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朽ちゆく剣の碧き追憶

#クロムキャバリア

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#クロムキャバリア


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 ――鋼鉄のダンジョン。

 本当に鋼鉄製というわけではない。壁面を構成するのは鈍色の未知なる金属素材だ。
 それでも、この複雑に入り組んだ構造を持つ超古代の遺跡は、思わずそんなおとぎ話めいた表現を使ってしまいたくなるような現実離れした威容をそなえていた。
 例えば冒険者たちがパーティを組んで地下迷宮を探索し、内部に潜む怪物と戦いながら最奥を目指す……そんな物語で溢れる世界なら、きっと驚くことではないだろう。
 だが少なくともこの世界、鋼の騎兵が闊歩するクロムキャバリアにおいては別だ。

「古代魔法文明時代の遺産……いったい何の施設だったのでしょう」
 遺跡探索用にカスタマイズされた量産型キャバリア『ディアンディ』を慎重に前進させながら、そのコクピット内でウィズリー博士は無意識に眼鏡を指先で押し上げた。
 まだ三十歳にも満たない彼女がこの未知なるプラントが眠る古代遺跡の調査団を任されたのは、先史文明の遺失テクノロジーに関する論文が高く評価されたためだが、こうして考えに没頭する時に眼鏡をいじるのは無名の研究者時代から一貫して変わらない癖だ。
「ウィズリー博士! こちらです!」
 先行していた隊員のディアンディから通信が入り、彼女の思考は現実に引き戻された。
 遺跡内の通路は入り組んでこそいるが、幅も高さも複数のキャバリアが隊列を組んで進めるくらいに統一されていた。元々キャバリアの運用を前提としているのだろう。
 鉄の巨人となって迷宮を彷徨うと、自分がおとぎ話の冒険者だと錯覚しそうになる。
 ウィズリーは柄にもない感傷的な想像を振り払い、キャバリアを目的地へ進めた。

 辿り着いたその先は、地底に存在するのが信じ難いほど広大な空間だった。
「これは……まるで、巨人の墓場ですね」
 あたりを見渡せば、乱立する巨大な影。それら一つ一つが古代魔法文明時代に造られたサイキックキャバリアの成れの果てであることは、誰の目にも明らかだ。
 しかしウィズリーは、この大部屋の最奥に佇む存在に心惹かれるものを感じた。
 大剣を床に突き立てて跪く騎士型のキャバリア。
 装甲はブロンズ像めいて緑青色に劣化しているが、凛然たる姿は往年のままだろう。
 ふと気付いた時には既に、ウィズリーは搭乗していた機体から降りて緑青の騎士の元へと歩み寄っていた。プラントが稼働しているから酸素は十分供給されているようだ……本来真っ先に確認すべきそのことを、騎士を見上げる位置に至ってようやく思い出す。
「博士、危険です! まだ機体が動く可能性も――」
 呼び止める声も耳に届かない。それ以上に強く心へ働きかける言葉が、目の前の巨人から響き続けている。独りでに動いた掌へ乗り、ウィズリーは騎士と視線を交わす。

『我が名はヴェルディグリース。王国の剣は未だ折れず、全ては忠義を果たさんがため』

 その言葉を発したのは彼女か、あるいは巨人か。
 搭乗者を迎え入れた翠の騎士が、幾千の時を越えてクロムキャバリアの大地に立つ。

 ☆ ☆ ☆

「皆の者、迷宮探索である」
 私物の椅子に腰掛けたまま、ツェリスカ・ディートリッヒ(熔熱界の主・f06873)はグリモアベースに集まった猟兵たちへと語りかける。
「この手の依頼は、我が故郷アルダワであれば珍しいものではないのだがな。此度の予知は鋼鉄の世界クロムキャバリアでのものである。恐らく、一筋縄では行くまい」
 ツェリスカが指を弾くと、独りでに開いた魔導書から立体映像が投射される。
 岩山に埋もれたそれは現代文明の建築物ではなく、古代の遺跡の入り口であるようだ。
「クロムキャバリアでは、食料を含む資源のほとんどをプラントと呼ばれる生産施設からの供給に頼っているのは知っているな。かの世界の国家群においては保有するプラント数こそ国力そのものであり、人民にとっても生活を支える基盤となっているのだ」
 プラント自体の製造技術は既に失われており、新たなプラントを手に入れる方法は他国から奪うか、いずれの勢力にも属さない施設を発見するかの二択となる。未知のプラントの探索は一大事業であり、今回の事件もそうしたプロジェクトが発端のようだ。

「先日、この遺跡内で反応が検知された未知のプラントを探索するため調査団が派遣されたが、内部に突入した者全員が消息を絶った。この遺跡は地下ダンジョンめいた構造となっており、残された調査団のメンバーで救出に向かうのは困難。つまり我らの出番だな」
 調査団のリーダーを務めるのは古代魔法文明の遺失テクノロジーを研究しているウィズリー博士。予知によれば、彼女はダンジョン内で古代のサイキックキャバリアの搭乗者となってしまっており、救出するには遺跡の最深部まで向かわなければならない。

「予知による断片的な情報によれば、博士が接触した機体は古代魔法文明時代の騎士型キャバリア『ヴェルディグリース』。どうやらマシン自体が騎士としての人格を有しているらしく、博士は搭乗したというより取り込まれたというほうが正しいようだ」
 古代文明の遺産に相応しい戦闘力を有する機体だが、膨大なサイキックエナジーを必要とするため搭乗者への負担も常軌を逸している。あまり時間の猶予はない。
「他の調査団メンバーも同様に遺跡内でキャバリアに囚われているだろう。汝らの任務は鋼鉄のダンジョンを踏破し、敵機群を撃破して行方不明者を救出することだ。遺跡内はキャバリアでも問題なく行動できるほどに広いから、心して挑むのだぞ」
 ツェリスカは期待を込めた眼差しと共に、猟兵たちを迷宮の門へと送り出す。


滝戸ジョウイチ
 ご無沙汰しております、滝戸ジョウイチです。
 今回は古代魔法文明が造り上げた地底ダンジョンを探索し、最奥で待ち構える呪われし騎士を打ち倒して人々を救出するシナリオです。
 ……あらすじだけだとアルダワ魔法学園かアックス&ウィザーズみたいですが、舞台はクロムキャバリアなのでお間違えなく!

●シナリオ概要
 冒険→集団戦→ボス戦の全三章構成です。
 第一章で鋼鉄の迷宮を探索し、第二章で群がる敵と戦闘し、第三章で緑青の騎士と対峙するという、至って王道のダンジョン踏破ものになるかと思います。
 迷宮のあらゆる部分がキャバリアを基準としたスケールであり、現れる敵もまた全てが巨大なオブリビオンマシンである、という点を除けばですが。

●ダンジョンについて
 山岳地帯に半ば埋もれている古代魔法文明時代のプラント遺跡です。
 本来何の施設であったかは不明ですが、迷宮のように入り組んだ通路は全て5m級のキャバリアが問題なく通行できるようなスケールで統一されています。
 なおダンジョンの壁や天井は全て未知の金属素材で構成されており、ユーベルコード等による破壊は極めて困難です(壁に穴を開けてショートカットするといった手段は取れませんが、戦闘中に遺跡が倒壊する危険は無いということでもあります)。

●キャバリア貸与について
 希望があれば調査団仕様の量産型キャバリア『ディアンディ』が貸与されます。
 鎧を纏ったファンタジーの冒険者的な外装で、パワーと頑丈さに優れた機体です。
 基本装備はRXキャバリアソードとEPキャバリアシールドの前衛型ですが、アイテムとして実装されているキャバリア兵器なら自由に装備させて構いません。
 もちろん、自身のキャバリアや同サイズ以下の乗り物を持ち込むのもOKです。

●シナリオ進行について
 各章の最初に導入が追加された時点からプレイングを受け付けます。
 締切はおおむね章開始から三日が目処になると思います。具体的な期日はタグにて追記しますので、随時ご確認ください。
 なお第二章以降から参加される方はグリモアベースからの援軍として描写しますので、途中からでも気後れすることなく参加していただければ嬉しいです。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『地下進撃』

POW   :    多少の損害は無視して強行突破

SPD   :    最短ルートを突き進む

WIZ   :    状況を推理、考察しながら慎重に進軍する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 クロムキャバリアの古代魔法文明時代について、現状で分かっていることは少ない。
 それでも当時、超能力をリソースとする技術体系が存在していたことは知られている。
 現在用いられているサイキックキャバリアは、ほとんどが発掘品かレプリカだ。
 今回の遺跡の最奥で待ち構えるのは、旧文明の正真正銘オリジナルということになる。

 現地へ転移した猟兵たちは、目の前にそびえる青錆びた遺跡の門を見上げる。
 勇ましい騎士のレリーフが刻まれた両開きの扉は、既に開け放たれていた。
 こうして実際に目の当たりにしてみると、この遺跡の巨大さをまざまざと実感する。
 門の部分だけでも、高さは目測で自分の身長の優に十倍はありそうだ。
 内部の通路が全く同じ寸法というわけではないだろうが、それでもスケールが違う。
 キャバリアという巨人のための門を前にして、自分が小人になった錯覚すら覚える。

 遺跡の内部は鈍い色の金属素材で構成されていて、一定間隔ごとに光源が灯っている。
 深部のプラントが稼働状態にあるためか、空気の心配はしなくてよさそうだ。
 それぞれの階層はエレベーターで繋がっていて、目的地は最深層だと聞かされている。
 罠が仕掛けられていたという報告はないが、巨大かつ複雑な構造はそれだけで脅威だ。
 加えて、放棄された当時のキャバリアの残骸が、障害物となって行く手を阻む。
 ここで万が一道に迷いでもすれば、任務失敗どころか自身の脱出すら覚束ない。
 最初の関門は、この鋼鉄の迷宮をいかにして迅速かつ確実に踏破するかだろう。

 緑青の騎士が待つ最奥を目指し、猟兵たちは門をくぐって遺跡へと足を踏み入れる。
シル・ウィンディア
古代魔法文明かぁ
冒険者としては、遺跡はワクワクしちゃうよね
サイキックキャバリアの事なら、わたしのブルー・リーゼの事もわかるかな?

自動光源とか文明レベルは高かったんだろうなぁ~
なんとなく、A&Wの関係の技術とかあったりしてね

さて、迷わないようにしないと…
マッピングを行いつつ移動だけど
一人だと迷いそうだから、ここは…

【高速詠唱】でシルフィード・チェイサー!
シルフィード、先行偵察よろしくねっ!

情報共有を行いつつ、移動経路をキャバリアのコンピュータにデータ入力していくね
こまめなマッピングは、冒険者のたしなみだしね

障害物は、どけられるならどけて
無理なら、ビームセイバーで【切断】していくよ

※アドリブ歓迎


ノエル・カンナビス
古代のサイキックキャバリアですか。

とはいえ、言ってしまえば技術体系が違うだけで、
あちらからすれば私達の新技術も魔法みたいなものでしょう。
未知に恐れず変化に臆さないのが文明人の神髄、
相手が何でも大差ありません。

とはいえ、未知に備えないのは無謀というものです。
頑丈だというディアンディをお借りして行きましょう。
パルスマシンガンと弾薬カートリッジもお願いします。

私のエイストラはリンクが充実しているので、
リモート制御で支援機として後続させます。
センサー系を使って地形を記録していけば自動的に
精細地図が出来上がりますから苦労もありません。
統合センサーなり通信なりで何かを見付けるまでは、
下を目指すだけです。



 調査団のトレーラーが搬入してきた量産型キャバリア『ディアンディ』は、質実剛健を地で行く機体だった。軍用キャバリアに比べれば物足りない部分もあるものの、過酷な調査任務では何より故障しにくいタフなマシンであることが求められるのだろう。
 希望したオプション武装を装備し終えて、ノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)は軽くディアンディの手足を動かしてみる。反応は問題なし、操縦系統にも特に癖はなく、扱いやすい印象を受ける。愛機『エイストラ』とのデータリンクも良好だ。
「最深部で待つのは古代のサイキックキャバリア、ですか」
「古代魔法文明かぁ。冒険者としては、遺跡はワクワクしちゃうよね」
 通信画面越しでも、シル・ウィンディア(青き閃光の精霊術士・f03964)が瞳を輝かせているのは一目で分かった。彼女の愛機である精霊機『ブルー・リーゼMk-Ⅱ』は無骨なディアンディとは対称的にスマートな機体だ。シルが青と白でカラーリングされたマシンを前進させて遺跡の門をくぐると、動きに反応したのか通路内の光源が明るさを増す。
「やっぱり文明レベルは高かったんだろうなぁ~。あの灯りも魔法で動いてるのかな」
「魔法といっても、言ってしまえばこの時代の文明とは技術体系が違うだけでしょう。
 私達の新技術も、あちらからすれば魔法みたいなものなのかもしれません」
「そういうものかな?」
「そういうものです」
 ノエルのディアンディが続けて遺跡内へ侵入し、リモート制御のエイストラがその後に続く。他の猟兵も次々に足を踏み入れたが、巨大な門はそれらを容易く迎え入れた。

