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銀河帝国攻略戦⑧~会敵、ディクタトル級巡洋戦艦

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「皆様、お集まりくださりありがとうございます」
 ソフィーヤ・ユリエヴァ(黒百合の聖女・f10512)が、慌ただしく準備しながらも丁寧にお辞儀する。
 広げた資料はスペースシップワールドのものとなればピンとくる。
 銀河帝国との『戦争』だ。

「皆様の活躍のお陰で、『解放軍』の戦力は銀河帝国軍の防衛艦隊を凌駕していますの」
 銀河帝国もここまで迅速に『解放軍』が戦力を整えるなど、予想していなかったに違いない。
 戦力的には勝利は難しくない。そう、本来の戦力的には。
「この作戦の主力は『解放軍』のスペースシップ……ですが、その多くは移民船団です」
 元は自衛のための防衛力しか持たない『解放軍』。
 そして、侵略を幾度となく繰り返した『銀河帝国軍』。
 戦闘経験の差は歴然だ。
 特に、このような大規模な『艦隊戦』は。

「当然、銀河帝国軍もそこの弱点を突いてくるでしょう」
 ある程度秩序を持って戦えるようになれば、戦力差を活かして戦線を押し上げる事もできるだろう。
 だが、それまでに被害は避けられず、大損害を受ければ撤退する艦も現れる。
 『解放軍』は有志の義勇軍であり、死兵ではない。
 戦争に勝っても負けても、航行不能……特にコアマシンを破壊されれば意味がない。
 これは士気の問題ではなく、今後の人生という現実的な判断だ。

「『解放軍』として初の実戦です、混乱はある程度避けられません。
 これは『解放軍』の方々が何とか対応してもらう他ありません」
 だがスペースシップの指揮者とて無能ではない。
 この戦争がスペースシップワールドの命運を分けると承知し、命を懸けている。
 ならば猟兵の役目は、それを援護する事だ。

「皆様にお願いするのは、その混乱に乗じて撃破しようと迫る帝国艦隊の前衛部隊を叩くことです」
 敵は混乱した『解放軍』スペースシップに迫る敵艦、ディクタトル級巡洋戦艦。
 目標は戦闘継続不可による撤退、ないし撃沈。
「敵艦内部に入り込むことは、困難でしょう。故に、外部から打撃を与え、沈めてください」
 それはグリモア猟兵としての予知によるものだ。
 内部にはボス級の指揮官の他、一般兵も数多くいるため、『少数精鋭』による通常の攻略法では速攻に対応し切れない。
 故に外部から叩く……即ち戦闘する場所は、必然的に宇宙空間となる。
 だが宇宙空間での活動――呼吸は勿論、ある程度の移動手段や姿勢制御――に支障の無い宇宙服は支給される。

「言葉を重ねますが、『解放軍』のスペースシップは、移民船団です……。
 どうか、この戦争だけでなく未来の為に、守って差し上げてくださいまし」
 ソフィーヤは猟兵達へ、挨拶の時よりも深くお辞儀した。


アマガエル
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 初の戦争シナリオとなります。アマガエルと申します。
 ほぼ生身の人間対戦艦となりますが、猟兵の力であれば問題ありません。
 宇宙空間で活動できる宇宙服はグリモアベースから支給されますが、保証されるのは成功率に不利益のない『ある程度』までです。
 攻撃や回避だけでなく、『長距離移動』手段や工夫があれば良いかもしれません。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『ディクタトル級巡洋戦艦』

POW   :    主砲発射用意!
予め【主砲にエネルギーを充填しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    航空各隊、邀撃に移れ!
【両舷カタパルト】から【直掩艦載機】を放ち、【対宙迎撃】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    オール・ウェポンズ・フリー
【兵装使用無制限状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ベモリゼ・テモワンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

竹城・落葉
 解放軍は有志の義勇軍であり、死兵ではない……。何を言っているのだ?そんな事、改めて説明するまでもあるまい。だからこそ、猟兵は解放軍に協力して貰うだけではなく、解放軍を守る義務がある。この考えを、これら一連の戦いにおいて実証してみせよう!
 さて、敵艦を外部から攻撃するとの事だったな?ふっ、上等だ。我は名物竹城を手に『支柱一閃』で切り伏せてやるぞ。だが、敵の攻撃は強力だろう。主砲が発射されるとなれば、【第六感】で察知し【残像】で避けるぞ。また、長期戦は厳しいだろうから、攻撃の際は【早業】と【2回攻撃】で素早く大打撃を与えられるよう、試みよう。我とて元武将。悪鬼の如き気迫で陥落させてくれるわ!


