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蒼穹に時を追う

#ブルーアルカディア #募集期間は2月8日(火)8:31~11日(金)20:00まで #三章のみの参加も歓迎です

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#ブルーアルカディア
#募集期間は2月8日(火)8:31~11日(金)20:00まで
#三章のみの参加も歓迎です


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「あ……。ありま……した! あれ……です! ほら……骨の鳥!」
「見えないわ! あっち!? ガス爺、もっと右寄せて!」
「もうやっとるわい!! この……くそ嵐めが!」
 飛行艇は雷雲の中へと突入した。凄まじい風と雨。そして雷が吹き荒れる中を巨大な船は進んでいく。暴風であらゆるものが吹き飛ばされそうになる中、甲板に出ていた金髪の少女が指をさした。
「あー……ああ。見えた!」
 あいにくの嵐は向かい風。それに必死に逆らうように船は進んでいる。黒髪の少女が目をすがめて金髪の少女が指さす方向を見る。二人はよく似ていて、姉妹のようであった。
「飛空艇……? あれが飛空艇なの? ステラ」
「うん……うん。そう……。そうだよ、お姉ちゃん。見間違い……じゃ、ない……よ!」
「ミュカ! ステラ! 場所はもうわかった。いいから、手伝え!!」
「あ……。わ……、わか……った。ガス爺……!」
 老人の言葉に姉妹は慌てて声をあげる。
 嵐に気を取られる彼らは気付かない。
 必死にその飛行艇に向かう彼らの後ろに、鷲獅子の羽音が迫っていることを……。

「飛行機だって。……飛行艇?」
 リュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)の声は、若干弾んでいた。けれどもあくまでいつも通り、無表情で、真剣な顔で、一枚の絵を取り出す。
「とにかく、空飛ぶ機械。鳥とか、魔法とか、そういうんじゃなくて、空飛ぶ機械。この世界、ブルーアルカディアには欠かせないものなんだけど、あそこでは飛空艇っていうらしいね。ブルーアルカディアの「勇士」たちは、飛空艇を使って空を移動していろんな冒険をするんだ」
 そこには一つの巨大な飛空艇(ガレオン)の絵が描かれていた。見るものが見ればわかるだろう。これは相当に大きいタイプであると。
「で、この勇士たちが一つの飛空艇を見つけた。それがこれ。はぐれ飛空艇って呼ばれていて、誰もいない、なぜか持ち主のいなくなってしまった船らしいよ」
 聞く人が聞けば、幽霊船っていうとわかりやすいかもしれないね、とリュカは言葉を付け足す。
「中身は見つけた勇士たちのものなんだけれども、それも無事持ち帰ることができたら、って話。……その船を、オブリビオンが狙ってるから」
 オブリビオンはグリフォンと呼ばれる魔獣に乗り、嵐の中でも自在に行動して攻撃を仕掛けてくるらしい。
「敵は一体だけど……結構厄介だから。気を付けていってきてね」
 と。そこまで言って、リュカは神妙な顔をした。……それこそ、本題はここからだ、とでもいうように。
「で、そのオブリビオンですが、言った通り空を飛びます」
 つまり、自分たちも空を飛ぶ手段を用意しなければいけないのだが……、
「それで、この「はぐれ飛空艇」の内部に、小型戦闘飛行艇が搭載されてるのが分かったんだ」
 小型戦闘飛行艇は、一人もしくは二人用で、嵐の中もなんとか飛ぶことができ、一応使うかどうかは兎も角戦闘用の機銃も搭載されている。
「遠距離で戦う人はそれで射程範囲に接近して攻撃。近距離で戦う人はそれで突入してすれ違いざまに斬り結ぶ」
 そういう戦闘方法をとることができるとリュカは言う。
「戦いが終われば、もうそのままその小型飛行艇で空の旅を楽しむといいんじゃないかな。嵐を抜ければ、きれいなこの世界の空を飛行することができそうだよ」
 ゆっくりする時間ぐらいあると、リュカはほんの少し嬉しそうに言う。この様子だと、自分も飛行機をひたすら堪能することだろう。
「「はぐれ飛空艇」は見つけた人のものだけれども、彼女たちも危機から救われるんだし、喜んで飛行艇は貸し出してくれると思う。……それから、この空域では、「骨の鳥」と呼ばれる不思議な獣が出るらしいから」
 それがどういう鳥かはいってのお楽しみだけれども、楽しみにしているといい。なんてリュカはそんなことを言って、
「ブルーアルカディアの空も、楽しみだね」
 そう言って、話を締めくくった。


ふじもりみきや
いつもお世話になり、ありがとうございます。
ふじもりみきやです。
今回は空の旅!です。
内訳は
一章:冒険
二章:ボス戦
三章:日常
です。

物語のスタートは「はぐれ飛空艇」に乗り込んだところから。
一章で小型戦闘飛行艇に乗り込み、
二章でそれを使いながらボスと戦い、
三章で空の旅を楽しみます。
一章と二章は嵐で、三章は快晴となります。
なお、飛行艇に乗らず自力で飛行するという選択肢も可ではあります。

●小型戦闘飛行艇について
一人もしくは二人乗り。
大体現実世界では1920年ぐらいに使用されていたタイプのもの。
今の人から見ると結構レトロです。
二人乗りの場合は前の人が運転、後ろの人が武装を担当できます。
一人乗りも機銃を備えてはいますが、使わず己の攻撃で攻撃してくださってオッケーです。
嵐の中での飛行は相当ガッタガタです。
お友達とお誘いあわせの上参加の方は、二人乗りに一緒に乗ってもらうか、
違う期待の場合、
飛行艇に搭載された無線(めっちゃ雑音はいる)で会話をするか、
ものすごい大声を出すか、なんか通信能力を有したものを持ち込むか(アイテムとして持ってなくとも、これを使いますと書いてくれればオッケー)、なんか培われた勘と愛と勇気と友情の力でコンビネーションをするか、なんか考えてくださらないとうるさくて意思疎通が難しいです。
多少壊したり乱暴に扱っても大丈夫。

●操縦について
それなりにレクチャーを受ければ、戦闘に支障がない程度には動かすことができます。
上手く行かないかんとか、上手い感とかこだわりがある場合は指定してください。

●勇士について
気のいい三人組。彼らの船へ転移し、彼らの船がはぐれ飛空艇に接触したところから物語が始まります。
聞けば飛空艇の操縦等を教えてくれます。オブリビオンと戦う猟兵たちをとてもありがたい存在だと思っているので、猟兵たちをとても歓迎しています。気を使わなくとも大丈夫。

●骨の鳥
一章よりその辺を飛行しています。
戦闘では気を遣わずとも大丈夫。

●三名以上のご参加について
小型戦闘飛行艇は二人乗りが限界なので、どういう内訳にするかは決めておいてください。

●NPCについて
三章のみ、リュカが同行します。
といっても一人用の小型戦闘飛行艇に乗ってめっちゃ飛行機を乗り回す予定です
(機械とか乗り物とかとてもとても大好きです)
声をかけてくれると喜びますが、無理に構っていただかなくとも大丈夫です。

それでは、よい一日を。
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第1章 冒険 『はぐれ船との遭遇』

POW   :    はぐれ飛空艇内部を歩き回り、探索する

SPD   :    はぐれ飛空艇の周囲を警戒する

WIZ   :    はぐれ飛空艇の操縦室を調べてみる

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「こっちです、急いで!」
 黒髪の少女、ミュカが猟兵たちを案内する。
「あなた方が……いらっしゃって……嬉しい、です。私たちでは……とても……」
「ステラ、今はそういうの、いいから! 急いで!」
 泣きそうな声を出す金髪の少女、ステラに、ミュカはかぶせるように言う。同時に、船が大きな衝撃で揺れた。
「……っ、好き勝手してしてくれちゃって……!」
「このままでは……船が……バラバラになって……!」
 猟兵たちも、見なくともわかった。上空に飛んでいるオブリビオンが衝撃波を打ち付けてきたのだ。この大型飛空艇から対処できないのをいいことに、離れた場所から攻撃を撃ち続けて船を落とすつもりであろう。
「ええと……たぶん構造的にここ。入って!」
 衝撃波と嵐で絶え間なく揺れる船内を、姉妹は急いで案内する。ちょうど普通の船で言うと水に常時浸かっているところ。船倉とか船底とか呼ばれる区画。そのあたりに来ただろうかと、誰かは思った。狭い廊下を抜けて、部屋に入れば……、
「あった……!」
 ずらりと。
 小型の戦闘機が並んでいた。
 二人乗りもしくは一人乗りで、銃を兼ね備えた小型戦闘用飛空艇だ。
「ここを……回して開けたら……、空です……! すぐに飛び立てるので……! 乗り込み次第そのまま発進してください……!」
 壁にレバーがついている。それを回せば、壁がぱっくり開いて簡易の滑走路になり、そこからその小型飛空艇が飛び立てるのであろう。
「飛び立てば……とにかく前へ前へ……!」
「骨の鳥が戦闘区域まで案内してくれるわ!」
 二人の声に。あるいは嵐の音に。衝撃波で揺れる船内に。押されるように猟兵は飛空艇に飛び乗る。
 さあ……冒険の始まりだ。

●マスターより
 一章は、飛行艇に乗って、飛び立って、それから骨の鳥に導かれてオブリビオンを目指すところまでです。
 時々衝撃波が飛んでくるので、がんばってよけましょう(もしくは弾くとか何とかする)。
 POWとか選択肢は飾り。
 骨の鳥とは、文字通り骨の鳥です。あなた方が乗る小型飛行艇と同じぐらいの大きさで、オブリビオンとは敵対しているらしく、戦闘区域まで先導してくれるので、それを目指して飛んでください。
(飛行機めっちゃ操縦慣れてる人はなくても大丈夫だと思います)
 また、この章で敵に攻撃はできません。
 同時に、攻撃が当たっても墜落するとかそういう心配はありません。

●大事なこと
 MSは飛行機にめっちゃ詳しいわけではないので、判定もこう、雰囲気でしますし、細かいところはファンタジーです。めっちゃ拘りあっていろいろ気になる人は参加をお勧めしません。
 というわけで細かいことはフレーバー。楽しくどうぞ。

●スケジュール
 第一章プレイング募集期間は、
 1月24日(月)8:30~27日(木)20:00まで。
 また、今回無理ない範囲で書かせていただきますので、再送になる可能性がちょっと高いです。
 その際は、プレイングが返ってきたその日の23時までにプレイングを再送いただければ幸いです。
(それ以降でも、あいていたら投げてくださってかまいませんが、すべてを書き終わっている場合は、その時間をめどに返却を始めますので間に合わない可能性があります。ご了承ください)
 もしかしたら二回再送になるかもしれません(現時点で、どうなるかは不明です)。
 お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

●以降のスケジュール(目安)
 次の章に進んだときに、次の章のスケジュールを記載します。
(断章も一緒に書きたいですが、無理そうならとにかくスケジュールだけはお伝えします)
 おそらくは次の章に進んでから2~3日後に募集開始になると思います。
 目安にどうぞ。
城島・冬青
【橙翠】

ええー?!
私が飛空艇を操縦するんですかぁ!!
いや、説明は受けましたけどぉ
私にできるかな…
そりゃあ近接武器主体の私の方が操縦に専念してアヤネさんが射撃をしたほうが適任と言えば適任ですけどぉ…けどぉ…
でも墜落とかしちゃったら…!
いや、UCで飛べるけど
うにょうにょごにょごにょしてるものの
やばい
アヤネさんが譲らない…
今回は私に操縦させたいみたいだ
ううう、いつまでも甘えてるわけにはいかない…
やります!やりますとも!!
城島冬青、飛空艇だって動かせます
受け取ったマニュアルで再度操縦法を確認して…えーい!女は度胸!!
話しかけないで下さいね?
今は運転に集中してるんで!
話しかけたら心中コースですよ!!?


アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】

空を飛ぶ船なんてロマンがあるネ
ゆっくり見て回りたいけどそんな暇はなさそうだ

いつも僕が運転を担当しているからたまにはソヨゴが操縦してよ
ソヨゴが操縦して僕が銃で撃つ方が合理的でしょ?
まさかできないなんて言わないよね
とは口に出さず意味ありげに微笑む

はいこれはプリントアウト済みの資料
操縦マニュアルをソヨゴに渡す

万が一できなかったら僕が代わればいいと思っているけど黙っておこう
困ってる顔のソヨゴもかわいい

さて出発!
スリルのある空の旅の始まりだ
おやソヨゴ上手いじゃない
ちゃんと骨の鳥の後につけてる

必死でがんばってる様子もいいネ
じゃあ僕は邪魔しないように銃の手入れでもしよう

心中?
それも一興だネ
と笑いかけ



 城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)は、すでに泣きそうな顔をしていた!
「空を飛ぶ船なんてロマンがあるネ。ゆっくり見て回りたいけどそんな暇はなさそうだ」
 そんな冬青の後ろで、アヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)が変然とした声で言っていた。いつもは隣に立っているアヤネが、今日は後ろに座っている。それはなぜか。
「うええー?! 私が飛空艇を操縦するんですかぁ!! 本当に? 本当の本当に? これ冗談ではなく?」
 ……そう。
 飛空艇の運転席に座っているのは冬青であった。後ろでアヤネはすでに愛用の銃を持ち込んで、さてと戦闘の想定を始めている。泣きそうな冬青の声にも、
「言ったじゃない。いつも僕が運転を担当しているからたまにはソヨゴが操縦してよって。それに、ソヨゴが操縦して僕が銃で撃つ方が合理的でしょ?」
「いや、説明は受けましたけどぉ。私にできるかな……」
「往生際が悪いなあ。ほら、滑走路が開いたよ」
 すでに滑走路が広がり始めている。冬青は慌てて原動機を稼働させる。ぶぉん、という不穏な音は嵐の音に半ば吸収されていった。頭上のプロペラが、回る。
「大丈夫大丈夫」
「うぅ、ほほ笑みが怖い……」
「見えてないくせに」
「見えてなくてもわかるんです!」
 まさかできないなんて言わないよね。とは口にしなかった。代わりに浮かべたほほえみを、冬青はしっかり感じ取っていたらしい。
「そりゃあ近接武器主体の私の方が操縦に専念してアヤネさんが射撃をしたほうが適任と言えば適任ですけどぉ……けどぉ……」
 操縦桿を握りながら、それでも往生際悪く冬青はぶつぶつとつぶやいている。目は前方、嵐の中へ。
「はいこれはプリントアウト済みの資料」
「今渡さないでくださいよ貰いますけど!」
 操縦マニュアルをわきからにゅっと差し出したアヤネに、思わず冬青はそんなことを言いながらも受け取った。反射的に慌てて目を通す。今サラダがやれるべきことはやっておきたい。
「でも墜落とかしちゃったら……! いや、UCで飛べるけど……!」
 ああでもない、こうでもない。とマニュアルをしっかり読みながらつぶやくこと数分。
 その間アヤネは冬青の困り切った空気を楽しむこと数分。
(万が一できなかったら僕が代わればいいと思っているけど黙っておこう……。困ってる顔のソヨゴもかわいいし……。うなってるところもかわいいし……。知恵熱出しそうなところもかわいいし……。大丈夫知恵熱が出たら看病するから)
「やばい。アヤネさんが譲らない……!」
 何やら嵐なのに生暖かい気配がする。それで冬青はようやく現実を受け入れる。今回は私に操縦させたいみたいだ……と。
「ううう、いつまでも甘えてるわけにはいかない……」
「いや、甘える時は全力で甘えてくれてもいいけどネ?」
「やります! やりますとも!! 城島冬青、飛空艇だって動かせます!!」
 混ぜ返すようで、どこか本気なアヤネの言葉にパンと冬青は両手をたたいた。それでアヤネも指を鳴らす。
「えーい! 女は度胸!!」
「あはははは。さすがソヨゴ! さて出発! スリルのある空の旅の始まりだ!!」
 その、音は嵐の中でやけに大きく響いて、
 そうして、二人は旅立つのであった。

「うわ……うわわああああああああ……っ!」
 船から飛び立つともう空だ。雨粒が二人に向かって振ってきて、雷の音が鳴っている。
 隣に気配を感じる。冬青が顔を横にすると、巨大な鳥が見えた。……骨だ。骨しかない鳥が、飛んでいる。
「おやソヨゴ上手いじゃない。ちゃんと骨の鳥の後につけてる」
「話しかけないで下さいね? 今は運転に集中してるんで!
 鳥が導いてくれる。けれども嵐の中、真っ白い鳥の骨を探して並走するのはそれだけで神経を使った。冬青は必死の形相で顔をあげる。飛行艇は鈍い音を立てながら、上へ、上へ、上へ……、
「ちょっと、なんでぶべべべべとか言うんですか……!」
「飛行音に文句をつけてもしょうがないじゃない。でも、必死でがんばってる様子もいいネ」
「だから! 話しかけたら心中コースですよ!!?」
「心中? それも一興だネ」
 冗談めかして言ったのに、返事は冬青からかえってこなかった。必死で上昇していく期待に、アヤネは微笑む。
「……じゃあ僕は邪魔しないように銃の手入れでもしようかな」
 それでも、心配はしていない。あるいは本当に、心中できるならいいと思っているのだろうか。アヤネはのんびり行って空を見上げる。雨粒が二人に向かって飛び込んできて、
「ああ……。きっとこの雲の向こう側は、晴れだねえ」
 雲を抜けた向こう側には、きっと青空が広がっている。それを二人で見たいね、なんてのんきなことを言うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
へぇ~、これがミニ飛行艇かぁ
渋いけどなかなか格好いいね
と言って、小型戦闘飛行艇の運転席に梓をグイッと押し込む
そして自分も後ろに乗り込む

さぁーて、楽しい空の旅の始まりだよ
せっかくこんなにイケてる飛行艇があるのに
乗らないだなんて勿体ないじゃん
やっぱりここはロマンとスリルを追い求めていかないとね
梓が運転側なのはホラ、その方がよりスリルがありそうだし
というわけで、出発しんこーう

梓が運転を頑張ってくれるから、俺はしっかり周囲を見渡して
衝撃波の飛んでくる方向を読みながら
どっちに飛んでいけばいいか梓に教えてあげよう
梓、右に舵を切って…あ、ごめん今の無し、やっぱり左


乱獅子・梓
【不死蝶】
慣れない小型戦闘飛行艇を無理に運転するよりも
俺の場合は焔に乗って飛行した方が安定するだろう
綾には零を貸してやればいいか

……と思っていたのに
何故俺は小型戦闘飛行艇の運転席に乗せられているのか??
何故綾は後ろでテンション上がっているのか??
そうだ、最近すっかり丸くなってて忘れていたが
こいつは生きるか死ぬかのスリル満点の戦い大好き野郎だった…!
おい!百歩譲ってお前が運転席に座れと……あーっ!!
(無慈悲にも出発

クッ、こんなことなら真面目にレクチャー受けておくんだった!
ヒィヒィ言いながらやっとの思いで骨の鳥についていく
綾の言う通りスリル満点の旅だよチクショウ
ちょっ、急に指示を変えるなー!!



 乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は思った。
「慣れない小型戦闘飛行艇を無理に運転するよりも、俺の場合は焔に乗って飛行した方が安定するだろう……」
 と。飛行艇を案内していた少女もそうね、とうなずいて、
「慣れた飛行手段があるなら、それに越したことはないわ。なんたって外は嵐だし。この世界じゃ落ちたら死ぬんだし、無理はしない方がいいもの。嵐も無茶苦茶厳しい、戦闘も大変だしね!」
「だよなー」
 なんて呑気な話をしていたのだ、梓は。
 だったら説明はいいわね、といわれて、もちろん、と答えたのだ。梓は。
 そしてそれを聞いていたはずなのだ。灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は!!
「綾には零を貸してやればいいか」
 なんてこぼす梓。なんだかんだ言って面倒見はいいのだ。そうしてプランを立てて、うん、と大きく息をついて……、

