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鈴の音が聞こえるか? 錦帆賊、跋扈す!

#封神武侠界 #魂縛武将

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#魂縛武将


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●鈴の甘寧
 悲鳴。絶叫。怒号。
 それから、破砕音。炎の爆ぜる音。
 さらに、刃が肉を斬り裂く音。血が地面に飛び散る、水音に近いが断じて水音ほど軽くない音。命が落ちる音。
 そして。
「殺せ! 奪え!」
「錦帆賊のお通りだ! ははははは!」
 何の皮肉だろうか。
 無慈悲な雑音が積み重なる惨状の中にあって、なお人間らしく整頓された意味のある言葉を発する者たちは、人であって人でない、人の形をした鬼畜どもだった。
 さらに、そして。
 そんな酸鼻極まる狂騒に、どういうわけかかき消されることなく。
 ――ぢり。ぢりりん。ぢりりり。
 か細いとさえいえる鈴の音が、その場に居合わせた誰の耳にも届いていた。

●賊群討伐令
 甘寧。字は興覇。
 三国時代、呉に仕えた名将。死をも恐れぬ勇猛さを発揮する一方、大胆かつ的確な計略を駆使する知力も持ち合わせており、主君孫権から絶賛されたという。
 その一方で、気性は粗暴だったとされる。若い時分は無頼漢で、同類の若者らと徒党を組んで賊まがいの行為をしていたとか。
 と、まあ。
「あたしが知ってるのは、UDCアースの歴史の中で語られる甘寧だけだから、封神武侠界では多少違うところもあると思うが……」
 そう語る大宝寺・朱毘(スウィートロッカー・f02172)の表情は、どぶ水のように暗い。
「オブリビオンとして甦った時点で、まあ元の性質がどうとかは関係ないわな。少なくともあたしが見た甘寧は、武将としての最低限の分別さえない、殺戮の化身だった」
 三国志を彩る著名な武将たちは、その強すぎる力ゆえに未だに完全な復活ができないでいる。しかし、オブリビオン化した魂が他のやや弱めなオブリビオンの肉体を乗っ取るという事例が散見されるようになった。
 そのような武将を『魂縛武将』という。
 今回、魂縛武将となった甘寧は錦帆賊と称する賊の頭目となり、長江下流の地域を荒らし回っているという。
「賊の構成は、まず甘寧の直下にオブリビオンの集団。さらにその下に、ただの人間の荒くれ連中。構成はそこまで複雑じゃないが、人数が多い。人数が多いから気も大きくなっているのか……狂暴さも増している」
 ぎりっと奥歯を噛みしめつつ、朱毘は言った。その狂暴なる凶刃によって失われた生命は、決して少なくない。
「強さについては、人間の賊どもははっきり言って雑魚だ。集団オブリビオンもたかが知れてる。問題があるとすりゃ、甘寧だ」
 甘寧が憑依したのは、戟と闘気の扱いに長けた武人型のオブリビオンである。
 魂縛武将となった甘寧はその武技を十全に引き出すのはもちろんのこと、さらに『聞く者を萎縮させる鈴の音を出す』という特性も持っている。一種の超常現象であるその音は、恐らくは、単純に耳をふさいぐだけでは防げまい。ユーベルコードなり何なりで対策できるなら、やっておくに越したことはない、と朱毘は語る。
「戦場になるのは、奴らが根城にしている港っつーか、小規模な要塞だ。どれだけ派手に暴れようが、いわゆる無辜の民に被害が及ぶことはない。さっきも言った通り、賊の中には非オブリビオンの人間も多く含まれてはいるけど……」
 親指でピッと喉を切る仕草をしつつ、言葉を続ける。
「かつて道を踏み外すなりの理由はあったのかもしれんけど、殺戮を繰り返してきた連中には今や同情の余地はない。気遣わず戦ってくれていい。まあ、あくまでふん縛って官憲に渡すのが筋だってんなら、そうしてもいいけどな」


大神登良
 オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。大神登良(おおかみとら)です。

 魂縛武将として復活した『甘寧』及び彼の率いる錦帆賊の殲滅が目標となります。
 戦場は、大河の岸壁にある、港を兼ねた砦です。櫓やら何やらの防衛設備があるにはありますが、猟兵にとって脅威になるレベルのとんでもない施設はありません。

 第一章は、人間の錦帆賊との戦いです。吹けば飛ぶと思って下さい。
 第二章は、集団オブリビオンとの戦いです。特別な能力やギミックはありません。
 第三章は、甘寧の魂に乗っ取られ、魂縛武将となったボスオブリビオンとの戦いです。
 オープニングで触れられていますが、ステータスにあるユーベルコードの他に、『聞く者を萎縮させる鈴の音を出す』という技を常時使ってきます。これに対して何らかの対策を盛り込んだプレイングには、ボーナスが付きます。

 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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第1章 冒険 『都市郊外での戦い』

POW   :    力で攻める

SPD   :    速さで攻める

WIZ   :    知恵で攻める

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●凶鬼たちの巣
 どこでどうやって調達したのやら強力な戦船を有し、悠々と大河を移動して周辺地域を荒らし回る。ゆえに『錦帆賊』の名を冠する。
 その根城は、岸壁と河とに挟まれた地点に不意討ちのように建造された、港を兼ねた要塞である。
 櫓に立つ賊の一人は、手持ち無沙汰にあくびを噛み殺しつつ、ぼんやりと峻険な岩肌の続く河岸に目をやった。
「見張りに意味なんかあるのかね? 甘寧親分と錦帆賊に楯突こうなんて奴、今となっちゃこの辺にはいやしないのに」
 独りごちる。
 だが、そう思いはしても勝手に持ち場を離れて昼寝でも、という真似などできない。甘寧なり幹部なりに見つかれば、即座に殺されてもおかしくないからだ。
 ただ、圧倒的な強さで複数の山賊、江賊を纏め上げて一大勢力を築いた甘寧に付き従ってさえいれば、美味しい目はいくらでも見れる。
 そう考えれば、見張りに立ちつつも何の緊張感もなく過ごせている現状も、悪くない。
 次の『仕事』はいつになるだろう。そんなことに思いをはせながら、賊は口角を上げた。
荒珠・檬果
甘寧と聞きまして!!!私が来た!!!
…そろそろ呉のメンバー増やすかなぁ…。

ってか、錦帆賊ですか。ほぼそのままですね…。
それでまあ、罪人ですか…んーむ。よし、カモン【バトルキャラクターズ】!今回は武道の達人たち。
積極的に攻撃して、息があるならば捕縛して引き渡す。なければそのままですね、はい。
骨折れても構わんでしょ。

ああ、私は赤兎馬に乗ってますし。簡単には狙われませんよ。
七色竜珠で衝撃波出してますしね!

赤兎『やるぞ!』

まー、その。うちで呼び出せる誰かさんが怒ってる気もしつつ。このまま行きますよ!


夜刀神・鏡介
悪人だとしても、出来るだけオブリビオン以外の人は殺したくないんだよな
結末が変わらないとしても、それを決めるのはこの世界の人であるべきというか
まあ、それが逃げだと言われたら、正直否定はできないが……
ともかく、オブリビオンが関わっている以上、必要な事はきちんとやるさ

さて、それじゃあ砦攻めといこう
賊達は吹けば飛ぶと言われても数が多いのは単純に面倒だしな
神刀を抜いて精神を統一。合の型【澄心】を発動
神気を纏う事で、視聴嗅覚での感知を回避したなら、後は堂々と進んで片っ端から殴り倒していこう

少しばかり卑怯な気もするが、乱戦になると手加減も難しくなるからな
可能な限り殺したくない俺としては、この方が良いだろう



●陰陽の攻勢
 荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)と夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は、岸壁の上の陰になる位置に身を潜めていた。そこからだと、賊がこもるという要塞は見下ろす格好になる。
「錦帆賊ですか。ほぼそのままですね……」
 萌葱色のクチバシに橙色の指を当てながら、檬果がつぶやく。
 ゲーム等を通じて、あるいはその他様々な事情によって三国志に明るい檬果は、孫呉屈指の将である甘寧に関する知識も持つ。ゆえに、錦帆賊という単語についても覚えがあった。三国志演義において、若き甘寧が頭領を務めた江賊の呼称である。たまたま同名の賊軍があって乗っ取ったなどということは考えにくいので、恐らくは甘寧が自らそれと名付けたのだろう。
「構成しているのは悪人ばかり、という話だったけど」
 思案げな表情で言いつつ、鏡介は岩陰から顔半分だけ出して櫓を見やった。
 視線の先では、あからさまにやる気のなさそうな男が、長弓の調子を見るようにピンピンと弾いたりしている――一見してすぐに、意味がないとわかる仕草であったが。
「個人的には、可能な限りオブリビオン以外の人間は殺したくないんだよね。仮に行き着く先は処刑台で、結果は一緒になるのだとしても……そういった決定を下すのは、この世界の人であるべきというか」
「ああ。まあ、わかりますよ」
 檬果はうなずいた。檬果自身、強いて不殺にこだわろうというつもりはなかったが、積極的に賊の命を奪うつもりも、またなかった。
「私は【バトルキャラクターズ】で武道の達人たちを召喚するつもりです。主に、戦闘不能にして捕縛するという方向になると思います」
「なるほど。では、注意を引く役をお任せしていいかな? 俺は少し密やかな手を使うつもりだから」
「ええ、構いませんよ」
 檬果が言うと、鏡介はスゥ、と半眼になって調息した。
 途端、鏡介の気配が極端に薄らぐ。【合の型【澄心】(ゴウノカタ・チョウシン)】によって鏡介に纏わり付いた神気は、雑に称するなら、気配の迷彩服のようなものである。例えば、カメレオンは体表の色を環境に溶け込むような色に変化させて敵の目を欺くが、それの色でなく気配版とでもいおうか。気配を消すのとは違い、環境と同化させることで、目に見えているはずなのに認識できないという現象を引き起こす。
「では、やりましょうか」
「ああ」

