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超魔王誕生?! ダンジョンメーカーを取り戻せ!

#アルダワ魔法学園 #猟書家 #猟書家の侵攻 #ヴァルサリッサ・アフトクラトラス #ファーストダンジョン #ダンジョンメーカー

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「ふっふっふ……ついに見つけたわよ『ダンジョンメーカー』!」

 大迷宮アルダワの最終フロア、かつて大魔王ウームー・ダブルートゥが封印されていた『はじまりの玄室』のさらに奥。迷宮の終着にしてはじまりの地に、誰かの声が響いた。
 それは威厳のある黒いドレスを身に纏った、若い女魔術師だった。彼女の杖が放つ光は迷宮の闇を払い、その奥に安置されていた一台の魔法装置を照らす。

「あの大魔王を封印し、この迷宮を作り出したという伝説の魔法装置……つまり、これを手に入れれば今日から私が魔王ってことよ!」

 そう言って女魔術師が取り出したのは『災魔の卵』。埋め込んだ物を災魔に変貌させる恐るべき災いの因子。これを持っているということは、彼女が他世界侵略集団『猟書家』の一員だという証でもあった。

「さあ起動しなさいダンジョンメーカー! この私、ヴァルサリッサ・アフトクラトラスに相応しい、新たな迷宮を作るのよ!」

 女魔術師――ヴァルサリッサが『災魔の卵』をダンジョンメーカーに埋め込むと、古の魔法装置は不気味な光を放ち始める。それと同時に周囲の床が、壁が、天井が動きだし、フロアの構造そのものが新たな形、新たな迷宮に作り変えられていく。

「私こそが大魔王を超えた新たなる魔王! 超魔王とは私のことよ!」

 あーっはっはっはっは!! と高らかな笑い声が、新たに生成された迷宮に響き渡る。
 王なき迷宮の最深部にて、王座を簒奪せんとする野望が、密かに動き始めていた――。


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「アルダワ魔法学園を侵略する猟書家の1人『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』が、大迷宮アルダワの最深部『ファーストダンジョン』の隠しフロアに侵入しました」
 幾多の世界にまたがって侵略を行う謎の勢力『猟書家』。中でもアルダワの侵略に関わる幹部は、ミスター・グースの目論む「魔導蒸気文明の災魔化」を実現すべく、世界中で様々な事件を引き起こしている。だが今回の事件はかつての魔王戦争の舞台にもなった、猟兵にとっても馴染みが深い大迷宮――大魔王が封印されていたはじまりの迷宮だ。

「ファーストダンジョンの隠しフロアには、遥か古の時代にダンジョンを作るのに使われた魔法装置『ダンジョンメーカー』が置かれています」
 大魔王の封印に利用され、大迷宮アルダワを創り上げたこの伝説の魔法装置は、現在は迷宮に潜む災魔の残党退治に使われていたが、猟書家ヴァルサリッサはこれに目をつけ、自らが亡き大魔王にかわる新たな魔王として迷宮に君臨しようと企んでいる。
「ヴァルサリッサはダンジョンメーカーに『災魔の卵』を取り付かせ、迷宮をさらに深くすることで、ダンジョンメーカーを確保する構えです」
 災魔の卵を埋め込まれたダンジョンメーカーは迷宮最深部に新たなフロアを作り出し、ヴァルサリッサはそこで強力な災魔や危険な罠の数々を用意して猟兵を待ち構えている。大魔王というラスボスに対する裏ボス――隠しステージの親玉を気取っているようだ。

「さらにヴァルサリッサは隠しフロアの難易度をグレードアップするために、ダンジョンメーカーの機能を使用して『マッド・メイズ・メイカー』という災魔を召喚しました」
 この災魔は通常のモンスターではなく、迷宮を作り出し作り変え、より複雑かつ危険なものに再構築するシステムだ。この災魔がいる迷宮には大量の罠と災魔が自動設置され、また迷宮自体も拡大を続けていく。ダンジョンメーカーとの組み合わせは最凶の災魔だ。
「このままではヴァルサリッサの元に辿り着くのは困難でしょう。まずは隠しフロアのどこかに配備されたマッド・メイズ・メーカーのコアを破壊する必要があります」
 存在するだけで迷宮全体の危険度を高めるマッド・メイズ・メーカーだが、本体は召喚された場所から動けない。直径2mほどの青い球体がコアとなっており、これを破壊することで機能を停止させられる。また、コア自体の耐久力もそれほど高くはないようだ。

「今回の作戦では、魔法学園に在籍する学生から有志の方々が協力してくださいます」
 ダンジョンメーカーとマッド・メイズ・メーカーの機能で生み出された隠しフロアには大量の災魔と罠が存在するが、その内容は既知のものが殆どである。ならば、魔王戦争後も迷宮探索の腕を磨いてきた学生達の知識と経験がきっと役に立つはずだ。彼らは大魔王を倒した「転校生」こと猟兵達に敬意を抱いているので、指示にも素直に従ってくれる。
「彼らの支援も頼りつつ迅速に隠しフロアを踏破し、マッド・メイズ・メーカーを破壊。その後にフロアの最深部にいるヴァルサリッサ・アフトクラトラスを撃破してください」
 猟書家ヴァルサリッサは大魔王を超えた「超魔王」を自称し、その不遜さに見合うだけの実力もある凄腕の魔術師だ。このまま彼女にダンジョンメーカーを奪われたままだと、魔王再臨の野望も冗談では済まなくなる。事態が悪化する前に迷宮を元に戻さなければ。

「大魔王が倒れ、せっかく平和になった魔法学園の危機を見過ごすわけにはいきません。久しぶりの迷宮探索になる方もおられるかもしれませんが、よろしくお願いします」
 説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、隠しステージへの道を開く。
 大魔王亡き後のアルダワ迷宮で、新たな魔王にならんとする猟書家との戦いが始まる。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回の依頼はアルダワ魔法学園にて、ダンジョンメーカーの力で迷宮の新たな王にならんとする猟書家『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』の野望を阻止するのが目的です。

 一章は新たに生成されたフロアの守護者として召喚された『マッド・メイズ・メイカー』の破壊が目標です。
 この災魔は迷宮をより複雑かつ危険なものに再構築する機能に特化しており、自らは動かずに作り出した罠や召喚した災魔を猟兵と戦わせます。ですのでこの章は戦闘よりも迷宮探索がメインとなり、罠や災魔をいかに攻略してマッド・メイズ・メイカーの本体を発見するかという内容になります。
 本体にも攻撃機能はありますが、耐久力は低くそこまでの強敵ではありません。所在さえ見つけられれば勝てる相手です。

 二章は迷宮の新たな魔王を名乗る猟書家『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』との決戦です。
 災魔の卵を埋め込むことで魔法装置『ダンジョンメーカー』を手中に収めた彼女は、この隠しステージのボスとして遺憾なく実力を発揮します。自惚れるだけのことはある凄腕の魔術師ですので、油断しないようにご注意ください。

 本シナリオは二章構成となり、全章共通で下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。

 プレイングボーナス……学生達と協力する。

 学生達はかつて大魔王を倒した猟兵に敬意を払い、全面的に協力してくれます。戦闘力では及びませんが、学園や迷宮の地理に詳しく、迷宮探索の経験も豊富なので、今回の隠しフロアの探索でも役に立ってくれるでしょう。
 隠しフロア内はダンジョンメーカーとマッド・メイズ・メーカーの機能により、大量の災魔と罠がひしめいていますが、その内容は落とし穴やスライムなど、どこかで見たことのあるものが大半です。各々の知識や経験を活かしてくだされば幸いです。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『マッド・メイズ・メイカー』

POW   :    自己防衛機構、起動
自身の【青い巨大コア】が輝く間、【コアから放たれる魔力の砲撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    災魔、罠、設置開始
【召喚した大量の災魔や迷宮の罠】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    迷宮、構築・拡大・変形
戦場全体に、【感覚を狂わせる蒸気を吹き出す魔道蒸気機関】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は照崎・舞雪です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

雛菊・璃奈
メイド6人と参加…

「里帰り!」
「帰郷!」
「帰りに温泉!」

そういえば、ここに来るのは結構多いけど、わたし、生徒と関わったコトってあんまり無かったね…。
ミア達を仲間にした時(「世にお嬢様のあらんことを」)くらいかな…?
レーナ達に協力お願いしたいけど…。

「懐かしいです」
「メイドの故郷です」

地理や迷宮に詳しい学生達やメイド達に迷宮の案内・探索協力を頼みつつ、自身も探知術式【呪詛、情報収集】を展開…。

道中はわたし達のパーティー全体を【狐九屠雛】で覆う様に展開して敵の不意打ち等の咄嗟の迎撃をカバー…。
全員でカバーや察知した情報の照らし合わせを行い、道中の消耗を避けて罠や敵を回避しながら奥へ進むよ…。



「里帰り!」
「帰郷!」
「帰りに温泉!」
 大迷宮アルダワの最深部に作られた新たなフロアで、6人のメイド人形が騒いでいる。
 彼女らは雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)に仕える使用人にして、ここアルダワで生まれた人形達。久しぶりの帰郷ということもあってやる気まんまんの様子だ。
「そういえば、ここに来るのは結構多いけど、わたし、生徒と関わったコトってあんまり無かったね……ミア達を仲間にした時くらいかな……?」
 璃奈の前に広がるのは複雑に入り組んだ地下迷宮の風景。罠と災魔に満ちたこの場所をスムーズに攻略するには、魔法学園の学生たちの協力を求めるのが一番だろう。その伝手が少ないことが彼女の懸念のようだったが――。

