大祓百鬼夜行㉕〜想い出の中の幻影と共に
それは、東京スカイツリーの最上部に設置されていた。
アンテナが収納された高さ約140mの巨大構造物、それが『ゲイン塔』である。
そこに懐刀を手にした白装束の少女が立っていた。
「愛しきUDCアース。
あなたを思う、私の愛は揺るがない。
だから、私は帰って来たのです。
この懐刀「生と死を繋ぐもの」は、鈍だけれど、時間をかければ……。
誰でも、何でも、殺すことができる。
殺したものは過去となり、骸の海で永遠となる。
愛するUDCアース、あなたを永遠にしたい。
あとひと刺しで、それが叶います。
猟兵たちよ、止められますか?
電波塔の頂上で、あなたたちを待っています」
そう、その者こそ、今回、猟兵達が祓わなくてはならない者。
『大祓骸魂(おおはらえむくろだま)』。
「4人の親分様を倒して、とうとう、大祓骸魂が姿を現しました。その場所は、UDCアースの東京スカイツリーの頂上にある『ゲイン塔』になります」
そういって、響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)は、猟兵達へと語り始めた。
「大祓骸魂は、その膨大な「虞(おそれ)」によって、東京上空を「カクリヨファンタズムが如き空間」に変化させ、今回の戦争に存在した「あらゆる手段」を行使して襲いかかってきます。今回はまぼろし橋での戦いと同じ……「死んだ想い人の幻影」が現れ、夜が明けるまで語らうこととなります」
そうしなければ、大祓骸魂を祓うことはできないのだという。
「ですが、もし、死者と語ることをしなければ、大祓骸魂は、容赦なく攻撃してきます」
その力はかなり強く、無事では済まされないらしい。
「どちらにせよ、これが最後の決戦となります……皆様、無事に戻ってきてくださることを……祈っていますわ」
そういって、リズは真剣な眼差しで頷くと、猟兵達をゲイン塔へと導いたのだった。
柚葵チハヤ
どうも、柚葵チハヤです!
1章のみの戦争シナリオ、ラストは大祓骸魂との決戦となります。
今回の決戦でのプレイングボーナスは。
プレイングボーナス…… あなたの「想い人」を描写し、夜が明けるまで語らう。
となります。語らずに戦うことも可能ではありますが……必ずかなりの大打撃を受けて倒れることになりますので、それを踏まえてプレイングをかけてきてください。
というか、できれば、死者との語らいを選択してくださるのを祈ってます。
また、グループでの参加も大歓迎です。相手のIDやグループ名をお忘れなく。
それでは、皆様、最後の決戦です。悔いの残らぬ戦いをお待ちしていますね。
第1章 ボス戦
『大祓骸魂』
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POW : 大祓百鬼夜行
【骸魂によってオブリビオン化した妖怪達】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[骸魂によってオブリビオン化した妖怪達]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : 生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:菱伊
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
尾守・夜野
死んだ思い人…か
俺はこれ以上話すと離れがたくなりそうだ
だからlostの番だ
彼らの話に混ぜて貰うぞ
元の主はどこかからの落ち人だったらしい
『本当の主人になろうとは思わなかったの?』
「思った事はねぇよ
死者を引きずってんのは俺もだしな」
【んな事されたら殺してるがな】
『…キミも僕の事を忘れ
新たな搭乗者を迎えていれば良かったのに
物好きめ』
【お前が言ったんだろう
望むのは機械じゃない
語り合いを人を望むと
だから俺は自分で決めるのさ】
「だから俺はlostがいいんだがよ
お前さんを故郷に届けるって夢を持ってるらしいし」
【おいやめろ】
死者と生者の境界なく泣き、笑い
朝がくれば終わるんだろうな
だから朝を迎える為にも奴は倒す
「死んだ思い人……か。俺はこれ以上話すと離れがたくなりそうだ」
尾守・夜野(墓守・f05352)はそういって、ワイズマンユニットのlostを取り出す。
「だからlost、お前の出番だ」
このユニットを使って、思い人との会話を試みる。
『本当の主人になろうとは思わなかったの?』
現れたのは、かつてlostの所有者だ。温和な雰囲気を醸し出しながら、それはlostの側に寄り添う。
「思った事はねぇよ。死者を引きずってんのは俺もだしな」
そう夜野がいうと。
【んな事されたら殺してるがな】
lostがそう反抗して見せる。その様子にかつてのlostの所有者は、思わず苦笑を浮かべた。
『……キミも僕の事を忘れ、新たな搭乗者を迎えていれば良かったのに。物好きめ』
【お前が言ったんだろう? 望むのは機械じゃない。語り合いを人を望むと……だから俺は自分で決めるのさ】
lostは、自分で良いことを言ったように、自慢げにそう応えると。
「だから俺はlostがいいんだがよ。お前さんを故郷に届けるって夢を持ってるらしいし」
にやっと悪戯な笑みを浮かべ、夜野がそう告げる。
【おいやめろ】
すかさずlostが止めに入るも。
『本当にキミは物好きなんだな……』
嬉しそうな……いや、少し悲しげな表情を浮かべると、lostの所有者は、もう一度、優しくlostに触れた。
lostはその感覚を感知することはなかったが、壊れかけたAIの中で、確かなぬくもりを受け取ったのであった。
大成功
🔵🔵🔵
陽殿蘇・燐
語らえばいいのね?
