながらのカウンター攻撃。
指定したUCを何でも使用。
戦況により「適切・最善」と判断すれば精霊クレイモアNOIRの指示にも即応する。
他はお任せ。
月山・カムイ(サポート)
すいません、少々遅れましたが援護に参りました
既に戦いに入っている猟兵達の援護に入る形で参戦
集団戦なら攻撃のきっかけになるように、縦横無尽に切り結び
ボス戦なら他の猟兵がトドメを刺す為のサポートを行う
武器を切り裂く、受け止めたり逃がすべき相手を空を跳んで抱えて逃したり
上記の様な行動で現在戦っている猟兵が活躍出来るよう動かしていただければありがたいです
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
リズ・ルシーズ(サポート)
生体ベースのサイボーグ、何らかの理由で生命維持モード(Re-A=リア)として活動中、普段の活発さはなくミステリアスな雰囲気。生命維持を最優先、リスクを避けるとともに敵対する存在に対して容赦はしない。白い外部装甲
『私はリア、この身体に敵対するものに容赦はしません』
『『解析・検証・再定義』データの取得に使わせていただきます』
『私はリズ程は甘くはありませんよ?』
21歳 女
口調:おしとやか(私、貴方(貴女)、~さん、ですね、です、ですか、でしょうか?)
武器:電磁ランスと疑似刻印による光属性攻撃のレーザー
補助装備:ナノワイヤー(トラップ・移動用)、重力制御装置
探索時:R-Seriesでの人海戦術など
リステル・クローズエデン(サポート)
基本
援護主体
潜
迷彩+目立たない+闇に紛れる
避
視力+第六感+見切り
ダッシュ、ジャンプ、空中浮遊など
防
オーラ防御、各種耐性
武器受け
攻撃共通
視力、学習力で見切り。
鎧砕き、目潰し、
武器落とし、部位破壊で
行動阻害や戦力低下を目的とする。
POW攻
呪剣・黒と
ユーベルコードを用いた接近戦。
SPD攻
クナイの投擲による援護射撃。
乱れ撃ちからのスナイパー。
ユーベルコードも有効なら使用。
WIZ攻
ユーベルコードに
破魔、呪詛、恐怖を与える等を組み合わせる。
(コメディタッチシナリオでも、空気を読まず
基本的にはまともに行動します
ただ、ちょっとズレタことになるかも。)
口調 (僕、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)
此度の猟書家は、豊臣秀吉の側室である淀殿の「涙」。
大坂夏の陣で豊臣氏が滅ぶ際、淀殿が流した涙から生まれたヤドリガミである彼女は、主たる淀殿の強い悲憤を受け継ぎ、江戸幕府への報復を画策している。
「涙もヤドリガミにならはるんやねぇ」
玉を轉がすような佳聲に感嘆をひとつ。
紫苑の麗瞳をぱちくりと瞬きつつ、黑髪の女劔士『淀の涙』を見つめた神威・くるる(神の威を狩る黒猫・f01129)は、今もはらはらと涙を流し続ける彼女に問い掛けた。
「豊臣の断絶が哀しゅうて、徳川が憎うて、クルセイダーに味方しはったん?」
『ええ、かの御方ならば簒奪者の滅討が叶います』
慥かに淀の方ならば、秀吉の孫たる男に希望を持つのは当然の話。
彼女の情念を転写された「涙」がクルセイダーに与するのも無理はないと納得するが、然し、漸っと平穩を得た侍の國を再び騒亂に掻き立てるならば……止めねばならぬ。
「涙に暮れながら亂を求めるのはあきまへんえ。うちがその涙、止めまひょ」
云って、御殿の広間に喚び召すは【黒猫無間地獄】(コチョコチョコチョコチョ)!
くるるは拷問具『猫じゃらし』を合計94本顕現させると、その全てをバラバラに操り、淀の涙めがけてコチョコチョと動かし始めた!
「くすぐりはどんな屈強な戰士でも発狂し、落命するほど苛烈な拷問どす」
『――ッッ!?』
「さぁ、笑いまひょか!」
美し妖し黒猫が、蠱惑的に扇情的に微笑する。
『っ、こんなもの……!!』
角度や速度に變化をつけて迫る『猫じゃらし』に、強い抗拒の表情を見せる女劍士。
佳人が涕涙を結晶化させて激情兵装を召喚すれば、須臾に撃ち出される無数の彈丸に、漆黑の影が颯然と踏み出た。
「……俺が前に出る。お前は俺を盾にしろ」
佳脣を滑る冷艶のバリトン。
聲の主はマティアス・エルンスト(人間見習い・f04055)。
彼は被彈を覚悟で進み出るや、アメシストの麗瞳を烱々煌々、その虹彩に『猫じゃらし』を次々と撃ち抜くものの正体を――涙の結晶彈を捉えた。
「多銃身式速射砲……ガトリングガンか」
彈体を見極めると同時、結晶彈を超高速で射出する兵装を識別する。
好奇心と知識欲が旺盛なマティアスは、それ故に緻密な観察と洞察に優れ、今の攻撃を一瞬で解析すると、一縷と餘さず記憶データに一時保存した。
「対象のユーベルコードの解析完了。同等のユーベルコードにて反撃を開始する」
コマンド實行、【Code : Reflection】――。
云うや、彼の手にも同じ兵装が握られ、凡そ感情の色無き白皙が閃光に白む。
寡黙な彼とは対照的に、彈彈彈彈彈彈ッと轟音を喊んだガトリング砲は、涙の結晶彈に射線を結んで相殺し、激しい衝撃と烈風を逆巻いた。
『ッッ、これでも届かないと……!?』
同等の攻撃に相殺されては、藩主・日下部野比就は殺められぬ。
ならばと殺氣を研ぎ澄ませた涙劍のヤドリガミは、万斛の涕涙に大広間を湿らせると、【涙雨】――涙を結晶化し、鋭き針の如く降り注いだ。
「すいません、少々遅れましたが援護に参りました」
一陣の風の如く颯然と、月山・カムイ(絶影・f01363)が現れたのはこの時。
血のように赤く染まった髪の一房を搖らしてグリモアを解いた彼は、前髪の奥に耀ける黑瞳に惨憺の景を映すと、一気に凛然を萌し、強く畳を蹴った。
「とてもないて 眺めにあかし深雪山 帰るさ惜しき 花の面影――と」
つと、淀の方が醍醐の花見の際に詠んだ和歌を囁(つつや)く。
かの時には豊臣の栄華の翳る事を疑わなかったろうにと、泣き濡れる女劔士に淀殿の影を重ねたカムイは、疾駆する身に風を集めて疾く、迅く、軈て嵐の如くとなると、漆黑のジャケットを翻して【無響剣舞・絶影】(アウトレイジ・ソードダンス)ッ!
