熾火は青く昌盛・序
●青き巨神
ゆっくりと、しかし巨大な人型の鎧がある浮遊大陸の森の中を進む。
まるで何かに追われるような出で立ちであったが、青き鎧の巨人は目的の場所に至るためにゆっくりと歩みを進める。
その胸の内に秘めしは巨大な天使核と一人の少年であった。
「だめだ、お願いだよ!『V(ヴィー)』! この大陸に長居してはだめなんだ! 奴らが来てしまう。そんなことになれば、この大陸に住まう人々に迷惑が掛かってしまうんだ。今からでも進路を変えておくれよ!」
しかし、少年の言葉に青き鎧の巨人は応えなかった。
ただひたすらに目的の場所を目指して歩みを進める。
その背後に飛来する『屍人帝国』――『オーデュボン』の先遣隊である『ブレイドホーク』が迫っていた――。
●アジール王国
「屍人帝国『オーデュボン』だと……! 奴ら、我等の聖域を嗅ぎつけたか……!」
『アジール王国』は巨大な浮遊大陸に存在する平和な王国である。
これだけ巨大な浮遊大陸を維持するためには同じく巨大な天使核が必要であることは言うまでもない。
その巨大な天使核を制御し、浮遊大陸を浮遊させるエンジンとして機能させる聖域が存在してる。
この聖域が屍人帝国の手に落ちれば、この浮遊大陸は即座に雲海に沈み消滅する。
それをさせぬと『アジール王国』は即座に臨戦態勢に移る。浮遊大陸は巨大であれば巨大であるほどに多くの正規軍軍人と勇士たちが存在している。
「ありったけの勇士たちに招集を懸けるのだ。これ以上屍人帝国の好きにさせてはならぬ!」
『アジール王国』の正規軍の将軍が部下に伝令を出し、その報は即座に勇士たちにも伝わり、次々と飛空艇が空へと舞い上がっていく。
まずは先遣隊である魔獣を叩かねばならない。その後詰めとして存在する部隊は恐らく『黒翼騎士』団であろう。
彼等はかつて雲海に消えたエンジェルたちの成れの果てである。
その威容は恐怖の代名詞として浮遊大陸に生きる者たちに刻み込まれている。
「だが、やらねばならぬ……敵の数は!」
「ご、五百……! いや、八百! ……まだ増えていきます!」
「……大軍勢と呼ぶにふさわしい軍容か……! まともに戦っては勝ち目はない。ならば、敵将を探し出し、指揮系統を潰す! 全軍に伝えよ!」
絶望的な物量差。
こちらは正規軍と勇士たちの飛空艇を合わせて三百に届くかどうかである。二倍以上の差がある。
「いえ、先遣隊の一部が離れていきます! 何かを追っているようです!」
「今は捨て置け。私達は敵の数を一つでも多く減らす。勇士たちに伝えよ、敵の抑えはこちらに任せろと。この戦いの趨勢は彼等に掛かっている。奮戦せよ――!」
●勇士
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まりいただきありがとうございます。新たに発見された世界、今回の事件はブルーアルカディア。雲海に無数の浮遊大陸が浮かぶオブリビオン……屍人帝国の驚異に晒されている世界です」
彼女は一礼して猟兵たちに伝わる。
新しく発見された世界。浮遊大陸は天使核と呼ばれる、この世界に出現するオブリビオンの心臓を動力としたエンジンによって浮遊大陸を浮かび上がらせたり、飛空艇や魔導機械を動かしているのだ。
「今回、皆さんが戦っていただくのは屍人帝国『オーデュボン』。未だ詳細は不明でありますが、ある浮遊大陸に存在する『アジール王国』に侵略を開始し上陸しようとしています」
どうやら巨大な浮遊大陸の聖域と呼ばれる巨大な天使核を狙ってのことであろうが、未だその目的まではわからないようであった。
しかし、『オーデュボン』の大軍勢が『アジール王国』に壊滅的な打撃を与えることには変わらない。
猟兵達は圧倒的な物量差を覆さなければならない。
「皆さんであっても、多勢に無勢。このままでは勝ち目がありません。しかし、『アジール王国』には正規軍、そして勇士たちがいます。それでも数の振りは覆りません。乾坤一擲の策として敵『オーデュボン』の敵将、指揮官を狙って指揮系統を乱し潰走させなければなりません」
そこにしか勝利の目はない。
ならばこそ、猟兵達は勇士たち、正規軍と協力し『オーデュボン』を撃退しなければならない。
「まずは先遣隊である魔獣の群れとの戦いになります。何故か一部が別方向に移動を開始しようとしています。これを見過ごせば、敵戦力を分断させることも可能でしょう。皆さんは勇士たちの飛空艇を足場にしても良いですし、自力で飛んで空戦を繰り広げる戦いとなるでしょう」
勇士たちは操舵の腕が見事なものであり、猟兵たちの足場として的確に飛空艇を操ってくれるだろう。
さらに指示を出せば、共に戦ってくれることもあるだろう。
だが、勇士たちは猟兵ほどは強くはない。そこそこの戦力として認識する程度が良いだろう。
「先遣隊を撃退した後は、屍人帝国『オーデュボン』の本隊が到着し、『アジール王国』を目指して進軍を開始します。彼等と正規軍が真っ向から激突することになるでしょう。今度は打って変わって、正規軍と進軍速度を合わせなければなりません。オブリビオンの群れを蹴散らしつつ、敵司令官である敵将を捜しましょう」
進軍速度を合わせるのは、やはり数の問題であろう。
猟兵だけで突出すれば、オブリビオンの群れに数で押されてしまう。
故に正規軍との連携は必須なのである。
「この本隊に存在する敵将を捜し当てた後は、これを撃退しましょう。敵将さえ討ち取ってしまえば、如何にオブリビオンの軍隊と言えど潰走状態に陥ることでしょう。これを放逐することは正規軍であっても可能となります」
今回猟兵たちが成さねばならぬことは3つ。
一つ目は勇士達と共に飛空艇を利用した魔獣との大空戦。
二つ目は敵本隊を正規軍と足並みを揃えて蹴散らし、敵将を探し出す。
三つ目は敵将を打ち倒す。
言葉にすれば単純明快であるが、大規模な戦いになることは言うまでもない。新たに見つかった新世界ブルーアルカディア。
この世界で猟兵たちが何と邂逅するのか。
それは未だ知り得ぬことであったけれど、それでも屍人帝国によって一つの国が滅ぼされてしまうかもしれないという可能性は捨て置くことはできない。
「新たな世界……転移早々に戦いの渦中へと巻き込まれる皆さんのお気持ちは察するに余るものがあります。ですが、オブリビオンの脅威から人々は守らねばなりません。どうか、ご助力をお願い致します」
そう言ってナイアルテは再び頭を下げ、猟兵たちを送り出す。
雲海と浮遊大陸が織りなす、新たな物語の予感。
ざわめく胸の内をさとられぬように彼女は、不安に揺れる瞳を伏せたのであった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
新たな世界ブルーアルカディアにおいて屍人帝国『オーデュボン』との戦端を開いた『アジール王国』に助太刀し、オブリビオンの企みを打ち砕くシナリオになります。
●第一章
集団戦です。
屍人帝国『オーデュボン』の先遣隊との戦いです。
魔獣の大軍勢が飛翔し、皆さんを襲うでしょう。皆さんは勇士たちの飛空艇に乗り込み、足場にしながら空飛ぶ『ブレイドホーク』と呼ばれる魔獣を蹴散らさなければなりません。
凄まじい数ですが、一部の『ブレイドホーク』は何故か戦列を離れ、別方向に飛んでいきます。
これを捨て置いても本シナリオには影響はありません。
●第二章
集団戦です。
浮遊大陸の一端に到着した『オーデュボン』の本隊が『アジール王国』目指して進撃を開始します。
正規軍と敵軍が真っ向から激突します。
『黒翼騎士』は魔獣たちと違って緻密な連携を持って皆さんに襲いかかります。
突出してしまえば、数の暴力で皆さんと言えど危ういでしょう。正規軍と足並みを揃えて連携することが必要になります。
●第三章
ボス戦です。
敵将である『グリフォンナイト』との戦いになります。
屍人帝国『オーデュボン』の騎士であり、魔獣『グリフォン』を使役する凄まじい武人です。
かつての高潔さや誇りは失われています。しかし、その力量は将として十分すぎるほどです。
『グリフォンナイト』を打倒しなければ、敵軍を浮遊大陸から放逐することも難しいでしょう。
これを打倒し、敵を潰走状態へと追い込み、勝利を勝ち取りましょう。
それでは、ブルーアルカディアにおける物語の序幕、その開幕と屍人帝国の脅威を振り払う皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『ブレイドホーク』
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POW : テイルブレイド
【尾の先端の刃】が命中した対象を切断する。
SPD : ホークフェザー
【羽ばたきと共に、刃の如く鋭い羽】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ホークウインド
【力強い羽ばたき】によって【強風】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
イラスト:青空皐月
👑11
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『アジール王国』が座す浮遊大陸の一端は今やオブリビオンとして蘇った魔獣たちの軍勢によって埋め尽くされていた。
それに相対するは飛空艇。
勇士達は目の前の魔獣の群れを前にして恐れおののくどころか、ここが稼ぎ時であると考えていたようであった。
「『ブレイドホーク』か。羽は凍りつかず、乾きやすい素材。骨は軽いながらも頑強。内臓は使えないが、肉は上質。爪やくちばしはいうに及ばずってことなら、あれだけの数だ。素材は上々!」
そう、ブルーアルカディアにおいて魔獣とは生きるための資源そのものである。
心臓である天使核は言うまでもない。
だが、それ以上に肉や爪、骨や内蔵といった素材は、それだけで飛空艇の強化や武器の作成、防具の頑強さを鍛錬するには十二分すぎるほどの素材なのだ。
それが敵の大軍勢とは言え、向こうから群れ為してやってくることは勇士たちにとって恐れ以上に高揚をもたらしていた。
「おい、一群が離れていくぞ。先遣隊なんだろう、あれは」
「妙だな。あの方向には森しかないはずだが……」
「今は目の前の敵に集中しなけりゃあな。敵の本隊は正規軍がなんとかしてくれるが、俺たちの仕事は目の前の先遣隊をぶっ潰すことだ」
勇士たちはそれぞれの飛空艇に乗り込み、鬨の声をあげる。
それはこの浮遊大陸だけが生命の生存圏であるがゆえに、全てが生きるための戦いであることを知らしめるように、次々と飛空艇が空へと飛び立ち、凄まじい数で持って押し寄せる『ブレイドホーク』の群れと激突するのであった――。
セラフィナ・セレスティ
森?森に何があるっていうの?
おっと、今はとりあえず目の前のオブリビオンに集中しなきゃね
ボクは自分用の飛空艇を持ってるから今回はそっちを使おうかな
『紺』、頼んだよ
ボクはオブリビオンを撹乱するルートで攻めてみよう
『紺』の周囲に防御用の魔法陣を展開
ほらほらこっちだよ、どこ狙ってるの?
ついでに魔導砲もぶっぱなしてあげるね
『爽』、出番だよ!張り切っていこー!
撹乱させる裏側で避雷針を仕掛けるんだ
そろそろいいかな?
D.D、いい音色で奏でてね
まとめて裁きの雷に飲み込まれちゃえ
裁きの雷で仕留めきれなかった分は『爽』できっちりとどめ
他のみんなは大丈夫かなー?
オブリビオンと化した魔獣の群れが浮遊大陸の空を飛ぶ。
相対するは無数の飛空艇。
大小様々な飛空艇は整然と並び立つというには少し不格好であった。しかし、その飛空艇を駆る者たち、即ち勇士たちは猟兵に及ばずながらも魔獣を数で圧倒する程度には無骨な者たちであった。
だが、これは先遣隊に過ぎない。
先遣隊である『ブレイドホーク』の群れと飛空艇を駆る勇士たちの数はほぼ互角。
ならば、本来魔獣を駆り立てる勇士たちが得意とする多数で取り囲む戦いは難しいだろう。
だからこそ猟兵が存在しているのだ。
「しかし、何故このタイミングであの魔獣の群れは森の方角に……」
勇士たちは訝しんだ。
別働隊と呼ぶにはあまりにも不可解なタイミング。
おかげで敵の数と勇士たちはわずかに拮抗から、こちらに数の有利は傾いたのだ。
「森? 森に何があるっていうの?」
艶めく寄る色の髪を風になびかせながら、澄んだ青色の瞳をした少女――セラフィナ・セレスティ(blue hour・f33925)は同乗した勇士たちに問いかけた。
彼女はブルーアルカディアの住民なれど、この浮遊大陸のことは不慣れであった。
好奇心の強さは自覚があったが、やはり何かあるのかと思えば胸の高鳴りを抑えることはできようもなかったのである。
「いや、何があるとは聞いたことがないんだが……と、来たぜ!」
勇士が応えるが、問答している時間はないようであった。
セラフィナもまたその言葉に反応する。魔獣は生きる資源そのものである。心臓である天使核は言うに及ばず。
その血肉、骨牙は人々の性活を豊かなものにする資源そのものだ。
「おっと、今はとりあえず目の前の魔獣に集中しなきゃね。それじゃ、ここまであいのりしてくれてありがとうね。ボクは行くよ」
「ああ、頼んだぜ!」
セラフィナは自身の所有する飛空艇、それも一人乗り用の小型飛空艇『紺』を駆り、大空へと飛び出していく。
「う、風が強いな。これが『ブレイドホーク』の力だね」
セラフィナは目の前に迫る『ブレイドホーク』たちの群れが羽ばたき風を起こしていることを看破し、その風に真っ向からぶつかるのではなく防御用の魔法陣を展開し、受け流しながら進む。
「ほらほらこっちだよ、どこ狙ってるの?」
セラフィナは『紺』を駆り、『ブレイドホーク』たちを挑発する。
魔導砲であるスフィア型の『爽』が煌めき、青の軌跡を描きながら魔力の砲弾が『ブレイドホーク』たちに殺到する。
「張り切っていこー!」
セラフィナは魔導砲と飛空艇による撹乱で持って『ブレイドホーク』たちの隊列を乱す。
この場に指揮をする者たちがいないことが幸いであった。
彼女の飛空艇によるかき乱す行動は、『ブレイドホーク』たちの統制を乱し、混乱へと陥らせていく。
突出すればセラフィナや勇士たちの攻撃に撃ち落とされるしかないのだ。
「そろそろいいかな?」
セラフィナな『ブレイドホーク』たちを撹乱するついでに避雷針を砲撃にまぎれて打ち込んでいたのだ。
「ディバイン・デバイス、いい音色で奏でてね?」
煌めくはディバイン・デバイス。
そして、回転する輝きが集束していき導くはユーベルコード。避雷針が音色に共鳴するように空に響き渡り、その意味を知らしめる。
それは裁きの雷。
――ディバイン・サンダー。
その強大なる雷の一撃はセラフィナが打ち込んだ『ブレイドホーク』たちを効果範囲にしている。
今までセラフィナが撹乱するように動いていたのはこのためである。
広範囲に渡って『ブレイドホーク』たちを打倒するための一撃を放つための楔。
「さあ、まとめて裁きの雷に飲み込まれちゃえ」
放たれた雷が極大なる閃光を迸らせ、凄まじい勢いで『ブレイドホーク』たちを殲滅していく。
その光景を目の当たりにした勇士たちから喝采が上がり、さらなる戦意高揚をもたらしながら、セラフィナは青い軌跡を描きながら空を駆け抜けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
神代・凶津
空を埋めつくさんばかりの魔獣の群とはある意味壮観だなあ。
よお、飛空艇の勇士の兄ちゃん逹。俺達『猟兵』も力を貸すぜ。
「・・・オブリビオンの好き勝手にはさせません。」
おうよ、この青い空の世界でも心を燃やすぜ、相棒ッ!
「・・・転身ッ!」
炎神霊装で空中戦の開始だぜッ!
先手必勝ッ!鳥共に一気近付いて炎刀で斬り裂きながら高速飛翔するぜ。
敵が刃の如く鋭い羽を放ってきたらこっちも炎翼から炎刃を放って対抗するぜ。
敵の一群が森の方に向かってんな。何かを追ってんのか?炎神霊装のスピードなら直ぐ戻ってこれるし念のため潰しに行くか。
炎翼を羽撃かせて追いかけて倒しに行くぜッ!
【技能・空中戦、先制攻撃】
【アドリブ歓迎】
極大なる雷が空を埋め尽くさんばかりの『ブレイドホーク』、魔獣たちの群れに巨大なる穴を穿つ。
しかし、未だ先遣隊と言えど魔獣たる『ブレイドホーク』たちの数は尋常ではなかった。大軍勢と呼ぶにふさわしい数は、まさしく屍人帝国『オーデュボン』、オブリビオンたちの本気を伺わせるには十分なものであった。
『空を埋め尽くさんばかりの魔獣の群れとはある意味壮観だなあッ!』
そう思わず言葉に出してしまったのは、鬼面のヒーローマスク、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)であった。
彼等は『アジール王国』に集った勇士たちの駆る飛空艇に乗り込み、彼等に力を貸すことを決めたのだ。
「……オブリビオンの好き勝手にはさせません」
相棒である桜もまた気合十分である。
ふわりと足元が浮かび上がる感覚。
飛空艇が地上より舞い上がり、空を埋め尽くす『ブレイドホーク』たちを撃滅せんと飛び立つ。
飛行機とも似つかぬ乗り心地は、まさに異世界のものであることを意識するには十分であった。
しかし、それ以上に凶津と桜の二人の心の中にあるのは燃え尽き正義の心であった。
『おうよ、この青い空の世界でも心を燃やすぜ、相棒ッ!』
「……転身ッ!」
炎神霊装(ブレイズフォーム)に身を包んだ二人が一気に飛空艇より飛び立つ。
炎の軌跡を描いて空を駆け抜ける姿は、このブルーアルカディアにおいてはロケットナイトを思わせるものであったことだろう。
『先手必勝ッ!』
矢のように飛ぶ凶津と桜。
その手にあるユーベルコードの炎によって形成された炎刀が『ブレイドホーク』の翼を一瞬で刈り取る。
「ギャァァァッ!!」
魔獣と言えどオブリビオン。
そこに加減ができるわけもない。一瞬の交錯で『ブレイドホーク』を斬り裂き、次々に襲いかかってくる刃のごとき鋭い羽を背に負った炎翼でもって振り払う。
「……あれは……別働隊?」
『森の方に向かってんな。何かを負ってんのか?』
彼等の瞳に映ったのは先遣隊より離脱し、森へと移動を開始した『ブレイドホーク』たち。
彼等が何を目的としているのかは定かではないが、今のユーベルコードによる炎神霊装であれば、戦線を離脱しても即座に戻れるであろうと凶津は判断する。
『念のために潰しておくかッ!」
いくぜッ! と凶津と共に炎の翼を羽ばたかせ、桜が『ブレイドホーク』の別働隊を背後から強襲する。
「明らかに何かを追っている……今このタイミングで」
おかしいと桜は気がつく。
明らかに場当たり的な動きではない。むしろ、別働隊と言えるのは今も勇士たちと激突している先遣隊の方ではないかとさえ思えるのだ。
『相棒ッ! あれは――』
二人の瞳に映るのは、森に紛れるようにして進む青い鎧の巨人。5mほどもあろうかという明らかに生物ではない存在。
それを『ブレイドホーク』は追っているのだ。
敵か味方かはわからない。
けれど、オブリビオンに追われているのならば、助けない理由もないのだ。
『って、おいおい! 加勢に来たのに無視かよッ!』
「なにか事情が……?」
二人が『ブレイドホーク』を叩き伏せていても反応することなく背を向けて在るき続ける青い巨人。
「……何が目的……?」
『とは言え今はオブリビオンだッ! こっちに釣られて先遣隊から戦力が流れてきてやがるッ!』
二人はうまい具合に敵を分断することに成功していたが、謎の青い巨人の目的はわからなかった。
しかし、敵のようにも思えない。
ならば、再び邂逅するときもあるのだろうか――?
大成功
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髪塚・鍬丸
任務了解した。御下命如何にしても果たすべし。
飛空艇の勇士達に協力を申し出る。通りすがりの何でも屋だ、手伝いに来たぜ。一つ分け前に与らせてくんな。
「忍鎧·天戎」のスラスターを噴射して【ジャンプ】し【空中戦】だ。マフラー型の慣性制御装置「野臥間」で姿勢制御し、飛空艇から飛空艇へと飛び回り交戦する。
忍びとして鍛えた【見切り】の技と【早業】で羽の攻撃を回避しつつ、【飯綱の術】で攻撃する。
無数に生み出した不可視の衝撃波の刃「風魔手裏剣」を操り縦横無尽に敵を切り裂いていこう。
大空の下で思う存分に戦う、ってのも解放感があっていいもんだな。いい世界だぜ、気に入った。
『アジール王国』を侵略せんとする屍人帝国『オーデュボン』。
その概略を聞いた髪塚・鍬丸(一介の猟兵・f10718)にとって、己が成さねばならぬことは唯一つである。
いずれもオブリビオンの殲滅。
ならばこそ、彼は大軍勢を前にしても臆すること無くいつものように言うのだ。
「任務了解した。御下命如何にしても果たすべし」
それは彼にとって当然のことであったし、また己が生命を懸けるに値するものであったからこそ、疾く任務を傍さんと新たなる異世界ブルーアルカディアへと転移するのだ。
「急げ急げ! 魔獣をぶっ倒して、素材を剥ぐぞ! あれだけの群れだ、実入りは多いぞ!」
勇士たちは『アズール王国』から救援を受けて、飛空艇にて馳せ参じていた。
彼等にとって魔獣とは生きる資源そのものである。
心臓は天使核と呼ばれる動力に必要なものであるし、それ以外に血肉は糧に、骨牙は飛空艇、ないしは武装の強化にも使うことができる。
大軍勢は確かに恐ろしいものであるが、ハイリスク・ハイリターンのこの状況に赴かぬ理由はなかったのだ。
「通りすがりのなんでも屋だ。手伝いに来たぜ。一つ分前に与らせてくんな」
鍬丸はそう言って、飛空艇の勇士に協力を申し出る。
飛空艇は魔獣を討伐する意志あるものを拒まない。飛空艇の主は快く鍬丸を迎え入れ、空へと飛び上がっていく。
「いや、こっちこそ手数は多いほうがいい。んで、小型の飛空艇は必要かい?」
「いいや、俺には自前がある」
「ほう、ロケットナイト……ではないが、見たことのない装備だな。当てにしてるぜっ!」
ああ、と鍬丸は己の忍鎧である宇宙服を改良した忍び装束に備えられたスラスターを噴出させ、空へと舞い上がる。
マフラーが風にたなびき、慣性を制御し大空を舞う姿は直線的な動きの多いロケットナイトとはにても似つかぬものであったことだろう。
だが、魔獣『ブレイドホーク』に相対するのであれば、この装備こそが最適解であったことだろう。
敵は翼に寄って自在に軌道を変え、その羽一つ一つが刃となって敵対者を切り裂くのだ。
「足場を借りるぞ」
鍬丸は次々と飛空艇を足場にして『ブレイドホーク』たちと壮絶なる空中戦を繰り広げる。
彼を狙って飛ぶ『ブレイドホーク』たちの群れを一匹たりとて己の前に出すことなく、次々と放つ手裏剣でもって撃ち落としていくのだ。
「これぞ飯綱の術(イヅナノジュツ)の術」
そう、彼の放つは手裏剣であっても、不可視なる衝撃波の刃である。
縦横無尽に空を駆け抜ける鍬丸の姿は、まさしく天雷の如く。
勇士たちは己の飛空艇を足場にしてもらおうと、見事な操舵で鍬丸をアシストしてくれる。
「かたじけない。次は、このポイントを」
「ああ、任せておけ! アンタを雲海の下に落とすのはあんまりにも惜しい。俺たちの飛空艇を十分に使ってくれよ!」
勇士たちのアシストを受けて鍬丸は大空の下を駆け抜ける。
それは完全な飛行ではなかったけれど、誰にはばかることなく戦うことができるのは、普段の彼の忍びとしての戦いから考えれば開放感に溢れたものであったことだろう。
「良い世界だぜ、気に入った」
だからこそ、鍬丸は己の全身全霊でもって戦うのだ。
放たれた風魔手裏剣が次々と『ブレイドホーク』たちを撃ち落とし、さらに飛空艇を足場にして飛ぶ鍬丸は勇士たちの間で天雷の騎士として名をはせることであろう。
勇士や浮遊大陸に生きるものにとって魔獣は糧。
ならばこそ、それらを尽く葬り去る鍬丸は確かに忍びのものではなく、英雄として目されるのも無理なからぬことであった。
だが、鍬丸自身はそうとは知らず。
けれど、解放感という充足によって彼はブルーアルカディアの空を縦横無尽に駆け抜け、その戦果をちゃくちゃくと積み重ねていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私 冷静沈着
空中戦…となると、私向きではありますね?
この世界の人の反応を見るに、あまり傷つけない方がよさそうです。
では、兵たちを呼び出しまして…109ですから、私を加えて110と考え、五班にわけて別の飛空艇へ振り分け。
そして、一斉に魔獣へ向かって麻痺呪詛のついた矢を。
防御には弓を起点とした結界術を。ええ、分乗させたのは、なるべく広く結界術を張るためでもあったのです。
そして、あれは無差別と見ましたから…同士討ちになってますね。
ブルーアルカディアは無数の浮遊する大陸のみが生命の生存圏である。
雲海に大陸が沈めば、全てが消滅する。
そして戻ってくるのだ。
屍人帝国として。それが『オーデュボン』であり、今まさに『アジール王国』に侵略してきた存在である。
彼等が使役する魔獣たちは浮遊大陸に住まう人々にとっては生きる資源である。
魔獣の肉は食料に。
骨牙は飛空艇の強化に。
毛皮や羽は暖を取るために。
そうした生活に根ざした使い道がある。
何よりも魔獣の心臓である天使核は浮遊大陸においては切っても切り離せぬものである。
「なるほど。魔獣とは災厄でありながら生きる糧でもあるのですね」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱である『静かなる者』は戦局を見定める。
すでに多くの猟兵たちが戦いに赴くために飛空艇に乗り込んでいる。
『静かなる者』もまたそうした者の一人である。
「空中戦……となると、私向きではありますね?」
その瞳がユーベルコードに輝く。
同時に陣笠に数字の刻印された弓足軽たちが召喚される。全てで109を数える彼等を『静かなる者』は別々の飛空艇に振り分けて配置する。
「援護の者たちよ、ここに」
彼の言葉と共に配置された弓足軽たちが一斉に弓を引く。
それは兵のように(ヘイニジョウセイナシ)熟練為る指揮のもとに繰り出される狩りそのものであった。
一斉に放たれた弓矢には麻痺の呪詛を込めている。
「ギャァァァ!!」
けたたましい雄叫びが『ブレイドホーク』から響き、次々と魔獣の群れを射抜いていく。
例え、一矢で打倒することができなかったとしても、麻痺の呪詛を込めた弓矢は彼等の羽ばたきを阻害し、浮遊大陸の上へと叩き落とすであろう。
しかし、再び羽ばたこうと大地でもがく『ブレイドホーク』たち。
「やはり一撃では無理でしょうね。ですが……」
『ブレイドホーク』たちが一斉に刃の羽を羽ばたかせる。
それらは直撃を受ければ飛空艇とてひとたまりもない攻撃である。けれど、その刃の羽が飛空艇に届くことはなかった。
何のために弓足軽たちを班にわけて展開させたのか。
それは『ブレイドホーク』からの攻撃を防ぐために弓矢を起点とした結界術をおこなうためであった。
「なるべく広く結界術を張るためでしたが……無差別に放つ刃の羽。それらは囲いの中で暴れるのであれば、己の味方をも傷つける刃となりましょう」
結界術という囲いの中で放たれた刃の羽は、『ブレイドホーク』たちを同士討ちのように傷つけ、その身を切り刻んでいく。
例え弓矢で打倒できなくても機転を利かせれば、このように労力を割かずに敵を打倒することだって可能なのだ。
「あまり傷つけないほうが良さそうでしたが……ふむ」
無差別なる翼の刃は『ブレイドホーク』たちを切り刻み、その骸を晒す。
これでは羽や革は使えないだろう。
「まあ、いいさ。どちらにせよ心臓の天使核さえ回収できれば御の字ってやつだ」
飛空艇の勇士たちが笑う。
彼等にとって天使核こそが最重要なものであり、血肉や骨牙は副次的なものに過ぎない。
このブルーアルカディアという世界は、『静かなる者』にとってどのように映っただろうか。
生きるためにあらゆるものを利用する。
それはある意味で最も原始的な世界であると言えるのかもしれなかった――。
大成功
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アドナ・セファルワイド
アジール王国よ!
余が手を貸してやろう!
我が名はアドナ・メレク・ベル・セファルワイド!
セファルワイド帝国皇帝なり!
そういった青髪の長いウェーブヘアをポニーテールにしたチンチクリンが威厳たっぷりにそれから現れる
富国強兵は心ある力を持って行ってこそ意義がある
ゆえに見過ごせん。心無き富国強兵などはな!
そう叫ぶと同時、UCで余の騎士10人の内5人が余とアジール王国の勇士を護衛し、もう5人が戦列を離れたブレイドホークを追っていく
これで企みはある程度阻止できるであろう。後は誅戮のみよ!
殺竜武器を余も装着した皇帝天鎧から出現させ、それを触媒に大規模な広範囲戦略魔術を行使していく
国を国たらしめるのは民であるが、大地を失った国もまたその体裁を整えることは難しい。
多くの帝国が雲海に沈んだように、アドナ・セファルワイド(セファルワイド初代にして最後の皇帝・f33942)を最初にして最後の皇帝としたセファルワイド帝国もまた同様であった。
自治州として巨大な飛空艇を己の居城としていることを除けば、彼女は彼女自身をして国を体現する存在であったことだろう。
「アジール王国よ! 余が手を貸してやろう! 我が名はアドナ・メレク・ベル・セファルワイド! セファルワイド帝国皇帝なり!」
彼女の宣言が巨大な飛空艇より響きわたる。
青髪を風になびかせ、その威容を伝えるような声は確かに皇帝そのものであったかもしれないが、その姿は声に似合わぬ背丈であった。
それを茶化す者もまたいなかった。
今は無数の『オーデュボン』より飛来した魔獣たちへの対処に猟兵たちも勇士たちも人員を割かれている。
それほどまでに敵の数は膨大であるのだ。
威厳たっぷりに宣言したアドナは威厳たっぷりに現れたことに自身で非常に満足行くものであったのだろう。
『ブレイドホーク』と呼ばれる魔獣たちが己の居城である飛空艇に迫り、その尻尾の尾に備えられた刃が飛空艇を傷つけようと迫る。
しかし、その刃は飛空艇に届くことはなかった。
「皇帝の名の元に宣言する。我が騎士は竜殺しの偉業を成し、帝国の大地無くとも皇帝の威光を照らし続ける」
その言葉と共に現れたセファルワイド帝国騎士が尾の一撃を剣で受け止めていた。
帝の名の元集え殺竜たる偉業を成す我が騎士達よ(ゲオルギウスナイト・ザ・セファルワイド)と号令を告げるアドナによって10人の帝国騎士たちが戦場となった空を駆け抜ける。
「富国強兵は心ある力を持って行ってこそ意義がある。故に見過ごせん。心なき富国強兵などはな!」
アドナは5人の帝国騎士たちに別働隊として動いた『ブレイドホーク』たちを追わせる。
彼等はアドナの命にうなずき、残った5人は帝国の守護にあたるのだ。
「これで企みはある程度阻止できるであろう。後は殺戮のみよ!」
帝国騎士たちが『ブレイドホーク』たちを切り捨てる。
アドナの宣言に寄って帝国騎士たちはたった5人でありながら『ブレイドホーク』たちを圧倒していく。
飛空艇に近づく『ブレイドホーク』は須らく鏖殺せしめられ、後に残るのはオブリビオンの心臓たる天使核だけである。
その力の凄まじさは言うまでもない。
これが竜殺したる所以であろう。
その力の一端こそが帝国の驚異的な国力そのもの。しかし、突出すれば猟兵とそれに類するものであっても勝ち目がないのが現状である。
もどかしさを感じつつも、アドナは味方との足並みを揃えるべく己の居城である飛空艇を動かす。
戻ってきた五人の帝国騎士達を合流を果たし、アドナは彼等が見た青い鎧の巨人の仔細をを知る。
5mほどもあろうかという巨人は『ブレイドホーク』に追われながらも、足を止めることなく森の深くへと進んでいったようである。
「なにか目的があったのか……? 『オーデュボン』の侵略に構っていられないような……」
今の時点でわかることは、これくらいであろう。
しかし『オーデュボン』の先遣隊を退けたとしても、続く本隊もまた膨大な数である。
アドナはこれに備えるように巨大な飛空艇をもって本隊の襲来に備えるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
鈴久名・紡
森に向かったのは後で討ち取れば良いだろう
ひとまずは、眼前の群れを討ち取ろう
ある程度まで載せて貰えれば構わない
戦闘空域に到達したら礼を述べてから
俺は魔獣じゃ無いんで、攻撃しないでくれると助かる
そう言い置いて竜神飛翔使用
戦場に散る攻撃が届く全てのブレイドホークに雷を放つ
雷そのものは弱いものだが
これで少しでも敵の挙動が鈍れば勇士達も攻撃しやすいだろう
俺自身は槍に変化させた禮火で攻撃し
浮遊型の盾に変化させた葬焔で防御を
切断しようと奮われる尾を部位破壊
尾を破壊した敵は禮火で確実に貫いてとどめを
敵の攻撃は見切りと残像で回避
但し、回避する事で飛空挺に攻撃が及ぶ場合は
その場でオーラ防御で防いでカウンターで対処
屍人帝国『オーデュボン』の差し向けた先遣隊は『ブレイドホーク』と呼ばれる魔獣で構成された膨大な軍勢であった。
その先遣隊が何故か二手に別れたのは猟兵たちにとっては不可解なことであった。
「森に向かったのは後で討ち取れば良いだろう。ひとまずは――」
そうつぶやいたのは、鈴久名・紡(境界・f27962)であった。
彼にとって大事なことは、今眼前に迫る『ブレイドホーク』の群れの殲滅である。
飛空艇に相乗りさせてもらった紡が見据える先には、多くの猟兵たちが打倒下とは言え、未だ数を誇る『ブレイドホーク』が羽ばたいている。
「気をつけろ、あの尾はなんでもかんでも両断してしまう! 小型の飛空艇程度であれば、真っ二つだぞ!」
勇士たちが紡に告げる。
彼等はこれまで多くの魔獣を打倒してきたのだろう。
それは魔獣が生きる資源であることにほかならない。浮遊大陸という陸地を限られた範囲でしか持たぬブルーアルカディアの人々にとって、魔獣とは資源そのものである。
こちらよりも彼等のほうが魔獣に対する知識が深いのもまたうなずけるもおんであった。
「わかった。助言ありがとう。しかし……」
そう告げた紡の身体がユーベルコードの輝きに満ちていく。
それは完全なる竜体へと変貌を遂げた紡の姿であった。光の中から現れた竜は、勇士たちにとっては魔獣そのものであったことだろう。
だからこそ、紡は言葉を重ねるのだ。
「俺は魔獣じゃないんで、攻撃しないでくれると助かる……にわかに信じがたいとは思うが……」
「いや、わかってるぜ! わかった! 周りの飛空艇の連中に周知しておくから思う存分暴れてこい!」
勇士たちの言葉に押されて紡は、竜神としてブルーアルカディアの空を飛翔する。彼が空を舞えば戦場に降り注ぐは雷である。
雷自体はそう強力なものではないが、それでも常に放たれる雷撃は『ブレイドホーク』たちの連携を、そして動きを乱すものであった。
「すげぇな! 雷撃が『ブレイドホーク』の連携を断っている……なら!」
勇士たちが次々に飛空艇から砲撃を行い、『ブレイドホーク』たちを失墜させていく。
「尾が脅威であると言ったな……!」
紡は槍に変化させた神力を放ち、『ブレイドホーク』たちの尾を切り裂いていく。雷撃と共に飛翔する彼を捉えられる『ブレイドホーク』など存在していなかった。
どこまで言っても魔獣と竜神である。
ならばこそ、空の覇者がどちらであるかなど言うまでもない。
「ここまでは上々……! 飛空艇の損耗はないか」
紡にとって飛空艇は勇士たちの足場であると同時に他の猟兵たちの足場でもある。彼等を失っては、この戦いに勝利することはできない。
ならばこそ、彼は完全なる竜体を翻し、『ブレイドホーク』に襲われている飛空艇をかばうようにオーラを展開し、身を挺するのだ。
「す、すまねえ!」
「構わない。それよりも回避行動を取ってくれ。このままでは狙い撃ちにされてしまう」
紡はわかっていた。
敵は魔獣である。統制が取れているとは言え、本質的には獣と同じなのだ。彼等が猛禽の類である以上、弱った飛空艇や勇士たちを狙うだろう。
そうなれば、数で拮抗する軍勢は徐々に押されていって、食い破られてしまう。
ならばこそ、紡は護るのだ。
それこそが己の矜持の発露であると言わしめるように天駆ける竜として、その力を存分に振るい、神力を発現させ続ける。
雷撃に聞こえる紡の咆哮。
いつまでも続く戦いの音は、『オーデュボン』の先遣隊が壊滅するまで鳴り響き続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
どこもかしこも忙しいわね、まったく。
オブリビオンの骸を利用して成立する文明か。骸の海からの帰還者がいなければ維持出来ない世界。そこに神の祝福はあるの?
