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あそびのじかん

#ダークセイヴァー #辺境伯の紋章

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#辺境伯の紋章


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 謁見室の豪奢な椅子に腰掛けた黒いドレス姿の領主は、対面に座る粗末な格好の男性に向けて穏やかなほほ笑みを浮かべた。
 男性の身体は震えていた。領主から視線を逸らし、落ち着かない様子で目を泳がせている。恐怖のあまり呼吸が激しくなる様相を、領主の女性は興味深げに観察していた。
「立派になったみたいじゃない。貴方の息子さん」
 家族の話題に初めて男性が顔を上げる。怯えるだけだった瞳にわずかな希望の色が浮かんだ。
「あ、あの子は」
「今では人類砦の住民を率いるリーダーですって。同じ道を歩むなんて、さすがは親子ね」
 男性がこの辺境伯の居城に連れて来られてからどれだけの時が経ったのか。共に連れ去られた仲間はひとりずつ消え、人類砦のリーダーを務めていた男性が最後まで残された。
 領主はそっとぬいぐるみを手に取る。継ぎ接ぎだらけの布地にハサミを入れた瞬間、はっと顔を上げて男性が椅子を蹴り倒した。
 腹を裂き、刃先でゆっくりと綿を引っ張り出す。男性にはそれが愛する息子を切り刻まれているように見えていた。どうにか救い出そうと必死に手を伸ばすが、見えない壁に阻まれているかのように領主には触れられなかった。
 小さく笑った領主がぬいぐるみの首を落とす。かつてのリーダーは慟哭し、その場に崩れ落ちた。
「悲しむことはないわ。貴方には他に大切な人がいる。ね、そうでしょう」
 別のぬいぐるみを手に、人形劇のように男性の前で動かす。いつしか涙は止まり、ぽかんとした表情で領主を見上げた。
 男性の頭からは命よりも大切な息子の記憶がすっぱりと抜け落ちていた。ただ自分が連れ去られた経緯だけを思い出し、再び恐怖に震えだした。
「貴方の奥様、すっかり立ち直ったみたいね。貴方より若い男と再婚して。嬉しい? それとも、悲しい?」
 領主の手に握られたハサミがぬいぐるみの腕を切断する。男性は悲鳴を上げながら錯乱した。
「次は、妹さんにしようかしら。その次はお兄さん。ふふ、家族が多くて良かったわね。たくさん、たくさん、貴方で遊べるものね」
 苦しみに悶える男性の姿を、狂喜と共に希望を断ち切る吸血姫は高らかに笑いながら見下ろしていた。

「呼び掛けに答えてくれてありがとう。みんなに向かってもらいたいのはダークセイヴァーよ」
 集まった猟兵に感謝を述べたキングアイ・ハーツ(いつか世界を統べる魔王・f33314)は目の前に迫った危機について話し始めた。
「辺境伯、と呼ばれるオブリビオンが人類砦を狙って侵攻を始めるわ。この場所が標的になるのはこれで二度目よ。それも、同じオブリビオンの吸血鬼に」
 人類砦は吸血鬼の支配から逃れた人類の生存圏である。良質な鉄が採掘できる鉄鉱山を中心に鉱夫とその家族が集まり、農業技術の向上と共に栄えてきた。一昔前はかなりの規模を誇った町だったが、それが災いしてオブリビオンに目を付けられた。
「このオブリビオンには狂喜と共に希望を断ち切る吸血姫、なんて通り名があるらしいわ。過去に人類砦を襲った吸血姫は、町を存続出来るだけの数を残して後の住民を自らの居城に連れ去ったの。痛めつけて、苦しみに悶える姿を見ることが目的だったみたいね」
 人々の苦悶と絶望をゆっくりと楽しんでいた吸血姫だが、そのストックがつい先日、尽きた。
 以前ほどの規模ではないにしろ、人類砦に住む人の数は増えている。頃合いと判断した吸血姫は新たな犠牲者の確保に乗り出した。
「ここだけじゃないわ。このオブリビオンは辺境にいくつもの候補地を残して、十分に育った頃を見計らって狩りに行くの。まさしく辺境伯ってわけね」
 端々に怒りをにじませながらキングアイは言葉を吐き捨てる。
 住民たちもただ指をくわえて滅びの時を待っているのではなく、襲撃に備えて砦の守りや武具の強化を行ってきた。しかしその努力が無に帰すほどに辺境伯の力は強大になっている。
「吸血姫は辺境伯の紋章と呼ばれる寄生虫型オブリビオンを身体に宿してるの。寄生してる相手に多大な力を与える厄介なシロモノよ」
 いつ、どのようにして辺境伯の紋章を手に入れたのかまではわかっていない。紋章を捕獲すればそのヒントが掴める可能性があるとキングアイは付け加えた。
「これ以上、この地をオブリビオンの驚異に晒し続けるわけにはいかないわ。辺境伯を倒すために、世界を平和に導くために、みんなの力を貸してほしいの」
 同じ志を持つ猟兵にもう一度感謝を伝え、人類砦へと送り出した。


百目
 百目(ひゃくめ)です。
 よろしくお願いします。

 世界はダークセイヴァー。
 軍勢を率いて人類砦に進行するオブリビオンを退治するシナリオとなります。

 第一章は戦いの準備です。
 有効な備えができれば第二章のプレイングにボーナスがつきます。

 第二章は集団的との戦いです。

 第三章では辺境伯『狂喜と共に希望を断ち切る吸血姫』との決戦です。
 辺境伯は辺境伯の紋章を身体のどこかに宿しています。
 うまく見つけて狙うことができればプレイングにボーナスがつきます。
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第1章 冒険 『辺境伯迎撃準備』