「へぇ~、これがミニ飛行艇かぁ。渋いけどなかなか格好いいね」
「!?!?!?」
「あ。梓は前ね。俺は後ろ。さぁーて、楽しい空の旅の始まりだよ」
 梓は今、飛行艇の中へと乗り込んでいた!
 すでに原動機は回っている。最早今まさにでも飛び立とうとしている。
「あ。梓そこのスイッチおして」
「お、おう」
 ぽちっ。
「あ……。動き出した」
「うんうん。きちんと動くみたいだねぇ」
 ゆっくりと滑るように動き出す飛行艇。
「……」
「……」
 一瞬の、沈黙。
「……それで、何故俺は小型戦闘飛行艇の運転席に乗せられているのか??」
 何故綾は後ろでテンション上がっているのか?? 
 徐々に徐々に滑り出す飛行艇を前に、思わず、梓は肩越しに振り返った。
「せっかくこんなにイケてる飛行艇があるのに、乗らないだなんて勿体ないじゃん。やっぱりここはロマンとスリルを追い求めていかないとね」
 綾はびしっ! と、親指を立てた。
「!?!?!?」
 そのどや顔に梓は一瞬、呼吸を忘れる。むしろ生きることを忘れそうになったが一瞬で帰ってくる。走馬燈というものは死の瞬間に流れるらしいが一瞬で梓の視界に去来する様々な思い出。主夫出す。思い出してしまう。冒険の数々。そう……、
(そうだ、最近すっかり丸くなってて忘れていたが、こいつは生きるか死ぬかのスリル満点の戦い大好き野郎だった……!)
 がたぁっ! と思わず立ち上がりかける。車体が揺れる。なんかよくわからない骨のようなものに頭を続ける。
「おい! ちょ、ま、止まれ。止まって、ストップ……!」
「あはははははは。梓混乱しすぎー」
 無情にも飛行機は徐々に速度をあげている。このままだと本当に飛び立ってしまう。泣きたい。泣きそう、もはやなく。怪しげなボタンを押した瞬間、ばっ!! 背後で爆発音がしてスピードがぐんっ。と上がった。転びそうになりながら梓は席に着いた。
「ほら、シートベルト。シートベルト」
「百歩譲ってお前が運転席に座れと……あーっ!!」
 呑気な綾の言葉に梓がそんなことを言い返した時。
「梓が運転側なのはホラ、その方がよりスリルがありそうだし……。というわけで、出発しんこーう!」
 本格的にスピードは上がり、そしてまっすぐに飛行機は嵐の中へと飛び出した。

『なんたって外は嵐だし。この世界じゃ落ちたら死ぬんだし、無理はしない方がいいもの。嵐も無茶苦茶厳しい、戦闘も大変だしね!』
 先ほどの戦闘が頭の中を具るんぐるん回っている。必死で梓は操縦桿を握りしめる。とにかく右に曲がりたければ右だ。左に曲がりたければ左だ。何を当たり前のことを言っているんだ。帰還する手段が知りたい。
「あ。ほらほら。本当にこの鳥、骨だよ~」
 なんとも言えない思考をぐるぐる巡らせる梓に全くお構いなしな綾は上空を指さす。彼らの少し上に、本当に骨でできた鳥が飛行していた。UDCの博物館で恐竜の化石を見たなら、それが本当に飛んでいる、と思うかもしれない。
 そんな男子が心ときめきそうなシチュエーションだが、梓はそれどころではなかった。
「クッ、こんなことなら真面目にレクチャー受けておくんだった! 鳥……! すまない。もう少し待っていてくれ……!」
 右へ左へ。のたのたしながらついていく梓の飛行艇に、骨の鳥は見守るように少し先を言って進んでいる。別に待ってくれているかどうかはわからないのだけれども、梓はありがたい、と心の中で感謝する。
「がんばれ梓ー!」
「うるさい!!」
 呑気に綾は骨を追いながら上空を見上げる。嵐の中船は揺れて、雨も降りこんでくる。雨粒を顔に当てながら、梓は目をすがめる。
「梓、右に舵を切って……あ、ごめん今の無し、やっぱり左」
「ちょっ、急に指示を変えるなー!!」
 ぐわん、ぐわん、と左右に急旋回。嵐に煽られて一瞬、機体が押し下がる。
「ひっ!! 下がった!」
「大丈夫。そのままそのま……あ、ごめんやっぱり急上昇」
「ちょっともぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 必死の思いで期待をあげる。機体をあげた瞬間、紙一重で足元あたりに衝撃が来た。……衝撃波が掠ったのだ。冗談を言いながら、綾はずっと、上空で敵の攻撃を警戒している。
「ふっふっふ。楽しいね~」
「楽しくない!! スリル満点の旅だよチクショウ」
 どこから飛んでくるのかわかりづらい攻撃に、ままならぬ機体。歓声を上げる綾に、梓は苦虫をかみつぶしたように答える。
 空は遠く。もうしばらく梓の苦労は続きそうだが、
 綾が楽しそうな声をあげていることだけが唯一の幸い……では、ないだろうけれども幸いなのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
ん-いきなり大ピンチ?
こんな嵐で大変なのはわかるけども、まずは落ち着いてできる事からやってこうか。

この戦闘機に乗ればいいんだね、了解。
経験?キマフューの古いゲームで似たのやった位。
勇士三人組に操縦の概要聞いて嵐での動かし方を学んでみる。
こんな滅茶苦茶なフライト説明書とかないだろうし現地の人に聞くのが多分一番。
お礼は忘れず、さあ出発。きっと何とかなる精神で全速前進!
…流石に振り回されそうになるね!
だけどここでミスれば空の藻屑、野生の勘とか操縦技術諸々使って態勢立て直し…衝撃波来た!?
まともに受ける訳とやばいしUCで空シャチ召喚、近く飛んで貰いいざという時は盾になって貰うね。

※アドリブ絡み等お任せ



 ごうごうと風が鳴っていて、雨粒が開いた滑走路から巨大な飛空艇の内側にも振り込んできていた。
「ん-いきなり大ピンチ?」
 雷も鳴っている。というか先ほどから船体が激しく揺れている。うん、どこからどう見ても大ピンチだと、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)はうなずいた。
「こんな嵐で大変なのはわかるけども……、まずは落ち着いてできる事からやってこうか」
 深呼吸を一つ。それからヴィクトルは顔をあげると、今にも吹き飛ばされそうな小型の飛行艇を見る。
「この戦闘機に乗ればいいんだね、了解。操縦の仕方、教えてくれる?」
 まるでUDCの映画に出てきそうだとヴィクトルは思った。思いながらもヴィクトルが尋ねると、一通り勇士たちは基本的なことを教えていく。
「飛行機……乗ったこと……ありますか……?」
「経験? キマフューの古いゲームで似たのやった位」
「き……ま……?」
 ちょっと良くわかんないけど、初心者であることはわかった。と、少女がうなずいて一から丁寧にやり方を教えてくれる。
「なるほどなるほど。……最後にコツみたいなもの、ある?」
 こんな滅茶苦茶なフライト説明書とかないだろうし現地の人に聞くのが多分一番。と、最後にお礼を言った後で聞いたヴィクトルに、少女は少し考えた後、
「コツは……運とお祈りです」
 まさかのお祈りゲーだった。とまではいなかったがちょっと顔には出ていたかもしれなかった。

 空は嵐で飛び立った機体はガタガタしていた。飛行には十分耐えうるということなので、気にせずヴィクトルは期待を上昇させていく。
「さあ……きっと何とかなる精神で全速前進! 出発だ!」
 雷が下りるし、雨粒は当たる。それでも嵐の中ヴィクトルは上へと飛んだ。上へ上へと……、
「っと。……流石に振り回されそうになるね!」
 時折期待が大きく揺れる。一瞬、隣を行く巨大な何かにぶつかりそうになってヴィクトルは声をかけて隣を見た。それが骨だと気づいて、
「うわ……」
 思わず沈黙した。隣にいたのは骨だった。スッカスカの翼は風や雨を須藤資しているが、どういうわけ過去の嵐の中、迷うことなく飛行している。
『……っと、ここでミスれば空の藻屑……!」
 意識がそれた瞬間、機体が揺れた。慌てて立て直すその間に、毛コノハ先行していく。
「着いていけばいいんだね~……って、ま、なんか来た!」
 ぎりぎりを通過する衝撃波に悲鳴が上がり、ヴィクトルもまた一緒に悲鳴を上げる。慌てて立て直しながら、ヴィクトルは上へ上へと向かう。
「ごめん、ちょっと近く飛んでて……!」
 慌ててヴィクトルは空シャチを召喚した。機体が落ちれば元も子もない。いざとなれば盾にする所存である。
 空シャチと、力強く飛行する鳥に守られるように、ヴィクトルは何とかして空へと上がる。その不思議な更新を楽しむ余裕はないけれど……、
「これ終わったら、絶対堪能してやる……!」
 がたがたいう期待を前に、ヴィクトルはそう、心に誓うのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
はぐれ飛空艇か
空飛ぶ幽霊船は浪漫があるね
絵本の題材にもぴったり
それはそれとして…

実を言うと僕は
動物以外の乗り物の操縦がまるで駄目だ
どこを押すとどこがどうなるか覚えられない
万が一覚えても不注意でミスをする
だから地球の運転免許も敢えて取っていない
決して面倒な訳じゃないんだ
そんな僕に運転しろとは…正気かな
まあいいか面白そうだし

と言う訳で…乗るよ
死を覚悟して…
骨の鳥くんは冥界への案内人のよう
洒落にならないな

操縦より鳥くんの方が気になって
つい話しかけてしまうよ
名前はなんて言うの?
普段なに食べてるの?
オブリビオンってどんなの?
ふふ、可愛いなあ

衝撃波は…
適当に何かをがちゃがちゃすれば
避けられるんじゃない
多分



 鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)は今……、
「はぐれ飛空艇か……。空飛ぶ幽霊船は浪漫があるね」
 風を感じていた……!
 外は嵐であった。飛行艇には一応屋根があるがそんなものはあって泣き雅語時だった。ざあっと雨粒が入り込んでくる。全身が濡れる。ぶわっさぁ。と黒いマントでも羽織っていたら座席から飛び出して風になびいたかもしれない。
 視界の先には、美しい鳥。鳥というよりは、UDCの博物館で見た翼持つ恐竜に近い何かが空を飛んでいる。……うん、
「幻想的で、絵本の題材にもぴったりだね」
 なんというシチュエーションだろう。章は自分で自分に納得したような顔をしている。顔をしてから……、
「それはそれとして……」
 この、のっぴきならない状況に、自分で自分に突っ込みを入れることにした。
「わかるかな、鳥くん。実を言うと僕は……動物以外の乗り物の操縦がまるで駄目だ」
 ぶぉん。と。
 答えるように大きく期待が下がった気がした。
「わ……。落ちる落ちる。上昇するときはどうするんだっけ。これ?」
 どれだっけ。覚えてない。ちゃんと聞いたはずなのに。メモも取ったはずなのに。でもメモを見ることを思い出せないならメモを取ることは無意味だよね。と、メモを取りながら思ったところまでは確かに思ったのに、やっぱり章はメモを確認せずに……、
「これだったかな?」
 うろ覚えで怪しいボタンを押すのであった。
「うわ……」
 ぶしゅう、と怪しげな音がして再び減速する。減速=墜落だ。
「いや……いや待って。こういう時こそ人間の力を生かすべき。そう、風を読むことは勇士の人も大事だって言ってたし……空気が読めるなら多分読める」
 きりっ。
 としても見るものは骨の鳥しかいない。骨の鳥は無言である。そもそも発声器官があるのかすら怪しい、スカスカの翼で章の隣を飛んでいる。
 そもそもつまりは章にとって機械類は、どこを押すとどこがどうなるか覚えられない。万が一覚えても不注意でミスをする。そんな生き物よりも面倒くさいものなのである。
 だから地球の運転免許も敢えて取っていない。とまた真面目な顔をして言うと、「取れないの間違いじゃなく?」と突っ込まれたような気がするが、「決して面倒な訳じゃないんだ」というわけのわからない理由で乗り切った記憶も……あったかもしれない。
 と、そういう章に運転しろというとき、思わず章は正気かな、と心の中でつぶやいたし。
「まあいいか面白そうだし」
 と。心の声を口には出さず、飛行艇に乗り込んだのも、章であった。

