6
狂王、世界に吼える

#封神武侠界 #プレイング受付中 #赤顔大王

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#封神武侠界
#プレイング受付中
#赤顔大王


0




 かつて“赤顔大王"と呼ばれる勇猛なる国王がいた。
 決して民全員から慕われていた訳ではない物の、その手腕と器は本物であり、一度の謀反を起こされる事など無かったという。

 しかし彼の持っていた『世界全てを統治する』という志は道半ばの所で閉ざされる事になる。別国の智将の策略によって、彼の国は滅ぼされてしまったのです。
 彼は最期、敵を前にして悔言と怨恨を口にしてしまったという。夢を前にして身が朽ちようとしているのです、それは当然といえるでしょう。

 しかし今宵、その後悔と怨嗟は蘇る事となる。

 ●

「大変ですッ、大変ですッ! 私だけじゃ太刀打ちできないですっ!」

 某日のグリモアベース、知らせを聞き集まった猟兵たちを前に、白狐・銀音(しろこ・ぎんね)は焦りの気持ちを露わにする。
 他々がその光景に呆れたり、眺めたりしていると、彼女もそれに気づいたのか慌てて無礼を詫び、改めて猟兵たちの方へ向き直り、情報を説明する。

「昨晩、封神武侠界と呼ばれる世界にて『赤顔大王』と呼ばれる過去の狂王と兵士たち、そして当時の居城がオブリビオンとなって蘇ったのを確認しましたッ! 現在世界は大パニックに陥っていますッ!」

 彼女は手元の端末を操作し、虚空に封神武侠界の様子を映し出す。そこには下級兵士と思われる亡霊たちと僵尸(キョンシー)になり果てた上級兵士の大軍と、封神武侠界に住まう兵士たちが戦争している様子があった。明らかに封神武侠界の兵士たちが劣勢になっているのは、貴方達猟兵の眼から見ても明らかでした。

「この『赤顔大王』というのは、遥か昔の三国時代に存在していた国を治めていた王の一人でしたが、世界を統治するという夢を道半ばで閉ざしてしまった存在です。恐らく、その悔しさと自身を討伐した者に対する怨恨がオブリビオンと化してしまったのでしょう。
 このままでは封神武侠界は彼の手に渡ってしまうでしょう。それを防ぐために、貴方達にはこの戦に参戦してもらい『赤顔大王』とその兵士たちを倒してきてもらいたいのです」

 封神武侠界はかつて『三国時代』と呼ばれた修羅の世界であり、常に国同士の争いが絶えなかったと言われている。その中の国の一つを納めた王ならば、持ちうる力も策略も相当な物のハズ。この場にいる猟兵の誰もが、彼女の語るその内容に息をのんだ。

「下級兵士は特異な能力を持たない一般兵なため、突破は容易いでしょう。しかし、一般兵の数が減ってくると、今度は僵尸となり果てた上級兵士たちが襲い掛かってくるでしょう。彼らは下級兵士よりも武術策略共に上の力を有しています。気を付けてくださいねッ!」

 どちらも大軍。故に、下級兵士と同等か少し上の技倆しか持たない封神武侠界の一般兵では、太刀打ちする事が出来ないのも納得が行く。だがこちらは猟兵、数多くの修羅場を潜っている。兵士程度なら問題ないだろう、だが――……。

「兵士がやられ窮地に陥れば、今度は『赤顔大王』が直々にやって来るでしょう。彼はオブリビオン化によって理性を失っています。つまり自身の力の制御が外れてしまっていて、猟兵を数十人を上空に投げ飛ばせる程の怪力を有しています。掴まれてしまえば、重症は免れないでしょう。どうか、お気をつけて――」

 彼女から語られた元凶の力は、猟兵たちの想像を上回る内容であった。これは一筋縄ではいかない、とだれもが思った。掴まれてしまえば一巻の終わりなのだから。

「私も戦いに向かいたいところですが、見た通り戦況確認の際に戦場へ向かって負傷してしまいまして……今回皆さんにお願いする次第となりました。どうか、どうか、生きて帰ってきてくださいね!」


銀狐こんこん
 初めまして、新米マスターの銀狐こんこんと申します。
 今回はオブリビオンと化してしまった大王、赤顔大王を討伐するお話です。

 第1章はオープニングで申した通り、下級兵士との闘いです。
 下級兵士は特異な能力は持ち合わせていませんが、かなりの大軍で集団で襲い掛かってきます。各々の力、瞬発力、そして知恵を駆使して殲滅してください。

 第2章は集団戦、僵尸となり果ててしまった上級兵士との戦闘です。
 下級兵士程人数は多くないですが、個々の戦闘技倆は下級より強く、さらには特異な力も所有しています。気を付けて戦ってください。

 第3章はいよいよボス戦、『赤顔大王』との戦闘です。
 彼は当時の頃から強い筋力を所有しており、そこにオブリビオン化によって理性を失い狂ってしまった事で、その力の制御が外れてしまっています。かなり危険です。
 うかつに近づいて掴まれてしまえば大変危険です。なので気を付けて戦ってください。

 3章のみ『掴まれないように戦う』をプレイングボーナスとします。皆さんの良策を期待しています!

 プレイング募集は、各章にあらすじを記載しますので、それが記載された瞬間から開始とします。宜しくお願いします!
 皆さまの素晴らしいプレイング、心よりお待ちしております。
3




第1章 冒険 『都市郊外での戦い』

POW   :    力で攻める

SPD   :    速さで攻める

WIZ   :    知恵で攻める

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 戦場が淀めく。
 相手は下級兵士、ただただ皆は甘く見ていた。しかし、その腕はかつての三国時代を生き抜いただけの事はあり、とても洗練されていた。
 とても私達だけで押し切れるような相手ではない。

 剣と槍、弓がまじりあうこの混沌な世界を、どうやって突破しようというのか。
 策を、策を練らねばならぬ。
レオンハルト・アウストラリス
戦局かなり不味い…よな?
『このままでは総崩れだろうな』
だったら今すぐ…!
『まぁ待て小僧。こういう時はだな…』
(己の『喋る魔剣』と相談し、敵の攪乱と戦力再編を図る)

劣勢の味方一般兵達を掻き分け、真正面から敵軍へ先陣突撃!
変幻自在の【第3の魔剣・メタモルアクア】を駆使し、偃月刀、槍、戟矛、ヌンチャク等の武器に形状変化させ、敵軍真っ只中で大立ち回りして攪乱!

兵士諸君!此度の戦は退き口にあらず!
相手は古強者!されど勇も大義も魂も無き死兵!
我ら猟兵もついている!恐れる事など何も無い!
抗え!そして立ち向かえ!

魔剣を戦旗に変え、一般兵達に[覇気]と[勇気]伴う檄を飛ばし態勢を整えさせ、共に敵軍に立ち向かう!



「クソッ、数が多くて中々減らねぇ!」
「個々も中々の手練れだ、どうする――?」

 戦場は誰がどう見ても劣勢で酷い有様だった。封神武侠界側の勢力も己の武勇の誇りをかけて負けじと食い下がるが、このままでは完全に押し負けるのも時間の問題だろう。
 一方、その光景を戦場に歩みながら眺める一つの影があった。封神武侠界側の援軍として呼ばれた猟兵の一人、レオンハルト・アウストラリス(魔剣の勇者・f20419)だ。

「――このままでは総崩れだろうな」

 彼は魔剣の柄にそっと手を置き現在の戦況を確認する。といっても、慎重に確認する程でもないだろう、劣勢であることは目に見えているし、相手は大軍で攻めてくるだけの一般兵なのだから。
 魔剣をそっと鞘から抜き、敵軍の方へ向き直る。その剣から放たれる覇力《オーラ》は凄まじい程に鋭く、ここ一帯の戦場を激しく揺るがせる。

「だったら今すぐ殲滅を――」

 彼が今すぐにも戦場へ突撃をかまそうとする刹那――

『まぁ待て小僧。こういう時はだな…』

 どこから放たれた声だ? この声を耳にした者は全員そう疑問に思っただろう? その後も何度か小声で同じ声が響き渡るが、幾ら考えてもその声は彼の方にしか響いていない。しかし、そこには彼以外の人影は見えない。一体どういう事なのか。
 しかし、彼にはその声の正体がわかっている。やがて彼はうんと頷き、響く声に対して呼応する。そして戦場へ改め向き直り、その魔剣に宿る力を解放する。