POW   :    襲撃を行うポイントに移動し、攻撃の為の準備を整える

SPD   :    進軍する辺境伯の偵察を行い、事前に可能な限り情報を得る

WIZ   :    進路上の村の村びとなど、戦場に巻き込まれそうな一般人の避難を行う

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニクロム・チタノ
希望を断つ吸血姫か、まさに圧政者許し置けないね
しかも例の紋章持ちだし厳しい戦いになりそうだね
戦う前に付近の村人を戦闘区域の外に避難させないと
ボクの真の名紅明日香の名を以てチタノヤタテを降臨させる
避難させるには過剰戦力だけどダークセイヴァーは物騒だからね、これぐらいが村人のみんなも安心できるよね
さあ盾の内側に、ここが終わったら他の村も避難させなきゃ
村人達を戦いに巻き込む訳にはいかないからね
チタノ村人達に反抗の加護と導きを



 人類砦を訪れたニクロム・チタノ(反抗者・f32208)は代表者と面会し、この地が再びオブリビオンの標的となっていることを伝えた。
 猟兵から告げられた凶報に住人たちは慌てふためく。当時を知る者は恐怖に怯え、泣き出す者もあった。
「以前のようにはならない。ううん、させないよ。そのためにボクが来たんだから」
 不安を和らげるようにニクロムは言葉を紡ぐ。決して口数が多い方ではないニクロムがどうにか住民をなだめようとする姿に、リーダーを務める男性は感謝を述べた。
「猟兵の方が一緒に戦ってくださるとは心強いです。私たちも、いつか来るこの日のために準備は怠らなかったつもりです」
 そうだろう、と人類砦の守りを担う警備兵たちに声をかける。
 共に戦わせてほしいと願う男性に対し、ニクロムは頭を振った。
「みんなには安全なところに、戦闘区域の外に避難してほしいんだ」
「足手まといであることはわかっています。ですが、軍勢とおっしゃられましたよね。あの女には敵わなくとも、その配下を引きつけるくらいのことは」
「その反抗心には共感するよ。でも、少し敵を甘く見てるかも」
 ニクロムの声色が低くなったことで男性の顔が強張る。
「そこまで言うなら、試してみる?」
 そっと胸元に手を当てる。身体に宿る守護竜の脈動を感じながら、自らに名付けられた本当の名前を口にした。
「ボクの名、紅明日香の名を以て」
 ニクロムの前に、彼女に宿った反抗の竜、チタノヤタテが降臨する。
 八つの蒼焔の盾と八つの超重力槍。攻めと守りを体現した守護竜の出現に住民たちは恐れおののいた。
「ボクに一太刀でも浴びせられたら、一緒に戦ってくれてもいいよ。さあ、まずは誰から? 何人でも、何度でも、挑戦を受けるよ」
 誘いに乗る者は無い。使命感に突き動かされていたリーダーの男性すらも、チタノヤタテを見つめたまま動けなくなっている。
 住民たちが説得に応じたと解釈したニクロムはチタノヤタテの霊を胸の内におさめた。
「この地を襲ったオブリビオンは以前とは比べ物にならないほど強大になってるんだ。たぶん、配下の軍勢も相応に。チタノの、ボクの盾の内側にいてもらえるなら、必ず守ってみせるよ」
 男性はうなずき、身を隠せる場所に避難することを約束した。
「ありがとう。後、この辺りで他に人の住んでる集落を教えてもらえるかな。一通り避難させておきたいから」
 事前の調査と間違いがないことを確認したニクロムは、時間を気にしながら別の居住区へと走り出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…此処は虐げられた人々が、もう一度立ち上がる為に築かれた希望よ

