銀河帝国攻略戦⑩~帝国軍の裏を掻け!
スペースシップワールドを未来を左右する戦いへ、解放軍はその戦力を整えつつあった。
「猟兵の活躍でミディアさんを中心とした解放軍は無事集結しつつある。戦争を次の段階に進めるときが来たよ」
グリモアベースに猟兵を集め、キケ・トレグローサ(たった一人の流浪の楽団・f00665)は戦争の状況を説明する。
「ミディアさんのユーベルコード、ワープドライブは強力だ。それは戦争を勝ち進める鍵になる。だけど、敵も対策を施していたんだ。エンペラーズマインドという遺失技術の一つを持ち出して、ミディアさんのワープドライブを妨害している。」
戦争を有利に進めるためにはミディアのワープドライブは必要不可欠要素である。だからこそ、それを妨害するエンペラーズマインドは大きな障壁となる。
「エンペラーズマインドはその特徴ゆえに、ワープドライブによる攻略はできない。解放軍が協力して艦隊決戦で打ち倒すしかない。今、解放軍と猟兵の一部が帝国軍との決戦に向かっている。それを迎撃するべく、帝国軍側もエンペラーズマインド防衛艦隊を組織して防衛を進めている。最終防衛ラインをエンペラーズマインドそのものとしてね」
エンペラーズマインドを巡った艦隊決戦。勝利条件は、エンペラーズマインドの破壊。
「だけど、僕らは裏を掻こうと思う。帝国軍のほとんどの戦力は艦隊決戦に注目し、前線に出張っている。その代償としてエンペラーズマインド周辺の警備が手薄になっているんだ。そこを少数で叩く。」
戦線が伸び、戦力が前線一方に偏った隙を突き、この決戦に勝利する。
「具体的な作戦を説明するよ。まず、僕がグリモアの力でみんなをエンペラーズマインド付近の宇宙空間にテレポートさせる。最低限の警備はいるはずだし時間もかけられないから一度にテレポートさせられるのは少数になる。それに、テレポートするのはあくまで付近だ。エンペラーズマインドの力の影響なのか内部まではテレポートできない。テレポートが完了したら、エンペラーズマインド内部へ潜入して、エンペラーズマインドの核を守る隔壁をそれぞれのユーベルコードで破壊してほしい。隔壁は巨大で、それに数百以上存在する。闇雲の破壊してると間に合わないから、より重要そうな隔壁を探し出して破壊するんだ」
エンペラーズマインドへ潜入し、隔壁を破壊する。行うことはシンプルだが、難易度は高い作戦になる。
「エンペラーズマインド内部にはもちろん警備兵がいる。発見されたら作戦の続行は不可能になると思ってほしい。それに隔壁を破壊できたとしても、警備兵が駆けつけて発見される。だから、警備兵に発見されるか、隔壁を一枚破壊したらグリモアベースに強制転移して脱出させる。くれぐれも注意して」
一度の潜入で破壊できる隔壁は一枚、しかも発見されれば即終了だ。だが、強制転移が使えるということ撤退の心配はいらないと言える。
「まとめるね。敵兵器、エンペラーズマインド内部に潜入、警備兵に発見されないように注意して内部を探索、エンペラーズマインドの核へ通じる重要な隔壁一枚を破壊して強制転移で脱出する。これをみんなで繰り返すんだ。帝国を追い詰める、大きな一手になる作戦だ。必ず、成功させよう」
Yggd
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
こんにちは。Yggdです。戦争シナリオとなります。エンペラーズマインド内部へ潜入し隔壁を破壊してください。警備兵に発見されれば、作戦は中断、失敗となり強制転移します。また、闇雲に隔壁を破壊しても意味はありません。潜入、探索、破壊、この三つをこなさなければエンペラーズマインドへの有効な打撃とはならず作戦は成功とはなりません。
猟兵の皆様の勇気あるプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『⑩エンペラーズマインド突入戦』