「剣、槍、鞭…千変万化の水剣だ!見切れるものなら見切ってみな!」

 千変万化の水剣と称したその魔剣を手に、彼は封神武侠界の一般兵をかき分け、敵陣の中心部に向けて、獲物を狩る獅子の如く突撃をかます。
 単独で敵陣に突撃するなど愚の骨頂、当然敵の下級兵士たちも黙ってはいないだろう、誇りを傷つけられた気分だ。しかし、真正面から突撃してくるというのなら、下級兵士たちにとっても、それはそれで都合はよかった。
 兵士たちは地を駆ける彼目掛けて集団で襲い、頭上から叩き割るかのようにその剣を振るい落とす。

 ――が。

「ぐぁ……ッ!?」
「刀身の長さが変わってッ がッ!?」

 剣と剣がまじりあい鍔迫り合いになる――事はなく、鋼と鋼が触れ合う刹那、彼の持つ魔剣は短い刀身へと変化する。驚き空振る一般兵を、その隙に斬り裂き、次の兵士へと向き直る。
 しかもただ刀身へと変えるだけではない、彼はその剣を偃月刀、槍、戟矛、ヌンチャク。幾多の武器種へと変化させ、相手の戦場予測を狂わせ、敵陣を混沌へと陥らせる。
 その変化先を予測できる者は、一般兵には存在しなかったとされる。

「今度は剣――いや槍か!? ぬあッ!」
「距離を取れ、距離をとって弓を放てッ! さすれば剣など恐るるに足ら、がふっ!?」

 剣から矛へ、矛から鞭へ、鞭から剣――ではなく槍へ、槍から長身の薙刀へ。彼の攪乱戦法は多いに戦場を有利に運び、いつしか彼が突撃した陣の周囲にいた下級兵士の大多数が討伐されていた。
 その光景を交戦しつつ眺めていた封神武侠界側の人間は思わず息をのんだ。猟兵というものは、これ程までの力を持つ存在なのか――と。

「兵士諸君!此度の戦は退き口にあらず!」

 彼は味方の兵士に向かい、高らかに宣言する。

「相手は古強者! されど勇も大義も魂も無き死兵! 我ら猟兵もついている! 恐れる事など何も無い! 抗え! そして立ち向かえ!」

 彼は言葉で鼓舞しつつ、手元の魔剣を戦旗に変化させ、兵士たちの誇りと名誉を鼓舞する。不思議な感覚だ、その宣言には何も特徴すら感じない普通の励まし言葉だというのに、今この状況においては素晴らしい言葉の一つであった。
 そうだ、確かにそうだ。相手はただの死兵、操り人形に過ぎない。ただ世界を手に入れるという目的のために動くだけの存在であり、そこに武勇の誇りは何一つ存在しない。いや、あったとしても、それは目的遂行のための道具に過ぎないとさえ思っているだろう。
 そんな奴らに誇りと大儀を持った私達兵士が負けて良いのだろうか? いや、ある筈がない。

「……そうだ、そうだ! お前ら行くぞ! こんな中身のない骸に負けてたまるかってんだ!」
「怯むな、進めー!」

 封神武侠界の兵士も次々と彼に倣い、敵陣へと向かう。彼の戦勇が、怯える兵士たちを鼓舞する綺麗で美しい瞬間であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
既に他の猟兵が扇動しているか。
ならば自分は後方から敵陣を掻き回すとしよう。

各装備をUC【燃ゆる貴き血鉛】による強化【武器改造】、青く燃える鉛の翼で飛翔し【空中戦】。

高速【空中機動】で上空より敵陣に短剣の【投擲】による【弾幕】を張り
着弾した順から青炎の延焼による【焼却】【範囲攻撃】で炎上【蹂躙】だ。
敵が飛び道具で攻撃するなら黄金魔剣による【なぎ払い】で【武器落とし】【吹き飛ばし】で無力化する。

順調にいけば兵士たち側と挟撃。
梃子摺ったとしても敵軍の幾らかを【おびき寄せ】られれば向こうが態勢を整える【時間稼ぎ】ぐらいにはなろう。

来い。貴様らと同じ、国滅びてなお彷徨う亡霊騎士が黄泉路への案内仕ろう。



 先の戦いで一般兵の士気が上昇する様を、鋼の音を鳴らし歩みながら眺める鎧影が一つ現れる。
 兜の中は黒く見えず、その代わりにチラリと蒼色の炎が垣間見えるその様は、誰が見ても異様と呼べるようなものであった。

「既に他の猟兵が扇動しているか……」

 そう語る彼もまた、増援の猟兵であり、名をルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)という。死した主の魂を宿し、戦場を彷徨い歩くヤドリガミだ。
 その身体には、記憶も、栄光も、既に亡失している。されど、その心に宿る過去の騎士道の誇りだけは微かに残っている。

「向こうの心配はいらないな。ならば自分は後方から敵陣を掻き回すとしよう」

 士気が上がったことにより、一般兵に至っても下級兵士に劣らぬ力を見せるようになった。これ以上感情について横槍をする必要ないだろうと察知する。

「我が血はもはや栄光なく、されど未だ闇に消えず…! 燃ゆる貴き血鉛(ブレイズブルーブラッド)!」

 彼は自身の鎧に纏わる蒼炎をブオンッと激しく揺るがせ、ユーベルコードを発動する。栄光も記憶も無く、ただの無(から)になりつつある彼にも、まだ消えない“何か"がある。今の彼には、その“何か"だけで十分だった。
 纏う武器と武具全てに改造を施し、背部に青く燃える鉛の翼を展開させ、勢いよく飛翔する。その光景は先陣を進んでいた一般兵をも目を奪われる程の光景だった。

「何か飛んでいるぞ!?」

 敵の下級兵士等もそれにようやく気付いたのか、全員が次々と彼に向けて人差し指を向ける。だが彼はそんなものに気を止めず、戦場の上空を悠々に飛行し、手持ちの短剣の数々を地上目掛けて鋭く投擲する。
 その短剣はただの短剣ではあらず、弾幕と化したその短剣の嵐は、地上に突き刺さるや否や、彼の纏うものと同じ蒼炎が吹き荒れ、戦場の荒野を瞬く間に蒼き地獄へと変貌させる。

「何だこの炎は!? どこから現れた!?」
「クソッ、弓と鉄砲だ! 奴を撃ち落とせ!」

 全てを焼き尽くす無の蒼炎に囚われつつも、下級兵士等は動きを止めず、攻撃を続ける彼目掛けて矢と弾丸の嵐を放つ。その冷静さは、敵とは言えさすがの一言に尽きるだろう。
 だが同時に彼もその攻撃に動じなかった。冷静にその攻撃を見るや否や、手に担いでいた黄金魔剣ルパートを振るい、放たれたもの全てを薙ぎ払い、吹き飛ばす。その衝撃波は想像を絶し、彼らが持っていた弓と銃を後方へ飛ばしてしまう程の勢いであった。

「武器が飛ばされた!?」
「馬鹿野郎落ち着け、拾って形成を整え……ぐあっ!?」

 業物を探し隙が生まれた事で、封神武侠界側も勢いが増す。次々と下級兵士を斬りつけ、あと一歩の所まで近づいていた。
 最後には彼も地上へと降り立ち、兵士と挟撃を行い、着実にその数を減らしていった。

「まだ数はいるか。ならば来い。貴様らと同じ、国滅びてなお彷徨う亡霊騎士が黄泉路への案内仕ろう」

 この光景を見た兵士の一人は、後に彼を『一種の死神みたいだ』と形容したという。

成功 🔵​🔵​🔴​

文・犀雹
戦場に立つのも戦うのも初めて
自分の世界なのに
知らないことだらけだ
で、でも僕も……僕だって、やれることをしたい

【木牌之道也】で作った兵符を、兵士たちへ渡す
あの、僕の力で援護するから、その……
これを敵陣へ思い切り投げ入れてほしいんだ
敵に直接当たらなくてもいい
兵符に刻んだ文が言霊となって浮かび、力を発揮してくれるはず
刻んだのは『武器落とし』と一時待機を下令する文
得物を手放し援軍到着まで静かに待機せよ、みたいな意味の文だよ
……これが僕の『道術』みたい
本当は書いた通りになんて、なってほしくないけど
兵士たちを助けたいから

