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魂鎮メ歌劇ノ儀~胎盤と愛憎と厄祓桜

#サクラミラージュ #魂鎮メ歌劇ノ儀 #心情系

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#サクラミラージュ
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#心情系


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「愛してる。だから一緒に死んでくれる?」
 泣きじゃくる女は、赤黒く光る文化包丁を両手で握りながら、将校の男へ哀願した。
 だが、将校の男は首を横に振った。
「いい加減にしてくれないか? あの一夜の出来事は間違いだった。手切れ金も渡して、君も納得してくれたはずじゃないか」
「いやっ! お金なんかもういらない! ほしいのは、あなただけなの……!」
 女は将校の男の元部下だった。
 ある日、己の欲望を抑えきれなくなった女は、将校の男と二人きりになった折に飲み物に睡眠薬を混ぜ、男の寝込みを襲ったのだ。
 それをネタに、男の妻と子供へ嫌がらせを続けており、それが明るみになって女は逮捕。職も追い出された。
 一度は男の家庭と『和解』して、多額の手切れ金を女は受領していたのだが……。
 数日前、男の妻と子供が何者かに殺された。
 将校の男は女を疑い、すぐさま訪問したところ……。

「ええ、あたしが殺したの。だって、あたし、あなたとの子がお腹の中にいるから」

 女は当然だと言わんばかりに、あっさりと罪を認めた。
「でもあなたはきっと認知しない。家庭があるから。だからといって、今の私じゃ、この子を育てられない。全部、あなたに奥さんと子供がいるせい。だから殺して、身軽にしてあげたの」
「私の妻子を殺した君とは一緒になる気など毛頭ない! 君には罪を償ってもらうぞ! 今すぐ官憲に連絡して、君の身柄を拘束させるからな!」
 男が電話の受話器を上げ、警察へ連絡を入れる。
 その時、一瞬だが、男は女に背を向けた。向けてしまった。
「させない。あなたは、ここであたしと死ぬの。お腹の中の子供も一緒だから寂しくないわ。さあ、3人で末永く一緒に暮らしましょう? 死後の世界で、ずっと……」
 女が包丁を持ったまま、将校の男の背後へ飛び込んだ。

 数刻後、駆け付けた官憲は、血を流して死んでいる男女を発見した……。

「これが、今回の浄化対象である影朧の生前の経歴ですの」
 グリモア猟兵の蛇塚・ライム(その罪名は『憤怒』/IGNITE POP DiVA・f30196)は、グリモアベースに集まってくれた猟兵へ資料を渡した。
 まるで小説に登場するような痴情のもつれ、からの悲劇。
 この女が自殺し、強力な影朧となって出現するというのが今回の予知だ。

「この女性の影朧は強大さ故に、放置するとすぐさま『世界の崩壊』に繋がりますの。ですので今回、帝都桜學府は『魂鎮メ歌劇ノ儀』という名の儀式魔術を行いますわ。これに皆様は協力していただきたいですの」
 ライムいわく、これは『影朧の発生理由にまつわる歌劇を演じながら戦うことで、通常の戦闘よりもより強く、影朧を慰める事ができるという儀式』なのだとか。
「ですので、今回はこの資料に基づく歌劇を上演しつつ、戦闘をしていただきます。儀式に必要な『照明や放送機器』等の舞台装置は帝都桜學府が準備致しますわ。皆様は、『浄化対象の影朧が受けた悲劇の過去』に準ずるストーリーの流れに乗りながら『誰かの役』を演じてくださいまし。演技が素晴らしいほど、影朧の心を揺るがすことができますわよ」
 ただし、対象影朧への道程は険しい。
 影朧の女は、死産した自分の子供を無限増殖させて産み落としており、猟兵や一般市民を襲うのだという。その群れを歌劇を演じながら討伐して道を切り開かねばならない。
「対象影朧には、役を演じたままでもいいですが、猟兵の皆さん自身の言葉と想いをぶつけて刃を交えるのも有効ですわ」
 とにかく、影朧の女と心を通わせた上で撃破しなくてはいけないのだ。
 ただし、影朧としては強大ゆえ、油断はしないでほしいとライムは注意を促す。

「そうそう、影朧を撃破したあとが歌劇のクライマックスですわよ? 浄化されて完全に消失するまでの間、舞台装置も駆使して、美しい演出とねぎらいの言葉で、晴れやかな心で消えゆく彼女を送り届けて差し上げましょう! 幸い、舞台は彼女が悲劇を起こした白亜の桜館……今は旅館に改装されていますが、かつて彼女はここに住んでましたの。近くの小川に、幻朧桜の花びらで作った『花筏(はないかだ)』に厄を重ねて流すと浄化を早められますし、幻朧桜の樹の下で願いを誓えば、それが永遠の契りになるといわれてますわよ?」
 影朧の女の無念を晴らすための『小道具』として、活用することをお勧めする。

「彼女は間違ってしまいました。けれど、それを認めさせ、構成させることで浄化を図れる最大の好機ですわ。皆様、どうか、彼女を助けてあげてくださいまし?」
 ライムは猟兵達をサクラミラージュへと転送し始める。
 かくして、悲劇を追体験して影朧を浄化する『魂鎮メ歌劇ノ儀』が、今、始まる!


七転 十五起
 新しいシナリオフレームです。
 魂鎮メ歌劇ノ儀を行い、愛憎に狂った女の影朧を浄化してください。
 なぎてんはねおきです。

●概要
 今回は戦闘よりも心情を重視します。
(ですが、戦闘面を蔑ろにすると大失敗(🔴🔴🔴)判定となります)

 第一章は『悲劇を追体験するような歌劇』の中に登場する『誰か』を演じながら、影朧の女が産み落とす影朧の群れと戦ってもらいます。
 この影朧の正体は、生前の女が身ごもっていた赤ん坊です。
 肉体を無限増殖させて、群れをなして猟兵たちへ襲いかかります。
 どうか、彼らにも慰めの言葉を掛けてあげてください。

 第二章は、浄化対象の影朧『哭き女』との戦闘です。
 愛憎と苦しみ、或いは怨嗟を吐き出す影朧の女に対し、誰かの役を演じながら、あるいは演じることをせず猟兵自身の言葉で、影朧と語らいながら、戦いを進めていきましょう。

 第三章は、いよいよ歌劇のクライマックスです。
 思い残す言葉ないように、歌劇の舞台であり、悲劇の現場である『白亜の桜館』で影朧の女と一時を過ごしましょう。
 オープニングで言及したとおり、『花筏』を作って厄を小川に流す、桜の樹の下で誓い合うと、より浄化が早まります。
 もちろん、参加者様同士で花筏や誓いを交わすことも可能です。
 完全に浄化すると、影朧によって傷つけられた人がいれば負傷はすべて回復し、素晴らしいショウを見た街の人々の万雷の拍手が送られます。

 それでは、皆様の真摯な心情プレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『『廃棄物』あるいは『人間モドキ』』

POW   :    タノシイナァ!アハはハハはハハハハハハハハハ!!
【のたうつような悍ましい動き 】から【変異した身体の一部を用いた攻撃】を放ち、【不気味に蠢き絡み付く四肢】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ミてイルヨ、ズットズットズットズットズット……!
自身の【粘つくタールが如き何かが詰まった眼窩の奥】が輝く間、【歪んだ出来損ないの四肢】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    アソボうヨ!ネエ、ネエ、ネエ、ネエ、ネエ……!
【嫌悪や憐れみ 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【自身と同じ存在達】から、高命中力の【執拗な触腕による攻撃】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鹿村・トーゴ
傍からは女の執着だが女からしたら、なあ
忍びだから変装は出来るが芝居しながら戦うって難儀かも

女物の着物を頭から羽織り仕草や声も女に寄せ簡素に【変装】
手紙を破く動作+独白風に淡々と

『一夜のお情けで充分な筈だった
『家庭ある人だったもの
『困らせるつもりはなかった
『つれないあの人が私の事を考えてくれたら
『子供も出来たの奥さんと対等でしょう?
『もう家庭は壊したわ、私しかいないのに邪険にしないで
『愛しすぎたの
『嫌われるなら一緒に死んだ方が

幸せになれると?

演技の手紙に紛れ撒菱複数を【念動力で投擲/だまし討ち】UC発動
敵攻撃は【武器受け】で弾き避けず被弾も【激痛耐性】耐える

赤んぼに何の咎もねーのにな…

アドリブ可



 白亜の桜館には、今やヒトの形をかろうじて保った肉の塊の大群が蠢いていた。
 赤子のようなたどたどしい言葉を発するそれらは、聞いているだけで正気を削られそうだ。
「傍からは女の執着だが女からしたら、なあ……?」
 真っ先に駆け付けた鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は、目の前の地獄絵図に嘆息混じりに肩を落とした。
「忍びだから変装は出来るが、芝居しながら戦うって難儀かも……って、えっ? 化粧も衣装も用意してくれてるのか?」
 今回の『魂鎮メ歌劇ノ儀』は、帝都桜學府が全面協力を約束している。
 衣装や化粧はもちろん、演技指導も抜かりない。
 あっという間に、鹿村は『影朧の女の生前の姿』へ変装を完了した。
「おー……すっげぇーな? おいユキエ、見てくれよ。オレ、キレイか?」
『トーゴ、似合いすぎてて、ちょっと怖い……』
「なんだよ、それ……んじゃ、ちょっくら行ってくる」
『気を付けてね、トーゴ?』
 相棒の白い雌鸚鵡のユキエに見送られる鹿村は、女物の着物を羽織って、泣きそうな顔で肉塊の大群の中へ向かっていった。

「アソボうヨ! ネエ、ネエ、ネエ、ネエ、ネエ……!」
 肉塊が鹿村へ語り掛け、憐憫と嫌悪を向けさせようと試みる。
 だが、演技に没頭する鹿村は、周囲の影朧になど目もくれず、手紙を破る仕草をしながら独白し始めた。
「嗚呼、一夜のお情けで充分な筈だったのに」
 手紙をしたためては、またそれを破き捨てる。
「家庭ある人だったもの……困らせるつもりはなかったの」
 今度は書いた手紙を丸めて、ごみ箱へ投げる仕草をしてみせる。
「つれないあの人が私の事を考えてくれたら、そう思って、飲み物に睡眠薬を混ぜた……」
 すぅ……と着物の肩口を下ろし、鹿村は整った鎖骨を、遠くの影朧の女へ見せつける。 まるで、女がしてきたことを思い返させるように、悪魔的な妖艶さを醸し出しながら。
「逞しいあの御方に身を捧げて……幸せだった。あれ程までに乱れたのは、後先おいてあの時だけよ。寝込みを襲ったのはあたしからだけど、最後はあの人も自ら腰を振って悦んでくれたわ。あの時、確かに、あの人は私のものだった……」
 異形の肉塊の群れが、鹿村の演技を食い入るように見詰めている。
 それは、己が誕生する経緯を見せ付けられ、困惑と動揺を隠せないからだろうか。
「そんな愛し合った証……子供も出来たの、これで奥さんと対等でしょう?」
 遠くの影朧の女の目から、タールのような涙がボタボタと地面へ落ちる。
 肉塊の群れも、まるで自ら首を差し出すように鹿村の前へひれ伏すではないか。
「もう家庭は壊したわ、私しかいないのに邪険にしないで? だって、あたしはあなたを愛しすぎたの。嫌われるなら、一緒に死んだ方が……」
 ここで鹿村は言葉を止める。
 台本では、このまま悔恨を述べるシーンだが、鹿村は敢えて、遠くから異形の肉塊の群れを見守る影朧の女へ問い掛けた。
「……本当に、これで幸せになれるとでも、思ったのかしら?」
 影朧の女は、身体を大きく震わせ始める。
 それは怒りではなく、図星を言い渡されて後悔の念に耐えているようであった。
「もっと、あたしは別の方法があったはず。でも、当時のあたしは愛に狂い果てて……愛した人を、殺してしまったのよ……!」
 手紙を引き千切るようにな素振りとともに、鹿村は猛毒の撒菱を周囲にばら撒いた。
「千鳥砂嘴ひと刺し浅しニワトコに 天地五感を掠め狩る──千鳥庭(チドリノニワ)、師匠の真似事だが、こういう手合いにはうってつけだな?」
 既に、この撒菱は演技中に巻き続けていたのだ。
 手紙を破る動作、投げ捨てる動作……全てがユーベルコードであったのだ。
 だから、肉塊の群れが急におとなしくなっていたのだ――撒菱の猛毒により、ダメージと三半規管破壊による平衡感覚の崩壊をもたらされ、地面に伏すしかなかったのだ。
「赤んぼに何の咎もねーのにな……痛みは感じねーから、そのまま、ねんねんころりよ、おころりよってな?」
 溶解するように死に絶える肉塊の群れの中で、女形の鹿村の演技が一際輝いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
UC常時起動

