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鏡像と虚像

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●鏡像?
「おい、大丈夫か?」
「うえぇ…無理、ダメ…」
 青い顔をした学生が、もっと青い顔をした学生を支え、ダンジョンの入り口へと引き返してくる。

 周囲には、無数の青い顔の学生の姿。その全てが同様に、支え、支えられている。もちろんそんな異様な団体行動ではなく、実際にこの場で最悪の気分を味わっているのは二人だけである。他はすべて鏡に映った姿。鏡像、こいつの後頭部、鏡像の鏡像、俺の後ろ頭、青い顔、笑ってる、鏡像の鏡像の鏡像…。
 壁も天井も床も、扉に至るまで全てが鏡面で、自分たちの姿以外には何も映さない。致命の罠も敵の姿もなく高を括っていたものの、むしろそれらがあった方が、彼らの平衡感覚の限界を遠ざけたかもしれない。

「なぁ、しっかりしろよ、もうすぐだから…」
 同行者を気遣い、そちらに顔を向け――違和感に立ち止まる。
「あぁ…? どうかしたぁ…?」
 顔も上げられず項垂れたまま声を絞り出す相棒に、答える。
「ん…いや、なんか、鏡の俺が笑ってるように見えて…俺笑ってる?」
「知らないよそんなの…」
 自嘲気味に、今度こそは間違いなく笑いながら、鏡から遠ざかる。さぁ、出口まではもうすぐだ。きっともうすぐに違いない。

 その後ろ姿を、笑う鏡像が、ゆっくりと目で追った。出口から逸れる二人の姿に、さらに口の端を吊り上げた。

●虚像
「魔法学園、バケモン退治のお仕事だ」
 不機嫌そうな表情の猫背のチンピラ、我妻・惇(人間の戦場傭兵・f04976)が唸るような声で話し始める。

 概要としては『壁も天井も床も鏡張りの迷宮で、探索者の姿に擬態する魔物をやっつけよう』というもの。話じたいは難しくもないのだが。

「そいつら以外は敵も罠もねェ。奥まで行かねェとそいつらもいねェから、本当に鏡しかねェ。普通に進んでると普通に気持ち悪くなる」
 どうやら予知で少し酔ったらしい。何かしらの対策を講じて臨んだ方が良さそうだ。見ないようにしても良いし、何かで覆っても、もちろん叩き割っても構わない。万が一その人影が鏡でなかった場合はややこしいことになるだろうが、些細なことだろう。

「ンで、ある程度奥に潜ったらソイツらが現れはじめる。擬態してない時は黒いなんつーか…ぐにゃ…どろ…なんかよくわかんねェ形のヤツだな。数はそこそこいるらしいが、まァ倒しちまえばシマイだろ」
 敵が模倣するのは姿だけではなく、思考や技術すら模倣し、攻撃を回避したり自身を強化したりするらしい。厄介な魔物ではあるのだが、敵を侮っているのか猟兵たちを信頼しているのか、男は事もなげに言って息をついた。

「迷ってた連中ももう出口近ェし、少し案内してやりゃ放っといても問題ねェだろ。気になりゃ声なり薬なりくれてやンな」
 それじゃ、俺の分までヨロシク頼まァ、言いながら惇は猟兵たちを送り出しはじめた。


相良飛蔓
 はじめまして。
 このたびMS登録させていただきました、相良飛蔓と申します。
 色々手探りでの執筆となりますので至らぬ点は多いかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたしします。
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第1章 冒険 『誰の為の鏡』

POW   :    鏡を割っていく、鏡酔いを克服する。

SPD   :    急いで駆け抜ける、鏡酔いを無視する。

WIZ   :    鏡を塞ぐ、鏡酔いを対策する。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鷹畑・海夜
誰かの姿を真似る魔物なんて面白そうな記録対象ねぇん。
さっそく記録しに行きましょ♪

ま・ず・はぁ、この鏡の部屋よねぇ。
フックをかける場所もなさそうだしぃ、
よし、あえて鏡を見ずに走り抜けるわぁ。
こうみえて、逃げ足は速いのよぉ。

でも鏡に正面衝突するのも嫌よねぇ。
【オルタナティブ・ダブル】でもう1人の自分「蒐集家」を呼び出してぇ、
「蒐集家」に先を走ってもらっちゃうわねぇ。
あとは「蒐集家」だけ見ていれば、鏡を見ることもないわねぇん♪



「誰かの姿を真似る魔物なんて面白そうな記録対象ねぇん。さっそく記録しに行きましょ♪」
 楽しそうに言いながら、鷹畑・海夜(蒐集科学者・f06819)が迷宮へと足を踏み入れた。
「ま・ず・はぁ、この鏡の部屋よねぇ」
 辺りを見渡し、壁面の様子を観察してみる。天井や床との境目以外には一切の歪みも継ぎ目もない、不自然なまでに完璧な鏡面である。
「フックをかける場所もなさそうだしぃ…よし」
 異常を来すより先にと、彼女はすぐに方策を打ち出した。鏡への正面衝突を避けるため、もう1人の自分――「蒐集家」を呼び出し、その背について白衣の裾を翻しながら駆け出した。