その後、二振りの直剣を持って最前衛へ向かうね
遅くなってごめんなさい、僕も一緒に頑張るよ



 後続にも猟兵は控えている。だがあと一歩戦線突破には届かない。皆々がその状況をもどかしく感じていた。
 その最中、戦場の荒野の上を一人見つめる男が一人いた。ぼそぼそとか細い声で何かを呟きつつも、その眼は真剣そのものであった。
 余裕が出来た封神武侠界の兵士たちが声をかけると、彼はハッしたかのように顔を上げ、深々と一礼する。

「僕、戦場に立つのも戦うのも初めてで……。自分の世界なのに、知らないことだらけだね」

 文・犀雹(僵尸の宿星武侠・f33444)と名乗る僵尸(キョンシー)の彼は、この世界の住人であるものの、このような光景を見るのは初めてのようだった。成程、それならば身体がすくんでしまっても無理はないだろう。
 だがここに来た以上は、成果を一つあげていかなければならない。それは彼も重々承知していた。彼は先ほど声をかけてくれた兵士たちに、自分のユーベルコードで作った兵符を渡す。彼曰く木牌之道也(ボクガツクッタヨ)とのことらしい。

「あ、あの……僕の力で援護するから、その……これを敵陣へ思い切り投げ入れてほしいんだ」
「んぁ? これをか?」

 その兵符、一見は何の変哲もない木牌だった。はたからみれば敵陣にこんな意味不明なものを投げ入れる為に突撃するのか? と訝しむだろうが、その不安は彼の眼を見ればすぐに拭い去ってしまった。彼は正真正銘、正気であった。

「敵に直接当たらなくてもいい。兵符に刻んだ文が言霊となって浮かび、力を発揮してくれるはず」
「なんかパッとしないが、まあやるにはやるか。よしっ、とりあえず敵陣に向かえばいいんだろ! お前らいくぞ!」

 数人の兵士たちが兵符を手に突撃する。先の戦いで兵士の数は減りに減った。これならば、敵陣に突っ込む事など今では造作もない。
 到達した兵士たちは、邪魔になりそうな下級兵士を見つけ先に牽制したのち、その戦場の地目掛けてその兵符を投げ入れる。

(これでどうなるんだ……?)

 カランッ。兵符が地面に落ち、なんとも風情ある音を響かせる。だがその音を聞けば不思議にも、誰かに命令されているような感覚を覚える。
 戦場にいた下級兵士たちが、次々と武器を下ろし、その場にピタリと静止する。その光景を見た兵士は、一同驚愕の表情を露わにする。何が、何があったというんだ?

「刻んだのは『武器落とし』と一時待機を下令する文。得物を手放し援軍到着まで静かに待機せよ、みたいな意味の文だよ。……これが僕の道術みたい」

 兵符とはそもそも軍隊動員の際に使われた丸い木牌の事を言い、国王の教書とともにその片方を送り、地方の指揮官は二枚合わせてそれが王命であることを確認して軍隊を発動したという。
 だが彼の道術が練り込んだこの兵符は、その確認過程を経ずともその王命を発動する事が出来るという優れもの。彼が兵士に投げ入れてほしかったのは、この兵符を発動するためのものだった。

 兵符が発動する様子を見届けた彼は、数秒後うんと頷き、持参していた二振りの直剣を取り出し、停止しているその戦場空間へと駆け走る。

「本当は書いた通りになんて、なってほしくないけど、兵士たちを助けたいから、仕方のない事こと。遅くなってごめんなさい、僕も一緒に頑張るよ」
「お、おお、お前すげえな! 良し、お前ら再び突撃だ!」

 動けなくなった敵に再び斬撃の嵐を巻き起こす。何も知らぬ存在でも、戦場においては一つの奇策こそが優位にたつ要因の一つとなりうる。
 彼のこの行動は、それを証明しうるものとなっただろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

木元・祭莉
わあ、敵の数多いね?
じゃあ、おいらも頑張ってお手伝いしよっと!(にへら)

えーとね。
三国の時代は、一騎打ちとかでボスを倒すと、総崩れになってたって。
軍には規律っていうのがあるから、上の人がいなくなると脆いんだって。
母ちゃんが、そう言ってた!

兵隊の人たちに説明した後、空中浮遊して、遠目で陣形を確認。
ふむふむ。あのあたりにボスの人がいそうかな。

ゆべこ発動、部隊中枢部へ突撃!
護衛の兵隊を飛行の勢いでぶっ飛ばしながら、小隊長っぽい人へ体当たり!

おっ、反応した。流石だね!
弓矢は野生の勘で躱し、剣槍は如意な棒で受け流し。
本命はこちら、カウンターの右拳をくらえー!

倒したら次の部隊へ。
後は烏合の衆、任せたよー♪



 隊が乱れ、戦線が著しく判明するこの刻頃、軽快な走りで戦場にやって来る一つの猟兵がいた。

「わあ、敵の数多いね? じゃあ、おいらも頑張ってお手伝いしよっと!」

 このような惨状にもかかわらず、その笑顔を変えない彼の名は、木元・祭莉(マイペースぶらざー・f16554)という。このような余裕も、数多くの戦場を見てきたからなのであろう。

「数は減っている筈だが、中々終わりが見えねぇな」
「怯むな、いずれ好機は見えるはずだ!」

 なかなか終わりが見えない兵の群れを一つ一つ潰していく兵士たちを前にして、彼はまるで『効率悪いなあ』と言わんばかりに石ころをカッと蹴っ飛ばす。
 そして兵士たちの方へ駆け寄り、自身が思いついた作戦を語りだす。

「これじゃダメだよ。えーとね? 三国の時代は、一騎打ちとかでボスを倒すと、総崩れになってたって。軍には規律っていうのがあるから、上の人がいなくなると脆いんだって。母ちゃんが、そう言ってた!」
「んあ……?」
「そーいえば、そんな感じするな。大将失ったら、やる意味も失せるってもんだしな」

 彼は想定通り、と言わんばかりに再びにへらと笑う。そして兵に案を提案した後、勢いよく真上へ飛翔し敵陣の様子を確認する。彼の扱える術の一つ、空中浮遊だ。
 上空からマジマジと観察してみると、そこには敵の下級兵士と同じ風格の者が一人いたが、明らかに他の兵士たちを指示しているような動作が見受けられる。恐らくあれが、下級兵士を指揮する指揮官だろう。

「ふむふむ。あのあたりにボスの人がいそうかな」

 狙いを定めた彼は、身体の神経、細胞、血流、全てを集中させ、己のユーベルコードを発動する。

「どこまででも、きっと! 駆け抜けるよ! 風輪の疾走(ホワイトラッシュ・オブ・ウインド)!」

 全身が瞬く間に白炎で燃える、誰もがその光景に驚きを抱いただろうが、彼は決して動じなかった。そして突撃ィと高らかに叫びながら指揮をする下級兵士を勢いよく突き飛ばす。

「お前はそこに行け、次にお前は――ん? 何、敵襲か!?」
「おっ、反応した。流石だね!」

 突き飛ばしを受けるも、寸での所で気づき損傷を最低限に留めてきた。下級兵士とはいえ、そこはさすが指揮官クラスというべきだろう。
 彼は木元を見据え、刀をスッと取り出し、華麗な身のこなしで斬撃攻撃を振るう。

「ハァッ!!」
「お前ら、弓で援護しろーッ!」

 指揮官クラスの攻撃もさることながら、他の下級兵士どもの連携も素晴らしいの一言に尽きるだろう。しかし、木元もそれなりの修羅場を潜ってきた猟兵だ。弓矢は野生の勘で、剣槍は己の業物である如意な棒で軽く受け流す。その仕草一つ一つに無駄は何一つなかった。

「クソッ! どうなっていやがる。タイミングでも計っているのか」
「いや? 本命はこちら! カウンターの右拳をくらえー!」
「な、カウッ――ぐあっ!?」
「隊長―ッ!」