…(激しい激情に震え
「大丈夫?ご主人サマ?」
問題ねーよ
ちょいとムカついてるだけです

将校役をやります
メルシー
女役

台本通りに演じながら


【戦闘知識・情報収集・視力】
影朧の群れの陣形と状況と位置の把握

【属性攻撃・スナイパー・浄化】
光属性による浄化光弾を砲撃兵装より発射して浄化

なぁ…なんでそんな奴に従ってるんだ
身勝手な道具にされて…
死んでまで巻き込まれて

お前だって生きたかっただろう
生まれたかっただろう…!

メルシー
【二回攻撃・切断・薙ぎ払い】
鎌剣での連続斬撃で薙ぎ払いでの殲滅

「生まれないって辛いよね…でも大丈夫だよ…メルシー達が君をちゃんと生まれるようにするからね?だから今は眠ろう?」



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は激怒した。
 影朧の生前の悲劇を知り、奥歯を噛み締めて全身を震わせている……。
「ご主人サマ、大丈夫……?」
 普段と様相が違うカシムに、相棒のメルシーが不安そうに眉尻を下げながら尋ねた。
 カシムは震える身体を更なる怒りで上書きして押さえつけると、肉塊の大群の奥で佇む影朧の女を睨み付ける。
「……問題ねーよ。ちょいとムカついてるだけです。それより、そのスッカスカな頭に台本の内容、キチンと入ってるんだろうな?」
「大丈夫だよ、ご主人サマ……!」
 いつになく真剣な態度のメルシーの手を取るカシム。
「行くぞ、メルシー……!」
 カシムは思いの丈をぶつけるべく、醜い肉塊の群れへとステップを踏んでゆく。
「なぁ……? なんでそんな奴に従ってるんだ? 身勝手な道具にされて……死んでまで巻き込まれて……!」
『アソボうヨ! ネエ、ネエ、ネエ、ネエ、ネエ……!』
 カシムの嫌悪や憐れみの感情に反応し、蠢く肉塊の群れが増殖を始め、触腕による攻撃を執拗に放ってくる。それをカシムは踊りながら、万能魔術砲撃兵装『カドゥケウス』の光弾で吹き飛ばしてみせた。
「お前だって生きたかっただろう!? 生まれたかっただろう……!」
 カシムは倍々に増えてゆく影朧の群れを、でたらめに光弾で打ち抜き始めた。
 しかし、カシムの言葉が、感情が、肉塊のユーベルコードのトリガーとなり、戦況が徐々に不利に傾いてゆく。
 奥で控える影朧の女も、不機嫌そうにガチガチと歯を鳴らみせる。
 対して、メルシーは鎌剣ハルペーの柄を振り回しながら、円舞を披露しつつ肉塊どもを刈り取ってみせた。死へと誘うダンスマカブルは、無邪気に這い回る醜悪なそれらを次々と削ぎ落としていった。
「生まれないって辛いよね……でも大丈夫だよ……メルシー達が君をちゃんと生まれるようにするからね? だから今は眠ろう?」
「おい、馬鹿、メルシー!? 後ろだ……!」
「へ……っ?」
 カシムの剣呑な声に、メルシーは演技を忘れてキョトンと呆けてしまう。
 その刹那、メルシーの後頭部に凄まじい衝撃が襲いかかり、少女の姿は軽々と弾き飛ばされて幻朧桜の幹へと激突した。
 メルシーは背中と頭を強打したことで、意識を手放してしまって起き上がろうとしない。
「おい、嘘だろ……!? 起きろ、メルシー! 起きてくれ!」
 何度呼びかけても微動だしないメルシーに、カシムが息を呑む。
 メルシーは2つのミスを犯した。
 ひとつは、カシム同様、肉塊へ憐れみの感情を抱いてしまった。
 これによって増殖速度がさらに倍化し、影朧の攻撃の手数が捌ききれなくなったのだ。
 もうひとつは、メルシー自身が役に入り込めていなかった点だ。
 今回の魂鎮メ歌劇ノ儀は、役に没頭した上で対象影朧を慰める儀式だ。
 だが、メルシーは“演技ではなく自分の見解を敵へ述べてしまった”のだ。
 これにより、儀式は綻びを見せはじめ、抑えられていた影朧の力が一時的に復活してしまった。
 故に、たった一撃で神機メルクリウスの人間形態が再起不能になるほどの猛威を奮う好機を作ってしまった。
 カシムも台本通りとはいえ、自分の感情を全面に出しすぎてしまったためか、敵のユーベルコードを過剰に誘発させてしまったのは悪手であった。
「ヤバいですね……眠らされるのはこっちじゃないですか……!」
 メルシーとカシムとの距離は7~8m前後。
 その間には、肉塊の壁が隙間なく蠢き、今にもカシムを殺さんと無邪気な殺意を漲らせる。振るわれる触腕は四方八方から殺到し、カシムはやむなく、メルシーを幻朧桜の根元に置き去りにしたまま、光弾を乱射して後退せざるを得ない。
「……メルシー、しばらく耐えてくれ!」
 押し寄せる肉塊を嬌笑ごと吹き飛ばすカシムは、銀髪少女が醜悪な肉の生命体の群れに寄って集って踏み潰されるのを、ただただ遠巻きに眺める事しかできなかった……。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

リオ・ウィンディア
舞台は慣れているけれどここは・・・怨念が顕現してとっても素敵な雰囲気ね
それに館も立派な作りだわ
ここを使っていいのね?
ありがとう!

私は悪役を演じましょう
厳かなメロディーは世界観に合わせたハイカラな音色に変換【楽器演奏・歌唱・読心術】
あれて不快な単語の歌詞を吐き出すわ
「愛しているだなんて勘弁だ
「子供を言い訳にこれだから女は鬱陶しい
「どうしてこんな僕に執着するんだ

マルシュアスを奏ながらダガーで切り刻んていく
【呪詛・2回攻撃・精神攻撃・属性攻撃:音】
大量の数には死霊術師の第六感で避けましょう

「僕はこんなことになるとは思わなかったんだ!
自身の魂の記憶を若干歪めて本音に近い叫びを絞り出す
【狂気耐性


テラ・ウィンディア
…こういうのって少しおれも思うところがあるな

UC発動
「!!ま、まさかテラにも好きな人が…!?」(動揺する黒髪少女
あ、いや…そんなんじゃねーって(焦

おれが将校をやるからヘカテは女役を頼む
「ぅう…少し複雑ですが」

私は彼女を愛している!君ではない!
「それでもっ!私には…私にはあなたしかいないの!あなたさえいれば何もいらなかった!なのに!貴方は振り向いてくれなかった…!」

(子供に)
お前も…お母さんの為に必死に

ならこのままじゃだめだよな

【戦闘知識】
動きと状況把握
【見切り・第六感・残像・空中機動】
飛び回り回避
【属性攻撃・二回攻撃・早業】
二刀に炎を纏わせての連続斬撃

ヘカテ
氷の精霊で凍らせてから神聖魔術で浄化



 白亜の桜館に、エルフの姉妹が偶然にも顔を合わせる。
「リオ! お前も来てたのか!」
「あら、テラねぇ? 奇遇ね?」
 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)と末妹のリオ・ウィンディア(Cementerio Cantante・f24250)、そしてテラの双子の姉である精霊剣士のエルフ少女、この三人でウィンディア三姉妹である。
「せっかくだから、一緒に共演しましょう? この館、とっても立派な作りだし、劇場の舞台は慣れているけれど野外上演は……」
「不安か? リオ?」
「まさか。だって、此処、あの女の人の悲劇の現場なのでしょう? 強い愛憎が、外から“よくないもの”を吸い寄せてくれたおかげで、今や舞台は怨念が顕現して、とっても素敵な雰囲気ね! Bravo! 帝都桜學府の皆さん、ありがとう!」
 目の前の状況に目を輝かせるリオ。彼女は死霊術に長けた墓場の歌姫。喪服を着た幼い暗殺者。咒歌をもって浄化を図る慈愛に満ちた少女。
 演劇に参加しながら影朧を浄化できる作戦なんて、まるでリオのためにあるようなものだ。ましてや、目の前に顕現するはドロドロの愛憎と怨念の感情ばかり。
「今日は最高の演目をお披露目できそうね♪」
「リオが楽しそうで、おれも嬉しいぞ!」
 テラは妹の笑顔を見れてご満悦の様子。
 そこへ、黒髪少女がテラに声を掛ける。
「テラ……呑気にしている場合じゃないですよ……台本覚えました? 意外と大変ですよ、演技しながら戦うのって……!」
 ガタガタと緊張で震える黒髪少女に、リオが優しく声を掛ける。
「大丈夫よ、役になりきれば、自然と言葉が出てくるわ。手も足も動くし、あなたも猟兵なのだからきっと出来るわよ」
「あー、リオ? そいつ、実は……ヘカテにゃんなんだ」
 テラの告白に、リオは黒髪少女を二度見してしまう。
「……またテラねぇてば。ヘカテにゃんは可愛くて小さな黒猫さんでしょう?」
「いや、私は元より黒猫でも黒髪少女でも私はないのですが! こほん! 三界神機『ヘカテイア』、ユーベルコードで人間形態になりました。今後とも宜しくお願いしますね、リオさん?」
「……Mamma mia……!」
 驚きでしばし呆けてしまうリオであった。
 その傍らで、テラは台本片手に何やら考え込んでいる。
「……こういうのって、少しおれも思うところがあるな」
「「!?」」
 リオとヘカテが同時に顔をテラへ向ける。
「ま、まさかテラにも好きな人が……!?」
「色恋沙汰に無縁だと思ってたテラねぇが……!?」
「あ、いや……そんなんじゃねーって!」
 焦りながらテラは衣装を選び出す。
 学徒達の呼び声にリオとヘカテも準備を急ぎ始める。
「おれが将校をやるからヘカテは女役を頼む」
「ぅう……少し複雑ですが」
 ヘカテはテラの将校服姿を何故か直視できずにいた。

 まずは、幻朧桜が舞い散る戦場を男装姿のリオが苦悶の表情を浮かべながら、最奥の影朧の女を睨み付ける。
 手巻きオルガンから流れる厳かなメロディーは世界観に合わせたハイカラな音色に変換させ、照明を当ててもらい周囲の視線をリオへ集中させる。

 ♪愛しているだなんて勘弁だ
 ♪子供を言い訳に これだから女は鬱陶しい
 ♪どうしてこんな僕に執着するんだ?
 ♪僕は君を捨てた人でなしだぞ!