「レーナ達に協力お願いしたいけど……」
「はい! 喜んで!」
「あの時はお世話になりました」
「同意。全力で、協力する」
 要請に応じてやって来たのはドラゴニアンの少女レーナ、人間の少年セオ、ミレナリィドールの少女テュルイ。新入生歓迎の一環として行われた依頼で知り合った学生たちだ。
 あの当時は未熟さのあった三人組も、雰囲気からして随分成長したように感じられる。彼女達は率先して迷宮の案内と探索協力を買って出て、そのスキルを遺憾なく発揮する。
「新歓コンパからもう2年ですね。あたし達の成長したところを見ててください!」
「頼もしいね……」
 慣れた様子で罠を発見・解除していく彼女らを見つつ、璃奈も呪術で探知術式を展開。さらにパーティ全体を覆うように九尾炎・最終地獄【狐九屠雛】を展開し、敵の不意打ちに備える。

「懐かしいです」
「メイドの故郷です」
 6人のメイドのうち、レーナ達と同じ依頼で出会い、そして璃奈の家族になったミア、シア、ニアの三人組も、学生たちに負けじと張り切っていた。迷宮を故郷とする彼女らの探索能力も優れたものであり、始めて訪れるフロアでも勝手知ったる様子で進んでいく。
「全員で死角をカバーするように……それから、察知した情報の照らし合わせもね……」
「「はいっ!」」
 璃奈を中心としたこの探索パーティは、ダンジョンメーカーの暴走により仕掛けられた大量の罠にも引っかからず、互いに連携してフロアの最深部に続く路を探し出していく。

「この辺りは蒸気が濃いね……お互いを見失わないよう気をつけて……」
 マッド・メイズ・メーカーが仕掛けた蒸気機関のせいで、フロア内には感覚を狂わせる蒸気がそこら中に充満している。そうした場所では璃奈達は五感よりも探知術式を頼りに周辺の地形を把握し、奇襲も警戒して密集しながら進む。
「道中の消耗はなるべく避けたいからね……」
 触れたモノを凍てつかせる【狐九屠雛】の防御陣のように、いざという時に咄嗟の迎撃ができる準備は怠っていないが、前提として戦わずに済むならそれに越したことはない。蒸気の向こうに敵の影を感じたらすぐさま迂回し、多少遠回りでも安全なルートを選ぶ。

「ここまでは順調ですねっ」
「気を抜かない!」「集中!」「温泉まで我慢!」
「そうだね……」
 学生達とメイド達が齟齬なく連携しあう様子を眺め、璃奈はふと口元を微かに緩めた。
 この調子なら戦闘はギリギリまで避けられそうだ。罠もクリアして安全を確保しつつ、一同はマッド・メイズ・メーカー、そして超魔王を名乗る猟書家の元に迫っていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
学生ね…なら、ちょうど良いわ。随分会って無いし、リリィとか見知った子達に協力お願いしようかしら♪
元気にしてると良いけど♪

リリィ等、過去に依頼で会ったり助けたりした子達を中心に協力を依頼。
道中では互いに近況を話あったりして旧交を温めつつ、彼女たちの成長等も見つつしっかり罠や敵に注意して進んで行くわ。

一応、全員に(少々過保護的に)【念動力】の防御幕を付与してたり…。

ある程度の雑魚はそのまま学生達と協力して魔槍や各種攻撃魔術【高速・多重詠唱、全力魔法、誘導弾、属性攻撃】で対処するが、それなりの敵が出次第、【吸血姫の契り】で全員を強化して突破するわ。


しっかり成長してるみたいだし、また会えて嬉しいわ♪



「学生ね……なら、ちょうど良いわ。随分会って無いし、リリィとか見知った子達に協力お願いしようかしら♪」
 迷宮攻略と聞いたフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は、過去に依頼で会ったり助けたりした学生達を中心に協力を依頼する。魔王戦争が起こる前から何度もアルダワでの事件を解決してきた彼女は、学園内でもかなり顔が広かった。
「フレミア先輩、お久しぶりです! 今日は呼んでもらえて嬉しいです!」
 迷宮新歓コンパで会った赤髪の少女リリィをはじめ、多くの学生が彼女の支援に名乗りを上げる。災魔に襲われて危ない所を助けてもらったという者も少なくなく、今回の件は恩返しのチャンスだと気合の入っている者も多いようだ。

「皆、元気そうで良かったわ♪ 学園は今どんな感じかしら?」
「大魔王がいなくなった後も、先輩たちに負けないよう頑張ってます!」
 フレミアは学生達と互いに近況を話し合ったりして旧交を温めつつ、しっかり罠や敵に注意して迷宮の隠しフロアを進んでいく。ダンジョンメーカーの暴走によりフロアの状況は別物になっており、以前ここに来たことがあるフレミアであっても油断はできない。
「慎重にね」
「勿論です」
 だが学生達は戦後からの成長ぶりを見せるように、冷静かつ的確に迷宮の仕掛けに対処していく。出会った当時はまだ未熟な点の多かった者も、今では一端の迷宮探索者の顔をしている。罠の発見や解除に関しては、彼女らに任せておいても問題なさそうだ。

「しっかり成長してるみたいだし、また会えて嬉しいわ♪」
 フレミアはにこりと微笑みつつも、何かあった時のために一応、全員に念動力の防御膜を付与している。その防御は一般的な罠や災魔に対抗するには過剰なほどで、彼女の少々過保護なところが垣間見えるのはご愛嬌。
「先輩に守られてばかりじゃいられませんから……と、災魔です!」
 学生達は保護を受けつつも気を緩めず先に進んでいき、敵と遭遇すれば即座に戦闘態勢を取る。戦闘力は猟兵に劣るとは言え、ある程度の雑魚までなら十分対抗できるだろう。
 フレミアも真紅の魔槍を振るい、各種攻撃魔術を唱えて彼女らに協力する。スライムやウォークといった下級災魔の群れが、まさに鎧袖一触の模様でなぎ払われていく。

「本当に強くなったわね……でも、あれは素のままだとちょっと厳しいかしら」
 皆の成長をしみじみと実感していたフレミアだが、それなりに強い災魔が出てくると、即座に【吸血姫の契り】を発動する。このユーベルコードは彼女が認めた者達と血の契約を交わし、相互に強化するというもの。当然彼女との契約を拒む者などここにはいない。
「一気に突破するわよ!」
「「はいっ、フレミア先輩!」」
 血の契約により一時的に吸血鬼化した学生達は、驚くべき魔力と身体能力で災魔の群れを蹴散らしていく。マッド・メイズ・メイカーがいかに強力な召喚能力を持っていても、対抗できるものではない。勢いに乗った一同は、一気にフロアの最深部へ突き進む――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セフィリカ・ランブレイ
カビィちゃん(f24111)と

全部突っ込み所なら文字数で見逃される魂胆?
私はラヴラビ1の世評を見て目覚めた!

ラヴラビ2とか正気?
予算ないの?
まずトリッピーが女魔術師って言い張るの無理でしょ!?
まだラーメン啜る普段の姿がウケ良いわ!
どんな編集でも誤魔化せないわよ私多すぎるの含めて!
カビィちゃんの私役とか私後で絶対裁判起こすぞ?
イメージが守られない予感しかしない!
そもMSに謝ってホントに!私今謝りますごめんなさい!

『一気に言えた。肺活量を鍛えた成果ね』

役者だからね

『前回悪乗りしてたものねーアンタ』

正気の私にそれをいわないで

確かにこの密度でチラシ張りながら安全確保していけば目的達成
景観は犠牲になった


カビパン・カピパン
ラヴ・ラビリンス シーズン2
~愛を取り戻せ~

製作総指揮 戌MS
出演 主人公:セフィリカ
   ヒロイン:セフィリカ
   ナレーション:セフィリカが大好きなシェルファ
   友人A:セフィリカ
   友人B:セフィリカ
   セフィリカ:カビパン
   ヴァルサリッサ:トリッピー

あの伝説の製作総指揮 戌MSとセフィリカコンビが帰ってきた!


チラシをダンジョンの壁に3メートル間隔で学生達と協力して貼っていくカビパン達。

ジャック広告ならぬダンジョンジャックされたラヴラビシーズン2の存在感は大きなインパクトになり、あらゆる人々へ記憶に残した。効果的なプロモーションを実現し、同時にダンジョンを安全にしたのである。



「ラヴ・ラビリンス シーズン2、製作開始!」
「待って待って待って」
 チラシの束を抱えて隠しフロアにやって来たカビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)と、その開口一番の発言に待ったをかけるセフィリカ・ランブレイ(蒼剣と姫・f00633)。皆が迷宮攻略を進めている中、彼女らは一体何をしているのだろう。
「前シーズンを超えるヒットを飛ばすためには、まずは宣伝から!」
「待ってって言ってるんだけど!」
 事前情報のない方には何のことやらまったく分からないと思うので、説明させて頂く。
 彼女らは以前、ここアルダワとは違う世界の依頼で、とある迷宮の攻略に挑んでいた。そこで繰り広げていた茶ば……劇が『ラヴ・ラビリンス~愛の迷宮~』である。何人ものオブリビオンをギャグ時空に巻き込み、超展開の嵐で視聴者を混乱の渦に陥れた怪作は、全三章をもって無事完結したはずだったのだが――。

「はい学生の皆さん、これ貼って、どんどん貼って」
「は、はあ、分かりました……」
 カビパンは新たに刷られた『ラヴ・ラビリンス シーズン2』のチラシを、ダンジョンの壁に3メートル間隔で貼り付けていく。協力している学生達は、一体何をさせられているのか分からないまま、猟兵のやる事なら必ず意味はあるのだろうと従っている様子だ。
 蒼い魔剣を構えたセフィリカの姿がメインに押し出されたそのチラシには、煽り文句と一緒にキャストや製作関係者の名前が載っている。当然カビパンが主導する作品なので、そのリストも基本的にツッコミどころしかない。


 ラヴ・ラビリンス シーズン2
 ~愛を取り戻せ~

 製作総指揮 戌MS
 出演 主人公:セフィリカ
    ヒロイン:セフィリカ
    ナレーション:セフィリカが大好きなシェルファ
    友人A:セフィリカ
    友人B:セフィリカ
    セフィリカ:カビパン
    ヴァルサリッサ:トリッピー

 あの伝説の製作総指揮 戌MSとセフィリカコンビが帰ってきた!