「音も無く――――その身に刻め」
と、秒間数千万にも及ぶ斬撃を放ッた!
『ッ、これは……!』
目下、清廉なる破魔の小太刀『絶影』が二尺の刃を暴き、無数の白虹を疾らせる。
その美しき幾条は、針の如き涙雨が野比就や仲間の猟兵に突き刺さるより迅く寸断し、粉々に砕かれた結晶はキラキラと光を躍らせ、畳も濡らさず霞と散るのみ。
我が身に迫る一条を辛うじて涙劔の鋩に往なした『淀の涙』は、然し諦めず。
野比就が握る『梔子』を見て涕涙一筋、己が憑装させた太閤の霊が消えうせた事に悲嘆を募らせると、今度は涙劔を櫻の花片と變じて、御殿いっぱいに広げた。
『はなもまた君のために。全ては君の爲に――!』
「はなもまた君のためにとさきいでて……――君とは豊臣秀吉の事かな?」
擬似声帯より金絲雀の聲を紡ぐはリズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)。
飽くまで豊臣家の復興を、秀吉の孫たるクルセイダーの倒幕を助ける姿勢を崩さぬ涙に淀の方の影を重ねたリズは、然し其は叶える事は出来ないと、交睫ひとつに訣別を示す。
佳人は瀲灔と舞う櫻片を広い視野に捉えるや、須臾に【Arachnophobia】を起動し、
「――全部捕らえるよ、アラクネ!」
大蜘蛛型自立型多脚機動砲台を召喚。
ケーブルにて頸部より神経接続開始。
左右砲台の彈を粘着性糸に換装完了。
「目標は、櫻の花瓣の一片一片!」
凛然と発声すると同時、精確精緻な射撃で櫻の花弁を捕捉する。
強粘性の糸が小さな櫻の結晶を絡め取れば、空間中を自在に吹き荒れる筈だった花嵐は範囲を狭め、攻撃力を減衰し、猟兵の脅威とは成り得まい。
花弁の乱舞を掣肘された女劔士は、吃ッとリズを睨めつつ後退し、
『ッッ……蜘蛛の糸を逃れるには術を解くしか……!!』
而してリズは「皆、今だよ!」と云ったろうか。
透徹の青瞳が一際の光を湛えた刹那、新たなる影が疾走した。
阿吽の呼吸で疾る影は、リステル・クローズエデン(なんか青いの・f06520)。
隠密行動用スーツ『シャドウダイバー』によって周囲の景色に溶け込んでいた佳人は、襖に描かれる文様をゆうらと浮き立たせながら『淀の涙』へ接近し、白磁の繊指に握れる『砕刃忍具・牙苦無』を投擲ッ! オーラを籠めた鋭刃を差し入れる!