   ▼  ▼  ▼

 遺跡内の通路は事前の情報に違わず、まさしく鋼鉄のダンジョンだった。
 迷路のように入り組んだ構造というだけでなく、いくら進んでも代わり映えのしない画一的な内装は人の距離感を狂わせる。準備を怠れば、たちまち遭難してしまうだろう。
「ここは……シルフィード、先行偵察よろしくねっ!」
 召喚者であるシルの言葉に頷いた風の精霊シルフィードが、文字通り風のように通路の先へと飛んでいった。感覚を共有して受け取った移動経路をブルー・リーゼのコンピュータに入力しながら慎重に進んでいけば、気分はいよいよ迷宮に挑む冒険者だ。
「なんとなくだけど、アックス&ウィザーズ関係の技術とかあったりしてね」
 シルの独り言はほとんど思いつきだったが、実際あり得ない話でもない。異世界から技術が漂着した可能性はあるし、何より旧文明については未知の部分が多すぎる。
 偵察で既に行き止まりだと判明している通路から脇道へと方向転換し、猟兵たちは更に奥へと進んでいった。時折見かけるキャバリアの残骸はこの遺跡が造られた当時のものなのか、それとも後の時代の侵入者が途中で力尽きた成れの果てなのか。

「エイストラの統合センサーシステムでも、壁越しのサーチは不可能なようですね」
ノエルが、通路の壁面をキャバリアの拳で器用にノックしてみせた。響いた金属音は予想していたよりも小さく鈍い。通路を構成している金属素材は、何らかの原理で衝撃を吸収しているのだろう。壁の向こうは実際に裏側へ出向いて確認するしかない。
「とはいえ、未知に恐れず変化に臆さないのが文明人の神髄。問題はありません」
 遠隔制御によってディアンディに随伴しているエイストラは、常にセンサーで感知した周囲の情報を精細に記録している。自機を中心とした緻密な立体的マッピングだ。
 サーチの及ばない部分にシルの精霊や僚機からのフィードバックを反映させれば、いかに複雑な迷宮であろうとも正確に構造を把握し、着実に前進してゆける。
「統合した地形データを各機へ送信。この調子なら苦労することなく進めるでしょう」
「こまめなマッピングは冒険者のたしなみだからね。やっぱり基本は大事、っと」
 朽ちたキャバリアの残骸が突然倒れかかって来るのを、シルのブルー・リーゼが咄嗟に受け止めた。周囲に稼働状態の敵機が存在しないことは既に確認済みだ。いきなり鉄塊が崩れてくれば驚きもするが、猟兵たちの行く手を阻むほどのものではない。

「……あ、シルフィードがエレベーターを見つけたみたい!」
「それは僥倖です。周囲に罠もないようですし、このまま向かいましょう」
 ブルー・リーゼの先導で目標地点に向かうと、確かにエレベーターはそこにあった。
 もっとも、複数機のキャバリアが纏めて乗り込めるほどの巨大なものだ。プラントからエネルギーが来ているのか、レバー操作で問題なく使用できそうだった。
「ありがとね、シルフィード。それじゃ、いざ次の階層へ!」
 迷宮の序章を難なく踏破して、鋼の冒険者たちは更なる深部へと向かう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セルマ・エンフィールド
小人になった気分ですね。
高さだけでなく迷宮の大きさもキャバリア基準とすると、歩いて踏破するのは骨が折れますね。

【狼の冬】を使用、氷の狼を呼び出し、騎乗してダンジョンを進みます。
人海戦術でいければよかったのですが、この後の戦闘も考えると常に出せるのは一体が限度ですね。
下が土であればもっと分かりやすかったのですが……ここでも邪魔な瓦礫を退けた跡や扉を開けた痕跡は残る。最近誰かが通った跡を『追跡』していけば調査団の元に辿り着けるでしょう。

道が分かれており、さらにどちらに調査団が進んだか分からない場合には氷の狼を増やし、それぞれ先行させて正しい道を見つけさせ、私はその間休息を取ります。


杼糸・絡新婦
キャバリアは貸し出してもらう。

こういう所でキャバリア乗って遺跡迷宮探索とか
なかなか面白いことやね。
しかも騎士さんまでおるとなると、
何かを守ってるのか、はてはて。

SPD行動
錬成カミヤドリで鋼糸・絡新婦を召喚し
進む道に定期的に印をつけていき進んでいく。
罠や隠し通路のようなものがないか、
【野生の勘】で注意し観察、
迷宮の構造を【情報収集】しながら、目的地を目指す。
他の猟兵がおるなら、お互い通った道の情報共有をする。


ルージュ・リュミエール
古代魔法文明って一括りにしても時代や国によっては全然違うぞ?
サイキックキャバリアだってモノによっちゃ使用技術が別物だろ、超能力や魔法にあるいは超科学とかな
少なくとも、この遺跡は……多少似てる形式は知ってるがアタシの知らない国の遺跡だろうな
だがまぁ、ある程度予測は出来るな。多分こっちが近道だろ
あ?あー、なんで分かるかって?
似たような遺跡、いや当時は遺跡じゃなくてバリバリ現役の地下砦だったが、ともかくそういうのを幾つか攻略したことあったからな
そういう単なる経験則だよ
まぁそうだな、信じる信じないは別としてアタシは古代魔法文明時代の人間だよ
当時は勇者一行や英雄とか言われてたが、今じゃマイナーな伝説さ



 滑るように下方へとスライドしたエレベーターが、やがて音もなく静止する。
 遥かな時を経たとは思い難いほど滞りないその動きは、文明の異質さを物語るようだ。
 猟兵たちは周囲を警戒しながら、新たなる階層へと慎重に歩みを進めた。
 壁面の構成材は以前と同じく未知の金属素材。迷宮の構造にもさほど違いは無い。
 強いて言うなら、上階に比べてフロア内の装飾が目立つようになったことぐらいか。

(それにしても、本当に小人になった気分ですね)
 駆動音を響かせて前進する猟兵たちのキャバリアを足元から見上げ、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は内心で呟いた。全高約5mの巨人が隊列を組む姿はそれだけで圧巻だが、その行軍を可能とするのはこの古代遺跡の巨大さに他ならない。
 セルマはユーベルコード『狼の冬』で召喚した氷の狼に跨り、味方のキャバリアに踏み潰されないよう気を遣いながら進んだ。狼には術者の戦闘可能時間を削るというリスクがあるが、この迷宮を徒歩で駆けずり回ることに比べれば些細な代償と言えるだろう。
『周囲に罠の気配は無し、と。こないに広いと調べ回るだけでも難儀やね』
 隣を歩く量産型キャバリア『ディアンディ』の外部スピーカーを通して、杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)が鷹揚に呟いた。マイペースな口調ではあるが、その機体からは光を反射して鮮やかに輝く無数の鋼糸が伸び、周囲を探っては壁面に印を付けている。
 いざという時はこの印を逆に辿ってゆけば、少なくとも遭難はしないで済むだろう。
「ですが、大まかな道筋は推測できます。床が土であれば分かりやすかったのですが」
 セルマを乗せた狼がキャバリアの残骸の間を縫って走る。よく観察すれば、周辺の瓦礫は不自然に偏った配置をしていた。どうやら何者かが強引に押しのけたようだ。
「ふぅん。つまりこの道を調査隊が通ったのは間違いないってことか」
 ルージュ・リュミエール(英雄の亡霊・f32238)はひとり頷きながら、瓦礫のひとつを拾い上げた。朽ち果ててはいるが、恐らくは旧文明のサイキックキャバリアの成れの果てだろう。一方この瓦礫をどかしたのは現代のキャバリア、調査団の機体に違いない。
「ええ。調査団が更に下層へ到達しているのなら、痕跡を追えば辿り着けるはずです」
『生身ならいざ知らず、キャバリア乗って探検すれば嫌でも跡が残りますわな』
 今にも崩れそうな残骸を鋼糸で壁に固定しつつ、絡新婦のディアンディが瓦礫の隙間を縫って進む。ルージュは拾ったキャバリアの破片をしばらく感慨深そうに眺めていたが、おもむろにそれを元の山へと放り投げてから仲間たちの後に続いた。

   ▼  ▼  ▼

 しばらくの間、探索は極めて順調に進んでいった。
 いくら遺跡が巨大とはいえ、複数のキャバリアがパーティを組んで移動した痕跡を探すのは決して難しいことではなかった。瓦礫をどかした跡だけでなく、扉を開閉したりスイッチを起動させた跡、時には隊員たちが休息をとった痕跡を見つけることも出来た。
「見たところ、戦闘やら罠があったってわけではないみたいやねぇ」
 絡新婦の言う通り、調査団の探索は大きな波乱もなく――出口の見えない巨大な迷宮内を右へ左へ彷徨うのが波乱のうちに入らないならだが――着実に進んでいたようだ。
 予知でウィズリー博士が緑青の騎士に取り込まれたフロアに、他の調査団員たちも欠けることなく到達していた。彼らは今もその階層で囚われているのだろうか。
「あるいは博士同様サイキックキャバリアに取り込まれているか、ですね」
「まったく、古代魔法文明とやらも随分とおっかない遺産を残してくれたものやね」
 古代魔法文明という単語が出たところで、先行していたルージュが振り返る。
「……古代魔法文明って一括りにしても、時代や国で技術も文化もまったく別物だぞ。
 サイキックキャバリアだって、超能力や魔法に超科学……同じ原理で動くとは限らん」
 思いがけない視点からの意見に、周りの猟兵たちは思わず目を瞬かせる。
「まるで見てきたみたいに言うんですね」
「まぁ実際、ここと似たような地下砦はいくつか見てきたからな……おっと」
 ルージュが足を止めた。分かれ道だ。右か左、どちらにもつい最近キャバリアが通過した痕跡がある。恐らくは外れの道を選び、分岐点まで引き返してきたのだろう。
 同じようにひとまず当たりをつけて進んでみる手もあるが、この一刻を争う状況でタイムロスの危険は冒せない。一発で正解の道を選ぶための工夫をすべき場面だ。
「ここは、私の狼をそれぞれの道へ先行させて偵察しましょう」
セルマは『狼の冬』を再使用し、氷の狼をもう一匹召喚した。頭数が倍になればそのぶん代償も増えるが、間違ったルートを進むよりは結果的に無駄が少なくなるはずだ。
 二頭の狼が分かれ道の両側へ走り去るのを見送り、ルージュはふと一方の道を指した。
「んー……。単なる経験則だが、多分こっちが正解だな」
「それも見てきたことがあるから、と?」
「まぁそうだな、信じる信じないは別としてアタシは古代魔法文明時代の人間だから」
 さらりと言ってのけるルージュに、絡新婦は改めて視線を向けた。
「人間、ねぇ。自分はてっきり同類さんかと思ったんやけど」
「同類? 変な表現をするんだな。当時は勇者一行とか言われてたがね」
 自分と同じヤドリガミの気配を感じたような気がするとも言えず、絡新婦がさてどうしたものかと思案したところに、ちょうど狼たちが戻ってきた。どうやらルージュが指したルートが正解だったようだ。一行は再び出発の準備を整え、分かれ道を右へ進む。
(それにしても地下砦ね。騎士さんまでおるとなると、何かを守ってるのか、はてはて)
 絡新婦はそこで思考を切り上げた。いずれ答えはこの道の先で明らかになるだろう。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エミリア・ジェフティー
古代の魔法時代の、しかもプラント関係かもしれない遺跡
猟兵としての立場以上に、本職の立場的にこれは見過ごせないですね!
人助けのついでに、私もこっそりと調査に一枚嚙ませて頂きましょうか

早速、オウルアイを最大稼働させましょう
電磁波、念動波、その他あらゆる性質のレーダーで遺跡内を広域【情報収集】です
救助対象の事を考えるとあまり時間も無いですし、
対象への最短距離の割り出しを優先で調査しましょう
行く手を阻む残骸は【念動力】で動かしたりして、ささっと道を切り開きます

…さて、これだけ全力で調べたんですから多少は時間の余裕もできたでしょう
移動がてら、この遺跡のデータを徹底的に集めてやりますよ


知富・迅
『女性のピンチは見過ごせないぜ。時間の猶予も無いようだしモタモタしていられないな。』

連携歓迎

キャバリアはもちろん愛騎で参加

最短ルートを突き進みたいが、闇雲に進んでも時間がかかるだけだ。

『こういう場所は得意じゃないが愚痴ってもしかたない…風よ力を貸してくれ。』
聖霊の力で迷宮内に風を送り込み【風の囁き】で、迷宮の構造や調査団の痕跡を《情報収集》して仲間たちと最短ルートを探しだすよ。

博士たちの状況を考えると一刻も早く辿り着きたいから、無茶をしてでも最速を目指すぜ。


支倉・錫華
古代魔法文明時代の遺跡と遺産……。
魔法というよりはオーバーテクノロジーやオーパーツみたいなイメージを受けるね。
オリジナルのサイキックキャバリアっていうのもまだ見たことないし、そこはちょっと楽しみかな。

キャバリアは『ディアンディ』を借りていくね。
アミシアにはいっしょに行ってもらって、マッピングと情報の整理をしてもらいたいな。

いっしょに行ってるみんなと情報を共有して、遺跡の地図を作っちゃおう。
本格的な探索は、救助後になるだろうけど、地図があればやりやすいよね。
しっかりした地図ができれば、隠し部屋とかもみつけられるかもしれないし。

あとはトラップ系かな。
なにがあるか解らないし感覚を研ぎ澄ましていこう。



 幾度目かのエレベーター移動を経て、猟兵たちは更なる深層へと到達した。
 遺跡の奥へと進むほど、迷宮の構造は加速度的に複雑なものとなって来ている。
 このダンジョンが侵入者を拒むためのものであるというのは、既に疑いようもない。
 この先に存在するというプラントを守るためなのか、それともそれ以外の何かか。
 いずれにしても、今の猟兵たちにとって前進以外の選択肢は存在しない。

