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バズリトレンディといっしょ

#カクリヨファンタズム #戦後 #バズリトレンディ

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●踊るバズリトレンディ御殿
「やっぱ、ワイちゃんぐうの音も出ないほど有能やんけ!」
 新し親分『バズリトレンディ』は、マジで謎のパワーによって『大祓百鬼夜行』の折にUDCアースに作った自分の居城である『バズリトレンディ御殿』をカクリヨファンタズムへと移動させたのだ。
 次々と噴出するバブルとお金が周囲に撒き散らされている。

「あっちにもこっちにも、ハッチポッチ骸魂ステーションつってね! いやーそれにしても……」
 新し親分『バズリトレンディ』はちょっと焦っていた。
 謎のパゥワーで『バズリトレンディ御殿』をカクリヨファンタズムに移動させたのはいいけれど、バブルと溢れるお金に引き寄せられるようにして骸魂と妖怪が合体してしまったオブリビオン妖怪を引き寄せてしまっていたのだ。

「ワイちゃんとしたことが割とマジでピンチになる五秒前ではないかな、かな!? いやーお金の力って怖いネッ!」
 つまりどういうことなのだろうか。
「つまりは、偶然にもワイちゃんが移動させた『バズリトレンディ御殿』は『骸魂ホイホイ』になっちゃって……コト!?」
 フゥン。
 じゃねーよ。どういうことだよ。大体謎のパワーってなんぞや。
 もうめちゃくちゃであるのはもはや言うまでもない。
 新し親分『バズリトレンディ』はそういう親分なのである。
「考えるな、感じるんだにゃあ!」
 東方親分の真似、と笑っているが、後が怖いぞ。絶対。

 しかしながら、『骸魂ホイホイ』としての効果は凄まじいものであった。
「えぇ……ここなんなんです? 楽しげな雰囲気につられてやってきたら……」
「なんやなんや! これまたごっついギンギラギンやのー!」
 ほらー、もう骸魂と合体したオブリビオン妖怪が二体もやってきた。爆釣じゃねーか!
 一人は『エンゼル花子さん』。おかっぱ頭の昭和の小学生然とした姿であるが『トイレの花子さん』に都市伝説『エンゼルさん』の骸魂が合体したオブリビオン妖怪である。

 そして、もう一人は元祖鉄板や『おっちゃん』である。
 長年縁日の屋台で焼きそばたいやきたこ焼きを作ってきた鉄板に宿った職人たちの残留思念が集まった妖怪と骸魂が合体してしまったことによりハチャメチャに食べ物を繰り出してくる存在である。

「やあやあ、ワイちゃんこそは新し親分『バズリトレンディ』や! 君にはこれを授けよう!」
『バズリトレンディ』は彼女が開発しためちゃくちゃ複雑だけど超絶面白いトレーディングカードゲーム『デュエリストブレイド』の構築済みデッキを『エンゼル花子さん』に手渡す。
 え、え、と戸惑っている『エンゼル花子さん』を他所に、『バズリトレンディ』は、元祖鉄板や『おっちゃん』の肩を叩く。
「そんでもって『おっちゃん』は、屋台よろよろ! 美味い鉄板料理、できるんだろう! クッキングファイト! 『バズリトレンディ勝負』をお立ち台でしくよろでぃーす!」
 えぇ……。
 折角、オブリビオン妖怪として世界を破壊しようとしているのに、すっかり新し親分『バズリトレンディ』のペースである。

「いえいいえい! それじゃあ、今日も一緒にレッツパーティーナイト! ヒュゥー!!」
『バズリトレンディ』の楽しげでありながら、同時にハチャメチャな宴が『バズリトレンディ御殿』にファンファーレのように鳴り響くのであった――。

●今日はデュエリスト。そんでもってオーディエンスを沸かすぜチェケラッ
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回は……ええと、その……」
 なんだか歯切れが悪い言葉を紡ぐナイアルテ。
 あっ。
 猟兵達は察した。
 今回の事件が非常に口で説明しづらいというか、説明しても意味がなさそうなフィーリング的なアレであることを理解した。
 即ち、そう――。

「新し親分『バズリトレンディ』さんが、カクリヨファンタズムに謎のパワーによって持ってきた『バズリトレンディ御殿』がオブリビオン妖怪を偶然にも引き寄せる『骸魂ホイホイ』としての力を持ってしまったのです」
 要するに厄介なことになっている、というわけである。
『バズリトレンディ』はとても強いらしいのだが、何を考えているのかわからない性格をしている。
 だから、あんまり期待しないほうがいい。協力とか絶対しないというか、気まぐれでしてくれるかもしれないが、期待していたら痛い目を合う気がする。

「引き寄せられたオブリビオン妖怪は二体。『エンゼル花子さん』と元祖鉄板や『おっちゃん』です……ただ、その……」
 また歯切れが悪い。
 もう猟兵達は解ったと諦めたようであった。考えるだけ無駄であろう。けれど、ナイアルテが必死になんとか説明しようとしているのが不憫である。
「『エンゼル花子さん』は『バズリトレンディ』さんが開発したトレーディングカードゲーム『デュエリストブレイド』で武装した彼女との勝負になります」
 ただ、彼女は今複雑すぎて遊び方がわからないのか、ルールブックとにらめっこしながらトレーディングカードゲームでの勝負を仕掛けてくる。

 正直言って、くそちょろである。
 しかし、彼女がゲームを完全に理解した時、『バズリトレンディ』が手渡した構築済みが火を噴くのだ。
『バズリトレンディ』のバズリはバブルと掛かっている。
 つまり、お金に物を言わせた激レアカードと、それはもう極悪コンボを搭載したイモータルデッキなのである。ごめん今考えた。
「次は、元祖鉄板や『おっちゃん』との『バズリトレンディ勝負』を仕掛けてきます。どうやら彼は食べ物のばえ……ばえ? で『バズる』ことを目指すそうです。そのバズリ度によってたくさんの『ハート』が空間に出現し、パワーアップしてしまうのです」
 さらに舞台袖からは夢幻にお金が溢れてくるので、お金で買えるものをイメージすると消費したお金の金額と引き換えにそれが出現し、消費金額に応じて『バブル(泡)』に包まれパワーアップするのだ。

「……お、おわかりいただけた、でしょうか? 私も途中から何を言っているのかわからなくなってしまいましたが……」
 ともかく、お願い致します、と頭を下げてナイアルテは猟兵たちを送り出す。
 買ってもらったばっかりのスマートフォンをたぷたぷして、いちいち『バズリトレンディ』の放った言葉を検索しては、興味深げに『バズリ』を勉強しているのを彼女はさとられないようにと必死であったのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※このシナリオは二章構成の戦後シナリオになります。

『大祓百鬼夜行』によって二つの世界が救われましたが、カクリヨファンタズムでは未だカタストロフの危険があります。
 四人の親分たちの話し合いによって、猟兵たちにお手伝いを頼むことに決めたようです。
 今回は新し親分『バズリトレンディ』がマジで謎のパワーでUDCアースからカクリヨファンタズムに持ってきた『バズリトレンディ御殿』に引き寄せられたオブリビオン妖怪を打倒するシナリオになっております。

 例によってしっちゃかめっちゃかな、アレでアレな感じになります。覚悟はいいか。私はできてない!

●第一章
 ボス戦です。
『エンゼル花子さん』とめちゃくちゃ面白いトレーディングカードゲーム『デュエリストブレイド』での勝負になります。
 彼女は序盤、ルールブックとにらめっこしながらのトレーディングカードゲーム勝負を展開しますが、徐々にルールを把握して、『バズリトレンディ』が組み上げた極悪デッキを使いこなしてきます。
 何やってんだあの親分。
 ともかく、このトレーディングカードゲーム勝負で彼女に勝利しましょう。
 ちなみに殆どのトレーディングカードゲームのルールは、『デュエリストブレイド』にも存在しています。

 またトレーディングカードゲームのルールがわからなくてもカードの効果をそれっぽく叫ぶだけで弾幕っぽく使えたりするので安心です。

 ガンガン行こうぜ!

●第二章
 ボス戦です。
 元祖鉄板や『おっちゃん』との『バズリトレンディ勝負』になります。
 お立ち台で互いに『バズリ度』をアピールし、オーディエンスの喜び、熱狂、あるいは怒り……つまりは『バズる』行動でもって、彼が作る鉄板料理を上回れば自ずと強化されます。
 ついでに舞台袖から溢れるお金はイメージすれば、お金の消費と引き換えにイメージしたものが現れ、消費金額に応じて『バブル(泡)』に包まれパワーアップすることでしょう。

 これは『おっちゃん』も同様です。
 どちらの手段を使ってよいので、パワーアップしてぶっ飛ばしましょう。

 それでは戦後のカクリヨファンタズムにおける『バズリトレンディ』の猛威。
 君はバズりの涙を見るか……的な、そんな皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『エンゼル花子さん』

POW   :    エンゼルさん、エンゼルさん、おいでください
非戦闘行為に没頭している間、自身の【背後に浮かぶ『おまじないシート』】が【術者以外を拒絶する結界を作り】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
SPD   :    エンゼルさんの言うとおり
妖怪【エンゼルさん】の描かれたメダルを対象に貼り付けている間、対象に【自身の占いの結果が現実になる】効果を与え続ける。
WIZ   :    邪魔するものには災いが降りかかる
攻撃が命中した対象に【憑依状態】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【次々と発生する「不幸な事故」】による追加攻撃を与え続ける。

イラスト:すねいる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は歌川・邦絵です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 オブリビオン妖怪『エンゼル花子さん』は涙目であった。
 手渡されたトレーディングカードゲーム『デュエリストブレイド』のルールが難解すぎるのだ。もうわけがわからない。涙目になっても、これから転移してくる猟兵達と、このトレーディングカードゲームで勝負をしなければならないのだ。
「わ、わかんない……え、えっと、たっぷあんたっぷまなまなぷーるそっこうとらんぷるかうんたーすぺるはさいきょうとちかーど……」
 わかる。
 そうなるのわかる。もう何言ってるか全然わかんない。
 けれど、徐々に理解してくる。
 未だ理解は浅いけれど、『エンゼル花子さん』は徐々に新し親分『バズリトレンディ』から手渡された構築済みデッキの意図を掴みかけていた。

「こ、これでなんとか! 最低限のルールは把握しましたよ! さ、さあ、猟兵たちよ、私といざ『デュエリストブレイド』れでぃ、ごーっ!!」
バルタン・ノーヴェ
POW サタデーナイトフィーバー!
アドリブ連携歓迎デース!

こんにちは皆さん、ハローエブリワン。
新し親分バズリトレンディ殿のお時間デース。
すなわちデュエ! 画面を見る時は部屋を明るくして離れて見てくだサーイ!

花子殿に習熟する暇は、申し訳ありマセンガ与えマセーン!
ノータイムの速攻で片をつけマース!
土地カード、火山! フィールドマジック、温泉! トークン生成カード、ひよこ牧場!
これにより、生み出された温泉卵を噴火させてダイレクトアタック!
花子殿のシールシールドもブレイク!
HPもLPも、破壊! 蹂躙! ピヨピヨデース!
まだワタシのバトルフェイズは終了しマセーン!

※もうやめてバルのうち! されてEND!



 てれてれってれー。
 サウンドエフェクトは新し親分『バズリトレンディ』がお送りいたしまっする。
 地の文にまで侵食してきた『バズリトレンディ』の声が聞こえる。なんだ地の文って。いみわからんってワイちゃんは思うな。

「サタデーナイトフィーバー! こんにちは皆さん、ハローエブリワン」
 サタデーでナイトなフィーバーなのに、こんにちはとはこれ以下に。
 いや、そんなことは今はどうでもいいのだ。些細なことである。バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は戦場を故郷に持つ歴戦兵にしてサイボーグメイドである。
 メイド!

