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ドール・ブーム

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●人形街にて
 キマイラフューチャーのとある地区、現在の住人たるキマイラ達には『人形街』と呼ばれる区域がある。
 人形に関するものなら何でも手に入るこの街の、割とどこにでもある一つの廃ビルの屋上から多数の人影が街を見下ろしていた。

「同志諸君、遂に計画を決行する時だ」

 重々しい声を上げながら先頭で街を見るその人物の頭部はまるで携帯端末のような形をしていた。
 そのディスプレイに映るのは少女の偶像、纏う服の至る所にはその少女に対する愛を綴る文字。
 遠目から見てどうやっても近寄りたいと思わない男が「それ」を掲げる。

「我々の歴史をキマイラ達に植え付け、あわよくばそのまま乗っ取る計画…、
 そう‼︎この愛らしい人形による『ドールブーム』の第一歩を‼︎‼︎」

 人形を掲げ、まるで勝鬨を上げるかの如く吼える男の号令で人影…『怪人』達は動き出す。全てはこの世界の覇権をこの手に収めるために…。

 …多分これじゃうまくいかんだろ、という不満を噛み殺しながら。

●人形騒ぎ
「あー…すんませんけど誰か来てくれないッスかー?」
 日々あらゆる世界に起こる事件を解決するべく行動する『猟兵』達が集うグリモアベース。
 今日も事件はどこじゃと猟兵達が賑わうそこで声を上げたのは、世界で起こる事件を予知する力を持った『グリモア猟兵』と呼ばれる存在の一人、マカシオン・エグゼロス(スタイリッシュ猛進ガール・f07459)である。

「ちょーっとキマイラフューチャーで騒ぎが起こったみたいで、それの収束をお願いしたいンスよ」

 興味を持った猟兵達が集まり、マカシオンは事件の詳細を説明し始める。
 曰く、キマイラフューチャーの『人形街』と呼ばれる地域で奇妙な人形が出回り始めた。
 出元も分からない上突如住民間の流通に姿を現したので普通なら即座に廃棄されそうなものである。
 しかしそこは好奇心旺盛で刺激に飢えている現住民のキマイラ+ etc。
 恐らく面白そうという理由でその人形を可愛がるという動画がアップされ、小規模ながらブームが起こってしまったという。

「と言うわけで、十中八九オブリビオンの仕業だからこのブームの沈静化と、その元凶を叩いてきて欲しいッス」

 ブーム云々は別では?と思うかもしれないが、その発端はオブリビオンの人形。
 恐らくこのブームに乗じるか、ブームをそのまま利用して何かしでかす可能性は十分にある。
 故にここで打ち切るのが適切と言えるだろう。

「沈静化の方法はそっちに任せるッスけど、人形は処分して貰いたいッス。仮にもオブリビオン謹製の作品だから、残ってると不都合が起こる事も考えられるッスから」

 それで、と呟きながら懐を弄り目当ての物を取り出し、話を聞く猟兵達に見えるようテーブルに置く。

「…こいつがその人形…の写ってる写真ッス」
 テーブルに置かれた写真には俗に言う西洋人形の様な造形の人形が写っていた。
 だがそれには可愛らしさと言うものは一切なかった。
 寧ろ子供が見れば泣き出しそうな、夜道で出くわせば悲鳴を上げかねない不気味さしか存在していなかった。

「い、一応言っておくッスけど、マジで流行ってるッスよ?
 そう言う顔になるのもすっごく分かるッスけど」

 顔を引きつらせ疑念を浮かべる猟兵達に苦笑いを浮かべながら念を押すマカシオン。
 彼女もなぜこれが流行っているのか分かってないのだ。そもそも理由が理解できていない。

「まぁと言うわけで、行ける人は是非名乗り上げて欲しいッス。
 間違いなくオブリビオンの抵抗があると思うッスから、装備や準備は念入りに行うッスよ。それでは宜しく頼むッス‼︎」

 微妙な顔をする猟兵達にサムズアップを見せ、エールを送るマカシオンであった。


サクラッシュ
 皆さま初めまして、サクラッシュと言う馬の骨でございます。
 初シナリオですが是非お見知り置きを。
 このシナリオは三章構成でお送りいたします。
 以下備考として、

 舞台は人形街と言うビルや一軒家が乱立する一地域。住人からの人形確保の方法は自由。但し暴力沙汰はご法度。

 人形を作る場合、材料や道具はそこら中から引き出し可能。
 尚、一章で確保した人形はクリア時に自動でどんど焼きに放たれます。

 2章以降は純戦闘です。
 それでは皆さまのプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『人形騒ぎを止めろ‼︎』

POW   :    なんとか説得して怪人の人形を破壊、又は確保する

SPD   :    独自に人形を作り出す、又は人形による一芸を行う

WIZ   :    怪人の人形に対して疑問をぶつける、又は流行りそうな人形遊びを考案する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 転移して来た猟兵達が最初に目にしたのは、キマイラフューチャー特有の高層ビル群と間に挟まるよう並ぶ一軒家。
 そしてそれをデコレーションするが如く吊るされたりしてる人形達であった。

 足を運ぶ住人達の大部分は人形を持っており、時折壁をノックしたと思えば恐らく人形用の道具だろうものを取り出す姿も見受けられる。

 一見して事件と言えるほどには見えない風景であるが、目を凝らすと今回の火種である人形がそこそこ目に入ってくる。

そうして目標と街の地図に目を通した猟兵達は行動を開始するのであった。
キララ・キララ
みんなはやりものが大好きよね! キララも大好きよ! これはこれで結構かわいいと思うのね。でも壊さなくちゃね。

もっとかわいい人形を作ってあたらしいブームを起こせないかしら? 【アート】を使えば上手にできるかも。
ほしがる人には「例の人形と交換」って言えば回収できるかな?

あとね、これは完全に運任せなんだけどね。捨てられちゃったのを見つけて拾ってくるとか……無理かしら……?