「……そろそろ、目的の階層も近いんじゃないか?」
 風神騎《天嵐葬覇》のコクピットハッチを開放し、知富・迅(破邪の疾風・f33576)は額の汗を拭った。いくら乗り慣れた愛機であるとはいえ、キャバリアに搭乗したままで長時間の迷宮探索は心身に負担が掛かる。小休止を挟みながらの強行軍だ。
「ですね。今のとこ結構順調に来れてますから、多少は時間の余裕も作れたでしょう」
 同じく機体を停めて体を休めつつ、エミリア・ジェフティー(AnotherAnswer・f30193)は愛機『セシャート』のオウルアイ――万象を見通す情報収集演算装置による探査を怠らない。高い汎用性を誇るセシャートは索敵能力も折り紙付きだ。遺跡の壁はレーダーを遮断するようだが、それでも移動可能な範囲なら詳細な情報が随時収集され続けている。
「あ、探査データは受け取ったよ。アミシア、マッピングの更新お願いね」
 エミリアから送信された情報を解析に回し、支倉・錫華(Gambenero・f29951)はコクピット内で一息ついた。調査団から貸与されたキャバリア『ディアンディ』は現場での実用本位な機体で、そのぶん特に情報処理に秀でているわけではないため、膨大なデータの分析は錫華のパートナーであるAI『アミシア・プロフェット』の能力あってのものだ。
『データ更新完了しました。全体図を表示します』
 程なくして、解析を終えたアミシアが最新のデータを反映させた立体マップを表示させた。第一層から現在地までの経路は改めて俯瞰すると思わず気が遠のくほどに複雑だが、猟兵たちはユーベルコードとキャバリアの性能を駆使して効率的に探索を進められている。先程エミリアが口にした通り、当初の試算よりも時間的には余裕があるはずだ。
「本格的な探索は救助後になるだろうけど、地図があればやりやすいよね」
「この奥にあるっていうプラントを運用するなら、今後も人の往来はあるだろうしな」
 プラント施設は文字通りこの世界の生命線だ。他国との諍い無しに新たなプラントを運用できるとなれば、いかなる危険でも冒す価値はあると考える者は少なくない。
 今回の調査団が無事帰還できれば、次はプラント施設を実用段階へ持っていくためにエンジニアが送り込まれるだろう。今回の地図データはその時にこそ有用であるはずだ。
「……よし、そろそろ出発しようか。あまりモタモタしてるわけにはいかない」
 迅はハッチを閉め、天嵐葬覇を再び起動させた。周囲の巨兵達も続々と立ち上がる。
 目的地は恐らくすぐそこだ。逸る気持ちを抑えつつ、探索が始まる。

   ▼  ▼  ▼

「こういう場所は得意じゃないが愚痴ってもしかたない……風よ、力を貸してくれ」
 迅のユーベルコード『風の囁き(シルフィード・ヴォイス)』により、迷宮内の大気から調査団の痕跡を見つけ出す。通路の途中で不自然に途切れているのは、壁の向こう側へ移動したということだろうか。エミリアのセシャートが探査すると、確かに操作された形跡のあるスイッチが見つかった。押し込むと壁面が両側に開く……隠し通路だ。
「それにしても、こんな遺跡の中に風の流れがあるのは不思議だね」
「言われてみれば、確かにちゃんと呼吸できる空気も供給されてるしな」
 遺跡内にこうして空気が存在するからこそ『風の囁き』で情報を集めることも出来るが、この空気は恐らくプラントによって生産されたものだ。プラントのみならず遺跡のシステムそのものも幾千の時を経て未だ問題なく稼働するというのは、驚くべきことだろう。
「旧文明の遺産……魔法というよりオーバーテクノロジーみたいな印象を受けるね」
「どういう技術で施設を維持しているんでしょう。仕事柄、気になります」
 未知の技術に関するデータ収集を生業とするエミリアにとって、この遺跡で得られる情報は値千金のものともなり得る。内部を構成する頑強な金属素材といい、半永久的に稼働可能な状態を維持するシステムといい、"研究都市"の科学者が喜びそうな話だ。
 エミリアはオウルアイの機能をフル稼働させ、周囲の探索と並行して遺跡のデータを拾いながら進む。これくらいの役得はあってもバチは当たらないだろう。
「オリジナルのサイキックキャバリアってまだ見たことないし、ちょっと楽しみかな」
「中に博士が囚われてるっていうんじゃなければ、純粋に喜べるんだけどな」
 今この瞬間も危機的な状況に陥っている博士のことを考えると、迅の足取りは無意識に早まった。サイキックキャバリアの運用に適性が必要なのは、風神騎を駆る迅自身がよく知っている。ウィズリー博士にサイキックの素養があるのかは分からないが、一介の研究者が戦闘用キャバリアの高出力に耐えられるとも思えなかった。
『データを更新しました。このフロアの下層に、巨大な空間があると推測されます』
「ありがと、アミシア。いよいよだね」
 最後のエレベーターは、外見上はこれまでの階層と変わらない造りに思えた。
 だが猟兵たちを載せて動き出したそれは、これまでとは比較にならないほど深くへ潜っていく。一瞬にも永遠にも感じられた時を経て、一行が降り立ったその先は。
「……まるでお城か、聖堂の中みたいですね」
 鈍く輝く金属で形作られたアーチ状の天井、壁に彫り込まれた華美なレリーフ。
 そのスケールに圧倒されながらも、猟兵たちは目標地点へと足を踏み入れる。 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『修復型マグゥルMk10』

POW   :    増殖スル脅威
【同型機】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[同型機]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    進化スル憎悪
【同型機と合体し自ら】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    放タレタ殺意
レベル×5本の【無】属性の【ビーム】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 降下した先は、アーチ型の天井を有する広大なドーム状の空間だった。
 底面から頂点までの距離は、概算でこれまでの数階層分にも及ぶだろう。
 そして壁面から天井、柱の一本一本に至るまで、細やかな装飾が施されていた。
 少なくともここが単なる軍事拠点だったとは思えない、どこか荘厳さすら感じる。

 猟兵たちは周囲を警戒しながら、ドーム内部を慎重に前進する。
 予知でウィズリー博士がキャバリアに囚われたのは、恐らくこの空間だろう。
 やがて猟兵たちは、ドーム空間の最奥に一際巨大で重厚な門が存在するのを確認した。
 王と騎士の物語を一面にレリーフとして彫り込んだ扉は、過剰なまでに堅強だ。
 その奥で守られているのはプラントだけではないのだろうか。

『歩みを止めよ。既に貴殿らは、我らが王国の領土に踏み込んでいる』

 突如重々しく響く声。猟兵たちは門の前に立ち塞がった緑青の騎士を見る。
 見落としていたはずはない。本当に前触れもなく、それはこの空間に現れたのだ。
 かつては美しく磨き上げられていたであろう鎧は、既に朽ち果てて見る影もない。
 まるでブロンズ像めいた翠色の錆が、その表面を余すことなく覆っている。
 それでいながら、騎士は思わず圧倒されるほどの気迫を発していた。

『墓盗人どもを取り返しに来たか。だが此奴らは、既に王国守護の人柱となった』
 その言葉と共に、猟兵たちのキャバリアが一斉にアラートを発した。
 敵機の反応が無数。ダンジョンの壁面と同じ構造材を盾にレーダーを誤魔化したのか。
 地響きを立てて接近する機体群は、緑青の騎士と同様に碧く錆びついている。
 だがその装甲表面はうっすらと念動障壁に覆われ、頑強な防御力は損なわれていない。
 あれもまた古代のサイキックキャバリアだ。頭部のビーム砲塔が一斉にこちらを向く。

『このヴェルディグリースが剣を抜くに値するか、まずは証明してみせよ』
 緑青の騎士の姿が掻き消えた。テレポーテーション……旧文明の超能力技術か。
 あれだけの出力、搭乗者のウィズリー博士にかかる負担も並大抵ではないだろう。
 それは周囲のキャバリアも同じだ。恐らく同様に調査団の団員が囚われているはず。
 高度な思考リンクで一糸乱れぬ動きを見せる敵機群。倒さなければ救出は不可能だ。
 猟兵たちは意を決し、遺跡を守る青錆びたゴーレムたちへと立ち向かう。  
シル・ウィンディア
あらま、こんなにたくさん…
盗人じゃなくて、調査しに来た人なのにね?

空飛べなさそうだから
【推力移動】を中心に平面機動を心掛けて機動だね

ビームランチャーは連射モードを最初から選択
平面機動しつつ弾幕を張るように攻撃だよ

接近したらビームセイバーで敵機の腕部や武装、脚部を狙って【切断】!

距離を取ったらホーミングビームの【誘導弾】で敵を動かして
ツインキャノンで撃ち抜いていくよ

敵UCは動きを【見切り】
【残像】を生み出して攪乱しつつ回避して
被弾しそうなものは【オーラ防御】で致命箇所を重点防御

こっちの番は
【多重詠唱】で術式を重ねた《指定UC》!
さぁ、乱れ撃つよっ!!

※攻撃はコックピットを避けて攻撃します



 地響きを立てて迫り来る鋼鉄のゴーレム――超古代のサイキックキャバリアたち。
 不気味なまでに歩調を合わせて邁進する姿は、とても有人機であるとは思えない。
 あの騎士も含め、この遺跡の機体にとって搭乗者とは念動力の供給源に過ぎないのか。
「あらま、こんなにたくさん……」
 シル・ウィンディア(青き閃光の精霊術士・f03964)が愛機のアイカメラを通して直接視認した時には既に、敵機の群れは金属の壁となって猟兵たちを取り囲もうとしていた。
 この数を見るに、調査団のメンバーはキャバリア搭乗者であるか否かに関わらず、一人残らずゴーレムたちに取り込まれたらしい。互いの思考リンクで統率された機体ゆえに、個々の操縦経験など必要ないのだろう。そして「墓盗人」相手だから容赦もない、と。
「盗人じゃなくて、調査しに来た人なのにね?」
 猟兵たちにとっては自明の理だが、それを伝えたところで敵が矛を収めるはずもない。
 シルは操縦桿を握り、精霊機『ブルー・リーゼMk-Ⅱ』に魔力を注ぎ込んだ。敵がこちらを完全に封殺する前に囲みを脱し、乱戦に持ち込むために。そして敵機群が同時に一歩を踏み出すその直前に、チャージさせた魔力を一気に放出させて急加速をかける。
 周囲の僚機も一斉に戦闘行動を開始した。ここからは冒険者らしく戦う時だ。

 鋼鉄のゴーレムこと修復型マグゥルMk10は、見た目通り頑強かつ鈍重な機体であるようだった。だがそれを補って余りある戦闘能力を有することに猟兵たちは気付く。
「みんな一斉に動くから、やりづらいな……でも!」
 敵機の背後に回り込んだ途端、その位置をカバーできる別の機体がビームを放つ。機体同士での情報共有どころか、敵全体でひとつの意志を共有しているようにすら見える。
 撃ち込まれるビームの連射を掻い潜り、ブルー・リーゼは滑るように軽快な動きで立ち回りながら連写モードのビームランチャーをバラ撒いていった。近づく敵はビームセイバーで切り払い、離れた敵はホーミングビームで追い立ててから重火力で打ち砕く。
「魔力充填完了! さぁ、乱れ撃つよっ!!」
 マグゥルMk10の頭部が旋回し、ビームの集中砲火が飛来するその直前、ブルー・リーゼMk-Ⅱから四大属性の魔力弾が発射された。『エレメンタル・シューター』――あらかじめ術式を重ね掛けすることで弾幕の密度と破壊力の両立。火水風土の複合魔力が必殺の砲弾となって射程内の敵機へ殺到し、その頭部砲塔や頑強な四肢を次々に粉砕していく。
「狙いはばっちり! ブルー・リーゼ、この調子でいくよ!」
 沈黙した敵機からの生体反応が攻撃前と変わらないことに安堵しつつ、シルは愛機を再加速させた。救出した人々の安全を確保するためにも、倒すべき敵は未だ多い。 

成功 🔵​🔵​🔴​

ノエル・カンナビス
まずそちらが証明しなきゃダメじゃありませんかね……。
思考リンクですか。はぁ。

私のリンクシステムは、あらゆる機械を脳に直結し、
自分の身体として動かすものです。
キャバリアの操縦そのものも高速かつ緻密になりますし、
さらに言うと、肉体は一つとは限りません。
五十でも百でも二百でも。

そこのゴーレムたちも、私一人で操った方が強いですよ?

ともあれ。
戦車扱いも何ですが、借り物を壊したくありませんので、
指定UCでもってディアンディを頑丈にしましょう。
この場合、主砲ってマシンガンの方かしら。

ま、攻撃に関しては、ディアンディの陰からエイストラが
好き放題に撃ちますしね。
二機使いの高速連携なんて私くらいしかやりませんよ?