 進捗はややスローであった。もう1人の彼女が迷宮の鏡と直接向き合うのがその原因である。正面の遮蔽物との距離感が掴みにくく、衝突は避けられてもやはり減速は余儀なくされる。それに加え、迷宮の名を誇るかのように入り組み、やたらと曲がり角の多い構造もペースダウンに拍車をかけた。

 しかしそれでも、2人の海夜は確実に前進している。先行する「蒐集家」の背を見ながら進むため、鏡の影響も少なく済んだ。そもそも自分と自我を別にする自分の存在に慣れていることも有利と言えたかもしれない。

 「科学者」の探求の手は、目は、着実に深部へと迫る。

成功 🔵​🔵​🔴​

シホ・イオア
うーん、これは気持ち悪い……
飛んでる感覚も狂いそう
地面に足を付ければよいに対抗できると思うけど……

マイ・キャッスルで壁を作って鏡を塞いでいくね
輝石解放、ゴールド!壁よ出てこい!

遭難者は保護。
シホの通った後なら壁があるから大丈夫だよね。



「輝石解放、ゴールド!壁よ出てこい!」
 声と共に鏡面を持たない壁を生み出すのは、シホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)だ。出現した薄い壁は迷宮本来の壁を次々と塞ぎ、彼女の進路に沿って、ごく一般的な迷宮の姿へと置換していく。普段ならどこにでもある変哲のない壁ではあるが、この迷宮にあってはとても珍しい。虚像を結ばない遮蔽物は、探索者の心身を大いに助けた。

「うーん、これは気持ち悪い……飛んでる感覚も狂いそう…」
 未だ前方には無限に広がるかに見える鏡。傍らの壁が正面に映る、やはり傍らに壁を置く自身との距離を伝えてはいるが、それ以外はどうもおぼつかない。相対的な対象物があるだけでもだいぶ違うものではあるのだが…。

 進む中で、予知の中に現れた学生たちと出会う。足取りは重く顔色も悪い彼らは、向かってくるシホの姿に安堵を覚えたことだろう。
「えっ、何なになに…?」
 目を細めながら周囲を見回し、慌てた声をあげる。全面に反射して眩しいらしい。確かに付近はとても明るい。そんな彼らに、フェアリーの少女は元気に労る声を掛ける。状況を飲み込み明るさにも慣れ、今度こそ安心した表情を浮かべる彼に、自身の入って来た入り口の方を指し示し
「シホの通った後なら壁があるから大丈夫だよね?」
 と問いかけると、学生の表情はだんだんと血色を取り戻し、息を弾ませながら担いだ相棒に声を掛け。
「あ…あぁ、あぁ!あっちに出口が、帰れるんだな!?なぁおい、聞いたか!?帰れるんだよ俺たち!もう少しだぞ、しっかりしろ、頑張ろうぜ!」
「ちょ、聞こえてるから、大丈夫だから…一回落ち着いて、出る…」
 逸る気持ちが抑えられず、仲間の肩をガクガクと揺する学生と、鏡酔いが限界近い中でハードに揺すられる学生。元々生命の危険がある重篤な状態ではないが、今は改めて、急ぐ必要がありそうだ。

 ともあれ、光を遮ることで探索者に光明を見せた光り輝く聖者の少女は、意気揚々とさらに先へと進んでいく。迷宮の構築パターンも容易に認識できるようになったこともあり、続く探索者の進行ははるかに容易になったことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

結城・蓮
鏡写し、か。
シンプルにして強力な罠だろう。
でも……言ってしまえばそれだけだ。
単純明快、シンプルに行こう。

《虚実の山札》で22組の仕込みトランプをまずは練成。
そのうち7枚を真後ろ以外の7方向に1枚ずつ投擲。
鏡に当たれば刺さってヒビが入るから、トランプが刺さらなかった方へ進む。
一定間隔でそれを繰り返しながら先に進むよ。
方角も見失わないし鏡にヒビ割れが出来れば鏡像に惑わされることもない。

スピード勝負ならちょっと遅れはとるかもだけど、今は先に進むほうが大事だからね。
それに、鏡に傷をつけていれば後続にも役立つだろう?