 リオは敢えて悪役を演じ、影朧の女の執念を削ぎ落とそうと画策している。
 それにしても、若干9歳とは思えない迫力の演技と歌唱力は、身を竦ませてしまう不思議な力を感じさせる。
 しかし、醜い肉塊の群れは無粋にもリオの演技を無視して襲い掛かってくる。
「ミてイルヨ、ズットズットズットズットズット……!」
 肉塊の粘つくタールが如き何かが詰まった眼窩の奥が輝いた時、四方八方から歪んだ出来損ないの四肢が9連続で叩き付けられる!
 しかし、リオは振るわれる四肢をワルツの如き三拍子のステップで飄々と掻い潜り、無傷で敵軍から抜きん出た。
「El uso hace al maestro. 演劇中に“おいた”をする悪い子はだあれ?」
 ユーベルコードで奏でる手回しオルガンが戦場に響けば、無粋な影朧(カンキャク)達は動きが5分の1に鈍ってしまう。

 ♪もうこれ以上、僕を苦しませないでくれ!
 ♪僕はこんなことになるとは思わなかったんだ!

 リオの魂の記憶を歪ませ、本音に近い叫びを絞り出す。
 影朧の女は頭を抱えて呻いている……。
(そう、慰める前に、自分の罪深さを自覚すべきなのよ、貴女は……)
 将校の男も確かに罪深いが、発端となった自身の欲望を影朧の女の罪を突きつけなくては浄化は進まない。
 リオは手回しオルガンの底に隠していたダガーを引き抜き、群れる肉塊を切り刻んでゆく。
 血風は桜の花弁に紛れて風と共に舞い上がり、空気を赤く染めていった。

 一方、テラとヘカテは、演劇の心得が乏しいせいか、かなりぎこちない動きだった。
「私は彼女を愛している! だが君ではない!」
「それでもっ! 私には……私にはあなたしかいないの! あなたさえいれば何もいらなかった! なのに! 貴方は振り向いてくれなかった……!」
 そこへ押し寄せてくる肉塊の群れ!
 明らかな殺意は、影朧の女の逆上の感情の影響か。
「なんかリオと違って殺気立ってますけど!?」
「おれ達、あいつの地雷を踏んじまったか!?」
 どうも2人の演技は影朧の女の感情を逆なでしてしまったようだ。
「来ますよ、テラ!」
「ああ、分かってるぞヘカテ! お前達だって、このままじゃいけないよな……! お母さんのために頑張ってて偉いけどな、間違ってるよな、こんなこと……!」
 テラの憐憫の勧請を受けた肉塊どもは倍々に増えてゆく。
 このままでは圧殺されるのがオチだ。
 ヘカテは氷の精霊魔法で肉塊を凍結させ、そこへテラが炎の二刀流連撃を叩き込む。
 だがやはり手数が足りない!
「……もうテラねぇてば、手が掛かるわね?」
 リオはユーベルコードで敵を鈍らせ、テラとヘカテを救い出す。
「すまない、リオ!」
「助かりました! 今のうちに!」
 3人は力を合わせ、どうにか窮地を乗り切ってゆく。
 だが無限増殖する肉塊を抑え込むのが精一杯。
 影朧の女の対応は、他の猟兵へ任せるほかないようだ……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ノインツィヒ・アリスズナンバー
お前重いんだよォ!
ったく……どうも難しいな。まあ名女優の一歩として、此処が上達の試練と見た。

着物を着て演じるは殺された妻。一世一代の大芝居だ!

さあさ 皆様!
あすこをご覧あれ!

何もかも消えゆくは光
突如奪われた光

その場所に今いるのは誰?
そこには不思議。誰もいないのです
全ては終に行く。もう帰してはくれぬ
我ら爆ぜて彼らも爆ぜて

ひととして在りたくて
母という名の月見船に乗って
湖心へ向かうひとよ
見えるか 見えているか
天心の月はあまりにも遠すぎる

ひとよ。星泳ぎ行くその先に幸あれ

UCを起動して相手の攻撃が命中しない不運を与えつつ、奪った幸運と見切りで避けつつレーザー射撃で迎撃

アドリブ・絡み歓迎


箒星・仄々
情熱の炎の熱さと眩しさに
心が眩んでしまわれたのでしょうか
お可哀そうに

是非此度を救う機会といたしましょう

将校さんの子と
影朧さんの胎児と
一人二役

両親に甘え
一緒のお出かけや家族団らん
楽しい日々を演じます

スキップを踏み
軽やかな水流の如き足さばきで躱し
炎の如く激しく風の如く速い剣を振るい
影朧さん達を海へ還していきます

舞台が赤に染まり場面転換

目を閉じ動かず
そのまま照明が落ちて暗転…

周囲から襲ってくる気配を
耳や髭、毛皮で感知して
抜き打ちざまに纏めて仕留めます

貴方方も愛に包まれ生を全うしたかったでしょう
叶わずお可哀そうに

終幕
スポットライトの元
鎮魂の調べ

お母さんが転生されたら
きっと貴方方も

しばしお待ちくださいね



「お前重いんだよォォォ!」
 ノインツィヒ・アリスズナンバー(90番目のアイドル・f29890)が台本と影朧の資料を交互に目を通して思わず叫んだ。
「情熱の炎の熱さと眩しさに心が眩んでしまわれたのでしょうか……。なんてお可哀そうに」
 対して、目尻に涙を浮かべる箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、今回の浄化対象の影朧へいたく心を寄せている模様。その証拠に、黒い耳と尻尾をへちょりと垂れ下げていた。
「是非、此度を救う機会といたしましょう、ノインツィヒさん」
「あ、うん! そうだねー☆ とはいえ、ったく……どうも難しいな。まあ名女優の一歩として、此処が上達の試練と見た。気合い入れっか!」
 真摯な態度で意気込む箒星を見て、ノインツィヒは改めてこの任務への気合を入れ直した。
 楽屋で出番を待つ2人は、最後の瞬間まで演技と戦闘の作戦を詰めてゆく。

 そして本番。
 ノインツィヒが着物を着て演じるは『殺された妻』だ。
(一世一代の大芝居だ!)
 深呼吸の後、彼女は戦場という名の舞台へ進み行く。
「さあさ、皆様! あすこをご覧あれ!」
 威勢のいい声はよく響き、白亜の桜館に避難する一般人達も思わず顔を覗かせた。
 箒星は将校の男役として、ノインツィヒの手をとって踊りだす。
「ああ、なんて私は幸せなんでしょうか。君のような美しい人と家庭を築けるのだから」
「あなたにそう言ってもらって、私も幸せよ」
 それは理想的な幸福な家庭像。……影朧の女が夢見た、幸せの形だった。
 箒星はユーベルコードで炎・水・風の精霊魔力で自己強化を図ると、スキップをしながら肉塊の攻撃を回避してみせる。
「タノシイナァ! アハはハハはハハハハハハハハハ!!」
 のたうつような悍ましい動きから変異した身体の一部を用いた攻撃を放ち、不気味に蠢き絡み付く四肢で箒星を絡め取ろうとする肉塊の群れだが、魔法剣から噴き出した水流が四肢を弾き、風で箒星の俊敏性を向上させ、炎を魔法剣に宿して焼き切ってみせた。
 だが、場面は次の瞬間、一変する。
 ノインツィヒと箒星は別行動を取り、互いの演技を始めた。
「何もかも消えゆくは光。突如奪われた光――!」
 胸元を血糊で赤く染め、苦しむ演技をしながら桜吹雪舞う青空へ手をのばす。
「その場所に今いるのは誰? そこには不思議。誰もいないのです」
 ノインツィヒは歌い出す。
 悲しみと嘆きを込めて、ユーベルコードとして歌い出す。
 これこそが『運命の簒奪者(テンテイ)』……ノインツィヒの今の精一杯の慰めだ。

 ♪群がる星屑たちが口々に叫んでいる――心を殺せと
 ♪全ては終に行く、もう帰してはくれぬ
 ♪焼べられた薪はごうごうと 我ら爆ぜて彼らも爆ぜて

 殺された妻が、霊魂となってさまよい戸惑い、その肉体が火葬場で焼かれて煙となって天へ。
 あんなに幸せだったのに、なぜこうなったのだろう?
 問い掛けるように、ノインツィヒは最奥で観劇している影朧の女へ視線を投げかけた。

 ♪ひととして在りたくて
 ♪母という名の月見船に乗って
 ♪湖心へ向かうひとよ
 ♪見えるか 見えているか
 ♪天心の月はあまりにも遠すぎる

 肉塊の群れが、その触腕をノインツィヒへ叩き付けようとする。
 だが、当たらない。それどころか、同士討ちに発展して影朧同士の顔が潰れてしまった。
 何故か? ノインツィヒは肉塊の群れの幸運を奪い、自身のものへと変換していたのだ。
 故に、肉塊の群れはこの場で最も幸運なノインツィヒへ攻撃を当てることはできず、むしろ不幸になたったことで余計なダメージを被っていた。

 ♪ひとよ。星泳ぎ行くその先に幸あれ

 仕上げに、舞台装置のレーザーの中にクリスタルビットから発射させたレーザー砲撃を織り交ぜる。
 肉塊の群れは次々と撃ち抜かれて蒸発し、舞台から消えてなくなっていった。
 一方、箒星は……。

「そんな、私は、まだ死ねないのに……君はそれほどまでに、私のことを……!」
 赤い照明を浴び、将校が刺された時の状況を再現していた。
 そして倒れる箒星。
 飛び掛かってくる肉塊の群れを、箒星の影から飛び出したメスのメカジキのランさんが体当たりしてくれていた。
 数秒後、ドクンドクン、と心音がBGMとして流れてくる。
 これは……胎児を表しているのか。
 だが、心音は次第にゆっくりになり、やがて無音に切り替わる。

「こうして、小さな命は生まれる前に消えてゆきました。きっと、愛に包まれ生を全うしたかったでしょう。それが叶わず、お可哀そうに」

 箒星の憐憫の感情が、あとちょっとで殲滅出来た影朧の集団の勢いを呼び戻してしまう。
 だが、箒星はランさんに跨ると、魔法剣に三色魔法を宿し、破壊エネルギーを増幅させる!
「お母さんが転生されたら、きっと貴方がたも次の生を授けられるでしょう。ですので、今しばしお待ちくださいね」
 敵集団のど真ん中にメカジキが飛び込むと、炎と氷の竜巻が天高く舞い上がった。
 竜巻は肉塊の群れをまるごと飲み込み、たちまち舞台から消し去ってしまうのだった……。
 あとには、スポットライトを浴びて竪琴を奏でる黒猫と、鎮魂歌を唄う金髪の少女だけが佇んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『哭き女』

POW   :    「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ!」
【慟哭の叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    「一緒に死んでくれる?」
【血がこびり付いた包丁による斬撃】が命中した対象を爆破し、更に互いを【濡れた髪を撚り合わせた縄】で繋ぐ。
WIZ   :    「もっとあたしを哀れんで……」
【憐憫】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【自身の生前の姿(美人)をした幻影】から、高命中力の【頭痛と不快感をもたらす思念波】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠加々見・久慈彦です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 取り巻きは退場した。
 いよいよ、影朧の女を浄化するため、猟兵達はさらなる演技に励む。
 大切なのは、彼女を慰めることだ。
 もちろん、此処まででかなり心を揺るがされているため、攻撃を躊躇う行動を見せるかもしれない。それは影朧ではなく、人間として良心の呵責や罪の意識に悩んでいる証拠だ。

 原則は役になりきって彼女へ言葉を届けてほしい。
 だが、時には君自身の言葉で熱く訴えかけてみるのも手だろう。

 さあ、第二幕へ場面は突入する。
 どのような悲劇が見られるのだろうか?
 それとも、思いもよらぬ喜劇が待っているのだろうか?
カシム・ディーン
「ごめん…ごめんね、ご主人サマ…守れなかった…!」
悔いるな
之は僕のミスだ
今は寝て休んでろ(鎌剣を手に


(溢れる激情に胸を抑え
いいだろう
演技とやら
やれそうな気がします

演技
将校役

妻よ!子よ!我が愛!我がいとし子!
なぜお前達が死なねばならなかった!
なぜ殺されなければならなかった!

