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銀河帝国攻略戦⑧~光よりも速く撃て

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 ファントム・ガンマン――それは、かつて、広大な宇宙で凄腕ガンマンとして知られた男を複製した存在である。ガンマンに、元となった男の記憶はない。あるのは、その超絶技巧の銃の腕だけだ。

「……来るな」

 ガンマンは、ブリッジにただ一人船長席に足を投げ出して座っていた。行儀が悪い、と文句を言う者はいない。この帝国戦艦は、今はAIによる自動運転中だからだ。少なくともこのガンマンは、宇宙戦艦の操縦などできない。ただ、「突っ込め「止まれ」「自爆しろ」その三つの命令権があるだけ。
 ようは、用心棒だ。この帝国戦艦を沈めるには、同程度の宇宙戦艦かこのブリッジに侵入してAIを破壊するしかない。そんな侵入者を迎え撃つだけの簡単なお仕事だ。
 だから、思う。何者かが来ると、予感した。ならば、それは敵だ。その敵となら、ギリギリの戦いが楽しめるかもしれない――ガンマンの口元が、ニヤリと笑う。

 ガンマンは、待つ。敵を、己の全機能を使わせてくれる――強敵を。


「ふん、理解はできるがの。ならば、乗ってやるまでよ」
 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、鼻を鳴らし髭の中の口角を持ち上げた。猟兵としては褒められないかもしれない、しかし、理解できるのだ。戦う力を持つ者として、己の力を十全に振るいたいという欲求が。
「おぬしらには、帝国艦隊の前衛部隊を叩き、『解放軍』の援護を頼みたい。おぬしらに攻略して欲しいのは、ある戦艦じゃ」
 この戦艦はAIによる自動操縦なため、乗組員はいない。いるのは、用心棒役のガンマンが一人のみ。
「AIを停止させるには、ブリッジで停止コード……じゃったか? それを入れるしかないらしい。しかし、それを敵のガンマンもさせてはくれんじゃろう」
 ならば、ガンマンを倒して帝国戦艦を沈めるしかない。そういう、わかりやすいお話だ。
「思い知らせてやるとよい。その欲求を満たす対価が、何なのかの」


波多野志郎
さあ、存分に戦おう――どうも、波多野志郎にございます。
今回は銀河帝国の戦艦へ乗り込み、ファントム・ガンマンと戦っていただきます。

このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

細かいことは言いません、強敵と戦いたい方、お待ち致しております。
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第1章 ボス戦 『ファントム・ガンマン』

POW   :    ボムファイア
【ブラスター銃の最大出力放射】が命中した対象を燃やす。放たれた【ブラスター銃の熱線の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    クイックドロウ
レベル分の1秒で【熱線銃(ブラスター)】を発射できる。
WIZ   :    ブラストキャンセラー
対象のユーベルコードに対し【ブラスター銃の一斉射撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は麻生・大地です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ベラドンナ・ベルティネッリ
【アドリブ・共闘歓迎】
ひりつくようなギリギリの戦いをお望み?いいわ。乗ってあげる。

「私の糸とあなたの銃、どちらが早く命を獲るか、勝負といこうじゃない。」
【死の風(モルテ・ヴェント)】は敵と同じ早撃ちのユーベルコード。単純な早さじゃ負けてるかもしれないけれど、戦いはそれだけじゃないわ。
【野生の勘】【見切り】で被弾を押さえつつ、【早業】【クイックドロウ】【目立たない】で視認困難な斬撃を飛ばし続けるわ。