ちなみに天井と床は放置。
見る必要も気にする必要も感じないからね。
さて、どんどん進もうか。



 さらに奥深くへと進むと、唐突に鏡の壁が再び顔を出す。複雑に入り組む迷宮の中で、先行する猟兵のキャパシティが限界を迎えたようだ。

 そこに立つ、また違う猟兵の姿。結城・蓮(チキチータ・マジシャン・REN・f10083)だ。
「鏡写し、か。シンプルにして強力な罠だろう」
 言いながら、彼女は手の上の仕込みトランプを複製する。
「でも……言ってしまえばそれだけだ」
 見る間に増えた千枚以上を数えるカードが、主人の周囲を飛び回る。そうして蓮は歩みを進める。

「単純明快、シンプルに行こう」
 操られた7枚のトランプを放つ。それらのうち6枚までが周囲の鏡にヒビを入れ、右前方に向かった1枚だけが進路を教えるように角の向こうへと消えていった。
 迷宮自体は破壊されるには至らないが、亀裂の入った鏡、起伏の生まれた鏡は正しく像を結べず、罠としての効果は大きく減じてしまった。後続の猟兵たちも、ここまで迷うことなくたどり着くことができるだろう。犠牲者を惑わす罠ではなく、探索者を導く標となった鏡たち。迷宮の誇りにも大きなヒビが入ったに違いない。
「さて、どんどん進もうか」
 思惑通りの成果に目を細め、澄ました様子で角を曲がる。あとは同じことを繰り返せば、程なく魔物と会うことになるだろう。

 スピードは重視せずとも、やはり確実に歩を進め、間違いなく前進している。
 模倣者の巣窟まで今少し、複製者は追い詰める。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイナ・カザハナ
迷宮さんには申し訳ないのですが、丁寧に正攻法で攻略するほど迷宮を軽く見てませんのでごめんなさいね。
そして、鏡ってそもそも見なければ酔わないですよね?
あーんど、全方向が鏡ならば撃てばあたりますよね!
というわけでお覚悟を!!

目をつぶった状態でアームドフォートを展開、【早業】【一斉発射】【2回攻撃】で片っ端から周囲の鏡を木っ端みじんにしながら進みます。
周囲の鏡の破壊が目的なので命中や威力よりも手数を優先。
余裕があれば粉々になった鏡が邪魔にならないように【掃除】

もし仮に敵がちょっかいを出してきそうな場合は、ユーベルコード【フルバースト・マキシマム】で本気の攻撃をぶちかまします。



「迷宮さんには申し訳ないのですが…」
 レイナ・カザハナ(ヤドリガミのスターライダー・f03778)は言いながら目を閉じ、自身の装備する全ての武装を展開した。見なければ酔わないし、全方向が鏡であれば見なくても当たる、という思考のもと、木っ端みじんにブッ壊そう、というのが彼女の作戦である。
 迷宮に対して敬称をつけるのは、もともとは宇宙戦闘艦であった彼女の、何かしらの思いがあってのことだろうか。ともあれ、それはそれ、これはこれ、と言わんばかりの重武装。それらは当然ながら、残らずが鏡に向いている。
「お覚悟を!!」

 先に声を放ったのは、彼女の口か、それとも多数の砲口であったか。何にせよ、そのどちらもによって、鏡の割れる硬質な音ーー迷宮の悲鳴は呑み込まれていった。

 目を閉じて歩きながらも障害物に当たることはない。障害となり得たことごとくは、ぶつかる前に破壊されたので当然であった。再びレイナが目を開いたときには、鏡は遥か遠くにしか見えなかった。問題といえば、辺り一面に散乱した鋭利な鏡の破片の掃除が必要なことと。

「これは、やりすぎたかなぁ…」
 迷わせながらも踏破が可能なように設計されていた迷宮が、突如出現した「広場」のために瓦解し、開放され、正しい通路の接続が失われたことであろうか。 それでも構造はとても簡略化された。それなりに片付けてやれば、きっと魔物が顔を出す深度だろう。
 迷宮の誇りは、今完全に瓦解したらしい。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルベナ・ラウンドディー
●WIZ


つまり鏡をどうにかしろ、と
…はぁ、まあスカートの天敵でしょうし…
いえ、なんでもありません。やるだけやってみます




【竜紋即居付け】……今から【石化する】

…我ながら反則に近いですね、この技は
凍り付く・錆着く などでもやってみます
どれだけ効果範囲が及ぶかは判りませんが
要は結露の要領で反射を抑えればいいと考えました
無理なら先行した方々に倣って破壊して進むまでのこと



問題はこの後か
予知した敵らはまず此方の存在に気付いているだろうし
変な奇襲など受けないように進行方向へ聞き耳を立てて警戒しておきます 



「…はぁ、まあスカートの天敵でしょうし…」
 隠されヒビ割れ崩れ落ち、辛うじて迷宮だった形を留める構造物の中で、床として未だ頑張る鏡面を見ながら、ベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)は呟く。
「やるだけやってみますよ、と」
 飾り気なく分厚い刀身の無骨な直刀を閃かせると、その得物とは裏腹の精密な動きで何事かを刻む。
「宣告する…汝は今から【石化する】」
 一瞬で現れた紋はしかし程なくして力を失い、周囲から浸食されるようにして消失していく。落胆する様子もなく、竜人は幾度かそれを試みた。