アルトリウス・セレスタイト
千里の道も一歩から。だったか

付近に味方があれば協働

主砲を第一目標とし魔眼・掃滅で消去
可能なら完全に消し飛ばし、最低限使用不能に
格納状態なら付近を消去し露出させてから実行
その後は他の目標を順次対象に

移動は回廊で
見えていれば移動可能なはず

効果なし、或いは主砲の位置を特定不能などであれば破天で爆撃
各種技能を活用し兵装部を狙った面制圧飽和攻撃で機能不全を狙う


春日・釉乃
【連携・アドリブ改変OK】
巨大な戦艦が相手なら、こっちも奥の手を使うしか!

鎧装騎兵姿で出撃し、背部に接続した『ヴァリアブル・エクシード・ブースター』の[ダッシュ]の力で一気に踊り出る

味方に後退指示を出してから、一撃離脱の戦法でユーベルコードの【蒼き清浄なるセカイのために】を使用
鎧装騎兵用のアトミックバズーカを発射して、[鎧無視攻撃]の破壊力で敵を一網打尽に追い込む!

「ミディア・スターゲイザーの理想を掲げる為に…! 銀河帝国攻略戦、成就の為に…! エンペラーズマインドよ!私は帰って来た!」

ある程度の損害を与えられたら、救済の炎を沈下させ…後続の友軍に残存戦力の掃討を任せて、この宙域から離脱するね


ニィ・ハンブルビー
呼ばれて飛び出てボク登場ー!
なになに?船を外から叩き壊せばいいの?
OKOK!そういう力押しは大の得意だよ!
解放軍の人たちが生きて帰れるよう、全力で頑張るよ!

それじゃ、ボクは正面から突撃するよ!
まずは背中の『ウェポンエンジン』で加速して全力【ダッシュ】!
【スカイステッパー】や宇宙服、『マシンベルト』の推進装置で更に加速しつつ、
主砲が発射される前に怒涛の【早業】で【捨て身の一撃】をぶちかますよ!
敵艦が射程に入ったら即座に【ズバズバの魔法】で巨大な剣を召喚!
威力重視で主砲ごと敵艦をぶった切ってやる!
オブリビオン相手に容赦はしないよ!真っ二つだー!!!


フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【SPD】(共闘可)
「初の艦隊戦だね、腕がなるよ」
フィオ姉ちゃんと一緒に巡洋戦艦の艦橋を破壊して
航行不能にするよ

【行動】()内は技能
Flying Broom GTSに騎乗し出撃
(騎乗)しての(空中戦)は得意だよ

フィオ姉ちゃんに続いて、フォルマ・ベンダバールで
戦闘力を上げて接近!
直掩艦載機が出撃してきたら
(先制攻撃×スナイパー)でクラロ・デ・ルーナを
放って撃墜するよ

主砲の回転速度を上回る速さで旋回しながら巡洋戦艦に
どんどん接近
艦橋の目と鼻の先までたどり着いたら
(全力魔法×2回攻撃)でカラミダド・メテオーロを叩きつけるよ

攻撃したらすぐに(ダッシュ)で加速して距離をとらないとね


フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(他猟兵と連携可)
「コアがはっきりしないから頭を叩いたほうがいいわね」

■作戦
フォルセティと宇宙バイクで巡洋戦艦に最接近し
艦橋を破壊して制御不能にする
+なるべくWIZ攻撃を控えて兵装使用無制限状態を回避

■行動
Flying Broom GTRに騎乗し巡洋戦艦へ
(空中戦や騎乗技能を駆使)
「目指すは艦橋。フォルセティついてきて」
ペガサスの翼で増強し距離を詰める