そうね、故人の意見が事前確認できないから、生配信はやめておきましょう
後日報告の動画で、視聴者(大半は原作ファン)は納得してくれるわ
それにしても、ヴァーチャルキャラクターとしては生まれたての私に、亡き想い人なんて、と思ったけれど
そう…あなたは私『ラスボスの炎術士・燐』の設定を作った人。昔に亡くなった人
わかっているだろうけど、私、猟兵も悪女としても手は抜かないわ
敷かれたレール(シナリオ)じゃなくて、私の意思でね?愛しの創造主さま?
※
燐の大前提『悪女するなら、そこは健やかな国でなければならない(=悪女倒れれば、その後は国が平和になる)』を作った人
「こうして会うのは、不思議だ」
「なるほど、ここで語らえばいいのね?」
陽殿蘇・燐(元悪女NPC・f33567)は、その青い瞳を細めた。
「そうね……故人の意見が事前確認できないから、生配信はやめておきましょう。後日、報告の動画で、視聴者は納得してくれるわ」
視聴者といっても、大半が原作ファンが多いのだが。
それはさておき、燐の前に現れたのは。
「それにしても、ヴァーチャルキャラクターとしては生まれたての私に、亡き想い人なんて、と思ったけれど」
『こうして会うのは、不思議だ』
そう、燐の大前提『悪女するなら、そこは健やかな国でなければならない(=悪女倒れれば、その後は国が平和になる)』を作った人、すなわち。
「そう……あなたは私『ラスボスの炎術士・燐』の設定を作った人。昔に亡くなった人」
『そのようだね。まさかこうして、君に会うことになるとは……不思議なこともあるものだね』
燐はふふっと笑みを深め、こう続けた。
「わかっているだろうけど、私、猟兵も悪女としても手は抜かないわ。敷かれたレール(シナリオ)じゃなくて、私の意思でね……ねえ、愛しの創造主さま?」
『おお、怖い怖い。お手柔らかに頼むよ。せっかく作った作品を汚すようなことだけはしないでくれたまえよ?』
そう、燐は今までのこと、そして、これからのことを、原作者を前に語り掛けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
白夜・紅閻
この記憶は…
僕のではない
嗚呼、我が主(あるじ)の記憶の欠片か
(僕は指輪のヤドリガミだ。本来は我が主の左薬指に嵌められてたもの。故あって、その指からはぐれてしまった。そして、幻影の貴女は…我が主の、大切な人であり、二つで一つの指輪の片割れを持つ人)
でも、やはり…貴女の顔は
靄が掛かってワカラナイ
知っているかい?
貴女が死んだあと、我が主と子供たちは神隠しに遭い
異世界へと飛ばされた
失意の中であっても主は、愛する子供たちを育てていたよ
・UCを使い双子に会わせる
(実は、彼等こそが我が主と貴女の愛の結晶である子供たち
でも、魂は既に在るべき場所に居る為、残留思念のようなもの
ただし、このことは貴女には伝えない…
「この記憶は……僕のではない。嗚呼、我が主の記憶の欠片か……」
白夜・紅閻(揺蕩う白き影は、いつか還るその日に想い馳せる・f18216)は指輪のヤドリガミだ。
本来は彼の主の左薬指に嵌められてたもの。
故あって、その指からはぐれてしまった。
そして、幻影の彼女は……その主の、大切な人であり、二つで一つの指輪の片割れを持つ人……。
静かに彼女は佇んでいた。何も言わず、ただ、紅閻を見つめている。
しかし、その顔は霧のかかったかのように、ぼんやりとしており。
「でも、やはり……貴女の顔は……ワカラナイ、か……」
少し残念な気もするが、それでも、役目は果たさなくてはと、紅閻は彼女の元に寄り添い、そして。
「知っているかい? 貴女が死んだあと、我が主と子供たちは神隠しに遭い、異世界へと飛ばされた」
ツインズ・チャイルド(ルカ・ガイ)を発動させる。
「……ごめん、二人とも。力を借りるよ」
現れたのは、月の聖霊と銀の双翼だ。実は、彼等こそが紅閻の主と彼女の愛の結晶である子供たちなのだ。しかし、その魂は既に在るべき場所に居る為、ここにあるのは、残留思念のようなもの。ただ……そのことは彼女に伝えることなく。
「失意の中であっても主は、愛する子供たちを育てていたよ」
それを伝えると、彼女の顔が僅かに揺れ、口元に笑みを作ったかのように見えた。
その様子に紅閻も少し満足げに、笑みを浮かべたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
神坂・露
わーい♪あの人にまた逢えるのね逢えるのね。
あたしが石だった頃の最後の所持者だった男の人よ。
あ。正確には『想い人』じゃないかもしれないけれど…。
あたしにとっては大切な。今も夢に出てきちゃう人よね~♪
えっと。確か…どこかの橋(まぼろし橋)でも逢ったから。
「二度目ね♪ お久しぶり~…は可笑しいかしら?」
うん♪また逢えて凄く嬉しいわ。逢えるって思わなかったもの。
もう寂しくはないけど後でしんみりしないよーに精一杯お話するわ。
え?あたしとお話しできるとは思わなかった?えへへ~♪
あたしもね。石から人の姿になれるとは思わなかったのよ~。
あ。遊牧民の皆ってどーしてるのかしら?元気?