 ユーベルコードの余韻が残った彼の強烈なる右拳の鉄槌は、その指揮官クラスを吹き飛ばし、戦闘不能とさせるには十分すぎる程の威力だった。カウンターとは果たして何だったのだろうか?
 その光景を目の当たりにしていた、その指揮官が率いる舞台は次々と彼同様戦意喪失状態に陥っていった。それもそのはず、この光景を作り出した彼と戦いたいなんて思う兵士など、相当な熟練者でなければ思わないだろう。

 その光景を見届けた彼は、そのまま次の舞台へと向き直り、再び突撃攻撃に走る。
 彼の攻撃は、下級兵士の残り部隊を軽々と殲滅させていった。

 こうして、下級兵士等との戦いは、一先ず終わりを告げたのである。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『僵尸兵士』

POW   :    僵尸兵器
【生前に愛用していた武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    僵尸鏡体
【硬質化した肉体】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、硬質化した肉体から何度でも発動できる。
WIZ   :    僵尸連携陣
敵より【仲間の数が多い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「████―――ッ!」
「私達ノ仕事デスカ」

 赤顔大王と思われる怒号が戦場に響き渡ると同時に、奥から先ほどの下級兵士とは比べ物にならないような存在が現れる。
 ――僵尸兵士。先ほどまでの下級兵士たちより遥かに優れた技倆と叡知を誇る存在であり、上級兵士とも呼ばれている者達だ。

「クソッ、例の奴らが来やがった!」
「だがあいつらを殲滅すれば、赤顔大王もあとが無くなる! 怯むな、進めー!」

 その僵尸兵士は一般の兵士では、かなり困難を強いる相手だろう。さて猟兵たちは、どのような策で突破するのだろうか――。
レオンハルト・アウストラリス
なぁシャクイス、あんな感じで大丈夫だったか?
『上出来だ小僧。後は……』
分かってる。あの大群の先の城だろ?

[瞬間思考力]で戦場の状況を即座に把握し、
居城へと続くルートの中で一番戦列の薄い部分の一点突破を図る。
1人で駄目なら2人!2人で駄目なら3人で囲むんだ!
一般兵士たちを[鼓舞]しながら率いて、[先制攻撃]での[集団戦法]で討ち取っていくぞ!

シャクイス、第2の魔剣でいくぞ!
炎で示した道を共に駆け抜ける兵士たちの前に、上級兵士を見つければUCの炎の魔剣による[属性攻撃]で正面から戦う。
武具に刻まれた戦いの年輪から強者と察知し、侮らず、驕らず、剣戟交わし、一瞬の隙を突き[カウンター]で[切断]する。



 下級兵士の大数が減り、奥には数体の見慣れない個体が垣間見える。あれが兵士たちの言っていた上級兵士、僵尸兵士だろうか。

「なぁシャクイス、あんな感じで大丈夫だったか?」
『上出来だ小僧。後は……』
「分かってる。あの大群の先の城だろ?」

 先の戦いで兵士たちを見事鼓舞し士気を上げる事に成功した戦勇の猟兵、レオンハルト・アウストラリス(魔剣の勇者・f20419)は再び手の魔剣に語り掛けていた。
 彼と魔剣が見つめ、指し示す奥には今回の事件にて出現した赤顔大王の居城。この位置からでも分かる程大層立派なものであった。

 彼は敵が認知できない程の距離で戦況を即座に理解する。僵尸兵士は数こそ沢山あれど、先ほどの下級兵士どもよりかは少ない様だった。つまり先ほどと同じような流れで戦っていれば、自分たちは問題ないだろうと理解する。だが相手も相手で中々手練れだ、ここは一致団結しなければならない。

「あの居城を目指して突撃するぞ! 一番戦列の薄い部分の一点突破を図る! 1人で駄目なら2人! 2人で駄目なら3人で囲むんだ!」
「おうッ、行くぞお前ら―ッ!」

 居城入口に続く道はやはり敵数が多い。故にその入口の反対側、警備が手薄になりやすい場所を探しだし、そこ目掛けて一点突破を図る。
 周囲にいた下級兵士の残党はやはり残り物だったのだろうか? かなり人数も少なく包囲戦法を取っていれば比較的容易に突破できた。

「な、何故こっちに!? ぐあっ!」

 彼らの先制奇襲は功を奏したのだろう。次々と警備にあたっていた兵士たちを殲滅していく。その速度はまさに風の如く、次第にそこから下級兵士どもは消え失せていた。
 だが、消え失せたとなれば、奴も当然現れる。

「私達ノ仕事デスネ」
「き、来やがった……僵尸兵士だ!」

 先ほどチラリと容姿を見た僵尸兵士、恐らくこちらの様子を察知して急いでやってきたのだろう。数も少しだけ多い。ならばここは一つ、少しだけ本気を出さねばならない。

「シャクイス、第2の魔剣でいくぞ!」

 魔剣の握る握力を強め力を送り込む。魔剣はそれを察知し、その姿を地獄の如く赤き燃え上がる紅の大剣へと姿を変えていく。これが魔剣シャクイスの持つ第2の力、クリムゾンバスターだ。
 彼はそれを片手に僵尸兵士の大群へと突撃する。僵尸兵士もそれにこたえ、彼らが生前愛用した幾多の武具を放ち応戦する。が、その全ては切り捨てられ、どんどんと討ち果たしていく。
 やがて一人の僵尸兵士の前へと詰め寄り、魔剣を振りかざす。その僵尸兵士も愛用の鉄剣を取り出し互いに剣戟を開始する。
 ガツンッ、ガキンッ、鋼の音がこだまする。彼もその様子を見て僵尸兵士をかなりの歴戦を経た強き者だと理解する。普通の兵士たちが怯えるわけである。
 ただの霊兵であるにも関わらず、かなり硬度な身体もしていた。それでも彼は一つ一つの剣閃をいなし、隙を探し出す。

「――ここだっ!」
「!」

 敵が振りかざした剣に向けて一発、強く振り切りそれを弾く。それによって生まれた一瞬の隙、それを彼は見逃さず、即座にカウンター攻撃で胴体を切断する。
 僵尸兵士もそれを察知し、自身の異能で敵のユーベルコードの構造を少しだけ理解し、鉄剣に炎を纏わせたが時すでに遅かった。もう少し判断が遅ければ、どうなっていた事だろうか? いや、それでも彼が勝っていたのだろう。

 それは、この炎で作られた戦場の軌跡から、誰が見ても分かるであろう。
 敵の殲滅を確認し、居城にたどり着いた彼はその魔剣を天空へと向け、兵士たちに作戦成功の凱旋を告げる。それを悟った兵士たちは、戦場を響かせる程の喜び声を上げたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
なるほど、数を揃えた精鋭部隊というわけか。
先程と同じように戦ってもいいが……此方の兵たちの損耗を抑えるべきだな。

青く燃える鉛の翼で高高度【空中浮遊】、戦場を見渡せる状態でUC【其の名が示し無数の身製】。
今回は仮初の身体は意図的に出さず、200騎超の複製鎧のみを展開し【集団戦術】。味方兵士たちにも支援射撃を頼み敵UCの要である数の利を潰す。

重要なのは敵集団を分断してからの各個撃破。
味方兵士を【かばう】為にも複製鎧は前線に出て敵を【おびき寄せ】包囲していこう。
所詮複製鎧はこの場限りのものだ、仮に全て破壊されようと問題はない。
何の憂いもない消耗戦というわけだ、磨り潰してくれる。



 更なる精鋭の登場を前にする兵士だが、先の戦いに発生した兵士たちの疲労はぬぐえない。その状況を鑑みたルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は一計を案じた。

「先程と同じように戦ってもいいが……此方の兵たちの損耗を抑えるべきだな」

 青炎の大翼を広げ、空中に飛び去った彼は上空から悠々と戦況を把握する。先ほどの精鋭部隊は敵陣の中心、赤顔大王の居城と思われるものの付近に屯していた。
 その周囲に意識を集中させ、自身の身体を脳内で想起する。その想像力は何時しか現界に留めて置く程の力を持ち、自律的に移動する骸と化す。