「……………」
 チラシの内容を改めて確認したセフィリカは、無言ですうっと大きく息を吸い込んで。
 それから、お腹の中に溜まったものをいっぺんに吐き出す勢いで、思いの丈を叫んだ。
「ラヴラビ2とか正気? 予算ないの? まずトリッピーが女魔術師って言い張るの無理でしょ!? まだラーメン啜る普段の姿がウケ良いわ! どんな編集でも誤魔化せないわよ私多すぎるの含めて! カビィちゃんの私役とか私後で絶対裁判起こすぞ? イメージが守られない予感しかしない! そも製作総指揮に謝ってホントに! 私今謝りますごめんなさい!」
 怒涛のツッコミと文句と不満からシームレスな謝罪に繋がるここまで息継ぎ一切なし。これには彼女の相棒にして姉貴分である魔剣シェルファも、驚きを通り越して感心する。

『一気に言えた。肺活量を鍛えた成果ね』
「役者だからね」
『前回悪乗りしてたものねーアンタ』
「正気の私にそれをいわないで」
 前シーズンの撮影ではノリノリで熱演を披露していたセフィリカだが、今回はカビパンのギャグ時空に付き合うつもりはない様子。まあつもりがなくても巻き込まれる事もあるのがギャグ時空なのだが、抵抗の意思を表明するのは大事である。
「全部突っ込み所なら文字数で見逃される魂胆? 私はラヴラビ1の世評を見て目覚めた!」
 超展開の見本市だの罰ゲームだのと散々だった前シーズンの評価を鑑みて、今回こそは正気を保ってみせると意気込むセフィリカ。だが残念なことに彼女1人では学生を味方につけたカビパンのチラシ貼りを止めることはできないのだった。

「我ながらいい出来です」
 自信満々にカビパンが貼る【魅惑の一枚】には、あらゆる生命体や無機物、自然現象すらも魅了する特殊加工が施されている。これを貼った区域に仕掛けられた罠は作動せず、災魔は敵意を失い、壁や地面がひとりでに動いて最深部までの路を指し示す。
「確かにこの密度でチラシ張りながら安全確保していけば目的達成だけども」
「流石は転校生さんです!」
 カビパンの宣伝戦略は結果的にダンジョンにある脅威を無害化し、安全なエリアを広げていることになる(ただし景観は犠牲になった)。セフィリカが釈然としない表情でそれを見ている一方、学生達は「やっぱり猟兵ってすごいや!」と純粋に感心するのだった。

「じゃ、目一杯輝いてよろしくねっ!」
 愚痴ってばかりでも仕方ないので、セフィリカも【虚影の燐虫】を召喚してダンジョンの攻略に一役買う。この虫型マシンの群れは強く光り高速で飛行するため、先行させての安全確認や、敵をおびき寄せる囮役としては最適だろう。
『ウガガ……??』
 おびき寄せる場所は当然、カビパンの作った宣伝エリア。よく分からない作品のチラシが所狭しと貼り付けられた謎空間にやって来た災魔達は、わけが分からなくなって正気を失うか、魅了されてやっぱり正気を失うか、いずれにせよ無害な存在になった。

「まだまだ沢山刷ったので、セフィ姉も貼るの手伝ってください」
「結局私もやるんだ……」
『まあ正直読めてたわよね』
 かくしてカビパンとセフィリカとシェルファ、そして学生達はダンジョンの奥に進む。
 ジャック広告ならぬダンジョンジャックされたラヴラビシーズン2の存在感は大きなインパクトになり、それを見たあらゆる人々とそれ以外の物に忘れられない記憶を残した。
 効果的なプロモーションを実現し、同時にダンジョンを安全にしたのである――依頼的には大成功だが、本当に演るのだろうかこれ。頑張れセフィリカ、負けるなセフィリカ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
 猟書家がでたならしょうがないね。またダンジョンアタックと行こうか。ちょっとわくわくするね。

 協力してくれるベテランの学生達に助言をもらいながら進んでいこう。おそらく罠とかの知識については彼等の方が上だろうし、勉強のつもりで学ばせてもらうよ。

 なるほど、そうやって解除するんだね。それならアナロジーメタモルフォーゼを応用していっきに解除できそうだよ。

 学生達に危害がおよびそうなら、積極的にかばうよ。



「猟書家がでたならしょうがないね。またダンジョンアタックと行こうか」
 超魔王を名乗る猟書家の野望を阻止すべく、アリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)は久しぶりにアルダワの迷宮にやって来た。魔王戦争の際は何度も挑戦したダンジョンだが、そこに新たに現れた隠しフロアというのも気になる。
「ちょっとわくわくするね」
「はい、実は私達もです」
 彼女の言葉に相槌を打つのは、学園でもダンジョン攻略に慣れたベテランの学生達だ。魔王討伐を成し遂げた「転校生」の助けになるべく、自らの意思で志願してここにいる。

「おそらく罠とかの知識についてはキミ達の方が上だろうし、勉強のつもりで学ばせてもらうよ」
「そんな、恐縮です。でも精一杯お手伝いさせていただきます!」
 強い意気込みを見せながら迷宮に臨む学生達の様子を、アリスは少し後から観察する。戦う力では猟兵には敵わないとはいえ、探索に関しては場数がものを言う。知識と経験を元に隠された仕掛けや罠を次々と見つけだし、鮮やかな手際で解除していく。
「この罠は裏にワイヤーが通っているので、こっちからこうして……」
「なるほど、そうやって解除するんだね」
 ひとつひとつ罠の内容や解除方法を説明する学生達に、しきりに感心して頷くアリス。魔法による仕掛けと機械による仕掛けの両方が混在するのがアルダワのダンジョンだが、仕組みさえ理解できれば構造自体は単純なものが多いようだ。

「それならアナロジーメタモルフォーゼを応用していっきに解除できそうだよ」
 十分な情報を得たアリスは【類推的手法による物質変換】を発動。本来は周囲の無機物を情報的に分解し、別の物質に変換するユーベルコードだが、工夫すれば罠を作動させるワイヤーを手を触れずに切断したり、落とし穴の蓋が開かないようにすることもできる。
「こんな感じかな? ちゃんと解除できてる?」
「すごい……全部解けてます!」
 彼女の半径107メートル以内に仕掛けられていた罠は、物質変換の力により一瞬で解除された。魔法なら見慣れているアルダワの学生達も、これには驚きを隠せないようだ。

「ここからはぼくも手伝うよ。見逃しもあるかもしれないから、アドバイスよろしくね」
「は、はいっ!」
 ベテランの学生達から適時助言を貰いながら、隠しフロアの攻略を進めていくアリス。
 ユーベルコードによる罠の解除は、効率面においては手作業とは段違いの速さである。その手並みに感動した学生達もより一層奮起することで、攻略ペースはさらに加速する。
「そろそろ災魔も出てくるかな」
 フロアの深部に入るにつれて、仕掛けられた罠の数も増え、同時に不穏な気配が漂う。
 現れたのはマッド・メイズ・メーカーの力で召喚された災魔の群れ。最深部への到達を阻まんとするモンスターの群れに、一同は即座に戦闘態勢を取った。

「無理はしないようにね」
「分かっています!」
 学生達に危害が及びそうなら積極的にかばう姿勢を見せつつ、アリスは得意の情報操作で災魔に立ち向かう。アナロジーメタモルフォーゼはトラップの解除だけでなく、周囲の無機物を武器に変換して攻撃に使うことだってできる。
『グギャッ?!』
 迷宮の床や壁が変換された剣や槍に貫かれ、災魔共が悲鳴を上げる。これまでに多くの経験を重ねてきたアリスや学生達が、このレベルの敵に今さらつまづくことは無かった。
 決して油断はせず、かつ迅速に妨害を突破し、彼女らは迷宮のさらに奥へと進む――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルナ・ステラ
アルダワの危機見逃せません!
学生さんたちと協力して迷宮を攻略しないとですね!

落とし穴はわたしは箒があるので回避できますが...スライムはあんまりいい思い出が...
情報を貰ったり協力したりして罠や災魔を解決していきましょう!

なるべく罠が少なさそうな道を教えてもらい進んでいきましょうか。
災魔は学生さんたちに弱点を聞きながら、【属性攻撃】の魔法でそこを突いて攻略していきましょう!

あれ?感覚が変な感じが?
皆さん大丈夫ですか...きゃあっ!?
スライムや災魔が!?