佳脣を滑るコントラルトは怜悧に犀利に囁(つつや)こう。
冷ややかな音吐は邪の鼓膜にヒヤリと迫って――、
「この刃は牙。貫き、穿ち、そして引き裂く」
『ッ、ッッ!』
其は櫻片が再び涙劍となった隙を衝く冱撃【炸裂穿牙】。
11,664m圏内に在る全てを捕えられる赫緋の麗瞳は、牙苦無が結晶化した涙に聢と突き刺さるのを認めると、彼女の喫驚の表情を見つめる。
『!? ッ、抜けない……!!』
「――爆ぜよ」
科白が紡がれた刹那、呪いのオーラが刃を伝って爆熱を發する。
刀鋩を突き立てた部位を中心に熾烈な衝撃を散した其は、透明な涙劍を粉々に砕くと、この瞬間の女劔士を全き無手にさせた。
『豈夫(まさか)……私の涙劔が……!!』
時にして須臾。
其は刹那にも彈指にも満たぬ時間であったが、再び涙を結晶化させる迄の時間の猶予が出来た瞬間であり、仲間の猟兵と藩主が劍戟を差し入れられる希望の瞬間もであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
月舘・夜彦
【華禱】
承知
向けられた言葉に一つ返せば、刀を構え直す
刀には刀を、此方も同じく接近戦にて挑みます
駆け出して接近、早業の2回攻撃による先制攻撃
視力と見切りにて敵の立ち回りを覚え、情報収集
敵からの攻撃は武器受けにて防御、凌いだ後に反撃
武器の変化に警戒、花びらに変わった所で抜刀術『八重辻』
なぎ払いも加えて広範囲を攻撃し、その場で凌ぐ
負傷は激痛耐性と継戦能力にて戦いを継続
同族であれ、如何なる想いであれ
争いを齎す者には容赦はしません
貴女が豊臣の世を取り戻そうとするように
私も今の世を失う訳にはいかないのです
そして先程の御仁が願うのは平和な世
ならば……どちらの想いが強く、それに合う力を持っているかの違い
篝・倫太郎
【華禱】
野比さんの言葉にはひらり手を振って夜彦と二人笑う
あんたの気持ちを無碍にするほど野暮でもねぇさ
絶対に道は切り開く
防御力強化に篝火使用
詠唱と同時に斬撃波と吹き飛ばしを乗せた華焔刀で先制攻撃のなぎ払い
以降は互いの立ち位置を常時把握しつつ立ち回り
櫻の時期は終わってるぜ?
それともあれか?あんたの行く末を自分で示してるのか?
身の程を知ってるのは悪かない
とうの昔に、豊臣の世は終わってンだからな
そう挑発して陽動
花びらの攻撃は初撃同様に吹き飛ばしで遠ざけ
風の神力も使って、二人には絶対に『届かせない』
特に野比さんへの攻撃は必要であれば庇い、確実に道を作る
道を往くのが夜彦であれ野比さんであれ……
まずは一太刀
祖父は豊臣家の栄華を支えたが、己は徳川の世に生きる外様大名だ。
約二年前の大戰にて、織田信長が齎した激動と、その後の泰平を知る日下部野比就は、豊臣の復興を目論む者には与せぬと、涕涙の女劔士の前に『梔子』を構える。
御殿に集まった猟兵の中に良く知る顔を見れば、闘志は雄渾と漲ろう。
「月舘殿、篝殿。お二人を見込んで助太刀をお頼みするで御座んス……!」
淀の方の「涙」を打ち倒す――。
視線を真直ぐ邪に向けた儘、助力を請う野比就には、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)が短く鋭く、そして慥かに言を置き、
「承知」
靜かに構え直した愛刀『夜禱』が、野比就の『梔子』と同じく女劔士に鋩を向ければ、傍らの篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は開いた掌を翩然(ヒラリ)と宙に翻し、夜彦と微咲を揃えた。
「あんたの気持ちを無碍にするほど野暮でもねぇさ。絶対に道は切り開く」
道を作る。必ずやその刃を届ける。
きのたけ藩の未来を切り開く太刀を、祖父も止めはしないだろうと野比就を見た彼は、【篝火】――災魔を祓う焔、災魔を喰らう水、災魔を砕く風なる三種の神力を身に降し、堅牢の「盾」と踏み出た。
「そんでもって、あんたの刃は届かせねぇ」
『豈然(よもや)。逆臣を庇うと云うのですか』
これに柳眉を吊り上げた『淀の涙』が、須臾、涙華なる櫻の花片を散らす。
彼女が涙劍を突き出せば、涙の結晶はハラと解けて風に舞い、刃の嵐となって迫るが、倫太郎はニッと口角を持ち上げると、風の神力を操って其の災禍を砕いた!
威力を失った櫻片は頬を掠めても傷は刻めず、ヒヤリと撫でて結晶から水滴に戻れば、その冷たさを受け取った倫太郎が飄然と囁(つつや)く。
「櫻の時期は終わってるぜ? 風情が無いな」
『!! わが君に仇成す者すべてを切り裂く涙華が……!』
「それともあれか? この櫻はあんたの行く末を示してるのか?」
『、ッ!』
儚いな、と頬を濡らした水滴を親指で拭う倫太郎。
踏み出た「盾」に護られた野比就に表情は窺えまいが、彼が『涙』を挑発しているとは声色で判然ろう。
「身の程を知ってるのは悪かない。とうの昔に、豊臣の世は終わってンだからな」
『ッッ、いいえ、いいえ! 豊臣の血は絶えておりませぬ!!』
太閤の孫たるクルセイダーが徳川家を滅討するのだと、『涙』が再び涕涙を結晶化して攻めかかるが、刀には「刀」が、夜彦が颯然と躍り出て閃爍を散らす。
「はなもまた君のためにとさきいでて 世にならひなき春にあふらし、と――」
『ええ、櫻も涙も、すべてわが君のもの。徳川には從いませぬ』
曇り無き刃と結晶化した劍が幾合と切り結び、鏗鏘の音を立てる。
熾烈な劍戟を挟む間にも、女劔士は万斛の紅涙を湛えており、その深い悲嘆と怨嗟の念に相對する夜彦が彼女に淀殿の影を重ねるのは、竜胆の簪のヤドリガミである彼もまた、贈り主と同じ容姿を映すからか。
蓋し太刀筋は亂れず。
銀月の如き一刃は白虹を描きつつ、女の潤んだ瞳に迫る――!