「よし、出来た!」
 メイン通りから少し離れた場所で、フリルの付いたドレスを思わせる衣装を着た人形を掲げるキララ・キララ。

住人達と同様流行り物を好み、件の人形にも抵抗を抱いて居ないものの、オブリビオンが作っているとなれば壊さなければならない。

そういう訳で彼女は人形を作り上げることで、怪人の人形から目を逸らす事にしたのである。

「嬢ちゃん、その人形は?」
「うん?」

声をかけられ振り向くとそこには壮年の男性キマイラ。
どうも路肩で人形を作っていた所を見かけたらしく、出来上がったのを見計らい声をかけたようだ。

「最近この街で話題になっている人形に対抗するべく一から作った人形よ!猟兵であるきららの自信作なのです!」

 まるで自慢する子供のようにふんす、と鼻息を立てて胸を張るキララだが、その出来栄えは過言にあらず。

 路肩に置かれていた所を偶然回収した例の人形を参考に、素体と衣服をゴッドペインターである自らの手で一からペイントを施した自慢の一品である。

「ほぉ…流石は猟兵だねぇ、譲ってもらえれば娘のプレゼントにピッタリなんだがな…」
「これが欲しいの?だったら例の人形と交換でどうですか?」

 渡りに船とばかりに交渉を持ちかけるキララ。
 男性は「例の?」と聞きかけたが、キララの人形の作成理由を思い出し肩に掛けたバッグに手を入れる。
 そうして取り出されたのは正しくこの街で話題になっている、どう見ても流行りそうにない怪人製の不気味な人形であった。

 片や話題になっているが出元不明で不気味な人形。
 片やキマイラフューチャーで人気者の猟兵お手製の可愛い人形。
 男性の思考は数瞬だった。

「それでいいなら交換してくれるかな?娘のお土産に流行り物をと思っていたんだが、そっちの方が喜んでくれそうだ」
「本当⁉︎はい、どうぞ!」

 アッサリと交渉は成立され、交換する両者。
 いい土産が出来た、とその場を去る男性に手を振り、確かな手応えにキララは更に意気込む。

「よし!この調子でどんどん交換していくよ!きらちゃん頑張るよー‼︎」

 この人形を皮切りに猟兵達が人形を作っている、という噂が立つ。
 そこから新たなブームが起こるのだが、それは少し先の話…。

成功 🔵​🔵​🔴​

アズール・ネペンテス
【選択:SPD】
まぁブームは置いといて…その人形よりもより人受けのいいやつを作ってやった方がいいだろう。 一瞬藁人形でよくね?とは思ったもののやるからにはガチで作った方がいいだろうから【情報収集】でリサーチした後人形を作ります。

人形遣いとかミレナリィドールにいろいろ聞いとくなり参考資料なり貰っとくべきだったかもとは思うがまぁ何とかなるだろ…現地で材料は確保するけどそれでも足りない材料はUCから取り出すとしよう

そうこの…猟兵人形(モデル不明)でブームに便乗と同時に利益もゲット

出来ればいいなぁ(アドリブ歓迎



 同じ頃、別の通りにて住人キマイラに聞き込みをする猟兵の姿があった。

「なるほど、やはりヒーローの様な造形が好みか」
「うん!動物のフィギュアとかもあったらいいな!」

 住人に対して情報収集を行っているのは兜を付けた女性、アズール・ネペンテス。兜が本体で、性別は男性のヒーローマスクである。
 彼は本来の目的であるブームの沈静化の他に、個人の目標を立てた上で行動していた。

「助かった。有難う少年」
「うん!姉ちゃんも人形作り頑張ってねー‼︎」

 見送られる少年に勘違いされながらも、充分と言える聞き込み情報を精査しながら事前に辺りをノックして取り出した道具と材料を使い人形を作り始めた。

 現在の需要は至ってシンプル。
 一番はやはりヒーロー物の造形で、中でも猟兵関連の人形物はレアな為品薄状態。みんな喉から手が出るほど欲しいらしい。
 二番目の動物の造形も同じ理由だが、こちらは何故かぬいぐるみの割合が圧倒的に多い為らしい。

 それらを元にアズールは人形を組み立てる。
 一部足りない素材もあるが、自身のユーベルコード【特権:無限収納】に収納されている材料で賄える。
 人形遣いやミレナリィドールと言った人形に詳しい者達に聞いておいてもよかったという若干の後悔は感じたものの、なんとか人形は仕上がった。

「よし、これでいいな」

 出来上がった人形は大剣を口に咥えた身体中に紋様が走る狼であった。
 その名は「猟兵人形」。各世界から集まる猟兵にはこういう姿の奴もいるだろうという想像で作った為モデルは不明である。

「これならブームに便乗してすり替えられるだろう」

 そして彼は確信を持って行動に移す。
 試作を終えて作り方も覚えた。聞き込みによるニーズの調査と怪人の人形ブームを加味すれば例の人形から十分に目をそらす事が可能とふんでいる。そして…。

「更にこの人形での売り上げで利益をゲット………出来ればいいなぁ」

 己の目標、ブームに乗じた利益取得を望みながら、キマイラ達に売り込みをするのであった。

 因みに結果として、欲しいものが直ぐに手に入る環境ということと、「猟兵が流行している人形とイケてる人形を交換してくれる」という噂から、通貨よりも目標の人形が集まって来ることに悪戦苦闘したものの、ニーズにあった猟兵の人形ということで「猟兵人形」の評判は上々というものであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

響・夜姫
「私自身が人形になることだー」
元々人形だけど。ダメか。

自分そっくりの人形を作ろう。
UDCアースでありそうなやつ。だいたい40センチくらいの。
骨格内蔵、関節部も被膜で覆ったシームレスタイプ。
ウィッグ装着。着せかえる場合、色映りには注意。
名付けて猟兵ドール。流行らせよう。
「……びみょーな気分」
完成したら抱えてお披露目。
「どうも、猟兵です。人形やってます。…違った。逆」
不気味なのもいいけど可愛い・カッコイイ猟兵ドール沼はいいぞ、と【誘惑】し【手をつなぐ】。
作り方を教えたり、モデルになったり、交換したりで不気味なのを入手。