「……うん。死を覚悟すればこれもなかなかいい乗り物だね」
 気が向けば硬化する。がたがた揺れる。とりあえず脱出ボタンだけは覚えておこうと思ったのだ。押したらパラシュートが開くあれ。けれどもそれのボタンも何だったかはもう忘れた。
「骨の鳥くんは冥界への案内人のよう……。洒落にならないな。ねえ。そうでしょう?」
 そんなわけのわからない状況であるのに、根気強く骨の鳥は付き合ってくれる。無表情なので何を考えているのかわからないが。
「それはそれとして名前はなんて言うの? 普段なに食べてるの?」
 返事はない。返事はなくとも根気強く章もまた語り掛ける。上がったり下がったり。急にスピードが速まったり遅れたり。する章の機体を、鳥は一定の距離を保って少し前を飛んでいる。
「オブリビオンってどんなの? ふふ、可愛いなあ」
 ちらり。と。
 骨の首がほんの少し動いた気がした。章の方へ。
「あ。呆れてる?」
 なんとなくその動きだけでそう判断したりした……ところで、
「わ!?」
 骨の鳥が急旋回した。急に章の機体から離れていく。
 思わず、章も体を傾けた。適当にレバーを引っ張ると、飛空艇もまた、鳥の骨を追いかける。
「……っ」
 ぶんっ。と。先ほど章がいたところに何かが通過した。
「わ……。衝撃波? すごいねえ鳥くん、わかるんだ」
 鳥は答えない。けれども章は鳥を追いかける。
 野津忽しながらも、適度に離れた所で待っている鳥に対して……、
「ねえ、名前がないならつけていいかな?」
 最後までそんなことを言いながら……。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『グリフォンナイト』

POW   :    グリフォンスパイク
自身の【グリフォン】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[グリフォン]から何度でも発動できる。
SPD   :    鷲獅子の主
【グリフォン】を操縦中、自身と[グリフォン]は地形からの激突ダメージを受けず、攻撃時に敵のあらゆる防護を無視する。
WIZ   :    ソニックグレイヴ
【グレイヴ】から【衝撃波】を放ち、【全身に走る痺れ】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 雷鳴が轟いている。 
 それは空を飛ぶ獣に乗り、猟兵たちを待っていた。
「……人は、なぜ」
 男とも女ともとれぬ声は、嵐の中だというのに妙に力強く響く。
「空を飛ぶのか。嵐の中を。帰れる保証もなく。何かをつかめる保証もなく」
 騎士は言う。不思議だと。その声音には、ほんの少し悲しみが混じっていた。
「落ちれば死ぬだけなのに。その航路は、すべて消えていくだけなのに。……ならば」
 連れていきましょう、とそれは歌った。
 そのすべてを、骸の海が救いましょうとそんなことを言って、

 雷が鳴る。闘いが始まる。
 嵐の中、グリフォンが大きくその羽をはばたかせた。

●マスターより
プレイング募集期間は、2月1日(火)8:31~4日(金)20:00まで。
二章からの参加も歓迎いたします。
戦闘は大体ノリとフィーリング。飛行艇で近寄って切り伏せるも、遠距離から狙撃するのもお好きなように楽しんでください!
鵜飼・章
名前か
一度はフタバスズキリュウみたいに
未知の生物に自分の名をつけてみたい
その路線ならやはりウカイホネドリ…
どう?
待って何か来た

哲学的なグリフォンだ
前にA&Wで見た子とは大分違うね
生物多様性を感じるよ

しまった…
読心術で敵の動きが読めても
操縦できないから避けようがない
やっぱり僕死ぬのかな
時間稼ぎに対話を試みよう

そうだね…人間はきっと
飛びたかったんじゃない
「飛ばざるをえなかった」んだ
文明という生き物が進化する時
ヒトは必ず異次元へ飛翔する
海と空と宇宙の次は何だろう
僕らはずっと気になっている

勇敢な飛行士達も死神を恐れたが
散れば英雄になると知ってもいたよ
僕らの運命はどうかな
コインでも投げて決めようか(UC



 骨の鳥は猟兵たちを先行していたが……不意に、それが上昇した。
「おや……?」
 不思議そうに首をかしげる章。しかしながら理由はわからない。わからないなあ。なんて思っていたら……、先ほどの鳥とのやり取りを思い出した。
「名前か……」
 一度はフタバスズキリュウみたいに未知の生物に自分の名をつけてみたい。
 そういう欲求が、章にもないわけではなかった。
「その路線ならやはりウカイホネドリ……。いや、ホネウカイドリのほうが語呂がいいかな? どう? どっちがいい……と」
 と。
 いいかけて。
「待って何か来た」
 章は目の前に敵がいるのに気づいた。
 骨の鳥は彼らの少し上空を旋回している。
 邪魔するつもりはないが、手助けもしない。そういうことだろうか。
 そういうものだろう……。と、章は納得した。
「わかる。動物たちってそういうことするよね」
 なんか強そうだけれども導くだけ導いて丸投げとかいかにもありそうだ。なんて納得していると、くるりと旋回する鳥のスピードがちょっと上がった気がした。
 はよせえ。といわれてるのかもしれない。よくわからない。
「……来たか」
 一方グリフォンに乗る騎士は、ゆっくりと章に視線をやる。
「おとなしく、島に足のついた生活をしていればいいものを……」
「……」
 哲学的なグリフォンだ。
 喉元まで出かかったセリフを章は飲み込んだ。いや哲学なのは乗りてであってグリフォンではない。口に出してしまうといろいろ台無しだ。……が、
「前にA&Wで見た子とは大分違うね。生物多様性を感じるよ」
 やっぱり耐え切れずにグリフォンに語り掛けた。基本、人間より動物昆虫のほうが好きだ。
「……」
 ぶんっ! と。衝撃波が真正面から放たれる。慌てて章はそれをよけよう……として、船底のほうに掠った。
「わ……っ!」
 衝撃が全体に来る。そして揺れる。なんだか怪しげな音とともにガタン! と飛行艇の高度が下がる。
「しまった……! 僕は敵の動きが読めても操縦できないから避けようがない……!」
 待って待って。と慌てて後退しようとする章。しかしながら期待はガタガタ言いながらなぜか前進していく。まっすぐ突っ込んでいく飛行艇に、やっぱり僕死ぬのかな。なんて思考が頭をよぎりながら、
「そうだね……人間はきっと飛びたかったんじゃない。「飛ばざるをえなかった」んだ」
 抵抗を続けることにした。すなわち、相手の問いに答えることである。なるだけ冷静を装って、後退したいのに前進しているというのを隠してあえて前進している風に装いながら章は機体を駆る。
「文明という生き物が進化する時、ヒトは必ず異次元へ飛翔する」
「そこからしておかしい。ヒトが飛翔する必要がどこにある」
「それは……」
 章の問いかけに答えがあった。自分で言っておいて、章は少し、驚きで目を見張る。それから、
「そうしなければいけないくらい、欲深いからじゃないかな。陸地を食い尽くせば海を、海を食い尽くせば空を。空も食い尽くせば宇宙を」
 決してとどまることはないと。ほんの少し皮肉そうな声音を交えて章は言う。
「海と空と宇宙の次は何だろう。……僕らはずっと気になっている」
 そう言って。すれ違いざま。
 章はコインを投げた。
「勇敢な飛行士達も死神を恐れたが、散れば英雄になると知ってもいたよ。……僕らの運命はどうかな。コインでも投げて決めようか」
「!」
 コインはグリフォンの胴に張り付いた。それは不運をもたらすものである。すれ違いざまに放たれたコイン。そのまま章は何とか期待を旋回させた。……かっこよく旋回できたと、思う。
「さて、待ち人がいるんだ……手早く片づけたいところ」
 待ち人の鳥が頭上で旋回しているのを横目で見やって。
 得意げに章は笑うのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城島・冬青
【橙翠】

ひえぇ
敵が出ちゃいました
やっと真っ直ぐ飛ぶのに慣れてきたってところなのにー

いやー!乱暴しないでっ(テンパりながら回避)
四方から飛んでくる容赦ない攻撃に飛空艇がいつ被弾してもおかしくない状態
もう無理ー!
アヤネさん
どうして楽しそうなんですかぁ!?
すみません
後で何でもお願いききますから操縦変わって下さい!
返事を聞く前にアヤネさんを前の運転席に押し込…いえ移動させる

やはり適材適所です
運転席から立ち上がり近付いてきたグリフォンにマヒ攻撃を喰らわせる
傷を受けたらUC焙烙の刑で反撃!
コウモリを纏わりつかせる

は?私のUCを真似できるとかずるくないです?
衝撃波でコウモリを弾き飛ばし飛空艇をガードします


アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】

僕が想像していたより小さくて速い相手だネ
大物なら大型ライフルで止めを刺そうと思っていたけど予定変更
武装はアサルトライフルを選択
攻撃はソヨゴに任せた方が良いだろうか?
いや
楽しそうに操縦してるしもうしばらく様子を見よう
いいネ!その調子!

攻撃されているけどこちらの的も小さいし当たらないでしょ
やられないように牽制の射撃をしておけば大丈夫

え?今なんでもって言った?
めっちゃいい笑顔で
OK代ろうじゃないか
ってうわあ乱暴だなあ

遠距離じゃ致命傷は与えられないし
接近戦に持ち込むけどソヨゴの準備はOK?