「……何だ?」
 櫓にて見張りに立っていた賊が、怪訝げに目を凝らす。
 正直なところ己の気が緩んでいた自覚はあるものの、それにしてもどこから出現したともわからなすぎる人影が四つ、要塞の門を目がけて歩いてくる。
「お、おい、そこのお前ら! 止まれ!」
 そのあまりの無造作ぶりに面くらいつつも、怒鳴りつけた。ここが名にし負う錦帆賊の根城だとは知らなくとも、剣呑な場所であろうことはどんな馬鹿でも見ればわかるはずだ。
 それだというのに、奇妙な四人組はまるで意に介した様子もなく、すたすたと歩を進める。
「なん……ふざけるなよお前ら!?」
 長弓に矢をつがえる。
 が、それより早く。
 四人の内の一人、チャイナドレスを纏った小柄な女が、ぽん、と軽く跳躍する。同時に、彼女の足裏目がけて別の一人、上半身裸の筋骨隆々たる大男が拳を突き出す。
 刹那、大砲弾のごとき勢いで飛んだ女は瞬き半分の間に櫓の上に到達し、弓を構える暇すら与えられず目を丸くした賊の顔面に、膝蹴りを叩き込んだ。
 意識を消し飛ばされる寸前の賊は、その女の額に『10』という数字があったことに気付いたか、どうか。
 さておき、四人中の一人、棍を持った功夫服姿の青年は砦の門に至るや、手にした棍による刺突一閃、門を破壊し打ち破った。
 破壊された門の向こう、たまたま巡回でもしていたのか、賊の一人が唖然として闖入者の方を見る。
 が、彼が何をするより先に長袍姿の老人が恐ろしい速度で踏み込んで間合いを零にし、一瞬にして水月、喉仏、顎に拳の連打を浴びせる。
 刹那に冗談のように宙を舞った賊は、詰め所らしき建物に激突する。
「何だ!?」
「晋の兵か!?」
 派手な音が連続したことで異変を察したのだろう、色めき立った賊らが手斧やら剣やらを手にして詰め所から飛び出す。
 が、端から横合いから不可視の衝撃を喰らい、吹き飛ぶ。
 正確には不可視ではなく、目に見えているはずなのに認識できない、鏡介の拳撃だが。理想的に決まればオブリビオンの認識さえ欺く澄心は、粗雑な技量しか持たぬ賊の目では、何をどう引っ繰り返そうが捉えられない。
「な――」
 わけもわからず仲間を打ち倒されて賊が狼狽するところ、鏡介は無音で首を絞め上げた。
 それから落ちるまで、ほんの二、三秒。命までは奪わぬタイミングで手を離す。
(責任逃れだとか言われたら、正直、否定できないが……)
 胸中でぼやきつつ、鏡介は賊を放り出す。
 現実に彼が思うような言葉を投げるような者があるかは知れないが、まあ、着実に敵戦力を減らしている彼が責められるいわれなどないのは、間違いない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒木・摩那
こういう賊の類はどこの世界でも同じですね。
奪い殺すしか能がない連中に対しては、こちらも容赦はしません。

今いるのはただの人間ですが、鈴の音はうるさいですね。
まだ敵が弱いうちに対策を考えておきましょう。

鈴の音は耳を塞いでも聞こえてくるということです。
ならば、鈴の音は魔術的なものか、物理的なものか迷うところではあります。

魔術については【呪詛耐性】で、物理的な音波のようなものに対しては、上空に滞空するのドローン『マリオネット』からの【ジャミング】を試してみます。

賊達はUC【偃月招雷】で威力を増した魔法剣『緋月絢爛』の【受け流し】と【なぎ払い】【衝撃波】で倒していきます。


御堂・伽藍
アドリブ、即席連携歓迎

りんりん りんりん
音にして音、道にして道

先制UC発動
属性:風、地、空
攻撃防御状態異常力に付与

残像忍び足でゆるゆると接敵

射程に入り次第念動怪力属性衝撃波UCにて回数に任せ範囲を薙ぎ払う
リーリエ・ガブリエルを打ち振り、音でマヒさせ捕縛し吹き飛ばす

敵の攻撃は躱せるか見切り
躱せるなら残像忍び足等で躱し
さもなくば念動怪力衝撃波オーラ防御武器受け等で受け流し

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

カウンター楽器演奏属性衝撃波にて陽動誘き寄せでお誘い釣り
音で音を武器受け受け流し

りんりん りんりん
りんごん りんごん
音を以て音を制す
武を以て武を制す

未だに序章…
つぎはなに?



●鈴の音
「襲撃だと?」
 ぼやくように言いつつ、男が二十メートルほど離れた壺に矢を投げ入れる。投壺という、この時代においては割とメジャーな遊戯である――人間業で行うには、少々距離が離れすぎてはいるが。
「俺たちが錦帆賊と知ってのことだとしたら、呆れた命知らずだな」
「で、ですが、その、そいつらとんでもない強さで……」
「ふむ」
 ひょう、と男が矢を投げると、それは吸い込まれるようにして十センチ弱の壺の口へと収まる。
「まあ、正式な訓練を積んだ晋の将兵なら、お前ら半端者に比べりゃあよっぽど強いだろうさ。そうでなかったとしたら、どこぞの武林の腕自慢ってところかもしれねえが」
「じゃあ、お頭が……」
「阿呆。大将が簡単に前に出てられるか」
 男はそう言って、懐から団子ほどの大きさの鈴を取り出した。
「この鈴を鳴らしながら戦え。鈴の甘寧ここにあり、ってな。この俺が出張ったと思わせるだけでも、そいつらを怯えさせるには充分だろうさ」

 りんりん、りんりん。
 りんごん、りんごん。
「……?」
 六連のハンドベルを振り鳴らしつつ、御堂・伽藍(がらんどう・f33020)は首を傾げた。
 賊の群れのどこからともなく、ひっきりなしに鈴の音が聞こえてくる。伽藍がリーリエ・ガブリエルを振るっているのは、それを打ち消すためだが。
「呪詛のない、物理的な音のようですが……」
 伽藍と背中合わせになった黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)が、困惑しているというか、拍子抜けしたような声でつぶやく。
「これはそもそも、ただの音みたいね」
「……ん」
 摩耶の言葉に、伽藍もうなずく。
 聞く者の心をおののかせる、甘寧の鈴の音。グリモアベースで説明を受けたそれと、今この戦場で聞けている音は、違う。ただの鈴を腰にでもぶら下げたただの賊が、群れの中に混じっているに過ぎないのだろう。
 つまり、わざわざかき消すまでもない。
 摩耶もまた、物理音であった場合のジャミング効果を持たせたドローン、オカルト的な何かであった場合の呪詛的防壁と、隙のない二重の策をもって臨んでいたものだから、伽藍と同様の肩すかし感を覚えていた。
「甘寧は奥に引っ込んだまま、顔さえ出してくれてないわけですか。こちらを甘く見ているのか、他に何か考えがあるのか……」
 摩耶は思案する――が、現時点で考えたところで答えが出るようなものでもない。そも、何であれ猟兵としてすることに変化はないからには、考えるだけ仕方ないともいえる。
 軽く首を振って雑念を払い、剣を構える。刀身にルーン文字が幻惑的に浮かび、緋色のサイキックエナジーが空間に生じたひび割れように奔る。
「……帯電完了」
 唱えるように摩耶が言うと、一際大きな【偃月招雷(エペ・ド・エクラ)】の赤光が巨大な剣を成す。
「ひ――!?」
 周囲の賊らが息を呑んだ次の刹那、赤き大剣が横薙ぎに振り抜かれた。
 剣を構えたり、盾に隠れるなり、賊らはめいめいに防御態勢を取ってはいる。が、それらの努力を嘲笑うかのように摩耶の一閃は武器、防具を斬り裂いた。
 さらに繰り返し振るわれる刃より発生する真紅の衝撃波に、賊らはなす術もなく吹き飛ばされ、蹴散らされる。奪い殺すしか能のない賊には、似合いの報いといえよう。
「……すごい」
 伽藍は感嘆した。味方が窮地に至れば積極的に盾にもなろう、と意気込んでいたものの、望外なまでに頼り甲斐に満ちあふれた摩耶の戦振りを見るに、心配の必要はなさげである。
 で、あれば、己も攻勢に全霊を注力できるというもの。
「きって、むすぶ。わけて、まぜる。時の刃が切り分けし渾沌の魔力、転輪せり」
 伽藍が唱えた途端、りんりんと鳴っていたリーリエ・ガブリエルの音色に圧倒的な威圧が宿る。
 【トリニティ・エンハンス十二刻(トリニティエンハンス・ジュウニコク)】によってそれに宿った魔力は、風、地、空。といって、賊にそれが何と理解する術などなかったろうが、ともかく空間を伝播する魔力の音波は一帯の賊らの動きを麻痺させた。
「な――!?」
「そ、ん……!」
 賊らは握った剣を振るうこともできずに絶望的な表情を浮かべるが、そうしていられたのもほんのわずかな間に過ぎない。
 なぜなら、次の瞬間には伽藍が生み出した衝撃波の大津波に呑まれ、意識から肉体から何から何まで、遙か彼方まで吹き飛ばされてしまったからだ。
 ずいぶんとすっきりとした周囲一帯を眺めやり、伽藍は軽く吐息を漏らした。
「未だに序章……つぎはなに?」
「さて、何でしょうね。まあ何であれ、吹き飛ばすまでですが」
 雷光の収まった剣を一振りし、摩耶は言った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

劉・涼鈴
ゲームとかマンガで見たことある武将だね!
武将より河賊としての面が強く出てるーとかかな?
まあいいや、まとめてぶっ飛ばす!