竹城・落葉
 強敵と戦いたい……か。我も元武将として、そうした欲求に満ち溢れる時がある。その気持ち、分からなくも無い。いいだろう。我で良ければ、勝負してやろう。最も、これは戦争だ。故に、貴様の首を討ち取るつもりで行くから、そのつもりでいろ。
 我は名物竹城を手に『支柱一閃』で切り伏せるぞ。【早業】と【フェイント】を駆使して着実に攻撃を当て、【2回攻撃】で更なる打撃を与えよう。相手の銃撃には【第六感】で照準や弾道を察知し、【残像】で避けるとしよう。戦闘中は冷酷な雰囲気を醸し出し、無表情で挑むぞ。元武将の斬撃、その身に受けるが良い!
 倒した後は、黙祷を捧げるとしよう。……戦争とは、悲しいものだな。


ユーリ・ヴォルフ
アドリブ共闘大歓迎です

たった一人でこの戦艦を守護しているというのか?
銀河帝国は強者揃いなのだな。受けて立つとしよう!

先に戦う仲間がいたなら様子を伺い敵の動きを学び
自身が先制であれば仲間へ情報を渡すべく身体を張って撃って出る

あれは受けきれない類の武器だろう
ならば紙一重で躱し接近する!
槍で軌道を逸らしながら負傷覚悟で突進し
【ドラゴニアン・チェイン】で足を狙い隙を作り
敵の動きが僅かでも鈍れば
【属性攻撃(炎)】と【ドラゴニック・エンド】を叩きつける
宇宙兵器は脅威だが、そんなものには屈しはしない
私も炎の使い手としての矜持があるのだからな!


セゲル・スヴェアボルグ
早打ち勝負か。ならば俺にも秘策はあるぞ。
まずは銃を構える。それに合わせて、当然相手も銃を構えてくるだろう。
そしたら槍を具現化して絶巓の帝で投げればいい。
何とも容易いことだなHAHAHAHA。
この銃は何のためにあるかって?当然、護身用だ。
だが、こちらの方が断然速いので、使う意味はないな。
……ん?まぁいいか。
いずれにしても、銃から放つ熱や炎で俺を倒そうなど考えが甘い。
そもそもだ、俺の早投げに勝てぬようでは話にならんぞ?
槍のストックはストレージいっぱいにあるから弾切れの心配はない。
存分にぶちかましてやろう。
とっとと倒して、自爆コード?停止コード?まぁどっちでいいが、何ちゃらコードを入力せねばな。


セリエルフィナ・メルフォワーゼ
ほんっと分かりやすい戦いだね。
こういうの嫌いじゃないよ。

西部劇、だっけ。
UDCアースで見たけど。
四の五の言わない。
【クイックドロウ】で早撃ち勝負といこうか。
最後に立っていた方が勝ちってことで。


須藤・莉亜
「強そうな敵さんだねぇ。楽しみだよ。」
さあ、存分に戦おう?

伝承顕現【首なし騎士】を使いデュラハンに変身して戦う。

足を止めず常に動き続けることを意識して動く。
衝撃波で遠距離からの攻撃で牽制、隙が出来たら懐に飛び込んで大鎌で攻撃。
狙いは腕、もしくは足。
急所への被弾じゃなければ、首を狙うのも考えとこう。

左手に持った首は【吸血】と【生命力吸収】を狙い、大鎌での攻撃で隙が出来た場合迷わず敵にぶつける。

「流石にこれは読んでなかったんじゃない?」
意表つけたら面白いよねぇ。


ヴィルジール・エグマリヌ
カジノ艦の長という肩書きを持つ以上
私だって艦乗りの端くれだ
何より此の世界の人間として
帝国の陰謀は見過ごせない
解放軍の援護心して引き受けよう

敵は銃の腕が自慢のようだね
目が慣れるまで早撃ちの技には
苦労させられそうだ
近くの仲間と連携を大切に

私は前線で仲間が好機を得る為の
時間稼ぎを行おう
沢山技を使わせることで
敵の隙やUCの使用法則が分かって
攻略の糸口になるかも知れない

使用するのは眠れぬ夜の揺籃歌
鋸をばらばらな軌道で嗾け
ガンマンを翻弄しよう
煩ければ自慢の銃で撃ち落としてご覧

近接戦になる時は拷問具たる
処刑用の剣で斬り伏せる
主に損傷している箇所を狙い
傷口を抉っていくよ

銃と剣、どちらが強いのか
私も興味があるな


セルマ・エンフィールド
こちらもそちらも命がかかっているというのに、楽しむ、とは……私には理解ができません。
もっとも、理解できてもできなくても、やることは変わりませんが。