操縦桿を触手で固定して両手でライフルを構え牽制射撃
これだけ近づけば相手のグレイヴを使わせないように撃てる



「ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 冬青のか細い悲鳴は嵐にかき消される。アヤネはしっかり聞いていたのだけれど。
「敵が出ちゃいました! やっと真っ直ぐ飛ぶのに慣れてきたってところなのにーっ!! いつの間にか鳥さんもいなくなってるし!!」
「ソヨゴソヨゴ落ち着いて。それ、それ動かしても出ないから」
 反射的に操縦桿をガチャガチャさせる冬青。
「きー! 何でビームくらいでないんですか!」
「待って待って今準備してるから」
「いやー! 乱暴しないでっ」
 冬青の訴えもむなしくグリフォンに乗る騎士から衝撃波が放たれる。それを操縦桿を握って右へ、左へほとんど泣きそうになりながら冬青は回避する。
「ぎゃー!! 後ろからもきたー! 無理無理無理無理もう無理です。あっちこっちから飛んできます! 冬青おります。おーりーまーすー!!」
 もう無理ー! と騒ぐ冬青。腹の底から出している声はとても大きい。それはもう、この嵐の音すらかき消してしまいそうなくらい。
「いや、楽しそうにしてるねぇ」
「はぁ!? アヤネさんは私の何を知ってるっていうんですか!」
「うーん……全部?」
「今は、そういう話してるんじゃありませーん!!」
 ノリが悪いなあ。なんてアヤネは笑いながらも素早く武装を整える。想定していたよりも小さくて、そして早い相手だったからだ。大型ライフルから武装をアサルトライフルに変更する。
(攻撃はソヨゴに任せた方がいいかなあって思ってたけど……)
 涙目になりながら必死で攻撃を避ける冬青はちょっとかわい……いや、何でもない。
(楽しそうに操縦してるし……なんて言ったら怒られてしまいそうだけれども)
「いいネ! その調子!」
「アヤネさん! どうして楽しそうなんですかぁ!?」
 思わず紙一重、機体をぎりぎり真横にすることで回避した攻撃に、思わずアヤネが拍手を送る。悲鳴じみた声を冬青は発した後、ふと、
「すみません後で何でもお願いききますから操縦変わって下さい!」
「攻撃されているけどこちらの的も小さいし当たらないでしょ。やられないように牽制の射撃をしておけば大丈夫……え」
 振り返って真顔になった。すっごい真顔だった。真面目な顔をしていた。そのまま唐突に動き出した。素早い動きでアヤネを引っ張る。
「ねえ、え? 今なんでもって言った? 何でもっていった?? ってうわあ乱暴だなあ」
 聞き返す間に操縦席に押し込められる。冬青はもう返事も聞いちゃいなかった。ぐいぐいぐいばりばりばり。素早い動きで前と後ろを後退する。飛行機がむっちゃ高度下がって揺れる。危ない。が、冬青の目は最早どこかうつろであった。
「……OK代ろうじゃないか」
 その時、アヤネはめっちゃいい笑顔をしていたという……。
「やはり適材適所です」
 自分がいったいどれほど重大なことを言ってしまったのか。わからない冬青は後部席についてほっと一息。額の汗をぬぐう。
 それをちらりとアヤネは見やって、
「遠距離じゃ致命傷は与えられないし、接近戦に持ち込むけどソヨゴの準備はOK?」
 とりあえず今は報酬のためにしっかり仕事をしよう。と即座に飛行艇の安定を取り戻させる。高度を上昇し、狙うは一直線敵の正面だ。
「はい、お任せください! そういうのを待ってたんです!」
 がばちょっ。と即座に復活した冬青が席から身を乗り出す。そのまま花髑髏を構えた。やる気満々の冬青に口の端をあげて、アヤネも機体を傾ける。
「アヤネさん!」
「うん! これだけ近づけば相手のグレイヴを使わせないように撃てる!」
 あとは突っ込むだけとアヤネも操縦桿を固定して、一気に手にしていたアサルトライフルを撃ち込んだ。
 そう来るか……!
 銃弾の飴をひとまず避けず、ほぼ己の横すれすれを通る機体に騎士もまた己の獲物を傾ける。すれ違うその一瞬、冬青の花髑髏と敵の槍、刃と刃が交錯した。
「……っ! これで終わりじゃないですよ! 悪いけど、その獣さんに刺さってください!」
 双方傷を負う。ぱっと地を散らした冬青の血液が、炎を放つ蝙蝠の群れへと変化した。それはアヤネのライフルとともにグリフォンへと突き刺さる。
 ……が、敵もさること、
「は? 私のUCを真似できるとかずるくないです?」
 敵もまた、冬青と同じように蝙蝠を作りだす。狙うは彼らの乗る機体だが……、
「でも! 私のほうが一枚上手です! 城島ガード!」
「……ほんと、楽しそうだなあ」
 衝撃波で蹴散らす冬青に、ぽそりとアヤネは肩を竦める。
「はい?」
「なんでもない。ソヨゴがかわいいって話」
 アヤネの操縦で安定して飛行艇は飛ぶ。
 任せてください、なんて笑う冬青に、アヤネも微笑んで目を細めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
ガタガタ音こわいけど何とかなるものだねー。
と、如何にもなカッコよさのグリフォン騎士、殺意バリバリだねー。
海ならともかく空や雲海の藻屑はごめんだね。
空のシャチも怖いって事教えつつあそばないと!

機体の具合を確認しつつ遠距離から機銃で迎撃。
空中分解しそうだけど風属性の魔法高速で詠唱して移動補助、機体保護を行う。
しかし流石空の騎士、中々当たらないね。
なら…向こうが突っ込んできた時にカウンターで銛投擲しUC発動。
水シャチれっつごー、ぱっくりやっちゃってね!

何で空を飛ぶのか。それはそこにあるからじゃないかな。
行けるなら危険だろうと、ね。
まだまだ知りたいから…キミはここで終わっててね。

※アドリブ絡み等お任せ



 ごう、と響いた轟音は嵐のものか、それとも敵の攻撃によるものかはわからなかった。
「と、と、と……!」
 解る前に舵を切る。ヴィクトルを乗せた機体は激しく急旋回した。そのまま手を持っていかれてぐるぐる回りそうな気もしたけれども、それは何とか力で抑える。
「ガタガタ音こわいけど何とかなるものだねー。如何にもなカッコよさのグリフォン騎士、殺意バリバリだねー」
 旋回。目の前にいるグリフォンに乗った騎士から距離を取ろうとすかさず後退させようとするがうまくいかない。想う速度が出ない機体に、
「海ならともかく空や雲海の藻屑はごめんだね。空のシャチも怖いって事教えつつあそばないと……!」
 風の魔法でその背を押して、ヴィクトルは慌てて槍の間合いから離脱した。
 そのままぐっと回り込む。回り込みながら期待を確認する。
「とに……かく!」
 立て直そうとする前に衝撃波が走る。あれを何とかしたいと、ヴィクトルは備え付けてあった機銃を敵へとむける。
「ちょっと……待ってって!」
 走らせる銃弾は牽制だ。牽制しながら魔法を利用して何とか距離を稼いだ。もちろん逃げるためではない。旋回して敵と向き合う。相手の攻撃もまた風でそらして機体の保護も行う。
「ほん……と。流石空の騎士、中々当たらないね! けど」
 敵もまたグリフォンをかけてその機銃を回避する。回避しながらも放つ衝撃波を、ヴィクトルもまた紙一重で避ける。
「こっちも当たらなきゃ一緒だから!」
「ならば……!」
 ヴィクトルの言葉に反応したのか、否か。騎士もまた当たらぬことにいら立ちを感じたのか。空を飛ぶ獅子が駆ける。一直線にヴィクトルを目指し、
「それを……待っていたんだ!」
 ヴィクトルもまた、手にしていた銛でそれを迎え撃った。
「水シャチれっつごー、ぱっくりやっちゃってね!」
 水で象った巨大なシャチがヴィクトルの森を目印に放たれる。それがグリフォンの胴を食いちぎる。
「何で空を飛ぶのか。それはそこにあるからじゃないかな。行けるなら危険だろうと、ね」
 敵の耐性が乱れる。同時に機体も揺れる。それをヴィクトルは何とか立直しながらつぶやく。
「まだまだ知りたいから……キミはここで終わっててね」
 それが嵐の中、騎士に届いたのかどうかはわからない。
 銛を引き抜きヴィクトルは駆けた。聞こえても、聞こえずとも。最後まで戦うつもりであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
おっ、あれが例のオブリビオンのようだね
なかなか格好いい相方に乗ってるじゃないか
梓のドラコンより格好いいかもー?
あはは、ジョークだよジョーク

梓は運転手という大事な役割があるから俺が攻撃を担当しようか
というわけで梓、もうちょっとオブリビオンに近付ける?
梓なら出来る出来る

梓が頑張って接敵するまでの間
俺はシートベルト外してEmperorで素振りして
準備運動しておこう

十分に敵に近付けたら、思いっきりジャンプして
Emperorを大きく振りかぶりながら飛行艇から飛び出す
自殺行為? まさか
その瞬間にUC発動
威力増強したEmperorの一撃を叩き込み
何食わぬ顔で飛翔能力で飛行艇へと戻る


乱獅子・梓
【不死蝶】
はぁ!? 俺のドラゴンたちのほうが
百倍強くて格好いいに決まっているだろう!

なん…だと…?
普通に飛ぶことすらままならないのに
俺の運転でオブリビオンに近付けと…!?
ああもう、あとで覚えておけよ綾!!

自由に動き回る敵に普通に接近するのは骨が折れる
というわけで助っ人を呼ぼう
UC発動し、雷属性のドラゴンたちを召喚
敵を囲んで雷のブレス攻撃を浴びせる
囲い込み&雷によるマヒ攻撃で敵の動きを妨害して
接近しやすい状況に持っていくぞ

あとはもう綾が何とかしてくれると信じてエンジン全開!
敵にぶつかりに行く勢いで突っ込む!

…あれ?あいつ、自分で飛べるなら
俺が頑張って飛行艇で近付く必要なかったのでは…?