ま、通りすがりの余所者の感想よ。
それじゃ、飛鉢法で空に上がり、交戦を始めましょう。
「結界術」「範囲攻撃」魂の「属性攻撃」「全力魔法」「一斉発射」「貫通攻撃」「仙術」「道術」で落魂陣展開。陣内に無数の大判呪符を垂らしそこに書かれた呪文から魂魄を消し飛ばす光線を敵群に向けて撃ち放つ。
大した自我のない魔獣の魂魄が、落魂陣の攻撃に耐えられるとは思わない。
獲物は綺麗な方がいいんでしょう? これなら傷一つ無く綺麗なものよ。
手早く回収してね。すぐ次が来る。
ブルーアルカディア、その浮遊大陸の一つでは屍人帝国『オーデュボン』との大規模戦闘によって騒然としていた。
魔獣である『ブレイドホーク』が乱舞し、飛空艇が猛追する。
ユーベルコードが飛び交い、失墜する魔獣にトドメを刺す勇士たちが手にしていたのはオブリビオンの心臓である天使核である。
天使核とは浮遊大陸を浮遊させるために必要な動力そのものである。
これがなければ、大陸は全て雲海に沈み消滅してしまう。
だからこそ勇士たちはこれをこぞって求め、戦いに赴くのだ。
まさに原始的でると言わざるを得ない世界であったが、己たちが滅びぬために弛まない戦いに挑む姿は、生きる活力に満ち溢れているようでも在った。
「どこもかしこも忙しいわね、まったく」
そんな中、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は嘆息していた。
彼女にとって、ブルーアルカディア世界はオブリビオンの骸を利用して成り立つ世界として認識されている。
骸の海から染み出すオブリビオンの存在がなければ生存することすら難しいというのは、彼女にとっては理解し難いものであったのかもしれない。
「そこに神の祝福はあるの?」
勇士に尋ねる。
彼女にとって満足の行く答えであるかはわからないが、天使核を取り出す勇士はそれが当然のことであるように言うのだ。
「そうしなければ生きられないのなら、座して滅びるのが正しいのかよ。俺にはわからないが……人が生きるのに神の祝福を待っていられない時だってあるもんさ」
「ま、通りすがりの余所者の感想よ」
忘れて、とゆかりは鉄鉢と共に空へと舞い上がっていく。
空を飛ぶ魔獣『ブレイドホーク』の姿は未だ空を埋め尽くすほどであった。
多くの猟兵たちが飛空艇や自前の手段でもって、繰り広げる大空戦は凄まじいものであった。
勇士たちにとってみれば、絶望的な状況であったのかも知れないが、猟兵たちが加わったことによって勝利も現実味を帯びてきていたのだ。
「まったく現金なこと。古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。心身支える三魂七魄の悉くを解きほぐし、天上天下へと帰らしめん。疾!」
ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
それは魂魄を吹き飛ばす呪詛を込められし、無数に浮かぶ呪符の光線の輝きであった。
その一撃は肉体を傷つけることはしない。
魂魄のみを砕く落魂陣(ラッコンジン)である。魔獣たちがブルーアルカディアに生きる人々にとって資源であるというのならば、何もかも綺麗に利用するためである。
できるだけ傷をつけぬ戦いというものができるのならば、それはゆかりにとってしない理由を探すだけ無駄な時間であったことだろう。
「大した自我のない魔獣の魂魄が、落魂陣の攻撃に耐えられるとは思わない……獲物はきれいな方がいいんでしょう? これなら傷一つないわ」
ゆかりは勇士たちに声を懸ける。
勇士たちは、あくまで分け前に与ろうとすることはしようとしても、仕留めたゆかりがそれをほっしないのを不思議に思ったのだろう。
「あんたが仕留めたんだ。天使核は持っていってくれよ。それが仕留めた人の特権なんだから」
勇士たちの言葉にゆかりは頭を振る。
自分には必要のないものであるし、それに今は時間がないのだ。
「いいえ。手早く回収して。すぐに次が来るのよ。あくまでこれが先遣隊であるのならば、次に来る本隊こそが本命。だから、できるだけ敵戦力を削ぎたい」
だからこそ、ゆかりは鉄鉢に乗って新たなる敵を求め飛ぶのだ。
彼等に必要なものであれば、彼等が使えばいい。
何も無駄にすることなく、神の祝福さえも求めない。
自力でもって己の道を切り拓こうとする勇士たちはきっとブルーアルカディアにおいて必要な力なのだろう。
彼等の道行きがどれほど困難なものであったとしても、魔獣の血肉を持って輝く生命力を眩しいと思うほどに彼等は活力に満ちていた。
ならば、ゆかりは己の為すべきことをなそうと思ったのだ。
彼等の生きる道を雲海に沈めぬために――。
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
天空の世界。
不思議な感覚ですが、人々が精一杯生きているのなら、お手伝い致します。
魔獣の群れを狩る事が、任務遂行にも人々の生活にも役立つのであれば、できるだけ傷つけないように。
乗り込んだ飛空艇の勇士さんに、攻撃を受けない様に、魔獣の群れからある程度(50~100m程)の距離を保つようお願いします。
船首に立って響月を口に当て、UC&楽器演奏&音の属性攻撃&範囲攻撃を行い、魔獣達を外傷無く倒します。
接近してくる魔獣対策として飛行艇周囲に結界術で防御壁を展開。
更に衝撃波を放って弾き飛ばしたり、オーラ防御を纏った天耀鏡の盾受けで攻撃を防いだり、神罰を宿した煌月を念動力で操作して貫通攻撃で倒したりします。
その世界に大地はなく。
空に放逐された人々は浮遊する大地を生存圏とし、魔獣の血肉、骨牙でもって飛空艇を生み出し糧とする。
あまりにも原始的。
されど、そうしなければ大地は雲海に沈み消滅してしまう。
消滅した国はどうなるのか。
今まさに攻め込んできている屍人帝国『オーデュボン』のようにオブリビオンを満載した一つの敵意となって人々を襲うのだ。
それが天空の世界。
ブルーアルカディアである。不思議な感覚を覚えながら、人々が精一杯生きているのならば、それを助けるのが神たる己の務めであると大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は奮起する。
新たなる世界にも臆することなく彼女は飛空艇に乗り込むのだ。
「よろしくお願いいたしますね」
あくまで礼儀正しく。詩乃の佇まい、所作は勇士たちにとっては奇異なるものであったが、魔獣と戦う意志を持つものを拒むことがないのが、ブルーアルカディアの飛空艇である。
彼女を載せた飛空艇は大空へと飛び立ち、魔獣舞う戦場へと向かう。
「気をつけろよ、お嬢さん。連中の尾は鋭い刃だ。触れればたちまちに両断されてしまう」
勇士がそう告げ、迫る『ブレイドホーク』が振るう尾の一撃が小型飛空艇を両断する姿を指差す。
「危ない!」
詩乃は思わず飛び出していた。
小型飛空艇から脱出する勇士の一人の体を掴んで、船首へと戻るとたおやかに微笑む。
「す、すまない……あっ、おい! 危ないっ!」
助けた勇士が船首に立つ詩乃目掛けて『ブレイドホーク』が殺到するのを見て、彼女をかばおうとするが、詩乃は微笑んで龍笛に唇を添える。
奏でられるは、帰幽奉告(キユウホウコク)。
魂と精神に訴えかける音色は、彼女が指定した全ての『ブレイドホーク』へと影響を及ぼす。
彼女は魔獣である『ブレイドホーク』を外傷無く打倒しようとしているのだ。
奏でられる音色は美しくもユーベルコードの輝きに満ちていた。それを聞いた全ての『ブレイドホーク』は例外なく魂を砕かれ、失墜していく。
彼等が魔獣として人々の生きる糧であるというのならば、外傷がないほうが無駄に為ることがないであろうと判断してのことであった。
「この曲は貴方達の葬送の奏で。音に包まれて安らかに眠りなさい」
飛空艇の船首に立つ彼女の姿は荘厳そのものであった。
張り巡らせたオーラと周囲を飛ぶ天鏡が彼女の身に危険を及ばすことはない。神ならざる勇士たちにとって、その姿は神々しいものであり、同時に恵みそのものであった。
「敵の数は未だ多いですが……皆様の手助けがあれば、これを駆逐することも叶うでしょう。どうかご助力をお願い致します」
そう言って微笑む詩乃の姿に勇士たちが声援でもって応える。
龍笛の音色は、それだけで『ブレイドホーク』の魂を砕くが、それ以上に音色がある限り勇士たちは恐れず、巧みなる操舵でもって次々と『ブレイドホーク』の群れを追い込んでいく。
囲い込んでしまえば、どれだけ空を自由に飛ぶ魔獣であろうと自在には動けまい。
「魔獣を狩ることが、人々の生活に役立つのであれば……今は戦いましょう。奏でましょう」
詩乃の瞳がユーベルコードに再び輝き、龍笛の音色が響きわたる。
それは魔獣たちにとって滅びの音色そのもの。
故に戦場には葬送の調べが常に響き渡り、戦いの終結を早まらせるように詩乃は奏で続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
クルル・ハンドゥーレ
アドリブ連携歓迎
おお、見渡す限りの魔獣!
此処までくれば壮観やねえ
これ見て稼ぎ時やゆう勇士の兄さん姐さんたちも頼もしいこと
稼ぐんも協力させて貰うから、
足場、どうかよろしゅうね
羽ばたくんには羽根必須やろ
ならその羽根、凍らへんなら丸焼けにさせてもらおか
先制攻撃でUC展開
薙刀から溢れ出る火焔と雷霆でローストに
あ、羽根素材…ごめん
折角ダメージ与えた奴を回復されるんもなんや
一撃で墜ちへんかった敵駆除すべく
勇士さん達にポイント指示
限界突破のスピードで空中機動・空中戦駆使しつつ
マヒ攻撃・破魔・範囲攻撃で止めを
離れてく敵がおる?
伏兵になられても厄介や
追っかけてUCで可能な限り潰させて貰う
「おお、見渡す限りの魔獣! 此処までくれば壮観やねえ」
クルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)の琥珀色の瞳に映る膨大な数の魔獣『ブレイドホーク』群れは、まさしくその言葉の通りであった。
空を埋め尽くす大群。
猟兵たちと勇士たちによって駆逐されてはいるが、未だ己の獲物は掃いて捨てるほどもあると思えばこそ、クルルは飛空艇に勢いよく乗り込むのだ。
「勇士の兄さん姐さんたちの頼もしいこと。稼ぐんも協力させてもらうから……足場、どうかよろしゅうね」
そう告げるクルルに飛空艇の持ち主であろう勇士の女性が親指を立てる。
気風の良い姉御肌の勇士なのだろう。
彼女たちと共にクルルは大空へと飛び立っていく。
「連中はあの翼でもって強風を起こして近づかせなかったり、仲間を守ったりする。それに刃としても使えるくらい鋭いから気をつけるんだよ!」
勇士の言葉にクルルはうなずく。
凍らぬ羽。
それが『ブレイドホーク』を素材とする上で重要な情報であったし、魔獣としての特性を知れたことはクルルにとって大きかった。
「強風を生み出す羽ばたき、か……なら羽必須やろ。その羽、凍らへんなら丸焼けにさせてもらおか」
その瞳がユーベルコードに輝く。
羽があらゆる行動の基点となる魔獣であるのならば、クルルにとってそれは大した問題ではない。
空を自由に飛ぶ魔獣であれど、攻防一体の羽さえ潰してしまえば、後は楽なものである故に、彼女のユーベルコードが生み出すのは狂奔する雷霆と火焔の嵐である。
「きたれ霹靂、きたれ炎獄――此処を敵の奈落となさん――」
霹雷炎獄陣(ヘキライエンゴクジン)。
それこそが、彼女のユーベルコード。
振るった薙刀から放たれた雷霆と火焔は『ブレイドホーク』たちを丸焼きローストにして大地へと失墜させる。
しかし、それは羽や他の素材をダメにしかねない攻撃であったことは言うまでもない。
「あ、羽素材……ごめん」
「いいさいいさ! どうせ丸焼きにして食べるにしたって『天使核』は残っているんだからさ! 遠慮なんてしないでたっぷりぶちかましてやんなよ!」
気風の良い女傑でよかったとクルルは胸をなでおろす。
今のユーベルコードで弱った『ブレイドホーク』たちを討ち漏らすことはしない。
クルルは勇士たちに指示を出し、ユーベルコードに寄って弱った『ブレイドホーク』たちを討ち取っていくのだ。
だが、クルルは別働隊の動きが気になっていた。
「離れてく敵がおる?」
「伏兵に成られても厄介ってんだろ。任せな!」
飛空艇と共にクルルは別働隊として動く『ブレイドホーク』たちを追って森の方角へと飛ぶ。
クルルにとって、魔獣、オブリビオンを討ち漏らすということは、それだけ人々の生活に悪影響を与えるものである。
だからこそ、一体でも多く打倒する。逃すつもりなどないのだ。
「あれ……?」
だが、クルルが見たのはすでに打倒された『ブレイドホーク』たちの代わり果てた姿であった。
遠くに見える青い鎧の巨人。
その背中が見えるのみである。こちらに構うことなく離れていく青い鎧の巨人。生物ではないことは確かであるが、クルルは少しだけ違和感を感じていたかもしれない。
「あれも天使核で動いているっていうんなら、なんで離れていくん?」
「わからないけれど……あれがこっちの敵じゃないってんなら、設けもんだね。奴さん、天使核には目もくれずに歩いていっちまっている」
このブルーアルカディアに生きる者であれば、誰しもがしる天使核の重要性。
それを必要としないのは何故なのか。
新たな疑問を感じつつ、クルルはこれより訪れる本隊と正規軍の激突に間に合わせるために再び戦場を疾走るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
イングリット・ジルニトラ
※アドリブや他猟兵との連携はOKです
イングリット・ジルニドラ参戦だよ。
エターナルアルカディアの空よ。私は帰ってきたぞー(注:実質幽霊船)
私はガレオノイド。空は自分で逝く。
飛空艇に変形するよ。
(墜落船がようやく飛べるまで回復した程度のボロボロの飛空艇)
昔の栄光を取り戻す為、君たちの命も糧にさせてもらおう。
艦首回頭。艦載砲、各種主砲でブレイドホークを撃墜する。
(砲弾が全て呪詛込み。まごうこと無き幽霊船である)
ヤレヤレ、昔に比べて随分と遅くなったものだ。
その飛空艇の名を知る者は多くはない。
ある小国に属していた飛空艇。その名をジルニトラ級陸番艦イングリット。
屍人帝国のオブリビオンとの戦闘で轟沈し雲海に消えた飛空艇。
しかし、その飛空艇は果たして本当に雲海に沈み、消滅したのだろうか。後世の歴史家は黙して語らず。
しかし、『アジール王国』の危機に再び不浄せしめたその姿は、まさしく幽霊船と呼ぶにふさわしい威容であった。
「ブルーアルカディアの空よ。私は帰ってきたぞー」
ガレオノイドであるイングリット・ジルニトラ(ガレオノイドの翔剣士・f33961)の声が世界にこだまする。
かつて轟沈したジルニトラ級陸番艦イングリットは今此処に、かつての巨大飛空艇の威容を取り戻したのだ。
だが、彼女は知っている。
屍人帝国の、オブリビオンの暴虐が如何なる生命をも許さぬことを。
己を墜としたオブリビオンへの怨念こそが、己の原動力であることを。
内部に秘されているであろう天使核が燃えるように動力を生み出していく。怨念と混じり合って、凄まじい力を生み出しているのだ。
「私はガレオノイド。空は自分で征く」
人型から飛空艇の姿にユーベルコードの輝きに寄って変形した彼女の威容は、まさに幽霊船。
激戦の末に沈んだ飛空艇が漸くにして空へと飛び立つ事ができる程度にしか回復していない損傷具合。
例え、再び空へと飛び上がったのだとしても、オブリビオンによってまた撃墜されてしまうことは免れないであろう。
「ギィァァァァ――!」
けたたましい鳴き声と共に魔獣である『ブレイドホーク』が群がるようにしてイングリットへと迫る。
だが、イングリットは己がガレオノイドとして再び空へと飛び上がることを阻む魔獣たちを見据える。
そう、魔獣は生きる資源である。
ならばこそ、今ボロボロの状態である己を修繕強化するために最も必要なのは魔獣の血肉ではなく骨牙と天使核である。
それが向こうからやってきているのだ。これを利用しない手などない。
「昔の栄光を取り戻す為、君たちの生命も糧にさせてもらおう。艦首回頭。艦載砲、各種主砲用意!」
かつて、その巨大なる飛空艇の威容は洗練されながらも機能美に溢れていたことであろう。
今は見る影もない。
けれど、それでもイングリットは己の中にあるオブリビオンへの怨念を原動力として凄まじい砲撃を『ブレイドホーク』たちに見舞うのだ。
オブリビオンへの呪詛が込められた砲弾は『ブレイドホーク』たちをたちまちのうちに撃ち落としていく。
「な、なんだあの飛空艇……! あれで飛んでいるのか……?」
共に空戦に飛び立つ勇士たちが目を向く。
それほどまでにイングリットの姿は異様であったのだ。
ゆっくりと砲撃の雨を振らせながら久方ぶりの空へと舞い上がるイングリットは、己の機能が十全でないことを知る。
「ヤレヤレ、昔に比べて随分と遅くなったものだ」
未だ本領を発揮こそしてはいないものの、それでもイングリットは砲撃に寄って撃ち落とされていく魔獣達を見やる。
完全な修繕には足りないであろうが、ないよりはマシというものである。
「あれは、まさか……!ジルニトラ級陸番艦イングリット! まだ現存してたのか!」
「……私を知る勇士もいるか。ならば、なおのこと醜態はさらせんな。全砲門開け! 勇士達の道を開いてやるとしよう」
イングリットは勇士たちの言葉に応えるように、備えられた砲門を開き、一気に砲弾を雨のように振らせ魔獣の群れを霧散させるように滅ぼしながら、屍人帝国の先遣隊を蹴散らすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
西院鬼・織久
この世界にも我等が敵は存在するようです
暗く淀んだ彼の空が青く広がる様を一足先に見れた気分でしたが
狩るべき敵の血肉を啜り、諸共塗れるは我等が定め
悉く狩り尽くしてくれよう
【行動】POW
五感と第六感+野生の勘を働かせ周囲を把握し瞬間思考力+戦闘知識を活かして敵味方の行動を予測
先制攻撃+UCで飛翔し自由自在なUCの軌道を活かして残像+フェイントで翻弄しながら攻撃を見切り、集団からはぐれた敵にUC+串刺し怨念の炎で傷口を抉る
集団で固まるなら一体を夜砥で捕縛、怪力で振り回してなぎ払い体勢を整える前に突撃してなぎ払い+範囲攻撃で切断して行く
一撃でとどめにならずとも怨念の炎で蝕み翼を焼くか弱らせ次の機会を狙う
世界にはオブリビオンの影がつきまとうものである。
それは時間が過去に排出されて進んでいくのならば、避けようのないことであり、骸の海より染み出す過去の化身は現在を殺し未来をも潰さんとする。
それは西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)にとって敵そのものである。
新たに発見された世界、ブルーアルカディア。
この大空こそが人の生存圏である世界にあってもオブリビオンの脅威は拭えるものではなかった。
「この世界にも我等が敵は存在するようです」
そうつぶやくのは暗澹たる気持ちであったが、しかし、暗く淀んだ世界を知る彼にとっては、空の青が広がる世界を一足先に見る事ができたのは、わずかながらに彼の心を晴れやかにするものであったのかもしれない。
だが、その空を埋め尽くさんほどの数でもって猛威をふるうのが魔獣である。
オブリビオンである『ブレイドホーク』が羽ばたき、その鋭き刃の尾を振るう度に飛空艇が傷ついていく。
この世界にあってオブリビオンである魔獣の血肉、骨牙は生存に描かせぬものである。
ならばこそ、織久は行くのだ。
「狩るべき敵の血肉を啜り、諸共塗れるは我等が定め。悉く狩り尽くしてくれよう」
その瞳がユーベルコードに輝く。
怨竜顕現(エンリュウケゲン)。それは西院鬼の吸血鬼が血に宿す竜の力の顕現である。
血の力によって発露したユーベルコードの輝きに包まれた織久は自身のオブリビオンに対する殺意と怨念の強さによって、その力を増していく。
膨れ上がっていく殺意はもとより、怨念こそが己の刃を振るう理由にたらしめるのだと言うように彼は空を飛翔する。
「我等が血に潜む竜よ、天地を遍く狩る竜翼と化せ」
『ブレイドホーク』と一瞬の交錯。
凄まじ速度で翔び、変幻自在なる機動を見せる織久を追うことができる魔獣は存在しなかったことだろう。
残像すら残す速度でもって『ブレイドホーク』を翻弄する姿は、飛空艇を駆る勇士たちをして、凄まじいの一言に尽きるものであった。
「血肉を得て、そして己の力に為していく。それがこの世界の生きるための断りならば」
放たれた超極細の糸が一瞬で『ブレイドホーク』たちを絡め取り、捕縛する。
凄まじい怪力でもって彼等を振り回し、体勢を崩した瞬間に赤黒い槍が一撃のもとに『ブレイドホーク』たちを串刺しに、怨念の炎が内側から焼滅していく。
放たれた手刀が肉を裂き、えぐるようにして心臓である『天使核』を取り出せば、その黄金のような琥珀のような核が手のうちに収まる。
魔獣程度であれば、掌に収まるサイズの核があるのだろう。
これこそが人が滅びぬための動力源となる。
「人の糧。我が怨念が誰かの生きるための活力、糧となるのならば」
己が振る殺意と怨念の力もまた無駄ではないのだろうと、織久は貫いた『ブレイドホーク』の骸を投げ捨て、さらなる獲物を目指して飛翔する。
ただ滅ぼすだけではない。
それがこのブルーアルカディアという世界の理であるのならば、彼は己の怨念こそが肯定されるものであると知る。
オブリビオンは悉く滅ぼす。
それはこれまで世界を維持するためのものでしかなかった。
けれど、この世界では違う。オブリビオンは人の生きる資源そのものである。ならばこそ、尽きぬ怨念こそがそのままに人々の生活に直結するのだと知り、そして己の刃を振るう理由が、今恨みを晴らすだけに留まらぬことを知るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
須藤・莉亜
「おお、鳥がいっぱいだ。食べ放題飲み放題って感じ。」
さてさて、この世界の敵さんの味はどんなかな?
暴食蝙蝠のUCを発動。
先ずは敵さんらを霧で覆って撹乱。んでもって僕らの牙で噛み砕いて吸い殺してあげるかな。
まあ、霧は強風で吹き飛ばされるかもしれないけど、一瞬でも動きを鈍らせられれば僕らの牙を届かせるには充分だしね。
霧が飛ばされた後も強化された戦闘能力を駆使して片っ端から敵さんらを食らって、自身の回復をしつつどんどん蝙蝠の数を増やして更に食らう事にしようかな。
「…はっ。遠慮なく食ってたけど、素材残しといた方が良いのかな?…まあ良いや。敵さんいっぱいいるし。」
空を埋め尽くす魔獣の群れ。
それら全てが敵さん、つまりはオブリビオンであることを知って須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)の表情は明るいものになっていた。
ありあまる吸血衝動をオブリビオンにのみ向けることを己の成約としている彼にとって、魔獣の群れはさながら前菜でありながら食べ放題のサービスそのものであったのだろう。
「おお、鳥がいっぱいだ。食べ放題飲み放題って感じ」
舌なめずりをする。
新たな世界であるブルーアルカディア。
この世界におけるオブリビオンとの戦いはこれが初めてであろう。だからこそ、気になるのだ。
彼等がどんな味をしているのか。
それだけが莉亜の興味の対象であり、全てであったのだ。
「血も肉も全部、僕のモノ」
この世界にあって、魔獣の血肉は食糧事情を一気に解決する必要なものであったが、勇士たちにとって更に必要不可欠なのが心臓たる天使核である。
骨牙も勿論のことであるが、『ブレイドホーク』は潰しが効きすぎる魔獣であった。
故に飛空艇を駆る勇士たちは我先にと敵の群れへと突っ込んでいくのだが、『ブレイドホーク』もまたただで倒されてくれるわけではない。
なにせ膨大な数が迫っているのだ。
巨大な翼を羽ばたかせるだけで強風を生み出し、己たちに近づけさせない。
「くそっ! こんなに風が強いんじゃ……近づけない!」
勇士たちが歯噛みするのを尻目に莉亜は全身を無数の蝙蝠に変化させ、さらには周囲を霧で覆っていく。
それは不可思議な霧であったことだろう。
強風が荒ぶというのに霧が全く晴れることはない。
莉亜のユーベルコードに寄る霧は、彼が存在している限り晴れることはないのだ。
「それじゃ、頂き、まーす」
無数のコウモリが一瞬で『ブレイドホーク』の一体に群がり牙を突き立てていく。絶命の咆哮が響きわたる中、一瞬で黒い蝙蝠によって包まれた『ブレイドホーク』の姿が消えていく。
そう、ただの一瞬で全ての血肉を吸いつくされた『ブレイドホーク』が干からびた姿となって大地に失墜していく。
あまりにも凄絶な姿に勇士たちが息を飲む。
「……ッ!」
「……はっ。遠慮なく食ってたけど、素材残しといた方が良いのかな?」
莉亜は思わず全てを吸い尽くしてしまったが、はたと気がつくのだ。
血肉だけをごっそり戴いたから心臓である天使核や骨牙はまだ残っている。ならば、それで十分だろうと思ったし、なにせ数が膨大なのだ。
まだまだ勇士たちの分け前は十分であろう。
「それにしても、この世界の魔獣、敵さんは美味しいね。思わず干からびさせちゃうくらいには合格点な味がするよ」
まさに暴食蝙蝠(グラトニーファングズ)。
莉亜は己の欲求が指し示す先を突き進むように、無数の蝙蝠となって新たなる獲物へと襲いかかる。
それは正体不明な怪物のように『ブレイドホーク』の群れを圧倒し続け、彼の満腹中枢を満たすには十分すぎるほどに魔獣を屠り去り続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
孔雀輪で【空中浮遊】【空中機動】を使い【空中戦】
勇士には敬語
改めて、オブリビオンの血肉を糧とするんだな。驚いてもいられないか
これ以上、先には進ませない。もう一度、堕ちろ
POWで判定
銀の魔銃のレプリカを使用した遠距離戦闘
敵の攻撃は風の【結界術】で防ぎ【受け流】すか、【見切り】で回避する
義眼の藍の災い:圧壊【重量攻撃】を付与した弾丸を【スナイパー】【範囲攻撃】で放ち、次の攻撃までの【時間稼ぎ】や【逃亡阻止】を行う
次弾は橙の災い:爆破【爆撃】の弾丸を同様に放って攻撃する
必要なら【救助活動】をするし、別の方向へ飛んだ敵にも攻撃する
ブルーアルカディアと呼ばれる新たに発見された世界。
それは空の世界でると言っても過言ではないだろう。無数に浮かぶ浮遊大陸だけが人々の生存圏であり、雲海に落ちれば消滅しかない。
しかし、雲海に沈んだ大陸は再びオブリビオン――屍人帝国として舞い戻る。
故に人々は戦いの日々を送らなければならず、また同時に大地を浮遊させる動力としてオブリビオンの心臓、天使核を必要としているのだ。
魔獣たちが持つ心臓こそが飛空艇を駆る勇士たちにとっては、実入りとなるものであったことだろう。
血肉は食料に。
骨牙は飛空艇や武装の強化に。
あらゆるオブリビオンが、彼等の生きるための糧となるのだ。
「たくましいな。勇士、と呼ばれるにふさわしい人々だ」
ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)は嵐を巻き起こす宝貝によって空へと舞い上がり、同じように飛空艇でもって空を飛ぶ勇士たちを横目に見やり、そうつぶやいた。
彼等のたくましさは言うまでもない。
敵である魔獣そのものを資源として生きるのは並大抵のことではないだろう。それは驚きだけではなく、尊敬の念さえ抱かせるのだ。
「これ以上、先には進ませない」
目の前には群れなす魔獣、『ブレイドホーク』の一群。
未だ多くの猟兵たちが戦いに参加してもなお、空を埋め尽くさんばかりの魔獣は、『アジール王国』を侵略せんとする意志にあふれていた。
「これが先遣隊でしかないというのなら、屍人帝国の戦力はどれほどのものなんだ……だが、もう一度、堕ちろ!」
そのメガリスの瞳がユーベルコードに輝く。
手にした魔銃の砲口が『ブレイドホーク』たちに向けられる。
こちらへと迫り、刃の付いた尾を振るう魔獣に向けて放たれた強化属性弾射出(エンチャントバースト)の一撃は、藍色に輝いていた。
藍色の災い、圧潰の力は弾丸によって展開され、迫っていた『ブレイドホーク』たちを一瞬で空から大地へと叩き落とすのだ。
「敵の機先は削いだ! あとは!」
再びメガリスの義眼が輝く。
橙色の輝きに満ちた弾丸は、放たれた瞬間、爆撃の力を伴って地に堕ちた『ブレイドホーク』たちの体を焼き滅ぼす。
「景気がいいな! どんどん頼むぜ。弱ったのはこっちに任せてくれていいからよ!」
勇士たちがルイスの攻撃に寄って寄らされた『ブレイドホーク』たちに殺到し、トドメを刺していく。
やはりたくましいものだな、とルイスは思ったことだろう。
彼等のたくましさは生きるためのものである。
あらゆるものを利用し、生きる姿は獣のようでもあったが、生命としての活力に満ち溢れているようにも思えたのだ。
ならばこそ、ルイスは彼等に敬意を払う。
どれだけ絶望的な状況であっても、満ち溢れる生命の力こそ、己が守らなければならないものであるとするのならば、ルイスはそれこそが『生者の盾』たる矜持を全うするに値するものだと知る。
「メガリスと魔銃のリンク強化完了、発射!」
勇士たちと連携するようにルイスは次々とメガリスの力を付与した弾丸を解き放ち、群れ為す『ブレイドホーク』たちを悉く撃ち落とし、人々に明日を生きるための糧をもたらすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
別方向に飛んでいく『ブレイドホーク』も気になるけど、
まずは本体を叩かないと、次がないよね。
わたしは、大気圏内用に改修した【リオ・セレステ】で出撃。
【E.C.O.M.S】を発動してユニットをミサイルみたいに突撃させつつ、同時に【M.P.M.S】での射撃で攻撃を仕掛けるよ。
相手は数が多いみたいだし、こっちも数で対抗させてもらっちゃうよ!
かっこよく空中戦とかできるといいんだろうけど、
数的にも時間的にも、そしてわたしの操縦技術的にも、
そんな余裕はなさそうだから、ここはユニットを突撃させて、遠距離から数を減らさせてもらおう。
いきなり500機以上の突撃をうけたら、『ブレイドホーク』だって混乱するよね!
屍人帝国『オーデュボン』の先遣隊である魔獣の群れ。
その一部が戦列を離れ、別行動を取ったのを猟兵達は知っている。あるものは追い、あるものは捨て置いた。
それは多くの猟兵がこの戦いに馳せ参じたことによって己たちの役割を理解していたからにほかならない。
別働隊と言えど、割かれた戦力は僅かなものである。
ならばこそ、本隊とも言うべき魔獣の群れを殲滅しなければ、如何に飛空艇を駆る勇士たちといえど、危ういものであろう。
「気になるけど……まずはこっちからだよね。次がないっていうのが一番困るし」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は宙間戦闘艦を大気圏内用に改修したガンシップである『リオ・セレステ』を駆り、戦場へと舞い降りる。
展開された八角形のユニットをミサイルのように『ブレイドホーク』たちに突撃させながら、多目的ミサイルランチャーの砲撃でもって畳み掛けるのだ。
E.C.O.M.S(イーシーオーエムエス)と呼ばれるユーベルコードは本来は一撃で消滅する存在を召喚するものである。
だが、一撃で消滅するのであれば、ユニットを保たせることに注力するよりも、自在に軌道を変えることのできるミサイルとして運用したほうが理にかなっていると理緒は理解していた。
むしろ、その方が効率的である。
軌道を修正するリソースと、無理にユニットを躱すためのリソースではどうしたって前者の方がリソースが軽くなるというものである。
「敵の数が多いのなら、こっちも数で対抗させてもらっちゃうよ!」
彼女の駆るガンシップに殺到する『ブレイドホーク』たちをユニットのミサイル飽和攻撃で寄せ付けない。
もう少し格好良く空中戦を決めるつもりであったのだが、そんな余裕は理緒にはなかった。
操作も、ミサイルとしてユニットを運用するのも、操作技術が追いつかないのかもいしれない。
けれど、それ以上に敵の数が膨大であることのほうが問題である。
「ここは安全に遠距離から数を減らせてもらおう」
放たれるユニットは次々と『ブレイドホーク』たちが放つ強風すらも物ともせずに爆発し、大地に失墜させていく。
「大盤振る舞いってやつだな! 撃ち漏らした奴らは俺たちに任せておけ。しっかりトドメさしてくるからよ!」
理緒のガンシップの横を勇士たちが駆る飛空艇が飛んでいく。
これもまた連携であろう。
理緒の操る500を越えるユニットが敵を押し留め、弱らせる。勇士たちは、それらを撃退し、理緒に近づけさせないようにする。
これだけの膨大な数のユニットを相手にすれば『ブレイドホーク』だって混乱に陥れられるであろう。
ならばこそ、理緒は己の役目を理解する。
「ありがとう。そっちも気をつけて」
勇士たちは皆、気風の良い者たちばかりであった。
生きるか死ぬか。
彼等にとって魔獣との戦いは生活の一部なのだろう。だからこそ、そのたくましさの中に悲壮感はなかった。
それが心地よいと思えるかどうかはわからないけれど、それでも理緒は己ができることを為すために、そのユーベルコードに輝く瞳でもって、次々とターゲットである『ブレイドホーク』をロックオンし、ミサイルと化したユニットを打ち込み続け、そのガンシップとしての役割を十全に果たすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルビィ・フォルティス
身軽に動けるのはこんな時に便利ですわね。
こちらも放ってはおけませんわよね?
翼で空を飛び、森へ向かうブレイドホークを追う
羽による攻撃は無差別攻撃、複数が固まっていてはまともに使えないはず
天使核シューズの機能で風を起こし、空中ステップにより加速し接敵
アドウェルサを使った剣技と天使核シューズを利用した蹴りで敵を落としていく
敵が少なくなり、鋭い羽による攻撃を使ってきたなら空中機動で鋭い羽を避けながら接近
薔薇の剣戟による四連撃で切り裂く
翔剣士に伝わる剣技の極み、ご覧あそばせ!
付近の敵を掃討したら敵の狙いが何だったか探るべく進行方向を捜索
次もありますし、あまり時間はかけられませんわね。
屍人帝国『オーデュボン』の先遣隊である魔獣の群れ、『ブレイドホーク』たちは一部が本隊より離れ、森の方角へと飛ぶ。
その姿を認めた猟兵達の中には、そちらを優先する者もいただろう。
別働隊に寄る何らかの策略が在った場合、これを討ち滅ぼす者もいなければならない。
その役目を果たせるだけの身軽さを信条とする者がいるのであれば、それは適所適材というものであったことだろう。
「身軽に動けるのはこんな時に便利ですわね」
そうつぶやいて、ルビィ・フォルティス(空の国の家出娘・f33967)はエンジェルの翼でもって空を舞う。
その姿は壮麗にして優美であったことだろう。
個人用の飛空艇があれば、もっと簡単なことであったのだが、彼女はその壮麗さ優美さと反比例するように金遣いが荒い。
そのために常に金欠状態であり、そのために飛空艇を個人で所有することが難しかったからこそ、今まさに彼女は自前の翼でもって『ブレイドホーク』の別働隊を追うのだ。
「と、こちらに気が付きましたわね?」
放ってはおけぬと駆け付けた森。
そこに在ったのは、こちらに背を向けて進む青い鎧の巨人めいた人型のなにかを襲う『ブレイドホーク』の群れであった。
しかし、ルビィの到来に気がついた『ブレイドホーク』たちが一斉に、その刃の如き鋭さを持つ羽でもって彼女を駆逐せんと迫るのだ。
「無差別に放つ攻撃など!」
彼女のシューズが突風を生み出す。
それは一瞬であったが天使核を内蔵したシューズであり、その動力でもって生み出された風は彼女を華麗なるステップでもって、『ブレイドホーク』たちが放った羽の攻撃の感激を縫うようにして間合いの内側へと迫るのだ。
なんたる華麗さ。
そして、その絶技を知る。
「これこそが薔薇の剣戟。我がフォルティス家に代々受け継がれし剣、『アドヴェルサ』の切れ味を身を以て知りなさい」
薔薇の花弁が舞い散り、その長剣の連撃が『ブレイドホーク』の身に刻まれる。
一瞬の交錯にて打ち込まれたのは四連撃。
それはただの四連撃であれど、全てが打ち込まれた瞬間に齎されるは『死』そのものである。
「翔剣士に伝わる剣技の極み、ご覧あそばせ!」
失墜していく『ブレイドホーク』を尻目に、再び天使核が煌めき、突風で持ってルビィは凄まじい速度で『ブレイドホーク』たちの群れの中を飛ぶ。
時に剣技によって。
時に蹴撃によって『ブレイドホーク』たちを森に叩き落とし、その生命を奪う。
しかし、彼女が戦っている最中であっても青い鎧の巨人はこちらに反応することなく歩みを進める。
「なんですの……? 徹頭徹尾こちらには興味がない……というよりも、優先されるべき目的があるとでも?」
ルビィは襲いかかる『ブレイドホーク』たちの群れを叩き、切り落としながら訝しむ。
5mほどの鎧をまとった巨人。
その手に武装はなく、ただ歩み続けることだけを目的としているような挙動。時折、襲いかかる『ブレイドホーク』を腕で振り払いながらも、まるで頓着指定ない様子。
それが気がかりであったが、ルビィには次がある。
そう、先遣隊の次に訪れるのは屍人帝国の本隊である。これを打倒しなければ、『アジール王国』は滅んでしまうだろう。
どちらが天秤において傾くかをルビィは理解している。
「仕方有りませんね。どうやらこちらに敵意があるわけではない……ということがわかっただけでも良しと致しましょう」
ルビィは遠ざかっていく青い鎧の巨人を背に、新たなる戦場へと飛び立つ。
あとに残されたのは薔薇の花弁のみ。
それは彼女が翔剣士の極みに至るための道程、その轍として残されるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
スリジエ・シエルリュンヌ
大空の世界…とても綺麗。
この世界で一目惚れして手に入れた『桜のガンシップ』で出撃します!
初めての操作ですから、落ち着いていきませんと。下手な運転をしたら大変です。
さて、とりつけられた魔砲での砲撃をしまして…その間に敵の群れに入りますね。
そして、そこで【桜火乱舞】を発動しますね。炎ですから、風でさらに激しくなりますし。
でも、できるだけ素材確保できるようにもしますね!大切なようですし。
この先に何が待っているのでしょうか?とてもドキドキしますね…!
スリジエ・シエルリュンヌ(桜色の文豪探偵・f27365)は目の前に広がるブルーアルカディアの世界に感激しきりであった。
何処までも続く雲海。
青空は澄んでいて、ここが天空の世界であることを知る。
浮かぶ大陸はどこまでも幻想的であったし、何よりもこの世界に生きる人々のたくましさは生命の輝きに満ち溢れているようにさえ思えたのだ。
だからこそ、彼女はこの世界において一目惚れをした桜のガンシップを駆り、空へと舞い上がる。
一門の魔砲が取り付けられた桜色のガンシップはご機嫌そのものであり、スリジエ本人もまた初めての操作ながらも、逸る気持ちを抑えながら大空の世界を己の瞳に映し出すのだ。
「落ち着いて。落ち着いて……下手な運転をしたら大変です」
初めての操作ながら、彼女のガンシップは空を自由に駆け巡る。
しかし、その自由な空の行路を塞ぐのが屍人帝国『オーデュボン』の先遣隊である魔獣の群れ、『ブレイドホーク』たちの翼が放つ強風であった。
強風はガンシップすらも揺らすほどであり、数多の猟兵たちと勇士たちの攻撃に寄って数を減らした彼等にとっては体勢を整えるために必要な行動であったのだろう。
「この世界に生きる人々にとって、魔獣自体が生きる資源……限られた大地であるがゆえに、敵であろうとも全てを利用するたくましさ……」
それは彼女の思い描く幻想奇譚に沿うものであったかはわからない。
わからないけれど、彼女の胸は高揚し、高鳴っていた。
だって、この先に何が待っているのかわからない。
わからないことは未知なることであり、同時に高揚を彼女にもたらす。未だ見ぬ光景を求めることは、彼女にとって当然のことであった。
だから、少しでも早く、この先の光景が見たくて強風を物ともせずに弾丸のように桜色のガンシップが『ブレイドホーク』たちの集団の中央へと突貫するのだ。
「ここに、私の力を!」
ガンシップの魔砲に込められた砲撃が乱れ打たれ、『ブレイドホーク』たちが羽撃く翼を貫いていく。
だが、それだけでは魔獣を仕留めたとは言えないだろう。
ならばこそ、彼女の瞳がユーベルコードに輝くのだ。
桜の花びらの形をした炎剣が乱舞するように『ブレイドホーク』たちを襲う。
無数の炎剣は一瞬で強風を受けて、さらなる炎と成って魔獣たちを駆逐していく。
燃やし尽くすような強烈な炎は、鋭い羽を焼き切って、彼等を大地にへと失墜させる。
「さあ、勇士の皆さん、トドメは宜しくお願いしますね」
スリジエの言葉に心得たというように勇士たちが飛空艇を駆って、失墜した『ブレイドホーク』たちにトドメを刺していく。
彼等にとっては、敵であれど資源である。
ならばこそ、素材を確保させることもまた重要なことだ。
スリジエは彼等のたくましさこそが、この世界を生き抜くのに必要であることを知る。
この浮遊大陸を浮かべさせている動力もまたオブリビオンの心臓である天使核である。
少しでも長く大陸を存続させるのであれば、天使核はなおのこと必要な素材なのだ。
「この大群で、どれだけの時間保つのかはわかりませんが……」
それでも、己の胸を高鳴らせる光景を末永く。
そう思うことは止められない。
だから、スリジエはユーベルコードの輝きに満ちた瞳でもって、この青空の世界、ブルーアルカディアを見つめるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「ほほう、ここが新たな世界か。
ここまでは借金取りも追ってくるまい」
それに、なにやらお宝の匂いがするしな!