 そして、幾度目か。
「…【錆着く】」
 瞬間、床に刻まれた紋を起点として、波紋のように黒い円が拡がっていく。なまじ境目がないために、効力は際限なく連鎖していき、迷宮内の見渡す限りの床は、見る間に光を失った。一通りの、ある程度の対抗策は講じてあったらしいが、さすがに想定されていなかった状態異常のようである。

 砕けた壁に真っ黒な床、身を隠す場所もない、ありうべからざる大広間。油断も容赦も遠慮も会釈もない猟兵たちの侵攻に、慌てる学生の姿――ようやく魔物が姿を現した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ドッペルゲンガー』

POW   :    心の模倣
【対象の目を見ることで思考を読み取り 】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    体の模倣
戦闘中に食べた【対象の血肉 】の量と質に応じて【捕食した対象の姿を模倣し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    技の模倣
対象のユーベルコードに対し【対象の動きを模倣し同じユーベルコード 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 姿を現した魔物たちは、未だ学生の姿をしていた。彼らが青い顔をしているのは、迷宮にさまよう彼らの顔色を模したためか、それとも容赦のない侵略者への恐怖からか。
 よく知った顔で標的に近づき難なく成果を得る、いわば捕食者である彼らにとっては、およそ経験したことのないような恐怖であったろう。そして恐怖する者が逃げ場を失うと採る行動はそう多くもない。

 彼ら――それらもやはり、猟兵たちを排除することに活路を見出し、襲い掛かる。
シホ・イオア
その姿……、学生たちを傷つけたね?
輝石解放、ルビー!愛の炎よ、偽りの影を焼き尽くせ!

こちらの動きや技を分析してくるのか
ここは他の猟兵と連携したいところだね

生み出した炎は分散させたり収束させたり
状況に応じて変化させて使用することで技の模倣をしにくくするよ

サイズ的にシホの目は見にくいと思うけど……
ま、読まれるなら回避しにくいように広範囲に炎をばらまいてみようかな

敵の攻撃は残像と見切りで回避


鷹畑・海夜
戦いなら「オレ」の出番か。
ったく、面倒な鏡迷宮なんかに住み着きやがって。

さて、喰われるのも真似っこされんのもごめんだからな。
囮も兼ねて、まずは、この魔物のデータ収集といくか。
相手の「目」は見ないようにしねぇとな。

死角からフック付きワイヤーぶつけてやったり、
電脳ゴーグル「sea-night goggle」で、
敵の「目」の前にワザと電脳世界展開してやったりして、
相手を妨害してやる。

ある程度、データを収集したら【電子構築兵士召喚】。
護衛兵を呼び出して、戦わせるよ。

アドリブや絡みは歓迎だよ。



 追い詰められながらも、捕食者たちは習性として狡猾だった。自分たちの擬態は完璧であり、多くの場合コイツらは同族の姿への攻撃をためらうものだ。
 ためらうものだと、そう考えていた。

「その姿……、学生たちを傷つけたね?」
 だのになぜ!この小さなコイツは!
「輝石解放、ルビー!愛の炎よ、偽りの影を焼き尽くせ!」
 こんなにめちゃくちゃ攻撃してくるんだ!?

 シホの憤りはもっともであり、人であれば理解に難くない感情である。だからこそ、今までヒトから恐怖しか学んで来なかった贋物には理解できないものであった。もしかすると、侮りも学び取ったものであったか。
 擬態の無効を悟り、人型を融解させて黒い不定形へと変じる魔物たち。それでも炎は消えることなく、やはり真っ黒な床の上を、燃える油か何かのように伸び拡がる。
 苦しむ仲間をフォローしようと、あるいは囮にして隙を突き、別の個体がシホへと向かう。元の姿では人型と違って油断や逡巡は誘えないが、代わりに彼らと床との境界を曖昧にする。フェアリーの少女の死角を突いて襲い掛からんとするそれの、さらに死角からフック付きワイヤーが咬みついた。

「ったく、面倒な鏡迷宮なんかに住み着きやがって」
 予期せぬダメージに萎縮する異形に、白衣の蒐集科学者、海夜が不平を告げる。その姿は迷宮へと足を踏み入れた時と変わらないが、先の妖艶でどこか楽しげな雰囲気とは似ず――否、眼光鋭くもやはり愉しげに、その標的を見据えている。探索においては先行し、誰よりも先行して鏡の迷宮の最奥を目指した「蒐集家」の海夜である。
 奇襲に失敗した者が、成功した者の所在に気付き、不平を眼で訴え返すようにその向きを変えると。
「おっと、喰われるのも真似っこされんのもごめんだからな」
 彼女はすかさずそれの眼前に電脳世界を展開し、視覚を奪い去る。眼鏡型の電脳ゴーグル「sea-night goggle」の機能によるものだ。標的の姿を見失った黒い魔物は、先ほどのやり直しのように白い襲撃者を探しはじめるのだった。

