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清算できないもの

#ヒーローズアース #猟書家の侵攻 #猟書家 #パストテイラー #ダークヒーロー #『シーカーボーイ』ロバート・ノット

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#ダークヒーロー
#『シーカーボーイ』ロバート・ノット


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●お金で買えるものならば
『ねぇねぇ! お金いっぱいとってきたよ! これでみんな帰ってくるかな?』
『さっすがお坊ちゃま! 覚えが早い! でもこれじゃあ全然足りませんねぇ』
『えぇ……そうなんだ……』
『大丈夫です、もっとたくさん稼げる手段がありますよ。あのですねぇ……』

「うわぁぁぁぁぁっ!」
 大声を上げ、毛布を跳ね上げ飛び起きる若い男。その全身は汗にまみれ、息は荒く乱れている。
 もう何度目だろう、この悪夢を見るのは。とっくに清算したはずなのに。いや、自分が勝手にそう思っているだけで、罪が消えることなどありはしないのか。
 シャワーを浴びようとベッドから立ち上がる男。その姿を、窓の外の闇から不気味な光を放つ目がそっと見つめていた。
「過去は消えないんですよ、お坊ちゃま……くひひ」
 その傍らには、男によく似た、幼い少年の姿があった。

●消せはしなくても
「あなたのメルでございます。本日はお集まりいただきありがとうございます」
 メル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)が集まった猟兵たちに人形焼きを配る。
「本日はヒーローズアースにて猟書家の後任と戦っていただきます。元となっているのは、元ヴィランのダークヒーローの偽物を仕立て上げスナークと名乗らせていた『パストテイラー』です」
 彼女自身は猟兵の活躍によって倒された。だが、例に漏れず数多くのオブリビオンがその後釜として同じ活動を行っている。これを止めるためにはオウガ・フォーミュラを倒すしかないということはアックス&ウィザーズにてすでに証明されていることだ。
「彼女の後を継いだオブリビオンによって、今回もあるダークヒーローの偽物が仕立て上げられようとしています。その偽物と猟書家後継をぶっちめに行ければ早いのですが、残念ながら彼らの居場所は予知することができませんでした。ですので皆様には、まず元となる元ヴィランのダークヒーローの方に接触していただきたいと思います」
 そう言ってメルは一枚の写真を取り出した。まだ10代後半程度だろう、金髪の爽やかな若い男だ。
「彼の名前はロバート・ノット。表向きは高校生であり、ダークヒーロー『シーカーボーイ』として活動しています」
 ところが、と言ってもう一枚の写真を取り出すメル。そこに移っているのは、10歳になるかどうか程度の金髪の幼い少年。
「彼はまだ幼いころヴィランとして活動していた過去があります。その時の名は『ロブ・キッド』。その名の通り泥棒や強盗を働いていました。どうもまだ善悪の基準もつかない頃に何がしかあって一家離散、そこに彼のヒーローとしての資質に目を付けた悪者にヴィランとして育成されてしまったようで」
 結局は逮捕されたが、年齢やそこに至る事情も考慮され、現在では保護観察に近い状態でダークヒーロー活動を行っているということだ。
「今でこそ彼は一般常識も身についていますが、捕まる前には色々やってしまったようで、そのことについて未だに夢に見ているようです。ただ、この深い後悔こそが我々にとってはチャンスともなります」
 ちょっと嫌なやり方ですが、と前置きし。
「敵が偽物を連れて現れるのは、本物がヴィラン時代に強く心に残っている場所。例えば初犯や最も大きな事件を起こした場所、あるいは更生のきっかけになった場所などですね。そう言った場所を彼から直接聞きだすことで、敵の居場所に当たりを着けることができます」
 彼の過去を抉るようなことにもなるが、こちらの意思が伝われば彼も過去と向き合うために協力を惜しまないだろう。
「場所が特定できれば、彼の案内で現地へ向かうことになります。見事正解の場所にたどり着ければ、そこで猟書家後継のオブリビオンと、再度闇落ちしたダークヒーロー……『スナーク』として生み出された『ロブ・キッド』の偽物と戦うことになります。偽物は猟書家としての力で作られた存在なので、倒せば消滅します。またオブリビオンの方は追い詰められると色々言って命乞いしてきますが、全部嘘なので聞かないでください」
 二人は同時に襲ってくる他、場所によっては一般人を巻き込み『スナーク』の恐ろしさを喧伝しようとするかもしれない。様々な意味で注意が必要な相手となるだろう。
「大祓百鬼夜行が終わり、大天使ブラキエルも倒れ、今こそまさに攻勢の波に乗っている時。この調子で猟書家やその後継者たちの野望を全て砕いてしまいましょう。それでは皆様、よろしくお願いいたします」
 メルはそう言ってグリモアを起動し、猟兵たちをロバート・ノット……ダークヒーロー『シーカーボーイ』の元へと送り出した。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。何気にヒーローズアースの猟書家シナリオは初めてだったり。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス(全章共通)……ダークヒーローと共に戦う』

 敵は元ヴィランのダークヒーローの偽物を操り再度闇落ちしたように見せかけ、それを『スナーク』と呼ぶことで恐怖と不信の象徴としようとしています。本物のダークヒーローと協力してそれを防ぎ、敵を倒してください。

 第一章ではダークヒーロー『シーカーボーイ』ことロバート・ノットと接触し、彼のヴィラン時代の話を聞いて敵の居場所を探してください。彼についての詳細は後述。

 第二章では猟書家後継の女オブリビオン『アン・ドール』との戦闘です。彼女はヴィラン時代のロバートの偽物を従えており、二人掛かりで攻めてきます。一般人を巻き込むのは望むところ、むしろ積極的にやりに行くくらいなので、その辺りにも注意してください。
 以下、ダークヒーロー詳細。

