大祓百鬼夜行㉕〜桜ひとひら
●UDCアース・東京スカイツリー
――愛しきUDCアース。
――あなたを思う、私の愛は揺るがない。
――だから、私は帰って来たのです。
かの存在は、紅を引いた唇に妖艶な笑みを浮かべると、一振りの懐刀を手に取った。
生と死を繋ぐもの。
その刃は鈍なれど、時間をかければ誰でも、何でも殺す事が出来る。
そして殺したものは過去となり、骸の海で永遠となるのだ。
――愛するUDCアース、あなたを永遠にしたい。
――あとひと刺しで、それが叶います。
――猟兵たちよ、止められますか?
舞い踊る桜を背に、かの存在は言葉を紡ぐ。
『電波塔の頂上で、あなたたちを待っています』
●グリモアベース
「いよいよ最後の決戦だね」
グリモア猟兵の少年は、赤の瞳を細め微笑んだ。
「大祓骸魂、漸くその姿を捉える事が出来たよ」
大祓百鬼夜行。カクリヨファンタズムとUDCアース、二つの世界の存亡をかけた戦いは、遂に決着の時を迎えようとしていた。
ここまで辿り着けたのも、あえて骸魂を喰らうという大きなリスクを背負ってくれた、妖怪達の気概があってこそだ。託された想いを胸に、猟兵達はいざ、決戦の地へ。
「ということで、お花見だよ!」
文月・統哉(着ぐるみ探偵・f08510)が差し出したのは、美味しそうなお団子と、水筒に入った温かいお茶。
決戦という言葉から大きくかけ離れたその品々に、困惑の表情を浮かべた者も少なくないだろう。
「にゃはは、これも作戦の内ってね。状況を簡単に説明するよ」
統哉は屈託のない笑顔をみせながら、机の上に件の塔の見取り図を広げていった。
「決戦の場はここ、UDCアースの中でもひときわ高くそびえる電波塔、東京スカイツリー。その最上部に設置された、『ゲイン塔』と呼ばれる場所だ」
幾つものアンテナが収納された、高さ約140mの巨大構造物。
今やその周囲は膨大な『虞』によって、まるでカクリヨファンタズムが如き空間へと変貌していた。
「俺が予知で見た大祓骸魂も、変化したこの空間の中にいるよ」
大祓骸魂は、今回の戦争に存在したあらゆる手段を使って襲いかかってくるという。
その攻撃手段の多彩さを見るだけでも、強敵であることは間違いないだろう。
そう、間違いないのだけれど……。
彼女の立つ戦場には、魂と肉体を癒やすという『幻朧桜』が咲いていた。
「彼女は幻朧桜を傷付けて、その力を弱めるつもりだろうね。刃を交え戦う事で、それを防ぐのも一つの手だ。でもそれ以外の戦い方も、俺達は知っているから」
――それは、桜の下で宴会をする事。
――周囲の激戦なんて一切気にせず、美しい桜を見上げ、今という時を楽しむ事。
そうして桜の力を強める事で、骸魂の力を大幅に抑える事が出来るのだ。
その効果はこれまでの戦いを通して実証もされており、相手が大祓骸魂が相手であろうとも、戦術として有効に使えるだろう。
状況によっては、直接刃を交えずとも、戦場に立つ彼女を消滅へと導く事だって不可能ではないのかもしれない。
「刃を交わすのも、杯を重ねるのも、その選択は戦場に立つ猟兵の皆次第だよ」
どちらの戦術を選んだとしても、彼女を倒し、二つの世界を救う事は可能だろう。
彼女にとっても、猟兵達にとっても、このゲイン塔が最後の戦場だ。
戦いの終わりに、彼女は何を思うのか。あなたは何を思うのか。
だけど忘れないで欲しい。彼女は大いなる邪神であり、骸魂の元凶そのものだ。
どれだけ言葉を交わしても、他の妖怪達の様に、彼女の存在を救出する事は出来ない。
それでも、だからこそ。
「共に桜を眺めてみるのも、悪くないかもしれないね」
統哉の手の中で、グリモアが淡い光を放つ。
宜しく頼むと微笑んで、統哉は猟兵達を、桜舞う戦場へと送り出した。
クロネコ
いよいよ最終戦、微力ながら、クロネコも頑張らせて頂きたく、どうぞよろしくお願いします。
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プレイングボーナス…… よその戦争を無視して宴会する!
プレイングボーナス…… 幻朧桜を傷つけないように戦う。
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このシナリオでのプレイングボーナスは、上記二つからお選びください。
●プレイングについて
宴会を楽しむ場合に限り、戦闘プレイングは一切必要ありません。
戦えずにいる大祓骸魂を、皆さんの宴会に巻き込む事も可能です。
飲酒に関しては、システム的な年齢が20歳以上のキャラクターさんが、ご自身のプレイングに記載した場合のみ、描写させて頂きます。
戦闘を選んだ場合の難易度は、『やや難』となります。
複数人で参加の場合は、【お相手のID】か【団体名】をプレイング冒頭にお書きください。
あまりに大人数だと、キャパシティの関係で対応できない場合もありますが、なるべく頑張れたらとは思っています。
●その他
一章構成の戦争シナリオです。早期完結の為、採用は少人数になるかと思います。出来るだけ頑張りますが、不採用が出てしまった場合はすみません。
プレイングの受付は、OP公開時から開始となります。締切に関しては、マスターページと、シナリオ上部の#タグでお知らせします。
最後の決戦、どうぞ宜しくお願いします。
第1章 ボス戦
『大祓骸魂』
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POW : 大祓百鬼夜行
【骸魂によってオブリビオン化した妖怪達】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[骸魂によってオブリビオン化した妖怪達]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : 生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:菱伊
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
遮るもの無く塔へと寄せる風が、無数の花びらを空へと運ぶ。
魂と肉体を癒やす『幻朧桜』、これはいつから此処にあるのだろう。
花は咲き花は散り、再び咲いてはまた散ってゆく。
美しくも儚きそのさまは、この幽世の地に、端から在ったかのように馴染む、けれど。
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
のうっこうー蒼ぅ汁ー♪
『魔王様、それは勘弁してください……』
宴会よーっ☆
『聞いてくださ……あ、まってまってアーッ』
妄想結界術と化術で舞い散る桜からシュー山(ロシアン)を作るわよー♪大祓骸魂ちゃんも誘ってシュー山攻略デス☆ハズレ引いて魂抜けちゃった子は当然特濃10倍蒼汁で気付けよ♪大祓百鬼夜行の皆も例外ではありません。
お?大祓骸魂ちゃん手ずから飲ませてもらうなんて幸せ者ねー♡
『なんでボスは平気なんだ!』
『魔王様、お慈悲お慈悲を!』
『もうダメだー!』
ではではお花見楽しみましょうね、大祓骸魂ちゃん
幻朧桜を見上げていた大祓骸魂は、その白き手に握る懐刀を木の幹へと押し当てた。
迷う事など何もない、このまま切ってしまえばいい、美しい姿のまま永遠に。
「汝が為したいように為すがよい」
少女の声に、大祓骸魂はその手を止める。
猟兵が来たのだろう、ならば戦わなくてはならない。
愛しき世界全てを、己と同じ永遠の過去とするために。
「のうっこうー蒼ぅ汁ー♪」
『魔王様、それは勘弁してください……』
白い肌にストロベリーブロンドの髪を靡かせて、エプロンドレス姿の少女が掲げるのは、ガラスのジョッキ。その中には青汁……いや、蒼い汁?