形状や射出する物は違えど、私も敵も武器は同じく銃です。ですが、1人で私たち全員を迎え撃とうなんて輩の得意分野に乗る必要もありません。
早撃ちが得意なようですし、私は私の持ち味で対抗を。

ユーベルコードを打ち消す技はあれど、近接武器を受け止めるができる武器ではないでしょう、敵が近接武器を防ぐ手段は基本「避け」のはず。その動きを見切り、スナイパー技能およびスコープの視力によって遠距離から【氷の狙撃手】で他の猟兵の援護射撃を行います。


メンカル・プルモーサ
……ん、戦いを楽しむ……私にとっての知識欲みたいな物……?
んー……共感は出来ないけど…理解は出来る、かな……

まず、挨拶代わりに【精霊の騒乱】による氷雪の嵐……
……その後は……●ブラストキャンセラーが厄介……
【尽きる事なき暴食の大火】や【空より降りたる静謐の魔剣】、【煌めき踊る銀の月】等、意図的にUCを使った攻撃をして……●ブラストキャンセラーを誘って解析…
…ここぞというタイミングで●ブラストキャンセラーを【崩壊せし邪悪なる符号】で更にキャンセル……隙を作る……
その後は……【崩壊せし邪悪なる符号】を見せ札にして……圧力をかけるかな……
倒したら…停止コードを撃ち込んでお仕事終了…お疲れ様…?


秋月・信子
SPD行動

勉強だけが取り柄だと思っていた自身に秘められていた「射撃」という才覚
身を守るため、友人を守るため、銃を手にとったのは半月も満たない前だが、手に馴染み体の一部となったガンハンドリングがそれを物語っていたのだろう

ここでは骨董品扱いの愛銃とブラスター銃の激しい銃撃戦の中、そんな私を見てなのか『ファントム・ガンマン』 が手に持ったブラスター銃をガンスピンして挑発するのが見えた
(誘ってる…?)
突然の行動に彼の思惑は掴めない
けど…いつの間にか無意識にユーベルコード【早撃ち(クイック・ドロウ)】を発動する準備を私はしていた
彼がその気なら…『クイックドロウ6』で勝負よ…

・アドリブ、連携はお任せします


照崎・舞雪
あー、嫌だ嫌です嫌なんですよねぇ、そういう熱い奴。私、溶けてしまうのです。人間だから溶けないけど

ええ、この氷の槍をその熱線で撃ち払うのは簡単でしょう。でも貴方がしたいのってそういう奴なんです?
この槍の後に、とっておきを放つのです。それをなんとかしてみせるのが男って奴なんじゃないですか?いえ、知りませんけど(言いくるめ)

さぁ、貴方が挑むは全てを洗い流す海帝の憤怒
この星の海でなお、枯れることなく荒れ狂う原始の叫び
『万里呑み込む大海嘯(トライデント・アトラティカ)』!!


アシュリー・メイソン
一人だけ?
余程の強者ということね

【フルバースト・マキシマム】起動
この身に載せられたミサイルやロケット
全ての弾丸をファントム・ガンマンへ一点集中
標的へ向けて『一斉発射』するわ
リロード機能が間に合えば『2回攻撃』も視野に入れて
力を尽くしましょう