「戦うに値するかって、まずそちらが証明しなきゃダメじゃありませんかね……」
 ぼやいたところで、緑青の騎士が意見を翻すはずもなし。ノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)は溜め息混じりに操縦桿を握り、量産型キャバリア『ディアンディ』で回避行動に移る。この機体は特段運動性に優れているわけではないが、反応速度は上々だ。敵機から放たれた牽制のビームは柱を盾に回避し、改めて状況を把握する。

「それにしても、思考リンクですか。はぁ」
 敵機こと『修復型マグゥルMk10』が搭載している思考リンクとは、大量の機体群を相互にリンクで接続し、それら全体を一個のシステムとして運用するもの。全ての機体が統合された思考によって動いているので、同型機が集まるほど戦闘力は飛躍的に高まる。反面個々の操縦者の技量は必要とされず、結果的に無人機めいた挙動になっているようだ。
「ですが、速度も緻密さも、私のデータリンクシステムには及びませんね」
 淡々と状況を分析しつつ、ノエルはユーベルコードを起動した。発現した『タンクキャバリア』により、量産機相応のスペックだったディアンディは火力・装甲ともに強化される。元々頑丈な機体ではあるが、これで一層被弾を恐れずに戦えるだろう。
 そして、本来の愛機『エイストラ』。無人でありながら、データリンクシステムを介した遠隔操縦によってノエル搭乗時と同等の戦闘力を有していた。

 マグゥルMk10の思考リンクに弱みがあるとすれば、それは指揮官機にあたる存在がいないことだろう。全てが画一的なスペックであるがゆえ統合しても画一的な動きしか出来ないという限界。ノエルという核を中心としたシステムとの歴然たる差がそこにあった。
 そしてその差は実戦の中でより顕著な断絶となり、最後には両者の明暗を分ける。
 集結したマグゥルMk10が放つビームの一斉射がノエルのディアンディを襲った。だが強化された装甲を一撃で貫くことは出来ず、その隙にエイストラがプラズマキャノンの集中砲火で逆襲する。念動障壁を破られた機体はディアンディの強化パルスマシンガンを叩き込まれ、ディアンディの撃破を急いだ機体はエイストラの接近を許して頭部ビーム砲塔をビームブレイドで斬り飛ばされた。操るのがノエル一人でなければ阿吽の呼吸と呼ぶべき連携で、数的優位を誇っていたはずのゴーレムたちは逆に押し返されていく。
「そこのゴーレムたちも、私一人で操った方が強いですよ?」
 この言葉が誇張でも偽りでもないことは、もはや誰の目にも明らかだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

エミリア・ジェフティー
へぇ、このオウルアイの目から逃れるなんて…ますます興味深いですね、その構造材
サンプルとして少し頂いていきましょうか!
…ああ、もちろん囚われてる操縦者も助けますよ

敵機はビーム砲を主兵装にした射撃機…まともに撃ち合いに付き合っていたらジリ貧ですね
【地形の利用】をして立ち並んでいる柱を盾にして牽制射を加えつつ、【推力移動】で一気に接近
サイコアクセラレータで疑似【瞬間思考力】を発揮させてビームの射線を見切り、【操縦】技術で以って回避します

今更距離を開けようったってそうはいきませんよ
こっちの得意距離は近距離戦、一度喰らいついたら放しません
コックピットを避けてプロミネンスリッパーで【切断】して沈黙させます


支倉・錫華
テレポーテーション……?
魔法なのか科学なのか、どっちにしても似たようなものか。

墓盗人と言われればそうかもしれないけど、だから人柱にしていいってことはないと思うよ。
だいたい王国自体がもう存在してないんだしね。

といっても聞いてくれはしなさそうだね。

相手がテレポートするなら、光学機器では捉えきれないかな。
「アミシア、回避はわたしがするから攻撃をお願い」
『了解、錫華。火器コントロールもらいます』

【アウェイキング・センシズ】と【見切り】で相手のテレポート先を予測して動くね。
アミシアにはテレポート直後の相手にカウンターを入れてもらえるといいんだけど、
コクピットを避けないといけないのが厄介ではあるね。



「テレポーテーション……? いったい魔法なのか科学なのか……」
 忽然と姿を消したヴェルディグリースを探して周囲に視線を走らせながら、支倉・錫華(Gambenero・f29951)は「どっちにしても似たようなものか」と呟いた。現代の感覚で理解し難い科学は魔法に近しいし、高度に体系づけられた魔法は科学と似通うものだ。
「アミシア、転移先は追える?」
『途中までは。転移の瞬間に微細な反応が検知されていますが、追跡困難です』
 パートナーAIの回答に続き、間髪入れずに僚機『セシャート』から通信が入る。
「こちらでも途中でロストしました! 恐らくはあの扉の向こう側なんでしょうが……」
 エミリア・ジェフティー(AnotherAnswer・f30193)の駆るセシャートの『EPオウルアイ』は、この時代において最高峰の情報収集演算装置のひとつであると言える。本来ならば索敵性能が不足するはずもない。敵キャバリアとの間に技術差があるのではなく、恐らくはあらゆる探知を遮断するこの遺跡の構造があまりにも特殊過ぎるということだろう。
「周りのゴーレム君たちもこの目から逃れたみたいですし……ますます興味深いですね」
 そのゴーレム――『修復型マグゥルMk10』の群れが、足並みを揃えて目前に迫る。
消えた騎士の行方は、この巨人たちを一掃するまで後回しにせざるを得ないだろう。

   ▼  ▼  ▼

「墓盗人と言われればそうかもしれないけど、人柱にしていいってことはないと思うよ。
 だいたい王国自体がもう存在してないんだし……と言っても聞いてくれはしないか」  量産型キャバリア『ディアンティ』を最大戦速で駆動させながら、錫華は呟いた。
 既に緑青の騎士は姿をくらませたが、仮に言葉が届く距離にいたところで説得できはしないだろうという予感がある。恐らくあの騎士にとっては、王国は今も在るのだ。
 前方のマグゥルMk10の頭部砲塔が煌めき、白色のビームが薙ぎ払うように放たれた。その粒子流をシールドで受け流すように反らし、敵の懐目指して更に踏み込んでゆく。
「もし相手がテレポートしてくるなら、光学機器では捉えきれないかな?」
『錫華、敵機の戦術を解析しましたが、テレポートはその中に含まれないようです』
 マグゥルMk10の戦闘パターンは大きく分けて三つ。一つ目は意思の統一で自機と同型機を強化する思考リンク。二つ目は複数の対象への同時攻撃を可能とする同型機との合体機能。三つ目は頭部砲塔からのビームだが、これも集団戦術により脅威を増すものだ。
「テレポートはあの騎士の固有武装なのかな。それなら多少はやりやすいけど」
『作戦を変更しますか?』
「いや、このまま行こう。アミシア、回避はわたしがするから攻撃をお願い」
『了解、錫華。火器コントロールもらいます』
 武装制御をアミシアに移譲し、錫華は精神を極限まで集中させる。『アウェイキング・センシズ』――第六感の先の先まで感覚を高めれば、敵機が一斉に放ったビームの軌道をそれぞれ見切る程度は容易い。そのうちの一機の懐へ飛び込んだ錫華のディアンディは、シールドで別方向からの攻撃を防ぎつつ実体剣で頭部の砲塔を斬り飛ばした。そして即座に多目的ライフルを発砲し、側面の敵の装甲の隙間へと狙い過たず着弾させる。
「コクピットを避けないといけないのが厄介ではあるね」
『ですが困難ではありません。あなたとわたしなら』
 熟練のコンビネーションで、二人は迫り来る敵機を次々と無力化してゆく。

   ▼  ▼  ▼

 同時刻。エミリアのセシャートを狙い、幾筋もの光条が断続的に放たれる。
「まともに敵機との撃ち合いに付き合っていたらジリ貧ですね」
 敵はビーム砲を主兵装にした射撃機。頑強な装甲で攻撃を防ぎつつ、僚機と連携しての大火力で一気に殲滅するのが基本戦術なのだろう。相手と同じ土俵で戦っていては、いずれ数の暴力に屈することになりかねない。戦術を意識的に切り替えていかなければ。
 踵の装輪が唸りを上げ、大腿部ブースターの噴射が推力を生む。下半身を構成するターボローラーのスペックを最大限に引き出して、セシャートはドームを支える柱を弾除けとしながら高速滑走し、時おり散弾砲で反撃しながらもビームの集中射撃を凌いでゆく。
 無論、ただ逃げ回っているわけではない。セシャートの武器は探知だけではないのだ。
「サイコアクセラレータ起動……思考加速、開始!」
 コックピットに組み込まれた強化装置がエミリアの感覚を拡張し、思考を擬似的に加速させてゆく。敵機の頭部砲塔が旋回してからビームが放たれるまでの僅かな時間で直感的にその射線を見切り、そして事前に回避行動を取ることが可能なほどに。
 金属同士の甲高い摩擦音を立てて脚部装輪を回転させ、セシャートは自身を狙うビームを紙一重で躱しながら最大速度で敵機へと突進する。敵はビーム再照射のため後退しようと試みるが、重装甲射撃機と試作型汎用機では運動性能に雲泥の差があった。
「今更距離を開けようったって、そうはいきませんよ!」
 プロミネンスリッパーの刀身が超振動を発生させ、マグゥルMk10の重装甲を容易く切り刻む。砲塔と手足を切断されれば、もはや相手に取れる行動などないだろう。
「囚われの操縦者も助けつつ……構造材のサンプルも、少し頂いていきましょうか!」
 内心お土産に心躍らせながらも、振るわれるその刃が鈍ることはない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

知富・迅
『騎士はお姫様を囚えるモンじゃなく、助けるモンじゃないのかい?耄碌はしたくないモンだぜ。』

連携歓迎

これだけの敵に包囲されるのは流石に拙いな…幸い天井は十分に高い事だし飛翔し、包囲されない優位な地形で行動するぜ

まず上空から俯瞰して瞬間思考力で状況を把握し、連携をしようとする動きにはエア・スラッシャーで弾幕を張りつつ妨害を行うよ

纏まって合体する動きを見せたら、その隙にテンペスト・ブラスターで範囲攻撃に入ってる敵を吹き飛ばすぜ

無数のビームを放ってきたら瞬間思考力で射線を見切り、残像を残すような軽業による滑空で避けきってみせる

『今は無い王国の呪縛から解き放ってやるよ。』

アドリブ歓迎



 風の神騎が大気を纏い、広大にして閉ざされた地下空間に舞い上がる。
「騎士はお姫様を囚えるモンじゃなく、助けるモンじゃないのかい?」
 知富・迅(破邪の疾風・f33576)の問い掛けに返ってくる言葉はない。緑青の騎士はサイキックの残滓だけを残し、何処かへ転移してしまった。しかし仮に彼がここにいたとしても、その言葉を肯定することはないだろうという確信めいたものがある。
「……まったく、耄碌はしたくないモンだぜ」
 迅は空中で機体を反転させ、その場でホバリングしながら状況の把握を開始した。
 地上を俯瞰するには十分な高度といえる。キャバリアをこれだけ高く飛翔させられるだけの空間が地底に存在するというのは信じ難いことだが、今は利用するまでだ。

 だが程なくして地上の『修復型マグゥルMk10』のうち一機が《天嵐葬覇》を発見し、上空へとビーム砲塔を向ける。すると一瞬だけ遅れて、周囲の機体が同時に空を見上げた。
 このシンクロも思考リンクの為せる業か。ビーム砲が一斉にチャージを始めるのを目視し、迅は即座に天嵐葬覇を前進させた。直後、無人の空間に幾筋もの光条が奔る。
「狙いは正確みたいだが……風の神騎に追いつけると思うなよ!」
 全高5m級のサイキックキャバリアが、風に舞う羽根のごとく軽やかに踊る。迅は天嵐葬覇を巧みに操縦しながら、地上目掛けて聖霊兵器「エア・スラッシャー」を連射した。誘導式の鎌鼬が両肩部の紋章から撃ち出され、マグゥルMk10の連携を掻き乱す。

 残像すら残すほどの速度で飛行しながら鎌鼬で牽制をも行う天嵐葬覇を、下界の敵機たちは脅威であると認識したのだろう。突如数機のゴーレムたちが一箇所に集中し、互いに連結して歪な合体形態へとその姿を変えようとする。合体することで各機のサイキックエナジーを一点に集中させ、最高出力のビームで戦況の打開を狙っているのか。
「だがそうやって一箇所に固まると、テンペスト・ブラスターの格好の的だぜ!」
 胸部の紋章から放たれた必殺の聖霊兵器は、荒れ狂う大気の奔流となって地上の敵機群を襲う。合体のために終結していた機体は防御すら出来ず、散り散りに吹き飛ばされた。
「今は無い王国の呪縛から解き放ってやるよ」
 小さく呟く。かの騎士も周囲のゴーレムたちも、すべてはその呪縛によって突き動かされているに等しい。そして呪いを祓うのは、聖霊の器たる風の神騎か。
 地底を吹き抜ける風となって、迅は愛機と共に閉ざされた空を駆ける。

成功 🔵​🔵​🔴​

セルマ・エンフィールド
王国というのが未だ健在というのであれば、確かにウィズリー博士たちは不法侵入者、盗掘者でしょうね。
ですが、キャバリアとそこに残った破壊の意思で国を標榜するのは無理筋でしょう。

これだけのキャバリアが戦えるくらいの広い空間であれば多少飛び回っても問題はなさそうですね。

「氷晶ゴーレム」を鳥の形に作成、騎乗し【ブリザード・マニューバ・ブースト】を使用して空中戦を。
巨大化したキャバリアの広い攻撃範囲であろうと、最高時速約1万kmがあれば接近から離脱まではほんの一瞬です。