直掩艦載機に対してはアイオロスの刃で応戦
ただし主砲発射攻撃モードを確認したら
アイギスの盾を2枚展開して無効化する
技能:高速詠唱×2回攻撃

オートフォーカスでロックオンしながら
技能:全力魔法でバベルの光を艦橋に打ち込む


雛菊・璃奈
小型艇を借りつつ、遊撃砲台みたいな感じで行動…。
味方の猟兵と連携で乗せて貰える様なら、そちらの方が良いかな…。

後方から敵艦の挙動を確認して、主砲の発射態勢等、都度同区域の猟兵へ通信入れて情報を共有…。
自身は敵艦載機の迎撃や敵艦の武装、艦橋、機関部、ブースター等の主要部位を【呪詛】で強化した【unlimited】の一斉掃射で侵食・破壊して回るよ…。

敵の砲撃なんかは【見切り】【オーラ防御】で防ぎつつ、跳ね返せるものは【呪詛】【カウンター】【武器受け】【早業】アンサラーで跳ね返して反撃するよ…。

「ここを通すわけにはいかない…必ず落とす…」

※アドリブ歓迎


テラ・ウィンディア
…凄いな
この世界では皆船の中で生活している…つまり船こそ生きる世界なんだよな
という事はある意味おれ達は世界を相手にするんだな

戦艦のデータについて過去の記録をしっかりと確認して皆にも伝えておく

そして後は宇宙空間へ飛んで…何より空中戦で高機動モードだ

属性攻撃で炎と槍と脚に紅蓮の炎を宿し

そのまま見切りと第六感と戦闘知識からの情報分析により敵の攻撃のパターンを把握
その上で艦載機の猛攻も回避して懐に飛び込みに掛かる

その上で戦艦に張り付いて槍で串刺し
剣で切り刻み猛攻

そして一端上に上がれば脆い場所を確認して
メテオブラスト!更に踏み付けを付与して更に破壊力を増強させて地形…最早戦艦の装甲事態を粉砕する!



●会敵
 『解放軍』と銀河帝国の精鋭『エンペライダーズ』が戦端を切った戦闘宙域。
 遥か遠方、目視では到底見えない距離に、ディクタトル級巡洋戦艦は悠然と佇む。
「敵艦隊、陣形を崩し戦線が乱れています」
「『エンペライダーズ』はよくやっているようだな。頃合いだ、主砲発射用意」
「主砲発射、用意! エネルギー充填率113%! 超長距離モード、いつでもいけます!」
「よし。目標『解放軍』艦隊。主砲発射」
 巡洋戦艦のエネルギーチャージ済みの主砲から、最大出力で放たれる。
 エネルギー過充填による超長距離砲によるアウトレンジからの大火力砲撃。
 それは混乱する『解放軍』の民間上がりの脆弱な宇宙船を貫く……はずだった。
「ッ!? 主砲、防がれました!」
「何? 状況報告せよ。なんだ、何に防がれた?」
「高エネルギー反応を持つ障害物らしき物です。……これは、一体……」
「らしき物だと? 報告は明瞭にせよ。ええい、光学映像をモニターに出せ、目視で確認する」
 混乱する艦橋のモニターに映像が映し出される。
 射線上に浮かぶのは、二枚の光輝く盾。
 戦艦の大口径主砲を防ぐには原始的な代物。
「馬鹿な……アレで防いだと言うのか」
「やはり現れたか。解放軍……否、『猟兵』」
 そんな常識の埒外の存在はこの世界にただ二つ。天に頂く我らが銀河皇帝。
 そして、『解放軍の再来』と謳われた一騎当千の英雄達。