その謎の液体を、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)はぐびぐびぐびっと飲み干すと、ぷはぁーっと大きく息を吐いた。見るからにご満悦の表情だ。
『なんでボスは平気なんだ!』
『魔王様、どうかここは穏便に、穏便にぃー!』
しかしその周囲では、彼女の召喚した眷属だろうか、優に100を超える悪魔達が右往左往していた。グラスへ次々と注がれる蒼汁の脅威から、必死に逃れようとするかのように。
そして世界は『夜(デモン)』へと落ちる。
「宴会よーっ☆」
『聞いてくださ……あ、まってまってアーッ』
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)の赤の瞳がキラリと光り、舞い散る桜が瞬く間にシュークリームの群れとなって、悪魔達へと降り注ぐ。
阿鼻叫喚。逃げ惑う悪魔達は、その叫びも祈りも願いも空しく生き埋めに。そして彼らの上には、立派なシューの山が聳え立ったのだった。
あまりに混沌とした状況に、呆然自失の大祓骸魂。その手から懐刀が滑り落ち、地へと転がる。
「さあさあ遠慮なんて不要よ。大祓骸魂ちゃんも、百鬼夜行の妖怪達も、一緒にシュー山攻略に励むのデス☆」
さようならシリアス、こんにちはカオス。
有無を言わさぬ勢いで、各々の口へと放り込まれるシュークリームたち。
シュー皮のサクッとした食感と、甘く滑らかなクリームは……あれ?ちょっと美味しいかも?
しかし油断大敵、悪魔の一体が、突如もんどり打って転がった。まさかのロシアンルーレット。口から魂がはみ出しているのは、気のせいだと思いたい。
「はーい、ハズレ☆ そんな子には勿論これよ。気付けに一杯、特濃10倍蒼汁♪」
グラスに注がれる液体の色は、勿論『蒼』。しかしそれは、先程までのモノとは明らかに違っていた。ドロッとした物体は、液体というより、もはやゼリー状。グラスをひっくり返したところで零れる気配もないが、問答無用で倒れた悪魔の口へと流し込まれていく。哀れな悪魔に思わず合掌。
『……ごふっ!?』
あ、息を吹き返した。
なんということか、蒼汁は回復薬だったらしい。宇宙的狂気の味がするとか何とか。だからといって、飲んでみたいとは思わないけれど、思わないけれど。
「ふふふ、宴はまだまだ始まったばかり、気絶も狂気への逃走も許さない☆」
『魔王様、お慈悲お慈悲を!』
『もうダメだー!』
悪魔達の悲鳴を他所に、満面の笑顔で振り向くアリス。
「お花見、もっともっと楽しみましょうね、大祓骸魂ちゃん☆」
もしかしたら、『デス☆』の正しい表記はDeathだったのかもしれない。
大祓骸魂はそんな事を思いながら、一向に減る気配すらない、シューの山を見上げたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
未成年なので酒を酌み交わすって訳にはいかないが、お茶くらいなら良いだろう
これでも一応茶道を嗜む身、というわけで茶道具一式を持ち込んでその場で茶を点てる
それと、茶菓子代わりに団子とかどうだろう
……まさか、大祓骸魂と茶を飲む機会があろうとは。流石にこの戦いが始まった時には思ってもみなかったよ。いや、それは相手も同じ気持ちか?
正直、彼女が何故こういう事をするに至ったかとかを聞いてみたいと思わないでもない……が、聞いた所でどうしようもないから聞かない事にする
お茶を飲んで、ゆっくりと幻朧桜を見て、その感想をちょっと語る。今はそれで良いだろう
俺の故郷にも同じ桜が咲いている。――綺麗なもんだよな
満開の幻朧桜の下で、大祓骸魂は待っていた。
彼女の瞳が映すのは、美しく咲き誇る花たちか、儚く舞い散る花びらたちか、それとも……。
しかして、待ち人は来たる。
「……綺麗なもんだよな」
声の主は、軍服姿の青年だった。
その腰に在るのは二振りの刀、しかし一向に抜かれる気配はない。
「俺の故郷にも同じ桜が咲いている」
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は、大祓骸魂の隣に並び立つと、穏やかな声のままに言葉を続けた。
「未成年なので酒を酌み交わすって訳にはいかないが、お茶くらいなら」
その手に在るのは武器ではなく、盾でもなく、使い込まれた茶道具一式。
「茶菓子代わりに団子とかもどうだろう」
黒の瞳が、優しく弧を描く。
未来へ希望を繋ぐ猟兵と、永久の過去を願うオブリビオン。
それは水と油のように、交わる事のない存在だ。
それがまるで、デートの誘いであるかのように。
気軽に、ただ自然に、今という時だけが流れゆく。
『……ええ、お茶くらいなら』
大祓骸魂もまた艶やかに、赤の瞳を笑みに細めた。
湯の湧く音がする。
降り注ぐ桜の花の香りに、茶の爽やかな香りがほのかに混ざった。
差し出された茶の味は、ほろ苦く、甘い。
「まさか、大祓骸魂と茶を飲む機会があろうとは。流石にこの戦いが始まった時には思ってもみなかったよ」
それは彼女にとっても同じであった。
紅を引いた唇が、クスリと笑う。
――自分でも、何故笑ったのかは分からない。
――もしかすると、ただ、名を呼ばれたことが嬉しかったのかもしれない。
――名も、姿も、その全てを忘れ去られ、消えゆくしかなかったこの身。
――どれだけ愛を重ねても、どれだけ愛で満たしても。
――愛しきものたちの歩む未来に、私はいないのです。
――なればこそ骸の海で、永遠の過去を、共に。
『……綺麗、ですね』
赤の瞳に映るのは、どこまでも深い愛の色。
そこに何かを感じながらも、鏡介は何も聞かなかった。
同じ茶を飲み、同じ菓子を食べ、同じ桜を見上げ、ただゆっくりと頷く。
「……ああ、綺麗なもんだ」
大成功
🔵🔵🔵
豊原・フィリス
プレイングボーナス…… よその戦争を無視して宴会する!
