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Evol Evange

#アポカリプスヘル #ストームキャラバン

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#アポカリプスヘル
#ストームキャラバン


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 荒野に轟音を響かせながら、戦車の編隊が走り行く。
 大地を踏みしめる無限軌道の上に、しかし本来あるべき砲塔は無く。代わって有るのは質素な、しかし確りとした作りのテントや仮設住宅。
 それはこの世界で最も危険な狩りを繰り返す奪還者達の、狩りを成し遂げる為の最適解。即ち移動する拠点(ベース)。

『間もなく『嵐』発生予想区域へ到達。各員、戦闘準備に入ってください』
 中央を行く、一際大きな戦車を土台とする建造物から声が響く。応えるように、周りのテントや仮設住宅から現れるのは、いずれもが異様な雰囲気の武装携える少女達。
 彼女達はストームブレイド、オブリビオン・ストームを喰らい超常の力を操る能力者達。
 即ち。彼女達が狩らんとするは、この世界の荒廃の元凶たるオブリビオン・ストーム──。



「それが『ストーム・キャラバン』なのです」
 グリモア猟兵、愛天・真澄(愛神の使徒・f32265)は、予知に現れた彼女達についてそう説明する。
 構成員の全てがストームブレイドから成り、オブリビオン・ストームを追う為に移動する拠点(ベース)に居住し、そしてストームから現れたオブリビオンを倒して物資を得る……という手段にて、荒廃したアポカリプスヘルを生き抜く特殊な奪還者達。それが『ストーム・キャラバン』。
「──なのですが、そんな彼女達が追っていたオブリビオン・ストームから、彼女達の手にも余るオブリビオンが現れ、抗戦空しく全滅してしまう、という予知が此度見えました」
 元々オブリビオンとの戦闘を前提としている集団である彼女達が全滅する程の敵。如何なる強大な存在であろうか。
「その辺りは後程ご説明しますが……まずは彼女達への接触を試み、オブリビオン・ストームを探す旅に同行して頂きたく」
 そして、オブリビオン・ストームから現れたオブリビオンを共に殲滅する。それが此度の任務であった。

「此度皆様に接触頂くストーム・キャラバンは、その構成員の全員が十代の女性フラスコチャイルドからなるグループです。名を『エヴォル・エヴァンジェ』といいます」
 曰く、今は無き生産施設にて、恐らくはオブリビオン・ストームへの対抗手段として生まれたのだろうと思われる少女達。なれど守るものも最早亡く、今は純粋に生きる為に嵐を追っている、という処らしい。
「彼女達も猟兵の存在は認知してますので、そうと名乗れば快く歓迎して下さるでしょう。彼女達と交流しつつ、オブリビオン・ストーム発見の報をお待ちください」
 彼女達はオブリビオン・ストームを発見するレーダーを保有しており、これを基に嵐を追っている。彼女達と同行していれば、遠からずストームに立ち会えるだろう。

「オブリビオン・ストーム発生現場に到着しましたら、現れるオブリビオンを順次殲滅して下さいませ」
 エヴォル・エヴァンジェの面々も勿論戦闘に参加する。敵の数は猟兵達だけでは対処しきれないだろう程に多いので、彼女達の力も借りつつ戦うべきだろう。
「ある程度敵を殲滅した処で、一際強力な個体がストームの中から発生します。どうやら、エヴォル・エヴァンジェの皆様と因縁ある存在のようではありますが……その存在こそ、彼女達が全滅する原因なのです」
 当該個体の実力は勿論だが、何より、その時点でも未だ他の敵が相当数残っていた事が大きい。即ち、当該個体に気を取られている隙をそれら雑魚に突かれて倒される、というのが予知での展開だったらしい。
「ですので、彼女達をフォローしつつ、周囲の敵の掃討を優先的にお願いします」
 その間に件の個体には逃げられてしまう可能性もあるが、現状ではやむを得ない。そう語る真澄の様子は、何処か申し訳なさそうにも見えた。

「ともあれ、此度皆様にお願いしたい内容は以上です。それでは、転送を開始致しますね」
 そう結び、真澄が両手を組めば、その頭上にてグリモアの光が輝きを放ち。
 猟兵達を、かの世界の荒野へと送り出してゆく。


五条新一郎
 残酷で美しき天使達。
 五条です。

 さて此度のシナリオの舞台はアポカリプスヘル。
 オブリビオン・ストームを追って狩りをするストームブレイドの少女達と交流し、そして共闘をお願い致します。

●目的
 ストーム・キャラバン『エヴォル・エヴァンジェ』の面々を生存させつつ、オブリビオン・ストームから現れるオブリビオン達を殲滅。

●ロケーション
 第一章はエヴォル・エヴァンジェの拠点となる戦車住居群が舞台となります。
 戦車の上にテントや仮設住宅が建ってます。戦車は居住性に特化させるため武装は全て外されてます。
 また、リーダーが乗る指揮車両は他より大きく丈夫な建物が乗ってます。

 第二章はオブリビオン・ストーム発生現場となる廃墟都市が戦場となります。

●NPC
『エヴォル・エヴァンジェ』
 全員が10代のフラスコチャイルドの少女達からなるストームブレイドのグループ。
 20歳の女性のリーダーが率いてます。
 戦闘では大剣や槍矛など大型武器型の偽神兵器と、ユーベルコード「ストーム・ランペイジ」を使用。
 油断や隙さえ見せなければ集団敵のオブリビオン相手に遅れを取ることはない実力の持ち主です。

●第一章
 エヴォル・エヴァンジェの面々と交流しつつオブリビオン・ストームを待つ「日常」です。
 フラグメント内容にない行動でもOK。
 個々のメンバーのパーソナリティは、プレイングに合わせて生えてきますので、こんな娘がいるかなーと想像しつつプレイングをかけて頂ければそれに合わせた娘が出てくると思われます。

●第二章
 オブリビオン・ストームから現れたオブリビオンとの「集団戦」です。
 エヴォル・エヴァンジェの面々との共闘となります。

●第三章
 更に現れるオブリビオンとの「集団戦」です。
 エヴォル・エヴァンジェの面々はボス格オブリビオンに気を取られるようなので、彼女達のフォローが必要でしょう。
 尚、このボス格オブリビオンとは此度のシナリオでは戦えません。

●プレイングについて
 第一章はOP公開直後から、第二章以降は章移行後に断章を投稿しますのでそれ以後からプレイングを受け付けます。〆切はタグにて掲示予定。

 それでは、皆様の熱いパトス迸るプレイングお待ちしております。
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第1章 日常 『荒野キャンプ』

POW   :    武器の手入れや作戦を練るなどの戦闘準備をする

SPD   :    テントを張ったり、見張り役をしたりする

WIZ   :    体力の温存・回復の為にひたすら休む

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

岩社・サラ
POW
アドリブ歓迎です。

激戦が想定されますし武装の整備をしようと思うのですが…ふむ偽神兵器ですか。知識としてはそういう武装があるのは知っていますが実際に間近で見るのは初めてだったかもしれませんね。なるほど興味深いです。
悪い癖だとは思っているのですが新しく見る武器には惹かれてしまいます。

同じように武器の整備をしているキャラバンのメンバーがいたら、整備が終わった後に話しかけて武器を少し見せてもらえないか聞いてみましょう。
これから共闘する仲間がどう戦うのかというのも気になりますしね。

相手がこちらの武器に興味を示してたなら武器についての話をしてみたりするのも良いかもしれませんね。


秋由良・インテグラ
オブリビオンストームを狙って行動する集団。中々剛毅な連中がいるのね……
戦車を住居にする発想も面白い。確かに荒野を往くには無限軌道の方がいいのかも。

私にも手伝わせてちょうだい?武器の手入れや補充は十分?勿論わかってると思うけどいざという時に調子が悪くなったらマズいでしょ?
後は住居戦車の方もちょっと見ておきましょうか。こっちもいざという時動かなくなったら困るから。
誰かメンテしてる子いるのかしら。いるならそっちも手伝わせてちょうだい。
いないならちょっとできる子に手伝ってもらおうかしら。

周到な準備が勝利を招く。私が教えてもらった教訓と持論よ。
さぁ、始めましょう。

※アドリブ、連携OK



 アポカリプスヘルの荒野を往く、住居を乗せた戦車の群れ。ストーム・キャラバン『エヴォル・エヴァンジェ』の移動拠点。
 ある拠点の入口にて停車していた処に訪れた猟兵達を、構成員たるフラスコチャイルドの少女達は快く迎え入れた。オブリビオン・ストームとの戦い、彼女らにとっては日常であるとはいえ、戦力は多いに越したことはない。
 未だ嵐の兆しは見えていない、という事で、猟兵達は思い思いに、キャラバンの構成員達との交流を行うのであった。 

「ここで皆の武器の整備をしているのですね」
 戦車の上に張られたテントの一つへと、二人の猟兵が訪ねる。見回して岩社・サラ(人間の戦場傭兵・f31741)が呟いた通り、其処には幾つもの大剣や槍矛、銃器等がラックに固定の上で立てかけられていた。
「うん……?」
 テントの中央には、床に胡坐をかいて膝に大剣を乗せ、何やら随所を金鎚で叩いている少女の姿。猟兵達の気配に気付いたか、振り返る。
「あれ、初めて見る顔だね。あんた達が猟兵ってヤツかい?」
 短い髪に吊り目がちの目。少年のような雰囲気の顔立ちだが、ツナギの上からでも分かる曲線的な肢体のラインが、彼女の性別を明らかとする。
「ええ、ちょっと見学がてらお手伝いさせて貰えればと思ってね」
 秋由良・インテグラ(トランスポーター・f33280)が応え、続けてサラ共々名乗ってみせれば。
「ご丁寧にどうも。アタシはイスル、普段はこうやって皆の武器の整備をしてる」
 応えて自らも名乗ってみせた少女――イスルは、つい今し方まで己が叩いていた大剣を二人に示してみせる。
「ふむふむ。これが偽神兵器……というものですか」
 身を屈め、示されたそれをまじまじと見つめるサラ。長く大きな刃を具えたそれは、成程大剣と言うべきものだが、特筆すべきはその峰に埋め込まれたエンジンのような装置。話によれば、偽神兵器にはオブリビオン・ストームを燃料として稼働する動力機関が存在するというが、これがそれであろうか。
「そうそう。出力は高いけど、それだけにガタがきやすいから、こまめな整備が必要。だからアタシが一手に引き受けてる」
 肯定の返事を返すイスル。細かな調整は各自で行うが、大まかな整備は彼女の仕事なのだという。
「ふぅん、手入れは行き届いてる感じね」
 いざという時調子が悪くなったらマズいし当然かしら、と、ラック上に並ぶ武器を眺めるインテグラ。
「なるほど。もう少々、詳しく見せてもらっても?」
 一方サラは、如何にも興味津々といった表情でイスルが持つ大剣を見つめる。新しい武器の鑑賞や収集が趣味な彼女、こうして偽神兵器を直接目にする機会に初めて触れるが故、もっとじっくり見たいという欲求に駆られている模様。
「ん、まあ構わないよ。アタシのモノだし」
 ロックをかけてあるから動力は動かないけど、と断りを入れつつ、イスルは大剣をサラへと渡す。刀身から柄、動力部と細部に至るまで。様々な部位を様々な角度からじっくり鑑賞してゆくサラ。
「ところで、アンタら猟兵だろう? そっちはどんな武器を使っているんだい?」
 そんなサラの様子を見ていたイスルが問う。猟兵といえば他の世界から来た者も多いということで、異世界の武器というものに興味を示した模様。
「私は基本的には銃器ですね。此方の世界でも一般的に使われるものが大半ではありますが……」
 細かい規格の違いなどはあれど、扱いとしてはそう大きく変わるものではない、と。見せてもらっていた偽神兵器を返しつつ応えるサラ。
「この世界に無さそうなものですと……この辺でしょうか?」
 掌を車内の一角に向けて念を籠めると、向けた先の床から光が立ち昇り――その場に一匹の蜥蜴が現れた。それも、肉体が岩石で形作られた蜥蜴である。
 魔術的な文物は未見故か、驚いた様子のイスル。その原理や習得方法に至るまで、大変興味深そうに暫し質問を繰り返したとか。
「私も基本的には銃器ね。戦車やキャバリアにも乗ったりするけど……そういえば、戦車の方もメンテはしているのかしら?」
 一頻りサラが応えた後、インテグラがふと思い至って問い返す。自動車からキャバリアまであらゆる乗り物を乗りこなす彼女、今も運び屋として活動しているだけに乗り物への拘りは強い。
「そりゃ勿論。というか今からやる処だよ」
 戦車は台数も多いので、イスルを始め数名のメンバーで手分けしてやっているとの事。それを聞いたインテグラが手伝いを申し出れば。
「有難いね。正直猫の手も借りたいと思ってたところだから助かるよ」
「ええ、それじゃ早速始めましょう」
 周到な準備が勝利を招く。インテグラが教わった教訓であり、持論でもある。故に日々のメンテナンスは欠かしてはならぬ、と。
 そうして外へ出た二人、今し方まで乗っていた戦車の各部チェックに始まり、普段イスルが担当している戦車のメンテナンスを一通りこなしていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
オブリビオンストームの原理は気になりますからねぇ。
ご協力させて頂きますぅ。

【豊饒佳饌】を使用し[料理]を強化、人数分の「スイーツ」を作ってお土産にお持ちしますねぇ。
元々「装備品」としても持ち歩いている品が有りますから、「普通の鞄に入る程度の量」を紛れ込ませるのは問題無いでしょうし、仮に『発生』を誘発しても、元々その為に集まっている以上、悪影響は少ないでしょう。

現地に着きましたら「猟兵」であることを伝え協力を申し出ますねぇ。
その際「スイーツ」を配り「これまでのお話」等を聞きましょう。
材料の問題は有りますから、意味が有るかは微妙ですが、興味のある方が居ればレシピを教えても?


三辻・蒜
生まれは同じでも、私はこっちの世界で暮らしたことないし、色々お話できたらいいな

戦車で移動しながら生活して戦うって、凄いよね
水とか食べ物とか、備蓄できるものなのかな
美味しいものなしで戦い続けられるわけないと思うけど、料理ってどうしてるんだろう
全部自動化されてるって感じじゃなさそうだし、何かできることがあれば手伝いたいな

みんな大きい剣とか槍とかしか使わないのかな?
私みたいに軽装の射手がいたら、良い参考になりそうだし、どんな戦いをするのか知りたいな
それ以外にも、この世界を旅してきて楽しかったこと、面白かったこととか
一緒に戦うんだから、少しでもお互いの理解を深めておかないとね



 とある拠点の入口にて停車中の戦車群。件のストーム・キャラバンの移動拠点たる車群の中心、一際大きな戦車に載った建物――指揮車両を、二人の猟兵が見上げていた。
「フラスコチャイルドの人達……色々お話できたらいいな」
 美しき翠の瞳を瞬かせ、三辻・蒜(緑眼の獣・f32482)が呟く。かのキャラバンの構成員達同様、施設で造り出されたフラスコチャイルドである蒜だが、彼女が生まれたのは立地する島ごとグリードオーシャンに転移した施設でのこと。アポカリプスヘルを訪れるのは此度が初めてだ。生まれは近くとも異なる世界で育った者達。興味は尽きない。
「そうですねぇ、お友達になれれば幸いかとぉ」
 荒涼たる風に緑の黒髪を揺らし、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が緩やかな声音で応える。その為の手土産も持参しており、友誼を深めたいという気持ちは蒜と変わらない。
「ともあれ、参りましょうかぁ」
 るこるが呼びかけるのに蒜も頷き。指揮車両へと足を踏み入れてゆく二人であった。

「――なるほど、貴方達が猟兵……ええ、噂は聞いております。多くの拠点をオブリビオンやレイダーの襲撃から救い、近頃はあのヴォーテックス一族とも戦いを繰り広げておられる強き方々――と」
 二人を迎えたのは、歳の頃二十歳程と思しき女性。流れるような濡羽色の髪に整った容貌が、何処か神秘的な美を醸す。
「と、申し遅れました。私はナギサ。このキャラバン――エヴォル・エヴァンジェの代表を務めております」
 その女性――ナギサが名乗れば、るこると蒜もまた名乗りを返し。
「オブリビオン・ストームを追っての狩りは私達にとって日常とはいえ、戦力は多ければ多い程良いもの。猟兵の皆さんが協力して下さるとなれば、とても心強いことです」
 そして協力の申し出を受け入れることを、ナギサは微笑と共に明言してみせた。
「快諾有難いですぅ。ついては、お土産にお菓子をお持ちしましたので、宜しければ皆さんと如何でしょうかぁ」
 承諾を受けて、るこるは安堵と喜びの笑みを浮かべ。続いて、一つの重箱を差し出してみせる。
 何であろうかと興味深げな蒜とナギサの前で蓋を開けて見せれば、その中身は幾つものシュークリーム。今回の為に作ってきたものだ。
 通常、他世界からの物資の持ち込みはオブリビオン・ストームを誘発する危険があるため制限されるが、るこるの場合は普段から甘味を持ち歩いているのもあり、その一部という扱いで特に影響は生じなかったようだ。
「わ……美味しそう。私も食べたいかも」
「勿論、蒜さんもお一つどうぞですよぉ」
 ぎっしり詰め込まれたそれらを見つめる蒜にるこるが応え。蒜は嬉しげに頷く。
「これは……食べ物なのですね。では、お言葉に甘えて」
 ナギサも恐らくは初めて見るのだろう、甘い匂いを漂わすそれに瞳を瞬かせていたが。理解すれば、傍らの通信機を手に取った。未知の食物を、仲間達と分かち合う為に。

 数分後、手の空いていたエヴォル・エヴァンジェの隊員達が指揮車両に集い、るこるの差し出した重箱からシュークリームを一人一つずつ受け取ってゆく。皆、初めて見るその食べ物を不思議そうに、或いは興味深そうに眺めていた。
「……! これは……口の中で蕩けるような甘味に、香ばしい皮の風味が程よく混じって……とても、美味しいです……!」
 全員に行き渡ったところで、ナギサが先陣とばかりに一口食せば。その味にまず驚愕し、そして幸福げな笑みを見せる。まるで、初めて味わう至上の味であるかのように。
 隊長たる彼女に続いて、他のメンバーも次々とシュークリームを口にする。皆やはり驚きつつも美味とは感じているようで、その表情は一様に笑顔であった。
「うん、とっても甘くて美味しい。けど、皆は普段何を食べてるの?」
 蒜もシュークリームの甘い味わいに表情を緩ますが、ふと気になった疑問をナギサに向ける。
「缶詰であったり、レーションであったり……保存食の類が普段の食事になりますね。基本的に、手に入る食べ物がそうしたものに限られますので」
 荒廃したアポカリプスヘル、食糧を自力で調達できる拠点は少なく、基本は奪還者が廃墟で入手してきた保存食の類が主な食糧となる。エヴォル・エヴァンジェも、その点については例外ではなかった。
「農業をやっている拠点もありますけど、まだ数える程度しかありませんしねぇ」
 シュークリームの作り方に興味があったらしい何人かの隊員にレシピを教えていたるこるが応える。今教えていたレシピも、材料の殆どがアポカリプスヘルでは入手不可能――どころか、隊員達が名前すら知らなかった食材さえある程だ。
「そっか……そんな中で戦い続けるって、凄いね」
 即ち、美食の喜びとは無縁の生活。美味しいもの無しで戦い続けられるわけがない、と思っていた蒜にとって、その事実は大きな驚きを齎すものであった様子。
「生き延びることが第一義、ですから。けれど、今日頂いたシュークリームの味は、きっと当分忘れることはないでしょう」
 こんな美味しいものは初めて食べました、と微笑み応えるナギサ。賞賛めいた蒜の言葉に対する謙遜、とも見えた。

 その後も、旅の中での経験や、戦い方についてなど。
 ナギサや他の隊員達と多くの言葉を交わし、るこるも蒜も、彼女達と互いに理解を深めていったようであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーゼロッテ・ローデンヴァルト
※アドリブ等歓迎、別称推奨

や、麗しき御一行様♪
7両編成ホバー医療船『ファルマコン』で
並走・声掛け…驚いたかな?(くす)

アタシは闇医者兼猟兵
コレで察しが付くよね?
暫く助太刀するよ

まずは宴会もとい物資提供
『マゲイロス』を最後部デッキに配置
愛麗絲、彼女らにイイ薬膳を♪
「ハイ!おなかいっぱい振る舞います♡」
※ユベコ始動

そして医療支援っ
構成員は耐環境型人造少女…愛麗絲の近縁?
清浄環境が苦手なら専用の医療も要るよね

だから希望者に【医術】施しつつ質問
※3号車搭載中の『イリーガル・メディック』や
※生産設備のある『アイス・ミルク』駆使

正直「ヤバそう」な娘は居る?…診ていい?
※少し儚げ?不調理由・外見・名前等一任


ハニエル・マールテュルム
果たしてどんな相手が待ち受けているか――どんな相手でも見過ごしたりは出来ませんね。

邂逅できたら猟兵であることを名乗り、同行を願い出ます。
僕は癒しと守りの術を得意としていますので、それでお役に立てればと。


許可を得れば、メンバーの方達への挨拶や住居群の見学などさせて頂きましょう。

特に医療担当の方などいれば、普段の施術についてや、有事の際の動きなど確認し、いざという時は連携できるよう努めます。

教えてもらうばかりでは申し訳ないので、薬品の整理なり器具の手入れなりお手伝いもさせて頂きますね。

この世界を女性たちだけで生き抜く覚悟、並大抵のものではないでしょうが――せめてこの一時は力になりたいですからね。



「――これは」
 ストーム・キャラバンへの挨拶回りを兼ね、戦車群を見学して回っていたハニエル・マールテュルム(聖騎士候補・f15866)は、眼前に現れた『それ』――七両編成のホバー船群を前に、只々息を呑んでいた。
 それまでに無い音の接近を聞き、エヴォル・エヴァンジェの面々もまた姿を見せ。同様に驚愕する。一両だけでも戦車住居並の大きさがある車両が七両、連結された姿で其処にあるという光景は、彼女らをして驚愕を禁じ得ないもののようであった。
「や、驚かせちゃったかな、麗しい御一行様?」
 と、そこへ更に声がかけられる。その主は最前部の車両、運転席から顔を出した少女――に見える女性。戸惑う隊員達に、彼女――リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)は告げた。
「アタシは闇医者兼猟兵。これで察しはつくよね?」
 端的な自己紹介は、しかし受け手には意図を含めて充分に伝わったようで。戸惑いが消えてゆくのが感じられる。
「……まさか、同じ猟兵の所有するものに驚かされるとは」
 運転席から下りてくるリーゼロッテを見遣りつつ、ハニエルは苦笑する。尋常ならざる武装を有する猟兵というのも少なくはないが、ここまで大掛かりなもの――キャバリア数機分にも及ぶ『施設』を有する者もそうはいまい。
「ふふっ、アタシ自慢の医療船兼ドック船さ。この世界に持ち込んでも嵐を呼ばないぐらいのね」
 この世界への過剰な物資の持ち込みはオブリビオン・ストームを誘発する恐れがあるため、転移に際しては己の有する武装のみという制約がある。しかしこの船『ファルマコン』はリーゼロッテの武装のひとつ。故にこれ程の大きさであっても持ち込みが叶ったのである。尤も、宴会を行おうと持ち込む予定だった食材群はグリモアベースに置いていかざるを得なかったが。
「キミも診て欲しい処があれば言ってね? 格安で治してあげるよ」
「い、今は間に合ってますっ」
 くつくつと笑いながら告げるリーゼロッテに何処かただならぬものを感じたか、謹んで辞退するハニエルであった。