一芸でドール猟兵の【踏みつけ】はする?
いらない、それは特殊な趣味?
なるほど。



 猟兵達の人形によって、徐々にブームは変わりつつあった。
 出元不明の奇妙な人形から、我らが人気者が作るイカした人形を使った動画が散見し始め、その波に乗る為猟兵を探す者まで現れている。

「うーん…行けるかなぁ…」

 とはいえ未だ奇妙な人形の影響は残っている。
 このキマイラの青年は猟兵を探したものの見つからず、苦肉の策としてその燻りを利用して己の存在をキマイラフューチャー中に発進しようと画策していた。あまつさえ怪人の人形を使って。

「いや、今追い風を立てれば一気に再燃する筈だ。そうすればオレは…」
「人気者になりたいならこの人形を使ってみない?」

 そんな彼に背後から声をかけた者が居た。
 青年が何事かと振り返れば、そこにはまるで「人形のような」愛らしい少女が居た。
 いや、彼女こそ正しく生ける人形、ミレナリィドールの響・夜姫である。

「どうも、猟兵です。人形やってます」
「え、猟……人形?」
「………違った。逆」

 困惑する青年を尻目に、自らが作り上げた人形を懐から取り出す。

「今の時期に名を挙げるならこの人形を使ってみない?この…『猟兵ドール』で」
「……へ?」

 青年は更に瞠目した。何せその手に握られていた人形は、目の前にいる少女を象っていたのだから。

 響が己が人形になることだ、と考えたが元々人形である事を思い出し、では自分そっくりの人形で妥協しようと作られたのがこの『猟兵ドール』。
 どちらかと言えばキマイラフューチャーよりもUDCアースにありそうな40センチ程のこの人形には骨格が内蔵されており、関節部は被膜を覆い、更にウィッグを付けることによってより本人に近い姿へと昇華されている。

「着せ替えも出来るけど色映りする事に注意ね。どうかしら」
「あ〜…ま、まぁ確かに素晴らしい物だけど…」

 人形の説明を聞き、しかし青年は揺らぐ。
 念願の猟兵の、しかも本人を象った人形だし、これを紹介する動画を流せば間違いなく有名になれるだろう。
 しかしその姿は少女然としており、造形もリアルである。もしかするとそれが理由で変態扱いされ炎上するかもしれない。
 そうして思春期特有の青臭く焦ったい思考で辞退しようとしたが、己の手をその少女が握っているのに気がついた。

「今なら作り方も教えるしモデルにもなってあげる。だから…貴方の持ってるその人形と交換しない?」

 首を傾け、上目遣いで懇願するように聞く響。
 古典的かつ色々とアブなそうな誘惑だが、思春期真っ盛りの青年に対しては絶大な効果があった。

 結果として交渉は成立、青年は猟兵ドールとその作り方を教授され、響・夜姫は怪人の人形を回収することに成功したのだった。

 因みに作り方の教授の後、ドール猟兵による踏みつけを一芸として披露するのはどうかと提案したが…。

「いやぁ…流石にマニアック過ぎて流行るかどうか…」
「なるほど」

 余りにも趣味が特殊すぎる故お蔵入りになったそうな。

成功 🔵​🔵​🔴​

小林・夏輝
【龍狼師団】で連携

手先の器用さなら任せろっつーの!(コンコン)

ファッションドールって知ってる?
球体関節人形をベースにした
着せ替えに特化させたドールだよ

子供の遊びにもいいし
ファッション系の職目指してるやつなら
自作衣装のモデルにもなる

作った老若男女のドールをサンプル用に置き
目の前で一つ手作りしてやる

おっと、ただでやるわけにはいかないにゃー?
最近流行ってるドールあるっしょ
交換でいいよん♪

わわわっ、バレた!
ちょ、ごめんって澪きゅん!
澪きゅんモデルとして最高の素材してるから
つい手が勝手にげふっ(たんこぶ)

あっ、俺ら暫く此処にいるから宣伝よろー☆

※澪きゅん人形にも需要があるならあげちゃいます
広めてね♪


栗花落・澪
【龍狼師団】で連携

邪魔にならないような配慮はしつつ露店風に

僕は大量に出しておいた各種布や衣服を加工し
夏輝君の隣でドール用の衣装を作るよ

ドレスやロリータ系の派手なものから
職業系、私服系等各種デザインを揃えてみる

それぞれのドールサイズに分かれてるから
好きな子を着せ替えてみて

これは本物の古着を加工したんです
模様をそのまま活かせるでしょう?

持ち込み素材からの衣装作りも賜ります
その代わり…貴方と同じ人形を持ってる人に
僕らの事を広めてほしいんです

いえ…より良い人形作りの研究材料にしたいだけですよ

ちらりと夏輝君が現在進行形で作ってるドールをチラ見して
…ちょっと、夏輝君?
僕のドールは作らなくてよろしい(拳骨)



「なぁ、あの露天ってあそこにあったか?」
「ん?…いや、昨日までなかったな。見てみるか」

 猟兵達の人形交換の話は既に人形街全域に広まっていた。
 キッカケとなった怪人製の人形に関する動画や画像はその姿を潜め始め、街は猟兵達の人形を求めて今まで以上に賑わいを見せている。
 そんな街の広場の隅、往来の邪魔にならない位置に見慣れない露天が開かれていた。

「いらっしゃい、【龍狼師団】の露天にようこそ」

 服を切りながら、露天に近づく住人に声をかけるのは可憐な少女…ではなく少年の栗花落・澪。

「お?いらっしゃ〜い、じっくり見てってな」

 その隣では小林・夏輝が何やら笑顔で作業をしながら挨拶をする。

 二人が座る敷物には布や衣服、そして人形を作る道具とそれらによって作られた人形や着せ替え用らしき衣服が置かれていた。

「人形は分かるけど…その衣服は何?」
「これも材料ですよ。古着を加工して人形用に変えているんです」

 露天を眺める客に聞かれ、澪は置かれた人形用の服を一着手に取る。白地に花柄が目立つ服であった。

「古着を使えば、こんな風に服の模様を活かした衣装を作れるんですよ」
「そして、活かした服を人形に着せるって訳。ファッションドールって知ってる?」

 割り込み気味に夏輝が人形を手に主張する。
 彼が持つ人形は、まだ顔が付いていない球体人形のような姿をしていた。

「これは作りかけだけど、要は着せ替えに特化した人形さ。人形遊びは勿論、コスプレイヤーとかファッション系の技術職を目指すなら自作衣装のモデルにもなるのさ。お一つどう?オーダーメイドも出来るよ?」