「新し親分『バズリトレンディ御殿』のお時間デース! すなわちデュエ! 画面を見るときは部屋を明るくして離れて見てくだサーイ!」
 はっじまっるよー!!
 もうやりたい放題である。
『バズリトレンディ』もそうであるが、バルタンも大概であった。
 手加減なんてあるわきゃないのである。デュエルゴーって言ったらもう始まっているのである。
「あ、ちょ、ちょっとまってください。もうちょっとだけルールブックを!」
 いきなり始まったトレーディングカードゲーム『デュエリストブレイド』。めちゃくちゃ面白いけれど、複雑怪奇なルールは習熟に時間がかかる。

 けれど、このバルタン・ノーヴェ容赦せん!
 ちょっと申し訳ないなって思いながらもバルタンはデッキをシャッフルして手札をドローである。
 ノータイムの速攻で片をつけようというのだ。
「土地カード、火山! フィールドマジック、温泉! トークン生成カード、ひよこ牧場!」
 つたたー! ってバルタンがカードを速攻で場に展開していく。
 それは赤色デッキ。
 火力こそが生命にして最高で至高の脳筋デッキなのである。いや、脳筋というにはあまりにも極悪なコンボデッキでもあったのだ。
 解説の『バズリトレンディ』さんどうですか。

「いやいや、それはずるいっしょ! こっちの場が整う前にフィールドも流れも全引張りしちゃうじゃん! ワイちゃんも正直引きました」
 なんで引く。
 そんな開設の『バズリトレンディ』さんはおいておいて、バルタンはコンボを始動させる。
「えっ、えっ、これどうなってるんです?」
「まずは火山と温泉コンボによってトークンのひよこが急成長! 生み出された温泉卵を噴火させてプレイヤーにダイレクトアタックデース!」

 戸惑う『エンゼル花子さん』。
 しかし、勝負とは常に非情である。
 バルタンのコンボは始動してしまったら止まらないのである。土地カードとフィールドマジックによって無限に生産されていく温泉卵は、一点につき敵のシールシールドも全部ブレイクしていくのである。
「それじゃあ、もしかしてこれ……」
「いえすいえす! HPもLPも破壊! 蹂躙! ピヨピヨデース!」
 これが火炎放射器(フランメヴェアファー)デッキの超速攻である。開幕ワンターンキルのちからである。

「まだワタシのバトルフェイズは終了しマセーン!」
 タップアンタップを繰り返して、ピヨピヨとひよこトークンがバルタンの周囲に満ち溢れていく。
 ちょっと可愛い。
 一匹欲しいなって『エンゼル花子』さんは思わないでもなかったが、膨れ上がっていくダメージソースの数に慄く。
 だって、もうそれ一撃で自分のHPがごっそり削れるやつであるからだ。

 どっかんと、重たいワンターンキルの温泉卵が『エンゼル花子さん』のほっぺたをばちーんと打つ。
「あっつ!? えっ、これあつ!? 温泉卵熱いですよ!?」
 だが、バルタンの猛攻は終わらない。
 そう、まだバルタンのバトルフェイズは終了宣言が出されていない。
 つーまーりー。

「※もうやめてバルのうち! 『エンゼル花子さん』のライフはとっくにゼロやで!」
『バズリトレンディ』が止めるまで、バルタンのバトルフェイズは終わらず、温泉卵の乱打が『エンゼル花子さん』を涙目にするまで止まらないのであった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミアステラ・ティレスタム
新し親分さんは相変わらずですね
お元気そうで何よりです
まあ、骸魂ホイホイ……新し親分さんはやることが本当に斬新でいらっしゃいますね
はい、覚悟完了いたしました

とはいえ、トレーディングカードバトルなるものをわたしも理解出来ておりません
『エンゼル花子さん』がルールを把握する前にどうにかすればおk、という認識でいきますね

『エンゼル花子さん』に魅惑のウィンクをぱちり
そんなルールブックなんて閉じて、わたしと遊びましょう?
まあ、自滅してくださるなんて……とても良い子ですね(満面の笑み)



 トレーディングカードゲーム『デュエリストブレイド』第一本目の勝負は猟兵のワンターンキルによって勝利を納めた。
 初心者に対する優しさはそこにはなかった。
「そもそも決闘者には情けなど無用! あるのは勝敗のみにゃあ! って東方親分『山本五郎左衛門』さんも言ってたにゃあ」
 とかなんとか言っているのは新し親分『バズリトレンディ』である。
 ぜってーあとで怒られるやつである。
 そんなこと気にした様子もなく、ぽむ、とオブリビオン妖怪『エンゼル花子さん』の肩を優しく叩く『バズリトレンディ』。

 まるで慰めるように彼女の肩をなでて、『バズリトレンディ』は微笑むだ。
「だいじょうぶだいじょぶ。ワイちゃんの組み上げたデッキは習熟さえすればワンチャンあるってばよ。一回でも猟兵さんに勝てば、世界は君の思うままなんやで」
 なんて耳元にささやく姿はもうどっちが悪役かわからない。
 というか、どっちの味方なんだ『バズリトレンディ』。

「新し親分さんはあいかわらずですね。お元気そうで何よりです」
 いやそうかなぁ、というか、あれをお元気そうって言えるだけの度量がすごいのは、ミアステラ・ティレスタム(Miaplacidus・f15616)であった。
 彼女は骸魂ホイホイと化した『バズリトレンディ御殿』にやってきて、『バズリトレンディ』がやることが斬新でいらっしゃいますね、と微笑んでいた。
 どこまでも懐が深いミアステラに『バズリトレンディ』は、劇画調の顔になりつつニヤリと不敵に笑ったのだ。

「それはどうかな! ここいらで白黒つけよーじゃん! さあ、『エンゼル花子さん』、君に決めたぁ!」
 ぴーかch……。
 違う。違うから。怒られるやつじゃないから。ぴーかチャンネルって略しただけだからと、誰に言い訳しているのかわからないが、『バズリトレンディ』から送り出された『エンゼル花子さん』がデッキを片手にミアステラに勝負を挑むのだ。
 お、野生のオブリビオン妖怪じゃないんだな。

「はい、覚悟完了いたしました」
 にこりとミアステラは微笑みを絶やさない。
 あくまで余裕である。これがいつものカクリヨファンタズムのようなにぎやかな雰囲気であることも助けになっているのだろうか。
 ミアステラと『エンゼル花子さん』の勝負は、一転して穏やかな雰囲気のまま始まった。

 ドロー、セット、ターンエンド。
 そうそう、トレーディングカードゲームって本来こうあるべきだよ。相手の手番をゆっくりと穏やかに待ち、キャッキャウフフしながら遊ぶものであるはずだ。
 現実はそう甘くないけど。
 シャカパチしつつ、まーだーでーすーかー、とか煽られたり煽ったりしてはいけないのだ。いいか、ワイちゃんとの約束だ!
「あら……素敵な絵札ですね?」
 にこりとミアステラがウィンクする。
 それは『エンゼル花子さん』にとっては凄まじいまでの威力であった。ワンターンキルされた後だからなおさらである。

 そう、こんな風に遊びたかったものである。
「ええ、はい! そうなんです。わたし、このカードの絵柄が一番好きで……!」
 しかし、それはミアステラのユーベルコードである。
 誘奏視(プリマヴィスタ)。
 それは彼女の魅了の視線が当たった『エンゼル花子さん』を無意識に友好的な行動を行うように仕向けるものである。
 にこりと微笑んだミアステラが、そうだわ、と提案するように手を差し伸べる。

「そんなルールブックなんて閉じて、わたしと遊びましょう? ね?」
 それも『エンゼル花子さん』の手番中、しかも土地をタップしてマナをプールにとぽってやった後である。
 ミアステラは、『エンゼル花子さん』がトレーディングカードゲームのルールに習熟させる前にどうにかすればおk、という認識でこの勝負に挑んでいた。
 つまり、戦わずして勝つ。
 それが彼女の狙いであり、『エンゼル花子さん』の自滅を誘う作戦であったのだ。

「はい、おねえさま!」
 いや、おねえさまじゃねーわ! ちょいちょい! と『バズリトレンディ』が『エンゼル花子さん』の肩を掴むがすでに魅了された後の『エンゼル花子さん』はミアステラをお姉さまと慕ってやまない。
「そのままじゃ、まなばーん、ばーんてなっちゃって自滅しちゃ――あっ!」

 ばーん。

 ミアステラと『エンゼル花子さん』がカードの絵柄についてキャッキャウフフしている背後で何故か『バズリトレンディ』がマナバーンの自滅によって爆発に巻き込まれるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
初心者同士よろしくお願いしますの

いつもの悪癖なんだろうけど
憑りつかれた妖怪に害は無いと思うし任せようか

分霊が使うデッキは所謂パーミッションだよ
初心者が使うものじゃないけど
性に合うのか使いこなせてるみたいだね

そのスペルは無効化しますの
そのモンスターは行動完了にしますの

邪でも神だけあって引きはいいね
パーミッションが回ると相手しててきついんだよなぁ
トラウマにならなきゃいいけど

頃合いですし「凍り付く刻」を使いますの
相手の手番を1回とばし
その次の手番までの間割り込みを禁止しますの

花子さんの時間まで停める必要はないと思うんだけど

演出みたいなものですの
計算間違えで倒しきれない事が無い様
じっくりプレイしますの



 ばーん、となんか急に爆発した新し親分『バズリトレンディ』。
 オブリビオン妖怪『エンゼル花子さん』がキャッキャウフフしている代わりにダメージを負ったようであるが、別にそんなことはなかったんだぜとばかりにピンピンしているのは、マジで謎のパワーのおかげか。
「おいおい、ワイちゃんじゃなければ見逃しちゃうね。今のまなばーん。てなわけで、まだまだ勝負は続くよどこまでも!」
『バズリトレンディ』は、おら! 『デュエリストブレイド』勝負をするんだよ! とばかりに『エンゼル花子さん』を押しやる。

 もう自由すぎて、あれ? どっちが敵だったっけとなるほどに『バズリトレンディ』は場をしっちゃかめっちゃかにしていく。
「あ、あの……それでは、初心者なので、お手柔らかに……」
 おずおずと言った体で『エンゼル花子さん』が頭を下げて、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)が自身と融合した邪神の分霊と『デュエリストブレイド』での勝負を始める。
 互いにデッキを交換してシャッフル。
 はいどうぞ、と見た目にはとても穏やかな雰囲気で始まったのは、この時だけである。
「初心者同士よろしくおねがいしますの」
 うんうん、ワイちゃんもあんな時期があったよ。
 勝ち負けじゃあない。
 ただ、ゲームを楽しめるだけで幸せって時期がね。

 そんな生ぬるい視線を送る『バズリトレンディ』を晶は半ば諦めたような境地で見ていた。
「いつもの悪癖なんだろうけど……」
 その言葉は『バズリトレンディ』と邪神の分霊どちらにも掛かった言葉であるがゆえに、晶は成り行きに任せるしかないと思った。
 邪神の分霊が使うのはいわゆるパーミッションデッキ。
 カウンタースペルなどで敵の行動を支配し、コントロールするデッキ構成だ。ほんとに初心者かな? となるデッキの組み上げ方であるが、晶は支配することに慣れた邪神の分霊にとっては非常に扱いやすいデッキであるように思えた。

 実際、彼女はデッキをすぐに使いこなしていたようであった。
「では、このカードの効果で……」
「そのスペルは無効化して、さらにモンスターは行動完了状態にしますの」
 ひぇっ、と涙目になっている『エンゼル花子さん』。早速トレーディングカードゲームの洗礼を受けているようである。
 さらに邪神の分霊は腐っても邪でも、神は神である。
 神引きという言葉があるように彼女の手札は綺麗なコストカーブを描いて、『エンゼル花子さん』の行動を制限し続けている。

「でえー! それずるでえー! ワイちゃんの前で島をタップするんじゃあねー!!」
『バズリトレンディ』はこっぴどくやられた記憶が在るのだろう。
 土地カードが二つ残っているのが、もう心理戦じみていて自分が遊んでいるわけでもないのに、ぐねぐねしている。
「トラウマにならなきゃいいけど……ていうか、『バズリトレンディ』のトラウマ掘り下げてどうするの……」
 もう本当に『バズリトレンディ』がこちらがわであるということをしばし忘れてしまいそうに為る。
 セコンドとして『エンゼル花子さん』をサポートしている所からしてもう、当初の目的忘れてない? 大丈夫?