 そうして二人が訪れたのは、戦車群のうち医療を担当する車両。恐らくは戦闘における損傷を考慮してだろうか、薬品を収めている棚はどれも頑丈そうで、且つ安定しているように見えた。
「君達が猟兵か。よく来た」
 眼鏡をかけた銀髪の女性が、訪れた二人を迎える。
「私はマトリア。エヴォル・エヴァンジェでの医療行為全般を引き受けている者だ」
 彼女の名乗るに続き、ハニエルとリーゼロッテも各々に自己紹介を行えば。
「へぇ、其方の子――リリー、で良いのかな。本職の医者とは有り難い」
 私は飽くまで、此処の面子の中で一番医術の技能が優れているからやっているに過ぎないし――と自嘲しつつも。
「それに其方の男の子も。癒しと守りの術――というのはよく分からないが、頼りになりそうだ」
 魔術の類がほぼ存在しないアポカリプスヘルに生まれ育った身ゆえ。ハニエルが有するそれらの術にも期待を見せているようであった。
「お、お役に立てるように頑張りますっ。そ、それで普段の施術についてなのですが」
 期待を向けられ少し緊張を感じつつも請け負うハニエル。早速本題に入ろうとする。
「まあ施術といっても大袈裟なことはない。定期的な隊員各自の健康状態の確認と、異常のある者への必要な処置と薬の処方。というところだね」
 平時の仕事は他の世界の医者と然程変わらないらしい。
「ここの隊員は皆、耐環境型人造人間(フラスコチャイルド)と聞くけど……専用の医療も要るんじゃないかな?」
 フラスコチャイルドといえば汚染環境への耐性を持つ反面、逆に清浄な環境では生命維持装置無くして生きられない種族である。それを踏まえてのリーゼロッテの問いであるが。
「ああ、幸い私達は汚染耐性が低めな分、多少清潔な環境でも生命機能に異常をきたすことは無くてね。特別何かをする必要はないんだ」
 精々、この部屋を清潔にしすぎないぐらいかな、とのマトリアの返答。そういえば医療現場にしてはあまり清潔感が無い、と実感を覚える二人であったとか。
 続いてハニエルが有事の動きについて問えば。
「オブリビオン・ストーム戦では私も戦うから、怪我の手当は基本的に戦闘が終わった後だね。戦闘中に仕事が生じるとしたら、……余程の深手を負った時ぐらい、か」
 そこまで言って、マトリアの表情に影が差す。医療に携わる、ということは、恐らく仲間の死に立ち会う機会も一番多いのだろう。察し、詳しくは問わないハニエルであった。
「だろうね。――ところで今、正直『ヤバそう』な娘はいる?」
 その辺は医療に携わる者の宿命とも言える。実感を籠めて頷くリーゼロッテ、ふと思い立って問う。『ヤバそう』の意味は言うまでもなく。
「……それなら……ああ、彼女だ」
 眉根を寄せて思案するマトリア、そこに丁度当人が訪れた、と入口を示す。振り返れば、白に近い銀髪を長く伸ばした、儚げな印象の少女が其処に居た。
「――あなた方が、猟兵さま……ですか?」
 小首を傾げる少女。入口傍の壁で身を支える姿は、普通に立ち続ける事も楽ではない状態ということだろう。
「わたしは、レリと申します……このような、お見苦しい姿で、申し訳ありません……」
 名乗りつつも恐縮げに頭を下げるレリ。着衣の裾からちらりと見えた素肌、殆どが透き通るように白い中、一部がドス黒く変色しているのが見えた。
「あれは――」
 痛ましい様相に眉根を寄せるハニエル。応えるようにマトリアは重々しく頷いて。
「我々ストームブレイドの力の源――偽神細胞に対する肉体の拒絶反応。その末期段階だ」
 異物たる細胞を身体に仕込んで戦う以上、本来の肉体には多大なる負担がかかる。レリの肉体は、その負担に耐えられなくなってきているのだという。
「私には、抗体薬物を投与しての時間稼ぎしかできないが――異世界の医療なら、根本的な治療も可能かもしれない。頼めるか」
 話を振られリーゼロッテは唸る。ストームブレイドが偽神細胞の引き起こす拒絶反応によって寿命が限られているというのは、猟兵でも例を漏れぬ者が多い。正直、根治は厳しいだろう。
「……お願い、します。完全に治して欲しい、とは申しません。せめて再び、仲間達と肩を並べられれば――」
 そこへレリからも乞い願う声。其処までならば、恐らく何とかなるだろう。否、何とかしてみせる。
「――良いとも。生命ならば何であれイカしてヤれる。それがアタシだからね」
 不敵に笑みつつ、リーゼロッテは頷く。そしてレリを伴い奥のベッドへと向かえば、カーテンでベッドと周囲とを隔離した。
「――やれやれ。苦しむ仲間の助けを、外から来た君達に丸投げしなければならないとはね」
 自嘲げに溜息をつくマトリア。しかしハニエルは首を横に振る。
「いいえ。マトリアさんは大変頑張っておられると思います。物資も施設も足りないこの世界で、ご自身に出来ることを出来る限りに為し得ておられるのですから」
 何より、如何に強いとはいえ、女性達だけでそんな世界を生き抜かんとする覚悟。ハニエルはそこに、己には無い強さを見た、と答える。
「だからこそ――せめてこのひと時は、力になりたいと思うのです。恐らくは、リリーさんも」
 真っ直ぐにマトリアを見上げる、聖騎士候補の少年。危うさすら感じる程に純粋なその視線に、思わず微笑を零すマトリア。
「そうか――そういうことなら、少しくらいは甘えさせてもらっても良い……のかな」
 漏れた言葉に頷くハニエル。自分達にできることなら何であれ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

防人・拓也
愛機のリーパーキャバリアに搭乗しながら、周囲の見張りを行う。
「今のところ…異常なし、か。まさに嵐が来る前の静けさってところか」
と言い、少女の誰かの視線を感じ、そちらの方へ向く。
「ん? こいつが気になるのか?」
と視線の主に聞く。
返事が来たら
「まぁ、物珍しいと思われるのも無理もない。こいつは世界に1つだけの俺の専用機だからな。君はこういう兵器に興味があるのか?」
と聞く。
興味があるなら、コックピットのハッチを開き、機体の膝を地面に着けて
「なら、一緒に乗ってみるか? 何、無理な機動はしないから安心しろ」
と言い、視線の主を乗せたら、歩いてみたり、スラスターでジャンプなど軽い機動をする。
アドリブ可。


ユキノ・サーメッティア
キャバリアに乗り込んで合流しておくのですにゃー
とりあえず、追従しながら機体や武装のチェックしておこう

各箇所の負荷の状態に……間接部の摩耗具合にっと……
武器の取り回しも、しやすいかも見ておこー
後は……、軽く盾も展開してみてっと、異常も無さそうかな

うん? 入念過ぎるって?
そりゃあねー、戦ってる最中に動かないとか、事だからだよー?

って、盾がどうかした?
どうやって浮かんでるとか……いや、私もわかんない!
(元々からして浮遊する原理が不明な盾である)
……乗ってみたいって、これ、乗る物じゃ……いや、いいけどさ

とゆーわけで、キャバリアサイズの盾のその上に少女達の一部を乗せて
水平にして浮かべてみましょうかにゃー



 拠点の外、ストーム・キャラバンの戦車群の傍で二機のキャバリアが動いている。周囲を歩いているものと、その場で駆動するもの。
「今のところ……異常なし、か」
 歩き回っている方、青きクロムキャバリア『リーパーキャバリア』は周辺を見張っていた様子。搭乗者たる防人・拓也(コードネーム:リーパー・f23769)は安心したように一息つきながら、もう一機のキャバリアの方へと歩み寄る。
「お疲れ様にゃー。まだ大丈夫そう?」
 迎えるは、白き機体に白の翼という装いが天使めいたスーパーロボット『ネブラベスティア』。操縦するユキノ・サーメッティア(空白・f00911)が拓也に労いの声をかける間も、機体は腕を、脚を曲げ伸ばし各部の消耗度合いや関節の摩耗具合を確かめる。
「ああ。風の音が少しする程度。至って静かなものだ。――嵐の前の静けさ、なのかもしれないが」
 この後オブリビオン・ストームと遭遇する事は解っているが、何処かはまだ解っていない。この拠点の近くかもしれない。となれば、警戒しておくに越したことはない。そう考え、拓也は周辺警戒に出ていたのである。
「それなら暫くは大丈夫そうだね、今のうちに準備しておこー」
 拓也の哨戒結果を受けてユキノはそう判断、引き続き機体の動作確認を行う。得物たる二振りの剣と魔導銃。その取り出し・格納・持ち替え。それぞれの動作を遅滞なく行えるかどうか。
「そうだな、俺も機体のチェックを――ん?」
 彼女に倣って機体の点検を行おうとした拓也だが、そこで機体の近くに人類の反応があることに気付いた。機体のカメラアイを向ければ、己等の機体を見上げる少女の姿。歳の頃は十と少し、薄青色のサイドテールを結ぶ位置が右か左かを除けば瓜二つの容姿をした少女達だ。
「にゃ、こっち見てるね。このキャラバンの子かにゃ?」
 ユキノも気付けば、機体の外部スピーカーを介して声をかける。少女達は全く同時に頷いて。
「うん。エヴォル・エヴァンジェのアミナと」
「レイヤ。見たことないロボット、すごい」
 応える二人の少女。舌足らずでたどたどしさのある物言いながら、二機のキャバリアを見上げる瞳はきらきら輝いているようにも見える。
「なるほど、こいつが気になるのか。無理もない」
 戦車やマシンウォーカーならば少なからず存在するアポカリプスヘルだが、キャバリアのような人型ロボットはそうそう無い。ましてリーパーキャバリアは全世界に一つだけ、拓也専用のキャバリアなのだ。興味を惹くは必然と言えよう。
「お姉さんは、何してるの?」
 双子の片割れ、左にサイドテールを束ねたレイヤがユキノに問う。ネブラベスティアは相変わらず、武装を出しては格納する動作や細かい前後左右への移動を繰り返していた。
「機体の動作チェックだよー。戦ってる最中に動かなくなるとか、事だからねー」
 答えるユキノ、続いて機体の背後に三枚の板を浮かべる。素材不明のその板は、どうやら盾らしい。ユキノの意思に応えるように、機体の周囲をくるくる回る。
「す、すごーい……!」
「ど、どうやって動いてるの、この盾!」
 それを見ていた双子姉妹、揃って驚愕のリアクションを見せる。その原理を右にサイドテールを束ねたアミナが問えば。
「それはねー、……私も分かんない!」
 まさかの回答にずっこける双子姉妹。しかし冗談ではなく事実である。どのような原理で浮遊し、稼働するのか。ユキノ自身にもさっぱり解っていないのだ。とりあえず意思に応えて動くから良い、らしい。
「……ところで、二人ともこういうものに興味があるのか?」
 同じく自機の中でずっこけていた拓也、シートに座り直しながら問う。姉妹ともにこの食いつきの良さである、そういうことなのだろうと内心思いつつ。
「うん、見た事ないものだし」
「それに、強そう!」
 力強い首肯と共に二人ともが頷く。それなら、と拓也がレバーを動かせば、徐にリーパーキャバリアがその場で跪き、コクピットが開く。
「一緒に乗ってみるか? そんなに広くないから、一度に一人ずつ、にはなるが」
「「え、いいの!?」」
 無理な機動はしないから安心して――と続ける前に食いついてきた双子姉妹。その後、どちらが先に乗るかの軽い悶着があったりしつつも。
「わーいっ、わたし乗るー!」
「うー……わたしも、乗りたい……」
 アミナに決まったらしく、不満げなレイヤを後目にコクピットの拓也のもとへ一目散。その脚の早さとコクピットまで一跳びの跳躍力、彼女らも一廉の戦士なのだろうと思わせる身体能力を見せつつ。
「よし、ちゃんと固定されているな?」
 迎えた拓也、自分と共に膝の上に乗せたアミナの身も固定するようシートベルトを付け直し、その固定を確かめれば。
「じゃあ、動くぞ」
 早速立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。胸元から「わぁー」と感嘆の声が聞こえる。徐々に歩行速度を速め、そのうちスラスターを吹かしてのダッシュへ。少女は怖がる様子を微塵も見せず、ただただ楽しんでいた。
「うー、いいなぁ……」
 その様子を指を咥えて見ていたレイヤ、ふとユキノのネブラベスティアへ視線を戻せば。目に映るのは、その周囲に浮かぶ盾。
「……これ、乗ってみたい」
「え、これ乗る物じゃないんだけど……」
 閃いたのか、徐にそんなおねだりをしてみせるレイヤ。予想外の要望に戸惑うユキノであったが。
「……まあ、乗れないモノじゃあないし、良っか」
 その為のものでなくとも乗ること自体は可能。ならば問題は無い、という理屈のもと、レイヤの前に盾の一枚を水平に浮かべてみせる。
「よーっし、じゃあ乗って……」
「わーいっ! 乗る乗るー!」
 乗りやすいように高度を下げていくが、その前にぴょんっと跳び乗ってしまうレイヤ。この身体能力、彼女もストームブレイドということなのか。
「早っ!? ま、まあ良いか。いくよー、落ちないようにねー」
 驚きながらも、ユキノは盾をゆっくりと動かし始める。キャバリアサイズの盾の縁から身を乗り出し、表情を輝かせながら辺りを見回すレイヤの姿が機体からも見える。
「わ、アミナが飛んでる! やっぱり、あっちもいいなあ」
 ある程度高度がついたところで、ふと青のキャバリアが目に入る。スラスターを吹かしての跳躍から短時間のホバリングを行っているところのようだ。
「わぁ、飛んでるー! って、レイヤも飛んでる! いいなぁ」
 一方のアミナの方からもレイヤの姿が見えたようで。より広い範囲の空中が見えるあちらもあちらで羨ましいようだ。
「なら、もう少し乗ったらあちらと交代するか? あちらも乗りたがっていたし」
 拓也の提案に頷くアミナ。然しキャバリアの乗って動き回る感じもまだ捨てがたくはあるようで。
 そうして暫く後、双子姉妹はお互いの乗り物を交換。その持ち主たる二人の猟兵と共に、暫く楽しんでいたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

秋山・軍犬
ストームキャラバンか~

自分も食えそうなオブリビオンを狩って
食材にするとかやるけど
それ以外の物資も調達とか
アポヘルの仕事では物資に割と悩まされるし
ちょっとノウハウ聞きたいかも…

と、ぼんやり思ってたら
交渉担当っぽい子(名前は適当にお願いします)に捕まった件

…やだ、この子の目
折角だから猟兵とコネとか作って仲間の為に
利益引き出そうとか考えてる目だわ
…ああ、猟兵を歓迎するってそういう(違

まあ、情報には対価が必要だしね

え~とそれで、自分は何ができるのかと…?

え~、料理(食材調達込み)が得意っすね
後は…超級料理人的な医術を少々(医術+料理+浄化+指定UC)

調子の悪い子がいたら、ある程度
力になれるとは思うよ。


ヴォルフガング・テュール
『ストーム・キャラバン』…いなくなれば得られる物資もなくなり困る者達も出てくるだろう、何より無駄に命が散るというのは好きでない
であれば助ける、助け合うのが奪還者だと父からも教わったのでな


猟兵、奪還者のヴォルフガング・テュールだ…


…むぅ、話すのはあまり得意ではない
出来ることといえば力作業【怪力】か父から教わった草笛位か…
何か作業手が必要なら手伝おう、特に何もなければ…流れに任せて…

交流、共に戦うには信頼だ
口が下手であれば行動で示すしかないだろう
特に俺のような図体のデカイ者は威圧感を与えやすい故な



「ストームキャラバンか~」
 居並ぶ車列を眺める二人の猟兵。その一方、ミリタリーファッションの随所から獣の特徴を覗かすキマイラ、秋山・軍犬(悪徳フードファイター・f06631)が独りごちる。
「自分も食えそうなオブリビオンを狩って食材にするとかやるけど、それ以外の物資も調達とか……」
 物資不足に悩まされがちなアポカリプスヘルでの任務。オブリビオンからの物資調達手段が分かれば、今後の参考になりそうだ。是非ノウハウを尋ねたい、と軍犬は考えているようで。
「ああ。彼女らがいなくなれば、得られる物資もなくなり困る者達も出てくるだろう」
 今一人、大柄な青年が重々しく応える。ヴォルフガング・テュール(人間のサバイバルガンナー・f33281)、猟兵となるより前から、このアポカリプスヘルで奪還者として活動していたが故。物資の貴重さは身に沁みて理解している。彼女らストーム・キャラバンの存在は恐らく、この世界で人類が生き抜く為の大きな助けとなっている――そして、それだけではない。
「何より、無駄に命が散るというのは好きでない」
 黙って見過ごせば訪れるだろう破滅から助け出す。その意志のもと彼は今ここにいる。助け合うのが奪還者であると、己に生きる術を叩き込んだ父からも教わったが故に。
 然しいざ現地に着くと、まずは何をしたものか。戦車群を眺めながら思案していた二人であったが――
「おおっ? そこのおにーさん達、もしかして猟兵さんじゃねーッスかっ?」
 突如聞こえた声。そして軍犬とヴォルフガング、両者の手が同時に誰かに掴まれる。痛いという程ではないが意外と強い力で。視線を下げれば、にんまりとした笑顔を浮かべる栗色の髪の少女がそこにいた。
「え、あ、はい。猟兵の秋山軍犬っす」
「……ああ。猟兵、奪還者。ヴォルフガング・テュールだ」
 戸惑いながらも、彼女もこのキャラバンの関係者だろうと見た二人。それぞれ素直に名乗ってみせるが。
「おおー、丁度良か……いやいや。アタシはアルミナ、エヴォル・エヴァンジェの交渉・調達担当ッスよ」
 一瞬口元が歪みかけたのを慌てて頬を抑えて誤魔化しつつ、自己紹介する少女――アルミナ。その姿と、二人を交互に見つめる視線を見て、軍犬は直感する。
(……やだ、この子の目。折角だから猟兵とコネとか作って仲間の為に利益引き出そうとか考えてる目だわ……)
 この出会いを抜け目なくキャラバンの利益にしてみせる、そんな狡猾さを感じる視線。軍犬自身、猟兵の立場を利用して(迷惑をかけない程度に)私利私欲に走る部分があるので、そう直感できたのかもしれない。
「ここで会ったも何かの縁ッス、ちょっとアタシ達を手伝って欲しいなと思うんスけど。おにーさん達、何か特技とかあるッスか?」
 堂々手伝いを要求してきたアルミナ。なかなかにふてぶてしい。
(まあ、情報には対価が必要だしね)
 手伝いをした見返りに、先のノウハウを得られれば最良か。己を納得させた軍犬、頷くこと一つ。
「得意なのは料理っすね。食材調達も得意っす。後は、料理を通じた医術を少々」
 食した者の心身の不調を治す料理を作れる、と語る軍犬。要するにユーベルコードではあるが。
「俺はが出来ること……か」
 一方ヴォルフガングは、己の手を見つめながら呟く。探索や戦闘に有用な特技ならば兎も角、平時の生活で有用な特技となると。
「力作業か、父から教わった草笛くらいだな……」
 暫し考えた結果、出した答えを告げるヴォルフガング。二人の答えを受けてアルミナ、なるほどなるほどーと笑ってみせて。
「うんうん、やっぱ丁度良かったッス! 二人とも、アレを手伝ってはくれないッスか!」
 思わず本音らしきものを漏らしてしまいつつ、アルミナが示した先。そこにあったのは、幾つかの木箱や段ボール箱を載せたリヤカーだ。
「あれは……何っすか?」
 瞳を瞬かせ軍犬が問えば。
「アタシ達が前の狩りでゲットした物資の余りッス。このまま腐らすのも何ですし、この拠点の人達と物々交換しようと思ってるんス」
 中身は食糧や弾薬、燃料、機械のパーツといったところが主だ。成程、これだけあれば重さも相当なものだろう。
「……あれを運べば良いのか」
 力仕事ならば己の得意分野だ、とばかりにヴォルフガングが問えばアルミナも頷き。
「ヴォルフガングさんにはリヤカー牽くのをお任せするッス。んで軍犬さんには荷運びのお手伝いと……そうッス」
 二人に仕事を割り振り、ふと思い立ったように手を叩いた。
「この拠点、野菜を育ててるみたいなんス。折角だから貰おうと思うんスけど、そのままじゃ日持ちしないッスから……保存食への加工の仕方とか、知ってたら教えてほしいんスよ」
 どうッスか? と乞うアルミナに対し、軍犬の思案する事暫し。
「んー、まあ作れないコトもないっすかね。自分に作れる範囲で良ければ」
「よっし、じゃあお願いするッス!」
 その返答に満足げに笑んでみせたアルミナ。そうして彼女と三人、かの拠点へと物資調達に赴くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイ・リスパー
理緒さんと

「戦車住居群ですか。
私も機動戦車オベイロンを駆る者として、彼女たちストームキャラバンには興味があります」
『私も興味深いです、アイ』

オベイロンのAIも興味を持ったようですし、理緒さんのセレステと一緒にキャラバンに合流し並走しましょう。
情報収集と今後の活動のためにも、キャラバンの人たちと交流します。

『アイ、私はあの赤い装甲車が気になるのですが』
「オベイロン、ああいうタイプ(の車両)が好みなんですか!
これは仲良くなっておかないと(?)」

この世界の戦車にAIは搭載されていないでしょうけど、オベイロンのために近くを走ったり、隣に停車したりしましょう。

「あ、メカニックの娘が乗ってるんですね」


菫宮・理緒
アイさんと

戦車に住むっていう発想はなかったから、ちょっと興味あるね。

アイさんのオベイロンについていく感じで、
わたしもセレステで、キャラバンと合流。

なるほど。戦車を土台に使ってるのか。
装甲のあるキャンピングカーって感じだね。

ん? オベイロンがめずらしいことを!
これは意外な展開だね。お手伝いさせてもらわないと!

さっきの赤い装甲車は……あの子の車かな?

おはようっ。
ちょっとお話しさせてもらってもいいかな?

キャラバンの整備チーフなんだ?
わたしもメカニックなんだよ! 整備の時は手伝うね!

チューンは自分で?
そっか、パーツがあればもっとパワーがでるのか。
なにか使えそうなのがあれば、もっていっていいから、ねー。



 時間は少し遡り、拠点へ向けて荒野を走るエヴォル・エヴァンジェの戦車群。
 そこに並走する、戦車と装甲車が一台ずつ。彼方のレーダーには猟兵と識別されているが故、警戒される様子は無い。
「それにしても、戦車住居群ですか」
 戦車――機動戦車『オベイロン』の操縦席にて。モニタに映した住居戦車を分析しつつ、その乗り手たるアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)が呟く。己も戦車を扱う者として、かのキャラバンには興味が尽きないところだ。
『私も興味深いです、アイ』
 モニタから声。オベイロンに搭載されたAIのものだ。自律思考可能なこのAIには自我も存在する。故にこうして他の存在に興味を示すこともあるのだ。
「戦車に住む、っていう発想は無かったよね」
 横合いのモニタから声がする。其方は共に走る装甲車『リオ・セレステ』からの通信。モニタに映るその操縦者、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)のものだ。
 オベイロンもリオ・セレステも、少々の寝泊り程度なら不可能ではないが、生活するというまでの機能は無い。其れを為すかのキャラバンには、やはり興味が湧くところ。
「なるほど……戦車を土台に使ってるのか」
 理緒もまた、住居戦車を外から分析している様子。戦車の砲塔を取り外し、車体にテントや仮設住宅の柱を設置。そこを土台に壁などを取りつけた、という形のようだ。
「さて、折角オベイロンも興味を持ったようですし。交流を持ってみたいところですね」
 走行する戦車達を次々モニタに映しつつ、アイは思案する。まずはどの戦車から声をかけたものだろうか。
 戦車を一台一台映していき、やがて赤い装甲車を映し――次へいこうとする操作が拒否された。
『アイ。私はこの赤い装甲車が気になります』
 同時にオベイロンのAIが訴える。どうやらその為に一時的に操作を拒否したらしい。
「おおっ、オベイロンが珍しいことを!」
 AIらしく淡々としたリアクションの多いオベイロンが珍しく見せた積極性。アイの親友ゆえにオベイロンとも付き合いの多い理緒、意外そうに食いついてきた。
「オベイロン、ああいうタイプが好みなんですか!」
 そして所有者たるアイにとってもまた意外だったようで。彼女もまた楽しそうな驚きの反応を見せる。
「これは仲良くなっておかないと!」
「うんうん、意外な展開、お手伝いしちゃうよっ」
 俄かに色めき立つ二人。共に年頃の少女、こういう話に興味が沸くのも無理からぬ話である。
「とはいえ、この世界の戦車にAIは搭載されていないとは思いますけれど……」
 その辺は冷静に判断しつつも、オベイロンの示した興味に応えるべく、件の装甲車に横づけを試みるアイ。理緒も自機をその後ろにつけ、暫く並走を続ける。

 それから程無くして、戦車群は拠点へと到着。停車した戦車から、一人また一人と隊員が降りてきた。
 件の赤い装甲車からも、細身の少女が一人降りてきた。そこへ、己の車両から降りてきた理緒が声をかける。
「おはようっ。ちょっとお話させてもらってもいいかな?」
「ん……? キミ達、もしかしてさっきの?」
 小首を傾げつつ、不思議そうな顔で理緒を見る少女。身に着けたオーバーオールは、油や煤で汚れきっている。
「ええ、挨拶が遅れてすみません。私達は猟兵の――」
 そうしてアイと理緒が自己紹介をすれば、少女は得心いったように頷いて。
「なるほど、キミ達が噂の。ボクはイロリ。このキャラバンの車両の整備を統括してる」
 己も自己紹介を返す少女――イロリ。その名乗りを聞けば、アイは得心いったように頷く。
「メカニックの娘だったんですね。道理でがっつりとチューンが入って――オベイロンが興味を持つわけです」
「統括ってコトはチーフさんか! あ、わたしもメカニックなんだよ。整備する時は手伝うね!」
 一方の理緒は、その役職に興味を持ったようで。両手をぐっと握って協力を申し出る。
「ん、それは有難い。整備はボクと、もう一人メカニックの子の二人でやってるから……正直、いつも人手不足で」
 微笑みながら応えるイロリ。成程、これだけ多くの戦車を二人だけで見るというのは間違いなく大変だ。
「私も手伝わせてもらいますね。電脳魔術でばっちりサポートしますので」
 自信ありげに請け負うアイにも、イロリは嬉しそうに笑みを向ける。
「そういえば、この戦車のチューンも、イロリさんがやってるのかな?」
 居住用への改造も大変そう、と戦車群を眺めながら質問する理緒。イロリは頷き。
「他の子に手伝って貰うコトもあるけど、基本的には全部ボクがやってる。燃費の良いエンジンを積んだり、サスペンションを強化したり……」
 後は、悪路走破がスムーズにいくようにパワーを強化したいがパーツが無い、とぼやくイロリ。それに対して理緒、徐に頷くと。
「それなら、わたしのリオ・セレステの予備パーツがもしかしたら使えるかも?」
「……いいの?」
 唐突な申し出に、驚き瞳を瞬かすイロリ。
「いいのいいの。なにか使えそうなのがあれば、もっていっていいから、ねー」
 微笑みと共に応えてみせる理緒。願ってもない申し出に、イロリは謝意を示すと共に笑むのであった。