敵の攻撃が猟兵仲間に及ぶなら
積極的に庇いましょう
ちょっとやそっとの攻撃で崩れる程
あたしの機体は柔じゃない筈
存分に装甲を働かせたいの

一手、一手を放つ度に
懐かしい感覚が蘇ってくる
そうよ
これがあたしの本分

これ程の強敵との交戦なんて久し振り
嗚呼
出会えて光栄です、ミスタ
その腕に敬意を払うわ
けれど
譲る間合いは無いの

嘗てと違って
今のあたしには戦う理由がある
負けられないのよ


ベルリリー・ベルベット
戦争だなんてスケールの大きい話だこと
でもリリには関係ないわ
リリは楽しくショーができたら何だっていいの

光の線が出てくるだなんて面白い武器ね
お前も早撃ちが得意なの?
なら早撃ち勝負と洒落込もうじゃない
リリが使うのはナイフだけれどね

相手がクイックドロウを撃ってくるのに合わせて、風の『属性攻撃』の追い風で速さを増した【早撃ちシンデレラ】を撃ち込みましょう

早撃ち勝負、勝っても負けても楽しいものね

敵の攻撃はガードせずに、『見切り』や『ジャンプ』での回避に徹するわ

◆絡みやアドリブも歓迎です


ガロンド・ザザ
トンッと炎の模様を持つ子猫サイズの黒猫が姿を現す


子猫ジャねぇ…


姿で舐められるのはいつものこと
その眼光に殺意を込め相手を黙らせる

舐めているなら好都合
殺気に気付いたなら好敵手

飛び道具に肉弾戦
分の悪いカケは嫌いじゃねぇ
楽しげにシッポゆらり
態勢低く

目線は銃口に
頭は射撃予測

一呼吸

体の小ささと俊敏さを活かし
被弾面を最小に
床を
壁を
天井を
シッポの舵で急転換で駆け肉薄

毛皮が焦げようが
耳に穴が開こうが
怯みはしない

ちいさな闇の炎が疾走
気付けば懐から見上げる鋭い金瞳

オワリだ

大連珠を巻き付けた小さな猫手
だがその爪の鋭さは戦士のソレ
捨て身の一撃を全力で喰らわす




ぬう?停止コード?
…コレか?(ぽちっ
機械音痴




アドリブ連携歓迎


尾崎・ナオ
【拳銃早打ち】で仕留めるよ!(レベル分の1秒で【黒い拳銃】を発射できる)
「これ、見える~ぅ?」
相手を茶化しながら早打ち!技能【クイックドロウ28】も乗せて、高速の早打ちを仕掛けるよ!
弾薬が足りない?いやいや、大丈夫。拳銃自体が沢山あるから!同じ銃ちゃんと複数装備してるから!

あとは【ナイフいっぱい☆】も使って牽制していこうかなー。
こいつら、意思はあるんだよね?ちゃんと退いてくれると嬉しいんだけど!
ちゃーんと投げる前に【毒使い7】でしっかり毒を塗ってまぁす!
それを念力で【投擲7】!投擲フォームを使うって事で!