「頃合いですし、『凍り付く刻』を使いますの」
 邪神の分霊がカードを切る。
 それは相手の手番を一回飛ばし、その次の番までのインターセプトを封じるカードである。
 ぴしゃり、と止まった時。
 いや、なんで実際の時間まで止めているんじゃい! 演出!? アニメでよくあるやつである。ホビーで世界がヤバイヤツの典型的な演出である。

「とかいってワイちゃんは平気なんスけどね!」
 ナハハ! と笑う『バズリトレンディ』に晶も邪神の分霊も若干引いた。
 本当にマジで謎のパワーという言葉は偽りではないのかもしれない。しれっと時を停滞された中でも普通に動いている『バズリトレンディ』を他所に邪神の分霊は、計算違いを起こさぬように、最後まで緻密な計算を崩さず、『エンゼル花子さん』のライフを削り切るのだ。

「ひーん、また負けました……!」
「良い勝負でしたの。また今度じっくりプレイいたしましょう」
 何故か二人の間で友情じみたものが生まれていたし、『バズリトレンディ御殿』には何故か夕日が落ちていた。
 いや、それも演出なのかな!? と晶は呆然としていたが、元来トレーディングカードゲームとはそういうものである。

「いや、納得なんてしないけど――!?」
 晶は『バズリトレンディ』のマジで謎のパワーに突っ込まざるをえず、そして、これより毎日邪神の分霊にトレーディングカードゲームの相手をせがまれることになる未来を今はまだ知らずにいたのである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
アルファさん(f03963)と

花子さんには申し訳ないけど、
慣れる前に倒させてもらっちゃおう。

だいじょうぶ。怒られたら優しく慰めてあげるからね。
いやむしろわたしたちに負けて怒られて、慰めさせて!(はぁはぁ)

デュエリストはアルファさん。
わたしはサポートでセコンドにつくという体でいこう。

「火力デッキになってるよね?なら任せて!」

アドバイスを送るフリをしながら、
アルファさんの手札を【偽装錬金】で書き換えて、
1ターンキルできるコンボを成立させたけど、
あまりのオーバーキルに、こちらもドン引き。

でももっとショックを受けている花子さんをそっと抱きしめちゃおう。
「落ち込まないで、みんな通る道なんだよ」(でへへ)


アルファ・オメガ
理緒(f06437)と一緒に

がう、なるほど
WMP5(割とマジでピンチになる五秒前)だね

わかったよ
もふもふだって戦えることを証明するよ!
(ケットシーサイズのデュエルディスクをしゃきーん)

……(理緒の方を見て)
理緒ー?だいじょうぶー?もどってきてー?

というわけでボクがメイン
理緒がサポートでデュエル!

よーし、いくぞー!
ボクのターン!ドロー!
……とか言いつつ理緒がカードコンボを成立させてくれるので
ボクは【すーぱー・もふもふぱわー!】でもふもふエンチャントだよ!

これで決、がうーっ?!(びっくり猫
ぼ、ボクの勝ちだよ……?(ぷるぷる耳ぺたん

勝利は勝利!
理緒ー?その顔でカメラに映らないようにねー?ねー?



 猟兵とオブリビオン妖怪『エンゼル花子さん』とで繰り広げられるトレーディングカードゲーム『デュエリストブレイド』は、もう三本勝負まで決着していた。
 どれも猟兵たちの勝利であり、そうすることでオブリビオン妖怪は打倒できるので、喜ぶべきことであったが、新し親分『バズリトレンディ』は、ちょい不機嫌であった。
「ワイちゃんの組み上げたデッキが負ける!? ワイちゃんのデッキ編成がおかしい!? んなわけないない! 何かが……何かがおかしいに決まってるんや!」
『バズリトレンディ』は、この『デュエリストブレイド』のルールを熟知した存在である。
 彼女は様々なトレーディングカードゲームが流行れば、すぐに飛びついては、その胸に記憶としてゲームを留めてきたのだ。

「そういうわけでワイちゃんは、当然のように『エンゼル花子さん』のセコンドにつくんで! そこんとこシクヨロでいーす!」
 えぇ……。
 なんで当たり前みたいにオブリビオン妖怪側についてるのこの人……。
 がっしり『エンゼル花子さん』と肩を組んでコンビ結成である。
 ならばと猟兵の次なる刺客もまた二人組であった。それは『バズリトレンディ』と『エンゼル花子さん』以上にあまり見かけないコンビであった。

 そう、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)とアルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)のコンビである。
 アルファは茶トラなケットシーであり、無頼の者のような旅装束がこれまた可愛らしい。
 しかし、理緒はそれ以上にいろいろとヤバイ表情になっていた。
「花子さんには申し訳ないけど、慣れる前に倒させてもらっちゃおう。だいじょうぶ。怒られたら優しく慰めてあげるからね。いやむしろわたしたちに負けて怒られて、慰めさせて!」
 はぁはぁ。
 息が荒い。ちょっと不審者の感じの息の荒さである。彼女が猟兵でなかったおならば、ワイちゃん通報していたところである。

「理緒ー? だいじょうぶー? もどってきてー?」
 アルファがちょいちょいと理緒を小突く。
 WNP5な事態なのである。どゆこと?
 割と(W)マジで(M)ピンチになる(P)五秒前(5)である。いきなり略したのでビビったワイちゃん。
 ワイちゃんの未だ知らぬ流行りがあるとは! と一人で勝手に盛り上がっている『バズリトレンディ』を他所に、アルファはデュエルディスクをシャキーンと構えてみせる。
「もふもふだって戦えることを証明するよ!」
 何もかもがケットシーサイズである。
 もこもこした指で手札を構える姿は、どうにも愛らしい。理緒はむしろ、こちらを愛でるべきでは? と思わないでもなかったが、彼女の瞳は『エンゼル花子さん』に釘付けである。

 ちょっと目がマジである。
「ひえ……」
 勝っても負けても過酷な運命が『エンゼル花子さん』に待ち受けている!
「よく言った! ワイちゃんがセコンドに付けば、ワイちゃんのデッキが負けるわけがないずら! そいうわけだから猟兵さん、お覚悟や!」
『バズリトレンディ』と『エンゼル花子』がタッグを組み、アルファがメインに理緒がサポートに入る。

「デュエルゴー! ボクのターン! ドロー!」
 かっこよく手札を引いたアルファであったが、実は理緒のユーベルコード虚実置換(キョジツチカン)によって、しれっと手札を書き換えているのである。
「火力デッキになってるよね? サポートは任せて!」
 この顔である。
 ポーカーフェイスもいいとこである。嘘みたいだろ……この顔でイカサマユーベルコード使ってるんだぜ……?
 アルファの手札には既にカードコンボが成立するカードが揃っているのである。
 どれだけ『バズリトレンディ』のデッキが精緻で美しい編成に成っていようとも、ワンターンキルできるだけのコンボが最初から手札に揃っているのでは、その実力を発揮することもできやしないのだ。

 まさしく悪魔的ユーベルコード!
「もふもふだって戦えるんだ! いくよー!」
 アルファもしれっと併せている。
 瞳に輝くユーベルコードは、すーぱー・もふもふぱわー!(モフモフハセントウリョク)である。
 不思議なもふもふぱわーに包まれたオーラは、なんだかカードゲームにはまったく関係ないが、ものすごい気迫に満ちている。
 何度でも言うが、オーラはまったくゲームの進行上関係ありません。ただのハッタリです。

「コンボスタート! って……これは、ちょっと、えぇ……」
「うえぇ?! なんで!? なんでコンボなんで!?」
 アルファもちょっとドン引きしている。いや、なんでコンボ始めた方がドン引きしてんの。それくらいまでのオーバーキルな火力が飛び出しているのだ。
 正直、理緒のやりすぎである。
「がうー……っ、こ、これ、ぼ、ボクの勝ちだよ……?」
 だよね? とアルファの耳が震えてぺたんとしている。でも勝利は勝利である。ワンターンキルを一日に二回も受けた『エンゼル花子さん』はもう放心状態である。
 いや、誰だってこーなる。ワイちゃんもこーなる。

 茫然自失な『バズリトレンディ』を放っておいて、理緒は早速『エンゼル花子さん』を慰めるのだ。
 あくまで優しく。そっと抱きしめるのだ。ここポイントである。テストにでるよ。
 傷ついた美少女を慰めるのが己の役目であると言わんばかりに理緒は『エンゼル花子さん』の頭をなで、しっかりホールドするように慰め続ける。
「いいんだよ。勝負は水物。いつだって運は流れているんだから。落ち込まないで。みんな通る道なんだよ」
 ものすごくいいことを言っているのだが、その顔がやばい。

「理緒ー? その顔でカメラに映らないようにねー? ねー?」
 アルファがものすごく心配そうに告げるが、理緒は、でへへっとした顔のままお見せできない表情を浮かべ、暫し勝者の特権に浸る。
 その姿を見て、アルファは自分はこうなるまいと思いつつも、理緒が満足そうだからいっか、とも思うのだ。
 しかし、一番哀れなのは『バズリトレンディ』である。
 まさかのユーベルコードによる手札操作とは言え、丹精込めたデッキが瞬殺されているのだ。

 ごめんねーとアルファは謝りつつも、理緒のでへへ顔に息を大きく吐き出すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第四『不動なる者』盾&まとめ役武士
一人称:わし 質実剛健

TCGなぁ。わしはやったことがない。他三人はやったことがあるが。

さて、やるとするか。わしの場合、堅実に守りながら攻撃することになるか。
フィールドを海へ。『クラゲ』を大量に配置。
クラゲは一定数以上いると、相手のマナ生成を阻害する。つまるからの。
そして、攻撃もクラゲだの。カツオノエボシ(攻撃阻害効果)混じっとるが。
罠として『大渦』を配置。『海』に適応する者以外がきたら、大渦で除外される。

このデッキ、陰海月がカード持ってきたのよな。


陰海月「ぷきゅ(ないメガネをくいっとする動作。クラゲ使ってほしかった)」



 一日に二回ワンターンキルを喰らったオブリビオン妖怪『エンゼル花子さん』は、もう大分キていた。
 色んな意味で精神がもたぬ時が差し迫っているようであり、猟兵とのトレーディングカードゲーム勝負が此処まで過酷なものであったのかを彼女は今更ながらに実感するのだ。
「猟兵、すごい……容赦なさすぎです……」
 茫然自失であったのは『エンゼル花子さん』だけではなかった。
 新し親分『バズリトレンディ』もまた茫然自失の体であった。彼女の丹精込めた流行りを取り込みまくった美しい編成のデッキがまるで歯が立たないのだ。
 自分が戦うわけじゃないけど、デッキレシピをまるでメタ張ったかのようなワンターンキルとコントロールによって完膚なきまでに打倒されているのである。

 いやこれオブリビオン妖怪を倒すための勝負だからね?
 なんで『バズリトレンディ』さん、敵側に立ってるのかなって思わないでもないが、デッキレシピを考える者とは得てしてそういうものである。
 自分のデッキレシピがコピーされるのは、ちょっとなーと思っていても使ってもらえると嬉しいものなのである。
「とは言え、やっぱり負けるのは嫌なんじゃい! 猟兵さんがなんぼのもんじゃい!」
『バズリトレンディ』のほうがムキになっている。
 完全にもう敵ですよね? というか、本来の目的忘れてない?