激しい慟哭と悲しみ
喪失の絶望

血の涙を流し女を睨む

向ける感情は憤怒

女の行いが齎した将校の悲しみと怒りを此処に示す

UC発動
【戦闘知識・情報収集・視力】
その動きを見据え
【属性攻撃・二回攻撃・切断・浄化】
光属性を鎌剣に付与
鎌剣での連続斬撃からの浄化
傷つきながらも切りあう

償えとはいわねーです

唯…お前に後悔があるなら
せめて子供は愛してやれ



「ごめん……ごめんね、ご主人サマ……守れなかった……!」
 無数の肉塊の群れが全て消え去ったあと、幻朧桜の根元で気を失っていたメルシーのもとへ駆け付けたカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が聞いたのは、相棒の謝罪の言葉であった。
「メルシーが……間違えたから……ごめんね……」
「悔いるな。之は僕のミスだ……いいから、今は寝て休んでろ」
 ボロボロのメルシーを桜の木の下に寝かせると、彼女の傍らに突き刺さっていたビーム鎌剣を引き抜いて担ぐ。
「……いいだろう。演技とやら、今ならやれそうな気がします」
 魂鎮メ歌劇ノ儀のなんたるかを思い知らされたカシム。
 今度は役になりきり、影朧の女を浄化するべく気合を入れ直した。
 演じる役は、そのまま将校役。
 ぎりりと奥歯を噛み締めながら、カシムは将校の男の怒りを演じ始めた。

 ♪妻よ! 子よ! 我が愛! 我がいとし子!
 ♪なぜお前達が死なねばならなかった!
 ♪なぜ殺されなければならなかった!

 天へ怒声を浴びせるその姿は、先程の素人芝居とは一変して迫力満点の感情豊かな役者そのものだ。

 ♪嗚呼 嗚呼! 私が殺されるのは理解できる!
 ♪私は家庭を裏切った罪人だ!
 ♪しかし! それでも罪なき妻と子供らは守りたかった!
 ♪全部、お前のせいだ! お前が私の幸せを奪ったのだ!

 凄まじい憤怒と怨嗟は、カシムに慟哭と絶望の念をもたらす。
 それは、メルシーを傷付けられた彼自身の感情に重なっているのか。
 これに影朧の女が哀願するように言葉を漏らした。

「もっとあたしを哀れんで……」

 カシムに憐憫を抱かせようと、女は黒いタールのような涙をボタボタと流しだす。
 しかし、今のカシムの心は燃え盛るような怒りで満ち満ちていた。

 ♪ふざけるな、人殺しの分際で図々しい!
 ♪誰がお前を憐れむものか 誰がお前を許すものか
 ♪自分の罪すら自覚せず なおも他人の気を惹こうなどとは
 ♪不届千万 傍若無人! お前は私が断罪してやる!

 怒りに身を任せながら突撃してゆくカシム。
「万物の根源よ……帝竜眼よ……闘争の狂気と極限の理性を秘めし竜の力を此処に示せ……!」
 ユーベルコード“帝竜眼『ベルセルクドラゴン(トウソウノキョウキトキワメシリセイヲヒメシモノ)』”発動!
 ビーム鎌剣の刃がひときわ強く光を放てば、浄化の権能を宿した斬撃で何度も何度も女の体を刈り込んでゆく。
 女はユーベルコードの発動条件を満たせずに攻撃が不発となり、カシムの連撃に為す術なく身を刻まれ続ける。

「……償えとはいわねーです。唯……お前に後悔があるなら、せめてお腹の子供は愛してやれ」

 狂える竜のオーラを込めた清浄なる斬撃が、女の邪悪な妄執を切り裂くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
それでは引き続き将校役で参りましょう
猫のお髭もありますし、ね

影朧さんの周囲を軽やかなスケーティングで
すいすーいと滑り
まるでアイスダンスでも踊っているかのように演じましょう

君の想いに応えられなくて済まなかった
妻子のみならず
君とお腹の子の命を、未来を失ったのは
私にも原因はある

狂おしい激情の炎に焼かれて可哀そうに
今もさぞ辛いだろう

もう十分だ
過去を消し去るのではなく
受け止め、自身の一部として未来へ進む時

包丁をつるっと回避
爆破があってもつるーと爆破の勢いを殺し
髪の縄もつるっと抜け出します

共に死ぬのではない
転生し命を育むのだ、今度こそ

ぺろっとして転んでいただきましょう

暗転
影朧さんの幸せ願う調べと共に退場


ノインツィヒ・アリスズナンバー
さてと……ここまではうまくいった。
残りはこの元凶だな。じゃあ第二幕を始めるとすっか!
演技は引き続き殺された妻を演じる。
役としては、恨みしかないだろう。慰めの言葉は私ちゃんの言葉で。

幸せかい

そうだろう

何も知らない

という幸せがそこにはある。

あなたによって消された光。
幸せを奪われた光。
あの日の狂いさえなければ、求められた。
この罪消えることなどなし。

なればこれも、一つの運命だったのかもしれない。
私は思う!
世に一切の衆生が無くなるまで人は!
憎しみの海、泳いでいくのであろう!

運命を奪って、包丁の斬撃を命中させない未来へと確定させる。
同時にパフォーマンスを応用で避けつつカウンター。

アドリブ・絡み歓迎


鹿村・トーゴ
化粧や衣装もあるし1章に引き続き女を演技

『…取り返しの付かない事をした
『この包丁もあの人との食卓を夢見て揃えた
『冷静になればもっと道はあった
『手切れ金で慎ましく子を育てたり
『…阿漕だけれど、私は綺麗だったもの
『ひっそり子を産んであの人のお妾に収まる道もあった

でも
そうするには自尊心と独占欲が強すぎたかい?

UC
「あの男に惚れてた?心底?
自分より愛した相手の子や人生壊した時あんたは苦しくなかった?

>敵UC
被弾は【激痛耐性】
七葉隠各々で【念動力/追跡しカウンター】で相殺し髪の縄も断つ
女に刃を【串刺し】

オレもこの手で好きな子死なせたんだ
一緒に死にたい気持ちは解る
けど
強引な道連れはご法度だろーぜ

アドリブ可



 続いての役者はノインツィヒ・アリスズナンバー(90番目のアイドル・f29890)、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)、鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)の三人だ。
「さてと……ここまではうまくいった。残りはこの元凶だな。じゃあ第二幕を始めるとすっか!」
 ノインツィヒの言葉に、箒星が頷いた。
「それでは引き続き、私は将校役で参りましょう。立派な猫のお髭もありますし、ね」
「オレはせっかく化粧も衣装もめかしこんだから、このまま生前の女役を演ずるとするか」
 鹿村の完璧な女装は、もはや自然な振る舞いになってきている。
「ってことは、私ちゃんは殺された妻役をやるねー? ……にしても、トーゴくんさぁ……ちょっと美人すぎね? 女の私ちゃんが怯みそうなくらいには完成度高くね?」
「今の鹿村さんを見たら、初対面の人はほぼ間違いなく男性の女装姿だとは思わないでしょうね?」
 ノインツィヒと箒星の絶賛ぶりに、却って鹿村が困惑していた。
「そ、そんなに板についてるのか……? う~ん、此処まで褒められるほどなら、今度から潜入任務は女装もアリか?」
『トーゴ、引き返すなら今のうちよ?』
 相棒の白オウムことユキエは、鹿村の女装化へ警鐘を鳴らすのだった。

 舞台の真ん中で倒れているノインツィヒ。
 その傍らで包丁を握りしめたまま、狼狽しているのは鹿村だ。
 箒星は靴底をユーベルコード『猫の毛づくろい』で舐めてツルツルに滑らせてフィギュアスケートの要領で周回し続けている。
 鹿村が音楽に合わせて歌い出した。

 ♪……取り返しの付かない事をした
 ♪この包丁もあの人との食卓を夢見て揃えた
 ♪冷静になればもっと道はあった
 ♪手切れ金で慎ましく子を育てたり
 ♪……阿漕だけれど、私は綺麗だったもの
 ♪ひっそり子を産んであの人のお妾に収まる道もあった

 ――なのに。

 鹿村は自分の首筋に包丁をあてがい、刃を一思いに滑らす動作を影朧の女へ見せ付けた。
 真っ赤な照明で鹿村は照らされ、心中の瞬間を表現してみせる。
 本来ならば、ここで台詞が途絶えているのだが、鹿村が倒れる寸前、影朧の女の窪んだ闇の如き眼窩を睨んで言い放った。
「でも、そうするには自尊心と独占欲が強すぎたかい? 情けねーな?」
 アドリブで自分の言葉を織り交ぜ、鹿村が演じる生前の女は舞台に崩れるように倒れてみせた。
 鹿村と入れ替わるように立ち上がるノインツィヒ。
 殺された恨み節を述べながら、前衛的なダンスを披露し始めた。

 ♪幸せかい?

 ♪そうだろうとも

 ♪あんたには 『何も知らない』という幸せが
 
 ♪そこにあるのだから

 まずはノインツィヒの言葉で、影朧の女の身勝手さを痛烈に批判した。
 第一幕で他の猟兵達が、彼女へ自身の犯した罪を自認させるような演目を披露した。
 ノインツィヒは更にこれを深堀りし、他人の命を奪った怒りを思い知らせようと試みた。

 ♪目の前から遠ざかるあれは あなたによって消された光
 ♪届かない指先のそれは 幸せを奪われた光
 ♪あの日の狂いさえなければ、今頃はごく普通に私だって求められた
 ♪あなたの振るった刃が産んだ この罪は消えることなどなし

 のたうち回るような動きから舞台床を転がったかと思えば、いきなり飛び起きて腕を感情に任せて振り回す。
 初心者とは思えないコンテンポラリーダンスは、見る者全ての感情を表現力の拳でぶん殴ってくるが如き強い衝撃を与える。
 その動きは、まるで駄々をこねる稚児のようで。
 だが実際、命を奪われてしまった存在からすれば、殺された恨みと生への執着を訴える様は、叶わないという意味では駄々をこねるに等しい。
 しかし、次の瞬間、ノインツィヒの動きがピタリと停止してしまう。
 片足立ちで、胴体を水平に保ったままバランスを取る。
 鍛えた体幹がなければ成し得ないパフォーマンスだ。

 ♪なればこれも、一つの運命だったのかもしれない
 ♪故に 私は思う!
 ♪世に一切の衆生が無くなるまで!
 ♪人は! 憎しみの海を 泳いでいくのであろう!
 ♪そう! 誰もが救われたいと願う一方で
 ♪我々は延々と 意にそぐわない生物を殺し続けるのだろう!