…って亡くなってるけどね~♪
「わーい♪ あの人にまた逢えるのね、逢えるのね」
軽い足取りでやってくるのは、神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)。
彼女は数千年もの間、月光だけ浴び続けたブルームーンストーンが本体のヤドリガミ。そして、石だった時の最後の所有者が、今、目の前にいる。
正確には『想い人』じゃないかもしれない。
けれど……露にとって大切な。
「今も夢に出てきちゃう人よね~♪ えっと。確か…どこかの橋でも逢ったから」
うんと頷いて、露はにこやかに彼に挨拶をする。
「二度目ね♪ お久しぶり……はちょっと可笑しいかしら?」
その露の言葉に目を瞬かせながらも、遊牧民風の衣装を纏った男性は露を出迎えた。
「うん♪ また逢えて凄く嬉しいわ。逢えるって思わなかったもの」
相手の男性も驚いていたが。
『まさか、また会えるとは思わなかった。あれで最後だと思ってたんだが、不思議なこともあるのだな。また会えて嬉しいよ』
「え? あたしとお話しできるとは思わなかった? えへへ~♪」
また男性に頭を撫でられて、露も嬉しそうだ。
「あたしもね。石から人の姿になれるとは思わなかったのよ~。あ。遊牧民の皆ってどーしてるのかしら? 元気? …って亡くなってるけどね~♪」
そう語り掛ける露にその男性は、温和な笑顔で応えていく。
――もう寂しくはないけど、後でしんみりしないよーに精一杯……。
露はこれでもかーと言わんばかりに、つかの間の彼との会話を楽しむのであった。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
【外邨家】
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』(外邨義紘)
一人称:私 のほほん
想い人:先代頭領たる父・明嘉(あきひろ)
今年中に片付けたかったんですよー。ねえ、父上
『一代限りの剣豪』を許すために教えていなかった『暗殺』を、『予想外の事態で、外邨に本当に不要となってしまい』精神的に追い詰められた私(当時十五)が成功させてしまって
最善模索(母の命と引き換えな『死を許さぬ加護』+クルワの決断)が最悪(若い鬼の誕生。人は餌)を呼びそうになったぎりぎり(当時十七)で、長期護衛任務を命じて
そのお陰で、この年(五十)まで人間やってました
暗殺のために作り上げたこの性格も、何だかんだで素になりましたし
外邨・蛍嘉
【外邨家】
想い人:先代頭領たる父・明嘉(あきひろ)
まあ、たしかにね。報告もあるし
ああ、父上。今の義紘、理由あって髪色があるんだよ(元は銀灰色)
外邨で双子は忌み子。性別違えば生き残るは女(子が確実に外邨になるため)
母の命がけの加護で、生き残ったけどさ、義紘
うん、クルワを宿すのは、本来は兄の義紘だったのに。クルワが見た未来が『老女の鬼になる私(人間に友好的)』だったからと
そうそう、父上。神隠し被害者だった母(羽衣人)の故郷たる世界に至ったよ
あと、まぼろし橋で母に会ったよ。私の髪色、母からだったんだね。意外と義紘にも似てた
※
「義紘…?蛍嘉…?は?え?どういうことだ」
戸惑う明嘉。青の入った黒髪黒目
次にこの地にやってきたのは、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)と、外邨・蛍嘉(雪待天泉・f29452)。双子の兄妹な二人の前に現れたのは。
『義紘……? 蛍嘉……? は? え? どういうことだ?』
青の入った黒髪に、黒い瞳のしっかりとした体格をした……。
「今年中に片付けたかったんですよー。ねえ、父上」
「まあ、たしかにね。報告もあるし……ああ、父上。今の義紘、理由あって髪色があるんだよ」
そう、二人の実の父である明嘉だ。
「『一代限りの剣豪』を許すために教えていなかった『暗殺』を、『予想外の事態で、外邨に本当に不要となってしまい』精神的に追い詰められた当時十五の私が成功させてしまって。最善模索――母の命と引き換えな『死を許さぬ加護』とクルワの決断――が最悪――若い鬼の誕生。人は餌――を呼びそうになったぎりぎりの当時十七の私で、長期護衛任務を命じて」