「ふむ。トレーディングカードゲームなぁ。わしはやったことがない」
 そうつぶやくのは、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)であった。その複合型悪霊たる四柱の中の一柱、『不動なる者』は未だトレーディングカードゲームに触れたことがないのだ。
 他の三柱はやったことがあるようだから、今回は『不動なる者』に、ということなのだる。
「よっしゃ! 初心者来た! これで勝つる! 勝てるやで、『エンゼル花子さん』! 初勝利を君にあげよう!」
『バズリトレンディ』は『不動なる者』が完全なる初心者であることを見抜いていた。いやセコい。

「まあ、お手柔らかにな。さて……」
「よ、よろしくお願いします……」
 あくまで礼儀正しい『エンゼル花子さん』である。『バズリトレンディ』とは偉い違いであるが、勝てば官軍である。勝てばいいんじゃ!
「では、まずはフィールドを海へ。『クラゲ』を大量に配置……」
 次々と場に満ちていく『クラゲ』たち。
 しかし、ユニットとしての性能は単純には雑魚の類である。故にあまり実用的ではないカードでばかり『不動なる者』のデッキは構成されていた。
 彼の質実剛健なる性格からは、少し遠のいたものであったけれど、堅実な守りという意味では十分であった。

「ニヤリ。勝った。これは勝った! だってファンデッキだもの! いいよね、ファンデッキ。テーマの定まった好きが詰まった愛あるデッキ! ワイちゃんも好き! でも勝てないってことも知らないと……ってうえぇ!?」
「な、なんかマナ生成できない効果出ているんですけどぉ……!?」
 そう、『クラゲ』の特殊能力である。
 カツオノエボシが混じっている気がするが、気の所為ではない。
 フィールドが海なんだからそういうこともあるのだ。あるったある。そういうルールがあるのだ、『デュエリストブレイド』にはね!

「ふむ。そらそうよな。『クラゲ』は詰まるからの。マナ生成を阻害するのもさもありなんよ」
 さらに『不動なる者』は罠として『大渦』を配置。
 さらに海に適応するもの以外が自陣に入れば自動的に大渦で排除されるコンボなのだ。
「そんな……ファンデッキなのに、こんなにも除去と数で押せるカードが揃っているなんて……猟兵さん恐るべしやでこれはしかし!」
 いやだから、なんで『バズリトレンディ』はそっちがわ?
 そんな彼女たちを他所に『不動なる者』は堅実なゲーム展開を続けていく。
 地道に増やした『クラゲ』ユニット。
 そして、敵のマナ生成を阻害しつつ、敵の除去を可能とするトラップ。

 その堅実な仕込みはジリジリと『エンゼル花子さん』のライフを削り、地味ながらも勝利を納めるのであった。
「ぷきゅ」
 そんな勝負の行く末を見守っていた『陰海月』が眼鏡をくいっとする動作をして、後方セコンド面をする。
 そう、何を隠そうそのデッキは『陰海月』がもってきたのだ。
 彼のコンセプトによって生み出されたデッキは、この後『デュエリストブレイド』において、一大ムーブメントを引き起こすことになるのだが、それはまた別のお話である――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【勇者パーティ】

TCGですか。
それならば、わたしの特製デッキの出番ですね!
あ、サージェさんはそれ以上言うとピアノ弾きますよ?

よし、それではあらためて。

わたしのターン! ドロー!

手札から《夜の魔女》を攻撃表示で召喚して、特殊効果を発動。
《悪魔》のカードをデッキから1体特殊召喚!

そして手札からマジックカード《融合》を発動。
《夜の魔女》と《悪魔》を《融合》して《漆黒の魔女》を融合召喚!

これで《漆黒の魔女》の特殊効果が発動するよ。
このカードは召喚したターンに限り、攻撃力が通常の3倍になって、
無差別広範囲攻撃になる!

サージェさんも巻き込んでどーん。

どうだー!
これがわたしの『ふぃあふぃあデッキ』だ!


フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「ほほう、とれーでぃんぐかーどげーむ、とな?」

え、べ、別に、この天才美少女魔術師たる我に分からぬことがあるわけではないぞ?

「え、えーと……、なるほど!
モンスターを召喚して戦えばいいのだな!」(サージェやルクスがデュエルしている様子を盗み見て、ぽん、と手を打つ

ふっふっふ。
召喚術であれば、天才美少女死霊術師である我の専門だ!

「我はゴーストやスケルトンといったアンデッドたちを召喚!
敵モンスターを攻撃させよう!」

さらに【死霊船団】によりアンデッド軍団が乗った幽霊船の船団を召喚し、戦場を蹂躙だ!

「って、なぜ殴るのだ、シャインよ!
ちゃんと召喚して戦っておるではないか!」(カード一枚も持たず


シャイン・エーデルシュタイン
【勇者パーティ】
「なるほど、こういうルールですか」

確かにルールブックは分厚いですが、我が神の教えが書かれた書物の厚さほどではありません。
主の教えをすべて暗記している私にとっては、この程度のルール、理解するのは簡単です。

「私は天使デッキを組んで戦いましょう。
守護天使を召喚!
さらに神の怒りたる【ジャッジメント・クルセイド】により天からの光を降り注がせ、フィールドの敵モンスターを撃破します!
さあ、サージェさん、ルクスさん、今です!」

って、フィアさん!?
なんでカード使わずに自力でモンスターを召喚しているのですか!

「TCGなんですから、ちゃんとカード使って戦ってくださいっ!」(ハリセンでのツッコミ


サージェ・ライト
【勇者パーティー】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、世に潜み…胸が大きく、ってアッハイ黙ります(周囲のバストを確認しつつ)
(胸に関しては)味方が…いない!

それはさておきバズトレさんお久しぶりです!
先日は鼻血出しすぎて失礼しました!

というわけで『デュエリストブレイド』スタンバイ!
このデュエルにシャインさんのハリセンを賭けます!

シャインさんに続いて
私のターン!ドロー!『乳狩り族』召喚!
このカードは…うーん相手の胸の大きさで
攻撃力が変わっちゃうので防御表示で(しくしく)
さぁ次は…って待ていぺたん魔女ー?!
ルクスさん…はコンボ成立むしろ加勢しているー?!
シャインさんシャインさーん助けてー!?



 連敗に次ぐ連敗ですっかりオブリビオン妖怪『エンゼル花子さん』は意気消沈していた。
 だってそうだろう。
 世界を滅ぼそうと思ってふらりふらりと『バズリトレンディ御殿』に引き寄せられたかと思えば、ルールのわからないトレーディングカードゲーム勝負に持ち込まれ、ルールを習熟する前に心をべっきべきに折られてしまうほどのワンターンキルをかまされるは、コントロールデッキで何もさせてもらえないまま終わってしまったり、やっとこさ同じ土俵の初心者と戦うのだと思えば、堅牢なガード戦法で結局負けてしまう。

 いけない! このままではワイちゃんの作ったはちゃめちゃ楽しいトレーディングカードゲーム『デュエリストブレイド』をやめてしまう!
 そんな悲しい結末なんて見たくない!
 せっかくなら笑って最後に一勝してから消えて欲しい! ならば、ワイちゃんはどうするか! 簡単なことである。
「一対一で負けちゃうんなら、二対一なら勝てるんちゃうかってね!」
 何いってんのこの人。
 いきなりルールを捻じ曲げてくる様子に、シャイン・エーデルシュタイン(悪霊として蘇ったクレリック・f33418)は分厚いルールブックをぱたんと閉じて全てを把握した顔で言う。

「なるほど、こういうルールですか。ならば複数で対戦することも可能ですね」
 そうなの!?
 なんで『バズリトレンディ』も驚いてんの?
「ふ、主の教えを全て暗記している私にとっては、この程度のルール、理解するのは簡単です」
「よっしゃよっしゃ、ならば手加減無用! 『エンゼル花子さん』、ワイちゃんと一緒に一勝ゲットしてから消えようZE☆」
「え、えぇ……」
 もう『エンゼル花子さん』がオブリビオン妖怪だとか、骸魂だとか、そんなことは関係ないのである。
 共に遊んだのならばもう仲間!
 そこに貴賤はないのだ。いやあるじゃろ。

「ほほう、トレーディングカードゲーム、とな?」
 とは言え未だルールを理解していない者もいる。勇者パーティの一人、フィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)であった。
 べ、別に天才美少女魔術士である我にわからぬことがあるわけではないぞ? とツンデレいただきましたーってなりつつ、その背後からサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)がにゅっと顔を出す。
 忍び、クノイチはどこにだって現れるものである。ぬかりはない。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、世に潜み……胸が大きく――」
「サージェさん、それ以上言うとピアノ弾きますよ?」
 彼女の前口上を阻止したのは、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)であった。
 ピアノ弾くぞっていうのが脅しになる時点、ん? おかしない? ってなろうものであろうが、これが勇者パーティの日常である。

「アッハイだまります」
 胸の大きさ的に味方がいないのである。くるっとパーティを見回しても誰もいないのだ。二回言った。
 ワイちゃんは味方やでって生温い視線が『バズリトレンディ』から飛ぶが、正直今は嬉しくない。
 先日は鼻血出してるし、出しすぎであったサージェ。
 それを覚えているのかいないのか、『バズリトレンディ』は、サムズアップする。
「今日も大量出血サービスよろよろ」
 覚えとるやないかい!

「わたしの特製デッキの出番ですね!」
 ん?
 ちょいちょい。二対一でボコろーぜ! って意気込んでいたけど、一人二人三人……あれ!? なんか勇者パーティさん四人全員がデュエルスタンバイしてません!?
「えぇ。複数対戦の場合人数制限ないとルールブックに書いてありますし……」
 シャインがクソ分厚いルールブックを開いて、指差す。
 マジでそう書いてある。まさかここに来ての目論見の御破算である。いや、『バズリトレンディ』どっちの味方なのだろうか。

「よし、それではあらためて。わたしのターン! ドロー!」
 あ、もうはじまった。
 ルクスがカードをドローし、手札から『夜の魔女』を攻撃表示で召喚して特殊効果を発動する。
 悪魔のカードをデッキから一体特殊召喚し、手札のマジックカード『融合』を発動して、ユニットを融合させるのだ。
「これで『漆黒の魔女』が完成です! これで『漆黒の魔女』の特殊効果発動するんです!」
 ちょ、ちょっとまって。
 まだ他の人のタスク処理が待ってるからね。ワイちゃんが仕切らせていただく!