 諭すように告げるノインツィヒに、影朧の女が気勢を上げて襲い掛かってくる。
「いぃぃい一緒にィィ死んでくれるウゥ?」
 振り下ろされる血がこびり付いた包丁。
 だが、第一幕同様、ノインツィヒの歌は対象の運命と幸運を奪い取るユーベルコードだ。
 包丁は空を切り、影朧の女はつまずいて前のめりに転倒してしまう。
「運命を奪って、包丁の斬撃を命中させない未来へと確定させてやった。死ぬのは御免だ、まずはその考えを改めな?」
 ノインツィヒは舞台に転がった影朧の女の首根っこを掴むと、腕力任せにオーバースロー気味に女を投げ捨てた。
「これが私ちゃんなりの答えじゃシャロラーッ!!」
 舞台の床に叩きつけられた影朧の女の体が2度3度と鞠のように跳ね回る。
 だが女はバネじかけのように上半身を起こすと、直ぐ側で死体役として寝ている鹿村へ包丁を尽きたてんと襲ってくる。
 これに鹿村は女への問いかけで反応した。
「あの男に惚れてた? 心底? 嘘付くなよ?」
 ギイィンッと耳をつんざく金属同士がぶつかる音が、鹿村の目の前で鳴り響く。
 なんと、空中で七振りの忍刀が包丁を受け止めているではないか。
「忍術『七刃寄せ』ってなー? 質問と一緒に、敵の目の前の空間から妖刀『七葉隠』を分割した七振りの忍刀を念動力で操作する技だ。さて、質問はまだ終わっちゃっちゃいない。あんたさ、愛した相手の子や人生を壊した時、あんたは苦しくなかった?」
「くる……じィ……けど……あの時は、彼を独占、したかったから……!」
 女は七振りの忍刀を爆発させると、濡れた髪の毛の縄で絡み付ける。
 だが、鹿村はその縄を容易に忍刀で切り裂くと、呆れた口ぶりで女へ告げた。
「罪の意識なんて感じなかったってことか? やれやれだな、あんた、不合格だな?」
 影朧の女の返答に肩を竦めた鹿村は、七振りの忍刀をひとつに連結させ、超巨大な妖刀へと組み立てる。
 そのまま女を下段から斬り払えば、女は天高々に打ち上げられて惨めに舞台へ墜落してみせた。
「オレもこの手で好きな子を死なせたんだ。あんたの一緒に死にたい気持ちは解る。けど、強引な道連れはご法度だろーぜ」
 ノインツィヒと鹿村が舞台袖にはけてゆく。
 残る箒星は、舞台を滑走しながら将校役を熱演し始めた。

 ♪君の想いに応えられなくて済まなかった
 ♪妻子のみならず
 ♪君とお腹の子の命を、未来を失ったのは
 ♪私にも原因はある

 女へ手を差し伸べる箒星。
 影朧の女はその手を取ると、一緒にくるくると舞台の上を踊り始めた。

 ♪狂おしい激情の炎に焼かれて可哀そうに
 ♪今もさぞ辛いだろう

 箒星の問い掛けに、女は言葉ではなく包丁を突き立てることで答えとしようと襲撃する。
 だが、箒星の身体は現在、ユーベルコードの効果で摩擦抵抗力が限りなく零に近い。
 故に、箒星の急所へ突き立てられた包丁の切っ先は、つるんっと弾かれて黒い毛皮の上を滑っていってしまった。
 これでは爆発後に髪の毛の縄で捕縛することが出来ない!
 たとえ捕縛しても、つるつるの毛並みでは縄からすっぽーんっと抜け出してしまっていだろう。

 ♪共に死ぬのではない
 ♪転生し命を育むのだ、今度こそ

 箒星はこっそり舐めきった舞台の床へ影朧の女を誘い出して転倒させると、竪琴で奏でた鎮魂の曲が魔力へと変換されて女を焼いて凍えさせて吹き飛ばしていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

テラ・ウィンディア
ウィンディア

演技って難しいな
「ええ、でも慣れてきました!」


殺された子
ヘカテ
殺された妻

刺され倒れた男性役に霊としてそっと寄り添う
「ああ、貴方…私が傍にいます」
お父さん…お母さん

ねぇお姉さんはどうしてこんな酷いことをするの…?
父と母が悲しむ姿に一緒に泣く子供
唯起きた事が理解できず父と母の姿に涙する子供
「大丈夫…私達は貴方の幸せを願っています」
うん…お父さん…泣かないで…

父に寄り添う妻子
唯自分より男性の幸せを願う姿を見せる

真の姿解放
巫女
立ち上がる父(リオ)に寄り添い

【属性攻撃・弾幕・二回攻撃・貫通攻撃・重量攻撃】
ガンドライドとドリルビット展開
ドリル攻撃と重力弾で動きを止め
ヘカテ
呪術でリオのUC強化


リオ・ウィンディア
ウィンディア
黒髪のテラとヘカテにゃんが並ぶと姉妹が増えたようで、嬉しいわ!

さて、引き続き苦悶する男性役
女と口論になり包丁で刺される!ように見せかけて、脇に挟んで死亡したふり
「な、なぜ僕が死ななければ・・・かはっ」
死亡演技中はテラねぇに場を回してもらって、タイミングを見てゆらりと立ち上がる
真の姿か解放:形状:鬼火

こんなことは間違っていたのだと心の底から後悔させるように、呪いには呪いのUCで攻撃
呪いとつくものは全て、この身に纏いましょう
舞台の最大の見せ場、大目玉と首無し幽霊達の大乱闘(歌劇)をご覧あれ

大丈夫よ、ちゃんと幽霊が溢れないように結界も貼ってあるし、このあとしっかり浄化するので(ぼそ


姫神・咲夜(サポート)
 桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。

 あとはおまかせです。よろしくおねがいします!


リスティ・フェルドール(サポート)
援護・治療・盾役として参加いたします。最優先は自分を含む仲間全員の生存と帰還。成功の立役者ではなく、命の守り人として最悪の結果を回避できれば、それ以上に望むことはありません。

真剣な雰囲気は邪魔をせず、仲間同士の険悪な雰囲気はあえて朗らかに。チームワークが生存率を上げる一番の方法として行動します。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはマスター様におまかせいたします。よろしくおねがいします!


シャイニー・デュール(サポート)
『拙者は剣士でござります故!』
ウォーマシンの剣豪×クロムキャバリアです

真面目な性格ですが勘違いや空回りも多く、かつ自分がズレているという自覚もありません
正々堂々とした戦い方を好みますが、それに拘泥して戦況を悪化させたりはしません

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
公序良俗に反する行為は(そういう依頼でない限り)しません

サムライというものに憧れていますが、正しい知識はありません
銃を使うことを嫌っているわけではなく、必要に応じて刀と内蔵兵器を使い分けます
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


グレナディン・サンライズ(サポート)
『ここはこの年寄りに任せてもらおうかね?』
『こう見えても、まだまだ衰えちゃいないよ』
年齢3桁の婆。
スペースシップワールド出身の元宇宙海賊。
主な武装はフォースセイバーとブラスター。
戦闘スタイルは基本的には前衛遊撃。敵を翻弄するような戦いを好む。
グルメではない酒好き。
年齢なりの経験を積んでいるので、冷静さと余裕をなくすことはない。
口調(あたし、あんた、だね、だよ、~かい?)



 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は、第一幕の演技を振り返っては悔しがっていた。
「演技って難しいな……儀式を成功させるために、力押しだけじゃ駄目ってことか」
「ええ、でも慣れてきました! 今度こそ、影朧の女性の気持ちに沿った演技ができそうです!」
 テラを励ますように語るは、黒髪の少女ヘカテイア。元は神機と呼ばれる人型兵器ことキャバリアなのだが、ユーベルコードで少女の姿へ変化したままだ。
「私としては、黒髪のテラねぇとヘカテにゃんが並ぶと、姉妹が増えたようで、嬉しいわ!」
 一喜一憂するテラとヘカテイアの間に挟まり、両者の肩を抱き寄せるのは末妹のリオ・ウィンディア(Cementerio Cantante・f24250)だ。
 久々のヘカテイアとの再会が、まさか人型としての再会というサプライズに気分が高揚して笑顔が溢れる。
「駆け付けてくれたエキストラの皆さんも、よろしくお願い致しますね?」
 リオは今回、サポート猟兵として駆け付けてくれた者達をエキストラとして舞台に上がらせる英断を下した。
「私が観客の前で演劇をするなんて。出来ることは精一杯務めさせていただきますね」
 桜の精の姫神・咲夜(静桜・f24808)は、手渡された台本を目を通しながら期待に胸を膨らませる。
 もとより戦闘よりも説得などの平和的解決を望む姫神にとって、今回の任務内容はうってつけのキャスティングだ。
 たとえ脇役だとしても、影朧の心を慰めることが出来るなら桜の精の本分として申し分ない。
「私の役柄は、霊界の水先案内人……三途の川の船主、ですか」
 今までの演劇の流れを見ていて、にわかに突拍子もない配役だが、果たして?
 同じく、台本を真剣に目を通しているのはリスティ・フェルドール(想蒼月下の獣遣い・f00002)である。
「僕は冥府の王様ですって! 王様らしく威厳ある演技をしないとですね!」
 むんっと胸を張って厳しい表情で台詞を確認するリスティは、純真に芝居へ打ち込んでいた。
「あっ! もし乱闘になったら僕が皆さんをお守りします! 成功の立役者ではなく、命の守り人として最悪の結果を回避できれば、それ以上に望むことはありませんので……!」
「拙者もリスティ殿を見習わねば……!」
 演者の中でも頭ひとつ分だけ背丈が抜きん出ている剣豪少女がいた。
 シャイニー・デュール(シャイニングサムライ・f00386)、実は全身が機械で出来ているウォーマシンという種族である。
 彼女も普段とは違う任務内容に、少々戸惑い、悪戦苦闘の連続のようだ。
「脇役かつ拙者は台詞が少ないとはいえど、ただ斬るだけではこの儀式が失敗しかねないという特性は、なんとも厄介でござりますな……」
 今までほぼ純戦闘任務をこなしてきたシャイニーの新たな挑戦が始まる。
 そんなシャイニーにおしぼりを手渡すのはグレナディン・サンライズ(永遠の挑戦者・f00626)だ。
 今回の任務の参加者の最年長、御年102歳だ。
「あたしもまさかこの歳で女優デビューするとは思ってなかったね。焦ることはないさ。主役の3人をあたしらは上手く支えて、影朧の嬢ちゃんの浄化を願おうじゃないかい?」
「かたじけないでござる、グレナディン殿。いやはや、剣の者の猿芝居で浄化を果たせるなら良いのでございますが……」
 不安で表情を曇らせるシャイニーへ、姫神がにこやかに励ましの言葉を送る。
「シャイニーさん、大丈夫ですよ。初めての舞台と思えないほどの演技力でした」
「咲夜さんの言う通りです! シャイニーさんはもっと自信持っていいですよ! むしろ、皆さん、演技力すごいですよね? 猟兵って名優ばかりなのでしょうか?」
 無邪気にリスティも猟兵達の演技力を絶賛した。
「まぁ、あたしらよりも、主役達の演技力がね? 特に、あのリオって娘、あの歳で自分の世界観を持ってるよ。大したもんだねぇ」
 グレナディンはリオのリハーサルの様子を、ただ見惚れながら感嘆の声を漏らすばかり。
 それぞれの最終確認を終えたあと、いよいよ、影朧の悲劇をなぞる最終公演の幕開けだ。