よし〈美女騎士団出陣〉で、限界までたくさん呼び出して大宴会やるわよぉ
彼女たちは体育会系、その集団の宴会だもの
品行方正? な女騎士としてストレス溜まってるだろうし
羽目を外せば、それはそれはすごい事になるわよぉ
酔っぱらってひたすら食べる者
酔っぱらって騎士団の唄を歌う者
酔っぱらって芸と称して怪しげな踊りを踊る者
酔っぱらって大祓骸魂をナンパする者
はいはい、盛り上がるのはいいけどちゃんと『幻朧桜』も愛でるのよぉ
せっかくこんなに綺麗に咲いているんだから、ね
美しい桜が咲くのなら、美味しいお酒、美味しい料理、そして麗しき美女は欠かせない。
豊原・フィリス(セクシー系バーチャルキャラクター・f15722)は、その流れる様なオレンジの髪と、たわわな胸を惜しみなく揺らしながら、テンションMAXで宣言する。
「さあ、クッコロ騎士団出陣よ!」
『『『はい、フィリス様の御心のままに!』』』
天に描かれた魔法陣より現れたのは、美女、美女、美女。その数およそ90人。鋼鉄の鎧に身を包む者、軍服を纏う者。学生服、巫女服、シスター服。ドレスに、メイド服に、果ては水着やビキニアーマーまで。電子の海より生まれた彼女達の姿は様々なれど、その美しさと、主たるフィリスへの忠誠心は絶対だった。
「ふふふ、今日は無礼講よぉ。あなたたちも品行方正(?)な女騎士として、ストレス溜まってるでしょうしぃ、偶には羽目を外して、皆でお花見を楽しみましょぉ♪」
『『『はい、フィリス様の御心のままに♪』』』
そして始まる大宴会。
大歓声と共に、電子の海より次々と転送されてくるのは、美味しそうな料理、デザート、おつまみ、そして酒、酒、酒。
普段ならば騎士団として、ストイックなところもある彼女達だが、その反面、解放した時の爆発力と来たらもう……。いわゆる、体育会系のノリというやつである。
『一気飲み、いっきまぁーす!』
『この辛みと旨みのハーモニー、堪らないわぁ♪』
『あぁあ~、全てはぁ~、フィリス様のためにぃ♪ クッコロぉ、クッコロ・き・し・だぁーん♪』
『くっ……こうなれば仕方がないわね、踊るわよ、皆!』
見事なカオスだった。
そりゃぁもう、大祓骸魂だって、攻撃なんか忘れちゃうほどに。
『ふふふ、お嬢さん。一緒に一杯どうかしらぁ?』
『ずぅーるぅーいぃー! 私が最初にお酌するのぉ!』
「はいはい、盛り上がるのはいいけど、ちゃんと幻朧桜も愛でるのよぉ」
『『『はぁーい♪』』』
「あなたもよぉ、大祓骸魂」
フィリスの緑の瞳に映るのは、美しき桜の樹と、その下に立つ少女の姿。
急に名を呼ばれ、その赤の目を瞬かせつつ、大祓骸魂もまたフィリスを見遣る。
「せっかくこんなに綺麗に咲いているんだから、ね」
その笑みもまた、花のように。
大成功
🔵🔵🔵
御園・桜花
「私達の愛は相容れませんけれど…貴女のお陰で、今此処に幻朧桜があります」
「此の世は全て、骸の海に浮かぶ泡沫。貴女が此の世を愛するように、私達も此の世を愛して止みません。どうぞ此方へ、偉大な御方」
大祓骸魂を宴席へ招く
清酒と福茶
三色団子とみたらし団子
肉巻お握り串と五平餅
2人前準備
「お口に合えば良いのですが」
自分は清酒・みたらし・お握り選択
「貴女の為に、私の為に…今、此処に在る全てのものの為に」
UC「桜唄」
大祓骸魂も自分達も幻朧桜も、全ての健勝願い愛の歌、哀の歌、思い付く限り歌う
「私達は何時か皆骸の海へ還ります。故に私は…永久よりも此の一瞬を愛しております。此処でお会いしたことを、私は忘れません」
ひらり、はらり、桜が降る。
雨粒の様にいくつもの花びらを身に受けながら、幻朧桜を見上げる大祓骸魂。
その耳に優しく届くのは……唄?
振り向いた大祓骸魂の前には、もうひとりの桜。……いや、桜の精が立っていた。
桜色の髪を風に揺らし、御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は彼女へ問う。
「愛しているのですか?」
『ええ、愛しています』
艶やかに返る言葉は、深く、深く、重い。
揺るぎないその応えに、桜花もまた、新緑の瞳に優しき笑みを咲かせた。
「私達の愛は相容れませんけれど……貴女のお陰で、今此処に幻朧桜があります」
共に見上げる大樹は、彼女の言葉通りに、ただ、静かにそこにある。
「此の世は全て、骸の海に浮かぶ泡沫。貴女が此の世を愛するように、私達も此の世を愛して止みません」
桜花は、花嵐の中に立つ大祓骸魂へと、改めて向き直った。
「どうぞ此方へ、偉大な御方」
示された先には緋色の敷物と、黒漆の重箱。
それは、小さいながらも立派な宴席であった。
招かれるままに坐すれば、そっと出される蒔絵の盃。
明るく笑みを溢す桜花の手には、揃いの銚子も。
注がれた清酒に、ひらりふわりと花びらが浮かぶ。
口へ運べば、ほのかに桜の香りが広がった。
「お口に合えば良いのですが」
重箱の中には、三色団子とみたらし団子。
二段目には、肉巻お握り串と五平餅。
添えられたお茶に沈むのは、結び昆布と、赤い赤い梅干しがひとつ。
用意された盃は二人分、料理もまた二人分。
桜花と大祓骸魂、これは二人のための、宴席。
「貴女の為に、私の為に……今、此処に在る全てのものの為に」
美しい歌声が再び空へと広がった。
『桜唄』。込められた想いは、愛、哀、相、逢、あい、アイ。
大祓骸魂も自分達も幻朧桜も、その全ての健勝を願い、歌う。
「私達は何時か皆、骸の海へ還ります。故に私は……永久よりも此の一瞬を愛しております。此処でお会いしたことを、私は忘れません」
……忘れません。
●
――誰にも呼ばれる筈のないこの名を。
――誰の目にも触れる筈のないこの姿を。
――あなたたちは、覚えていてくれるのですか?
大祓骸魂の頬を、ひとひらの桜が伝い落ちた。
大成功
🔵🔵🔵
水鏡・多摘
⑥よその戦争を無視して宴会する!