「私のターン! ドロー! 『乳狩り族』召喚! このカードは……うーん相手の胸の大きさで攻撃力が変わっちゃうので防御表示で」
 シクシクと無くサージェ。
 残念ながら周囲に味方はいないのだ。残念なことであるが、この場において胸の大きな人は人権がない。
 座ってろっていうやつである。

「私は天使デッキです。守護天使を召喚! さらに神の怒りたる『ジャッジメント・クルセイド』により天からの光を降り注がせフィールドのモンスターを撃破しましょう」
 降り注ぐシャインのカード効果。
 わかる。
 アルマゲドンだかハルマゲドンだかエリマキトカゲだかわからんが、天使デッキってそういう大量除去カード好きだよね。
 わかる。わかるマン。
「ってわからねーですよ!? ちょいちょい! そういうのはもっとこー、ね? 大会とかそういう時に……ってうえ!?」
『バズリトレンディ』は目を剥いた。
 なんで? っていうと、目の前には何故かゴーストやスケルトンといったアンデットがいるからである。

 トレーディングカードゲームのアニメ特有の特殊なホログラム的なやつのあれでは? いくら『バズリトレンディ御殿』とは言え、そこまではできませんよ奥さん。
 そう、フィアが直に召喚したものである。
 カード関係なくない?
「ふっふっふ。召喚術であれば、天才美少女死霊術師である我の専門よ!」
 そう、フィアはトレーディングカードゲームとは、モンスターを召喚して戦う遊びだと理解していた。
 いや、それは比喩っていうか設定ってやつなんスけど。
 総説明する前に『バズリトレンディ』と『エンゼル花子さん』の前にはゴーストとスケルトンといったモンスター(実物)が立ち並ぶのだ。
「さあ、行け! 我の『死霊船団』よ! 戦場を蹂躙するのだ――って、いたぁ!?」

 炸裂したのはハリセン(物理)であった。
「なんでカード使わずに自力でモンスターを召喚しているのですか!  トレーディングカードゲームなんですから、ちゃんとカード使って戦ってくださいっ!」
 もう一度ハリセンがフィアの脳天に直撃する。
 なんでじゃ! なんで殴るんじゃ! とフィアは憤慨したが、その手にはカードが一枚もなかった。
 そらそうよ、と『バズリトレンディ』は思ったけど、黙っていた。
 だって言ったら絶対自分の方にもとばっちり来そうだし、と思わないでもなかったからである。

「もういいですよね! それはでは『漆黒の魔女』の効果で、召喚したターンに限り、攻撃力が通常の三倍になります。そして無差別範囲攻撃になりまーす!」
 元気よくルクスが宣言する。
 いやちょっとまって、まって。
 それだと味方のサージェサンも巻き込みますけど、大丈夫ですか?
「いえすいえす!」
「ちょ、ちょっとまって! シャインさんシャインさーん! 助けてー!?」
 サージェはシャインに助けを求めるが、シャインは今フィアへのお説教で忙しいのだ。

 そんな彼女の背後でルクスのモンスターの放った無差別範囲攻撃が火を噴く。
 あ、いつものぶっぱですねと理解できた時には、サージェと『バズリトレンディ』、そして『エンゼル花子さん』はコンボの餌食となってライフをふっとばすのだ。
「どうだー! これがわたしの『ふぃあふぃあデッキ』だ!」
 だ!
 じゃねーぞ! と誰もが思ったけれど、口をつぐんだ。
 味方すらも巻き込んだ無差別攻撃デッキ。
 その名付け親となったルクスの名は、『デュエリストブレイド』において、通り魔的無差別デッキとして、その後の大会を席巻するのだが……。

「はい禁止禁止ー! キーカードの全部禁止ですー!」
『バズリトレンディ』の鶴の一言でキーカード全てが禁止カードリストに打ち込まれるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『元祖鉄板や『おっちゃん』』

POW   :    積み重ねた歴史の重み
単純で重い【鉄板や型の部分で相手を潰すのしかかり 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    百人前お待ちどぉ!
非戦闘行為に没頭している間、自身の【体 】が【鉄板料理に適した温度の熱を帯び】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ   :    出来立て食いねぃ!
【空腹 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【焼きそば、たこ焼き、今川焼き、たい焼き】から、高命中力の【熱々の麺、蛸の触手、餡子】を飛ばす。

イラスト:くずもちルー

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は甲斐嶋・詩織です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『バズリトレンディ勝負』――それはお互いの『バズリ度』を書けた戦いである。
 オーディエンスの支持を掛けた戦いであることは言うまでもない。
 彼らの感情をかき回し、燃え上がらせる。それが『バズる』である。

 ならば、ワイちゃんより炎上するやつ出てこんかい!

「――てなわけで、やってまいりました。『バズリトレンディ勝負』! 今回はバズり料理対決! ひゅー!」
『バズリトレンディ』はさっき迄オブリビオン妖怪に肩入れしていたのが嘘みたいな顔して司会進行を務めている。
 マジでどの面下げてやってきてんだって話であるが、彼女が『バズリトレンディ』である以上、それは考えるだけ無駄である。
 せやで、ワイちゃんの自由さは天元突破なんやから。

「鉄板料理はこの男が生み出したと言っても過言ではないでしょう! 元祖の特許を持っているのは俺だ! 元祖鉄板や『おっちゃん』が来てくれたー!」
 シュプレヒコールが飛ぶ中、オブリビオン妖怪、元祖鉄板や『おっちゃん』が悠々と入場してくる。
 周囲には無尽蔵にお金が溢れ出し、さらにバブルが溢れ出す。
 ほんとに料理対決か? と訝しむ猟兵もいるかもしれない。
 けれど、戦いの掟は唯一つ。

「相手より『バズれ』――! それだけなんや!!」
ミアステラ・ティレスタム
料理はいいですね
レシピや工程を見ているだけで楽しくなります
食べれば幸せ、お腹も心も満足しますもの
わたしはお金の力で他者にご助力いただくことにいたします

イメージするのはUDCアースで話題のパティシエさん
パティシエさんにバズるスイーツを作っていただきます
季節のフルーツを惜しみなく使ったお洒落なスイーツがいいですね
メロン、桃あたりが今は旬のはず
マスカットもいいですね
材料はもちろん高級なものを揃えております
消費するお金は人件費、材料費、光熱費、その他費用でしょうか

ケーキにゼリーにフルーツサンド、どれも美味しそうです
いっそアフタヌーンティー風にするのも素敵ですね
わたしは幻想の花びらで演出を強化しましょう



『バズリトレンディ勝負』における今回のテーマは『料理』。
 即ちバズる料理によってより多くのオーディエンスの賛同を得た方が勝利となる。言わば、これは両者の創意と工夫がものを言う勝負なのである。
 あとワイちゃんが食べたいだけです、とは新し親分『バズリトレンディ』の言である。
 オブリビオン妖怪である元祖鉄板や『おっちゃん』は鉄板料理一筋である。
 数多の料理人たちの残留思念が集まって生まれた骸魂が鉄板に宿ることに寄って生み出される料理の数々は絶技にして絶品。
 ほっぺたが落ちるとはこのことであると言わしめるほどのものばかりであった。

 ソースが蒸発し、酸味と甘みのある匂いが『バズリトレンディ御殿』に充満していく。もはやオーディエンスのお腹は鳴りっぱなしである。
「たこ焼きお好み焼きにもんじゃに鯛焼き! 回転焼きだけだなんてケチくせぇことは言わねぇよ! 今川焼きに大判焼き、蜂楽饅頭だろうがなんだろうが、満足させてみせらぁ!」
『おっちゃん』は豪語したが、回転焼き今川焼き大判焼き蜂楽饅頭の下りはある種戦争やぞ。

 オーディエンスのお腹を唸らせる『おっちゃん』の絶技は素晴らしいものであった。
 しかし、対するミアステラ・ティレスタム(Miaplacidus・f15616)は、さらにその上を行く。
「料理はいいですね。レシピや工程を見ているだけで楽しくなります」
 そういった彼女は、『おっちゃん』の絶技を見て同じことを思ったのだ。熟練の職人の伝える技。
 その冴え渡る姿を見れば、敵であろうとなんだろうと関係ないのだ。
「食べれば幸せ、お腹も心も満足しますもの」
 にこりと微笑んだミアステラが、頭に思い描くのはUDCアースで話題のパティシエであった。

「げぇー! あれは超高級五つ星のさらに上を行く六つ星パティシエ! 連日予約は埋まりっぱなしで、よしんば取れたとしても三年後という……!」
 知っているのか『バズリトレンディ』!
 この猟兵書房によれば……という感じで『バズリトレンディ』が全部説明してくれる。ありがてぇ。
 ミアステラは『バズリトレンディ御殿』に溢れる無尽蔵のお金を使って、札束ビンタで凄腕パティシエを召喚せしめたのだ。
 彼女はパティシエが生み出す精巧為るスィーツの祭典から目が離せなかった。

 メロン、桃が旬であることは言うに及ばず。
 人一つが宝石のように煌めくようにコーティングされていき、マスカットがまるで黒真珠のように輝いている。
「あれって一個ウン千いくらするやーつ!? これは本気! マジと書いて本気! いや、逆か! ともかくものすごい出費になりそうな!」
 解説の『バズリトレンディ』さんがおののいている。ああ、どれも美味しそう。お腹がぐるぐるしてきちゃう。だって女の子だもの。

 そう、確かに『おっちゃん』の作る鉄板料理はすごい。
 お腹すく。
 けど、オーディエンスが求めているのは『バズリ』である。キラキラしたおしゃれでハイソなやつがいいのだ。
 実直さがここに来て裏目に出ることがあっていいのだろうか。
 いいんです。

「まあ、ケーキにゼリーにフルーツサンド、どれも美味しそうです」
 ミアステラはというと幻想的な薄花桜の花弁を撒き散らしながら、優雅なアフタヌーンティーを演出する。
 超一流パティシエが生み出す至高のスィーツがケーキスタンドに次々と彩りを加えていく。
 もはやケーキスタンドと呼ぶには値しない。
 ミアステラが優雅にアフタヌーンティーを楽しむテーブルの上に座す居城の如き壮麗なるスィーツパレスは、今ここに完成を見せるのだ。

 優雅な花びらの下、ミアステラがアフタヌーンティーを演出すれば、カメラのシャッター音が響きわたる。
「撮影は……この際仕方ありませんね。さあ、みなさんもよろしければどうぞ」
 たおやかに微笑むミアステラの言葉にオーディエンスは最高潮に達する。
『おっちゃん』の鉄板料理は悪くなかったのだ。

「敗因があるとすれば……」
 ぽむす、と『バズリトレンディ』が『おっちゃん』の肩を叩く。
「とすればんでい……?」
 うん、と『バズリトレンディ』がにこりと笑って言った。

「全般的に茶色いから――!」
 そんな理由で、と叫ぶ『おっちゃん』が何故かはるか上空に吹き飛ばされ、頭から落ちる。え、頭ってそっちでいいんだっけと思わないでもなかったが、ミアステラはともかく、この『バズリトレンディ勝負』を制し、優雅なアフタヌーンティーをオーディエンスと共に楽しむのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎

バルタン・クッキング!(軽快なBGM)
バズり料理対決、イエローコーナーから参上デース!
本日のご注文は、どちらデショー!

おっちゃんが鉄板焼きならば、ワタシは丼物でバトルデース!
最近流行りの大食いメンバーもギブアップ間違いなしの重量を作り上げマース!
牛肉ステーキ、鶏のから揚げ、豚の生姜焼き!
海老・穴子・イカ・サツマイモ・ちくわの天ぷら!
ご飯は土鍋でじっくり炊きたて、トドメにタレたっぷりの鰻を載せて完成!
総重量脅威の40gオーバー! もりもり丼タワーの建造デース!

カロリー度外視の大食い料理バトル、いざ尋常に勝負デース!



