10
奉られぬ神

#サムライエンパイア

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア


0




●奉られぬ神
 千切れたしめ縄、倒れた灯篭、カビの生えた社。かつては人々で賑わい、子供の笑顔が溢れ、祭囃子の聞こえたその境内は、今は唯々鴉の鳴き声だけが響く。
「許さぬ、許さぬぞ……この愚弄、この仕打ち……決して、許さぬ……。」
 人の集まらない祭りほど、人の通わぬ神社ほど、人が信じぬ神ほど、惨めなものは無いだろう。
「許さぬ……神を敬わぬ城主も、神を忘れた人々も、決して……。」
 今はもう無人のはずの境内に、鴉の鳴き声しか聞こえぬはずの神社に、怨嗟の声が木霊する。

●グリモアベースにて
「栄枯必衰とは言いますが、寂れた神社というのは物悲しいものですなぁ。」
 そう神妙に呟くのは、セバスティアン・ヴァンホーン(真なるお嬢様を探して・f14042)だ。
「今回は皆さまに、サムライエンパイアへと向かって頂きたいのです。」
 セバスティアンによると、とある城下町にて怪事件が頻発しているのだそうだ。それも、その地域の神社で信仰されていた動物――狐の化け物が複数出るのだと言う。人々は祟りだと口々に噂している。
「それもそのはずです。かつて毎年のように祭りが行なわれていた、地元の有名な神社があったそうなのですが……その地域の城主が代替わりした際に財政難を理由に祭りを取りやめてしまったそうです。」
 それから年々参拝客が減っていき、数年前から神主が亡くなったのを機会にその神社は完全に無人になってしまった。斯くして、その神社は人々の口に上がることも無くなってしまったのであった。
「予知によれば、怪事件を起こしている妖怪を生み出している者がいるはずなのです。まずはその狐の妖怪達を一掃した後、その黒幕を討伐頂きたい。」
 狐の妖怪達――オブリビオン――は黒幕によって生み出された存在。決してかつて信仰されていた神とイコールでは無い為、説得や助けるということを考える必要な無いだろう。
 怪事件の解決と黒幕の討伐、本来であれば事件はそれで解決のはずだが……セバスティアンは言葉を続ける。
「城下町の人々は、今回の事件を切っ掛けに、良くも悪くも神社の存在を思い出すでしょう。そして恐らく、人々の手によって祭りを再開するはずです。……やはり人間、祟りは怖いですからね。」
 切っ掛けや理由が何であれ……神社の手入れが改めて行なわれ、祭りが再開されるのであれば、それはきっと良いことなのであろう。
「せっかくでしたら、皆さまも祭りを楽しんできて下さいませ。より多くの人々が集まり、より多くの笑顔がそこに溢れれば、それはきっと、神への祈りとなりましょう。」
 そう笑みを浮かべたセバスティアンは、最後に一言と顔を引き締める。
「それでは皆様、何卒宜しくお願い致します。」


きみはる
 初めまして、新人マスターのきみはると申します。
 今回が初依頼となります。至らぬ点が多いかと思いますが、何卒宜しくお願い致します。

●一章・二章
 まずは雑魚を倒して下さい。今回のオブリビオンはイメージ的には恨みつらみが妖怪へと変化したようなもので、決して信仰されていた神様とイコールではありません。説得等は心配せず戦って下さい。その後、ボス戦となります。

●三章
 皆さんで祭りをエンジョイしましょう。
 祭りの準備はここ数年行なわれていなかったとは言え、慣れている住民たちに任せて頂いて大丈夫です。

●執筆について
 マスターページにあります通り、基本土日執筆がメインとなる為、木曜夜~のプレイングが採用率が上がります。ただし、今週のみ土日(9,10日)が時間が取れにくく、月曜祝日(11日)に時間が取れそうですので、金曜夜~のプレイングがより安全です。

 以上、宜しくお願い致します。
94




第1章 集団戦 『憎しみに濡れた妖狐』

POW   :    神通力
見えない【波動】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    鬼火
【尻尾から放たれる怨嗟の炎】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    心眼
【常に相手の思考を読んでいるかのように】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ハバキ・アルティスカ
(相棒のリーデと参加)
信仰されなくなったが故に積もった恨みか…なぁリーデ謡様は俺たちがいなくなったらどうなると思う?まぁ、私が謡様のもとを去るのは命が尽きるその時だが…。

何はともあれ戦おうかといってもリーデと来ているんだ一人で戦う必要は無いだろう?連携して奴らを殲滅するぞ、結局初戦はオブリビオンだ俺たちが遠慮するようなことは一つもねえ。行くぜリーデ【トリニティ・エンハンス】発動!骸の海に還りやがれ!


リーデ・クインタール
(相棒のハバキと参加)
謡様?あの方はわたくし達がいなくなっても何も変わらないと思いますよ?あの方はその様なお方です。結局謡様は狂気と流血と断末魔の世界に生きておられる方。死等日常に過ぎないでしょうから…。

さぁ、戦闘開始です。行きましょうハバキ。信仰など人のエゴに過ぎません人々の信仰を獲得できなかった矮小なる神に向ける哀れみなど持ち合わせておりませんから…。
前衛は任せますよ?ハバキ。【ヴァリアブル・ウェポン】展開、散りなさい!