 ロバート・ノット(16) ヒーロー名『シーカーボーイ』 人間のダークヒーロー×サバイバルガンナー。
 元々は裕福な家の子だったが、幼いころ家が破産し一家離散、その際一人彼の元に残ったメイドによってヴィラン『ロブ・キッド』として育てられた。最初はコソ泥程度だったが徐々に犯罪がエスカレート、罪悪感なく強盗傷害や放火などにも手を染めていった。現在はそのころの経験を活かし、『大事なものをどこに隠すか』『犯罪者はどこに隠れるか』『どのようにすれば効果的に犯罪ができるか』というヴィラン側の視点から犯罪を読み解くダークヒーローとして活動している。
 アースクライシス時は基礎教育中でヒーローとしてもヴィランとしても活動していないが、情報として何があったかは知っている。
 性格は良くも悪くも素直でやや精神年齢が低い。猟兵と直接かかわった経験はなく、どこか別世界の事の様に思っている。

 それでは、過去を断ち切るプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『ダークヒーローの過去を探れ』

POW   :    ダークヒーローの現在のヒーロー活動に協力しつつ、話を聞く

SPD   :    ダークヒーローに接触し、言葉巧みに話を聞き出す

WIZ   :    ダークヒーローの過去を調べあげ、刺激しないように話を聞く

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……僕に何か用?」
 突然の訪問者を出迎えた金髪の若い男。実年齢以上にどこか幼さを感じさせるその顔は、睡眠不足でもあるのか多少疲れているようにも見える。
 見知らぬ訪問者を警戒するような素振りは見せるものの追い返さず応対するその姿勢が、その特殊な経歴から来る彼の性格の現れだということを猟兵たちは知っている。
 彼の名はロバート・ノット。ダークヒーロー『シーカーボーイ』であり、ヴィラン『ロブ・キッド』であった者。
 逮捕から更生を経てもなお清算しきれぬ過去に悩まされる彼だが、その過去が現実に牙を剥こうとしていることを彼はまだ知らない。
 それを防ぐためには彼の協力が不可欠であり、そのためには彼の過去の最も深い傷を抉りださなければならないのだ。
 猟兵よ、彼に文字通り過去との『対決』の時が来たことを伝え、共に立ち向かう仲間となるためその過去を聞き出すのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
事情は人それぞれですからねぇ。
参りましょう。

内容上、あまり他人に聞かれたくない話も出るでしょうし、敵に見張られている可能性も有りますから、人の居ない場所でロバートさんに接触を。
まずご挨拶をした上で事情を説明しますぅ。

「私は当事者では有りませんから、ロバートさんの『事情』や『感情』等を『推測』することは出来ても『体感』は出来ませんし、過去の事情について何か言う気も有りません」
「ただ、貴方がその為に『なしたいこと』が有るなら、力を貸すことは出来ますぅ」
そう告げた上で、改めて『ヒーロー』としての彼に『仕事としての協力』を要請、『貴方がこの相手なら何処を選ぶか』を尋ねますねぇ。



 突如として自分の前に現れた謎の来訪者。その相手は猟兵だと名乗り、自分が今猟書家という大物オブリビオンの標的となっているということを告げてきた。その猟兵、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、ロバートを彼の自室から連れ出し人気のない場所へ移動するよう促す。
「事情は人それぞれですからねぇ。参りましょう」
 いかにロバートが子どもっぽいところがあり常識がやや薄いとはいえ、ヴィランだった過去を持つ者。突然現れた見知らぬ人間の言うことをいきなり聞くほど純粋ではない。
 怪訝な顔をする彼に、るこるは冷静な声となって続けた。
「私は当事者では有りませんから、ロバートさんの『事情』や『感情』等を『推測』することは出来ても『体感』は出来ませんし、過去の事情について何か言う気も有りません」
 るこる自身他人の事情に寄り添ったり、無暗に同情したりするのはあまり得意な方ではない。なればこそ、彼の過去を無意味に糾弾したり過剰な慰撫をするつもりもない。口先だけの言葉や強引な魅了で相手を乗せるならあるいは出来るかもしれないが、今はそれが必要な場面ではないことも分かり切ったことだ。
 故に、今必要なのは彼の意思をはっきりと固めること。
「ただ、貴方がその為に『なしたいこと』が有るなら、力を貸すことは出来ますぅ」
 なしたいこと。それが何を意味するのか。できたと思っていた、けれどできていなかったかもしれない、それについての心当たりは十分すぎるくらいにある。
「……代わりにレポートを書いてくれる、とかじゃないよね?」
「お望みならそちらでも?」
 精一杯の強がりの軽口、それさえも返されて、ロバートは諦めたように一度息をつく。
「分かったよ。場所を変えよう。こういう時の短いミーティング用の場所があるんだ」
 そう言ってロバートは、るこるを連れ街中にある一件のビルの中へ入っていった。