劉家の旗を地面にぶっ刺して、【大声】で【存在感】を示すぞ!
我こそは劉家拳が伝承者、劉・涼鈴!
錦帆賊! 死にたいヤツからかかってこい!

真正面から砦に突撃!
【怪力】で覇王方天戟をぶん回して有象無象を【なぎ払って】【蹂躙】!
戟は重たいけど破壊力抜群!(重量攻撃・鎧砕き)
賊如きに止められないぞ!
おらあああ!

ビビッて逃げ出そうとするのがいても見逃さない!
戟を地面に叩き付けて【グラウンドクラッシャー】!
足場が崩れて止まったところを叩っ斬る!
ついでに砦の壁も壊れたら侵入が楽になるかも!


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
※アドリブ絡み連携歓迎
※【ナインス・ライン】降機中

何気に初来訪の世界なんだよねえ
クロムと違って飛行制限はないけど、岸壁か…
※2章以降のキャバリア運用可否を偵察

…およ、見張り君と鉢合わせ?ハァイ♡
何者って、しがない闇医者のオンナさ
アタシを堪能したいなら力づくで来なよ
尤も…♪

「ハイ!お姉さまにはワタシが指一本触れさせません!!」

オペ33番【コールアリス・スピリットオーダー】
元・仙女の愛麗絲(アリス)を生体電脳で召喚
光刃がケダモノめいた増援をブチ抜くよ
※愛麗絲の外見はUC挿絵準拠

その宝貝は致命傷でなくとも『精神の間隙』を突く
ビビった見張り君はもうナマクラさね
ま、逃げても幹部にヤラれるのがオチだけど?



●揚威耀武
 どっ、と鈍い音を立てて、地面に旗が突き立つ。
 大きな旗地の中央には見事な刺繍で『劉』の一字が記されており、風をはらんでなびく様は威容と呼べる。
「我こそは劉家拳が伝承者、劉・涼鈴!」
 旗の大きさには不似合いなほど小柄な劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)は、その小柄な体躯に不似合いなほどの大音声で名乗りを上げる。
「錦帆賊! 死にたいヤツからかかってこい!」
 名乗られたところで、賊の中に劉家拳の何たるか、涼鈴の何者たるかを知っている者などいない。
 だが、旗を掲げて名乗りを上げ、戦いに臨むことの意味までわからぬということはない。血統か、信念か、所以が何であれ志を同じくする者が集う目印が旗である。旗を掲げることと志を掲げることは同じ。己の志を貫くために命を賭して戦うという表明に他ならない。
 小女が背負った真似をすると、嘲笑うこともできただろう。だが、誰もそうはしない。一つは、粗野な彼らでさえその行為の尊さを知っていたから。今一つには、曲がりなりにも死線を潜った経験のある彼らには、涼鈴の発する武威が伊達や酔狂でないことが感じ取れたからだ。
 剣や槍の切っ先を向けつつ、そのくせ腰が退けた賊らに、涼鈴は方天戟を構えつつ炎のような眼光を向けた。
「来ないならこっちから行くぞ! おらあああ!!」
 龍のごとき咆吼。
 同時に振り回された方天戟が竜巻めいた風圧を纏う。捻りのない真正面からの突進に、しかし賊らは、圧倒的な速度と威圧感ゆえに何の反応もできない。
 超重量の一撃が賊の密集する地面に炸裂する。途端に地面を蹂躙する金赤色の奔流を八方に散らし、爆圧もろともに賊たちを薙ぎ倒した。
「賊なんぞに止められる覇王方天戟じゃないぞ!」
 轟!
 再び涼鈴が突撃し、横殴りに振るわれた方天戟によって森々たる剣戟のことごとくがへし折られた。
「こ、こ、こ……!」
 鶏めいた悲鳴だか何だかわからないような声を上げつつ、弓を手にした賊の数名が涼鈴から距離を取るように駆ける。
 元は大して速くもなかろうのに加え、焦っている今は足ももつれ気味でなお遅い。それでも最初から離れていたのが幸いしてか、彼らが穀物倉らしき建造物に取り付いてよじ登り、屋根の上で弓を構えるまでの暇があった。
 高所の利を得た上で、弓矢による遠距離攻撃ならば。
 賞賛すべきだろう。隔絶した力量を持つ格上の敵を相手にした場合の戦法として、まず理に適ったものを選択したのだから。
 だが。
「およ、鉢合わせ? ハァイ」
「――!?」
 出し抜けに緊張感のない声を掛けられ、賊らは驚愕しつつ顔をそちらに向ける。
 そこにいたのは、白銀のサイドテールに白衣という出で立ちの、小柄な女――リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)だった。
 偶然か否か、賊らより先んじて穀物倉の屋根にあったのである。
 賊らは反射的に弓を投げ捨て、懐にあった短刀を抜き放つ。それもまた悪くない判断だ。近間に降って湧いた敵へ対応する武器として、正しい取捨選択をした。
 白刃のきらめきが迫るのを、しかし、リーゼロッテは余裕げな薄笑いで眺めた。
「しがない闇医者オンナに乱暴だね。けど――」
「お姉さまにはワタシが指一本触れさせません!」
 瞬き一つ。
 その間に出現したのか、それとも実は最初からいたのか。
 何であれもう一人、中華風のデザインのメイド服を纏った女が、リーゼロッテを抱きかかえるように鋭く腕を伸ばす。その両手に柳葉刀を握りしめつつ。
 賊の白刃の万倍剣呑にきらめく双刀は瞬時にして閃光の壁を描き、リーゼロッテに迫った凶刃を弾き返した。
 さらに一弾指、返す手で投げ放たれた柳葉刀が賊らの眉間に突き立った。
 賊らは途端に額をかち割られて鮮血をまき散ら――さない。
「仮想宝貝の光刃――致命傷にはならないよ。まあ、受けてしまえばナマクラにはなるけど」
 どっと膝を突く賊らにリーゼロッテが声を掛けるが、目から焦点を失った彼らにそれが聞こえている様子もない。
「よくやった、愛麗絲」
「ハイ、お姉さま!」
 リーゼロッテの労いに、愛麗絲と呼ばれた中華メイドは両目をハートにして応じた。
「雑魚は大体片付いたかな? あとは……」
 周囲に目を走らせる。
 リーゼロッテが高所にあったのは、味方の援護のためのみならず、地形を吟味するためでもある。
 岸壁と荒い砂利の浜がL字を描くような格好の地点、岸壁からやや隙間を空けつつ陰になるような位置取りで築かれた要塞が、ここだ。
(ナインス・ラインを動かすとして……)
 キャバリエ――体高五メートルの人型メカが駆けずり回るように設計されてはいないので、窮屈な戦場になるといえば、なる。ただ、特殊構造でもない木製建造物ばかりなので、気遣わず破壊しながら戦うと割り切るなら、大した障害にはなるまい。要塞は賊が勝手に建てた代物であって、無傷で保全する必要はないのだから、遠慮も無用。
(生身で戦うのとどっちが効率的かは、採用する戦法次第ってところか)
 脳裏で算盤を弾きつつ、リーゼロッテは次なる敵の湧き所を探した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『海乱鬼』

POW   :    宝貝「霧露乾坤網」
自身が装備する【霧露乾坤網】から【巨大な網状に変化させた水】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【溺水】【窒息】【ずぶ濡れ】【体温低下】の状態異常を与える。
SPD   :    メガリス『百川学海』
【コンキスタドールとの交易で手に入れた火器】で武装した【屈強な海賊】の幽霊をレベル×5体乗せた【水を自由に生み出す楼船型メガリス】を召喚する。
WIZ   :    奴隷船団
戦場に、自分や仲間が取得した🔴と同数の【奴隷仙人】【奴隷寵姫】【奴隷武侠】を召喚し、その【仙術】【篭絡術】【武術】【連携攻撃】によって敵全員の戦闘力を減らす。

イラスト:ひよこ三郎

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●背水の陣
「猟兵か」
「流石に猟兵が相手となると、お頭に出張ってもらわなきゃ……」
「ふぅん?」
 戟の石突で軽く床を叩き、男が目を細める。
「まあ、俺が別に構わんが……いいのか? 猟兵が相手となりゃ、流石の俺もほんの少しばかり本気を出さにゃならん。本気で暴れるってことは、お前らを巻き込まないように気を付けながらってわけにはいかないってことだ」
 その台詞に、居並んだ面々の顔のことごとくから、さぁっと血の気が引く。
 それは、あるいは脅迫のつもりではなく、ごく単純に事実を告げただけなのかもしれない。だが、どちらにせよ起こることは同じだ。
「は、はははっ。猟兵が来たからどうだってんだ。なぁ皆!」
「そうとも。俺たちだけで充分だ!」
「ん、そうか?」
 男はゆるりと深く椅子に座り直し、細めていた目を完全に閉じてしまう。
「じゃあ、さっさと片付けてこい。安心しろ、もしお前らが皆殺しにされたなら、仇は取ってやるから」
荒珠・檬果
さて、あれらはオブリビオンでしたよね。
ならば遠慮なく七色竜珠を全部合成、白日珠[ビーム書簡形態]にしまして。

高速詠唱からの先制攻撃で指定UC発動しますね!行きますよ、賈詡殿。呼ぶの緊張しますが。
さてね、まあ見えないでしょ?声で位置はわかりましょうが、黙るとわからない。
ふふふ、あなた方のUCは発動させませんよ。

で、攻撃は白日珠で、範囲攻撃ビームでやっていきますね。
赤兎馬が轢いていったりもします。やる気満々ですから。
ここ、とっとと片付けましょう。目的はこの先ですから。