 夜の帳が下りる頃、本来であれば暗闇に包まれるはずの無人の境内には、ゆらゆらと灯が揺れていた。通りすがりの人が見かければ、祭りか何かで提灯でも並んでいるのかと思うのでは無いだろうか。しかし、目を凝らせば気付くはずだ――その揺れる灯の根本には、首の無い狐の妖が佇んでいることに。
「信仰されなくなったが故に積もった恨み、かぁ……。」
 そう感慨深げに呟くのは、ハバキ・アルティスカ(王の左・冥血騎士・f14085)だ。ハバキはゆっくりと歩みを進めながらその傍らに立つ相棒――リーデ・クインタール(王の右・煉鏡騎士・f14086)へと語りかける。
「なぁ、リーデ……謡様は俺達が居なくなったら、どうなると思う?」
 信仰とも言える程の絶対の忠誠を誓う己の主が、もしも自分達が居なくなったら……目の前の妖たちのように恨むのであろうか、それとも悲しむのであろうか。己が去るとすれば命果てるその時だけだという自信がありながらも、ついついそんな思いを馳せてしまう。
「あの方は私達が居なくなっても、何も変わらないと思いますよ?」
 そう返すリーデは相棒であるハバキとは対照的に、その想像がまるで無意味かのように淡々と言葉を返す。
「あの方にとって、死等日常に過ぎないのでしょうから……。」
 その言葉こそ、やはり二人が主人の元を去る時はその命が尽きたときだけだという前提があるが故の言葉。対照的に見えてその忠誠心において、二人は似た者同士なのであろう。

「ウゥォォオオオ……許さぬ、許さぬぅ……。」
 低く響くようなうなり声に目を向けると、ふと気づけば二人は複数の妖に囲まれていた。そのどれもが、二人へ憎悪の感情をぶつけている。それは、その妖に顔が無くともそう確信できる程の殺意であった。
「さて……前衛は任せますよ?ハバキ。」
 リーデは『ヴァリアブル・ウェポン』により内蔵兵器を展開する――彼女の皮膚が割れたかと思えばその隙間から顔を覗かせた銃口を駆けだした妖へと向け、静かに呟く。
「散りなさい。」
 妖が纏う鬼火だけが辺りを照らしていたその空間を引き裂くような機銃の音と共に、周囲を照らすマズルフラッシュが瞬いたかと思えば、今正に彼らへと襲い掛かろうとしていた妖が一匹、また一匹と鈍い音を響かせながら地面へと横たわる。
「よっしゃぁ、行くぜリーデ!『トリニティ・エンハンス』発動っ!」
 妖から放たれた鬼火をハバキが潜り抜けると同時に、彼女の身体が三色のオーラを纏う。
炎・水・風の魔力により、彼女の体が強化されたのだ。
「骸の海に還りやがれ!」
 リーデが撒き散らす鉛の雨により浮足立った妖の群れへと、ハバキは己が愛刀を滑り込ませる。ハバキへと妖の注意が向けば、リーデが体内から顔を出した機銃により薙ぎ払う。その連携は正に“相棒”と互いを呼び合うこそのものであった。

「我らを忘れるだけでは飽き足らず、排除しようというのか……。」
 ハバキが複数の妖を切り捨てるも、未だあたりには二人を取り囲もうと蠢く妖たちで溢れていた。
 猟兵たちの戦いの夜は、未だ始まったばかりだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

零落・一六八
鬼火が提灯見たいでお祭りみたいっすね!ま!派手にやりましょうや!
忘れられたなら、賑やかして、思い出して貰って、記憶の刻み付けて貰ったほうが報われるでしょ?

鳥居の上から重力をのせて飛び降りると同時に叩き斬る

野太刀で【なぎ払い】
【怪力】で蹴飛ばし吹っ飛ばし
ハイパーなぎ払いで周囲を一掃
ダメージ受けてる相手には【傷口を抉る】
自分が危ない時は【生命吸収】
その辺にある岩だの木だのはバチ当たり(壊したりとか)じゃない程度になんでも利用しましょう。
心眼ってようは分かってても避けられない攻撃すればいいんですよね!ってことで素早く切り捨てる

ほーら、祭りですよー!いえーい!(けたけた)

※アドリブや他との絡み大歓迎


ハルピュイア・フォスター
アドリブや絡みはOK
自分では何も行動せず間違いは全て人のせい…神様って楽でいいですね…。

躾と言ったら鞭がお約束…かな?なので今回は零刀(未完)を鞭に変貌
まぁ動き回られて境内が壊されたあとの掃除はわたしは嫌なので足などを狙って攻撃

忘れ去られた話などをしつつ相手が冷静に行動させぬよう、また感情的にさせる為に恐怖を与えるで増幅させて単調な行動を誘いわたし達が動きやすくしたい
隙が出来たらLost memoryで妖狐のユーベルコードを封じ込め仲間の援護
(弱点;遠距離のみ・選択制・複数の思考は読めない…など)
反撃された際は残像とダッシュで回避しよう

黒幕への周囲の警戒もしっかりと行う




「なんだかお祭りみたいっすね!ま!派手にやりましょうや!」
 揺らめく鬼火がまるで提灯のようだと、鳥居の上から周囲を見渡した零落・一六八(水槽の中の夢・f00429)は楽しそうに独り言ちる。その楽観的な声に反応し、夜空を見上げた妖は鳥居から飛び降りたその男に一刀もとに両断された。
「さぁ、行くっすよー」
 一六八が担いだ粗野な一振り――無銘野太刀が振るわれると、『ハイパーなぎ払い(ハイパーナギハライ)』により衝撃波が放たれる。妖を蹴飛ばして吹き飛ばしたかと思えば、境内の樹木を、岩を、倒れた灯篭を、時には妖を足場にして縦横無人に飛び回る。そうして放たれた衝撃波がまた、妖達を薙ぎ払って行く。無差別かつ豪快な暴れようだ。
「ちょっと、境内が壊された後の掃除なんてわたしは嫌ですよ?」
 一六八の背後からそう語り掛けるのは、オッドアイの少女、ハルピュイア・フォスター(天獄の凶鳥・f01741)だ。ハルピュイアはその手に持つ鞭を振るうと、今まさに狐火を放とうとしていた妖の足を掬い、地面へと引き倒す。その手に持つ一見鞭と思われた武器は、暗闇に目を凝らせばそれが防寒用の肩掛け、所謂ストールであることが分かるだろう。その変幻自在なストールこそ、彼女の武器――零刀(未完)なのだ。
「なーに言ってるんすかー、ボクはバチが当たらない程度にしかやってないっすよー。」
 よくよく見れば、一六八が飛び回る為に足蹴にしているのは、岩や樹木の自然物、そして既に倒壊した灯篭であって、社や未だ無事な灯篭には決して飛び乗ってはおらず、彼なり神社をこれ以上壊さずに戦おうとした配慮がそこにあった――そもそも、鳥居を足蹴にしている時点で十分バチ当たりなのだが。