「ふぅ……」
 その盾を掲げるのは、フィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)。
 この世界で発達した科学ではない、魔法の産物だ。
「大丈夫? フィオ姉ちゃん」
「ええ、大丈夫。転移していきなりでびっくりしちゃっただけ」
 その盾に守られて心配げに問うフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)に、こくりと頷く。
「初の艦隊戦だね、腕が鳴るよ」
「コアがはっきりしないから頭を叩いたほうがいいわね」
 『空飛ぶ箒』の名を冠する宇宙バイクに騎乗する二人は、エンジンを唸らせる。
「今のが主砲なら、再充填まで時間が掛かるはずだよね」
「目指すは艦橋。フォルセティ、ついてきて」
 流星の如く二対の『箒』が宇宙を舞う。

●撃沈の布石
 解放軍は死兵ではない――。
「何を言っているのだ。そんな事、改めて説明するまでもあるまい」
 そう聞いた竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)は何を今更と首を振る。
「猟兵は解放軍に協力してもらうだけではなく、解放軍を守る義務がある」
 遥か遠方で戦う振り返る。
 『解放軍』の面々も、全力を尽くして戦っていることだろう。
 だが死力を尽くす必要はない。尽くさせはしない。
 この戦争は自由なる未来に続くためのものなのだから。
「これら一連の戦いにおいて、実証してみせよう!」
 落葉は一振りの刀、名物竹城を抜き放つ。
 解放軍を守るためには主砲を撃たせるわけにはいかない。
 まずは主砲を守る艦載機や副砲を落とす必要があると落葉は敵を見据える。

「……凄いな。この世界では皆船の中で生活している……」
 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)が次々と発艦される艦載機を眺める。
 その一機一機すら、人間が搭乗する大きな乗り物。
 更にそれが大量に乗せた戦艦は、戦いだけでなく生活の場でもある。
「つまり船こそ生きる世界なんだよな」
 小さなエルフの少女と比べれば、その『世界』は100倍、200倍でも足りない。
 だがテラは怖じることはなく、赤熱する紅龍槍を握りしめる。
「という事はある意味おれ達は世界を相手にするんだな」
 酸素の無い宇宙空間では燃え上がることはない。
 物質として存在する『魔法の炎』が赤槍に纏うように顕現する。

「主砲は3基……副砲4基……対宙レーザー砲、及び対宙機銃が相当数……」
 小型艇を駆る雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は後方で敵の挙動を確認する。
 主砲は先程撃ったばかりであるため、再充填まで十分猶予はあるだろう。
 個体差が大きいが、テラの集めた過去のデータと照らし合わせ、この艦の情報は得られた。
「狙うべきは重要部分……」
「その中なら、ブースターが脆そうだ」
「うん……まずは脚を潰そう……」
 確認したデータを猟兵達と共有した後、テラは脚に宿した炎を噴射して加速して高機動モードで天を翔ける。
 璃奈もその後を追うように、小型艇を加速させる。
 機関部を落とすなら内部に入り込まねばならないだろう。
 だが露出したブースターならば破壊しやすい。

「悪鬼の如き気迫で陥落させてくれるわ!」
 破壊した艦載機の残骸や浮遊岩を足場に宇宙空間を自在に舞う落葉は、迫り来る艦載機のコクピットを次々と切り裂く。
「他愛無し……『支柱一閃』!」
 更に爆発する寸前の艦載機を足場に、戦艦の装甲目掛けて跳ぶ。
 先程から厄介な対宙レーザー砲に突き立て、装甲ごと剥ぎ落す。
「ここを通すわけにはいかない……艦載機も、敵艦も……全て落とす……!」
 加速して移動する戦艦へ、小型艇を操縦しながら璃奈は120を数える魔剣・妖刀の軍勢を従える。
 ブースターを狙われると察知して璃奈を狙う直掩機に、装甲を駆け抜け落葉が跳びかかり切り裂いた。
 落葉はくるりと翻り、小型艇の上に着地して璃奈に声を掛ける。
「直掩機の迎撃は我に任せろ。貴様達はブースターを全力で頼む」
「わかった……『unlimited curse blades』……!」
 落葉は刀を再び構えて、璃奈を狙って迫り来る艦載機へと跳び掛かり両断する。
 璃奈は魔剣の狙いをブースターへと集中させる。
 速度を上げて逃げようと加速する戦艦へ、後方から追尾するミサイルの如く、百と二十の剣が悉く突き刺さる。
 複数あるブースターが轟音と共に連鎖爆破しながら、内部から溢れて消える炎に包まれていく。