●生まれた意味
 ――帝国戦艦の中は、静寂に包まれていた。
「たった一人でこの戦艦を守護しているというのか? 銀河帝国は強者揃いなのだな」
 ユーリ・ヴォルフ(叛逆の炎・f07045)は、その戦艦の巨大さとこの船を守るのがたった一人の強者である事実に、感心したようにこぼす。
「いい船だが、もう少し遊び心がほしいけどね――」
 ふと、ヴィルジール・エグマリヌ(星海の一滴・f13490)が視線を上げる。そこが、ブリッジ入り口だと気付いたからだ。自動ドアは、当然のように敵である猟兵達に道を開ける。
 入ってこい――そんな意志が、感じられた。
「――カジノ艦の長という肩書きを持つ以上私だって艦乗りの端くれだ。何より此の世界の人間として、帝国の陰謀は見過ごせない」
 ヴィルジールは、迷わずブリッジへと踏み入る。そして、ブリッジの中心に立つ男を目にした。
 どこにでもいそうな、普通の男だった。顔立ちはいっそ爽やかと言っても良いだろう。笑ってさえいれば十中八九好感を抱く、人好きをする雰囲気がある。
 しかし、その場にいた猟兵達の感覚は悲鳴を上げていた。この男は危険だ、そう訴えるように。
「良く来たな、歓迎するぞ。解放軍」
「本当に一人だけ? 余程の強者ということね」
 アシュリー・メイソン(追憶・f09270)は、男から視線を外さずに言った。いや、正確には外せなかったが正確だ。だって、そうだろう――自分の眉間に銃口を突きつけられているような感覚があるのに、銃から視線を外せる者はそうはいない。
「ああ、俺一人だ。安心していい。俺を倒せば、この戦艦は止めるのは難しくない」
「強そうな敵さんだねぇ。楽しみだよ」
 須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)が小さく笑うと、男も似た笑みを浮かべた。
「そうだな、せいぜい俺を楽しませてくれ。俺に、生まれた意味を見せろ」
「……生まれた意味、だと?」
 セゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)の問いに、男――ファントム・ガンマンは腰のホルスターに下げたブラスターを叩いてみせた。
「俺はある伝説のガンマンのクローンでな。記憶は一切持っていないが、その腕前はオリジナルに匹敵するらしい……どうにも、実感がなくてな」
 ガンマンは、肩をすくめる。その笑みに、自嘲が混じった。
「何せ、生まれた時からソレができるんだ。努力もいらない、呼吸をするように、心臓が鼓動を打つように、誰よりも速く撃てるようになっている……こいつが存外、しんどくてね」
「…………」
 秋月・信子(魔弾の射手・f00732)は、無自覚にハンドガンに触れている。降りかかる火の粉を払うべくなし崩れに奪った銃を手にした際、信子は射撃の才能に開花した。望んで得たものではない、という意味では彼女と目の前のガンマンは似ていたのかもしれない。
「この俺は、オリジナルを越えたいのさ。そのための機会を、こうして待っていた。今の俺を超えなくては勝てない強敵――お前達を倒して、俺は俺の生まれた理由を手に入れる! そのために、戦えよ解放軍!」
「強敵と戦いたい……か。我も元武将として、そうした欲求に満ち溢れる時がある。その気持ち、分からなくも無い」
 ガンマンの血を吐くような言葉に、竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)が答える。世界には、血を流さなくては示せない『何か』があると、知っているから。
「いいだろう。我で良ければ、勝負してやろう。最も、これは戦争だ。故に、貴様の首を討ち取るつもりで行くから、そのつもりでいろ」
「ああ、そうだ! そうでなくては、意味がない!」
「ひりつくようなギリギリの戦いをお望み? いいわ。乗ってあげる」
 ベラドンナ・ベルティネッリ(ブラックドッグ・f02642)も言った。戦場で拾われ、傭兵として育ち、血に濡れた日常を生きてきたベラドンナにとっても、こんな生き方しかできない人間がいる事は、理解できた。
「ほんっと分かりやすい戦いだね。こういうの嫌いじゃないよ」
 セリエルフィナ・メルフォワーゼ(天翔ける一輪の君影草・f08589)も、ブラスターを手に笑って言った。
「西部劇、だっけ? UDCアースで見たけど。四の五の言わない。【クイックドロウ】で早撃ち勝負といこうか。最後に立っていた方が勝ちってことで」
「――ハハ、受けた」
 ガンマンもまた、ブラスターへと手を伸ばす。早打ちの体勢で、ニィと口の端を持ち上げた。
 戦いに身を置き、そこに意味を見いだせる者はガンマンの思考を理解できただろう。しかし、それが理解できない者もいた。
「こちらもそちらも命がかかっているというのに、楽しむ、とは……私には理解ができません。もっとも、理解できてもできなくても、やることは変わりませんが」
「…ん、戦いを楽しむ……私にとっての知識欲みたいな物……? んー……共感は出来ないけど…理解は出来る、かな……」
 セルマ・エンフィールド(終わらぬ冬・f06556)がため息混じりにこぼし、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)が小首を傾げる。
「戦争だなんてスケールの大きい話だこと。でもリリには関係ないわ、リリは楽しくショーができたら何だっていいの」
 ベルリリー・ベルベット(ルーナフラウ・f01474)は、サテンのリボンでおめかししたナイフを手に取った。
「光の線が出てくるだなんて面白い武器ね。お前も早撃ちが得意なの? なら早撃ち勝負と洒落込もうじゃない。リリが使うのはナイフだけれどね」
「ああ、構わん――速度で負けては、オリジナルを越えられん」
 挑戦を真っ向から受けるガンマンに、照崎・舞雪(未来照らし舞う雪の明かり・f05079)は首を左右に振る。
「あー、嫌だ嫌です嫌なんですよねぇ、そういう熱い奴。私、溶けてしまうのです。人間だから溶けないけど」