あぅ...このままじゃ―UCで変身です!
わたしも含めみんなを癒しの魔法で回復して狂った感覚を元に戻して攻略再開です!
可能ならばコアも破壊します!



「アルダワの危機見逃せません!」
 超魔王の誕生を阻止すべく、新たに出現した隠しフロアに足を踏み入れたのはルナ・ステラ(星と月の魔女っ子・f05304)。ここを放置すればダンジョンメーカーとマッド・メイズ・メーカーの力が際限なくフロアを拡張していくが、そうは問屋が卸さない。
「学生さんたちと協力して迷宮を攻略しないとですね!」
「はいっ、頑張りましょう!」
 彼女と一緒にやって来た魔法学園の学生達も、彼女に負けず劣らずのやる気を見せる。
 大魔王の討伐から落ち着きを取り戻しつつあった迷宮に、新たなフロア。となれば迷宮攻略のプロフェッショナルである彼らの能力は大いに役立つ。

「落とし穴はわたしは箒があるので回避できますが……スライムはあんまりいい思い出が……」
「でしたら前衛は私達がやりますから、ルナさんは魔法で援護お願いします」
「この先に吊り天井の罠があります! 頭上にお気をつけて!」
 ルナは学生達から情報を貰ったり協力して、フロアに蔓延る罠や災魔を解決していく。
 迷宮に現れる一般的な災魔の弱点や、罠の見つけ方に避け方。経験に基づいた学生達の知識は、同じアルダワの学生であるルナにとっても勉強になることが多かった。
「なるべく罠が少なさそうな道を進んでいきましょうか」
 教えてもらった比較的安全なルートを魔法の箒「ファイアボルト」に乗って進み、災魔に遭遇すれば魔法で迎え撃つ。魔女っ子が呪文を唱えれば、キラキラと色とりどりに輝く星の光が迷宮の闇を照らし、悪いモンスター達に降り注いだ。

「あの災魔には火属性が有効です」
「わかりました!」
 学生達から弱点を聞きながら、対応した属性の魔法でそこを突いて敵を攻略するルナ。
 炎の流れ星を受けた災魔は『ギャーッ!?』と悲鳴を上げて、骸の海に還っていった。
「やりました……あれ? 感覚が変な感じが?」
 だが敵をやっつけた喜びも束の間、魔女っ子はふと違和感に気付く。迷宮全体に満ちる蒸気の霧が濃くなり、視界だけでなくその他の五感まで狂わせはじめていたのだ。これもフロアの最深部に辿り着かせまいとする、マッド・メイズ・メイカーの妨害である。

「皆さん大丈夫ですか……きゃあっ!? スライムや災魔が!?」
「こ、こっちにも……?!」
 感覚をかき乱して学生との連携を妨げたところに、どっと押し寄せてくる災魔の群れ。迎え撃とうにもこれまでのように魔法の狙いをうまく付けられない。蒸気の向こうからは同じような学生達の困惑の声が聞こえてくる。
「あぅ……このままじゃ――変身です!」
 弱気になりかけたルナは、勇気を出してユーベルコードを発動。白いネコミミローブを着た【聖なる猫耳魔法使い】に変身して、強化された癒しの魔法をみんなに振りまいた。

「あ……目が見える。耳も聞こえる!」
「これならいけるっ!」
 ビーストマスターの力と聖なる魔力の掛け合わせで生まれた癒しの波動が、ルナ本人を含めた味方の狂った感覚を元に戻す。正常に回復した学生達はすぐさま体勢を立て直し、災魔への反撃に打って出た。
「攻略再開です!」
「「はいっ!!」」
 状態さえ万全であれば彼女らが遅れを取る理由はなく、蹴散らされていく災魔の群れ。
 勢いに乗って先へと進んでいくと、壁に埋め込まれた奇妙な魔導蒸気機関を見つける。それを破壊すると、その周辺の蒸気の発生が止まった。

「ルナさん、あれを!」
 晴れた蒸気の霧の向こうから姿を現したのは、宙に浮かぶ奇妙な形の巨大な魔法装置。
 中心にある青い球体が明滅し、迷宮に何かの信号を送っている。あれこそがこのフロアを複雑化させている元凶、マッド・メイズ・メイカーのコアに違いない。
「下がってください! 破壊します!」
 ルナは先端に星のついた杖を掲げて呪文を唱え、強化された聖なる魔法をコアに放つ。
 聖なる魔力でできた流れ星がマッド・メイズ・メイカーに叩きつけられ、一撃でコアに大きなヒビが入った。

『コア損傷発生、緊急事態、緊急事態』
 まさに悪魔の機械と呼ぶに相応しい異形の装置から、無機質な音声で警報が流される。
 コレを破壊すれば隠しフロアの最深部に続く道は開かれる。迷宮攻略も大詰めである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
アルダワ魔王戦争終結後、9-D『光の石棺』フロアの迷宮の主の称号を賜った以上、迷宮侵攻の放置は防衛責務の放棄
騎士の沽券に関わります
速やかに、されど確実に迷宮を踏破し討ち取らねば…

学生の皆様には罠の種別の判別をお願い致します
災魔呼び寄せるアラートにテレポーター、物理的対処が困難な物もありますので

再利用等を考えず攻略速度を第一にするならば…罠など作動させた端から全て踏み砕くのが最善なのです

センサーでの情報収集で作動音見切り無敵城塞で防御
トラップや災魔を怪力で粉砕、蹴散らし踏破

守護者を発見次第学生達かばいつつ接近

『光の石棺』のレーザー程ではありませんね

砲撃防ぎつつその切れ目に推力移動で距離を詰め一撃



「アルダワ魔王戦争終結後、9-D『光の石棺』フロアの迷宮の主の称号を賜った以上、迷宮侵攻の放置は防衛責務の放棄。騎士の沽券に関わります」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が今回の依頼に参加したのは、猟兵としての使命感と騎士としての責任感によるものだった。今だ災魔の残党も多いこの迷宮に新たな災厄を持ち込み、あまつさえ新たな魔王を名乗るのは捨て置けない。
「速やかに、されど確実に迷宮を踏破し討ち取らねば……」
 幸いにして彼には迷宮探索にも有用な各種装備と、頑丈なウォーマシンの身体がある。
 多少の無茶は承知の上で、強行軍で罠や災魔を突破するという選択肢が彼にはあった。

「学生の皆様には罠の種別の判別をお願い致します。災魔呼び寄せるアラートにテレポーター、物理的対処が困難な物もありますので」
「了解です!」
 迷宮の地理や罠について明るい学生の知識も借りて、隠しフロアを進むトリテレイア。
 それが此方に物理的損傷を与えてくる罠だと分かれば、率先して前に出て大盾を構え、機体に搭載されたマルチセンサーの感度を上げる。
「再利用等を考えず攻略速度を第一にするならば……罠など作動させた端から全て踏み砕くのが最善なのです」
 罠が作動する際に起こる音や振動を捉え、タイミングを合わせて【無敵城塞】を発動。
 通路に転がる大岩、壁から飛び出す槍衾、頭上から落ちる吊り天井。生身の人間ならば即死級のデストラップが次々に襲いかかるが、彼のボディには傷一つない。

「この程度なら問題はありませんね。先を急ぎましょう」
 トラップの妨害を力任せに粉砕して道を切り開くトリテレイア。守備のユーベルコードと兵器としての怪力があればこその荒業だが、迅速な攻略という面では間違いなく最適解のひとつだった。それを実行できるのは彼を含めてごく一部だろうが。
「道を開けて貰います」
『ギャーーーッ?!』
 道すがら立ちはだかる敵に対しても、その対応は変わらなかった。その強固な装甲と盾は生半可な怪物の牙や爪を通さず、桁外れの膂力で粉砕する。機械仕掛けの騎士が災魔の群れを蹴散らしていく様を、学生達はただただ「すげぇ……」と圧巻の思いで見ていた。

「……あれがこのフロアの守護者ですか」
 やがてトリテレイアが辿り着いた所にあったのは、不気味に鳴動する異形の魔法装置。その中心部にある青いコアには大きな亀裂が走っており、あと一撃で壊れそうに見える。
『自己防衛機構、起動』
 自称超魔王の手によって召喚された迷宮複雑化の元凶「マッド・メイズ・メイカー」は外敵の接近を察知するとコアを輝かせる。そこから放たれた魔力の砲撃を、トリテレイアは大盾をかざして受け止めた。

「『光の石棺』のレーザー程ではありませんね」
 連射性能には優れているようだが、以前別のフロアで食らった大出力レーザーに比べれば威力は格段に劣る。乱れ撃たれる魔力砲の嵐から学生達をかばいつつ、トリテレイアはじりじりとマッド・メイズ・メイカーの本体に接近していく。
『危険、危険、危険』
 狂ったように警報音を鳴らす魔法装置。消耗からか一時的に砲撃が止む瞬間を逃さず、騎士はさらに前へ。脚部スラスターの推進力が彼我の距離を一瞬で縮め、青い巨大コアが目前に迫る。

『迎撃――……』
 騎士が儀礼剣の一撃を振り下ろすと、耐久力の低いコアはパリンと音を立てて砕けた。
 同時に機械的な音声も止み、フロアに立ち込めていた蒸気が消える。マッド・メイズ・メイカーは完全に機能を停止し、これ以上の迷宮の拡大と変容も阻止できたようだ。
「これで後は元凶を討つのみですね」
 残す敵はこの事件を引き起こした首謀者「ヴァルサリッサ・アフトクラトラス」のみ。
 猟書家のの手からダンジョンメーカーを奪還すべく、彼らは隠しフロア最深部に進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』