 夏輝の熱気味な勧めに客は若干押されたものの、並んでいる老若男女問わない姿の人形とそれに合わせた結構な種類の衣装、そしてオーダーメイと言う言葉に興味を持ったようだ。

「オーダーメイドというと?」
「もし要望や古着を持って来ていただければ、それを元に衣装を賜ります」
「勿論タダって訳じゃないけどね〜、例の人形と交換、って事でヨロシク」

 夏輝のフレーズで、客は彼らが猟兵である事に気がつく。なにせ店名は出しても彼らが猟兵であると主張はしていなかったからだ。

「君達もこの人形集めてるんだ。ちょっと聞きたいんだけど、これ集めて何する気なんだ?」
「うーん…他の方々はどういう意図で動いているかは分かりませんが、僕達はより良い人形作りの研究の為集めているんです。見た目は悪いですが、とても興味深いので」

 ある意味でもっともな質問に澪は答える。
 本来の目的を出さないのは混乱とオブリビオンに尻尾を掴ませないためだ。

「なるほど…じゃあ交換してくれる?要望はないから、君達にお任せするよ」
「ありがとうございます」
「よーし!すぐ出来るからちょーっと待ってね〜」

 納得して注文する客から人形を受け取り、自身も衣装を作ろうと材料に手をかける澪だった…が。

「夏輝君?」
「えっ、わっバレた‼︎」

 ふと横を見れば、夏輝が先ほど手に持っていた、今は顔を取り付けられた人形に着せる衣装の物色を行なっていた。
 勿論それでは止めるほどの事ではない。だが、その人形に取り付けられた顔に問題があったのだ。

「いや待ってごめんて澪きゅん!君ってモデルとして最高の材料だから手が勝手に動げっファ‼︎」

 己の顔を売り物にしようとした相方に拳骨が炸裂した。
 そんな一悶着はあったものの、人形と衣装は客の手に渡った。結局その顔は、モデルとなった澪の物で。

「毎度〜、暫く此処にいるから宣伝してね〜☆」
「この人形を持ってる人に宣伝して頂ければ幸いです。ありがとうございました」

 そして自分たちの作る人形を持って露天を離れる客に、一人でも人形が多く知られるよう宣伝する澪と夏輝であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

御門・アヤメ
人形回収が今回の命令……他の猟兵たちは自作の人形と交換している?
私も作ってみる。ちょうどいいことに自分をモデルに出来る。

包帯でグルグルに巻かれた幼女ドール(自分モデル)を手に、人形を好むと思われる(ネットで調べた美少女フィギュア好きなオタクの外見)の人に交換を持ちかける。
「あの、これと今はやりの不気味ドールとを交換して?」
「ごめんなさい、言葉が足りなかった……」
「だけど、これは自信作。猟兵である私の身体をモデルに細部までしっかり作ってある」
包帯をゆっくりとめくると
「傷跡もしっかり作ってある」
「……ダメ?」
仕方ない。傷や包帯のない普通に可愛い自分モデル人形を渡そう。
「これなら大丈夫……たぶん」



猟兵の活躍により、人形街のキマイラSNS上には連日に渡り猟兵の人形のレビューや画像が出回っている。
眉唾と断じて居た者達も掌を返して猟兵達を探し出している程だ。

そんな中、何かを探すように周りを見渡しながら路肩を歩く小さな少女の姿があった。

その少女、御門・アヤメも又猟兵の一人。
SNSや野外テレビに映る猟兵人形の存在を知り、自身も人形を作って例の人形を回収しようという魂胆である。
既に人形は作り終え、ターゲットとなる顧客を探していたのだが…。

「お、お嬢さん?ここに一人は流石にアブナイですゾぉ?」
「…あ」

不意に頭上から声がかかる。アヤメが見上げれば、その声の主の姿があった。

その姿は正しくオタクであった。
ズボンにシャツを突っ込み、背中にリュックサックを背負って何やらデュフデュフ言う姿は件の人形にも劣らない、だが別ベクトルで近づきたくない雰囲気を醸し出していた。

しかしアヤメは気にも留めない。何を隠そう彼こそ彼女の探す理想にピッタリと一致していたのだから。

「…あなた、私の人形と交換しない?」
「…ん?あの、拙者が言うのもアレですが、ちょっと理解を致しかねるのですがどう言うことですかな?」

いきなりの切り出しに困惑するオタクキマイラに、アヤメも疑問符を浮かべ、そして理解する。

「ごめんなさい、言葉が足りなかった…今不気味な人形と私の身体をモデルにした人形を交換して回っている」
「…あーっ‼︎お嬢さん猟兵⁉︎これは大変失礼しましたゾ‼︎勿論交換しますゾゥ!」

不気味な人形、というフレーズでオタクキマイラも気がついたらしく、交換に応じてくれるらしい。
手早くリュックサックから例の人形をズルリと取り出す様を片目に、アヤメは自分の人形に巻きついた包帯を取る。

「おや、何をしておファッ⁉︎」
「私の身体をモデルにしてるから傷跡もしっかり作ってる。これは自信作」

包帯を取った人形の作り込みは凄かった。何もそこまで作りこまなくともと言うほどには傷跡は凄まじかった。
渾身の作り込みに胸を張るアヤメだが、オタクキマイラが目を逸らしている事に気がつく。

「…ダメ?」
「い、いやそのぉ…拙者そう言う作り込みは大好物ですが、流石に女子の傷を見て興奮できるほど練度が…」

どうやらこのオタクはディープであってもイレギュラーな趣味はなかったらしい。
渾身の出来が受けない事に少し肩を落とすアヤメであったが、懐から同じタイプの人形を取り出す。