「データ収集はこんなもんか」
 ひとしきり戦い、引き付け、観察し、海夜は跳び退り足を止めた。それを好機と見たのか、未だ多くを残す怪物たちが次々と襲い掛かる。その進路を妨げるように。
「構築完了。顕現せよ、護衛兵(ガーディアン)!」
 突然現れた護衛兵に浮足立つ怪物。敢然と立ち向かった個体は、その拳足によってことごとくが弾き返された。そして。

「愛の炎よ…」
 まずい、さっきのやつだ。でもこれはさっき見た、これなら倒せる、みんなでやれば…。
 模倣者たちは慌てて不出来な火球を作り出す。真似事だろうと炎は炎、真贋なんてありはしない。数に頼んだ彼らの目に、しかし次の瞬間映ったものは。
「偽りの影を、焼き尽くせ!」
 ひとつに収束した、巨大な火球だった。

 なにこれ、さっきのと違う。一つ所に固まった黒い不定形のものたちは、見る間に黒い消し炭となり、黒い床へと溶け込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベルベナ・ラウンドディー
此方とて手の内はだいたい予想済みです
似た手合いと何度もやってますからね


POW対策:視線を読まれぬようヘルメットを装着
【見切り・武器受け・カウンター・串刺し・目潰し】で攻防を展開
まともな撃剣だけで仕留めるつもりはありません
直刀での攻防の途中に【実体のない刃】を放ちます
模倣対策にいつ放ったのかを悟らせぬのが狙いの【騙し討ち】です
そもそも動作だけで模倣は出来ない術理ですけどね
…見えませんか?もう斬りました
先手必勝の殺人刀か
反撃主体の活人剣か
それ以外の忍者戦法か…相手次第で戦術を使い分け、分析の混乱を狙います


敵の包囲には警戒
許したならバイクを後方から突撃させつつ【衝撃波・吹き飛ばし】で突破を図ること


レイナ・カザハナ
既に被害が結構出ているようですね、ならば容赦はしませんよ?
もちろん元々容赦をする予定はありませんでしたけどね。

なるほど。心の目を見て攻撃を読み回避するというのならばぜひ回避していただきましょう!
引き続き武装を全力展開で【フルバースト・マキシマム】で【一斉発射】で攻撃します。
隙間のない絨毯攻撃を回避できるというのならばぜひ回避してくださいね!

※連携・アドリブ可なのでお任せですー。



「なるほど。心の目を見て攻撃を読み回避するというのならばぜひ回避していただきましょう!」
 熱心な整備員から心を学び、その心を得たレイナもまた、先陣を切った猟兵と同じく怒りに燃える。
「隙間のない絨毯攻撃を、回避できるというのならばぜひ回避してくださいね!」
 まっすぐな視線、まっすぐな射線。熱い心を熱い砲火へ。その直接的な、直截的な攻撃は、物量を伴えばしかし回避は能わない。たとえ心が読めようと、たとえ生きるに狡猾であろうと、逃げる暇があらばこそ。
 砲煙が収まる頃には、射程の外を、退るものと、辛うじて逃げ延び退るもの、そして質量を減らして退るものとが彼女を遠巻きに取り囲んでいた。

 実際レイナは取り囲まれている。数を大幅に減じ、少し頑張れば数え切れる個体数になったとはいえ、彼女の装弾数も一斉発射で底を突き、再攻撃にやや時間がかかりそうだ。攻撃の停止を見て取った魔物たちも、決心がついたのか攻勢に転じようと距離を詰めてくる。身構えるレイナ。

 そこに飛び込んできたのは、ヘルメットで表情を覆い隠し、バイクを駆るベルベナ。
「きゃっ!?」
 廃艦の竜人は、通り過ぎざまに退役艦の騎兵を拾い上げ、包囲する敵を吹き飛ばしながら離脱する。ワイルドな細部にこだわらなければ、その様はちょうど、小さな女の子向けの読み物に描かれる「白馬に乗った王子様」のようであった。

 お姫様を丁寧に下ろし、愛車を降りると、ベルベナは直刀を構えて敵へと向かう。
「此方とて手の内はだいたい予想済みです。似た手合いと何度もやってますからね」
 言うが早いか撃剣はまっすぐに一体の目へ。
 瞬息の攻撃を模した別の一体をその勢いのまま両断し。
 その身を伸べて斬りつけんする一体を。
「…見えませんか?」
 一瞥もくれぬままに。

「もう斬りました」

 実体のない刃で斬り伏せてのけた。いつ放たれたものかは、おそらく彼にしか分からないだろう。そして彼以外にも明確に分かる、近く来る戦いの終わり。そしてそれを思う間にもまた一体。

 かくして、たった一振りの直刀による多彩な技巧により、残り少なかった魔物たちは、さしたる時間もかからずに最後の一体をも失った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『シェイプシフター』

POW   :    思考の簒奪
【自身を対象の姿へと変化させ思考を読み取り】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    血肉の簒奪
戦闘中に食べた【対象の血肉】の量と質に応じて【捕食した対象の姿と戦闘経験を簒奪し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    秘技の簒奪
対象のユーベルコードを防御すると、それを【強化し体内へ取り込み】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