 テレレレッテッテッテー、テレレレッテッテッテー、テッテッテテー。
 なんか急に軽快な音楽が流れ始めオーディエンスは周囲を見回す。
 急に『バズリトレンディ御殿』の照明が落ち、暗転する。次の瞬間軽快なBGMと共にバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)の瞳がユーベルコードに輝く。

 そう、『バルタン・クッキング』のお時間である。
「バズリ料理対決、イエローコーナーから参上デース!」
 急になんか番組始まったぞ、とオーディエンスの誰も思わなかった。いつものノリである。
 こういうのにはもう慣れっこだし、疑問に思ってはいけない。
 考えるな、感じるんや! がこの『バズリトレンディ御殿』のルールらしいルールである。
「本日のご注文は、どちらデショー! つってね! ひゅぅ! ワイちゃん人様のセリフを奪うことに掛けては天下一品天下一武道会優勝者に恥じぬ神速ぅ!」
 イェイイェイとノリノリで新し親分『バズリトレンディ』がマイクパフォーマンスをバルタンから奪ってしまう。

 さっきからマジで自由すぎる。
 基本猟兵側なのだが、どうにもトレーディングカードゲーム勝負も、この『バズリ料理勝負』も、彼女が楽しんでいるだけな気がするのは気のせいか。
「負けへん! 負けへんぞ! 『おっちゃん』の料理が茶色といわれようがナンボのもんじゃい! 最後にはうまいもんが勝つんじゃ!」
 オブリビオン妖怪、元祖鉄板や『おっちゃん』は、その身体にこれまで培ってきた料理人たちの魂を燃やす。
 鉄板が真っ赤になるほど燃え上る姿は、並々ならぬ勝利への飽くなき渇望を感じさせるには十分であった。

「『おっちゃん』の気合は十分のようデース! ならば、ワタシは丼物でバトルデース!」
 バルタンはメイドである。
 脳筋って頭に付くタイプのメイドであるが、メイドったらメイドなのである。そんな彼女にかかれば料理などお茶の子さいさいお茶漬け海苔のやばたにえんなのである!
 バルタンが作り上げていく丼は、鉄板焼を得意とする『おっちゃん』と同種のものであった。

 敢えて相手の土俵に立って戦おうというのだろうか。
 なんて潔いヤツなんだ……!
「こっちも極上の粉もん食べさせたるわい!」
 くるりとコテを返して宙に翻るのは、コナモンの王道、お好み焼きである。じゅわっとソースの焦げる匂いにオーディエンスは卒倒寸前である。
 だが、バルタンはソース使ってない。
 ていうか、ん?
 なんか。
「量多ない?」
『バズリトレンディ』が気がつく。え、それってまさか最近流行りの!

「ドカ盛りのやーつ! で、で、で~!!」
 デカイ。
 バルタンの作った丼っていうか、それすり鉢っていうか、そういう特注のやつってどこで売ってんのってなるくらいのサイズのすり鉢にバルタンが載せているのは、牛肉ステーキに鶏の唐揚げ、豚の生姜焼き。
 エビ、穴子、イカ、さつまいも、ちくわのてんぷら!
 さらにはご飯は土鍋で炊き上げるというこだわりぶり。もう単品で食べたいんですけどって気持ちのほうが強くなるが、バルタンは止まらない。

 トドメというように甘辛いタレの掛かったうなぎを載せて完成である。
「総重量脅威の40キロオーバー! もりもり丼タワーの建造デース!」
 そびえるは茶色のタワー。
 これがUDCアースのブラウンスカイツリーや~という具合である。
「カロリー度外視の大食い料理バトル、いざ尋常に勝負デース!」
 あれ!?
 なんか勝負の内容かわってない!? と誰もが思ったことだろう。これはあくまでバズリ度をはかる勝負である。
 だが、バルタンは関係ない。
 だって、美味しそうだし。何より作るのにかまけて体力一杯使ってしまったし。ならば、食べて補給しなければならないし。
 ヒュゴッ。
「ふぁっ!? えっ、今なんか……」
 ヒュゴッ。
『バズリトレンディ』は気がついた。

 なんかさっきから風を切る音が聞こえているのだが、その音はどこから?
 そう、バルタン謹製のブラウンスカイツリー丼の向こう側からである。恐る恐る背後に回ってみると、そこにあったのはものすごい勢いで丼を食べているバルタンである。
 やべぇ! あの細い胴のどこに入るスペースがあるというのだろうか。
「こ、これはやばい、やばたにえん! どうなってんの、その胃袋! もしかして宇宙なのかな!? かな?! ワイちゃんも若干引く!」
 いや引くなや。
 だが、オーディエンスは大盛りあがりである。
 次々にいいねの乱舞。

 バルタンは、え、ワタシまたなにかやっちゃいましたか? みたいな顔をしてヒュウゴヒュゴ音を立てながら、丼を綺麗に完食するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
アルファさん(f03963)と

次は料理対決で『炎上』させればいいんだね。
ならアルファさん、今度はわたしに任せて!

お金は心配ないし、ちょっと準備してくるね!
と、しばしお買い物。

――その間はアルファさんの癒され画像でお楽しみください――

おまたせー!

さ、作るよ-……とその前に。
マスクとゴーグルは忘れずにつけないとね。

具はチキンと玉ねぎでボリュームだして、
ジョロキアとリモ、それとリーパーで、
オレンジ、黄色、赤の彩り、そして辛さをプラス!

うん、いい感じだね。
アルファさん、バズトレさん、食べてみてー♪

理緒特製『Paella el Rey Demonio』だよ!

……また美味の犠牲者をだしてしまった……。


アルファ・オメガ
理緒(f06437)と

がう、次は炎上対決かー
ここは理緒にお任せするね

任せて
理緒がお買い物している間は
ボクがバズリトレンディと踊って時間を稼ぐよ!
(ジュリセン持ってふりふりもふもふ)

あ、理緒が戻ってきたねー
それじゃボクは審判席でっと

理緒はパエリアだねー
がう?
(理緒のマスクとゴーグルを見て何かを感じた猫)
…がう?
(何か猫的に刺激的すぎるのでは?って顔)
……がう?
(魔王って入ってない?って顔)

よ、よーし実食だね(耳ぺたん
まずおっちゃんのは…熱ーい?!
ちょっと猫舌にはキツいかも
理緒のパエリアはそんなに熱くない?
じゃあこっちから

…がうっ?!(ぱたっ)

お、いし(「りお」ってダイイングメッセージを残す猫)



 ダイイング・メッセージ。
 それは言うまでもないが、今際の際に死せる人が残した凶行の主を示す手がかりであり、大概そういったものは小説やドラマの中でしか見ることはできないだろう。
 けれど、今や『バズリトレンディ御殿』には3人分のダイイング・メッセージが残されている。
 正確には死んでないけど、まあ、ある意味味蕾が死んでいるので死んでいるって定義してもイイんじゃないかなってワイちゃん思うな。
 そんなふうに新し親分『バズリトレンディ』は回想しはじめる。
 あ、これ回想なんだ?

 ほわほわほわほわ~ん。
 もう謎のパワーでやりたい放題である。
 時は少し遡る。『バズリトレンディ勝負』を猟兵と繰り広げる元祖鉄板や『おっちゃん』は、これまでの勝負で辛酸をなめていた。
 自分の鉄板料理はこれまで同様、料理人たちの残留思念が導き出した最適解な鉄板料理であった。
 けれど、どれも猟兵たちの出す料理に勝てなかったのだ。
「何が、何がいけないんだ……!」
『おっちゃん』は涙した。
 どうして連中に勝てねんだ! と。そんな彼の肩をぽむす、と叩くのは『バズリトレンディ』であった。
 うんうん、わかるよーと彼の目の前に出したのは袋に入った白い粉である。おい! マジでそれはやべーやつだぞ! 洒落にならんヤツ!

「そ、それは……!」
 常習性のあるなんか白い粉!『おっちゃん』はたじろいだ。たしかに確実に炎上する。炎上どころじゃないやつになるけど、この『バズリトレンディ勝負』にあっては、たしかにこれに勝るものはないだろう。
 しかし、『おっちゃん』は踏み出すことができなかった。曲がりなりにも料理人の残留思念が骸魂となり、妖怪と合体したオブリビオン妖怪である。
 そんなことできるわけないのだ……!

「これね、特上のお好み焼き粉。特別だぜ☆」
 ――あ、そうですよね。
『おっちゃん』はなんか釈然としないものを感じながら、何故かどや顔している『バズリトレンディ』の何故かかっこいい雰囲気出してる彼女を見送るしか無かった。
 ていうか、どっちの味方なんだこの親分、マジで。

 しかし、対する猟兵は歴戦の猟兵である。
「がう、次は炎上対決かー」
 ケットシーであるアルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)は料理での対決ということもあって、共に相対する菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)と目配せする。
 こういう時は理緒の方が向いているだろうと思ったのだ。
 だから、『バズリトレンディ』と一緒にジュリアナ扇子を持ってふりふりダンスを踊っている。
 もふもふしているので、『バズリトレンディ』と余興に興じるのはわりと楽しかった。
「イェェェェェイ!!! ひゅうひゅうー!」
 なんか微妙に振るいネタを挟んでこないと死んじゃう病なのかな『バズリトレンディ』はアルファと共にお立ち台でどんちゃこすってやり続けている。
 二人はこの後審査員になるんだけど、大丈夫かな?

「料理対決で炎上させればいいんだったら、わたしに任せておいてね!」
 理緒は早速イメージする。
 そう、常にイメージするのは最強の炎上である。
『バズリトレンディ御殿』、お金の貯蔵は十分か。
 理緒がイメージしたのは、まさに『炎上』そのものであった。凄まじいほどの臭気。いや、これは――。

 アルファと『バズリトレンディ』の癒やされ画像でnice danceしているしている間に『おっちゃん』と理緒は料理を完成させていた。
『おっちゃん』は『バズリトレンディ』から提供されたお好み焼き粉を使った高級料亭にでも出てきそうな意識高い系お好み焼き。
 けれど、理緒は違った。
 オーディエンスがどよめく。
 いやなんか妙な匂いがしている。うっ! と一人のオーディエンスが何故か卒倒した。なんで?
「はい、おまたせー」
 現れたのはゴーグルと防毒マスクで完全防備した理緒であった。
「ぐえー!? ワイちゃんのきゅーとなお鼻が潰れちゃうくらいのなに、この、なに……!?」

『バズリトレンディ』も卒倒しかけているが『おっちゃん』はもうすでにピクピク卒倒している。理緒が横切ったからである。
 彼女手にあったのは――。
「理緒特製『Paella el Rey Demonio』だよ!」
 なんて?
 いや、パエリアっていうのはかろうじて聞こえたけど、デモニオって物騒な単語が聞こえたんですが。
 ワイちゃんこと『バズリトレンディ』は逃げ出した。しかし回り込まれてしまった!