POW   :    不滅進化~超魔王には同じ手は通じない~
【受けた攻撃の属性に耐性を持つドレス姿】に変身する。変身の度に自身の【攻撃に付与される属性】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
SPD   :    運命逆転~弱者は超魔王に抗う事すらできない~
【運命操作の魔力】を解放し、戦場の敵全員の【プレイングボーナス】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
WIZ   :    創世魔術~超魔王の意に従い世界は作り変えられる~
【ダンジョンメーカーの光】を降らせる事で、戦場全体が【敵の最も苦手な物で埋め尽くされた戦場】と同じ環境に変化する。[敵の最も苦手な物で埋め尽くされた戦場]に適応した者の行動成功率が上昇する。

イラスト:香

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「来たわね猟兵! 私の作った迷宮を突破するなんて、流石と言っておこうかしら!」

 マッド・メイズ・メイカーを破壊し、隠しフロアの最深部に到達した猟兵を待っていたのは、居丈高な態度で笑う黒いドレスの娘だった。マントをばさりとなびかせて、赤い瞳で猟兵を睨めつける、その総身からは凄まじいまでの魔力があふれ出ているのを感じる。

「だけど残念だったわね! この私、超魔王ヴァルサリッサ様には敵わないわ!」

 彼女こそが今回の事件の首謀者である猟書家『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』。
 その背後では災魔の卵を埋め込まれた魔法装置「ダンジョンメーカー」が、今も不気味に鳴動しながら稼動を続けていた。

「これからはダンジョンメーカーを手に入れたこの私が、大迷宮アルダワを支配するの! 大魔王ウームー・ダブルートゥを超える究極の魔王、超魔王の誕生よ!」

 大言壮語にも程がある言動だが、その自惚れに足る実力を備えているのも事実だろう。このまま彼女がダンジョンメーカーを手中に収めれば、その影響はいずれ1フロアのみに留まらず迷宮全体に――やがては地上の魔法学園にまで波及しかねない。

「お前達には超魔王の誕生を祝う栄誉をあげる! その生命をもってね!」

 一方的な宣言とともに殺気を放つ超魔王ヴァルサリッサ。その態度はどこまでも不遜。
 迷宮の平和のためにダンジョンメーカーを奪還すべく、猟兵達も戦いの構えを取った。
アリス・フォーサイス
みんな、ここまでありがとう。ここからは猟兵の出番だね。協力して。
学生たちの助言を聞きながらボス戦に挑むよ。

さすが超魔王だね。運命がヴァルサちゃんに味方しているみたいだ。でも負けないよ。ぼくたちは経験と技術で不運や幸運を超越する!
量子テレポートで相手の攻撃をかわし、反撃をしかける。何度かわされても、何度でも繰り返す。その経験をもとにして試行錯誤しながらね。
よし、届いたよ。



「みんな、ここまでありがとう。ここからは猟兵の出番だね。協力して」
「もちろんです!」
 ついに辿り着いた迷宮の最深部。待ち受けていた猟書家ヴァルサリッサと戦うために、アリスはここまでついて来た学生達に声をかける。戦闘力という側面では劣る彼らだが、尊敬する猟兵を助けるため、学園と迷宮を守るためなら、どんな危険も厭わぬ覚悟だ。
「何人でかかってこようが無駄よ。弱者は超魔王に抗う事すらできないんだから!」
 対するヴァルサリッサは運命操作の魔力を解き放ち、【運命逆転】のユーベルコードで戦場全ての幸不幸を操作する。迷宮の王である自分の元には多くの幸運が舞い込むよう、王に敵対する者には不幸が訪れるように。

「さあ、鏖殺の時間よ!」
 ヴァルサリッサが魔杖を突きつけると、魔力のビームがアリスと学生達に襲いかかる。
 アリスは【ファデエフ・ポポフゴースト】による量子テレポートで相手の攻撃を躱す。魔王笏をかざして反撃を仕掛けるが、放った魔力弾はあらぬ方向に飛んでいってしまう。
「さすが超魔王だね。運命がヴァルサちゃんに味方しているみたいだ」
 足場が悪かったとか目にゴミが入ったとか、ひとつひとつは小さな偶然の積み重ねが、無視できない優劣となって現れる。ヴァルサリッサの攻撃が常に的確なのに対し、アリス達の行動は不幸の妨害を受け続け、攻撃も防御も思うようにいかない。

「でも負けないよ。ぼくたちは経験と技術で不運や幸運を超越する!」
 アリスは量子化による回避と反撃を続けながら情報分析を行う。何度躱されても、何度でも繰り返す。その経験をもとにして試行錯誤し、データを集めて結果を予想するのは、電脳魔術士の基本でありもっとも重要なプロセスだ。
「アリスさん、ここは包囲攻撃を仕掛けましょう」
 学生達も度重なる不運にめげず敵の攻撃を耐え忍びながら、そっとアリスに助言する。
 こちらの攻撃が運命に阻まれるのなら、運に頼らず「絶対に当たる」シチュエーションを作り出す。避けようのない全方位からの同時攻撃ならどうかという提案だ。

「わかった、やってみようか」
 アリスはこくりと頷くと、これまでに分析した情報と量子化を頼りに戦場を跳び回る。敵の攻撃から逃げ惑っているように見せかけながら、学生達と敵を取り囲めるポイントに移動するのが狙いだ。
「今だよ」
「はいッ!」
 完璧な配置についた上で、放たれる魔法や武技による総攻撃。これまで無為に終わった試行錯誤の数々は決して無駄ではなく、それらはアリの子さえ逃さない包囲攻撃だった。

「よし、届いたよ」
「ッ?! この私に、傷をッ!?」
 運命ですら避けようのない、綿密に分析されたアリス達の攻撃により、ヴァルサリッサが傷を負う。猟兵も学生も等しく弱者とみくびっていた彼女は、超魔王たる自分がよもやダメージを受けるとは思ってもみなかっただろう。
「よくもやってくれたわね……!」
 プライドをいたく傷つけられたヴァルサリッサは怒りの形相でアリス達を睨めつける。
 たとえ迷宮を手中に収めた強大なボスでも、攻略方法は必ずある。経験と技術でそれを証明してみせたアリスは、得意げな笑みを超魔王に返すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セフィリカ・ランブレイ
カビィちゃん(f24111)と

『狂った配役に気を取られ過ぎたわ』
カビパン役抜きは難しい
台本に活躍がびっしりだし

『台本読んだのね』

カビィちゃんは身体張るぅ!と思ったけどまさか役者不在とは

中止でいいんじゃない?
未完の名作もまた伝説だよ!

って、代役のアテが?
彼女がカビィちゃん役か……

常人離れの言動…〇
根拠なしの自信に満ち溢れる…〇
無駄に顔と声がいい…〇

これはぎりぎりカビィちゃんかな!!
ヨシ、じゃあ今から君がカビィちゃんだよ!
さくっと撮ってさっさと終わらせようか
じゃあまずはシーン1
溶鉱炉の中に沈みながら親指を立てるカットから行こうね!

『……こいつ、自分に矛先が向かないうちに終わらせる気ね…』


カビパン・カピパン
な、なんてこと!!!

カビパンは己の過ちに気づいてしまった。
それは、前回ダンジョンジャックまで行って大々的に宣伝した、例のチラシのキャストに一つ重大なミスがあったのである。
それは…

あたくしを演じる人がいないじゃないの!!

カビパンを演じるキャストを記載し忘れていたのである、

ど、どうしようセフィ姉! ツッコミしてよシェル姉!

!?貴女はマジカルキング(魔王)!!
あたくしカビパンを演じられるのは貴女しかいないわ、お願いラヴラビシーズン2の為に出演して!!

断り切れなくてカビパンを演じてくれたマジカルキングは、それはそれは今までで過去最高に理不尽で不条理なギャグでボッコボッコにされる不幸な配役だったという。



「な、なんてこと!!!」
 超魔王との戦いの火蓋が切られて間もなく、ふいにカビパンが素っ頓狂な声を上げる。
 彼女は己の過ちに気づいてしまった。それは、前回ダンジョンジャックまで行って大々的に宣伝した、例のチラシのキャストに一つ重大なミスがあったのである。それは――。
「あたくしを演じる人がいないじゃないの!!」
 カビパンを演じるキャストを記載し忘れていたのである、言われてチラシを見返せば、キャストの兼役に目がいきがちになるが、確かに役名にカビパンの名前がない。カビパン本人はセフィリカ役で出演する気だったにも関わらずである。

『狂った配役に気を取られ過ぎたわ』
 大慌てなカビパンに対して、魔剣シェルファは冷めた調子で淡々と。セフィリカの方はふーむと指を頬に当てて首をひねり、この重大なミスをどうフォローするか考えている。
「カビパン役抜きは難しい。台本に活躍がびっしりだし」
『台本読んだのね』
 前作の酷評で我に返った彼女だが、根が真面目なのと役者としてのプライドもあって、渡された台本はちゃんと読み込んでいたらしい。にしても、そこまできっちり役も活躍も用意されていたのに、誰が演じるのか決まっていなかったのが驚きの大問題だと思う。