ここ暫く花見を楽しむことはなかった。
今位は全力で宴会を楽しむとするかのう。
重箱に詰めた料理(カクリヨの妖怪謹製)と酒を携え幻朧桜の元へ。
しかし一人で宴というには少々寂しい。
ここは他の猟兵を誘うか紛れ込む形で楽しむとするかのう。
大祓骸魂もいっそ引き込んでやるか。…酒は吞めるのか知らぬが。
…長き龍生何度このような桜を見たか。
よき酒によき桜、そしてよい宴。
このような瞬間を再び味わえるとは悪霊の身には過ぎた幸福。
その身に宿す祝祭は慰めになっているのかを大祓骸魂に問うてみたり。
…こんな時を過ごす可能性もあっていいじゃろう。
※アドリブ絡み等お任せ
酔うまでは早いが酔い潰れない
パルピ・ペルポル
ここまできて宴会ねぇ。
ま、それでカタがつくならそれはそれってやつよね。
最後ということで、とびきり美味しい日本酒を調達してきたのよ。
それにあわせた肴もちゃんと用意したわよ。
徳用折り紙で作った折り鶴の背に乗って桜の近くでのんびり楽しみましょ。
ふふ、杯に映る桜も綺麗だわ(きゅっと飲み干し)
ああ、ひとつ大祓骸魂に聞いてみたいことがあったのだったわ。
貴方はこの幻朧桜が何故カクリヨで咲きほこるのか、その理由は知ってるのかしら。
1本ぐらいならたまたま流れ着いた可能性もあるのだけれど、これだけ咲いてると何者かの意図を感じるのよね。
まぁ単なる好奇心よ。聞いたところでどうこうするわけでもないし。
●
「ここ暫く花見を楽しむことはなかった。今位は全力で宴会を楽しむとするかのう」
髭をゆるりと動かして、鼻眼鏡越しに幻朧桜を見上げるのは、一柱の竜神。
大木に重ねるのは、水底へ沈んだ嘗ての村の面影か。
その手には、幽世の友に作って貰った料理の詰まった重箱と、酒。
「しかし、一人で宴というには少々寂しいのう」
ここは他の猟兵を誘うてみるか、いっそ大祓骸魂も引き込んでやるか。
「……酒は吞めるのか知らぬがのう」
ぐるり周囲を見渡せば、赤い折り鶴が一羽、ふわりふわりと飛んでいた。
●
「ここまできて宴会ねぇ。ま、それでカタがつくなら、それはそれってやつよね」
パルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)は、フェアリーの小さな体を折り鶴の背に乗せて、花咲く枝の間をふわりふわりと渡りゆく。
呆れたような言葉とは裏腹に、その顔には満面の笑みがあった。
春風のエプロンのポケットには、とびきり美味しい日本酒と、それにあわせた美味しい肴が入っているのだ。どうせなら特等席で楽しみたい。
見上げる桜もいいけれど、見下ろす花はどうだろう。弾む心のままに、高枝の周りをくるくるり。
丘を覆う桜色の絨毯を見下ろせば、一柱の竜神と目が合った。
●
盃を満たすのは、酒か、甘露か、命の水か。
「ではでは乾杯じゃ」
「かんぱい!」
『……乾杯』
頭上に広がる桜へと掲げられたのは、大きさの違う杯が三つ。
「……長き龍生、何度このような桜を見たろうか」
「ふふ、杯に映る桜も綺麗だわ」
酒に揺れる薄紅色も、一息にきゅっと飲み干せば、ふわりふわりパルピの頬も薄紅に。
「よき酒によき桜、そしてよい宴。このような瞬間を再び味わえるとは、悪霊の身には過ぎた幸福じゃ」
盃へと新たな酒を足しながら、多摘もまた、上機嫌で呵呵と笑う。
大祓骸魂もまた、勧められるままに杯を重ねつつ、ただ、不思議そうに二人を眺めていた。
「ねえ、大祓骸魂。貴方はこの幻朧桜が何故カクリヨで咲きほこるのか、その理由は知ってるのかしら?」
身の丈ほどもある銚子の柄に手を伸ばし、見た目にそぐわぬ怪力で新たな酒を注ぎながら、パルピが問う。
「ほら、1本ぐらいならたまたま流れ着いた可能性もあるのだけれど、これだけ咲いてると何者かの意図を感じるのよね」
思いもかけぬ問いに、赤の目を瞬かせる大祓骸魂。
「まぁ単なる好奇心よ。聞いたところでどうこうするわけでもないし」
パルピはそんな彼女に気安く笑いつつ、再び彼女の盃にも酒を満たした。
――戦うために待っていたのです。
――溢れる愛を、彼らの身にも刻む筈だったのです。
――どうしてここへ来る猟兵達は、誰一人戦おうとしないのか。
――ただ桜を眺め、共に酒を、茶を、酌み交わす。
――過去も未来も各々の胸に仕舞い、ただ、過ぎゆく今を楽しむように。
「パルピ・ルプル……ペル?」
早くも酔いが回ったか、いつになくもつれる舌に、苦戦する多摘。
「ふふ、パルピ・ルプル・ペルポルよ。パルピでいいって、早口言葉みたいでしょ?」
「いやはや、すまんのう。パルピ・ルプル・ペルポルじゃな。西洋の名には詳しくないが、明るく朗らかな響きじゃ」
「ありがと。多摘は、たつみ、たつ……なるほど、竜神らしいね」
「はっはっは、たしかにたしかに」
「そういえば、大祓って名前は、竜神親分さんが付けたんだったっけ?」
重箱の中の煮魚に箸を伸ばしながら、パルピが問う。
大祓骸玉の脳裏に浮かぶのは、金の髪に金の角、燃えるような瞳の少年の姿。
昨日より今日、今日より明日。真っ直ぐに未来へと駆ける少年の姿は、ただただ眩しくて。
大祓骸玉は、その赤の目を細めた。
「ああ、我も一つ問うてみたい。その身に宿す祝祭は、慰めになっているじゃろうか」
問う声と共に、幾つもの花びらが空を舞う。
大祓の名、成長を続ける祝祭。それは今も彼女を縛る。
――この名が無ければ誰にも、親分達にさえ気づかれぬままに、愛を遂げられたでしょうか。
――こうしてあなたたち猟兵と共に、桜を見上げる事も無いままに。
『……さて、どうなのでしょう』
紅の唇に笑みをうかべ、大祓骸玉は、手にした盃を口へと寄せた。
多摘もまた、桜を映した杯を口に。
大祓骸玉は、骸魂の元凶たる究極妖怪であるとともに、UDCアースの大いなる邪神でもある。多摘にとっては忌むべき、憎むべき存在だ。それでも。
「……そうじゃな。こんな時を過ごす可能性も、あっていいじゃろう」
見上げる桜は、ただ、美しく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
空葉・千種
アドリブ歓迎
アイシャちゃん(f19187)と一緒に
まさか、オブリビオン・フォーミュラとお花見することになるなんてねー…。
あ、お酒はまだ駄目なのでジュースでお願いします。
私もね、幸せな時間が永遠に続けばいいって思うことがあるから…
あなたの言うことを完全に否定することはできないかな
だって、グリモアは力の成り立ちも不完全で不明確だし…
いつみんなに会えなくなるかと思ったら怖くなることもある
でもね…骸の海が永遠っていう保証もないと思うの
それなら、私はまだアイシャちゃんたちと前に進みたいな
それはきっとこのUDCアースも同じ
…だから、もうしばらくだけこの世界を殺すのを待ってもらえないかな?