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POW : 密かに潜入し、POWのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する
SPD : 密かに潜入し、SPDのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する
WIZ : 密かに潜入し、WIZのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
霜月・柊
強敵と戦える訳じゃないの〜?つまんないなぁ〜…雪華よろしく〜。
と言って目を伏せ人格を入れ替える。
え?ちょっと柊!?一つの世界の危機だというのに…しかし、みすみす捨て置く訳にも参りませんし、仕方ありませんね。
通気口のような小さくて目立たない通路があればそこから【目立たない】、【暗殺】で潜入。警備の様子から【追跡】、【第六】で敵に大打撃を与えられる隔壁の場所を探り、【千里眼射ち】、【鎧無視攻撃】で破壊を試みます。
※アドリブ、絡み大歓迎です
本山・葵
潜入
フードファイト・ワイルドモードで戦闘力を強化して壁や天井をよじ登る
「今日はビーフジャーキーでこっそり食事っす」
「頭上は結構死角っすよ、潜入ルートがよりどりみどりっす」
探索
技能:野生の勘で探す
「う~ん、この隔壁があやしいっす!」
破壊
熱線銃(ブラスター)を技能:零距離射撃で使用する
「愛銃の最大威力を食らうがいいっすよ!」
まず最初に宇宙空間へと転移した猟兵は二人、霜月・柊(Inane Withdraw・f09791)と本山・葵(ユートレマジャポニカ・f03389)。
「って、よく考えたら、強敵と戦える訳じゃないのか~?」
転移した宇宙空間を漂いながら、柊は彼女の青い目を伏せ退屈そうだ。
「つまんないなぁ~…雪華よろしく~。・・・え?ちょっと柊!?」
と、彼女が自分自身の名前を呼ぶ。常人ならばおかしくなったのかと思う光景だが、彼女にとっては普通だ。何故なら柊は多重人格者。今、柊の身体を操っているのは雪華と言うもう一人の人格なのだ。
「なにやってるっすか…行くっすよ」
傍目には一人漫才をしているようにしか見えない雪華をおいて、葵が宇宙空間を漂い、エンペラーズマインドの外壁へと泳ぐ。雪華も後を追う。
「通気口のような、小さくて目立たない通路はないですか、あればそこから侵入できるんじゃないでしょうか?」
雪華が外壁を伝いながら侵入口を探す。幸い、エンペラーズマインド内部の空調設備の排熱口のような口は発見できた。嵌められた鉄の格子を破壊し覗き込む。
「うっ…熱くて・・・息苦しいっす・・・」
二人の猟兵は長居はできないと判断し、転がり込むようにして内部へ侵入を果たす。
「あー、苦しかったっす!おっと、今は隠密中でしたっすね…今日はビーフジャーキーでこっそり食事っす」
人工的に発生している重力が作用する船内に着地し、一息をつく葵。あとから雪華も来るだろう。場所を開けながら、もぐもぐと、どこからともなく取り出したビーフジャーキーを頬張る葵。葵はフードファイター。食べれば食べるほど能力が向上する。
「よしっ!それじゃぁ、自分が先行して様子をみるっす!」
排熱口から転がりこみ、息苦しさからむせる雪華を振り返り、サムズアップした葵。
「頭上は結構死角っすよ、潜入ルートがよりどりみどりっす」
と、呟きながら食事の効果によって向上した身体能力を駆使して壁を蹴り、天井にぶら下がって先の様子を探る葵。行く先に見張りがいないのを確認し、雪華へ合図を送る。雪華はそれを確認し、壁に張り付くように移動し跡を追う。
「隔壁…隔壁…っすよね…うーん、あれとかっすかね?」
葵が天井にぶら下がりながら視線の先の壁を指さす。確かに他の壁と模様が大きく異なり、扉のようにも見える。