「唯一の我が身は過去に潰え…されど、無数の我が身は此処に在り! 其の名が示し無数の身製(クランクアウトコルポクラスター)!」

 出現した彼と同じ姿の複製鎧は、各々が武具を片手に敵陣へと包囲戦術を開始する。彼の実力に応じた数で作られたその数は約200騎程もあり、かつ彼と同じ程の力を持っているのだから、幾ら上級兵士であれどその数を減らすことは容易ではないだろう。
 それを知った上で彼は、その複製鎧を数騎に分け分断し、居城を攻め入るが如く四方を囲む。自身の実力を加味した上で取れる戦法であり、彼は奴らの実力を悟った上でこのような戦法に打って出たのだ。

 複製鎧の背後に陣する味方兵士たちは弓や鉄砲、大砲等を持ち込み、敵兵士と居城目掛けて無数にそれを放つ。
 それに上級兵士である僵尸も反応したのだろう、自身の異能を行使し愛用の投擲武具を放ち、その矢と弾丸を相殺する。更に複製鎧を1体倒した事で、その構造を一時的に察知したのか、自身の身体を二つに分断する等の戦法を行使する。成程、さすがは上級兵士と言われることの程はあるだろう。

 ――が、彼は一切同様せず、作戦の変更も行わなかった。

 幾ら敵の数が増え複製鎧が増えようとも、その身体は所詮偽りのもの。仮に全て破壊されたとて問題はない。というより、全てが破壊される頃には、既に敵も完全に消耗しきっている頃合いだろう。
 偽りとはいえ、彼の力を出し抜ける者等、早々にいる筈がないのだから。

 その策は功を奏し、複製鎧の数が少し減ってきた頃合いから、僵尸達の身体動作に現れる隙の頻度がかなり増したように思える。ここまで来れば後は憂いなき消耗戦だ、隙を伺い複製鎧と兵士たちが斬り裂き、その数を的確に減らしていけばいい。これで完全に居城は包囲されることだろう。

「さあ、早いとこ磨り潰してくれよう」

 その姿と声色には、誰が見ても覇気が感じれることだろう。
 それも、彼が持つ騎士道精神の炎によるものなのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​


--------------------------------------
※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「猫目みなも」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
--------------------------------------
御形・菘(サポート)
※語尾に「のじゃ」は不使用
はっはっは、妾、推参!
敵は決してディスらんよ、バトルを彩るもう一人の主役なのでな!
強さも信念も、その悪っぷりも誉める! だが妾の方が、もっとスゴくて強い!

バトルは常に中継配信+後で編集しての動画配信
いかにカッコ良く魅せるか、見映えの良いアクションが最優先!
とはいえ自身の不利は全く気にせんが、共にバトる仲間にまで不利を及ぼす行動はNG!

戦法は基本的に、テンションをアゲてボコる! 左腕とか尾で!
敵の攻撃は回避せず、受けて耐える! その方がカッコ良いからのう!
はーっはっはっは! さあ全力で来るがよい、妾も全力で応えよう!



「はーっはっはっは!」
 兵士達と僵尸軍団のぶつかり合う戦場に、高らかな笑い声が響き渡る。赤顔大王の率いる軍団でも一段上の実力を持つと言われる僵尸達をバックにしながら、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)はまずはひとつ配信用のドローンに向かって拱手をしてみせる。
「と、言う訳で! 今回の妾の相手はこやつら、『赤顔大王』の僵尸兵士軍団よ! うむうむ、上級兵士と言われるだけあって、一糸乱れぬ行軍を見せておるのう! これほどの軍団をまとめ上げる大王も、生前はさぞや強く勇猛な王だったのであろう!」
 だが、死してその王はオブリビオンと化し、封神武侠界の民を害する存在に成り果ててしまった。となれば、猟兵として、悪い奴らをボコしに行く系配信者として、やるべきことはもちろんひとつだ。
 ――つまりはいつも通り、派手にスタイリッシュにカッコよく、奴らをぶっ飛ばして魅せるのみ!
 一切の躊躇を見せることなく、菘は敵群の只中へと飛び込んでいく。たちまち僵尸達は敵の新手を認め、きっちりと陣形を保ちながら青龍偃月刀を構えて菘を取り囲む。まるで映画のような絶体絶命の大ピンチにも思えるその状況に、菘はにぃと笑って尾の先を揺らした。
「待っておったぞ」
 その呟きを聞いたのかどうかは分からない。けれど一斉に斬りかかってきた僵尸の刃を、菘は避けもせずに自らの肌と鱗で受け止め、耐える。二の腕を伝って流れる血を拭いもせずに、そうして彼女は胸を反らし、笑う。
「はっはっは、痛い、痛いのう! お主ら、さては死ぬ前も名のある使い手であったろう? ……だが、とくと見よ。妾はそのお主らより、更に更に強いッ!」
 振り抜いた尾が群がる僵尸達を宙へまとめて打ち上げ、円を描いて散らしていく。その中の一体に無造作に左腕を伸ばし掴み、一息に握れば、硬い骸の頭が落ちた果実の如く砕けた。無造作にそれを後方へ放り、しなやかな尾で土を叩いて、今度は宙へ舞い上がり、未だ空中で体勢を崩したままの僵尸を尾で巻き取って地上へ落とす。或いはそのまま着地して、敵群が陣形を整え直す間も与えずに再び薙ぎ払う。激しく荒々しく、暴風のように戦う菘の姿は、空中に浮かぶ撮影ドローンが逐一切り取り、配信を続けている。
 そしてそのことを、菘は勿論常に意識している。
(「やはり統率された大軍団というのは良い! 立ち向かうべき逆境としても分かりやすく優れておるし、何より画面に華が出る!」)
 そう。彼女のユーベルコードは、『素晴らしい動画を作り上げる為の敢えての逆境』を通じて通常以上の力を引き出すもの。つまりは質にも量に優れた軍勢を相手取る姿を配信するという今の状況は、菘にとっては絶好のフィールドに他ならない。
 ピンチを最大のチャンスに変えながらその後も快進撃する菘の戦場配信は、しっかり視聴者の『いいね!』を掴んだという。