さあ、この新天地を探検だ!
「行くぞ、ルクス、シスカ!
我らパーティの新拠点、飛空艇ステラの発進だ!
あそこで戦っておる奴らに加勢して褒美を我のものにするのだ!」
飛空艇ステラの甲板上から魔法で攻撃だ!
敵が放つ羽の回避は、シスカの操縦に任せよう!
「くくく、数だけの雑魚どもなど、いくら居ようとも消滅させてくれるわ!」
飛空艇から放った【竜滅陣】で敵の群れを吹き飛ばそう!
「これで褒美は我のもの……
って、何!?
天使核とやらを取り出すために消し炭にしてはいけなかった!?
早く言わんか!」
ルクス・アルブス
【勇者パーティ】
青い空!白い雲!そして遠くに見える翼獣の群れ!
……借金取り乗ってたりしないですよね?
え?あの翼獣を倒せばご褒美?
それはとっても勇者っぽいですね!
わかりました師匠、ここで借金返済していきましょう!
あ、しれっと『我』って言ってることについては、
後でごはん食べながらお話ししましょうね。
って、わわっ!
ステラさんが飛空挺に!? それにシスカさんがいっぱい!
で、では操船はお任せして……。
あ、師匠ダメですよ!
『天使核』とかいうのがお金になるんですから、消滅させたらただ働きですよ?
しかたのない師匠ですね。ここはわたしの演奏で……。
ステラさんの甲板に立って【Canon】で魅了しちゃいましょう!
ステラ・タタリクス
【勇者パーティー】
なるほど、私の故郷はこのような状況なのですね
正直実感はわきませんが…やることは決まっているようです
空より来る脅威
ならばご用命(オーダー)承りました
【ガレオンチェンジ】で皆様を空へ届けます
フィア様、ルクス様、シスカ様を乗せて発進
ブレイドホークへ向かって前進
シスカ様、操舵を預けます
そちらの方が上手く動けるようです
艦載砲も使えますのでそちらもどうぞ扱ってください
フィア様の魔法の反動はこちらで引き受けます
遠慮なく…遠慮なさすぎませんか?…いつも?そうですか
私も【ガジェットショータイム】で支援しましょう
…スピーカーが出てきたのですがこれは?
え、ルクス様の支援ですか?…これ大丈夫ですか?
シスカ・ブラックウィドー
【勇者パーティ】
やってきました、新世界!
わー。飛空艇だー。かっこいい!
ボク、操舵手やりたいです!
飛空挺モードのステラさんにライドオン。
おもむろにユーベルコードで分身! 飛空挺パイロットっぽい姿のカワイイ分身達と共に、飛空艇を操縦!
面舵いっぱーい!
ユーベルコード級の卓越した操縦技術で敵の攻撃をひらりひらりと回避していきます。分身が凄いだけでボク本体は操縦技術ゼロなのは秘密だぞ★
甲板のみんなは大丈夫かな?
青い空! 白い雲!
それだけ見れば、まるでバカンスかのような言葉の響きであるが、残念ながらそうではないことをルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)は知っている。
遠くに見える翼獣たる魔獣『ブレイドホーク』の大群は、空を埋め尽くさんばかりであった。
しかし、問題であることはそこではなかった。
度重なる旅路においての借金苦。
主に師匠であるフィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)の全力ぶっぱによる被害の賠償が嵩んでいるのだ。
正直に言って、もう少し魔力の使い方というのを覚えてくれれば、誰かに追われるようなことをして旅を続けなくていいというのに、師匠はそういうところに少しも頓着していないのだ。
借金取りが乗っていたりしないよね、とルクスは確認しつつ、フィアを見やる。
「ほほう、ここが新たな世界か。ここまでは借金取りも追ってはくるまい」
ふむふむと割とご機嫌である。
なにやらお宝というか、お金の匂いを嗅ぎつけたのはフラグであろうか。
「なるほど、私の故郷はこのような状況なのですね。正直実感はわきませんが……やうることは決まっているようです」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はメイド服を翻し、優美に一礼してみせる。オーダーがあれば、どんなことであれこなして見せると評判のメイドなのである。
普段はクロムキャバリアに座す猟兵であるが、この度ルクスたち勇者パーティに呼ばれてやってきたのだ。
「やってきました、新世界! わー。飛空艇だー。かっこいい!」
シスカ・ブラックウィドー(魔貌の毒蜘蛛・f13611)は何処までも無邪気であった。
勇士たちが駆る飛空艇は、空を自由に翔び魔獣である『ブレイドホーク』と渡り合っている。
その光景はまるでファンタジーそのものであり、新たなる世界での活躍を待ち望んでいるようでも在った。
しかし、彼等には飛空艇はない。
「空より来る脅威。ならばご用命(オーダー)承りました」
ステラの瞳がユーベルコードに輝き、その姿を飛空艇に変える。彼女はガレオノイドである。
自在に飛空艇へと姿を変え、フィア、ルクス、シスカの三人を載せても十分な大きさを誇る。
「ボク、操舵手やりたいです!」
シスカは早速、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
飛空艇パイロットっぽい姿のとても可愛い乗組員たち(シスカガイッパイ)と共に飛空艇を操縦する。
まさにアイハブコントロールというやつである。
「面舵いっぱーい!」
「できれば、優しくお願い致します」
ステラは己のコントロールをシスカに預け、『ブレイドホーク』の群れへと飛び立つ。艦載砲が搭載されている旨を伝えれば、分身シスカたちがとことこと飛空艇のなかの配置についていく。
二人がしっかりと働き者であるのに対して、フィアとルクスは何やら相談事であった。
「我等のパーティ新拠点。ステラの発進であるがルクスよ。なにやらお宝の匂いがするな。この新天地の探検と行く前に路銀を少々稼ぐとしようか」
「わかりました師匠、どうやらあの魔獣を倒せばご褒美があるみたいですよ。それはとっても勇者っぽいですね!」
ここでしっかり借金を返済していきましょう、とルクスは意気込む。
あ、と気がついたように彼女はフィアの鼻頭を突く。
「我って言ってることについては後でご飯食べながらお話しましょうね」
何の盟約があったのかはわからないが、何やら重要なことであるようだ。フィアはなにかごまかすように飛空艇の甲板上に立ち、指揮を取る。
「行くぞ、ルクス、シスカ! 竜滅陣(ドラゴン・スレイヤー)!」
どれだけ数がいようとも、雑魚である以上ぶっぱは欠かせないのがフィアという猟兵である。
どんだけ数を揃えようとも、膨大な魔力に寄るユーベルコードの一撃は、『ブレイドホーク』たちを一瞬のうちに吹き飛ばし、消し炭にしていくのだ。
まさに驚天動地の威力。
それは飛空艇の勇士たちも見たことだろう。
あまりの威力に空いた口が塞がらない。
「フィア様の魔法の反動はお任せください。こちらで反動を殺しておりますゆえ……遠慮なく……遠慮なさすぎませんか?」
「いつものことなんじゃなーい? っていうか、みんな甲板の上で大丈夫かな? じゃあ、分身のボクたち、艦載砲で弾幕薄いよなにやってんのー! ってやろうね!」
フィアがいつもどおりであることを確認しつつ、シスカの号令によって分身たちが艦載砲でもって弾幕を張り巡らせる。
「って、わわ、師匠ダメですよ!『天使核』とかいうのがお金になるんですから、消滅させたらただ働きですよ?」
「って、何!? そういうことは早く言わんか! 消し炭にしてしまったではないか!」
やはりいつもどおりである。
ぶっぱして、ひどい目に合う。
まあ、今回はひどい目というか、働きが割に合わないというだけの話であるのがまだ救いがあるのかもしれない。
けれど、ルクスはそうではない。
ブッパすれば師匠のお腹が空く。そうなれば、ものすごい食費が必要になるので、何をしないでもマイナスなのである。
パーティの家計簿は火の車なのである。
「しかたのない師匠ですね。ここは私の演奏で……ステラさん、お願いしますー!」
「かしこまりました。こちらのスピーカーをお使いください。……これで大丈夫なのかはいささか疑問ではありますが……」
それはフラグというやつじゃないかなーとシスカが静かに突っ込んでいた。
シスカが知っていたのかどうかは不明であるが、しっかり耳栓を分身たちもしていたのを見たところ、恐らくわかっていたのだろう。
そう、勇者ルクスの演奏は良い意味でも悪い意味でも凄まじいことを。
「私の演奏で魅了しちゃいましょう! Canon(カノン)!」
ヴァイオリンの旋律が戦場に走り抜け、その音色を轟かせる。ん? 轟かせるっておかしくない? とステラは思ったかも知れないが、オーダーがあればそれに応えるのが己の信条である。
スピーカーを介して放たれる不協和音は、後に飛空艇を駆る勇士たちから苦情が殺到する演奏であったことを此処に記しておく。
賠償問題が発生したかどうかは、まあ、なんていうか、その。
後の展開次第である――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
佐伯・晶
挟撃って事は無さそうだけど念のため
鉑帝竜には敵の別働体の様子を見に行って貰っているよ
深入りせずに一当てして様子を探ろう
レールガンやUCAVみたいな長射程の武器があるから
何とかなるかな
僕は勇士達と協力して戦おう
飛空艇からガトリングガンで範囲攻撃しつつ
飛んでくる羽は神気で時間を停めて防御しよう
数が多い時はワイヤーガンをブレイドホークに巻き付け
空中を渡りつつ射撃しながら飛空艇を渡っていこう
これも八艘跳びって言えるかな?
鉑帝竜が偵察から帰って来たら
レールガンとガトリングガンでクロスファイアし
連携して数を減らしつつ合流しようか
お待たせしたのですよー
帰ってきたとこ悪いけど、もうひと働きして貰うよ
よろしくね
猟兵たちが数多戦場たるブルーアルカディアの空へと転移し、次々と魔獣であるオブリビオン『ブレイドホーク』を打倒している中、一部の『ブレイドホーク』たちが別働隊として、森の方へと進路を変えたことを知る猟兵は多かった。
実際に挟撃を疑っていたのは、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)であるが、どうやらそうではなさそうである、という結論に至るのは、そう時間はかからなかった。
「念の為に鉑帝竜に状況を確認してもらおう」
ユーベルコードの輝きとともに現れた、式神武装白金竜複製模造体(ファミリア・アームドワイバーン)が邪神の分霊と共に森の方へと飛び立つ。
何もなければ、それでいい。
けれど、そのまま捨て置くにはあまりにも不穏な材料が整っているように晶には思えたのだ。
何が分岐点となるのかわからないのが、世界の在りようであるのならば、晶はそれらの選択肢を悉く調べ尽くす方がリスクが低いと思ったのだろう。
「それじゃあ、行くぜ! お嬢ちゃん!」
勇士たちの飛空艇に載せてもらった晶は、お嬢ちゃんじゃないんだけどな、と心のなかでつぶやく。
自分の身の上を説明してもよかったが、時間もかかるし理解してもらえるとも思えなかった。
ならば、このまま共に戦ったほうが手っ取り早いだろう。
「敵の数はやっぱり多いね……ならさ!」
早速殺到する『ブレイドホーク』たちの群れ。
放たれる刃の如き羽の乱舞は、それだけで飛空艇の装甲を引き裂き、大地へと失墜させようとするだろう。
それを防ぐために晶は己の神気でもって時間を停め、無差別に放たれた羽の乱舞の中を飛空艇と共にくぐり抜ける。
「僕が出る! 足場よろしくね!」
晶はワイヤーガンを放ち、『ブレイドホーク』に巻きつけて、魔獣事態を足場にして空中を渡り歩く。
放たれるガトリングガンの火線がブルーアルカディアの青空の下に引かれ、まるで八艘飛びの如き活躍で持って『ブレイドホーク』たちを撃ち落としていくのだ。
「これも八艘飛びって言えるかな? どちらにしたってもっと攻め込まなければ、敵の数は削れないよね」
次々と『ブレイドホーク』を足場にし、時に飛空艇にカバーされながら、晶は大空の元を飛ぶ。
浮遊大陸だけが人の生存圏である世界。
その世界にあって雲海に落ちるということは即ち生命の消滅を意味する。
だからこその飛空艇。
けれど、晶は『ブレイドホーク』そのものを足場にして華麗に空を舞う。それは勇士たちにとっては真似の出来ない芸当であったことだろう。
「おまたせしたのですよー」
そこへ、鉑帝竜が戻ってくる。
どうやら、森の方角へと向かった別働隊の『ブレイドホーク』たちは尽くが殲滅されていたようである。
猟兵たちが向かったのもあるが、そこで邪神の分霊が見た青い鎧の巨人はこちらに構うことなく森の奥へと消えたことを教えてくれる。
それが何を意味するのかはまだわからない。
けれど晶はうなずく。
鉑帝竜の肩に乗り、軽く装甲を叩くのだ。
「帰ってきたとこ悪いけど、もう一働きして貰うよ。よろしくね」
「人使いが荒いですの。もう少しいたわって欲しいですの」
「そんな暇はないよ。敵が多いからね!」
迫る魔獣の大群を前に、白金の鉑帝竜が咆哮をあげる。未だ敵の数は多いのだ。これから迫る本隊を打ち倒すために、少しでも多くの敵を打倒することこそが急務である。
ならばこそ、晶と邪神の分霊は鉑帝竜と共に魔獣の群れを分断するように戦場を引き裂くように飛翔し、次々と魔獣を叩き落としていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アレクサンドル・バジル
自由な空は良いねえ。まあ、この世界の場合、空しかねえ訳だが。
(『戦闘モードⅠ』を発動して戦場の空へ)
で、まずはアレか。
今日の晩飯は唐揚げにするかね。
膨大な魔力で増大化した戦闘力を以てブレイドホークと戦います。
超音速ですれ違いざまの魔力を宿した手刀で真っ二つとか。
敵POWUCの刃は動作を見切って二本指で白刃取りしてポキッとしてみたり。
離れていく一群を見かけたら興味本位で追撃。
追い立てる様に後ろから殲滅していきましょう。
適当なブレイドホークの身体を貫き天使核を抉り取って観察してみたり。
とりあえず開放感のある大空で暴れまわってみせます。
ブルーアルカディアの空はどこまでも雲海が続く青空の世界であった。
わずかに浮かぶ浮遊大陸だけが人の生存圏であることは記憶に新しいものである。だからこそ、青空が眩しく開放的な空は、異世界を知る猟兵にとっては良いものであるように思えたことだろう。
宵闇に沈む空。
嵐が荒ぶ空。
衛星によって蓋をされた空。
数々の世界を知るからこそ、アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は感慨深げにうなずくのだ。
「自由な空は良いねえ。まあ、この世界の場合、空しかねえ訳だが」
戦闘モード Ⅰ(ディアボルス・ウーヌム)へと移行した彼は黄金の魔力で持って己の体を多い、飛翔している。
この世界において雲海に落ちるということは即ち消滅を意味する。
浮遊大陸を浮遊せしめる動力となっているのがオブリビオンの心臓である天使核であることは、戦うことが即ち生存への第一歩であることを知らしめるのだ。
「で、まずはアレか」
彼の瞳の先にあるのは魔獣の群れ。
『ブレイドホーク』と呼ばれる翼を持つオブリビオンである。ただ、数が尋常ではない。
猟兵たちが数多駆け付けてもなお、その数に陰りが見えないことから屍人帝国『オーデュボン』がどれほどの戦力を持っているのかがうかがい知れるであろう。
しかし、アレクサンドルは欠伸でもするように言うのだ。
「今日の晩飯は唐揚げにするかね」
それは比喩でもなんでもない。
このブルーアルカディアのおいて魔獣とは、血肉、骨牙、あらゆる素材が必要とされる。浮遊大陸という限られた大地にあっては、放牧をすることも難しいのだ。
ならば、魔獣の血肉こそが得難き栄養源となるのは言うまでもないことであったことだろう。
「さあて、この世界のオブリビオンはどれほどのもんか――!」
アレクサンドルが凄まじい速度で、弾丸のように飛ぶ。
黄金の弾丸めいた彼が『ブレイドホーク』と交錯し、黄金の魔力を纏った手刀の元に尾の刃と打ち合う。
鋭き尾の刃と魔力が激突し、アレクサンドルの手刀が尾を切断せしめるのだ。
「わりと脆いようだな。なら――!」
蹴撃が『ブレイドホーク』の胴を薙ぎ払うようにして両断する。
ただの一撃で持って魔獣を圧倒する姿に勇士たちが沸き立つ。それにアレクサンドルは手を振って答えつつ、『ブレイドホーク』を殲滅し続け、まるで追い立てるように別働隊を追うのだ。
「ふむ、逃げるわけでもなければ挟撃するでもない。一体全体どういうこった?」
興味本位であったが、アレクサンドルは同じく他の猟兵もまた別働隊を追う姿を見て、訝しむ。
何が目的であるのか。
それは目の前にある青い鎧の巨人の背中であるように思えた。
しかし、青い鎧の巨人は5m程度。森の中に紛れるにはどうにも足りない。
「どこかに向かっている……? それだけが目的で魔獣には目もくれていない」
時に振り払うように『ブレイドホーク』を打倒してはいるが、それ自体が目的ではないようだ。
「ふむ……これ以上追っては本隊の到来に間に合わんか。しかし、青い鎧の巨人ねぇ……」
何処かで見たような気がしないでもない出で立ちである。
だが、その疑問に応える者が存在しない以上アレクサンドルは己の役割を全うするべく、空を翔び、襲来する本隊へと向かうのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
(飛行式箒【リンドヴルム】に乗っての空中戦)
…んー…別の場所に行ってるのはなんだろうな…気になるし全滅させたいけど……
もう距離が離れてるか…まずは目の前のブレイドホークに対応しよう…
…(勇士達に)取り合えず雑にブレイドホークを墜とすから……飛空挺に引っかかった奴にトドメを宜しく…
…重奏強化術式【エコー】で効果範囲を広げてブレイドホークに【星落とす大地の手】を発動…
…全て落下させるよ…そのまま雲海の下まで落ちていく奴はそのまま放置…
…術式の効果的には何かに落ちるまで、だけど何処まで落下するんだろうあれ…
…飛空挺に落下して動けなくなってる奴に勇士達と一緒にトドメを刺していくとしようか…
屍人帝国『オーデュボン』、その目的がなんであれ浮遊大陸に存在する『アジール王国』を脅かすものであれば、これを食い止めなければならないのが猟兵である。
しかし、別働隊として先遣隊が分かたれたことは、正直なところ解せないことであった。
先遣隊であるからこそまとまった動きをするものである。
むしろ、勇士たちと共に飛空艇に乗り込んだ猟兵達こそが予想外の存在であったようにこちらに戦力を割いたと考えるのは筋ではないかとさえ、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は感じていたことだろう。
「……んー……別の場所に行ってるのはなんだろうな……気になるし全滅させたいたけど……」
オブリビオンにどんな思惑があれ、彼等を滅ぼさなければ世界が滅ぶのであれば、これを成さしめるのにこれ以上の理由はない。
けれど、すでに大分距離が離されている上に、すでに他の猟兵が向かっているのを見てメンカルは考えを改める。
飛行式箒『リンドヴルム』にまたがり、彼女は空へと舞い上がる。
ブルーアルカディアの空は初めてであるが、高さが制限されていないことが幸いであった。
目の前の『ブレイドホーク』と呼ばれる魔獣に集中すべく彼女の瞳が輝く。
「お嬢ちゃん、何をするつもりだ!?」
飛空艇を駆る勇士たちが先行するメンカルを引き留めようとする。けれど、メンカルには狙いがあったんどあ。
「悪いけど、雑に魔獣を墜とすから……飛空艇に引っかかったやつにトドメを宜しく……」
何を、と勇士たちが訝しんだ瞬間メンカルの瞳に輝くユーベルコードが発現する。
それは、空にあるものを天から地へと引きずり下ろす擬似重力術式。
「重き力よ、掴め、落とせ。汝は重圧、汝は天墜、魔女が望むは底より出でし昏き腕」
詠唱の言葉が紡がれ、術式が展開していくにつれて殺到していた『ブレイドホーク』たちが次々と羽撃くことすら出来ず、大地へと失墜していく。
それだけではない。
あらゆるものが雲海に飲み込まれれば消滅してしまう。
それは魔獣たる『ブレイドホーク』もまた例外ではないのだ。
「こ、こりゃあ一体……!」
勇士たちが初めて見る光景に呻くしかない。
あれだけ大空を席巻するように羽ばたいていた無数の『ブレイドホーク』たちが大地へ、雲海へと失墜していくのだ。
その光景はあまりにも非現実的すぎたことであろう。
まるで見えないなにか巨大な手……そう、星を墜とす大地の手(スターライト・フォール)によって押さえつけられたように『ブレイドホーク』たちは身動き一つ取れず大地にへばりつくしかないのだ。
「よっ、っと……しかし、雲海の下はどうなっているんだろうね。そのまま骸の海に通じているとか……?」
疑問は未だ尽きない。
けれど、メンカルと勇士たちは彼女のユーベルコードに寄って身動きの取れない『ブレイドホーク』たちにトドメをさして心臓たる天使核を手に取る。
それは巨大であれあるほどの出力も価値もあがるものである。
ブレイドホーク程度の魔獣であれば、その心臓は握りこぶし程度。これでも飛空艇を維持するには十分なものである。
「雲海に堕ちて言ったのは無視。さあ、大地にはまだまだへばりつているのが多くある。今のうちに稼げるだけ稼いでおいて……」
メンカルはそう告げ、再び箒にまたがって飛び立つ。
この後に待ち受ける『オーデュボン』の本隊こそが、この戦いにおける『アジール王国』の命運を分ける分水嶺なのだ。
未だ目的も、彼等が如何なるものであるかもわからない。
けれど、理由なき侵略などないように、この戦いのはじまりこそが『オーデュボン』との戦いの火蓋を切って落とすことをメンカルは知るだろう。
いつだって戦いは、些細なことで始まるのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
オブリビオンが生存に密接に関わっているのか、この世界の人々は逞しき方々が多いようですね
されどこの数は荷が重い筈
騎士として助力いたしましょう
機械飛竜ロシナンテⅢに騎乗し飛翔
現地での風速、風向き、敵との相対速度…マルチセンサーでの情報収集は万全、他世界での●空中戦の経験もあれば
理性無き魔獣の機動●見切るは難しくはありません
頭部、肩部格納銃器を展開
馬上槍機関砲と飛竜口部単装砲の乱れ撃ちスナイパー射撃でUC発射
高空の低温で凍り付かぬ羽だとしても、この薬剤は訳が違いますよ
失速した敵は勇士達に任せ
離れた一群の動向が気になる所ですが…
その余裕は無さそうです
突撃で馬上槍で突き刺した敵を怪力で振り払い戦闘続行
魔獣の心臓は、大地を浮遊させるための動力となる。
魔獣の血肉は糧となり、人々の腹を満たす。
魔獣の骨牙は飛空艇の材料となり、武装の強化に繋がる。
それをこの世界、ブルーアルカディアの人々はたくましくも生き抜くために使う。それは生命力の輝きとしては申し分のないものであるように、機械騎士であるトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は思えた。
「オブリビオンが生存に密接に関わっているのか、世界の人々は逞しき方々が多いようですね」
空を埋め尽くさんばかりであった、魔獣『ブレイドホーク』たちの姿は多くの猟兵たちが戦いに馳せ参じたことによって、その数を減らしている。
けれど、未だ数が残っている以上、人々の生存を脅かすには十分すぎる脅威であることは疑いようがない。
ならばこそ、トリテレイアは己の力を持って彼等に助力しようと立ち上がるのだ。
「されどこの数は未だ荷が勝ちすぎるはず。騎士として助力いたしましょう」
彼が駆るのは機械飛竜ロシナンテⅢである。
飛翔する機械じかけの飛竜は飛空艇を駆る勇士たちをして、初めて見る存在であったことだろう。
「ガンシップ……! とは違うのか、あれは!」
勇士たちの言葉に剣を持って応えるトリテレイア。
彼等と連携をすれば、如何に空を自由に飛び回る『ブレイドホーク』と言えど、恐れるに足りない存在である。
マルチセンサーで周囲の情報を読み解き、風向きや風速、敵との相対速度を瞬時に判断する。
それはこの世界において経験則によって紡がれるものであったが、トリテレイアにとっては、異世界での空中戦の経験があれば本能で動く魔獣の機動を読み解くことなど造作もないことであった。
「速い! マジかあの騎士の旦那。やるじゃねえか!」
勇士たちはトリテレイアの駆る機械飛竜の見事な空中戦に見惚れるように見入っていたが、自分たちの本分を思い出し、トリテレイアに続くのだ。
「こちらが牽制を。トドメはお願い致します!」
トリテレイアの指示の元、勇士たちが次々とトリテレイアに追従する。それはまるで言う成れば、編隊を組むようなものであった。
肩部格納銃器と頭部に備えられた火器、そして馬上槍機関砲と飛竜の顎の内側に備えられた単装砲から乱れ打たれる超低温化薬剤封入弾頭(フローズン・バレット)は、次々と『ブレイドホーク』たちを凍結させる。
しかし、その羽は凍りつかぬことで知られている。
だが、分子運動を低下させ急速凍結に至る現象を引き出す弾丸は違う。
凍りつかぬとはいえ、分子運動が低下すれば、羽撃くことも難しくなる。
「失速したものから討ち取ってください!」
トリテレイアが剣を振るい、『ブレイドホーク』の首を一撃のもとに落とす。
どれだけ強靭な機動力を持っていたとしても、失速したのならばこれを打ち取るのは難しいものではない。
本来であれば、勇士達四人ほどで打ち取れる『ブレイドホーク』はトリテレイアが放った弾丸によって、機動力を失い、一人であっても容易に打ち取れるものとなっていた。
「すげぇ……! これはかき入れ時だな! いくぞ!」
勇士たちが叫び、一斉に飛空艇を駆り、次々と『ブレイドホーク』たちを打倒していく。
その姿を見やり、トリテレイアは考える。
別働隊として動き、別の方角へと飛び立った『ブレイドホーク』たち。
彼等は他の猟兵たちに討ち取られたのだろうが、何が目的だったのかトリテレイア自身は未だ知らないことであった。
しかし、未だ余裕がないことを知っているからこそ、トリテレイアは己の槍でもって『ブレイドホーク』を貫き、怪力で持って大地へと叩きつける。
「今はこちらに集中いたしましょう。屍人帝国『オーデュボン』。その狙いがなんであれ、オブリビオンであるというのならば、これを阻んでこその猟兵。訳は後からでも知り得るでしょう」
機械飛竜と共にトリテレイアは飛び立ち、さらなる獲物を求めて勇士達と共に見事な連携を見せ、その狩りとしての腕前を持って認められるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
確かこの世界の敵…魔獣はお肉は美味しく、その他素材は便利に使われてるんだっけか
んじゃ、まあちょいっと一狩り行きますか!
まだ見ぬ素材は山分けで、よろしく!
●
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
折角だし飛空艇に乗り込んで遊覧飛行といこう
【光剣解放】起動
1090本、光剣を飛空艇の周囲に展開
射程に入ったらオートで攻撃
私も両剣から『斬撃波』を飛ばして、弱った敵から殲滅していこう
さあ船長、このままあの鳥の群れの中に突っ込めー!
敵はこの光剣達が大まかに攻撃してくれるから、あとはトドメを刺すだけ!
稼ぎ時だよ稼ぎ時!
乗るか乗らないか、決めるなら今でしょ!
魔獣回収出来なきゃ意味無いんだからさ!
大空を飛ぶ飛空艇。
何処までも続く雲海。時折見える大陸は大地ではなく、浮遊している大陸であることを知る。
そこま紛うことなき天空の世界。
名をブルーアルカディアと呼ぶにふさわしい光景であると月夜・玲(頂の探究者・f01605)は知る。
「この世界の敵……魔獣はお肉は美味しく、そのほか素材は便利に使われているっていうけど、飛空艇にもその素材が使われているとはね……」
改めて乗り込んだ飛空艇を見やる。
あらゆるところに人工物ではない素材が使われている。
無論加工されているのは当然であるが、どこか素材の強度や性質を上手く組み合わされていることが、メカニックである玲にはよく理解できるものであった。
「一番は天使核だけどな。それでも他の肉や骨は十分に利用できる。まあ、内蔵や肉なんかも獲物によっちゃあ、利用できないのもあるが……今回の『ブレイドホーク』は内蔵以外は捨てるところがないってのが旨味だな!」
載せてもらった飛空艇の勇士が豪快に笑っている。
それに釣られるようにして玲も笑う。これだけたくましいといっそ、悲壮感もなく清々しいとさえ思えることだろう。
「んじゃ、まあちょいっと一狩り行きますか! まだ見ぬ素材は山分けでよろしく!」
「ちゃっかりしてるぜ! まあ、それも活躍次第ってとこだな!」
飛空艇が速度を上げていく。
迫る屍人帝国『オーデュボン』の先遣隊である魔獣の群れは多くの猟兵と勇士たちによって駆逐されつつ在ったが、未だ数が残っているところが恐ろしいところである。
しかし、玲は何も臆することはなかった。
なるほど、よく考えてみれば彼女が好きそうなサブカルチャーの一端であるゲームの類にもよく見受けられるものであったかもしれない。
「さあ、行くよ。光剣解放(セイバー・リリース)。数には数! 光剣よ舞い踊れ!」
彼女が二振りの模造神器を抜き払う。
優雅に遊覧飛行と行けないのが、このブルーアルカディアの空である。輝くユーベルコードは、空に幾何学模様を複雑に描き、疾走る光の剣を顕現させる。
その数は総勢千を優に超える。
空を埋め尽くす魔獣の群れなどなんとする。
「射程に入ったらオートで。見敵必殺ってやつだね」
次々と放たれていく光の剣。
それはまるで艦砲射撃のように際限なく放たれる光の雨そのものであった。次々と飛空艇に近づく前に魔獣が刻まれ、大地へと失墜していく。
あまり手応えがないのは、散々に猟兵たちにかき乱されたからであろう。
羽撃く翼が強風を生み出したとしても、もはや玲のユーベルコードを防ぐことはできないのだ。
「さあ船長、このままあの鳥の群れに突っ込めー!」
「おうよ! ぶっぱなしてくれよ!」
玲の言葉に船長が舵を切る。凄まじい速度で飛空艇が『ブレイドホーク』の群れの中に突っ込み、それに追従するように光の剣が乱舞する。
玲もまた二振りの模造神器による斬撃波でもって、迫る『ブレイドホーク』をちぎっては投げ、ちぎっては投げの大活躍である。
「稼ぎ時だな! いいぞいいぞ! どうやら嬢ちゃんを載せて俺は博打に勝った気分だぜ!」
船長が舵を切りながら艦載砲で砲撃を行っていく。
その景気の良いぶっ放しぶりに玲もまた嘲笑うのだ。
「決めるならやっぱり今でしょ! 魔獣回収できなきゃ意味ないんだからさ!」
それ突っ込めー! と玲がからからと笑う。
魔獣の群れの中に次々と突っ込んでは蹴散らしていく姿は、何かを思い出させるものであったかもしれない。
ああ、そうだと玲は思いつく。
あれだ、無双ゲーム的なやつだ。馬で敵をばんばか轢き殺していくやつである。
「わかりやすくボーナスゲージとかあればいいのに! なんてないかー、そんなの!」
「何言ってるのかわからんねーが、大漁大漁! まだまだ行けるよな!」
船長と玲は二人大空のした大騒ぎしながら『ブレイドホーク』たちを蹴散らしていく。
これだけの魔獣を打倒できたのならば、勇士たちにとっては実入りが良いレベルではない稼ぎとなるだろう。
玲は後ほど素材の山分け具合において交渉し、実に七割の素材をがっぽりせしめるのだが、まあそれは別の話である。
今はまだ見ぬ屍人帝国『オーデュボン』の本隊こそが、真に打倒しなければならない敵であるのだから――。
大成功
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第2章 集団戦
『黒翼騎士』
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POW : 集団突撃戦術
【背中の翼と飛行魔術】によりレベル×100km/hで飛翔し、【一緒に突撃を仕掛ける人数】×【速度】に比例した激突ダメージを与える。
SPD : 黒翼斧槍
【敵の頭上に飛翔し、ハルバード】による素早い一撃を放つ。また、【追い風を受ける】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 黒翼防御戦術
自身の【部隊の守備担当】になり、【翼に風を受ける】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
イラスト:astk
👑11
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魔獣『ブレイドホーク』の先遣隊を全滅せしめた猟兵たちが次なる戦場へと向かう。
ここまでは完璧に猟兵たちに戦いの趨勢が傾いている。
だが、それを覆すのが本隊である『黒翼騎士』たちである。
本来はある帝国のエンジェルたちであったが、雲海に沈んだことにより、彼等は例外なくオブリビオンに変貌し舞い戻ってきたのだ。
「先遣隊が全滅……勇士たちの実力を見誤ったか? 別働隊も全滅しているという時点で想定外のことが起こったと見える……」
『黒翼騎士』の一人が現状を見定め、己の上官である『グリフォンナイト』へと報告する。
それを受けて、この『黒翼騎士』たちの将である『グリフォンナイト』は頭を振る。
「己たちが為すべきことは一つ。『セラフィムV』の捕縛それのみ。かの巨人の胸に、全身に抱く天使核をこそ人間の手にわたらせてはならぬ」
『グリフォンナイト』が号令を飛ばす。
それは本来の目的の障害となる『アジール王国』を踏み潰してでも進撃し、彼等本来の目的である青き鎧の巨人を追跡する号令であった。
「障害となるものは全て排除せよ。女子供であろうとも、我等の覇道を阻むのであれば容赦するな。我等の道を明けるのならば、苦しまずに殺してくれようが……万が一抵抗するのであれば」
「容赦はいたしませぬ。全てを滅ぼし、『オーデュボン』の繁栄のために」
「ならば征け。尽くを蹂躙し、かの『セラフィムV』を捕らえよ。あれこそが我等の要石。我が主がご所望するものであれば。我等は疾くそれを献上しなければならないのだから」
号令と共に『黒翼騎士』たちが空を征く。
それは先遣隊であった魔獣たちを凌ぐほどの数であり、また同時に騎士として凄まじい力と連携を持つ彼等と『アジール王国』の正規軍との激突を意味していた。
正規軍だけでは彼等を打倒することはできないだろう。
だからこそ、猟兵たちの力が必要なのだ。
正規軍と連携し、突出することなく『黒翼騎士』たちを打倒する。ここに猟兵たちの将としての力が試される――。
セラフィナ・セレスティ
正規軍との連携、了解だよ!
ボクに任せて
色々考えるのは後にする
今は出来ることを、だね
これは視界と行動を阻害するためのとっておき
スカイソードを掲げて氷雪の嵐を喚ぼう
おいで白の嵐、舞い躍れ
敵だけが視界と動きを奪われてる隙にボクは魔導砲とマジックミサイルを撃っていくよ
『爽』くん、今回も張り切っていこー!
ボクも魔力解放だよ!グローブに魔力を通せば魔法陣が浮かぶ仕組み
ふふ、マジックミサイルの発射だー
如何に敵が強かろうが数が多かろうが速かろうが、動きを止めればなんてことないね
サクサクやっつけていこう
先遣隊を退けた猟兵達は僅かな休息も許されぬままに新たなる戦場へと向かわねばならなかった。
浮遊大陸の一端にたどり着いた屍人帝国『オーデュボン』の本隊である『黒翼騎士』たちは、その力の威容を示すように己たちの手にあるハルバードを掲げる。
まるで威嚇するようでもあり、『アジール王国』の戦意を削ぐような示威行為であった。
「あれは『黒翼騎士』たちか……! 疾風怒涛の攻めと連携を是とする騎士団……我等正規軍であれど容易くは破られぬが……!」
数は圧倒的に『アジール王国』の不利にある。
だからこそ、ここで退いてはならないのだ。背後に負った王都、そこに暮らす人々の生活を護るためにこそ正規軍は存在しているのだから。
「ボクにまかせて。色々考えるのは後にしてさ、今は出来ることを、だね」
セラフィナ・セレスティ(blue hour・f33925)は夜色の神をなびかせ、正規軍の先頭に立つ。
どれだけ猟兵が強力な力を持っていたとしても、突出してしまえば数の暴力に寄って『黒翼騎士』たちに打倒されてしまうことは明らかである。
ならばこそ、彼女はスカイソードを天に掲げる。
輝く瞳がユーベルコードの光を放っている。
「舞い踊れ、白の嵐」
少しの濁りもなく透き通るようなユーベルコードの輝きは、それ自体が氷雪の嵐となって戦場を包み込んでいく。
それは一瞬にして戦場という戦場を包み込み、『黒翼騎士』たちの視界を奪い去るのだ。
しかし、それは正規軍には齎されぬものであった。
敵味方を識別する氷雪の嵐は、『黒翼騎士』たちから視界を奪い、正規軍には追い風と成って齎される。
「さあ、行くよ。『爽』君、今回もはりきっていこー!」
セラフィナは魔力を開放し、身につけたグローブに魔法陣な浮かぶ。
放たれる魔法陣と共に氷雪の嵐の中をスフィア型の魔導砲から放たれる砲撃が次々と『黒翼騎士』たちの機先を削ぐのだ。
それが号令と成って正規軍が『黒翼騎士』たちへとなだれ込んでいく。
その光景は、まさに戦場を席巻する雪崩そのものであった。
氷雪の嵐は『黒翼騎士』たちの視界を奪い、凍結と麻痺によって、その動きに精彩を欠かせる。
「如何に敵が強かろうが、数が多かろうが、速かろうが、動きを止めればなんてことないね」
セラフィナが展開する魔法陣から次々と魔力の弾丸が打ち出され、『黒翼騎士』たちを貫いていく。
初戦を制した正規軍は勢いに乗って『黒翼騎士』たちを蹴散らしていく。
彼女の言葉通りである。
どれだけ強大であろうとも、どれだけ数が多かろうとも、戦場をコントロールする術があるのであれば、これに勝る力などない。
不利を覆す力があるからこそ、人は魔獣であっても打倒して天使核を手に入れてきたのだ。
「サクサクやっつけていこう!」
セラフィナの号令に正規軍人たちは声を上げ、一気呵成に攻め込んでいく。
「行けるぞ! このまま押し切れ!」
正規軍は氷雪の嵐が過ぎ去るまで、一方的に『黒翼騎士』たちを撃滅せしめる。
その戦果は言うまでもなく、敵の一翼を壊滅させるには十分であり、セラフィナな己の掲げた刀身が蒼く透き通るスカイソードを掲げ、それを旗印としてオブリビオンの軍勢をく破っていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルビィ・フォルティス
別動隊に気を取られこちらが分断されていた、なんて間の抜けたことはしませんわ。
この程度の距離、わたくしにとってはないも同然でしてよ。
さぁ、楽しませてくださいませ?