…この地に芽生えた希望を繋ぐ為にも、
これ以上の暴虐は赦さない。必ず守ってみせるわ

"影精霊装"に魔力を溜め全身を闇に紛れるオーラで防御して覆い、
小石のように存在感を消し気配を遮断して辺境伯軍の偵察を行うわ

…敵の進路、規模、種別、統率力
後は可能なら辺境伯の紋章を見る事が出来れば最上ね

"精霊石の耳飾り"に視力を強化する光の精霊を降霊し、
敵軍を暗視して過去の戦闘知識から敵の集団戦術を見切り、
可能なら辺境伯の紋章の位置を特定出来ないか試みる

必要な情報が揃うか第六感が危険を感じたらUC発動
最大で11Kmほど人類砦の方向に転移して離脱するわ



 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は夜の闇に紛れていた。
 人類砦に転移されたリーヴァルディはひとり辺境伯の居城へと向かっていた。彼女の身体は陽光を遮断する精霊衣によって闇に紛れ、微動だにしなければ肉眼では認識が困難なほどに闇と同化していた。
 ふと、足を止めたリーヴァルディが遠くに見える明かりに目を留める。それは彼女が転送された人類砦とは別に存在する人間の居住区であった。獣避けに焚かれた松明が揺らめいている程度の光源であったが、光の精霊を宿した精霊石の耳飾りを身に着けたリーヴァルディの目には見張りに立つ人々の輪郭まではっきりと捉えることができた。
「……この地に芽生えた希望を繋ぐ為にも、これ以上の暴虐は赦さない。必ず守ってみせるわ」
 決意を口にしたリーヴァルディが道のりを急ぐ。先ほどの町は、予知によればまだ辺境伯の標的とはされていない。しかし相手は狂喜と共に希望を断ち切るとまで称されるオブリビオンである。恐怖を忘れた頃に絶望を与えにやってくることは目に見えていた。
 陰鬱な夜を進んだ先に異形の集団を認めたリーヴァルディは、素早く物陰に身を隠してじっと息を潜めた。地面から足を浮かせて道中を進む軍勢は一見すると黒いローブを着込んだ女性のようであった。その周囲には青白い炎がぼんやりと浮かび上がっている。過去の経験からそれが亡霊の類であることに気づいた。
(「……憎悪の表情、そう思えば、今度は照れたような、はにかんだような。次は……悲しみ?」)
 亡霊たちの表情は目まぐるしく変わる。泣き、笑い、怒り、苦しむ。様々な感情が入り混じった姿にリーヴァルディはひとつの答えを見出した。
(「……そう、あれは一人じゃないのね。一つの身体に、いくつもの魂が入り混じったような。それで、あんなに不安定な状態に」)
 軍勢の奥に吸血姫の姿を捉える。黒いドレスを着た四つ腕の女性は、亡霊となってなお苦しみに悶える配下の様相に嘲笑を浮かべている。時おり何事かを呟いては亡霊を惑わせ、長い道のりの暇つぶしをしていた。
(「……あれはきっと、過去に犠牲になった人達。死してなお、オブリビオンに利用されて、弄ばれるなんて」)
 胸の内に湧き上がる感情の変化を押さえながら観察を続ける。吸血姫は黒いドレスグローブを身に着けているが、右手に比べて左手の甲の部分がわずかに膨らんでいる。貴族のように着飾った女性にしては不格好のように思えた。
 突如として吸血姫が足を止める。危険を察知したリーヴァルディは常夜の鍵を手に、自らを転移させて人類砦へと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウルル・マーナガルム
SPD判定
連携、アドリブ歓迎

ハティの子機を散開させて情報収集
ドローンも飛ばして上空から周辺地形を撮影
かき集めた観測結果をハティが精査して
狙撃に向いた高所や
跳弾を活かせそうな地形を幾つかピックアップ
SKOR越しに風景を見た時にマーカーが出るように設定しとくよ

じぃじが言ってた
トドメを刺す前に獲物を弄ぶのは三流のすることだって
『何故そのような三流の行動をとるのか。分かりますか? ウルル』
こんな時まで練習問題?
噛みつかれるのが怖いから
反撃が来るかどうか
突っついて確かめてるんじゃない?

先行偵察を任せた子機から合図が来た
『ではお望み通り噛みついて差し上げましょう』
オッケー、ハティ
ハンティングの時間だね



 世界全体に覆い被さる闇の中に無数のドローンが浮かぶ。
 ウルル・マーナガルム(グリムハンター・f33219)はヘッドマウントディスプレイに送られてくる地形データに目を通していた。鉄鉱山の麓に位置する人類砦は傾斜のある岩場に囲まれている。大小の石が転がる道中の足場は悪く、注意深く歩かなければつまずいて転落しかねない。特別に手をかけずとも、自然の環境が不審者や獣の侵入を防いでいた。
「ハティ、どう? どの辺りから狙撃するのがいいかな」
 相棒でありお目付け役でもある四脚機動型スポッターハウンドは観測ドローンからウルルと同じ情報を受け取っている。これを精査し、必要な情報をピックアップするのがハティの役割であった。
『狙撃手としては理想的な地形ですね。常に敵の頭上を捉えることが出来ることがいかに有利か、分かりますね、ウルル』
「それはもちろん。見上げるより見下ろすほうが圧倒的に楽だからね。でも」
 ウルルが気にしていたのは相手の特性であった。辺境伯の居城へと偵察に向かった猟兵の報告によれば配下のオブリビオンは亡霊であり、地面から浮かび上がって移動していたという。飛行する相手を狙う難しさは狙撃手としての経験と祖父の話から嫌というほど理解していた。
『先に敵の特徴を掴むことが出来たのは幸運でしたね。そう、地に足をつけて歩く生き物が相手であれば有利に働くこの足場も、亡霊の類が相手となれば私達の移動を阻害する障壁でしかありません。可能な限り移動せず留まって戦うことが理想。だからこそ、狙撃手が有利だと申し上げました』
 教育を施すような言い回しを、はいはい、とウルルは受け流した。
 それでも岩場となればひっそりと身を隠せるポイントは存在している。ハティの情報を元に、幾つかの場所にマーカーで目星をつけた。
「じぃじが言ってたよ。トドメを刺す前に獲物を弄ぶのは三流のすることだって」
『何故そのような三流の行動をとるのか。分かりますか? ウルル』
「こんな時まで練習問題? 噛みつかれるのが怖いから、反撃が来るかどうか突っついて確かめてるんじゃない?」
『ウルルらしい答えです。そしてあながち、間違ってもいません。痛めつけて喜ぶという悪癖は、優位な側に立っていなければ安心できないという不安の表れとも考えられます。これがオブリビオンにも当てはまるのかはわかりませんが』
 新たな情報を受け取ったハティが言葉を止める。
 ウルルのヘッドマウントディスプレイにも敵の出現を示す情報が流れた。
『良い機会です。実際に噛みついて、確かめて差し上げましょう』
「オッケー、ハティ。ハンティングの時間だね」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『残影』

POW   :    怨恨の炎
レベル×1個の【復讐に燃える炎の魂】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    同化への意思
【憐憫】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【異形の肉塊】から、高命中力の【絡みつく傷だらけの手】を飛ばす。
WIZ   :    潰えた希望の果て
【悲観に満ちた絶叫】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニクロム・チタノ
ついに来たね、今こそ反抗の時だよ!
この圧政を終らせるためまずはこの戦いを制するんだ
放って来る炎は護りの蒼焔で打ち消して敵には重力を掛けて動きを封じるよ!
みんな今だよ一気に攻め立てるんだ、戦いはまだ始まったばかりあんまりムチャしないようにね
このあとまだ強いヤツが控えているからね
これより反抗を開始する
どうか反抗の竜チタノの加護と導きを