成功 🔵​🔵​🔴​

リヴェンティア・モーヴェマーレ(サポート)
▼アドリブや他の方との絡みモリモリの盛り大ジョブです
お好きなように弄ってください

▼性格
いつも笑顔でほわほわのぽやんで楽観的な元気っ子

▼口調
なのでス、でショウ、なのですカ?
等、文章の語尾や途中に1、2文字カタカナが入る
挿入箇所はお任せ
『~な気持ち』が口癖
敵に対しても「さん」付

▼武器、アイテム
戦闘時以外は動物の形をとっている子達が多く
会話や意思の疎通もしマス
動物達の方がしっかりしてる説有
(踏ん反り返る動物達

▼得意
情報収集
ハッキング
支援

▼好き
家事全般
動物

▼戦闘
後衛に居る事が多く
後方から援護射撃やオーラ防御での防衛サポを好む

▼NG
過度なエロ
(尚、羞恥心がぶっ飛んでるので恥ずかしがると言うことは無いでス



「これはまた、敵も味方も凄い数デス……!」
 額に手を翳して戦場の様子をぐるりと見渡し、リヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)は感心したように目を丸くする。僵尸の軍勢は相対する兵士達よりよほど強そうだが、それも猟兵が戦線に加わったことにより、徐々に押し返されつつあるようだ。
「……となれば、私も私の得意な分野でお手伝いしまショウ。きょんちゃん、らんらん、行けまスカ?」
 問いに、ハムスターとチンチラにそれぞれ擬態していた精霊が短く鳴き声を返し、まるで敬礼するように片手を上げた。小さく笑ってそれに頷き、リヴェンティアは音もなく戦場を縫うように走り出した。
 僵尸達はリヴェンティアに武器を向けない。否、彼女が密かに移動していることに気付いていないか、気付いたとしても斬るべき敵とは認識していないのだ。人の群れに紛れ、隠れ、更には緑珠の精霊の加護を得た彼女は、巧みに敵の注目をかわしながら狙いの場所まで駆けていく。
「見つけまシタ! もう大ジョブですからネ!」
「あ……あんたは?」
「通りすがりの英傑デス!」
 負傷し、動けずにいた兵士の傍らに膝をつき、そのままリヴェンティアは彼に肩を貸して立ち上がらせる。
「ここは危険デス。一旦下がって、後方で手当てを受けてくだサイ」
「あ、ああ……助かるよ」
「イチくん、頼みましたヨ」
 肩の上のフェレットにそう呼びかければ、頷く彼の喉元で青紫の宝珠がきらきらと光った。陽光の反射ではない。宝珠の内側から溢れ出すそれ自体が、オーラとなってリヴェンティアと兵士を包み込もうとしているのだ。
(「これで、流れ矢くらいはなんとかできるハズ……兵士さんがあんまり痛くない程度に、なるべく急ぎまショウ」)
 傷付き倒れ、けれど息があるまま動けずにいる兵士は彼ひとりではない。可能な限り多くを助けることは今後のこの地の為でもあるし、何より故郷の為に戦い傷付いた彼らを放っておきたくはない。ぐっと額を上げ、周囲の警戒と守護を仲良しの小動物達に任せて、リヴェンティアは力強く脚を動かし続ける。と、ふと肩を貸した兵士の声が聞こえた。
「なあ、あんた。英傑なんて名乗るからには、俺らよりずっと強いんだろう? ……どうして奴らと戦わず、俺なんかのところに?」
「んー、そうデスねぇ……助けたい気持ちだったから、デスかね!」
「うん?」
「勿論、私も魂縛武将の軍勢と戦う気持ちでここまで来まシた。でも、頑張って戦って傷付いた人のコトだって助けたかったですシ、それニ……」
 こうして味方の損害を減らすこともまた大切なことだ。この戦いが終わって猟兵が去った後、この地を守るのは彼らのような兵士達だ。
 なればこそ、これもまたひとつの『戦い』なのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

アトシュ・スカーレット(サポート)
性格
戦うことと悪戯が好きな悪ガキ
根は真面目で常識人なので実は常識の範囲内でしかやらない
目の前で助けられる人がいるなら積極的に救おうとする
口調は「〜だな。」など男性的
女顔がコンプレックスなので女性と間違えられたら殺気が溢れるタイプ。殲滅するのみ

戦闘
【呪詛(腐敗)】を何かしらの形で使用する。昔機械相手にやって痛い目を見たのでその場合は使わない
前衛も後衛もやれる万能型だが、前衛の方が好き
複数の武器を同時に操ることも可能
高速戦闘も力任せの戦闘も状況に応じて使い分ける
(装備していれば)キャバリアにも対応可

非戦闘
聞き耳などを駆使した情報収集を中心とする
化術で動物に化けて偵察することも



「腐敗することのない死者の軍勢、か」
 攻め寄せてくる僵尸軍団を前に、アトシュ・スカーレット(狭間を歩く放浪者・f00811)は余裕めいた笑みを浮かべて拳を握る。
「いいぜ、やってやろうじゃねぇか。相手にとって不足なしだ!」
 赤顔大王本体に猟兵の刃が届くまで、恐らくはあと少し。ならばその行く道をまずは切り開こうと、アトシュは拳を掌に打ち付けて。
「――原初の鼓動、我が手の内に! 起源たる力にてこじ開けろ!」
 声に応え、空気が渦を巻く。敵の軍勢を次々に巻き込みながら荒れ狂うその竜巻が宿すのは、彼の得意とする呪詛の属性――つまりは、『腐敗』。風にひと撫でされたそこから僵尸達の肉体はたちまち腐り、朽ちて、不死の軍勢を物言わぬ死者へと還していく。竜巻の通り抜けたそこだけがくっきりと浮かび上がる道に飛び込めば、再び猟兵を止めようと新たな僵尸が押し寄せてくる。
 けれど、アトシュの表情は変わらない。むしろ面白いとばかりに誰にともなくひとつ頷いて、彼は呪詛に染まる太刀をすらりと引き抜いた。
「甘く見るなよ」
 魔法だけが得意な遠距離専門の術士と思われては心外だ。元よりアトシュはそれよりも、より前に出ての近接戦闘の方を好んでいる。駆け抜けざまに二度、三度と振るった太刀は刃から滲む腐敗の呪詛で敵の硬い皮膚を緩ませ、そのまま撫でるような形でその奥の肉を、骨を、瞬きのうちに断ち切っていく。
(「……しかし、三国時代に名を馳せた王か」)
 大陸を己の王国として統一するという野望をついぞ叶えることはなかったものの、勇王として臣を従え、最期の瞬間まで戦場に立ち続けた男。こうして歪んだ形で蘇ってしまったのは勿論嘆かわしいことなのだろうが、それでもそれほどの武将の軍勢と戦えることに、どこか高揚と歓喜を覚えている自分がいる――その実感を隠すこともなく、アトシュは呪詛を、刃を振るい、僵尸の壁を次々に切り開いていく。
 そうしてどれほど突き進んだ頃だろう。ふと、頭上に影が落ちた。同時に肌で感じるのは、恐ろしいほどの覇気。その影の主の方向を見上げ、アトシュは唇の端を持ち上げる。
「……よう。遂にお出ましか、王様」
「████――」
 アトシュの数倍はあろうかという身丈全てを染める赤は、彼の憤怒か、それとも狂気か。もはや内容の判別もつかない咆哮を上げ、猟兵を睥睨する彼こそがここで討つべき最大の敵だと、誰に言われるまでもなく分かる。
 即ち――この男こそが、かの赤顔大王。夢破れて死に、今また蘇った過去の王にして大武将だ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『赤顔大王』

POW   :    破頭地落砕
レベル×1tまでの対象の【頭部】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    赤顔王軍
自身の【身体の赤い部分のいずれか】を代償に、1〜12体の【分身体】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    赤死撃
【錘の振り下ろし】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に赤い毒池を作り出し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レパル・リオン(サポート)
こんにちは!あたしはレパル!またの名を『魔法猟兵イェーガー・レパル』よ!よろしくね!

お祭りとかイベントとか友達と遊んだりとか、とにかく楽しい事大好き!

あたしが戦うのは、怪人(オブリビオン)から人々と平和を守るため!そのためなら、ケガをしたってかまわないわ!
(強敵相手だと少し怯えるが、表には出さないように努める)

得意なのは肉弾戦!ダッシュで切り込んだり、ジャンプやオーラ防御でよけたり、激痛耐性でガマンしたり、怪力パンチ&キックでぶっ飛ばしたりするわ!
ユーベルコードに怪人の弱点属性を組み合わせてパワーアップさせたりもするわよ!

頭を使うのは苦手かな。でも、パワーとスピードでなんとかするわ!



 巨躯に違わぬ怪力を振るうというその狂王を、恐れる気持ちがないわけではない。それでも無辜の人々の為に戦う『魔法猟兵』として情けないところは見せられないとばかりに、レパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)は両掌で自らの頬を一度強く打った。
「アンタがこの国の人々を襲ってる悪い軍団の親玉ね! まずはこの魔法猟兵イェーガー・レパルが相手してあげる!」
 勇ましく名乗るレパルに、赤顔大王もまた天を仰ぎ、吼える。それが威嚇であったのか、それとも勇敢な少女に対する敬意であったのかは分からない。けれどどちらにせよ、大王の暴虐はここで終わりにせねばならない。深く深く息を吸い込み、とんと地を蹴ったレパルの前に、ずらりと十二体の赤顔大王が並び立つ。そのいずれもが身体の一部から鮮血を垂れ流しているのに気付き、思わずレパルは毛を逆立てた。……この敵は、己の全てを代償にすることすら、勝つ為であれば厭わない。
 一瞬の間をおいて振り下ろされた鎚を横っ飛びにかわし、もう一跳びして分身大王の一体に蹴りを叩き込む。いかにも小さな足から放たれたその一撃は、けれど膨大な気と魔力の爆発をインパクトの瞬間に引き起こし、巨大な王の身体を後方へと吹き飛ばす!
「どう、あたしのマジカル気合拳は?」
「████――」
「……なんて答えてるのか、あたしには分からないけど。でも、まだまだここからよ!」 呼吸を整え、踏み出し、気を乗せた拳を繰り出せば、竜の叫びとも聞き紛う轟音が空気を震わせる。小柄な体に似つかわしくないほどの怪力から放たれた超高速の正拳突きは、それ自体が衝撃波を引き起こし、見た目以上の打撃をオブリビオンへと叩き込む。
 負けない、絶対に。ヒーローとしての矜持を胸に、一撃一撃が恐るべき重さをもって振り下ろされる敵の攻撃を掻い潜り、或いは飛び越えながら、隙を見て拳と蹴りを叩き込んでは飛び退る。踊るようなレパルの戦いぶりに、本体と思しき赤顔大王が何かを振り払うように大きく首を横に振るのが見えた。
 くるりと空中で後ろに一回転して着地し、その一足で再び前へ。魔法猟兵は止まらない。止まるとすれば、それは悪いオブリビオンを打ち倒し、人々の笑顔を取り戻した時だ。
 そうして少女の繰り出した拳が、狂える勇王の分身を真正面から貫いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティモシー・レンツ(サポート)
基本は『ポンコツ占い師』または『本体を偽るヤドリガミ』です。
カミヤドリも魔法のカードも、「Lv依存の枚数」でしか出ません。(基本的に数え間違えて、実際より少なく宣言します)
戦闘についてはそれなりですが、戦闘以外は若干ポンコツ風味です。(本体はLv組で出せない、UCの枚数宣言や集団戦は数え間違える、UCを使わない占いは言わずもがな)