 ――猟兵とガンマンの間に、緊張が高まっている。

 互いに、わかっている。これだけの猟兵が揃ったのだ、おそらく戦闘時間は短い。だからこそ、その全てを込めようと両者は集中し――。

「これ、見える~ぅ?」

 尾崎・ナオ(人間のシーフ・f14041)が、黒い拳銃を見せた瞬間――戦いが、始まった。

●濃厚な刹那

 ――以下の攻防は、あまりにも短時間で行われた。その全てを、記していこう。

「――――!」
 ナオの拳銃早打ち(クイックドロウ)が、ガンマンへと放たれる。それに対してガンマンも熱光線銃で対応。銃弾と熱光線が、空中でぶつかり相殺された。ナオが弾切れになった銃を足元に落とし、次の銃を即座に構える。
 しかし、抜いた瞬間にはガンマンはそこにいない。地を蹴ったガンマンは、振り返らずに背後へ銃口を向けた。そこには伝承顕現【首なし騎士】(デンショウケンゲン・デュラハン)によって、デュラハンに変身した莉亜がガンマンの足元へと衝撃波を叩きつけようとしていた。
 しかし、ガンマンはその衝撃波をブラストキャンセラーで撃ち砕く。目だけで追っていては、追いつかない。視覚、音、空気の振動を感じる肌感覚、そして技術によって高められた第六感――それぞれが、高いレベルで融合しているからこその動きだ。
 そこへ、セリエルフィナもクイックドロウ。ガンマンのキャンセルと空中で熱光線同士が激突し――たった一発のみ、セリエルフィナの熱光線がガンマンの頬をかすめた。

「私の為に歌っておくれ」

 ガンマンへヴィルジールが複製した大量の愛用の処刑道具たるアンティーク鋸が、襲いかかっていく。ヴィルジールの眠れぬ夜の揺籃歌(ナラクニイタルベルスーズ)をガンマンは一つ、二つ、三つと撃ち砕き――ズサァ! と太ももを鋸の刃が削いだ。

「――ッ!!」

 その瞬間、ガンマンはブラスター銃の最大出力放射によって、自身の周囲を薙ぎ払う。炎が燃え上がり、床を炎上させる。

「HAHAHAHA」

 セゲルが、小さく笑ったのをガンマンは見た。理屈ではない、ガンマンは即座に床を蹴っていた。直後、ガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ! とガンマンへと、絶巓の帝(インペリウム・アブ・ヘイドプント)による突撃槍の雨が降り注いだ。セゲルにとって見れば、何も早打ちならば銃でなくてもいい。それだけだった。
 その槍の一本に、降り立つ小さな影があった。ガロンド・ザザ(ケットシーの破戒僧・f08046)だ。
 その子猫の姿で侮られるのは、いつもの事――ガロンドは、そう思っていた。しかし、ガンマンに油断や侮りはない。自身の目の前に立った敵なのだ、ましてやガロンドの殺気を前に、そんな勘違いは起こさない。
 ガロンドが自身に向けられた銃口に、全神経を集中させる。ガンマンのクイックドロウ、それを槍を蹴って回避する。的を小さくするために体の小ささと俊敏さを活かし、尻尾を利用した方向転換でガンマンへと迫った。
 毛皮が焦げようが、耳に穴が開こうが、怯みはしない――ちいさな闇の炎が疾走、気付けば懐から見上げる鋭い金瞳。
 ガロンドの大連珠を巻き付けた小さな猫手が、ガンマンの脇腹を切り裂いた。それでもガンマンは身を捻って、回避行動に出る。ナオが放った投げナイフを、ガンマンは曲打ちで撃ち落としていく!