「貴女が豊臣の世を取り戻そうとするように、私も今の世を失う訳にはいかないのです」
『く、ッ! 速疾い……!!』
「そして先程の御仁が願うのは平和な世。ならば……どちらの想いが強く、それに合う力を持っているかの違い」
『痛ッ――!!』
同族であれ、如何なる想いであれ。
争いを齎す者に容赦はせぬ。
透徹と澄める翠緑の麗瞳は、極めて優れた視力に女劔士の立ち回り、太刀筋を見切り、花車な躯に秘められる小さな隙を切り開き、手首に、肩口にと斬撃を走らせていく。
少しでも反撃の兆しが視えれば、今度は倫太郎が默ってはいない。
「おっと! 夜彦も野比さんも傷付けさせねぇ。其は俺が受け取っておくぜ」
『きゃァアッ!!』
涙劔の鋩を右肩に掠めつつ、臆せず踏み込んで華焔刀 [ 凪 ]を一閃ッ!
ぞんっと空気を震わせた衝撃波が女劔士に嚙み付き、これに大きく後退した『涙』が、眉を顰めながら花嵐を巻き起こす。
『主のため、わが君のため! 今こそ豊臣の世を蘇らせるのです!』
再び涙華が御殿に広がり、細かな結晶が刃となって襲い掛かるが、二人は怯まず。
武器の變化にこそ警戒していた夜彦は、涙劍が花片に解ける瞬間に爪彈き、
「其の恨み。悲しみ。――全て、返しましょう」
而して閃くは、抜刀術【八重辻】――!
五感を研ぎ澄まし、瀲灔たる花色の一片一片を捉えた夜彦が、その悉くを『夜禱』に斬り捨てて疾れば、その影を追った野比就が『梔子』を一振り! 涙劔を手放した瞬間の女劔士の腕に裂傷を刻んだッ!
「ッ!! 月舘殿、篝殿、やったで御座んス!!」
先ずは一太刀。而して大きな一歩が血滴を躍らせる。
野比就が意気軒昂と喊ぶ中、夜彦と倫太郎が小気味佳く口角を持ち上げた。
大成功
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千思・万考
悲憤塗れだと勝てる戦も勝てないんじゃない?
まあ、それが貴女の在り方なのだろうし、突っ込むのは野暮かな
春雷を振るって敵へ雷を落とす攻撃を主に使用
涙雨の巨大化の傾向を察したなら、針先の狙いから逸れるように駆けて回避。
野比就さんに向かった攻撃は、花信風から起こした強風で攻撃軌道を逸らしてみようか
この敵、追い詰められたら形振り構わなくなりそうだ
敵が野比就さん殺しのみに行動し始めたら
「やっぱりその人を狙うよね」
僕から気が逸れた瞬間を狙い、UC徒花連鎖の種子を込めた布槍で攻撃
その幻惑、貴女の望んでいるものが見えるかもしれないね
でも現実には豊臣は滅んでいるんだよ
敵の虚を突いて春雷で攻撃、痛打を食らわせたい
幽邃の湖畔、靜けき水面の如き翠瞳が黑髪の女劔士を映す。
彼女こそ猟書家『淀の涙』――今も万斛の涙を湛えるヤドリガミに相對した千思・万考(千紫万紅・f33981)は、薄く開いた紅脣に冷艶の聲を滑らせた。
「悲憤塗れだと勝てる戰も勝てないんじゃない?」
嘆きと尽瘁の果てに力を得た青年は、明鏡止水の境地の妙を知っている。
その手に握れる涙劍も、悲憤に暮れた太刀筋で斬れようかと長い睫を注いで見せるが、交睫して間を置いた彼は、そっと吐息して、
「まあ、それが主の涙から生まれた貴女の在り方なのかな」
突っ込むのは野暮かと言ち、白鋼製の多節鞭『春雷』を構える。
其は一たび空を切れば、天を裂く樣な霹靂一聲を喚び、稲妻を龍尾の如く疾らせるが、『淀の涙』は涙劍が灼かれるのを嫌って後退し、距離を取った上で涙雨を降らせた。
『とてもないて眺めにあかし深雪山――』
「帰るさ惜しき花の面影、か……」
下の句を囁(つつや)きつつ、五感を研ぎ澄まして攻撃の兆候を読む。
目下、涙雨の巨大化の傾向を察した万考は、滂沱の雨が結晶化し、鋭利い針となるのを聢と捉えると、無数の針先を躱し、狙いから逸れるように駆け抜けた。
『!! 豈夫(まさか)、雨が落ちるより速疾いなんて――!』
「生憎、濡れるのは嫌でね」
而して視界の端には常に涕涙の女劍士を捉え、感情の色を観察する事を忘れず、
(「……この敵、追い詰められたら形振り構わなくなりそうだ」)
最早、潤める瞳に映る野比就は豊臣の臣に非ず――涙雨は躊躇い無く彼を殺めよう。