「あれですね…でもたしか…たくさんあるのですよね」
地面から雪華が答えるが
「うーん、でも怪しいんすよ。勘っすけど」
勘なのか。と、突っ込みそうになる雪華。だが、猟兵の勘というのは案外当てにならないこともある。情報もないし、もたついて警備兵に発見されるよりは、まずは一枚、破壊したほうが良いのかもしれない。
「破壊してみれば、警備兵の反応から何か情報が得られるかもしれませんし。一枚目はあれにしましょうか」
「了解っす!」
雪華が矢を番え、葵はブラスターのエネルギーを溜める。そして隔壁へと近づきほぼゼロ距離でユーベルコードを放つ。猟兵の技を受けた隔壁は、轟音を上げて崩壊し、人一人通れるほどの穴が開く。
「くっう、固いっすね」
ゼロ距離のブラスターと矢の攻撃も隔壁には穴をあける程度だ。破壊しきるにはかなり強力な破壊力が必要となるだろう。
「それに大きな音が立ってしまいましたね。警備兵がやってくるでしょうから、作戦通り脱出しましょう」
雪華の言葉に葵も同意する。
「それにしても…戦争の最中なのに警備兵の到着がずいぶん遅いですね。この隔壁は外れだったとしても、敵の侵入を感知したなら、普通飛んでくるはず…戦力はそれだけどこかに集中している、と言うことでしょうか?」
強制転移の直前に僅かな思考を口にする雪華。その言葉を残して二人の猟兵はエンペラーズマインド内部から姿を消した。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
遠呂智・景明
アドリブ、他の参加者との連携絡み歓迎
さて、まずは潜入だな。
UC【風林火陰山雷 陰の如く】を発動して姿を消すか。それに加えて【迷彩】【忍び足】で慎重にかつ迅速に船内を探索する。
重要なもんってのは人が多いとこか、奥まった所って相場が決まってるもんだが。
今回はできるだけ奥の障壁を狙わせてもらう。
【地形の利用】で周囲の地形を探り身を隠しながら【見切り】で敵の動きを確認しつつ進む。
障壁を見つけたらさっさと破壊だ。ギリギリまで姿を消したまま近づき、至近距離で【風林火陰山雷 風の如く】を発動。
居合の要領でぶっ壊して撤退する。
可能ならほかの連中と連携出来りゃいいが、そこら辺は臨機応変に行くか。
さくっと壊すぞ。
黒木・摩那
【WIZ】
隔壁を何とかしないと先にも進めないわけで。
1枚ずつかもしれませんが、地道に潰していくしかなさそうです。
でも、今まで防戦一方だったのが、
こちらから攻められるだけ気分は楽ですね。
潜入は電脳ゴーグルのセンサーと(第六感)頼みです。
センサーは感度最大。(第六感)は勘を研ぎ澄ませて、と
ハイテク&ローテク?の両方を駆使します。
気づかれそうになったら、(念動力)で別方角の物を倒したりして、
そちらに注意を向けさせます。
重要そうな隔壁は警備員の密度や巡回路から推測して目星を付けます。
破壊はUC「偃月招雷」で魔法剣に電気をまとわせて、叩きこみます。
続く猟兵が転移し、エンペラーズマインド内部へと潜入を開始する。
「知り難きこと陰の如くってな。さあ、隠密行動させてもらおうか。」
長い黒髪を後ろにまとめた美丈夫が傍らに転移した少女に触れ、能力を行使する。すると、彼らの姿は透明になり、目視での発見が困難になる。美丈夫、遠呂智・景明(さむらいおろち・f00220)と少女、黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)はエンペラーズマインド内部へと正面からの潜入を開始する。彼らが大胆にも正面からの潜入を選んだのには狙いがあってだ。
「重要なもんってのは人が多いとこか、奥まった所って相場が決まってるもんだ」
とは、景明の言葉だが、二人の考えはこの一言に集約されている。船内の警備員の密度や巡回路を観察し、重要な隔壁に目星をつけるつもりだ。
「巡回が多いですね…電子ゴーグルのセンサの感度を上げます…」