「銃と剣、どちらが強いのか、私も興味があるな」

 そして、ヴィルジールが処刑用の剣を手に一気に間合いを詰めた。ガンマンはその剣の腹をガングリップで迎撃し、零距離の攻防を捌いていく。

「私の糸とあなたの銃、どちらが早く命を獲るか、勝負といこうじゃない」

 ベラドンナは、斬鉄線と血旋糸を刹那に放つ――ベラドンナの死の風(モルテ・ヴェント)だ。ガンマンは、鋼糸をブラスターで弾く。火花を散らし、鋼糸の軌道がずれた。

「大いなる海帝の憤怒を識れ!」

 舞雪が、魔法によって形成された水の三叉槍を放った。ガンマンは、それを見切って横へ逃れようとして――プツリ、と自身の背が切り裂かれ、阻まれた事を悟る。
 それは弾かれたはずの、ベラドンナの血旋糸だ。いや、弾かせたが正確か。全ては視界と意識から自分の次の一手を読ませないための戦術だった。

「ぐ、う!?」

 その時、ガンマンの動きが止まる。ここまで、たったの数十秒。濃厚かつ緻密な時間に、ようやく生まれた空白だ。だからこそ、舞雪は歌うように告げた。

「さぁ、貴方が挑むは全てを洗い流す海帝の憤怒。この星の海でなお、枯れることなく荒れ狂う原始の叫び――『万里呑み込む大海嘯(トライデント・アトラティカ)』!!」

 ゴォ! と舞雪が巻き起こした津波が、再び時間を加速させる。濁流に飲まれながら、なおもガンマンは足掻いた。名物竹城を手に、落葉が跳ぶ。

「元武将の斬撃、その身に受けるが良い!」

 表情無く、落葉の支柱一閃(シチュウイッセン)が放たれた。ガンマンは熱光線で迎撃するが、名物竹城の打撃を受けた熱光線は真っ二つに両断される!
 そこへ、ユーリが滑り込んだ。ガンマンは反射的に熱光線をユーリの腹部へと撃ち込もうとするも、ユーリはファフニールで強引に射撃の軌道を逸した。
 ジュ、と脇腹を熱光線がかすめるが、ユーリは構わない。

「宇宙兵器は脅威だが、そんなものには屈しはしない。私も炎の使い手としての矜持があるのだからな!」

 ユーリが放つドラゴニアン・チェインが、ガンマンの足を絡みとった。そして、ファフニールの刺突と共に、炎に包まれた竜がガンマンへ迫る! ガンマンは、ユーリのドラゴニック・エンドをブラストキャンセラーで迎撃した。
 ドォ! と破裂した炎が、周囲に舞い踊る。その炎にボッと穴が開いたと思った瞬間、ガンマンの肩を氷結の銃弾が貫いた――セルマの狙撃だ。
 早撃ちで勝てないのならば、己の土俵で勝つ。セルマの全神経を集中させた渾身の銃弾に、ガンマンが大きくのけぞった。
 そして、ついに莉亜の左手に持っていた首が、ガンマンの首元に噛み付いた。