 大群は音もなく現れた。
 辺境伯に弄ばれ殺された犠牲者の霊魂が、死後に寄せ集められオブリビオンとなった。彼らは生前の記憶の大部分を失っており、ただ失意と苦しみの中で息絶えたという残酷な事実だけが悪趣味に残されているばかりだった。
 目まぐるしく変わる感情に振り回されながらも残影は主の命令に従って人類の生存圏へと侵攻する。人類砦にはいつもと変わらぬ明かりが灯っているが、住民たちはニクロム・チタノ(反抗者・f32208)の説得を受けてすでに避難している。揺らめく松明の火は敵の目を欺くための仕掛けに過ぎなかった。
「ついに来たね。今こそ反抗の時だよ!」
 最前線に立ったニクロムは反抗の竜チタノに与えられた妖刀を手に共に戦う仲間を鼓舞する。
 思いがけない敵の出現に亡霊は動きを止める。猟兵の存在を知らされていない彼らにも目の前の少女が自分を滅ぼし得る存在であることが理解できていた。
 軍勢の奥に控える総大将は、真っ直ぐな目を向けるニクロムに冷笑を返した。
「笑っていられるのは今のうちだよ。ボク達は不当な圧政を終らせるため、この戦いを制するために来たんだ!」
 辺境伯は後方の残影に耳打ちする。猟兵こそが生前の仇だとの虚言が次々と伝達し、復讐心をあおった。
 亡霊たちは怨恨の炎を燃え上がらせ、呪言と共に解き放った。
「私が道を切り開く!」
 チタノヤタテの加護を宿したニクロムの前に蒼焔が浮かび上がる。
 八つの炎がそれぞれ八角形の頂点となり、青く燃え上がる守護竜の盾を形成した。
 恨みの言葉が炎に飲み込まれて消える。怒りに打ち震えた亡霊軍団は各々の怨念を重ね合わせ、怨嗟の声が漏れ出すほどの巨大な炎を生み出した。
 放たれた漆黒の炎を前に、ニクロムは一歩も引かずに迎え撃つ。
「恨みも、理不尽も、すべて断ち切る! それが反抗だよ!」
 新たな八つの炎が盾を一回り大きく拡張し、二重の防壁を作り上げた。
 怨恨が弾け、消し飛ぶ。攻勢が弱まった隙をついてニクロムは刀を振り下ろす。斬撃波を受けた残影の一角が重力に押し潰されて地面に突っ伏した。
「みんな、今だよ! 一気に攻め立てるんだ!」
 自らは防御とサポートに徹しながら仲間に呼びかける。
「けど、戦いはまだ始まったばかりだから。あんまりムチャしないようにね」
 視線を奥に向ける。軍勢を相手にニクロムが奮闘する姿を、吸血姫はただ楽しげに眺めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…貴方達のその無念、察するに余りある

…待っていて。今、貴方達を操る呪縛を断ち切ってあげるから

左眼の聖痕で周囲の霊魂を暗視して見切りUC発動
全身を霊魂のオーラで防御し空中機動の早業で敵陣に切り込み、
大鎌から全周囲に魂を縛る呪縛を切断する斬擊波を放ち、
敵陣をなぎ払い撃破した魂を左眼の聖痕に降霊して呪詛と魔力を溜めていくわ

…我は声無き声、音無き嘆きを聞き届けるもの
死してなお嘲弄されし霊達よ。いまだ魂が鎮まらぬならば我が声に応えよ

…今を生きる人々の為でも、この世界の為でもない
傷付けられた貴方達自身の尊厳を取り戻す為に、力を貸しなさい

…その無念、その絶望、その怨嗟
1つ余さず正しき者の元へ送り届けてあげる



 嘆きの声がダークセイヴァーの夜に響き渡る。
 生ある時には記憶と心を弄ばれ、死してなお眠りにつくことを許されずに偽りの復讐心に駆りたてられる。猟兵を相手に怨嗟の声を上げる残影の姿を、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は憐れみを持って見つめていた。
「……貴方達のその無念、察するに余りある」
 犠牲者は配下として囚われた者だけではない。左眼に刻まれた聖痕は未練を残して彷徨う数多の霊魂を認識していた。
 辺境伯の出現と時を同じくしてリーヴァルディの知覚する霊圧はより強まっていた。嘆き、怒り、恨み、悲しみ。決して届くことのない無力な怨讐をオブリビオンはただあざ笑いをもって受け止めている。
「……待っていて。今、貴方達を操る呪縛を断ち切ってあげるから」
 犠牲者の霊魂が救いを求めるように我も我もと聖痕へと集まる。無力であった魂はリーヴァルディの精神と同調し、彼女を守る光となった。
「……ええ、私達が、私達の力で、終わらせるのよ」
 地面から浮かび上がったリーヴァルディは精霊衣の裾をはためかせながら、一瞬のうちに敵陣との距離を詰める。飛び交う怨恨の炎はリーヴァルディに触れることすらできずに守護の光に阻まれて消えた。
 鎌の一振りで周囲の残影をなぎ払う。両断された寄せ集めの霊魂は形を保てなくなって分離した。
 そのままダークセイヴァーの夜を彩る眷属となるはずだった魂は、リーヴァルディのユーベルコードによって聖痕に捕らえられた。
「……我は声無き声、音無き嘆きを聞き届けるもの。死してなお嘲弄されし霊達よ。いまだ魂が鎮まらぬならば我が声に応えよ」
 怨念に汚れ漆黒に染め上げられた死者の霊魂が蒸気のように左眼から飛び出す。一塊になった邪念は聖痕に縛られながらも、手のひらを思わせる造形となって辺境伯に向かって伸びた。
 残影に阻まれ、諸悪の根源には届かない。かつての仲間を前に霊魂の手は為す術もなく拡散した。
「……今を生きる人々の為でも、この世界の為でもない。傷付けられた貴方達自身の尊厳を取り戻す為に、力を貸しなさい」
 怨念がリーヴァルディの身体を通して大鎌へと注がれる。死神の鎌は刃に悪霊を宿して禍々しく変形した。
「……その無念、その絶望、その怨嗟。余すことなく正しき者の元へ送り届けてあげる」
 襲い掛かる残影の群れを相手取り、報復の刃を振りかざした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