 そうして、三人は戦車の整備を開始。機械に強い二人の助力もあり、整備は驚く程スムーズに進んだとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイシャン・ラディスティ
なるほどー、ストームキャラバン。
大したものですねー
たしかに効果的だと思いますー
助けてあげたいですねー

普通に猟兵って名乗って接触しますー
オブリビオンストームとの戦い、私も手伝いますー

ふむふむ、ふむふむー
居住性の特化したってだけあって、すごい設備ですねー
快適ですー

他のかただと料理とか芸とか出来るのでしょうけれど、わたしにはそんな技能無いのでー
話し相手ぐらいは頑張りますねー



 荒野を走る、ストーム・キャラバンの戦車群。その一台の上に築かれた住居の中で、一人の猟兵とキャラバンの隊員たる少女とが言葉を交わしていた。
「それにしても、ストーム・キャラバンって大したものですねー」
 改めて、その活動内容に驚嘆を覚えているのはレイシャン・ラディスティ(揺蕩う氷海・f27574)。アイスブルーの瞳と髪、真白き肌を有する人魚型深海人の女性だ。
「そうでしょうか……?」
 実感が無さそうな様子で首を傾げるのは、白に近い銀髪を長く伸ばした少女。儚げな印象ではあるが、彼女もまた戦う力持つエヴォル・エヴァンジェの戦闘員なのだという。名前は『レリ』。
「そうですよー、レリさんー。オブリビオン・ストームっていったらー、この世界をこんなにした元凶じゃないですかー」
 それに立ち向かい、現れるオブリビオンを倒して物資を得る。危険ではあるだろうが、世界を滅ぼさんとするものを打ち倒し、生きる糧を得るというのは凄いことだとレイシャンは言う。
「いえ……でも、私達では、現れるオブリビオンを倒すのが精いっぱいで。ストームそのものまではとても……」
 自信なさげに俯くレリ、しかしレイシャンはその手を取って。
「それでも、ですよー。オブリビオンに対抗すること自体、簡単なことではないですからー」
「それは、ええ、はい……それだけの力があり、戦うことで仲間を助けられるなら……と、思いますから」
 ひんやりとしたその手触り。仄かに頬を赤らめつつも、レリは小さく笑み、頷いた。
「此度は、レイシャンさんはじめ……猟兵の皆さんも、手伝って下さるということですから……心強いです」
「はいー、頑張りますよー」
 向けられた視線に対し、にっこり微笑むレイシャンであった。
「ところでー。今、私達って戦車の上の建物にいるんですよねー?」
「ええ、間違いないですけれど……それが何か……?」
 そして徐に話題を変えるレイシャン。不思議そうに瞳を瞬かせつつも答えるレリ、問い返す。
「はいー、戦車で荒野を走るとなると、凄い揺れると思ってたんですけどー……全然揺れないですねー」
 尾びれで己の座る絨毯を擦りつつ、実感を籠めてレイシャンは言う。実際、全く揺れないわけではないが、その振動は驚く程に少ない。
「ああ、なるほど……。この住居戦車は居住性に特化している、ということなので……その一環、だと思います」
 具体的にはサスペンションの強化や、車体と建物との間の接合への工夫など、だそうだ。
「ふむふむー。凄い工夫がされているんですねー。道理で快適なワケですー」
 これなら目一杯寛げそう、とレイシャン。もっと寛げるようにバスタブを持ち込みたい、という感想には流石にレリにも苦笑されたが。
「……ふふ、それにしても、こうお話していると、とても楽しいです」
 ふと、その笑みを穏やかなものと変えて呟くレリ。
「それは幸いですー。私、これといった特技が無いのでー」
 レイシャンも微笑み応える。技術的に手伝うことができない分、話し相手を頑張れれば、と思ったが故に、こうしてレリと言葉を交わしていた訳であるが。
「あ、勿論、ストームが来たら戦闘も頑張りますよー」
「はい、その時は……よろしくお願いしますね」
 その後も暫く、歓談を交わす二人であったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

備傘・剱
オブリビオンストームを、ねぇ
そういや、話には聞いていたが、実物は、見たことないんだよな
ってことで、ついて行ってみるか

なら、多少でも生存率を上げる為には、準備が必要って事だな
デビルダイスロール、発動!
さぁ、一足りない達、武器の手入れから、清掃、洗濯に見張り、そして、乗組員のマッサージまで、何でもやってみるか
で、俺は、飯を作ってみるかな
こんな世界だ、節約料理でも、味の追求と満足度の高い飯ぐらい、何とかなるだろうな

で、いろんな奴と話をしてみるか
実際、オブリビオンストームがどんな風なのかとか、どう攻略してきたか、とかな
この世界に出入りする以上、知らないと話にならないしよ

アドリブ、絡み、好きにしてくれ



(オブリビオン・ストームを狩る連中、ねぇ)
 果たしてどのような戦い方をするのか――そこまで考えて、備傘・剱(絶路・f01759)はふと気付いた。そういえば、オブリビオン・ストームの実物を見た覚えが無い、と。
 かのキャラバンに同行すれば、その機会もあるだろう。故に此度の任務への参加を決めた劔であった。

 そうして訪れたアポカリプスヘル、とある拠点の入口付近にて停車中のストーム・キャラバンの戦車群。その指揮車両にて。
「ようこそ、猟兵さん。エヴォル・エヴァンジェ代表、ナギサと申します」
「備傘・剱だ、宜しくな。さて、この後ストームを探して出発するんだよな?」
 劔を迎えたのは、長い濡羽色の髪が印象的な、落ち着いた雰囲気の女性――ナギサ。彼女がこのキャラバンの代表であるという。
 自己紹介もそこそこに、本題へ入ろうとする劔。それを受けてナギサは頷き。
「はい。オブリビオン・ストームとの戦いは私達の日常の一部ではありますが、危険であるのもまた事実。猟兵の皆さんにご協力頂けるのは、本当に有難く」
 彼女達は皆優れた戦士ではあるが、猟兵ではない。それでも生きる為にはオブリビオン・ストームに挑むより他に無い。ある意味、一般の奪還者以上に生きることが命懸けな者達である。
「成程な。となると、しっかり準備して少しでも生存率を上げないと、だよな」
 頷き、徐に懐からダイスを取り出す劔。それは何かと不思議そうな顔でナギサが問えば。
「ああ、入念な準備には人手が何より必要だろうからな……っと!」
 応えると共にダイスを放り投げる。着地と共に煙が溢れ、そこに現れたのは――妖怪とも悪魔ともつかない、不思議な生き物達。
「この不思議な生き物が、人手……でしょうか?」
 その何とも言えぬ様相に、おっかなびっくりな様子でそれらを眺めるナギサ。
「ああ、その名も『妖怪一足りない』だ。任せきりにするのはちょっと危ないが、手伝いぐらいなら問題ない」
 そして出揃った妖怪達に劔は指示を飛ばす。この一帯で作業に当たっているキャラバンのメンバー達を手伝ってやってくれ、と。
 応え、一斉に指揮車両を飛び出していく妖怪達。それを途中まで見届けたところで、劔はナギサを振り返る。
「他のメンバーにも伝えてやってくれ、見た目は何だかよく働く、武器の手入れから、清掃、洗濯に見張り、あとマッサージもして欲しければ遠慮なく命令してやってくれ、ってな」
「……そうですね、先に連絡をしておかないと驚いてしまいそうです。では」
 頷き、無線機を手に取るナギサ。隊員達への連絡が終わったところで、続けて劔は言う。
「で、俺は飯を作ろうと思う。出発前に食べていくだろ?」
 確認の問いにナギサが是と返せば、本腰入れようとばかりに上着を脱ぎだす劔。
「よし、食材はかなり限られるだろうが、味の追求と満足度の高い飯ぐらいは何とかなるだろ」
 調味料は自前で用意している、であればどうとでもできる。伊達に酒場を営んではいないのだ。
「後は、そうだな。飯でも食べながら、皆の戦いについても聞かせてくれよ。オブリビオン・ストームがどんな風なのか、どう攻略してきたか、とかな」
 それらを知らなければ話にならないから、と言い添えて。劔は調理場へと向かっていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

臥待・夏報
マスター(f09894)と
(馴染みの店のマスターなのでそう呼んでるよ)
単車の後ろに乗せてもらおう
うーん長時間乗ると結構疲れが来るな……普段使ってない筋肉が……(ぐったり)

こらこらマスター、酒の無理強いはだめだぞ?
なんて言いつつ、同じく隊長さんに声をかけよう
もちろんいけるクチだったら、常備品のお酒くらいは提供できるよ

フラスコチャイルドの身の上って、なんか縁遠い話だな
UDCにも似たような子がいないわけじゃないけど

自分探ししてられるような世界でもないし
一つの目的に特化した肉体と精神をしてるのは、ある意味幸せなのかもしれない
人類は農作業や戦争のために子供を産んできた訳で
……そうだね、僕らと変わらないな


ヴァシリッサ・フロレスク
夏報チャン(f15753)と愛車ハティにタンデムで戦列へ

道中のキャンプにて

フフッ、中々ハードな行軍だったケド、流石見かけによらずタフなコばっかりだねェ?
夏報チャンはダイジョーブかい?

隊伍に加わるンだ、野営中を見計らい、隊長サンにゃちゃんと挨拶しとくか
Ma'am♪ゴキゲン麗しゅう?

イケるクチなら、酒を勧めてみる

コミュ力と適当な世界知識で世間話や行軍計画を訊きつつ、身の上や今回の相手に繋がりそうなコトついて、改めて情報収集しとくかねェ

嵐を狩る為に生まれ、生きる為に嵐を喰らう、か

Wille zur Macht、ってか?
存外、アタシらもさして変わり無いかもね?

まァ、タマにゃ寄り道すンのも人生悪かないよ



 拠点を出発して暫く後。とある無人の廃墟にてキャンプを張るストーム・キャラバン。吹き抜ける風の音に紛れて、力強いエンジン音が轟き渡る。
 荒野を走りキャラバンのもとへと近づく、一台のオフロードバイク。『XR17G/S HATI』、通称ハティ。そのハンドルを握るはヴァシリッサ・フロレスク(浄火の血胤(自称)・f09894)、猟兵である。
「フフッ、中々ハードな行軍だったケド……流石に皆、タフなコばっかりみたいだねェ」
 遠目に隊員と思しき少女達の姿を認め、その疲れを感じさせない挙動に驚きつつニヤリと笑むヴァシリッサ。彼女達はあれを日常としているのだから大したものだ、と。
「で、夏報ちゃんはダイジョーブかい?」
 そこで後ろにタンデムしていた同行者を振り返り、問う。そこに座るは、美しくも何処かあどけなさの抜けぬ女性。臥待・夏報(終われない夏休み・f15753)だ。
「大丈夫じゃない……長時間乗るとやっぱり疲れが来る……」
 その夏報、すっかりぐったり疲れてしまっていた。曰く、普段使っていない筋肉を酷使したとの事。
「そりゃ宜しくない。着いたらちょっと休ませてもらいな」
 軽く型を竦めたヴァシリッサ、バイクの速度を少し上げて。程無くして、二人はキャラバンとの合流を果たしたのである。

「あー……疲れたー……。申し訳ない、いきなり押しかけておいてこんな状態で」
「いえいえ、荒野をバイクで何時間も走るとなれば、疲れるのも致し方ないかと」
 そしてキャラバンの指揮車両にて。事情を伝えて隊長の寝床を借りた夏報、頭を下げる。一方の隊長の女性はあまり気にしていない様子。
「いやー、思ったより合流に時間がかかっちゃったね。ご厚情痛み入るぜ、Ma'am」
 ヴァシリッサもまた彼女の計らいに、妙に丁寧なのかおどけているのか、独特な調子で礼を述べ。
「ともかく、改めて自己紹介だ。アタシはヴァシリッサ、こっちの子は夏報ちゃん。どっちも猟兵だよ」
「エヴォル・エヴァンジェの代表を務めております、ナギサと申します。改めて、猟兵の皆さん、あなた方を歓迎します」
 二人の自己紹介に続き、隊長――ナギサもまた自己紹介を返す。と、そこに。
「ところで隊長サン、コイツはイケるクチかい? 良かったらどうだい、一杯」
 ヴァシリッサが突き出してきたウィスキーの瓶。突然の誘いに驚いた様子のナギサ。
「こらこらマスター、酒の無理強いはだめだぞ?」
 夏報が釘を刺す。とは言え、彼女もまた酒を常備している身。ナギサが呑めるようであれば、其方を提供する事も吝かではないようだった。
「……お気持ちは有難いですが、これからいつ戦いとなるか分かりませんので、お気持ちだけ」
 しかしナギサは申し訳なさそうに頭を下げて固辞。彼女は成人しており運転するわけでもないが、いざ戦闘となった時に隊長が酒に酔った状態では恰好つかない、という理由であった。
「そうか、それなら仕方ない。狩りが上手くいった時の祝杯に取っておくかね」
「そういえば、ここの皆はオブリビオン・ストームを追うようになって長いのかな?」
 断られれば引き下がり、ウィスキーを荷物の中に戻すヴァシリッサ。そこでふと思い至ったか、夏報が問いを投げる。
「そうですね、彼是3年程。それだけの期間を生き延びた、という意味では、長いといえば長いのかもしれません」
 本来は嵐を狩りに行くのではなく、嵐を迎え撃つのが目的だったのですが……と、遠い目をするナギサ。その様子を見てヴァシリッサが問う。
「そういや、フラスコチャイルドは施設で造られて生まれるモンだったね。迎え撃つ、ってのは、何かを守る為に造られた……ってコトで良いんかね」
「はい。私達を造り出した施設を含む街を守ること。それが当初の、私達が生まれた理由でした」
 だが、最終調整中に施設のある街がオブリビオン・ストームに襲われ。目覚めた時には、施設も街も廃墟と化していた――との事であった。
「生まれた理由を失ったとて、生まれた以上は叶う限り生きたい。そう思い、今はこうしてストーム・キャラバンとして活動しているのです」
 あくまで自分個人の動機である、と断りつつもナギサは言う。その語りを、寝床で頬杖ついて聞きつつ、夏報は思う。
(――フラスコチャイルドの身の上って、なんか縁遠い話だな)
 やはりと言うべきか、人工的に作り出されたが故の境遇には、どうも感情移入しづらい点はあるらしい。UDCアースに似たような境遇の人物も居なくはないことを知ってはいるが。
(嵐を狩るための存在。その目的に特化した肉体と精神をしているのは、ある意味幸せなのかもしれない)
 自分探しの余裕など無い世界。造り出した者も守るべき者も失った彼女達が迷わずに済んだのは、幸いと言って良いのだろうか。夏報がナギサに向ける視線に帯びる感情は窺い知れない。
「Der Wille zur Micht――ってか」
 ヴァシリッサが思い浮かべたのはその言葉。『力への意志』。生きている間に、より高く、より良い処へ。然しそれは、何も彼女達特有のものでもない。
「そこはアタシらだって同じだ。だからこうして戦いに来てんだろうしね」
 この世界とは形異なれど、悪夢の如き環境に生まれ育ったヴァシリッサ。あの戦いは、正しく力への意志の発露と言って良いのだろう。
「……そうだね、僕らと変わらないな」
 彼女達だけじゃない。人間とて、子供を産んできたのは、より良い未来の為だ。手段が農業であれ戦争であれ、その先がより高く、より良い場所であると信じるが故に。
「………?」
 二人の遣り取りを理解しきれていないのか、不思議そうな表情のナギサ。そんな彼女に、ヴァシリッサは。
「まァ、タマにゃ寄り道すンのも人生悪かない、ってことサ」
 にやりと微笑みながら、そう言ってみせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『廃棄指定『第二十三模倣体』』

POW   :    第四種戦闘行動(集団蹂躙)
【押し倒し】を狙った【全力、全体重】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【標的】を同じくする【個体】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    第二種捕食行動(侵蝕形態)
自身の肉体を【高靭性】の【触手侵蝕形態】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    指定外特殊行動(昂奮分泌)
全身を【非常に潤滑性の高い体液】で覆い、自身が敵から受けた【喜悦への期待、昂り】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 拠点を発った翌日の朝。隊長たるナギサから、各車両に連絡が入る。
『『嵐』発生予兆を感知しました。これより我々は発生予想区域へ向かいます』
 同時に送られてくる座標データ。其に従い、キャラバンを構成する各車両は一斉に示された座標へと移動を開始。猟兵達もそれに続く。

 移動すること2時間余り。示された座標は、既に荒廃して久しい無人の廃墟。朽ち果て崩れ去ったビル群が、僅かにその形を残しているだけの、明らかに最早人は住んでいないだろう領域。
「後は『嵐』の発生を待ちます。皆、いつでも動けるようにしておいてくださいね」
 ナギサを先頭に並び立つ、エヴォル・エヴァンジェの少女達。皆、其々に得物たる偽神兵器を携え、前方の空を緊張の面持ちで見上げる。

 そして10分もせぬうちに『それ』は訪れた。廃墟を丸ごと包むかのように巻き起こる、漆黒の竜巻。うねり、踊り、荒れ狂い、眼下と周囲に破壊を撒き散らす。
 あれこそがオブリビオン・ストーム、この世界の現在を破壊し過去を呼び起こし、以てこの世界を荒廃せしめた元凶。
 待機地点にもまた強い風が吹き荒れて、砂塵が巻き起こる。なれど視界を遮る程ではない。少女達も、猟兵達も、黒き暴威を真っ直ぐに見据えていた。

 やがて、嵐の中から何かが飛び出してきた。あの廃墟の中にあったとは到底思えぬ、真新しい木箱やアタッシェケース。恐らく中身は何らかの物資。過去から呼び起こされるはオブリビオンだけではない、こうした物資も過去から再生されている、ということなのだろう。
 だが勿論、オブリビオンもまた現れ始めている。背中から無数の触手を生やした、醜怪なる豚人間――と思しきモノ。物資回収の障害となることは確実だ。
「――嵐が落ち着いてきました。では皆さん、いつも通りオブリビオンの掃討を優先、全滅を確認するまで物資には手を出さぬこと。手に余る敵が現れた場合は後退と報告を最優先!」
 己の偽神兵器たる槍矛を掲げ、ナギサが号令を発する。応え、少女達もまた己等の得物を構えて。
「――総員、状況を開始せよ!」
 そして敵中へと突入してゆく少女達。猟兵達もまた、動くべき時だ。



※エヴォル・エヴァンジェのメンバーのうち、名前と凡その設定が決定した面子を此方に列記します。プレイングの際は彼女達の誰かを指定しても良いですし、また別の面子、或いはその他モブ隊員を想定して連携プレイングをかけるのもOKです。

・ナギサ
外見年齢20歳程。エヴォル・エヴァンジェ代表(隊長)。
落ち着いた性格。偽神兵器の形状は槍矛。

・マトリア
外見年齢20代前半。医療担当。
やや斜に構え気味だが責任感は割と強め。偽神兵器の形状はチェーンソー。

・イスル
外見年齢18歳程。偽神兵器のメンテナンス担当。
ぶっきらぼうな性格。偽神兵器の形状は大剣。

・レリ
外見年齢20歳程。偽神細胞の拒絶反応で臥せっていたが猟兵の治療により戦線復帰。
物静かで控えめな性格。偽神兵器の形状は大鎌。

・イロリ
外見年齢16歳程。住居戦車のメンテナンスチーフ。
口数は少ないが性格は穏やか。偽神兵器の形状は大盾つきパイルバンカー。

・アミナ&レイヤ
外見年齢10歳程。双子姉妹でサイドテールを右で束ねているのがアミナ、左で束ねているのがレイヤ。
どちらも無邪気な性格。偽神兵器の形状はどちらも大金鎚。

・アルミナ
外見年齢14歳程。交渉事を主に担当。
抜け目の無いちゃっかり者。偽神兵器の形状は大斧。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
成程、お出ましの様ですねぇ。
それでは、援護させていただきますぅ。

『FBS』を四肢に嵌め飛行、『FMS』のバリアを展開し【崇卓】を発動、『微風』と『地殻変動』の『現象』を指定しますねぇ。
『微風』は『嵐による強風』を制御、飛行が阻害されない状態にすると共に『FRS』『FSS』による[砲撃]と『味方』による[援護射撃]を安定させる為ですぅ。
後は『地殻変動』により『物資』を巻込まない様に保護しつつ『足場』を操作、相手の『突進』の阻害と『味方の攻撃に有利な地形』の形成を行いますねぇ。
或る程度敵だけが集まった場所は四方を『壁』で囲み、上からの[砲撃]&[範囲攻撃]で仕留めましょう。



「成程、お出ましのようですねぇ」
 続々と出現するオブリビオンの姿を認め、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はキャラバンの少女達ともども戦闘態勢に入る。
 その意思を受け、思念制御される四肢の戦輪が旋回を開始。以てその身を浮揚させる。
「私は上空より支援致しますぅ。皆様は、正面の敵との戦闘に専念頂ければとぉ」
 己の横にて身構えていた少女達に告げれば、るこるはそのまま上昇開始。上空より戦場を俯瞰する。
「――っととぉ。やはり風が強いですねぇ」
 しかし間近で嵐の吹き荒れる空の只中、大気の流れは不安定極まりなく。るこるの身もまたあちらこちらへ振り回される。油断すれば吹き飛ばされるか、最悪嵐の中に飲み込まれてしまいそうだ。
 だがしかし、るこるはこの状況への対策を確りと備えていた。両手を広げ、奉ずる女神への祈りを捧げる。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その祭壇の理をここに――」
 祈りが結ばれれば、上下左右に揺られ振られていたるこるの身が安定する。祈りが励起したユーベルコードによって、更なる大気の流れ――風が吹きだし、以て嵐が引き起こす風の影響を弱めたのだ。全く風が無いわけではないが、この程度ならば戦輪の出力で抑えきれる。
 そして、ユーベルコードが齎した変化は空中だけではない。
「ブヒィ!?」
 地上でオブリビオン――豚人間の悲鳴。突如地面に生じた段差によって足を取られ、バランスを崩しそのまま転んでしまった。生じた段差の上にいたエヴォル・エヴァンジェの隊員は一瞬驚くも状況を即座に把握。好機とばかり得物の大薙刀を振り抜き、もがく触手豚を斬り捨ててみせる。
 平坦であった筈の荒野には、突如発生した小規模な地殻変動によって幾つもの段差が生じ、オブリビオン達の行動を阻害する。彼ら得意の体当たりも、これではまともに当てられない。
 それもまた、るこるのユーベルコードによるもの。空中で風を発生させたのと同様、地上では地殻変動を引き起こしオブリビオンの不利と、エヴォル・エヴァンジェの優位を確保せんと努めていたのだ。
 歳若くとも戦闘経験豊富な少女達、急な地殻変動にも慌てず焦らず対応してみせ、突如生じた地の利を存分に活用して豚人間達を次々と仕留めてゆく。
「っとぉ、あちらは敵ばかりですねぇ」
 そして、るこるは只々少女達に戦闘を任せるばかり――ではない。彼女もまた動く。狙うは、豚人間共が狭い範囲に密集している領域。
 目標の領域を見据えるるこる、念を込めると共に彼ら周囲の地面が一斉に隆起。その肥満体の集団を取り囲むかの如く土壁が形作られ彼らを閉じ込める。
 突如閉じ込められ困惑する豚獣人達。壁を飛び越え脱出を試みんとするものもいるようだが、るこるの動くが早い。
「逃がしませんよぉ、このままそこで仕留めさせて頂きますぅ」
 展開するは16基の浮遊砲台と8基の光盾付砲台。その全てが土壁の内側を狙い澄まして――一斉発射。
 着弾する炸裂弾は、その衝撃力と爆発力で豚獣人達を片っ端から吹き飛ばし、引き裂き、粉砕してゆく。
 僅かに生き残った者達も、直後に突入した少女達によって鏖殺とされ、以てこの領域のオブリビオンを全滅せしめたのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハニエル・マールテュルム
悍ましい見目ですね……。
少し震えが走りますが、ここで引き下がる訳には参りません!