地下であれば殲禍炎剣も飛んできませんし、空中から『スナイパー』の技術で関節部を狙い「フィンブルヴェト」からの氷の弾丸の連射を撃ち込みます。



 鋼の巨兵たちが隊列を組み、招かれざる侵入者を排除せんと迫り来る。
 緑青の騎士の言葉を借りるなら、彼らは王国を防衛するための守護者なのか。
「王国というのが未だ健在であれば、確かにウィズリー博士たちは盗掘者でしょうね」
 羽ばたく鳥型の氷晶ゴーレムに騎乗しながら、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は地上の巨人たちを一瞥した。その一機一機に調査団のメンバー――ヴェルディグリースが言うところの墓盗人たちが囚われ、形ばかりの操縦者にされている。
「ですが、キャバリアとそこに残った破壊の意思で国を標榜するのは無理筋でしょう」
 氷晶ゴーレムはマグゥルMk10の射線の隙間を縫うようにして飛ぶ。彼らがビームとして放つのは、守るべきものを失った守護者の目的無き暴力、ただ剥き出しになった破壊の意思に他ならない。そこに道理はなく、ただ過ぎ去った時代への妄執があるだけだ。

 だが少なくとも、眼下の巨兵たちにとっては意味を持たない問答なのだろう。ただただ機械的に、敵とみなした存在を排除するためだけの行動を取ってくる。それを忠義と呼んでいいのかはともかく、相互思考リンクで制御されたビーム斉射は脅威に違いない。
 しかしその一斉射がセルマに届くことはなかった。ユーベルコード『ブリザード・マニューバ・ブースト』がもたらす飛翔能力は、ビームの雨すら容易く置き去りにするほどの超高速の世界。どれだけ強力な攻撃であろうと、当てられなければ価値はない。
「これが地上であれば殲禍炎剣に捕捉される危険もありますが、ここは地下ですしね」
 飛行する物体を大気圏外から狙撃する殲禍炎剣も、この地底まで見通すことは出来ないだろう。ゆえにセルマのユーベルコードは、その性能を遺憾なく発揮できる。
 当たらない砲撃では埒が明かないと判断したのだろう。一箇所に終結したマグゥルMk10の群れが互いに連結し、一体の巨大キャバリアへと変形を開始する。
「どのみち、的が大きくなるのなら構いませんが」
 セルマは氷晶ゴーレムに跨ったまま、愛銃フィンブルヴェトでの射撃を敢行した。放たれた氷の弾丸の速射は、正確に合体キャバリアの関節部だけを撃ち抜いてゆく。
 本来のスペックを一度も発揮することなく、関節を破壊された合体キャバリアは自重に耐え切れずに崩れ落ちていった。まるで空っぽな守護者を象徴するかのように。 

成功 🔵​🔵​🔴​

杼糸・絡新婦
来た方も守る方もお互いの言い分てあるんやろうけど、
話し合う間もないわけね、
まあこちらもお仕事させてもらいましょ。

【フェイント】をいれつつ行動し、
スキを作り出しつつ、
鋼糸・絡新婦を絡みつけるようにして【罠使い】
そのまま【切断】攻撃
または【捕縛】して動きを止めたら
他の敵から攻撃へ【敵を盾にする】ことで防御、
【見切り】で回避しつつ、タイミングを図り、
こちらへきた攻撃を脱力して受け止め、
オペラツィオン・マカブル発動、
排し、返せ、サイギョウ



 戦場はいよいよ大乱戦になりつつあった。
 決して楽な相手ではないが、それでも一機また一機と敵キャバリアはその機能を止めてゆく。それでも鋼鉄のゴーレムたちは決して退こうと考えることはない。
 それは機械ゆえの頑迷さか、それとも王国とやらへの忠誠心が為せる業なのか。
「来た方も守る方もお互いの言い分てあるんやろうけど、話し合う間もないわけね」
 杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)は小さく溜め息をついた。実際に目撃した時間は僅かだが、あの緑青の騎士はとても話が通じそうな相手には思えない。周囲の青錆びたゴーレムたちにおいては尚の事だ。とても話し合いで理解し合えるとは思い難い。
 既にオブリビオンマシンと化している以上、意思疎通すら怪しくはあるのだが。

「……まあ、こちらもお仕事させてもらいましょ」
 絡新婦はすっぱりと思考を切り替えた。まずはこのフロアの敵を一掃し、パイロットを救出しなければならない。囚われた調査団の面々もいつまで保つか分からないのだから。
 絡新婦は両手に鋼糸・絡新婦を構えた。ヤドリガミである絡新婦にとってこの鋼糸こそが本体であり、文字通り手足のように操れる。相手が巨大なキャバリアであっても、やることは変わらない。躱し、翻弄し、自由を奪って、そして斬るだけだ。
 鋼糸で敵の一機を絡め取り、一息で引き寄せる。その巨体が他の機体の斜線を遮り、直撃したビームによって上半身と下半身を溶断される。上手く敵を盾にすることに成功した絡新婦は、大破した機体が崩れ落ちるのを目眩ましに遣い、その隙にビーム照射を行った敵の背後に回り込んだ。鋼糸が地底の光を上げて煌めき、頭部砲塔が切断される。

 敵キャバリア側からしてみれば、鋼糸をレーダーや光学センサーで捕捉するのは極めて困難だ。絡新婦一人に翻弄され続けた敵機が新たな戦術に移行するのは自明だった。
「合体して火力上げて、避ける間もなく一層してしまおうって算段やね」
 読みやすくて助かるわ、と呟きながら、絡新婦は防戦に徹してみせた。そして合体を終えた巨大キャバリアが広範囲ビームを照射せんとするその瞬間、敢えて脱力してその攻撃を受ける。『オペラツィオン・マカブル』……回避も防御も捨てて直撃を受けることで、その攻撃を無効化するユーベルコード。脱力するタイミングは完璧だ。
「排し、返せ、サイギョウ」
 狐面の戦闘用人形サイギョウから無効化したエネルギーを排出すれば、ユーベルコードを無効化された敵機は合体すら維持できずにその場で崩れ落ちてゆく。
 ただ攻撃するだけが戦闘ではない。忍びの鋼糸の面目躍如といったところだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルージュ・リュミエール
まったく、こりゃ面倒なものを掘り出しちまったみたいだな
だが、まぁこいつらぐらいならアタシの敵じゃねぇぜ
招喚器の剣、インクルシオンを掲げてソルフレアを招喚するぜ!剣から炎が吹き上がって召喚&搭乗シーン挟んで炎のソルフレア参上だ!

……あー、昔はこういう地下施設でも換気や消火設備がしっかりしてたが、遺跡の今だとどうなんだろうな?
まぁその辺がちゃんと生きてることを期待するか
おっ、そういやこのタイプには合体機能なんかあったな
正直、的が纏まってくれてありがたいぜ。でなけりゃ一直線に誘導する手間が生じるからな
さぁいくぜ!必殺っ!フレイムラッシュ・クラッシャァァァァ!!
炎を纏った剣での超高速の突進突きだ!



「まったく、こりゃ面倒なものを掘り出しちまったみたいだな」
 ルージュ・リュミエール(英雄の亡霊・f32238)の表情は、口にした台詞ほどには暗くない。確かに「見覚え」のある型だ――『マグゥルMk10』、あるいはその修復型か。
 いずれにしても、こいつらくらいならアタシの敵じゃねえぜとルージュは不敵な笑みを浮かべた。その手に握るのは招喚器インクルシオン。キャバリア召喚の鍵となる剣であると同時に、本人は自覚していないがヤドリガミであるルージュの本体でもある。
 意志の高まりに呼応して、インクルシオンの刀身が炎で覆われる。ルージュはそれを天高く、ドームの天井を衝かんばかりに振り上げた。そして叫ぶ、渾身の力を乗せて。

「出ろぉぉぉぉっ!!! ソルフレアァァァァァッ!!!」

 剣身から吹き上がる炎が渦巻き、一瞬にして巨大な火柱となって天井と床を繋ぐ。
 その灼熱の竜巻の中で揺らめく赤い影。語られし炎の化身、伝説の勇者。
 豪炎の壁を突き破るようにその手が伸び、やがて巨神はその姿を現す。
 伝説のサイキックキャバリア、炎のソルフレア。見よ、赫々たるその威容を。

 跳躍したルージュをそのコクピットに収め、爆炎と共にソルフレアが起動する。
 その余波だけで周囲の敵機は一様にたじろいだが、やがて一箇所に集結を開始した。
「おっ、そういやこのタイプには合体機能なんかあったな」
 キャバリアのサイズとなった紅き剣インクルシオンを握り締めながら、ソルフレアの操縦席でルージュは感慨深く敵の動きを眺める。合体するのはこちらとしても好都合だ。
「それにしても、いきなり合体とはね。ソルフレアとの性能差がそれだけ一目瞭然だったってことか……それとも、王国時代のメモリーにアタシらの伝説が残ってたかな?」
 いずれにしても、敵が相当にこちらを警戒しているのは誰の目にも明らかだ。
 果たして複雑な変形合体を経たマグゥルMk10は、全身のビーム砲塔を一斉にソルフレアへと向けた。合体形態を形成する各機のサイキックエナジーを攻撃に注ぎ込むことで、ビームは分離状態の一斉射撃を遥かに凌駕する威力となる。その大出力をもって一気に勝負を決めるつもりだろう。いかに伝説のソルフレアとて、直撃すればただでは済まない。
「直撃すれば、だけどな。正直ありがたいぜ、的が一箇所に纏まってくれてな!」
 合体型マグゥルMk10のビーム砲が一斉に火を吹くその瞬間、ソルフレアの全身を豪炎が包み込んだ。その灼熱を背後から噴出することで推進力へ変え、炎の勇者の巨体が彗星めいて加速する。両手にて構えるは炎剣インクルシオン。そしてこれが、これこそが。
「必殺っ! フレイムラッシュ・クラッシャァァァァ!!」
 唸る爆炎がビームを散らし、火球と化したソルフレアが神速で剣を突き立てる。炸裂するエネルギー、荒れ狂う炎。合体機の巨体は一撃でダウンし、その場に崩れ落ちる。
「……あー、昔はこんな地下でも換気とかしっかりしてたが、今はどうなんだろうな?」
 ちゃんと機能が生きてることを期待するかと内心呟き、ルージュは剣を大地に突き立ててみせた。勇者の伝説は、幾千の時を経ても決して色褪せることはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ヴェルディグリース』

POW   :    メラルダの剣
【サイキックエナジーを実体化させて自分の剣】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    ベリドートの鎧
全身を【緑青色に輝く強固なサイキックオーラ】で覆い、自身の【搭乗者を顧みない出力のサイキックエナジー】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    ロムスフェーンの外套
自身の【搭乗者の生命力および精神力】を代償に、【対象の至近距離へテレポートし、サイキック】を籠めた一撃を放つ。自分にとって搭乗者の生命力および精神力を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ツェリスカ・ディートリッヒです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 周囲を埋め尽くすかに思われた鋼鉄のゴーレムの群れは、遂に沈黙した。
 激戦ではあったが、操縦者の生体反応はひとつとして失われてはいない。
 機体に取り込まれていた調査団メンバーたちは皆一様にサイキックキャバリアを操縦した反動で衰弱してはいるが、適切な治療を受ければ命に別状はないだろう。
 猟兵たちは安堵し、改めてドームの最奥に位置する扉に目を向ける。
 その時、激しい地響きと共に、豪奢なレリーフが施された扉が左右に開いていった。

 扉の向こうは、これまで猟兵たちが戦っていたドームと同じくらい広大な空間だった。
 真っ先に目を引くのは、ちょうど中央あたりに位置するプラント施設だ。
 調査の通り稼働状態にあるらしく、今も遺跡内にエネルギーを供給しているのだろう。
 だが、その周囲には人間大のカプセルが無数に並び、静謐な空気を醸し出していた。
 かつてはきらびやかな装飾がされていたと思われるそれらは、恐らく高貴な人々が使用するためのものだったのだろう。恐らくはこの「王国」の王侯貴族たちのための。
 この遺跡が地底に存在し、複雑な迷宮と堅牢な隔壁で守られていたという事実から推測するに、ここはかつて何らかの保護施設だったのかもしれない。シェルターか、医療設備か、冬眠装置か、あるいはそれに準ずるような、王国最後の砦だったのではないか。
 だが、機能しているカプセルは一つとしてない。生体反応もゼロだ。かつてこの遺跡が何であったにせよ、何らかの理由によってその役割が全うされることはなかった。
 今のこの遺跡は、かつての栄華をひっそりと伝える巨大な墳墓に他ならない。

「――否。王国はここに健在である。ただ目覚めの時を待っているに過ぎない」
 緑青の騎士ヴェルディグリース。青錆びた鎧と朽ちた外套を纏う古のキャバリア。
 彼はもはや廃墟と化した施設を守るように進み出て、その手に握る剣を掲げた。
 既に守るべきものは存在しない……それを認めることができないのか、あるいは認めたがゆえに狂ったのか。いずれにしても、この騎士が剣を収めることは決してない。

 ヴェルディグリースが更に一歩進み出る。同時に膨れ上がる殺気が周囲を満たす。
 どうやら武装は大剣のみだ。しかし、纏うサイキックエナジーの量が尋常ではない。
 恐らくは攻撃、防御、機動力、その全てを超能力で強引に賄う設計なのだろう。
 先ほど見せたテレポートも合わせれば、剣の間合いなどあってないようなものだ。
 だがこの出力、搭乗者の命を捧げねば実現できないほどのエナジーを必要とするはず。
 仮に戦闘が長引けば、ウィズリー博士の生命も保証できなくなってしまう。