自前の翼による飛行と天使核シューズによる空中ステップによる空中機動
敵の間を縫うように駆け、確実に攻撃を避けながらアドウェルサでの攻撃を加えていく
あちらが飛び上がり頭上から攻撃を仕掛けようとしてきたらこちらもUCを使用
須臾の剣風によって7000km/hに加速し、敵を置き去りにし回避
そのままの速さで戦場を飛び回りながら黒翼騎士をかまいたちとアドウェルサで切り裂く
屍人帝国に堕ちたとはいえ同じ天使のよしみですわ。
痛みもないまま、落ちなさいませ!
先遣隊が別働隊とわかれて行動していたことは、単なる偶然であったのかも知れない。
どちらが本来の目的であったのかと問われれば、恐らく別働隊として猟兵たちが認識した群れが恐らく本来の目的を遂行しようとした群れであったのだろう。
そこに『アジール王国』の勇士たちと猟兵たちというイレギュラーが介在したことによって、図らずとも敵戦力の分断が図れたことは戦いの勝利の一因であったことは疑いようがなかった。
「別働隊に気を取られてこちらが分断されていた、なんて間の抜けたことはしませんわ。こちらこそが本隊ならば――」
ルビィ・フォルティス(空の国の家出娘・f33967)は戦場を駆け抜ける。
自前の翼と天使核のシューズによって突風を味方につけたルビィの進撃速度は目をみはるものであった。
本来であれば大分遅れて到着するはずであったが、彼女の力にかかれば、この程度の距離などないも同然である。
「友軍か……! ありがたい!」
正規軍と『黒翼騎士』たちの軍勢はすでに激突していた。
猟兵のユーベルコードに寄って引き起こされた氷雪の嵐が『黒翼騎士』たちの視界を奪っていたのが大きかったのだろう。
敵の機先を制することができたがゆえに、これまで正規軍は数の不利を覆して、戦いを優位に進めていた。
しかし、そのユーベルコードの効果がいつまでも残るわけではない。
氷雪の嵐が過ぎ去ってしまえば、個としても数として優位である『黒翼騎士』たちは正規軍を食い破ってしまうだろう。
だからこそ、ルビィは華麗なるステップでもって空中を駆け上がり、『黒翼騎士』たちの頭上を取るのだ。
「氷雪の嵐さえなければ、貴様らなど!」
掲げたハルバード。
その切っ先の上に立つのはルビィであった。たおやかなる翔剣士である彼女にとって、この程度のことなど造作もない。
「さぁ、楽しませてくださいませ?」
「貴様! 我等を愚弄するか!」
ハルバードの切っ先から飛び上がり、ルビィは『黒翼騎士』よりも遥か頭上を取る。
「わたくしを捕まえるつもりですの? 生意気でしてよ!」
須臾の剣風(シュユノケンプウ)。
それは一陣の風そのもの。
すれ違いざまによるかまいたちと剣による斬撃が『黒翼騎士』たちの鎧の間を縫ううようにして見舞われる。
血飛沫が噴出し後に残るのは、ルビィの残影だけであった。
だが、それでルビィの動きが止まることはない。
『黒翼騎士』も正規軍をも置き去りにするほどの凄まじい速度でもって、彼女は戦場を駆け抜ける。
まさに風そのもの。
疾風怒濤の斬撃は目に見えぬほどの刃となって『黒翼騎士』達を斬り裂くのだ。
「馬鹿な、我等の目でも終えぬほどの速度だと……!」
「屍人帝国に堕ちたとはいえ同じ天使のよしみですわ。痛みもないまま、落ちなさいませ!」
ルビィの剣閃の煌めきはユーベルコードの輝きとともに、斬撃の痛みすらも忘れさせるほどの凄まじい速度の一撃となって『黒翼騎士』たちを斬り裂き、絶命せしめる。
その疾風のような速度で持って戦場を舞い踊る剣の姫としてルビィの夜色の髪は、風になびき『黒翼騎士』たちを次々と霧散させ、骸の海へと還していく。
「敵を討つのに大仰なものは必要なし。この剣があれば、それで十分ですわ――!」
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
オブリビオンの狙いは、青い巨人が連れてるエンジェルなのね。
じゃあ、その動きを妨害してあげる。
「結界術」「全力魔法」質量の「属性攻撃」「範囲攻撃」「仙術」「道術」で天烈陣。
結界で括った中を隕石が落下するわ。まとめて敵先発隊を討滅する。
天使核の確保とか言ってられないでしょ。今はまず、敵を減らす。天使核は後で回収すればいいわ。
「集団戦術」で敵味方の交戦の流れを読み、適切なところに天烈陣を展開する。なるべく味方を巻き込まないようにね。
かなり削ったけど指揮官はまだ影も形も見えないか。
根気の要る作業になりそうね。
王国の人たちは、天烈陣を撃ち込んだところを制圧していって。即死しなかった敵がいるかもしれない。
屍人帝国『オーデュボン』の本来の目的は、猟兵たちが別働隊と考えていた先遣隊が向かった先にこそあることを看破する者がいる。
青き鎧の巨人。
それを屍人帝国『オーデュボン』の先遣隊は追っていたのだ。
だが、本来であればあれだけの軍勢で追い立てるはずが、『アジール王国』の勇士たちと猟兵たちの出現により挟撃を嫌って部隊を分けたことこそが、先遣隊の運命を破滅へと導いたのかもしれない。
けれど、浮遊大陸の一端にたどり着いた本隊は違う。
彼等は主力部隊故に何の奢りもなければ、獣の如き本能を理性でもって抑え込み、戦術を手繰る事が可能な集団である。
ならばこそ大規模戦闘においては、その戦術の選択が集団の命運を分けるのだ。
「オブリビオンの狙いはあの青い巨人ってわけね。なら、その動きを妨害してあげる」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)にとって、オブリビオンの目的が『アジール王国』の侵略ではなく、あくまであの青い鎧の巨人であるというのならば、簡単にここを通す理由などなくなっていた。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天より降り注ぐ先触れのかそけき光よ。滅びの遣いを導き、地上をなぎ払え。疾!」
戦場に降り注ぐ光の流星雨が氷雪の嵐が明けた『黒翼騎士』たちの頭上に降り注ぐ。
それはマーカーに過ぎない。
どれだけかわそうとしても集団戦法を取るのであれば、敵の攻撃を受け止め威力を分散させるものであろう。
だが、それこそが間違いである。
ゆかりの瞳に輝くユーベルコードは、天烈陣(テンレツジン)。
その流星雨が降り注ぐ者たちの頭上に燃え盛るのは、巨大なる隕石であった。
天より降り注ぐ星の一撃を躱すことは能わず。
そして、更に巨大なる大地をえぐるほどの一撃が浮遊大陸を激震せしめる。
「な、なんだあれは……! ほ、星が落ちて来る、だと!?」
「そう、だから余波が届かぬところまで退きなさいな!」
ゆかりの号令に従って正規軍たちが一端進撃を止め、後退する。
それが戦術の妙であったことだろう。退く正規軍を追って突出した『黒翼騎士』たちの頭上に迫るのは、巨大なる隕石。
ゆかりはそこまで考えて陣を敷いたのだ。
なるべく敵を多数巻き込み、かつ味方を巻き込まない位置。それを調節したゆかりの戦略眼の冴え渡ること。
それは慧眼とよんで差し支えのないものであったことだろう。
燃え盛る巨大隕石の一撃が大地を穿ち、『黒翼騎士』たちをたちどころに蒸発させ、霧散させる。
敵の一角を突き崩したゆかりは、敵の陣容を見張る。
其処には未だ敵の将の姿が見えない。
「かなり削ったけど、指揮官はまだ影も形も見えないか。なかなか根気のいる作業になりそうね、さあ、王国の人達は打ち込んだところを制圧していってちょうだい」
そこに再び陣を敷けば敵は隕石の一撃を警戒して、むやみに突出できなくなるだろう。
そうなれば、他の陣容をフォローしに回ろうとして後ろから正規軍に撃たれてしまう。
「ここまでとは……! 黒翼騎士たちの陣形も見事であったが、あの力……あれが全てをひっくり返した……!」
正規軍は穿たれた隕石の痕へと殺到し、未だ残っている敵を打倒し、さらに己たちの陣形を整える。
未だ敵の数は膨大であれど、しかし、ここに正規軍の礎、その楔を打ち込むことになったのは戦いの趨勢を見守る上では非常に大きな役割を持つであろう。
「まだまだ油断は禁物よ。敵も意地になってくる。なら、気を引き締めなさいな」
ゆかりの号令と共に正規軍が声をあげる。
それは鬨の声であり、同時に正規軍の士気の高さを知らしめるには十分であったのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アドナ・セファルワイド
フム、猟兵というのはだいぶ出鱈目なモノだな
全盛期の余ですらここまでの力は出せなかったが…
とはいえ、妾を選んだブルーアルカディアは慧眼と言えるな
何せ余はセファルワイドの皇帝
絶対なる帝国の歴史が全ての世界に平和を齎すであろう
さて、アジールの者達よ。刮目するが良い
我がセファルワイド帝国は未だに不滅!
その力、とくと見よ!
そう呟くと同時、虚空より現れし空間に刻まれた710の斬撃が半径71mを縦横無尽に駆け、黒翼騎士のみを斬滅していく
これが余のユーベルコード。セファルワイドの歴史そのものよ
世界の悲鳴を聞き届けるのが猟兵であるのならば、彼等は世界に選ばれた戦士であろう。
彼等が為すのは世界を救うことである。
オブリビオンが過去より染み出して現在を破壊し、未来という可能性を蝕むからこそ猟兵達は戦う。
戦場に煌めくユーベルコードの尽くが凄まじい威力であり、屍人帝国『オーデュボン』の本隊である『黒翼騎士』たちを打倒していく。
その光景は『アジール王国』の正規軍たちの士気を高揚させ、戦場において『黒翼騎士』たちにも劣らない働きを見せる。
「フム、猟兵というのはだいぶ出鱈目なモノだな」
そうつぶやいたのは、アドナ・セファルワイド(セファルワイド初代にして最後の皇帝・f33942)であった。
彼女の全盛期でさえ、此処までの力は出せなかった。
だからこそ、己の身が今猟兵であることは幸いであったことだろう。
「妾を選んだブルーアルカディアは慧眼と言えるな。何せ余はセファルワイドの皇帝。絶対なる帝国の歴史が全ての世界に平和をもたらすであろう」
彼女の自身に満ち溢れる表情はそれだけで正規軍たちに安心感をもたらしたことだろう。
人の上に立つ者が不安げな顔をしていれば、勝利を得られる戦いであっても勝利することはできないだろう。
戦いとは常にそういうものである。
だからこそアドナは宣言するのだ。
「アジールの者たちよ。刮目するが良い。我がセファルワイド帝国は未だ不滅!」
煌めくユーベルコード。
それは、複雑な幾何学模様を描く輝きであり、虚空より現れし黒く消える事無き追想の刃(オイディプス・ダインスレイブ)であった。
「皇帝の名の元に宣言する。汝らに振るわれし刃は消える事無き過去そのもの。帝国が滅びようと斬滅の瞬間が止む事は無い」
例え、かつて帝国であった大地が雲海に沈んだのだとしても。
それでも未だ不滅であると宣言する存在がいるのだとしたら、セファルワイド帝国は滅びていないのだろう。
形を変え、己こそが帝国の中心であると告げるようにアドナは、その瞳を爛々と輝かせるのだ。
「我等が屍人帝国『オーデュボン』を前にして臆さぬか。ならば我等の力を思い知るがいい」
『黒翼騎士』たちが追い風を受けて飛翔する。
彼等は己たちの部隊を守備するために飛び出した『黒翼騎士』たちであった。彼等は追い風を受けることによって凄まじいまでの速度で飛翔している。
「この力、とくと見よ!」
放たれる空間に刻まれた斬撃は、総てが過去に刻まれたものである。
虚空より放たれた斬撃を『黒翼騎士』たちは躱すことなどできなかった。千にも届き得る斬撃はアドナを中心にして走り抜ける。
どれだけ素早く飛ぶのだとしても見えぬ斬撃を躱す術など『黒翼騎士』たちにはなかった。
正規軍を避け、『黒翼騎士』のみを切り裂いていく斬撃は彼女が言う出鱈目なものであったことだろう。
霧散し消えて行く『黒翼騎士』たちを尻目にアドナは己の存在を持って、この戦いの趨勢を決めるように宣言するのだ。
「これが余のユーベルコード。セファルワイドの歴史そのものよ」
数多虚空より現れる斬撃は、彼女の帝国がたどった戦いの歴史そのものであったことだろう。
その斬撃を持って歴史の厚みを感じさせるようにセファルワイド帝国と屍人帝国『オーデュボン』は此処に雌雄を決するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『静かなる者』にて
さて、弓足軽たちには一時退去してもらいまして。
今度はあれらですか…とことん私向きであり、『疾き者』(風担当)と相性が悪いと見えます…。
あなた達に吹くは向かい風。さらに生命力を吸収しますし、運もなくなります。
私だけに気取られていると、勇士たちの攻撃、避けられませんよ?
その素早さも…生命力が減れば、上手く活かすこともできますまい?
ええ、私は白雪林で攻撃し続けますし、内部三人は結界術してくれてますからね。
簡単に攻撃が当たると思わないことです。
しかし、本当にこの世界の方々は逞しいですね。好感が持てますよ。
戦場に『黒翼騎士』たちの裂帛の気合が轟く。
振り上げたハルバードの一撃が『アジール王国』の正規軍を食い破るように放たれ、兵士たちが散り散りになって吹き飛んでいく。
猟兵たちの活躍で一部分ではあるが押し返すことに成功していたとしても、その軍勢の数は先遣隊である魔獣の群れとは比較に成らぬほどであった。
それが屍人帝国『オーデュボン』の力の証明でもあったのだ。
どれだけ数を蹴散らそうとしても、即座に補充されるように浮遊大陸へと乗り込んでくるのだ。
「これが事の重要性を示すのでしょうが……今度はあれらですか……とことん私向きであり、『疾き者』とは相性が悪いと見えます……」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の四柱の中の一柱である『静かなる者』は引き続き戦場にあり続ける。
弓足軽たちを引かせ、『黒翼騎士』たちと相対する。
彼等の振り下ろすハルバードの威力は凄まじいものである。オブリビオンであることを差し引いたとしても、かつての帝国の栄光を示すような壮麗なる『黒翼騎士』たちのちからを前に盛り返していた正規軍の勢いが削がれていく。
「我等は……悪霊なり」
四悪霊・『解』(シアクリョウ・ホドキ)によって、四悪霊たちが封じてきた呪詛を開放する。
それはユーベルコードである。
しかし、その輝きとは裏腹に戦場に存在する『黒翼騎士』たちの運気、霊気、生命力の全てを奪って不幸を与えるのだ。
「なんだ、これは……我らに風が向かってくるだと!?」
『黒翼騎士』たちはたじろぐ。
これまで彼等の背には風の加護があった。それ故にハルバードの一撃は威力を増し、進撃の速度が上がっていたのだ。
だというのに、今はどうだ。
たった一人の猟兵の持つユーベルコード一つで戦局が逆転する。
あらゆる敵全ての運気や霊気、生命力を奪う力は、悪霊ならではであったのかもしれない。
「あなた達に吹くは向かい風。さらに生命力を吸収しますし、運もなくなります」
『静かなる者』が戦場にあって、その奪った幸運の量は計り知れないものとなっていたことだろう。
「ならば、お前を倒せば済むこと!」
『黒翼騎士』たちが『静かなる者』に迫る。
しかし、それは悪手であると言わざるを得ないだろう。なぜなら、今『黒翼騎士』たちは『静かなる者』だけに注意が引きつけられている。
此処には彼等だけではない、正規軍の軍人たちだっているのだ。
彼等とて、猟兵たちには劣るにせよ軍人だ。王国を護るためにその力を振るうには十分な力量を持っている。
横合いから剣を叩きつけられ、『黒翼騎士』たちがよろめく。
「ほら、私だけに気を取られていると、彼等の攻撃を避けられませんよ?」
手にした長弓から放たれる氷の矢が次々と『黒翼騎士』たちをうがっていく。
張り巡らされた結界術が『静かなる者』を守り、軍人たちが弱った『黒翼騎士』たちを討ち取っていく。
それは時間が経てば経つほどに、こちらの有利に働くユーベルコード故。
その要たる『静かなる者』を守らんと正規軍たちが周辺を固めるのだ。
「結界術を出すまでもなかったですね。よく役割を理解しておられる」
「私達が壁となります。どうか、その力を十分に振るってください!」
戦いこそが生きる糧を得るために必要であったからこそ、彼等の瞳はわずかの曇りもなかった。
何処までも生きるために。
その逞しさを『静かなる者』は好ましく思っていた。
「本当にこの世界の方々はたくましいですね。ならばこそ、我等も力を振るう甲斐があるというものです」
引き絞った長弓から放たれる氷の矢は、悪霊であれど己の力が彼等のためになることを知って、知らずのうちに力が込められていたことだろう。
その逞しさ、生命力の輝きこそを悪霊は好ましく思うのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
鈴久名・紡
引き続き竜神形態
但し、今回は存在証明を使用
戦場を広く見渡せる位置取りで行動
自身も突出しないように留意しつつ
アジール王国の正規軍が突出し過ぎないように注意し
必要であれば突出し掛けた時点で適時フォロー
先ほどの圧勝で士気が上がっているのは判るけれど
黒翼騎士の戦列の最前列には
槍に形状変化させた禮火に斬撃波を乗せたなぎ払いの先制攻撃
飛翔能力の低下を狙って鎧無視攻撃も乗せた攻撃で翼へ部位破壊
頭上を狙われた正規軍や自身への攻撃対処には
盾に形状変化させた葬焔を用いたガード
同時に狙われた場合は正規軍へのガードに葬焔を回し
自身はオーラ防御で防いで凌ぎ
負傷には激痛耐性で耐える
以降の攻撃には生命力吸収を乗せて対処
竜神たる姿をさらし続ける鈴久名・紡(境界・f27962)は、戦場を睥睨するように上空より俯瞰して見つめていた。
彼を彼たらしめる証は、まさに此処に。
完全形態の竜神としての姿は、まさに存在証明(ソンザイショウメイ)であった。
如何に完全形態へと姿を変えた紡であったとしても、正規軍から突出してしまえば、屍人帝国の『黒翼騎士』たちの数の暴力の前に屈するほか無い。
だからこそ、『アジール王国』の正規軍と連携を取ることが肝要なのである。
「あれが報告にあった勇士が姿を変えた存在か! ご助力ありがたく!」
正規軍の軍人たちが敬礼をしている姿に紡はなんと思っただろうか。
先の戦いの勝利による勢いに酔うでもなく、ただ己たちが成さねばならぬ王国の守護のためにと紡の姿を見て恐れるでもなく感謝の言葉を告げたのだ。
紡はなおさらのこと彼等を守らねばならぬと考えた。
「任せておいてくれ。共に奴らを打倒しよう」
迫る『黒翼騎士』たちはハルバードを振りかぶり、追い風を背に受けて凄まじい速度で進撃してくる。
彼等の強みは数。
そして、卓越したハルバードの扱いであろう。
振り下ろせば斧に。
付けば槍に。
横に薙げば鎌に。用途は様々。けれど、その多目的が故に扱いが難しい。けれど、『黒翼騎士』達は巧みに扱うのだ。
彼等の力量を推し量ることが出来るからこそ、紡は形状を変化させた神力を槍に変え、迫る『黒翼騎士』たちへと斬撃波として放つのだ。
「この程度の牽制で我等を止められると思ったか!」
「いいや、思ってなどいないさ。俺が狙ったのは、そんなことではない」
紡が本当に必要だったのは、『黒翼騎士』たちの翼であった。
最上段から放たれるハルバードの打ち下ろしの一撃は、容易く軍人たちの生命を奪うだろう。
それは紡にとって望むものではなかった。
守ろうと思ったのだ。彼等の生命を。逞しく、生命力に溢れ、限られた浮遊大陸という大地に生きる彼等を。
「他者を護るだと……笑わせてくれる! 奪うか奪われるかがこの世界の掟だ。それを――」
「ああ、そのとおりだろうさ。けれど、俺を俺たらしめる証として、ここに立っている」
完全なる竜神。
その威容はユーベルコードの輝き。
放たれたハルバードの一撃。その一撃から軍人たちをかばう竜神としての鱗に刃が突き立てられ、凄まじい一撃によって龍鱗が砕ける。
痛みが体を走るがそんなことを気にも止められなかった。
白銀の神器が煌めき、一瞬のうちに『黒翼騎士』たちを薙ぎ払う。誰かを護るためにこそ力を発揮するのが己の存在証明である。
ならばこそ、傷の痛みなど二の次であるのだ。
護ると決めた対象が無事であるという事実だけが、紡の心を強くする。
「俺が決めたんだ。護ると。ならば、その証をここに示さなければならないんだろう!」
竜神としての咆哮が轟く。
どれだけ世界が違ったとしても、守らなければならない生命は護る。
そのために紡は痛みも力も、ためらわない。
神器はそのためにこそある。そうあるべきと立てた証を示すように紡ぐの放った斬撃波の一撃が『黒翼騎士』たちを吹き飛ばし、ここに己が竜神である証を示し、軍人たちの喝采を浴びるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
神代・凶津
「・・・もしかして敵の攻撃はアジール王国じゃなくて森にいた青い鎧の巨人?」
だとすると敵にとってあの巨人は一国より重要な何かって訳か?
よく分からねえが先ずは目先の大軍勢をどうにかしねえとな。行くぜ、相棒ッ!
「・・・転身ッ!」
正規軍と連携して空中戦だぜ。
正規軍の攻撃の合間を縫って空中を縦横無尽に移動しながら敵の攻撃を見切りつつ薙刀で叩き斬ってやるぜ。
敵が翼に風を受けて回避率を上げてきたら風を操って向かい風にしてバランスを崩してやる。
ついでに情報収集もしとくか。
おいッ!てめえらの目的はあの青い鎧の巨人かッ!?
【技能・空中戦、集団戦術、見切り、情報収集】
【アドリブ歓迎】
神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)は、まさかという考えが正しかったことを知る。
相棒の桜がつぶやく。
「……もしかして敵の攻撃はアジール王国じゃなくて森にいた青い鎧の巨人?」
そう、そのとおりである。
先遣隊が別働隊として行動したのは、本来はあちらが目的であったのだ。
けれど、猟兵たちと勇士たちが立ち上がったために、そちらに戦力を割かねばならなかった。
この時点で屍人帝国『オーデュボン』の目論見は打破されていたのだろう。
だが、疑念もまた湧くのだ。
『だとすると敵にとってあの巨人は一国よりも重要ななにかって訳か?』
彼等の動きを見れば、そのとおりであることが伺い知れる。
だからこそ、本隊として到着した『黒翼騎士』たちは正規軍を踏み潰してでも、何より一国を滅ぼしてでも、あの青い鎧の巨人を追うだろう。
それが可能な物量が次々と浮遊大陸の一端からなだれ込んでくるのだ。
多くの猟兵が戦いに馳せ参じたのが幸いであった。
『よくわからねえが、先ずは目先の大軍勢をどうにかしねえとな。行くぜ、相棒ッ!』
「……転身ッ!!」
身にまとうのは、風神霊装・二ノ型(ストームフォーム・ツー)である。
二人の力を一つにして顕現する霊装。
それが風神霊装である。その飛翔能力は凄まじいものであった。疾風怒濤のように空を舞う姿は、霊装の名を示す通りであったし、事実二人に追いつく事のできる『黒翼騎士』たちは存在していなかった。
「馬鹿なっ、速すぎる……! 我等が背を追うことで精一杯だと……!」
『黒翼騎士』たちが呻く。
彼等は追い風を持って速度をあげる存在である。
だからこそ、長大な獲物であるハルバードも悠々と扱うことができるのだ。けれど、風神霊装は風を意のままに操ることができる力を保ち、風をまとうのだ。
そうなった二人を止めることなどできようはずもなかった。
「加勢する!『黒翼騎士』たちの動きを止めろ!」
正規軍の軍人たちが立ちふさがり、『黒翼騎士』たちを足止めする。
彼等の攻撃は『黒翼騎士』たちには届かない。けれど、それは決定的な隙を生み出す。
そして、その隙を凶津たちが見逃すわけもなかった。
「……遅いッ」
放たれた霊鋼の薙刀の一撃が『黒翼騎士』を両断せしめるのだ。
「馬鹿なッ! 一撃で我等を――ゴハッ!」
血飛沫を上げながら『黒翼騎士』が崩れ落ちていく。さらに凄まじい速度で戦場を駆け抜ける凶津と桜。
二人は『黒翼騎士』を翻弄しながら、薙刀を振るい彼等を打ちのめしていく。
だが、気がかりなことは拭えない。
そう、あの青き鎧の巨人である。あの存在が如何なるものであるかを猟兵達は未だ知らないのだ。
ならば、ここで情報を集めることはなんの間違いでもないだろう。
『おいッ! てめえらの目的はあの青い鎧の巨人かッ!?』
「然り……! 『セラフィムV』こそが我等の目的! あれを貴様らの手に渡すわけにはいかんのだ!」
やはり、目的はあの青い鎧の巨人であったのだ。
ならばこそ、凶津は此処で『オーデュボン』の『黒翼騎士』たちを止めなければならないと決意する。
「……なら、そのためだけに国一つを滅ぼすのならば」
『ああッ! 捨て置くことなんてできるわけもないわなッ! 覚悟しやがれッ!』
二人の力が再び一つに重なり、ユーベルコードの輝きを増大させる。
膨れ上がった風の力と共に二人は雷よりも疾き薙刀の一撃を持って、『黒翼騎士』たちを尽く打倒せしめるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
西院鬼・織久
我等の技は個対多を前提としたもの
軍を成す味方と共に往く事はまずないのですが、これも我等の技を磨く一助
何よりこれ程の数の強者
我等が怨念のよき糧となろう
【行動】POW
戦闘知識+瞬間思考力を活かし敵軍と正規軍の戦法や動きを把握、理解し己の動きに組み込む
五感+第六感+野生の勘を働かせ攻撃を見切り回避する他、仕掛けようとする隊を察知し先制攻撃+UCに夜砥を忍ばせ範囲爆破
爆発で怨念の炎と夜砥を撒き、炎で突撃隊を蝕み足並みを乱し夜砥+捕縛した者は怪力で引き寄せ抵抗される前になぎ払い+切断
攻撃を掻い潜って突撃してるなら夜砥で即席のワイヤートラップを仕掛け夜砥+怪力で切断するか串刺しで始末し数を減らして行く
屍人帝国『オーデュボン』の『黒翼騎士』たちが一斉に翼を広げる。
手にした長物であるハルバードを掲げ、示威行為の如き隊列を組む姿は壮麗そのものであった。
数多の猟兵たちが彼等の戦列をかき乱したことは、『アジール王国』の正規軍にとって、戦いを有利に進めるためには必要不可欠なことであった。
何せ数と質で圧倒する『オーデュボン』の『黒翼騎士』たちは手強い相手である。
しかし、かき乱した戦列も時を経て建て直されてしまう。
だからこそ、西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は戦場を駆け抜ける。
彼等の技は個と多数を前提としたものばかりである。
正規軍と連携し、突出することなく戦うという経験は織久にとってはまずないことであったので、僅かなためらいと戸惑いもあったことだろう。
けれど、思い直すのだ。
「これも我等の技を磨く一助。そして何より……」
その瞳が妖しく輝く。
『黒翼騎士』達は言うまでもなく歴戦の騎士たちであろう。
そんな彼等が大挙して浮遊大陸に乗り込んでくるのだ。だとすれば、織久にとっては都合の良い話であった。
「これほどの数の強者。我等が怨念の良き糧となろう」
戦場に駆け出し、織久は言葉少なに正規軍と敵軍である『黒翼騎士』たちの戦術を把握する。
『黒翼騎士』たちは、隊列を組み、長物を持つ利点を最大に活かすべく錐状の陣形を持って、一つの部隊が矢のようになって戦場を突き進む。
対する正規軍は網目のように柔軟に敵の攻撃を受け止め、側面から部隊を叩く戦法をとっている。
「確かに間違っているとはいいませんが……個としての力量が勝っている相手であれば、網目をどれだけ細かくしたとしても食い破ることもまた造作も無いでしょう」
織久の瞳は戦局を正しく理解していた。
ならばこそ、その攻撃を仕掛けようとしている『黒翼騎士』の部隊の一つを見定める。
あれで食い破られては正規軍の軍人たちの被害は甚大なものとなってしまう。未然にそれを防ぐためには、織久が取れる選択は一つしかなかった。
「何人たりとも死の影より逃れる事能わず」
その瞳に輝くユーベルコードは、影面(カゲツラ)。
黒い影が極細の糸と共に放たれ『黒翼騎士』たちを爆破する。それこそが織久の内包する怨念の炎。
そして、爆発によって『黒翼騎士』たちと織久の間には影の腕で繋がれる。
「ぐお……!? なんだ、この腕は!」
「それは我が怨念の証。何人も逃れることはできない……」
一瞬で織久は『黒翼騎士』を引き寄せ、怪力で持って抵抗すら出来ずに極細の糸でもって、その首を両断するのだ。
先決がほとばしり、次々と織久が怨念の炎と爆発によって張り巡らせた即席のワイヤートラップによって『黒翼騎士』たちが餌食となっていく。
「それ以上は、先に進まれてはなりません」
織久が正規軍を手で制する。
そう告げた瞬間突撃してきた『黒翼騎士』たちの身体がバラバラに寸断されてしまう。それが仕掛けたワイヤートラップの威力であった。
極細でありながら、強靭なる強度を持つ糸は、それだけで『黒翼騎士』たちに肉体を細切れにするのだ。
そのすさまじいワイヤートラップの恐ろしさに身震いする正規軍の軍人たちは改めて織久が味方であることに感謝するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
正規軍の皆さんと連携を。
大軍で練度も高い敵の優位を崩しましょう。
ぶつかる前に正規軍の前衛にてUC発動、神気を放って攻撃。
それに耐えても畏怖による全身痙攣で戦闘力を大幅に減少させた上で、正規軍の皆さんに攻撃連絡です。
詩乃も多重詠唱による炎と風の属性攻撃&全力魔法&高速詠唱&範囲攻撃&貫通攻撃で炎の大竜巻を作り出して、空から襲って来ようとする黒翼騎士を纏めて焼いて切り裂きます。
近接戦では光の属性攻撃&神罰を籠めた煌月による、衝撃波&なぎ払い&範囲攻撃&鎧無視攻撃で纏めて斬ります。
防御では第六感&見切りでひらりと躱したり、オーラ防御を籠めた天耀鏡で盾受けして凌ぎます。
最後まで皆さんを鼓舞し続けます。
再び屍人帝国『オーデュボン』の『黒翼騎士』たちの背に風が吹く。
強風は追い風と成って彼等の身体を空へと舞い上げ、振り上げたハルバードの一撃をさらなる強撃へと昇華する。
必殺の一撃を前に『アジール王国』の正規軍はひとたまりもなく散り散りになって散らばっていくしかなかった。
「クソっ! あの『黒翼騎士』たちは練度が高すぎる。せっかく突き崩したっていうのに、即座に立て直してきやがる!」
軍人たちは毒づく。
それもそうであろう。これが凡庸なる敵国であったのならば、猟兵たちの働きによってとっくに瓦解していてもおかしくないほどの打撃が加えられているのだ。
だというのに『オーデュボン』の『黒翼騎士』たちは即座に体勢を立て直し、次々と正規軍を襲うのだ。
恐るべき練度であると言わざるを得ない。
けれど、正規軍の軍人たちを救ったのは、若草色の神気であった。
「災厄を齎す者よ、世の為、人の為、私がお相手致しましょう」
その言葉は戦場に澄み渡るように響き渡っていた。
怒号と剣戟の音が響く戦場にあって、場違いな声色であったが、その言葉こそが神威そのものであった。
『黒翼騎士』たちは己の身に走る畏怖に戸惑うしかなかった。
「この身を縛る畏怖はなんだ……! まさか神だとでも言うつもりなのか!」
大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は、その言葉にうなずき、神気遍満(シンキヘンマン)のユーベルコードの輝きを解き放つ。
危害ある存在を浄化消滅させる若草色の神気は、遍く戦場の全ての『黒翼騎士』たちに消し去ることのできない畏怖を与え続けるのだ。
「何も恐れることはありません。敵は恐れているのです。『アジール王国』の皆さん。あなた方の背中に敵はなく。眼前にこそ討つべき敵がいる。今こそ、一気呵成に攻め込む時なのです」
詩乃の言葉に正規軍の声が上がる。
彼女の声にどれだけの正規軍の軍人たちが心を震わされたことだろうか。
「おおっ! 今だ、一気に攻めるぞ!」
正規軍の軍人たちが戦場を駆け抜ける。それは一つの槍と成って戦場を分断させ、『黒翼騎士』たちを打倒していく。
「我等の邪魔をするかッ!」
「それがこの世界に生きる人々の願いであるのならば、私がお相手をすると言ったのです。災厄をもたらす者よ」
詩乃の手にした薙刀と『黒翼騎士』の放つハルバードの一撃が激突する。
凄まじい衝撃波が周囲に溢れ、あらゆるものを吹き飛ばしていく。けれど、詩乃はためらうことはなかった。
振るった薙刀とハルバードが同じく長物であるというのならば、詩乃こそが悠久の時を経て得た練磨によって一日の長があるのだ。
くるりと柄を回転させ、斬撃を受け流し神罰の力を込めた刃を帰す刃でもって『黒翼騎士』に叩き込み、衝撃波と共に鎧の分厚さなど無視するかのように一刀の元に両断せしめるのだ。
「巫女さん、上だ!」
正規軍の軍人たちが告げる視線の先に詩乃は見た。
翼を羽ばたかせ、空より襲来する『黒翼騎士』たちの援軍。ならば、と詩乃の唇が紡ぐは多重詠唱による炎と風の力の発現であった。
生み出された炎の竜巻が疾風の刃と共に上空より舞い降りる『黒翼騎士』たちを斬り裂き、まとめて焼き払っていくのだ。
その力の発露は神の御業と呼ぶにふさわしいものであったことだろう。
けれど、軍人たちにとって、彼女は勝利の女神そのものであった。
そんな彼等の元を離れることなく詩乃は最後まで彼等を鼓舞し続け、喪われるはずだった生命を守り通すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
クルル・ハンドゥーレ
アドリブ連携歓迎
さてさて、本隊のお出ましやね
気合い入れて、でも逸って突出せんよう頑張らせてもらお
キャバリア搭乗
推力移動・空中機動・空中戦駆使し飛行
さっきの鳥と違て食材にはならへんよね?なら毒使いも解禁!
限界突破で先制攻撃
範囲攻撃・マヒ攻撃・破魔・毒使いものせてUC展開
敵周囲に纏いつくんは無数の鋼の蝶や
振り払お思てスピード出しても、その勢いで翅に裂かれるか、幻惑侵食の白焔に巻かれるだけやで?
弱った敵は勇士と連携して攻撃また飛空艇を集中攻撃されんようシールドで盾受け・かばう・敵を盾にする
さ、そろそろ指揮官がお冠になりそうな頃合いやねえ
ちょい気ぃ引き締めて警戒しとこ
「まだ敵を駆逐することは叶わんのか」
そう告げる屍人帝国『オーデュボン』の本隊である『黒翼騎士』たちを従える指揮官であり、将である『グリフォンナイト』の声が響き渡る。
それは苛立つというよりも、これだけの軍勢を前にして今だ瓦解せずに、むしろこちらを押し返している『アジール王国』の正規軍を称賛しているような雰囲気すらあった。
だが、それが『アジール王国』の正規軍だけで成さしめるものではないことを彼は知るだろう。
「さてさて本隊のお出ましやね。気合入れて、でも逸って突出せんよう頑張らせてもらお」
その声は鋼鉄の巨人、異形の銕の機神を駆るクルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)のものであった。
彼女はキャバリアである機神と共に戦場に降り立つ。
その姿に正規軍は歓声をあげる。
お、と思わないでもなかった。それはあまりにも巨大な存在が味方をしているという以上の意味合いを持った歓声であったことだろう。
「おおっ! 巨人がもう一体! 私達に加勢をしてくれるのか!」
それはきっと先遣隊が別働隊を放って追った青い鎧の巨人と同じものであるとクルルの駆るキャバリアを認識したからであろう。
ならば、とクルルは味方の正規軍の士気を高揚するために告げるのだ。
「勿論や。だから、気張ってこう!」
その効果は絶大なものであった。
正規軍の軍人たちの熱気は最高潮に達する。彼等が戦場を駆け抜け、クルルはキャバリアと共に戦場を走る。
魔獣と違って、例えオブリビオンであるとはいえ人型の『黒翼騎士』たちは心臓である天使核以外は利用することはできない。
「なら毒使いも解禁! 先制で! 来たれ、来たれ 、ソラの涯より――胡蝶之夢(コチョウノユメ)」
輝くユーベルコードが幾何学模様を複雑に描いていく。
現れたのは眩惑と侵食、白焔を纏い舞い散らす鋼の蝶たちであった。それらは『黒翼騎士』たちを一気に包囲する。
「これは……! なんだ、視界が……!」
『黒翼騎士』たちの視界がぐらつき、幻惑でもって侵食していく白焔が彼等の肉体を焼いていく。
例え、振り切ろうとしても、その勢いこそが蝶の翅によって切り裂く助けとなるだろう。
それ以前に幻惑に侵食された彼等は白焔に焼かれるほか無いのだ。
「弱った敵は、一対多数に持ち込んで確実に討ち取っていく。敵さんの攻撃に集中攻撃されんように、こっちで陣形を整えよ!」
クルルのキャバリアが構える紫電纏う大盾が『黒翼騎士』たちを阻む。
その姿を認めた『黒翼騎士』たちは目を剥くだろう。
「巨人が何故もう一体いる……! 我等の邪魔立てをするというのか!」
「そらそうだけど。むしろ、なんであんたらに味方すると思ってんの?」
盾を打ち付け、『黒翼騎士』たちを吹き飛ばす。
どうにもやりづらい。けれど、クルルは判ってきていた。彼等が目的としていた青い鎧の巨人と、キャバリアは恐らくにているのだ。
だからこそ、『黒翼騎士』たちは自身のキャバリアに動揺している。ならば、これを利用しない手はない。
「敵さんは、完全に動揺しとる。ここで盛り返そ!」
敵の指揮官がお冠になりそうな頃合いであることをクルルは悟る。
けれど、それこそが猟兵たちの目的である。本隊の到着に寄っていたずらに正規軍が消耗し、擦り切れる前に敵将をおびき出してこれを叩く。
それしか、この大軍勢を蹴散らす術はない。
「ちょい気ぃ引き締めて警戒しとこ」
絶対に敵将はこのキャバリアを見て動揺するか、もしくは狙いを絞ってくるだろう。
ならばこそ、クルルはこれより訪れる困難を前に決意を新たにするのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
イングリット・ジルニトラ
※前章に引き続き。ガレオンチェンジで飛空艇の状態で参戦しています
黒翼騎士...私を撃墜したあの天使ではないが…屍人帝国の天使は全て敵である。
全砲門全弾装填。砲撃開始!!