万考は野比就に向かう針の束を捉えると、春色の羽根を連ねる円扇『花信風』を扇ぎ、強風を呼び起こして針先を逸らした。
『ッッ、その者は豊臣を裏切った逆臣です。手出しは無用!』
「噫、やっぱりその人を狙うよね」
女劍士に情念を映した淀の方が許すまいと、野比就に結ばれる悲憤を読む万考。
彼は己から気が逸れた瞬間に【徒花連鎖】――術力を流し布槍と化した『花戦布』に、蛇結茨の種子を籠めて攻撃し、幾重にも絡まりつく蔦を以て拘束に掛かる。
涙劔に蔦を斬っても、じわじわと蝕む刺毒の幻惑は取り払えまい。
『嗚呼、何と美しき櫻の……咲き誇る……!』
「その幻惑、貴女の望んでいるものが見えるかもしれないね」
女劍士の攻撃を止めるは、満開の櫻――京都は醍醐寺三宝院で催された花見の宴。
潤む瞳が更にはらはらと涙を流せば、万考は再び『春雷』を振り被り、
「でも、現実には……豊臣は滅んでいるんだよ」
醍醐の花見から半月を経ずして太閤が没し、豊臣の世が畢わる――。
事實を突き付ける樣に鞭を振り切った麗人は、熾烈な雷撃を繊躯に嚙み付かせ、痛打を浴びせるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
宴・段三郎
櫻、綺麗じゃのう
じゃが魍魎の櫻では太閣殿も喜ばれまい。
いでよ、号『醍醐ノ花見』
【使命】
刀鍛冶としての淀の涙救出
【行動】
淀の涙を救うには、
元のヤドリガミに戻すには、
一度在りし記憶を呼び覚まし、
打ち直す必要があるのじゃ
使用するは
号『化生炉』
号『醍醐ノ花見』
まず壱ノ太刀
醍醐ノ花見を天地開闢させ、
ヤドリガミへと変えて闘う
容姿はアドリブok。
攻撃法は周囲に七百本の満開の美しい桜を生やし【地形の利用】を用いて刀身を奴の身体に当て動きを鈍らせる。
次いで弐ノ太刀、化生炉
鎚の代わりの刀身
火炉の様に熱い炎を吐く鞘
この化生炉を用いて動きが鈍くなった所を打ち直し、天地開闢にて
唯のヤドリガミへと戻せぬかのう
アドリブ歓迎
裂帛一聲、女の悲鳴が尾を引く。
艶帯びた黑髪を掻き亂して後退った女劍士『淀の涙』は、然し猟書家の幹部にて、吃ッと猟兵を睨めて踏み止まると、その矜持を叩き付けるように【涙華】を舞い散らせた。
『私も、主も……豊臣の世を諦めませぬッ』
はなもまた君のためにとさきいでて 世にならひなき春にあふらし――。
櫻は豊臣の爲に咲き誇るのだと、轟然たる花嵐が迫れば、其を冱月の如き銀瞳に映した宴・段三郎(刀鍛冶・f02241)が、玻璃の震えるような佳聲を囁く。
「櫻、綺麗じゃのう。――じゃが魍魎の櫻では太閣殿も喜ばれまい」
『、ッ!! わが君が……喜ばれぬと……!?』
花嵐の向こう、女劍士が豈夫(まさか)と瞠目する裡、背より一振りの刀を抜き放った段三郎は、花馨さえ漾うほどの優艶を解放した。
「いでよ、号『醍醐ノ花見』――天下人に相應しき櫻を見せるのじゃ」
其は刀鍛冶として『淀の涙』を救い出す、壱ノ太刀。
冷艶なる拵えより暴かれた冱刃は、【天地開闢】するや“女型のヤドリガミ”となり、鮮やかな櫻紋の着物を羽織った、櫻精の如き美人が段三郎の前に立った。
『な、んと……見事な……これは宛如(まるで)醍醐寺の櫻ではありませんか……!』
幻朧桜七百本、影朧七百体で鍛えし妖刀が魅せるは極上の花宴。
御殿に満開の櫻を咲かせた『醍醐ノ花見』は、瀲灔と春色を躍らせながら鋩を刺突し、掠めた傷より迸る血潮を花片と化して閃々(ヒラヒラ)と散らせる。
刃撃に柳眉を顰める女劍士に、幼き刀匠は嚴然と述べよう。
「淀の涙を救うには、一度在りし記憶を呼び覚ます必要があるのじゃ」
『わたしを……救う……?』
主の死の間際、涙に転写された悲憤を浄う。而して元のヤドリガミに戻す。
その爲に彼女の想念に強く刻まれた「醍醐寺の花宴」を具現化した段三郎は、淀の涙が心身共に動きを鈍らせた隙に、弐ノ太刀、化生炉を放ッた!
「次いで、その身を“打ち直す”必要があるのじゃ」
『――ッッ!』
鼓膜にヒヤリと肉薄するは、淸冽を帯びた刀鍛冶の聲。
諸有る物質を鍛刀する大太刀、号『化生炉』は、大鎚の代わりに刀身を、火炉の代わり鞘より熱い炎を吐いて『淀の涙』に迫り、防禦に構える涙劔を灼きに掛かる――!