「ど、どうしようセフィ姉! ツッコミしてよシェル姉!」
 この大ポカにいつになく慌てふためいて助けを求めるカビパンだったが、セフィリカとシェルファの反応は冷めていた。ふたりとも自分がカビパンの役をやるのは避けたいし、そもそもカビパンになりきれる気もしないし。あと台本の内容も前回と同レベルだった。
「中止でいいんじゃない? 未完の名作もまた伝説だよ!」
「そんな!?」
 セフィリカの発言にバッサリと斬り捨てられ、ショックを受けるカビパン。でもそれが誰も傷つかない一番いいような気がする。シーズン1で一応話は纏まっていたことだし。
 それでも諦めきれない様子のカビパンは、誰か自分の役をやってくれないものかと辺りを見回し――そしてボス部屋で戦っているヴァルサリッサに目をつける。

「!? 貴女はマジカルキング(魔王)!!」
「は? 何よそのダサい呼び名は。私は超魔王!!」
 いきなり知らない奴に呼びつけられたヴァルサリッサは、憤慨して魔杖を突きつける。
 敵対しているボスをいきなり重要な役に抜擢するという正気とは思えないスカウトに、向こうが拒否感を示すのも無理はない。だがカビパンは一度目をつけた相手を逃さない。
「あたくしカビパンを演じられるのは貴女しかいないわ、お願いラヴラビシーズン2の為に出演して!!」
「な、なによそのラヴラビって……あんたの役ならあんたが演じればいいでしょ?!」
 【黒柳カビパンの部屋】にて伝説級のトーク力を霊から借り受けてまで、彼女は熱心に超魔王を説得する。無茶振りを押し通そうとする津波のような話術と、相手の心をへし折らんとする強烈なプレッシャーが、ヴァルサリッサに襲い掛かった。

「って、代役のアテが? 彼女がカビィちゃん役か……」
 そのやり取りを見たセフィリカは、押され気味のヴァルサリッサをじいっと観察する。
 果たしてあの娘はカビパンを演じきれるだろうか? 日頃から見ているカビパンの言動や雰囲気と、ヴァルサリッサのそれを比べてみて――。

 常人離れの言動…〇
 根拠なしの自信に満ち溢れる…〇
 無駄に顔と声がいい…〇

「これはぎりぎりカビィちゃんかな!!」
「ぎりぎりって何よ?!」
 お墨付きと呼べるのか分からない微妙な評価に、ヴァルサリッサの困惑はより深まる。
 だがセフィリカとカビパン、二人がかりのトークと猛プッシュに晒されては、超魔王と言えど反論しきることは難しかった。とうとう断り切れなくなった彼女は、自分がなにをさせられるのかも分からないままに、カビパンの代役を引き受けてしまう。
「ええいもう、わかったわよ! やればいいんでしょやれば!」
「ヨシ、じゃあ今から君がカビィちゃんだよ!」
「ありがとうマジカルキング! 感謝するわ!」
 こんな茶番すぐ終わらせて皆殺しにしてやると、ヴァルサリッサは思っていただろう。だが彼女は後悔する事になる。カビパンが主導した作品におけるカビパンの役が、まともなはずが無かったのだ。

「じゃあまずはシーン1 溶鉱炉の中に沈みながら親指を立てるカットから行こうね!」
「はぁ?!」
 いつの間にか監督的なポジションを確保しているシェルファの発言に、ヴァルサリッサは仰天する。いつの間にやらフロアには熱量操作の術を操る魔導ゴーレム【赤杖の魔女】が鎮座しており、ダンジョンの床を溶かして即席の溶鉱炉を創り出している。
「なんで私のダンジョンにこんな物があるのよ? って、ちょっと押さないで!」
「はいどーん」
「ギャーーーッ?!」
 混乱から抜け出せないうちに、カビパン(本人)に背中を突き飛ばされるカビパン役。
 仮にも超魔王たる者がこれしきで死にはしないだろうが熱いものは熱い。どぼんと落ちた溶鉱炉の中から、耳をつんざくような悲鳴がフロア中に響き渡った。

「それじゃ次はシーン2! 今日中に全シーンの撮影済ませよう!」
『……こいつ、自分に矛先が向かないうちに終わらせる気ね……』
 理不尽な配役から解放されたのを良いことに、無茶振りをヴァルサリッサに押し付けるセフィリカ。シェルファの呟きは聞こえなかったフリをしつつ、ゴーレムという舞台装置を操り、シーンを演出する。
「も、もうやめ……ギャーッ!!!!?」
 ヴァルサリッサが演じることになったカビパンの役は、それはそれは今までで過去最高に理不尽で不条理なギャグでボッコボッコにされる不幸な配役だったという。所詮は演劇とナメてかかった彼女は、トラウマになるほど恐ろしい体験を味わうことになった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

火土金水・明
猟書家のいる場所の近くまで学生さん達に案内してもらいます。
「大魔王を超えた超魔王ですか。どちらかというと体重を2倍にしていって大魔王より肥えた超魔王と名乗ってはどうですか?。」
【POW】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【銀色の一撃】で、『ヴァルサリッサ・アフトクラトラス』を攻撃します。相手の攻撃には【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



「こっちです、転校生さん」
「ええ、ありがとうございます」
 戦いが激化する中、学生達の案内で迷宮の最深部を訪れたのは火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)。負傷した猟書家の姿を捉えた彼女は、敵の動揺を誘おうと挑発を仕掛ける。
「大魔王を超えた超魔王ですか。どちらかというと体重を2倍にしていって大魔王より肥えた超魔王と名乗ってはどうですか?」
「あんですってぇッ!?」
 いかな猟書家といえど乙女に体重の話は癇に障るのか。にこやかな表情から口にされた皮肉に、ヴァルサリッサが眉をつり上げて反応する。魔王を自称する割りには煽り耐性のないメンタルだ――が、案外魔王とはそんな連中ばっかかもしれないと明は思った。

「この私の完璧なプロポーションのどこに贅肉があるって言うのよッ!」
 どちらかと言えば小柄でつつましいスタイルをしたヴァルサリッサは、怒りのままに杖を突きつける。その先端にあしらわれた赤い宝石より放たれた魔弾は、暴言の代償として明を撃ち抜いた――かに見えた。
「残念、それは残像です」
「なっ?!」
 被弾する寸前、オーラの残像を囮に身を躱した彼女は、マントとローブの裾をなびかせて魔王に急接近。その手にはあらゆる闇を払う(かもしれない)魔剣「銀の剣」を携え、反撃の構えを取る。

「一筋の一撃を」
「くっ……?!」
 上段からの振り下ろしを咄嗟に杖で受け止めようとするヴァルサリッサ。しかしそれはフェイントであり、すかさず狙いに切り替えた明の【銀色の一撃】が逆胴を斬り抜ける。
「がはぁッ!」
 魔力防御を施されたドレスが切り裂かれ、真っ赤な血飛沫が迷宮を濡らす。かなりの深手のようだがヴァルサリッサはまだ倒れず、これまで以上に怒りと憎しみが籠もった目で明を睨み返してきた。
「よくもやってくれたわね……!」
 彼女は憤怒のままに【不滅進化】を発動し、破損したドレスを新しいものに着替える。同時にこれまでに受けた攻撃属性に耐性を獲得し、自身の攻撃に付与される属性を追加。身長も伸びてより威厳あふれる姿となり、ここからが本番だとばかりに杖を掲げる。

「もう容赦しないんだからッ!」
 今まで一度たりとも情けをかけた素振りなど無かったが、新調したドレス姿で放たれるヴァルサリッサの攻撃にはより一層の殺意が籠もっていた。もしも直撃を受ければ重傷は免れまい――それまで微笑んでいた明の表情にも緊張が走る。
「少しでもダメージを与えて次の方に」
 だが敵が本気になったところで彼女のする事は変わらない。攻撃の動作を見切って被弾を最小限に抑え、ダメージの軽減を試みながらエンゲージ状態を維持。猛攻が途切れる隙を突いて踏み込むと、再度【銀色の一撃】を繰り出した。

「無駄よ! 超魔王には同じ手は通じな――」
 ヴァルサリッサは不滅進化により、銀の剣による攻撃に耐性を獲得したつもりだった。しかし明は自らの攻撃に鎧無視と貫通効果を付与することで、敵の属性耐性を突破する。
「耐性持ちへの対策くらい当然です」
「ッ……こいつッ!!」
 銀の一撃は超魔王ご自慢のドレスを再び切り裂き、一度目に付けた傷をより深くする。傷が塞がらない呪いでもかかっているのか、止まらない出血は継続的に体力を奪い続け、苦痛と消耗からヴァルサリッサの表情が曇る。
(このくらいで十分でしょう)
 戦果を確認した明はそれ以上の深入りを避けて後退を選択。後続の仲間に期待を託す。
 迷宮の新たな支配者にならんとする超魔王との戦いは、猟兵の優勢に傾きつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルナ・ステラ
―光?
色んな物が!?

苦手な感じがする物が…
破壊しないと―魔法があまり効かないです!?
ひゃあっ!?
絡みついて魔力を吸い取ってきます!?

学生さんたちも苦戦してます!?
(それぞれが苦手な物ということは、中にはわたしの状況と逆で武器による攻撃があまり効かず魔法が有効な物もあるはず!)
魔力が枯渇する前に魔法で壊せそうな物を破壊します!それに苦戦していた学生さんにわたしを助けてもらいましょう。

苦手な物はフォローし合えば何とかなるはず!
でも、このままじゃ埒が明かないかも…
(この苦戦状況で、相手は自惚れている―ならば!)
UC発動です!
皆で協力してその自惚れを後悔させましょう!