(使用技能「砲撃」「呪殺弾」)
―ム。敵の吶喊を確認。エンジン出力を全開。敵の機動を予測し回避行動。
逆に敵を切り刻む。ガレオン形態ではスカイソードは左右両舷の姿勢制御翼として装備されている。当然ソードとしての機能も健在だ。
翔剣士らしく…切り刻む!!
(使用技能「空中機動」「斬撃波」)
ジルニトラ級陸番艦イングリットは幽霊船さながらに、ブルーアルカディアの空を飛ぶ。
それは己を失墜せしめた存在に対する怨念があるがゆえに。
屍人帝国『オーデュボン』の『黒翼騎士』たちはエンジェルの騎士たちである。かつての戦いにおいて、イングリット・ジルニトラ(ガレオノイドの翔剣士・f33961)を撃墜した天使ではないにせよ、屍人帝国の天使は全てが彼女の敵である。
そのように彼女は認識していたし、猟兵としての存在がオブリビオンの全てを敵として正しく認識させていたのだ。
だからこそ、この戦いも彼女にとっては正しいものである。
飛空艇へと姿を変えたガレオノイドであるイングリットの己の意志と怨念でもって、その身に宿した艦載砲の全てに装填された弾丸に呪詛を込めるのだ。
「全砲門全弾装填。砲撃開始!!」
放たれる砲撃は正規軍と激突する『黒翼騎士』たちを狙いすましたように討ち滅ぼす。
敵はただ一つ。
そう、オブリビオンのみ。
己を撃墜せしめた恨みを忘れることはついぞなかったのだ。だからこそ、己はまたブルーアルカディアの空へと舞い戻ったのだ。
戻って早々にまた雲海に沈むことなど在ってはならないのだ。
「――ム。敵の吶喊を確認」
飛空艇としての感度が上がってきているのだろう、自身に迫る『黒翼騎士』たちの一群が集団としての戦術を持って己を取り囲もうとしている。
彼等に囲まれてしまえば、接近を許し如何に巨大な飛空艇と言えど、損害は免れぬであろう。
「エンジン出力を全開。敵の機動を予測し、回避行動を――」
だが間に合わない。
敵の速度が巨大なる飛空艇を上回ったのだ。
しかし、それを阻んだのは正規軍の軍人たちであった。
「あの飛空艇を守れ! あれはジルニトラ級陸番艦イングリットだ。轟沈したはずの飛空艇が私達を救うために馳せ参じてくれたのだ。もう二度と撃沈させてたまるものか!」
軍人たちが『黒翼騎士』たちのハルバードを受け止め、散っていく。
生命がまた散っていく。
その光景は己が見た悪夢そのものであったことだろう。
だからこそ、イングリットの瞳はユーベルコードと、その意志でもって輝くのだ。
天使核の力に寄って風を手繰るスカイソードは飛空艇の左右両舷の姿勢制御翼として装備されている。
ならばこそ、その剣としての機能は健在である。
今まさに『黒翼騎士』たちに蹴散らされた軍人たちを救うために己ができることは一つしかない。
「戦って勝つこと。ただそれだけが私の存在意義」
出力をあげる炉心が唸りをあげる。
呪詛でもって廻る炉心が伝える胸の熱さは己がガレオノイドであるが所以。
「翔剣士らしく……切り刻む!!」
艦首を基点として、巨大な飛空艇から伸びる姿勢制御翼はまるで振り子の先に付けられた刃のように遠心力で持って迫る『黒翼騎士』たちの尽くを斬り裂き、吹き飛ばしていく。
まるでアクセルターンに巻き込まれたように敵を一層したイングリットは、蹴散らされた軍人たちを収容しながら戦場の空を飛ぶ。
己がかつてそうしたように。
戦いの最中であっても、命を守るために戦うこと。
それが今の彼女に課せられた猟兵としての使命である。それを忘れない限り、彼女の戦いはきっと、正しいものであることだろう。
そして、回収した軍人たちの感謝の言葉が呪詛と怨念にまみれた幽霊船の如き飛空艇の航路を輝かしいものにしたのは、きっと彼女自身が理解していることであろう――。
大成功
🔵🔵🔵
スリジエ・シエルリュンヌ
正規軍との連携、続きですね。わかりました!
そろそろこの桜のガンシップの操縦にも慣れてきました。でも、油断はしないようにしないと。
ふふ、魔砲をまた撃ち込んで、さらに今度は【桜火絢爛】を発動しますね。
視界を眩ませるように動かしまして。
風を受けているということは、延焼条件も整っていますね。
正規軍の皆さん。あの炎は、あなた達には害をなしません(延焼しそうになったら、その部分だけ消す)。ですから、思う存分、接近して攻撃しちゃってください!
ふう、本当に。空の戦いは、いつもと違う考え方をしないといけませんね…。
戦場となった浮遊大陸は今だ剣戟の音が響き渡っていた。
『アジール王国』の正規軍は屍人帝国『オーデュボン』と激突し、その戦いの趨勢は猟兵たちに掛かっていた。
「おせ! このまま奴らを大陸から押し返してやれ!」
軍人たちの士気は上々である。
それは数多の猟兵達が戦場に介入し、これを助けているからであろう。
だが、未だに『黒翼騎士』たちの数は膨大なままである。
次から次へと大陸へと降り立つ姿は、『オーデュボン』の帝国としての強大さを物語るものであった。
そんな戦場の空を桜色のガンシップが飛ぶ。
先の魔獣との戦いで慣熟運転を終えたスリジエ・シエルリュンヌ(桜色の文豪探偵・f27365)は青空の下、桜色の軌跡を描きながら戦場を見下ろす。
「そろそろこの子にも慣れてきました。でも、油断はしないようにしないと」
ガンシップの操縦桿を握る手が熱い。
じっとりと汗が滲むのは、正規軍と『黒翼騎士』たちがぶつかり合う戦いの凄まじさゆえであろう。
その熱気とも言い難い凄まじい生命力の輝きは、正規軍の士気が高いことに由来しているであろう。
だからこそ、スリジエは彼等の逞しさこそ後押ししなければならないと考えたのだ。
ガンシップで空から反転し、直情より魔砲から弾丸を打ち込んで『黒翼騎士』と正規軍を引き離すように割って入るのだ。
「桜よ、吹雪から炎となれ!」
その瞳がユーベルコードに輝き、桜火爛漫(オウカケンラン)の如き桜の花びらが戦場に舞う。
おおよそ戦場には似つかわしい可憐なる花びらは、『黒翼騎士』たちをたじろがせたことだろう。
「花……!? 何故ここに花が……!」
だが、その花弁がただの花弁ではないことを彼等は知る。
スリジエの放つユーベルコードの花弁。それは炎となって『黒翼騎士』たちを飲み込んでいく。
追い風を受けていた『黒翼騎士』たちの身体を即座に包み込む炎はたちまちのうちに『オーデュボン』の軍勢に混乱をもたらすのだ。
「正規軍の皆さん。あの炎は、あなた達には害をなしません。ですから、思う存分、接近して攻撃しちゃってください!」
スリジエの言葉に正規軍の軍人たちがうなずく。
敵は炎に巻かれ、混乱に陥っている。
猟兵であるスリジエが延焼分を含めて任意に消せるのならば、自分たちにとって恐れることはないと判断してのことだろう。
スリジエの駆る桜色のガンシップと共に軍人たちが次々と『黒翼騎士』たちを打倒していく。
恐れを知らないわけではない。
戦うことはいつだって生きることであるからこそ、ブルーアルカディアの人々はオブリビオンとの戦いにも勇気を持って当たるのだ。
それゆえに飛空艇に乗り込む彼等こそを勇士と呼ぶ。そんな逞しさを持つ人々と共にスリジエは戦う。
「ふう、本当に。空の戦いは、いつもと違う考え方をしないといけませんね……」
慣れぬ空戦。
けれど、このブルーアルカディアの空は心地よいと思える。
オブリビオン溢れる屍人帝国が存在していたとしても、逞しく生きる人々の生命力の輝きは、スリジエにとってはきっと眩いものであったことだろうから――。
大成功
🔵🔵🔵
髪塚・鍬丸
翼を持つ熟練の飛行部隊に、跳躍では機動力で勝てんか。一旦飛行船に降りて術を組み直す。
【鳴神の術】で上空に雷雲を呼ぶ。雷気に引かれる様に宙へ浮かび上がる。
敵の技は上空からの攻撃か。三次元戦闘においては敵の頭上を取れ。定石だ。だからこそ対応する術もある。
【属性攻撃】【範囲攻撃】【貫通攻撃】。雷雲から敵軍に雷を落とし攻撃。鉄を纏い高所に立ったのが貴様らの不覚さ。
懐に飛び込んでくる敵は自ら迎撃。UCの飛行能力にスラスターでの機動を組み合わせ、稲妻の動きの【空中戦】で船への攻撃を阻む。
翼による加速、速いが直線的で【見切り】易い。風を読み紙一重でかわしつつ刀での【カウンター】、敵の勢いを利用して切り裂く。
屍人帝国『オーデュボン』の『黒翼騎士』たちは熟練為る騎士たちであった。
どれだけ猟兵たちが『アジール王国』の正規軍と連携をし、突き崩したとしても、膨大な数でもって即座に体勢を整えていくのだ。
それは彼等がオブリビオンである以上に、かつてそういう存在であったことを伺い知るには十分なものであったことだろう。
そして、翼を持ち、追い風に寄って飛翔する存在は翼持たぬ者たちにとっては脅威そのものであった。
小型飛空艇によって飛ぶ軍人たちも自由自在に空を駆け抜けて羽撃き、ハルバードの一撃を見舞ってくる『黒翼騎士』には手こずらざるを得ないだろう。
冷静に髪塚・鍬丸(一介の猟兵・f10718)はそれを理解していた。
どれだけこちらが歴戦の猟兵であったとしても、跳躍だけでは機動力に勝ることはできない。
ならばこそ、鍬丸は飛空艇を降りて、術を組み直すのだ。
「熟練為る飛行部隊に機動力で勝るのならば、これだ。我 天土の理を知り雷と鳴る」
その瞳がユーベルコードに輝き、自身の上空に雷雲を生み出し呼び寄せる。
青空に一点の雷雲。
それは不可解な光景であったことだろう。それこそが鳴神の術(ナルカミノジュツ)である。
鍬丸の瞳がユーベルコードに輝き、大地を蹴った瞬間、凄まじい速度で飛翔し『黒翼騎士』の頭上を取る。
振り上げたハルバードの切っ先をつかむ姿はまさに定理の外側にある忍びの者。
「いつのまに! 我等の頭上を取るほどの速度だと!?」
「三次元戦闘においては敵の頭上を取れ。定石だ。だからこそ――対応する術もあるのさ」
輝く瞳がユーベルコードの一撃を加えるべき敵を見据える。
『黒翼騎士』の瞳が驚愕に見開かれた瞬間、鍬丸の呼び寄せた雷雲から落雷の一撃が凄まじい衝撃でもって『黒翼騎士』を穿つ。
悲鳴をあげる暇もなく『黒翼騎士』が黒焦げになって大地へと失墜する。
「鉄を纏い高所に立ったのが貴様らのふ深くさ」
雷雲より次々と雷撃が翔び、『黒翼騎士』たちは次々と撃ち落とされていく。
彼等にとって雷撃ほど恐ろしいものはないだろう。
空を翔び、敵の頭上を取るからこそハルバードの一撃は強大な一撃と成って敵を討つ。しかし、その戦法がまさにさらなる上空から蓋をされるとは思いもしなかったのだろう。
「ならば、貴様から!」
横薙ぎに振るわれるハルバードの一撃を鍬丸はスラスターの噴射によって躱し、変幻自在なる空中機動で持って翻弄する。
その動きはまるで稲妻を思わせるようなすさまじいものであった。
「翼による加速、速いが直線的で見切りやすい……風を読めばわかる。それがどれだけの練磨の果てに得た技量であるかを」
ゆえに読みやすいのだ。
忍びの者は常に裏をかく技量。
ならばこそ、鍬丸をハルバードが捉えることはできない。
紙一重で躱し続ける鍬丸は、己に敵の注意をひきつけ続ける。正規軍の飛空艇がその隙に敵の本隊と激突する。
言わば、己は囮である。時を稼ぐだけに過ぎないのかも知れない。
けれど、この戦いは猟兵という個で始末のつくものではない。このブルーアルカディアに住まう人びとが己たちの生存をかけて戦う決死のものであるのならばこそ、彼等と共に戦うことこそが肝要なのだ。
「囮! 我等を謀るか!」
「ああ、これは個の戦いじゃあない。彼等が生きるための戦い。なら、俺は如何にしても御下命を果たすまで」
放たれるカウンターの刃の一撃が『黒翼騎士』の首を跳ね飛ばす。
鍬丸の働きによって正規軍はさらに『黒翼騎士』たちを押し返していく。その楔を打ち込んだ鍬丸はスラスターを噴出させ、さらに雷撃と共に戦場を斬り裂き飛ぶのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
ここからまだ増えるの!?
いったいどれだけの数をだしてるんだろう……。
でも、それだけのなにかがあるってことなんだろうから、ここは負けられないね。
わたしは引き続き【セレステ】に乗って行動。
正規軍との連携ってことならこれだね!
【フレーム・アドバンス】で『黒翼騎士』の動きを止めるよ。
どんなに連携に優れていたって、
スピードを落として対応できなくしちゃえば有利に戦えるよね。
正規軍のみなさまには、その隙を突いてもらうことにしよう。
連携しないとだし、わたしも指揮官さんの指示を受けて、
正規軍のみなさまといっしょに突撃するよ。
【M.P.M.S】には反応弾を装填して、ホーミングで確実に当てていこう。
「当ったれー!」
『黒翼騎士』たちの一群が再び、浮遊大陸の一角に降り立つ。
整然とした隊列は一糸乱れぬものであり、彼等の練度の高さを伺い知ることができるであろう。
これまで多くの猟兵たちが戦い、戦いの趨勢を『アジール王国』の正規軍に傾けてきた。
けれど、膨大な敵の数は屍人帝国『オーデュボン』の国力の凄まじさを物語っていた。
どれだけ倒しても敵将が存在する限り、この戦いに終止符は打たれないのではないかと思うほどの大軍勢を前にして菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は思わずうめいてしまっていた。
「ここからまだ増えるの!?」
一体どれだけの数を出しているのだろう。
それほどまでに彼等が追う青い鎧の巨人が重要なのであろうか。
なんであるのかは今だ判明していない。
けれど、これだけの戦力を投入するに値する存在であることは間違いないのであろう。
「なら、ここは負けられないね」
彼女はガンシップである『リオ・セレステ』を駆り、正規軍のガンシップと連携を取るのだ。
「見ない顔だが、ガンシップの操縦には慣れているようだな。行くぞ!」
正規軍の軍人たちと理緒はうなずき合う。
戦うにあたって連携は必須である。突出すれば数の暴力に寄って如何に猟兵と言えど危うい。それだけの数を『黒翼騎士』たちは繰り出しているのだ。
それに彼等には強風という追い風がある。
凄まじい速度で進撃しえてくるのもまたそれが原因だ。
「敵は突進力に優れている。隙を見せたら即座に食いつかれるぞ」
「なら、これだね!」
ガンシップに搭載されたカメラから映像をキャプチャし、『黒翼騎士』の姿をトリミングし同期プログラムを放って、画像と現実を同期させることによって『黒翼騎士』を一時停止させるのだ。
「――っ!? 敵の動きが速い……いや、違う! なんだ、これは、動きが止まる!?」
『黒翼騎士』たちは己たちが空中で停止していることに気がつく。しかし、気がつくことができても身体は動かないのだ。
何故、と問いかけるよりも早く理緒が瞳をユーベルコードに輝かせて言うのだ。
「わたしが速くなった? 違う。あなたが遅くなったんだよ」
フレーム・アドバンス。
それこそが理緒のユーベルコードである。
どれだけ戦術を組み上げ連携に優れた『黒翼騎士』たちとは言え、速度を落とし停止せしめるユーベルコードの前では対応などできるわけもない。
「今だよ! 当ったれー!」
僚機であるガンシップたちと共に理緒はミサイルランチャーから反応弾を打ち出す。
それは『黒翼騎士』たちにとって躱しようのない砲撃であったことだろう。
次々と火球が空に咲き、『黒翼騎士』たちが失墜していく。
ここからは最早イージーゲームであったことだろう。敵を停止させ、そこに弾丸を打ち込んでいく。
釣瓶撃ちも斯くやとばかりに正規軍と理緒のガンシップが弾丸を打ち込み、大空の覇者が一体誰であるのかを知らしめる。
理緒が敵の隙を生み出し、正規軍がトドメを刺していく。
このやり方はもはや相対することが死に繋がるのと同義であったことだろう。躱しようのない砲撃の雨に晒され、『黒翼騎士』たちは、その一翼を瓦解させていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「ふははは!
所詮は雑魚モンスターどもよ!
天才美少女魔術士である我の敵ではないわ!」
次はなんか黒い奴らだな。
その格好、漆黒の魔女たる我に喧嘩を売ってるな?
よし、買った!
魔法の箒の上に仁王立ちし、飛空艇から飛び立ち、正規軍をも抜き去って先行しよう!(グリモア猟兵の話聞いてない
「敵陣の中心で我の最強魔法を食らわせてくれよう!
防御陣形を組んで回避しようとしても、超広範囲を氷漬けにしてしまえば避けることもできまい!」
【極寒地獄】で空中に生み出した氷の迷宮に敵を閉じ込め、そのまま氷漬けにしてくれるわ!
「……あれ、閉じ込めきれなかった敵に包囲されてる?」
ええい、味方はまだ来んのか!(自業自得
シスカ・ブラックウィドー
【勇者パーティー】
ああー。突撃して行っちゃった
......。ある意味勇者だな
......。
放置するわけにも行かないので、敵の注意をこっちに引きつけようか。
「みんなー! とっても可愛い美少女執事だよ★」(注:本当は♂)
甲板に立って『シスカの出張執事カフェ』発動!
執事のコスプレで敵の注意を引きつけるよ。
さらにバーベキューセットでサンマを焼いて香ばしい香りを周囲に撒き散らす。フィアさん帰っておいでー。
ステラさん、操縦と迎撃よろー(操縦もう飽きた)。
ルクス・アルブス
【勇者パーティー】
素敵な演奏で頑張ったのにクレームとか、納得できないんですが!
って、誰も聞いてくれてないですね……。
と、拗ねていたら、師匠が飛び出してました!?
わー!?
シスカさん、ステラさん、追いかけてくださいー!
あれ、だいたいダメなやつです!
って、え? 飽き……? いや、執事姿凜々しいですけど。
あ、たぶん師匠お腹空かしてますので、何か作っておいてもらえると嬉しいです。
その前に、師匠と借金師弟になるのも困るので、今回は演奏封印。
【Tanz des Hagel】で、師匠の魔法を逃れた『黒翼騎士』を氷漬けにして、脱出口を作りますね。
師匠、こっちです、こっちー!
シスカさんのサンマがまってますよー!
ステラ・タタリクス
【勇者パーティー】
引き続き【ガレオンチェンジ】で飛空艇形態
(ルクス様の様子にそっとスピーカーを仕舞う)
ルクス様、きっと音楽性の違いというものです
お気を落とさずに
さて第一波は防いだようですね
とはいえ敵陣営はいまだ健在
皆様、引き続き油断せずに…
フィア様?フィア様ー?
あの方、どうして飛び出していったんですか?ルクス様?
なるほど
そういうことならシスカ様…ええ、飽きたと
承知しました、ご命令(オーダー)承ります
【バトラーズ・ブラック】発動
これで皆様の船上戦も支援できます
艦載砲の一斉射撃で威嚇射撃と弾幕を
皆様、今です
……あの、甲板で匂いがするものはちょっと…
後でクリーニング費用をフィア様に請求しますね
ガレオノイドであるステラ・タタリクス(紫苑・f33899)が変身した飛空艇の甲板上でルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)はいじけていた。
甲板で、のの字を書きながらびつぶつ言っていた。
「あんなに素敵な演奏でがんばったのにクレームとか、納得できないんですが! ですが!」
先の魔獣との戦いで奏でた旋律はステラの用意したスピーカーから増幅されて戦場という戦場に響き渡っていた。
しかし、なんというか、非常に独創的な演奏過ぎて多くのクレームが寄せられたことにルクスはまだ納得がいっていなかった。
「ルクス様、きっと音楽性の違いというものです。お気を落とさずに」
そうやってステラが慰めてくれるが、ルクスは一向に立ち直る気配がなかった。
しかし、弟子がそんな状態であっても師匠であるフィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)は平常運行であった。
「ふははは! 所詮は雑魚モンスターどもよ! 天才美少女魔術士である我の敵ではないわ!」
すっかり魔獣をぶっぱで吹き飛ばしたことにご満悦であるフィアは、さらに迫る『黒翼騎士』たちを見て、なんか黒い奴らだな、くらいの感想しか抱いていなかった。
ルクスはいじけているし、ステラはそれを慰めるのに手を割いている。
さらには、シスカ・ブラックウィドー(魔貌の毒蜘蛛・f13611)は飛空艇パイロットの格好を脱いでいた。
だから、彼女を止める者などいなかったのだ。
「その格好、漆黒の魔女たる我に喧嘩を売ってるな? よし、買った!」
どこをどうすればそういう理論になるのかなぁってシスカは思わないでもなかったが、フィアがやる気満々であるがゆえに止めると逆に面倒くさくなるやつだなこれと、判断して黙っていた。
フィアは魔法の箒の上に仁王立ちし、飛空艇から颯爽と飛び立つ。
正規軍すらも抜き去って先行するのは、流石にシスカも予想外であった。
「ああー。突撃して言っちゃった……ある意味勇者だな……」
そんな感慨深いことを言っている場合ではない。
「わー!? シスカさん、ステラさん、追いかけてくださいー! あれ、だいたいダメなやつです!」
ようやくルクスが我に帰った時、すでにフィアの姿は豆粒程度になっていた。
あれだけ口酸っぱく先行しないで正規軍と連携してねと言っていたのに、フィアはまるで覚えていなかったのだろう。
敵の中心でぶっぱすれば楽勝じゃ! くらいに思っていたのだ。
「敵陣の中心で我の最強魔法を食らわせてくれよう! 防御陣形を組んで回避しようとしても、超広範囲を氷漬けにしてしまえば避けることもできまい!」
輝くユーベルコードの輝き。
それは、戦場を包む氷壁。絶対零度によって敵を凍りつかせる、極寒地獄(コキュートス)。
その氷壁の迷路は取り込んだ『黒翼騎士』たちを氷漬けにして確かに一息に殲滅せしめただろう。
しかし、その範囲の外からも『黒翼騎士』たちは続々と到着しているのだ。これが先行してはならない理由であったのだ。
「……あれ」
フィアは戦場にあって、一人ぽつねん、と『黒翼騎士』たちに包囲されていた。
いつのまに、と思う間もなく襲い来る『黒翼騎士』たちのハルバードを空飛ぶ箒にしがみつきながら必死にフィアは回避し続けるのだ。
「わー……流石にあれは放置するわけにも行かないね。こっちに注意を引きつけようか」
シスカは逃げ惑う豆粒みたいなフィアを見やり、仕方ないなというように肩をすくめてユーベルコードを発現させる。
「みんなー! とっても可愛い美少女執事だよー★」
ステラの甲板上に達、『シスカの出張執事カフェ』を展開する。
いや、あえて間違えを正すのであるとすれば、それは美少女執事カフェではなく、男の娘メイドカフェ(パラダイス・オブ・シスカ)である。
いや、まあ、間違っていないけれど。
けれど、なんだろう、執事のコスプレに身を包んだ執事デーのメイドカフェとでも言えばいいのか。
いや、よくわからんなこれ! と混乱しているうちにシスカがいつのまにかバーベキューセットでサンマを焼いている。
なんでサンマなのかと問いかけたい気分であるし、ステラはステラで甲板上で匂いが染み付くことをされるのはちょっと困りますと、あえて言葉にはしないが後でフィアにクリーニング費用を請求しようと心に決めるのだ。
「それにしてもあの方、どうして飛び出して行ったんですか? ルクス様?」
「あ、多分フラストレーションが溜まっているんです。お腹すくとイライラしますよね。それです。師匠は魔法使うとお腹が空く仕様なので」
身も蓋もない言い方であるがまあ、事実である。
ルクスの言葉にステラは得心が行く。
戦場にサンマの匂いが充満し、さらに注意を惹きつけるシスカ。正直もう何がどうなっているのかまるでわからない様相である。
正直に行ってなんでサンマなのかわからん。
「フィアさん帰っておいでー」
「そうですよ、師匠! シスカさんのサンマがまってますよー!」
そんなふうに二人がフィアに呼びかけるが、彼女はそれどころではない。『黒翼騎士』たちに取り囲まれてボコにされそうになっているのだ。
だから突出しちゃだめだって言ったのに……。
「ええい、もう! 師匠と借金師弟になるのも困るので今回は演奏封印しますからね! 氷よ、穿てッ!」
ルクスは師匠たるフィアが追いたてられている姿をみて、『黒翼騎士』たちにTanz des Hagel(タンツデスヘイル)によって生み出された氷の礫を放ち、フィアの活路を開く。
さらにステラの放つ艦載砲の一斉射撃による威嚇と弾幕が『黒翼騎士』たちの隊列を乱し、フィアをボコにしていた包囲網に穴を穿つのだ。
「皆様、今です」
まさにバトラーズ・ブラック。
ブラックすぎる。ステラはいかにオーダーとは言え、ここまで酷使されるとは思ってもいなかったことだろう。
匂いはつくし、敵陣に取り残されたフィアを救出しなければならないし。
「しかし、困難なオーダーであればあるほどになんでも屋である私の心が高ぶるというものです」
クリーニング代は必ず請求しますが、とステラはルクスとシスカと共にフィアを救出し、敵陣から脱出せしめるのであった――。
大成功
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須藤・莉亜
「あー、食べた食べた。腹三分目って感じ。」
さて次は?今度も美味い血だと良いなぁ。
正規軍の人らが苦戦している所を瞬時に判断し、Argentaを足場にして空を駆けながらその場所へ突っ込み、先ずはArgenta達で攻撃を仕掛けてからUCを発動。
「黒啜、出番だよ。」
Argentaの攻撃を躱そうとした敵さんらを黒啜から出る鎖で縛り、更に杭で串刺しにして動きを鈍らせる。
後は二振りの大鎌とArgentaの包囲攻撃で敵さんを殺しにかかるかな。
あ、UCの効果範囲内の敵さんらを殺すのは正規軍の人達にも手伝ってもらおう。流石にちとめんどいしね。
「楽しくなって来たねぇ、この戦場も。」
ああ、メインの時間が楽しみだよ。
魔獣の味わいは、程良い満足感を須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)に与えてくれていた。
オブリビオンにのみ吸血衝動を開放する彼にとって、魔獣の味わいは可もなく不可もなしという味わいであった。
言うなればごちそうではないけれど、日々の食卓を彩る豊かな食材のレベル。一点豪華主義も良いけれど、食事のクオリティを上げるのもまた必要なことであるようにさえ感じられたことだろう。
「あー、食べた食べた。腹三分目って感じ」
あれだけの魔獣たちを吸い殺しておきながら、まだ腹三分目であることは凄まじい食欲と衝動と言わざるを得ない。
しかし、戦いが終わらぬ以上これほど頼もしい言葉もないだろう。
「さて次は? 今度も美味い血だと良いなぁ」
彼が見やる先にあったのは『アジール王国』の正規軍と屍人帝国『オーデュボン』の『黒翼騎士』たちが激突する光景であった。
今や戦いの戦局は、わずかに正規軍に傾きつつあった。
あれだけの戦力差を覆したのは戦いに馳せ参じた猟兵たちの働きがあってこそであろう。
連携をし、時には敵を討ち滅ぼす。
突出することなく見事な連携でもって『黒翼騎士』たちを追い込んでいく。すでに一翼は瓦解しているが、それでも猟兵の手が足りぬ戦場はあるのだ。
莉亜はそれを目ざとく見つけ、無数の銀槍を足場にして戦場の空を飛ぶようにして駆け受けていくのだ。
「―――ッ!? 何奴!」
『黒翼騎士』が戦場に飛び込んできた莉亜の姿にハルバードを構え、防御姿勢を取る。
しかし、それはあまりにも悪手であった。
放つ銀槍の一撃が『黒翼騎士』の胸を穿つ。
「黒啜、出番だよ」
手にした黒い大鎌から鎖と共に杭が走る。
それは戦場にあって無数に放たれ、莉亜を取り囲もうとした『黒翼騎士』たち全ての胸に穿たれる。
「ぐっ……! だが、これしきのことで!」
例え、杭で内貫かれようともオブリビオンである。この程度では絶命などしない。振り上げたハルバードが莉亜へと目掛けて振り下ろされようとした瞬間、一瞬で黒い大鎌の刃が振り抜かれる。
一瞬の出来事であった。
鎖に寄って紡がれた『黒翼騎士』たちが瞬時に莉亜へと引き寄せられ、振るった大鎌の旋回するような一撃のもとに彼等の首を跳ね飛ばしたのだ。
「うん、流石にちとめんどいね」
それでも笑っていた。
血を吸う大鎌から伝わる血液の味に頬をほころばせる。魔獣たちの血が豊かた食卓のようであったのならば、『黒翼騎士』たちの血は前菜のスープだ。
それ単体では変哲もない味であるけれど、これより現れるであろう主菜の味をさらに引き立てることは間違いがない。
「楽しみになって来たねえ、この戦場も」
無慈悲で愉しい死刑場(クシザシ)と化した戦場にあって莉亜の穿つ大鎌の一撃は正規軍の勢いをさらに付けさせ、苦戦していたことなど忘れるかのように軍人たちが駆け抜けていく。
この調子であれば、莉亜が望む主菜、メインの時間もそう遠くはないだろう。
自然と舌なめずりするように唇をなめる仕草。
それはどうしようもないほどに強烈な衝動となって莉亜の心を支配するだろう。
「ああ、メインの時間が楽しみだよ――」
その凄絶な笑みと共に、現れるであろう主菜の存在を莉亜は待ち望むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
勇士には敬語
孔雀輪を使い【空中機動】【空中浮遊】で【空中戦】
こちらだって容赦はしない、お前らに殺される気はさらさらない
何が狙いかは分からないが邪魔させてもらう
POWで判定
引き続き魔銃のレプリカを使用しての遠距離戦
敵の攻撃は【見切り】【ダッシュ】【早業】で回避したり、風の【結界術】で防御する
義眼のメガリスの黄の災い:感電【マヒ攻撃】をUCを使用し弾丸に付与
【スナイパー】【クイックドロウ】【範囲攻撃】で放ち【時間稼ぎ】と【逃亡阻止】
それから橙の災い:爆破【爆撃】を付与した弾丸同様に付与し攻撃する
必要なら【救助活動】を行う
「やはり我等の道を阻むは猟兵か! 忌々しい奴らめ!」
オブリビオンである屍人帝国『オーデュボン』の『黒翼騎士』たちは、この数と質で勝るこの戦いの趨勢が『アジール王国』の正規軍に傾いていることを知る。
本来であればありえない結末である。
何故、と考えれば相対する存在が猟兵であるとひと目でわかるのだ。
それがオブリビオンと猟兵の間に横たわる決して交わらぬ存在としての証拠であった。
「容赦をするな。敵を寡兵と侮ることなく! 我等の背に風を! 強風と共に我等は神速でもって奴らを打ち破る!」
だが、その前に立ちふさがるのは猟兵と正規軍である。
「こちらだって容赦はしない。お前らに殺される気もさらさない」
ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)は空を飛ぶ宝貝の力を持って、正規軍の軍人たちと共に『黒翼騎士』たちの道を阻むのだ。
「行くぞ、義眼の方。我等が前に! 背中は任せます!」
軍人たちがルイスの前に出て、『黒翼騎士』たちを抑える。連携が必須とは言え、彼等を矢面に立たせるのは気が引けたが、そうも言っていられないのがこの戦いである。
数でも質でも勝る『黒翼騎士』たちを前にしてルイスが取れる選択は多くはない。
だからこそ、彼等の意地を無にしないためにルイスの瞳が、義眼のメガリスが輝くのだ。
「メガリスと魔銃のリンク強化完了、発射!」
黄色の輝きに満ちた強化属性弾射出(エンチャントバースト)によってほとばしる感電の力が『黒翼騎士』たちの振り上げたハルバードから、彼等の体に流れ込み、その体を痺れさせる。
それは僅かな時間の隙にしかならなかったかもしれない。
けれど、それでも前衛に立ってくれた軍人たちにとっては十分なものであった。
彼等はその隙に己たちの武器を振るい、『黒翼騎士』たちを打倒していくのだ。
「何が狙いかはわからないが、邪魔させてもらう」
ルイスの義眼が再び輝く、次々と黄色の災いを『黒翼騎士』たちに降りかからせる。
時間を稼ぐには、この手が一番であることはわかっているし、何より正規軍の軍人たちが安全に敵を打ち取るためには、この搦手が最善であると判断したからだ。
「このっ! 煩わしい真似を!」
「お前達が踏み潰そうとしたものを護るために俺は在る。だから――」
再び輝く義眼のメガリスが魔銃の砲口を輝かせる。
その色は橙。
爆破を付与した弾丸が放たれ、乱れ打たれるのだ。
それらは空に大輪の橙色の花を咲かせるように戦列なる輝きでもって、『黒翼騎士』たちの隊列を乱し、次々と爆煙の中から追い出されるようにして飛び出したところを正規軍の軍人たちに仕留められていくのだ。
「助かりました、引き続き前はおまかせを!」
軍人たちとルイスは頷きあって、このブルーアルカディアの大空を護るために、共に駆け抜ける。
それはこれまでの戦いにあって、異なるものであったことだろう。
猟兵たちの戦いはいつだって、繋ぐ戦いである。
けれど、ブルーアルカディアの人々は、逞しさ溢れる生命力の輝きで持って共にオブリビオンと戦ってくれる。
これほど頼もしい援軍もないだろう。
ルイスは己を生者の盾として規定するがゆえに、彼等を護る戦いに身を投じることに、如何なる感情を覚えただろうか。
それを人は充足と呼ぶのかもしれない――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
希少金属を複製創造で供給して鉑帝竜を巨大化
その後は複製創造と生命創造で使い魔を量産
指揮は頼んだよ
まかせるのですよー
戦場を飛び回りつつ使い魔をけしかけて
一度に正規軍に殺到できないよう足止めしたり
正規軍と戦闘中に連携の邪魔をしたりして援護するのです
それとレールガンを撃ち込んだり
孤立してるのを袋叩きにしたりして数を減らすのです
中々速い輩が追いついてきたみたいですけど無駄なのです
停滞を齎す神気に触れたら終わりなのです
まあそれがなくとも早々この装甲は抜けませんけどねー
近付いたのを金属化したら装甲に取り込んで強化するのです
…どっちが悪役なんだろう
あら、本体(わたし)の封印を解けばもっと素敵な事ができますの
邪神の分霊が駆る鉑帝竜は魔獣との戦いで希少金属が消耗されていた。
しかし、未だ戦いは終わらない。
猟兵と『アジール王国』の正規軍。そして屍人帝国『オーデュボン』との戦いは苛烈を極めていた。
戦場の一翼はすでに瓦解し、正規軍が浮遊大陸の一角に侵略を開始していた『オーデュボン』の『黒翼騎士』たちを叩き返しているのだ。
だが、それでも『オーデュボン』の国力の凄まじさを物語るように次々と援軍が保寿されては体勢を整える『黒翼騎士』たちの練度の高さゆえに、完全の勝利へと導くことができないでいた。
「流石に敵もやるものだね。なら……」
鉑帝竜に希少金属を複製し、供給して巨大化させながら佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は戦局を見定める。
一翼は瓦解してはいるものの、そこを埋めるように『黒翼騎士』たちがカバーにはいって中央の補給線が細くなっている。
ならば、正規軍に『黒翼騎士』が殺到しないように立ち回るのが晶たちの役割であろう。
「よし……なら、指揮は頼んだよ」
使い魔たちに指揮を頼み、晶はその瞳をユーベルコードに輝かせる。
神気の防御膜を纏った巨竜形態へと変身し、その咆哮を轟かせる。さらに複製によって錬成された圧倒的な物量となった竜型使い魔たちを率いて飛ぶのだ。
「まかせるのですよー」
それはまさに帝竜の軍勢(エアリアル・アーセナル)と呼ぶにふさわしいものであった。
どれだけ個として勝る『黒翼騎士』と言えど、圧倒的な物量でもってすりつぶせるほどの数であれば、これに対抗することは難しいであろう。
「この数……一体どこから――!」
竜型使い魔たちの飛翔と共に『黒翼騎士』たちが引き潰されるように蹂躙されていく。
その光景を見やりながら、晶は鉑帝竜の肩の上で蹂躙劇にやや引いてしまう。
「敵でなくてよかったと思うべきかな……どっちが悪役なんだろう」
思わずそうつぶやいてしまっていた。
孤立した『黒翼騎士』は袋叩きにし、例え追いつくほどに速度を増した個体がいたのだとしても、停滞をもたらす神気に触れた瞬間に速度は関係がなくなる。
「まあ、それがなくとも早々この装甲は抜けませんけどねー」
超硬金属の装甲はハルバードの一撃をもってしても、逆にハルバードの刃を砕くだけに終わってしまう。
さらに神気によって金属化し、装甲に取り込んで強化しながら飛ぶ竜型使い魔の極悪なる性能は、『黒翼騎士』たちとの質と量を尽く凌駕し、敵の補給線を断ち切って、一翼の瓦解を決定的なものにするのだ。
レールガンの弾丸を打ち込み、正規軍と連携を取りながら、次々と『黒翼騎士』たちを撃破していく姿は壮観であったが、圧倒的な物量ですりつぶす光景は、もはや戦術が役に立たないことを告げているようでも在った。
「あら、本体の封印を解けば、もっと素敵なことができますの」
そう言われて、じゃあ解きますと言えればどんなに楽なことであろうか。
しかし、それができるわけもなく。
晶は嘆息しながらも、それはないと、きっぱりと言い放つのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
(引き続き飛行式箒【リントブルム】に乗っての参戦)
…なるほどね……あれが本隊か…
結構な大量の数で…連携できるぐらいの距離を保った隙の無い陣形か…流石の練度だね…
…目的はセラフィムV…さて、I~IVでもいるのやら。ま、後で調べれば良いな…
…守備担当が防いでいる間に攻撃担当がこちらを攻めるつもりかな…?