「えっと、そちらは…?」
「こっちは傷跡もない可愛い人形。これなら大丈夫…多分」

オタクキマイラもバツが悪かったのだろう、こちらの傷跡がない人形を交換してくれた。

結局、傷跡リアルな人形に人気がなかったことは少々残念であるものの、目的は完遂出来たから溜飲は下がったアヤメであった。

そして、どうやら出回った怪人の人形はこれで最後であったらしい。
これ以降、その怪人の人形は姿形も少なくとも見ることはなくなった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『大頭頭ズ』

POW   :    x形拳
【様々な生物や機械、自然現象等を模した拳法】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    i極拳
【健康体操のようにも見える連続した攻撃動作】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    n卦掌
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【大地の中を走る気の流れの噴出点(龍穴)】から排出する。失敗すると被害は2倍。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「猫目みなも」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
 怪人謹製人形を回収し終えた猟兵達の前に、わらわらと飛び出してくる影があった。それはめちゃくちゃカッコいいヒーローを発見したキマイラたちなどではなく、人形じみた不気味な見かけの怪人集団だ!
 恐らくは、仕掛けたブームを邪魔された怪人の放った配下だろう。親玉の怪人を撃破するためにも、まずは群がる彼らを蹴散らさねばなるまい。
オークティス・ルーヴェルト(サポート)
【Support】
『M.O.F.M.O.F is Power』
『Yeaa,hoooooo』(飛びかかって斧ドーン)
28歳♂:人狼のアリスナイト × 破戒僧
実は(かわいいもふもふが)女性に好かれる
口調:カタコトダヨ。語尾や外来語が英語になりマース。

★舶来のオークティスデース。鎖型のUCや鼓舞で戦ウ元バーバリアンNE。チョット英語訛りの言葉ツカウヨ。デモ日本語全部ワカルヨ!★人狼の持つ変化(獣耳型、獣人型、獣型)の他にモフモフな形状を変化させて戦況に適応シタリも出来ルYO!★コミカルなシーンでは思い切りハシャグから宜シクNE

*アドリブや台詞回しは大胆に変更可
*多少キャラがブレてもOKです。


鈴木・志乃(サポート)
『もっと、もっと、ワクワクしよう!』
『皆が幸せになれたらいいなぁ』
オラトリオの聖者
女性

DS生まれCF育ちのパフォーマー
人の幸せが自身の幸せである典型的な『良い人』だが、あくまで全ては自身が楽しむ為と主張する

オブリビオンですら幸せになれないか模索する程度には恐ろしく優しい
しかして速やかに割りきることも出来るのは過去がそこそこ悲惨だったから

魅せることが大好きで配信では歌ってみたを多数投稿
両声類アルトテノール

ごく個人的な秘密から依頼にほぼ無差別に頻繁に参加しようとする

【根っこの考え】
自己を世界の幸福の為の道具と考えており、一切の躊躇なく自己犠牲を払う
必要があれば自身の感情すら『操る』

【武器】
光の鎖


三条・姿見(サポート)
招集を受けた援軍だ。…俺も力を貸そう。
指示があるならば、そのように。猟兵として務めは果たす。

**
『ある刀を探している。取り戻さなければならないものだ』
ヤドリガミの剣豪 × 化身忍者
年齢 27歳 男
外見 178cm 黒い瞳 黒髪 普通の肌
特徴 短髪 口数が少ない ストイック 天涯孤独の身 実は読書好き
口調 生真面目に淡々と(俺、お前、だ、だな、だろう、なのか?)
偉い人には 作法に倣って(俺、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)
**

主武装は刀と手裏剣。…相手の数に応じて使い分ける。
薬液が効く相手なら、毒や麻痺薬も使用する。

散策?賑やかな場所はどうにもな…静かな場所で読書に励みたいものだ



「……わぁ」
 うじゃうじゃ寄り集まって構えを取る不気味な怪人軍団を前に、鈴木・志乃は思わず声を漏らした。平素はたとえ敵対するオブリビオンであろうとなんとか幸せにできないかと考えてしまいがちな彼女も、この光景を前には速やかに全てを割り切っていた。それにブームを楽しむキマイラたちの幸せを食い物にするなどという所業には、やはりパフォーマーとして思う所はある。
「それじゃ、……行きますよ!」
 光の鎖を手に、志乃はまっすぐ駆け出した。薙ぎ払うように振り抜いた鎖を、人形頭の怪人は意外なほど機敏な動きで回避した。何故か健康体操のようにも見える動きでそのまま殴り返しに来ようとする人形の視線を正面から受け止め、志乃は敢えて回避の体勢を取るでもなく白い翼を大きく広げた。どこからか軽快な足音が近付いてくる。気配に合わせてその場に屈み込めば、怪人の拳が空を切ると同時にもっふもふした輪郭の影がその上に落ちた。
「Yeaa, hoooooo!!!」
 志乃の広げた翼を隠れ蓑に駆け寄っていたのは、オークティス・ルーヴェルト。大跳躍の頂点から振り下ろされた聖斧が人形頭にめり込み、その勢いのまま怪人を半ば人形街の地面に埋める。ばさりと狼の尾を振って身体を反転させ、そのままオークティスは迫ってくる次の怪人に自ら突っ込んで。
「避ケタラ、ダメ、デスヨ!」
 超至近距離からの膝蹴りが、怪人の身体をくの字に曲げて吹き飛ばす。その落下地点には、三条・姿見が既に待ち構えていた。
「こういう賑やかしいのは得意ではないのだが……な!」
 振り抜いた刀の一閃が空中で怪人を捉え、藁束のように両断する。切断面から塵と化して消えていく怪人を見送りもせずに、姿見は志乃とオークティスの背中を守るように静かに構えた。
「……俺も力を貸そう」
「ナイスな居合デシタ! 頼もしいコト限りナシデース」
 楽しげに耳をぴくぴくさせながら、オークティスの視線もまた油断なく怪人たちを見据えている。敵味方の呼吸を注意深く聴きながら、志乃は戦場を動かす次の瞬間を待ち構えていた。怪人たちの無表情な頭が、ゆらりと揺れる。傾いだ身体が取るのが謎の拳法の構えだと気付くより先に、既に志乃の声は『その時』を叫んでいた。
「今だっ!」
「All right!」
「承知」
 殺到して来ようとする怪人たちが踏み出した――否、踏み出す予備動作に入った瞬間に重い斧が叩きつけられ、麻痺薬を仕込んだ手裏剣がばら撒かれ、光の鎖が絡め取って、その出鼻を完全に挫く。互いにきょろきょろと視線を巡らせ、混乱した様子の怪人たちを前に、三人は誰からともなく地を蹴った。――今こそ、畳みかけるべき時だ!
「そんなヘッポコ拳法、効きマセーン!」
 怪人の拳を自慢のもふもふで受け流し、オークティスが力を込めた一撃でその顔面を殴り返すのに合わせて、志乃もまた鎖を振るう。輝きの尾を引いて放たれた鎖は怪人の四肢をしかと捕らえ、そのまま空の彼方で星になれとばかりに投げ飛ばした。
「少しは減ってきたか」
 ごく短く息をつき、姿見が刀を浅く構え直す。手裏剣の掠った傷から入った毒が効いているのか動きの鈍い怪人が、それでも奇妙な構えでそれを迎えた。
 ちらりと一瞬視線を交わし合い、猟兵たちは再び怪人を睨む。人形街の一角は、戦いの熱に満ちつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