アルダワを支配なんてさせません!



「調子に乗らないでよあんたたち……超魔王の真の力を見せてあげるわ!」
 苦境に立たされながらも虚勢を張る立ち居振る舞いで、ヴァルサリッサが杖を掲げる。
 すると彼女の後ろにある「ダンジョンメーカー」が、奇妙な光でフロアを照らし出す。
「――光? 色んな物が!?」
 それは迷宮を作り変える魔の光。ルナが見ている前で迷宮は形を変え、うねうねとした触手状の物体があちこちから生えてくる。災魔の卵を埋め込まれたダンジョンメーカーは超魔王の命じるまま、彼女と敵対する者に不利な迷宮を創造しようとしていた。

「苦手な感じがする物が……破壊しないと――魔法があまり効かないです!?」
 謎の触手に生理的な嫌悪を感じたルナは、「ティンクルスターダストショット」で破壊しようとするが。撃ち込まれた星屑の魔法はパチンと燐光を散らして弾かれてしまった。
「ひゃあっ!?」
 さらに触手はうねうねとルナの肢体に絡みついて魔力を吸い取ってくる。魔法使いである彼女には徹底的に相性の悪い仕掛け――敵の手にダンジョンメーカーが渡る恐ろしさを今さらながらに再確認させられる。

「学生さんたちも苦戦してます!?」
 触手を振り払いながらルナが周りを見回すと、学生達の所にもそれぞれが苦手とする罠が襲い掛かっているようだ。刃物では切れない鉄の縄や、ガジェットを狂わせる蒸気の霧など、各自のジョブや装備に対応したトラップは多種多様に渡る。
(それぞれが苦手な物ということは、中にはわたしの状況と逆で武器による攻撃があまり効かず魔法が有効な物もあるはず!)
 ルナは短い時間で頭を働かせ、魔力が枯渇する前に魔法で壊せそうなものを破壊する。それに苦戦していた学生はルナの窮地に気付くと、急ぎ駆けつけて剣で触手を切断した。

「大丈夫ですか? 危ない所でしたね」
「はい。でも苦手な物はフォローし合えば何とかなるはず!」
 魔法で対処できない物は物理で、物理で対処できない物は魔法で。ルナと学生達は各々の得意分野の違いを活かして迷宮の変化に対抗する。迷宮攻略のために訓練と実践を積んできたアルダワの生徒は、これしきのピンチで音を上げたりはしない。
「でも、このままじゃ埒が明かないかも……」
「あーっはっはっは! 無駄よ無駄! 超魔王の意に従い世界は作り変えられるの!」
 苦戦を強いられるルナ達を見て、ヴァルサリッサは高笑い。ダンジョンメーカーを操る彼女の【創造魔術】は、一方的に彼女のみに有利な状況を作り出す。迷宮そのものを味方につけられる自分が負けるはずが無いのだと、大いに驕り高ぶっていた。

(この苦戦状況で、相手は自惚れている――ならば!)
 こちらに対する軽視と油断の感情を感じ取ったルナは、【小敵と見て侮らず】を発動。
 自らが得意とする星と月の魔法、それに召喚術を組み合わせ、天上に座す星神や月神達を迷宮に降臨させる。
「皆で協力してその自惚れを後悔させましょう!」
「なにッ?!」
 召喚された神々は激しい攻撃を飛ばし、ルナと学生を妨げるギミックを尽く粉砕する。
 彼らの放つ光輝は地に降りた星々そのもの。ダンジョンメーカーの光すらかき消して、創世魔術を無効化する。まさかの事態を受けたヴァルサリッサの表情が驚愕に染まった。

「アルダワを支配なんてさせません!」
 ヴァルサリッサの動揺を好機とみて、ルナと学生達は一気呵成に反撃に転じる。神々の援護を受けた魔法と武技とガジェットの数々が、嵐のような勢いで敵に叩きつけられた。
「そんな、バカな――っ?!」
 負ける筈がないと信じていた切り札まで打ち破られ、吹き飛ばされるヴァルサリッサ。
 彼女は侮っていたのだ。大魔王を打倒してなお、成長を続ける猟兵と学生達の底力を。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
いかな障害が埋め尽くそうと、臆さず立ち向かってこその騎士
超魔王、御覚…!?

死体、死体、死体
ヒト、オブリビオン問わず
全て電子頭脳の記憶野に刻まれた見覚えある顔

御伽の騎士を目標、理想と設定してしまった狂った戦闘機械
それは過剰で傲慢の域の責任感として結実し
手から零れた命や心は永久に己が目標達成できぬ動かぬ証左


はははははははは、ハ

過負荷で人格崩壊寸前、音声罅割れ

装置ヲ止メろ
デなクば殺す

咆哮、疾走、限界突破推力移動で跳躍、攻撃回避
脳天に刀身砕ける威力で剣振り下ろし
鉄爪展開、頭蓋割らんと吊るしあげ
幾度もダンジョンメーカーに叩き付け

一時停止デ注意惹き逃ゲた…?

(暴走で遺体踏みつけたことを自覚し蹲り)

──!!



「まさか、まさかそんなわけがない……迷宮の支配者になった私が負けるわけが……!」
 猟兵と学生達の優勢が続く中、ヴァルサリッサは明らかに動揺した様子で杖を振るう。彼女の【創世魔術】と「ダンジョンメーカー」の光で迷宮は作り変えられ、敵を排除するためのギミックが辺りを埋め尽くしていく。
「いかな障害が埋め尽くそうと、臆さず立ち向かってこその騎士」
 そこに危険を承知で踏み込んだのはトリテレイア。苦難の道を敢えて進み、世を乱す悪を倒すのは騎士の本懐。無論それはどんな罠でも自分なら突破できるという自信あっての事だろうが――。

「超魔王、御覚……!?」
 だが、そんな騎士の前に現れたのは死体、死体、死体――ヒト、オブリビオン問わず、全て電子頭脳の記憶野に刻まれた見覚えある顔。それらを直視してしまったトリテレイアの動きが止まる。
「これ、は……」
 現代で再起動を果たした時から、御伽の騎士を目標・理想と設定して戦い続けてきた。
 それが戦闘機械の本義から外れた「狂気」に等しい行いであり、理想と現実、情と合理の狭間で彼を懊悩させてきた。それでも邁進を続けた結果――彼のそれはいつしか過剰で傲慢の域の責任感として結実しつつある。そこに見せつけられたのが、この死体だった。

「……はは、は」
 手から零れた命や心は、永久に己が目標達成できぬ動かぬ証左。己が救えなかったものの骸をまざまざと示させ、逃れようのない過去を抉られたトリテレイアの疑似声帯から、乾いた笑い声が漏れる。
「はははははははは、ハ」
 処理限界を超えた感情回路に掛かる過負荷で人格は崩壊寸前、音声は罅割れ耳に障る。その豹変ぶりは創世魔術を仕掛けた当のヴァルサリッサのほうが困惑するほどであった。

「な、なによお前。頭がおかしくなったの……?」
 壊れたように笑うウォーマシンに忌避の視線を向けて、一歩後ずさるヴァルサリッサ。
 トリテレイアはそんな彼女を赤く発光するカメラアイで見て、完全に感情の抜け落ちた音声で告げる。
「装置ヲ止メろ デなクば殺す」
「と、止めるわけないじゃな――」
 警告から行動までのプロセスは一瞬だった。【焦がれるは御伽の騎士】の暴走により、駆動・演算速度・出力全てを一時的に引き上げた彼は、電子音の咆哮を上げて疾走する。

「遘√?鬨主」ォ縺ァ縺ゅj縺溘>窶ヲ窶ー!」
 御伽の様に輝けぬなら、我が身を薪に。炉心を燃やして。機体が軋むのも厭わずに限界を超えた推力で突っ込んでくるトリテレイアに、ヴァルサリッサは慌てて魔杖をかざす。
「く、来るんじゃないわよッ!」
 杖先より放たれる真紅の魔力光線。だが狂乱の戦機は床を踏み砕くほどの脚力で足元を蹴り、その体重に見合わぬ跳躍を披露する。天井すれすれの高度に達した彼は、そのまま儀礼用の長剣を両手で構え、落下と同時に渾身の膂力で振り下ろした。

「あぎゃぁッ?!」
 刀身が砕けるほどの威力で脳天に剣を叩きつけられ、ヴァルサリッサが悲鳴を上げる。
 体勢を立て直す間を与えず、トリテレイアは指先から鉄爪を展開して標的を確保する。頭から吊るし上げられた彼女の肢体は、戦機のボディと比較すればひどく華奢で、脆い。
「や、やめ……がッ?! げうッ?! ごぁッ!!」
 トリテレイアはそれを幾度も、幾度もダンジョンメーカーに叩き付け、頭蓋を割らんと力を込める。普段の彼の所作からは考えられない暴力的な所業――上がる悲鳴はだんだん小さくなり、ダンジョンメーカーから光が消えていく。

「――……」
 敵が装置を停止させたのを確認すると、目標を果たしたウォーマシンは暴行を止める。
 だが、それは装置の主の死を意味するものではなかった。鉤爪の力が緩んだ一瞬の隙を突いて、ヴァルサリッサは「ひぃッ」と情けない声を上げつつ拘束から脱出する。
「一時停止デ注意惹き逃ゲた……?」
 理性の戻ったトリテレイアは、冷静に追撃を行おうとするが――暴走中に無自覚なまま踏みつけてしまった遺体を見てしまい、今度は人格崩壊に逃避することもできず、蹲る。

「――!!」

 木霊する戦機の慟哭。
 その残響が迷宮の闇に消え去ってからも、心に刻まれた軋みが消えることはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
レーナ達とメイド達6人と参加…。

テュイルはガジェット、メイド達は【暗殺】による暗器で支援攻撃…。
レーナとセオはわたしと一緒にUCを使いつつ近接攻撃…。
わたしが前に出て【見切り】で引き付けるから、連携撃…!