「扨て、天地開闢にて唯のヤドリガミへと戻せぬかのう」
『ッ、くッッ……うぅ……!』
幼な佳脣を滑る科白は冷ややかながら、眼路に迫る劍閃は煓々熾々と燃え上がり。
刹那、切り結んだ瞬間に涙劔を砕いた女劍士は、身を包む煉獄の炎に悲鳴を喊んだ。
大成功
🔵🔵🔵
花盛・乙女
羅刹女、花盛乙女。遅参の身なれど助太刀に参った。
淀君の涙のヤドリガミ。
剣を握れど剣士に非らず。
想いはあれど強者に非らず。
斬るべきは御身か執念か。
黒椿と乙女を構え、涙の花吹雪を切り払おう。自身に向かうものも、藩主殿に向かうものも全てだ。
心まで邪に染まるでなく、戦いの中に光を見るでなく、その手を血に染めようとするのは感心しないな。
その豊臣再興への想い、執念。
見事だが戦乱の時代はとうに過ぎた。
白拍子の真似事などは私は出来ない。
ただ剣を振るうのみ。故に、斬る。
もう泣かぬよう、苦しまぬよう。一太刀で。
雨燕にて御首級、頂戴致す。
■アドリブ連携歓迎です
『ぐッッ……いいえ、いいえ! 私は豊臣の復興を……徳川への報復を諦めませぬ!!』
目下、焦熱に灼かれる身を櫻片と化して逃れる『淀の涙』。
主人の悲憤から生まれた己は、それこそ涙の枯れるまで、太閤の孫たるクルセイダーに仕えるのだと花嵐を広げれば、須臾、藩主の前に一輪の花が馨香を広げる。
「羅刹女、花盛乙女。遅参の身なれど助太刀に参った」
刃鳴一閃、逞しき陣風に櫻花亂舞を切り裂くは、花盛・乙女(羅刹女・f00399)。
ぶわり逆巻く余波に濡烏の艶髪を梳った佳人は、搖れる前髪の下、赫緋の麗瞳に狂邪を映すと、今も滂沱(はらはら)と頬を伝う繁き涙を見つめた。
「淀君の涙のヤドリガミ。握れる劍は涙の玻璃と」
片手に握れる極悪刀『黑椿』に万斛の涙を、逆手に握れる小太刀『乙女』に涙の太刀を結んだ乙女は、鴇色の佳脣より冷ややかなコントラルトを滑らせる。
その科白は楔の如く突き刺さろう、
「劍を握れど劍士に非らず。想いはあれど強者に非らず。斬るべきは御身か執念か」
『ッッ、私が劍士で無いと……強者で無いと仰るのですか……!』
乙女の言に抗拒すべく突き立てられた涙劔が、硝子の刀身を解いて花吹雪を逆巻くが、乙女はその渦動に二刃の鋩を差し入れ、二筋の風と斬り別ち、左右に吹き流す!
『!! な、んと……いう……!』
ぞんっと脇を抜けた疾風が襖を押し倒す中、乙女は烱眼を真直ぐ女に射続け、
「心まで邪に染まるでなく、戰いの中に光を見るでなく、その手を血に染めようとするのは感心しないな」
云って、鼻緒を踏み込み疾駆する。
呼吸を継ぐより迅速く、絶影の機動で敵の間合いに侵襲した佳人は、涕涙が再び結晶化するに合わせて二刃を振るい、閃々鏘々、涙劔の掣肘に掛かった。
「その豊臣再興への想い、執念。見事だが戰亂の時代はとうに過ぎた」
『いいえ、豊臣にはまだクルセイダー樣が御坐しますッ!』
「大戰を経て早二年。民は誰であろうと騒擾を望まない」
乙女にとって劍戟こそ對話だ。
白拍子の真似事は出来ぬと、愚直に振り抜かれる冱刃は鬼氣を漲らせながら、唯只管に閃くのみ。
其處には主の悲憤を転写した「涙」への慈悲もあったろう。
「御首級、頂戴致す」
もう泣かぬよう、苦しまぬよう。一太刀で。
ひやうと櫻嵐を斬って白虹を描くは、我流実戦術【雨燕】(アマツバメ)。
劍に櫻にと變幻する瞬間にこそ『黑椿』『乙女』の鋩を揃えた乙女は、咽喉元めがけて二刃を刺突し、頬を伝う涙を宙空に躍らせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
丑三・勘太郎
さぁて黒幕様のご登場と来たもんだ。
無数の花びらで攻撃してこようが関係ねぇ。
俺の雷撃で片っ端から叩き落してやるぜ。
戦闘が始まったら敵に近づいていく。
雷獣撃の射程内に入ったら、『C.C.proto』を起動し、
血液を代償に妖力を《限界突破》する。
自己強化が完了したら、周囲に展開するように【雷獣撃】を使用。
寿命と血液を代償にした《捨て身の一撃》である《範囲攻撃》を喰らわせる!
「数で攻めてこようが、全てぶっ飛ばしてやるぜ! 丑三流奥義!! 『雷獣撃』!!!」
『ッッ……私は涙……如何に斬られようと、何度でも甦りましょう……!!』
黑髪の女劍士の姿は仮初にて、頸を刎ねられても再生する。
猟書家『淀の涙』の途方も無い再生能力を目の当たりにした野比就が二の足を踏むが、丑三・勘太郎(妖憑依を継ぐもの・f10108)は更に一歩、雄渾と踏み出る。
彼は寧ろ彼女の強さを「上等」だと受け取ったろう。
「――さぁて、厄介な黒幕様のご登場と来たもんだ」
此度の相手は、淀の方が今際に流した「涙」のヤドリガミ。
今も滂沱(はらはら)と流れる涙が本体にて、如何に斬らんと野比就が『梔子』の鋩を迷うところ、勘太郎は「関係ねぇ」とばかり拳を握り込める。
この時、疾ッと雷光が迸ったのは見間違いでは無い。
彼は不死の首魁を前に愈々『逢魔の紋』を励起させ、
「その玻璃(ガラス)みたいな劍を振るおうが、無数の花びらを舞わせようが、俺の雷撃で片っ端から叩き落してやるぜ」
斬れないなら、灼けば良いと――。
血色に耀ける双眸を烱々煌々、その鮮烈な彩を黑髪の女劍士に結んだ勘太郎は、距離を取りたがる彼女に先んじるように広間を疾駆し、跫を置き去りに間合いを詰めた。
『ッ……ッ、貴方も豊臣を裏切った逆臣を庇うのですか』
「いや、とっくに戰國の世が終ったのに、騒擾を持ち込む奴をブチのめしたいだけだ」
『戰は終っておりませぬ。豊臣の血を継ぐクルセイダーが御坐します!』
勘太郎の接近を拒絶むように花嵐が広がるが構わない。
彼は無数の花片が刃の如く肌膚を掠めるのもその儘に、大いなる風の渦動を捉えると、その中心を剔抉るように拳閃を衝き入れ、羅刹の剛力に花吹雪を蹴散らしたッ!