「おれの槍で、お前達の『世界(ふね)』を沈める!」
 テラは艦載機の機動を見切り、逆に足場として利用しながらブースターへと接近する。
 追い縋るレーザーを重力の無い宇宙空間を自在に舞って躱し、槍で弾く。
 ブースター付近に近づいた瞬間、その熱気がテラに容赦なく叩きつけられる。
 だがそれよりも更に熱く、燃え滾る赤い槍が熱気を跳ね返してブースターを穿つ。
 爆発したブースターの爆風の勢いに乗りながら、テラは『上』へと飛び上がる。
 無重力空間で、上下の区別は本来不要だ。
 だが、テラにとって『上』と定義することには意味がある。
「星よ……世界よ……流星の力を我が身に宿せ……! メテオ・ブラスト……受けろぉ!!!」
 無重力空間でテラはその身に超重力を纏って加速しながら戦艦へと『落ちる』。
 くるりと回転して踵落とし。鋼の装甲が凹み、周辺の巻き込んで破壊しつくす。
 艦内の空気が流出する暴風にテラは吹き飛ばされながらも、体勢を立て直す。
「これなら応急修理だってできないな!」
 テラがスラスター周辺の壁を破壊したことによって、ダメージコントロールもできないだろう。
 『足』の大部分を破壊された巡洋戦艦は、宇宙空間を漂うもはや浮き砲台と化した。

●主砲破壊
「主砲は両舷と艦首に一基ずつ、3基みたいだ」
 鎧装騎兵姿の春日・釉乃(”CHIPIE”・f00006)が機械鎧付属のデバイスに共有された情報を確認する。
「その他対宙レーザー多数か……千里の道も一歩から。だったか」
 アルトリウス・セレスタイト(原理の刻印・f01410)が呟く。
 エンペラーズマインドの影響によるものか、戦艦周囲の転移はできないようだ。
 一気に懐に飛び込むのは難しそうだ。
 だがスラスターの大部分が破壊された事で敵艦の『船足』は落ちた。
 攻め入る事はできるだろう。
「せめてあと一人……」
「呼ばれて飛び出てボク参上ー! なになに? 船を外から叩き潰せばいいの?」
 ニィ・ハンブルビー(怪力フェアリー・f04621)が朗らかに手をあげる。
「艦載機は他の方々にお任せして迎撃を潜り抜けつつ、主砲を破壊しましょう」
「これで此方も丁度三人だ。一人一基、行けるな」
「OKOK! そういう力押しは大の得意だよ!」
 釉乃とアルトリウスに意気揚々とニィは頷いて3人は散開する。

「巨大な戦艦が相手なら、こっちも奥の手を使うしか!」
 右舷に向かった釉乃が機械鎧背部の『ヴァリアブル・エクシード・ブースター』を起動し、高速で急接近する。
 対宙レーザーの迎撃を潜り抜けて戦略級報復兵器、アトミックバズーカを構える。
「ミディア・スターゲイザーの理想を掲げる為に……! 銀河帝国攻略戦、成就の為に……!」
 射程に収めて照準を合わせる。
 狙うは装甲とバリアフィールドに守られた左舷主砲。
「エンペラーズマインドよ! 私は帰って来た! 『蒼き清浄なるセカイのために』!」
 釉乃は引き金を引く。放たれた弾頭が、バリアフィールドを貫いて炸裂する。
 敵艦内部から漏れ出る酸素と、ユーベルコードの埒外の力で燃え盛る炎がちかちかと明滅する。
 内部の燃料に引火したのか、激しい爆発が轟く。
「いつ見ても美しい……けど、悠長に見ていられないね」
 対宙レーザーは未だ釉乃を狙い続けている。
 クイックブーストで回避しながら、副砲や対宙レーザーを落とすべく、更なる打撃を狙う。