…その互いの距離の近さが命取りだね…【連鎖する戒めの雷】で部隊1つを伝播する雷鎖で縛り上げるとしよう…
…(正規軍に)今がチャンス…集中砲火で騎士の数を減らすことでを圧を減らすよ…
…この局面は何とかなるけど…敵の指揮官を倒さないと終わりそうにないね…どこにいるものやら…
戦場の戦局は刻一刻と『アジール王国』へと傾いていた。
多くの猟兵たちが正規軍の軍人たちと連携を取ったことが功を奏したのだ。このブルーアルカディアに生きる人々の逞しさと、生命力に溢れた戦いぶりを飛行式箒『リンドヴルム』の上から見ていたメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は静かに屍人帝国『オーデュボン』の本隊の動きに感嘆する。
「……なるほどね……あれが本隊か……」
相当な数が、この浮遊大陸に続々と乗り込んできている。
どれだけの数がいるのかもわからぬほどの大軍勢。
それを前にして正規軍が持ちこたえていること事態が奇跡的であったのかもしれない。
「これだけの戦力で……連携できるぐらいの距離を保った隙の無い陣形か……さすがの練度だね」
防衛を担当する『黒翼騎士』が盾となり、即座に他の『黒翼騎士』たちが攻撃を繰り出すことによって、無傷で戦いを運ぶ陣形だ。
それも即座に消耗した『黒翼騎士』から背後に下がって、敵を翻弄し続ける。
そうやってこれまでも戦ってきたのだろう。
かつて浮遊大陸にありし帝国の残影と呼ぶにはふさわしいものであった。
「けれど、その互いの距離の近さが命取りだね」
メンカルにはすでに敵の陣形の弱点がわかっていた。
確かに隙のない陣形であるが、それは互いの距離を保つからこそなせるものであった。
離れすぎては効果が薄く、けれど、近づきすぎてもいけない。
ならばこそ、メンカルの放つユーベルコードの輝きは彼等にとって致命的であったことだろう。
「紡がれし迅雷よ、奔れ、縛れ。汝は電光、汝は縛鎖。魔女が望むは魔狼封じる天の枷」
彼女の周囲に展開された無数の魔法陣から放たれる雷の鎖。
それは同じ性質の存在に電波する習性を持つ。連鎖する戒めの雷(ライトニング・チェイン)となって放たれた雷鎖が『黒翼騎士』の一人にあたった瞬間、隙の無い陣形は、ここに致命的な弱点と成って機能してしまう。
一瞬で電波した雷鎖が『黒翼騎士』たちをつなぎ、雷撃を走らせるのだ。
「がっ!? この鎖……!」
「そう、確かに……守備担当と攻撃担当で別れて分担するのは正しい。並の軍であれば、この波状攻撃の前に一方的にやられてしまうだろうけれど……」
メンカルのユーベルコードの前には意味をなさない。
逆に味方を追い込む枷としかならないのだ。
「此処まで来て、猟兵に『セラフィムV』の奪還を邪魔されるとは……!」
今がチャンスとばかりにメンカルは正規軍たちに目配せをする。
それを受けて軍人たちが走る。この隙を逃してはならないと、次々と雷の鎖による枷に因われた『黒翼騎士』たちを討ち取っていくのだ。
「……『セラフィムV』……てっきりⅠやらⅡやらといるのかと思ったけれど、V(ヴィー)……紛らわしいな。ま、後で調べればいいな……」
気にかかることは多い。
『黒翼騎士』たちが追ってきた『セラフィムV』と呼ばれる青い鎧の巨人。
それが一国を滅ぼしてまで手に入れるべきものであると、屍人帝国は理解している。しかし、猟兵達は未だ何も知らないのだ。
それが何を意味し、なにゆえオブリビオンに追われるのか。
「この局面はなんとかなるけど……やっぱり敵の指揮官を倒さないと終わりそうにないね……」
どこにいるのやらと、メンカルは視線を巡らせる。
これだけの膨大な数の軍勢の中では敵将を見つけ出すのもまた一苦労である。しかし、自身が猟兵であり、敵がオブリビオンであるというのならば、遠からず相対する運命となるだろう。
今は一騎でも多くの『黒翼騎士』たちを打ち取ることに専念すべく、戒めの雷を振るうのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アレクサンドル・バジル
はーん、敵さんの動き的にお目当ては青い鎧の巨人か。
そうなるとアジール王国はとんだとばっちりだが、まあ、そういうこともあるわな。とりあえずは黒い騎士サマの群れを潰すか。
アジールの勇士諸君。俺が楔を打ち込むから陣形が乱れた奴らを適当に狩ってくれ。敵の数は多い。他に被害を出さねえ為に時間との勝負だぜ。
『神魔審判』を発動して敵陣に突貫。半径100m弱の結界に入った敵を悉く消滅させて敵陣を搔き乱します。
そこにアジール軍を突入させて戦果を稼ぎまくりましょう。
(アレク周辺の味方は負傷しても即座に回復します)
心配すんな。俺が滅ぼすのは敵さんだけさ。どんどん行け。
戦いは勢いだぜ?
屍人帝国『オーデュボン』の狙いは先遣隊の別働隊が狙った青い鎧の巨人であって『アジール王国』ではないことをアレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は理解した。
結局の所、国一つを滅ぼすのは副次的なものでしかないのだ。
目の前に障害としてあるから滅ぼす。
その程度の認識しかオブリビオンにはないのだろう。しかし、それがオブリビオンの滅びの一助になることを彼等は理解していない。
敵の狙いがどんなものであれ、猟兵の予知に引っかかった瞬間こそが、必滅の定めであるのだから。
「はーん、敵さんの動き的におかしいとは思っていたが、お目当てはあの青い鎧の巨人か。そうなると『アジール王国』はとんだとばっちりだが、まあ、そういうこともあるわな」
ならばこそ、アレクサンドルは正規軍の中に降り立つ。
「アジールの勇士諸君。俺が楔を打ち込むから陣形が乱れた奴らを適当に狩ってくれ」
「で、ですが、敵の数は多いですよ。お一人では囲まれてしまうはずです!」
アレクサンドルの言葉に軍人たちが口を挟む。
まあ、落ち着けよというようにアレクサンドルは手で制する。
確かに危険極まりない行動であろう。猟兵であろうともあれだけの数を相手にすれば数の暴力で打倒されてしまう。
だからこそ、己が楔となるのだとアレクサンドルは告げる。
「他に被害を出さねえ為に時間との勝負だぜ、これは」
ゆえに己が為すべきことを正しく理解しているアレクサンドルは有無を言わさず敵陣へと突貫する。
「ああっ! くそ……! 確かにあの人の言う通りだけれども!」
軍人たちが突貫するアレクサンドルを孤立させぬと追従する。しかし、彼等の心配は杞憂に終る。
魔力を開放したアレクサンドルの力は絶大な破壊消滅魔力によって『黒翼騎士』たちを寄せ付けぬのだ。
まさに神魔審判(テキカミカタデオオチガイ)たる光景であったことだろう。
己の視界に入った全ての敵を尽く消滅させながら『黒翼騎士』たちの陣形をかき乱し続けるのだ。
「味方には生を敵には死をってヤツだ。まだまだ終わらねぇぞ!」
アレクサンドルのほとばしるユーベルコードの輝きは、見た者を消滅か、もしくは強力な再生復元魔力によって強制的に傷を癒やしていく。
「無茶ですよ! そんなに突出して!」
軍人たちがアレクサンドルの周りに展開し、彼を守ろうとする。
しかし、アレクサンドルは笑っていうのだ。
「心配すんな。俺が滅ぼすのは敵さんだけださ。どんどん行け。戦いは勢いだぜ?」
それにしたって限度があるでしょうと、物怖じせずに言う軍人たちの言葉にアレクサンドルは根性あるなぁ、とまた笑うのだ。
これまで巡ってきた世界にあってオブリビオンに対抗する者たちはどこか悲壮感が漂うものばかりであったが、この世界の者たちは違う。
オブリビオン、魔獣の存在が生存に密接しているからこそ、この生命力の輝きを持つのだろう。
決して悲観せず、己たちができることをする。
その獣の腸で暖を取るような逞しさがあるからこそ、己にもまた物怖じすることがないのだろう。
それは久しく感じないことであったことだろうし、好感が持てる感触であった。
「無茶は承知のうえよ。だからこそ得られるものがあるってもんだ!」
アレクサンドルは己の魔力を再び開放し、正規軍の軍人たちと共に戦場をかき乱し、散々に『黒翼騎士』たちを打倒して回るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
ロシナンテⅢに騎乗した上にUCを装着した重武装状態
正規軍のロケットナイトの一群を率いて飛翔
主命の為に非道に手を染める…確かに騎士が持つ側面の一つではあります
ですが、それは今の私達の騎士道と相反するもの
かの巨人の元へは向かわせません
そしてその道中の命も、刈り取る事を許しはしません
突撃する騎士達をセンサーでの情報収集と瞬間思考力で捉え照準レーザー乱れ撃ちスナイパー射撃でロックオン
全てに重力波を放ち急減速させ集団の連携を破壊
今こそ空の騎士の力を示す時
総員、突撃!
バラバラとなって減速した敵騎士達へ集団突撃強襲
飛竜口部機関砲を撃ち放ちながらランス、飛竜の脚爪や尾の打撃で当たるを幸い薙ぎ倒し
戦機猟兵用重力制御兵装装備型強化ユニット(エクステンションパーツ・タイプ・グラビティ)を装着した機械飛竜『ロシナンテⅢ』の鋼鉄の翼が羽撃き、空に舞い上がる。
その威容は凄まじいものであり、あらゆる魔獣をも寄せ付けぬ鋼鉄の塊であった。
それを駆るのがトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)である。彼のアイセンサーが戦況を即座に判断する。
敵である屍人帝国『オーデュボン』の一翼は瓦解しており、補給線が立たれている。
中央の敵陣形は巨大隕石の一撃に寄って進撃をままならぬものにしていた。
「主命の為に非道に手を染める……確かに騎士が持つ側面の一つではあります。ですが、それは今の私達の騎士道と相反するもの」
トリテレイアにとって重要なのは、その一点においてのみであった。
己たちの目的である青い鎧の巨人の追跡。
そのために一国を滅ぼしても構わぬという判断は、例え騎士としての身分を持っていたのだとしてもトリテレイアは許しがたいことであった。
「かの巨人の元へは向かわせません。そして、その道中の生命も、刈り取ることを許しはしません」
重力、慣性制御機構を備えた『ロシナンテⅢ』が大空を飛翔する。
『黒翼騎士』たちもまた集団である利点を活かすためにハルバードを掲げ、巨大なる飛竜を打倒さんと迫るのだ。
「我等が使命を邪魔立てするか、機械じかけの騎士!」
振り下ろされるハルバードの一撃をトリテレイアは大盾で受け止め、即座に瞬間的に機械飛竜に備えられたレーザーを打ち込む。
それは彼等の鎧を貫くに値しない。
しかし、それは攻撃ではなくマーカーであることを『黒翼騎士』たちは知ることができなかった。
「こちらが本命でありますゆえ」
放たれる圧潰させる重力波の一撃が『黒翼騎士』たちを巻き込んで、須らく大地へと失墜させる。
どれだけ翼を持ち、大空を自由に飛び交う『黒翼騎士』と言えど、重力には逆らえない。
追い風を受けたのだとしても、大地が彼等を離さないだろう。
「今こそ空の騎士の力を示す時。総員、突撃!」
トリテレイアの号令と共に正規軍が突撃する。重力波によってばらばらになって減速し、失墜した『黒翼騎士』たちは一体一体であれば、軍人たちにも勝ち目はある。
これまでもそうであったようにブルーアルカディアの人々の逞しさをトリテレイアは知っている。
己たちの力を過信することなく、魔獣すらも仕留め、その心臓を持って大地すら浮遊させる力を持つのだ。
そんな彼等の力を数と質とで見くびった『黒翼騎士』たちが勝てる道理など何処にもないのだ。
「私もまた彼等に負けてはいられませんね」
トリテレイアは機械飛竜と共に戦場をかき乱し、手にした馬上槍でもって『黒翼騎士』たちを討ち取っていく。
時に飛竜の脚爪や尾の打撃でもって彼等を薙ぎ払い、打ち倒す。
叩きとされた『黒翼騎士』たちは正規軍の軍人たちに寄って撃ち漏らされることなく、打倒されていく。
これがまた彼等の糧になっていくのだ。
天使核。
それがオブリビオンの心臓であり、この世界にしか見られぬ特異。
「しかし、それが人々の逞しさに繋がるのであれば、なんと因果なものでしょう。そして、それゆえに追われる巨人の存在もまた……」
再び、あの青い鎧の巨人と相まみえることがあるのだろうか。
そんな思考を切り離し、トリテレイアは目の前の戦局に対応するために大空を飛竜と共に駆け抜けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
あーまた数が多い…
面倒臭いなあ…
まあ、大分がっぽり貰ったし此処で引くわけにはいかない…か
●
引き続き《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
先ずは『天候操作』で風を呼んで、ある程度進行方向を誘導してやろう
あんまり上空に居られると狙い辛いからね、上空の天気は荒れ模様にするかな
そして【Code:T.S】起動
最大サイズで展開、さらに『斬撃波』を追加して敵軍勢に向かって2剣での『2回攻撃』の『なぎ払い』!
当たれば真っ二つ、当たらなくても斬撃波に巻き込まれてバランスを崩す
一石二鳥の攻撃で戦場をかき乱してやろう
バランス崩した敵は正規軍の皆、よろしくねー
うーん、人型は素材が無いからうま味が…
新たな世界、新たな素材。
それをがっぽりと得た月夜・玲(頂の探究者・f01605)の懐はホクホクであった。
だからこそ、新たなる戦場を見下ろし彼女は息を吐き出した。
正直、またかぁという思いも在ったのかも知れない。
「あーまた数が多い……」
先遣隊の魔獣の群れを上回る数。
『黒翼騎士』と呼ばれるエンジェルの騎士たちの姿は、鎧の色と相まってまるで濁流のように浮遊大陸の一端からなだれ込んでくるようであった。
「面倒臭いなあ……」
あまりにも正直な感想に隣に飛空艇の船長がいたのならば、思わず突っ込みを入れられていたことだろうが、幸いなことに彼は手に入れた魔獣の素材や天使核やらを持ち帰るのに忙しいのであった。
まあ、それでも大部分を玲がせしめたのだから、どれだけの魔獣を屠ったのかは言うまでもない。
「まあ、大分がっぽりもらったし、此処で退くわけにはいかない……か」
しゃーなし、と振り払った二振りの模造神器の刀身が蒼く煌めく。
それは擬似的であったとしてもUDCの力を顕現させる凄まじき力である。
その力は天候さえも操作し、『黒翼騎士』たちの背に追う強風をもコントロールし、敵の進軍をコントロールするのだ。
一翼はすでに瓦解しているし、中央の部隊は巨大な隕石の一撃に寄って進軍が不可能になっている。
残された部隊は散発的に行動するしかなく、それらも猟兵達によって打ち倒されている。
ならばこそ、戦いの趨勢は決まったようなものである。
「ま、それでもあんまり頭の上を取られているのは狙いづらいからね……よーし、よーし、こっちこっち」
上空の空模様はもはや青空と呼ぶにはふさわしくない荒れ模様であった。
地上に在りて、その雷刃の輝きは眩いものであった。
それこそが玲のユーベルコードの輝き。その背後に控えるのは正規軍の軍人たちである。
「それじゃ、バランス崩した敵は正規軍のみんな、よろしくねー」
ほとばしる雷刃の煌めきが二振りの模造神器の間で極大にまで膨れ上がっていく。
天を衝くほどのCode:T.S(コード・サンダーソード)にって形成された雷刃は、人々に本能的な恐れを抱かせたことであろう。
「出力上昇、雷刃形成――当たれば真っ二つ、当たらなくても熱波に巻き込まれて一石二鳥でしょう!」
振り下ろし熱波を生み出した雷刃を横薙ぎに振るう玲。
その凄まじき閃光の輝きは戦場に在りて、誰もが目を剥く光景であったことだろう。
空を飛ぶ『黒翼騎士』たちに取ってみれば、戦術も戦略もない膨大な雷刃の一撃であった。
たった一人の個の力が、集団を圧倒する。
数の暴力すらも意に介さない玲の雷刃の一撃は、多くの『黒翼騎士』たちを蒸発させ、それを運良く躱した者たちですら大地に叩きつけるほどの衝撃波でもって襲いかかるのだ。
「今だよ。さくっとトドメさしていこうかー!」
玲の言葉と共に背後に控えていた軍人たちが飛び出す。あの凄まじい光景を目の当たりにしても身体が動くのは、流石は訓練された正規軍というものであろう。
だが、そんな凄まじい光景を生み出した当の本人は、少しばかり残念そうな顔をしていたのだ。
魔獣を相手にしていた時はあんなにノリノリであったのに、『黒翼騎士』たちを前にしては、そのテンションも下がっているように思えたのだ。
「うーん、人型は素材が無いからうま味が……」
確かにそのとおりである。
人型のオブリビオンから利用できるのは心臓たる天使核だけである。魔獣を前にした後では、どうにも見劣りしてしまうのだろう。
せっかくなら、本隊も魔獣にしてくれたらよかったのに、と玲は思わずにはイられなかったのだろう。
けれど、彼女と猟兵たちの働きによって『黒翼騎士』たちの本隊は瓦解し、後は敵将を打ち倒すのみである。
それならばと玲は模造神器による雷刃の一撃の痕を見やり、本命である敵将の駆るグリフォンの羽撃きを聞くのであった――。
大成功
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第3章 ボス戦
『グリフォンナイト』
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POW : グリフォンスパイク
自身の【グリフォン】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[グリフォン]から何度でも発動できる。
SPD : 鷲獅子の主
【グリフォン】を操縦中、自身と[グリフォン]は地形からの激突ダメージを受けず、攻撃時に敵のあらゆる防護を無視する。
WIZ : ソニックグレイヴ
【グレイヴ】から【衝撃波】を放ち、【全身に走る痺れ】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:シャル
👑11
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屍人帝国『オーデュボン』の本隊と正規軍の激突は、猟兵たちの助けもあって戦局を『アジール王国』へと傾けていた。
未だ数を減らした『黒翼騎士』たちをしても、正規軍の働きは十分すぎるものであった。多くの『黒翼騎士』達は失墜し、討ち取られていく。
「……猟兵の存在が此処まで戦いの趨勢を決めるか。だが、ここで退くことはできぬ。我等が目的は唯一。猟兵ではなく『セラフィムV(ヴィー)』のみ。かの青き巨人の確保こそが、我等の使命」
敵将である『グリフォンナイト』が魔獣であるグリフォンを従え、その背にまたがる。
翼が羽撃き、未だ戦いの最中にある戦場に舞い降りるのだ。
かつての高潔さはもはやなく。あるのは屍人帝国『オーデュボン』に対する忠誠のみ。
如何に残虐非道為る行いをなそうとも、それが『オーデュボン』から賜った使命であるのならば、どんなことでも正当化されるのだ。
それがオブリビオンとして蘇ったかつての清廉なる騎士の成れの果てであった。
「ならば、猟兵を穿ち、後を追おう。『セラフィムV』、お前に安息の地などない。お前に似合うは超弩級の戦争のみ。争いから逃れられぬことを知れ」
グリフォンの羽撃き一つでもって、本陣から戦場へと強襲する『グリフォンナイト』。
その重圧は、これまで打倒してきた魔獣、『黒翼騎士』たちとは比べ物にならぬほどの圧倒的な強者としての風格を携え、猟兵たちに襲いかかるのであった――。
アドナ・セファルワイド
フム、その忠義は見事だ。
だが、オブリビオンとなって歪められた以上世界を終滅させるわけには行かぬ
瞬間、虚空から巨大な砲身を覗かせた兵器が出現し、グリフォンとグリフォンナイトは本能的恐怖から突進を止める
仕方あるまい、これこそ最強のオブリビオンたるオブリビオン・フォーミュラを撃滅せしめるにたる兵器、オブリビオン・フォーミュラ用討滅最終兵器の一つ
セファルワイドがオブリビオン・フォーミュラと対峙し、撃滅せしめる為に最終兵器を作り上げた歴史…
それを異なる歴史から招来したのよ
さぁ、フォーミュラどころか幹部級でもない貴様にこの一撃が耐えられるかな?
瞬間、方針からフォーミュラ殺しの一撃が放たれる
どれだけかつて清廉なる騎士であったとしても、浮遊大陸と共に雲海に沈めば消滅することは避けられない運命である。
雲海に沈んだ騎士たちがどのような末路をたどったのかは言うまでもない。
彼が再びこの世界、ブルーアルカディアに舞い戻った時、それはもうかつての清廉なる騎士ではない。
あるのはオブリビオンとして存在する悪辣なる意志と、歪められた彼等の心であったことだろう。
忠節の士であったとしても、その忠義は屍人帝国『オーデュボン』にしか向けられていない。
あるのはただ世界を滅ぼさんとする意志にのみ忠を尽くすだけの存在でしかなかったのだ。
『グリフォンナイト』もまた同様である。
「我等が主の覇道に塞がる障害。それが猟兵であるというのならば、それを尽く滅ぼそう。それが我等の使命であれば」
槍を構え、魔獣グリフォンを駆る『グリフォンナイト』の瞳にあったのは、まさしく忠義そのもの。
主を違えることなく、己の槍を捧げた者への忠節のみで果てることを望む存在でしかなかった。
「フム、その忠義は見事だ。だが、オブリビオンとなって歪められた以上、世界を衆滅さえるわけにはいかぬ」
アドナ・セファルワイド(セファルワイド初代にして最後の皇帝・f33942)はそう告げる。
瞬間、その手を掲げた虚空より現れるのは巨大な砲身そのものであった。
それはオブリビオン・フォーミュラを討滅するための最終兵器である。セファルワイド帝国が辿り得た全ての歴史。
喪われてしまった歴史という未来から呼び寄せる『オブリビオン・フォーミュラ討滅用最終兵器』の砲身の一つであった。
「皇帝の名の元に宣言する。全ての世界を滅びに導く災禍の頂点を討つ聖なる武器よ、全ての歴史から我が元に集え」
「――何?」
『グリフォナイト』が本能的にそれを悟ったのだろう。
恐怖をもたらすものであれば、それは克服し乗り越えることができるものである。
虚空より現れたそれは違う。
本質的に違うものであると本能が判ってしまう。それは己が駆る乗騎たる魔獣も理解しているのであろう。
言う成ればそれは――。
「仕方あるまい、これこそ最強のオブリビオンたるオブリビオン・フォーミュラを撃滅せしめるにたる兵器、オブリビオン・フォーミュラ用討滅最終兵器の一つ」
ただ一人の将を討つのに必要なものとしては過剰な兵器であったことだろう。
だが、ここで加減などできようはずもない。
災禍の頂点を砕くは夢幻から誘われし帝国最終兵器(アンチ・フォーミュラアームズ・セファルワイド)は、その砲身を輝かせる。
かつて在りし帝国。
今はもう亡き帝国。その辿ることが在りえたかも知れない道筋は、すでに喪われているが、夢幻より現れしユーベルコードの輝きは失せることを知らないだろう。
「さあ、フォーミュラどころか幹部級でもない貴様にこの一撃が耐えられるかな?」
異なる歴史から将来されし兵器の砲口が轟き、放たれた一撃が未だ戦場に残る『黒翼騎士』たちと『グリフォンナイト』を巻き込んで浮遊大陸の一角を吹き飛ばす。
それほどの威力を前に戦場は剣戟の音さえもかき消し、一時の静寂を持って最終兵器の威力の凄まじさを知らしめるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『静かなる者』にて
あれが総大将、ということですね。
衝撃波は…たしか、衝撃波で打ち消せたはず。
一の矢に衝撃波つきの矢を、二の矢に【四天境地・『雪』】を
。
そして、すかさず氷矢を存分に射かけましょう。できれば、グリフォンの方を攻撃します。
まず馬を射よ、ですので。
忠義は見事なのですが。だからといって、好き勝手にはやらせませんよ。
あなたは過去。今を蹂躙する道理はないのですから。
しかし…空中戦はどうにもいつもと違って。空を飛ぶ方法、他にも考えましょうか。
浮遊大陸の一角を吹き飛ばすほどの一撃を受けてなお、土煙の向こう側から姿を現したのは屍人帝国『オーデュボン』の将である『グリフォンナイト』であった。
羽撃く乗騎である『グリフォン』の嘶く鳴き声が響き渡り、己たちが健在であることを戦場に存在する『黒翼騎士』たちに知らしめるのだ。
将たる存在が討ち取られなければ、この大軍勢は退けることはできない。
ゆえに猟兵達は長引く戦いを終結させるために『グリフォンナイト』へと殺到するのだ。
「やはり猟兵は侮ることはできない。これほどの力、例え個として我が主に敵うものではないにしても数でもって事に当たられれば、我が主もまた危うい。ならば、我が忠義でもって露払いを行うのもまた我が道である」
手にしたグレイブを振るい衝撃波がほとばしる。
彼はかつて浮遊大陸に在りし頃には忠義の騎士として名を馳せた存在であったことだろう。
だが、最早その影はオブリビオンと化した以上、何処にもないのだ。
ゆえにこれを打倒することこそが馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)が『アジール王国』を救うための一つの方法であると知る。
「あれが総大将、ということですね。忠義は見事なのですが。だからと言って、好き勝手にはやらせませんよ」
一柱である『静かなる者』が駆け出す。真っ向からぶつかっては、『グリフォンナイト』に一日の長があるだろう。
ならばこそ、肝要であるのは振るわれるグレイブから放たれる衝撃波による麻痺の力である。
騎士として戦いながら、あれだけの技量だ。
一瞬の痺れであっても、そこを穿つことができるだろう。
「我が主の覇道を阻むというのならば容赦はせぬ。お前達は我が主の道を阻む障害であればこそ」
羽撃き一つで彼我の距離を詰めてくる『グリフォンナイト』の技量は凄まじいものであった。
「あなたは過去。今を蹂躙する道理はないのですから」
手にした長弓から放たれる矢が分裂し、霊力によって込められた氷雪の力を纏って『グリフォンナイト』へと射掛けられる。
その尽くを躱し、『グリフォンナイト』が迫る。
しかし、一の矢は空中で炸裂し、衝撃波を背後から『グリフォンナイト』へと襲いかからせるのだ。
距離を詰めて獲物をみさだめているからこそ、躱した矢など気にもとめない。
その技量の奢りこそが『グリフォンナイト』の隙であったことだろう。
「なに……!? 背後から……!」
振るったグレイブが衝撃波を打ち消し、しかして、それが悪手であることを知る。
迫るは時間凍結の力を得た氷雪の弓矢。
瞳に輝くユーベルコードの名は、四天境地・『雪』(シテンキョウチ・ユキ)。
その美しき氷雪の矢は狙い過たず『グリフォンナイト』ではなく、その乗騎たる『グリフォン』そのものを狙う。
「まず馬を射よ、ですので」
放たれた矢が『グリフォン』の翼を貫き、氷雪の矢が時間凍結の力を持って、その羽撃く力を奪う。
羽撃くことの出来に鷲獅子は地を這うことしかできないだろう。
「しかし……空中戦はどうにもいつもと違って。空を飛ぶ方法、他にも考えましょうか」
大空が舞台となる世界、ブルーアルカディア。
この世界にあって、飛翔することができぬというのは、それだけで死活問題にも直結しかねぬ事柄である。
雲海に沈めば消滅するしかない。
しかし敵に頭上を取られれば、それだけで不利になる。
ならばこそ、敵の乗騎たる『グリフォン』の翼の力を一時的にでも奪うことは、後に続く猟兵たちの力となるだろう。
『静かなる者』は失墜する『グリフォンナイト』を見送り、己が如何にして飛翔するかに思索を巡らすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アレクサンドル・バジル
あのグリフォンに乗った奴が指揮官か。
とりあえず、アイツをやればこの戦闘は終わりかね。
アジールの戦友諸君は掃討戦の準備を怠るなよ?
『魔力解放』 絶大な戦闘力と黄金の魔力を纏い空へ。
超音速で間合いを詰め、グレイブを掻い潜って、あるいは受け止めてゴッドハンドの一撃をグリフォンナイトに叩き込みましょう。
敵POWUCは捕食を試みるグリフォンの嘴にカウンターで魔力を宿した拳を叩き込みます。
青い鎧の巨人に興味はあるが……まあ、ああ言うのは縁があればまた会うだろ。
時間凍結の力を持つ弓矢の一撃に寄って『グリフォンナイト』の乗騎である魔獣『グリフォン』の飛行能力は一時的にでも喪われていた。
鷲獅子と言えど羽撃くことができないのであれば、それは大地を疾駆するほかなく。けれど、そのくちばしが加えたのは、味方である『黒翼騎士』の骸であった。
「我が同胞を此処まで滅することができるとはな……ただの人間であれば捨て置くところであるが、これを成さしめるのが猟兵であるというのならば、話は別だ」
その魔獣『グリフォン』がついばみ、得た肉は、その骸のユーベルコードをコピーする。
翼が羽撃くことができぬのであれば、『黒翼騎士』たちのユーベルコードを『グリフォン』事態がコピーし、これをもって猟兵を撃退すべしと考えたのだろう。
周囲に存在していた『黒翼騎士』たちが集まり、陣形を組む。
それは『グリフォンナイト』だけではなく『黒翼騎士』達と共に鏃の如く突き進む錐状の陣形。
突出し、敵陣を食い破るほどの威力を備えた集団戦法であった。
「あのグリフォンに乗った奴が指揮官か。とりあえず、アイツをやればこの戦闘は終わりかね」
アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は正規軍と共にある己に突撃してくる『グリフォンナイト』と『黒翼騎士』たちの一団を見て、うなずく。
指揮官である将を打倒しなければ、この戦いが終わらぬと言った見立ては間違ってはいないようであった。
集団として戦うことを目的とした陣形は、それだけで正規軍を蹴散らすであろう。
ならばこそ、己が陣形の前に立つ。
「アジールの戦友諸君は、掃討戦の準備を怠るなよ? アレは――」
俺がやるのだと、その瞳がユーベルコードに輝く。
黄金に輝く魔力で身をまとい、己の肉体を絶大な魔力で多い、戦闘力を増強し飛翔する。
「魔力解放(スーパーパワー)――俺が仕留める!」
超音速で交錯する『グリフォンナイト』とアレクサンドル。すれ違いざまに互いの拳とグリフォンの脚爪が激突し、オーラが剥がされるように霧散する。
その光景にアレクサンドルは口笛を吹くようにしながら、再び空中で『グリフォンナイト』と激突する。
その度に『黒翼騎士』たちが引き剥がされ大地に失墜していく。
これがゴッドハンドたるアレクサンドル自身の技量である。
「無手にて我等を相手取るか猟兵! その意気はよしなどとは言わぬ!」
手にしたグレイブを振るい、アレクサンドルの拳とが激突し、オーラの力が削がれ火花が散っていく。
「青い鎧の巨人に興味はあるが……今は目の前のアンタだよなあ!」
無手と得物を得た腕。
どちらが優れているかなど言うまでもない。長物を手繰る『グリフォンナイト』にはリーチが。
無手たるアレクサンドルには手数が。
どちらも一長一短あり、互いの技量が拮抗しているからこそ、激突する両者の消耗は激しくなっていく。
「『セラフィムV』を知らずに我等が目論見を嗅ぎつけたか。恐ろしきは猟兵の嗅覚とでも言うべきか!」
「……へえ、『セラフィムV』というのか、あれは。まあ、ああいうのは縁があればまた会うだろう。だがよ、目の前に集中しろよ」
食い破るようにして放たれるアレクサンドルの拳が黄金を纏い、グレイブと打ち合い、空中には最早『グリフォンナイト』だけであった。
「いつのまに我が同胞たちを……!」
「アンタのおしゃべりが長かったんでな。部下たちにはご退場願ったってわけだ」
アレクサンドルは、再び魔力を開放し、溢れる黄金の魔力と共に己の最大の拳の一撃を『グリフォンナイト』へと叩き込む。
鎧が砕け、鳩尾に打ち込まれた拳は凄まじい衝撃波と成って『グリフォンナイト』の肉体を内側から破壊するだろう。
失墜する姿を見下ろし、アレクサンドルは『黒翼騎士』たちを引き剥がし、そして『グリフォンナイト』自身をも打倒せしめた力の代償の大きさに息を吐き出す。
容易い相手ではなかった。
けれど、それでも打倒せしめてみせるのが猟兵であるというのならば、アレクサンドルは拳を掲げ、己の放つ黄金の魔力でもって正規軍の戦友たちへと己の健在を示すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
シスカ・ブラックウィドー
【勇者パーティー】
お、いよいよボスのご登場か。サンマ焼いてる場合じゃないや。
バーベキューの火を止めて、いつもの服に着替えて【エメラルドドラゴン】に乗り込み、出撃!
くらえ、火炎放射! どこまでも伸びる謎のドラゴンパペット人形(アイテムイラスト参照)から変則的な角度で火を吐きかけ、オブリビオンを仲間の方に追い込んでいくよ。
ふふ。そっちの方には何があると思う?
今だ、ステラさん!
ステラさんには後日ヒーローズアース製の匂いがよく取れる空気清浄機を送っておこう
......。
フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「ん、セラフィム?
確かに我、天使にも負けないほどの美貌を誇る美少女だが、そんな褒めても容赦はせぬぞ?」
なにしろ魔法を使い続けて腹が減ったのだ!
後ろからはサンマの匂いも漂ってくるし!
ここはあの鳥を捌いて、今晩の晩飯は焼き鳥だな!
(箒の上に仁王立ちしながらグリフォンを見て、よだれを垂らし
「さあ、その鳥、解体してくれるわ!」
【ミゼリコルディア・スパーダ】で包丁型の魔法剣を召喚!
グリフォンの羽、胸肉、もも肉と切り取っていってやろう!
「いかん、魔法の使いすぎで腹が減って力がでない……」
召喚した肉切り包丁がコントロールを失う中、敵が放った衝撃波に吹き飛ばされ、雲海へと落ちていく我であった。
ステラ・タタリクス
【勇者パーティー】
引き続き【ガレオンチェンジ】で飛空艇形態
…とりあえずこんなものでしょうか?
クリーニング代天使核10個…また話を聞いていませんね?フィア様?
そしてシスカ様も自由奔放、と(見送る)
最後の希望はルクス様……あの、どうして私の上(甲板)で調理を?
パーティー……会場?
これは…いえ、まずは敵を叩きましょう
『ウェントス・スクートゥム』展開
【テールム・アルカ】発動
艦首にデストロイドリルをセット
突撃、いきます……!
シスカ様の攻撃に合わせて一撃入れるとしましょう
さて、攻撃のエネルギー代と会場代を上乗せしまして
合わせて天使核30個を請求させていただきます
よろしくお願いしますね、フィア様?ルクス様?
「ん、セラフィム?」
そのつぶやきはガレオンチェンジにて飛空艇に変じたステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の甲板上でフィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)の言葉であった。
「確かに我、天使にも負けないほどの美貌を誇る美少女だが、そんなに褒めても容赦はせぬぞ?」
何いってんだこの魔女、と若干思わないでもなかったが、サンマ焼いてる場合じゃなかったとシスカ・ブラックウィドー(魔貌の毒蜘蛛・f13611)は現れた屍人帝国『オーデュボン』の『グリフォンナイト』を認め、バーベキューの火を止めて、いつもの服に早着替えを終えるのだ。
身支度に時間がかかるのが女の子の常であるが、シスカは男の娘である。
ぱぱっと早着替えでかわいいやったー! となるのなんて朝飯前である。ささっとステラという飛空艇から個人所有の飛空艇に飛び乗ったシスカが『グリフォンナイト』とドッグファイトを繰り広げるべく、空へと飛び立つのだ。
「くらえ、火炎放射!」
手にしたドラゴンパペット人形の口から放たれる炎は風を受けて変則的に『グリフォンナイト』へと浴びせかけられる。
だが、その炎をグレイブ振るって衝撃波と共に振り払う技量は凄まじいものであった。
「まやかしの如き炎でなんとする! その程度の炎で――ッ!」
それで終わりではない。
シスカの手にした双竜焔撃(エルマー・アンド・パフ)が如き炎の群れは、まるでどこまでも伸びるように大空を舞う『グリフォンナイト』を追い込んでいくのだ。
それは炎で撃滅せんとするようなものではなく、まるで何処かへ誘導させるような動きであった。
「ふふ。そっちの方には何があると思う?」
シスカが不敵に笑う。
その笑みに『グリフォンナイト』は己が策略にはめられたことに気がつくだろう。そう、シスカは炎によって『グリフォンナイト』をステラの方へと追い込み、逃れられぬ攻撃を叩き込ませようとしていたのだ。
「……匂いはこんなものでしょうか。とりあえず、フィア様。クリーニング代として天使核10個ほど……」
「ええい、我はお腹が減っておるのだ! サンマの匂いを嗅げばわかろうものであろう! ここはあの取りをさばいて、今晩のご飯は焼き鳥に決まりである!」
箒の上に仁王立ちするフィアの姿があった。
いや、そうじゃない、とシスカは思ったし、先程までの不敵な笑みがちょっと引きつった。
どこまでもあの魔女は場を引っ掻き回し続けるのだ。
「……ヨダレがタレております、フィア様。また話を聞いていませんね? フィア様?」
さすがのステラもフィアを止めようがなかった。
箒の上で仁王立ちする彼女はもうびゅんびゅんと飛んでいくがゆえに、ステラは止める理由もなければ、追いすがるのもまた自由奔放すぎると息を吐き出す。
もうこのパーティは自由奔放というか、とりとめがないと言うか、もうなんと表現していいかわからないほどの性質を持っているのだとステラは自身を納得させるのだ。
少なくとも、今夜行われる祝勝パーティの会場は、ステラ自身の甲板上であることは決定事項であったことを、これもまたオーダーであると自身を納得させ、ユーベルコードを発現させるのだ。
「箱舟、起動。武装、転送」
もう何もかも諦めたような達観の領域まで至ったステラが生み出したのは艦首にテールム・アルカと呼ばれるユーベルコードに寄ってキャバリアサイズまでリサイズされたデストロイドリスであった。
まさに回転衝角を備えた突撃飛空艇となったステラが空を征く。
「突撃、いきます……!」
突貫するステラを援護するようにシスカの炎が『グリフォンナイト』を囲い込む。
「逃さないよー!」
「その鳥、解体してくれるわ!」
さらにフィアのユーベルコードが煌めき、ミゼルコルディア・スパーダによって召喚された包丁型の魔法剣が雨あられのように魔獣『グリフォン』を解体仕様と迫るのだ。
「手羽、胸肉、もも肉! 今夜は焼き鳥パーティであろう! フハハ、お腹がぎゅるんぎゅるんと鳴いておるわ! 鳴いて……う」
そう、連戦に寄って何度も魔法を使いすぎたせいで、既にフィアはガス欠状態である。
箒の上で仁王立ちしていたが、ふらりと立ちくらみが起こって雲海に落ちていくフィアを慌ててシスカが飛空艇と共に回収し、ステラに無事を告げる。
「ありがとうございます。シスカ様。フィア様には攻撃エネルギー代と会場代を上乗せしまして、合わせて天使核30個分は請求させていただきます。よろしくおねがいしますね」
その言葉とともにステラの回転衝角の一撃は、『グリフォンナイト』を吹き飛ばし、大地へと失墜させる。
もはや、戦いがどうとかではない。
そう、これは新たなる借金と、取り立て屋との物語の序幕であったのだった――!