 ならば良しとして、ハルピュイアは妖へと改めて向き合う。
「ねぇ、自分では何も行動せず間違いは全て人のせい……神様って楽でいいですね……。」
 彼女は、あえて妖達の神経を逆なでするような口調で彼らの傷口を抉る。
「そんな顧みない態度だから、忘れ去られたんじゃないんですか?」
 そうした彼女の挑発に妖達はもはや言葉にならない怒号を響かせる。ハルピュイアが振るう鞭に対しまるで動きを読んだかのようにその身体を翻すと、神通力によって壊れた灯篭を投げ付けようと空中へと浮かび上がらせる。
「ほーら、祭りですよー!いえーい!」
 ハルピュイアへと注意を向けていた妖達の横っ腹に一六八が衝撃波を叩きつける。意識外からの攻撃に妖達はまるで反応出来てはいない。
「あなた達……複数の思考は読めない、でしょ?」
 大きく体勢を崩し、隙だらけとなった妖達へと歩み寄ったハルピュイアは、その存在しない顎先へと指を這わせる。その言葉にびくりと反応し動きを止めた妖は、一呼吸の後にガタガタと震えだす。彼女のユーベルコード、『Lost memory(ロストメモリー)』により動きが封じられているのだ。果たして妖達が見ているのは会いたい人か、それとも恐怖の記憶か……。
「隙だらけじゃないっすかぁ、チャーンス!」
 動きを止めた妖の背後から刀で貫いたと思えば、一六八が頭上に掲げ、けたけたという笑い声を上げながら血を啜ることで傷を癒す。その仕草は正に、妖よりも化け物然として、妖達を更なる恐怖へと陥れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

匤・璃狐
祀られへんくても、ヒトの笑うてる顔見たら、うちは楽しいんやけどなあ
お顔が無いんは、忘れられてしもたからやろか?
それとも顔が無いなるくらい、恨みつらみに飲まれてしもたん?

この子達には、まあ関係ないんやろうけど
どっちにしろ、怒るんはしんどいよって
楽になろうな?

正直、戦うんは怖いんよ
痛いんも嫌やし
とりあえず【誘惑】と【動物会話】で動き封じとこか
同じ狐やし、聞いてくれたらええんやけど
…動かんとって?

動かん的なら、うちでもちゃんと当たるんやない?
…動いとっても、数撃てば当たるやろ

【フォックスファイア】で攻撃しよか

――恨みごと燃やしてしまお?




 境内の片隅でもまた、静かな戦いが繰り広げられていた。
「なぁ、怒るんはしんどいよって。」
 匤・璃狐(妖星跋狐・f03415)は、静かに、そして悲しげに一体の妖へと語りかけていた。彼女は目の前の妖に自分を重ねてしまっていた。自分なら祀られなくとも、人々の笑顔を眺めているだけで満足出来るのに。目の前の妖の顔の無い姿こそが、人々に忘却された証なのか……それとも、恨みつらみに飲まれた故なのか。
「もう、楽になろうな?」
 璃狐は心優しい少女であった。戦うのは怖い、痛いのだって当然嫌だ。それでもこの戦いに身を投じたのは、もはや怨嗟の声しか言葉に出来ない存在となった目の前の妖達を放っては置けなかった為であろう。
「……動かんとって?」
 相手はもはや正常な会話すらも成り立っているのか怪しいほどに狂ったオブリビオン。決して、彼女の言葉で改心したわけでは無いだろう。しかし、未だ妖狐としては未熟な『誘惑』の言霊に縛られているのは、その狂った妖の中に僅かでもまともであった頃の残滓が残っているからであろうか?
「恨みごと、燃やしてしまお?」
 そう語りかける璃狐の目尻に溜まった涙が、月の光を映し出していた。差し出した彼女の指先からゆっくりと狐火が放たれ――石畳に、一滴の水滴が跳ねる音がした。

成功 🔵​🔵​🔴​

高宮・朝燈
おばーちゃんの言葉を借りれば、「自分の知恵と、横の繋がり」。
エンパイア内にどれだけ稲荷神社があると思ってんの?
少なくともおばーちゃんの所はかなーり上手くやってるはずだよ。
神社再建って意味では出雲大社のお国さんの例もあるし。

「藩主に資金を止められたくらいで何も対策せずに潰れて行ったアンタ達が悪い。うん」
なので、そうきっぱりと言ってあげよう。
でも当人がオブリになっちゃったら、手遅れなんだよねぇ。
「…とりあえず、お掃除からかな?」
そんなわけでオブリに向かって爆弾をぽーい。
対オブリ専用の新型爆弾。自分でも都合よく作ったなーって思うよ。

後でおばーちゃんの所に手紙でも送って、再建でもお願いしようかな?