鈴木・志乃
(すうっ)

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
※UCです
【歌唱の要領と全力魔法で拡声した大声の衝撃波で諸々全部なぎ払います】

あっ一応周りに一般人とか他猟兵がいないかとかは確認しておきますよ
さらに第六感で一番隙のあるタイミングを見切ります
光の鎖を念動力ロープワークで操り、一瞬でも転ばせられれば上々ですね

羽生えてないし跳べても飛べないだろうから……空中飛びながら横に距離取っておけば安全でしょうか
連続で真横には跳べないでしょうしね
如何に最初から距離を取っておけるか……必要なら年動力で周囲の器物巻き上げて盾にします



 怪人との戦いを続けながら、志乃は素早く、さりげなく周囲に目を走らせる。――大丈夫だ、一般人の姿は見当たらない。近くで戦う他の猟兵たちには視線で『退避するか耐えて』と合図しつつ、彼女はなるべく彼らからも距離を取るよう駆けていく。数体の怪人が追ってくるのを聞こえる足音で確認し、ここなら大丈夫だろうと思えた位置で志乃はくるりと振り返った。
 急に足を止めた敵に戸惑う怪人たちの足元を見もせず、指すら動かさず、すかさず光の鎖を走らせる。念動力によって自在にしなる鎖に怪人が足を取られたその瞬間、志乃はすう、と深く深く息を吸い込んでいた。
 肺いっぱいに溜め込んだ空気の圧を感じながら、マイクを口元へと寄せる。静かに瞼を下ろし、微かに顎を引いた後、彼女は迫る怪人たちを見据えて、そして。
「――アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
 歌い手として鍛え上げた声量は魔法の力で更に膨れ上がり、もはや純粋な衝撃波と化して周囲一帯を薙ぎ払う。息の続く限り叩きつけた魂の叫びに景気よく吹き飛ぶ怪人たちにしてやったりと小さく拳を握って、志乃は翼で空を打った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧ヶ峰・星嵐
初期衣装:桜學府制服

色々とチカチカしてます……目に優しくない世界ですね!

私の本懐は帝都の守護、そのためにも実戦で鍛練あるのみです!

軍刀の形状にした武器「月ノ輪」を使い桜學府で学んだ剣術で一体ずつ仕留めていきます

おかしな動きを……! ですが、これで!
桜幻朧・七変化! その拳、見切らせてもらいます!
相手のUCに対しこちらもUCを使用
初期技能:見切りのフェンサーメイルに早着替え、相手の連続した攻撃動作を見切り回避します

回避したら攻撃を中止できずできた隙を狙い、双剣に変形した(武器改造)月ノ輪で切り裂きます

体操を模しているなら動きは大枠では共通のはず、一度動きを見切れば以降の相手にも適応して対処します



「色々とチカチカしてます……目に優しくない世界ですね!」
 色とりどりのネオンや電飾に飾られた街並みに、霧ヶ峰・星嵐は目を擦る。見慣れた帝都とはまるで異なる光景だが、すべきことはただ一つだ。軍刀の形をとった変形武器を正眼に構え、星嵐は怪人たちの注目を引くように声を上げた。
「さあ、あなた方の相手はこちらです! 霧ヶ峰が裔、星嵐――いざ、参ります!」
 學府仕込みの剣術で斬り込めば、その動きに合わせて制服の裾が舞い上がる。無駄なく実践的な剣筋とは裏腹に――いや、だからこそ、と言うべきだろうか。彼女の戦いは、いっそ武舞とでも呼びたくなるほどに流麗だ。
 斬撃を受けてよろめいた怪人が、ぬるりとした動きで構えを取る。それが連続攻撃の予兆だと気付いて、星嵐は素早く刀を収めた。
「おかしな動きを……! ですが、これで! 桜幻朧・七変化!」
 さながら風に舞う花弁が纏いつくように、瞬きの間に星嵐の身を薄鎧が覆う。回避に特化した防具の特性を引き出せる最大限利用して拳と蹴りとを受け流せば、連続攻撃を中止できない怪人にはどうしようもなく大きな隙が生まれ出る。すかさず握り直した月ノ輪を双剣形態へ変化させてその背を斬り伏せ、學徒兵の少女はひとつ息をついた。
「その動き、既に見切りました。後は殲滅するだけです!」
 模すものがあることに気付けば、敵の動きに法則性を見出す糸口ともなる。言葉通りにその奇妙な動きをほぼ完全に見切り、星嵐は未だ立ち続ける僅かな怪人たちを残らず愛刀で斬り捨てるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『妹が大好きな怪人・マイホゥ』