平良・荒野(サポート)
羅刹のクレリック × フォースナイト
年齢 16歳 男 (6月13日生まれ)
外見 174.4cm 漆黒の瞳 黒髪 白い肌
特徴 散歩好き 肌を露出しない 短髪 大切に育てられた 求道者
口調 未熟(僕、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)
あわてた時は 未達(俺、あなた、呼び捨て、か、だろ、かよ、~か?)

似非修験者に大事に育てられた山育ちの羅刹です。
似非修験者の息子なのでそれらしい格好をしていますが、似非なので、仏教・神道用語は使いません。
武器は錫杖です。
基本的に生命のあるすべてのものの善性を信じており、可能であるなら対話での解決を試みます。
無理ならPOWが唸ります。


雲母坂・絢瀬(サポート)
ややおっとりめ、マイペース系関西弁女子ね。
臨機応変な柔軟さがモットーなんよ。
スキルやUCは使い時にはしっかり使うていく方針。
【見切り】【残像】【敵を盾にする】【フェイント】で相手を撹乱しつつ、間合いを詰めてからの【なぎ払い】が基本戦術やろか。
後は相手を【体勢を崩す】【武器受け】からのUCとかやね。
ヒットアンドアウェイ大事やね。
たまには【挑発】してもええかも。
UCは基本的には多数相手に【剱神楽】、とどめには【天狼】、牽制や巨大な敵相手には【白灼の殲刃】、無力化狙う時は【三弁天】【鬼薊】ってとこやね。まあ柔軟に、やわ。
基本お任せのアドリブ大歓迎でよろしゅうお願いします。


架空・春沙(サポート)
『断罪します』
人狼の女性
ピンク掛かった銀髪と同色の狼耳・狼尻尾、緋色の瞳
スタイルが良い
服装:ぴっちりスーツ
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
罪有る者には「冷徹(私、あなた、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。

・性格
通常は明るく人懐っこい女性ですが
罪有る者に対しては冷徹に、処刑人として断罪しようとします

・戦闘
大鎌「断罪の緋鎌」を振るって戦います

ユーベルコードはどれでもいい感じで使います


あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「悪しき者に囚われ成仏できずに彷徨う霊ですか。悲しみの連鎖をどうにかして断ち切りたいものです」
 残影の群れを前にした平良・荒野(羅刹の修験者・f09467)は苦悶の表情を浮かべる被害者の末路に同情的な視線を向ける。
 似非とはいえ修験者の親に育てられた荒野は生きとし生ける者の善性を信じていた。ダークセイヴァーに恐怖と悲哀をもたらす辺境伯に対しても、一縷の望みをかけて彼らの解放を呼び掛けた。
「もう止めにしていただけませんか。たとえあなたにしかわからない事情があったとしても、彼らはもう十分に苦しみました。安息を与えるべきです」
 荒野の言葉に辺境伯は薄笑いを返す。こんなに楽しい遊びをなぜ止めなければならないのかと、逆に問い掛けられる始末だった。
 けしかけられた残影が怨嗟の声を上げながら荒野に飛び掛かる。加勢に入った架空・春沙(緋の断罪・f03663)は緋色の大鎌を振るい、迷える魂を刈り取った。
「説得はもう十分でしょう。残念ですがあのオブリビオンは狂喜と共に希望を断ち切るという通り名が示す通りの輩のようです」
 吸血姫の意のままに動く残影の群れはあっという間に猟兵たちを取り囲む。敵対しながらもその表情は様々で、憤怒を見せる者も居れば悲哀を浮かべる者もあった。
「本意では無いとしても、人に危害を加える悪霊をそのままにはしておけません。処刑人として、あなた達を断罪します」
 号令を受けた亡霊が一斉に襲い掛かる。
 荒野と春沙のふたりと背中合わせに立つ雲母坂・絢瀬(花散る刃・f23235)は妖魔殺しの刀、蘇芳一文字を鞘から引き抜いた。
「ひらり舞い散れ――」
 可憐な剣舞に割り込んできた残影の頭を斬り落とす。ひとつの魂が汚れから解き放たれ、ダークセイヴァーの夜に溶け込んだ。
 頭部を失った残影は不完全な身体のまま絢瀬の間合いに踏み込む。四肢を失いながらも動かず、自ら死を望むかのように斬り捨てられた。
 多くの残影が魅入られていた。一挙手一投足に目を奪われ、傍に寄りたいと感情を高ぶらせた。思いは支配と理性を超え、刀の届く範囲内に自ら身体を投げ出し、望まざる生を終えた。
「こうして斬り伏せることが供養になると信じるんや。倒すことでしか解放してやる手段が無いんやからね」
 残影がかつて犠牲となった住民たちの囚われた姿であることは他の猟兵より聞き及んでいる。そのことがより絢瀬の振るう刀の鋭さを増していた。
「恨みはみんなうちにぶつけたらええ。全力で受け止めたるからな」
 救いを求めるように、絶え間ない強襲が続く。一体一体を躊躇なく斬り裂き、辺境伯の呪縛から解放していった。
「残念ですが、それしかないみたいですね」
「昔の家族や仲間を傷付けさせることだけは絶対に止める。それがうちらに出来る唯一の情けや」
 頷いた荒野は錫杖を手に阿弥陀仏への祈りを捧げる。
「――オン・アミリタ・テイセイ・カラ・ウン」
 荒野のユーベルコード、他力本願は祈りの時間が長くなるほどその効果は増大する。最大限に力を蓄えるまでの間、他の猟兵が護衛に回った。
 猟兵の猛攻により敵は確実にその数を減らしていく。後衛に控える残影は仲間が次々と倒される姿に嘆き、悲観に満ちた絶叫を上げた。
「その苦しみも嘆きも今日で終わりです。私達が、絶ちます」
 悲痛な叫びに胸を押さえながらも、春沙は歯を食いしばって断罪の緋鎌を振るう。風を切る音と共に衝撃波が飛び、声を上げる群れを両断した。
「あれでもまだ笑ってられるんか。筋金入りの悪党やな」
 絢瀬の視線の先では吸血姫が高笑いを上げている。猟兵が苦痛を覚える叫びもオブリビオンにとっては心地の良いメロディに過ぎなかった。
 残りわずかとなった魂が寄り集まって巨大な悪霊となる。手あたり次第に炎を放ちながら暴れまわる残影の前に、祈りを終えた荒野が立ちはだかった。
「哀れな者たちに、せめて安らかな眠りを」
 御仏の加護を受けた荒野の錫杖が、現世への未練ごと残影を粉砕した。
 配下を失い、ただひとりとなった狂喜と共に希望を断ち切る吸血姫は、それでも笑みを絶やさず猟兵たちに向き直る。
「彷徨える魂の叫び、なかなか心地良かったわ。貴方達はどんなふうに泣いてくれるのかしらね」
 糸のほつれたぬいぐるみとハサミを手に、諸悪の根源がついに牙を剥いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『狂喜と共に希望を断ち切る吸血姫』