「まったくもぅ、エンパイアの中にどれだけ稲荷神社があると思ってんの?」
 高宮・朝燈(蒸気塗れの子狐・f03207)は壊れたラジオのように怨嗟の声を垂れ流す妖たちを、辟易とした表情で眺めていた。彼女は祖母の神社を思い出していた。『自分の知恵と、横の繋がり』、そう語っていた祖母の姿を思えば金が無くとも、もう少しやりようがあったのではないかと考えてしまう。
「藩主に資金を止められたくらいで何も対策せずに潰れて行ったアンタ達が悪い。うん。」
 努力が足りぬと妖達の恨み言を切って捨てた朝橙は、そうした苦言ももはや手遅れかと、悲しみの表情を浮かべる――だからといって、このままにする訳にはいかない。
「ん~……とりあえず、お掃除からかな?」
 そう朝橙が取り出したのは、見るからに物々しい爆弾であった。彼女のユーベルコード、『最低なオチ要因(サイテイナオチヨウイン)』によって産み出されたものだ。
「対オブリ専用爆弾、いっくよ~!」
 放り込まれた明らかな危険物に妖達がざわめき始める。まさか神社を破壊する気か、神聖な社をなんと心得るのか、やいのやいのと騒ぎ出す妖達を尻目に無慈悲なカウントダウンが刻まれる。朝橙が心の内で五つ数えると――辺りは閃光と爆音に包まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『黒幕の助言者』

POW   :    死灰復然(しかいふくねん)
【Lv体の武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    含沙射影(がんしゃせきえい)
【無数の影の刃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    電光雷轟(でんこうらいごう)
【錫杖】を向けた対象に、【激しい雷光】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●黒幕登場
「おやおやぁ、此処までの私の努力が台無しじゃないですかぁ。」
 石畳を突きながら、その独特の金属音――錫杖の音を響かせながら、暗闇から一人の男が現れた。その姿からはエンパイアではよく見られる旅の僧侶のように一見思えた。しかしどこかその不気味な威圧感に、猟兵たちは目前の男こそが、事件の黒幕であると直感的に確信した。
「妖を生み出すのだって楽じゃないんですよ?単純に妖狐を殺したって妖になんてなりませんし。」
 童子に講釈を垂れるかのように猟兵達へと語り掛ける男は、ゆっくりと石畳を歩きながら猟兵達へと歩み寄る。その錫杖を虚空へと振るったと思えば、猟兵達により討伐された妖達が煙のように宙へと溶け出し……男の掌中へと収まっていく。
「絶望させてから自我を奪い、憎しみを時間をかけて熟成させて……そこから殺して、ようやく妖へと創り変えたのです。まぁ、人々を襲わせてからその畏れを喰らい、数を増やしていくのは簡単でしたがね。」
 恍惚と語る男はまるで己が作品を誇る芸術家のようであった。しかし一転、男の表情は苦々しいものへと変わる。
「しかし、そこを少し焦り過ぎましたかねぇ。こんなに早く邪魔が入るなんて……まぁ、仕切り直す為にも、貴方達には死んでもらいましょうか。」
 男はゆっくりとその手に持っていた錫杖を猟兵達へと向ける。黒幕との闘いの火蓋が切って落とされた。
零落・一六八
へー、作るの苦労したんすね。そいつはお疲れさんです。
人が苦労して作ったものぶち壊してやるのってサイコーに楽しいっすね!台無しにしてやりましょう!(意気揚々と)
仕切り直し?できると思ってんですか?祭りだけにおめでたいっすね!

【捨て身の一撃】で正面特攻して、怪我したら【生命吸収】
POWとSPDの攻撃に対しては【なぎ払い】で振り払いましょう
攻撃こそ最大の防御ってやつです
【激痛耐性】で気にせず止まりません
まぁ痛いんですけど!
斬釘截鉄で武器破壊狙ってみましょうか
ついでにそれに動揺してくれりゃ【怪力】で蹴りでもいれましょう。
誰かいるようなら、攻撃が入りやすいような方向に蹴飛ばします

アドリブ他との絡み歓迎




「へー、作るの苦労したんすね。そいつはお疲れさんです。」
 零落・一六八(水槽の中の夢・f00429)は黒幕の男の一人語りをさもどうでも良いかのように聞き流し、辟易とした表情を浮かべていた。しかし、ふとその表情がまるで悪戯を思いついた悪童のような笑みに変わると、一転楽しそうな声をあげる。
「人が苦労して作ったものぶち壊してやるのってサイコーに楽しいっすね!台無しにしてやりましょう!」
 たわけ――と憎々しげに男は呟くと、その懐から怪しげな符を取り出す。
「ふるべ、ゆらゆらと、ふるべ……ふるべ、ゆらゆらと、ふるべ」
 男が呪文を口ずさみ始めと、怪しげな符がその指から離れ、一人でに浮かび上が始める。次の瞬間、次々と蒼い炎で札が燃え始めたと思えば――突如地面が光り出し、そこには両手では数えきれないほどの鎧武者が現れた。何れも骸骨が鎧を纏った格好をしており、それぞれ刀や槍、弓矢を構えている。

 一六八は突如現れた軍勢に気おされることなく、無銘野太刀を肩に風のように駆けだした。飛来する矢を切り落とし、突き出される槍を振り払い、振り落とされる刀を弾き飛ばす。目の前の軍勢を物ともせず、まさに正面突破せんと特攻する。その身に刀傷が刻まれようとも、骸骨武者を薙ぎ払いながら黒幕の男へと駆け抜ける。
 男は歯噛みしていた。男が召喚した軍勢は皆健在だが、目の前の敵を止めることすら出来ていない。そうしている間にも、敵が男の目の前へと踊り出た。
「いえーい!真っ二つにしてやりますよ!」
 正に男を両断せんと、一六八の『斬釘截鉄(クギヲキリテツヲタツ)』が襲い掛かる。その重い一撃は、巨大な断頭台を彷彿とさせた。
「くっ、小癪なっ!」
 男は一六八の一撃を錫杖で防ぐが、異音と共に罅が入るのを確認した。その一撃を受け止めきることが出来ず、男の肩へ野太刀がねじ込まれていく。このままでは拙いと男がまた呪いを口ずさむと――錫杖の先端から激しい雷光が放たれた。その雷光は、鬼火が消え再び暗闇へと還った境内を昼間のように煌々と照らす。その光に照らされた一六八の顔は、本来訪れるはずの激痛がまるで無いかのような涼しい顔であった。
「まぁ、痛いんですけどねっ!」