「……つまり、その猟書家ってやつが僕の偽物を作って悪事をさせて、ダークヒーローの信用を落としてまたアースクライシスやジャスティス・ウォーみたいなことを起こそうとしていると……回りくどいね」
 彼の身柄を預かるヒーロー組織が管理する一室で、ロバートは改めて今回の事態の説明を受けた。
「彼らには力と手数がありますので。同じようなプランを一つ潰すのに猟兵が総力を挙げて半年かかったと言えばお分かりになるでしょうかぁ」
 一見すれば馬鹿げた計画でも実現させてしまう力がある。それが猟書家なのだと、るこるはロバートに告げる。
「その上でロバートさん……いえ、『シーカーボーイ』さんに『依頼』をします。『貴方がこの相手なら何処を選ぶか』、見極めて頂きたいのです」
 ダークヒーロー『シーカーボーイ』。ヴィランとして育てられ、その視点から敵の行動を割り出すことに長けるヒーロー。その彼に『仕事』として依頼を入れることで、るこるは彼のスイッチを入れようとした。
「……まず、目立つのが最優先なんだよね。それなら初犯の場所はまずない。本人もちゃんと覚えていないようなケチな泥棒だからね。せいぜい下手なコスプレ野郎と思われて終わりさ」
 顎に手を当て、考えながら言うロバート。自分の過去を自分で抉りながらの言葉は、しかし淀みがない。その姿は、今の彼がダークヒーロー『シーカーボーイ』となっていることの証左だろう。
「それから捕まった場所もないね。金持ちヒーローの邸宅だよ。目立つには最高だがセキュリティが厳しすぎる。後を続ける計画のターゲットとしてはハードすぎるよ……使い捨てるならともかくね」
 最後の言葉は、そこに押し入り捕まった自分に向けてのものなのだろう。
「悪としての復活を誇示したいなら、行うべきは清算、もしくは復活ショーだ。言った通り清算は難度が高すぎる。つまり……」
 彼がコソ泥の子どもではなく、警察やヒーローに目を付けられる『ヴィラン』としての栄光を得た……つまりは大きな犯罪を行った場所での復活祭。
 その答えを出す姿に、るこるは彼が『シーカーボーイ』として過去と立ち向かい始めたことを確信するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
任務にかこつけて、美味しそうなお話を聞き出せるのは猟兵としての特権だよね。

「じゃあ、過去に起こした大きな事件を教えてもらえるかな?」
話を聞きながら、並列で報道などの客観的な情報も収集しておくよ。
なるべくたくさんのお話を聞きたいな。話を拡げつつ、記憶を刺激して複数の事件の話を聞くよ。

「さすがだね。主観的な意見だけでなく、客観的に分析してるんだね。」
「じゃあ、このなかで復活を印象づけるのに一番適してるのはどれだろう。」



「任務にかこつけて、美味しそうなお話を聞き出せるのは猟兵としての特権だよね」
 ロバートのいるミーティングルームへとやって来たアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)。他人の話を『好物』とする彼女にとって、こういった一件は通常以上に実入りが多いもの。それ故彼女は意気揚々と彼に過去の話を訪ね始めた。
「じゃあ、過去に起こした大きな事件を教えてもらえるかな?」
 別の猟兵によって、敵が現れるのは彼にとって最も大きく、印象深い犯罪を行った場所だろうということは聞き出された。ならばその具体的な場所はどこなのか。次はそれを本人の話から確定させなければならない所だ。
「……まず、一番盗んだ金額が大きいのは二年前の銀行強盗だ。このころになっているとやり方にもだいぶ慣れてきたから、無駄な作業をせず現金を奪うことができた。その手口はヒーローにすら鮮やかだって褒められたものだよ」
 もちろん皮肉だろうけど、そう言って肩をすくめるロバート。
「へぇ、いわゆる全盛期ってやつ?」
「どうだろうね。まあ怪我人なし、時間も短い、金額も大きいと、ある種の理想形ではあると思うよ。それから、目立つと言えばテーマパークの襲撃かな。この時は複数のヴィランが協力態勢でやったんだけど、僕はその時に金品強奪を担当したんだ。目立ちたがりのリーダーがわざわざ参加したヴィラン全員の名前を出していったからね、僕もしっかり名簿入りさ」
 いわゆる愉快犯、自己顕示系のヴィランの計画に乗った形なのだろう。あるいは、普通の少年期を送れなかった彼なりの『遊び』だったのかもしれない。
「なるほどなるほど。ヒーローがチーム組むのはよくある話だけど、ヴィランがやっちゃいけないってルールはないもんね」
「あってもヴィランなら破るさ。その時のリーダーもそんなことを言ってたよ」
 相手の話を膨らませようと、言葉が切れるたびにつついてみるアリス。それによって彼の記憶は刺激され、追加の情報も少しずつ出てくる。
「それから……僕が初めて他人から『ロブ・キッド』と呼ばれた事件だ。郊外の宅地にある邸宅への押し込み強盗だよ。事件の規模としては一番小さい、はっきり言って今も世界のどこかで起こっていそうなものさ。その時やったのは家人を縛り上げて家にあるお金を取って、家に火をつけた。ただそれだけ。名乗りは前からしてたけど、その事件が初めて新聞の片隅に乗ってね。そこで『ロブ・キッド』は全国デビューを果たしたわけだ」
「放火……ってことは、家の人は?」
「分からない。名前が知られたってことは少なくとも一人は生き残っただろうけど……その時はまるで気にしてなかった」
 心当たりがあるのはこの三件だ、とロバートは話を切る。
「じゃあ、このなかで復活を印象づけるのに一番適してるのはどれだろう」
 相手の目的は金ではなく、『ロブ・キッドの復活を印象付け、ダークヒーローの信頼を貶めること』。それを目的にして考えて欲しいと、アリスは彼に促す。
「そうだね……まず銀行強盗は、その時の手口が鮮やかすぎた。自分で言うのも何だけどね。手早く制圧して大量の現金持ってさっさとおさらば。これを超えようとするとよりスマートにやらなきゃいけないけどそれじゃイメージダウンには繋がらないし、より乱暴にやったところで腕が落ちたと見られるだけだ。僕個人のイメージならともかくダークヒーロー全体の印象を悪くするには弱い。テーマパーク襲撃の方も、僕がやってたのは混乱したショップ狙いの火事場泥棒だし、名簿の端っこに名前の載ってた脇役みたいなもの。色んな犯罪を網羅するための『泥棒担当』に過ぎない数合わせさ。こういう劇場型犯罪をでかでかとやりたいなら、僕の名前を使う必要がない」
 自分が起こした過去の事件と、その反証材料を述べていくロバート。そしてアリスは彼の話を聞きながら、自身も電脳ゴーグルを用いて当時の情報を検索していた。
(なるほど……言ってることに間違いや嘘はなさそうだね)
 その二件の犯罪は簡単に出てきた。確かにどちらも大きな事件ではあるが、テーマパーク襲撃に置いては彼の扱いは非常に小さく言った通り脇役扱い。銀行強盗は彼個人の犯行だが、確かに犯行自体がスマートな上その次の事件としてヒーロー宅に押し入り捕まっている。復活ショー、それもより悪質になってとしての題材としては不適当だ。
「さすがだね。主観的な意見だけでなく、客観的に分析してるんだね。ということは」
「そうだね。初めて僕の名前が知られた事件だ。これは『僕』でなきゃならないし、何より一つ確実に当時を超えられる結果がある」
「ふむふむ、つまり?」
「……言っただろ、『最低一人は生き残ってる』って。今はそこに別の家が建ってるはずだ。人も住んでるだろう。当時と同じ規模の家なら、一人暮らしはないんじゃないかな」
 家を襲い、今度は皆殺しにする。より悪辣となって復活の喧伝としては最高だ。
「……よし、分かった、行こう」
 答えは出た、ならばあとは行動するのみ。
「美味しいお話をごちそうさま。そのお題を払わせてもらいに行くよ」
 電脳ゴーグルの検索結果、その片隅にようやく見つけた小さな強盗事件の現場を確認しながら、アリスはロバート共に立ち上がり、ミーティングルームを出るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『ヴィランプロデューサー』アン・ドール』