防御は結界でやっておきます。たぶん、さっきのビームから位置を割り出されそうな気もしますし。

なお、『戒慎将』とは私がつけました。



●五里霧中
 見た目、年の頃七十前後の老人――ただし、長衣に包まれた体は背も腰もピンと伸び、かくしゃくたる様を見せている――に、いかにも値踏みしているといった風情の怜悧な視線を浴びせられ、荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は背筋に汗を流した。
 賈詡。初め董卓に仕え、諸々の遍歴を経てから最終的に曹魏の重臣となった政治家であり、軍師。その知謀の冴えたるや当代一と推す者もあり、彼が勝つと言った戦は勝ち、負けると言った戦は負けた。また己が旧董卓軍の残党出身であるという経歴上、常に警戒される立場でもあった。ゆえに日頃の言行には十二分な配慮をし、また子息らにもそれを常々言い含めていたという逸話もある。
 妙に長く感じる数秒の間の後、賈詡は吐息を一つ漏らし、消える。
 同時、周囲を白霧が包んだ。鼻を摘ままれてもわからないほどの、視界を奪う濃い霧である。
 檬果はほっとした。
 檬果が勝手に戒慎将と名付けた彼は、場合によっては合力してくれない。合力に値するか否かを分ける肝が何なのかは判然としないが、『設定』を思えば、賈詡の力を使っても戦いに勝てない、あるいは効果が薄い場合に拒絶するのではないかとも思われるが。
 今回はかの謀略家の眼鏡に適ったようだ。
「ちきしょう、どこだ!?」
「宝貝もメガリスも反応しねえぞ! どうなってる!?」
 濃霧に包まれた戦場で、海乱鬼たちの混乱する声が響く。
(よしよし)
 目論見通りの状況に、檬果は声には出さず胸中でのみ快哉を叫ぶ。
 その手に持つのは、細く割った竹を横に紐で結び合わせた、いわゆる竹簡。古代の書類だが、何か読み上げるためのものではない。檬果はそれを筒状に丸めて持つと、海乱鬼の騒ぐ声の密集しているらしい方にその筒の先を向ける。
 そして次の瞬間、ぼがっ! と火薬が炸裂するような音とともに、筒先から白銀色の光線が射出された。
 霧を貫く猛熱はそのまま海乱鬼の集団に突き刺さり、焼き払う。
 先刻とは異なり、ただの人間ではなくオブリビオンが相手。となれば、遠慮会釈の必要はない。
「おい、あっちから何か飛んできたぞ!」
「だったら今度はこっちの――」
 海乱鬼が喚く最中、まるで別の方向から突進してきた赤兎馬が勢いよく蹴りを入れ、また疾風のように去って行く。
 視界の利かぬ中、海乱鬼はいいように翻弄され、打開策を見出せずにいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
賊とはいえ人間を盾にした上で、更に奴隷を呼び出すとは
なんとも見下げ果てたというか……
まあ、オブリビオンが相手なら、この刀を振るう事に躊躇いはないが

神刀を抜いたまま、封の型【夕霧】を発動。召喚された奴隷たちを一時的に無力化して賊どもに接近
距離を詰めたら制限時間と味方の動きを考慮して【夕霧】を解除

奴隷達が行う攻撃が賊を巻き込む可能性を考えれば、下手な攻撃はやりづらい筈
絶対に安全とは言い切れないが、ある程度は前に集中できるし、雑兵が幾ら纏めてかかってきた所で負けはしない

近くの相手には神刀を薙ぎ払うように振るって纏めて切りつけ、遠くの相手には斬撃波で攻撃
まだ動くなら切り込んで追撃して止めを刺していく


黒木・摩那
また性懲りもなく数が出てきました。
今度の賊は先程と違って、少しは腕が立つようです。

ですが、それも程度の問題。
ボスの甘寧が出てこない限りは進撃は止まりませんよ。

魔法剣【緋月絢爛】で戦います。
相手の懐に【ダッシュ】で滑り込んで、急所を剣の柄で一撃して【気絶攻撃】。
気絶した【敵を盾にする】します。

敵を盾にしながら、【受け流し】や【第六感】による回避を駆使して、時間を使います。そして敵を呼び寄せたところで、UC【風舞雷花】を発動。敵をまとめて一網打尽にします。


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】
※アドリブ絡み連携歓迎

愛麗絲、下っ端共の官憲引渡を頼むね
『錦帆賊』壊滅の生き証人だしさ
「ハイ!お姉さま、頑張って下さい♡」

【ナインス・ライン】に搭乗、ホバーで大河側から突入
船の足止め後【サトゥルヌス】で『海賊の幽霊』無力化
同時に【マトリクス・メモリ】で『夜闇の発生源』展開
砦一帯を暗闇に包むよ…ふふっ、驚いたかな?

そしたらオペ86番【ストーム・アーティラリー】開始
【ディヴィエイト・アームズ】内の『多連装焼夷グレネード砲』と
【シリウス・マイン】で船や砦ごと賊を焼き払いつつL字の奥へ進軍
【ドゥームズ・レイ】と両主腕の銃器で足元もカバー

スジの通らないワルは遠慮なく潰すっ
ま、精々後悔しときな♪



●錦の帆は破れ
「奴隷どもを使え!」
「船だ! 連れてこい!」
 海乱鬼の集団が叫び、河岸に走る。そこは船着き場の構造になっているが、錦帆賊の呼び名の元となった戦船が停泊していた。
 その船の中から、どやどやと別の海乱鬼が出てくる。そのかたわらには、漆黒の鎖を幾重にも巻かれた者ら何人かの姿がある。
 奇妙なのは、その鎖は縦横に念入りに巻かれているようであるのに、手足の動きが阻害されるようには縛られていないということ。ただ、それでも死んだ魚のような目をしつつ海乱鬼にされるがままになっていることから見て、何かしら呪いが施されているのだろう。
「おら、死にたくなかったら戦え!」
 海乱鬼にせっつかれ、のろのろと戦闘態勢を取る。
 それら仙人や寵姫、武侠たちを――正しくは、彼らを引っ立てる海乱鬼たちを見て。
「……どこまでも見下げ果てた連中だな」
 夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は唾棄するようにつぶやいた。
 オブリビオンを討つにあたっては、白刃を振るうのに躊躇はない。が、本意でなくしてオブリビオンに利用される人々を斬って捨てる気はない。それはまあ、鏡介に限らず、多くの猟兵について当てはまる事柄だろうが。
 ただ、それこそが海乱鬼らの狙い目としているところであるのは、明らかだった。悪知恵を働かせた卑劣漢らは、奴隷たちを壁にしてその陰に陣取っている。
「……どうしたものかしら」
 鏡介の横で眼鏡の奥で眉間を険しくしつつ、黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は構えた剣の切っ先をさまよわせる。
「何とか、やってみる。いつでも突っ込めるよう準備はしておいて」
「……わかったわ」
 摩那がうなずくと、緊張した面持ちの鏡介は刀を正眼に構えた。
 意識を刀に集中し、白煙のごとき神気を纏わせる。【封の型【夕霧】(フウノカタ・ユウギリ)】は、その名の通りあらゆる魔力を封じることに特化した神気を繰り出す。その効能は強力ではあるが、代わりに使いすぎれば命の危険を招くという諸刃の剣でもある。
 対し、奴隷仙人が雷撃の網めいた結界術を使って鏡介を押し包み、さらに槍を持った奴隷武侠が二人が機を合わせ、雷網の隙間から挟撃するような刺突を放ってくる。
 手慣れているらしい、流麗な連携。
 だが、今の鏡介の刃はそれらより速い。強い。
 行く手の雷網に唐竹の一閃が奔り、Vの字に道が拓かれる。鈍るべき足が鈍らなかったことから、槍の挟撃は鏡介の背後で虚しく交差した。
 瞬き一つ、鏡介が鋭く返した刀が、奴隷仙人を逆袈裟に斬る――と、思われたが刀身は奴隷仙人に触れることはなく、それに纏わり付いていた白い靄が体の表面を撫でるような格好になっただけだった。
 無論、鏡介が目測を誤ったわけではない。
 靄――神気にあてられた黒鎖が、急に砂と化したかのようにざらりと崩れ落ちる。
「――な?」
 奴隷仙人が唖然とする間にも、鏡介は刀を振るう。右の武侠、左の寵姫、正面、背後、四方八方。
 時間に制限がある以上、振るえるだけ振るわなければならない。神気の斬撃は鏡介を目とした颱風のごとく吹き荒れ、奴隷たちの体を傷つけぬまま黒鎖を粉砕していった。
「ば、馬鹿なっ!?」
 海乱鬼のうちの誰かが、声を裏返らせる。彼らにとっては信じがたい、信じたくもない光景であろう。
 そして、呪縛の黒鎖が消えて目を丸くしている奴隷たちに、激昂した一人が近寄っていく。
「何をボサッとしてやがるんだ!? 鎖がなくなったくらいで自由になれたつもりか!?」
「ひ――」
 奴隷寵姫の一人が、髪をつかまれて持ち上げられる。彼女とて武功の人に違いあるまいが、オブリビオンたる海乱鬼に抗えるような力量まではない。
 海乱鬼は目を血走らせ、逆手に握った短剣を振りかぶる。
「立場がわかってねえんなら、一人くらいぶち殺してわからせて――」
「でぁっ!」
 裂帛の気合いが割り込み、同時に振るわれた赤紫色の剣閃が海乱鬼の肘から先を斬り飛ばす。
「――がぁッ!?」
 何が起きたのか理解できずにいる海乱鬼の顔面に、剣の柄尻が打ちつけられた。
 鼻梁を陥没させて気絶した海乱鬼の腹に蹴りを入れ、集団へと叩き込んだのは、摩那だった。鏡介の攻勢と呼吸を合わせて海乱鬼の集団に突っ走っていたのである。
 奴隷の壁を盾にする気でいた海乱鬼は、思わぬ猟兵らの肉迫に浮き足立つ。
 その隙を逃さず、摩那は海乱鬼の集団のただ中に駆け込む。再び奴隷らを盾にされるより早く、始末を付けるために。
 手前の一人のみぞおちに柄を打ち当て、そのまま体当たりするようにして押し込む。
「げぅっ!?」
 体格以上の押し込みが海乱鬼を宙に浮かせ、周囲を巻き込んで強引な将棋倒しのような格好になった。それは同時、摩那が海乱鬼らに包囲されるような立ち位置に出ることも意味している。
 当然のこと、不利極まる立ち位置。だが、それは摩那の望むところだった。
「敵味方の識別、完了……散開!」
 ぱんっ、と。
 端からは、不意に摩那の持つ剣が爆ぜたように見えたことだろう。しかし、それは【風舞雷花(フルール・デ・フルール)】により無数の花刃へと姿を変えただけのことである。七色のグラデーションを持つそれらは摩那を中心にとぐろを巻く大蛇よろしくうねり舞い、『識別完了』の言葉に違わず海乱鬼ばかりを削り、裂き、千切っていった。
「うぎゃあああ!」
「ぐお、お!?」
 総崩れとなった海乱鬼は、他にどうすることもできずに船へと逃げ込んでいく。
「奴隷どもをもっと引っ張ってこい! 盾にしろ!」
「馬鹿! もう残ってねえよ!」
 甲板で怒鳴り合う。
 そんな非建設的な応酬が打開策を見出すより先に。
「いいことを聞いたわ。だったら、コレは壊しても問題ないわね」
 例えば伝声管越しに聞こえるような、肉声とは趣味の異なる声が響く。
 海乱鬼らがその声の主を探ろうと頭を巡らせると、そこにあったのはホバー機能でもって川面の上に立つ、ずんぐりしたシルエットの鉄人であった。
「な、ん……!?」
 海乱鬼は、それがリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)の搭乗するキャバリエ、ナインス・ラインであることは知らない。だが、具体的なところがわからなくとも己らにとって脅威であることは把握できる。
 だが、それと把握できたときにはすでにナイス・ラインが多連装グレネードランチャーから焼夷弾をばらまいていた。
 船の横腹に、あるいは帆柱に炸裂する。船は鋼鉄で補強されている部分もあってそれなりに防御力の高い代物ではあるが、猟兵という超常存在による攻撃を前にしてまで鉄壁を誇れるほどではない。あっという間に破砕痕の穴だらけとなり、またへばりつくような炎の紅色に蹂躙されていった。
「まずい……!」
「くそっ!」
 錦帆賊を象徴する戦船といえどもはやどうしようもないと悟った海乱鬼らが、次々に河中へと身を投じる。
 破れかぶれというわけではなく、楼船型メガリスである『百川学海』を新たに召喚し、それに跳び乗ったのである。大きさこそ先の戦船より一回りか二回りほど小さいが、数は増える。ついでに、三国志世界には似つかわしからぬ重火器を装備した亡霊たちも同乗しており、頭数も倍以上に増えた。
 が、それら火器の照準が向く前に。
「ふふっ、驚かせてあげるわ」
 すかさずリーゼロッテが撃ったのは、逆照明弾とでもいおうか。爆発的に暗黒を拡大させる、魔力の榴弾であった。
 瞬時に視界を奪われた海乱鬼が混乱に陥る様を一瞥し、次いで、召喚した中華風メイドを港に降ろして命じる。
「愛麗絲、元奴隷たちの保護を頼むね」
「ハイ、お姉さま!」
 力強い返答に満足し、特殊暗視装置を用いたリーゼロッテは海乱鬼らの乗る楼船に砲口を向けた。
「スジの通らないワルは遠慮なく潰す。精々後悔しな♪」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御堂・伽藍
アドリブ、即席連携歓迎