 密着した状態から蹴り飛ばされた男は石畳に体を打ち据えながら転がっていくと、錫杖を杖にゆっくりと立ち上がる。骸骨武者たちが、護衛せんと再び男を取り囲んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シュデラ・テノーフォン
俺も、作るのは好きだけどね
君のは共感できないなァ

何、妖狐だけじゃないんだ君の駒
兵隊ばっか寄越してないで直接ヤり合おうよ
言いながらCenerentolaに光の精霊弾をセット
まァ除霊?浄化作業と思えば良いのかな
片っ端から撃ち抜く

武者の矢と、ついでに影の刃だっけ?
それも全部撃ち落とすで良いけど…流石に多いか
ん?大丈夫困らないよ
笑いながら左手を翳して指輪の盾を展開
如何足掻いても俺には届かないさ

人狼の勘で錫杖向ける仕草を察知、敵の手へクイックドロウの銃撃一発
そろそろ俺の番でいい?勿論待ったは聞かないよ
もう精霊銃は複製してあるからね
全銃口敵方に向けて、にっこり笑顔
じゃ喰らいな。光り輝くGlasregenだ


匤・璃狐
自分が楽しければ何をしてもええ
…誰かを傷つけてまで楽しむんは、それはもうただの身勝手や



…きっと、言葉は届かんのやろうけど
せめてこれ以上、誰かが犠牲にならんように
あなたを止めさせてもらうな

攻撃に対しては回避できそうなら回避しつつ
【オーラ防御】でダメージを減らしたい所

お狐印のまじない紙で【範囲攻撃】
【破魔】の力で武者の数を減らしてから
一点集中で黒幕に【フォックスファイア】
他の猟兵さんがいるなら、戦いの手助けにまじない紙で【マヒ攻撃】を加えて繋げよか

――これが今のうちの精一杯


アドリブ・絡み歓迎


ハルピュイア・フォスター
アドリブや絡みはOK

わたしもあなたが妖狐を作った様にあなたを絶望させてから……ゆっくりと暗殺してあげる…。
今回は零刀(未完)を前回の鞭から両手持ちナイフに変形
基本はヒット&アウェイで生命力吸収しつつ攻撃
危険な反撃は残像とダッシュで回避、避け切れない時は零刀(未完)を大盾にして武器受けでガード

殺気と恐怖を与えるで妖狐の様に理性を失わさせてみよう
仕切り直し?次があるのはいいですね…あればの話ですが…。
絶望したらLast memoryと鎧無視攻撃の併用で暗殺




「自分が楽しければ何をしてもええ……誰かを傷つけてまで楽しむんは、それはもうただの身勝手やっ!」
 匤・璃狐(妖星跋狐・f03415)はこれまで感じたほどの無いほどの怒りを感じていた。彼女が様々な世界で出会い交流してきた誰よりも、目の前の男は身勝手で、邪悪で、不愉快だった。
 きっと彼女の言葉は届かない。璃狐自身もまた、男が自分の言葉で改心するだなんて甘い考えは持ち合わせていなかった。だからこそ倒さねばなるまい――これ以上の犠牲を防ぐ為にも。
「あなたを……止めさせてもらうな。」
 璃狐は掌から狐火を浮かび上がらせる。すると彼女は、懐から札を取り出した。その札――筆文字と共に可愛らしい狐が描かれている――を狐火にくべると、狐火は一際大きく、そして清らかな白へと変化していった。
「ほなっ、いくでぇ!」
 破魔の炎が吹き荒れる。大きく膨らんだ狐火が黒幕の男へと飛来し、男を庇わんと壁を作る骸骨武者を次々と薙ぎ払う。猛火に照らされた境内に、燃やし尽くされる武者の影による白と黒の強力なコントラストが描かれた。

「おーっと、メインイベントに間に合ったみたいだね……さぁてと、浄化作業といきますかぁ。」
 炎吹き荒れる境内に、飄々とした言葉を零しながら新たな人影が現れた。硝子細工で彩られた白き大型拳銃――Cenerentolaへと透き通る精霊弾を装填しながら、シュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)は戦場を闊歩する。
 新たなる人影へと放たれた矢の雨が降り注ぐ。シュデラがその左手に嵌めた指輪――Schild von Cendrillonを目の前に翳したかと思えば、虚空へと透き通るような盾が展開され、軽々と矢の雨を防ぐではないか。その盾もまた洗練された彫り込みにより彩られ、戦場に似つかわしくない美しさを放っていた。
「如何足掻いても、俺には届かないさ。」
 駆け寄る骸骨武者を一人、また一人と撃ち抜く。その動きは周囲の慌ただしさと比べ、どこか別の時の流れを感じさせるほどに、余裕に満ちたものだ。
「兵隊ばっか寄越してないでさぁ、直接ヤり合おうよ。」
 黒幕の男へと穏やかに語り掛けるのその微笑は、穏やかでありながらもどこか艶やかさを纏い、男を静かに威圧する。