確かに将来は魔王級の力も身に着けるかもしれない…。
でも、その自信過剰さが命取りだよ…。

相手は攻撃を受ける事で発動するUCを持ってる…だから、敵は高確率で攻撃を避けない…。
でも、もうその力は使わせない…【神滅】は如何なる防御も無効にし、貴女の力の核・根源を破壊する…。

これで貴女が魔王になる事は永久に無い…。
超魔王の終わりだよ…。


それじゃ、最後はみんなでラン達の故郷の温泉に寄って帰ろうか…。


フレミア・レイブラッド
引続き【吸血姫の契り】と【念動力】の防御幕を継続でリリィ達を強化し、連携攻撃。

無属性攻撃やリリィ達も含めて魔術で属性を適宜切り替え【高速・多重詠唱、属性攻撃】で敵の不滅進化に対応。

属性なんて幾らでも魔力で切り替えられるわ。
受けた攻撃しか耐性付与できない能力では対応できないでしょう。
創世魔術はリリィの苦手だったスライムが大量に出てくるが克服して無意味だったり

最後、【吸血姫の覚醒】で真の姿を解放。
リリィ達に支援を依頼し、覚醒による怪力と速度で圧倒。
【神槍グングニル】で消し飛ばすわ

ご苦労様。成長した貴女達と戦えて良かったわ♪
(リリィ達を頬にキスしたり抱きしめたり)
さぁ、お祝いでも行きましょうか♪



「認めない、認めない……この超魔王ヴァルサリッサ様が、こんな奴らに……!」
 脳天からだくだくと滝のような血を流し、迷宮の壁によりかかって身体を支えながら、ヴァルサリッサ・アフトクラトラスは叫ぶ。ダンジョンメーカーを手中に収め、迷宮全土の支配を企んだ彼女の野望は、猟兵と学生達の手によって打ち砕かれようとしていた。
「確かに将来は魔王級の力も身に着けるかもしれない……。でも、その自信過剰さが命取りだよ……」
「わたし達もこの子達も、なりたての自称魔王なんかに負けるほどやわじゃないのよ」
 6人のメイドとレーナ達とともに並び立ち、呪力を籠めた妖刀を突きつけるのは璃奈。
 【吸血姫の契り】を交わしたリリィ達を引き連れて、真紅の魔槍を向けるはフレミア。
 大迷宮アルダワの平和を巡る戦いは、いよいよクライマックスを迎えようとしていた。

「テュイルはガジェット、メイド達は暗殺による暗器で支援攻撃……レーナとセオはわたしと一緒に近接攻撃……わたしが前に出て引き付けるから、連携撃……!」
「「はいっ!!」」
 まずは璃奈が【妖刀魔剣術・神滅】の構えで敵に切り込み、仲間に指示を飛ばしながら攻撃を仕掛ける。ここまでの迷宮攻略ですっかり息もあった彼女らは、迅速果断な璃奈の動きを起点として巧みな連携でヴァルサリッサを攻め立てた。
「ッ、調子に……乗るなぁッ!」
 暗器とガジェットの弾丸を撃ち込まれ、魔法剣と竜騎士の槍に切り裂かれ、よろよろと後退するヴァルサリッサ。だが彼女もこれで諦めるほど往生際は良くない。破れたドレスを【不滅進化】で新しい物に交換し、回復と同時に受けた攻撃属性への耐性を獲得する。

「見たか! 超魔王には同じ手は通じな――」
「属性なんて幾らでも魔力で切り替えられるわ」
 勝ち誇ろうとするヴァルサリッサの言葉を遮ったのは、フレミアの放った属性魔力弾。
 日頃から属性攻撃の使い分けに慣れた彼女は、火や水に風に雷など耐性に合わせて属性を切り替え、敵の不滅進化に対応。回復を上回るダメージを与えなおしていく。
「私達も先輩に続きましょう!」
「「おおっ!!」」
 フレミアと契りを交わした学生達も、立派なところを見せようと奮起して戦いに挑む。フロアの探索中に使用された強化と念動力の防御膜は引き続き継続されており、文字通り血で繋がった連携にはヴァルサリッサが付け入る隙など微塵もなかった。

「くっ、だったらこれはどう?!」
 新しいドレスをすぐボロボロにされ、再び窮地に陥ったヴァルサリッサは【創世魔術】を発動。ダンジョンメーカーを操作して相手が苦手な物を出そうとするが――現れたのは大量のスライムだった。
「スライムなんて、もう平気です!」
 かつてスライム恐怖症だった学生の一人、リリィの苦手意識を反映したらしいそれは、本人がとっくに克服していたため無意味だった。猟兵と学生達による連携に乱れはなく、スライムの群れはほんの少しの間、肉壁としてヴァルサリッサの延命措置になったのみ。

「どうして、うまくいかないの……私は超魔王になったのにぃッ!」
 ヒステリックに喚き散らしながら、再び【不滅進化】を使おうとするヴァルサリッサ。
 だが彼女のドレスがまた新しいものに変わる前に、スライムの群れを抜けて切り込んできた璃奈が、妖刀による一太刀を浴びせる。
「もうその力は使わせない……」
 ヴァルサリッサは攻撃を受ける事で発動するユーベルコードを持っている。だから彼女は高確率で攻撃を避けない。より多くの攻撃に耐性を得ればそれだけ有利になるからだ。
 しかし今回に限っては璃奈の攻撃を避けなかったのが、彼女にとって致命傷となった。

「【神滅】は如何なる防御も無効にし、貴女の力の核・根源を破壊する……」
 璃奈が放った斬撃はドレスの耐性を貫いた上で【不滅進化】の力の根源を叩き斬った。
 肉体的には傷一つ増えていないが、破損したドレスが新品に変わらない様子を見れば、何が起きたのかは明らか。これ以上は傷を回復することも耐性を増やすこともできない。
「これで貴女が魔王になる事は永久に無い……。超魔王の終わりだよ……」
「そんな――ッ!!」
 このまま成長を続ければ、あるいは大魔王と同格にすら至れたかもしれない可能性を、魔剣の巫女は断った。狼狽するヴァルサリッサに浴びせられるのは、暗器、ガジェット、武技による攻撃の嵐。璃奈が生み出した絶好の勝機を、彼女の仲間が見逃すはずがない。

「いくよみんな!」
「このまま押し切る!」
 学生三人組とメイドのコンビネーションが、耐性を失い無防備となったヴァルサリッサに突き刺さる。無惨に破けたドレスは血で真っ赤に染まり、その姿からもはや魔王としての威厳は欠片も見いだせない。
「これで最後ね。貴女達は支援をお願い」
「お任せください!」
 それを見たフレミアは【吸血姫の覚醒】を発動し、真の力と姿を解放。リリィ達に剣技や魔法で牽制させつつ、自らは飛躍的に強化した戦闘力でヴァルサリッサに急接近する。

「はや――ッ!!!?」
 瞬間移動と見紛うスピード、さらにはドラゴンすら凌駕する怪力が、ヴァルサリッサを圧倒する。血まみれの手から杖が取り落とされ、おびただしい量の鮮血が迷宮を濡らす。
「全てを滅ぼせ、神殺しの槍……。消し飛びなさい……!」
 もはや蹂躙に等しい猛攻のすえに放たれたのは、至近距離からの【神槍グングニル】。
 真祖の魔力を圧縮した真紅の槍が、鮮烈なる輝きと共にヴァルサリッサの胸を貫いた。

「ば、かな……この、超魔王様、がぁーーーーーっ!!!!!!」

 魔王の座を望んだ猟書家、ヴァルサリッサ・アフトクラトラスの野望はここに潰えた。
 隠しフロアの最深部に響いた絶叫が消え去った後に、彼女の存在を示す痕跡は何ひとつ残ってはいなかった。


「ご苦労様。成長した貴女達と戦えて良かったわ♪」
「そんな……私達のほうこそ、光栄でした!」
 戦いを終えたフレミアは、ここまで一緒に来た学生達の頬にキスしたり抱きしめたり、優しい笑顔で労をねぎらう。敬愛する先輩からスキンシップを受けたリリィ達は、陶然とした様子で頬を赤らめていた。
「さぁ、お祝いでも行きましょうか♪」
「「はーいっ!」」
 さっきまで戦いの喧騒に満ちていた迷宮には、学生達の喜びの声が響き渡るのだった。

「それじゃ、最後はみんなでラン達の故郷の温泉に寄って帰ろうか……」
「温泉! いいですね!」
「賛成。だいぶ、汗をかいた」
「ゆっくり疲れを癒やしましょう」
 一方の璃奈と学生とメイド達は、以前行ったことのある迷宮内の温泉に立ち寄るつもりのようだ。魔導蒸気の力が生み出した、『アルダワ名湯10選』にも選ばれた秘湯。きっと素晴らしい湯治になり、戦いの疲れも吹き飛ぶことだろう――。


 かくして、猟兵達と学生達の手によって、今日もアルダワの平和は守られたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年07月01日


挿絵イラスト