きり そっと
水面立たずば波は無し

早着替え
衣裳「碧」

先制UC発動
属性:水、風、闇、空、毒
攻撃、防御、状態異常力に付与
霧を纏い迷彩、闇に紛れ姿を隠す

落ち着いて残像忍び足でゆるゆると接敵

念動怪力水風毒UC
範囲攻撃、二回攻撃、フェイントを交え
ずてぜにやじしんで敵を攻撃しマヒ気絶捕縛
マヒ毒で静かに敵を無力化

敵の視線や行動を落ち着いて見切り残像忍び足で躱す

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

いない いない どこにもない
呼吸も 気配も 物の屍に無縁

きりのなかから うみのなか
骸の海への 船出あるのみ

さようなら
御休み
みなそこへ
水底へ


劉・涼鈴
へへーんだ、自分のボスに脅されてやんの! 超ブラックじゃん!(挑発)

覇王方天戟をぶん回して突撃ー!
ばったばったと【なぎ払う】! どりゃー!

戦ってたらばちゃーん!って水の網! ちべたーい!
むむー、これがこいつらの宝貝だな!
元の持ち主はともかく、水属性だし河賊らしいっちゃらしい宝貝だね
そう、こいつらは元の持ち主じゃあない
これはこんなヤツらが持てるような代物じゃない
どーせ廉価版とか海賊版とかでしょ
そんなもんで私の闘気の炎は消せないぞ!

【気合い】を籠めて全身に【覇気】を漲らせる!
【劉家奥義・祝融禍焔掌】!! 一滴残らず水の網を蒸発させてやる!!



●骸の海への船出
 賊らの居住スペースだったと思われる、布製のテントが並ぶ区画。
 一応は防備にも気を遣っているらしく、そこかしこに逆茂木や乱杭などが配置されている。オブリビオンや猟兵といった超常存在からすれば、それに引っ掛かったからといって大きくダメージを負うことはないかもしれないが、それでも動きを阻害される程度のことは起こる。
 そんな一帯が、今、黒い霧に包まれていた。
 自然の霧ではなく、御堂・伽藍(がらんどう・f33020)によるユーベルコードの霧である。
「あでっ! ち、ちくしょうが……」
「くそ、どこに行った!?」
 視界を遮られた海乱鬼たちが右往左往する。だが、中には冷静な者もいた。
「慌てるな。霧の中のどこかに潜んでやがるのは確かなんだ。全員で宝貝でシラミ潰しにすりゃあ、殺せるはずだ」
「おお、それだ!」
 と、一斉に霧露乾坤網を構え、めいめいが八方に投げ付ける。謎の力によって奇妙に結びついた水の縄でできた網が広がり、霧の中を叩いていく。手応えの有無を問わず、二投、三投と繰り返し。
「…………」
 霧の中を動き回る伽藍は、うっすらと苦い表情を浮かべた。
 足音を消しつつ素速く動ける伽藍とはいえ、面制圧という策を取られればそのアドバンテージは活きにくい。
 完璧に回避し続けるのは困難。まあ、それと狙うわけでもない雑な攻勢では威力も知れているため、一撃や二撃は耐えられるだろうが、敵の数を思えばとても楽観視できたものではない。
 じり貧か……と思われた、そんな頃合い。
「ちべたーい!」
 伽藍がいるのとは全く別の場所から、甲高い悲鳴が上がった。
 すわ、海乱鬼らが一斉に色めき立つ。
「いやがったぞ!」
「集中攻撃してやれ!」
 悲鳴のあった場所を取り囲むようにし、海乱鬼らは一度に網を放つ。十重、二十重となった水の網は瀑布のごとくとなり、その及ぶ範囲の何もかもを圧殺せんとする。
 しかし、黒霧の中にあって海乱鬼らはそれと見ることはできなかったろうが、声の主――劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)は、その凶猛なる瀑布に向かって決然たる表情で右手を掲げていた。
「私の闘気の炎を――」
 涼鈴の全身にみなぎる覇気が、弾けるような輝きを伴いつつ右手の平へと収束する。夜の闇のごとき黒霧の隙間を炎光がつんざき、苛烈を留めつつ研ぎ澄まされた猛熱の凄まじさを物語る。
「こんなもんで消せると思ったか!」
 爆誕した手の平サイズの太陽が瀑布と激突し、牙が肉を裂くがごとくに巨穴を穿つ。一弾指で蒸気と化した水は爆発的な膨張力を発揮し、涼鈴の立つ場の黒霧を消し飛ばした。
「な!?」
 己を包囲する海乱鬼らの驚愕する様に目線を走らせ、涼鈴は鼻で笑う。
「らしいっちゃらしい宝貝だけど、どーせ廉価版か海賊版でしょ。それに、使い方の下手っぴさからして、元からの持ち主ってわけでもないね」
「……ッ!」
 馬鹿にしきった涼鈴の言葉に、海乱鬼らが顔色を変える。
 ただ、禁制とされるコンキスタドールとの取引によって手に入れたメガリスやら、誰かから奪った宝具やらで手軽に力を得ているに過ぎず、地道に武を磨くといった類の手段とは縁を持たずにいるのは事実だった。
 要は、図星を突かれてむきになっているだけのことなのだが。
「クソガキのくせしやがって、知った風なことを……!」
「二度とそんな生意気な口を叩けなく――」
 海乱鬼らは包囲の面積を狭めつつ、めいめいが懐から凶器を取り出す。肉厚の剣鉈であったり、大振りな鉞だったり様々だが、見目の通りのただの刃物なのか、それとも何かしら超常の力を持つのかは判然としない。
 ただ、それらが何であれ、振るわれることはなかった。
「――!?」
 涼鈴への包囲を狭めきる前に、手にした凶器を使うより先に、海乱鬼たちの動きが止まる。
 その身は、彼らの知らぬ間に麻痺毒に侵食されていた。
 伽藍の仕儀である。派手な一撃によって海乱鬼らの注意が涼鈴に集中している隙を、伽藍は見過ごしていなかったのである。呼吸も聞かせず、気配も感じさせずにゆるゆると動き回りながら、傷まみれになって値打ちを失った宝石をばらまいていた。
 傷から麻痺毒を噴出させる、すてぜにを。
「う、うご、け……ね……」
 伽藍の存在にさえ気付けなかった海乱鬼らは、当然、己らの身に何が起きたのかも理解しようがない。
 ただ事実として、猛獣のような勢いで方天戟を振りかぶる涼鈴を前にして、自分も仲間も体を動かせないという現象があるのみである。
「……さようなら」
 そう言ったのは伽藍であったが、その言葉が海乱鬼らの耳に届くことはなく。
 数瞬の後には、涼鈴によってその場の海乱鬼のことごとくは薙ぎ倒された。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『宗宝』