「糞っ、糞っ、糞っ!」
 黒幕の男は焦っていた。肩の傷が痛む。生み出した骸骨武者達もまた、次々と駆逐されてゆく。男はただ、己が計画を邪魔した不届き者に仕置きをする、それだけのつもりであったのに……。
「わたしもあなたを絶望させてから、ゆっくりと殺してあげる……。」 
 耳元から聞こえるその声に、男は勢い良く振り返る――頬に走る鋭い痛みが、目の前の少女、ハルピュイア・フォスター(天獄の凶鳥・f01741)によってもたらされたことを理解した男に寒気が襲う。今、目の前の少女は己が首を簡単に掻き切れたのでは無いのかと。
「その余裕を、後悔させてあげますよっ!」
 男はその影から生み出した刃を振り回す。その刃は荒れ狂う竜巻のように男の周囲を薙ぎ払い――護衛の骸骨武者を細切れにしながら吹き荒れた。
 殺った――そう男が確信すると、目の前の細切れになった少女が雲散霧消する。残像かと男が気付くと同時に脇腹に痛みが走る。
 振り返ればまた、血濡れたナイフを持ったハルピュイアが立っていた。

「うっ、うわぁあああ!」
 苦渋に満ちていた男の表情に、初めて恐怖の色が浮かぶ。
 男は咄嗟に目の前の少女を雷で薙ぎ払わんと、己が錫杖を振りかざす――その瞬間、男の掌へと衝撃が走った。ふと視線を走らせれば、骸骨武者を駆逐し終えた猟兵達が直ぐ傍まで来ているではないか。
「そろそろ俺の番でいい?勿論待ったは聞かないよ。」
 満面の笑みを浮かべながら歩み寄るシュデラの周囲には、月明かりに光輝く銃が浮かんでいた。
 余所見をしている場合では無いと視線をハルピュイアに戻せば、そこにはもう彼女はいない。
「……さよなら。」
 耳元から艶を帯びた声が囁かれると共に、冷ややかな感触が首筋に伝う。
 声が出ない。咄嗟に振り払おうにも……体が痺れて動かない。目の前には札を構えながら力強くこちらを睨む少女、璃狐が立っていた。

 男の表情に絶望が浮かんだ時――男の首筋に刃が走り、全身が光り輝く弾丸に撃ち抜かれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『祭りばやしに心の踊る』

POW   :    神輿を担いだり、体力を要する遊びに参加しましょう

SPD   :    技術や速さで競いあったりして楽しみましょう

WIZ   :    謎解きや風流ごとに興じましょう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●戦いの後に
 辺りは喧騒に包まれていた。夜中に響いた数々の騒音がようやく止んだ為、様子を見ようと麓の城下町の人々が集まってきたのだ。遠巻きに囲まれた猟兵達が今後の対応について相談していると、人々を掻き分けて一人の小柄な老人が走り寄ってくる。
「なんでいなんでい、てやんでぃ!こいつは一体どういう事だってんだぁ!」
 猟兵達が話を聞くと、老人はこの辺りの顔役のような人間だという。騒音騒ぎの中心にいた猟兵達を恐れ遠巻きに眺めている人々と比べれたら、確かに小柄ながらも進み出てきた老人の胆力は確かなものだろう。
 意外にも老人は冷静に猟兵達の話を聞くと、毎夜人々を悩ませていた怪事件が今夜は一件も無かったと素直に説明を信じてくれたのだった。老人は居住まいを正すと猟兵達へ丁寧に頭を下げ、礼を述べた。これまで何度も城主へと陳情するも、まともに取り合っても貰えなかったらしい。

「皆と相談した結果なんですがね、祭りを再開しようと思ってるんでさぁ。」
 遠巻きに囲う人々へ説明し、散らせた老人は猟兵達のもとへと戻ると、開口一番にそう言い放った。
 本来であれば来週が祭りの日取りであったのだという。かれこれ長い間行なっていないが、準備をしてきた老人や若くない人々は、昨日のように情景を思い出すことが出来る。これまで城主に配慮して実施していなかったが……今回の事件を考えれば、神社を手入れし祭りを行なう方が人々の不安が薄れるという判断だそうだ。
「もし宜しければ皆さまも参加していって下せぇ。今回のお礼もありやすし、当日まで滞在されるんでしたら、その間も歓待させて頂きやす。」
 邪推をすれば、本当に事件が解決したのか……万一再び妖が出た時の為に、猟兵達に滞在して欲しいという下心があるのかもしれない。それでも、目の前の老人に見られる感謝の気持ち、そして神社に対する後悔の気持ちは、嘘偽りの無いものだと確信出来る。
 斯くして、翌日から……お祭り騒ぎのような突貫準備が行なわれ、無事祭りの当日を迎えるのであった。
ハルピュイア・フォスター
常時、右眼の青眼のみ開いている
どこかハルピュイアの様でいつもとは違う優しい雰囲気
今はまだハルピュイア本人には打ち明けていない内緒の別人格が勝手に動いているので本人は知らないし今は意識もなく寝てる状態

迷彩と目立たないを纏いひっそり一人で訪問
今日来たのはお祭りの参加ではなく黒幕に絶望のあとに殺され利用された妖狐のお墓参り
私はお花とお線香、鎮魂の祈りを捧げ神社から誰にも気付かれぬ様に迷彩と目立たないを纏いひっそりと立ち去る




 太陽が空の頂きに差し掛かろうとしている頃、神社の境内では祭りの開始を今か今かと待ち構える人々で溢れていた。
 そんな人々の喧騒から離れ、一人裏手の森の中を独り歩く少女の姿があった。
 事件を解決した猟兵達のうちの一人、オッドアイの少女――ハルピュイア・フォスター(天獄の凶鳥・f01741)だ。
 彼女のルビーの如き赤き瞳は閉じられ、ラピスラズリのように澄んだ蒼き瞳だけが開かれている。
 彼女と普段交流がある者が見ればきっと違和感を感じただろう。常に無表情が張り付くその顔には穏やかな笑みが浮かび、纏う空気はまるで春の日の穏やかな日差しのようだ。