そして通路の奥、死角より現れる一回り大きな黒い姿。

「データ収集ハ…コンナ、モンカ…?」
 ゆっくりと歩きながら、ぎょろぎょろと大きな一つ目を忙しなく動かして、品定めをするように無遠慮に猟兵たちを見回す。
「回避、デキ、ルトイウノナラバ…」
 
 その背後には、割れ残った鏡。
「手ノ内ハ…ダイタイ予想済ミ、です」

 徐々に姿を変じ、人型へと。
 徐々に発声を変じ、滑らかに。
「傷つけたね? 傷つけたね?」
 口角を吊り上げ、二つになった目を見開き、嗤う。

「おれの、なかまを!」
 嗤い、叫び、似せものの炎を振るい、猟兵の贋物が駆け出した。
シホ・イオア
連携重視

輝石解放、ルビー!炎よ優雅に舞い踊れ!
シホの周囲を舞うようにして攻撃よりも防御に使うようにします
狙いは敵の攻撃を残像で回避してからのカウンターです
やっぱり目が弱点だったりするのかな?

仲間を傷つけたーとか言ってるけど
シホ達を探るために見捨てただけだよね?
どうせ真似るなら平和を愛する心も真似ればよかったのに☆



『輝石解放、ルビー!愛の炎よ、優雅に舞い踊れ!』
 炎をその身に纏わせて、シホは防御を固める。炎の渦は絶え間なく踊り回り、敵を妨げようとする。駆け出した魔物、猟兵の姿を模したシェイプシフターは接触を避けて立ち止まった。
「仲間を傷つけたーとか言ってるけど、シホ達を探るために見捨てただけだよね?」
 非難の言葉に、不気味な笑顔は崩さぬままに首を傾げて見せる。
「おまえたちが、おれの手駒(なかま)を傷つけたのは、ほんとうだろ」
 怪物のその言葉に、決定的な認識の違いが垣間見える。そこに愛着からの怒りはなく、損失と空費に対するそれであった。そうして魔物は手を伸ばして。手を模した部位を伸ばして、最小規模の小さな砦へと手を突っ込む。炎による損傷を厭わず、肉の焦げる嫌な臭いをさせながら、炎の中のフェアリーの姿を掴み、引きずり出した。
 フェアリーの姿をした残像を、空を掴み、その手を引いた。

 不思議そうな顔をする猟兵もどきに、横合いから唐突に火球が降り注ぐ。無防備な所への攻撃に避けることも叶わず、半身を灼かれたソレは、咄嗟に攻撃者を探して周囲を見回し、その姿を認めた直後に視界を眩い炎に包まれた。狙いは眼球。成果は上々。

 残像による陽動を受け、触れることもできずに身を焦がされた怪物。その被害は決して小さくはないと言えた。小さな標的からまがい物を掴まされた偽者はしかし、焼け焦げた部位を損傷のない人型に作り直すと、相手の小さな姿を見上げ、その眼を細めてなお嗤う。注視しながらも小刻みに揺れ続ける目は、健在であった。

「どうせ真似るなら平和を愛する心も真似ればよかったのに☆」
「知らないよ、そんなの」
 興味もないという風で、言葉を制するように手のひらをかざして見せる。そして次の瞬間。

「あいのほのおよ」
 その手から生み出された一条の炎の槍が、寸での所で身を躱したシホをかすめた。髪を少し焦がし、肌を少し焼く。それでも大きな被害ではない。
 彼女の炎を受けたシェイプシフターが、それを強化して撃ち返したものである。着弾した先の融解した壁面が、その熱量を物語る。しかしそれとは裏腹に、貸出元の言葉を模倣した詠唱は原義に含まれる感情や熱量は一切含まず、空虚で寒々しく欺瞞に満ちたものであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジュディ・スカリー
さて、頑張ろう。
こっちの技を真似てくるのか。まあ、負ける気はしないね。

距離をとって瞬撃。近づかれたらその分引く。
こっちの思考を読み取るらしいけど、逃げ場が無いぐらい撃てば避けられないでしょ。
極力反撃も許さないつもりだけど、流石に完封勝ち目指すのは虫が良すぎるのかな。
まあ、攻撃されたらその時はその時、頑張って避けるしか無いか。


鷹畑・海夜
とうとう「オレ」まで真似されたか。(にやりと笑って)
それでこそ、記録のやりがいがあるってもんだ。

そんじゃ、ちょっとだけ遊ぼうか。
フック付きワイヤーで距離を取りつつ、死角から攻撃。
攻撃したら、また離れて攻撃、を繰り返すぜ。

何回かやったら、ユーベルコードで攻撃するか。
「同じ技じゃつまらないだろ?」
使うユーベルコードは【録奪魔陣】。
使う直前で、そこら辺に落ちてる割れた鏡の破片を投げつけて、
目を逸らさせるよ。
同時に電脳ゴーグルの電脳世界展開も使うか。
どこから撃ってくるか分からないってのも、面白いだろ。