POW   :    疾風怒濤
【槍】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黒い闘気の奔流】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    不遠千里
【闘気をこめて槍を突き出すこと】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【黒い衝撃波】で攻撃する。
WIZ   :    飛竜乗雲
自身の【闘気が黒い竜の形】になり、【それに騎乗する】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。

イラスト:つばき

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠大宝寺・朱毘です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●凶将の鈴
 謁見の間でも気取ったのだろうか。
 砦内にあって今一つ用途の読めない、だだっ広い空間を持つだけの建物に、その男はいた。
「そこそこ使える奴らだったんだが……ま、こうなるかな、とは思ってたさ」
 奥まったところにある玉座めいた椅子に座りつつ、言う。
「だが、俺からすりゃまさに『渡りに船』ってもんだ。ただの人間ども相手にいくら暴れたって、戦の勘なんざ取り戻せなかったからな。お前らくらい骨がある連中でちょうどいいってもんだ」
 と、戟の柄を杖のようにして立ち上がった拍子に。
 ――ぢりん。
 腰の布帯に結わえてある、団子ほどの大きさの鈴が鳴る。そんな程度の大きさの鈴が鳴ったにしては、その音は不気味なほどに隅々まで響いた。
 嘘か誠か、その音を聞いただけで敵兵が恐慌をきたし逃げ惑ったといわれる鈴。鳴らすべき者が鳴らしたそれは、魔音とでも呼ぶべき超常の響きを持っていた。
「俺の実力全ては到底発揮できやしねえが、この『宗宝』って野郎の体もそこそこ悪くはねえ。さあ、肩慣らしに付き合ってもらうぜ、猟兵」
 戟の切っ先を猟兵らに向けつつ、傲然と告げてくるその男。魂だけの蘇りに過ぎぬとはいえ、その姿はまさしく孫呉において屈指の凶暴性を持ち、敵を、場合によっては味方をも震え上がらせた猛将。
 甘寧その人であった。
黒木・摩那
例の鈴は【呪術耐性】と【ジャミング】で対策するとして。
鈴だけに構っているわけにもいきません。

甘寧は戟の使い手らしくUCも強力ですが、
その分、槍に頼ったものが多いのが特徴でしょうか。
ここは自慢の戟に狙いを絞りましょう。

剣では間合いが苦しいですね。
ヨーヨー『エクリプス』で戦います。

まず【先制攻撃】で戟にヨーヨーを絡めて【武器落し】を狙います。
それでも戟を手放さないのであれば、そのままUC【獅子剛力】を発動。
甘寧をぶん回して、壁に叩きつけます。

これで倒せればいいんですけど、そこは歴戦の武将ですから頑丈なんでしょうね。


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】
※アドリブ絡み連携歓迎

愛機を【シフト・トリックスター】で
可憐な等身大装甲ドレスへ変換
よし、邪魔するよ

ん、アタシの顔に何か?…ああ、血か
耳障りな鈴を毎秒『猟兵数人分』も解呪すりゃ
血管切れる位の知恵熱は出るさね

このオペ48番【マトリクスドライブ・ライジング】は
『解呪・破邪』以外の効能もあるけど…ま、ヤレば解るよ
って事でアタシ自身には腕前を補う『疾風属性』確保
※他人用『属性付与術式』は各行動に適した属性

【サトゥルヌス】の対魂波動で間合いを崩し
ドレス内推進機を併用して軽やかに闘気槍を回避
そしてキャバリア由来の膂力発揮
『防御破砕術式』と鎌鼬付【アギト】で一閃

お望み通り、アタシらは歯応えあるよ♪



●破鎧
 ぢりん、ぢりん――と、鈴が鳴る。人を威圧する魔の鈴の音が。
 黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)が浮かべたドローンが自動的に音を解析し、相殺可能な妨害音波を発生させる。だが、鈴の音はどういうわけかそれを貫通して摩那とリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)の耳にまで届いた。
「……やはり、ただの物理的な音じゃないか」
 摩那は軽く顔をしかめた。魔音は空気の振動が本質ではなく、空間に作用して他者の精神に感応する魔術的要素を持っている。
 とはいえ摩那もリーゼロッテもその程度の想定はしており、呪詛への対策も講じている。摩那は耐性を強化しているし、リーゼロッテも術式によって毎秒、毎瞬に解呪していた。
「ふん。流石にこの程度の子供騙しでどうにかなる手合いじゃねえな。それなりに無理はしちゃいるようだが」
「お望み通り、歯ごたえあるでしょ♪」
 強力な解呪の影響で額から流血していながら、リーゼロッテは挑発的に微笑した。
 感触として、呪詛の力そのものはそれほど複雑でも悪辣な代物でもない。単純に、その手のものに鈍感な者、また甘寧の姿が見えていない者にも、武力に比例した威圧感を与えるというもの。単体戦力としては圧倒的に上を行くため、猟兵にさえ効果は及びはする。
 しかし、それを承知の上で腹を括って挑んでいる時点で効きは鈍いし、耐呪防壁を破って摩那やリーゼロッテの精神に干渉するほどの力もない。
「じゃあ、小細工外の力勝負でねじ伏せてやろうか!」
 遠間から甘寧が戟を突き出す。途端に戟の切っ先に昏く色づいた闘気が螺旋を描き、ドリルめいた砲弾となって飛んだ。
「っと」
 サイバー味のあるドレス姿のリーゼロッテは、ロングコート内のスラスターから火を噴かせて軽やかにサイドステップし、それを回避する――が、後を追うように幾発もの砲弾が放たれた。秒間十数発を数えようかという、凶猛な弾幕。
「わ――!?」
 スラスターの出力を上げ、リーゼロッテは砲弾の網目をかいくぐる。
 一方、摩那は放電する剣の腹を盾のように構えて防ぐ。剣に炸裂した闘気の螺旋は、超重の圧を手に伝えてくる。その重さは、直撃すればただでは済まない威力を持つことを物語っている。
 また。
「剣じゃ間合いが苦しい……!」
 防いで防げない程ではないものの、高威力、高密度の弾幕に常にされされている状態では、寄って甘寧を叩くのも困難である。
「そう、ね……少し、待って!」
 スラスターを駆使しつつ回避しているリーゼロッテは、輝く剣を振りかぶって一閃させる。
 大きく間合いを外した斬撃は、一見、意味のない破れかぶれな行為と映る。しかし、刃の軌跡に沿って真空の刃が生み出され、闘気の砲弾以上の速度で甘寧目がけ飛翔する。
「――何だそりゃ」
 その様を一瞥した甘寧が鼻で笑う。
 一歩も動かず、体の周囲に漆黒の闘気を立ち上らせた。昏い炎壁が斬風を呑み込み、一瞬にしてかき消す。
「もう少しマシな攻撃できねえのか?」
「……っ!」
 嘲弄するような甘寧の台詞を無視し、再びリーゼロッテが風の刃を放つ。
 何度やろうが同じこと。
 そう思ったのだろう。甘寧はやはり動かず、ただ闘気の壁を維持するのみである。そして二撃目の刃もあっさりと消滅した――と、見えた。
 だがそれと見えた刹那、闘気の壁にバキリと奇怪な亀裂が入る。さらに次の刹那に拡大した亀裂によって壁が押し退けられ、粉々になりつつも防壁を貫通した刃の一部が甘寧の頬を掠める。
「何――!?」
 刻まれた傷は浅い。カミソリ一枚で軽く撫でられた程度のもの。
 しかし、甘寧からすればさほどでもなかったはずの一撃が己の闘気を破ったという事実は、大きかった。
 その驚愕が隙となる。
 弾幕が止まったその瞬間を逃さず、摩那がヨーヨーを放った。エクリプスの銘を持つそれは単なる玩具などではなく、謎の物質で形成されるワイヤーは、見目の細さに反してオブリビオンでさえ容易に断つことあたわぬ頑強さを誇る。
 わずかの間動きを止めていた甘寧の戟は、それに絡みつかれた。
「!? しまッ――」
 甘寧が己を呪うが、遅い。
「だぁぁっ!」
 ヨーヨーを通じて【獅子剛力(ラ・フォルス)】の剛力が伝わる。戟を奪われまいと踏ん張った甘寧だったが、超絶の力場は彼の体を地面から引きはがしてしまった。
 その様は土佐のカツオの一本釣りさながら。ほれぼれするような美しい弧を描いた甘寧は、その勢いのままに広間の壁に激突し、壁を破砕し、吹き上がった土と木っ端の煙に包まれる。
「やった!」
「いや、この程度では……」
 摩那が首を横に振ったその刹那、エクリプスのワイヤーに異様な力が掛かり、あべこべに摩那の体が振り回される。
「――きゃ!?」
「あ、わっ!」
 横っ飛びに舞った摩那の体はリーゼロッテへ衝突し、両者はもみ合うような格好で転がった。
「妙な術式で俺の防壁をかき消しやがったな。いちいち器用な真似をする」
 煙の中からぬうっと身を起こしつつ、甘寧が赤黒い血の混じった唾を吐き捨てる。
「確かに楽しませてくれるようだな、猟兵!」
「いたた……やっぱり、頑丈だこと」
「……ふん。すぐに楽しむ余裕なんてなくしてあげる」
 摩那とリーゼロッテは即座に立ち上がり、再び身構えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒珠・檬果
まずは、鈴の音は特定の音を遮断する結界にて対処しましょう

オーバーロードにて真の姿へ
相手が魂縛ならば、妾には憑依を。指定UC発動
この将な、お主と戦いたいと言って聞かぬのじゃよ。…そうであろ?張遼殿。白日珠は[戟形態]へ
魂だけの蘇りと言う点では、同等であろうな。故に、真の姿になってでも妾は人間に近くなろうと思うのよ
張遼殿ならば、鈴を怖がらぬだろうし

すまぬ。最初の十合はただ普通に一騎打ちさせてほしい…との訴えが張遼殿から
その間は、他に手は出させぬ。叶えられるかの?

