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大切な人と語り合う、お盆の夜

#カクリヨファンタズム #戦後 #しあわせな王子さま #お盆

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「お盆っすね」
 エブリディ盆休み(クソヒキニート)の雨月・雨莉(は何もしない・f03581)がどこか遠くを見ながら呟く。
「だからってわけでもないんでしょうが……どうも、カクリヨファンタズムの川に、渡った者を黄泉に送る『まぼろしの橋』が掛かってるらしいっす」
 お盆とは先祖の霊が帰ってくるイベントであって、生者が向こうに行くイベントではない。逆ではないかと突っ込みたくなるが、このままでは本当にそうなるかもしれないと雨莉はいつになく真剣な顔で言った。
「と、いうのも……幽世に倦んだ妖怪が渡るというその噂の橋を、『強力なオブリビオン』が占領して、『死んだ想い人の幻影』を見せて妖怪を橋に引き寄せ、黄泉に送ろうと……つまり、殺そうとしてるんす」
 強力なオブリビオン、とはいえ、カクリヨファンタズムのオブリビオンは「骸魂が妖怪を飲み込んで変身したもの」だ。この妖怪が殺害の罪を背負う事も、『死んだ想い人の幻影』に惹かれた犠牲者が橋を渡る事も、どちらも見過ごすわけにはいかない。
「なんで、この橋を占拠してる強力なオブリビオンを倒して、ついでに橋も浄化して欲しいんすよ」
 珍しく真面目な雨莉の依頼に、猟兵達も真剣な面持ちで頷いた。それを確認した雨莉は、続けて詳細な説明に入る。
「橋を占拠した強力なオブリビオンは、『ジャック・お盆・デュラハン』……ジャック・オ・ランタンとデュラハンとお盆がなぜか混ざり合った存在っすね」
 ……シリアスな依頼なのにコミカルなヤツがきたなオイ。と割とみんな思った。
「まぁ、ちょうど今お盆っすし。ハロウィンも、日本じゃ渋谷あたりでリア充がコスプレして騒ぐイベントになっちゃってるっすけど、本来は日本のお盆みたいに、死者の霊が家族を訪ねてくるっていう、祖霊信仰に近いお祭りだったらしいんで。ある意味では時期に合ってるし、混ざるのも当然っちゃ当然っすね」
 納得できるようなできないような理屈を雨莉は述べる。それだとデュラハン混じってる理由が説明できねーぞ。
 というのは置いといて。雨莉は説明を続ける。
「で、そのジャック・お盆・デュラハンを倒しても、それだけじゃ「まぼろしの橋」は浄化できないんすよね」
 浄化する方法はひとつだけ。オブリビオンが倒された後の「まぼろしの橋」に佇んでいると現れる、「死んだ想い人の幻影」と夜が明けるまで語らうこと。
「……人によっては、オブリビオンと戦うよりキツイかもしれないっすね。逆にいえば、幻影でもいいから会いたいって人に会えるチャンスかもしれませんが」
 ――今はもうこの世にいない大切な人の幻影が現れる。ある意味、お盆らしい依頼なのかもしれない。
 各々思うところがあるのか、下を向いて押し黙ってしまった猟兵達に、雨莉はそうそう、と声をかける。
「言い忘れてたんすけど、これは西洋親分『しあわせな王子さま』からの依頼なんすよね」
 『しあわせな王子さま』は、いつも傷ついた心に苦しむ妖怪達を助ける為にカクリヨ中を巡っている。滅びの言葉「時よ止まれ、お前は美しい」を言わせない為に。
「王子さまは、自らの身体の黄金を剥がすことで、金色の「雲の道」を作り、苦しむ妖怪の元に直行します。今回も、現場まで「雲の道」を作ってくれてるはずっす」
 暴力は好まないやさしい性格ゆえ、同行しても自ら戦闘に加わることはないだろうが。頼めば盾役ぐらいにはなってくれるだろうと雨莉は言う。
「めちゃくちゃ硬いんで盾にはうってつけだし、それにやさしいからいくら盾にしても怒らないっすしね」
 ぐっと親指を立てて言う雨莉だが、それはそれでこっちの良心が痛まないか? まぁ本人的にはそれでもいいんだろうけど。
 ともあれ、必要な説明は全部聞いた猟兵達は、急ぎ雨莉の転送と王子さまの「雲の道」で現場に急行する。最後に真剣な顔に戻った雨莉の、「これが一番大事なことなんすけど」と前置きして言われた言葉を思い出しながら。
 ――今はいない大切な人と、もう一度会う覚悟はありますか?