 嵐にも負けぬ羽音がする。
 片方がグリフォンによる翼の音で、もう片方が飛行機の音であった。
「おっ、あれが例のオブリビオンのようだね。なかなか格好いい相方に乗ってるじゃないか」
 目の上あたりの手をかざして、綾がそれを覗き込む。
「梓のドラコンより格好いいかもー?」
「はぁ!? 俺のドラゴンたちのほうが百倍強くて格好いいに決まっているだろう!」
「キュ!」「ガウ!」
 おどけたような綾の言葉に、思わず梓は声をあげる。あげた瞬間、のたのた進んでいた機体ががうん、とわずかに高度を落とした。
「ほら。焔も零もこう言ってる」
「あはは、ジョークだよジョーク」
 むしろしっかり前を見て! といっているように綾には聞こえたが、黙っていることにした。なぜかそこで得意げな声音をする梓に、綾はわかったから、といいながら、
「というわけで梓、もうちょっとオブリビオンに近付ける?」
「なん……だと……? というわけってどういうわけだよ」
「ほら。梓は運転手っていう大事な役割があるから、俺が攻撃を担当しようかと思って」
「な……っ」
「アズサトブ。オレタタカウ。ワカル?」
「普通に飛ぶことすらままならないのに俺の運転でオブリビオンに近付けと……!?」
 冗談めかした綾の言葉にも全く答えている余裕がないのか、梓は悲鳴に近い声をあげていた。
「ウンソウ」
「ああもう、あとで覚えておけよ綾!!」
 ちょっとかわいい片言で容赦なく現実を突きつける綾に、梓は悲鳴をあげながらも舵を切る。
「梓なら出来る出来る。俺は信じてるよ」
「そんな信頼いらねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 叫ぶ梓を気にせずに、綾はにっこり笑うのであった。

 なぜか背後の綾が静かになったが、梓はそれにしばらく気付かなかった。
「くっそ。あの、白い、デカブツ!」
 きしゃああああああああ! とグリフォンが気勢を上げている。挙げると同時に衝撃波が放たれる。それを何とかよけながら進んでいるので、もどかしいことこの上ない。そのうえ近づいたと思えば敵は後退するのだ。割と自在に。割と軽快に。憎らしい。
「あれ近づくのは骨が折れるな……。数多無双なる竜よ、此処に集いてその威を成せ!」
 即座に梓は雷属性のドラゴンたち。複数を離れたところで召喚して、雷を白い獣とそれに乗る騎士へとたたきつける。
「小癪な……!」
「小癪な真似もしたくなるってもんだ! 焔、零! は……俺のこと応援していてくれ!」
「キュ!」「ガウ!」
 飛行機の隙間に乗り込んだ仔ドラゴンたちが声援を送っていた。一緒に攻撃、といいたいところだが今日の役割は運転手なのでまじめに運転に集中することにする。雷のドラゴンたちが一斉にいかずちを放ち、敵の動きを怯ませたと同時に、
「綾! 突っ込むぞ。エンジン全開!!」
 勢いをあげて、体当たりするように敵に突っ込んでいった。
「なんとかしてくれるんだよ……」
 ぶぉぉぉぉぉぉォぉん。と期待が咆哮をあげる。
 ようやく梓の思いが通じたのか、飛行艇は急に速度をあげて思っていた以上の勢いで敵へと突っ込んでいくとは思っていた。
 思っていた。
 だからちょっと振り返って……、
「あ……綾ああああああああああああああああああああ!!」
 いなかった。
 振り返ったらいなかった。風にはためく外れたシートベルト。梓は絶叫した。
「はーい」
 そしてその絶叫にこたえるように、紅い蝶の群れを纏ったヴァンパイアが現れる。それ蝙蝠のような大きな黒い羽根を持ち、巨大なハルバートを構えて、
「自殺行為? まさか! 生きてるよー」
 ものすごく呑気な声とともに一気に飛行機を追い抜いたのであった。
「!」
 言葉とは裏腹に、一瞬で騎士へと肉薄する綾。
「あんまり好きじゃないけどね、この姿。でも……便利なんだ」
 一閃。グリフォンの胴体ごと、巨大なハルバートが敵を薙ぐ。甲冑ごと叩き潰す。
「なんだ……と……っ!」
 敵も飛行艇から降りて飛んでくるなんて想定外だったのだろう。即座にやりを返すもそれは綾に紙一重で避けられる。
「バイバイ」
 グリフォンごとたたききられて騎士は落ちていく。わずかに驚いたような声音だけが残って……そして嵐の中、消えていった。
 死体は見えない。すべて嵐の中である。
 それでも綾は、それを倒したのを手ごたえで感じた。……あとはあっさりと梓の待つ(?)機体へ帰還する。
「……あれ? あいつ、自分で飛べるなら、俺が頑張って飛行艇で近付く必要なかったのでは……?」
「ただいまー。あはは、細かいことは気にしなーい」
 丁度飛行艇では、梓が今回の事案について気づいてはいけないことに気づきかけている最中だったので、綾は暢気にそう答える。
「ちょ、おま……! ………………とにかく、急にいなくなったらびっくりするだろ!!」
 いろいろ。色々。増えた重みと呑気な声に梓はいろいろ言おうとして。うまく言葉にならずに、結局それだけ言った。
 その言葉に綾は瞬きをして。
「……ごめんねぇ?」
 ほんのちょっとだけ真面目に。謝ったのだという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『空ゆく獣たち』

POW   :    美味しいエサをあげてみる

SPD   :    背中に乗せてもらい、空中散歩に行く

WIZ   :    思う存分撫でさせてもらう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 そうして、騎士は消えた。
 頭上に退避していた鳥たちが旋回する。……ついて来い、とでもいうように。
 猟兵たちが鳥を追う。鳥を追えば……、

 嵐が抜ける。
 足元には雨雲が広がっていた。
 雲の上はどこまでも澄み渡っていて、
 遠く遠くまで見渡せた。
『お疲れさま! 船は無事よ!』
 無線にノイズ交じりの連絡が入る。勇士たちだ。
 どうやら、脅威は去ったらしい。
 飛行艇はそのまま乗っていっていいとのことであった。
 もう少し、太陽の方向に飛行すれば雨雲が途切れるので、そのままこちらに帰還してくれてもいいしどこかの島に船を下ろせば迎えに行くとのことである。
 太陽に背を向けて、延々と続く雲の絨毯を走るのもいいし、
 ブルーアルカディアの様々な島の上を飛行して、観光するのもいいだろう。
 大空の上、太陽を追いかけるのも楽しいかもしれない。
 そして……、

 鳥は飛んでいく。太陽を受けたその瞬間、
 骨ばかりだったその体が煌めいた。
 虹色の翼がいつの間にか現れる。長い尾の美しい鳥が猟兵たちの隣にいた。
「……」
 鳥は、最後まで鳴かなかった。
 鳴かずに、空をめがけて飛んだ。
『骨の鳥は……不思議な鳥です……。太陽が強く当たるときだけ……鳥になって。太陽に向かって飛んで……飛んで……』
 無線からノイズ交じりの声がする。
『そうして力尽きるまで飛んで……またばらばらの骨になって死んでいきます……』
 それが幸せらしいのだ、と勇士が言った。彼らはずっと、死ぬための旅をしているのだと。
 とはいえ、(付き合ってもいいが)君たちがそれに付き合う必要はない。

 君たちの前には大空が広がっている。
 それはあまりに高く、遠く……そして自由なのだ。

●マスターより
プレイング募集期間は、2月8日(火)8:31~11日(金)20:00まで。
三章からの参加も歓迎いたします。
あとはお好きにどうぞ!
灰神楽・綾
【不死蝶】
いやぁ、楽しい大冒険だったね~
梓の運転もどんどん上手くなっていってたし
結構才能あるんじゃない?(おだてる

俺、あの鳥を追いかけていきたいな
「だから飛行艇を飛ばしてくれるよねー?」と
言わんばかりにいい笑顔を梓に向ける

鳥の姿を捉えたら、すかさずスマホを取り出して録画機能をオン
美しい姿で飛んでいる瞬間も
そして最後に骨になっていく瞬間も
すべて逃すことなく映像に収めていく
あんなに綺麗なのに、ほんの少しの時間しか
見られないだなんてもったいないじゃないか
これでまたいつでもあの鳥に会えるよ

じゃあ次は… あっ、あそこで飛んでるのはリュカかな
せっかくだから声かけに行こうよ
ほら早く早く、見失っちゃうよー


乱獅子・梓
【不死蝶】
俺はお前のせいで散々な大冒険だったがな…

お前、また俺に運転させる気か…!
…と思ったが、今はもう邪魔する嵐もオブリビオンもいないし
綾のせいで嫌でも運転に慣れてしまったから
最後の無茶振りもついでに応えてやることにした

「死ぬための旅をする」だなんて
最初はなんて悲しいんだろうと思ったが
伸び伸びと雄大に飛んでいる姿を見ていると
何だかそんな気持ちも吹っ飛んだ
今は「いいものを見せてくれてありがとう」と思う

おぉ、本当だ …今度はあそこまで飛んで行けと!?
さっきのが最後の無茶振りかと思っていたらそんなことは無かった
ま、待て、あの飛行艇めちゃくちゃ速いんだが!
(わたわたしながら追いかけていく



 薄い雲が広がっている。
 ぶべべべべ。とちょっと呑気な音を立てて飛行艇は飛んでいく。
「いやぁ、楽しい大冒険だったね~」
 嵐ははるか遠く。吹く風は湿気がなくて心地いい。のんびりという綾に、
「俺はお前のせいで散々な大冒険だったがな……」
 梓はというと、げっそりと疲れ切ったような声音でそう呟いていた。
「ほら梓。前見て前。ちょっとずつ下がっていってるよ」
「お前、また俺に運転させる気か……!」
 机に突っ伏したいような気分なのに、状況がそうさせてくれない。綾の言葉に梓は半眼で(といっても傍からは見えないが)顔をあげる。
「まあまあ。梓の運転もどんどん上手くなっていってたし、結構才能あるんじゃない?」
「そんなこと言っておだてても、もうだまされな……」
 言って、顔をあげた梓の頬を優しい風が撫でた。
 驚くぐらい気候はよくて。程よく冷たい風が気持ちよくて。
 今はもう邪魔する嵐もオブリビオンもいないし。
 認めるのもしゃくだけど綾のせいで嫌でも運転に慣れてしまったから……、
「ね。今ちょっと俺に感謝してたでしょ」
「してません-」
 行けども行けども広い空に思わず感動してしまったなんて。思う間もなく放たれる綾の声にわざとらしく大きな声で答える梓。
 そんなこと、言わなくてもきっちりばれていたのだろう。声をあげて笑う綾は、ふと手を伸ばして、
「俺、あの鳥を追いかけていきたいな」
 だから飛行艇を飛ばしてくれるよねー? と。
 言わんばかりにいい笑顔を梓に向けた。
「……ああ?」
 言われ、梓も視線を遠くに向ける。
 虹色の尾羽が、その視界に翻った。
「……俺はさ」
「うん」
「「死ぬための旅をする」だなんて、好きじゃないな。悲しいだろう、そんなの」
「そっかー……」
 生きてこそ旅ができるし、生きて二人で旅をしたい。それがいいのだとは言外に。そんな静かな梓の言葉を、綾も茶化すでもなく静かに聞いて、
「でも、行ってみようよ」
 と、いった。
「……そうだな」
 これが最後の無茶ぶりだから。なんて梓はそう言って。
 少し速度をあげて、その美しい鳥を追いかけた。