『な……んと、いう……!!』
「クルセイダーか。そいつもいずれ打っ飛ばす」
烈しい余波に装束を波打たせながら、鬼氣迫る流眄に『涙』を睨める勘太郎。
ほたほたと滴る血を置いて更に踏み込んだ彼は、左胸の刻印『C.C.proto』を起動し、己が血液を媒介に膨大な魔力を漲らせると、其を全て電流に變換したッ!!
「数で攻めてこようが、全てぶっ飛ばしてやるぜ! 丑三流奥義!! 『雷獣撃』!!!」
勘太郎の精悍なる顔が霹靂に白み、間もなく御殿も蒼白く浮き立つ。
生命の源たる紅血を惜しまず、我が命を惜しまず、限界を超えて力を引き出した彼は、輪郭だけが際立つ白黒の世界に雷撃を撃ち込み、花の一片一片を灼き尽した!
櫻片も元は涙の結晶なら、忽ちその稲妻を――痛みを拡散していこう。
『ッッきゃぁぁああ嗚呼嗚呼ッ!!』
紫電は遂に女劍士に嚙み付き、万斛の涙を蒸発させた。
大成功
🔵🔵🔵
クロム・エルフェルト
アドリブ◎
急々如律令奉願上候
秘密裏に印を結び
野比就殿の背へと野比元さまを▲降霊
その加護で剣技の冴を増して貰う
野比就殿。
織田の縁者、クロムが助太刀する。
暫しの時間稼ぎをお願いしたい。
野比就殿が奮戦する間に瞑目し、UCを発動
もし涙剣を投擲されても、一度だけなら
「無銘左文字」が▲咄嗟の一撃にて弾いてくれる
開眼すれば召喚されている激情兵装をも巻き込み
亜音速の▲ダッシュで駆け抜け
淀の涙を斬り伏せる
その無念は察して余りある
袂のハンケチで淀の涙の頬を拭う
……茶々、さま。
今爛漫と咲く桜は、徳川のみの功績に非ず
遡れば豊臣の礎、織田の礎有ればこそ
そも、どの家が花を咲かせたか、など
『夢幻の如く也』に、御座います――
裂帛の一聲を喊び、身に疾る雷撃に時間を止める猟書家『淀の涙』。
万斛の涕涙のシュウと灼かれる音を狐耳に拾いつつ、居並ぶ猟兵の蔭にて密かに手印を結んだクロム・エルフェルト(縮地灼閃の剣狐・f09031)は、繊指に優艶の光を紡いだ。
「急々如律令奉願上候」
日下部少輔次郎野比元の御霊よ、御令孫に降り給え――。
今日は彼の年忌法要にて、御霊が近くに居た事も幸いしたろう。ゼロタイムでクロムの聲に結ばれた野比元の魂は、合點(コクリ)と頷くや野比就の背に据わった。
「ムムッ!? じじうえの強く温かな力を感じるで御座んス……!」
冱刀『梔子』を握る手に、祖父の逞しい手が添えられたような不思議な感覚。
藩主が喫驚してクロムを見れば、佳人はスッと通った鼻梁を邪に向けた儘、囁き、
「野比就殿。織田の縁者、クロムが助太刀する。暫しの時間稼ぎをお願いしたい」
祖父御の加護あらば劍技の冴は増そう、と――。
彼女の言う通り力の増強を実感した野比就は、「承知」と應じるや彈ッと爪先を蹴り、目下、血腥い戰亂を生き抜いた劍士と『梔子』が邪に躍り掛かった!
「この刀できのたけ藩の未来を切り開く所存に御座んス!!」
『ッッ……豊臣に仕える血に、抗拒(あらが)うと云うのですか……!』
冱刀と涙劔が打ち合うこと幾合、火華が鏘々と双方の眸を焦く激闘。
而して彼なら充分に時間を稼げると信頼を置いたクロムは、美し金を彈く琥珀色の睫を伏せると、【仙狐式抜刀術・櫻華風吹】――瞑目して明鏡止水の疆域に入る。
時に激情兵装と變じた涙の多銃身式速射砲(ガトリング砲)の一斉掃射が火を噴けば、妖刀『無銘左文字』は独りでに鞘走り、その切先に彈道を往なそう。
キィンッと涙彈を飛ばしたクロムは、凛と睫を持ち上げて開眼!