ライ麦
 ライ麦です。ちょっとお盆っぽいシナリオを。
 以下詳細。

●成功条件
「まぼろしの橋」を占拠したオブリビオン(ジャック・お盆・デュラハン)を倒し(第一章)、「死んだ想い人の幻影」と語らって橋を浄化する(第二章)。

●「しあわせな王子さま」
 当シナリオには西洋親分「しあわせな王子さま」が同行しますが、プレイングで指定しない限りは出てきません。また、指定があっても暴力は好まないやさしい性格ゆえ、戦闘に加わってもらうことはできません。ただし頼めば盾役にはなってくれます。やさしいので盾にしても怒りません。

 あとはOPを参照してください。
 あなたは今はこの世にいない大切な人(の幻影)と何を語り合いますか?
 皆様のプレイングを心よりお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『ジャック・お盆・デュラハン』

POW   :    ハロウィーン・お盆・チャージ
【周囲の霊体を纏った戦車の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【霊体やお祭り好きの妖怪、骸魂】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    ランタン・精霊馬・フレイム
【南瓜頭や精霊馬が放つ炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【魂のみを燃やす】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    デュラハンズ・パレード
【南瓜頭デュラハン】の霊を召喚する。これは【精霊馬の突撃】や【霊体を燃やす炎】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はペイン・フィンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

火土金水・明
「そろそろ、お盆の時期ですか。色々な世界に行っていると季節を忘れてしまいそうですね。」「さて、被害者を出させない為にも、邪魔をさせてもらいます。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【銀色の嵐】を【範囲攻撃】にして、『ジャック・お盆・デュラハン』と召喚された霊達を纏めて攻撃します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでも骸魂にダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。



「そろそろ、お盆の時期ですか。色々な世界に行っていると季節を忘れてしまいそうですね」
 火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は、ジャック・お盆・デュラハンを前に呟いた。文明も環境も様々な世界を渡り歩く猟兵のこと。ともすれば季節や、季節の行事を忘れてしまいそうになる。目の前にいるのは、それを思い出させてくれそうな存在だった。……いや、複数の季節混ざってるけど。
 ともあれ。明はクイッと黒色のウィザードハットに手をやり、呟いた。
「さて、被害者を出させない為にも、邪魔をさせてもらいます」
 言うなり明は、継続ダメージと鎧無視攻撃、それに貫通攻撃を乗せ、さらにフェイントを絡めた銀色の嵐を放つ。幾何学模様を描き複雑に飛翔する、1110本もの魔法剣。それらは合体している妖怪をすり抜け、骸魂に直接ダメージを与えるもの。
「全ての骸魂に、ダメージを……」
 祈るように組んだ手。広範囲に展開した魔法剣は、多方面からジャック・お盆・デュラハンを包囲し、一斉に射出される。1110本もの魔法剣に串刺しにされた敵は、怒りの唸り声を上げ、南瓜頭や精霊馬から炎を放った。それは確かに明に命中し、彼女を燃やしたかに見えた……だが。
「残念、それは残像です」
 明本人が別の方向から現れる。残像、それにオーラ防御で敵の攻撃をいなした彼女は、
「私の役目は少しでも骸魂にダメージを与えて次の方に繋ぐこと……」
 と後続の猟兵を見やった。

成功 🔵​🔵​🔴​

中村・裕美(サポート)
副人格・シルヴァーナ
『すぐに終わってしまってはもったいないですわね』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
特徴 長髪 のんびり 社交的 惨殺ナイフを愛用 実は胸が大きい
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格で社交性と近接戦闘特化。
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【切断】を【早業】で繰り出す。
ドラゴンランスを使うことがあれば、相手を【串刺し】にするか、竜に変えて【ブレス攻撃】
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー

キャバリアなど巨大戦では【魔竜転身】で巨大化

あと、虫が苦手



「すぐに終わってしまってはもったいないですわね」
 中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)の副人格、シルヴァーナは鼻歌でも歌うように、愛用の惨殺ナイフをくるくる回しながら橋に躍り出た。彼女の姿を認めたジャック・お盆・デュラハンは唸り、南瓜頭デュラハンの霊を召喚する。それは精霊馬で彼女に突撃するが。
「あら、ごめんあそばせ」
 シルヴァーナは涼しい顔で、残像が残るような優雅なステップで避けた。精霊馬は残像に激突して砕け散る。それを尻目に、彼女は歌うように優雅なステップを踏んだまま、ジャック・お盆・デュラハンに肉薄した。
「うーさぎうさぎ、何見て刎ねる♪」
 クスクスと笑いながら惨殺ナイフを振りかざす彼女に、さしもの敵も震え上がった。それを意に介することなく、シルヴァーナはヴォーパルスラッシュで、目にも止まらぬ早業で対象を切断する。恐怖とダメージでしばし動けなくなった敵を前に、シルヴァーナはナイフの背で自分の肩をトントンと叩きながら、
「あら、もう終わりだなんて。つまらないですわね」
 と口を尖らせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

リトルリドル・ブラックモア(サポート)
★アドリブ連携歓迎だぞ!

ワーハッハッハッ!
まおーリトルリドルサマ参上!
どうやらオレサマの助けがいるみてーだな!
クックックッ…ヤダね!
オレサマがかんがえてるコトはひとつ…
イタズラすることだー!(※大したことはできません)

アッなんだその目!
オレサマすげーワルなんだぞ!
オブリビオンよりやべーワルだから
ヤバそうなヤツが相手でも…

ちょーコエーじゃん!!

よわそうなヤツにはかてるぜ!
でもカワイイヤツには手加減するし
こまってるヤツはたすけるぜ
まおーサマはウツワがひろいのだ!
カワイソーだからじゃねーし!
イイヤツじゃねー!

なんかイロイロあるとおもうケド
UCや技能やアイテムでなんとかすっぞ!
あそぶのもまかせろー!



「ワーハッハッハッ! まおーリトルリドルサマ参上!」
 服の裾をバッサバッサとはためかせながら、リトルリドル・ブラックモア(お願いマイヴィラン・f10993)は橋の欄干に降り立った。腕を組み、不敵に笑う。
「どうやらオレサマの助けがいるみてーだな!」
 ええ、はい。参加人数的に(切実)。という書き手に、リトルリドルはニヤリと言い放った。
「クックックッ……ヤダね! オレサマがかんがえてるコトはひとつ……イタズラすることだー!」
 ワーハッハッハ! と腰に手を当てて高笑いする彼に、ジャック・お盆・デュラハン(の持つ南瓜頭)はどこか呆れたような視線を向けた……ような気がした。
「アッなんだその目! オレサマすげーワルなんだぞ!」
 プンスカ怒りながらジャック・お盆・デュラハンを指差すリトルリドル。
「オブリビオンよりやべーワルだから、ヤバそうなヤツが相手でも……」
 言いかけた彼のすぐ横を、南瓜頭が放った炎がかすめていった。ヒッと首をすくめるリトルリドル。
「……ちょーコエーじゃん!!」
 見た目コミカルなヤツだけどユダンはできねー、とリトルリドルはCHEAT CODE(ムゲンゾウショク)で自分のが装備するモノぜんぶを86個複製した。
「ふはははー! これがオレサマのジツリョクなのだ!!」
 高らかに笑いながら、念力でそれら全てを宙に浮かし、ジャック・お盆・デュラハンの真上で落下させる。まおーサマチェーンソー(ただし全長30cm)×86やらファイナルまおーボンバー×86やら詫び石×86やらがドカドカボカンと次々にヒット。思わずない頭を抱えてうずくまるジャック・お盆・デュラハンに、トドメとばかりにまおーハンマー×86がピコピコ音を立てながら落ちてきた。音は可愛いけど当たると案外痛い。大量のアイテムに押しつぶされ、ジャック・お盆・デュラハンはギブアップ! と言いたげに苦し気に橋を叩いていた。物量で殴る、これぞ卑怯なワルの技。

成功 🔵​🔵​🔴​

源・ヨーコ(サポート)
『悪い子はお仕置きっすよー!』
人間のブレイズキャリバー × ビーストマスター
年齢 16歳 女
外見 158.4cm 金の瞳 ピンクの髪 色白の肌
特徴 胸が大きい 八重歯 ギャル ハイテンション! 運動が好き
口調 体育会系(自分、~先輩、~っす、~っすよ、~っすね、~っすか?)