「がう……」
 アルファは深呼吸した。心を落ち着けようとしたのだ。
 けれど、彼の嗅覚に訪れたのは刺激臭であった。ものすごい、その、ほら、あれ、である。
 具がきちんと玉ねぎでボリューミーになっているのに、よりにも寄ってジョロキアとリモ、それとリーパーでオレンジ、黄色、赤の彩り、そして辛さをプラスしているのだ。
 しかし、理緒の顔はキラキラしている。
 満面の笑みである。心を込めて作りましたという善意そのものである。

 だから、アルファはもうほかに何も言えないのだ。
「よ、よーし実食だね」
 かろうじて口に運んだのは、彼の根性というか性格の良さがにじみ出ていたからであろう。
 しかし、次の瞬間『バズリトレンディ』と共に卒倒してしまっていた。
 ばたーん! と勢いよく倒れ込み、しかしど根性によってアルファはなんとかつぶやいたのだ。
「お、いし」
 でも、しっかりダイイング・メッセージは記していた。

 真っ赤なデスソースで、「りお」って。

 そんでもって冒頭に戻ってね。おおあるふぁよしんでしまうとはなさけない。

「……また美味の犠牲者をだしてしまった……」
 なんて理緒は独りごちる。
 孤高の辛味ストとして、彼女は卒倒するほど美味しかったんだなぁってポジティブおばけのように頷いていた。
 いや、そういうんじゃないから。

 そっか……実は辛党ってそういう。
 物理で舌が炎上する料理は確かに、オーディエンスが引くほどの威力であったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『不動なる者』で。

あ、すまぬ。ほどほどに冷めたたい焼きを一つくれぬか?
陰海月が食べる。

料理なぁ…基本、わしはやらんのよな。やるのは基本『疾き者』なのだが、あやつは『バズる』と相性が悪い(忍者なので)

が、やるしかない。猪であり「ぼたん鍋」で「薬喰い」よな。
まあ手早く『猪肉の塊』を薄く切る。
さらに切ったネギ、豆腐、白菜と一緒に煮込んで完成である。
タレは味噌ダレである。臭みがあるのでな。

ん?切り口がかなり豪快だと?
仕方なかろう、慣れぬからな。
ああ、包丁は黒曜山であったぞ?


陰海月、ほどほどに冷めたのでないと火傷する。
頭脳労働(デッキ組んだ)後なのでおいしい。ぷきゅー。
ここ、ほのぼの。



 灼熱料理(物理)な『バズる』料理の前にオブリビオン妖怪、元祖鉄板や『おっちゃん』は撃沈していた。
 その鉄板の身体が真っ赤に燃えているような気がするのは、先程超が付く激辛料理の余波に寄るものであった。
 新し親分『バズリトレンディ』もなんかたらこ唇になって、ひーひー言っている。わりと自業自得では? と思わないでもないところが『バズリトレンディ』のこれまでの行いを示しているような気がしないでもない。

 しかし、まだ『バズリトレンディ勝負』は終わっていない。
 この勝負の決着は如何にしてオーディエンスをわかせたかである。猟兵達はオーディエンスをわかせる度になんか知らんが不思議なパゥワーで『おっちゃん』が弱っていっているのに釈然としない気持ちをいだきつつも、これが勝負の世界であるのだから仕方ないと各々の『バズる』料理を提供し続けていたのだ。
「あ、すまぬ。ほどほどに冷めたたいやきを一つくれぬか?」
 そう『おっちゃん』にオーダーしたのは、複合型悪霊である馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の四柱の中の一柱である『不動なる者』であった。

「ぬぁに! なんで熱々が一番美味しいたいやきを冷まして渡さにゃならんのだ!」
『おっちゃん』はオブリビオン妖怪である。
 けれど、それ以前に料理人の残留思念が集まった骸魂と合体した鉄板の妖怪である。
 ならばこそ、熱々こそが至高にして最高なのだ。
 ほふほふ言いながら食べるのがいいんじゃろがい! てワイちゃんこと『バズリトレンディ』がそーだそーだと喚いている。
 君どっちの味方だっけ? と誰も突っ込まないのは、もう慣れたからであろう。

「ああ、いやすまぬ。『陰海月』が食べるのだ」
 隣でぷっきゅいと手を挙げる『陰海月』。
 ほどほどに冷めたものでないと火傷してしまうのだ。だから、完全に冷めたものでもなく、ほどほどに温いものがいいのだろう。
「そういうことは早く言いねぇ! そら! やけどするんじゃあねえぞ!」
 ツンデレである。
 というか早い。もう出来てる。これが匠の技。
 いや、そういうもんだいかなぁって思わないでもないが、オブリビオン妖怪『おっちゃん』の下町の優しさにオーディエンスがしんみりしてしまう。

 あれ、これ結構ピンチじゃね?
「さて、わしも料理をするとしよう」
『不動なる者』は普段料理を作ることはない。
 こういう支度はほとんどが『疾き者』がするのだが、どうにも『バズる』というものと相性が悪いのである。
 忍びの者は忍んでこそ。
 バズって目立つような行いこそ避けるのであれば当然の帰結であった。

 だが、やるしかないのならばいかがするか。
「こういう時は豪快なものがいいだろう。使うのは猪……つまりは『ぼたん鍋』よ。はるか昔は『薬喰い』と言ったのだが……」
 動物を食すことを忌避していた時代に、獣を食すことは薬を食べることと同じであるという理屈で食べる習わしや店があったのだ。
 それを『不動なる者』は言っているのだろう。
 料理をしないと言っていたが、獣を裁くのはお手のものであった。
「まあ、捌くのは料理というよりも仕留めた獲物に感謝し、苦しみを少なく、そして余さず恵みを享受するための儀式めいたものよな」

『不動なる者』が説く言葉にオーディエンスが関心したような息が漏れる。
 現代においては屠殺は見る機会がないであろう。 
 だからこそ生命を頂くという行為を知ることは大切なことなのだ。いやこれバズるっていうか、エモいっていうか、そういうやつじゃんね!?
「かーなーり、切り口が豪快なんですがそれは」
「しかたなかろう、慣れぬからな」
 と言いつつ黒く光る包丁を振るう姿にオーディエンスはカメラのシャッターが止まらないのである。

 いや、何その黒い物騒なやつ。
「ああ、包丁は黒耀山であったぞ?」
 さらに切ったネギ、豆腐、白菜を一緒に鍋に煮込んで完成である。味噌の匂いがふんわり広がる。
 優しい匂いは猪特有の獣臭さを消してくれる。
「さあ、召し上がれ」
 えっも!
 なんか『バズる』という意味では違うものに仕上がったわけであるが、それでもオーディエンスと『おっちゃん』からの万雷の如き喝采は止むことはなかった。

 その影で『陰海月』は程々に冷めたたいやきを美味しいなぁとほのぼのとしており、『バズリトレンディ』はちょっと飽きてきたのか、たいやきを狙った瞳を輝かせていたのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「ふっ、オブリビオンよ、料理対決を挑んでくるとは愚かな!
料理といえば、こちらには勇者ルクスがいるのだ!
さあ、頼んだぞ、ルクスよ!」

サージェの生み出す幻覚によって、ぐーと腹を鳴らしながら、
我、腹減ったー!というコールとともにルクスの登場を見守ろう!
今日の飯は何かな!

「ふむ。我はその鉄板……もとい、純金のピアノを熱すればいいのだな?」

【魔力増幅】で魔力を増幅し、炎の魔術を行使!
ピアノをアツアツに熱していこう!

「ほほう、ルクスよ、それはいったい何という料理なのだ?
まるで……」

アツアツのヘラで口を封じるように放り込まれたのは、こんがり焼けた生地。

「おお、これは美味いな!
おかわり!」


シャイン・エーデルシュタイン
【勇者パーティ】
「ルクスさん!?
いつの間に私たちパーティのテーマソングとかできてたんですか!?
それから純金のピアノって!?」

ルクスさんの登場に思わずツッコミを入れてしまいます。
というか、彼女の職業、料理人じゃなくて勇者ですよね?
なんで料理してる時の方が勇者のときよりも輝いてるのですか!?

「そんな……サージェさんに幻影の使用を的確に指示し、
フィアさんに暴走させずに魔法を使わせるなんて……
まるでルクスさんがパーティーのリーダーみたいじゃないですか!」

はっ、思わずツッコミを入れてしまいましたが、勇者のルクスさんがリーダーでした。

「もんじゃですか。
サージェさん、ここから先は私の領地ですからね!」


ルクス・アルブス
【勇者パーティ】

サージェさんの演出を受けて、
パーティのテーマソング(アドリブ)を、金のピアノで弾きつつ登場。
映えてるね!

はい師匠。料理ならお任せ……って、
え?わたし輝いてます?
シャインさん今日大盛りにしますね。

『おっちゃん』の鉄板も業物みたいですけど、
こちらはこれです!

あ、師匠すぐ作りますからね。

バズリトレンディさんのお金で作った純金のピアノ。
これに熱を入れて調理です!
(師匠、火、お願いします)

どうですか、この熱伝導。映え!

なにを作ってる……ってもんじゃですよ?
すとっぷそれ以上イケナイ。ちゃんと食べ物ですから!

師匠たちも、バズさんも、熱々のところをいってください。
ヘラでいくとより熱々ですよ!


サージェ・ライト
【勇者パーティー】
料理対決…では我らが勇者ルクスさんにお任せするしか!
私は影となり演出担当を
ルクスさんがピアノを弾きだす直前に
SE(効果音)を【VR忍術】焼肉食べたい!で
なんと妄想から音と匂いだけ再現するという極悪な効果!
お腹が空きます!(きりっ)
アッハイ、次、煙ですねー
では【VR忍術】焼きさんま食べたい!で
これは妄想から匂いと煙だけ再現(以下略)
私のお腹(ライフ)は腹ペコよ!!!

ルクスさん空腹で死にそうですー
え?できました?
なるほど、このヘラで削ればいいんですね?!
おっと勢い余ってフィアさんをふぃあふぃあしてしまうところでした!
シャインさん目が本気ですね怖いですね負けませんよ!(食い意地)



 猟兵のもたらした滋味はオブリビオン妖怪、元祖鉄板や『おっちゃん』の激辛料理に寄って撃沈した魂を再び料理への情熱でもって蘇らせるには十分なものであった。
 そう、料理とはもてなしの心。
 即ち、暖かな料理を凍えるものに。
 おなかを空かせた子供らを満腹にしてあげたい。
 そんな暖かな気持ちをオブリビオン妖怪に思い出させていた。『バズる』だとか『炎上』するだとか、そんなことは本当はどうでもよかったのだ。
『おっちゃん』の瞳が輝く。
 それは本来の鉄板としての矜持を取り戻したからにほかならない。
 あれ!?
 なんかこっちのが主人公っぽいなってワイちゃんは思った。

 けれど黙ってた方が絶対面白いなこれ、とも思ったので新し親分『バズリトレンディ』は若干飽きかけていた『バズリトレンディ勝負』を続行させるのだ。
「ふっ、オブリビオンよ、料理対決を挑んでくるとは愚かな! 料理といえば、こちらには勇者ルクスがいるのだ!」
 フィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)が非常に悪役っぽいセリフを言ってくれたので『バズリトレンディ』はそれに乗っかることにした。
 だってそのほうが面白そうだし!

「せやで! こっちには光の勇者御一行様がいるんやで! どんだけ主人公覚醒シーンで確変入ったからって勝てる道理なんてないんや!」
『バズリトレンディ』がまくしたてる。
 いやほんとどっちの味方かわからんな。ワイちゃんは面白いほうの、いやさ、流行りの味方なんやで。
 フィアの言葉を受けて、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)が一歩前に出る。
 なんか勇者パーティのテーマソングを金のピアノで弾きつつ登場する。
 テレレレッテッテッテー。
 あ、やばい。
 これ絶対後で怒られるやつ。レベルアップした時の音じゃねーか!