 ハルピュイアが訪れた先には、石が積まれていた。
 それは彼女が作った今回の事件で犠牲となった者の墓所であった――たとえそこに骸が無くとも、鎮魂はきっと必要だと感じたから。
 ハルピュイアは石の前に跪くと、傍らに持つ花を添えた。
 数本の線香にそっと火を灯すと優しく地面に差し込み、静かに掌を合わせる。
 微動だにせず、静かに祈る彼女の姿はまるで、一枚の絵画のようだ。

 突然の風に花が揺らぐ。
 その場には、献花と共にたゆたう煙だけが残った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シュデラ・テノーフォン
この世界の祭りかァ
面白そうだから帰る前に寄って行こうか
あ、人手が欲しいなら準備は手伝うからね

わー、賑やかだね
エンパイアの祭りは勢いの良い派手さっていうのかな
アレがお神輿?面白いデザインだな
スケッチしてこう、え?担がないよ?
俺見てる派なんだごめんね

屋台も色々あるんだなー…射的?
うんうん、このオモチャの鉄砲でアレ打つんだ。いいの?
本当に?…狙撃するよ?
…うん。やり過ぎたかな

お土産買ってこ、飴がいいな
飴細工綺麗。これ俺でも作れるかなァ
コレは、りんご飴?可愛い
コレ買って帰ろう

うん。町の人達良い笑顔だ
良かったね、祭りが再開できて
俺達も頑張った甲斐があったよ

最後はあの寂れてた神社にお参りしていこうかな




 この数年人が寄り付かなかった神社の境内には、これまでの状態からは想像できない程の人々が行き交っていた。
 つい先日まで閑散としていた境内に様々な出店が並んでおり、人々の往来による雑多な音と共に、祭囃子が響き渡る。
 澄み渡る青空の中、祭りは無事開催されていた。
 
「アレはお神輿って言うんだぁ。面白いデザインだな。」
 シュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)は人々の往来を眺めながら、道の端でペンを走らせる。その胸元には購入した飴細工やりんご飴が刺さっており、既に祭りを楽しんでいるのが見て取れる。
 さすがに神輿を担ごうとは思わないが……普段触れる細工とはまた違った方向の芸術性に、職人として感じ入るものがあるのだろう。真剣な表情で神輿とそれを担ぐ男たちをスケッチする。
 
 ふと気づけば……自分がスケッチした人々の表情が、本当に良い笑顔をしていることに胸が温かくなる。この笑顔が守れたのであれば、先日の苦労は報われるであろう。
 シュデラはスケッチを終えると、祭りの雑踏の中へと歩みを戻す。どの食べ物も、どの遊びも、自分にとっては新鮮で輝いて見える。
「へぇー、何コレ、面白そう。」
 ふと目をやれば、己の武器と同じ銃の形状を模した玩具を置いた出店が目に留まる。店主の説明によれば、射的と呼ばれるこの出店では玩具の銃から玉を撃ち出し、並べられた景品を台から落とせばそのまま景品が貰えるらしい。
「アンちゃん、化物を退治してくれた人たちの一人なんだろ?サービスで弾を倍にしてやるぜ、遊んできな。」
 まぁ、初めての人には難しいだろうと笑い飛ばしていた商人は、良いのかと何度も確認するシュデラの背を押し、強引に遊びへと勧める――が、撃つ度に積み上がっていく景品を眺め、段々と笑顔が固まっていった。
「いやぁ、やり過ぎちゃったかな?」
 本来落とせる想定では無いであろうか?他と比べやけに大きな品も含め、山のように積み上がった景品と笑顔が引き攣った商人を見比べ、ついついやり過ぎてしまったと反省する。
 持って行って構わないと豪語する商人に遠慮し、いくつかの菓子を見繕うと、シュデラは店を後にした。

 さて、最後にお参りでもしていこうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

吉瀬・煙之助
璃狐ちゃん(f03415)と参加
お疲れさま~、おじさん迎えに来たよ!
せっかくだからお祭り一緒に回って帰ろうか

食べ歩きしながら何して遊ぶか選ぼうか
ベビーカステラや綿あめ、林檎飴を買って露店を見回るよ
ベビーカステラは団員の皆の分もお土産に買っていこうね!
ん?璃狐ちゃんも綿あめ食べる?
林檎飴は綺麗な赤が勿体ないから、食べるのは後で取っておこうかな

璃狐ちゃんは金魚すくい気になるの?それじゃやろっか!
そうだな~、せっかくだし璃狐ちゃんぽい白に綺麗な赤い模様の入った子がいいな
あ、あの子とかどうかな?璃狐ちゃん頑張ってー!
うまく掬えたら庵で飼おうか、庵の庭にある池ならのびのび泳げると思うよ


匤・璃狐
煙ちゃん(f10765)と一緒に

祭囃子の音につられてくれば、あふれる笑顔。
頑張って良かったなあ

あっ煙ちゃん見っけ
一人で回るつもりが、嬉しい予想外
誰かと一緒やと楽しさもひとしおやんね

とりあえずベビーカステラを今食べる用に一袋
どうぞ、煙ちゃんもつまんだってな
翠苑の皆へのお土産も忘れずに
隣の綿飴が気になる…ひと千切り…なんてそないなことは、うん…
まだまだ時間はあるよって、ゆっくり食べ歩いてこ
次の目的地は林檎飴、食べ歩きは始まったばかり

お腹が満足した所で金魚掬い発見!
仮にも人形遣い、こういうんは出来そうな気ぃする…!
煙ちゃんはどの子がええと思う?
上手く掬えたら、思い出にちょっとだけ連れて帰りたいなあ




 燃えるような西日が鳥居を照らす。
 祭りはより一層の賑わいを見せていた。
「あっ煙ちゃん見~っけ!」
 行きかう人々の笑顔を愉しげに眺めていた少女――匤・璃狐(妖星跋狐・f03415)は、人込みの中から連れを発見した。
「いやぁ、璃狐ちゃんお疲れ様。おじさん迎えに来たよ!」
 その連れとは、彼女が所属する旅団『庵室【翠苑】』の団長である、吉瀬・煙之助(煙管忍者・f10765)であった。