悪いヤツは鉄拳制裁!
あまり難しいことは考えず、敵に向かって猪突猛進するタイプ。全ては拳で解決できると信じていて、とりあえず接近して殴るが基本戦術。
硬そうな相手にはカウンターでの一撃必殺を狙い、素早そうな相手には連撃と使い分けぐらいはする。

単独行動を好み、調査などは苦手。
基本は戦闘オンリーな感じですが、よろしくお願いします。



「悪い子はお仕置きっすよー!」
 源・ヨーコ(鉄拳制裁・f13588)は掌を拳でパシンと叩き、そのままジャック・お盆・デュラハンに向かって突進した。こちとらひたすら拳打を鍛えてはや3年。難しいことは考えない。とりあえず接近して殴る! 風を切って迫るヨーコの拳に、敵は慌てて周囲の霊体を纏った戦車で突進し返し、彼女を後退させるも。
「こんなんで負けないっす! まだまだ行くっすよー!」
 ヨーコは怯まずファイティングポーズを決め、ユーベルコード、正義執行(ジャスティス・インストール)を行使する。【努力】【友情】【勝利】の力で特に強化するのは当然、攻撃力。
「悪いヤツは鉄拳制裁! 今度こそ決めるっす!」
 強化された攻撃力を武器に、ヨーコは再びジャック・お盆・デュラハンに肉薄する。負けじとまた突進してきた戦車は野生の勘で避け、逆にその勢いを利用したカウンターで強化された拳を叩き込む! もんどりうって倒れる敵を尻目に、
「やっぱり全ては拳で解決できるっすね!」
 とヨーコは自身の信念を新たにした。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィデル・マルカ
頭がたくさん…
視界を遮り有利に立ち回る戦い方が多いから頭が多い相手は苦手だ
…あまり気は進まないけど、西洋親分、彼(なのか?あの南瓜たち)の気を引いてほしい
親分である貴方は目立つだろうから、彼に姿を見せるだけでいい
停戦を呼びかけてくれたりすると尚いいかもしれない
その間に僕は闇に紛れて彼の背後へ回り、導者の剣でUC翔空を使い攻撃
攻撃後は再び気配を消して、ヒット&アウェイで攻める
もし見つかって攻撃されたら、攻撃の種類にもよるが攻撃される途中でマントを脱ぎ捨てて攻撃を遮断しよう
魔法系の攻撃だったら、導者の服の加護により素早く行動して回避したい
最終手段は「親分に盾になってもらう」だができれば避けたいな



 南瓜頭デュラハンの霊を召喚し、まぼろしの橋で犠牲者を待ち受けるジャック・お盆・デュラハン。その姿を見、フィデル・マルカ(静かな伝承者・f29494)はぼやいた。
「頭がたくさん……」
 視界を遮り、有利に立ち回る戦い方が多い彼としては、頭が多い相手はやりづらい。あまり気は進まないけど、とため息をつき、フィデルは同行していたしあわせな王子さまに振り向く。
「西洋親分、彼……なのか分からないけど……あの南瓜頭の気を引いてほしい」
「僕に? それはかまわないけれど……」
 気を引くといってもどうしたら……と思案する彼に、
「親分である貴方は目立つだろうから、彼に姿を見せるだけでいい。停戦を呼びかけてくれたりすると尚いいかもしれない」
 とフィデルは重ねて言う。
「分かった、やってみるよ」
 しあわせな王子さまは頷き、フィデルの前に進み出た。そして呼びかける。
「まぼろしの橋を占拠する君、どうか聞いておくれ! 君がどうしてこんなことをしているのかは分からない、でも争いは何も生まないよ。どうか一度、戦いの手を止めておくれ!」
 その呼びかけに、南瓜頭デュラハンは精霊馬の突撃で応えた。やっぱりダメだったか、としあわせな王子さまはぎゅっと目をつぶる。でもこれで気は引けたはず、めちゃくちゃ硬い自分の体なら突撃されても――そう思う彼の背後から、フィデルの導者の剣による素早い一撃が放たれた。どうと音を立てて精霊馬が倒れる。あまりの早業に目を見開くしあわせな王子さま。それは敵も同じだった。動揺してめくらめっぽうに霊体を燃やす炎を放つ南瓜頭デュラハン。フィデルは再び闇に紛れて気配を消し、ヒット&アウェイで攻める。神出鬼没な彼の攻撃に、ジャック・お盆・デュラハンもたじたじ。それでも、警戒してぎょろぎょろ周囲を見回していた南瓜頭が、たまたま闇の中から飛び出してきたフィデルの姿を捉えた。今だと炎を放つ南瓜頭。だが、フィデルはすかさず導者のマントを脱ぎ捨て、投げつけて視界を奪うと同時に攻撃を遮断する。そして、召喚された南瓜頭デュラハンの霊もろとも、ジャック・お盆・デュラハンを大きく斬り裂いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『想い人と語らう』