アイシャ・ラブラドライト
f16500ちーちゃんと
ちーちゃんとお花見するのは2回目ですね
こういった形でというのは予想外でしたが…
任務ではありますが、今この時を楽しみましょう
飲み物はちーちゃんと同じものを
お団子は一粒でお腹いっぱいになるから、分け合いっこしましょう
大祓骸魂さんもどうぞこちらへ
一緒にお花見しませんか?
私も、この時が永遠に続けばって思うことありますよ
その願いが叶うことはないけれど
その代わり、そう思う幸せな瞬間は何度も訪れました
大祓骸魂さんは、UDCアースのどこを愛していますか?
私は、愛する人の中に流れている時間を愛しく思うけれど…
お互いの考えが、例え理解し合えるものでなくても
一緒に見上げる桜は綺麗ですね
「ちーちゃんとお花見するのは2回目ですね。こういった形でというのは予想外でしたが」
フェアリーの小さな羽をはためかせ、アイシャ・ラブラドライト(煌めく風・f19187)は楽しそうに笑う。
「そうそう。まさか、オブリビオン・フォーミュラとお花見することになるなんてねー」
空葉・千種(新聞購読10社達成の改造人間・f16500)もまた、頬をゆるめてふわりと笑う。
『それは私も同じです。……まさか、あなたたち猟兵と共に、花見をすることになるなんて』
アイシャと千種、二人の様子を前にして、大祓骸魂もまた、その唇に笑みを浮かべた。
――戦うために待っていた筈なのに。
――溢れる愛を、彼らの身にも刻む筈だったのに。
――それでもここへ来る猟兵達は、誰ひとり戦おうとしない。
――サクラは益々咲き誇り、刃を振るう力など既に、この手に残っている筈もなく。
――これではもう、笑うしかない。
『そうですね、あなたたちの言う通りなのかもしれません』
――やがて消えゆくこの身なら、せめて今は、この時を。
花びらの絨毯の上には、大き目のレジャーシートが一枚。
その上にはお団子の並んだお皿と、カップがふたつに、小さなカップがもうひとつ。
「あ、お酒はまだ駄目なので、ジュースを持ってきました」
「ジュース、私もいただきますね。大祓骸魂さんはどうしますか?」
『ええ、私も同じもので』
ボトルからカップへと注げば、ふわり広がる果実の香り。
コクリと飲めば、軽やかな甘みとともに、爽やかな酸味が喉を潤す。
「それから、こちらのお団子もどうぞ、分け合いっこしましょう。ほら、私の大きさだと、一粒でお腹いっぱいになるから」
えいやっと串を外して、お団子を勧めながら、楽しそうに、嬉しそうに、零れるように咲く花たちのように、アイシャは笑った。
●
「私もね、幸せな時間が永遠に続けばいいって思うことがあるから。……あなたの言うことを完全に否定することはできないかな」
ぽつり零れた言葉に驚いて、大祓骸魂は千種へと視線を移す。
「だって、グリモアは力の成り立ちも不完全で不明確だし……。いつみんなに会えなくなるかと思ったら、怖くなることもある」
ある朝目覚めてみれば、世界も自分も変わっている。
そんな事はいつだって起こり得ることを、千種はその身で知っていた。
「私も、この時が永遠に続けばって思うことありますよ」
アイシャもまた頷く。
「その願いが叶うことはないけれど、その代わり、そう思う幸せな瞬間は何度も訪れました」
大好きな歌を歌うとき。大好きな人が喜んでくれたとき。たくさんの幸せは、今も胸の中に。
愛する人の中に流れている時間を、ただ、愛しく思う。
「でもね……骸の海が永遠っていう保証もないと思うの。それなら、私はまだアイシャちゃんたちと前に進みたいな」
振り向くアイシャと目が合って、少しだけ照れたようにはにかんで。それから。
大祓骸魂の赤の瞳をじっと見て、千種は言葉を続けた。
「それはきっとこのUDCアースも同じ。……だから、もうしばらくだけこの世界を殺すのを待ってもらえないかな?」
大祓骸魂は、眩しそうに目を細めた。
――愛するひとたちと共に前へ。
――あなたたちと一緒に未来へ。
――私にもそれが出来たなら、良かったのに。
「大祓骸魂さんは、UDCアースのどこを愛していますか?」
アイシャが問う。
『……すべてを、愛しています。あふれる愛も、渦巻く憎しみも。私には、そのすべてが愛おしいのです』
――だれにも見られることなく、誰にも聞かれることなく。
――ただ、愛だけが募るばかり。
未来へ希望を繋ぐ猟兵と、永久の過去を願ったオブリビオン。
お互いの考えは、理解し合えるものでなはないのかもしれない。
それでも今、一緒に見上げる桜は……。
「綺麗ですね」
「綺麗だね」
『ええ、とても綺麗です』
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月夜・玲
ええ!?
今日は宴会をしても良いのか!?
やったー、ちょっとお高い折り詰め買ってお花見だー!
あ、領収書はグリモアベースでお願いします
とりあえず桜の木の下に陣取って折り詰めを開封
おお…高級そうなお肉やら何やらが沢山…
あおあいて花見といえばお酒!
ふふん、クーラーボックスのキンキンに冷えたウィスキーとソーダや氷も準備OK
ロックやハイボールを作ってちびちび折り詰めをつつこう
ほらほら、大祓ちゃんも見てないでこっち寄った寄った
君じゃない君とは何度かやり合ったけど、偶にはこうして盃を交わそうじゃない
嫌いな食べ物はある?
無いなら好きに取ってよ
どうせ経費だし!
追加でデリバリーが欲しいなら言ってよ!
どうせ経費だし!?
リオン・リエーブル
連携アドリブ大歓迎
花見の支度をせよ!
という訳で、お花見の準備だよ!
中華名菜色々準備
酢豚に団子に鳳凰前菜
お酒も各種ご用意
足りない手はゴーレムさんと…
ほら大祓骸魂!