「外邨で双子は忌み子。性別違えば生き残るは女……。そう、母の命がけの加護で、生き残ったけどさ、義紘は」
二人が語るのは、昔の思い出話。
「クルワを宿すのは、本来は兄の義紘だったのに。クルワが見た未来が『老女の鬼になる私――人間に友好的――』だったからとね」
「そのお陰で、この年……五十まで人間やってました。暗殺のために作り上げたこの性格も、何だかんだで素になりましたし」
そう報告する二人に驚きながらも、父、明嘉は、そうかそうかと二人の話に楽しげに耳を傾けていた。
「そうそう、父上。神隠し被害者だった母――羽衣人――の故郷たる世界に至ったよ」
『ほほう、して、その世界はどんなところだ?』
世界の話を義透がして。思い出したかのように、蛍嘉がもう一つ報告した。
「あと、まぼろし橋で母に会ったよ。私の髪色、母からだったんだね。意外と義紘にも似てた」
『な、なにっ!? 母さんに会ったのか!? そのときのことを、もっと詳しく教えてくれ!!』
父は向こうで母に会えなかったのか? ふとした疑問が浮かぶが。
「ええ、いいですよ」
「母は父上に意地悪なのかね?」
くすくすと笑いながら、二人はこうして、まぼろし橋で母と出会った時のことも語ってやるのであった。
大成功
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ジェイミィ・ブラッディバック
【アドリブ歓迎】
想い人:前職の先代社長(ゴードン・ブラッディバック)
お元気ですか、先代社長
おかわりないようで何よりです
私の今の名の名付け親と、また再会できようとは
最後にお会いしたのは3年前、私が退職した3ヶ月後に亡くなられたと聞いて驚いたことを覚えてます
現在の社長ですか、いやはやなかなか破天荒な方ですよ
彼女のお祖父様の血を立派に受け継いで辣腕を振るっております
そう言えば、貴方は彼の右腕でしたか
えぇ、同様に支えてみせますとも
さて…私はそろそろ行かねば
猟兵としての務めを果たしにね
…私には家族の概念がよくわからないのですが、父親というものがいるのならば、それはきっと、貴方でしょうな
では、行ってきます
そして、ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)の前に現れたのは。
「お元気ですか、先代社長。おかわりないようで何よりです」
『君も、な』
前職の先代社長である、ゴードン・ブラッディバックだ。
「私の今の名の名付け親と、また再会できようとは。最後にお会いしたのは3年前、私が退職した3ヶ月後に亡くなられたと聞いて、驚いたことを覚えてます」
二人は近くに腰掛け、思い出すかのように語りだすのは、ジェイミィ。
『驚かせるつもりはなかったんだがね。……それにしても、今の社長はどうかね』
ゴードンが尋ねると。
「現在の社長ですか? いやはや、なかなか破天荒な方ですよ。彼女のお祖父様の血を立派に受け継いで、辣腕を振るっております。……そう言えば、貴方は彼の右腕でしたか。えぇ、同様に支えてみせますとも」
『それは頼もしい……他にもいろいろ聞かせてくれ』
そう言われ、ジェイミィは、ゴードンに今までのことを事細かく語ってゆく。
ふと、ゲイン塔に日が差してきた。そろそろ夜明けのようだ。
そして、先ほどまで感じられた大祓骸魂の気配も、ずいぶん、薄まったかのように思える。
それを感じながら、名残惜しそうにジェイミィは立ち上がった。
「さて……私はそろそろ行かねば、猟兵としての務めを果たしにね。……私には家族の概念がよくわからないのですが、父親というものがいるのならば、それはきっと、貴方でしょうな」
『それは光栄だな。……気をつけてな』
その声を受けて、ジェイミィはもう一度、振り返った。
「では、行ってきます」
最後の一人が終わった。
それと同時に、大祓骸魂の姿もすうっと消え去っていく。
こうして、猟兵達の浄化により、この地の大祓骸魂もまた、祓うことができたのであった。
大成功
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