POW   :    二度と会えない筈の相手に会う為、覚悟を決めて橋に立つ。

SPD   :    あの時伝えられなかった想いを言葉にする。

WIZ   :    言葉は少なくとも、共に時を過ごすことで心を通わせる。

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 大きく斬り裂かれたジャック・お盆・デュラハンは、飲み込まれた妖怪――デュラハンだけを残して姿を消した。駆け寄ったしあわせな王子さまが、妖怪の無事を確認して安堵の息を吐く。
「よかった、骸魂に飲み込まれた妖怪は無事みたいだね。君達猟兵のおかげだ。でも……」
 しあわせな王子さまの目が、いまだ残るまぼろしの橋に向く。
「まぼろしの橋は、オブリビオンを倒しても浄化できない……渡った者を黄泉に送る橋、このままにはしておけないね。申し訳ないけれど……猟兵のみんなには、もう一仕事お願いしたいんだ」
 それは、まぼろしの橋に佇んでいると現れる、「死んだ想い人の幻影」と夜が明けるまで語らうこと。そうすれば、まぼろしの橋は浄化され、誰かが橋を渡って黄泉に送られる危険性はなくなるから。
「辛いかもしれないけれど……君達にしか頼めないことだから。どうか、よろしくお願いするよ」
 飲み込まれていた妖怪のことは僕が見ておくから、としあわせな王子さまは丁寧に頭を下げたのだった。
エリカ・タイラー
ミント様(f25338)と向かいます。

「お父様、お母様、ご無沙汰しております。エリカです。お二人の娘として過ごした日々は幸せでした。食い繋ぐだけでも必死でしたけど幸せでした」

「お二人の命も何もかも奪われたあの日。妹は攫われ、私も身体に大きな傷を受けてしまいました」
パイロットスーツの右腕部を外して傷を晒します。

「私は今猟兵としてヴァンパイアを、そして他の世界のオブリビオンと闘っています。新たな人形も遣っています」
ユーベルコード「フォー・ディメンション・マリオネット」。
からくり人形・ビルトからキャバリア・シュヴェールトを出します。