透明化が解除されないよう、術者の景明の背にぴったりとくっついた摩耶が、ささやくように景明に伝える。景明は振り返らずに頷く。二人は足音を立てずに潜入し、奥へ奥へと歩む。二人は気を張り、すれ違う警備兵のわずかな視線の動きすら見落とすことなく、奥へ。
「右の通路から、3名…」
電子ゴーグルと、自身のサイキックを用いて索敵した摩耶が景明へ、彼にだけ伝わるほど微かな言葉で伝え、景明はやり過ごそうと歩みを止める。警備兵が視界から消えれば、逆に警備兵たちがやって来た方へ。警備兵の流れに逆らう二人は確実に、深部へと向かっていた。
「どうやら、あの隔壁の周辺が一番兵士の量が多いようです」
警備兵の流れを観察していた摩耶が一つの隔壁へ当たりを付けた。現に、その隔壁の周辺には常に警備兵が存在していた。
「見つけたらさっさと破壊だ。ギリギリまで近づくから、準備するんだ」
景明は『大蛇切 景明』に触れる。彼の刀であり、ヤドリガミである景明の本体の刀だ。摩耶も片手を景明と繋いだまま、魔法剣『緋月絢爛』を確認しいつでも抜けるよう身構える。
じりじりと、隔壁へ近づく二人。だが、警備兵の一人が二人の方向へ歩いてくるではないか。警備兵は二人の存在に気が付いていない様子だが、二人に衝突すれば存在に気が付く。それでは最大攻撃を隔壁へ叩きこめなくなってしまう。
・・・こーん…
何かがぶつかる音がする。歩いていた警備兵は音の方へ視線を向け足を止める。だが、何もない。気のせいかと思い警備兵は再び歩き通路の奥へ消えてゆく。
(ふぅ…)
声に出さず内心で胸をなでおろす摩耶。音は摩耶がサイキックを駆使した念動力で、壁をたたき起こした音だった。警備兵が音に気を取られている隙に摩耶と景明は警備兵とすれ違う。隔壁との距離は1メートルもなくなっていた。
「はっ!?お前ら、どこから…」
透明化を解除し、隔壁の目の前に突然現れた景明と摩耶に、付近にいた警備兵が気が付くが。
「ウロボロス起動……励起。昇圧、集束を確認……帯電完了」
「速きこと風の如く。さあ、一瞬だ。」
摩耶がサイキックエナジーを乗せた緋月絢爛を突き、景明が大蛇切 景明から居合を放つ。二つの剣技が隔壁へと衝突し、切り裂き、穿つ。至近距離から放たれた高い破壊力を有するユーベルコードに隔壁は轟音を上げ、崩れ落ちる。
警備兵が状況を把握するころには、二人の猟兵の姿はなく。隔壁が無残な姿をさらしていた。
大成功
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アポリー・ウィートフィールド
ふむ、本来このような隠密行動は不得手な方だが、こちらのルートがどうしても気になる故、潜入を試みるとしよう。
手頃な物陰に身を潜め、【追跡する翠の瞳】を発動。【野生の勘】も動員し、兵士を蟲に追跡させ、内部の構造を検めるとしよう。道中、階級の高そうな兵士を見つけたらそちらに追跡対象を切り替える。内部構造と目ぼしい隔壁をマッピングし、他の猟兵にも周知したいところだ。最後に破壊活動であるが、翠の瞳は攻撃に不向き故、可能なら別ユーベルコードである【貪食の黒き靄】を使用して隔壁を破壊する。難しいならそこで撤退するとしよう。
ルリララ・ウェイバース
互いを姉妹と認識する四重人格
SF的な横文字はひらがな表記
宇宙と言うのは広いなと、浸るのは、この戦いの後だな
表は岩のような色のマントを準備
小さな隕石やでぶり、を身を隠せる位にまとめ、これに隠れて、隠れてない所はマントで補って浮遊物としてマインドに接近を試みるぞ
帰港する艦艇にくっつければ最良だが、無理なら作業用ハッチから侵入出来ぬものか?
侵入したら、【地形を利用】しつつ、隠密
単独行動してる兵士を【だまし討ち】して鎧を奪って探索だ
奪った兵士のパスで入れないエリアの隔壁に目星をつけるぞ
隔壁には【全力魔法】【属性攻撃】もつけてガイヤスプラッシュ
金属だって大地の一部!声に応えよ!