「流石にこれは読んでなかったんじゃない?」
「が、あ……!」

 強引に、ガンマンは後退する。そこへ、アシュリーは全武装の一斉発射――フルバースト・マキシマムによって、その身のミサイルやロケット全ての弾丸をガンマンへと一点集中させ撃ち込んだ。
 爆発が、ブリッジを大きく揺るがした。爆炎と爆煙が、ブリッジを舐めるように広がっていく。その炎の向こうへ、アシュリーは敬意を込めて呟いた。
「これ程の強敵との交戦なんて久し振り。嗚呼、出会えて光栄です、ミスタ。その腕に敬意を払うわ。けれど、譲る間合いは無いの」
 ガンマンが、炎の中から揺らめきながら歩み出る。あの状況で正確に致命傷に至るものだけを選んで、相殺したのだ。体中はボロボロ、それでもガンマンの瞳は爛々と輝き、死んでいなかった。
「嘗てと違って、今のあたしには戦う理由がある。負けられないのよ」
「……だろうさ、俺も同じだ」
 ガンマンが、ブブラスター銃をガンスピンして挑発する。それに、信子が息を呑んだ。
(「誘ってる…?」)
 その意図を信子は理解できなかった。しかし、いつの間にか無意識にユーベルコード【早撃ち(クイック・ドロウ)】を発動する準備をしていた。それは、ベルリリーも同じだ。
「早撃ち勝負、勝っても負けても楽しいものね」
「ああ、どうせ一瞬だ。楽しもうぜ」
 ガンマンは、ホルスターにブラスターを戻す――次の瞬間、まるで時間が飛んだように、構えたブラスターの引き金が引かれていた。このファントム・ガンマンにして、過去最速の抜き打ち。それに、コンマ秒信子とベルリリーは間に合わなかった、そのはずだった。

「邪なる力よ、解れ、壊れよ。汝は雲散、汝は霧消。魔女が望むは乱れ散じて潰えし理」「――!?」

 引き金を、引いたはずだ。しかし、ここぞの瞬間を狙っていたメンカルの崩壊せし邪悪なる符号(ユーベルコード・ディスインテグレイト)が、ガンマンのブラスターを無力化していたのだ。
 これは速さではない、その刹那を狙ったメンカルの『読み』勝ちであり――。

「……ッ!」
「ダメよ、目をそらしちゃ」

 信子の早撃ち(クイック・ドロウ)とベルリリーの早撃ちシンデレラ(ダイイチエンモク)、鉛の弾丸とVirgin roadを受けて――ガンマンは、膝からその場へと崩れ落ちた……。

●死ぬ意味
「……戦争とは、悲しいものだな」
 黙祷を捧げ、落葉はため息をこぼす。ガンマンは、倒れたまま事切れていた。ただ、その表情が満足げな笑みであったのは――彼にとって、意味のある終わりであった事を示しているのだろう。そう、何故かすとんと胸の奥に落ちるように、納得できた。
 時間にすれば、数分に過ぎない攻防。だが、生き残った全員の精神が荒いヤスリで削られたような、鈍い疲労感に襲われた。短かったからこそ、精神のすり減りようが際立った。
「…後は停止コードを撃ち込んでお仕事終了……お疲れ様……?」
「ああ、自爆コード? 停止コード? まぁどっちでいいが、何ちゃらコードを入力せねばな」
 メンカルの言葉に、セゲルもそうコンソールへと視線を走らせる。ここでなら、この戦艦を止められるはず――だった。
「ぬう? 停止コード? ……コレか?」
 ガロンドが何の気なしに、コンソールに触れた瞬間だ。

『自爆モードが、起動しました。乗務員は十分以内に退避を行なってください』

 柔らかなAIの合成音声に、猟兵達は顔を見合わせ――全員が、走り出した。

 こうして、帝国の戦艦を舞台として行われた戦いの幕は下りた。最期に戦艦の爆発によって生まれた大輪の花も、ガンマンならば派手な弔いだと笑ってすませただろう。
 何よりも、これ以上に派手な展開が待っているのだ。猟兵達と銀河帝国の戦いは、まだまだ続く……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月09日


挿絵イラスト