究極の淸閑に到達した靜けさの儘、一陣の風と駆け抜け、亜音速の斬撃を閃いた!
「淀の涙。その悲憤を斬り伏せる」
無念は察して餘り有る。
故に、断つ。
『……ッッぁぁああ嗚呼嗚呼ッ!!』
時に須臾、牡丹の花の咲き亂れるが如く血潮を噴かせる黑髪の女劍士。
鮮やかな赤に滂沱の涙が混ざるのを見たクロムは、胴ッと倒れ込んだ彼女を支えるや、袂のハンケチで頬の湿りを拭い、「……茶々、さま」と主の姿を重ねた。
慈雨の如く振る呼び掛けに心が浄われよう。
「今爛漫と咲く櫻は、徳川のみの功績に非ず。遡れば豊臣の礎、織田の礎有ればこそ」
『ッッ……! 豊臣の、織田の礎が……』
「そも、どの家が花を咲かせたか、など――『夢幻の如く也』に、御座います――」
『……ぅうっ……っ』
噫、嗚呼、と頷くように流れる涕涙。
その透明な雫に、最早、悲憤は無かった。
大成功
🔵🔵🔵
荒谷・ひかる
涙を武器にするヤドリガミ……
ただ討ち滅ぼすには、余にも憐れ。
その涙、わたしが晴らして見せましょう。
武器は持たず【光と風の精霊日和】発動
この場の環境を「快晴」とすることで、概念的に涙の「雨」を打ち消し攻撃を不発に
その後は可能な限り、言葉で慰めて戦意喪失を狙う
盛者必衰、諸行無常……栄枯盛衰は世の習い。
織田の……そして豊臣の世は、もう終わったのです。
ですが、豊臣が世に君臨した過去も、日下部家が豊臣の臣であった過去も喪われた訳でもありません。
「豊臣」の名は、今も、これからも……世界が続く限り、歴史に燦然と輝き続けているのです。
(UDCアース等で学んだ、あの世界のエンパイアたる戦国時代の知識を元に説得)
淀殿の今際の涙より生まれたヤドリガミ。其が此度の猟書家『淀の涙』。
枯れることなき万斛の涕涙を武器に戰う彼女の姿は、万物に命の灯を見る荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)の瞳にどう映ったろう。
少女は、キリリと凛然を萌した精霊たちが手を繋いで防衛ラインを作る中、七色の光の向こう、今も滂沱(はらはら)と落涙する女劍士に向き合った。
「……ただ討ち滅ぼすには、余にも憐れ。その涙、わたしが晴らして見せましょう」
蓋し少女の手に武器は無し。
杖も銃も持たぬ白磁の繊手は、己の前で盾を成す精霊たちを手招きして呼ぶと、そっと佳脣を寄せてこしょこしょ、皆で輪になって内緒話をする。
(「涙雨は心から出るもの。それなら心を晴らしましょう」)
風の精霊がこっくりと頷き、光の精霊が「まかせろ」とばかり胸を叩くと、他の精霊は応援に回って少女の周囲をスイスイ、クルクル。
無手ながら精霊との絆に雄渾を得たひかるは、麗瞳に光を湛えて【光と風の精霊日和】(エレメンタル・ナイスデイ)――御殿に飛び切りの快晴(ピーカン)を齎した!
『!! これ、は……!』
「……雨上がりの空です」
暖かく降り注ぐ光に月白の艶髪を煌かせ、爽やかに吹く風に佳聲を運ばせるひかる。
萌ゆる緑の匂いまで届きそうな心地良さは、草木の精霊が歓喜に踊っているからか――『淀の涙』は己の悲哀が優しく穩やかに慰められていくのが理解る。
陽の光に温められた頬も漸う渇こうか。
涙に湿気た御殿を「快晴」とすることで、概念的に「涙雨」を打ち消せば、最早、彼女に涙の武器は作れず……悲憤が、戰意が萎んでいく。
靜かに紡がれる大瑠璃の聲も、『淀の涙』の濁々とした想いを浄おう。
「盛者必衰、諸行無常……栄枯盛衰は世の習い。織田の……そして豊臣の世は、もう終わったのです」
日本に似た歴史を辿るエンパイア史は、UDCアースで學んだひかるである。
時代の潮流に隠れた人の営みを、大河の一滴に心を寄せた少女は、或る女の頬を伝った一粒の涙にも慈愛を注ぎつつ、言葉を続けた。
「……ですが、豊臣が世に君臨した過去も、日下部家が豊臣の臣であった過去も喪われた訳ではありません。『豊臣』の名は、今も、これからも……エンパイアの世が続く限り、歴史に燦然と輝き続けるのです」
『……っっ噫、嗚呼……豊臣の名は翳ること無く……!』
悲憤を手放す代わり、輝かしい誇りを得る『淀の涙』。
而して涙を晴らした彼女は、己が身を「雨上がりの虹」と化して消えるのだった――。
「……じじうえ、日下部家はこれからも平和の爲に働くで御座んス」
冱刀『梔子』を鞘に収めた野比就が、その前に合掌して云う。
豊臣秀吉に仕えた過去を抱えながら、天下泰平を敷く徳川の世を支え、外様大名として生きていく――而してきのたけ藩を守っていくと誓う藩主の後ろで、祖父・野比元の霊も力強く頷き、安心して霊界に帰っていくのだった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2021年07月13日
宿敵
『淀の涙』
を撃破!
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