 影朧の女の生前の姿の役をシャイニーが務める。
「あ、あなたが自分のものにならないのなら……こうしてやる!」
 シャイニーが将校の男役のリオに包丁を振り上げて掴み掛かる。
 リオは刺されまいと抵抗を試みるが……。
「う……ああッ! 血が、血が止まらない! な、なぜ僕が死ななければ……がは……ッ!」
 刺されたフリをしたリオは、血糊を脇腹に塗りたくって舞台床へ卒倒した。
 指したシャイニーは、事切れた男の脈を確認すると、愛おしそうにその手の甲へ頬擦りした。
「これでもう、あなたはあたしのもの……待ってて下さいね、今、私もそちらへ参ります」
 シャイニーは自分の首筋に刃を添えると、一思いに引き抜く素振りを見せた。
 当然、演技なので実際に頚動脈を切ったりはしないが、その一連の動作はまさに迫真の演技であった。
 死んだシャイニーが舞台袖へはけてゆく。
 入れ替わるようにテラとヘカテイアがリオの枕元へ立つ。
 2人は女に殺された妻と子供の幽霊の役だ。
「ああ、貴方……私が傍にいます」
 ヘカテイアが夫の亡骸に涙ながら声を掛ける。
 子供役のテラも、泣きじゃくりながら父親の死を悼んでいた。
「お父さん……目を開けてよ。起きて、また頭を撫でてよ……ひぐッ……」
 テラは泣き腫らした真っ赤な目で、影朧の女の顔を見詰めた。
「ねぇ、お姉さんはどうしてこんな酷いことをするの……? すごく痛かったんだよ? なんで、殺したの?」
 影朧の女は首を振る。
 突き付けられた問い掛けを否定するように、認めたくないと言いたげに。
「……知らない。だって、あたしはあのままじゃ惨めだったから。もっと哀れんでほしかった……」
 影朧の女の言い分に、ヘカテイアはすぐに首を横に振った。
「私達は貴女に憐れみなど懐きません。あなたは間違えました。憎しみを抱かずにはいられないほどに」
 母親役のヘカテイアの主張に影朧の女が膝を付いて項垂れる。
「貴殿の愛は、誰かを傷付けるために存在したわけではないはずでござろう? 此世に蘇ってまで、同じ轍を踏むというのでござるか?」
 シャイニーも影朧の女へ諭すように語り掛ける。
「そんなこと……あなたに何が分かるのよ……!」
 影朧の女は、奇声じみた慟哭を周囲に叫び始めた。
 しかし、影朧の女は目にも留まらぬシャイニーの砲撃によってふっ飛ばされてしまった。
「――『光あれ』。瞬間的に最終殲滅形態を行使させていただいたでござる。観劇中の大声は、他の観客の迷惑になりますゆえ、指導させていただいたでござる。悪く思わないでくだされ」
 ユーベルコード“最終殲滅形態:レットゼアビーライト”は、理性を失う代わりにシャイニーの内蔵兵器を全開放し、無限連射可能な殲滅形態へ移行する超攻撃モードだ。
 それを2.5秒だけ行使することで、儀式を邪魔せずに影朧を懲らしめる大火力を実現したのだ。
 一方、ヘカテイアとテラは姫神演ずる三途の川の船主に案内され、冥界の王役のリスティと謁見する運びとなった。
「その者ら、面を上げよ」
 厳格な物言いは、本当に最後の審判を下すかのような迫力を帯びている。
 連れてこられた妻と子の霊魂は、ここで天国か地獄か、行き先を言い渡される。
「無残にも殺され、彷徨いし母子の魂達よ。汝等は天国で休息後、再び人の世へ返り咲くがいい」
「お待ち下さい、王様。この子はともかく、私は地獄行きを言い渡してくださいませ」
 ヘカテイアの言い分に、子供役のテラが驚きと悲しみで再び泣き喚き始めた。
「お母さん、なんで? なんで、地獄へ行っちゃうの?」
 母親は子供を抱き締め、耳元で言い聞かせた。
「お父さん……あの人はきっと地獄行きだから。あの女と一緒だなんて許せないもの。あの人を愛しているのはこの私。だから、お父さんを、お母さんが迎えに行かなくっちゃいけないの」
「いや! だったら一緒に地獄へ行く! そうすれば、家族3人また一緒だよ!」
「駄目よ、あなたは天国へ行って、また生まれ変わって頂戴」
 このやり取りを見守っていたリスティが、影朧の女へ問い掛けた。
「魂という概念が確かにあるのならば、たとえ殺されたくらいで愛情が失われるのでしょうか? この歌劇を見ていると、僕はそうは思えませんが」
「うるさい……あなたも一緒に死んでくれる?」
 支離滅裂な主張を口走りながら、影朧の女はリスティへ包丁を突き立ててきた。
 だが、影朧の女の死角から、ユーベルコードで呼び出した蒼い猫が駆け寄って女の手元を引っ掻いた。
「痛いッ!」
 蒼猫の不意打ちに包丁を落としてしまう影朧の女。
「駄目ですよ、まだ歌劇の上演中です。最後まで大人しく見ていて下さい」
 床に落ちた包丁をリスティが蹴飛ばせば、それを拾いに影朧の女は舞台から降りていった。
 その背へ姫神が切なる思いを込めて訴える。
「貴女の愛は、誰かを傷付けていいものではありませんでした。どうか、もう一度、違う人生でやり直しませんか? この歌劇は、貴女のために催されたものなのですから。貴女にも私達の愛を、理解していただきたいのです」
 包丁を拾った影朧の女は、姫神の訴えに当惑したまま錆びた刃を見詰めて涙を流していた。

 次の場面。
 グレナディンが演ずるのは獄卒だ。
「失礼するよ。王よ、客人だ」
 グレナディンの傍らには、人型の鬼火が青い炎を揺らめかせながら佇んでいた。
「おお、我が妻子よ! 自ら地獄へ堕ちるとは何事か!」
「その声は、あなた?」
「お父さん、なの?」
 妻子の言葉に、鬼火が頷いた。
「ああ、私だ。一足先に私は地獄へ落とされていたのだ。肉体は既にこの通り、燃えて鬼火と変わり果ててしまった。地獄に落ちるということは、こういうことなのだぞ? 馬鹿な考えは止してくれ」

 ♪私の罪は 私の償いだ
 ♪君たちは 救済を望むべきだ
 ♪今まで黙っていて 本当にすまなかった
 ♪この炎こそが我が罪罰
 ♪永劫に魂を焼かれ 贖罪としよう

 リオの歌にあわせて、冥府の死者たちが踊り狂う。
 それは徐々に数を増やしてゆく。

 ♪嗚呼! この世ならざるものどもよ!
 ♪どうか妻子は連れて行かないでおくれ!
 ♪罪なら私一人が背負い込もう!

 ユーベルコード“Mundo alienígena(モンド・アリエニジナ)”……それは、あらゆる呪いが幾重にも重なった触手で武装した首無しの幽霊を435体乗せた巨大な一つ目を召喚する。
 召喚した怪物たちも演者に仕立て上げ、リオはクライマックスへと突入する。

 ♪しかし、しかしだ!
 ♪あの女は決して許さぬ!
 ♪妻子を手に掛け、私を殺し!
 ♪あまつさえ後追い心中で私の愛を、魂を!
 ♪独占したつもりの愚か者を許しはせぬ!

「では、復讐をお望みかい?」
 獄卒役のグレナディンがニタリと笑みを浮かべた。
「男女の痴情のもつれは、死んでも反省の態度が見られないとなるといよいよ深刻だね。ならば、ここでひとつ、きつくお仕置きを死ね位とならないだろうね? 自分の犯したことの重大さ、しっかり理解してもらわないといけないだろうさ」
 獄卒は冥府の王に申し付ける。
「羅生門を開けるよ、いいかい?」
「……許可しましょう」
 王の許可と共に、舞台装置で迫り上がってきた巨大な門に手を掛けるグレナディン。
 それを開けると、一斉に影朧の女へ猟兵達が殺到していった。
「リオが真の姿を曝け出すなら、おれだって!」
 テラの姿も、炎が迸る巫女姿へ早変わりしてゆく。
「お父さん! おれも戦うぞ!」
 ドリルビットを空中から射出させ、影朧の女の体を穿つ。
 更に重力弾を打ち込み、その場に釘付けにするヘカテイア。
「うふふ、妹なのにお父さん……! なんだか癖になりそう……♪」
 若干、夢見心地になりながらも、リオは召喚した怪物たちを影朧の女へ仕向けた。
「大目玉と首無し幽霊達の痛快活劇をご覧あれ♪」
 そこから先はもはや蹂躙だ。鏖殺だ。
 実際には殺してはならぬ。
 だが、戦いの勝敗を決するのには十分な戦力差であった。
 それでも、最後の悪足掻きで慟哭をあげようとする女の口を、見えない力で顎を無理矢理に閉じさせてみせた。
「ほんの指先1本分。それだけで十分さ」
「グギギ……ッ!?」
 グレナディンの老練のサイコキネシスが、遂に影朧の女の最後の反抗の目を摘み取ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『常永久の祓桜』

POW   :    桜の館でのひととき。お茶や花見、会話を楽しむ

SPD   :    桜に厄を重ね散らして厄祓い。清らかな花筏の小川に厄を流す。

WIZ   :    桜花絢爛、花逍遥。桜の木の下で約束を交わす……桜源郷でのひとときを過ごす

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 かくして、影朧の女は打倒された。
 その身体は透けてゆき、放っておいてもじきに消滅するだろう。
 しかし、歌劇はここからがクライマックス。
 大団円へ繋げるための最大の見せ場であり、儀式の肝なのだ。

 影朧の女の姿は、時間の経過とともに生前の美しい姿を取り戻していく。
 意識も正気に戻り、自らの罪を認め、深く反省をしているようだ。
 彼女を慰め、魂を浄化するべく、白亜の桜館にまつわるイベントへ参加すべし。

 ひとつ、桜の館でのひとときを穏やかに過ごせ。
 ここは女と過ごすのが推奨だが、猟兵同士の交流でも十分な効果を見込める。

 ふたつ、桜の花弁で作った花筏で、厄を重ね散らして小川で厄祓いをする。
 女の宿す穢を払うのには、此れが一番効果的だ。
 もちろん、自身の厄除けを行っても構わない。

 みっつ、咲き誇る幻朧桜の木の下で、大切な約束を交わせ。
 女に転生を誓わせ、二度と影朧へとならないと約束させよう。
 ちなみに、この桜の木の下で男女が誓い合うと、永遠の愛が約束されるとか。

 猟兵達は、思い思いの過ごし方を試みる。
 櫻館の観客たちも、猟兵達の一挙手一投足に注目している。
 さあ、歌劇はまだまだこれからだ。
リオ・ウィンディア
ウィンディア
真の姿:魂の入った籠を持つ狐耳の白妖狐(大人

この姿では初めましてじゃな。テラ、ヘカテ
物語のクライマックスは余が貴殿に挨拶を

もう十分傷ついたであろう?
じゃから最後に歌うは癒しの鎮魂歌

ぎゅっと彼女を抱きしめて

「名もなき宿世に身悶え苦しむ
いくつ己が魂数えこの肉を刻むのか
時を重ね紡ぐ言の刃 幾度も幾重も

心揺らす灯転がりて
淡紅色の神花に刃の名が重なる
目を瞑れば溢れる雫 幸に祝いに
流るゝ水面に花びら手向け
廻る魂の謳再び始まらん」

何度でもやり直せば良い
余はそうやって生きてきたのじゃ
これからもそうやって生きていく

ん?この姿かえ?
これは余の最初の記憶の姿じゃよ
本体はこっちじゃ(ケラケラと籠の中を示す


テラ・ウィンディア
ウィンディア
UC継続

「初めましてですか。私は三界神機ヘカテイア。冥府と地上と天上を司る者です」
おれはテラだ!宜しくな!