ぼさっとしてないで手伝う手伝う!
丸い回転テーブルをてしてし叩いて
大祓骸魂もさあ
UDCアースを愛するのはいいけど
そればっかっていうのはダメだよね
何でもバランス良く愛さなきゃ
盲目的な愛ってのは身を滅ぼすよー
なんて話をしながら桜の下で宴会開始!
皆で乾杯しよう!
永遠になるのは素敵だけど
永遠に変わらないのってつまんないよー
エルフ的にはよく知ってるんだ
ま、もう届かないだろうけど
せめてこの桜の下では楽しくやろうよ大祓骸魂ともさ
それでこそ幻朧桜だからね
●
少し時は遡り、グリモアベース。
「ええ!? 今日は宴会をしても良いのか!?」
グリモア猟兵の説明に、誰より歓喜の声を上げたのは、月夜・玲(頂の探究者・f01605)だった。
「やったー、ちょっとお高い折り詰め買ってお花見だー!」
行先はUDCアース、しかも大都会のど真ん中だ。美味しい食べ物を調達するには好都合。
「あまり時間が無い? なんのなんの、グリモア使ってちゃちゃっと寄り道するだけだって♪」
System[Magic.Mirror]を使い調べてみれば、案の定、いい感じのお店を発見!
「あ、領収書はグリモアベース宛でいいんだよね?」
なんていう言葉を置き土産に、自由気ままに足取り軽く。いざ、虞渦巻くUDCアースへ!
……領収書、大丈夫かな。大丈夫だよね。たぶん、おそらく?
●
一方塔の上では、花見の準備が着々と進んでいた。
流れる様な緑の髪に、長い耳。特設の厨房に立つのは、美しきエルフの青年だ。
リオン・リエーブル(おとぼけ錬金術師・f21392)がその手にふるうのは、武器ではなく、使い込まれた中華鍋。
酢豚に団子に鳳凰前菜。並べたお皿へ次々と、美味しそうな料理が彩り豊かに盛られてゆく。
そんなリオンの周囲で、いそいそと手伝っているのは、その数90ものゴーレムさんたち。
テーブルの設置に、お皿の準備、食材の下拵えや、宴会芸の練習もお任せあれ!
わいわいがやがや、賑やかに。それでも足りない手を補うのは……。
「ほら大祓骸魂! ぼさっとしてないで手伝う手伝う!」
丸い回転テーブルをてしてし叩くリオン。
有無を言わさぬ勢いに、目を丸くする大祓骸魂。
「その懐刀、トマトぐらいは切れるよね?」
言われるままにトマトを切り、テーブルを拭き、グラスを並べ、ゴーレムさん達と一緒に手品の練習まで。
このひとすごいよ、オブリビオン・フォーミュラを顎で使ってるよ!
「だってほら、働かざる者食うべからず!」
ばっちりカメラ目線でポーズも決めて、なかなかの大物です。
「大祓骸魂もさあ、UDCアースを愛するのはいいけど、そればっかっていうのはダメだよね」
切れぬトマトに悪戦苦闘する大祓骸魂の隣で、胡瓜の甘酢漬けを器用に飾り斬りしながら、ぽつり呟くリオン。
「料理と同じ、何でもバランス良く愛さなきゃ。盲目的な愛ってのは身を滅ぼすよー」
振り向く大祓骸魂に、胡瓜の端っこをすすめながら、お道化たように笑ってみせた。
甘酢漬けの酸味はきつ過ぎず、さりとて甘すぎず、ちょうどよい塩梅に。
「ふふふ、やってるねやってるね♪」
ご馳走の香りに誘われて、ひょいと顔を出す月夜・玲。彼女の手にもまた、ご馳走の気配が。
高級料亭で手に入れてきた、いくつもの折り詰めたちは、まるで食の宝箱。
期待の目を向けるゴーレムたちのその前で、フタを開ければ……。
高級そうなお肉やら何やらが沢山! たくさん!!
――わーい!!!
ゴーレムたちの歓声に、調達してきた玲の鼻も高々だ。
「ふふん♪ でも驚くのはまだ早い、こんなのもあるからね!」
掲げるのは、超高級ウイスキーのボトル。
クーラーボックスの中には、ソーダにジュース、透き通った氷の塊も。
準備はOK、いよいよ宴の始まりだよ!
●
「ほらほら、大祓ちゃんも見てないでこっち寄った寄った」
誘う玲の手には、持参のウイスキーで作ったロックとハイボール。
「君じゃない君とは何度かやり合ったけど、偶にはこうして盃を交わそうじゃない」
どれがいいかと掲げられた酒に、大祓骸魂はしばし考えた後、ロックのグラスを手に取った。
「いいね、キミも行ける口?」
リオンもグラスを手に取って。
「ほら、皆で乾杯しよう。……乾杯!」
「乾杯♪」
――かんぱいー!!!!
『……乾杯』
重なる声と、グラスと、笑顔と、花と。宴は楽しく賑やかに。
酒が進めば食も進むというもので。
「嫌いな食べ物はある?」
『……いえ、特には』
「無いなら好きに取ってよ、遠慮なんて要らないからさ」
どうせ経費だからと、ニヤリ笑う玲。
「だったらこれも、食べてみない?」
リオンのお勧めは鳳凰前菜。前菜で作られた鳳凰が、皿の中で見事に羽ばたいている。
「これ、全部食べ物なの? 凄いね、勿体なくて食べらんな……いや、食べるけど!」
「おにーさん、こう見えて料理はちょっと得意でね♪ 遠慮なく食べて、そのために作ったんだから」
「やったー! では、早速……」
見た目だけでなく味もバッチリ美味しくて、益々酒が進むというものだ。
空いた杯には新しい酒を。
今度はカクテルなんてどうだろう。味も色も、変化を楽しめる。
「永遠になるのは素敵だけど、永遠に変わらないのってつまんないよー」
エルフ的にはよく知ってると、捉えどころのない笑顔を浮かべるリオン。
もう届かないのだとしても、せめてこの桜の下では楽しく、キミとも。
「それでこそ幻朧桜だからね」
満開の桜を、花の嵐が吹き抜ける。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雨咲・ケイ
【着ぐるみ】でボストンテリアの
着ぐるみを着用して参加。
今年はちょっと忙しくて、桜を楽しむ
時間が全くありませんでしたからね。
まさか、こんな場所で桜を楽しめるなんて
思ってもいませんでした。
本当にいい眺めですねえ……。
(周囲の激戦が見えていないかのように)
先日、大量に購入した駄菓子を広げましょう。
興が乗ってきたらアコースティックギターを
奏でます。
折角ですから桜をバックに写真を撮りましょう。
こんなに楽しい花見は久方ぶりです。
……果たしてこの幻朧桜は永遠に
咲き続けるのでしょうか?