 左舷に向かったアルトリウスの元には、放出された小型の無人機が多数迫り来る。
「小型無人機の群れか。侮られたものだ。『破天』」
 アルトリウスは宇宙服のスラスターを利用した空中機動でレーザーを巧みに避けながら、青く輝く魔弾の弾幕を放つ。
 主砲の大よその位置は共有されたデータによって、検討がついている。
「あれか。『魔眼・掃滅』」
 アルトリウスは視界に入れた瞬間とほぼ同時に、魔眼の力を放つ。
 バリアフィールドそのものを異界へと消飛ばし、更に全力で魔眼に力を注ぐ。
「『原理』よ。もう一度だ」
 アルトリウスの魔眼の力が装甲ごとくり抜くように、主砲の基部ごと消滅させる。
 相応の消耗が身体に負荷を掛けるが、まだ力は十分残っている。
「第一目標クリア、これより味方の援護をする。各兵装部、今の内に破壊するとしよう」
 アルトリウスは装甲に取り付いたまま、『破天』による面制圧爆撃を更に放つ。
 多数のレーザーが爆散し、消滅していった。

「それじゃ、ボクは正面から突撃だ!」
 ニィは背中に付けた小型ロケットエンジンで加速する。
 妖精の飛行と言うよりは、自分自身を『吹き飛ばす』かのように。
 だがその直線的な機動で十分。
 細やかな回避機動はできずとも、超高速で接近するニィの小さな身体を捕えるのは難しい。
「ボクを捉えるには遅すぎるね! さぁ、まだまだ加速するよーっ!」
 空中を蹴りながら駆け抜け、姿勢制御用のマシンベルトを、補助推進力として利用する。
 左右に避けて減速などしない、ただ全てを前に踏み込む
 ニィの戦術は至ってシンプル。
「近寄って、斬る!」
 敵の真正面、最も苛烈な砲火を前に進んで抜ける。
 ニィの目の前で主砲に光が満ち、エネルギーが充填されていく。
 フルチャージに拘らず、この至近距離で拡散させて撃つつもりだろう。
 5割程度の出力でもまともに受ければ脅威だ。
 だが発射態勢に入っているという事は、装甲やバリアフィールドで守られていないということ。
「撃たれる前に、ボクがぶった切ってやる! 『ズバズバの魔法』!」
 召喚するのは、ニィの100倍弱はあろうかという巨大な大剣。
 ニィは大黒柱の如き柄に手を添え、その剣を振り被って、思いっきり『振るう』。
「オブリビオン相手に容赦はしないよ! 主砲ごと真っ二つだー!!!」
 巨大な、圧倒的質量を持った剣が主砲を叩き割り、爆発を巻き起こす。
 周囲の燃料に引火し、連鎖的に爆発を引き起こしていった。

●艦橋内部
「エンペラーブースター損傷率70%超! 航行に甚大な支障をきたしています!」
「主砲右舷、左舷共に大破! 誘爆により更に被害拡大!」
「艦首主砲も破壊されました! 3基とも機能停止!」
 怒声めいた損傷報告と対応命令が艦橋で響き渡る。

「『猟兵』……真なる解放軍か。よもやここまでとは……」
 指揮官は飛び交う人間達を忌々しげに見やる。
 この戦艦どころか、艦載機に比しても小さな存在。
 だが決して敵を侮ったつもりはない。
 高く見積もったはずの戦力評価を、猟兵は更に超えていた。
「銀河帝国軍人の誇りに懸けて撤退などあり得ぬ。身命を賭して任務を完遂する!
 充填したエネルギーをコアマシンに回せ!」
 主砲に回すはずだった余剰エネルギーはまだ残っている。
「ワープドライブ起動準備だ、『解放軍』艦隊に突撃せよ!」
「ですがエンペラーズマインドの影響下での転移は……」
「この艦は長くは持たん。ならば連中の懐に喰らい付き、道連れにしてくれる」
「了解! ワープドライブ起動準備、銀河帝国に栄光あれ!」
 『銀河帝国に栄光あれ』と復唱され続け、艦内に響き渡る。
 その喝采めいた声には、恐怖の色は一切ない。
 銀河帝国の誇り――狂信故に、ディクタトル級巡洋戦艦の搭乗員は死兵と化した。