「絶対に奴等を殺して、あの子を救うから、見守っていて下さいっ……!」


ミント・キャラメル
エリカちゃん(f25110)に付き添いますぅ。

わたしは想い人というほど恋しい人はいないんですよねぇ。
アリスラビリンスからの記憶が全てなのでぇ。

ですけどぉ、目の前で食べられちゃったアリスや、かわいい服で無惨な死体になってたアリスの姿はうっすらと見えますねぇ。

わたしも生き延びるのに必死でしたからぁ、助けられも悲しめも出来なくてごめんなさいねぇ。

ですけどぉ、紙一重で生き延びたわたしは今、猟兵なんですぅ。
皆さんの後のアリスは救えてますよぉ。

それにぃ、今のわたしはお姉ちゃんでもあるのでぇ、
エリカちゃんの抱えている悲しみに寄り添ったり抱き締めたりすることは出来るのですよぉ。



 佇んでいると「死んだ想い人の幻影」が現れるというまぼろしの橋。それは、渡った者を黄泉に送るという。「死んだ想い人の幻影」が現れるというのも、あるいは橋にやってきた者を黄泉に送るための仕掛けなのかもしれない。
 そんなまぼろしの橋に、エリカ・タイラー(騎士遣い・f25110)はミント・キャラメル(眠兎キャラメル・f25338)と共にやってきた。無論、黄泉に行くためではない。この先も生きて、目的を果たすため。それを、今はもう会えない両親に伝えるため。エリカはまっすぐな瞳で橋に立ち、幻影の訪れを待つ。やがて、エリカの瞳に在りし日の両親の姿が浮かび上がった。懐かしい姿に思わず息を吐いた後、エリカは姿勢を正して挨拶する。
「お父様、お母様、ご無沙汰しております。エリカです。お二人の娘として過ごした日々は幸せでした。食い繋ぐだけでも必死でしたけど幸せでした」
 エリカの言葉を、二人の幻影は優しく頷きながら聞いていた。
「お二人の命も何もかも奪われたあの日。妹は攫われ、私も身体に大きな傷を受けてしまいました」
 そう言いながら、エリカはパイロットスーツの右腕部を外して傷を晒す。痛ましい傷跡に、両親の幻影は悲しげに目を伏せた。そんな両親に、エリカはでも、と言葉を紡ぐ。
「私は今猟兵としてヴァンパイアを、そして他の世界のオブリビオンと闘っています。新たな人形も遣っています」
 そして、ユーベルコード「フォー・ディメンション・マリオネット」で、からくり人形・ビルトからキャバリア・シュヴェールトを出した。娘の新たな力に、両親の幻影は目を瞬かせる。出したシュヴェールトに手を添え、エリカは決意を込めて両親に宣言した。
「絶対に奴等を殺して、あの子を救うから、見守っていて下さいっ……!」
 そんなエリカの背を、ミントは優しく撫でる。彼女自身には、想い人というほど恋しい人はいない。アリスラビリンスからの記憶が全てだから。けれど、そんな彼女にも。目の前で食べられてしまったアリスや、かわいい服で無惨な死体になっていたアリスの姿はうっすらと見える。アリス適合者として、様々な「美しい地獄」を生き延びてきたから。かつて助けられなかった同胞の姿に、ミントはそっと目を伏せた。
「わたしも生き延びるのに必死でしたからぁ、助けられも悲しめも出来なくてごめんなさいねぇ」
 それでも、と面を上げ、ミントは瞳に映るアリス達の幻影に呟いた。
「紙一重で生き延びたわたしは今、猟兵なんですぅ。皆さんの後のアリスは救えてますよぉ」
 それにぃ、とミントは傍らのエリカに柔らかな視線を向けた。両親とつかの間の邂逅を果たした彼女は、悲しみをこらえるように俯いて、微かに肩を震わせている。そんなエリカを、ミントは優しく抱き締めた。
「今のわたしはお姉ちゃんでもあるのでぇ、エリカちゃんの抱えている悲しみに寄り添ったり抱き締めたりすることは出来るのですよぉ」
 そのまま、夜が明けて橋が消えるまで。ミントはずっと、エリカに寄り添っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フィデル・マルカ
聞いていた以上に西洋親分はいい人だった。
そんなことを考えながら橋で待つ。
現れたのは――お爺様。

僕は伝承者を受け継いだ者。
先代は兄、先々代は父、その前が祖父。
色々あって兄とは話せず、お父様はよくやっていると言うけれど、正直自信がない。
お爺様が伝承者だった時のことは覚えている。神器で一族を守り、僕達が生活する都が昔はとても美しい場所だったとありありと語っていた。
そんなお爺様に僕はどう映るんだろう。

お爺様の手が頭に触れる。
小さな身で、突然の継承だったのによくやっている、と。
見てくれてるのか…嬉しい。

僕が今までやった仕事を語る。
些細な事なのにしっかり聞いてくれる…
祖父の偉大さを噛みしめて、夜明けまで。



(「聞いていた以上に西洋親分はいい人だった……」)
 そんなことを考えながら橋で待っていたフィデル・マルカ(静かな伝承者・f29494)の前に現れたのは、祖父の幻影だった。

 フィデルは伝承者を受け継いだ者。伝承者とは、故郷を守る者のこと。先代は兄、先々代は父、その前が祖父だった。色々あって、兄と話せないままに伝承者を継ぐことになってしまった彼に、父はよくやっていると言ってくれているけれど。正直自信はなく、フィデルは偉大な祖父の姿に思わず目を伏せた。祖父が伝承者だった時のことは覚えている。神器で一族を守り、自分達が生活する都が昔はとても美しい場所だったとありありと語っていた。そんなお爺様の目に、僕はどう映るんだろう……微かな不安に襲われた彼の頭に、そっと祖父の手が触れた。
『小さな身で、突然の継承だったのによくやっている』
 思わぬ優しい言葉に、フィデルは面を上げた。
(「見てくれてるのか……嬉しい」)
 尊敬する祖父が、死後もちゃんと自分を見ていてくれたことに、フィデルは微かに口元を緩ませる。そのまま、自分が今までやった仕事を語る彼の言葉を、祖父は頷きながら聞いていた。
(「些細な事なのにしっかり聞いてくれる……」)
 その姿に、フィデルは改めて祖父の偉大さを感じて。夜が明けて橋が消えるまで、それを噛みしめていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年10月24日


挿絵イラスト