マトリアさんやレリさん、もしくは近くにいる猟兵や隊員の方と連携して事に当たります。

僕自身は敵が射程内に存在しないのを確認した上で【覆滅聖界】の発動を。

召喚した女神の加護で、領域内にいる間は防御と回復は一任できます。

ストーム・ランページへの反撃で触手が伸びて来ようと防いで下さいますので、皆さんには敵が聖界へ割って入らぬよう、攻撃に徹して戦線の押し上げをお願いします。

本当は味方だけ守護したり敵には攻撃してくれれば一番なんですが……。
うちの女神様、お膝元にいる存在はすべて庇護しようとするので――すみません。



 醜く膨れ上がった肉体、背にて蠢く毒々しき色合いの触手。豚のものであろう顔は拘束具めいたマスクに覆われ。現れるオブリビオン達の悍ましき姿に、ハニエル・マールテュルム(聖騎士候補・f15866)は己の手の震えを自覚する。
 猟兵として幾らかの経験は積みつつも、元々良家の令息として生まれ育ったハニエルである。醜怪、という語を形にしたかの如き敵に対し、恐怖を覚えるは無理からぬ事であろう。
「これはまた、随分と斬り刻み甲斐のありそうな敵じゃないか」
「ええ……存分に、薙ぎ払えそうな敵、かと……」
 しかしそんなハニエルの横、各々の得物を構え並び立つ女性が二人。先の場にて彼と友誼を持ったエヴォル・エヴァンジェ隊員、マトリアとレリ。その後にも何名かの隊員達が続く。彼女らの姿を認め、ハニエルは己の為すべき事を思い出す。
(――そうです、僕は彼女達を守る為に――!)
 この後に予知されている、彼女達の破滅。其を回避せしめるべく、己は此処に来た。その前段たる現状にて、怯懦などしては居れぬ。震える手を拳と握り込む。恐怖を握り潰すかのように。
「マトリアさん、レリさん」
 そして凛と声を張り、横の二人に呼びかける。応えて向く視線に告げるは、己に任ずる役割。
「僕が援護します、皆さんはどうか存分に攻め込んで頂ければと」
 二人を主とし、その背を守るが己の役目と。頷く二人。
「なるほどね。ふふ、猟兵に背中を守って貰えるとは心強い」
「では……後ろは、お任せします……ね」
 微笑み返し、改めて前を向くと共に、迫り来る豚人間の群れへと対峙する少女戦士達。彼女らの姿を見送りながら、ハニエルは、その白く細い指を組んで祈りの形を取る。瞳を閉じて祈る先は、己の奉ずる守護女神。
「いと尊き聖蹟を授けし方、あらゆる敵を滅ぼす方、豊旗雲の彼方に御座す方――」
 呼びかけるかの如き祈りに応えるかの如く、ハニエルの背後、白く朧な人型の影が浮かび上がる。顔立ちの仔細までは窺い知れぬが、それでも神々しさと美しさとを明確に感じさせる姿。片手には聖き光を湛える聖槍、もう片手には白金に輝く盾を構える。
「――その力の片鱗、お貸しください」
 それこそはハニエルの祈りたる先、守護女神の化身。希うハニエルに応えるかの如く、女神は盾を掲げる。白金の輝きが尚高まり、戦域に光が満ちる。
「――この光は」
 前線、電鋸を振り下ろし豚怪物を斬り裂いたマトリアが変化に気付く。背後から差す光、其は只の光ではないと直感する。
「……暖かい、です。あの影の……おかげでしょうか」
 レリもまた、大鎌を振るう勢いで背後を一瞬振り返り。目にした光と、その源たる女神とをそう評する。
「ああ。それに、暖かいだけじゃない」
 続けざまに襲ってきた豚が伸ばす触手は、しかし二人の目の前で弾かれる。まるでそこに、見えない壁があるかのように。
「……私達を、守ってくれています」
 背後で祈るハニエルを振り返る二人。応え、ハニエルが声を上げる。
「この光で皆さんをお守りします! 敵を光の聖界に入れないよう、攻撃に徹して頂きたく!」
 改めて二人が前を見れば、触手豚の数は見る見るうちに増え、ややもすれば光の届く領域へと踏み込みかねない程。
「ああ、任せてくれ……仕掛けるぞ、レリ!」
「了解です……行きましょう」
 ハニエルに応え、二人が、隊員達が得物を構える。直後、数倍にまで巨大化する、各々の偽神兵器。ストームブレイドの者達が汎用的に修めるユーベルコード、ストーム・ランページ。
 振るわれたる何本もの巨大武器が、吹き荒れ続けるオブリビオン・ストームに負けぬ程の力の嵐を一時、巻き起こし。怪物共を纏めて薙ぎ払って消し飛ばしてみせた。
(――これなら、大丈夫ですね)
 祈りを続け、女神の現界を保ちながら、ハニエルは安堵する。というのもこの女神、己の領域内に在る者には敵味方問わず同じ恩恵か同じ被害を齎す存在なので、敵に踏み込まれたら敵にまで加護を与えてしまう可能性が高いのだ。キャラバンの者達に進撃を求めたのも、その可能性を嫌ってのこと。彼女達の負担を増やしてなければ良いが……と内心心配していたが、どうやら問題なさそうだ。
 ならば後は油断せず、戦況の推移を注視するのみ。祈りを続けながら、ハニエルは少女戦士達の戦いぶりを見守っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

秋山・軍犬
●前回までのあらすじ
アポヘルでもできる美味しい干し野菜教室
やってますた

※アルミナと連携(無理ならモブの子で)

疑似的な不老不死を発現する程に
鍛えた肉体に覇気を纏い肉体強度を更にUP
これで、よほど纏まった数で突進を受けない限り
ダメージは通らんっす…ま、移動も攻撃も回避も
するから突進全部受ける訳じゃないっすけどね

そして、纏った覇気で敵に圧をかけて
軍犬を優先して倒すべき敵と認識させる

という訳で自分が盾役やるんで
アルミナちゃんは攻撃役よろしく
隙見てランペイジぶち込んだって

で、一回、ランペイジの太刀筋見ていけそうなら合図するね
そしたら軍犬なら巻き込んで3回攻撃してOK
躱せるし喰らってもダメージ通らないから



「いやー、それにしても助かったッス! あれだけ干し野菜の蓄えがあれば、暫く食うには困らなさそうッスよ」
「お役に立てたようなら何よりっす。ところでそろそろ本番じゃないっすか?」
 戦場と化した荒野の只中、思い出したように言い出す隊員――アルミナに対し応えつつも、注意を促す秋山・軍犬(悪徳フードファイター・f06631)。実際、触手うねらす豚人間のオブリビオンが、群れを成して二人の方へ迫ってきていた。
「大丈夫、分かってるッスよ! さあ豚野郎共! アタシらのディナーに――はならなくていいッスから、戦車の燃料かパーツになるがいいッス!」
 調子良く応えて見せつつ、豚怪物を前に得物たる大斧を構えてみせるアルミナ。軍犬、確かにこの豚はいくらフードファイターである自分でも食べたくはない、と内心思いつつ。
「よし、それなら自分が盾役やるんで、アルミナちゃん攻撃役よろしく」
「え!? ちょ、何を――ッ!?」
 告げながら、徐に彼女の前に出る軍犬。驚くアルミナ、何事か声をかけようとするが、直後に軍犬の身から溢れ出した覇気を感じて言葉に詰まる。
 長年フードファイターとして活動を重ねてきた軍犬。それは一瞬の油断が死を招く危険区域を探索したり、下手なオブリビオンより強い猛獣やら巨獣と戦ってこれを狩ったり、ひとつ調理を間違えば劇毒と化すような特殊希少食材を調理したりと、非常に過酷なものである。その活動はある種、人を超える為の修行にも似て――いや、実際ほぼそのものだったらしい。結果として、彼の肉体は仙人にも似た疑似的な不老不死と、限定的な宝貝創造能力を得た。
 更に溢れ出す覇気は、肉体強度をより高めると共に、目の前の豚人間達へと圧をかける。この男をまず殺さねば、殺されるのは己達だ――と。
「「ブヒィィィィィ!!」」
 必死さすら感じられる雄叫びと共に、豚怪物達が一斉に走り出す。まさに猪突猛進と言うべき勢いを以て一直線に軍犬へと突撃し――

 衝突、轟音。
「ちょ、軍犬さん!?」
 アルミナの悲鳴めいた声。軍犬、かの豚達の全力と全体重を乗せた突撃に対し、回避行動のひとつも取ることなく、真正面から直撃を受けたのだ。常人ならば肉体が原型を留めているかすら怪しいその一撃を受け、彼は。
「――たかだか二匹程度じゃ、痛くも痒くもないっすよ」
「ブヒィィィ!?」
 軍犬、一切無傷。どころか、無造作に振るった片手を以てオークの一方を斬り倒して反撃と成した。元より鍛え抜かれた肉体に、今は覇気を鎧として纏っているのだ。集団にて現れるオブリビオンの攻撃など、軍犬の肉体を揺るがすことすら叶い得ない。
「――っと、そうだったッス!」
 あまりの耐久能力の高さに一瞬唖然としてしまったアルミナだが、其処はオブリビオン・ストームを追う戦士の一員。すぐさま気を取り直すと、大斧を振りかぶり一撃。もう一体の豚人間は、背後から脳天を叩き割られ骸の海へと還ってゆく。
「よし、この調子っすよ。次は――」
 其を確かめ、再び敵群へと目を向けた軍犬、直後に眉を顰める。
「なんか纏めて来てるんスけどー!?」
 アルミナは驚愕する。先に数倍する豚怪物の群れが、一斉に軍犬目掛けて突撃してきていたのだ。流石にあれだけの数を受ければ多少なりともダメージは通るだろう。ならば。
「アルミナちゃん、自分がアレを引き付けるんで、隙見てランペイジぶち込んだって!」
「了解ッス……!」
 軍犬に応えるアルミナ。そして突撃してきた豚怪物共を、軍犬が横跳びで躱したその直後。
「纏めてブッ飛べッスー!!」
 巨大化した斧が猛烈な勢いにて振るわれ、豚達を纏めて薙ぎ払う。全ては仕留めきれていないが、その一撃は鋭く、且つ力強く。いける、と軍犬は判断する。
「よし、そのまま続けていっちゃって!」
「え!? でもこのまま撃ったら……!」
 ストーム・ランページは一度に三回の攻撃を繰り出せるユーベルコードだが、二撃目以降には敵味方を区別できないリスクが存在する。軍犬を巻き込んでしまうと危惧するアルミナだが。
「自分は大丈夫! 今なら耐えられるっすから!」
 その身の覇気をより強く纏い、己の備えを示す。彼がそう言うのならば。アルミナは意を決し、身を思い切り捻って更に二撃、周囲の豚怪物共に叩き込みにいく。
 それはまさに鉄の竜巻。その暴威によって、彼女の攻撃範囲内にあった豚達は一匹残らず消し飛ばされて。
「ね、この通り大丈夫っすよ」
 そして軍犬は、己の宣言通り無傷であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴォルフガング・テュール
来たか…!ではヴォルフガング・テュール、これより敵を掃討する!

エヴォル・エヴァンジェの面々は近接武器がメインのようだな…であれば
俺はWARG43『ハチ』とWARG47『スコール』の2丁による中距離からの『援護射撃』で立ち回ろう

ばら撒き敵の行動の阻害、そして彼女たちや他近接する猟兵が敵に近づくための『弾幕』
後は囲まれたりしないように周囲の敵への牽制、『威嚇射撃』か
トドメは彼女達や他の猟兵に任せた

数が多いのであればグレネード【範囲攻撃】だ
フローズヴールヴ、全身汗まみれだと良く冷えるだろう…
…む?あの体液は汗ではないのか…?なら…油か?


備傘・剱
話には聞いたが、あれがオブリビオンストームか…
恐ろしいもんだ

にしても、女性が触手豚に突撃って、鴨が葱を背負って来るみたいなもんじゃないか?
とりあえず、護霊亀、発動!
敵を衝撃波、誘導弾でけん制しつつ、一人一人に渡していくぜ
渡し終えたら、斬撃波、ブレス攻撃も加えつつ、広域殲滅開始って奴だな
接近されたら、鎧無視攻撃と鎧砕きをつけた二回攻撃で対応するぜ
乱戦になるだろうから、頭の上の一足りないのダイス攻撃は不意打ちを仕掛ける奴や、仲間への援護用にしておく

…それにしても、ただ、破壊されるだけじゃなく、物資も手に入るってのは、初めて知ったぜ
こいつはちょいと考えを改めなきゃなぁ

アドリブ、絡み、好きにしてくれ



「話には聞いたが、あれがオブリビオン・ストームか……恐ろしいもんだ」
 当初よりは勢いを衰えさせているものの、尚も廃墟都市にて荒れ狂う黒き嵐。荒野より眺める備傘・剱(絶路・f01759)は眉根を寄せる。
「ああ、この世界をこのようにした元凶……破壊と災厄、そのものだ」
 応えるヴォルフガング・テュール(人間のサバイバルガンナー・f33281)の声音は常より尚重い。この世界に生を受けた者として、思う処は人一倍であろうが故に。
「しかし、そこからオブリビオンだけじゃなく物資も出るとはな。こいつはちょいと考えを改めなきゃなぁ」
 劔としては初めて知るその事実。今後この世界で活動する時のため、覚えておく必要がありそうだ。
「少し複雑なところではあるがな……」
 一方のヴォルフガングは、やはり荒廃の元凶というのもあり良い感情は無い様子。ともあれ。
「……ともかく、彼女達も動くようだ。行こう」
「ああ、あんなオブリビオンに女性が突っ込むとか、鴨が葱背負って来るみたいなもんだろうしな」
 此度の任務の本分を果たすべき時だ。各々に得物を構え、交戦中のエヴォル・エヴァンジェの面々のもとへと向かう。

「てぇいっ! ……しまった!?」
 隊員の少女が振るう、偽神兵器の騎兵槍が豚人間の腹を深く貫く。致命傷は与えたものの、あまりにも深く刺さったのが災いし、脂肪が邪魔でうまく抜けない。
「ブヒィィィ!」
 そこへ別の豚怪物が迫る。背より伸ばした触手で以て、少女の身を捉えんとして――横合いから飛来した弾丸を浴び動きが止まる。そこに叩き込まれた衝撃波で以て、狼藉を働かんとしたオブリビオンは吹き飛ばされていった。
「大丈夫か」
「あ、う、うん、ありがと……!」
 自動小銃『ハチ』とサブマシンガン『スコール』を両手に其々構えたヴォルフガングが少女に声をかける。漸く槍を抜き取った少女、体勢を立て直し礼を返す。
「よし、無事みたいだな。こいつを渡しておくぜ」
 そこに追いついた劔が、少女に何かを手渡す。それは表面に亀――霊亀の描かれたメダルだ。
「これは……?」
「お守りみたいなモンだ。といっても気休めじゃない、ちゃんとした防御効果のあるモンだぜ」
 不思議そうにしつつも受け取った少女に劔は応え、短く印を結ぶ。すると、少女の周囲に透明な亀の甲羅状の障壁が出現。成程、これならば守りの憂いは無さそうだ。
「ありがとう、助かるよ! よし、じゃあどんどん行くぞー!」
 劔にも礼を告げ、更なる敵を打ち倒さんと駆け出す少女。見送った劔、改めて周囲を見渡せば。
「――しかし、予想通り乱戦になったな」
「ああ、隊員各々の実力は高いが、今のように不意を打たれる状況も少なくないだろう」
 見渡す限りのオブリビオン、その合間にエヴォル・エヴァンジェの隊員達の姿がちらほらと見える。劔が渡した霊亀のメダルが齎す防御効果はあるとはいえ、それに頼り切りというわけにもいかない。
「なら、俺達でうまいこと守ってやらないと、だな」
「その通りだ。不意打ちや包囲を防ぎ、彼女達が戦い易くする」
 それが自分達の役割と任じて。二人の男は動き出す。少女達の戦いを支える為に。

「そら行くぜ豚共! お前等の相手は俺だ!」
 劔は豚怪物の群れに対し、振るった腕から放つ斬撃波を次々と叩き込む。攻撃を受けた敵が激して集まってくれば、突き出した掌から吐き出されるエネルギーの奔流――ブレスじみた一撃が豚共を巻き込み吹き飛ばしてゆく。
 散らばる敵にエネルギー弾や斬撃波を撃ち込んで誘き寄せ、ブレスで一掃する。広域殲滅が彼の己に任じた役割であった。
「ブヒィィ!」
 暴れ回る彼を嫌ってか、一部の豚怪物達が彼を迂回する形で少女達の背後へ回り込もうとする。だがそこにも、雨霰と弾丸が降り注ぐ。
「お前達の思い通りにはさせん」
 ヴォルフガングの放つ小銃と軽機関銃の弾丸が、豚人間達の足を止めさせる。そこへ、側面から駆け寄った少女達が攻撃を仕掛ける。数は敵に対して少ないものの、彼女らの隙を突こうとする敵へはヴォルフガングの銃弾が飛ぶ。
 猟兵と少女達の連携が、次々と豚怪物達を仕留めていき、しかし敵も一か所に集まって抵抗する。敵の密度が高く、劔の広域殲滅にも少々時間がかかりそうではあったが。
「ならば、ここは俺のとっておきだ……その全身汗まみれの肉体、凍らせてくれる」
 そこへ投げ込まれたのは、ヴォルフガングのグレネード。それも最新式の冷凍弾だ。起爆と同時に内封された強烈な冷気が豚怪物の密集地点に吹き荒れ、彼らの身を包む粘液が凍結してゆく。
「……あの液体、汗ではなさそうだぜ」
「む……となると、油……か?」
 眉間に皺を刻みつつ劔が突っ込む。ヴォルフガングにはピンと来ないようだが、恐らく如何なる感情によって分泌されているかは、知らない方が良いのかもしれない。
「ともかく、これで後は纏めて一網打尽だ! 行くぜ!」
 凝りついて動けぬ豚怪物達を、隊員達の巨大化した偽神兵器と、劔の衝撃波とブレスとが薙ぎ払っていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

岩社・サラ
アドリブ・共闘歓迎

あまり近づきたくない類の相手ですが出てきたのであれば倒すだけです。

せっかく知り合えたのですしイスルさんと共闘することにしましょう。あの大剣が実戦でどう振るわれるのかというのにも興味はありますしね。

戦闘ですがイスルさんを始めとしたキャラバンの方は接近戦に特化した集団のようですし支援を中心に動きますね。

UCを使用し攻撃回数を重視したグレネードランチャーによる範囲攻撃で敵を蹴散らしていきます。

前線で戦う仲間の邪魔にならないように敵集団の先頭ではなく中心や後方を狙って榴弾を撃ち込みますね。

暇があるようなら岩蜥蜴を放ち瓦礫や廃墟に敵が潜んでいないかを確認し榴弾の曲射で攻撃します。



 荒野の中にヒトの姿を認めるや否や、獲物を見つけたとばかり鼻息荒く駆け迫ってくる豚人間型のオブリビオン達。背中には触手までをも有するそれらを見遣り、岩社・サラ(人間の戦場傭兵・f31741)は不快げに眉を顰める。
「あまり近づきたくない類の相手ですが……」
 出てきたのであれば倒すだけ。嫌悪はあれど戦意に陰りは無し、寧ろ排除への意思は強まったと言えようか。
「まーね、あの触手に絡みつかれると色々面倒だし」
 サラよりも一歩前に出るのは、先程友誼を得たエヴォル・エヴァンジェ隊員、イスル。肩に己の得物たる偽神兵器、先程自ら整備していた大剣型のそれを担ぎ、迫る豚どもを油断なく見据える。
「ええ。皆さんがそうならないよう、支援させて頂きます」
 彼女の得物が如何に用いられるか、そしてイスルはどう戦うか。その興味も動機に含めつつ、然し主目的は飽くまで彼女を危険より守ること。サラはイスルに申し出る。
「そいつは有難いね。猟兵の力、頼りにしてるよ」
 口元に笑みを浮かべて応えるイスル、他の隊員達共に迫り来る豚怪物へと斬りかかってゆく。
(――成程)
 踏み込みを利して勢いよく薙ぎ払いの一撃を繰り出す。振り抜く動きに乗せて後方跳躍、反撃の鉄鎚を躱す。見るからに取り回し悪そうな武器を、イスルはあの細身でどう用いるのか、と興味深そうであったサラ。実際其を振るう様を目とし、得心いったように頷く。重量の負担を補いつつ、逆に其を利する取扱い。実に無駄のない動きで立ち回っている。
(流石は一廉の戦士、実に無駄のない動き。――と)
 今後、己があの手の大型武器を扱い機会あらば参考となるだろうか。そんなことを考えつつも、サラは己の得物を構える。ポンプアクション式のグレネードランチャー。エヴォル・エヴァンジェの面々は皆近接戦闘に特化している、ならば火力支援を行うが適切だろうと判断したが故の選択。
 銃口を上向け、トリガーを引く。重い炸音と共に榴弾が射出される。すかさずポンピング、薬莢を排したかと思えば即座に次弾射出。ユーベルコードの域にまで達したサラの銃器への熟達は、本来の銃器のスペックを超えた連射さえ可能とする。
 そうして立て続けに何発も射出された榴弾は、イスル達の、そして彼女らと交戦する豚人間達の頭上を飛び越え、その後方から更に殺到しつつあった敵群の只中へと立て続けに着弾。次々と爆発しては、爆風と爆炎で以て醜怪なる豚どもを吹き飛ばす。
「ブヒィ!?」
 背後で突如轟いた盛大な爆音に、前線の豚怪物達にも動揺が走る。そして、眼前の敵がそれを見逃す筈は無かった。
「貰った……っ!」
 掬い上げるように斬り上げる斬撃。大きく突き出た豚の腹ごとその身を両断し仕留めてみせる。他の隊員達もまた、己の相対する豚怪物共を打ち倒してみせる。
 そうして一歩前線を押し上げれば、そこに在る敵はいずれも手負い。サラの放った榴弾の爆裂によって負傷した豚共、動きはそれまでの敵より一段悪い。そのような敵に後れを取る少女戦士らではない、危なげなく次々とトドメを刺してゆく。
 その合間、ふと振り向いたイスル。押し上げた前線の更に先へと榴弾を撃ち放つサラと目が合う。サムズアップ。サラもまた、弾倉を開いてのリロード操作の合間にサムズアップを返す。
(調子が良いようですね。ならばこの勢い、確と維持していきましょう)
 放った岩蜥蜴で探った処によれば、周辺の瓦礫群の合間に豚怪物が潜んでいる様子は見られなかった。ならば今見える敵への対処に専心するのみだ。
 リロードを終えたグレネードランチャーを再び構え、榴弾を撃ち上げる。曲射故、前衛たる少女戦士達の背後に在っても彼女達を巻き込まない支援は容易。再び群がってきた豚怪物共を、爆裂する炎が少女戦士達に先んじて蹂躙してゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​

三辻・蒜
隊長のナギサが安心できるように頑張らないとね
あの気持ち悪い奴らを殲滅するよ

偽神兵器で近接戦闘をやるメンバーの援護優先で戦おうかな
側面や死角に回り込んでくる敵を警戒して、逃さないように【羨望の光】で撃つ
危ない攻撃はなるべく受けないようにしたいし、敵の数が増えてきたら一時後退を進言するよ
その時は私が前に出て、押し込んでくる奴らの注意を引いて囮になる
敵集団を味方が狙い易い方向へ誘導したら一斉に反撃開始、抵抗の機会を与えずに潰しちゃいたいな
冷静に、無理のないように、確実に敵を減らしていこう

同じ種族の人達が頑張ってるの、やっぱり応援したくなるね
少しでも力になれたら良いな



「はぁっ!」
 裂帛の掛け声と共に、隊長ナギサが得物たる槍矛型偽神兵器を振り抜く。鋭い横薙ぎが、豚怪物の首を裂き、体液を撒き散らしながら荒野に沈めせしめる。
「あう……っ!」
 なれどその左方、豚怪物の一撃を凌ぎ損ねたか、別の隊員がバランスを崩し荒野に尻餅をつく。追撃せんと鉄鎚を振り上げる豚怪物、其を阻止せんとナギサは駆け出して――
「そうはさせない――許さない!」
 声と共に、ナギサの前を奔り抜ける緑色の光。放たれたレーザーは狙い過たず、隊員の前で鉄鎚を掲げた豚怪物の眉間を貫き、その一撃で以て頭部爆散、仕留めてみせた。
「――蒜さん!」
 隊員のもとへと駆けつつも光の出処へと視線を向けたナギサ、発生源たる小さな拳銃を構えた少女――三辻・蒜(緑眼の獣・f32482)の姿を認め声を上げる。
「ん、間に合った。無事で良かった」
 頷き応え、蒜もまたナギサ達のもとへ。ナギサの手を借り立ち上がった隊員も、蒜へと礼を告げる。
「でも、ちょっと敵の数が増えてきたかも」
「そうですね……思ったよりもオブリビオンの発生ペースが早いようです」
 周囲を見回す蒜に、ナギサも頷く。豚人間共は次々と現れ出てはエヴォル・エヴァンジェの面々や猟兵達に迫り、その数は殲滅ペースを尚上回る。
「ここは一度下がって、態勢を立て直した方がいいかも」
「確かに。一度戦力を纏めて仕切り直しましょう」
 蒜の提案を受け、ナギサは一時後退を決断。周囲で尚も戦う隊員達に呼びかけ、彼女達が応えて戻ってくる合間に。
「――で、もうひとつ提案なんだけど」
 蒜の更なる提案。其を聞いたナギサは驚き、心配そうに蒜を見るが。
「大丈夫。ナギサが心配するようなコトにはならないよ」
 自信ありげに頷く蒜。ならば、とナギサも承諾し頷いた。

「気持ち悪い奴ら――私が相手だよ!」
 ナギサ達が一時後退する一方、蒜は逆に前へ出る。迫り来る豚人間共、獲物を見つけたとばかり醜い雄叫びを上げて蒜に迫る。
 向ける銃は護身用の小型銃、尋常なればオブリビオン戦に耐える代物ではない。だがそこから撃ち出すはユーベルコードによって成るレーザー光線。撃ち抜かれる豚怪物がそのたびに一匹、また一匹と倒れ、骸の海へと還ってゆく。
 しかしそれも飽くまで一体ずつ。数十体からなる数で押し込まれれば不利は否めない――無論、それも蒜は承知の上。元より、己の独力で奴らを殲滅できるなどと思っていない。
 光線を放っては退き、また放っては退き。追いかける豚怪物共から逃げ続けた、その先で――
「――今です! 一斉攻撃!」
 ナギサの号令が響くと同時。その場に叩き込まれるは幾つもの巨大な偽神兵器。ストームブレイドのユーベルコード『ストーム・ランページ』。猛然と振るわれる何本もの巨刃が、豚怪物の群れを薙ぎ払い、引き裂き、喰らい尽くしていった。
 蒜の立ち回りは最初から、これを狙ってのもの。己が囮となって敵を惹きつけ、そこを一時後退したストームブレイド達が強襲する。連携は見事に成功だ。
「ね、大丈夫だったでしょう?」
 息を乱すこともなかった蒜、確かな自信を以てナギサに告げてみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