それとも、いずれ終わりがくるのでしょうか?
アドリブ等歓迎です。
木元・祭莉
【着ぐるみ】チームでお花見するよー。
愛用のヒマワリを着込んで登場だー。
桜の季節は終わったのに、サクミラのお花が届いたのかな?
ん、このあたりが邪魔にならなくていいかなー?
荷車から花茣蓙を引っ張り出し、広げて。
統哉兄ちゃんから預かった、お団子を並べてっと。
ふー、お茶が美味しいね。
今回の戦争さあ、慌ただしかったし。
バタバタしてたから、のんびりするのもいいね♪
お菓子もオイシイ、音楽も風流。
じゃあ、おいらも一指し舞わせていただきまっす♪
(くるりと回って舞妓さん)
桜がね。
抉るようなイタイ愛をね、ふわふわにしていくよ。
永遠はね。
ホントにしちゃ、ダメなんだよ。
永遠は、心の中だけにしといてさ。
骸の海へ還りなよ?
「本当にいい眺めですねえ……」
ひらりふわり舞う桜を目で追いながら感嘆の声を上げたのは、ボストンテリアの着ぐるみだった。
そのもふもふの腕に大量の駄菓子を抱えて、雨咲・ケイ(人間の宿星武侠・f00882)は、頭上に広がる満開の桜を改めて見上げる。
「今年はちょっと忙しくて、桜を楽しむ時間が全くありませんでしたからね。まさか、こんな場所で桜を楽しめるなんて思ってもいませんでした」
その隣には、ヒマワリの着ぐるみも。
「桜の季節は終わったのに、サクミラのお花が届いたのかな?」
花嵐の中でジャンプすれば、黄色の花びらも楽し気に揺れる。
「ん、このあたりが邪魔にならなくていいかなー?」
木元・祭莉(マイペースぶらざー・f16554)は、塔の上まで引いてきた荷車から、 花茣蓙を引っ張り出すと、桜色の絨毯の上に広げた。
その上に並べるのは、預かってきたお団子と、お茶。
「戦わなくとも大祓骸魂を消滅できるのは大きいですね」
桜と共にふわり舞うのは、青い髪のフェアリー。
「ならば、皆さんと花見と洒落込みましょう。このパンダ着ぐるみで!」
じゃじゃーん!! そんな効果音と共に、パティが取り出したのは、フェアリーサイズのパンダの着ぐるみ。いそいそと着込んでみれば、まさに小パンダ! とてとて動く様が実に可愛い。
「あいやー、日本のお花見ね。めいふぁんも参加するよ。……って着ぐるみ必須!?」
仲間の後を追って来て見れば、それぞ正装と言わんばかりに並ぶ着ぐるみたち。
しかしめいふぁん、桃まんはいっぱい用意してきたけれど、着ぐるみは流石に。
「用意してな……なんでパンダあるのっ!?」
そっと置かれたパンダの着ぐるみに、愕然とするめいふぁん。
そう、着ぐるみはいつでもあなたの傍に。なるほどこれは、世界の理というやつか。
仕方ないので着てみながらも、湧き上がる疑問。
「めいふぁんとパンダ関係なくない?……あと、アルファくん着ぐるみ着てないのずるくない?」
隣りを見れば、祭莉の広げた花茣蓙に、焼き鳥とか唐揚げとかピザとかを広げるトラ模様のケットシーが一匹。
「すまない、着ぐるみは持っていないんだよ。もふもふが反発するからね」
しかしお花見といえば、もふもふは欠かせない。
「だからこの、天然もふもふで我慢してね?」
「もふもふが反発する……なるほど?」
納得したような、してないような?
まあそれはさておいて、宴会だよ宴会!
戦争なんてどこ吹く風、こうして着ぐるみ達の宴会が始まったのだった。
――後半へ、つづく!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルファ・オメガ
【着ぐるみ】
プレボ:よその戦争を無視して宴会する!
がう、お花見に天然もふもふが足りないと聞いて
すまない、着ぐるみは持っていないんだよ
お花見だねー
ケイが駄菓子持ってきてくれるなら
ボクは焼き鳥とか唐揚げとかピザとか買っていくねー
お酒ダメゼッタイ(ジュースとか牛乳とかがずらりと並ぶ)
祭莉、茣蓙ありがとー!
それじゃ乾杯だよー!
がうーっ、この一杯のために生きてる気がする!(牛乳です)
さー食べるぞー!
ケイのチョイスは渋いよね美味しい(もぐもぐ
焼き鳥食べる?ピザと見せかけてハンバーグもあるよ!
美芳は……桃まん頬張りすぎだね
戦闘は完全にぽいっ
食べること飲むことも立派な供養の儀式なのさ
なので全力で食べるぞー!
秦・美芳
【着ぐるみ】
プレボ:よその戦争を無視して宴会する!
あいやー
日本のお花見ね
めいふぁんも参加するよ
って着ぐるみ必須!?
用意してな……なんでパンダあるのっ!?
(パンダ着ぐるみ着用)
めいふぁんとパンダ関係なくない?
あと、アルファくん着ぐるみ来てないのずるくない?
もふもふが反発する…なるほど?
気を取り直して宴会だよ宴会
めいふぁん、桃まんいっぱい持ってきたよ
桃まん美味しいからいくらでも食べられるね(もっきゅもっきゅ
でも桃まんばっかり食べてたらダメね
ケイくんちゃんの駄菓子を食べながら
ケイくんちゃんと祭莉くんの舞を見るね
わー、すごいすごーい
めいふぁん、型しかできないから
食べる専門……ダメ?(もっきゅもっきゅ
パティ・チャン
着ぐるみ】
※よその戦争を無視して宴会する!
戦わなくとも大祓骸魂を消滅できるのは大きいですね。
ならば!
パンダぐるみ着込んで、皆さんと花見と洒落込みましょう!
カリンバ持ち出して【楽器演奏、歌唱】の出番で、皆さんの歌や舞踊にあわせますよー
(いままで出番無かった分、一生懸命に)
ふぅ、これで大祓百鬼夜行も締めくくり、になれば良いのですが……。
食べ物ですかー。私にとってはサイズがあわないのが、申し訳無く。
(と、サイコキネシスの手で、洋菓子を持ち込んで、飲み物の給仕を)
パンダぐるみのお仲間発見!>美芳さん
(そして年長という事もあって、先輩風を吹かす)
今はこの時を楽しみましょう
※アドリブは歓迎
●
ひらりふわり、桜の花舞う戦場には、ふわふわもこもこ足取り軽く、宴会の準備を進める着ぐるみ達と、その様子をじっと窺う影一つ。
幻朧桜の大木の陰からそっと顔を出し、大祓骸魂は彼らを見つめていた。
――じぃぃぃぃーっ。
見てるよ、めっちゃ見てるよ!!