「我こそは王国最後の剣にして盾。王国ある限り、我が使命もまた終わることなし。
 王家の安寧を妨げる者どもよ、このメラルダの剣の錆としてくれよう!」
 ヴェルディグリースが碧色のオーラを纏う大剣を構えた。
 立ち向かわねばならない。過去を過去として眠らせ、今を生きる命を救うために。
ノエル・カンナビス
(エイストラ搭乗+盾)

ディアンディは隅っこに置いて来ました。盾だけは借ります。

時間制限さえなければ簡単なんですけれども。
まーやってみますか。

まずは先制攻撃/指定UC。

あの力と速さがあって、斬りに来ないとは思えません。
しかし速すぎて小回りは利かないでしょう。
小細工も矜持が許しますまい。であれば――

おびき寄せ/第六感/見切り/カウンター/咄嗟の一撃/
一斉発射/武器受けの、ミサイル全弾ノーロック射撃で
正面衝突させます。
真っ直ぐ来なければ、単に避けるだけ。

ダイレクトキル専用の高速ミサイルって、意味解ります?
ロケット砲としても使えるんですよ。
これでオーラが剥げれば僥倖。

いずれにしろ本命の射撃戦開幕です。


支倉・錫華
引き続き『ディアンディ』で行動。

騎士としての誇りと忠誠心は解るけど、現実を認めて、
それに応じて動けないなら、一流の騎士とはいえないかな。
強いだけでは『ホーフマイスター』にはなれないよ。

とはいえ、パワーとスピードは『ディアンディ』では比べものにならないっぽいね。
一撃食らえば終わりっぽい威力に見えるし、
ここは【アウェイキング・センシズ】で躱していくしかないかな。

ま、躱しきれるものでもなさそうだけどね。

相手がこちらにとどめを刺しに来たときが、たぶん唯一のチャンス。
腕一本くらいは犠牲にする覚悟で、【歌仙】でカウンターの一太刀入れさせてもらおう。

終わった使命に縛られてるなら、あなたも終わることになるよ



 渦巻く緑青色のオーラを纏い、朽ちかけた剣と鎧が往年の性能を取り戻す。
 風の吹かない地底でありながら、膨れ上がるエナジーの余波で黒い外套が激しく翻る。
 青錆びた騎士、ヴェルディグリース。その身を支えるのは忠誠心か、それとも怨念か。
「貴殿らの力は認めよう。だが王国の敵はすべて斬り捨てるのみ!」
 古のサイキックキャバリアはゆっくりと一歩を踏み出し、そして――視界から消えた。

   ▼  ▼  ▼

『錫華、右側面上方! 回り込まれています!』
「……ッ!」
 パートナーAI「アミシア」が警告を発した瞬間、支倉・錫華(Gambenero・f29951)は反射的にディアンディを後方へ回避させた。機体に増設されたフレキシブル・スラスターが緊急噴射を行い、キャバリアの巨体を強引に移動させる。その直後、辛うじてディアンディのカメラアイ越しに視認できるほどの速度で、碧い残像が眼前を通過した。
「滅茶苦茶な動きだ。とても有人機の機動とは思えないね」
『可能ではあるでしょう。搭乗者の安全を一切考慮しなければ、ですが』
 目の前の相手がそういうコンセプトで造られた機体であることは、既に疑いようもなかった。文字通り搭乗者の命を燃やして王国の敵を討つ、事実上の特攻兵器。いや、あの機体にとって搭乗者は使い捨てのリソースだと言ったほうが正確だろうか。
「とにかくパワーもスピードも、ディアンディとは比べものにならないっぽいね」
 ディアンディは調査団仕様の機体だ。高い信頼性と頑丈さは調査任務で役立つだろうが、一騎当千のサイキックキャバリアと正面から切り結ぶ想定では開発されていない。
『よくぞ初撃をかわしたものだ。しかし、幸運はそう何度も――』
 外套をはためかせて空中で急制動を掛けたヴェルディグリースが、突如逆方向に飛び退いた。直後、その空間を高出力の粒子ビームが通過する。僚機の援護射撃だ。
 その隙に錫華はディアンディの体勢を立て直し、全感覚を極限まで集中させた。
 アウェイキング・センシズ。性能差を覆すには、人の持つ力に賭けるしかない。

 一方、錫華のディアンディへの追撃を阻止したノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)は、続けざまにプラズマライフルの連射を浴びせかけた。自身は既にディアンディから、無人の随伴機として持ち込んだクロムキャバリア「エイストラ」へと乗り換えている。このライフルの高火力もエイストラからの電力供給あってのものだ。
 だが、ヴェルディグリースに決定打を与えるには至らなかった。いくら敵が常軌を逸した速度で疾駆するといっても、統合センサーシステムを有するエイストラで捕捉出来ないわけではない。ただ敵の装甲を覆うサイキックオーラが想像以上に強固だっただけだ。
「あれだけ燃費が悪そうなら、時間制限さえなければ簡単なんですけれども」
 ただ勝てばいいというだけなら、自滅を待つのが最善策だ。恐らく持久戦に持ち込みさえすれば、敵機はサイキックエナジーを使い果たして機能停止するだろう。だがそれは搭乗者であるウィズリー博士の死と同義である以上、今回は選ぶわけにはいかない。
「まー、やってみますか」
 バイブロジェットブースターのフィンが高速振動し、それによって発生した衝撃波が機体を推進させる。ダンスを踊るかのごとき柔軟な機動――『フォックストロット』。
(先程の強襲も、背後から斬ろうとはしなかった。騎士の矜持が許さないのでしょう)
 相手があくまで騎士たらんとするのなら、機体がどれだけ高性能でも付け入る隙はあるだろう。加えて、敵の高すぎる加速性能は動きが直線的になるという欠点でもある。
(上手くおびき寄せて、本命の射撃戦開幕と行きましょう)
 ここからがラグタイムの始まりだ。

   ▼  ▼  ▼

 ヴェルディグリースは――その機体が有する騎士としての独立した自我は、未知の敵と相対する自分の中に、僅かなりとも油断や慢心があったと認めざるを得なくなった。
 意識的に軽んじていたつもりはない。扉を守る番人『修復型マグゥルMk10』との戦いを見れば、猟兵たちの実力が単なる賊のそれではないというのは一目瞭然だ。
 それでも自分が性能面でも精神面でも劣るはずがないと、そう考えていたが。
『なるほど、サイキックを用いない機械騎兵にしてはやるようだ』
 遠距離から正確に狙ってくるノエルのエイストラの粒子ビームをオーラ防御で凌ぎ、錫華のディアンディの牽制射撃は急加速で回避する。ここに至るまで、ヴェルディグリースの斬撃は両者に幾度となく回避されていた。いずれも紙一重ではあったものの、それでも躱されたという事実は騎士としての誇りに傷をつけ、無意識に決着を急がせる。
『それでも我が忠義を凌駕できるものではない。まずは射撃機から潰す!』
 ディアンディを最大加速で振り切ってから上空で旋回し、ヴェルディグリースは碧い彗星のごとき速度でノエルのエイストラへと突撃した。同時にサイキックオーラを強化し、並の射撃ならば弾き返せるほどの装甲を纏って真正面から強行突破を敢行する。
 だが緑青の騎士にとっての想定外は、エイストラが迎え撃つ構えを取ったことだ。
「……ダイレクトキル専用の高速ミサイルって、意味解ります?」
 ランチボックスからノーロックで射出された直撃破壊用の質量弾頭が、突進するヴェルディグリースに真っ向から激突した。相手が直線軌道であれば狙いを定める必要はなく、突撃の勢いはそのまま直撃のダメージを強める結果となる。鎧を覆うオーラが揺らぎ、やがてひび割れた。装甲を破られた騎士に、追撃のプラズマビームが追いすがる。
「ここからは撃ち合いに付き合ってもらいますよ」
『くっ……だが我が誇りが砕けたわけではない!』
 サイキックエナジーが瞬間的に増大し、ヴェルディグリースの姿が掻き消えた。再びのテレポーテーションは、射撃の回避と強襲を兼ねる。転移先は錫華のディアンディの目前、
大剣の届く距離。先に一方を仕留めて挟撃を避け、体勢を立て直そうという動きだ。
(騎士としての誇りと忠誠心は解るけど、現実を認めて、それに応じて動けないなら、
 一流の騎士とはいえないかな。強いだけでは『ホーフマイスター』にはなれないよ)
 目と鼻の先に出現したヴェルディグリースを前にして、しかし錫華は冷静だった。極限まで研ぎ澄ませた神経が、第六感の先の先を読む。回避は不可能、それならば――。
「終わった使命に縛られてるなら、あなたも終わることになるよ」
 ディアンディの片腕が瞬きひとつの間に斬り飛ばされ、宙を舞う。だがそれだけだ。騎士の刃はコクピットまで至らず、機体は機能を失っていない。そして実体剣『歌仙』を握るディアンディの腕は、未だ確かにボディと繋がっている。隻腕のキャバリアが振るう刹那の一太刀は、完全に無防備となったヴェルディグリースの鎧を深々と切り裂いた。
 ここに至って緑青の騎士はようやく悟る。自分は敵の力を見誤っていたのだと。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シル・ウィンディア
これぞ騎士って感じのキャバリアだね
でも、わたしとブルー・リーゼのコンビも負けないっ!それに、魔力と技術なら、精霊術士として負けるつもりないもんっ!

推力移動での平面機動を中心に、空中機動を織り交ぜての三次元機動で攪乱しつつ
ビームランチャーの連射モードとホーミングビームを中心に射撃攻撃
まぁ、これで何とかなるなら苦労はしないよね

敵攻撃やUCは、第六感で殺気・魔力の動きを感じて、瞬間思考力で第六感の感じたままに判断して、回避やオーラ防御を行うよ

切り抜けたらこっちの番っ!
回避・防御・攻撃時にも詠唱を重ねていたこのUC
これが、わたしの精霊魔法の切り札っ!
ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト、いっけーっ!


テラ・ウィンディア
どうやらシルが来ているようだな
ならば助けにいかねば

ああ、ヘカテ…此奴を王国の者達がいる場所へ送らなければならないよな?

【戦闘知識】
その動きと癖とパターン
何より搭乗席の位置の把握

【属性攻撃】
炎を機体と武器に付与

【見切り・第六感・残像・空中機動・武器受け】
高速で飛び回りながらその動きの癖を把握して全力回避
それでも避けきれないのは武器で受け止め致命を避け

UC発動
高速で飛び回りながら
【遊撃・貫通攻撃・弾幕】
ドリルビットとガンドライド展開
弾幕とドリル攻撃
【二回攻撃・早業・串刺し】
剣による連続斬撃から槍に切り替えての串刺し
【砲撃・重量攻撃】
止めのブラックホール展開
超重力の塊を叩きつけ破壊
搭乗席は避け不殺



「なるほど、我が好敵手足りうる力を示すか。ならば全力を尽くすまで!」
 ヴェルディグリースが大剣を構え、更なるサイキックエナジーを引き出した。内部から放出されたオーラが装甲の傷を埋め、機体全体を覆わんばかりに膨れ上がる。
 そして見せる、爆発的な加速。戦術は「踏み込んで斬る」ただそれだけだが、その踏み込みの速さが常識外だ。瞬きひとつで距離を詰め、神速の大剣が振り下ろされる。
(これぞ騎士って感じだね。でも、わたしとブルー・リーゼのコンビも負けないっ!)
 見てからでは躱せない。シル・ウィンディア(青き閃光の精霊術士・f03964)はあえて第六感に身を委ねた。体が無意識に機体を操作し、精霊機『ブルー・リーゼMk-Ⅱ』は全身を反転させて斬撃を回避する。続けて後方へ飛び退るように加速しながら、ホーミングビーム砲『リュミエール・イリゼ』を一斉射。更に距離を取りつつビームランチャー『ブラースク改』を速射モードに切り替え、続けざまに叩き込んだ。
 だがヴェルディグリースはオーラの一部をスラスターのように放出して空中で方向転換し、予備動作無しで再加速。辛うじてホーミングビームの何発かは敵を捉えたが、ランチャーの追撃は虚空を撃ち抜く結果に終わった。大きく弧を描いて飛翔する緑青の騎士を三次元機動で撹乱しながら牽制射撃を加えるが、決定打には至らない。
(まぁ、これで何とかなるなら苦労はしないよね)
 はじめから分かっていたことではある。相手は常識を超えた力を発揮する一騎当千のサイキックキャバリア。だが、それはシルの愛機であるブルー・リーゼも同じだ。
 こちらにも切り札はある。一撃で戦況を覆しうる、とっておきの切り札が。
(魔力と技術なら、精霊術士として負けるつもりないもんっ!)
 敵の猛攻を紙一重で凌ぎながら、既にシルは精霊魔法の詠唱を重ねていた。強固なサイキックオーラの鎧を有する敵機に対して十分な威力を発揮させるためには、まだ詠唱時間が足りない。だが目の前の強敵を相手に、それだけの時間を稼げるのか。
『ちょこまかと駆け回るだけでは、我が剣からは逃れられんぞ!』
 騎士の声が響いた時には、振りかぶった剣が眼前に迫っていた。超加速ではない、瞬間移動だ。サイキックオーラを纏った翠の大剣が、ブルー・リーゼに迫る――。
「ドリルビット展開! いけぇーーーっ!!」
 その窮地を救ったのは、シルにとっては他の誰よりも聞き馴染みのある声だった。