防人・拓也
「さて、戦闘開始だ」
と指定UCを発動する。恐らくアミナとレイヤは性格と装備からして、そのまま敵に突っ込んで行くだろう。
「やれやれ…まずは嬢ちゃん達のフォローに回るとするか」
と言いつつ、頭部バルカン砲で敵に牽制射撃。
「背後は任せろ。俺がきっちり守ってやる」
と姉妹に言い、敵の気を引きつつ、姉妹の背後を守るように戦う。
敵の攻撃をスラスターによる高速機動で避けつつ、ビームライフルやビームサーベルで仕留める。
姉妹達がこちらの戦闘を見ていたら
「ほら、よそ見してないで戦闘に集中しろ」
と言いつつ、姉妹達の隙を突いて攻撃しようとする敵がいたら、高速で接近し、イーグルクローで蹴り上げて斬り裂く。
アドリブ・連携可。



「さて、戦闘開始だ」
 キャラバンの少女戦士達の一団の更に後ろ、蒼き鋼鉄の巨人がそのカメラアイを鋭く輝かせる。防人・拓也(コードネーム:リーパー・f23769)の乗機『リーパーキャバリア』、その搭載AIが戦闘モードへと切り替わったのだ。
「まずは俺が先行して斬り込む。皆はそこに追撃を――」
 付近の少女達に作戦を提案しようとした拓也、だがその少女達は既に彼の前方、迫り来るオブリビオンを目掛けて駆け出してしまっていた。
「おぶりびおーん!」
「やっつけるよー!」
 先頭を行くは双子の少女。アミナとレイヤ、双子の幼きストームブレイド。其々が身の丈程もある巨大な戦鎚を掲げ、似たような武器を持つ豚怪物共へと思いきり振り下ろし叩き付けてゆく。
「……やれやれだな……」
 リーパーキャバリアのコクピット内、苦笑を漏らす拓也。先の交流で見た限りの性格的に、こうなる可能性を想定してはいたが。実際にそうなってしまうとは、と。
「なら、まずは嬢ちゃん達のフォローに回るとするか」
 尤も、それならそれで遣りようはある。双子の後を追ってみれば、交戦中の彼女達の周囲にも複数の豚怪物共が群がり、姉妹を包囲にかかろうとしていた。
「やらせん!」
 リーパーキャバリアの頭部から轟音。内蔵されたバルカンの発射音。撃ち下ろされるキャバリアサイズの弾丸が、あくまで等身大の豚怪物共を猛烈に撃ち据え、瞬く間に肉塊へと変えてゆく。
「わ、何の音?」
「って、おにーさんのロボットだ!」
 目前の豚怪物を打ち倒した双子姉妹が振り返れば、聳え立つ蒼き巨兵の姿。己らと遊んでくれていたロボットの、本来の姿。即ち戦場にて敵を屠る兵器の姿。
『背後は任せろ。俺がきっちり守ってやる』
 スピーカー越しに拓也の声。その声と、機体の火力が示す存在感は、オブリビオン達に大きな脅威を与え、以て彼らの狙いを拓也に集中させる。
(好都合だ、このまま殲滅してやろう)
 姉妹を守る分には、己に狙いが向く方が望ましい。向かってくる豚怪物共に対し、片腕に抜いたライフルを発砲。立て続けに放たれるビームが、狙い違わず豚怪物を一匹一匹撃ち抜き、焼き焦がして仕留めてゆく。
 それを掻い潜って肉薄を果たした豚怪物に対しては、ビームサーベルを抜刀。束帯された粒子の刃を振るえば、その度に豚怪物の肉が、身が裂け、纏われる熱で焼け焦げてゆく。
 軍人、UDC組織の特殊部隊員、そして猟兵。それらの戦闘経験の中で拓也が得た経験と磨かれた勘はユーベルコードの領域へと達し、敵の行動を手に取るように把握することを可能としていた。豚怪物共が如何に動こうとも、拓也の予測を外れることはない。全てを先読みし、確実に仕留めてゆく。
「うわぁ……」
「すっごぉい……」
 決して強大ではないとはいえ、己等では一撃で倒すこと叶わぬ豚怪物共をこうも容易く。アミナもレイヤも、その戦いぶりについつい見入ってしまうが。
「ほら、余所見してないで戦闘に集中しろ」
 窘めるような拓也の注意する声。はっとする姉妹を飛び越えて、その先の荒野へと跳び蹴りを決めるが如く着地。
 否、実際に跳び蹴りである。着地地点付近で鎚を振り上げ、姉妹を狙っていた豚怪物、その醜怪なる肉体を、つま先に装着された鷲の爪が如き剣で引き裂いてみせたのだ。
 その一連の華麗なる機動と攻撃は、再び姉妹の目を釘付けとする結果となったとか、そうでもなかったとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

秋由良・インテグラ
さて本番ね。しっかり準備したんだから無様に後退なんてしないわよ。彼女たちの生活が懸かってるんだから。

ソルジャーに乗って対抗するわ。【アタックブースト】を発動して砲撃しつつ突撃するわよ。ただの戦車の動きと思わないで。私が操縦するのよ?
とはいえ至近に入られると不利なのも事実ね。取りつかれたらハッチからカービンを撃って対処するつもりではあるけれど。
……誰か随伴に入って頂戴!戦車の上に乗ってくれればいいわ!足代わりにしてくれてもいいから!
ヒット&アウェイを繰り返して敵の数をどんどん減らすわよ!

さぁお仕事よ。楽しくいきましょう!ロックンロール!!

※アドリブ、連携OK


レイシャン・ラディスティ
なるほどー
物資もオブリビオンストームによってもたらされるわけですかー

それにしても、敵さんもいっぱいですねー
それなら、ちょっと動きを止めた方がいいですねー?
先に行って爆撃してきますねー

サーちゃん(ライドアイスサーペント)に乗って飛翔、先行
空中から氷の短剣を落として、短剣が刺さった地点から【広がる静かな世界】を発動させてー、凍らせて動きを止めておきますー
体液で覆われてるならもっと凍り付きやすいはずですー

凍ってる間にエヴォル・エヴァンジェのメンバーさんに砕いていってもらいますねー



「なるほどー、物資もオブリビオン・ストームによってもたらされるわけですかー」
 確かに、物資を過去から再生していると考えれば有り得る話だろうか。オブリビオンに混じって現れるそれら物資を見て、レイシャン・ラディスティ(揺蕩う氷海・f27574)は納得したように頷く。
「ともあれ本番ね。しっかり準備したんだから、無様に後退なんてしないわよ」
 そこへ走り込むは一台の戦車。秋由良・インテグラ(トランスポーター・f33280)の操縦する『ソルジャー』である。
「はいー。きっちりやっつけて、物資を持って帰りましょうねー」
 インテグラの意思にレイシャンも応える。口調は緩いが、その意思は確りとしたものだ。
「あの子達の生活が懸かってるんだものね。それじゃ、行くわよ!」
 アクセルを吹かせば、無限軌道が唸り、ソルジャーが発進する。その後を追って、エヴォル・エヴァンジェの隊員達が駆け出してゆく。
「それではサーちゃん、わたし達も行きましょうー」
 レイシャンは己の相棒たるライドアイスサーペントを召喚し騎乗。上空へと飛び上がってゆく。

 先行するソルジャー戦車、程なく迫るオブリビオンの群れを主砲射程に捉える。
「さあお仕事よ、楽しくいきましょう! ロックンロール!」
 インテグラが声を上げるに合わせるが如く、その主砲たる44口径120mm砲が火を噴く。オブリビオン・ストームの影響で吹き荒れる強風を斬り裂き飛翔する砲弾は、瞬く間に前方の豚人間の一団の只中へ着弾、爆裂。爆風が豚人間共を吹き飛ばす。
「命中! さあ、どんどんいくわよ!」
 ソルジャー戦車に施された改造は、インテグラ一人で攻撃と操縦を同時にこなすことを可能とする。加え、インテグラの巧みな操縦技術によって動く戦車の挙動は、生半な戦車のそれではない。荒れた大地を駆けながら、砲撃を繰り返し。その度に何匹もの豚人間共が吹き飛ばされミンチと化してゆく。
 だが、向かってくる豚怪物共はあまりにも多い。倒れたる仲間の屍をも踏み越えて、その数に数倍する豚怪物共がソルジャー戦車に殺到する。
「くっ、囲まれたわね……」
 大軍によって至近距離に張り付かれると弱い、という戦車の弱点は、インテグラの操縦技術を以てしても完全に克服できるものではない。車内に、金属が金属を打つ音――豚怪物共がソルジャー戦車の装甲を殴る音が響く。ユーベルコードによって装甲を強化してはいるが、それでも楽観はできまい。
 常ならばハッチからカービンを撃って対処する事態であるが、此度己は一人ではない。そう、共に戦う仲間がいるのだ。
「……誰か、随伴に入って頂戴! 戦車の上に乗ってくれれば良いわ!」
 呼びかけに答えるは、追ってきていたエヴォル・エヴァンジェの隊員達。其々が車上に飛び乗り、得物たる偽神兵器を振るって戦車を殴る豚怪物共を打ち倒してゆく。
「ではー、わたしも爆撃して支援しますよー」
 一方、上空のレイシャンもまたインテグラの援護要請に応える。その手から幾つもの煌めく光――氷で形作られた短剣が、地上を目掛けて落とされてゆく。
 ただ落としただけのそれらはしかし、鋭利な刃を有するが故に重力加速の力が加わっただけでも地面へ、或いは豚怪物の身へと確りと突き刺さる。だが、この武器の真価はここからだ。
「それでは豚さん達ー、静かにしていてくださいー」
 着弾を見届けたレイシャン、両手を胸の前にて向き合わせて瞳を閉じ、刹那の集中。直後、地上に吹く風が一時、凍えんばかりの冷気を帯びる。
 エヴォル・エヴァンジェの隊員達にはそれだけだが、敵たる豚怪物共にとってはそれどころではない。その全身は吹雪に曝されたかの如く凍り付き、脂肪塗れの身体の表面は白い霜に覆われる。最早、全く身動き叶わないと明確に分かる程の凍てつきようだ。
「今のうちですよー、一気にやっつけちゃってくださいー」
 レイシャンの呼びかけに応じ、各々に得物を振るい手近な豚怪物の氷像を殴り、或いは斬ってゆく隊員達。身体の芯まで凍り付いたかのような肉体はそれらの打撃の前にあっさりと砕け、崩れてゆく。
「助かったわ! これなら!」
 インテグラもまた、包囲の手薄な方向へと主砲を立て続けに撃ち出し、そこを塞ぐ豚怪物共を粉砕して。開いた突破口を走り抜けて包囲を脱出する。
「さあ、仕切り直しといきましょうか!」
 随伴歩兵たる少女戦士達の援護を受けつつ、正面の豚怪物群へと砲撃を繰り返すインテグラ。
「そこで止まっててくださいねー」
 敵数が増えてくれば、レイシャンの放つ凍てつく波動がその動きを停止させ。彼女らはそうして危なげなく、一帯の敵群を殲滅していったのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヴァシリッサ・フロレスク
夏報チャン(f15753)と

ハハッ、グリルパーティだ♪
具材が手前ェで歩いてくるなンて世話ないねェ?酒が足ンなくなっちまうじゃないか

ン、食わず嫌いかい?
そりゃ人生損してンねェ

ホラ、向こうはノリ気みたいだよ?

合流すればナギサを掩護

一寸気負っちまってる気するねェ?
場数踏ンで弁えちゃいるだろうケド、危なげな夏報チャンや味方をほっとけなそーだ

ディヤーヴォルの弾幕で敵を捌きつつ、万一にはスヴァローグにて武器受け、怪力と激痛耐性でナギサ達の盾になる

フフッ、そーゆーのはコッチの仕事さ、コマンダー?
夏報チャンにゃ撹乱、任せたよ?

ナギサの指揮を頼りに、敵中吶喊しUC発動

Yes,Ma'am.
As you wish♪


臥待・夏報
マスター(f09894)と

まさか食べる気?
あ、でも考えてみたら豚の丸焼きに炙ったゲソか……いい具合にラードが染み出て……酒が進むかも……
いやいや無理だよやっぱりアレは消化器官が受け付けないよ

ああもうこっち来るなって!
(ごく普通に殺意を込めて拳銃で応戦する)
(無意識のUC効果で模倣体同士が足の引っ張り合いを始める)
なんか知らんが自滅してる……こわい……

いまいち役に立ててるのかわからんが、ナギサくんと合流しよう
君は平気?
そっか、冷静な指揮してくれる人がいると助かるな

そろそろマスターが暴れる頃だと思うから
ナギサくんにはそのサポートをお願いしよう
戦況をよく見て、効果的な攻撃位置を指示してほしい
できる?



「ハハッ、グリルパーティだ♪」
 エヴォル・エヴァンジェの隊員達を襲い、交戦する豚人間じみたオブリビオン達。その様子を見たヴァシリッサ・フロレスク(浄火の血胤(自称)・f09894)が言い放った一言がこれである。
「具材が手前ェで歩いてくるなンて世話ないねェ? 酒が足ンなくなっちまうじゃないか」
「……マスター、まさか食べる気?」
 テンション高く『獲物』を値踏みするヴァシリッサに対し、臥待・夏報(終われない夏休み・f15753)は引き気味であった。無理もない。あのような醜悪なる生物に食欲を催せようか。
「ン、食わず嫌いかい? そりゃ人生損してンねェ」
 一方のヴァシリッサは食べられて当然と言わんばかりに笑ってみせる。その反応が信じられない、と言いたげに半眼をしつつも、夏報は改めて豚怪物共に視線を向ける。
「……あ、でも考えてみたら豚の丸焼きに炙ったゲソか……」
 豚の本体と、その背で蠢く触手。火を通せば良い具合にラードが染み出て、酒のつまみには丁度良いだろうか――想像してみる。
「……いやいや無理だよやっぱりアレは消化器官が受け付けないよ」
 やはり駄目だったらしい。そんなことを考えてる間に、豚怪物共が二人に気付き、鼻息も荒く向かってきた。
「ほら、向こうはノリ気みたいだよ?」
「ああもうこっち来るなって!」
 ヴァシリッサは何処か楽しげだが夏報はそれどころではない。嫌悪感のままに腰の回転式拳銃を抜き、発砲。言動こそ冷静さを失っているように見えるが狙いは冷徹に。殺意を乗せた銃弾が、豚怪物共の額を的確に射抜く。尤も、オブリビオン故に一撃では斃れないが――
「……なんだあれ……」
 何と、夏報に撃たれた豚人間同士が、互いに殴り合い触手で打ち合い、同士討ちを始めたのである。殺意を以て攻撃を急所に当てたことにより発動した、夏報のユーベルコードによる効果。
「……なんか知らんが自滅してる……こわい……」
 尤も、無意識の発動故に夏報本人には何が起きたのか全く分からないようだが。
 互いに殴り合っていた豚人間共だったが、止めを刺したのは彼ら自身でも猟兵達でもない。キャラバンの少女戦士達の振るった偽神兵器であった。
「大丈夫ですか!?」
 夏報のもとへ駆け寄ってきたのはナギサ。どうやら、夏報が豚怪物共に襲われているように見えたらしい。
「あ、うん何とか。君は平気……?」
 戸惑いながらも受け応える夏報。ナギサは微笑と共に頷いて。
「ええ、この程度の敵であれば、遣り合った経験は二度や三度ではありませんから」
 その声音には自信が滲む。そんな遣り取りを眺め、ヴァシリッサは目を細める。
(成程、場数を踏ンで自信をつけつつも弁えちゃあいるが――一寸、気負っちまってる気もするなァ)
 己が率先して事態に当たり、危なげな味方がいれば率先して助けに行く。それ自体は間違いではない。ないが――
「と、次がきました! いきましょう!」
 豚怪物共の第二波。各々に得物を構える隊員少女達の前、ナギサは槍を構えて――
「おっと、そーゆーのはコッチの仕事さ、コマンダー?」
 その更に前、彼女に背を向けて立つはヴァシリッサ。振り向く表情は不敵の笑み。どういうつもりかと戸惑うナギサだが。
「冷静な指揮してくれる人がいると助かるから。指示、お願いするよ」
 そろそろマスターが暴れ出す頃だからね、と言い添えつつ。夏報もまたナギサの前へ出る。
「――わかりました。では、指示に基づいての判断、お願いします」
 即ち指揮に専念して欲しいということか。納得し、頷くナギサ。
「ヴァシリッサさんは2時方向からの敵の迎撃を。夏報さんは11時方向からの敵を撹乱しつつ、12時方向への誘導を願います」
「Yes,Ma'am♪」
 指示を受けたヴァシリッサ、芝居がかった所作にて諾の答えを返す。と同時に構えたるは、大きく長い重機関銃。ヴァシリッサ本人より大きいのでは、と紛う程の長大なる銃身が轟音と共に弾丸を撃ち出し、迫る豚怪物共を徹甲弾の嵐にて撃ち貫き、粉砕してゆく。
「了解、あの穴のあたりが良いかな」
 夏報が示すは、荒野に開いた擂鉢状の穴。目印としては的確だ。
「はい、あの辺りに誘導を!」
 返答を受け、夏報が駆け出す。その間にも、ヴァシリッサは重機関銃を撃ち放ち続け豚怪物共を蹴散らしてゆくが。
「っ! 8時方向からも敵! 迎撃を!」
 そこで更なる敵群。同行していた隊員が迎撃に当たるが、一匹の豚怪物が彼女らの脇を抜けナギサへ肉薄せんとする。応ずるべく、得物を構えるナギサ。だが動かない。迫る豚怪物が、ハンマーを振りかぶり――
「おおっと、その通り。それはこっちの仕事サ」
 ヴァシリッサの声と、衝突音。先の敵集団を殲滅した彼女が、そのままナギサとの間に割って入り、腕にマウントしていた盾を以て豚人間の一撃を防ぎ止めたのだ。衝撃は盾を貫通しヴァシリッサの腕にまで伝わるが、この程度の痛みに彼女は怯まぬ。
「ミンチ肉一丁上がり!」
 そしてすかさず盾を向ければ、轟音と共に鋼鉄の杭が撃ち出され豚人間を貫く。その質量と伴う衝撃波で以て、醜怪なる豚怪物を文字通り粉砕してみせた――即ち、パイルバンカーである。
「やはり間に合いましたね、ありがとうございます」
「アンタも冷静な判断、見込み通りサ」
 遣り取りの間にも、ナギサの瞳は戦場を見渡す。機動と銃撃で以て敵群を撹乱していた夏報が、件のクレーター付近まで敵と共に移動していた。
「後はあちらですね……! ヴァシリッサさん、お願いします!」
「As you wish♪ 任せときな、とっておきをくれてやろうじゃないカ♪」
 ナギサの指示に応え、ヴァシリッサは再び盾つきパイルバンカーを構える。だがその狙う先は――地面だ。
「この一撃、あの豚共に避けられるものかね!」
 拳を振り下ろすかのように、撃ち出された拳が大地を穿つ。すると。
「――わわわわわ!? こ、これマスターの……!」
 豚怪物共に銃弾を浴びせつつ交戦を続けていた夏報だが、地面の異変に気付いて即座に離脱。残された豚怪物共を――地面より爆ぜ出る爆炎が襲った。
「危ないところだった……!」
 範囲を逃れ、生じる爆発に安心したかのように息をつきつつ。一帯に噴き上がる爆炎は、次々と豚人間どもを巻き込み、焼き焦がしてゆく。
「おお、随分と美味しそうに焼けるじゃないか。これは夕食が楽しみになりそうだ」
 その様を平然と眺め宣うヴァシリッサ。夏報は勿論、ナギサも戸惑い気味であったとか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイ・リスパー
理緒さんと

「あれがターゲットですね。
理緒さん、イロリさんをサポートしながら迎撃しましょう!
オベイロン、パワードスーツに変形です!」

機動戦車をパワードスーツに変形して身にまとい、イロリさんと理緒さんの前に出てレーザーガトリングを構えて……

『アイ、敵の一部がイロリの車両の方に向かっていきました。
私は『彼女』を守りに行きます』
「なっ!?
強制パージ!?」

露出の多い【高機動型強化外装】姿でオブリビオンの前に放り出されて、敵に押し倒されてしまい……

「きゃああっ!?」

潤滑性の高い液体によってあっさりと全身の装甲を脱がされてしまい……
そのまま触手によって全身を嬲られてしまうのでした。

「理緒さん、逃げてっ……」


菫宮・理緒
アイさんと

ここからがお仕事ってことだね。

よーし、アイさんといっしょに、
イロリさんにかっこいいとこ見せちゃうよ♪
と、勢いよくセレステで迎撃に出たけど、

あれ? アイさんがパージされた!?

え? オベイロンが?
そこはしかたない……しかたないかな?

って、そんな場合じゃないっ。アイさんあの装備じゃ……!
【タラリアウィング】で急行して、
そのまま、まわりの敵を一時的にはね飛ばしたけど、

予想以上に数が多い!?

セレステの稼働限界時間が来てしまって、
クールダウンに入って動かなくなった機体のコクピットから引きずり出され、
体当たりで飛ばされると、そのまま押し倒されて拘束され、
襲われてしまいます。

「アイさんごめん……!」



『あれがターゲットですね!』
『ここからがお仕事ってことだね』
 強風吹き荒れる荒野を駆ける、機動戦車と装甲車。アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)駆る『オベイロン』と菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)の操縦する『リオ・セレステ』である。
「あれをやっつけて、物資を持って帰る。それがボクらの日常」
 リオ・セレステの機上、エヴォル・エヴァンジェの隊員の一人、イロリは語る。視線は前方、背より触手蠢かす豚人間のオブリビオンの集団を見据えつつ。
『把握しました! 理緒さん共々サポートしますよ!』
『うん、イロリさんは遠慮なく暴れちゃって、ねー』
 応える二人、早速とばかりに攻撃態勢へ入る。アイはオベイロンのコンソールを叩きプログラムを起動。
『高機動型強化外装、装着シーケンス開始。オベイロン、変形です!』
 応えてオベイロンは変形を開始、アイを上空へと打ち上げる。その後を追うように、分解変形したオベイロンのパーツが打ち上げられ、アイの身へと次々装着され。ものの数秒のうちに、その身は白きパワードスーツに鎧われる。
「着装完了! さあいきますよ、オブリビオン!」
 ブースタを吹かし空中で姿勢を制御、構えるはレーザーガトリング砲。撃ち出される光条の雨が、豚怪物共を次々射抜き。
『わたしもやるよー! イロリさん、GO!』
「大丈夫、ボクはいつでも……それっ!」
 理緒はリオ・セレステを急停止、前へ流れる慣性を利して、イロリは車体を蹴って前方の上空へと跳び上がる。
『M.P.M.S展開、ターゲットロック! 発射ー!』
 直後にリオ・セレステの屋根から無数のミサイル発射口が展開され、理緒の操作に従って一斉にミサイルを撃ち出す。白煙棚引かせ飛翔する誘導弾群がイロリを追い越し、レーザーの雨に打たれる豚人間共へと次々着弾。爆炎を巻き上げながら吹き飛ばしてゆく。
 どうにか爆炎の洗礼を逃れた豚怪物にも、急降下する影が迫る。
「逃がさない……仕留める!」
 イロリの振りかぶった右腕にマウントされた、大型の盾。その先端から顔を覗かす鋭い杭が――拳を突き出すと同時に撃ち出され、それと伴う衝撃波を以て、怪物の肉体を猛烈に破壊してみせた。