叶えた後(この場合は一度甘寧より離れる)、または叶えられずならば…。一斉突撃である
歩兵800。今さら、怖じ気付くような者らでもあるまいに
李典殿。此度も放って置いたのならば、世界存亡に繋がる故に協力願う
妾(in止啼将『張遼』)が真っ先に行くゆえ、その武器が怖いが…上へ跳躍しての第六感活用回避。命中だけは避けねば
うむ、妾だけに気をとられてはならぬぞ?何故、妾が上に跳躍したと思う
横はの…他の兵が来るからよ

甘寧殿。此度は帰るがよい



●遼来遼来
「……誰だ、お前?」
 荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)を一瞥した甘寧が言う。
 言われても仕方のない変化はしている。シャーマンズゴーストから、神職めいた衣装を着込んだ人間の姿になっているのだから。
 しかし、それ以上に気配の質と数が違う。
 少なくとも二人分。否、微弱なものも含めればさらに数百。
 それら多くの気配を率いた檬果が、静かに言う。
「最初の十合は一騎打ちさせてほしい、との訴えがあったのだ。張遼殿からな」
「……はあ?」
 甘寧はあんぐりと口を開けた。
 三国志中に「魏に張遼あらば、呉に甘寧あり」といった言葉が出る。魏呉の戦いの中、張遼と甘寧の両将とも、決死隊を率いて敵の大軍に挑んで勝ったという戦歴がある。互いに意識していたかどうかはさておき、命知らずの猛将として敵から大いに恐れられたという点で共通していたのは間違いない。
 ただ――檬果を通じて、彼女に憑依している張遼を睨み付け、甘寧は嘆息する。
「勘違いしてねえか? 俺はお前なんか知らねえし、俺はお前が知ってる甘寧じゃねえ。お前の由来は知らんが、少なくともこの世界の将じゃあるまい」
 封神武侠界においてオブリビオン化したかつての将星らは、封神台に封じられている。当然、一介の猟兵に使役されるほど矮小な存在であるはずもない。世界線が異なる以上は、同じ経歴、同じ性格で同名の人物がいたとしても、それはどこまで行ってもよく似た他人でしかない。
 まあ、それは檬果にせよ張遼にせよ承知はしているのだろう。
「袖すり合うも多生の縁。名が同じというのもその一つじゃ」
 鎌状の枝刃を生やした槍――戟を中段に構え、檬果が言う。
 と、甘寧は再び嘆息した。
「そうか。だったらまあ、付き合ってやってもいいが……」
 ゆるりと斧槍めいた戟を担ぎ上げ、床を蹴る。
 瞬き一つの後、風より疾く駆けた甘寧の姿は檬果の眼前へと至っていた。
「十合も保つと思ったなら大間違いだ」
 檬果の肩口目がけ、甘寧の戟が無造作に打ち下ろされる。
 両断される寸前に檬果は戟の柄を掲げてかち合わせ、防ぐ。が、斬撃と同時に奔った漆黒の闘気の圧力が、踏ん張った檬果の足を床に押しつけて身動きを封じる――時間にすればほんの一瞬。
 その間に甘寧が石突を蹴飛ばす。振り子めいた軌道を描いたそれは檬果の腹に炸裂した。
「か、はっ!?」
 衝撃に吹き飛ばされた檬果は、たたらを踏みつつも戟を構え直した。
 だが、察する。一騎打ちを続ければ十どころか五合以内に殺されるだろう。真の姿を解放しているとはいえ、単騎での戦力ではボスオブリビオンの方に遥かに分がある。
「死ぬ前にできる戦法は全部吐き出してみせろ。これじゃ肩慣らしにもならねえ」
「ぬう……!」
 余裕ぶった甘寧の台詞に神経を逆なでされる。とはいえ、事実には違いない。
「――李典殿、協力願う!」
 檬果は叫ぶと同時、跳躍した。
 さらにそれと同時、跳躍によってできたスペースを埋めるように、頭巾姿の将が長剣を脇構えにして突進する。
 さらにさらに同時、甘寧の左右に幾人もの兵が素速く展開し、槍衾を形成して押し包まんとする。
 一瞬にして逃げ場も何も失った甘寧は、瞠目しつつも微かに口角を上げる。
「やりゃあできんじゃねえか」
 黒気を纏った横薙ぎが槍衾の大半を打ち払い、斬り上げられた李典の一閃も戟を返して食い止める。
 が、頭上より打ち下ろされた檬果の戟まではいかんともしがたく、首を捻って致命傷は避けこそすれ、額と竜角の一本とをかち割られた。
「同名も縁の内か。この指揮ぶりは、なるほど――」
 噴出した流血に顔半分を覆われつつ、それでも甘寧は笑みを止めなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御堂・伽藍
【風雷剣】
アドリブ、即席連携歓迎

ははさま きてくれた
鬼神力、則ち百万力故に

先制UCに風雷空属性を乗せ最大範囲発動
強化効果を味方にも付与

紅葉に付き従い残像忍び足でするすると接敵

射程に入り次第念動怪力風雷空属性楽器演奏UC
リーリエ・ガブリエルを打ち振り敵の音にカウンター衝撃波
範囲攻撃二回攻撃フェイントを交え出来ればマヒ目潰し捕縛

敵の攻撃を落ち着いて見切り
残像忍び足等で躱し
念動怪力衝撃波オーラ防御等で受け流し

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

りんりん りんりん
りんごん りんごん
電光閃き雷鳴轟く
魔将対鬼神、その結末や

さようなら
さようなら
御然らば
御然らば


紬雁・紅葉
【風雷剣】
アドリブ、即席連携、歓迎です

そ と伽藍の頭を撫で
お邪魔していいかしら?伽藍♥
羅刹紋を顕わに戦笑み

黄泉軍…御鎮めします
天羽々斬を鞘祓い十握刃を顕現
残像忍び足でするすると接敵

射程に入り次第破魔風雷空属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲ごと薙ぎ払い

敵の攻撃は躱せるか見切り
躱せるなら残像ダンス忍び足等で躱し
さもなくば破魔衝撃波オーラ防御武器受け等で受け
カウンター破魔風雷空属性衝撃波UCで範囲ごと薙ぎ払う

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

最後は力を溜めて渾身のとどめ

黄泉の坂より迷い出た
骸の海の幽鬼の将
葦原の清かな風は
黄泉軍の在る地に非ず

黄泉の八雷神の御名の下
疾く速く
去り罷りませい!!