POW   :    メイドに戦わせる気でございますかァ?
【全身の筋肉】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    守ってくださるんですか? さっすがご主人様ぁ!
技能名「【敵を盾にする】【武器受け】【取引】【恫喝】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ   :    今こそ目覚める時でございます
【邪悪な意思】を籠めた【視線】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【良心や自制心】のみを攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠メル・メドレイサです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ダークヒーロー『シーカーボーイ』ことロバート・ノット。彼の記憶と経験から推測されたその場所に猟兵たちが向かうと、果たしてそこにはエプロンを付けた女とフード姿の少年の2人連れがいた。
「……まさかと思ったけど、やっぱり君だったんだね」
「あれまぁお坊ちゃま、大変立派になられまして……感動で涙が出てきてしまいます」
 女はそう言って目を拭う仕草を見せるが、その顔は悪意に満ちた笑顔を浮かべていた。
「そう言えばここを燃やしたのもこのくらいの歳でございましたねぇ。その時は立派なヴィランになってくださると期待したのですが、どこで間違えてしまったのかクリーン路線に走った挙句取っ捕まってヒーローになど……アンは情けなく思いますよ、くくく」
 またも泣き真似をするアンと名乗った女だが、その顔に見える悪意は一層強まっていくばかりだ。それを見るロバートの顔は様々な感情がないまぜになっている。彼をヴィランとして育てたのは他ならぬ彼女の仕業なのだろう。あるいはその正体がオブリビオンだったことも考えれば、契機となった破産による一家離散さえもまた。
 同時に傍らの子どもが被っていたフードを取る。その顔は、ロバートをそのまま幼くしたような……在りし日の『ロブ・キッド』そのままの姿であった。
「さて、これより私は『ロブ・キッド』の再デビューをお手伝いしなければならないのですが……なに、ちょっと若返ってたって世間は気にしやしません。それよりも今度はきっちり関係者も皆殺しにして、しかもわざわざ名前残してった、そんな無茶なニュースの方をありがたがるもんです」
「知ってるよ。関係ないところを目立たせれば隠したいところは隠せるものだ」
 ロバートはアンを睨みつけるが、それを恐れる様子はアンは全く見せない。
「ちゃんと覚えておいでなんですねぇ、嬉しい事です。ああ、でも詐欺は教えてませんでしたねぇ。偽物を立てる時に一番邪魔になるのは本物の存在です。そういう時どうすればいいか? ……消しちまえばいいんですよ。ああ、ギャラリーも出てき始めましたね。町一個消すのはもうちょっと段階踏んでからにしたかったんですけど」
 騒動を察知し家から顔を出した周囲の住人を見渡しながら、アンは腕の筋肉を僅かに盛り上げ、傍らにいるロブ・キッドも銃を抜く。ロバートも応戦のため懐にあった銃を抜くが、その照準は何処か震えたままだ。
 猟兵よ、今を侵食しようとする過去を打ち払い、人々とダークヒーローの未来を守るのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
大当たり、流石ですぅ。
始めましょう?

『FBS』を四肢に嵌め飛行、【截相】を発動しますねぇ。
『FMS』のバリアは『装甲↑/回数↓』として戦場を覆う様展開し、逃走とギャラリーへの攻撃を防ぎましょう。
『FSS』は『装甲↑/射程↓』とし私とシーカーボーイさんの防護に、相手の攻撃に合わせ[カウンター]で『空間破壊』を行えば、問題無く防げますぅ。
『FRS』は『攻撃↑/射程↓』とし[砲撃]による攻撃の主軸に、敵方2名を纏めて[範囲攻撃]で狙いますねぇ。

シーカーボーイさん、お約束の通り、私が貴方の望む結果を齎す『力』になりますぅ。
貴方の知る『あの二人』を追い詰める『指揮』を下さいませ?