演劇
継続して妻子役
「ああ、貴方…私達も貴方の元に向かいます」
お父さん
またわたしはお父さんの子として生まれたい
「ええ、ええ…生まれ変わってもまた一緒に」
それが私達の願い

そして桜の花筏を二人で作るぞ

なぁヘカテ
冥府ってどんな所なんだ?
「…そうですね…恐るべき罪人を捕えた場所は恐ろしいですがそれ以外は…普通の世界ですよ。花も咲きますし…そう悪くはないですよ?皆にはまだ早いでしょうけどね。そうだから」
女に向けて
「貴方は確かに罪を犯した。でもまた世界に生まれるなら次はきっと大丈夫です」



 最終幕が開演したと同時に、リオ・ウィンディア(黄泉の国民的スタア・f24250)が別の真の姿を曝け出す。
「……この姿では初めましてじゃな。テラ、ヘカテ」
 そこに佇んでいたのは、人型の蒼き鬼火ではなく、狐耳が立派な女妖狐であった。手にはカンテラ代わりの青い光を放つ光球が囚われた鳥籠を下げている。
「物語のクライマックスは余が貴殿らに挨拶を。あの哀れな女を慰めるのじゃ」
 あまりの変貌ぶりに、白亜の桜館で観劇していた一般大衆は目を疑った。
 先程まで将校服を着込んだ幼い少女が、全身を鬼火で燃え上がらせたと思えば今度は狐耳を生やした妙齢の成人女性へ姿が変わってしまったのだ、混乱するなというのが無理な話だ。
 しかし、猟兵であるテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は眼前の変化など些末だと言わんばかりに言葉を返し始めた。
「初めましてですか。私は三界神機ヘカテイア。冥府と地上と天上を司る者です」
「おれはテラだ! 宜しくな!」
「ほう? もう少し驚くと思うておったが?」
 女妖狐は違和感なく接するヘカテイアとテラに目を見開く。
 これにヘカテイアは無言で首を傾げ、テラは無邪気に答えた。
「どんな姿だろうが、リオはおれの妹だからな!」
「くっ、くはっ! ははははっ! そうかそうか! 余がこの姿に“戻って”も、妹と云うてくれるのじゃな?」
 明らかに見た目の年齢差は逆転しているのに、テラはリオを見上げて真っ直ぐにそう告げた。
 これに女妖狐は腹の底から笑わずにはいられない。
「あっはははは――! あァ、笑ったのう! よいか、テラ? これは余の最初の記憶の姿じゃよ。リオ・ウィンディアは此世を生きる姿に過ぎぬ。余は今まで、姿を変えて何度も転生してきたのじゃ。ほれ、その証拠に、この鳥籠の中で青く燃える剥き出しの魂こそが余の本体じゃよ」
 鳥籠の中の蒼魂の炎が怪しく揺らめく。
 リオ・ウィンディアの肉体から飛び出し、剥き身の魂こそが彼女の本質ならば、今の女妖狐はテラの妹と言えるのか?
 その命題に、テラが即答した。
「どんな姿だろうが、おれの妹はリオだけだぞ!」
 愚直。
 女妖狐の脳裏に真っ先に浮かんだ言葉だ。
 12歳の子供にとって姿形など無関係な要素であり、彼女にとっては女妖狐はウィンディア三姉妹の末妹である事実は揺るがない。関係性は覆せない。
 小難しいことなど理解しようとせず、真なる道理を蹴飛ばして、ただただ自身が思う“当たり前”を貫く姿勢は、年相応に愚かでありながらも女妖狐にとって眩しすぎた。
 それは影朧の女にとっても同様で、その素直さがあれば彼女は愛する人を刺さずに済んだのかもしれない。
「……さて、肝心の女優を待たせっぱなしじゃ。演劇の再開するぞ、“テラねぇ”?」
「ああ! 最後まで演じきろうな! ヘカテ! リオ!」
 テラはヘカテイアと女妖狐の間に入ると、両者の手を繋いで先を征く。
 2人はテラに導かれながら、影朧の女の浄化を図るべく、役に没頭し始めた。

「ああ、貴方……私達も貴方の元に向かいます」
 かくして、母子は父親と同じところへ堕ちてゆく。
「お父さん、またわたしはお父さんの子として生まれたい。だから、地獄だってへっちゃらだよ」
 地獄で責め苦を受ける父親と同じ苦しみを自ら進んで味わう母と子。
 なぜなら、家族だからだ。共に在りたいと願える縁を持つ者同士だからだ。
「ええ、ええ……生まれ変わってもまた一緒に」
「それが、家族の、私達の願いだから」
 ヘカテイアとテラが抱き合いながら、舞台装置で奈落へ沈んでいった。
 では、影朧の女はどうか?
 彼女は結局の所、最愛の男と家族になれなかった。
 改めて孤独を思い知って悲嘆に暮れる女。
 そんな彼女を女妖狐が優しく真正面から抱き寄せた。
「もう十分傷ついたであろう? じゃから最後に歌うは癒しの鎮魂歌じゃよ」
 女妖狐は息を吸うと、そよ風のように静かなウィスパーボイスで、朗々と吟じてみせた。

 ♪名もなき宿世に 身悶え苦しむ日々
 ♪いくつ己が魂数え この肉を刻むのか
 ♪時を重ね紡ぐ言の刃 幾度も幾重も

 女の耳元で聞かせていた歌は、やがてビッグバンドの伴奏を背に受け、明るく軽快なダンスシーンへと展開してゆく。
 ハイヒールの踵をリズミカルに鳴らしながら女の手を取って円舞に興ずる女妖狐は、一転して鈴を転がしたような朗らかなハイトーンボイスで歌い上げる。

 ♪心揺らす灯転がりて
 ♪淡紅色の神花に 刃の名重なる
 ♪目を瞑れば溢れる雫
 ♪辛(つら)いを幸(さいわ)いに
 ♪呪いを祝いに 死は生へ
 ♪あゝ! 今こそ反転せよ!
 ♪祝福されしは我が魂
 ♪流るゝ水面に花びら手向け
 ♪罪深き穢は今こそ 漱ぎて赦されよ
 ♪廻る魂の謳 サァ再び始まらん!

 コントラバスのずしりと腹に響く重低音にドラムの小気味良いリズムが乗っかり、その上をトランペットとサックスフォンの底抜けに明るいメロディとトロンボーンの中低音が複雑に絡み合いながら、主役のピアノの旋律が踊り狂う。
 即興で演奏されるジャジィーな音色に、女妖狐は臨機応変にその場で歌詞を合わせてゆくあたり、彼女は天才舞台女優たるリオであると断言できる。
 2人が一心不乱に踊っている間、テラとヘカテが桜の花弁を集めて花筏を作っていた。
「なぁヘカテ、冥府ってどんな所なんだ?」
 テラの疑問にヘカテイアは逡巡すると、苦笑いを浮かべながら答えた。
「……そうですね……恐るべき罪人を捕えた場所は恐ろしいですが、それ以外は……普通の世界ですよ。花も咲きますし……そう悪くはないですよ? 生きてる皆には、まだ早いでしょうけどね。そうだから、あの人もきっと……」
 準備が整ったとヘカテイアが合図を送る。
 女妖狐は女の手を引き、小川へ連れてきた。
「貴方は確かに罪を犯した。でもまた世界に生まれるなら次はきっと大丈夫です」
 ヘカテイアの激励に女妖狐が慰みの言葉を継ぐ。
「何度でもやり直せば良い。余はそうやって生きてきたのじゃ、これからもそうやって生きていく。そちも幻朧桜の導きで、今からでもやり直せるじゃろうて」
 女の手を花筏に触れさせ、彼女が溜め込んだ穢の一部を乗り移らせる。
 それを小川に流し、厄払いとした。
 だが、まだまだ女は穢を溜め込んだままだ。
 まだまだ猟兵達の浄化の演目は続く……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン

UC発動
生命力八割
全魔力全精力熱源六割を代償としてメルシー回復

「ご主人サマ!?」
勘違いするな馬鹿
僕はああいうヤンデレ馬鹿女を見送るなんぞしたくないからお前に押し付けるだけだ

だからお前が好きにやれ

唯の同族嫌悪だ
僕も気に入った女が居たら手段は択ばず掻っ攫い自分のにするだろう…から(気絶
「分かったよご主人サマ…今は休んでてね…久しぶりに界導神機の役目を果たすよ」

以後メルシー
メルシーも実は死者を冥府に送る役割もあるんだぞ
君は罪を犯したのは事実
でもその罪を悔いるのであれば道は開けるよ
転生とはある意味煉獄と言えるかもね
花筏を作り穢を祓

賢者の石発動
彼女が愛した将校の姿

私は唯の偽物
でも最後に言葉を贈るといい



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は幻朧桜の根元で身じろぎひとつしない相棒メルシーへ駆け寄る。
「……ったく、世話が焼ける奴だ。おい、起きろ。起きないと、おっぱい揉むぞ?」
 茶化しながらメルシーを揺り動かす。
 ――本当にしばし彼女の柔らかさを堪能するも、自己嫌悪に苛まれて溜息を吐いた。
「貧乏くじを引きたがるなんで、らしくねーんですけどね……」
 カシムはメルシーとの魔力回路がまだつながっていることを確認する。
 繋がっているということは契約は継続中であり、メルシーは生存していることを意味する。
 ならば、彼女を強制的に起動させるためのエネルギーを充填すればいいだけだ。
 だが、その調達先はもちろん……。
「僕の生命力や魔力やその他諸々なんですよね。はぁ……」
 魔力回路を強制拡張、カシムの生命力八割・魔力十割・精力十割・カロリー六割を代償として神機メルクリウスを再起動させた。
「うぅん……なんだか身体が熱い……って、ご主人サマ!? まさか、メルシーのために……?」
「勘違いするな馬鹿。僕はああいうヤンデレ馬鹿女を見送るなんぞしたくないから、厄介事をお前に押し付けるだけだ。だから、あとはお前が好きにやれ」
 土気色の顔で意識を朦朧とさせながらも、はっきりとした口調でカシムはメルシーへ告げた。
「唯の同族嫌悪だ。僕も気に入った女が居たら、きっと手段は択ばず掻っ攫い、有無を言わさず自分のにするだろう……か、ら――」
 カシムがひっそりと昏睡する。
 崩れるように彼の上半身が倒れるのを、メルシーは慌てて自身の胸元で受け止めた。
「もう、ご主人サマってばツンデレなんだから……」
 カシムが言った行為は、全てメルクリウスの封印を解いたときの行動そのものであった。
 本当にカシムがメルシーを嫌ってなければ、生命力などを注ぎ込んで再起動させることなどしないはずだ。
「分かったよご主人サマ……今は休んでてね……? 久しぶりに界導神機の役目を果たすよ」
 決心したメルシーの表情は、普段とは違い、神としての矜持を持った厳かなものへと変わっていた。