アドリブや絡みは歓迎だよ。



「まあ、負ける気はしないね」
 猟兵の姿を模する相手を前にして、ジュディ・スカリー(千発百中・f09696)は淡々と表情を変えずにロングボウを構える。挑発的な言葉に目の前の敵はにたりと笑い、今度はこちらに手を広げてみせ、ゆっくりと近付く。彼女は跳び退って距離を取ると。
『疾ッ!』
 鋭い呼気と共に放った無数の矢で、シェイプシフターを迎え撃つ。襲い来る矢の雨に瞬間怯む様子を見せるが、ものともせずに前進を図る。
 同時に放たれた矢たちは自然、程なくほぼ一律にその運動を終える。そうなれば迷宮の主にとってはしめたもの、素早く距離を詰めて喰らいつかんと踏み切る。その先に待つのはしかし標的の姿ではなく。
「逃げ場が無いぐらい撃てば避けられないでしょ?」
 次の矢の雨は、既に迫り来ていた。たまらず手で払い顔を庇い、足を止める。前進が滞ればそれだけ、降り注ぐ矢の雨は増え続ける。

 それでも幾度目かの驟雨を凌ぎ、魔物は距離を詰めてくる。貼り付けたような笑顔の口角をさらに楽しげに尖らせて、身を沈める。
「負ける気は、しないね」
 跳んで、その口をがぱりと開けた。その模倣された人型とは不釣り合いの異形の口には、真っ黒な闇が深く続いていた。

「なあ、オレとも遊ぼうぜ」
 闇の淵がぐん、と引っ張られた。お預けを喰らったシェイプシフターは文字通り歯噛みし、恨めしげに口元のフックを引き外し、鷹畑・海夜を振り向いた。笑顔を崩して睨みつける、不快を露わにしたその表情などどこ吹く風と、蒐集家はにやりと笑う。
 忌々しいが間合いは遠く、海夜に近付けばジュディの弓にまた襲われることになる。苦渋の末に結局近くの射手を狙うことにした魔物は、追い詰めた獲物へとまた向き直る。そこにまた襲い来るフック付きワイヤー。構うものか、順番に仕留めよう。その心算を阻み襲い来るフック付きワイヤー。無視を決め込むそれに、容赦なく襲い来るフック付きワイヤー。

 業を煮やして向き直るシェイプシフターに、海夜は再び挑発的に笑みを返す。
「とうとう『オレ』まで真似されたか。ま、それでこそ記録のやりがいがあるってもんだ」

 模倣して人を玩弄し、捕食するのはおれなんだ。それなのに目の前の人はおれを相手に笑い。おれを食おうとしている。おれは、とてもいらいらしている。
 冷静さを欠いた魔物は、わずかに残ったそれを、そして大きく膨れた自尊心を、取り戻そうと、守ろうと、その人に跳びかかる。さっきの攻撃なら、そのまま真似してやればいい。
「手の内は、予想済み…っ!?」
 彼女の手から放たれる攻撃に咄嗟に身を庇うが、さしたるダメージもなくその物体――ただの鏡の破片が弾き飛ばされた。
「同じ技じゃ、つまらないだろ?」
 判断ミスは回避を妨げ、ユーべルコードをまともに喰らう。途端に模倣者は姿を失い、黒い不定形の異形へと戻って行く。

「あ、ああ」
 溶け落ちる姿に、消え失せる記憶に、襲い来る焦燥に、化け物は呻く。他の誰のものでもない、それ自身の感情が、漏れ出る。そしてその欠落した意識の空隙に、今一度、ジュディの矢の雨が降り注いだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

桑原・こがね
見切ったぁ!
あたしの思考を読み取って予測するってことはつまり、『あたしが何も思考してなければ予測できない』って事よね!

え、できるわけないって?
できるできる。やればできる。
散々修行してきたんだもの。そういう修行じゃ無かったけど。
そもそもきっちりした作戦を立てて戦うなんて普段からしてないからね。
まずは飛び込んで、細かいことはそれからよ!

こう、両手に剣を構えて、集中して、相手の目を見据えた後は、そのまま視界を広げて全体を見る。うん、いける。
あとは斬りかかりながら、状況しだいね!
あたしの鍛え上げた剣筋と反射神経を信じて無心で戦うわ!