二枚の隔壁が突破され、警備兵たちがいよいよ厳戒態勢に突入する。なか、三度目の転送が行われ猟兵がエンペラーズマインドを目指す。
「我は本来このような隠密行動は不得手な方。故に、改めて助力に感謝する」
完全に顔面が昆虫のキマイラの男性アポリー・ウィートフィールド(暴食のイナゴ男・f03529)が共にテレポートしてきた猟兵に手を合わせ感謝の意を表す。
「いいんだ。支援があった方が助かるのはお互い様だからな」
と、少し偉そうな口調で答えたのは豊かな黒髪の持ち主、ルリララ・ウェイバース(スパイラルホーン・f01510)。
「では、手筈通りに」
アポリーの言葉にうなずくルリララ。打ち合わせでは、ルリララが潜入し、アポリーが支援を行い内部の探索を進めることになっていた。岩のような色のマントを羽織ったルリララが宇宙空間に漂うスペースデブリに捕まり、簡易的にだが擬態すると、エンペラーズマインドへ向けてバタ足の要領で移動を開始する。それと同時にアポリーもエンペラーズマインドの死角を抜け、外壁にへばりつく。
「我に代わって征くがよい、翠玉色の千里眼。追跡する翠の瞳」
アポリーの詠唱とともに彼の足元から蜘蛛に似た蟲が生まれ出る。俊敏に動くその蜘蛛は肉眼では容易に発見は難しいだろう。蜘蛛はアポリーの意志の下、外壁を伝いエンペラーズマインド内部へと侵入に成功する。
一方、デブリに擬態したルリララも侵入を試みるところだった。流れるデブリの影を利用し、エンペラーズマインドに設置された宇宙船の離発着口へと近づく。十分に近づくと、デブリから離れ身体をマントで包みこみ、あたかも自分の身体一つでデブリのように流され、離発着口のすぐ横の外壁へと到達する。
「ん?なんだ?」
と、警備兵の声がする。
(まさか、接近がばれたか?)(ああ、もう、失敗だわ…)(きっと大丈夫だって!)
ルリララの中で彼女の『姉妹たち』が口々に言葉を漏らす。が
「何もない、か。見間違いか?」
警備兵が離発着口の際までやってくる。ルリララのちょうど真下、しかもルリララの存在に気が付いていないようす。
(今だ!)
ルリララは外壁を蹴り警備兵を頭上からの一撃で気絶させる。
(うまくいったな。こいつから装備を奪って変装するんだろ)
ルリララの姉妹が頭の中で指示を飛ばす。ルリララは警備兵の装備を奪うとそれに着替える。幸い全身を覆う装備だったため顔でバレることはまずないだろう。
(それにしても、なんで都合よく警備兵が出てきたのでしょう)
ルリララの姉妹の疑問に答えるように、アポリーの翠の瞳がルリララの前に現れる。翠の瞳がわざと警備兵の注意を惹き、誘導したようだ。
(これが、アポリーさんの支援か、なるほど助かるな)
やはりどこか偉そうなルリララと翠の瞳の案内の下、警備兵の中を歩く。翠の瞳は素早く、存在を知らなければ見つけることは至難の業だ。ルリララも見失わないように目を凝らして廊下を歩く。やがて翠の瞳は前方を歩く警備兵の足元をグルグルと回り始める。よく観察すると装備の質が今のルリララの装備よりも上質そうだ。
(位の高い警備兵なのだろうか、とゆうことは重要度の高い隔壁への接近も容易になりそうだな)
翠の瞳はルリララが意図を汲んだのを見計らうと、先ほどと同じように警備兵を人目のない場所へ誘導する。そして、完全に一人になったところをルリララが攻撃し気絶させ、変装する。これを2回ほど繰り返す内に、やたらと警備兵が集中している隔壁を発見する。間違いなく、重要度の高い隔壁だ。
「お前たち、散れ!侵入者を探すのだ!」
ルリララが偉そうに警備兵に指示する。警備兵たちは反論しかけるが、ルリララの装備を見て口を噤み各方面へと散っていった。残ったのはルリララだけになった。ガシャン、と音がして天井が抜ける。
「うむ、見事だルリララ殿」
「そちらこそ、いい支援だったぞ」
翠の瞳の視界の情報を下に、地道に狭い空気管を這うように侵入していたアポリーが天井から飛び出し、ルリララと合流する。二人の前には隔壁のみ。
「破壊と再生の力を今ここに!金属だって大地の一部!声に応えよ!」
ルリララがユーベルコードを以って隔壁へ攻撃を加える。それは精霊術。大地と炎の精霊が生み出した溶岩が隔壁へと注がれ、隔壁が熱に溶けだす。
「我も参ろう。我の忌むべき欲望の片鱗、今解き放たん!貪食の黒き靄!」
アポリーのユーベルコードによって、無数の蟲群れが現れる。それらは異常なほどの食欲を宿し、金属の隔壁にすらかじりつき始める。ユーベルコードを放った二人は顔を見合わせ作戦が完了したことを確認し、その場から緊急転移した。
その後、警備兵たちは重要な隔壁が一枚なくなっていることを発見する。その隔壁があった場所に残されたのは燃え盛る溶岩と、床や天井を削り食べている蟲の群れだった。
大成功
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