POW   :    妹の願いを叶えぬ兄などいない!お兄ちゃん頑張るぞ
【妄想の元気系妹の激励 】【妄想の清楚系妹の声援】【妄想のツンデレ系妹の罵倒(?)】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    妹の何が良いかだと?これを見れば良さがわかるぞ
レベル×5本の【妹 】属性の【動画を再生するモニター付ドローン】を放つ。
WIZ   :    どんな妹が好みだい?言わなくてもわかっているさ
【頭部のタブレットPC 】から【対象が考える理想の妹の幻影】を放ち、【実体化した幻の妹とのふれあい】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフィン・スターニスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「何ということだ……よもや我が同志が一人残らず討たれるとは!」
 怪人軍団を蹴散らした猟兵たちの頭上から、嘆くような声が落ちてくる。見上げれば、廃ビルの上にタブレット頭の怪人がポーズを決めて立っていた。掲げたその手の中には、例の不気味なドールが握られている。
 つまりはこの怪人こそが今回の突飛なブームの元凶であり、人形頭の怪人たちをけしかけてきた黒幕だろう。
 今こそ傍迷惑な怪人を討ち、事件を終わらせる時だ!
神羅・アマミ
最近はオカルトと、ほら、死霊なんとかって映画のブームもあるし、「え!?その人形のフィギュアも出しちゃうの!?誰が買うの!?」みたいなこともあって…いや、キマイラでもそれが通ってるのかは知らんけど…あとなんで妾がいちいちフォロー入れとるんじゃろ。

そんなことより数には数で対抗じゃ!
コード『特機』発動でソードビットを召喚し、ドローンや人形を尽く粉砕してくれようぞ!
ついでに妹キャラぶっておくか。
「洗濯物同じにするなっていつも言ってんだろブチ殺すぞ!」とか「毎日風呂入れつってんだろ臭ぇんだよ豚!」とか罵声を浴びせながら攻撃。
奴の幻想を破壊できればよし、ご褒美と思いながら成仏できるならそれはそれでまあ…。



「だが私は、例え最後の一人になろうともこの崇高なる意志を貫かせて貰う! 見よ、この人形の愛らしさを!!」
 掲げた人形を見せつけるように屋上から飛び降りて来た怪人を飛び退ってかわしつつ、神羅・アマミはなんとも微妙な表情で首を捻った。
「最近はオカルトと、ほら、なんとかって映画のブームもあるし、『え!? その人形のフィギュアも出しちゃうの!? 誰が買うの!?』みたいなこともあって……」
 いや、それがこの世界でも通じるのかはアマミの知ったことではないが。実際一度は嬉々としてゲットしちゃっているキマイラがいた以上通じちゃったのかも知れないが。なんで自分がこんなことにいちいち親切にフォローを入れているのだろうかという部分にも疑問を覚えつつ、気を取り直してアマミは五十を超える数のソードビットを自分の周囲に浮かばせる。
「数には数で対抗じゃ! 行けーッッ!!」
 放たれたビットは次々に宙を舞い踊り、それぞれ合体して力を増しながら、怪人の放ったモニター付きドローンを……ついでにどこからともなく怪人が取り出してくる不気味な人形をも粉砕していく。さすがに愛らしい(と本人は評している)人形をバッキバキにされるのには心が痛んだのか大きく呻く怪人に、アマミは追撃とばかりにとっておきの上目遣いな妹ムーブで怪人に迫った。
「洗濯物同じにするなっていつも言ってんだろブチ殺すぞ! あと毎日風呂入れつってんだろ臭ぇんだよ豚!」
 上目遣いって言うか完全にガン付けだった。ある種リアルな罵倒と共にソードビットの乱舞に打ち据えられた怪人は、ショックかはたまた『それもまた尊し』の心なのか、天を仰いで肩を震わせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧ヶ峰・星嵐
その手にあるものは……さては呪いの人形遣いですね!?
え、あ、愛らしい……? いや、それはちょっと……ないです。

攻撃の意味は分かりませんというか攻撃なのかすら分かりませんが邪魔っけです!

桜幻朧・七変化! まとめて薙ぎ払います!
初期技能:怪力の女騎士の鎧に早着替え、月ノ輪を大剣に変形(武器改造)させて怪力で力任せにドロヲンを薙ぎ払い、数が薄いところを見切りダッシュでドロヲンを突破します

怪人に近寄ることができたら大剣の腹で殴打するように力任せの一撃

攻撃を防がれても全力で殴り飛ばしたら建物から落ちそうです……ね、狙い通りです! 悪は滅びました! あ、まだ生きてました……しぶといですね!



「その手にあるものは……さては呪いの人形遣いですね!?」
「呪いとは失礼千万! この愛らしさを見て分からぬなら、たっぷりと布教するより他ないようだなッ!!」
「え」
 先ほど食らった何らかの衝撃から立ち直った怪人の即答に、霧ヶ峰・星嵐は真顔でフリーズした。いや、だってほら、目が合うだけでも呪われそうな顔だしその人形。夢に出てきそうなその造形からつついと目を逸らしつつ、星嵐は両手を『NO』の形に持っていく。
「あ、愛らしい……? いや、それはちょっと……ないです」
「何とぉッ!?」
「すみません、全く分かりません……あとその攻撃の意味も分かりませんと言うか攻撃なのかすら分かりませんがとにかく邪魔っけです!」
 後半をワンブレスで言い切るなり女騎士の鎧に一瞬で装備を切り替え、同時に大剣と化した月ノ輪を構えて、星嵐は一直線に走り出す。駆ける勢いをも乗せた怪力のひと薙ぎが、群がるドローンを力任せに払い散らした。ちらと視線を巡らせ、最も効率的なルートを見切って更に前へ。それでもドローンの何機かはうるさく動画を再生しながら突っ込んできたが、その全てを無視して星嵐は怪人の横合いに迫る。
「覚悟!」
 刃で斬るのではなく、敢えて幅広の剣の腹で見舞った全力のスイングが、怪人の胴を確かに捉えた。強かに殴り飛ばされて宙を舞い、二、三度バウンドして地に横たわる怪人の姿に、星嵐はぐっと拳を握って。
「よし! 悪は滅びました!!」
「ま、まだだ……我が愛、我が信念は、この程度で折れはしない……!」
「しぶといですね!!」
 ドローンのアームに半ば引っ張り上げられるような形で立ち上がってくる怪人に、思わず星嵐は叫ぶ。どうやら、諦めの悪い怪人を撃破するにはまだもう少しかかりそうだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴木・志乃
即UC発動
【精神攻撃、マヒ攻撃、全力魔法】
その迷路頑張って抜けてどうぞ
まあ妹と一緒なら大丈夫ですよね! 貴方の業界ではご褒美!
『訳:お前ガチメシマズ(体壊すレベル)妹でも同じこと言えんの?』