「見切ったぁ!」
 突然響いた元気な声に、シェイプシフターは慌てて目を向ける。自らの力とできるもの、自らの身を守れるもの。それは糧として肥え太るためではなく、少しでも命を繋ぎ留めるための。驕りは、怯えへと。その視線の先には、桑原・こがね(銀雷・f03679)。
 自信満々に笑いながら刀を向けるその姿は、「小さくない」種族にしては小さい。それは異形の安堵を誘い、油断を誘った。
「あたしの思考を読み取って予測するってことはつまり、『あたしが何も思考してなければ予測できない』って事よね!」

――何を馬鹿な。

 突拍子もないものに聞こえるその言葉に、模倣者は頭に疑問符を浮かべる。目玉しかない顔から表情は読み取れないが、呆気に取られた雰囲気だけは容易に推察できた。やれるものならやってみろとばかりに猟兵の姿を写し取る。自身を見据える人間の姿を見返すその表情は、口の端を吊り上げて目を厭らしく細めた、嘲笑のそれであった。
 しかし対峙したその人間からは、回避するために必要な情報は読み取ることはできなかった。読み取れたのは大きな野心、「あたしを見ろ」と大きく響く。それなのに、何も読み取らせないままなのに、目の前には金色の猟兵が迫りくる。
 焦り闇雲に繰り出す模倣した刀の軌跡は、こがねの肩をかすめ髪を千切るも、挙げるべき傷を与えることもなく彼女の間合いへの到達を許してしまった。オリジナルの刀は過たず、敵の胴部を大きく切り裂いた。
 綿密な作戦よりも臨機応変、理屈よりも実践に。まずは飛び込むその姿勢が、永らく研鑽し弛まず積み重ねてきた厳しい鍛錬が、そして自分自身への強い信頼が、清澄なる無心の剣の礎となる。どこまでも透明なそれは、敵にとっては何物をも見通せぬ深淵なる闇、絶望的に映ったことだろう。再び恐れが頭をもたげ、見る間に肥大していく。心を挫かれた怪物は、成す術なくその力を封じ込められていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アレクシア・アークライト
・【幻覚】を用いて姿を消しておく。

 なるほど、その目で観察したものを模倣できるってわけね。
 それなら、相手が見えない、攻撃も見えない、ってときにはどう対処するのかしら?
 今度は、こちらが観察させてもらうわよ。

・【幻覚】で別の場所から声や足音を発生させつつ、離れた場所から[念動力]で攻撃し、又は仲間への攻撃を妨害する。

 姿形を変えられるってことは、当然、怪我も治せるってわけね。
 でも、それには少し時間が掛かるみたいだから――。

・力場を収束し、上空から頭部に全力の一撃を放つ。[空中戦、グラップル、捨て身の一撃]

 今まで簒奪したもの、全てを吐き出して死になさい。



「なんで、なんでなんでなんで!」
 借り物の姿のままに地団駄を踏む怪物。思い通りにならない現状。存在の危機たる現状。恐怖は知っていた。おれに食べられた誰かの感情だから。怒りも知っていた。その次にわたしに食べられた誰かの感情。くやしい、つらい、憎い。それは、ぼくの、あなたの、だれかの
 ちがう。怖いのは、自分。シェイプシフター、この存在自身。そんなのは。
「いやだ!」

「そう、残念ね」
 声が聞こえた。知らない声が聞こえた。見回せども、ここにはその声の持ち主は見えない。
「その目で観察したものを模倣できるってわけね。それなら、相手が見えない、攻撃も見えない、ってときには、どう対処するのかしら?」
 声の聞こえた方を振り返る。
「今度は、こちらが観察させてもらうわよ」
 背後の足跡に素早く振り向く。
「卑怯とは、言わないわよね?」
 どこを向いてもそいつはいない。そしてそれは突然に襲い来た。

「ぐゥっ!?」
 胴体に強い衝撃。ダメージはあるが姿は見えず。そして次は足元。這いつくばって顔を上げる。やはり何も。
「くそっ、ふざけるな、ころしてやる、くってやる!」
 歯をぎりぎりと軋りながら立ち上がろうとする偽物は、しかし。

 頭上から訪れた、さらに巨大な見えない力によって、再び地に叩きつけられた。
人型をひしゃげさせ、維持することすら難しくなったそれは、もう一度黒い不定形に戻っていく。そしてもう、姿を奪う力は、ない。
 怪物を地に押さえ込み、今なお動きを封じる力――アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)はその姿をようやく怪物の前に晒した。その姿をぎょろりとした大きな目を揺らしながら見つめ、力なくもがく。
「い、いやだ、いやだ…きえたくない」
 その美しく赤い瞳に、しかし興味の光を灯すことなく、見つめ、告げる。
「今まで簒奪したもの、全てを吐き出して――」
「やめろ、いやだ、やめて」
 それ自身が幾たび聞いたか分からない言葉。そして幾たびも黙殺してきた言葉。因果は巡り
「死になさい。」
 この瞬間もその言葉は聞き入れられることはなく。その存在は最後の変容を――塵となって、消滅していった。
 
 こうして、一つのダンジョンにおける、一つの存在による脅威は排除された。
 その存在のために行われた捕食は、学習は、いずれかの機において娯楽性や残忍性を帯びていった。そうして学び得た恐怖は、憎悪は、その存在の最期の瞬間に多大なる影響を与えた。それは誰かのこころの模倣であったのか、それ自体のこころが発するものであったのか。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月07日


挿絵イラスト