その圧を、感じているのかいないのか、ボストンテリアな着ぐるみのケイが、もふもふの手をポンと打った。
「なるほど。着ぐるみは元々、UDCアースの文化でしたね。UDCアースをこよなく愛する大祓骸魂さんならば、気になるのも仕方ありませんね」
「ぶんか?」
パンダ着ぐるみな秦・美芳(萌葱色の降魔拳伝承者・f32771)が首を傾げる。
「火山がどーん!」
「それは噴火」
「まさか炎が!」
「それは引火」
「石けんを作る……」
「それはケン化」
『お花、差し上げましょうか?』
「それは献花……って、まさかの!」
思わぬ方向からのボケに、ツッコミ役のアルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)の目もまんまるに。
だってほら、皆楽しそうだったから。
大祓骸魂は、再び木の陰へ。
だってほら、引き籠り生活、長かったから。
こじらせたコミュ障は伊達じゃない。溢れる愛のままに懐刀を刺す事は出来ても、穏やかに声をかけるなんて、そんなそんな。
「こっちに来ればいいのに。いっしょにお花見しようよ!」
祭莉が、ヒマワリの様に元気な笑顔で声を掛ける。
「桜がね。抉るようなイタイ愛だって、ふわふわにしてくれるから」
今、イタイって言った。いや、事実だけど。
「そうですよ、今はこの時を楽しみましょう」
これで大祓百鬼夜行も締めくくりなのだと改めて思いつつ、子パンダなパティ・チャン(月下の妖精騎士・f12424)も、笑顔で手招きをしたのだった。
●
「それじゃ乾杯だよー!」
牛乳の入ったコップを天に掲げるアルファに続き、祭莉は緑茶を、美芳はウーロン茶を、パティは紅茶のカップを手に取って。大祓骸魂の手にもまた、甘酒が。
ケイは……。
「(飲物なら、カレーも用意するべきだったでしょうか)」
カレーは飲物……いやいや、そこは普通にお水にしておこうね!
掲げた杯の中身はそれぞれに、声を合わせ。
「「「「「『乾杯!』」」」」」
「がうーっ、この一杯のために生きてる気がする!」
がぶがぶがぶっと杯を呷り、ぷはーっと息を吐くアルファ。
体中に染みわたる爽快さは、砂漠の乾いた大地に染み入る雨のよう。
「アルさん、お口に髭が」
お口の周りに付いた牛乳が、白く立派なお髭を作っているのもまたご愛敬。
ふわりふわりと、パティがサイコキネシスで運んでくれたナプキンを、有難く受け取ってふきふきする。
「ふー、お茶が美味しいね」
「うん、美味しいね」
祭莉の声に、美芳もまた頷いて。
「良かったらこれもどうぞ、先日、駄菓子を大量に購入しまして」
「ありがとー。ケイのチョイスは渋いよね、美味しい」
ケイが駄菓子を広げれば、待ってましたと、文字通りに食いつくアルファ。
もぐもぐもぐ。
「焼き鳥食べる? ピザと見せかけてハンバーグもあるよ!」
「ハンバーグだったのですね!?」
『!?』
驚くパティと、大祓骸魂。
「めいふぁんほ、ふぉふぉまんいっふぁいほっれきらよ(めいふぁんほも、桃まんいっぱい持ってきたよ)」
「美芳は……桃まん頬張りすぎだね」
「桃まん美味しいから、いくらでも食べられるね」
呆れた様なアルファの声にも、満面の笑みを返す美芳。
ほかほかの桃まんを山と積みながら、再びもっきゅもっきゅと食べ始め。
「でも桃まんばっかり食べてたらダメね。他も食べなきゃ勿体ない」
好奇心に目を輝かせうきうきと、美芳もまた、他の食べ物たちへと手を伸ばす。
そんな光景を眺めながら、祭莉もまた、のんびりお茶をすすっていた。
「今回の戦争さあ、慌ただしかったし。バタバタしてたから、のんびりするのもいいね♪」
舞い散る桜と共に、流れる時も、ゆるりゆるり。
●
「そろそろでしょうか」
興が乗ってきたのか、ケイの手にはアコースティックギター。
――ぽろろろろん♪
着ぐるみの手で器用にかき鳴らす。
そこに重なるカリンバの音。
小さな体で一生懸命に演奏するのはパティだ。
その素朴なでありながらも神秘的な響きが、ふわり花びらを揺らす。
お菓子もオイシイ、音楽も風流。
ならば、祭莉も黙ってはいられない。
「じゃあ、おいらも一指し舞わせていただきまっす♪」
くるりと回れば、ヒマワリの着ぐるみも舞妓さん姿に。
「ご覧じ入り奉り候へ♪」
いつもなら攻撃に使う舞扇も、今日は皆の笑顔を願って、桜と共に宙を舞う。
「わー、すごいすごーい」
美芳も思わす歓声を上げた。
「めいふぁん、型しかできないから食べる専門……ダメ?」
「食べること飲むことも立派な供養の儀式なのさ。なので全力で食べるぞー!」
意気込みも新たに、アルファもまた食べ始める。
「こんなに楽しい花見は久方ぶりです。折角ですから桜をバックに写真を撮りましょう」
ケイの提案には、勿論皆も頷いて。
ボストンテリアに、舞妓さんなヒマワリと。
小さなパンダに、大きなパンダ。
そして天然もふもふなケットシーに、大祓骸魂も。
全員並んでハイチーズ♪
その様子を、満開の幻朧桜が見守っていた。
「……果たしてこの幻朧桜は永遠に咲き続けるのでしょうか? それとも、いずれ終わりがくるのでしょうか?」
ケイが呟く。
「永遠はね。ホントにしちゃ、ダメなんだよ」
祭りには、いつか仕舞いの時が来る。
それでも。
「永遠は、心の中だけにしといてさ。骸の海へ還りなよ?」
だからこそ。
見送る祭莉達の表情は、最後まで笑顔で。
●
●
大祓骸魂はその目を閉じた。
賑やかな声が聞こえる。
楽しい音楽が聞こえる
美しい歌が聞こえる。
深く、優しい、愛の唄。
一際大きな花嵐が通り過ぎたあと、彼女の姿はもうそこにはなかった。
あるのは、舞い上がる幻朧桜の花びらたちだけ。
――さようなら、愛するあなた。
――また会いましょう、愛しき猟兵たちよ。
――いつの日か、あなたたちの命尽きるときまで、永遠なる骸の海で待っています。
――或はいつか、いつの日か。
――舞い散る桜の導く、その先で。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