●風雷剣
 ところどころに紫電が見え隠れする、白霞のような和服。
 そんな不可思議な装束に身を包んだ紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)は、御堂・伽藍(がらんどう・f33020)の横にするすると進み出るや、愛する義娘の頭を軽くなでた。
「お邪魔していいかしら、伽藍?」
「もちろんです、ははさま。鬼神力、百万力」
 顔をほころばせ、伽藍は言った。単純な戦力増強を喜ぶ以上の感情が、そこにはある。
 そして、二人して敵将に向き直る。
 封神台から魂だけが復活したオブリビオン、甘寧。その魂が憑依する肉体もまた、三国時代の武将であったオブリビオン、宗宝。
「黄泉の坂より迷い出た、骸の海の幽鬼の将……」
 唱えるように紅葉が言った、おおむねその通りの存在である。
「ここは黄泉軍の地に非ず。八雷神の御名の下に、疾く去りませい!」
「言葉の意味はまるでわからんが……まあ、何となく言いたいことはわかる」
 傾いだ首の先に渋面を作りつつではあったが、甘寧は言った。封神武侠界にあって日本神話由来の文言を並べ立てられたところで話が噛み合う道理はないし、意味が通じないのは当然だった。
 ただ、世界の破壊者たるオブリビオンが世界と相容れないこと、同様に世界を守護する使命を持つ猟兵とも相容れないこと、ゆえに両者は互いを滅ぼし合う宿命にあることは、本能的に理解できる。差し当たり、それで充分ではある――戦う理由などというものは。
「まあ、何だ。この俺をこの世から退場させたいってなら、神頼みなんぞじゃなく力尽くで来るがいいさ」
 戟を大仰に上段に構えた甘寧は、闘気を黒色の竜巻と成して身の周囲に奔らせる。
 途端。
 ――ぢり。ぢりり。ぢりりりん。
 腰にくくりつけられた鈴が鳴る。矮小であるはずの音色は、しかし、苛烈なる闘気の奔流にかき消されることなく、猟兵二人の耳へと届く。
 聞く者の心を蝕み、わけもない恐怖を植え付けんとする魔音。
 だが。
 ――りんりん。りんりん。りんごん。りんごん。
 すかさずに振るわれたのは、伽藍の手にあるリーリエ・ガブリエルであった。六連の鈴から放たれるのもまた魔音と呼ぶべき代物で、甘寧の鈴の音をも相殺する。
「へえ。だがまあ、その程度はな」
 感心したようなそうでもないような様子の、甘寧。それに何ぞと返答することもなく。
「八柱の死神、我等の守護に降り臨む!」
 雷の魔力に包まれた投げ剣を、伽藍は念力でもって手操り、放った。都合八本。紫の残光を引きつつ烈風の勢いを駆って飛翔する。
 包囲するような光閃八条、防ぐは難く、避けるはなお難し――と思われたが。
「ふん」
 ぎょるんっ!
 と、字にするならそのような音でもあろうか。甘寧を包んでいた闘気が黒竜の姿へと変貌し、甘寧を背に乗せて急上昇する。
 冗談のように急激な高機動は存在しないはずだった八条の光の隙間を縫い、甘寧の体を中空へと導く。
「そんな……!?」
「ちっとばかり肝は冷えたが――な」
 口の端を歪めた甘寧を乗せた黒竜は、超絶の高速を維持しつつ伽藍目がけ突撃する。
 雷剣を再び放てるほどの暇はない。
 だが、紅葉が伽藍をかばうように飛び出る暇はあった。
「山を断ち――!」
 吼えると同時に、紅葉は横一文字に十握剣を振るった。
 黒竜の牙と白刃が交錯し、行き場に迷った破壊力が火花と衝撃波となって爆散し、互いの体勢を崩す。
 それを立て直したのもお互いほぼ同時、瞬き半分の後のこと。
 甘寧は戟に黒い闘気を纏わせ、斧刃で紅葉の首を狙う。
 対して、紅葉は十握剣を返して一閃させる――いや。
「川を流し、雲を割り、野を薙ぐ、剣!」
 実体の剣を振るった軌跡とは明らかに異なる、それどころか剣のリーチも逸脱した範囲に、紫電の色づいた斬撃が不意に幾百も出現した。
 およそ単体を攻撃するにあたっては無駄とも思えるような、広範囲を斬り刻む刃閃の嵐。高速飛行が可能となった甘寧でも今度こそ回避する先のない、猛攻の牢獄。
「ち――!」
 圧倒的な手数に防ぐ手もなしと即断した甘寧は、そのまま攻撃を敢行する。
 甘寧の一閃に対し、十数の斬撃が絡み付くように激突した。手数と範囲を代償に一撃ずつの威力では劣り、雷撃の剣閃は斧刃に触れた端から粉々に砕けていった。
 が、そうでない剣閃数撃は甘寧の体に殺到する。
「かはっ!」
 致命傷はないものの、体中を斬り裂かれた甘寧は血煙に包まれた。
 その傷によって、また砕かれたといって斬撃に絡まれたことによって、戟の威力は大きく減じた――ただし、止まるまでは至らない。
「――くっ!」
 紅葉の肩が浅く斬られる。
「ははさま!」
「大事ないわ」
 伽藍が焦った声を上げるが、紅葉は流血しながらも冷静だった。戟から闘気の奔流が迸るより先に伽藍を抱えて跳躍し、甘寧から距離を取る。
「……見た目の割には思い切った攻めをしやがる」
 血まみれの体を黒竜のもたれかけるような格好になりつつも、甘寧は隙なく戟を構える。魔将対鬼神、その結末はまだ訪れない。相応のダメージはあるようだが、討滅に至るのはまだまだ先のようだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夜刀神・鏡介
ようやく親分のお出ましか……
あんたに対して言う事はない。過去は過去らしく眠ってもらおう

だが、これは微妙な間合い。一撃を振るわれるのは覚悟した方が良いな

神刀を抜いたまま、弐の型【朧月】の構え
刀と目の前の敵に対して意識を集中させる事で、鈴の音を意識から遮断

間合いを測りつつ、敵の初撃に備える
槍を突き出す動きを見極めて、即座に飛来する黒い衝撃波を切り裂いて迎撃
次撃が放たれる前に刀の間合いへと飛び込んでいく

間合いに入り込んだなら、槍を振るう前に刀を差し込む形で受け止め、受け流してからカウンター
此方の攻め手を逃してでも、確実に攻撃を止める事を意識していく
相手が冷静さを欠いてくれるなら此方のものだ


劉・涼鈴
お前の中身が甘寧だな!
私は涼鈴! 劉家拳が伝承者! 劉・涼鈴!
お前をやっつけに来たぞ!!

鈴の音になんかビビるもんか! 【気合い】だ!!
そんなもの私自身の【大声】で掻き消してやる!
うぉおおおおおおお!!

覇王方天戟を砦ごとぶっ壊す勢いで叩き付ける!(怪力・重量攻撃)
鍛え上げた【功夫】で自在に戟を操り、斬り! 打ち! 【なぎ払う】!
肩慣らし程度と思ってたら! その首ぃ! 叩き落とすぞぉ!!

迫る黒い闘気の奔流! 私も戟に【覇気】を纏わせる!!
【劉家奥義・暴虎無双乱舞】!! 突っ込んで滅多打ちだぁー!(ダッシュ・捨て身の一撃)
どぉぉぉぉおりゃあー!! ぶっ潰れろぉおおお!!



●漆黒を晴らす
「これは……微妙な間合い」
 夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)が渋面を作っているところ、甘寧の戟から放たれた漆黒の衝撃波が襲う。
 疾い――が、【弐の型【朧月】(ニノカタ・オボロヅキ)】の構えを取る鏡介の目でも見切れぬというほどではない。
 問題はむしろ威力の方だ。神気を纏わせた鏡介の斬撃もそれ相応の威力はあるが、地力の差ゆえだろうか、甘寧の放つ衝撃波を容易に両断というわけにはいかなかった。真っ向からぶつかり合えば、むしろ押し負ける。
 ゆえに、回避するか、受け流して軌道を逸らすかといった立ち回りとなっている。それはいいとして、踏み込んで距離を詰める隙をなかなか見出せずにいた。
「どうした、猟兵? 防戦一方じゃねえか」
「…………」
 不敵ににやついた甘寧に指摘されるまでもなく、攻め手を逃している自覚は、鏡介にもある。
 付言すれば、今のところは凌げているとはいえ、このまま剣の間合いに持って行けずにいたらいずれじり貧になるのも、目に見えている。
 だが、鏡介は欠片も焦っていない。
 彼は、猟兵は、一人で戦っているわけではないのだから。
「うぉおおおおおおお!」
 竜のごとき咆吼が横合いから聞こえ、目を丸くした甘寧がそちらに顔を向ける。
 方天戟を担いで真っ直ぐに走ってくる劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)が、そこにはあった。
「私は劉家拳が伝承者、劉・涼鈴! お前をやっつけに来たぞ、甘寧ぇっ!」
「――ッ!」
 甘寧の表情から余裕が消える。
 連発している衝撃波の手を少しでも緩めれば、鏡介の接近を許す。さりとて、涼鈴を放置すれば次の一瞬に間違いなく頭をかち割られる。
 結局は迷えるような選択肢でもなく、戟を返す。空を断ち烈風を生みつつ振り下ろされる月牙を、横にした柄で受け止める。
 雷鳴のごとき轟音。
 城壁さえ粉砕できるであろう、涼鈴の怪力による超絶重圧の衝撃は、戟を通じ甘寧の身を通じ足を通じ、彼の立つ床を派手に陥没させて巨大なクレーターを生み出した。
 並大抵のオブリビオンならば、ガードが間に合ったところでもろとも圧殺されてしかるべきだが、しかし、甘寧は健在である。
 ただ、無論、それを意外に思って「何ぃ!?」などと瞠目して好機を逸するような真似は、鏡介はやらない。
 甘寧と涼鈴が拮抗する間に駆け、肉迫。槍の間合いより遠かった距離は半瞬の間に剣の間合いに縮む。
 喉元目がけ、片手で刺突を放つ。直撃すれば必殺。
 が、甘寧はそれをすんでのところで首を捻ってかわす――完全にかわし切れずに頷下を裂かれ、出血はしたが。
 さらに同時、敢えて涼鈴に押し負けるような形に尻餅をついたと思ったら、涼鈴の腹を蹴って巴投げのような格好でうっちゃった。
「お、わ!?」
 涼鈴が宙を舞う――はた目からは派手に吹っ飛ばされたように見えるが、ダメージはほとんどない。
 甘寧はさらに、仰向けに倒れたような姿勢から器用に戟を旋回させ、斧刃で鏡介の足を斬り払いにかかる。
「――っ!」
 甘寧の動きが見えてはいた鏡介だが、刀の切り返しは間に合わないと察し、つんのめるように跳躍して回避する。
「ッは!」
 鏡介が体を泳がせている間に甘寧は立ち上がり、さらに身を捻りつつ戟を横薙ぎに振り回して鏡介を追撃する。
 防ぎようのないタイミング――と思われたが、間一髪、鏡介が刀を切り返すのが間に合う。
 さらに、複雑な形をした戟の刃に刀身を絡ませ、一瞬ながら動きを封じる。受けに長じた朧月の面目躍如である。
「――う!?」
 甘寧が焦った声を発したときには、吹っ飛ばされた先で床を蹴飛ばした涼鈴が再び甘寧に突進していた。
「ぶっ潰れろぉおおお!!
 覇気を纏い、先刻よりさらに輝きと威力を増した方天戟が迫る――【劉家奥義・暴虎無双乱舞(リュウケオウギ・ボウコムソウランブ)】による、超絶の暴威を宿す一撃。それを見ていながら、今度こそ甘寧は何をする間も与えられない。
 月牙が甘寧の肩口を捉え、斬り進んで胸へ至り、なお止まらず腹をも裂き、それでも止まらず腰から抜ける。
「……なるほど、なあ」
 多量の吐血と当時に言葉をもらしつつ、甘寧は口の端を吊り上げた。
「確かに強いな、猟兵ども。今度戦る時ぁ、俺の体を取り戻してから戦りてえもんだ」
 斜めに食い違った甘寧の体が、そのまま床へと滑り落ちる――より先に、ぼふりと黒い煙のように形を変じて、雲散霧消する。オブリビオンが一時的に世界から追い出される様である。

 かくして、周辺地域を脅かしていた錦帆賊の跋扈は終わった。
 あるいは再び封神台より脅威が復活することがあるかもしれないが、それまでの束の間の平穏を手にすることは、できたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年12月18日


挿絵イラスト