 三人の連携は盤石、危なげなく敵の数を減らす一方的な戦いを展開。
 だが――その綻びは、予想外すぎるところから訪れた。
「さあ、次の敵は何処――って、きゃっ!?」
 一通りの敵を倒し、新たに迫ってきた豚人間共を見据えるアイだったが。突如パワードスーツが制御を失った。
『アイ、敵の一部がイロリの車両の方に向かっていきました。私は『彼女』を守りに行きます』
 響くAIの声。そして。
「なっ!? ちょ、これ強制パー……きゃーーーーー!?」
 パワードスーツがアイの身から次々外れ、飛び去って。荒野の地表近くで合体すれば元のオベイロンの姿となって。そのまま、AI自動運転にて走り去っていった。その先には、確かにイロリの乗っていた赤い住居戦車。
『お、オベイロンが……まあ、仕方無い……の、かな……?』
 その様を目撃した理緒、先のオベイロンのかの戦車に対する反応から、何となく納得したようなしないような、といった反応を見せるが。アイはそれどころではない。
「あうっ!? お、オベイロンってば一体どうして――」
 残された高機動型強化外装のみを纏った状態で、荒野に投げ出されたアイ。尻餅をつく無様を晒しつつも、猟兵たる彼女はこの程度で大した怪我はしないが――目の前に『それ』が近づいていたことに気付く。
「ブヒヒヒヒ……」
「ブフッ、グヒィ……」
 それは言うまでもない、豚怪物共。露出の多い強化外装姿のアイを、その獣欲を隠しもしない目で見下ろして。
「え、ちょ、ま、まさか――い、いやぁぁぁぁっ!?」
 アイへのしかかり、細い身体を荒野に押し倒す巨体。粘液を伴って伸ばされ、露出は高くとも確かな防御力を持つ装甲を容易く脱がす触手。こうなっては、アイは最早猟兵とは言えぬ――ただの少女でしかない。
 そしていよいよ、豚怪物共の触手がアイの肉体を蹂躙せんとしたその時。
『アイさーんっ!!』
 理緒の叫びを引き連れ弾丸じみた速度で、空色の装甲車が突っ込んできた。後部に白炎噴き上げるブーストポッドを展開したリオ・セレステ。その勢いのまま、豚怪物共を撥ね飛ばしてゆく。
「り、理緒さん……っ!」
 何とか自由を取り戻したアイだが、まだ周囲には数多くの豚怪物共。。理緒はそのまま機体を旋回させては加速し、ブーストの炎で燃やしたり超加速で撥ね飛ばしたりと、かの敵を蹂躙して回ったが。
『よ、予想以上に数が多い……!』
 そう、如何なる所以か不明だが、この周辺にはやたらと高密度且つ大量の豚怪物共が集結していた。それでも、リオ・セレステならば全滅させることも不可能ではなかった――無理さえしていなければ。
『あうっ! か、稼働限界時間が……!』
 急に停止したリオ・セレステ、愕然とする理緒。この超加速を実現したユーベルコードは、機体の連続稼働時間を著しく減少させるリスクを抱える。その間にアイの安全を確保しきることの叶わぬまま、稼働時間の限界を迎えてしまったリオ・セレステは、強制的にクールダウンモードに入ってしまった。即ち――敵の只中で、動かなくなったのだ。
「り、理緒さん逃げて……っ!」
「きゃぁぁっ! や、あ、アイさんごめ……あうっ!」
 機体から触手で引きずり出される理緒。愕然としながらも呼びかけるアイの声も空しく、理緒もまた着衣を剥かれながら荒野に組み敷かれてしまう。醜悪極まりない豚の怪物共に。
「「ブヒヒヒヒヒ……!!」」
 視界を埋める醜い豚共。柔肌を這い回る触手が強い嫌悪感と、有り得ない筈の相反する感情を強制的に呼び起こす。
 このままではアイも理緒も穢されて蹂躙される。だが、其処に救いの手などは――
「其処まで。これ以上の手出しは、許さない……!」
 響く少女の声。轟くはエネルギーの炸裂音。大木じみた巨大な鉄杭が、衝撃波を巻き起こし、二人に群がる豚怪物共を纏めて吹き飛ばした。

「……大丈夫?」
 気付けば、アイと理緒の視界にあの醜怪な豚の姿は無く。代わって、二人を心配そうに見つめるイロリの姿があった。
「あ……イロリさん。その、ありがとうございます……」
「うう、ごめんねー……お手伝いに来たつもりが……」
 アイも理緒も、礼は延べつつも申し訳なさそうに身を縮こませる。
「大丈夫、失敗は誰にでもある。死んでさえなければ、問題ない」
 頷くイロリ、それより、と話を変えて。
「ボクの車に、代わりの服がある。とりあえず、着替える?」
 と、己の住居戦車を示すイロリ。その傍らに、何処か誇らしげなオベイロンの姿があったとか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】
※アドリブ等歓迎、別称推奨

◆レリさん治療
ナノマシンで拒絶反応(細胞変性)抑制&疼痛対策
補充用錠剤(『アイス・ミルク』)は水無しで飲めるよ
でも偽神細胞を残しての根治は要入院・身体改造
…因縁が片付いたら、どうしたいか決めてね

◆戦闘
レリさんを上に乗せ『ナインス・ライン』発進
でもファルマコンから出るのは蒼い巨大戦車

DA20号【サイクロプス】で変形したのさ
重装備の代償(呪縛)で飛べないけど今は平気っ
単眼型センサーで豚共を睨みパンツァー・フォー♪

本来の兵装と滑空砲等の追加火器類を派手に撒き
可変式履帯4基で車高を変えては盾となって
土木用装備で豚を跳ねてレリさんと連携

どうだーい?久々の動くカラダはさ


ユキノ・サーメッティア
なぁに、あれぇ?
なんだか、すっごく危険な気がするにゃー
……よしっ! ここは一つ……汚物は消毒してやるにゃーっ!

一章に続いてキャバリアに搭乗
相手が物量でくるならこっちは(重量的)質量で対抗にゃ!
てことで間違って踏まないように機体を低空飛行
向こうなら幾らでも踏んでもいいんだろうけども
そんなことしたら後で掃除が面倒だにゃー

数を減らすために、銃撃だにゃー
レールガンってゆーかもうブラズマを撃ちだしてるから、ちょっと(?)
煩いかもしれないけど
文字通り、蒸発させてやるにゃよ

一塊になっっている場所があれば、狙いどころー
UCでヤベーもの撃ちだして消し去ってしまうにゃよ

あ、焼却殺菌で焼けなかったにゃ。ま、いっか



 時間は少し巻き戻り、開戦直後。キャラバンの戦車群に同道していた七台連結ホバートレーラー『ファルマコン』。その荷台から、一機の機動兵器が出撃する。
 青く重厚なそのフォルムは、キャバリアのようではあるが――その形状はキャバリアと称するにも明らかな異形。何門もの滑空砲を備え、履帯にて地を走るその姿、寧ろ巨大戦車と称するが適切と思える。
 だがそれは確かにキャバリア――リーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)の駆る『ナインス・ライン』が、追加パーツを装着し変形した姿だ。
『荷重分布に異常……バランサー調整中……』
 だがその重量、ペイロード豊富なナインス・ラインであっても十全に保持できるものではない。バランスも悪化し、結果として本来有する飛行性能が使用不能となってしまっている。が、此度の作戦では問題ない。リーゼロッテはそう判断した。
『さてレリさん、カラダの調子はどうだい?』
 リーゼロッテにとって現状最も問題なのは、機体の肩部に立つ女性――エヴォル・エヴァンジェ隊員、レリの体調。己が身に埋め込まれた偽神細胞が拒絶反応を起こし始め、死が迫りつつあった彼女だが。リーゼロッテが施した治療によって、こうして戦闘が可能な状態にまで回復したのだ。
「はい……全く問題ありません。これ程身体が軽いのは、いつぶりでしょうか……」
 ナインス・ラインの肩に立つ姿は、不安定なそこであっても極めて安定しており。彼女が本来有する実力の程が伺える。
『それは何より。もしまた痛みが出て来たら、渡しておいた錠剤を飲んでね。根治もできなくはないけど、入院と改造が必須になるから……』
 何しろ本来有り得ないモノを身に宿しているのだ、その影響を完全に取り除くことは困難なことだろう。リーゼロッテの声のトーンもやや落ちる。
「いえ、これだけ動けるようにして頂いただけでも、望外の喜びです……ありがとうございます、リリー先生」
 然し当のレリはあくまでも微笑み、感謝を告げる。それだけでも充分に嬉しいことなのだと。
『うんうん、ひとまず元気になったようなら何よりにゃー』
 其処に別の声。一機のキャバリアがナインス・ラインに追いつき、並走を開始する。ユキノ・サーメッティア(空白・f00911)の愛機『ネブラベスティア』だ。
「はい、おかげさまで。少なくとも、皆さんの足を引っ張ることはない……と思います」
 応えるレリ、言葉は自信なさげだが声音は確りとした意志を宿す。即ち、狩りにかける意志。
『この調子でオブリビオンをやっつけて、物資を回収だにゃ。頑張っていくにゃー!』
 気勢を上げるユキノ。応えるようにネブラベスティアが片手を空へ突き上げる。彼女がコクピット内で同じ動作をしたのだろうか。

『……けど、なぁにあれぇ?』
 やがてオブリビオン・ストームから現れたオブリビオンの姿がはっきりとする。それは豚の姿をした人型の怪物。背中からは触手。その様は何処か、噂に聞く異世界の存在のようにも見えて。
『なんだか、すっごく危険な気がするにゃー』
『だねぇ、命以外のものも危険な気がする』
 ユキノの感想にリーゼロッテも同意を示す。何故そう感じるのか、はっきりとした言葉にはならないが、その感覚は何故か確かだ。
『……よしっ! ここは一つ……』
 何か思いついたらしいユキノに、リーゼロッテとレリの意識が向く。どうするのか、といえば。
『――汚物は消毒してやるにゃーっ!』
 叫び、乗機を飛翔させてオブリビオンの群れへと突っ込んでゆく。具体的にどう、という作戦ではなかったらしい。
『ま、やることは同じだよね。アタシ達も続くとしよっか』
 ネブラベスティアの飛翔する先、豚怪物共を単眼型センサー越しに睨みながら、リーゼロッテが乗機の肩上のレリに呼びかける。レリが頷き応えを返せば。
『よーし、それじゃあ思いっきり――パンツァー・フォー♪』
 掛け声と共に無限軌道が速度を上げて。ネブラベスティアを追って、ナインス・ラインもまた戦域へと突入していった。

『数でくるならこっちは質で勝負にゃ!』
 機体を低空飛行させ、戦域を見渡すユキノ。荒野を埋め尽くさんばかりの豚怪物共の群れが一帯に溢れていた。
『蒸発させてやるにゃー!』
 向けたる銃は雷の力を宿した逸品。そこから射撃を繰り出せば、放たれるのはプラズマの弾丸。数千度にもなる強烈な電磁弾が豚怪物へと命中すれば、あっという間に骨まで焼けて。ユキノの宣言通りに蒸発してしまった。
『よーっし、ガンガンいこうじゃないか! レリさん、直衛よろしく!』
「はい……向かってくる敵は、お任せを……」
 続いてナインス・ラインに乗るリーゼロッテとレリとが突撃。ナインス・ラインの滑空砲が立て続けに火を噴き、着弾地点周囲の豚怪物共を吹き飛ばす。
『逃がしはしないよっ』
 散り散りとなったものに対しても、両手のライフルがそれぞれ実体とエネルギーと二種類の銃弾を放ち追撃する。火を噴くたびに豚怪物が消し飛んでゆく。
『固まってると消えちゃうにゃよ!』
 降り注ぐ弾丸砲弾の嵐に追い詰められた豚怪物共が一か所に集まる。そこへ狙いを定めたユキノ、両手に力を集束させる。
 それは地水火風、四大元素のエネルギー。本来なら相反する力を一つに無理矢理纏めた、非常に不安定な破壊のエネルギー。
『ヴァントフルート、フランメヴィント……いっけぇぇぇぇぇっ!!』
 そして解放すれば、破壊の力は戦場に荒れ狂い、豚怪物共を文字通りに消し飛ばしてゆく。
「ブ、ブヒィィィ!!」
 最早大勢は明らか。なれど豚怪物共に逃げ道は無い。それ故か、半ば自棄気味に突っ込んでくるものも少なくない。一匹の豚怪物が、ナインス・ラインを目掛けて跳躍しハンマーを叩きつけんとするが。
「隙だらけ……です」
 待ち構えていたかのようにレリの姿。振るわれた大鎌型の偽神兵器が、豚怪物の肉体を真っ二つに断ち斬った。
『どうだーい? 久々の動くカラダはさ』
 レリの戦う様子をコクピット片隅のモニタに映し、リーゼロッテが呼びかける。その動き、猟兵に比しても劣らぬ程だ。
「はい……皆さんと、こうして共に戦えること。とても、幸いです……」
 儚げなその面立ちの印象は変わらずとも。浮かべた表情は、確かな喜びを感じさせた。

 そうして、彼女らの戦域のオブリビオン達はほどなく全滅。
『あ、焼却殺菌で焼けなかったにゃ』
 ふと、思い出したようにユキノが呟いた。プラズマで倒した分は兎も角、ユーベルコードで倒したものはどちらかといえば消し飛ばした、という表現が近い。
『ま、いっか』
 とはいえ、その形に別に拘りはない。割り切って他の戦域に向かうユキノであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 集団戦 『レッド・ラム』

POW   :    ブランディッシュ・ラム
【角】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    マルチロック・ラム
【角から追尾光線】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    イミテーション・ラム
【角】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、角から何度でも発動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達と『エヴォル・エヴァンジェ』の共闘により、豚人間型オブリビオンはその数を減らしていく。全滅も時間の問題だろう。
 しかしオブリビオン・ストームは勢力を弱めつつも尚も荒れ狂い、オブリビオンの生成も止まず。先の豚人間とはまた異なる、肉食恐竜じみたオブリビオンが現れ始めていた。
「皆、大丈夫? 体力に余裕が無いなら一度下がって。焦ることはありません、無理なく掃討していきましょう」
 隊長のナギサが呼びかける。返答は一様に問題ない、とのこと。猟兵達の参戦もあり、彼女達の疲労は常ほどではない。
 このままならば問題なく狩りきれる――そう考えつつ、オブリビオン・ストームの方角を見遣ったナギサ。

 ――その表情が、驚愕に固まる。彼女の変化を見て同じ方を見た隊員達も、また一様に。

 嵐の中から姿を現したのは、エヴォル・エヴァンジェの面々とよく似た装いの少女。歳の頃は十代後半あたりだろうか。
 携えるは身の丈程もある槍矛。動力を備えているのを見ると、あれも偽神兵器か。
 そしてその顔。美しくも冷たい、刃が如き美貌を見た隊員達は、皆こう叫んだ――

 ――姉様、と。

 曰く、エヴォル・エヴァンジェが本来の役割――彼女達を生み出した研究施設を守っていた頃。
 その頃、かの部隊の隊長を務めていたのが、皆に『姉様』と呼ばれていた彼女なのだという。
 研究施設が壊滅した折の戦いで斃れ、ナギサが隊長を継いだ後、かの部隊はストーム・キャラバンとして嵐を追うようになったのだが――

「――いえ、あれはオブリビオン。私達の知る姉様ではありません……!」
 故に捨て置け、とナギサは隊員達に呼びかけるが、その声音は寧ろ己に言い聞かせているかのようで。
 彼女も他の隊員達も、嵐の中の『姉様』に対し明確に意識を引きつけられている。目の前に迫るオブリビオンの群れに、集中できていない。
 この隙によって全滅する、というのが、グリモア猟兵が見た予知であったようだ。

 猟兵達から見た『姉様』は、力こそ戦場に群れるオブリビオンの中でも一際強大と見えるが、それでも力を結集すれば撃破することも不可能ではないだろう。
 だがそれは、エヴォル・エヴァンジェを捨て置くことを――彼女達を見殺しにすることを意味する。それでは意味が無い。
 今は、彼女達を支え、残るオブリビオンの群れを掃討することを優先するべきだろう。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
集中を欠いてしまうと、確かに危険ですねぇ。

『FBS』による飛行を継続、【酷郭】を発動して『裁域』を形成、戦場全体の『大気』や『大地』に『律』を流し込み、『大気』を操作し風力を弱め、飛行を安定させましょう。
そして、先程の『地形』を利用して『裁域』内『大地』を操作、相手の『角』等の攻撃から味方を守る『壁』を形成し、相手の攻撃に[カウンター]で敵方を向く表面を『爆破』させての反動と『FMS』を回してのバリアも重ねて守りますぅ。
後は『FSS』で身を守りつつ『FRS』と共に[爆撃]と[砲撃]による[範囲攻撃]の雨を降らせ、『裁域』による『爆破』も重ねて、確実に叩いて参りますねぇ。



 オブリビオン・ストームが巻き起こす強風が尚も吹き荒れる中、迫る恐竜オブリビオンを迎え撃つエヴォル・エヴァンジェの隊員達。だが、その動きは先程までに比して明らかに精彩を欠く。
「集中を欠いていますねぇ……」
 風を御しながら空を舞い、地上を俯瞰する夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の評した通り、彼女達は押し寄せるオブリビオン達の向こう、嵐の中心に居るオブリビオン――彼女達が『姉様』と呼ぶ存在を明確に意識していた。
 攻防の合間にも頻りに視線を向け、隙あらばオブリビオン群を突破せんと機を窺う。それが叶わず、苛立っている様子の者も見える。
「これは危険ですねぇ……何とか致しませんと」
 苛立ちは集中をより一層妨げる。太刀筋の乱れにも気付かぬままに得物を振り回す様、いつ手痛い反撃を受けるかも分からぬ危うい有様。援護が必要だ。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その刑場の理をここに――」
 るこるは両手を合わせ、先程とは異なる祈りを奉ずる女神へと捧げる。直後、空間に満ちるは冷徹なまでに厳かなる雰囲気。それはまるで、捌きの場のような。
 直後、吹き荒れていた風が凪ぐ。裁きの空間の内に存在する全ての存在は、その主たるるこるの意志の干渉を受ける。生物ならば抵抗も可能だが、そうでないものは彼女の意のままだ。
 飛行を安定させ、るこるが眼下を見遣れば――今まさに、少女達に危機が迫る処であった。

「くっ、邪魔しないで……! 姉様のところに、行くんだから……!」
 エヴォル・エヴァンジェの隊員である少女戦士が、得物たる偽神兵器――三叉の槍じみた武器を振り回し敵する肉食竜を斬り刻まんとする。肉食竜、裂かれるもその傷は浅い。少女の踏み込みが足りなかったのだ。
「GyaOoooohh!!」
 吼える恐竜。傷の浅さ故に怯むことなく、角を振りかざし突進する。隙を狙われ対処の取れぬ少女。あの角に貫かれる結果が脳裏を過ぎり――しかし、その結果が訪れることはなかった。
「えっ!?」
「Gwao!?」
 突如、両者の間の地面が盛り上がり、壁を形成。突き出された凶角を受け止め防ぎ、少女への到達を阻止してみせたのである。更に。
「Gaaaaaahh!?」
 壁が猛竜側へ向けて爆ぜ飛ぶように爆発、衝撃で以てかの敵を深く傷つけつつ転倒せしめる。少女の方へは、何時の間にか展開されていた銀盤の形作る結界が爆発の影響を阻止せしめる。
「危ないところでしたねぇ。まずは目の前の敵を、確実に退けて参りましょう」
 上空から声。少女が見上げればるこるの姿。『姉様』の存在に気を取られるがあまり、目の前の敵への対処が疎かとなっていた事実。それを咎めはしても責めはしない。微笑みと共に為すべきを示す姿は女神にも似て。
 恥じ入るように、気を引き締め直すかのように一瞬だけ俯き、すぐに顔を上げる少女。更に迫ってきた猛龍へと槍を突き出す姿は、先までの切れを幾分取り戻しているように見えた。
 其を見届けつつも、るこるは更にその先を見る。襲い来る恐竜オブリビオンの数はまだまだ多い。『姉様』の存在が無くとも苦戦は免れぬか。なれば其を退けるも己らの務めであろう。
「邪魔はさせませんよぉ」
 再び浮上したるこるの周囲に、24基の浮遊砲台群が展開される。少女とかの竜達との間を隔てるように、再び土壁が隆起する。
 砲台群が、一斉に砲撃を開始する。放たれる無数の炸裂弾が、荒野の地面を抉りながら猛龍達を吹き飛ばし、裁きの領域が齎す爆発と共に、かの敵達を跡形もなく消し飛ばしてみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

秋山・軍犬
…これは、簡単に動揺は収まらんすね

なら、姉様が気になるなら
姉様を気にする事を作戦行動に組み込もう
…方便だけど

よし、自分が前に出るから
アルミナちゃんと君等(比較的近くにいた隊員)は
少し下がって防御陣形(戦闘知識)

隊員の子達は防御重視で恐竜に対処
アルミナちゃんは姉様の動向の監視役
何かあったら軍犬に報告ね
きちんと敵に対処しないと姉様を見失うから
気合い入れてね、はい行動!

…これで、上手くいけば彼女達も敵に意識を割くかな?
後は彼女達が姉様の事で暴走しない内に指定UCで
マッハで速攻、決めるっす

所でこの恐竜、食えるかな?(料理+見切り)

いや真面目な話、食材になるなら
職業柄、前の豚より手早く仕留めれるんすけど



「姉様……! 姉様の姿をしたオブリビオン……!」
「お、落ち着くッス! 姉様は気になるッスけど、今は目の前の敵を何とかするッスよ!」
 オブリビオン・ストームの中心に在るその少女――彼女達が『姉様』と呼ぶオブリビオンの元へ向かおうとしてか、明らかに逸った様子のエヴォル・エヴァンジェの隊員達。目の前に迫る恐竜オブリビオンへの対処を促すアルミナも、彼方の『姉様』に意識を割かれていることは明らかだ。
「……これは、簡単に動揺は収まらんすね」
 少女達の混乱した様相を見遣り、秋山・軍犬(悪徳フードファイター・f06631)はそう判断する。この状況では、如何しようと彼女らは『姉様』を意識せずにはいられないだろう。ならば。
「よし、皆!」
「んぉ、軍犬さんッスか!?」
 声をかけた軍犬に反応し振り向くアルミナ。他の少女達も同じく。
「ここは自分が前に出るっす。皆は少し下がって身を守りつつ恐竜に対処して欲しいっす」
 指示を出しつつ少女達より前に出る軍犬。少女達は従いつつも、やはり『姉様』が気になるようで。
「んでアルミナちゃん、君にはあのオブリビオンの動向を監視してて欲しいっす」
「ね、姉様をッスか!」
 続けてアルミナへの指示は、まさにその『姉様』を示しつつ。心なしかアルミナの反応も良い。
「何かあったら軍犬に報告ね。きちんと敵に対処しないと姉様を見失うから、気合入れてね」
 それは即ち『姉様』の存在を織り込んだ作戦。かの存在を意識せざるを得ないなら、其方への対応を盛り込んだ作戦を提示すれば良い。軍犬としては方便に過ぎなかったが、その作戦の意図を把握した少女達の反応は良い。
「邪魔する敵をしっかり片づけ、姉様に接触する。以上、はい行動!」
「「了解!!」」
「了解ッス!」
 軍犬の合図と共に動き出す少女達。迫ってきていた恐竜達と交戦するその姿は、『姉様』の動きへの対応をアルミナに集約した分、精彩を取り戻しているようにも見えた。とは言え。
「アルミナ! 姉様どうしてる!?」
「まださっきから一歩も動いてないッス!」
 頻りに『姉様』の動向を気にしているのは変わらず。あまり長く続けば、隊員達が『姉様』のもとへ駆けだそうとする可能性もあろう。
(――なら、その前に。マッハで速攻、決めるっす!)
 意志を固めた軍犬の全身が、黄金のオーラに包まれる。フードファイターたる彼の矜持、其の力を形とし、食事で得た活力を糧として己を強化するユーベルコードだ。
 一歩踏み込めば、その身は正面から迫る恐竜の真正面へ。繰り出した貫手が、肉厚な脚を胴から斬り離す。
「Gyahhhhhh!!?」
 激痛にのたうち回るレッドラム。その断面、露わとなった肉を見て軍犬は確信する。このオブリビオン、食える、と。
 そうと分かれば、軍犬の四肢は更なる勢いで以て躍動。眼前の恐竜の肉体を瞬く間に解体し、太腿と尻尾を中心とした可食に耐えそうな部位を切り離す。残った部位はそのまま骸の海へと還ってゆく。
 元よりフードファイターとして食材知識に精通している軍犬。食べられる生物であれば、オブリビオンであろうとその肉体構造は把握している。ユーベルコードによる強化を併せれば、これを仕留めて食肉にするなど造作も無い。先程の豚人間よりも易い仕事だ。
 戦場を疾駆する毎に、恐竜オブリビオンが一体解体され、肉だけを残して消えてゆく。周辺のオブリビオンが全て食肉に変えられるまで、長い時間はかからなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハニエル・マールテュルム
計り知れない動揺と衝撃――あの「姉様」という方、それだけ大切な人だったのですね。
割って入れる問題かは分かりませんが、邪魔者からは絶対に守ってみせますので……!