 虹色が尾を引く。青い空を美しい色彩の鳥が飛んでいく。
「……」
 広げる翼は力強くて。輝く体は太陽を浴びる歓喜に震えているようで。
「あ……」
 悲しいんだろう、という梓の気持ちは。
 伸び伸びと雄大に飛んでいる姿を見ているとどこかに飛んでいった。
 綾がいつのまにかスマホを取り出して、録画機能をオンにして撮影をしている。
 まったく、何でも撮影するんだからと。ほんの少し梓は思ったが、
「あとで……見せろよな」
「うん。いいよぉ」
 胸が詰まった。そんな声音の梓に、綾は拘りなく頷く。
 二人の飛行艇は、鳥の群れの中を共に飛ぶ。ちょうど挟まれるような形になって、梓はなるべく速度を合わせて飛行する。
 そうしたらきらきらした彼等の一員になっているような気がして。
 なんとなく嬉しく思った瞬間、ふ、と右隣りの鳥が消えた。色彩の砂が零れ落ちるように消えていき、あとには骨が残り、そして力を失ったように落ちていく。
「死ぬために生きるなんて、と思うけれど」
 その一部始終を映像に収めながら、綾はぽつんと呟いた。
「それはきっと、俺たちも一緒だねぇ」
「……そっか。……そうだな」
 人もいずれ、死ぬ。
「でも……これでまたいつでもあの鳥に会えるよ」
 そんな思いが梓の胸に去来した時、綾はそう言って笑った。
「あんなに綺麗なのに、ほんの少しの時間しか見られないだなんてもったいないじゃないか」
「そっかー。……そうだな」
 そんな話をしている間に、一羽、また一羽と鳥は消えていく。
「……いいものを見せてくれてありがとう」
 と。ポツリと梓はつぶやいた。
 人はいずれ、死ぬ。
 けれども願わくば自分たちは、なるべく長く、二人で……
「いえいえ。どういたしまして」
「いや、綾に言ってるわけじゃないから」
 なぜかそこで返事をする綾に、梓はいつも通り軽口をたたいて肩を竦めるのであった。
「さーて。鳥も見たことだし、そろそろ……」
「じゃあ次は……あっ、あそこで飛んでるのはリュカかな」
「!?」
 なんだかちょっと、嫌な予感がした梓。
「おぉ、本当だ「せっかくだから声かけに行こうよ」……今度はあそこまで飛んで行けと!?」
 自分の台詞に挟まれた言葉に驚愕する。さっきのが最後の無茶振りかと思っていたらそんなことは無かった。そういえば綾の無茶ぶりが途切れたことなんてなかった気がする。待て待てと言いたげな梓に、綾はきょとんとした顔で、
「挨拶、しないの? 社会人として挨拶は大事だよ?」
「綾に社会人の常識を解かれる日が来るとは思わなかった!!」
 どうしよう。言葉だけ取ればめっちゃ正論。
「ま、待て、あの飛行艇めちゃくちゃ速いんだが!」
「じゃあ、急がなきゃね!」
「!?!?!?」
 その声に慌てて梓は飛行艇の速度を上げる。
 そこに悲しみはない。
 あとにはただ、力強く空をかける飛行艇がある。
 その姿は力強く、太陽を受けて輝いていて。美しい鳥のようであった。
「……くっそこのポンコツ!」
「わー。早―い。変な音がするー」
 ……かも、しれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
リュカくん(f02586)と。

空も晴れたねー。あの骨の鳥がこんなに綺麗な姿になるなんてビックリだ。
鳴かないのはその体力さえ惜しいのか、誰かと鳴き交わす必要もないからか…本鳥のみぞ知る事だろうけど。
行先もないし俺は程々にこの空を飛ぼうかな。

嵐が去って操縦もいい感じ。勇士の人に手を振る余裕もある位。
…む、あの曲芸染みた飛び方やってるのはリュカくんかな。
近づき無線でやっほーと手を振り挨拶。
空を飛び回るのはやっぱり浪漫だよね、うん。
どこまでも飛んでいけそうな、果てのない空。
…折角だし鬼ごっことかしてみる?
背中を取られた方が負けで。
俺の華麗な操縦を見せてあげよう…!とか誘ってみる。

※アドリブ絡み等お任せ



 厚い雲を通り抜ける。
 すぐそこに響いていた雷鳴は、いつしか聞こえなくなっていた。
「空も晴れたねー」
 嵐雲を抜ければそこは快晴。青い空が広がっていてヴィクトルは声をあげる。
 傍らでは、虹色に輝く鳥がゆっくりとどこか目指して飛んでいた。ヴィクトルとて、骨しかなかった鳥にいつの間にか翼が現れるその一瞬を目にしていなければ、同じ生き物だとは思わなかっただろう。
「……あの骨の鳥がこんなに綺麗な姿になるなんてビックリだ」
 けれども彼は見た。真っ白な化石のような生き物が、虹色の姿を取り戻し生き生きと空をかけるその姿を。
 鳴かないのはその体力さえ惜しいのか、誰かと鳴き交わす必要もないからか……。
「……そんなことは、本鳥のみぞ知る事だろうけど」
 ふと、そんなことを思う。鳥たちは飛んで、飛んで、飛んで……そして力尽きてまた骨になって落ちていく。その瞬間まで鳥は飛び続ける。
 どこに行こうとしていたのか。飛ぶことによって何を得たのか。
 それはもう、誰にも分らない。
「……行先もないし俺は程々にこの空を飛ぼうかな」
 そんな風にただがむしゃらに、死ぬまで飛び続けるなんてヴィクトルはできないから。
 彼としてはほどほどに、死なずに楽しめればそれでいいから。
 そっとヴィクトルは操縦桿を握り鳥の傍を離れた。
 生き方が違うのだと。そんなことを思いながら。

「……おや」
 嵐が去れば操縦も楽になる。ただひたすら空を行く。地上はなく、飛んでも飛んでも空ばかり。
 けれども時々、島がある。いろんな飛行艇も見ることができる。それらに手を振る余裕すら持ちながら、ヴィクトルはのんびり空を楽しんでいた……ところで、
「……む」
 離れたところを、猛スピードで走る飛行艇を見つけた。
「あの飛び方は……リュカくんかな」
 見慣れたマフラーの端を見た気がして、ヴィクトルは速度を上げる。速度をあげてその船へと近づくと、やはりリュカの姿が飛行艇の中にあった。
「やっほー」
 手を振りながら無線のスイッチを入れる。ノイズ交じりの無線はややあって、ごきげんよう。なんてリュカの言葉を返した。
「空を飛び回るのはやっぱり浪漫だよね、うん」
「そうだね。人類の夢だ」
「俺はシャチだけど、わかるよ~。どこまでも飛んでいけそうな、果てのない空。素敵だよね」
「ん」
 言葉少なく返答。それで何となく、機嫌がよさそうだな、とヴィクトルは思った。そうなると俄然、
「……折角だし鬼ごっことかしてみる?」
 ちょっとした遊び心がわいてくる。背中を取られた方が負けで。と付け足すと、やっぱりややあっていいよ。という返答が返ってきた。
「ただし、時間制限を決めよう」
 それまでに倒す。とリュカが言うので、攻撃は必要ないからね? と一応ヴィクトルは念を押しておくことにした。
「俺の華麗な操縦を見せてあげよう……!」
 どや。と自信満々に言うヴィクトルの言葉を皮切りにしばしの闘いは始まる。
 澄み渡った青空に、飛行艇が二隻、美しい弧を描いた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城島・冬青
【橙翠】

やっとブルーアルカディアの空を満喫できます
その…操縦変わった方がいいです?
あまり気乗りしませんが

お願い?
あー…言いましたっけ?
言いましたね…はい
城島冬青、二言はありません!
それで何がお望みですか?
うーん
私の渾身の特大ハンバーガーが食べたいとか?
それともチーズケーキ?…ってここでは作れませんね

ファ?!
ちょっ!アヤネさんのエロス!悪女ー!!
てかそれもここじゃ無理なんじゃないですかー?
せめて私からのキスでお許しを〜

私もう17ですし子供じゃ…と言いかけるけど墓穴にしかならないので黙る

えと…運転中ですし
こう素早くチュッと
は?!触手で運転とかずるいですよ!
てか余所見運転なことにはかわりないですしー


アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】

いい景色だ
何も遮るものが無い空で二人きりなんて最高だネ

操縦は僕がやるよ
もう十分楽しんだでしょ

さっきなんでもって言ってたお願い
どうしよっかな?

飛行機の上でやれることは限られてるし
降りてからのことがいいな

僕が何を考えてるか当ててみて?

ははそうじゃなくて
そうだな例えばエッチなこととか?
冗談めかして言ってみるけどソヨゴには本気とバレてる

ソヨゴの返答に大笑い
そうネ今ここじゃ無理だから
ソヨゴが大人になるまで待つネ
それまでは保留しよう

ところでそれとは別に
さっき口にしたことは期待していいよネ?