 しかし、それを阻むのはサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)のVR忍術(イメージスルノハカッコイイワタシ)であった。
 サウンドエフェクトを変える忍術によって、何故か焼肉食べたいというサージェの願望を受けて音と匂いだけを再現する極悪な効果に変更したのだ。
 オーディエンスのお腹が鳴る。
「人の金で焼き肉が食べたい!」
 何神絵師みたいなこと言ってんだろうと言う気がしないでもなかったが、オーディエンスの方々と『バズリトレンディ』の気持ちはいっしょだった。
 人様のお金で肉が食べたい。
 それは全人類共通の願望であった。
「お腹が空きます!」
 キリッ! としていたサージェであったが、ほら、次の効果宜しくとフィアがせっつくのだ。

 こめくいてーでもやせたーい、的なフィアぴょいしながら、フィアはコールをする。
 今日の飯は何かなと思いをもう馳せている。完全に戦いのことを忘れた堕落した魔女である。さす魔女。
「ルクスさん!? いつの間に私達パーティのテーマソングとか出来ていたんですか!? それから純金のピアノって!?」
 シャイン・エーデルシュタイン(悪霊として蘇ったクレリック・f33418)は我慢できていなかった。
 ツッコミをしないといけない病にかかってんだ……余命……あ、もう死んでたわ、と誰かが思ったが口にしないのは優しさか、それとも面倒くさかったのか。
「え、ここでは全部願望が叶ってしまうんですよね。だから純金のピアノも簡単にほら」
 そう言ってルクスがイメージするだけで具現化する高級食材の数々。

 そんでもって料理勝負である。
 いやあなたの職業勇者ですよね? 料理人じゃないですよね!? というシャインのツッコミは虚しく空振りする。
「『おっちゃん』の鉄板も業物みたいですけど、こちらはこれです! あ、師匠すぐ作りますからね」
「早めにお願いしますね。フィアさんだけでなく私のお腹(ライフ)は腹ペコよ!!!」
 お願いルクス! 諦めないで!
 次回予告『フィア満腹に死す!』
 いや、かなり前回の『デュエリストブレイド』に引っ張られてるサージェであったが、フィアも同感であった。

 お腹がぐるぐる言っている。
 別段前回なにかしていたわけではないが、魔術を使うとお腹が空いてしまう仕様なのである。
「そんな……サージェさんに幻影の仕様を的確に指示し……」
 シャインは戦いていた。
 基本的にぽんこっつなルクスであったが、勇者であると認めていたのだ。
 それが今や料理人である。
 純金のピアノの天板を鉄板代わりにして、フィアに火をお願いしまーす、と炎の魔術でもってピアノを熱々に熱するように指示を飛ばしているのだ。

「こんな……こんなことって……これではルクスさんがパーティのリーダーみたいじゃないですか!」
 それはツッコミなのかな? それとも野次かな?
 微妙に褒めてない驚嘆の表情のままシャインが叫ぶ。
「シャインさん今日大盛りにしますね!」
 そんな言葉にルクスが笑顔を向ける。皮肉でもなんでも無い。マジで輝いているのだ。
 いやいや、勇者パーティ名乗っているのだから、ルクスがリーダーで構わないのだ。落ち着け、落ち着くんじゃシャイン。

 そして料理が進む。
『おっちゃん』はたこ焼きを達人技でくるくる回して舟の中に投げ込んでいく。甘辛いソースがたっぷりに鰹節、青のり、そしてマヨがびゃー! と。
 いかん。たこ焼き食べたくなってきた!
 たこ焼きが西のキッズフードであるというのならば、ルクスは東のキッズフードを作るのだ。
 同じ鉄板に寄って生み出される粉もの料理。
 それは――!

「ほほう、ルクスよ、それはいったい何という料理なのだ?」
 ルクスが調理している横でフィアがぐるぐるおなかを空かせて立っている。
 もう我慢できない。
 せっかちさんの食べ物と言えば、そう!
「これですか、これはもんじゃですよ!」
 ルクスの更に隣にサージェがヨダレをこぼしかけている。
 二人のお腹のライフはゼロのエンプティである。はよ。はよして、とせがむ姿は大きな子供である。

 もんじゃはヘラで鉄板に記事を押し付けてカリカリにして食べるものである。調理の全てが終わってから食すのではなく、調理途中で各々が焼き加減を調整して食べる食べ物だ。
 だから、せっかちな食べ物。
「もんじゃ……まるでげ……」
「すとっぷそれ以上イケナイ。ちゃんと食べ物ですから!」
 あともんじゃ過激派が飛び込んでくる。
 いや、まあ炎上って意味ではバズるのでいいんじゃないかなぁって思わないでもないワイちゃんであるが、勇者パーティの面々が楽しそうにもんじゃを囲む姿は、それはそれで『映える』ものであったことだろう。

「なるほど。焼けた生地をこうやってヘラで削ればいいんですねって、あっつ! あっつい!」
「もんじゃですか。サージェさん、ここから先は私の領地ですからね!」
 シャインの目が怖い。
 やべーぞ、もんじゃ警察の素質ありだ!
「おお、これは美味しいな! おかわり!」
 はいあーん、と手ずからルクスから食べさせてもらっているフィア。これは餌付けですか?
 →はい
  イエス

 みたいなことになってんじゃねーか! と『バズリトレンディ』が叫ぶ。
 キャッキャウフフしている場合じゃないんですけどー! と思わないでもなかったが、ソースの匂いにつられてワイちゃん陥落である。
 仕方ないね。
「はい、バズさんもアツアツのところをいってください」
 くっ食す!
 あ、それクノイチ的には私のものじゃないかなーってサージェは思ったが、今は食い気が勝つ!
 シャインとサージェが領地を奪い合う陣取りゲームに興じ、ルクスとフィアは餌付けに忙しく。

 そして『おっちゃん』のたこ焼きはオーディエンスに大人気。
 すげぇ……なんか丸く収まりそうな雰囲気だぞ! たこ焼きだけに!
「ま、それがいいたかっただけなんやけどな――!」
『バズリトレンディ』は美味いこと言った感を出しつつ、ドヤ顔を何故か決めるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
あまり得意な分野じゃないけどどうしたものかなぁ

お料理勝負ですの
楽しそうですの

女神降臨を使用し
エプロン姿に変身しますの
もちろん晶もですの
可愛いは正義ですの

こっちまで巻き込むな
依頼達成に必要だから
断れないの分かった上でやってるよな
文句言える状況じゃないし
何とか笑顔でやり過ごそう

スイートポテトを作ってみますの
折角ですから動物型にしてみますの
可愛らしく成形して焼くとしますの

…焼き上がったの見事に焦げてるね
何というか焼死体感
まあ、こういうので目立ってるの見た事あるけど
狙ってたのか素なのか…

さあ試食の時間ですの
親分様食べてみて下さいまし
(ネタ的に)とってもおいしそうですの

…親分のリアクション芸に期待しよう



『バズリトレンディ勝負』はすでにバズったとか、バズられたとーかーそんなことを最初に言い出したのはー、だーれーなのかしら、駆け抜けていく~♪とかなんかそんな鼻歌を歌っている新し親分『バズリトレンディ』のときめきバズリトレンディメモリアルに刻まれていた。
 あれもう勝負終わった? 的な大団円が見受けられるが、実際はそうじゃない。
 オブリビオン妖怪、元祖鉄板や『おっちゃん』はオーディエンスにたこ焼きを振る舞うのに忙しい。
 というか、なんか無駄にキラキラしとる。
 誰かのために料理を振る舞うという初心を思い抱いた『おっちゃん』はとても良い笑顔であった。

 もう其処には世界の破壊を目論むだとか、そういう感情はまったくなかった。
 しかして、骸魂と妖怪の合体を分離させなければならないことには代わりは未だなく。
 だからこそ、『バズリトレンディ勝負』は続行中なのである!
「あまり得意な分野じゃないけどどうしたものかなぁ……」
 佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は途方にくれていた。
 料理が得意でもないし、かといって映えるというのもよくわからなければ、『バズる』というのも今一理解できないところがあった。
 けれど、邪神の分霊はそうではなかった。
「お料理勝負ですの。楽しそうですの」
 女神降臨(ドレスアップ・ガッデス)のユーベルコードが輝き、晶と邪神の分霊がドレスアップという名のエプロン姿に変身する。

 当然のように晶まで巻き込まれエプロン姿に成っているところが流石というか、いつもどおりというか、平常運転というか。
「可愛いは正義ですの!」
 当然の帰結である。
 誰だってそうする。ワイちゃんだってそーする。
「こっちまで巻き込むな。オブリビオン妖怪を分離させるのに必要だから、断れないのわかった上でやってるだろ」
 文句が言えない状況でもってドレスアップする。
 そういうところだけは誰にいわれずともやるのが邪神である。いえす邪神! ノー可愛いノーライフである。

 晶はオーディエンスのKawaiiコールになんとか笑顔を作ってやり過ごす。
 正直いたたまれない。
「今日はスイートポテトを作ってみますの。せっかくですから動物型にしてみますの」
 出来上がったのがこちら。
 早い。
 三分間クッキングでも、もう少しなんか解説してくれる!
「……焼き上がったの見事に焦げているね。なんというか……」
 焼死体感がすごい。
 山火事で巻き込まれてしまった感じがすごい。滅びの感じがすごい。流石邪神と言うべきかそうではないのか。
 ていうかこれ狙ったのか? それとも素なのか?
 晶には判別が付かなかったが、悪目立ちっていうんじゃないのかなぁって少し引いた。

「さあ試食の時間ですの」
 にこりと微笑む邪神の分霊。
「えっ」
 晶はびっくりした。
 本当にびっくりした。だって、これ、焦げてるし、到底食べられる感じが出てないよね? え、普通に完成ですけどって顔しているのが怖い。
 これを食べさせようとしている時点でもう怖い。
「さ、親分様食べてみてくださいまし」
「ゔぇ!? ワイちゃん?! なんで!? なんでワイちゃん!? ワイちゃんまだ何も悪いことしてないですが!?」
 びくっとしたのは新し親分『バズリトレンディ』であった。
 なんとなーく空気を察して逃げようとしていた矢先であった。首根っこを掴まれた『バズリトレンディ』が青筋立てて愛想笑いをしている。

 普通にやべー味であることは言うまでもない。
 ていうか食べ物っていうか炭素っていうか。
「とってもおいしそうですの」
 にこり。その微笑みがこれまで以上の狂気をはらんでいることを晶は知る。けれど、矛先が自分でないからまあいいかなとも若干思わないでもなかったし、新し親分のリアクション芸に期待してみたかった。
 あ、こいつ悪っ!
 今リアクション芸って言った! ワイちゃんそこまで汚れ芸人じゃないんですけどおー!

「さ、召し上がれ」
 悲鳴が『バズリトレンディ御殿』に響きわたる中、オブリビオン妖怪、元祖天板や『おっちゃん』は、真に料理をするとはどういうことなのかを思い出し、オーディエンスが殺到し、たこ焼きを求める中静かに落涙した。
「これが、料理ちゅーもんなんやな……みんなの笑顔。これがおっちゃん見たかったんや……ありがとう、猟兵さん。これであんじょう心置きなく分離できますわ。まるでたこ焼きみたいにまるっと収まりましたわ」

 あ、なんか勝手に浄化していっている。
 その背後で邪神の分霊に追いかけられる『バズリトレンディ』が叫ぶ。
「それさっき、前のやつで言った! 言ったのワイちゃん!」
 え、こわ。
 前のやつって何いってんだろう。こわぁ。
 天も地の文も『バズリトレンディ』の尊い犠牲に手を合わせた。ごちそうさまでした。いや、違うな。

「ちょ、ちょっとまって! あっ、それ焦げっ、ていうか炭! あ――ッ!!!?」
 邪神の分霊のにこやかな笑顔と、晶の明後日に顔をそらした素知らぬ顔。
 そして、『バズリトレンディ』の悲鳴に送られ、『おっちゃん』はオーディエンスの喝采を受けて、霧散し消えていく。
 けれど、忘れないで欲しい。
 料理は真心。
 決して食べ物を粗末にしてはいけないぞ。

 ワイちゃんとの約束だ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月21日


挿絵イラスト