そう覚悟を新たにすれば【白天聖鎧】にて甲冑を纏い、新手に立ち塞がります。

鎧の守りを信じて多少の攻撃は受け止めつつ、増幅された聖なる力を剣に伝わせ、鱗に覆われていない腹部や咽喉を狙って切り裂いていきます。

角は敵にとって攻撃の起点のようですし、もしそれで防御されそうになれば即座に手を止めて次のチャンスを狙いましょう。

その間にもマトリアさん達がまだ茫然としていれば、彼女たちを【結界術】で囲っておきます。

大丈夫、ここは任せてください。



「……姉様……! こうなる可能性は確かにあったが……!」
 マトリアを中心とするエヴォル・エヴァンジェの隊員達もまた、彼女達が『姉様』と呼ぶオブリビオンの出現に、動揺を隠せないでいた。そんな彼女達の様相を見て取り、ハニエル・マールテュルム(聖騎士候補・f15866)は慮るように目を伏せる。
(――それだけ、大切な人だったのですね。『姉様』というあの方)
 ハニエルから見た限りでも、マトリア達が受けた衝撃の程は計り知れないと見える。生前の彼女との関係の深さを推察するには十二分に過ぎる程に。
 部外者たる己の割って入れる問題か否か。それは分からないが――一つ、明確に分かることはある。
(然し。このままでは彼女達が危険です)
 眼を見開き、周囲を見渡せば。迫り来るは翼なきドラゴンとも見える有角の竜の群れ。エヴォル・エヴァンジェの隊員達の力は先までの共闘でハニエルも承知しているが、あそこまで呆然としていては、成程、一堪りもないだろう。故に。
(再会を妨げる邪魔者達、絶対に彼女達を傷つけはさせません……!)
 彼女達を守ってみせる。その覚悟と決意を改めて宿すかの如く、胸に拳を当てれば――ハニエルの全身が、白く眩い光を放つ。迫る猛竜達を怯ませる程の光はやがて、明確な形を取ってハニエルの五体を包み――一揃いの甲冑となって彼の身を鎧う。
「さあ――僕が相手になります!」
「Grrrrrrraaaaaa!」
 光に怯んでいた竜達が立ち直り再び駆け迫るを見据え、ハニエルは吼える。愛剣たる細身剣を抜刀。最前のレッドラムが顎を大きく広げて噛みつきにくるのを潜り抜けつつ、頭上を払うが如く細剣を振り抜く。堅牢な鱗で己の身を守るレッドラムだが、喉や腹部は鱗で守られぬ脆弱な部位。そこへと振るわれた細剣の刃は、白き清浄なる光を放ちながら、喉元から胴を引き裂いて。かの竜の身を半ば真っ二つとして仕留めてみせた。
「Gaoooooo!」
 崩れ落ちる恐竜の脚の間を抜け、立ち上がるハニエル。そこに更なる恐竜が現れ、前肢の爪を大きく振りかぶる。ハニエルにとっては回避の困難な状況、なれど今ならば回避せずとも乗り切ることは可能だ。
「させません!」
 剣持たぬ片腕を掲げ、振り下ろされた爪を受け止める。其処を包む光の腕甲が、爪の肉体まで届くを許さない。そのまま一歩踏み込んだハニエル、竜の喉元目掛け細剣を突き出せば、狙い過つことなく喉を貫き致命の傷を与える。
 崩れ落ちる猛竜の傍らを抜けて、更に迫る新手へと剣を繰り出――そうとして留まる。かの竜は頭を低く下げてハニエルを見据えていた。それは突進の予備動作であると同時に、角を以て己の身を守る構え。防がれれば、恐らく己のユーベルコード――光の鎧で身を守る其を模倣され得る。それは良くない。
 突進の軌道から外れながら、周辺の戦況を眺め渡すハニエル。マトリア達の状況は――
「――危ない!」
 彼女達へと迫る危機に、ハニエルは駆け出す――!

「くっ、姉様のもとまでいかせないつもりか……!」
 その時、マトリア達は正面に立ちはだかる恐竜群と交戦していた。チェーンソーに擬した偽神兵器が振るわれるたび、かの竜の鱗ごと肉体を深く引き裂くが、なかなか致命と至らない。『姉様』の存在に意識を割かれ、眼前の敵への対処に専念できていない。
 焦りが、苛立ちが益々刃を鈍らせ、本来の彼女達ならば取るに足らぬ敵であろう恐竜群に常以上のしぶとさを与えていた。
「邪魔を――するなッ!」
 叩きつけるように振り下ろした刃が、遂に猛竜の首筋を捉え。その首を刎ね飛ばして止めを刺す。漸くの決着に安堵するマトリア。その背後より迫っていた新手に気付くこともなく、繰り出された角が無防備な背中を――
「Gwoooo!?」
「っ!?」
 だが肉を貫かんとしたその角は、突如現れた壁によって弾かれる。鈍い衝突音に気付いたマトリアが振り向けば、己と恐竜との間を阻む光の壁。そして片手を掲げた、光の鎧を纏うハニエルの姿。
「――君、は――」
 半ば呆然と声を漏らすマトリア。間違いない、彼の咄嗟の行動がなければ、己は今頃――
「――大丈夫。ここは任せてください」
 振り向く少年の表情は、その迂闊さえも赦すような笑み。そのようになってしまうのも仕方ないのだと、認め、受け入れるような。そして、それによって生じ得る傷は己が引き受けると、行動と共に示すかのような。
 聖人の裔たる少年は細剣を振るい、眼前としていた竜を打ち倒す。そして再び駆け出す。惑いたる彼女達を、守りきるために。

成功 🔵​🔵​🔴​

岩社・サラ
アドリブ・共闘歓迎

この動揺は良くないですね。白兵戦主体の集団がこのまま無防備に敵の攻撃を受ければ立て直す間もないでしょう。なるほど壊滅するわけです。
早急に近くにいるイスルさんたちの援護に向かいましょう。

キャラバンを守るために前進しながらUCを発動、ショットガンで弾幕を張ります。
制圧射撃を行いながらリロードの間にイスルさん達に語りかけ落ち着きを取り戻してもらいましょう。

冷静に落ち着くようにと、今成すべきことは何なのかと、優秀な戦士である彼女たちならきっと理解してくれるはずです。

敵の攻撃は召喚したクレイゴーレムに庇わせて対処。

後、嵐の影響が少ないなら発煙手榴弾を敵の視界を塞ぐために使用します。


レイシャン・ラディスティ
なるほどー、お姉さんだったのですねー
それは、うぅん、複雑な気分になってしまうでしょうねー…

エヴォル・エヴァンジェの皆さんが集中できないのはわかるので、無理しなくていいですからね、と声をかけて
わたしたち(猟兵)で頑張りましょうー
引き続きサーちゃんに乗って飛翔してー
【嵐は冷たく鋭く】を発動させますー
最初は鱗で弾かれちゃうかもしれませんがー、次第に突き刺さるようになりますよー
多少はお姉さんにも入る、かも?

地上からの攻撃には注意して、頑張って避けますー



「姉様……いや違う、あれはオブリビオン……でも、姿は姉様で……」
 群れ成す恐竜オブリビオンの合間から見える、己らと似た姿の少女オブリビオン。動揺し、戦闘への意識を削がれるエヴォル・エヴァンジェの隊員達。イスル達のチームもまた、例外ではなかった。
「なるほどー、お姉さんだったのですねー……それは、……うぅん、複雑でしょうねー……」
 親しい者がオブリビオンとして現れれば、混乱するのも致し方なし。レイシャン・ラディスティ(揺蕩う氷海・f27574)は彼女達の動揺に理解を示す。
「しかし、この動揺は良くないです。あのまま攻撃を受ければ立て直す間も無い」
 己も理解できぬ訳ではないが、と前置き、岩社・サラ(人間の戦場傭兵・f31741)は危惧を示す。元よりエヴォル・エヴァンジェの隊員達の戦闘能力は白兵戦に偏っている。あの状況で敵の動きを十全に対処できるとは到底思えぬ。成程壊滅する訳だ、とグリモア猟兵の予知の意味を理解する。
「早急に援護に向かいましょう」
「はいー、行きましょうー」
 レイシャンに呼びかけ、駆け出すサラ。レイシャンもまた、相棒たる氷海龍に乗り後を追う。

「くっ、邪魔するな……っ!」
 大剣を振り抜き、迫るレッドラムを薙ぎ払わんとするイスル。だが振るわれる剣は先程までの鋭さが見る影も無く、踏み込みの雑さも相俟って、只々重さに任せて振り回しているだけとさえ見える有様。明らかに集中が乱れている。
「Grrrrrr!」
「あぅっ!?」
 角持つ頭部が屈められ、振るわれる大剣を聳え立つ尖りで払いのける。あっさりと姿勢を崩され、イスルは地面に倒れ転ぶ。身を起こせば、迫る猛竜の凶角。数秒後に貫かれる己を幻視し、その身は射竦められたかの如く動けずに――
「させませんよ」
 冷静に告げる女の声に、重い銃声が被さる。横合いから放たれた炸裂が、猛竜の脇腹を爆ぜ抉りながら吹き飛ばす。
「……え……」
 呆然とするイスル。見上げれば、其処にはフルオートショットガンを構え、ボディアーマーで身を固めた女の姿。顔はガスマスクで隠しているが、先程までの交流で以て彼女が誰かは理解した。
「……サラ……?」
 呆けたままで呟く。サラは応えるより先に、構えたショットガンを続けざま連射。至近まで駆け迫ってきていた恐竜達を、散弾の雨で以て撃ち砕いてゆく。
「危ないところでしたねー」
 代わって降ってきた声。見上げれば、氷海龍に騎乗するレイシャンが降下してくる。
「集中できないのは分かりますー。無理はしなくて良いですからねー」
 故に己らに任せ、一度下がるよう促すレイシャンだが。
「でも……姉様が……姉様がオブリビオンになって……」
 その問答の合間にも、イスルは――彼女のみならず共にいた団員ともども、『姉様』と呼ぶそのオブリビオンの方を頻りに見遣る。
「――そも、貴女達は此処で何の為に訪れたのか」
 静かな、しかし力ある声が前方より響く。はっとした顔でイスルがその主を見る。ショットガンに新たな弾を込めつつ、サラの視線がイスルを見返す。
「只、彼女一人を追う為ではないでしょう。本来の目的、その為に成すべきこと。落ち着いて、思い出してください」
「敵はわたしたちが何とかしますのでー。焦らず、ゆっくり考えて貰えたらとー」
 諭すようなサラの声に、レイシャンの慰撫するが如き声音が続く。押し黙るイスル達。なれど『姉様』を気にする様子は無い。元来、優秀な戦士である彼女達だ。理解するまで長い時間はかからないだろう。サラは確信する。
「それではー、わたしは空から攻めてみますねー」
「了解です、私は地上にて戦いましょう」
 氷海龍に跨り飛翔するレイシャン。彼女を見送ったサラ、召喚した粘土室の巨人――クレイゴーレムを念の為の護衛として残し、再度ショットガンを構え、新たに現れた猛竜達へと向かってゆく。

「敵さん発見ですよー。サーちゃん、全力でやっちゃいましょうー」
 黒嵐の中から次々と現れ出る恐竜オブリビオンの群れ。その頭上を取ったレイシャンは、跨る氷龍に呼びかける。応え、声を上げた龍の姿が――見る見るうちに巨大な、長大な姿へと成長し、纏う冷気も苛烈さを増す。持てる力の全てを引き出した、氷竜帝の姿だ。
「それー、ぐさぐさぐるぐるー」
 攻撃開始を告げるレイシャンの声音は相変わらず緩いが、巻き起こるは冷たく鋭い、容赦の無い氷刃の嵐。最初は霰程度のものであったそれは、すぐにその鋭さと冷たさを増し。凍てつく楔と化して猛竜の硬い鱗をも貫き、かの敵達の肉体を苛んでゆく。
 瞬く間に弱りゆく竜達を、サラの放つ散弾が撃ち砕き止めと成す。この風では発煙手榴弾は使えないが、現状ならば必要は無いだろう。
「うーん、あっちまでは届いてない感じでしょうかー?」
 地上からの反撃が無いことを確かめ、レイシャンは嵐の中心、『姉様』の姿を見遣る。周りで巻き起こる戦闘にも関知せぬとばかり、何処か遠くを眺める彼女へも、氷刃は飛翔するが――嵐の中心までは届かぬようで。
 再び地上に視線を戻せば、サラの後からイスル達が駆けてくるのが見えた。どうやら落ち着いたらしい、振るう刃に惑いは見えぬ。
 これならば危なげなく戦っていけるだろう。レイシャンもまた、『姉様』からは一時意識を外し、地上で戦うサラやイスル達の援護へと回ってゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

秋由良・インテグラ
(チッ!よりによって因縁のありそうなのが出たわね!イスルでもイロリでも近くにいる子を捕まえてトカゲとの戦いに集中させないと。)
いい?今集中するのはあなた達のお姉様じゃない。優先順位はトカゲ達を倒す事。お姉様はその後。
……大体、動揺した状態であのお姉様に勝てるの?なまじ勝ててもあなた達の誰かは死ぬわ。その状態では私たちも守り切れない。

ソルジャーは乗り捨てて生身で戦う。アルファカービン、チェス9、サクスを使う
【カバーアクション】で廃墟ビルの物陰や高低差を利用して優位に立ちまわる。できれば敵を盾にする。イスルかイロリにも手伝ってもらう。

とにかく生き残る。誰も死なせない。生きていれば次があるわ。


三辻・蒜
冷静に、なんて言っても無理そうかな
慕ってた人がオブリビオンになって出てきたんだから、そりゃキツイよね

『姉様』に気を取られてる人達を狙ってくる敵を残さず狩るよ
こっちで奴らの注意を引かないと危なそうだし【羨望の光】を撃ち込みながら前に出る
色々と厄介そうな能力を持ってる角も、懐に飛び込んできた小さい標的には当て難いんじゃないかな
一匹撃ち倒したら直ぐに近くの一匹に肉薄して、他の敵からの遮蔽にしつつまた撃つ、を繰り返していこう
絶対に逃がさないし、絶対にやらせないよ

正直、私も『姉様』のことは気になるけどさ
まずは襲ってくる奴らを何とかしないと、何もできなさそうだから



 嵐の中心に『姉様』と彼女達が呼ぶオブリビオンの姿を見出し、動揺するエヴォル・エヴァンジェの隊員達。動揺はあからさまなまでに太刀筋にも現れ、その動きは目に見えて悪くなっている。
「チッ、よりにもよって因縁のありそうなのが出たわね……!」
 搭乗していたソルジャー戦車のハッチから顔を出し、秋由良・インテグラ(トランスポーター・f33280)は舌打ちする。グリモア猟兵の予知からどのような存在が現れるかの目星はある程度つけていたが、特に悪い方の予測が当たってしまった。
「冷静に、なんて言っても無理そうかな……」
 そこに合流してきた三辻・蒜(緑眼の獣・f32482)も、混乱した様子の少女達を見遣り眉根を寄せる。漏れ聞こえてくる声音からして、彼女達の殆どは『姉様』を慕っていたのだろう。そんな存在がオブリビオンとして現れれば、平静を保てぬのも無理からぬ話だ。
「それでも、今は目の前の敵との戦いに集中させないと……行くわよ!」
 己らの目的を果たすには、それこそが必要なのだから、と。戦車から飛び出してインテグラが駆け出す。蒜もまた後を追う。

「姉様……! 駄目、行かせない……!」
 大剣を振るい、どうにか『姉様』のもとへ辿り着かんとするはイスル。なれど動揺のままに振るう刃は精彩を欠き、目の前に立ちはだかる恐竜オブリビオンを傷つけこそすれ仕留めるには至らない。
「Grahhhhh!」
 負傷に猛るレッドラム、吼えると共に顎を開きイスルへ迫る。先の攻撃が大振りに過ぎたが故、イスルはその反動ですぐには動けず、ただ眼前に迫る凶牙を見ていることしか――
「Ugaaaaaa!?」
 だがその時、猛竜の顎が苦悶を発し動きを止める。直前に突き刺さった翠の光は、イスルの目に映ったかどうか。
 直後、閃いた鋭き光が竜の首元を走れば、その身を首と胴とに断ち別けて。瞬く間に、かのオブリビオンを骸の海へと還してみせた。
「……あ……」
 その後に残るのは二人の猟兵。インテグラと蒜。インテグラが、イスルのもとへとつかつか歩み寄ったかと思うと――その両肩を強めに叩くかのように掴む。視線は、イスルの戸惑う瞳を真っ直ぐ見据えて。
「いい? 今集中するのはあなた達のお姉様じゃない。優先順位はトカゲ達を倒す事。お姉様はその後」」
 強く、確りと。諭すように告げる言葉は有無を言わさぬが如く。困惑するようにイスルの瞳が彷徨う。或いは未だ『姉様』の姿を探しているのだろうか。見て取ったインテグラは溜息一つ。
「……大体、そんな動揺した状態で、あのお姉様に勝てるの?」
 続けてのインテグラの言葉に、はっと気づいたかのような表情を取るイスル。元より誰よりも強かった彼女だ。それがオブリビオンとなったなら――勝てたとしても犠牲は避けられない。
「――そうよ。そうなったら、私達だって守りきれないのだもの」
 その気付きを肯定するかのように頷くインテグラ。その後ろから、ひょこりと蒜が顔を出す。
「正直、私も『姉様』のことは気になるけどさ。まずは、襲ってくる奴らを何とかしないと、何もできなさそうだから」
 だよね? と見上げるような視線で問いかければ、イスルも、その後ろにいた隊員達も頷いて。
「――そうだった。強かった姉様、倒そうと思ったら万全の備えが必要だし。邪魔者は始末しないと」
 見返す瞳に最早迷いは無い。これならば大丈夫だろう。インテグラと蒜は其々に頷く。
「ええ。この場では無理でも、生きていれば次がある」
「まずは生き残る。皆のことは、私達が絶対にやらせない」
 そうと決まれば、やることは一つだ。大挙し迫る恐竜達を認め改めて身構える少女達を見届けて、二人の猟兵は其々に駆け出してゆく。
 蒜が目指す先は、最前のレッドラムの懐。大型の恐竜型オブリビオン、その角を介してユーベルコードを行使する油断ならぬ敵だが。
「Grrrrr……!」
 猛竜の唸りは苛立たしげに。かの敵はその巨体故に懐へ潜り込みやすい。そして潜り込んでしまえば、頭上に据えられた角はまともに扱えない。即ち接触せんばかりの超至近距離は、潜り込んだ蒜にとって圧倒的有利だ。
 更に、周囲から迫っていたレッドラム達も動けない。下手に攻め込めば仲間を巻き込むであろうから。
「あなた達には、何もさせない」
 そんな敵の様子を受け淡々と、しかし決然と告げると共に。蒜は片手に携えた小型拳銃をその腹へ押し当てる。本来護身用である拳銃の銃口から放たれるは、然し其に反して十二分な殺傷力を持つ翠のレーザー。至近距離からの連射が腹や胸の肉を貫き、内側を焼き焦がし。猛竜に致命の傷を与えてゆく。
 崩れる猛竜、だがそれは盾が無くなったことを意味する。ここぞとばかり蒜へと肉薄にかかるレッドラム、だがその顔に影が差す。
「残念ね、私もいるのよ!」
 崩れた柱を蹴って高く跳躍するはインテグラ。見上げる恐竜オブリビオンに向けて構えるはアサルトライフル。改造の果てに原形を完全に失った魔改造品、その銃口から立て続けに弾丸が撃ち出される。激しい弾雨に、巨体を誇る猛竜さえも一時身動きを封じられる。
「イスル!」
 尚も連射を繰り返しつつ、着地するは敵の背後。同時に叫ぶは、先程まで言葉を交わしていた少女戦士の名。
「――良いとも。姉様のところへ行く為に。邪魔する奴は、叩き斬る……!」
 跳躍し、大剣を振りかぶるイスルが撃ち据えられる猛竜へと肉薄する。振り上げた大剣が、迷いなくかのオブリビオンへと振り下ろされて。その巨体を、一刀のもとに両断してみせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

防人・拓也
愛機のリーパーキャバリアに搭乗。
「アミナ、レイヤ! しっかりしろ!!」
と2人に呼び掛ける。反応が遅かったら、指定UCで敵の動きを予測しながらバルカン砲で威嚇射撃を行い、その隙に2人をすぐ回収。スラスター噴射で一気に後退して、敵と距離をとる。
2人を降ろした後に
「本物の姉様とやらに助けて貰った命、ここで無駄にするんじゃない、馬鹿者!」
と2人を叱る。
「命は何だって1つだ。命を大事にして生き残れ。それが強くなるための秘訣の1つだ」
と2人に語った後、迫る敵を見据える。
「さぁ、2人とも。武器を握れ、敵を見ろ! そして戦って生き残るぞ!」
と言い、先陣を切る。
後は2人を守りつつ、戦闘を行う。
アドリブ・連携可。



「うーっ、邪魔しないでー!」
「姉様のところまで行きたいのにー!」
 群れ成す恐竜オブリビオンが、幼い戦士達――アミナとレイヤの行く手を阻む。他の仲間からも孤立した二人、戦鎚を振るい敵を打ち据えるも、状況は悪化する一方。
 猛竜達に阻まれ見えない『姉様』の姿。そこに追いつきたいという想いが彼女達の心を占めていた。それ故だろうか。
『アミナ、レイヤ! しっかりしろ!』
 己らに呼びかける防人・拓也(コードネーム:リーパー・f23769)の声にも、彼の操縦にてスラスターを吹かし己らのもとへ急行するキャバリアにも気付かないのは。
「「えっ!?」」
 結局、彼女達が拓也とそのキャバリアに気付いたのは、その鋼鉄の掌に包まれるように掴まれ、今し方まで己らに迫っていた恐竜オブリビオン達が、キャバリアの放つバルカン砲に退けられた後だった。そのままスラスターを噴き後退してゆく三人。
 前線より一歩下がった瓦礫の合間、下ろされた二人。キャバリアのコクピットが開き、現れた拓也は厳しい表情をしていた。
「――本物の姉様とやらに助けて貰った命、ここで無駄にするんじゃない、馬鹿者!」
 発された言葉は叱責。無謀な行為を戒める為の。アミナもレイヤも、幼いながらに一廉の戦士。あのまま戦っていればどうなっていたか、その一言で理解した様子。
「うう、そうだった。姉様……」
「でも、姉様をあのままにしたら……」
 それでも『姉様』に対する未練を振り切るには至らず。尤も彼女達も、あれが生前の『姉様』とは別物である事は理解していると見え。それ故に己らが倒さねば、と認識している様子であった。
「命は何だって一つだ。命を大事にして生き残れ。何事をするにも、まずはそれが一番大事だ」
 故に拓也は諭す。今ここで無理をせずとも『姉様』のもとへ届く時は必ず来ると。その時の為にもまずは生き残り、以て強くなれと。
「そう……そう、だね……」
「姉様、放ってはおけないけど……」
 それでも今は、生き残ることを。頷いた二人が拓也を見返す目に、先程までの惑いは無かった。
「そうだ。さぁ二人共、武器を握れ。敵を見ろ!」
 拓也の檄が飛ぶ、振り返れば、追いかけてきたらしい猛竜の群れ。自ずから、少女達の戦鎚を握る手に力が籠る。
「戦い抜き、生き残るんだ! 行くぞ!」
 そして拓也もコクピットを閉め、スラスターを吹かし跳躍。先陣を切って猛竜の群れへ肉薄。ビームサーベルと脚の刃を駆使した白兵戦にて、並み居る竜達を次々と斬り裂き。
「「吹っ飛んじゃえー!」」
 それらを乗り切った敵もまた、双子の少女達が振るう戦鎚に打ち据えられ、吹き飛ばされて。瞬く間にその数を減らしていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

備傘・剱
過去の因縁、ここにあり、てか?
なら、俺があれこれ言うのは、無粋って奴だな
だが、口は出させてもらうぜ?

白虎吼、発動!
因縁にケリをつけてきな

で、俺は、その後の祝賀会の準備をするかな
おい、そこの赤蜥蜴、ここに出てきたって事は、覚悟、できてるよな?
さぁ、その肉、おいてけ!

念頭力と結界術で動きを封じたら、ワイヤーワークスで縛って、頭を衝撃波、呪殺弾、斬撃波でつぶして、調理+鎧無視攻撃+鎧砕きで、鮮やかに捌いていこう
切り分けた肉は式神に持たせて、衛生的に保管するぜ

こちとら、この世界の食事情は精通してるんだよ
それに、傷心のナギサ達に元気になってもらわないと困るんでな
その糧になっていけ

アドリブ、好きにしてくれ


ヴォルフガング・テュール
知り合いか…確かにその様な存在が出てくれば気もとられよう…
だが…

自身の疑似心臓機関、エプリィドゥンをTiwazで叩き『リミッター解除』
ジェ・ヴォーダンを起動、現状から未来を予測し『見切る』
ブラースニールの足底からの空気圧で『ジャンプ』し前へ
現状で一番危険な恐竜型オブリビオンをヤルンテュールで火薬による炸薬の『衝撃波』と共に殴り抜ける!【怪力・貫通攻撃・鎧砕き】
うおおおおおおおおお!