 ロバートの予想通りの場所にいたオブリビオン、アン・ドールとロブ・キッドの複製。
「大当たり、流石ですぅ。始めましょう?」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はそれだけ言うと早々に飛行、大量の浮遊兵装を並べアンたちを逃がさない構えを作った。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『消失の加護』をお与え下さいませ」
 そして即座に【豊乳女神の加護・截相】を発動、一部の能力を犠牲に兵装の全てを強化し、一気にそのまま攻撃にかかる。
 バリアを発動する円盤『FMS』は耐久を強化し、壊れぬ壁として周囲を完全包囲。さらには浮遊盾『FSS』を自身とロバートの周囲にとりわけ多く配置し、リアクティブアーマーのような形で自分たちを守らせる。
 そして射程を短くした砲台『FRS』を思い切り相手に詰め寄らせ、その代わりに強化した威力の砲撃を雨あられと降り注がせた。
「あだっ! や、こりゃひどい、どっちが悪党だかわかりゃしませんねぇ!」
 一切の躊躇ない砲の嵐に、アンは片手で顔を覆いながらもう片手を振り回し砲弾を追い払おうとする。一見すればただの悪あがきや無意味な抵抗にしか見えないが、それで曲がりなりにも攻撃を防げているということは彼女の実力が相当高いということの表れでもある。そしてそれは、それだけの力がありながら十年以上かけてロバートをヴィランとして育成した彼女のゆがみと執念の凄まじさをも物語っている。
「ああ、なんてひどい……お坊ちゃま、大丈夫ですかぁ?」
 アンはロブ・キッドをかばうように前に立つ。実際単純な実力は彼女の方が上なのだろうし、そうすること自体は作戦上不自然ではなさげだ。だが、事前に聞いていたアンの人物像からすればあまり似つかわしい行動とは言えない。
 それを察したるこるは、傍らに立つロバートに声をかけた。
「シーカーボーイさん、お約束の通り、私が貴方の望む結果を齎す『力』になりますぅ」
 ロバートではなくシーカーボーイと呼んだるこる。それはつまり、今の彼にダークヒーローとして共に戦うことを求めているということ。まるでその名前が何かの鍵であるかのように、ずっと銃を握りしめたまま戦況を見ていたロバートの手の震えが止まる。
「貴方の知る『あの二人』を追い詰める『指揮』を下さいませ?」
 そう言われてシーカーボーイとなったロバートは考える。ずっと強いアンがロブ・キッドを守っている。つまりアンはロブ・キッドをまだ死なせたくないということ。恐らく複製は、そう簡単に作ることができないのだろう。
 そしてもう一つ、かばわれているロブ・キッドだが、黙って守られてはいるがアンを気遣う様子は見せていない。もしあの年頃の自分が同じ状況にあったらどうするか。恐らくアンに縋りつき、その身を案じていただろう。その本心を知らぬあの時、自分にとって彼女は唯一残された身内だったのだから。
 何しろ10年以上の付き合いがあった相手と、複製とは言え自分自身なのだ。他のヴィランよりよほど考えは立てやすい。
 ロブ・キッドに明確な意思がないであろうこと、そしてその存在こそが武器であり彼女の泣き所にもなっているだろうこと。それをるこるに伝えるシーカーボーイ。
 そしてもう一つ、子どもをかばうことで自分の正当性をアピールし、周囲の同情を買おうとしているだろうことも。
「だから、とにかくロブ・キッドを狙えばアンはそっちに手を取られる。それで本気を出せば……」
「了解ですぅ」
 その指揮の下、FRSの砲撃をロブ・キッドの方に集中させるるこる。増えた砲撃をアンがまとめてかばって受けるが、流石にダメージが積み重なりすぎたか膝をつく。
「あー……メイドに戦わせるとか、なんてひどいヒーローさんでしょうねぇ!」
 少し荒くなった声と共に、アンの筋肉が大きく盛り上がり、倍以上の太さとなった腕がまとめて砲弾を叩き落とした。こうなればもう外見の取り繕いは不要とばかりに囲みを突破するべくFSSの方にも殴り掛かるが、それは兵装を空間ごと爆破することで押し返す。
「対象を切り替えて!」
「分かりましたぁ」
 短い指示の下、今度は攻撃をアンに集中させるるこる。必死にそれを防ぐアンの隙を突き、シーカーボーイは一歩前に出て大声で叫んだ。
「僕の偽物を作って揺さぶるつもりかい! 残念だけど、ロブ・キッドはあの日にもう死んだんだ! 今の僕はシーカーボーイさ!」
 分かりやすく堂々と言い、ロブ・キッドに向けて銃を放つシーカーボーイ。慌ててアンは膨れ上がった腕を振り回すが、敵味方の区別をなくしたかロブ・キッドを殴って突き飛ばしてしまい、シーカーボーイに向いた腕はFMSの壁が防ぐ。
「分かりやすいアピールは大事……君にそう言われたからヴィランネームを名乗るようになったんだよね」
 同じ顔を見せ状況を説明する、陳腐とも言えるアピール表現は、ことここヒーローズアースでは極めて効果的だ。
 そして思わぬ誤射に気を取られたアンの隙を突き、そのまま取り囲んだFRSが余計なことを言わぬよう沈黙させた。
 過去と対決するダークヒーローと、それを手助けしようとする猟兵。その構図を作り上げるという意をるこるは汲み、邪悪なる『スナーク』の復活劇を砲と爆発で塗り替えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛野・黒子(サポート)
「んー?戦いー?冒険ー?それともお祭りー?まぁやるかー。がんばるぞー」


ブラックタールのゴッドペインター×どろんバケラー、女性です。
普段はスライム状の不定形ですが、人間用の物を扱う時や何かしら人の姿の方がいいかなーと思うと女性の姿になります。
 普段の口調はおっとり

自身の体を軽視している節があり、ゴッドペインターとしての塗料は自分の体です。
また、自身の体を色々な姿に変えることができ、どろんバケラーと間違えられるようになりました。

行動方針としては、「いつの間にか関わったしー、まぁー、単純な作戦を立ててやってみるかー」
よくも悪くもあまり考えず行動します。

あとはおまかせします。よろしくお願いいたします。


テケリリケテルリリ・テケリリテケリャア(サポート)
『テケリャア!!!』
バイオモンスターのラヴクラフト神拳伝承者 × 四天王
年齢 102歳 女
外見 243cm 黒い瞳 赤茶の髪 白い肌
特徴 特徴的な声 声が大きい 実は美形 虐殺を生き延びた 奴隷だった
口調 テケリャア(私、呼び捨て、言い捨て)
お腹が減ると ケテルャア(私、呼び捨て、言い捨て)
常に飢餓感に苦しんでいます
てけりゃあ叫んで捕食したり怪力任せに潰すのが得意です
不定形の化け物として描写してください
連携歓迎です