   ▼  ▼  ▼

「よし、間に合った!」
姉のキャバリアが体勢を立て直すのを見て、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は内心胸を撫で下ろした。どうやら加勢は絶好のタイミングだったようだ。
 双子の姉であるシルが遺跡探索に向かったと聞き、グリモアベースから転移したテラを待っていたのは広大にして複雑な鋼鉄のダンジョンだった。それを難なく踏破出来たのは先陣の猟兵たちが作成した精密なマップのおかげだが、最短ルートを進んでもそれなりの時間がかかってしまった。だが、どうやら急いだ甲斐はあったようだ。
「シル、大丈夫か? 加勢に来たぞ!」
「ありがと、わたしもブルー・リーゼも平気だよ!」
 テラの駆る三界神機『ヘカテイア』が、シルの精霊機『ブルー・リーゼMk-Ⅱ』と並び立つ。黒と青の機神を前にして、碧の騎士は空中で油断なく大剣を構えた。
『一機が二機に増えたところで、どうにかなるわけでもあるまい!』
 そう言うが早いか、騎士は再び急加速する。緑青色のオーラを纏い、瞬時に最高速へと到達するそのスペックは、もはや物理学の埒外ではないかと錯覚しそうになるほどだ。
 だが、常識を凌駕する機体であるという点では、テラのヘカテイアも負けてはいない。
「ああ、ヘカテ……此奴を王国の者達がいる場所へ送らなければならないよな?」
 愛機に応えるように呟き、テラはそのボディに炎を纏わせた。高速機動が生み出す残影は揺らめく赤。最大まで加速すれば、碧の騎士の機動力にも十分対抗できる。
 そしてテラとヘカテイアが前線に出れば、シルとブルー・リーゼが自由に動く余裕ができる。直接尋ねはしなかったが、姉のやろうとしていることは何となく見当がついた。
 伊達に生まれた時から一緒にいるわけではないのだ。
「ドリルビットに続いてガンドライドも展開! 高速戦ならこっちにだって分がある!」
 三つの砲身を持つ浮遊自走砲台と、二基のドリル型ビット。最高速度で空中機動するヘカテイアに遠隔操作ユニット群が付随し、回避行動と同時に攻撃を仕掛けていく。
「スピードが互角なら、手数はこっちのほうが上だっ!」
 敵の直線的な動きは大まかに把握した。星刃剣『グランディア』による連撃をガンドライドの弾幕に重ねれば、回避は困難だ。敵の大剣は決死の覚悟で受け流し、紅龍槍『廣利王』で反撃を撃ち込んで体制を崩す。一気に畳み掛けるなら今だ。
 ブルー・リーゼへ合図を送る。モニター越しでも、互いの意思は十分に伝わった。

「リミッター解除……グラビティリアクターフルドライブ……!」
 テラのヘカテイアがユーベルコードを起動するのに合わせて、シルは愛機ブルー・リーゼを一気に加速させた。ヴェルディグリースを二機で挟み込むように位置取り、こちらも最後の切り札を切る。テラが時間を稼いだのもあり、詠唱時間は十二分だ。
「――闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ、
 暁と宵を告げる光と闇よ……。六芒に集いて、全てを撃ち抜きし力となれっ!」
 極限まで増大した火・水・風・土・光・闇の六大属性の魔力が六芒星の魔法陣を描き、一点に収束されてゆく。これが精霊魔法の究極にして、最終最後の切り札。
 危機を察知したヴェルディグリースが回避行動に移ろうとするが、もう遅い。既に機体は動ける状態ではなく、その場で抵抗するのが精一杯だ。何故ならば……。
「ブラックホールキャノン……起動! 冥界の炎、『ギガスブレイカー』!!」
 既にヘカテイアが生み出した超重力の塊は敵機を引力圏に捉え、一気に押し潰そうとしている。脱出しようと試みれば一層の隙を晒すだけ。そしてその隙は逃さない!
「ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト、いっけーっ!」
 マイクロブラックホールで拘束された緑青の騎士を、六芒増幅術が強化した必殺の魔力砲撃が一瞬で飲み込んだ。重ね合った二人の切り札、容易く耐えられるものではない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エミリア・ジェフティー
まるで御伽噺の騎士みたいな立ち振る舞いですね
忠義心に生きるのは結構ですけど、まあ私にはその辺の事情は正直関係ないので
きっちりお仕事をさせて頂きますよ

…けど、そうですね
あえて一言言わせて頂くとしたら
「未来とは現実を認め、抗った先にあるものだ」
知り合いの科学者の受け売りですけどね
現実逃避してるあなたには、目覚めの時という未来は来ないですよ

巨大な剣を使うようですが、それだけ大振りなら剣筋も充分【見切れ】ます
念動球を纏わせたプロミネンスリッパーで【受け流し】、【操縦】技術で以って最小限の回避をして至近距離へ踏み込み
【グラップル】で態勢を崩し、コックピットを避けて寸勁を叩き込んで内部機構を破壊します


杼糸・絡新婦
いつ目が覚めるか分からないものを待つより、
どうやったら目覚めてもらえるか、
考えたほうがええと思うけど。
待っとるだけしか出来へんのかい、
それこそ錆びるで。

相手の動きを【追跡】するように攻撃しつつ
相手の動きを観察し【情報収集】【戦闘知識】で活かし、
【フェイント】【挑発】であえてこちらへの攻撃を誘い出しつつ、
向こうからの攻撃はキャバリアの盾で防いだり
【野生の勘】で回避。
こちらへ攻撃がくるタイミングで
【鏡返】によるカウンターを叩き込む。



「なるほど、そちらも手練揃いか。容易く斬らせてはもらえぬようだな」
 碧色のオーラを揺らめかせ、ヴェルディグリースは猟兵たちを睥睨する。
 その全身から放出されるサイキックエナジーの量は、未だ衰える気配を見せない。
 しかしそれも搭乗者であるウィズリー博士の精神力が尽きるまでの話だ。
 搭乗者は飾りとはいえ、超能力の枯渇はヴェルディグリース自身の敗北を意味する。
「だが負けぬ! この身に代えても、王国の敵はここで討ち果たしてみせる!」
 ヴェルディグリースの纏うオーラが、その意志を反映してより強固な鎧となった。
 忠義のために命を賭す姿だけを見れば、その献身は英雄的であるとすら思える。
 その忠誠に内包されている歪みこそが、この騎士を奮い立たせている点を除けば。

   ▼  ▼  ▼

「まるで御伽噺の騎士みたいな立ち振る舞いですね」
エミリア・ジェフティー(AnotherAnswer・f30193)がそう呟いたのとほぼ同時、愛機「セシャート」の動輪が火花を上げて唸った。直後に脚部ブースターが瞬間的に噴射する。セシャートの下半身を構成するターボローラー、その機能を活用した緊急回避運動だ。
 急加速により機体がスライド移動した一瞬の後、直前までエミリアが存在した空間を碧色の輝光が両断する。ヴェルディグリースが振るう剣は物質化したサイキックエナジーを纏い、今や身の丈を優に超える巨大な刃と化していた。その大剣を易々と振るいながら、緑青の騎士は超能力だけを頼りにしてセシャートの機動力に追随しようとしていた。
『御伽噺などではない、語り継がれる過去でもない! 我が忠義は今ここに在るのだ!』
 敵の語気からは強い憤激と高い忠誠心、そして自分自身を納得させようとしているような焦りに近い何かを感じる。だがいかなる方向であろうとも、超能力とは意志の強さに影響を受けるものだ。搭乗者から引き出された多量のエナジーが機体を覆っていく。
「忠義心に生きるのは結構ですけど、まあ私にはその辺の事情は正直関係ないので」
 一言で切って捨てながら、エミリアはプロミネンスリッパーで翠の大剣を受け流した。剣と剣が交錯し、極力勢いを逸らしたつもりでもコクピットまで衝撃が伝わる。ヴェルディグリースは力任せに追撃を掛けようとして、不意に後方へ飛び退った。
「あらま、気付かれてもうたか」
 飄々とそう口にしたのは杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)。搭乗するキャバリアからはいつの間にか無数の鋼糸が伸び、ヴェルディグリースの行く手を遮るように張り巡らされていた。仮にあのまま突っ込んでいたら、敵は容易に絡め取られていただろう。
『咄嗟に回避はしたが、鋼糸などただ切るだけだ 二度目は通用せんぞ!』
「この糸は大事なものやから、切られてまうのは困るなぁ」
 言葉ほどには困っていない調子のまま、絡新婦はなおも鋼糸をちらつかせて相手の攻撃を誘う。エミリアのセシャートもまた体勢を立て直し、再びリッパーを構えてみせた。
「それでは改めて、きっちりお仕事をさせて頂きますよ!」
『戦いを仕事などと嘯く輩が、王国の騎士を破ろうなどと!』
 ヴェルディグリースが怒り、纏うオーラを増大させる。だが騎士がどれだけ憤慨しようが、戦う理由は人それぞれだ。三機は各自の思惑を胸に、戦闘を継続する。

   ▼  ▼  ▼

 サイキックオーラを纏って猛加速し、より苛烈な攻撃を繰り出すヴェルディグリース。
 だが相対する二機は、騎士とは対照的に回避と牽制に徹していた。エミリアのセシャートが大剣を引きつけて最小限の動きで躱し、絡新婦は突進を誘いつつキャバリアシールドで器用に立ち回る。こうなると高出力のヴェルディグリースは消耗を強いられる。
「まだだ! 王国が目覚めるその日まで、我が剣が折れることはない!」
 力強い台詞で己を鼓舞し、急旋回からの突進ですれ違いざまに斬撃を繰り出す緑青の騎士。盾を駆使してその攻撃を紙一重で回避しつつ、絡新婦はあえて言葉をぶつける。
「目覚める目覚めるって言いよるけどな。いつ目が覚めるか分からないものを待つより、
 どうやったら目覚めてもらえるか、もっと自分で考えたほうがええと思うけど」
『……なんだと?』
 攻撃の勢いが弱まったわけではない。だが、相手の動きを仔細に観察してきた絡新婦には、太刀筋に僅かな動揺の色が見えた。ヴェルディグリースの歪みは、究極的にはそこにある。仕えるべき王国の滅びを認められず、向き合おうともしようとしないところに。
「待っとるだけしか出来へんのかい、それこそ錆びるで」
『知ったふうな口を、聞くな!!』
 今度こそヴェルディグリースの声が怒気を孕んだ。大きく助走をつけて最大加速し、大剣を振りかぶって突撃する。その速度ゆえに本来反撃を合わせるのは困難だが、相手は怒りのあまり動きが直線的になっている。全神経を集中すれば、不可能ではない。
「――鏡が如く射ち返す」
 絡新婦は神懸かったタイミングで『鏡返』を放ち、真っ向からカウンターの一撃を叩き込んだ。機体のスペックでは遥かに上回るはずの緑青の騎士が、突進の勢いをそのまま反転させたかのように吹き飛ぶ。恐らくは本人も、何をされたのか理解しきれてはいまい。

 続いて響く、装輪の駆動音。エミリアのセシャートが一気に相対距離を詰める。対するヴェルディグリースはオーラ放出で強引に制動を掛け、大剣を振りかぶった。
「貴方の事情は知りませんが……けど、そうですね、あえて一言言わせて頂くとしたら。
 『未来とは現実を認め、抗った先にあるものだ』……知り合いの受け売りですけどね」
 不利な体勢から強引に薙ぎ払うように放つ大剣の一閃へと、エミリアは敢えてプロミネンスリッパーを翳す。今度は超能力で形成した念動球が衝撃を和らげるが、弾き返されずに受け流せるかはパイロットの技量次第だ。そして、エミリアにはそれが出来る。
 深く一歩を踏み出して懐に潜り込み、機体の重心を落とす。大剣を振るったばかりの敵の腕を取り、捻るように崩す。極限まで腕を磨けば、生身の格闘家がやるような動きだろうとキャバリアで実現できる――それを証明するかのごとく至近距離で拳を突き出して相手へと当て、そして炸裂する運動エネルギー。寸勁の妙技が、敵の内部機構を破砕する。
「現実逃避してるあなたには、目覚めの時という未来は来ないですよ」
 今を生きる者たちが極めた技の連撃が、過去に固執する歪んだ鎧を打ち砕く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
実のところ、王国が健在かどうかは私にとっては重要ではありません。
あなたを再び眠りにつかせ、搭乗者を返してもらう。それに変わりはないのですから。

と言ったものの、テレポートとは相性が良くないですね。ですがウィズリー博士のことを考えるとエネルギー切れまで耐えることもできませんし……

「フィンブルヴェト」に【冬の弾丸】を込めて遠距離で戦闘を。敵の足元を狙う『威嚇射撃』で近寄らせないようにしつつ足元を凍らせていきます。
テレポートでこちらの間合いに入ってきたら【冬の弾丸】で地形を凍結させて向上した戦闘力を活かして回避、『カウンター』で銃剣での『串刺し』からの『零距離射撃』を。