力一杯の雄叫びを、これで少しでも正気に戻れば…


一瞬の油断でこの過酷な世界では全てを失う
…だが、仲間がいれば助け合える
此度は俺が救おう、俺のように父も身体も失わないように…



 猟兵達の叱咤もあり、未だ嵐の中心に在る少女オブリビオン――彼女達が『姉様』と呼ぶその存在を意識しつつも、迫る恐竜オブリビオン達と交戦するエヴォル・エヴァンジェの隊員達。ある程度精彩は取り戻したようだが、時折眼前の敵から意識の逸れる様子は少々危なげだ。
「過去の因縁、ここにあり……ってか?」
 彼女達の様子を眺め、備傘・剱(絶路・f01759)は肩を竦める。
「ああ……知り合いがオブリビオンとして現れれば、確かに気も取られよう……」
 ヴォルフガング・テュール(人間のサバイバルガンナー・f33281)は戸惑う少女達に理解を示しつつも「だが」と零す。
「そうだな。あれこれ言うのは無粋だが、手を出さないわけにはいかねぇ」
 言葉少ななヴォルフガングの言を引き継ぐように劔が言えば、ヴォルフガングもまた頷き。彼女達を守るべく、二人は行動を開始する。

 ヴォルフガングは己の胸を指輪嵌めた手で叩く。指輪は勝利のルーン刻んだ父の形見、以て胸を叩けばその内に埋め込まれた疑似心臓機関が限界を超えた稼働を開始する。
「――おおおお……うおおおおおおおお……!!」
 唸りを上げる疑似心臓機関、全身に滾る熱と力。溢れんばかりの其を感じて、ヴォルフガングが雄叫びを上げる。
(吼えよ……敵に立ち向かいし輩共よ……! 白虎の滾り、その身に宿らせ、敵を撃て……!)
「――ぐるぉぁぁぁぉあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!」
 一方の劔も、心中にて念じると共に咆哮を上げる。闘志を掻き立て肉体を強化するユーベルコードを宿した咆哮を。
「っ!? これは……!?」
「猟兵さん達の……!」
 そしてそれらの咆哮は、恐竜オブリビオンと交戦するエヴォル・エヴァンジェの隊員達のもとへと届き、心を揺さぶる。ヴォルフガングの雄叫びが彼らの存在を思い出させ、劔の咆哮が彼女達の闘志に火をつける。
「……よし、これならいける……!」
「うん、この敵を倒して、姉様のところへ……!」
 滾る力を感じ、拳を握る少女達。各々に得物を構え、それまでに増して力強い動きでオブリビオンへ向かってゆく。
(……あの様子ならば、大丈夫そうだ)
 そんな彼女達の戦いぶりを見てヴォルフガングは内心に安堵を浮かべる。一瞬の油断で全てを失う過酷な世界、それがアポカリプスヘル。まして彼女達は自らオブリビオンとの戦いに身を投じる者達、その危険は尚高いと言える。
 だが、彼女達には仲間がいる。同じ隊の仲間達が。互いに支え合い、助け合い。守り合う。それができているならば、大丈夫だろう。己のように、家族や肉体を失うことも無いはずだ。
(――だが。憂いは断ちきるに越したことはない)
 此度此処に来たその目的――彼女達を救う使命を果たしきるため。ブーツからの圧縮空気を吐き出して跳躍、一息に前線へと躍り出る。
「あなたは……!」
 声を上げる隊員の一人に対し、ヴォルフガングは一瞬、視線を向けて。
「此度は、俺が救おう」
 短く告げて、視線は目前の猛竜へ。それ以外にも何体もの竜がいる。数は多いが、その動きは手に取るように分かる。義眼の有する演算性能を全開とすれば、近い未来さえも捉え得る。
 右腕に仕込んだ義手を構える。最良の攻撃タイミングを演算で導き出す。3.8秒後。拳を変形させ、回転機構を作動。身構え、演算結果に従い立ち位置を移動し――
「――貫け!!」
 そしてきっかり3.8秒後。渾身の力で拳を突き出せば。炸薬シリンダーによる加速も上乗せした拳が螺旋状の衝撃波を形成、眼前の猛竜と、その更に向こうに集まっていた何体もの竜を纏めて貫き、堅固な鱗すらも容易く撃ち砕いて肉体を抉り爆ざしめていった。

「さぁて、覚悟はいいな赤蜥蜴共?」
 一方の劔は、己のもとへ集まってきたレッドラム達を前に不敵な笑みを浮かべる。劔は知っている。このオブリビオンは『食える』と。様々な世界でオブリビオンの肉を調理し食してきた彼だからこその直感。
「――その肉、おいてけ!」
 叫ぶと共に展開された結界が猛竜達の挙動を封じ、更にワイヤーが解体に適した形に拘束する。
 悲鳴を叫ぶ間もあればこそ、続けざまに飛ばされてきた衝撃波が頭部を粉砕。以て絶命した肉体を、不可視の刃が斬り捌き、切り分けてゆく。
 切り出されてきた肉は式神が回収、然るべき保存措置を施して保管。後で纏めて調理するつもりだ。
「あいつら傷心で戻ってくるだろうが、元気になってもらわないと困るんでな」
 恐らくエヴォル・エヴァンジェの面々は『姉様』までは届かない。ならば、『姉様』のもとへと届かなかった事実に打ちひしがれるだろう彼女達への癒しが必要だ。劔が狩り集めてゆくのは、まさにそのための素材。
「あいつらの糧に、なっていけ……!」
 その為にはまだまだ足りない。範囲内の敵を全て解体し尽くした後は、また次なる敵集団を探し、劔は駆けてゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユキノ・サーメッティア
キャラバンの子達の精彩、なーんか欠けてないかゃー?
なにかあったのかなー?
ま、新しいデカブツの相手しましょ
そっちの相手、できそうな物に乗ってるんだし

てことで、引き続きキャバリエに乗ったままで戦闘続行だにゃっ
空に浮かせたままでUCを発動!
まずばスナイパーに鎧無視攻撃で一発でっかいのぶち込むよ!
その後は、2刀でもって突っ込んで行ってやるにゃ
先に盾をぶつけて視線を遮るよ

ふふーん、盾は身を護るだけじゃないんだにゃー

で、直後に剣でズバッとなぎ払うにゃ
1回とは言わずに2回攻撃でー

と、何か惚けてるというか身が入ってないキャラバンの子達がいる?
盾を展開させて盾受けとオーラ防御で護ってあげましょう


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【POW】
※アドリブ等歓迎、別称推奨

過去を撒き散らす嵐だし当然だけど…
やれやれ、レリさんの集中が途切れてるね

DA20号サイクロプスを背部コンテナに戻し強制排除
回復した飛行能力と巨体を駆使、全速力で庇うよ

レリさん、残念だけど二面作戦は不利
まず恐竜に集中して、今後アタシ達も付き合うからっ

ん?コイツら、目立つ技は全部角からか…
なら【マトリクスドライブ・ゼロアクセル】の出番

『マトリクス!!』

起動&キー型へ変形した【マトリクス・メモリ】を
コクピット内に出たホロ・シリンダーへ装填すれば
【ナインス・ライン】の左主腕に思念波の刃が発生

後は不可視のブレードで角をバッサリ切断
無力化したら一気に攻めるよ、レリさんっ



「ブヒィィィィ!!」
 僅かに残っていた豚人間オブリビオン、その最後の一匹がプラズマ弾を叩き込まれ、高熱で以て焼き払われる。其を成したるキャバリア『ネブラベスティア』が、現況を把握するべく戦場を見渡す。
『んー……?』
 視界に認められた、新手のオブリビオン――恐竜オブリビオンと交戦するエヴォル・エヴァンジェの隊員達の姿。その様子に、ネブラベスティアの操縦者たるユキノ・サーメッティア(空白・f00911)は違和感を覚える。
『あの子達の精彩、なーんか欠けてないかにゃー?』
 先程までに比して動きには随分と無駄が多く、また勢いにも欠ける。まるで、意識が何処か別の方向へ向いているかのような。
『……ま、そういうことならあのデカブツの相手をしましょ』
 敵が大型なら、キャバリアに乗る己が戦うのが筋というもの。そう判じ、かの部隊の交戦域へと飛翔してゆく。

「……姉様……嗚呼、姉様……!」
 一方、恐竜オブリビオンとエヴォル・エヴァンジェの交戦域。その隊員の一人、レリは遠くに見える『姉様』の姿にすっかり取り乱していた。彼女と共に戦う隊員達もまた同じく。
 眼前に迫った恐竜に対し大鎌型偽神兵器を振るうも、集中を欠いた中での大振りの一撃は猛竜を捉えるに至らず空を切る。その隙を突くかのように、開かれた顎が迫り――
『おおっと、そうはいかないね!』
 その時、背後から声。レリの頭上を、爆音を伴う影が覆ったかと思えば、其は恐竜へと体当たり気味に激突し此を大きく吹き飛ばす。
「……リリーさん?」
 聞こえた声に、確認めいて漏れた声は疑問形。何故ならば、今彼女の目前に在る蒼きキャバリア『ナインス・ライン』の形状は、先程とは打って変わって身軽な姿に――それでも平均的なキャバリアに比してかなりの大型ではあるが――なっていたためだ。
『あいよ、リリー先生だよ。レリさん、まずは目の前の敵に集中していこう』
 返って来たのはその搭乗者たるリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)の声。先程までは重戦車じみた形状を取っていた彼女のキャバリアだが、レリ達を守る為において機動力を損なうリスクは看過できぬ。故に変形を解除、回復した飛行能力を以て救援に赴いた次第である。
『残念だけど二面作戦は不利。姉様とやらを何とかするのは、こいつらをやっつけてからで!』
 その時はアタシ達も付き合うから、と言い添えて、眼前の敵への集中を促すリーゼロッテ。その言葉に現況を改めて認識した様子のレリ、一瞬はっとした表情を浮かべた後に頷く。
「Gaooooooon!!」
 改めて向かってくる少女戦士達を前に、レッドラムは嘲るように吠える。その角が見る間に長さと太さを増し、彼女達を纏めて薙ぎ払える程の巨大さとなって――
『させにゃいにゃーーーー!!』
 そこへ飛び込んでくるユキノの叫び。と同時に稲妻じみた勢いで撃ち込まれるプラズマ弾が猛竜の身を横合いから撃ち抜き、その頭部を抉り飛ばした。
『なんだか分からないけど、この子達のコトは私達が守るにゃ!』
 そしてエヴォル・エヴァンジェの隊員達を背に庇うかのような形で立ちはだかりながら宣言してみせ。機体の双腕に其々剣を抜く。片は水や氷、片は炎や風、其々の属性と親和する魔力を有する剣を。
「Grrrrrr……!!」
 なれど猛竜達も退かぬ。吠え猛りながらユキノやその背後の少女戦士達に迫るもの、角を輝かせ誘導レーザーを撃ち出すもの。各々の力を以て猛烈な攻勢を仕掛けてゆく。
『なんのっ!』
 対抗してユキノが展開するは浮遊盾。己と少女達を守るように展開されたそれらがオーラの障壁を張り巡らせ、迫る光条の雨を食い止める。
 しかしユキノの力以てすればレーザーを食い止めるは困難ではないが、そこから攻勢に出るのは容易ではない。少女達もそれまで程に呆けてはいないが、攻め手を見出せていないのは確か。
 突進してくる恐竜達を二刀で斬り払いながら、隙を窺うユキノ。と、そこでリーゼロッテは気付いた。
(……コイツら、目立つ技は全部角から?)
 レッドラムのユーベルコードは、全て角を起点として発動する。つまり、角を何とかすればこのレーザーの雨は止む。そして、その目的に最適な手段を、彼女は具えていた。
『なら、コイツの出番だね――マトリクス!』
 叫ぶと共に、コクピットの一角から飛び出したメモリユニット。キー状に変形させた其を、操縦桿横に生じたホロ・シリンダーへ装填。
『マトリクス・メモリ認証完了。現象再現用ホロアーカイブ、リローデッド』
 其は科学に拠らぬ力を科学で疑似再現するシステム。此度其を持って彼女が引き出すは、ナインス・ラインの左主腕に生じた思念の刃。
『そんじゃ、サクッと斬らせてもらうかね!』
 叫ぶと同時に飛翔。レーザーの雨に装甲を灼かれながらも一気に加速、その射出源たる猛竜を間合いに捉え。輝く角を目掛けて思念刃を振るえば、精度にも秀でたその刃は過たず角を捉え――これを斬り落としてみせた。
「Gwoooooo!?」
 困惑するレッドラム。今こそ好機。
『よし、レリさん! 皆! 一気に攻めるよっ』
「……はい……!」
 リーゼロッテが呼びかければ、レリが、少女戦士達が飛び出して其々に猛竜達へと攻撃を仕掛けてゆく。その動きは、直前までよりは確実に鋭く、確かな集中を持って為しているかのように見える。
『私もやるにゃー!!』
 ユキノもまた、ネブラベスティアを加速させ猛龍の群れへと突入。迎撃せんと吼える猛竜達だったが――突如、その視界が塞がれる。
『ふふーん、盾は身を護るためだけじゃないんだにゃー!』
 其は浮遊盾を使った視界封鎖。その大きさと形状を持ってすれば、敵の視界を遮るぐらいは造作も無い。
『そのまま!』
『骸の海に還るがいいにゃ!』
 そしてリーゼロッテが振るう思念刃とユキノの双刃が振り抜かれ。思わぬ反撃に驚く間もなく、猛竜達は次々と斬り倒されていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイ・リスパー
理緒と

『アイ、私は『彼女』を守ります』
「って、オベイロン、またですか!?
もういいです、オベイロンの力なんか借りません!
行きましょう、理緒さん!」

アイには申し訳ありませんが私のエンジンが吼えるのです。
『彼女』をこの身に代えても守れ、と。

『彼女』に近づく恐竜に主砲を叩き込みながら戦場をセンサーで精査していると――
理緒、イロリ、それにアイ。恐竜に追い詰められる3人の姿が!?
ですが、私は『彼女』を守ると……

『そんな、AIを搭載していない『彼女』がイロリを助けに向かおうと勝手に走り出して!?
――わかりました。
ならば私も『彼女』に力を貸しましょう』

『彼女』に【強化外装】として合体し3人を助け出しましょう!


菫宮・理緒
アイさんと

ん、こんどはわたしたちの番だよ!

みんなが『姉様』に気を取られている隙をつかれないように、
しっかり守っていくね。

ってアイさん、オベイロンは!?
恋心は火の玉だね。ま、しかたないか!

【モーフィング換装】で【セレステ】の装甲を5倍、移動力を半分に。
アイさんとイロリさんの盾になっていこう。

「セレステを盾にして!」

それにしてもあいかわらず数が多いね……。
捌ききれないとは思わないけど、けっこうぎりぎりかな。

こんな時に『姉様』がこっちに!?

どこまで防げるか解らないけど、突っ込むしか……。

あれ……オベイロンとイロリさんの戦車!?
え? なにあれ。オベイロンあんなことできるの!?

うん。あとで再整備だね!



「ん、こんどはわたしたちの番だね!」
 先程の惨状から態勢を立て直した菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)が、乗機たる装甲車『リオ・セレステ』の車内で拳を握る。見れば、イロリ達エヴォル・エヴァンジェの面々は『姉様』と彼女達が呼ぶオブリビオンの出現で混乱の最中にある。迫る恐竜オブリビオンから守りきらねば、と意気込みは充分。
 と。
「すみません、理緒さん。私も此方に乗せてもらいますね」
 そこにリオ・セレステのハッチが開き、相方のアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)が乗り込んできた。彼女にも確か乗機があったはずだが……?
「あれ、アイさんオベイロンは?」
 と、理緒が乗機の行方について問えば、アイは首を横に振って。
「ダメです……『彼女』を守ると言ってきかなくって」
 溜息を一つ。此度のアイは戦闘力の大半をかの機動戦車に依存している。故に単独では戦えぬアイ、理緒の機体に同乗することとしたのである。

 さて、その機動戦車『オベイロン』であるが。
『――私のエンジンが吼えるのです。『彼女』をこの身に代えても守ると』
 主砲を放ち、迫り来る恐竜オブリビオンを撃ち倒す。傍らには赤い住居戦車。イロリのものだ。
 主たるアイを裏切ってでも、この物言わぬ戦車を守ることを最優先とする、此度のオベイロンの思考。其はまさに――

「――恋心は火の玉だね」
 アイから聞いたオベイロンとの遣り取りを、理緒はそう評した。
「オベイロンの力なんか借りなくたって、私はやりますよ!」
 呆れたような、憤慨するような表情のアイ。
「ま、しかたないね! 何とかやってみよう!」
 そんな彼女に対して理緒は励ますように、或いは宥めるかのように声を上げる。と同時、外部スピーカーを作動させ。
『みんな! わたしのリオ・セレステが盾になるから!危なくなったらこっちへね!』
 そうして呼びかければ、混乱の中にあったイロリ達も状況に気付き。改めて戦わんと其々に得物を構え直す。
「姉様は気になるけど……!」
『その辺りはこの辺りのオブリビオンを一掃してからですね。やりましょう!』
 イロリに対しアイが声を掛けると共に、リオ・セレステが変形を始める。増加装甲が展開され、その耐久能力を底上げしてゆく。機動力は犠牲となるが、その辺りは織り込み済みだ。
『リオ・セレステ、モーフィング! さあ、皆、行くよ!』
 迫る猛竜の群れをリオ・セレステが食い止め、その合間から電脳魔術による炎や冷気が迸り、少女戦士達が偽神兵器を振るう。
 だが、この辺りに迫る竜は数多く。捌ききれぬ数ではないが、ギリギリという処か。理緒はそう分析する――が。
「――ね、姉様!?」
 イロリの狼狽する声。何があったのか。外部モニタの一つを見た理緒は――驚愕する。

「……『姉様』が……来た……!?」

 砲撃を繰り返し猛竜達を撃ち倒す合間、センサーによる周辺精査を繰り返していたオベイロン。故、アイ達の窮地も察知していた。
 一行のもとへと突撃し、携えた巨剣を振り回す少女型オブリビオン――『姉様』と呼ばれていた存在。その一振り毎にリオ・セレステの装甲に明確な斬痕が刻まれる。装甲を強化しているにも関わらずあの傷、生身で受ければ一堪りも無い。助けが必要だ。
『……ですが……』
 しかしオベイロンは躊躇する。己は『彼女』を――この赤き戦車を守ると決めたのだ。彼女を置いていくなど――

 だが、その躊躇を打ち砕く変化が其処で生じた。
 赤き戦車が、搭乗者も居ないにも関わらず走行を開始。交戦を続ける一行のもとへと向かい始めたのだ。
『……そんな!? 『彼女』にAIは搭載されていない筈……!?』
 驚愕するオベイロン。だが同時に理解する。『彼女』の願いを。武装を排除されて尚宿る、兵器としての使命を。
『――分かりました。ならば、私も――!』

『姉様』の攻撃により窮地に追い込まれる理緒、アイ、イロリらエヴォル・エヴァンジェの隊員達。
「――あ――」
 一瞬の判断の遅れ。そこを突き、遂に、その刃がイロリの首を落とさんと迫り――
『そうはさせません!』
 火を噴くビームガトリング、反応し退く『姉様』。一行を庇うように現れたのは――
「え……!? こ、これ……!?」
『お、オベイロン……!?』
 驚愕するアイ。其処に在るは、本来の車体の上から白い装甲と武装を纏った、赤い車体の住居戦車。イロリの住居戦車に、オベイロンが合体した姿。
『お待たせしました……! さあ、戦いましょう! 『彼女』の願いを叶える為に!』
『彼女って何かな!? でも、ありがとオベイロン! 助かったよ!』
 突っ込みを入れつつも理緒は謝意を述べ、ダウンしていた機体の機能を再起動。反撃を開始する。
「姉様……ここで、止める……!」
 イロリ達もまた、体勢を立て直して反撃に転じ。

 猟兵達と少女騎士達、その奮闘の末、『姉様』は退いていった。
 イロリ達は悔しそうであったが、あの状況では致し方なしか――

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

臥待・夏報
マスター(f09894)と

『叶う限り、生きる』
それを自ら言える彼女らに、夏報さんから言えることなんて何にもないな
発破をかけるのは任せよう
……僕が何を言っても嘘っぱちになる

うーん、みんなちゃんとより良く生きててえらい
農作業も戦争もしたことのない現代人の夏報さんは――
屍肉漁りの呪詛でも披露してやりますか!

足りる足りる、多すぎるくらいだよ
マスターの分、敵の分、戦場に十分な血が流れたら、それらを用いてUC発動
【仲間外れは誰なのか】
地面にミステリーサークルを描き拡げ、呪詛の炎で敵を焼却するよ
……『姉様』は、攻撃の対象に含めないでおく
注意を引いてしまったら元も子もないし、彼女らの気が散るかもしれないからね


ヴァシリッサ・フロレスク
夏報チャン(f15753)と

コイツは酷だねェ

隊長も十分過ぎる程分かっちゃいるだろうケド、一寸、出しゃばらせてもらうかね

ナギサ、アンタの、アンタ達の目指してンのは一体何処だッてンだい?

『叶う限り、生きる』ンだろ?

ンなトコが終点だってのかい?

こンな結果を願って、そンなアンタを信じて、皆着いて来てるッてェのかい?

まだ耄碌するにゃ早いだろ、アンタのクールな『戦闘教義』を見せておくれよ?

まァ悪いケド、アタシらは、アンタ達を逝かす気なんざハナから無いがね

ね?夏報チャン?

芸は無いが、スヴァローグで武器受け、早業・怪力と激痛耐性にてナギサ達を全力でかばう

流血はUCに活用、その弾幕で掩護

足りるかい?夏報チャン?



「敵の勢いは未だ激しい……! 皆、まずは食い止め、押し返しましょう!」
 エヴォル・エヴァンジェ隊長、ナギサが指揮を執る戦域。指示に応え恐竜オブリビオンと交戦する隊員達だが、その動きは今一つ精彩を欠く。
「――姉様――」
 指揮と自身の戦闘の合間、ナギサは視線を嵐の中心へ向ける。『姉様』。この部隊の隊長となる筈だった、誰よりも強く、賢く、気高かった少女。己などより余程、人を惹きつけ得る存在。それなのに――
「――一寸、出しゃばらせてもらうかね」
 その時、眼前で噴き上がる鮮血。己を庇って、猛竜の爪撃を受けた者――ヴァシリッサ・フロレスク(浄火の血胤(自称)・f09894)。振り向いた表情は、常と変わらぬニヤついた笑み――尤も、その目は真剣そのもの。
「ナギサ、アンタの、アンタ達の目指してンのは一体何処だってンだい?」
「……それは」
 その目で以て彼女を見据えて口を開くヴァシリッサ、かける言葉は本質への問い。応えんとするナギサだが、すぐには言葉が出ない。
「『叶う限り、生きる』んだろ? ンなトコが終点だってのかい?」
 猛竜へと射突杭を叩き込み仕留めつつ、ヴァシリッサが続けて問えば、押し黙ってしまうナギサ。そう思いかけていた、と自覚するが故に。
「こンな結果を願って、そンなアンタを信じて、皆着いて来てるッてェのかい?」
「……!」
 続けての言葉に、はっとした表情を浮かべるナギサ。そうだ、己はどうあれ彼女達を――他ならぬ『姉様』から。
「まだ耄碌するにゃ早いだろ、アンタのクールな『戦闘教義』を見せておくれよ」
 ヴァシリッサの言葉は発破。其に背を叩かれたかのように、ナギサは小さく身震い一つ、改めて得物握る手に力を籠めて。
「……ええ。『姉様』から託されたこの部隊。叶う限り生かしてみせる……勿論、ここで終わらせはしません」
 確りと頷き、再度隊員達へと指示を飛ばす。それまで以上に迷い無く、明瞭な意志を帯びた言葉は、隊員達の挙動にも幾分か精彩を取り戻させしむ。
「――まァ悪いケド、アタシらはアンタ達を逝かす気なんざハナから無いがね」
 ニヤついた笑みを一つ深くしつつ、ナギサの背へ向けヴァシリッサは呟いて。
「ね? 夏報チャン?」
 不意に、視線を大きく横に振る。その先には、猛竜の一体を仕留めた臥待・夏報(終われない夏休み・f15753)の姿があった。
「……うーん、みんなちゃんとより良く生きててえらい」
 素直な敬意を持って夏報は呟く。『叶う限り、生きる』その願いを自ら言える彼女達に、己が言えることは何も無い。何を言ったところで嘘っぱちになる。そう考えたが故、彼女はヴァシリッサに発破を任せていた。
 死ねない理由はぐずぐずに溶けて、それでも死ぬという意志は持てず、金と時間を浪費しているだけの自分。そんな己が何を言ったところで――
「それより、足りるかい? 夏報チャン?」
 その思考を、ヴァシリッサの問いが引き戻す。足りるとは何がか。その答えは、夏報の中に既にあった。
「足りる足りる、多過ぎるくらいだよ」
 ヴァシリッサ自身の血、仕留めた恐竜達が流した血。夏報の切り札は、こうした血液を代償とするものだ。
「農作業も、狩りも、戦争だってしたことのない現代時の夏報さん。そんな僕でも、やれるとこはあるんだから――」
 戦場の荒野に流れる血。夏報が言葉を紡ぐ間に、流れ蠢き、ひとつの形を作りだしてゆく。
「――ひとつ、屍肉漁りの呪詛でも披露してやりますか!」
 そして出来上がった姿は、奇妙な構造と記号とを伴う円形。ある筋ではミステリーサークルとも呼ばれる代物。無論、偽物ではあるが、ある意味においては本物以上に本物である。
 直後、戦場に迸るは血の如く赤黒い炎。まるでレッドラム自体が直接燃え上がるかのように現出したその炎は呪詛を帯び、熱のみならず呪いをも以て敵を苛む。
 見る間に弱り、倒れてゆく恐竜オブリビオン達。ナギサ達の奮闘もあり、敵の数は一気に減少へと転じていって――

 気付けば、オブリビオン・ストームは止み、オブリビオンもその全てが全滅。
『姉様』も、気付けば姿を消していた。その直前、何名かの猟兵及びキャラバン隊員と交戦したらしいが、彼女達曰く「暫く打ち合っているうちに何処かへ去っていった」とのこと。
 それを知った隊員達は一様に困惑、或いは悲しげな表情を見せる。ナギサもまた、例外ではなかったが。
「――互い、生きていればいつか何処かで出会えるでしょう。その時こそ、必ず――私達の手で」
 確かな意志を以て、語ってみせた。
「それより今は、生きる糧を得られたことを喜びましょう。さあ、もう一仕事です」
 そう結び、作業に入ってゆくナギサ。即ち、物資の回収である。



 こうして、猟兵達の活躍もあり、ストーム・キャラバン『エヴォル・エヴァンジェ』は壊滅することなく、此度の狩りを終えた。
 彼女達はこれからも、此度のように嵐を追い、オブリビオンを狩ってゆくことだろう。生きる為に。
 ただ、違いもひとつ出来た。即ち『姉様』を追うという新たな目的が、彼女達に生じたのである――

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年07月02日


挿絵イラスト