 更生したダークヒーローの再闇落ち、それを『スナーク化』と名付け喧伝しようとした猟書家パストテイラーとその後継者たち。ここで『ロブ・キッド』を復活させようとしたアン・ドールもその一人である。彼を文字通り一から育て上げた彼女はその複製を操りその目的を果たそうとしたが、猟兵に助けられた本人の乱入によって計画の危機に立たされていた。
「ち、猟兵が出張ってきましたか……面倒ですねぇほんと」
 吐き捨てるようにいうアン。元より本来この任を負っていた猟書家であるパストテイラーが倒されているのだ、確かにあり得ることであったが、まさか始める前から察知され、本人まで連れてこられるとは。
 ともあれ敵が大挙してくる、ということはもうわかった。ならば近づいてくる相手に注意せねば……そう考えていたアンの足元に、不定の粘液が湧きだした。
「また来ましたかぁ? どこです!?」
 敵の攻撃か。一旦跳び退ってそれをかわすアン。だが、ロブ・キッドの足元にもまた別のヘドロのような液体が湧きだしていた。
「ぼーっとしてんじゃないですよお坊ちゃま!」
 アンの指示に従ってヘドロのようなスライムから離れるように飛びのくロブ・キッド。見た目からして敵はこういったものを使うのが得意な相手か。
「隠れてこそこそと……汚い奴ですねぇ、文字通り」
 町中のどこかに隠れての遠隔攻撃か。そう思ったアンは周囲に視線を巡らせ、その目を輝かせる。
「こんなクソ汚い力持ってやがるんです、一緒にやりませんかねぇ?」
 怪しく輝く瞳から放たれるのは、見つめた者の良心や自制心を破壊する悪の視線。もし猟兵をこちら側に引き込めればダークヒーローどころではない大金星、そうでなくとも敵対者の動きを止められればよいと、その視線を巡らせ続けるアン。
 だがその間も、足元の粘液二つは自身とロブを追い回して来る。さっさと相手の心を侵し、この動きを止めねば……そう思い敵の姿を探し続けるが、粘液の動きが鈍る様子もなく敵の姿も見つけられない。
「あー……どこにいやがんですかねぇ粘液使いさん!」
 焦れたように言うアン。その答えは、足元から聞こえてきた。
「んー? 戦いー? 冒険ー? それともお祭りー? まぁやるかー。がんばるぞー」
 それに応えたのは、ずっと二人を追い回していた足元のスライム。案の意識がした縫剥くと同時にその粘液が立ちあがり、女性の姿を取った。
「……ずっとヘドロの化け物って言われてた。……わたしってなんなんだろーねー」
 その粘液は攻撃などではない。それこそが、この場に駆けつけた猟兵愛野・黒子(ブラックタールらしきもの・f13343)であった。黒子はヘドロ状の自分の体を活かし、攻撃効果に擬態してアンに忍び寄っていたのだ。
 そして人型となって立ちあがった黒子は再びその姿を崩しながら、アンに向かって押し倒しをかける。自らの体を塗料としてゴッドペインターとしての力を使い、辺り一面を自分の領域に染め上げるその姿はブラックタールか、それともただのヘドロか。
 塗料となったスライムまみれになったアンはその場から立ち上がり、ロブ・キッドに自分を引き上げさせようとする。だが、ロブを追っていた別の粘液がこれまた立ち上がり、津波の如く二人へ襲い掛かった。
「テケリャア!!!」
 謎の奇声を上げて襲い掛かる粘液。こちらもまた黒子の技の一部ではなくまた別の猟兵、テケリリケテルリリ・テケリリテケリャア(ロード・ケテル・f16871)、別称ケテルであった。バイオモンスターとしての不定の体を活かし、癒えない餓えと渇きのままに敵を喰らわんと捕食の体当たりをかける。本性を出したケテルはただの粘液ではなくその中に秘めた怪力をいかんなく発揮、アンとロブを押し倒して黒子が塗りつぶした領域の中へ強引に押し付ける。
 その領域では、下に敷かれた黒子が増した力で二人を包みその体を捩じ上げる。
「いつの間にか関わったしー、まぁー、単純な作戦を立ててやってみるかー」
「テケリャア!!!」
 そんなノリで実行された騙し討ち作戦だが、不定の体を持つという猟兵二人が偶然揃うという奇跡に裏打ちされたその作戦はアンの予測を大きく超え、その体を戒めた。
 アンはもがき、振り払おうとするが先の誤射の事もあって強すぎる力を使うのには躊躇する。結果として、隠し玉の筋肉すらも通じぬ不定の力の中、アンは粘液の中で溺れさせられていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
今回はグロ有
SPD

お坊ちゃまを利用するなんて強かなメイドね。
面白いわ。私に仕えてみない?