UC発動
操縦桿を固定
これで安全だから安心して
この空の上で邪魔するものは何も無い
彼女の方を向いて目を瞑ろう



「ああ……」
 嵐は抜けた。目の前には美しい空が広がっていて、冬青はほっと一息つく。
「やっとブルーアルカディアの空を満喫できます……」
 陸地はない。海も見えない。ただ足元にもひたすら空が広がっていて、たびたび島のようなものが点在している。
 その景色はほかの世界では見られないものだったから、んー。と冬青は大きく深呼吸をして……、
「その……操縦変わった方がいいです?」
 そう、後部座席からひどく気乗りしない提案をした。
 気乗りはしなかったけれども提案したのは冬青の性格の良さだといってもいい。
 そんなことを思いながらも、あんまりに嫌そうな冬青の声音にアヤネはわずかに喉を震わせて笑う。
「操縦は僕がやるよ。もう十分楽しんだでしょ」
「へ? アヤネさん、嵐が当たっちゃいましたか?」
「え。そういわれるとちょっと心外だなあ」
 何が起こったの、みたいな顔をする冬青にアヤネは肩を竦める。竦めてから、
「いい景色だ。何も遮るものが無い空で二人きりなんて最高だネ」
 だからさ。と。言うと。冬青も目を細めて、
「……そうですね」
 ただ、染み入るように頷くのであった。

 ……と。
 そこで終われば美談であった。
 そうしてしばらく飛行してのち、徐にアヤネが口を開くまでは。
「そういえば……さっきなんでもって言ってたお願い、どうしよっかな?」
「お願い?」
 不意に言われた言葉に、冬青は首をかしげる。記憶を検索すると、そういえば……言った。言ってしまった……ような。
「あー……言いましたっけ? 言いましたね……はい」
 若干やってしまった、みたいな顔をする冬青。しかしながら小さく頷き、彼女は胸をどんとたたき、
「城島冬青、二言はありません! それで何がお望みですか?」
 ばっちこい。と怪しげなジェスチャーをする。そうだねえ。とそのジェスチャーをアヤネはちらりと見ながら、
「飛行機の上でやれることは限られてるし……降りてからのことがいいな」
「そうですねえ。ここだとせいぜいアヤネさんを抱えて飛んでいくぐらいしか……」
「僕が何を考えてるか当ててみて?」
 ぽつ、といわれた言葉に冬青は瞬きをする。
「うーん」
 言われてみればちょっと冬青は悩む。いつも一緒にいて、大体相手の趣味嗜好は理解しているはずだ。……だからこそ、悩む。
「私の渾身の特大ハンバーガーが食べたいとか? それともチーズケーキ? ……ってここでは作れませんね」
 今が。毎日の冒険が楽しすぎて、
 この先、さらに、なんて。想像がつかなかったから。
「ははそうじゃなくて……」
 うーん。と首をかしげる冬青。アヤネはちょっと考える。こんなことを口に出すのはちょっと申し訳ないような……でもどこか、背徳感がたまらないような、そんな気持ち。
「そうだな例えばエッチなこととか?」
「ファ?!」 
 吹いた。盛大に吹いた。冬青が吹いた。
「ちょっ! アヤネさんのエロス! 悪女ー!! てかそれもここじゃ無理なんじゃないですかー?」
「ちょ、ソヨゴ、暴れないで。落ちる。落ちるから」
「これが暴れずにいられますか~! せめて私からのキスでお許しを〜」
 冗談めかして言うアヤネ。冬青が本気で暴れ出したのは、その冗談めかした中に冗談でないものを感じ取ったからだ。
 フォンフォンフォン。と飛行艇の高度が落ちて、冬青の動きに合わせて揺れる。それでもうアヤネは大笑いである。声をあげて笑うと、ぷっ。と冬青が頬を膨らますので、
「そうネ今ここじゃ無理だから、ソヨゴが大人になるまで待つネ。……それまでは保留しよう」
「う、ううん……私もう17ですし子供じゃ……」
「そうなの? じゃあ……」
「子供でいいです。オテヤワラカニオネガイシマス」
 要らない墓穴を掘りかけた。神妙に冬青はそう言って黙る。なんとなく問題が先送りされただけのような気がする。うなりながらも言う冬青にアヤネはまた笑って、
「ところでそれとは別に、さっき口にしたことは期待していいよネ?」
「えと……運転中ですし」
「問題ないよ。……ほら」
 ね? と。
 なんだか抵抗をつづける冬青に、アヤネは両手を手放した。
 アヤネの触手が、すでに操縦かんを握って快適に運転を開始している。
「これで安全だから安心して」
「は?!触手で運転とかずるいですよ! てか余所見運転なことにはかわりないですしー」
「もう。いいじゃないか。……この空の上で邪魔するものは何も無い。そういうのが……いいんだから」
「~~~~~」
 アヤネは冬青の方を振り返り目を閉じる。
 その顔を見てぐぅ、と冬青は押し黙って、
「それは……否定はしませんけど」
 ちゅっ。と。
 素早く口づけた。
 青い青い空の下、阻むもののない世界の中で……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
適当に何か押したら無線が繋がったみたい
誰だろう…リュカさんかな
僕は今にも死にそうだよ
冒険家としては悪くない最期だと思うけど
リュカさんの前では死なない方が良いんだっけ

操縦方法を少し聞いてみるけど
ううん…駄目だ
もう飛空艇にUCを使おう
何故最初からやらなかったかって
勿論面白くないからさ

あの鳥見た?
地球の生き物はあんな極端な変態はしないよね
不思議だな…僕は観察を続けるよ
生死を共にしたウカイホネドリくんだし
行く?世界の果てまで

折角空の上に来たのに
太陽が眩しくて何も見えないや
ウカイくんはどこまで飛ぶんだろうね
僕らの前で力尽きるのか
力強く果てへ飛んでいくのか

あの子はね
きっと昔人間だった
リュカさんはどう思う?



 ふひゃひゃひゃひゃ。か。ぶべべべべべ、か。
 とにかく怪しげな音を立てて章の飛行艇は飛んでいた。
 隣で虹色の鳥が飛んでいる。なんとか話されたくないので章は必死にそれに食らいついていく。
 ……先ほどまで。どこか優しさすら見せていた鳥たち……ウカイホネドリくんたちは、嵐が去った瞬間に豹変した。
 化石だった体はみずみずしく美しく。青い空に虹色の羽を翻し、どこまでもどこまでも飛んでいく。
 章のほうは振り返りもしなかった。
 ただ、ひたすらにどこかに向かって。本当にただひたすらに、飛んだ。
 その理由は、すぐに知れた。飛んで、飛んで、飛んで……一羽。また一羽と、力尽きたように鳥たちは落ちていった。美しい姿から骨に戻り、崩れるようにして落ちていく。
 ……だから、章に構っている余裕なんてないのだ。
 ……だから、章が彼らについていきたいのだ。
「って、思ってたけど、これもう……」
 ダメかも。と。思いながらぺこぺこと適当に章は目の前のボタンを押す。
 ザ、ザ、ザ……。駆動音とは別にノイズが聞こえてくる。
「……う。これ無線かな。神様仏様だれか出て」
 別に祈るつもりはなかったけれども語感換がよかったのでそんな文言を唱えながらもしもーし。なんて無線に声をかける。
「……章お兄さん?」
「あ。神様仏様リュカさんだ」
「……間違い電話だったみたい」
「待ってよ切らないでよ。リュカさん。僕は今にも死にそうだよ」
「どうしたの。間違って鳥の羽でも食べちゃった?」
 リュカさんは僕のことを何だと思っているの。と問おうとして、章はやめた。
 大体の答えが予想できたからだ。
 代わりに章は、今までのことをとつとつと語って聞かせる。主にこの飛行艇がいかに章の言うことを聞いてくれないかを語って聞かせた。
「もうね、これ以上は無理みたい。冒険家としては悪くない最期だと思うけど、リュカさんの前では死なない方が良いんだっけ。遺言聞いてくれる?」
「聞きません。……もう。そこにレバーがあるでしょう……」
「レバー……?」
 明らかに絶句したような気配を感じながらも、章はリュカの説明を聞きながら飛行艇を操ってみる。
「ううん……駄目だ」
「こんなに丁寧に説明してるのに」
「ダメなものはダメなのですー。いいや。もう飛空艇にUCを使おう。えいえいえい」
 ぷすぷすぷす。と、UCを使って最終的に飛行艇を操るという判断をする章であった。
「……俺の説明した時間を返せ」
「何故最初からやらなかったかって? 勿論面白くないからさ」
「お兄さん、今どこにいるの? 撃ち落としに行くから、座標よろしく」
「申し訳ないけど、リュカさん。俺には計器を見る能力はないんだ」
 割と声は本気だったのだが、章はどこぞ吹く風であった。だって、自分がいる場所なんて自分でもわからないんだから。

 そういうわけで、互いの姿は見えない。
 けれども何となく無線はつながっているので、会話ができる。
 遠いところにいるからか、ノイズ交じりで。返答はほんの少し、遅いけれど。
「あの鳥見た?」
「見た」
「地球の生き物はあんな極端な変態はしないよね。不思議だな……」
「魔法的な何かかもしれないけれども、それにしても意味が分からなさすぎるよね」
「うん。僕は観察を続けるよ」
 生き物である以上、その行為には何か意味があるはずだ。
 けれども、彼らからはそれをうかがい知ることができなかった。
 飛んで、飛んで、飛んで飛んで……そして死んでいく。何も、残さずに。
 美しかった名残も見せず、何もなさず、ただ骨のみ、空に落ちていく。
「……生死を共にしたウカイホネドリくんだし」
「またお兄さんはそういうことを言う」
「僕がしょっちゅう、変なことを言うみたいに言うのはやめてくれるかな?」
 勝手に名前を付けたことも、リュカ的には想定の範囲内だったらしい。無線の向こうから、ほんの少し押し殺した笑いのようなものが感じられたので、
「行く? 世界の果てまで」
 章はそう聞いた。
 いいよ。と。返答があった。
 本当に同じ場所に向かっているのかなんてわからなかったけれども、じゃあ、行こう。と章は返答をした。

 そして……、
「折角空の上に来たのに、太陽が眩しくて何も見えないや」
「ずいぶん長いこと飛ぶんだね……」
「本当。ウカイくんはどこまで飛ぶんだろうね」
「それは……死ぬまでじゃない?」
「死ななかったら、どうなるんだろう。僕らの前で力尽きるのか、力強く果てへ飛んでいくのか……」
「……」
 返答には間があった。その間をのんびり感じて、章はただ、傍らをわき目も降らずに飛ぶ美しい鳥についていく。
「その前に、俺たちが燃料切れで落ちるかも」
「あ。それがいいな。……その終わり方が一番いい」
 ややあって言われた言葉に、章はすとんと納得がいったようにうなずいた。
 きっと章の隣にいるウカイホネドリは飛んで飛んで飛んで……章がいなくなっても飛んで……そうして、その先に何があるのか。人間にはわからない。
 そんな終わりが、美しいと思った。
 そんな終わりで、いいんじゃないかと思った。
「……あの子はね」
 美しい虹色の鳥の背中を追いながら、章は言う。
「きっと昔人間だった。……リュカさんはどう思う?」
 返答は、やっぱりややあって、
「人間はこんなに、きれいじゃないよ」
 なんて、きれいじゃない返答が返ってきたので。
 章はほんの少し笑って、
「あ。燃料、そろそろ切れるかも」
 燃料表示なんて見もせずに、そんな今日の旅の終わりの言葉を口にしたのだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年02月12日


挿絵イラスト