「君は罪を犯したのは事実。でもその罪を悔いるのであれば、メルシーが道を開けるよ」
「あなたに、そんな力があるの?」
 女が不思議そうに首を傾げる。
 メルシーは此処ぞとばかりに得意げに語り出す。
「ふふんっ! 何を隠そう、メルシーは死者を冥府に送る役割も持った叡智の神様だゾ☆」
「神様、だったのですね……」
 唖然とする女に、花弁を寄せ集めた花筏をメルシーは指差す。
「さあ、君の穢を此処へ!」
「……はい」
 女が花筏に指を乗せると、真っ黒な塊が花筏に零れ落ちた。
 途端、女の姿が一層透けてゆき、怪物から人間へと容姿が変化してゆく。
「……実際に送るのは幻朧桜。メルシーは導きの神機だから。旅の神様でもあるから、冥府の道案内も任せて☆」
 ただし、とメルシーが言葉を継ぐ。
「転生とはある意味、煉獄と言えるかもね? 此処が終わりであり、始まりであるから……」
「覚悟はできてます。自分の罪に向き合って、次の人生をやり直したい……」
 女の言葉に嘘は感じられなかった。
 だからこそ、メルシーは最後に喰いが無いように、自身の姿を変身させる。
「メルシーはね? 賢者の石で体ができてるんだよ☆ ご主人サマなしだと短時間だけど、こんなふうに……!」
「嗚呼! その姿は……中尉!」
 メルシーは女の記憶の断片から、死んだ将校の男……中尉に擬態してみせた。
「私は唯の偽物。でも、悔いが残らぬように、最後にきちんと言葉に出して気持ちを贈るといい」
 この計らいに、女は涙を零しながらメルシーに縋り付く。
「ごめんなさい……ごめんなさい……ずっと、愛してました。だから、さようなら……!」
 顔を上げた女の顔は、明らかに何かを吹っ切れたようで晴れやかであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
格好は変装解く間がなければそのまま

さて落ち着いたよーだねェ…つーても何にも元には戻らねーがな
『だからこそアンタは男と家族と自分の子に悔いなきゃ』…なんて説教はもう必要ないか
確かこの館はこの女の元自宅
思い入れもあるだろーし反省する様子を少し離れて見守る

…ちょっと顔つきも晴れたかな?外にいこーぜ姐さん
花筏に厄を乗せて流す…この世界ならではだな
自分の黒いとこ此処に乗せて貰うといいんだと
んーオレのは自分の胸に納めとくよ

な、この花弁はあの樹のものだった

花弁を辿り樹の下へ
…姐さん
桜の精に請わない?
生まれ変わったら来世の将校やその家族に償いして…今度は幸せに子供も育てたい、って
もう自棄になるなよ…

アドリブ可


箒星・仄々
影朧さんが過去を見つめなおして
後悔の念を抱かれたのなら
きっと大丈夫

きっと来世では命を慈しみ
懸命に生きて未来へと歩み続けて下さるでしょう

転生までのひと時が心が温かとなるよう
お手伝いしたいです

影朧さんをお誘いして
ご自身のお子さんや
将校さんとそのご家族への
謝罪と哀悼の念を込めて
一緒に花筏を作りましょう

影朧さんが川面浮かべるところから
竪琴で希望溢れるテンポの良い旋律を奏でます

進水式ですね

桜吹雪が舞う中
花筏が見えなくなるその時まで
演奏を続けて一緒に見送ります

歌いませんか?

転生が果たされましたら
きっとこの素敵な景色を
誰か大切な方やご家族と
満ち足りた気持ちで
また眺める日がきっと来ます
楽しみですね♪


ノインツィヒ・アリスズナンバー
いよいよ舞台も大詰め。
ここは舞台女優らしく最後の約束へと向かうとしますか。

今や今舞台も大詰め!
影朧はもはや此処に無し
此処にいるのは、しあわせを求めた一人の女なりて!
恨みは晴れ、憎しみの連鎖断ち切れて
大円談への、大一番といたしませう!

こっからは私ちゃんの言葉で
……そんな訳だ。
お前さん、転生してくれるな?
嫌とは言わせねえぞ。それが影朧となったお前さんが辿る罰の道だ。
ま、罪を認めて反省してんなら、その道も地獄って訳じゃねえよ。
また新しく人生始めるだけさ。
行ってこい。

見送ったら最後の締めをするべく舞台に立ち直り、役者として最後の締めを

……魂鎮メ歌劇ノ儀。これにて、終幕にてございます!

アドリブ・絡み歓迎



 いよいよ舞台も大詰め。
 この幕で影朧の女を一気に浄化させるべく、演者の猟兵達はもうひと頑張りと奮起する。
「ここは舞台女優らしく最後の約束へと向かうとしますか」
 ノインツィヒ・アリスズナンバー(90番目のアイドル・f29890)はこの舞台で女優としての才覚を急成長させた。
 観客達もそれを認めており、櫻館の窓から顔を出す彼らはノインツィヒが舞台に登場するやいなや、既に拍手は湧き起こるほどだ。
「今や今舞台も大詰め! 影朧はもはや此処に無し。此処にいるのは、しあわせを求めた一人の女なりて!」
 柏手ひとつ、それが合図で荘厳な雅楽が舞台裏から流れてくる。
「恨みは晴れ、憎しみの連鎖断ち切れて、花筏に穢を乗せ、清らかな小川へ流せば、たちまち魂は浄化されます。今から此れを大円談への、大一番といたしませう!」
 前口上を朗々と謳い上げるノインツィヒの元に集うは、女形のまま芝居を継続する鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)と、将校服姿の箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)の2名の猟兵だ。
「さて落ち着いたよーだねェ……つーても何にも元には戻らねーがな」
 殺された人間は生き返らない。その事実だけが重く猟兵達の前にのしかかる。
 しかし、箒星はそれを肯定しつつ、女の態度の変化を歓迎した。
「過去の事件は帳消しに出来ません。ですが、影朧さんが過去を見つめなおして後悔の念を抱かれたのなら、恐らく大丈夫でしょう。きっと来世では命を慈しみ、懸命に生きて未来へと歩み続けて下さるはずです」
 鹿村と箒星がまず女のもとへ歩み寄る。
「転生までのひと時が心が温かとなるよう、お手伝いしたいです」
「……ちょっと顔つきも晴れたかな? 外にいこーぜ姐さん? なに、『だからこそアンタは男と家族と自分の子に悔いなきゃ』……なんて説教は、もう姐さんには必要ないだろ?」
 2名に手を引かれ、館の周囲を散歩する女。
 ふと、女が館のある場所をじっと眺めていることに鹿村が気が付く。
「あそこが姐さんの住んでた部屋か? この屋敷全体が姐さんの邸宅だったんだろ? 思い入れもあるだろーし、しばらく立ち止まる?」
「……そうね。これが最期の見納めだもの」
 鹿村は今まで、遠巻きに女の様子を見守っていた。
 そうする中で、女に付いていた黒い情念が次第に祓われてゆくのを感じていた。
 ここでノインツィヒは、舞い散る桜の花弁の中を揺蕩うように舞い始める。
 彼女が足を踏み手を振るう度に花弁が舞い上げられ、薄紅色の嵐が女の周りを取り囲む。
「さァ、未練は残すなかれ。準備ができたら、最後の花筏を進水せよ」
 桜の精になりきったノインツィヒが、女の手を引いて小川へ誘う。
 そこには、先程の舞で撹拌された花弁が一箇所に固まっており、大きな桜の絨毯を水面に浮かべていた。
「とても大きな花筏ですね。これから、全ての穢を乗せることが出来そうです」
 箒星が桜の絨毯へ女の手を添えるように促した。
 すると、女の身体からドス黒い瘴気が花弁の絨毯へと流れていけば、彼女の魂が白金色に輝きを帯びだした。
 穢が完全に抜け落ち、いつでも転生が出来る状態へ至った証拠だ。
 その時、箒星は見計らったかのように竪琴を抱え、希望溢れるテンポの良い旋律を奏で出す。
「あなたの新たな門出を祝う進水式ですね」
 大量の穢を乗せて下流へ流れてゆく花絨毯を、女と猟兵達はしばし見送っていた。
「……是非、一緒に歌いませんか? ハミングだけでもいいので」
 箒星の提案に、女は静かに頷いた。
 そしえ紡がれるハミングの合唱。
 暖かな日差しは女の魂を徐々に透かしていき、気付けば向こうの景色が見えるまで透明になっていた。
「花筏に厄を乗せて流す……この世界ならではだな」
「あなたは、流さないの?」
 女が鹿村へ問い掛ける。
 鹿村は化身忍者だ。化生や鬼をその身に宿す者の性(さが)か、穢が蓄積されているのだ。
 だが、鹿村は苦笑いしつつ、此れを断った。
「んーオレのは自分の胸に納めとくよ。 言っただろ? 俺も好きな女の子を殺しちまったって。ここで流したら、あいつがオレの中から消えちまいそうな気がしてさ? だから、オレはまだ祓えねェんだ、悪りーな?」
「いいえ? そういう愛も、美しいと思うわ。でも、行き過ぎるとこうなるから、気を付けなさいな?」
 行き着いた人生の形は違えど、根っこはこの2人、似た者同士なのかもしれない。
 鹿村はおもむろに、小川の近くの幻朧桜を指差した。
「な、この花弁はあの樹のものだった。花弁は散って川面に浮かんで、海へ流れてどっかで土に還る。もしかしたら、またそこで幻朧桜が咲くのかもな? それとも畑の土になって、美味い野菜や果物の栄養になるかもしれねーな?」
 カラッと笑う鹿村は、女へ軽い口調のまま告げた。
「……姐さん、桜の精に請わない? 生まれ変わったら来世の将校やその家族に償いしてさ……きっとまた会えるさ、そしたら今度は、幸せに子供も育てたいって……姐さん? 泣いてるのか?」
 女は一筋の涙跡を頬に描いて微笑んでいた。
 鹿村はその様子に安堵した。
「もう自棄になるなよ、姐さん……? 今度はちゃんと愛して愛されてこいよな?」
「……そんな訳だ。お前さん、転生してくれるな?」
 踊りを止めたノインツィヒが、最後に自分自身の言葉で女へ気持ちを伝える。
「今更、嫌とは言わせねえぞ。それが影朧となったお前さんが辿る罰の道だ」
 女は頷いた。その所作に迷いはない。
 転生は己の罰を向き合ってこそ、心を癒やして輪廻へ還ってゆく。
 故に、ノインツィヒの言葉は正論だ。
「……ま、罪を認めて反省してんなら、その道も地獄って訳じゃねえよ。また新しく人生始めるだけさ。霊界の役人どもも杓子定規な沙汰を言い渡さねぇよ、きっとな?」
 ノインツィヒが女へ握手を求める。
 それに女が応えた。
 女の手が、まるで空気を掴むように殆ど感触が薄らいできているのは、転生間近な証拠だ。
「じゃあな、行ってこい」
「ええ、いってきます――!」
 ノインツィヒが手を振る。
 女は光の粒子となって、幻朧桜に吸い込まれるように消失していった。
「きっと、いつかこの素敵な景色を、誰か大切な方やご家族と満ち足りた気持ちで、また眺める日がきっと来ます。その日が楽しみですね♪」
 箒星は演奏を続けながら、消えていった女へ別れの言葉を贈った。
 鹿村は無言のまま、光の粒子を吸い込んだ幻朧桜に額をくっつけて黙祷をしていた。
 ノインツィヒは全てが終わったと確信すると、桜館の窓から顔を出す宿泊客へ、声を張り上げて儀式の成功を報告した。

「……魂鎮メ歌劇ノ儀。これにて、終幕にてございます!」

 舞台に立つノインツィヒを始めとする猟兵達へ、万雷の拍手が盛大に送られる。
 光の粒子は影朧が破壊した全てをたちまち復元させ、傷ついた者も全快させてくれた。
 こうして、猟兵達の大舞台は、無事に終幕を迎え、大団円で成功したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月20日


挿絵イラスト