守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力を高め
『八艘後光刃』と【2回攻撃・早業】の18回斬りでロブを肉片に。
巻き起こる【呪詛・衝撃波】の嵐でアンの動きも鈍り
人質を取ろうとしても【ダッシュ・スライディング】で転倒させ
剣を突き付ける

命乞い? なら私のモノになりなさい。
それが貴女に残された唯一のハッピーエンドよ

【化術】で肉棒を生やして咥えさせ
【誘惑・催眠術】のフェロモンと【マヒ攻撃】同然の媚毒体液で
裏切る気すら忘れさせる

良い子には御褒美よ♥

とどめは種付けプレス♪
下のお口を肉棒で【串刺し・慰め・生命力吸収・大食い】



 予想外の場所からの奇襲に地に倒れたアンとロブ。まずはアンが自ら立ち上がり、ロブの手を取って引き起こす。その姿を、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は楽しげに見つめていた。
「お坊ちゃまを利用するなんて強かなメイドね。面白いわ。私に仕えてみない?」
 その誘いの言葉に、アンはまたもにやついた顔を作って答える。
「残念ですがお断りですねぇ。わたくしがお仕えするのは『スナーク化』したロブ・キッドお坊ちゃまだけでございまして」
 隙あらばスナークという言葉を出し、それを悪の象徴と印象付けようとするアン。活動の主体は彼女であり本当の所別段忠誠などあるまいが、それでも目的からすればロブを主役として立てておいた方が都合が良い。
 その答えに、ドゥルールは黙って『悲愴の剣』を構えた。
「受けるが良い……我が刃ッ!!」
 そのまま【八艘後光刃】で九連続の斬撃を放つドゥルール。狙うのはアンではなく、後ろに控えるロブ・キッド。容赦ない刃が小さな体を切り裂き、大量の鮮血を溢れさせる。
 苦悶の表情で崩れるロブだが、ドゥルールはそれでも容赦せず、さらにもう一度九連撃を用いる。アンが慌てて割り込もうとするが、過剰なまでに力を込めた大振りで衝撃波を放ってそれを押し返すドゥルール。その剣はロブの体をさらに抉り、肉を裂き骨や臓腑までもを穿ち深く切り裂く。
「なんなんですかねこいつ……そ、そこの人、助けて下さ……」
 残虐に過ぎるドゥルールの所業に怖気づいた仕草を見せ、ギャラリーに助けを求めるアン。だが、素早くその前に回り込んで足を払い、血を滴らせる剣をその眼前に滑り込ませて一歩でも動けばその目を抉るとでも言わんばかりにその動きを制した。
 それに恐怖したように後退るアン。もちろんこの動きは演技であり、逃げるふりをして適当なギャラリーを人質に取るつもりであっただけのこと。自分がやられたならともかく、仲間がどうなろうとそれくらいで怯える性格の彼女ではない。
「ど、どうか、命だけは……」
 だが同時に状況を好転させるためならくだらないプライドなど平気で捨てられるのも彼女の性格。アンは相手に隙を作るべく怯え切った顔を作り、情けなく命乞いをして見せた。
「命乞い? なら私のモノになりなさい。それが貴女に残された唯一のハッピーエンドよ」
 そのアンに、ドゥルールは悲愴の剣の代わりに自らの『槍』を突きつけ、それを口に含ませた。適当なところでそれを食いちぎってやろうと従うアンだが、ドゥルールも誘惑催眠術を全身から出し、その気を削いでいく。
 血だまりの中蹲るロブの片割れで行われる行為に周囲の目は恐怖に満ちている。一見すればそれはアンの目的が果たされてしまったかのようにも見えるが、その恐怖の対象はドゥルールでありアンである。血にまみれ顔を伏せているロブのことなど、ギャラリーは既に忘れていた。
 ことさら残虐に、見る影もないほどに彼を切り刻んだのはその存在自体をただの肉に変えてしまい、『復活したロブ・キッド』を消してしまうためか。遠くから見るロバートはそう考えるが、それが正解かは元ヴィランたる彼をもってしても推し量れはしなかった。
「良い子には御褒美よ♥」
 そのまま体制を入れ替え、アンに覆いかぶさってその体を貫くドゥルール。その状態でもアンは機を窺い続けるが、体と思考を麻痺させられている故か反撃に出られないまま。
 結局機会を見つけられずアンがロブの血だまりの中倒れるまで、その生命を啜る血濡れの隷属ショーは続くのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・フォーサイス
美味しそうなお話をいっぱい聞けて、お腹空いてきたな。実食といこうか。

あれ?なんかおかしな感じだな。良心と自制心を失うってこんな感じなんだ。いろんなことから解放されたみたいだ。ありがとう。食事に集中できるよ。

道の標識を変換して拳銃に変えるよ。拳銃をかまえて注意をひきつけてるところに、アンちゃんの後ろのアスファルトを杭に変えて遠隔操作で後ろから刺すよ。さらに拳銃を巨大な看板に変えておしつぶすよ。
卑怯?そうかもね。でも美味しそうなお話の前では無意味だね。ぼくはお腹が空いてるんだ。

あ、そうだ。これを言っておかなきゃ。ぼくは猟兵組織「秘密結社スナーク」のアリスだよ。


ベアトリス・ミラー
アドリブ・絡みOK

大きく胸元を開け、襟に大量の黒い羽根、無数のベルトが付けられラインを強調する黒いレザースーツのミラーよりグラマーな女が姿を現す。
「狡知の力が必要かい?」
長い黒髪を風に遊ばせ問いかけるのは狡知の堕天使ベリアル。
疑いようもない強さを持つが敵味方に何かする気分屋、嘘を交えて話す等扱いが難しい上に平然と淫らな事すら言ってくる。
「創造主に手を出してはいけないというルールはないはずだが?」
適当にあしらいながらアンスウェラーを持ち、戦闘に加わる。
(以前より力が増してここまで)
UCの進化に驚きつつも敵の動きを読みつつ残像を残した回避を行う。
「少しでしゃばりすぎだね」
狡知の遊戯は何を齎すか。