POW   :    ほら見て、あなたの大事な者が壊れてしまうわ
非戦闘行為に没頭している間、自身の【持つ人形やぬいぐるみと、それを切断する鋏】が【対象の大切な者を切り裂く幻覚を見せる間】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
SPD   :    ほら見て、あなたの大切な記憶が壊れてしまうわ
【言葉と共に動かす、人形やぬいぐるみ】から【対象の記憶にある、大切な者を想起する幻覚】を放ち、【徐々に大切な者の名前や容姿を忘れさせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    ほら、見て……
自身が戦闘不能となる事で、【対象の大切な人が死ぬ間際を幻覚で見せて】敵1体に大ダメージを与える。【蘇りながら、対象の幻覚の中でモノローグ】を語ると更にダメージ増。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠影山・弘美です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニクロム・チタノ
出たね圧政者、希望を弄ぶようなヤツは許さないよ
反抗の妖刀を解放する流血の超強化、血を流し痛みを感じても覚悟はある私は戦う
解放された反抗の妖刀は今までにない超重力を生み出す鋏を持ったその腕
今まで希望を絶ち切ってきたその腕に超重力を集中して動けなくしてあげる
それと血の目潰しもプレゼント、さあこれより反抗を開始する
どうか反抗の竜チタノの加護と導きを



「出たね圧政者。希望を弄ぶようなヤツは許さないよ!」
 配下を失ってなお余裕の笑みを絶やさない狂喜と共に希望を断ち切る吸血姫をニクロム・チタノ(反抗者・f32208)が迎え撃つ。
 少女の手に握られた反抗の妖刀をちらりと見た辺境伯は人形劇を演じるかのようにぬいぐるみを動かし始める。右手に握られたぬいぐるみは人間をデフォルメした姿をしているが、ニクロムの目にはそれが竜を象っているように映った。
「反抗。それがあなたを突き動かす原動力のようね。でもそれは、本当にあなた自身の意志なのかしら?」
 ニクロムの前に守護竜チタノヤタテが現れる。その傍らにはあの日の少女、反抗の竜チタノの加護を受ける前の自分自身がたたずんでいた。
 それは辺境伯が作り出した幻覚だった。しかしニクロムの心は当時の自分へと回帰し、まやかしから目を離せなくなっていた。
『反抗など、無意味だ』
 視界に映る守護竜がつぶやく。小さく押し殺した声は吸血姫が発したものだが、ニクロムにはそれがチタノヤタテの声に聞こえた。
「むい、み?」
『戦う必要は無い。抗う必要も無い。人と接することを恐れ、自らの殻に閉じこもっている姿、それが本当のお前自身だ。ちっぽけなまま生涯を閉じるがいい』
 反抗の印が埋め込まれる前の記憶が頭の中を巡る。ニクロムが今の姿となったきっかけが、大切な思い出が、改変され、薄れていく。
 顔をうつむかせたニクロムが片膝をつく。苦しげなうめき声とともに刀が手からこぼれ落ちた。
『お前の反抗は、失敗に終わった』
 吸血姫が勝ち誇った笑みを浮かべてハサミを伸ばす。
 ぬいぐるみの首が今にも切り落とされようかという瞬間、ニクロムの手がぴくりと動いた。ゆっくりと顔を上げ、身を震わせながら性悪な圧政者を睨み付ける。
「まだ、終わってない」
 拾い上げた反抗の妖刀を自分自身に突き刺す。引き抜くと同時に吹き出す血がニクロムに立ち上がる力を与えた。
「例えチタノの加護を失ったとしても、覚悟はある。私は戦う!」
 血液をまとった妖刀は流血の覚悟を受けて鈍い光を放つ。超重力によって地面に亀裂が走り、吸血姫の足を沈めた。
「これが猟兵……普通の人間と同じようには、いかないというわけね……」
 重力に耐える吸血姫に向けてニクロムが刀を一振りする。付着した血液が飛び散り、漆黒のドレスを赤く染めた。
「さあ、これより反抗を開始する」
 守護竜チタノヤタテが与えた反抗の力、それはすでにニクロム自身の力となっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウルル・マーナガルム
おっとと、狙撃ポイントに向かってたら出遅れちゃった