この距離なら外しません。



 碧色のオーラを纏った巨人が、破れかけた黒い外套をなびかせて疾駆する。
 その足元目掛けて飛来した弾丸を側方への跳躍で回避し、巨人は遠方の一点を睨んだ。
 銃弾の斜線を逆に辿ったその先には、マスケット銃を構える猟兵の姿がある。
『生身で挑むその勇敢さは讃えよう。いずれにせよ、無謀の極みには違いないがな』
 戦意を漲らせる碧の巨人――ヴェルディグリースの言葉にも眉一つ動かすことなく、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は淡々と愛銃フィンブルヴェトの照準を合わせた。巨体に似合わぬ加速力を有する敵機が接近する隙を与えないよう、断続的に牽制射撃を放っていく。着弾地点の周辺は既に数発分の氷の弾丸によって凍結し、真冬の氷原めいた光景を現出させていた。直接命中せずとも、凍った足場は敵の機動力を削ぐ。

(……とはいえ、あちらがテレポートを使ってくる以上、相性は良くないですね。
 ですが博士のことを考えると、エネルギー切れまで耐えることもできませんし……)
 いくら遠距離からの狙撃で間合いを保とうとしても、空間転移で瞬間的に距離を詰められては意味がない。剣一本で戦うという敵機のコンセプトから推測するに、本来は射撃型キャバリアの懐に飛び込むための能力なのだろう。彼我の距離に関係なく接近して攻撃できるのであれば、むしろ下手な射撃武装などは不要なのかもしれない。
 それを承知した上で、セルマは敢えて威嚇射撃を継続する。この相対距離を保って相手を釘付けに出来れば、テレポートで強引に接近する以外の行動は取れないだろう。
 どのみち現状では決定打を与えられない。勝機があるとすれば、敵が転移するその時。

『せめてもの情けだ。王国に弓引く者よ、一息にて葬ってくれよう!』
 ヴェルディグリースの纏うサイキックオーラが瞬間的に増大する。朽ち果てた漆黒のマント――ロムスフェーンの外套を介して周囲の空間が歪曲する。そして次の瞬間、ヴェルディグリースの巨体は一旦視界から消失し……その直後には視界を埋め尽くしていた。
 転移先は目と鼻の先。銃で急所へ狙いを付けるにはあまりにも近すぎる……だが。
(王国に弓引く者、ですか。実のところ、王国が健在かは私には重要ではありません。
 あなたを再び眠りにつかせ、搭乗者を返してもらう。それに変わりはないのですから)
 躊躇うことなく、セルマは転移に合わせて『冬の弾丸』で自分自身の足元を撃った。一瞬で氷結した地面は敵の動きを封じ、逆に自身の戦闘力を向上させる。直後にヴェルディグリースが放ったサイキックエナジーの一撃を強化された身体能力を活かした渾身の跳躍で回避し、そのままドームの天井を支える柱を蹴って反転。敵機に飛び移り、フィンブルヴェトの先端に装着した銃剣アルマスをその朽ちかけた装甲の間隙へとねじ込む。
「この距離なら外しません」
 セルマは間髪入れずに銃爪を引く。冬の弾丸が鎧の内側深くへと撃ち込まれ、冷気が中枢機構を直接凍結させていった。内部への攻撃を今更オーラで防ぐことも出来ない。
 知恵と覚悟をもって力の差を覆し、こうして人は巨人を打ち倒す。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルージュ・リュミエール
王国は健在だぁ?
いいや、終わってるんだよ。お前も、アタシも、本来はとっくの昔に
最後の決戦であいつに、あいつらにすべてを託して散ったはずのアタシも
本来はきっととうに朽ち果てていて、それがオブリビオンマシンとして蘇っただけのお前も、終わったはずの過去の遺物に過ぎないんだよ!
同じ遺物同士、アタシが此処で終わらせてやるよ!

お前の剣とアタシの剣、どっちが勝つか勝負だ!
上段からの炎を纏った全力の斬撃!
必殺ぅ!バーニングエンド・スラッシャァァァァ!!
博士がまだ救出されていないなら、斬撃と同時に博士を救出してみせるよ

国と共に終われなかった騎士なんて惨めなもんだ
終わった役目に固執するのもね
いい加減、もう眠りにな


知富・迅
『王国への忠義を貫くのは嫌いじゃない…が、女性を犠牲にするのは最低なやり口だ。過去の亡霊が人の未来を邪魔すンじゃねぇ!』

連携歓迎

聖約行使を使い機体を限界突破し、聖霊の力を解放した真の姿に変身する

早く終わらせる為にも肉を切らせて骨を断つぜ

呪詛のような怨念を高速詠唱による結界術を、全力魔法で行使して浄化することで動きを鈍らす

剣の攻撃は野生の勘で致命傷のみ躱して、エア・スラッシャーによる近距離からの弾幕で視界を塞ぎ追撃を逸らす

テレポートで眼前に現れたら瞬間思考力で思考を加速し、放たれた一撃をオーラ防御を一点集中して受け止め傷を顧みずテンペスト・ブラスターを叩きつける

博士の救出は最優先に

アドリブ歓迎



 大剣を地に突き立て、ヴェルディグリースは崩れ落ちそうなその体を支える。
 猟兵たちを相手に戦い続け、ダメージを蓄積させながらも、戦意は未だ折れていない。
 とはいえサイキックエナジーの消耗は激しく、機体の損傷はそれ以上だ。
 長くは持たないことは、他ならぬヴェルディグリース自身が分かっているだろう。
「例えこの身が朽ち果てようとも、王国再興の捨て石となるならば本望!」
 故に緑青の騎士は考える。もはや滅びを免れぬ身、刺し違えてでも敵を討つと。

   ▼  ▼  ▼

 碧色のサイキックオーラが実体化し、長大な刃となって周囲を一振りで薙ぎ払う。
 直撃すればキャバリアごと両断されかねない斬撃を紅き剣インクルシオンで受け止め、ルージュ・リュミエール(英雄の亡霊・f32238)は歯を食いしばった。愛機にして己自身でもあるソルフレアが両足でフロアを踏みしめ、ぎりぎりのところで押し返す。
「いい一撃だったが、アタシとソルフレアを倒すにはまだ足りないな!」
 相手が体勢を崩しかけたところで一気に踏み込み、灼熱の炎を開放させながらの反撃は、しかしヴェルディグリースがオーラ放出で強引に距離を取ったことで不発に終わった。
 だが緊急回避の終わり際を捉え、上空から展開された結界術が騎士を拘束する。知富・迅(破邪の疾風・f33576)の駆る風神騎《天嵐葬覇》が放ったものだ。その機体はユーベルコード『聖約行使(テスタメント)』によって、既に聖霊の力を開放された状態にあった。真の姿となった天嵐葬覇の結界は、もはや相手の動きを封じるだけに留まらない。
「その身に纏う怨念! 浄化させてもらう!」
 結界に囚えられたヴェルディグリースの鎧が、僅かにその輪郭をぼやけさせ始める。解呪がサイキックに対して有効であることは、緑青の騎士が行使してきたサイキックエナジーが、いわば呪いに等しい負の意志によって引き出されたことを示していた。
『……怨念? 怨念だと!? 我が忠節を、事もあろうに怨念呼ばわりするか!』
 大剣を振るって力任せに結界を突破し、ヴェルディグリースは憤激を露わに天嵐葬覇目掛けて突進した。こちらが飛行していようとお構いなしに跳躍し、恐るべき攻撃範囲の薙ぎ払いが神速で迫る。完全な回避は不可能だ。致命傷だけでも避けるしかない。
「だったら、肉を切らせて骨を断つまでだ! エア・スラッシャー!」
 斬撃が掠めた装甲の一部が削ぎ落とされ、地表へと落下する。だが機体の運用に支障が出るような損傷ではないはずだ。迅は詳細なダメージチェックより先に両肩部の紋章を展開し、誘導式鎌鼬を最高速度で連射した。風の刃が視界を埋め尽くし、触れるもの全てを切り裂く大気の壁となってヴェルディグリースを地上へと押し返す。

『薄汚れた怨念などではない。王国も、我が忠義も、今なお燦然と輝くものだ……!』
 外套を翻して弾幕を凌ぎながら、緑青の騎士は絞り出すように呟いた。言葉そのものとは裏腹に、まるで自分自身に対して言い聞かせるように切実な響きをもって。
「いいや、終わってるんだよ。お前も、アタシも、本来はとっくの昔に」
 自己暗示めいた呟きを真っ向から打ち消したのは、炎のソルフレアを駆るルージュの言葉だった。ソルフレアもまたヴェルディグリースと同じように現代にて復活したサイキックキャバリア……いや、違う。いずれも過去の残滓、オブリビオンマシン。栄光の古代魔法文明によって生み出され、そして滅び去ったものが現在に落とした影。
『貴様などと一緒にするな……伝説の中でのみ生きる英雄などと!』
「同じなんだよ。最後の決戦であいつに、あいつらにすべてを託して散ったはずのアタシも、本来はとうに朽ち果てていて、オブリビオンマシンとして蘇っただけのお前も!」
 剣と剣が激突し、紅と碧が拮抗する。出力は伯仲。だが気迫という一点において、ルージュがヴェルディグリースを上回っている。じりじりと、緑青の騎士が押されてゆく。
「お互い、とっくに終わったはずの過去の遺物に過ぎないんだよ!」
 気圧されたかのように緑青の騎士が後退した。だが次の瞬間、膨大なサイキックエナジーがメラルダの剣へと注ぎ込まれる。やがて形成された念動力の剣は、もはやキャバリア用の武器の範疇を超える長大な刃と化していた。地上と空中どちらの敵もまとめて一太刀で両断できるほどの巨剣が、まさに猟兵たちを纏めて一掃しようと振り上げられる。
 だが全てを薙ぎ払うために上空へ空間転移したヴェルディグリースの懐へ、迅が最大加速で飛び込んだ。天嵐葬覇もまたサイキックキャバリア、操縦者に応えて力を発揮する。
「王国への忠義を貫くのは嫌いじゃない……が、女性を犠牲にするのは最低なやり口だ」
 振るわれた斬撃を、一点集中させたオーラを纏った右腕で受け止める。極限まで研ぎ澄まされた刃がじりじりと腕に食い込んでゆくのが分かる。だが、逃げられない状況なのはお互い様だ。荒れ狂う暴風が天嵐葬覇の胸部へ集い、必殺の竜巻となって射出される。
「過去の亡霊が人の未来を邪魔すンじゃねぇ!」
 破邪の風がヴェルディグリースを飲み込み、空中から地表へと叩きつけた。騎士はゆっくりと起き上がったが、もはやオーラを安定した状態で維持すら出来ずにいる。
 それでも剣を構えるヴェルディグリースの前へ、ソルフレアが歩み出た。
「同じ遺物同士、アタシが此処で終わらせてやる……勝負だ!!」
『……最後は一騎打ちか。悪くない』
 ヴェルディグリースは残されたオーラを全て剣へ集中させた。逃げも守りも捨てて、ただ眼前の敵と決着をつけるためだけのために。相対するソルフレアは、渾身の炎を紅の剣インクルシオンへと集中させ、そのまま大上段に振りかぶった。
「――必殺ぅ!バーニングエンド・スラッシャァァァァ!!」
 そして渾身の力で振り下ろされる灼熱の刃が、緑青の騎士のメラルダの剣と激突し……遂にその刀身を打ち砕いた。オーラを失った大剣は碧錆びて朽ち果てた残骸へとなり、無機質な音を立てて地に転がる。最後の守りを失った騎士目掛け、必殺技が炸裂する。
「……とうとう……夢の終わり、か」
 大爆発。サイキックオーラを失ったその鎧は、驚くほど簡単に破砕された。ヴェルディグリースはその場に膝を付き、プラント施設の廃墟へと手を伸ばした。
『……陛下、今お傍に参ります。今度こそ未来永劫、お護りいたしましょう……』
 その言葉を最後に、青錆びた騎士は急速に朽ち果てて崩れ落ちていった。
 まるで、止まっていた時が動き出したかのように。

   ▼  ▼  ▼

 戦いを終えて、しばらくの後。
「……この遺跡は、多くの人々の魂が眠る場所だったのですね」
 車椅子に深く腰掛けたまま、ウィズリー博士は感傷的に呟いた。
 救出された時は生死の境を彷徨うほどに衰弱していた彼女だったが、こうして無事に会話ができるまでには回復した。じきに車椅子無しでも歩けるようになるだろう。
「あの後、最深部の再調査がありました。どうやらプラント部分は独立したブロックになっているようで……近日中に上層のフロアへと移設されることになりそうです」
 運用面を考えるのであれば、利用するたびに迷宮の最深部へ赴くのは不便だろう。
それが理由のひとつではあるが、それだけではないとウィズリー博士は語る。
「あの最後の扉の先には、出来るだけ人が踏み込まないほうがいいと思いまして」
 今回の一件で命の危険にまで晒された彼女だが、その言葉には慈しみの色があった。
 あの王国は目覚めることなく、これから先も地の底で微睡み続けてゆくのだろう。

 本当にありがとうございましたと頭を下げる博士や調査団のメンバーたちに別れを告げてから、猟兵たちは今一度、ダンジョンの入口である遺跡の門へと立ち戻った。
 絵巻物のように緻密に彫り込まれた扉のレリーフには、あの緑青の騎士の姿もある。
 勇ましく剣を掲げるその姿からは、在りし日の誇りと忠義が伝わってくるようで。
 猟兵たちはしばらくの間、失われた王国の物語に思いを馳せた。

 遠く過ぎ去った時は、今はもう碧き追憶の彼方。
 過去が横たわる遺跡に背を向けて、猟兵たちはそれぞれの現在に帰ってゆく。


                      【朽ちゆく剣の碧き追憶】終

 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月17日


挿絵イラスト