ヤドリガミの「本体が無事なら再生する」特性を忘れて、なるべく負傷を避けつつ戦います。
オブリビオンに止めを刺すためであれば、猟兵としての責任感が勝り、相討ち覚悟で突撃します。
でも負傷やフレンドファイヤ、代償は避けたいお年頃。



「これはまた、正面からやり合うと僕にはきつそうな……」
 掌の上で輝く水晶玉を撫でながら、ティモシー・レンツ(ヤドリガミのポンコツ占い師・f15854)は立ちはだかる赤顔大王の威容に対する素直な感想を口にする。無論ティモシーとて猟兵として最前線で戦い抜ける程度の実力は備えているわけだが、彼自身はどちらかと言えばなるべく痛い目に遭わずにことを済ませたい性質の主であり、こんな見るからにパワータイプの敵と正面切って殴り合うのはできれば遠慮したいところなのだ。
 ……実のところティモシーはヤドリガミなので、本体である器物さえ無事ならどれほど手酷く肉体を傷つけられようとも別段生命に危機が及ぶわけではない。わけではないが、それはそれとして痛いものは痛い。責任感がない訳ではないので、いざという時『そうすべき』と判断すれば彼とて突撃を選ぶこともあるが、少なくとも今この状況でわざわざ無謀に突っ込むものではないとティモシーの理性は告げていた。
「という訳なので、えっと……なるべく平和的解決を目指したいことろです?」
「████ッ!」
「うわっ」
 こちらの頭を鷲掴みにしようと振り下ろされた巨大な赤い掌をすんでのところで避け、ティモシーは取り落としかけた水晶玉をしっかりと抱え込む。あのパワーで頭を掴み上げられるなど冗談ではない。どこまでぶん投げられるか分かったものではないし、最悪頭を握り潰される可能性すらある。繰り返すが、いくらヤドリガミのかりそめの肉体でも痛いものはめちゃくちゃ痛いのだ。
「しょうがないなぁ、今日の占いは……えと」
 水晶玉を覗き込み、さもその中に何かを見通すかのように目を細めれば、狂王はどこか訝るような目でこちらを見下ろしてくる。視線を感じながら、鋭いな、とティモシーは胸の内だけで独りごちた。
(「適当言ってなんやかんやでいい感じにしようとしてるの、バレてるかなー。バレてないかなー……ま、どっちでもいいんですけどね」)
 何故ならその『適当な占い結果』こそが、彼のユーベルコードを発動させる鍵なのだから。いかにも重大な何かが見えたという体でかっと目を見開き、そうしてティモシーはあくまで適当な占いの内容をおごそかに口にする。
「大王さんの運勢は……あ」
「████?????」
 ……その後ティモシーが何を言ったかはさておき、ユーベルコードの効果は覿面だったらしい。なんやかんやで足元をすくわれ、肩に泥を付けた赤顔大王の怒りの咆哮が、戦場に激しく太く響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナイツ・ディン(サポート)
「ディロ、行くぞ!」
『竜たる我が力を見るがいい!』

ナイツは「」、一人称俺、冷静でありつつ好奇心旺盛
ディロ(竜槍/紅竜)は『』、一人称我、不遜な暴れん坊
ローア(竜槍/蒼竜)も『』、一人称私、丁寧な保護者

小柄な妖精種を生かして飛びながら(空中戦)ヒットアンドアウェイ、回避(見切り、第六感、盾受け、武器受け)してから弱点(鎧無視攻撃)を竜槍で突いたり薙ぎ払ったりカウンターが基本。場合によっては弓の援護射撃も有り。

UCは適宜使っていくぞ。
「暴れ倒してやるぞ、ディロ!」

援護よりも押せ押せ、アタッカー気質。変身系UCを使った場合は激痛耐性、火炎耐性、、氷結耐性でゴリ押すことも多い。



「残念だな。願わくば、こうなる前のお前とやり合ってみたかったもんだ」
 針にも似た鋭い剣をひゅんと鳴らして、ナイツ・ディン(竜呼びの針・f00509)は赤顔大王に呼びかける。当然、意味の分かるいらえはないが、それでも野太い彷徨は彼の在りし日の武勇を連想させるに十分だった。その剛力を警戒するかのように、ナイツの連れた二体の相棒が槍から小さな竜へと変じて彼に囁く。
『油断はしないで、ナイツ』
『しかし面白い! 相手にとって不足なしとはこのことか』
 常と変わらぬ二体の調子に、そうともとナイツも微笑み、頷く。けれど瞬きの後には気も表情も引き締めて、透き通る翅で彼は宙高く舞い上がって。
「当てられるものなら当ててみろ!」
 フェアリーの小柄な体躯で縦横無尽に飛び回るナイツは、大王にとっては間違いなく与しにくい相手の一種だろう。何せまず的が小さい上に、相手がいるのは空中だ。引き付けられてはかわされ、その隙に竜の牙と針の剣が幾度も幾度も襲い掛かれば、いかな赤顔大王とて少しずつ、けれど確実にその生命力を削られていくというものだ。苛立ったように天へ吼える赤顔大王の二の腕に血管の筋が浮かび上がるのを見て取り、ナイツは羽ばたく翅に一層力を籠めた。
「見え見えだ!」
 振るい抜かれた鎚を軽々と飛び越え、行け、と竜達に呼びかければ、賢い相棒達はそれだけで見事にナイツの狙いに応えてみせた。赤顔大王の肩に深々と食らいつき、腕の動きを封じ込め、今だとばかりに竜達は唸る。
「よし――」
 恐れることはない。元より道なき道を往く旅人が、今更目の前のオブリビオンに臆する筈もない。たとえ自身がこの狂王に深手を負わされ、動けなくなったとしても、そうなればディロとローアが誓いに報いてくれるだろう。だからこそ、例え大王の腕が自由なままだったとしても、ナイツは真っ直ぐに飛んでいただろう。
 いつからか、彼の背後からは風が吹いていた。追い風に乗り、加速の勢いを全て乗せるようにして、そのままナイツは滑らせるように妖精の剣を前へ繰り出す。
 眼球の片方を突かれた狂王の絶叫が、戦場にこだました。のけぞり、今だ食らいついたままの竜達を振り払って、赤顔大王は憤怒の形相で足を踏み鳴らす。――どうやら随分と、彼の矜持を傷つけることにも成功したらしい。怒り狂って武器を振り回す大王から素早く距離を取りつつ、ナイツは彼に聞こえることのないよう呟いた。
「いいぞ。そのままもう少し、冷静さはどこかにやっておいてくれ……」

成功 🔵​🔵​🔴​

シフィル・エルドラド(サポート)
 ハイカラさんの勇者×国民的スタアの女の子です。
 普段の口調:明るい(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)
 嬉しい時の口調:ハイテンション(あたし、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