出てきたね、三流吸血姫!
威勢よく啖呵を切るけど
念の為射線が通るギリギリまで距離を取る
『相手は腐っても辺境伯、油断なさらずに』
SKOR越しの視界の端に
犬のぬいぐるみがチラチラ映る
あれは
昔、家で飼ってた、ボクの大事な
…なんだっけ?
『集中してください! ウルル!』
遠くから声が聞こえる
『…鞍なき馬に跨りて我らは…』
それは狙撃に集中する為のルーティン
ぼんやりしてても
染み付いた習慣が体を動かす
「…しかして剣を掲げ戦うべし!」
ぼやけた視界が焦点を結んで
狙うべきモノを捉えた
…ありがとね、ハティ

(昔飼っていた犬の名前も、新たな相棒の名前も、ハティ)



 アンサングの銃口が火を噴く。
 放たれた弾丸は前衛で戦う猟兵の合間を縫って辺境伯の肩を撃ち抜いた。
 瞬く間に傷口がふさがる。ウルル・マーナガルム(グリムハンター・f33219)は構わず次弾を発射した。
「倒れるまで、何発でも撃ち込んであげるよ三流吸血鬼!」
 二の腕、肘、手首と、確実に相手の腕を狙い撃つ。吸血姫の手には戦場には似つかわしくないぬいぐるみが握られている。ウルルの直感が、それが危険なものだと告げていた。
『相手は腐っても辺境伯、油断なさらずに』
 観測手のハティが注意を促す。ウルルは素直にうなずき、岩陰に身を隠した。
「あのぬいぐるみ、どう思う?」
『警戒するべきでしょう。何より人間の姿を模しているのが不気味です』
「何言ってるのハティ。あれは犬のぬいぐるみでしょ」
 岩場から身を乗り出して吸血姫の手元を見やる。
 それはハティの言う通り人間だった。吸血姫の魔力によって、ウルルだけが犬のぬいぐるみに見えていた。
「だってあれは、ボクの大事な」
 頭の中に在りし日の記憶が蘇る。ウルルと共に過ごした、ウルルにとって大切な家族。鳴き声が、毛並みが、手触りが。浮かんでは幻のようにぼやけ、消えていく。その名前は、名前は――。
「……なんだっけ?」
 抜け落ちた記憶の隙間を探るように手を伸ばす。ディスプレイに映し出される映像もウルルの視界には入らない。どうにかスナイパーライフルを手にしてはいるものの、引き金からは指が離れていた。
『集中してください! ウルル!』
 孤独の迷路に迷い込んだウルルの耳に、はるか彼方からの声が届く。
 声の主は思い出せない。ただその次に続く言葉を、はっきりと聞き取ることができた。
『鞍なき馬に跨りて我らは……』
 ウルルの身体が自然と狙撃体勢を取る。何千回、何万回と反復練習を行った動きを、頭ではなく身体が覚えていた。
「……しかして剣を掲げ戦うべし!」
 ぬいぐるみごと敵を撃ち抜く。弾倉が尽きるまで、一心不乱に撃ち続けた。
 空になったマガジンを地面に落とす。続けざまの射撃は辺境伯の回復力を上回り、二本の右腕がだらりと垂れ下がっていた。
『よくやりましたウルル。しかし意識を切らしたことは大きな失態でしたね』
「わかってるよ! いつも一言多いんだから!」
 いつもと変わらない苦言にいつもと同じ調子で返す。
 ありがとね、ハティ。これからもずっといっしょだよ。
 言葉に出せない思いを心の中だけでつぶやき、次のマガジンを装填した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

二條・心春(サポート)
『皆さんのお役に立てるよう、頑張ります!』
『助けに来ました。もう大丈夫ですよ』
UDCアースで学生をしながら猟兵の活動もしている、自分にちょっと自信がないけど心優しい普通の少女です。落ち着いて礼儀正しいですが、可愛いもの、特に動物を見るとテンションが上がります。基本的に誰にでも敬語で話します。
基本戦術としては、「UDC管理用タブレット端末」を使い、心を通わせたUDCの霊を召喚して「対UDC用量産型直槍」や「対UDC用特殊拳銃(試作型)」を使い一緒に戦います。また、一般人は優先して助けます。
戦闘以外では、タブレット端末を使って情報収集や探し物をしたり、聞き込みを行います。


七詩野・兵衛(サポート)
『アルダワ魔法学園応援団『轟嵐会』団長 七詩野兵衛である!』
アドリブや他の猟兵との連携と絡みは歓迎だ。

多少の怪我は厭わず積極的に行動する。
よほどの事情でやらなければいけない時以外は、
他の猟兵に迷惑をかける行為や、公序良俗に反する行動はしないぞ。

戦闘は応援団としてバーバリアンの力強さと、
スカイダンサーの身のこなしを駆使して応援するのだ。
我輩の「ダンス」と「パフォーマンス」で皆を「鼓舞」するのだッ!

応援する相手がいなければ仕方ない、自分で戦闘する。
後はおまかせだ。よろしくおねがいしよう!


源・ヨーコ(サポート)
『悪い子はお仕置きっすよー!』
人間のブレイズキャリバー × ビーストマスター
年齢 16歳 女
外見 158.4cm 金の瞳 ピンクの髪 色白の肌
特徴 胸が大きい 八重歯 ギャル ハイテンション! 運動が好き
口調 体育会系(自分、~先輩、~っす、~っすよ、~っすね、~っすか?)