●『世界』の終焉
「敵艦の動きが怪しい……主砲は全部壊したのに、更にエネルギーを充填してる?」
 フォルセティと共に『空飛ぶ箒』の高機動力を活かし、厚い艦載機の守りを剥がしていたフィオリナが異変に気付く。
「もしかして、ワープする気かな?」
 超長距離砲と同等のエネルギーを使う代物の存在に、フォルセティは予想する。
 スラスターが損傷していようと、強引な短距離ワープならば可能かもしれない。
 それも、自滅前提のやけっぱちの特攻ならば。
「多分当たりね。強引に突破するよ。……『ペガサスの翼』!」
「了解だよ、急がないとね。『フォルマ・ベンダバール』」
 二人が『魔法の呪文』を唱えると、宇宙バイクが変形する。
 雷光と疾風が、宇宙空間に轟き吹き荒れた。
 二人は艦載機と残存兵装の対宙レーザーの弾幕を潜り抜ける。
 艦橋へ狙いを定めるのに、十分な距離に捉える。

「対象、ロックオン……『バベルの光』よ――」
「ここで沈めるよ。『カラミダド・メテオーロ』!」
 フィオリナは人工衛星の照準を固定した後、反転する。
 フォルセティもまた聖箒を向け、灼熱の巨大隕石を召喚する。
 艦橋の中で、指揮官らしき敵が槍を構えているのが超硬高密度ガラスから覗き、光が煌めく。
 自ら艦橋のガラスを吹き飛ばしながら、一条の閃光がフォルセティを狙う。
「おっとと! 危ない危ない。急いで離脱しないとね」
 『Flying Broom』のハンドルを切り、急速回避する。
 自らの攻撃に巻き込まれぬように。
 離脱した直後、フィオリナの高出力レーザーが艦橋を穿つ。
 中の指揮官がその攻撃を防ごうと、艦橋自体が耐えられない。
 ダメ押しとばかりに、巨大隕石が迫る。
 再度艦橋から伸びた閃光が隕石を砕くが砕けた隕石が散って雨となって降り注ぎ、
 更にもう一つ、二重召喚していた隕石がその影から現れ艦橋を穿つ。
 艦橋がへし折れ、爆発を巻き起こして宇宙の塵となった。

「どんなに強くたって、乗ってる船自体が壊れちゃえばどうしようもないよね」
「ええ。急いで離れましょう、じきに制御を失ったエネルギーが暴走するわ」
 残された船体部分には、ワープ用のエネルギーが蓄えられている。
 制御を失った今、行き場を失ったエネルギーは大爆発を起こすだろう。
 猟兵は轟沈確実とグリモアベースへ報告し、帰還する。

●解放の勝鬨
 銀河帝国の傑作兵器の一隻、『ディクタトル級巡洋戦艦』が巨大な爆発を巻き起こした。
 それは彼方で戦う『解放軍』に、猟兵の勝利を告げる祝砲の如く高らかに届いた。
 戦争はまだ続く。だが形勢は猟兵達の手によって『解放軍』の圧倒的優位。

「猟兵達が敵戦艦を落としたぞ! 彼らの勇姿に、想いに報いるのだ!」
『オオオォォォーッ!!』
 『解放軍』宇宙船に喝采が轟く。
 巡洋戦艦と戦う猟兵達の姿と通信は、宇宙船にも流れていた。
 猟兵達の想いは、言葉と行動で示された。
 この戦争は、猟兵だけのものでも、解放軍だけのものではない。
 共に戦っているのだ。彼らはこの世界とこの世界に暮らす者達の為に命懸けで。
 ならば、この世界に生きる自分達が奮迅せずして何とする。
 英雄に続けとばかりに勇ましい声が轟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月08日


挿絵イラスト