「えぇ……」
シスカは若干の困惑と共にステラに後日ヒーローズアース製の匂いがよく取れる空気清浄機を贈り、彼女の心労をいたわるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
(飛行式箒【リントブルム】に乗っての参戦)
……大した忠義だな……それが屍人帝国に向けられたものでなければよかったのだけど……
…あらゆる防護を無視するので相手の攻撃は回避するしかないね…
…つまりドッグファイト…【天翔る突風の馭者】を使用…勝負と行こうじゃないか…
…距離を取っても衝撃波が飛んで来る以上…ここは有利な位置の取り合いだな…
…攻撃を回避しながら空中を駆け回って相手の死角を取りたいが…
…普通の動きでは難しいか…少し無茶しよう…上昇しようとした瞬間に自身に重力術式を短時間掛けて強引に落下…
…敵が上空を通過した瞬間に反転して急上昇…後ろを取って誘導する光の槍を斉射…仕留めよう…
『グリフォンナイト』の肉体は未だ滅びていない。
凄まじい打撃の一撃を受けてなお、血反吐を撒き散らしながらグレイブを手にする姿は、己の身体がどれだけ打ちのめされても、一欠片とて忠義を揺るがすものではなかった。
かつて浮遊大陸に存在した帝国の騎士。
その矜持はオブリビオンと化していても色褪せることはなかったのだ。
「我が主のために我等は負けられぬ。我等の使命のために、押し通らせてもらおう、猟兵!」
魔獣『グリフォン』を駆る彼にとって、己の身が滅ぶことなど些細なことであった。
彼が求めるのは、彼の主が求めるもの。
それを阻む者が存在するのであれば、如何なるものであっても排除しなければならないのだ。
「……大した忠義だな……それが屍人帝国に向けられたものでなければよかったのだけれど……」
『グリフォンナイト』の忠節に、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は惜しむ思いがわずかにあったことだろう。
けれど、飛行式箒『リンドヴルム』にまたがった彼女は『グリフォンナイト』が空高く舞い上がるのを見た。
あらゆる加護を無効化すし、地形を物ともしないユーベルコードの輝きは厄介であると言わざるを得なかった。
「主を選ぶのは忠節とは言わぬ。猟兵よ、我が一撃を持って疾く死するが良い」
「なら、勝負と行こうじゃないか……」
メンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
飛行式箒に刻まれた制御術式が組み替えられていく。それは天翔る突風の馭者(バーン・ストーマー)たる『リンドヴルム』の速度を増す術式であり、ユーベルコードであった。
互いに速度を誇り、しかし、『グリフォンナイト』はあらゆる加護を撃ち貫く一撃を持っている。
ならば、それを受けるわけには行かないのだ。
互いに飛翔する速度は五分。
ならばドッグファイトにおいて競り合うほかなく、メンカルはただの一撃もまた受けるわけにはいかなかったのだ。
一撃を受けることは即ち己の敗北である。
「我がグレイブの一撃を躱すか! だが!」
放たれた衝撃波が飛行式箒を駆るメンカルへと迫る。
距離を取ったとしても、衝撃波によってメンカルの飛翔するコースを限定していくのだ。
この戦いは言わば、有利な一の取り合いである。
だからこそ、メンカルは敵の死角を取りたいと思ったが、見込みが甘かった。ただの飛翔する機動では、あらゆる機動を『グリフォンナイト』に読み取られてしまう。
だてに空を舞う魔獣を乗騎とする騎士ではないのだ。
「……普通の動きでは難しいか……少し無茶をしよう」
その言葉と共にメンカルは『グリフォンナイト』の頭上を取ろうと急上昇しようとして、自身に強引に重力術式を掛けて、強引に高度を落とす。
当然『グリフォンナイト』は共に上昇しようとして、メンカルが失墜するのを訝しんだ。
疑うのも当然である。
これは罠。しかし、敵にこれが罠であると認識させることもまた一つの方策であろう。
すれ違いざまに放たれたグレイブの一撃をメンカルは紙一重で、飛行式箒の柄から手を離し、脚で挟み込んで躱すのだ。
「無茶をすると言ったけど、ここまでさせるか……」
だが、それで『グリフォンナイト』の背を取った。瞬間反転して急上昇してメンカルの術式が槍へと姿を変える。
誘導する光の槍はメンカルに背を向ける『グリフォンナイト』を捉える。
「この、背中を捉えるなど! グア――ッ!」
打ち込まれた光の槍が『グリフォンナイト』を貫き、その飛翔を止める。
メンカルは急降下と急上昇の凄まじい重圧に息を整えながら、己の策が上手くいったことを確認し、飛行式箒にまたがったまま深く、深く吐き出すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
いよいよ敵将のお出ましね。グリフォンナイトか。同輩にもいるけど、全然違う。
世界の敵として、ここで葬るわ!
この戦場に余人が介入しないよう、「結界術」で出入り不能の障壁を張る。もちろん、グリフォンナイトでも簡単には逃がさないわ。
呪符を代償に「降霊」「式神使い」「破魔」で式神十二天将召喚儀。
「集団戦術」で連携した動きをさせて、グリフォンナイトを屠る。
あたしが指揮してると気付かれないよう「目立たない」ことを心掛けるわ。
十二天将の刀槍は「破魔」の力を宿した「浄化」の刃。いつまで耐えられるかしら?
将を射んとすればまず馬を射よ。各自、グリフォンの翼を集中攻撃!
機動力を落とす。乗騎を失えば、敵はただの騎士よ!
光の槍を背に受けた『グリフォンナイト』は失墜しない。
その身に手痛い打撃を受けてもなお、瞳に宿る忠節は些かも揺らぐ気配はなかった。
滅びてもなお、忠義を尽くす姿は人によってはオブリビオンであることを忘れ、悪辣なる存在であることを疑うかもしれなかった。
けれど、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は頭を振る。
「いよいよ敵将のお出ましってわけね。『グリフォンナイト』か。同輩にもいるけど、全然違う。やはり世界の敵。ならば、ここで葬るわ!」
展開された結界術が出入り不能な障壁を張り巡らせ『グリフォンナイト』を、その中に閉じ込める。
しかし、その加護とも言うべき障壁すらも『グリフォンナイト』は一撃の元に振り払ってみせる。
輝くユーベルコードはグレイブの一振りでもってゆかりの結界術を砕いたのだ。
「――ッ!?」
「無駄だ、猟兵。我に加護の力は無いに等しい。だが、案ずることはない。我等に逃げるという選択肢はない。あるのは我が主の望むものを手に入れるという忠節、それだけである」
魔獣『グリフォン』を駆る『グリフォンナイト』のグレイブの一撃がゆかりを襲う。
しかし、ゆかりを貫く瞬間現れた式神の剣がこれを受け止めるのだ。
「急急如律令! 六壬式盤の導きによりお招き申す! 天の十二方位を支配する十二天将よ、我が言葉に応え顕現せよ!」
その手にあった呪符から現れた唐風の戦装束で武装した式神十二天将が、その一撃を受け止めたのだ。
目立たぬようにとゆかりは苦心したが、それらを看破するのは『グリフォンナイト』もまた将たる器であるからであろう。
「十二天将!」
ゆかりの号令ともに召喚された式神の十二天将が戦場を駆ける。
彼等の手にし刀や槍は『破魔』の力を宿した浄化の刃である。その斬撃を前にして『グリフォンナイト』が持ちこたえることがどれだけできようか。
これまで猟兵たちが刻んだ打撃の痕があるからこそ、追い詰めることができる。
『グリフォンナイト』とはそういう存在だ。
己の技の冴え渡るは、己の技量を誇るものではなく、己の忠節を満たすためだけのものである。
そんな彼が振るうグレイブの一撃を十二天将達は受け止め、剣戟の音が戦場に響きわたる。
「『グリフォンナイト』自身を狙っても、全ていなされる……!」
「然り。我が長物の技量は練磨の果てによるもの。これら全てが我が主のために捧げられたものなれば!」
放たれる長物と同士の激突が火花を散らせる。
だからこそ、ゆかりは告げるのだ。
「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。各自、グリフォンの翼を集中攻撃!」
機動力こそが魔獣『グリフォン』の特性である。
その機動力を落とせば、その足を失わせるのと同義である。乗騎を失えば、敵はただの騎士。
ならばこそ、十二天将たちは、その数を頼みに『グリフォンナイト』を包囲し、次々に魔獣『グリフォン』へと標的を変えるのだ。
しかし、それらを全ていなし続ける『グリフォンナイト』。けれど、多勢に無勢である。
それに猟兵たちの攻撃に寄って消耗した彼には、四方から繰り出される刀や槍の一撃を、躱すことができなくなってしまう。
「消耗してきたわね、『グリフォンナイト』! そこよ!」
ゆかりの言葉とともに繰り出された一撃が、魔獣『グリフォン』の翼を斬り裂き、血飛沫を飛び散らせる。
翼事態を切り裂くことはできなかったけれど、これで敵の機動力は落ちることだろう。
今はこれで良しとする。ゆかりは十二天将たちと共に、守りを固め次なる猟兵に後を託すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
鈴久名・紡
なるほど……清廉であったものが穢される
そして、それに気付くこともない
哀れと言うのは容易いが……その言葉を望みはすまい
堕ちたる騎士
竜神飛翔使用
放たれる雷など無意味だろう
だがお前が乗るそれに俺が『喰われ』なければどうと言う事もない
常時オーラ防御を展開
空中機動と空中戦で動線は確保
槍と成した禮火で敵の攻撃を迎え撃ち
盾と成した葬焔で攻撃も幻獣の獰猛な嘴も阻もう
兎型の幻獣であるむすびの首に水護珠を着けて陽動に放つ
隙があれば、幻獣の翼に結界術からの部位破壊
俺自身もその嘴を部位破壊で砕こう
砕けずとも、これ以降の戦いで思うようには動けまい
俺達を穿ち、追いたい者があるのだろう?
だか……その翼を落とせば、追えまい?
忠節がどれだけ美しいものであったとしても、雲海に沈み消滅したのならば、それはかつての美しさ、清廉さは消え失せる。
悪辣に見を染めた『グリフォンナイト』は決して生前そのものではなかった。
卓越した技量、魔獣グリフォンを手繰る技能はそのままに。けれど、その中身は悪辣そのものである。
だからこそ屍人帝国と呼ばれるのだ。
「なるほど……精錬であったものが穢される。そして、それに気がつくこともにない。哀れと言うのは容易いが……」
鈴久名・紡(境界・f27962)は、己の言葉を『グリフォンナイト』が望むものではないことを知る。
どれだけ言葉を尽くしたとしても、相対するのはオブリビオンである。
清廉なる騎士であったものが目の前にいたとしても、その言葉は意味をなさない。堕ちたる騎士もまた同様であろう。
「哀れというか。我等を、我等の忠節を憐れむか!」
激高する姿は、己の忠節を怪我されたからであろう。グリフォンの片翼は切り裂かれ、それでも空を舞う。
『グリフォンナイト』自身もまた、その身に痛手を追っていてもなお猟兵を滅ぼし、己の主が求めるを得ようとしている。
魔獣グリフォンもまた己を手繰る主の怒りに呼応するようにけたたましくいななき、その鋭き嘴でもって紡をくらおうと迫るのだ。
「無駄だ……! 俺が『喰われ』なければどうという事もない」
張り巡らせたオーラの力が紡の周囲に展開される。
竜神飛翔のままに己を完全なる竜体へと変身し、凄まじい速度で飛ぶ。周囲には雷撃が打ち込まれ続け、戦場に残る『黒翼騎士』たちをも討ち滅ぼしながら、紡は『グリフォンナイト』と空中で激突するのだ。
「俺たちを穿ち、追いたい者があるのだろう? だが……その翼を落とせば、追えまい?」
「それをさせぬと言った!」
放たれるグレイブの一撃を紡は神気が変じた槍で迎え撃つ。
激突する槍とグレイブの火花が空中に舞い散り、盾と為した熱を持たぬ焔が盾となって攻撃を受け流すのだ。
互いの攻防は一進一退。
ならばこそ、放った羽根付兎型幻獣が竜珠を持ち、揺動として『グリフォンナイト』に選択肢を迫るのだ。
勝負は一瞬である。
ただの一瞬しか時間を稼げぬ揺動。即座に看破し、『グリフォンナイト』はこれを穿つだろう。
だからこそ、紡は一瞬であると判断したのだ。
「これを逃せば、機はない」
槍の一撃が放たれ、『グリフォンナイト』の駆る魔獣『グリフォン』の翼を貫く。
「ギェェェ――ッ!!」
悲鳴のような凄まじい鳴き声が響き渡り、傷つけられていた片翼を完全に紡ぐは、その一撃で持って引き裂く。
飛行能力はこれで喪われたわけではないが、それでも機動力を半減させるには十分すぎる戦果であったことだろう。
「これでもうあれを追うことはできまい」
例え、この戦いが猟兵たちの敗北で終わったのだとしても、オブリビオンたちが勝つことはない。
彼等に残されたのは、敗北か、もしくはそれにも勝る何物を得ることのできぬという半端な戦果にも満たぬ結果だけである。
けれど紡は知っている。
多くの猟兵が駆け付けていることを。己が『グリフォンナイト』を打倒できなくても、己が傷つけた一撃がきっと後に続く猟兵たちの助けるなることを――。
大成功
🔵🔵🔵
スリジエ・シエルリュンヌ
なるほど、あれが此度の指揮官ですね!
では、いきますよ!
桜のガンシップを操縦しつつ指定UCの動作を。
補食しようとしても、その行動は読めてますから回避を。そして、横っ腹に魔砲による砲撃をあびせますね!
本来、私は前衛バリツ探偵ですから…前に出るのは怖くないんです。
でも、ここはいつもと違うやり方をした方がいい場所。ですから、桜のガンシップの砲撃は止まりません!
空は本当に広いですね。今度は戦闘ではなく、のんびりできる時に来たいです。
片翼を落とされた魔獣を駆る『グリフォンナイト』は歯噛みしていた。
己の乗騎が傷つけられることなど、彼の生涯にはなかったことであった。雲海に沈み、消滅するまで彼の騎士としての技量は卓越したものであったことだろう。
オブリビオンとして過去より染み出したのは、その技量を損なわずに残すのみであり、かつての清廉さ、高潔さはもはや何処にもなかったのだ。
「我が乗騎をここまで痛めつけるとはな……!」
怒りに震える身体は、どこもかしこも痛みが走る。
しかし、その痛みこそが彼の憤怒に薪を焼べるようでもあったのだ。
吹き荒れる重圧が猟兵たちを圧倒する。
どれだけ数でまさろうとも、卓越した技量はそれだけで盤面をひっくり返しかねない。それほどの力をオブリビオンは持っているのだ。
「なるほど、あれが此度の指揮官ですね!」
スリジエ・シエルリュンヌ(桜色の文豪探偵・f27365)は己の頭部をかきむしるように仕草を見せながら、桜色のガンシップを駆り、『グリフォンナイト』の半減した機動力では己を振り切れぬことを知る。
しかし未だ油断はできない。
何せ、片翼を失ってもなおスリジエが駆るガンシップの機動力を『グリフォンナイト』は有しているのだ。
あの嘴もまた剣呑な輝きを放っている。
あれについばまれれば、こちらのユーベルコードをコピーされてしまう。ならばこそ、スリジエは己の瞳に輝くユーベルコードに寄って『グリフォンナイト』の目論見を尽く躱し続ける。
彼女にはそれができるのだ。
「何故、こちらの動きがわかる……! 機動力が落ちているとは言え、未だこちらのほうが上のはずだ……!」
『グリフォンナイト』は訝しむ。
どう考えてもおかしいのだ。こちらの動きの尽くが読み取られ、かわされる。
グレイブの一撃も、グリフォンの放つ嘴のついばみも、それら全てが既のところでかわされてしまうのだ。
そこに魔砲の砲撃が浴びせられれば、さらに窮地に追い込まれてしまう。
「本来、私は前衛……バリツ探偵ですから、前に出るのなんて怖くはないんです」
だが、此処は大空の世界、ブルーアルカディアである。
ならば、桜色のガンシップを駆り、普段とは違う戦い方のほうが適している。ならばこそ、桜のガンシップから放たれる砲撃は止まらず、『グリフォンナイト』を消耗させえ、追い込んでいくのだ。
「この空は本当に広いですね。だからこそ、貴方達、屍人帝国の好きにはさせられません」
今度訪れる時は、戦いではなく、のんびりしたいと彼女は思うのだ。
彼女の瞳がユーベルコードに益々持って輝く。
「馬鹿な……! 我等の連携が絶たれる……! 如何なる術を使っているというのだ!」
困惑する『グリフォンナイト』を尻目にスリジエは言うのだ。
「――此の世に不可思議など有り得ない。そう、私という探偵が貴方達の行動すべてを読み切っているだけの話。ここで貴方達が潰える結末もまた見えているのですよ」
放たれた魔砲の砲撃の一撃が『グリフォンナイト』を強かに打ち据え、スリジエはその周囲を桜色のガンシップと共に凄まじい速度で駆け抜け、手痛い打撃を与えていく。
これでもなお、『グリフォンナイト』が落ちないことは想定外であったかもしれない。
けれど、スリジエは確信している。
遠くない未来、彼女が求めた穏やかなる大空の世界を、きっと満喫する日が訪れることを――。
大成功
🔵🔵🔵
髪塚・鍬丸
スラスターで宙に浮き、刀を構え対峙。
さぁ、次の相手は俺だ。ここは通さないぜ。
俺達の有利に進んでいる風だが、実際は綱渡りだ。
戦力と展開力は依然敵の方が圧倒的。一騎当千の猟兵も所詮は寡兵。敵の最適解は「俺達を相手にしない」だ。
敵将が目の前に来てくれている今が好機、ここで頭を潰すしかない。
秘剣【朧旋】。不規則な軌道の高速移動で飛び回る。残像の様に生じた分身が敵を包囲。…参る!
分身達と共に、一気に間合いを詰める。幻による波状攻撃を【フェイント】に、【早業】【暗殺】で急所への斬撃を放つ。虚実織り交ぜた攻防一体の剣技、見切れるか。
戦略目標は巨人とやらか。だが目の前にいるのは俺達だ。まだ付き合って貰うぜ。
絶え間なく打ち込まれる魔砲の砲撃が屍人帝国『オーデュボン』の騎士である『グリフォンナイト』を追い詰めていく。
片翼を失った魔獣の機動力は半減し、それを駆る『グリフォンナイト』もまた手痛い打撃を受け続けている。
だというのに未だ健在であることはオブリビオンの強大さを知らしめるには十分なものであったし、髪塚・鍬丸(一介の猟兵・f10718)にとってそれは己の身を引き締めるに足ることであった。
「さぁ、次の相手は俺だ。ここは通さないぜ」
スラスターを噴出させながら、刃を構える鍬丸。
彼をにらみつける『グリフォンナイト』の瞳に在るのは憤怒だけであった。
己の乗騎を傷つけられ、己の主の求めるを邪魔立てする不埒者。
それが猟兵であれば、立ちふさがる鍬丸は、障害以外の何者でもなかったのだ。
「邪魔立てするか、猟兵! ならば、斬るしかあるまい!」
裂帛の気合と共にグレイブを振るう『グリフォンナイト』の一撃を刀でもって受け流しながら、鍬丸はスラスターの噴射と共に、その身を翻す。
そう、『グリフォンナイト』は言うまでもなく強大な敵である。
しかし、猟兵達は繋ぐ戦いによって此処まで彼を消耗させているのだ。これは確実に猟兵たちに有利に戦いが運んでいることを示している。
だが、これは綱渡りの戦いであることを鍬丸は知っている。
未だ戦場にある『黒翼騎士』たちと正規軍の戦力差は屍人帝国の方が上であるし、圧倒的だ。戦いが長引けば長引くほどに屍人帝国に形成は傾いていくであろう。
だからこそ、一騎当千である猟兵たちが敵将である『グリフォンナイト』を討たねばならぬのだ。
「だが――それでも所詮は寡兵! 貴様たちの実力は認めようが!」
振るわれたグレイブ、それをかわされた『グリフォンナイト』が長物である利点を生かし、躱した鍬丸を更に追いすがる。
「ああ、そのとおりだ。だが、お前達は間違えた。お前達の最適解はたった一つだったんだ」
それはなんであるのか。
鍬丸を捉えたはずの一撃は、無数の分身を生じさせる高速移動に寄って、あっさりとかわされた。
「――それは、『俺たちを相手にしない』ことだ。もっと言えば、俺たちに感知されないこと。だが、お前達は間違えた。本当に目的を遂行したければ『アジール王国』など相手にしなければよかったんだ」
けれど、彼等は『アジール王国』を滅ぼすと予知された。
ゆえに己たちが駆け付けたのだ。
「敵将が出てきてくれたのなら、今が好機。ここで頭を潰すと考えるのは当然であろう」
煌めくユーベルコードは、秘剣・朧旋(オボロツムジ)。
幻の如き分身達と共に放たれる斬撃は四連撃。
その全てを受けた者は例外なく死する定め。
それゆえに鍬丸は巧妙そのものであった。フェイント、早業、それらが鍛え上げられた暗殺の業にて放たれれば、急所への攻撃を決定打に見せかけながら、その実4連撃をただ当てるためだけに放たれる斬撃であることをひた隠すのだ。
「――虚実織り交ぜた攻防一体の剣技、見きれるか」
放たれた四連撃の二撃が『グリフォンナイト』の身を穿つ。
しかし、残りの二連は魔獣である『グリフォン』によって阻まれる。これは予想外であったが、それでも乗騎である『グリフォン』を消耗させたのは大きい。
あの機動力さえ封じてしまえば、大地を這う獅子でしかないのだ。
鍬丸は己の斬撃と分身たちを持って己よりも強大な敵を翻弄し続ける。
「くっ……このままでは『セラフィムV』すら追うことが叶わぬ……!」
「やはり戦略目標は巨人とやらか。だが、目の前にいるのは俺たちだ。まだ付き合って貰うぜ。時間はたっぷりあるんだからな」
鍬丸は、あくまで待ち続ける。
敵が消耗し、膝を突くその時まで。
それは焦りを生み、隙を作る。その時が後に続く猟兵たちの付け入る隙であり、必殺の一撃を叩き込む好機となるであろう。
鍬丸は己が承った御下命を如何にしても果たすために、凄まじい速度と共に『グリフォンナイト』を戦場に釘付けにするのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
西院鬼・織久
セラフィムVとやらには戦から離れる理由があるのでしょう
どうあれ俺が気にする事ではありません
我等が為すべきはただ我等が敵を狩るのみ
死合いを以て互いに血肉を喰らう事こそ我等が本望よ
【行動】POW
先制攻撃+UCに怨念の炎を乗せ敵を蝕む炎を付与
五感と第六感+野生の勘を働かせ、すれ違い様に早業+夜砥+怪力で引き寄せダッシュ、グリフォンを串刺し+怨念の炎で傷口をえぐる
攻撃を残像+フェイントで躱し敵UCは自身のUCでもあるので前兆を見切り衝撃波を伴うなぎ払いで散らし各種耐性でダメージを無視して突貫
なぎ払い+切断のカウンターでグリフォンと武器を切り払い騎士を串刺し、とどめにならなければ傷口に怨念の炎を流し込む
じりじりと追い詰められていく屍人帝国『オーデュボン』の騎士である『グリフォンナイト』は歯噛みしていた。
確かに個としての実力は猟兵に勝る存在であった。
そして、戦力としての数もまた勝るものであったはずなのだ。別段油断していたわけでもなければ、猟兵たちを過小評価していたわけでもない。
けれど彼の忠義、忠節こそが足枷となっていることを彼は知らないだろう。
己の主の目的を達するためにこそ彼は力を振るう。
しかし、その目的がこうしている間にも戦場から遠く放たれていくことこそが、彼の焦りとなって戦局を傾けさせたのだ。
「くっ、このままではみすみす『セラフィムV』を取り逃してしまう……!」
もう遅きに失する失態であった。
猟兵達は突出してきた『グリフォンナイト』を包囲し、決して逃さぬであろう。
『黒翼騎士』たちもまた正規軍と激突し、追う余裕すらない。
「『セラフィムV』とやらには戦から離れる理由があるのでしょう。どうあれ俺が気にすることではありません」
西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は、『黒翼騎士』を屠りながら、一歩『グリフォンナイト』へと歩みを進める。
彼の進む道にあるのは、全てオブリビオンという怨敵を討つための過程だけである。
それ以外の何者存在してはならない。
何故ならば、その身を突き動かす怨念こそがオブリビオンを討つ刃であるからだ。
「我等が為すべきはただ我等が敵を狩るのみ。死合いを以て互いに血肉を喰らうことこそが我等が本望よ」
凄絶なる言葉。
しかし、そこには一切の淀みもなかった。あるのはただ単純な事実のみ。彼等が抱える怨念を晴らす。
その一点だけが彼等を突き動かすのだ。
「狂人が我等の邪魔立てをするか!」
『グリフォンナイト』が片翼を失った魔獣と共に戦場を一直線に駆け抜け、織久へと手にした長ものであるグレイブを振るう。
しかし、織久は冷静そのものであった。
放たれたグレイブの斬撃よりも早く、己に宿る怨念と殺意の焔を持って、『グリフォンナイト』の騎乗する魔獣へと打ち当てるのだ。
極細の糸が魔獣の手足に絡まり、殺意の炎は刻まれた傷痕をえぐるように彼等の怨念を流し込み、黒い炎と成って燃え広がる。
「忌々しい炎を!」
グレイブが振るわれ、織久を狙う。
残像を残した彼を見切った一撃が、織久の脳天を揺らす。
だが、警戒すべきは魔獣である『グリフォン』の嘴による一撃である。
ユーベルコードすらもコピーせしめる嘴は、織久にとって脅威そのものである。だからこそ、その一撃を受けてはならない。
それ以外の一撃を受けても致命傷にはならぬがゆえに、嘴以外の攻撃は無視し、痛む額を抑えることもせずに突貫するのだ。
「これでも止まらぬ、だと――!?」
「ええ、我等が怨念尽きる事なし」
ゆえに殺意の炎(サツイノホノオ)。
その尽きることのない黒い炎を纏った織久の貫手の一撃が『グリフォンナイト』の胸を穿つ。
これでトドメには成らずとも、その傷口から流し込んだ怨念の炎は、その身が朽ちるまで消えることはないだろう。
「知るがいい。我等が怨念を、その業の深さを、黒き炎を――」
吹き荒れる炎が『グリフォンナイト』を包み込み、織久は未だ晴れぬ怨念のままに身を任せ、貫手の一撃を引き抜き燃える炎を以て致命の一撃と為すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
須藤・莉亜
「やあ、待ちわびたよ。早速殺り合いと行こうか。」
そのグリフォンの血はデザートかな?
全方位から攻撃する陽動用の槍と、それに紛れて敵さんを囲む槍に分けてArgentaを周囲に展開。
僕は悪魔の見えざる手と一緒に仕掛けが終わるまで敵さんと遊ぶ事にしよう。
敵さんの動きを見切り、瞬時に判断して攻撃を当てていく。
もちろん吸血も狙って行きます。グリフォンは足の一本くらい噛み砕きたいところだねぇ。
あ、衝撃波をくらっちゃったら、悪魔の見えざる手に身体を投げて貰って緊急回避するのも忘れずに。
仕掛けが終わったら怪力を駆使してのジャンプで離脱。
煙草に火を点けてっと。
はい、どーん。
「…楽しくて仕掛けを忘れてたよ。」
吹き荒れる黒き炎は屍人帝国『オーデュボン』の騎士である『グリフォンナイト』の肉体を焼く。
身を焦がすほどの熱を受けながらも、未だ彼は霧散することなく騎乗した魔獣と共に戦場を駆け抜ける。
魔獣もまた片翼を失い、消耗しながらも主の憤怒に応えるように嘶くのだ。
「我が乗騎もまた我と怒りを同じくするか。ならばこそ、猟兵どもは討ち滅ぼさなければならぬ。例え、我が主の目的を達することが我にできなかったとしても、あの方の障害は全て取り払わねばならぬのだ!」
手にしたグレイブが力を発露させ、振るうだけで周囲に凄まじい衝撃を生み出すのだ。
それは容易に敵を己たちに近づかせぬという意志の現れであったのかもしれない。
けれど、それでもなお舞い降りる猟兵の姿があった。
「やあ、待ちわびたよ。早速殺り合いといこうか」
魔獣は血のデザートであろうとさえ思っていたのは、須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)であった。
彼の瞳は未だ癒せぬ吸血衝動のままに、彼の本能を刺激する。全方位に敷き詰められるように展開された銀の槍。
どこにも逃げ場などないのだと言うような光景に不敵に笑ったのは『グリフォンナイト』であった。
「生命のやり取りなど、言うに及ばず。戦いとは常にそういうものであろう」
手にしたグレイブが襲いかかる槍を振り払う衝撃波を伴って『グリフォンナイト』が未だ健在であることを知らしめる。
その肉体に刻まれた他の猟兵たちの打撃の痕や、グリフォンが片翼を失い機動力を失った事実でさえ、かすませるほどの威力。
これこそが強敵との戦いであると莉亜はたぎる思いであったことだろう。
敵の動き、その挙動の全てを読み合い、互いの技量であってせめぎ合う一瞬と一瞬、その刹那に見える快楽物質が己の脳を染め上げていく。
「やるねぇ……これなら味も期待できそうだ」
吸血を即座に狙えるように、振るう斬撃。
しかし、機動力が半減したとしても動きは衰えぬのが『グリフォンナイト』の技量の凄まじいところであろう。
莉亜は思わず己が手繰る『見えざる手』による仕掛けが終ることを忘れるほどの、脳内に火花が散るような戦いの応酬に割れを忘れそうに成ってしまう。
最初は遊ぶ程度のつもりであったのだ。
上手く行けばグリフォンの足の一本くらいは噛み付いて砕くことはできるであろうと思ったのだ。
だが、それでもなお『グリフォンナイト』の操るグレイブの技量は凄まじいものであった。
放たれた衝撃波に莉亜は己が吹き飛ばされと自覚した瞬間、見えざる手によって抱きかかえられ、衝撃を殺す。
「やあやあ、これはまたたまげたものだね。ここまでとは……けれど、思わず楽しくなってしまって仕掛けていたことを忘れてしまったよ」
「何を――」
『グリフォンナイト』が訝しむのもまた無理なからぬことであった。
これまで莉亜が勝負を仕掛けなかったのは、『グリフォンナイト』に圧倒されていたからではない。
そう、これはただの下準備に過ぎなかったのだ。
手にしたタバコに火を着ける。
それが合図であった。
「潰れちゃえ」
その言葉と紫煙がくゆる瞬間において、輝くユーベルコードの名は――。
――腐蝕竜落とし(ドラゴンゾンビダイブ)。
打ち込まれた銀槍によって囲われた場所限定であれど、生命力を奪う領域を生み出し、そして腐食竜そのものを落とし、極大なる打撃を生きとし生けるもの全てに与える超絶為るユーベルコードである。
「はい、どーん」
血を吸い忘れるほどの闘争。
それをもたらした『グリフォンナイト』への敬意はわずかにあるかもしれない。
けれど、放たれるユーベルコードに加減などない。
腐食竜が落ちる一撃は、まさにあらゆる生命を蹂躙する一撃と成って『グリフォンナイト』と戦場に在りし『黒翼騎士』たちをも飲み込み、一瞬で周囲を壊滅に追い込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
セラフィナ・セレスティ
まあ、そんな使命とやらで蹂躙される方はたまったものじゃないよね
オブリビオンのキミに言ってもムダなんだろうけど
キミも在るべきところへ還るといい
ボクが手伝ってあげる
最初から全力全開だよ
魔力解放……!法陣多重展開、風の祝福を今ここに
衝撃波は複数の方法で対応
マジックミサイルで衝撃波を相殺
風の魔法陣たる盾でも受け流すよ
万が一掠ったとしても、別に展開していた浄化の魔法陣で痺れは即座に回復だよ
行くよ、『翼』……!
魔法の翼よ、風を巻き起こせ
キミのその翼をボクの翼で天から墜としてあげる
『オーデュボン』と『セラフィムV』ね、覚えておくよ
紐解くべき謎が多そうだ
極大なる腐食竜が屍人帝国『オーデュボン』の『グリフォンナイト』や『黒翼騎士』たちをも巻き込んだ一撃を穿つ。
そのすさまじい威力に衝撃波が離れた上空にまで届くようであった。
「……ガハッ――! く……ここまで、我等を追い詰めるとは。げに恐ろしきは猟兵……! だが我等の使命に塞がる障害があるのでれば、それらを排することこそ我が主のため……!」
立ち上がる『グリフォンナイト』は確かに忠義の騎士であったことだろう。
しかし、その忠義は屍人帝国に向けられたものであり、かつての清廉さ、高潔さは最早どこにもなかった。
あるのは雲海に沈み、オブリビオンと化したおぞましき別の何者かでしかなかっただの。
「まあ、そんな使命とやらで蹂躙される方はたまったものじゃないよね。オブリビオンのキミに言ってもムダなんだろうけど」
セラフィナ・セレスティ(blue hour・f33925)は、なおも立ち上がり健在であることを知らしめる片翼の魔獣を駆る『グリフォンナイト』を前にしてつぶやく。
どれだけ使命であるとか、忠義であるとか、言葉を弄したところで、結局の所自分は猟兵であり、相手はオブリビオンである。
ならば、滅ぼす以外の選択肢はない。
「キミも在るべきところへ還るといい。ボクが手伝ってあげる」
夜色の髪をなびかせ、セラフィナが告げる。
彼女の瞳がユーベルコードに輝き、魔力が開放される。それと同時に空に浮かぶは魔法陣。
多重に展開された風の祝福をもたらす魔法陣が、『グリフォンナイト』のグレイブから放たれる斬撃の衝撃波を防ぐ。
しかし、それだけでは衝撃波は止まらない。
それほどまでの技量差である。『グリフォンナイト』が個で猟兵に勝るのは、致し方のないことであったとしても、それでもなおこれだけの猟兵を相手どって、消耗しているにも関わらず放つ衝撃波の勢いは些かも衰えていなかった。
「無駄だ! この程度の風で我等を防ごうなど!」
「く……でもね!」
マジックミサイルによって放たれた魔力が一瞬で衝撃波を相殺していく。しかし、それでもセラフィナの頬をかすめた衝撃波が彼女の身体の自由を奪うのだ。
痺れが体に走っていく。
けれど、展開していた浄化の魔法陣でもって即座に痺れを回復させたセラフィナは、その輝くユーベルコードをもって魔力を全開に解放するのだ。
「とっておきの翼(ツバサ)の魔法だよ」
吹き荒れる魔力が周囲を包み込んでいく。
どんな加護も、どんな防御も意味をなさぬ竜巻が巻き起こり、セラフィナを包みこんでいく。
それはまるで翼のようにセラフィナを守り、その身を護るのだ。
「キミのその翼をボクの翼で天から墜としてあげる」
放たれた竜巻が『グリフォンナイト』を巻き込み、その体を遥か上空まで巻き上げていく。
どんな防御も意味をなさない竜巻は、魔獣グリフォンであっても躱すことはできず、その体を風の刃で傷つけるのだ。
「キミは屍人帝国『オーデュボン』の騎士。そして追っていたのは『セラフィムV』。それは覚えておくよ。紐解くべき謎が多そうだからね」
セラフィナは竜巻の果てに吹き飛ばされる『グリフォンナイト』を見送り、彼等が何を追い、何を成そうとしていたのか、それに思いをはせる。
どんな理由であれ、人々の生活を脅かしていい理由などない。
だからこそ、セラフィナは今、物語を始まりを予感するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
クルル・ハンドゥーレ
アドリブ連携歓迎
雲海に落ちオブリビオン化すれば
清廉な騎士すら残虐な悪鬼と成り果ててまうんか…
ほんま、背筋寒なる
心底恐ろしい世界やな…
引き続きキャバリア搭乗
推力移動・空中機動・空中戦駆使し飛行
見切り・盾受け・武器受け・シールドバッシュで防ぎいなし殴りながら
他の猟兵と勇士さん達と連携
皆ー!こっちに気ぃ向いてる敵さん達、背後から襲撃し放題や!
敵将発見後すかさず先制攻撃でUC展開
衝撃波には衝撃波で対抗や
ああ、ちなみに衝撃波攻撃もグレイブ(薙刀)も戦巫女の十八番やで?