元気一杯で天真爛漫な性格をしていて、ポジティブな思考の持ち主。
困っている人や危機に陥っている人は放ってはおけず
積極的に助ける主義です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「世界全部が欲しいなんて、まるでどこかの魔王みたいな野望ね」
 そう相手を評するシフィル・エルドラド(ハイカラさんの勇者・f32945)は、ある意味でそんな野望を抱いた狂王に相対すべくしてここに来た猟兵なのかも知れない。
 何故なら彼女は悪を討ち、人々の笑顔を守る勇者だ。赤顔大王の望んだ覇道を魔王のそれに例えるならば、まさしく彼を討つべき存在だろう。
 何にせよ、彼を倒せばこの狂おしい侵攻も終わる。恐るべき蹂躙に怯える人々を一刻も早く救うべく、そうして黄金色の勇者は聖なる剣を鞘から引き抜いた。
「████!」
「っと、そんな攻撃、簡単には食わらないんだから――ね!」
 振り下ろされる鎚をひらりとかわし、次の瞬間シフィルは鼻腔に流れ込む嫌な臭いに顔をしかめる。咄嗟に片手で口と鼻を覆い、先ほど大王の武器がめり込んだ地面の方に目をやれば、ひび割れた大地からは毒々しい赤色の水が湧き出し、異様な瘴気を放っていた。
(「毒――!」)
 この地一帯にそのような危険な水脈が走っているとは聞いていない。恐らくこれは、赤顔大王のユーベルコードが作り出す猛毒の地形なのだろう。しかし地面を叩き割られるたびにこの毒池が増えていくというのは、あまりにこちらに不利というものだ。
「だったら!」
 両手の武器で次々に大王が繰り出してくる打撃を、シフィルは手にした剣の腹で受け流し、或いは上方へと弾き返して、致命傷を避けつつ大地にもその先端を触れさせることのないよう立ち回る。互いの得物がぶつかるたびに掌から腕へと重い痺れが走るが、勇者として泣き言を言ってはいられない。それにむしろ、この膂力から繰り出される暴力が力なき人々に向かうことの方が、シフィルにとってはよほど恐ろしい。痛みを握り潰すように剣の柄を強く強く握り直し、勇者は鬨の声と共に戦場を駆け上がる。
「――はぁっ!」
「……████」
 常人の言葉に直すなら、甘い、とでも訳すべきだろうか。確かにシフィルの剣は、赤顔大王の腕を浅く掠めたに過ぎない。だがそのごく浅い傷口が、不意に暁光にも似た光を放った。
「!?」
「知らないと思うから、教えてあげる。私の剣からは、逃れられないよ!」
 光が膨れ、弾け、ひとつの印となって王の腕に刻み込まれる。膂力では決して剥がしようのないその輝きに呼ばれたように、どこからか無数の剣が空中を舞い踊りながら現れ、大王へと殺到した。

成功 🔵​🔵​🔴​

レオナール・ルフトゥ(サポート)
 誰かの面倒を気づいたら見ているような、
 近所のお兄さん、もしくは保護者的ポジションです。
 荷物番から料理まで頼まれれば意外になんでもやります。
 料理に関しては頼まれなくても率先してやります。

 基本的に穏やかな性格をしていますが、甘いわけではありません。
 可愛い子には旅をさせよ精神。

 全体を見るようにし、必要な場所へ行きます。
 無駄な争いは厭いますが、納得できるものであれば容赦はしません

 他おまかせします。



「参ったな。無駄な争いは好きじゃないんだけどね」
 まるで嘯くような調子でレオナール・ルフトゥ(ドラゴニアンの竜騎士・f08923)はそう言うが、実のところそれこそが彼がこの戦場に現れた理由と言えるだろう。
 無駄な争いは好きではない。だからこそ、オブリビオンの虚しい侵略によって罪もない人々の平和な日常が壊されるのは許せない。それ故に、温和な騎士は竜の槍を手にひとつの油断もなく狂王の前に立っている。
「████!!!」
「夢半ばで斃れざるを得なかったのは悔しいだろう。それとも、何だかんだ君に付いてきてくれた臣下達にも、もしかすると何か言いたいことがあったのかな」
「████――」
「……そうかい」
 会話は成り立たないと知りつつ、それでもレオナールは目の前の涸れに対して言葉を重ねる。狂おしい程の野望の炎を胸に灯し、暴力によって諸地方を制圧し、けれど意外にも臣下や民からはただの一度も反逆行為を出さなかったかつての勇王。彼は己が諸国を統一するという夢の先に、一体どんな夢を、未来を見ていたのだろうか。
「……でも、どちらにせよ今の君はそうじゃない」
 最早その瞳に映るのは未来への展望ではなく、復讐のみといったところか。最期の瞬間に恨みと憎しみを抱いて逝ったからというだけではない。オブリビオン化は、たとえどんな高潔な武人であったとしても、蘇ったその人を決定的に歪ませる。
 だからこそ、この王はここでもう一度討ち果たされねばならない。振るわれる敵の得物を槍の柄で防ぎながら、慎重に慎重にレオナールは間合いを図る。まだだ。己と同じ背格好の相手ならともかく、目の前の巨大な王が相手では、あと数歩分が足りていない。
 振り回される重い一撃を掻い潜れるチャンスは多くない。粘り強くその瞬間を待ち続け――遂に、レオナールの瞳が鮮やかな緑色に煌いた。
「ッ、そこ――!」
 前のめりに繰り出した槍の穂先を、大王の鎚が打ち払う。がら空きになったレオナールの胴体目掛けてもうひとつの武器が振り上げられるが、それよりもレオナールが咄嗟に横へ流れた槍の柄を持ち帰る方が早かった。
 両の手の位置を入れ替え、穂先を後ろに、石突を前に。そのままもう一歩踏み出すとともに突き出された槍の石突が、大王の胴に確かに命中した。
 そしてその一打に呼ばれたように、ドラゴンの鳴き声が空に響く。広げた翼で宙を駆け抜けた召喚ドラゴンの吐き出す炎の吐息が、瞬間赤顔大王を飲み込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

スフィア・レディアード(サポート)
『皆さん、頑張りましょう!』
 ミレナリィドールの妖剣士×鎧装騎兵、21歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(私、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は元気で、楽しい祭りとかが好きな少女。
武器は剣と銃をメインに使う。
霊感が強く、霊を操って戦う事も出来る(ユーベルコード)
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 既に身体部位の幾つかを召喚の代償に支払い、片目を潰され、その上竜の炎で全身を焼けただれさせた赤顔大王は、それでも凄まじい形相で戦場に立っていた。そうなってなおも退くことなく堂々と立ち続ける姿に、スフィア・レディアード(魔封騎士・f15947)は感嘆混じりの息をつく。
「流石、そこは最後まで臣下がみんな付いて来ただけの王様だったってことかな」
 大王は答えない。ただただ怒りに満ちた形相で、彼はずんと一歩スフィアの方に踏み出してきた。それを宣戦布告と捉え、スフィアは退魔と畏怖、二振りの剣をすらりと抜き放つ。
「いいよ、ここは私が相手! 全力で行くから、覚悟してよね!」
「████――!!!」
 咆哮と共に、泡混じりの血が大王の口から吐き飛ばされる。それほどまでに傷を負ってなお、彼は戦場で力を振るおうというのだ。まるで、それだけが彼に望める道だとでも言うかのように。
 足元が砕けるたびに、噴き上がる血のような色の毒が肌を焦がし、溶かす。けれど痛みで足を止める訳にはいかない。戦いに赴く猟兵としても、大王に相対するひとりとしてもだ。時に毒池を飛び越え、時にかわしながら、スフィアは大王に肉薄するべく一心に走る。
(「見えてきた――!」)
 或いはそれは、剣士としての第六感によるものだろうか。断ち斬るべき一筋の線が、だんだんと確かに分かってくる。けれど、相手もスフィアがどこを狙おうとしているのかに気付いたのだろう。大王は一層苛烈に両手の武器を振り回し、決して彼女を近付けまいと周囲に幾つもの毒池を作り出していく。
「……ならっ!」
 鎚が振り下ろされる瞬間を狙いすまして、スフィアは跳んだ。そのまま彼女が踵を下ろしたのは、赤顔大王の振り下ろした得物の上。大王が動くよりも早くその巨大な拳の上を、長く太い腕の上を駆け上がり、高く高く跳躍して、スフィアは双刀を振りかざす。
「やぁっ――!」
 陽光に、刃が煌く。一拍を置いて、大王の首が胴を離れ、自ら作り出した血色の池へと転がり落ちる。
 かくしてここに狂える過去の王は討たれ、会戦は終わりを告げたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年10月12日


挿絵イラスト