 元ヴィランであるシーカーボーイことロバート・ノットが抉りだした自らの過去。その話に基づいて向かったこの場所で、彼は己の過去と向き合い、そして戦った。
「美味しそうなお話をいっぱい聞けて、お腹空いてきたな。実食といこうか」
 完全な過去の清算という話を聞かされ、その実践のためにやって来た。これから始まるのはそのクライマックスだ。アリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)はその結末を『いただく』べく、ロバートと共にここへとやってきたのだ。
 そのアリスに、アンはにやついて視線を向ける。
「そりゃどうも……じゃあこっちの事情も汲んでくださいませよ」
 その言葉と共にアンの瞳がぎらついた。輝く瞳から放たれる視線がアリスを射抜き、その心の中にある良心や自制心を破壊していく。
 外見こそ変わらないが、その中では確かに心の変化が起こっている。笑顔が冷たく固まっていく、その様子からそれが如実に見て取れた。
「狡知の力が必要かい?」
 その姿を見て、ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)の傍らにいた女が軽い調子で言った。大きく胸元を開け、襟に大量の黒い羽根、無数のベルトが付けられラインを強調する黒いレザースーツのグラマーな女。彼女はベアトリスが【神世創造】で想像から創造した狡知の堕天使ベリアル。その創造の経緯からしてまさに無敵の力を持つが、一方でそれは想像に影響される故に不安定。自分で創造した存在ながら、その扱い辛さにベアトリス自身も持て余し気味な存在であった。
「そちらさんはぁ……もともとそーいうモンを持ってなさそうですねぇ。じゃさっさと消えてもらいましょうかぁ」
 アンは自身の腕を盛り上がらせ、ベアトリスとベリアルを纏めて殴り飛ばしにかかった。その大振りな動きはともすれば重傷を負ったロブさえ巻き込みそうだが、すでにあの重傷では助からぬと見切り一旦計画を棚上げにでもするつもりなのだろうか。その攻撃を、ベリアルは平然と体で受け止める。
「助けてあげているのだから礼が欲しい。創造主に手を出してはいけないというルールはないはずだが?」
 平然と淫らな事すら言ってくるのは知っていること。そしてこの態度を保ち続けられる姿勢こそが彼女の無敵を担保する想像力の元になる。それが分かっているベアトリスは適当にあしらいながら『アンスウェラー』を構え、その穂先をアンに打ち付けていた。
 そしてアリスは、その暴風を二人に任せ適当にやり過ごしつつ辺りにあるものを物色している。何しろ今の彼女は良心が壊れているのだ。興味のない敵の攻撃を他人に押し付けることに何の躊躇いもない。
「これにしよう。ぼくにかかれば、なんでも作れるよ」
 道路標識を引っこ抜き、【類推的手法による物質変換】によって拳銃に変える。元の大きさすら無視して縮んだその銃をアンに向け、ロバートにもともに銃を向けるよう促すアリス。
「撃てますか? お坊ちゃま……あなたをお育てしたこのわたくしを」
 この状況で過去の事を持ちだすアン。それに対し、ロバートは毅然とした態度を崩さなかった。
「撃てるよ。必要なら」
 そう言って引き金に指をかけるロバート。アリスも面白そうにその仕草を真似る。そして。
「あぎゃっ!?」
 アンの真後ろ、道路のアスファルトが杭となって隆起し、その体を貫いた。無機物を操作できる範囲は半径107メートル。わざわざ手元にある者だけで戦う必要はないのだ。そしてアリスは自分の拳銃を放り投げ、大きな看板に変えてアンの頭に叩きつける。
「卑怯な……あなたヒーローじゃ……」
「卑怯? そうかもね。でも美味しそうなお話の前では無意味だね。ぼくはお腹が空いてるんだ」
 自分の欲求のためなら卑怯だろうと躊躇はない。アリスをそんな精神にしたのは他ならぬアンのユーベルコードだ。良心を壊された者がどれだけ行動に躊躇いがなくなるか……隣にいるロバートはそれを身をもって知っていた。
「あ、そうだ。これを言っておかなきゃ。ぼくは猟兵組織「秘密結社スナーク」のアリスだよ」
 そして猟兵組織としてスナークを名乗ることも忘れない。相手の作るスナークのような美味しくない話は、この場でさっさと潰して奥に限るのだ。
「ぎっ……ロブ、お坊ちゃま……」
 たまらず見捨てようとしたロブ・キッドに助けを求めるアン。だがそちらも、動く前にベリアルが抑え込みに行っていた。
「少しでしゃばりすぎだね」
 傷だらけの子どもを躊躇なく抑えつけ、ベアトリスの前に差し出すベリアル。ベアトリスもアンスウェラーの穂先を躊躇なくそこに抉り込み、ロブにとどめを刺して行く。
 冷酷な行動とそれにためらいなく追従できた自分。邪悪な敵と良心を破壊された仲間、そして過去との決別を決意したダークヒーロー。それらに支配されたこの場に飲まれたか。あるいはそれを察してこうしたかもしれないベリアルの、狡知の遊戯は何を齎すか。
 悪が支配したが如きこの苛烈な場。本来ならばアンの領域とも言えるはずのその場で、彼女は完全に追い詰められていた。
「わ、わたくしが悪かったです、お坊ちゃま、どうかお許しを! わたくしがあなたの最後の家族ですよ!」
 這いつくばり、ロバートに許しを請うアン。この期に及んで家族などと言い出す面の皮の厚さは猟兵にとっては事前に聞いていた通りだが、果たして彼の心中は。
「……そうだね、僕は君を撃たない」
 すっと銃を下ろすロバート。その仕草に、アンは平伏したまま口の端を歪める。
「……必要がないから」
 その瞬間、巨大な無機物の嵐と光の穂先がアンを貫き、そのままその体を消滅させた。
 ダークヒーロー『シーカーボーイ』。その本領はヴィランの行動を読み解き、予想を立てること。後方で冷静に指示を出す事が己のヒーローとしての在り方。例えそれが己の過去と不可分の相手であろうとも。それ示し、彼はここに過去との決別を告げた。
 過去は消せない。だが、乗り越えられる。その過去の先に彼の『話』がこれからも続くことを、それぞれ物語に関わる身であるアリスとベアトリスは感じ取ったのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年06月21日


挿絵イラスト