…技といい得物といい…もしやこの敵将、生前は…
マヒ攻撃・破魔ものせ攻撃
…願わくばこの一撃が
かつての騎士へと還る浄化の道標にならんことを
過去にどんな偉業を為していたのだとしても、過去にどれだけ高潔さを誇っていたのだとしても、ブルーアルカディアにおいて雲海に沈めばそれは等しく滅びるものである。
栄華を極めた帝国も何もかもが過去に沈む。
屍人帝国として空へ浮かび上がってきたとしても、それはかつての存在ではない。
屍人帝国『オーデュボン』がそうであったようにかつての高潔なる騎士『グリフォンナイト』もまた同様である。
在るのは忠義だけ。
しかし、その忠義すらも屍人帝国に捧げられたものであり、今を生きる人々に対する思いは一片も持ち合わせていないのだ。
「雲海に落ちオブリビオン化すれば清廉な騎士すら残虐な悪鬼と成り果ててまうんか……ほんな、背筋寒なる。心底恐ろしい世界やな……」
クルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)は、数多の猟兵の攻撃を受けてもなお立ち上がってくる『グリフォンナイト』と、それを生み出した世界の理に背筋が怖気が走る。
己も雲海に沈めば、そうなるのであろうという確信があった。
彼女が駆るキャバリア、異形の銕の機神が一歩を踏み出す。
本来キャバリアは空に蓋をされた世界において、自由に空を飛ぶことの叶わぬ戦術兵器である。
けれど、このブルーアルカディアでは違う。
普段とは勝手の違う挙動。それがこの機神本来の力であるというように、クルルは駆るのだ。
「巨神……! 馬鹿な!『セラフィムV』以外にも巨神がいるというのか……!」
『グリフォンナイト』が呻く。
それは彼等が追っていた青い鎧の巨人の名であるのだろう。
クルルが駆る機神を前にして類似した存在であると認識する彼等にとって、それは想定外の事態であったのだろう。
「こっちに気ぃ向いてるっていうんなら!」
クルルは紫電纏う機神の大盾を空飛ぶ片翼の魔獣を駆る『グリフォンナイト』へと叩きつける。
己の駆る機体に注意が引きつけられているうちに他の猟兵や正規軍が上手く立ち回れるようにと彼女は大立ち回りを演じるのだ。
「ぐっ! 違うな。これは……! 似て非なる巨神か!」
手にしたグレイブが振るわれれば、その一撃は凄まじい衝撃波となって機神を襲う。
大盾で防いだとしても軋むほどの威力。
受け止めるだけで機体が痺れたように動きが鈍るのは、どうしようもない。
「ちっ、こっちの動きを止めるっていうんなら、衝撃波には衝撃波や。同じ得物が十八番なのは戦巫女も同じや」
ぐるりと機神が回転させる薙刀が弧を描き、放たれる衝撃波が『グリフォンナイト』の放つ衝撃波とぶつかり相殺される。
「……技といい得物といい……もしやこの敵将、生前は……」
クルルは思う。
どれだけ清廉なる者であったとしても悪辣に堕ちる。
どれだけ過去を思ったとしても、変わり果てた存在は、滅ぼす以外に救う道筋も見つけられない。
そもそも救うという意味すら意味を成すのだろうかとさえ思う。
だが、それでも。
それでも願わずには居られないのだ。
「なら、愛では――足りず」
しかして、今は無力であることを嘆くわけにはいかない。悲歎も瞋恚も今は全てを受け止める器が在る。
銕の機神が咆哮する。
足りぬというのならば、願いでもって贖うのだ。
放たれた薙刀の一撃が『グリフォンナイト』を貫き、吹き飛ばす。
それがかつての騎士へ還る浄化の道標とならんことを、クルルは願わずには居られなかったのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
忠義自体は結構な事だと思いますが、悲劇を引き起こす主への忠義を見逃す訳にはいきません。
UC発動して飛行。
相手のグレイブから放たれる衝撃波は、煌月のなぎ払いから繰り出す衝撃波で相殺。
余波は身体に纏ったオーラ防御で耐えます。
グリフォンの嘴や爪等の攻撃は天耀鏡の盾受けで防ぎます。
人馬一体という言葉が有りますが、騎獣と合わせると貴方の方が手数が多いですね。
一計を案じ、真っ向から打ち合いながらも雷月に氷の属性攻撃と神罰を籠め、念動力で操作して、密やかに相手の背中から貫通攻撃&鎧無視攻撃で突き刺す。
それで生まれた隙を突いて、雷の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱・範囲攻撃でグリフォンごと相手に雷撃を放ちます。
凄まじい衝撃波が『グリフォンナイト』を吹き飛ばす。
しかし、空中で体勢を整えた魔獣『グリフォン』に助けられるようにして、彼は片翼の魔獣と共に未だブルーアルカディアの空に健在であった。
「我等を救おうとするかよ、猟兵。だがそれは無意味だ。我等の忠義こそが、お前達を障害であると認識している」
もはや、そこにはかつての清廉なる騎士の姿はない。
あるのは、オブリビオンとして顕現したおぞましきなにか別物である。
「忠義自体は結構な事だと思いますが、悲劇を引き起こす主への忠義を見過ごすわけにはいきません」
『グリフォンナイト』が解く忠義に真っ向から応対する瞳があった。
大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)の瞳に輝くのユーベルコードである。戦巫女の姿へと変じた彼女は、その神力でもって空へと飛翔する。
神力発現(シンリョクハツゲン)による彼女の神性の煌めき、大空の世界ブルーアルカディアにおいて太陽のように燦然と輝くものであったことだろう。
「我等が主を愚弄するか!」
放たれるグレイブからの衝撃波を同じく薙刀の一撃でもって相殺しながら、詩乃は空を舞う。
力の差は未だ歴然。
数多の猟兵たちが刻み込んだ打撃の痕が生々しくもあれど、それでもなお滅びぬどころか、こうして詩乃を圧倒するほどである。
衝撃波を相殺したとしても、余波が彼女の体を撃つ。
「これしき……耐えてみせます!」
「驕ったな! グリフォン!」
互いに空中で交錯した瞬間、『グリフォンナイト』が駆る魔獣『グリフォン』の足爪の一撃が詩乃を襲う。
しかし、その一撃は天鏡が防ぐのだ。
一進一退の攻防。
激突する薙刀の刃がくるりと円を描き、互いの得物を手放さしめるようにと技量を以てせめぎ合う。
「人馬一体という言葉が在りますが……騎獣と合わせると貴方の方が手数が多いですね」
そう、こちらには手足が一対。
しかし、あちらにはグリフォンの手足がある。
ならばこそ、それを己の体と同一のように操る『グリフォンナイト』にこそ手数でもって圧倒されるのまた道理であったことだろう。
だからこそ詩乃は一計を案じるのだ。
同じ得物である薙刀での打ち合いはブラフである。派手に火花をちらし詩乃自身に注意を引きつけるからこそ、己の懐刀が活きて来るのだ。
「かつての清廉さを思い出して頂きたいと思っていますが……」
それはきっと叶わぬ願いであるのだろうと詩乃は知る。
けれど、それを願う者がいるのならば、神性を宿す己がそれを諦めてしまうことは許されないだろう。
「今の我等は忠義の騎士。お前達猟兵にそれを謗られるいわれなど!」
だが、その背後より念動力によって操作された懐刀の一撃が『グリフォンナイト』へと打ち込まれる。
「――ッ!?」
背後からの不意の一撃に『グリフォンナイト』の判断が鈍る。
神罰の属性を帯びた懐刀の一撃は『グリフォンナイト』の意識を一瞬であれど飛ばすのだ。
「今を生きる人々を滅ぼすことをかつての貴方が忠義と言うことはないでしょう。お会いしたこともなければ、貴方のお名前も存じ上げません」
けれど、と詩乃は言うのだ。
掲げた掌から神力が発露し、天空より振り下ろされるのは雷撃の一撃。
神罰の一撃は遥か頭上より『グリフォンナイト』を打ちのめす。
「ですが、それでもわかるのです。雲海に沈みし騎士。貴方がそうではなかったのだと――」
大成功
🔵🔵🔵
イングリット・ジルニトラ
貴様がこの場の大将か。
ではその首おいていけッ。
(本章では人間形態で参戦しています。)
さきの戦場ではこの国の軍人に助けられた。
あの恩は貴様の首で返さねばな。
私の身に宿った怨念を弾丸にし、左手で指弾で弾きとばし牽制をおこなう。
(使用技能「呪殺弾」)
船に非ざる人のみであれども、風を切り空を踏めば幾らでもこの大空を翔ることができる。空中ステップで飛び上がり、薔薇の花弁で敵の動きと視界を阻害しつつ、連続の4連撃。これぞ、秘技“薔薇の剣戟”
その首おいて行ってもらおう!!
(使用技能:「空中機動」『斬撃波』)
雷撃が屍人帝国『オーデュボン』の『グリフォンナイト』を穿つ。
その一撃で持ってもなお、霧散せぬのは『グリフォンナイト』が敵将にたり得る実力を備えたオブリビオンであるからであろう。
「まだまだ、まだ、我等は……! 滅びぬ。我が主の目的のため、我等が生命すらも厭うまい!」
その力の発露は凄まじいものであった。
魔獣グリフォンは片翼を失い、己自身も数多の猟兵のユーベルコードに寄って消耗させられている。
だというのに、未だ衰えぬ力は、魔獣に騎乗しているというだけであらゆる防護を打ち破る力を秘めていたのだ。
「貴様がこの場の大将か。では、その首おいていけッ」
イングリット・ジルニトラ(ガレオノイドの翔剣士・f33961)は飛空艇からガレイオノイドとしての人型へと姿を変え、己の身に宿した怨念を発露させるように戦場を駆け抜ける。
これまで飛空艇として戦いに参じていた彼女が人型に成ったのは、己の怨念を弾丸にし、『グリフォンナイト』と相対するためである。
弾丸へと姿を変えた怨念を指弾のように撃ち放ちながら迫るイングリッドに『グリフォンナイト』は手にしたグレイブを振り回し、撃ち落としていく。
「怨念だけが頼りか! 我が忠義の前にそのようなものなど!」
振り払われる怨念の弾丸。
けれど、それは牽制に過ぎないのだ。
今は船に非ざる人の姿。
何故、その姿になったのかは言うまでもない。目の前の『グリフォンナイト』を討ち滅ぼすためだ。
空中を蹴って飛ぶ姿は華麗にして壮麗。
かつての飛空艇として空を征く彼女にとって、空とは浮かぶものではなく、進むものである。
ならばこそ、人の姿を借りれば斯様に流麗なる舞いを披露することだって可能なのである
「さきの戦場ではこの国の軍人に助けられた。その恩は貴様の首で返さねばならぬ」
「恩義! それは忠義の前には些細なことであろうが!」
振るわれるグレイブの一撃を躱し、イングリットは進む。
薔薇の花弁が舞い散り、それが『グリフォンナイト』の視界を潰すのだ。
輝くユーベルコードの名は、薔薇の剣戟。
放たれた神速の四連撃は『グリフォンナイト』を絶命せしめんと放たれ、その腕、胴、肩と刃が貫いていく。
しかし、絶命せしめるには四連撃全てを打ち込まねばならぬ。
その最後の一撃が打ち込まれた瞬間、魔獣たるグリフォンが身を挺するように護るのだ。
「乗騎に救われたか! けれど、その傷! 長くは保つまい!」
『グリフォンナイト』自身は裂傷を。
魔獣たるグリフォンの片目は潰された。これにより敵の機動力、そして視界をも半減させたイングリットは己の役目を全うしたことを知る。
彼女は幽霊船として再び世界に浮上した。
己の名を未だ知る者がいたことこそが、彼女の怨念を慰めるものであったことだろう。
けれど、未だ身に宿した怨念は消えることはない。
己を墜とした天使。
それを討つまでは。その決意を新たにイングリットは、新たに得た己の人型としての姿を持って、ジルニトラ級陸番艦イングリットが再び戦線に復帰したことを知らしめるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
引き続き【セレステ】で、正規軍のみんなと連携戦闘中。
これはまた……。
なるほど『ブレイドホーク』がいるんだから、『飛ぶ』ってなると、そういう感じもありか。
まだ残っている『ブレイドホーク』もいるし、ここは【D.U.S.S】の方が有効そうかな?
【並列演算】で『グリフォンナイト』の攻撃を予測しながら躱しつつ、
音響兵器の使用をみんなに警告してから発動させて、相手を雲海に墜としていこう。
【セレステ】はVTOL機だからね。
ホバリングや真後ろ、真横への移動もできるから、攻撃を躱すのは得意だよ!
『グリフォンナイト』は耳を塞ぐとかできないだろうし、
墜とせないまでもダメージで動きを鈍らせたら攻撃しやすくなるよね。
未だ『アジール王国』が座す浮遊大陸の一角は戦場そのものであった。
空を飛翔する『ブレイドホーク』は数を減らせど、『黒翼騎士』たちに率いられて大空を席巻する。
そんな魔獣の軍、将たる『グリフォンナイト』は数多の猟兵達によって追い詰められている。
魔獣たる『グリフォン』を駆り、片翼隻眼へと成り果てても飛ぶ姿はあまりにも、強靭なる存在であると認めるほか無いものであった。
「これはまた……なるほど『ブレイドホーク』がいるんだから、『飛ぶ』ってなると、そういう感じもありか」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はガンシップである『リオ・セレステ』を駆り、正規軍と共に大空を翔びながら、その威容をみて認めたのだ。
こちらの殆どが飛空艇やガンシップで構成されているから、発想がなかったが魔獣を乗騎として扱うのならば、それもまた正解なのだろう。
かつて存在したであろう清廉なる騎士の面影はすでにない。
あるのは悪辣なる主への忠義だけを持って世界を破壊せんとする『グリフォンナイト』の姿だけであった。
「どうする、敵将にはうかつに近づけないぞ」
正規軍の軍人たちは『ブレイドホーク』や『黒翼騎士』たちを相手にするのが背一杯である。
連携を取るには、彼等に残敵を任せて理緒自身が『グリフォンナイト』を打倒するほかないのだ。
「こっちは任せておいて。音響兵器を使うから、距離を取ってね!」
指向性をもたせる音波兵器を『リオ・セレステ』の装甲が廃され、出現する。
だが、敵の動きは消耗していたとしても一騎当千である。
どれだけ猟兵が優れた力を持っていたとしても、個としての力は未だオブリビオンの方に傾くのだ。
「奇っ怪な仕掛けを持っているようだが、それをさせぬのが我等が力!」
『グリフォンナイト』が振るうグレイブの斬撃が、衝撃波となって『リオ・セレステ』に襲いかかる。
凄まじい衝撃波は、かすめただけで機体を機能不全に陥らせるだろう。
だからこそ、理緒は網膜を通して脳とCPUをリンクさせ、処理速度を一時的にとは言え、凄まじいまでに増強させるのだ。
あらゆる事柄を、並列演算(ヘイレツエンザン)にて処理し、衝撃波の速度、機体の速度、あらゆる事象を並列に処理せしめるのが彼女のユーベルコード。
「接続確認……処理、開始」
放たれた衝撃波を『リオ・セレステ』が躱す。
いや、躱すというのは生易しいものであった。魔獣に騎乗しているからこそ、その動きは想定していない動きであったことだろう。
理緒が駆る『リオ・セレステ』は垂直離着陸機である。その機動は弧を描くことはなく、どれもが直角的な動きである。
ホバリングや真後ろにそのまま動くこともできれば、急上昇、急下降さえも可能にする。
そこに並列演算の力が加わった瞬間、彼女を捉えられるものは何一つなかったのだ。
「この攻撃を躱すだと……!? なんだ、その魔獣の動きは!」
奇っ怪なる動き。『グリフォンナイト』がこれまで経験したことのない動きで空を舞う『リオ・セレステ』の機動は、初見そのもの。
ならばこそ、その動揺こそが命取りである。
露出した音響兵器がうなりを上げる。
ハウリングの音が響き渡り、指向性を伴った音波の一撃が『グリフォンナイト』を強かに打ち据えるのだ。
本来であれば殺傷能力はないがゆえに、暴徒を鎮圧するほどの効果しかないだろう。
けれど、『グリフォンナイト』は違う。
魔獣に騎乗するがゆえに、耳をふさぐこともできなければ、魔獣としての人よりも優れた聴覚が放たれた音波を受けて三半規管をめちゃくちゃにするのだ。
「墜とせないまでも、動きは鈍るでしょう!」
これが理緒の戦い方であると知らしめるように、続く音波の一撃が『グリフォンナイト』をついに大地へと失墜させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
いよいよ指揮官が出てきたね
流石に巨竜形態では小回りが利かないから
余分な装甲はレールガンで射出して攻撃
進軍を牽制しつつ近付こう
適度な大きさになったら
背中に載りながらガトリングガンで攻撃
そっちがグリフォンナイトなら
こっちは竜騎兵ってところかな
…ちょっと違うけど
射撃と鉑帝竜の格闘攻撃で
距離を取るように戦おう
鉑帝竜の装甲は希少とはいえ普通の金属だから
簡単には食べられないし
食べてもUCは得られないんじゃないかなぁ
何度か接近戦を嫌うように戦いつつ
相手がこちらの動きに慣れてきたらパターンを変え
兵装創造で鉑帝竜の装甲を巨大な剣に変換し攻撃力を強化
咥えて力一杯薙ぎ払って貰おう
悪いね、剣を振るうのは僕じゃないんだ
ついに大空の覇者たる『グリフォンナイト』が目に見えぬ音波の一撃を受けて大地に失墜する。
片翼と片目を失った魔獣『グリフォン』が力なく、けれどそれでも『グリフォンナイト』と共に立ち上がる姿をみた佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は敵指揮官である『グリフォンナイト』が未だ死に体ではないことを悟る。
ここで油断をしては食い破られるのはこちらの方であることを自覚するのだ。
「流石に巨竜形態は小回りが利かない……なら、ここで畳み掛ける!」
鉑帝竜に配された余分な装甲をレールガンで弾丸として射出しながら、再び空へと飛び上がろうとしていた『グリフォンナイト』を牽制しながら、晶は近づく。
「小癪な……我等を大地に押し留めておくつもりか!」
『グリフォンナイト』の強みは言うまでもなく、空を自由に飛ぶ能力である。
人馬一体そのものである力量と相まって、頭上を取らせることは戦いの趨勢を方向けさせるには十分すぎる能力だ。
「それはそうだよ。そっちが空を自由に飛ぶこと自体がこっちの脅威なんだから、それをさせないのが戦いってものでしょう」
晶は鉑帝竜の背中に乗り、余分な装甲を廃しながら自身もまたガトリングガンで応戦する。
大地を疾駆する鷲獅子の姿は、片翼を失ってもなお尋常ならざる速度で持って弾丸さえも躱していくのだ。
「竜騎兵を気取るか!」
「……ちょっと違うけど」
間違っては居ないですのーと、声が聞こえた気がしたが、晶は無視して鉑帝竜と『グリフォンナイト』のグレイブの一撃が激突する。
飛翔させてはならぬと思いながらも、『グリフォン』の嘴がついばむ一撃が超硬装甲を抉るのだ。
これほどまでに強靭なる魔獣を手足のように手繰る『グリフォンナイト』の技量は言うまでもないことだ。
「そんな簡単に金属までは食べられないでしょう。無駄だとは思うんだけどな……!」
「ふっ、そうでなくても装甲をついばみ砕けば、穿つものとなると知れ!」
超硬装甲に亀裂が走った瞬間『グリフォンナイト』のグレイブの一撃が鉑帝竜のフレームにまでついに到達するのだ。
晶は接近戦を嫌うように距離を取ろうとするが、『グリフォンナイト』は益々しつこく追いすがる。
装甲を抜くほどの打撃を与えられては敵わないとばかりに距離を取ろうとすればするほどに追い込まれていく。
「どうした猟兵! 先程までの勢いは!」
吠える『グリフォンナイト』。けれど、それもまた計算の一つであると知るには、あまりにも失策が過ぎた。
晶の瞳がユーベルコードに輝く。
それは、兵装創造(オルタナティブ・ウェポン)。
己のガトリングガンや金属材料を持って生み出すキャバリアサイズの武装である。
生み出されたのは巨大な剣そのもの。
だが、晶が振るうにはあまりにも巨大すぎる。
「悪いね、剣を振るうのは僕じゃないんだ」
その言葉と共に分霊の声が響く。
「エレガントとは程遠い出来栄えですが、十分ですのー」
装甲が廃され、フレームだけとなった鉑帝竜が創造されし超硬装甲の刀身を持つ巨大剣を手にする。
それは風を切るようにして凄まじい衝撃波を伴って大地を這うようにして走る鷲獅子へと放たれ、その体をして大地にめり込ませるほどの一撃として浮遊大陸を激震させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
勇士には敬語
孔雀輪を使って【空中浮遊】【空中機動】で【空中戦】
穿てるものなら穿って見せろ、生半可な力で出来ると思うなよ
俺は騎士ではないからな、卑怯とでも何とでも言え
SPDで判定
【動物使い】で義眼と視界を共有したリンクアイをグリフォンナイトの死角へ移動させる
俺はその間は銀腕を【武器改造】で剣にした状態で敵の攻撃を【見切り】【ダッシュ】【早業】で回避
苦戦しているように【演技】し注意を俺に【おびき寄せ】
敵の攻撃の隙にUCを発動、藍の災い:圧壊【重量攻撃】で行動を阻害、そのまま剣となった銀腕を使い【怪力】【鎧無視攻撃】で【切断】する
巨大なる剣の一撃が『グリフォンナイト』を大地へと沈み込ませる。
浮遊大陸すらも震わせる一撃を持ってしてもオブリビオン化した『グリフォンナイト』を打倒するには未だ至らない。
これがオブリビオンという存在であるのならばこそであろう。
かつての清廉なる騎士もまた、外道そのものへと堕するのだ。堕するがゆえに得た力は、強大そのものであったのは皮肉以外の何者でもない。
「我等はまだ、まだおわらぬよ!」
打ち込まれた大地から這い出し、片翼隻眼の魔獣を駆り『グリフォンナイト』は手にしたグレイブを構え大地を疾駆する。
あらゆる防護すらも打ち破る突進能力。
それはどんな猟兵であっても防ぐことのできぬ一撃であったことだろう。
「我が槍の一撃が貴様たちを穿ち、我が主に必ずや栄光をもたらす! 退けッ!」
凄まじい突進の前に立つのは、ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)であった。
「穿てるものなら穿って見せろ、生半可な力で出来ると思うなよ」
彼は己を生者の盾と定義する存在である。
人々を守るためならば、己の体の傷など厭うことはない。
もしも生前の『グリフォンナイト』であれば、そんな生き方に共感し賛辞を送ったことであろうが、今の彼には悪辣なるオブリビオンとしての性質しか残っていない。
銀腕のメガリスを剣に変形させルイスは『グリフォンナイト』の突進をいなすようにして躱す。
だが、その突進は凄まじい威力で持ってルイスの骨身をきしませるのだ。
「くっ……!」
苦戦しているように見せかけるつもりであったが、演技する余裕すらない。それほどまでの相手であるとルイスは理解し、しかし為すべきことが変わらぬことを知る。
そう、どうあってもあの『グリフォンナイト』は打倒しなければならない。
そうしなければ、この戦いが終わらないのであれば、己の身一つで事が足りるのであれば、それをためらうことはないのだ。
「大口を叩いたが、どうした! 我の槍を受けて滅びよ、猟兵!」
放たれた一撃が銀の腕を貫きルイスの胴を貫く。
しかし、それでよかったのだ。
己を仕留めたと思わせるだけの一撃。それを受けた己の胴は、デッドマンであるがゆえに致命傷が致命傷には成り得ぬのだ。
「な、に……!? 何故、それで動く!?」
「生憎と俺はそういうものだからな――騎士でもなければ、なんでもない。ただの、そう、ただの盾だ――!」
輝くのはユーベルコード。
義眼の瞳が輝き、『グリフォンナイト』の背後へと回ったリンクアイが煌めく。
解するメガリスの力が発露し、それがユーベルコードの煌めきを放つのだ。
「悪いが『丸見え』だ」
不可視の狙撃手(リンクスナイパー)たるリンクアイより放たれる藍色の災いが、『グリフォンナイト』の体へと重くのしかかる。
凄まじい圧潰の力が『グリフォンナイト』を押しつぶし、その身に自由を奪う。
「だが、これしき!」
「凄まじいな……でも、卑怯とは言わないのは、感心するよ」
銀腕を剣に変え、己の膂力の全てを込めた一撃で持って『グリフォンナイト』の片腕を猟団せしめる。
「腕一本は貰う。それが胴に風穴開けられた礼だ――!」
その一撃を持ってルイスは己の役目を全うし、後に託すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
神代・凶津
(引き続き風神霊装を纏っている)
てめえらの好き勝手はここまでだぜッ!
「・・・雰囲気で分かります。さっきまで戦ってきた相手とは比べ物になりません。」
だが、勝つのは俺達だ。そうだろう、相棒ッ!
敵のグリフォンの飛んでくる軌道を見切りつつ縦横無尽に空を飛翔しながら薙刀で攻撃だ。
更に周りの風を操り、向かい風をぶつけてグリフォンのスピードを下げたり竜巻を発生させて動きを封じたりしてこっちのペースに持ち込んでやる。
敵がグレイヴから衝撃波を放つ動作をしたら結界霊符で防御するぜ。
結局『青い巨人』が何なのかは分からねえが後は追わせねえ。てめえはここで終いだッ!
【技能・空中戦、見切り、結界術】
【アドリブ歓迎】
銀の剣の一撃が『グリフォンナイト』の片腕をついに両断し、追い詰めていく。
片翼隻眼の魔獣『グリフォン』が嘶き、大地を疾走する。
己の主が数多の猟兵によって消耗していることがわかるのだろう。だからこそ、グリフォンは距離を取ろうと最早飛ぶことも難しい体でもって大地を疾駆するのだ。
「くっ……不覚。ここまで追い込まれるとはな。だがッ!」
未だその瞳にあるのは己の主に対する忠義そのもの。
不屈なる精神は生前であれば、清廉さと高潔さと相まって頼もしき騎士として勇名を馳せるものであったことだろ。
けれど、今は違う。
悪辣の徒と成り果てたがゆえに、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)は叫ぶのだ。
『てめえらの好き勝手はここまでだぜッ!』
「……雰囲気でわかります。さっきまで戦ってきた相手とは比べ物になりません」
相棒である桜は満身創痍である隻腕たる『グリフォンナイト』を前にしてもなお、油断することはなかった。
だが、退くわけにはいかないのだ。
彼女にも、相棒である凶津の胸にも、未だ正義の炎が燃え盛っているのだから。
『だが、勝つのは俺たちだ。そうだろう、相棒ッ!』
凶津の言葉と共に旋風を巻き起こす顕現せし風神霊装・二ノ型(ストームフォーム・ツー)によって二人は戦場を引き裂く疾風そのものと為る。
奇しくも互いに得物は薙刀。
打ち合う刃が剣戟の音を戦場に鳴り響かせ、しかして互いは一歩も譲らぬのだ。
「……人馬一体。確かに、そのとおり……」
「片腕を失ったとは言え、我と打ち合うか!」
衝撃波が互いの肉体をきしませる。しかし、凶津が周囲の風を操り、向かい風でもって『グリフォンナイト』にぶつけ、グレイブの斬撃の重さを軽減しているのだ。
竜巻を巻き起こし、距離を離しながら凶津たちは、こちらのペースに誘いこもうとするが、それでもなお、『グリフォンナイト』の凄まじき技量はこちらの意図を汲み取るかのように戦場を駆け抜けるのだ。
片翼を失い、その体もまた消耗しているがゆえに空を飛ぶことはできぬが大地を疾駆する姿は魔獣の中でもさらなる上位のもの。
「我等を邪魔立てするのであれば、容赦はせぬ!」
裂帛の気合と共に放たれたグレイブの斬撃、その衝撃波が桜を襲う。
しかし、手にした結界霊符が衝撃波を減じ、それらを切り裂く竜巻が『グリフォンナイト』へと至る道を一直線切り開くのだ。
『てめえはここで終いだッ!』
結局のところ、『青い巨人』がなんで在ったのかを知ることはできなかった。
けれど、それでも『グリフォンナイト』たちに、かの存在を追わせることはない。何故ならば、此処で必ず彼等を仕留めると凶津や桜、そして他の猟兵たちが集い、力を尽くしているからだ。
例え、己たちを出し抜いたとしても、他の猟兵が許すことはない。
ゆえに纏う風の力を一身に込め、神速の速度で持って走る斬撃の一撃が『グリフォンナイト』を袈裟懸けに切り捨て、残身を持って己たちの勝利を確信するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
(あれは…キャバリア? いえ、結論を出すのは早いですね)
青き巨人の確保を使命とすれど、その手を非道に染めるなら…
異界の騎士として、阻ませて頂きます
ロシナンテⅢに騎乗しての空中戦
ランスとグレイヴを幾度もぶつけ合い交錯
UCを起動し高速突撃…!?
躱した上に、噴射炎を乗騎に喰わせるとは…
お見事、やはり空の将を任ぜられる力をお持ちの様で
得物は同一、ならばジョストと参りましょうか
互いにバリアを展開しUC突撃開始
…矛盾の故事という訳ではありませんが
得物が同一ならば…
自身のUCを●ハッキングし推力移動とバリア強度限界突破
振るう者の理解と練度こそが明暗を分けるのです
相手バリア砕きランス毎刺し貫き
一つの推論が結論を意味付けするには未だ足りぬものであった。
けれど、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の電脳が告げるデータの数々を検証していけば、一つの推論が成り立つのだ。
屍人帝国『オーデュボン』が追っている『青い鎧の巨人』。
その特徴を鑑みるに、トリテレイアが導き出したのは――。
――『青い鎧の巨人』はキャバリアではないかという推論であった。
それが正しいのかどうかは未だわからない。そう結論づけるにはまだ早い。けれど、その名を『セラフィムV』と呼ばれ、類似するいくつかの単語を彼は別の世界で見聞きしている。
青い装甲。
騎士のような外観。
そのどれもが彼の推論を補強していくようでさえあったのだ。
すでに片翼片目を失った魔獣『グリフォン』を駆る忠義の騎士『グリフォンナイト』もまた隻腕へと成り果てながらも、袈裟懸けに切り裂かれた鎧から溢れる血潮を止めることはできないでいた。
「だが……我等は成し遂げてみせるのだ。我が主のため『セラフィムV』は必ず……!」
それが彼等の目的であるのならば、これを阻むのが猟兵である。
トリテレイアは機械飛竜『ロシナンテⅢ』を駆り、艦船強襲用超大型突撃機械槍(ロケットブースターランス・ウォーマシンカスタム)を構えた一撃を遥か上空から『グリフォンナイト』へと叩き込むのだ。
しかし、その一撃は大地を穿つばかりであった。
「……!?」
それは予想外の光景であった。
放たれたトリテレイアの一撃、そのほとばしる噴射炎を『グリフォン』の嘴がついばむようにして飲み込み、炎の翼として喪われた翼を補填せしめ、大地に縫い付けていた鷲獅子を空へと再び飛翔させしめたのだ。
「お見事、やはり空の将を任ぜられる力をお持ちのようで」
「世辞はいい、猟兵の機械騎士よ。我等は死力を尽くして忠義に奉じる身なればこそ。我等の忠節をもって、猟兵を打倒するために如何なることをもするが定め」
凄まじい重圧がトリテレイアのなかの騎士道精神を刺激する。
堕することがあれど、その身に宿した忠節は揺るがず。そして、それらが悪辣に染まることこそをトリテレイアは憂うのだ。
「ならば、ジョストと参りましょう」
互いに穂先から傘状のバリアを展開し、飛竜と鷲獅子が相対する。
上空にありて、その光景はまるで御伽噺のようでもあったことだろう。
「……矛盾の故事というわけでは有りませんが」
互いに得物は同一。
そして携える力も同じ。
ならばこそ、限界を超えた者こそが、この一騎打ちの勝者である。
アイセンサーが煌めき、『グリフォンナイト』と空中で激突する。
「――見事」
その言葉は果たしてどちらのものであったことだろうか。
同一の得物、同一の力。互いに限界を超えた一撃を繰り出した。その激突する力の奔流は凄まじく、戦場を揺るがす。
だが、戦いには必ず勝者と敗者が刻まれるものである。
ならば、最後の明暗を分けたのはなんであるか。
「振るう者の理解と練度こそが明暗を分けるのです」
トリテレイアの言葉と共に砕け散ったバリアを突き抜けて、ランスの一撃が『グリフォンナイト』の胴を貫く。
弛まぬ練度の果てにあるのが、この結末であるというのならば、トリテレイアはこれまで重ねてきた戦いの記憶を振り返るのだ。
歩んだ道程がなかったのならば、今まさに大地へと失墜していくのは己であった。
だからこそ、彼は機械飛竜の鞍の上で槍を掲げ、新たなる戦いの記憶を持って、『グリフォンナイト』の手向けと礼に変えるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
ふーん、なるほど
国を狙ったんじゃなくて、探し物の途中だった訳ね
まあ、その…残念でした
此処から先には行かせないよ
それとも…引くなら追わないけど?
そうもいかない…かな?
●
『オーラ防御』でシールドを展開
敵衝撃波に備えて少し距離を取ろう
そして【断章・不死鳥召喚〈超越進化〉】起動
109羽の不死鳥を召喚
グリフォンナイトを包囲させて、フェイントを交えながら順次突撃して翼で斬り割く!
斬り割き、蒼炎で『焼却』しながらダメージを重ねていこうか
悪いね、まともに戦う気は無いよ
安全な所からチクチクと削らせて貰うから
人型は実入りが悪いし、連戦でこっちも疲れてるしね
…乗ってるグリフォンの方は素材剥いだり出来ないかなあ
「ふーん、なるほど。国を狙ったんじゃなくて、捜し物の途中だった訳ね」
そうつぶやいたのは、月夜・玲(頂の探究者・f01605)であった。
最初から考えれば、確かに敵の動きは妙な挙動ばかりだった。
別働隊を動かしたり、正規軍と激突するにしても戦力を小出しにしたりと、腑に落ちないことばかりであった。
だが、それが捜し物の途中であったのであれば、全てに合点が行く。
「まあ、その……残念でした。此処から先には行かせないよ」
と言っても、と玲が見下ろすのは『グリフォンナイト』であった。
数多の猟兵たちに打ちのめされ隻眼片翼となった魔獣『グリフォン』の体は傷だらけであるし、乗騎とする主『グリフォンナイト』もまた片腕を失い、胴に風穴の如き一撃を受けてしまっている。
それでもなお存在し続けるのがオブリビオンとしての恐ろしさであり、裂帛の気合と共にグレイブを振るって衝撃波を解き放つ姿は、修羅そのものであった。
「いいや、我等は征く。我が主のために。我等の忠節こそが、猟兵すらも穿つのだと知らしめるのだ」
「退くのなら追わないけど、なんて聞くまでもなかったね」
シールドを展開した玲が衝撃波を受け流しながら、距離を取る。
あの衝撃波に触れた瞬間に体の自由を奪われるのであれば、あれだけの卓越した技量を持つ武人を前にしては致命的すぎると判断したのだ。
「ならさ、遠慮は要らないよね。――偽書・焔神起動。断章・不死鳥召喚の章、深層領域閲覧。システム起動」
その瞳がユーベルコードに輝き、断章・不死鳥召喚〈超越進化〉(フラグメント・フェニックスドライブ・エクステンド)によりて蒼炎で構成された不死鳥が全てを切り裂く蒼炎の翼を羽ばたかせる。
それは青空を蒼炎で覆うものである。
ぐるりと『グリフォンナイト』を取り囲む百を越える不死鳥の群れ。
「数にものを言わせるか……! 我が武を侮ったか!」
手にしたグレイブは片腕であっても、凄まじい威力を放つ。
衝撃波が蒼炎の不死鳥を薙ぎ払い、切り裂く翼さえも寄せ付けない。けれど、徐々に包囲を狭めていく不死鳥たちは、その名の由来通り滅びることなど知らぬように、切り裂かれる端から蒼炎でもって形を取り戻し、『グリフォンナイト』へと襲いかかるのだ。
「悪いね、まともに戦う気はないよ。安全なところからチクチクと削らせて貰うから」
玲にとって人型のオブリビオンはこのブルーアルカディアにとって実入りのよいものであない。
連戦に次ぐ連戦で玲もまた消耗しているのだ。だからこそ、この手でジリジリとすりつぶしていく。
だが、玲の商機を逃さぬ慧眼は『グリフォンナイト』が駆る魔獣『グリフォン』を見つめる。
めざといがすぎるのではないかと誰かがいいそうであるが、幸いなことに彼女を咎める者はこの場にはいなかったのである。
「……グリフォンの方は素材剥いだり出来ないかなぁ……いや、でももう部位破壊終わってるしなぁ……」
逆鱗龍玉天鱗。
いや、何を言っているんだと玲は頭を振る。
しかし、彼女は諦めきれないであろう。
あれだけ強力なオブリビオンとして顕現した魔獣グリフォンの心臓、その天使核はきっと巨大であろう。
レア素材と聞いては垂涎のものであることは言うまでもない。
したたかに玲は、それを狙いつつ、蒼炎の包囲網でもって『グリフォンナイト』をジリジリと圧殺せしめるのだった――。
大成功
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ルビィ・フォルティス
ようやくおでましですの?
待たせた分の埋め合わせは期待していましてよ。
空中で数合剣を交える
こちらの防御を抜けてくるようなグリフォンとの連携に思わず笑みが漏れる
自身の剣は未だ極みには至っていない
すなわち、まだ強くなれるということ
それを実感させてくれる強い相手と戦えることが楽しい
ごめんあそばせ。嬉しくてつい笑ってしまいましたわ。
だって強い相手でないと、わたくしも存分に剣を振るえませんもの。
最期までエスコートしてくださいませ?
都雅の剣舞を発動
グリフォンナイトの持つグレイブやグリフォンによる攻撃は武器で受けることはせず、空中でステップを踏み、舞うように躱しながら超高速の剣舞を放つ
蒼炎が『グリフォンナイト』を取り囲み、隻腕となった主をかばう片翼隻眼へと成り果てた魔獣『グリフォン』を消耗させ続けていた。
けれど、魔獣と騎士が一体となるからこそ、あらゆる地形による消耗も振り払い、あらゆる防護を貫く刃となって存在する『グリフォンナイト』は未だ忠義に燃える瞳の輝きを失せさせることはなかったのだ。
「その瞳の輝き。かつての清廉なる騎士であればこそ」
ルビィ・フォルティス(空の国の家出娘・f33967)は漸くにして姿を顕した敵将である『グリフォンナイト』の姿に、これまえの戦いがどれほどのものであったのかを知る。
数多の猟兵たちが傷を刻み、消耗させてきたのだ。
その結実がまさに目の前にある。随分と待たされたものであるが、だからこそ、追い込まれた武人が見せる境地をこそ彼女は求めたのだ。
「期待していましてよ」
「抜かせ、猟兵。我が忠義はこれしきで揺らぐことはない。覚悟するが良い。我を手負いと侮るは、即ち死であると――」
渾身の力を持って空へと舞う片翼の魔獣『グリフォン』を従え、ルビィと『グリフォンナイト』は空にて激突する。
数合打ち合っただけでわかるのだ。
叩きつけられる刃を受け止めれば、骨身が軋む。
どんなに防御を固めたとしても、その内側からさえも破壊せしめるような練達の一撃。
さらに流れるように人馬一体とも評される魔獣の追撃がルビィを容赦なく追い立てるのだ。
だが、それでもなお、ルビィは思わず笑みが漏れてしまうのだ。
「何を笑って――」
理解できぬ境地に目の前の猟兵がいることを『グリフォンナイト』は知るだろう。
「ふ、ふふ――」
こぼれた笑みのまま剣戟を躱す。
骨が、肉が、魂が軋む。それほどの打ち合いである。だが、それでも笑ってしまうのだ。
己の剣が未だ極みに至っていないことを自覚し、そして、それが即ちまだ強くなれるちうことを知らしめる。
それを実感させてくれる強者と今、剣を交えているという事実が。
「ごめんあそばせ。嬉しくて。つい笑ってしまいましたわ」
「窮地に在りて笑うか、猟兵」
「ええ、だって強い相手でないと、わたくしも存分に剣を振るえませんもの。最期までエスコートしてくださいませ?」
輝く瞳はユーベルコード。
都雅の剣舞(トガノケンブ)たる攻防一体の剣舞は、舞にして武。
放たれる剣の連撃は、超高速。
凄まじい剣風を巻き起こし、その風すらもステップを踏む足場でしかないのだ。
かわされる剣戟の音が減っていく。
打ち合うのではなく、速度で持ってルビィの剣戟が『グリフォンナイト』を上回り始めたのだ。
「エスコートに感謝を、かつての忠義の騎士」
貴方の存在を剣は忘れないであろうと、ルビィは超高速連続の剣戟の最期を彩る。
剣舞は最高潮に達すれば、後に残るは終幕。
ゆえに大輪の華を咲かせるようにルビィの剣戟は『グリフォンナイト』を斬り裂き、魔獣と共に霧散していく姿を振り払う。
一礼をするように剣を納めたルビィは艶やかに、そして優美そのものたる見るもの全てが見惚れるような所作でもって、天空の世界における序章を彩るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