 待ち合わせた二人は人の流れへと足を踏み入れると、早速目についた屋台へと足を運んだ。『かすていら』と書かれたその屋台には、食べ歩きに適した小さく焼かれたかすていら――UDCアースで言うところのベビーカステラが売られていた。
 エンパイアでは珍しいと、二人は旅団の皆へのお土産へとそれぞれ購入する。せっかくなのだからと璃狐はさらに一袋購入すると、食べ歩きを再開した。
「あ、おじさん綿あめも買お~っと」
 中年には似合わないふわふわとした可愛らしい菓子を頬張る煙之介は、ふと隣の璃狐が物欲しげな視線を投げかけているのに気付く。
「ん?璃狐ちゃんも綿あめ食べる?」
 自身の思考がバレた璃狐は顔に血が巡り、真っ赤になる。
 あたふたと挙動不審な動きを見せた彼女は、ゆっくりとその動きを止めると、最後は観念したかのように手を伸ばした。
「……ひと千切りだけ……うん。」
 美味しそうに頬張る璃狐を、煙之介は父が子を慈しむように穏やかな笑顔で見守る。その視線に気づくと、再びその顔が赤らむ。
「ほな、次は林檎飴行こか!」
 恥ずかしさを誤魔化すように先を急ぐ璃狐を追い、二人は奥へ奥へと歩みを進めるのであった。

 少しずつ日が陰り、提灯の明りが空に映え始める。
 食べ歩きに満足した二人の目に、一台の出店が目に入った。
「あっ、金魚掬い発見!」
 璃狐が目をつけたのは、水で満たした大きな桶に、様々な柄の金魚を泳がせた出店――金魚掬いだ。
「璃狐ちゃん、金魚掬い気になるの?それじゃやろっか!」
 出来そうな気がする、と奮起する璃狐に対し煙之介が静かに声援を送る。リクエストを問われた煙之介が璃狐のようだと指し示したのは、白地に鮮やかな赤が映える一匹であった。
 編まれた竹ひごに和紙が貼られた道具を手に、璃狐が金魚掬いへと挑戦する。
 静かに狙いを定めた後、傀儡を操るかのように滑らかに掌を返した璃狐が握る道具の上には、鮮やかに掬われた金魚が跳ねていた。
「なぁ、煙ちゃん……思い出に連れて帰りたいなぁ?」
 不安げに問いかける璃狐に対し、煙之介は庭の池であればのびのびと泳げるだろうと快諾する。
 ふと気づけば、辺りはすっかり暗くなっていた。
 突然鳴り響いた大きな音に驚き夜空を見上げれば、そこには大きな光の花が咲いていた。

 楽しい時間に、終わりが近づこうとしている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

零落・一六八
よっしゃー!祭りだー!
りんご飴買いましょうか
祭りに来たら買うって決めてるんですよねー。
もぐもぐしながら一人
行きかう人や賑やかな様子を眺めながら歩きましょう。
声かけられれば適度に会話しますよ
ちょっとだけ思い出なんかにも浸って笑みをこぼす
まぁボクが実際に体験したわけではないんですが
今は自由に使える自分のお金があるから
欲しいものがあればなんだって買えるんですよねー。
そう考えてみると、案外、欲しいものなんてなくて
りんご飴食べつつ
雰囲気楽しみながら何を買うでもなくぷらぷらします
花火が打ち上げられるなら
喧騒から離れた穴場なんかで一人りんご飴でも食べながら眺めましょうか

他との絡みアドリブ歓迎
花火のみ一人希望




 日が沈もうとも、境内は灯篭や大小様々な提灯により煌々と照らされていた。
 子供たちの姿は減ったがその分酒が入った顔の赤い男たちが増え、喧喧たる笑い声がそこら中に響き渡っていた。

「いやぁ、これぞ祭りって感じがしますねー!」
 好物の林檎飴を頬張りながら、零落・一六八(水槽の中の夢・f00429)は祭りの中を歩いていた。
 やはり猟兵達はその姿から、街の者では無いと皆が気付くのであろう。
 すれ違う人々や出店の商人に声をかけられると、朗らかに言葉を交わす。
 その人々の笑顔に、見たことのない筈の人々の笑顔が重なる――それは、一六八がバーチャルキャラクターとして生まれる元の人格となった人間の記憶。
 記憶に無い記憶、その不思議な情報に一六八は自然と笑みが零れる。
 懐かしい想い出――そう言っていいのかは分からないが、自分の心から滲み出る愛着は確かにそう感じていた。

 ふと、急激に心に空白が出来たような寂しさを感じる。
 今の自分は何でも出来る、何でも買える……そう思えば思うほど、何か物足りなくなり、物欲が無くなっていく。
 思考が止まったその心を、空へと打ち上げられた花火による轟音が揺さぶる。
 まるでその光に導かれるように一六八は喧騒を離れ、人の寄り付かぬ小高い岩山の上へと足を運んだ。

 空に、大小様々な花が咲く。
 高い位置へと昇ったことでより一層姦しく響く花火の音に、心臓が無理やり動かされ、血の巡りが早まるかのようだ。
「あ~、今度は皆で来たいっすねぇ~。」
 哀愁の心を振り払い動き出した脳が思い浮かべるのは、共に過ごす仲間の顔。
 過去がどうあれ、今の自分には自分の思い出がある。
 時が過ぎれば、直ぐに今の自分としての時間の方が長くなるだろう。
 過去を振り切った一六八の顔はもう、いつもの飄々とした笑みが浮かんでいた。もうグダグダと悩まない。そう誓うかのように、腹の底から全力で声を出す。

「たーまーやーっ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月22日


挿絵イラスト