悪いヤツは鉄拳制裁!
あまり難しいことは考えず、敵に向かって猪突猛進するタイプ。全ては拳で解決できると信じていて、とりあえず接近して殴るが基本戦術。
硬そうな相手にはカウンターでの一撃必殺を狙い、素早そうな相手には連撃と使い分けぐらいはする。

単独行動を好み、調査などは苦手。
基本は戦闘オンリーな感じですが、よろしくお願いします。



「敵の動きが止まった! ここが攻めどきじゃーッ!」
 陰鬱な空気を吹き飛ばすような大声量がダークセイヴァーの夜に響き渡る。
 全体を見渡しながら仁王立ちする七詩野・兵衛(空を舞う熱血応援団長・f08445)は割れんばかりの声援で仲間を鼓舞する。長ランを着込んだオールバックの男性が背を反らしながら声を張り上げる姿は、まさしく応援団長だった。
 辺境伯はひときわ目立つ兵衛に人形を向けようとするも、銃撃の負傷により思うように動かすことができない。不完全な幻覚に惑わされる兵衛ではなく、気合で振り払った。
「頼れるのは搦め手ばかりか! 腐っても伯爵を名乗るのであれば、真正面からぶつかって来い!」
「威勢だけはいいみたいね。でもお生憎様。私の左腕はまだ健在よ」
 一方の左手にハサミを、もう一方にぬいぐるみを掴む。
 新たな人形劇が開幕するよりも先に、二條・心春(UDC召喚士・f11004)がタブレット端末に触れた。
「力を貸して。私と一緒に戦ってほしいの」
 タブレット端末を介して蛇竜が具現化する。蛇のような体と翼を持つその竜は、心春が最も信頼するUDCであった。
「お願い。あのぬいぐるみとハサミを」
 みなまで言わずとも狙いは伝わっていた。蛇竜は長い尾でぬいぐるみとハサミを叩き落とし、敵の全身を締め上げる。
 締め付けは少しずつ強くなる。ぎしぎしと骨がきしむ痛みに耐えながらも、心春に視線を送る。
「こんな化け物を飼ってるなんて、貴方も同類かしらね」
「この子は私が猟兵になるきっかけをくれた子。あなたと一緒にしないでください」
「だから、貴女が化け物なんでしょう?」
 不敵な笑みを浮かべた辺境伯が竜の皮膚に牙を突き立てる。引き裂かれた肉から全身の血をすすられる前に蛇竜は拘束を解き、身を離した。
「なるほどね。悪くない味だわ。貴方の自慢の、お友達」
 挑発的に血の付いた唇を舐める。落ちたハサミを拾い上げようと身を屈めたところに、源・ヨーコ(鉄拳制裁・f13588)が飛び込んだ。
「悪い子はお仕置きっすよー!」
 反応が遅れたオブリビオンの顎を力いっぱい打ち上げる。
 衝撃を受けた吸血姫の身がのけ反る。ヨーコは片足立ちになって身体を回し、無防備な腹部に回し蹴りを食らわせた。
 くの字になった吸血姫が地面に両膝を付く。ヨーコは素早く足元のハサミを蹴り飛ばした。
「これまでやってきたことの報いっす。悪いやつを殴るのに遠慮はしないっすよ!」
 オブリビオンの身体が小刻みに震える。痛みや恐怖ではない。追い詰められていながらも楽しげな笑い声を漏らした。
「ここまで痛めつけられたのはこれが初めてよ。ふふ、でも残念ね。貴方達はここまで。大人しく引き下がるなら、無事に帰してあげるわ」
「見逃してもらう必要なんかありません。あなたの作り出す悲劇は、ここで終わりです!」
 心春の視線を受けた蛇竜が毒の息を吐き出す。
 全身を猛毒によって蝕まれ、吐血した吸血姫はうつ伏せに倒れた。
「これで――」
 ようやく終わった。そう思いかけた心春の目の前で蛇竜が力を失って落下する。声にならない悲鳴を上げた心春は強い精神的なショックを受けて崩れ落ちた。
『可哀想に。貴方が引けば、大切なお友達を失うこともなかったのに』
 何処からか聞こえる声がさらに心春を追い詰める。
 限界を超えるダメージを受けた吸血姫は意識を切らす前に罠を仕掛けた。大切な仲間が死ぬ間際の幻覚を見た心春の心は闇に閉ざされ、正気を失う。その苦しみが吸血姫に力を与え、再び立ち上がらせた。
『もう遅いわ。貴方のお友達は、もう二度と帰って来ないのよ』
 繰り返される責め苦は、兵衛の声援によってかき消された。
「ここが踏ん張りどころじゃーッ! 我輩の応援で、貴様らの気合と情熱を見せるがよい!」
 熱い言葉が光となって暗い心を照らし出す。幻覚を振り切った心春は自分の顔を覗き込む蛇竜の姿を捉えた。
「悪あがきしても無駄っす! 最後は自分達が勝つっすから!」
 勝つための努力、共に戦う仲間との友情、目前に迫った勝利。三位一体の力がヨーコの拳に宿る。
 渾身の力を込めて拳を振りかざす。立ち直りかけた吸血姫は蛇竜の尾に身体を貫かれてその場に縛り付けられた。
「我、神の名において正義を執行す。汝ら罪なし」
 正義の一撃は断末魔の叫びすら許さず、長い恐怖の時間を終わらせた。

 ひとつの悲劇は終わりを告げた。
 人類砦の住民たちは元通りの生活を取り戻した。
 だが、彼らの戦いも、猟兵たちの戦いもまだ終わらない。
 本当の平和がダークセイヴァーに訪れるまでは。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年06月19日


挿絵イラスト