あっ私は妹とラブラブするんでその料理は拒否します
【オーラ防御】常時発動
私の理想の妹は健気わんころ系ですね
あれやってみるーこれやってみるー頑張るー
よしよしいいこいいこ、みたいな

なんかここ大変みたいだからあんまり近寄んないようにしようか
さっさとおいとましようねーおうちかえったら何するー?
そーかそーか、いやー本当かわいいなあ(なでなで)



 しぶとく立ち上がる怪人の姿を目にするなり、鈴木・志乃は『地獄を見ろ』と言わんばかりのいい笑顔で両手を打った。
 瞬間、どこかで大量の何かがひっくり返りぶちまけられる音と誰かの悲鳴が響き渡った――ような気がした。同時に立ち上がった迷宮を構成するのは、到底ヒトが口に入れて無事で済む類とは思えない異臭の漂う危険な厨房。ちょっとやそっとでは破壊できないであろうメシマズ迷宮の奥深くに向けて、志乃はぐっと親指を立ててみせる。
「まあ妹と一緒なら大丈夫ですよね! 貴方の業界ではご褒美!」
 笑顔に落ちる影が『お前それ体壊すレベルのガチメシマズ妹の厨房でも同じこと言えんの?』と雄弁に語っていたが、それは言葉にしないのが花というものだ。
 どこからか聞こえてくる怪人の絶叫は完全に聞こえないふりをしつつ、志乃は怪人のユーベルコードが見せる幻影の妹ちゃんにくるりと向き直って。
「なんかここ大変みたいだからあんまり近寄んないようにしようか」
 先ほどとは打って変わって穏やかな調子で幻影の頭をなでなでしつつ(そして同じ掌で絶望料理をやんわりと拒否しつつ)、そうして彼女は怪人が地獄の迷宮をどうにかこうにか突破するまでしばしの時間を余裕の表情で過ごすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
まあ、ご本人の「好き」を否定する気は御座いませんし、他の方に押し付けないのであれば問題ないと思いますが。
「嫌い」を押し付け、他者の「好き」を否定するよりマシとはいえ、放置は出来ませんねぇ。

【白翼衣】で飛行、一気に『刀』で斬り込みますぅ。
何やら妄想で自己強化される様ですので、【白翼衣】の速度に[2回攻撃]を乗せ、更に『FRS』『FSS』で追撃を行い、「妄想する時間」を与えず、また妄想し始めたら中断させられる様にラッシュを仕掛けましょう。
途中で妄想を成立させられても、回復効果が無い以上は、そこまでのダメージが蓄積しておりますし、攻撃を重ねてそのまま押し切りたいところですぅ。



 ようやく地獄の迷宮を脱出し、再び猟兵の前に姿を見せた怪人は、既に満身創痍の様相だった。ぜえはあと肩で息をしながらなおも大事そうに人形を握り締める怪人を前に、夢ヶ枝・るこるはゆるりと首を振る。
「まあ、ご本人の『好き』を否定する気は御座いませんし、他の方に押し付けないのであれば問題ないと思いますが」
 自分の『嫌い』を他者にまで押し付けようとする輩より幾分マシとは言え、これはこれで迷惑な手合いなのは間違いない。オブリビオンはここで討たねばと心を決めて、るこるは豊穣の女神に祈りを捧げた。
「《大いなる豊饒の女神》の使徒の名に於いて、その証たる衣を此処に」
 柔らかな乳白色の輝きが、彼女の祈りに呼応してその豊かに実った肢体を包み込む。一気に強化された肉体で強く地を蹴り、るこるは文字通り『飛び立った』。今はただまっすぐに、『仕事』の目標だけを見据えて、女神の使徒は空を駆ける。
(「妄想で自己強化を行う相手なら、その暇を与えないだけです!」)
 両手で人形を捧げ持ち、瞑想のような気配を漂わせ始める怪人に向けて斬り込めば、確かな手ごたえが掌に伝わる。慌てて身構える怪人より、なおもるこるの方が速かった。刃を一度引く彼女の周囲で浮遊していた砲台群が一斉に怪人の方を向き、純白のビームを情け容赦なく撃ち放つ!
「な――」
 刃に食らい付かれ、光条に焼かれながら、それでも怪人は何かに呼びかけるように人形を持つ手に力を込める。ある意味感心しそうになりながら、るこるは終わりを告げるように両腕の携帯型固定砲台の照準をそこへ合わせた。
「そろそろ、限界なのではありませんか?」
 瞬間、光が視界を塗り潰す。吐き出された最大出力のレーザー砲が、怪人を飲み込んだのだ。たとえ怪人が仕掛けられた攻撃のラッシュに耐えて自己強化に成功していたとしても――既に相当なダメージを負っている彼に回復手段がない以上、押し切られればそこまでだ。
 光が晴れたとき、既に怪人は跡形もなく消滅していた。ただひとつ、形見のように残されていたボロボロの人形を拾い上げ、るこるは小さく言葉を零す。
「これで……さよなら、ですぅ」
 呟きを拾うように、風が人形街を吹き抜けていく。怪人の野望は、かくしてここに打ち砕かれたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年10月03日


挿絵イラスト