大祓百鬼夜行㉓〜バブリーナイトフィーバー!!!
●バリバリバブリーNO.1
「よくぞ生き残った我が精鋭たちよ! ワイちゃんが親分や! 新し親分『バズリトレンディ』や!」
その『虞』を知らぬ態度は骸魂と合体を果たしてもなんら変わるところのないものであった。
彼女が今まさに立つのは『バズリトレンディ御殿』である。
バブル時代をイメージするように無尽蔵に『お金』が噴出し続けている。それはまさにバブリーそのものであった。
湧き上がるお金はキンキラキンにさりげなく。
いや意味がわからん。
「うっせえわ! 流れるように流行りに飛びつくのがワイちゃんの正義! ミーハーだと罵られようが、『虞』知らずの妖怪と言われようがワイちゃんの心は折れないンゴ! いやごめんやで。ワイちゃんかて、時には素直にごめんなさいすることだってあるんやで。トイレに神様がおるんやでって言うくらいにはな!」
まずい。
何一つ言葉の内容が頭に入ってこない。
右から左にするっすると抜けていくらいに清々しい新し親分『バズリトレンディ』の言葉。
けれど、そんなことはお構いなしに彼女は噴出し続ける『お金』でバスダブを満たすと、そこに飛び込む。
なんか月刊誌とか少年誌の広告ページにキントレグッズと一緒に掲載されている胡散臭い幸運商法の美女と一緒に札束に浸かっているアレなポーズを取っている。
そういうの恥ずかしくないんです?
「ないね! 良いものはいつまでも残るけどな、流行りはそうとも限らんのや。せやけどそこには、チックタックと鳴る世界で忘れられていく、人の心の熱さが確かにあって、ワイちゃんはそれが好きなんやろうなぁ……」
隙有れば自分語りである。
もうやりたい放題だ。
これを止められるやつは居ないのか!
「いるさ! 此処に一人な! じゃあなくって、猟兵さん出番ですよって! はい8時だよ全員集合~! ほらほら、猟兵さんいらっしゃ~い!」
『バズリトレンディ御殿』に転移してくる猟兵たちを前に『バズリトレンディ』は孤独なシルエットが動き出しそうな手を掲げるポーズを取る。
やべーぞ!
このままでは著作権的なアレに引っかかってしまう。や、やめるんだ!『バズリトレンディ』さん! このままでは消されてしまうぞ!
ただその耳はマジでやべーので、それを外して頂けると非常に助かります。夢の国のネズミーマウスが怒ってまう!
「だが断る」
これは本格的にまずいやつである。
ヤツが本気になったら、別の意味でやべーのである。だが、そんなこたぁ関係ねぇ! とばかりに『バズリトレンディ』はやりたい放題である。
ハンマーパイナッポー&アッポーハンマーを両手に握り、宣言するのだ。
「そんなわけで、全力のワイちゃんを倒せれば、『大祓骸魂』の撃破に必要な『虞知らず』を習得できちまうんだ! 身勝手の極意じゃあないから、そこんところよろしくなんだぜ!」
そんでもって天に煌く五つ星的な名乗りとキレッキレなポージングをキメにキメまくった『バズリトレンディ』が火薬強ない? というくらいに爆発を背に負って猟兵を待ち受ける。
気力転身である。おいこいつ止めろ。
「平気へーき。オマージュって言っておけばいいんじゃよ、オマール海老だって許してくれるよ。けど、一つだけ、ワイちゃんの耳には触れんといてくださいよ……」
関西弁の人がそう言うから、振りに聞こえんだよ……。
そんなこんなで猟兵達は、長い戦いの中でもとびっきりのヤバイ案件に首を突っ込むことになったのである――。
●ところがギッチョン! 大祓百鬼夜行
グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂き感謝カンゲキ雨嵐でございまう」
噛んだ。
まうって言った。
えぇ……。
グリモアベースに困惑だけが広がっていく中、ナイアルテは事件のことなど放り出しても良いくらいのカミカミ具合であった。
大丈夫? 無理してない?
「だ、大丈夫ですとも。ナウなヤングにバカウケな私ですから。大丈夫です。言え、本当です。本当なんです。そんな目で見ないでください」
これはまずいやつである。
カミカミなだけならまだよかった。正直に言って、バズリやらトレンディから程遠い。なんか流行りというものからズレて認識しているようであった。
「あ、新し親分『バズリトレンディ』さんとの戦いです……か、彼女は『バズリトレンディ御殿』にて、無尽蔵に噴出する『お金』と共に皆さんを待ち受けているのです」
どうやら最後の四人の親分に猟兵達が到達したことを受けて、新し親分『バズリトレンディ』は、猟兵たちを迎え撃つ気のようであった。
まるでバブル時代のイメージ映像のようにお金が噴出し続ける御殿は、あまりにも現実味がない。
けれど、それこそが彼女を打倒するために必要なことなのだ。
「はい、無尽蔵に噴出する『お金』は、この『お金』で買えるものをイメージすると、お金の消費と引き換えにそれが出現し、消費した金額に応じてパワーアップすることができるのです」
それはつまり散財し放題ということだろうか?
あれもこれももっともっと欲しいというやつでいいのだろうか。その言葉にナイアルテはうなずく。
お金を消費すればするほどに強くなる戦場。
一見簡単そうに思えるが、人の想像力が試されている戦場でも在るのだ。新し親分である『バズリトレンディ』の金銭感覚はバブル時代と同じくバグっている。
うどん食べにヘリコプターで四国まで飛んでいくのなんて朝飯前である。
そんな彼女の金銭感覚を上回るバブリーなパワーで彼女を圧倒しなければならないのだ。
「正直、私にはお金を使うという感覚があまり……その、ないようなので……」
なんかいつの間にかボディコンお姉さんが持っていそうな扇子を持っているナイアルテ。
ふりふり猟兵達に向かって火打ち石よろしくふりふりしている。
なにしてんの。
「えっ! あ、その、こうするものなのでは……?」
多分違うし、彼女は恐らく最もバブリーから程遠い存在である。なので、ここからは次回予告のようにやらせて頂く。
Not even justice,I want to get truth――!
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『大祓百鬼夜行』の戦争シナリオとなります。
おまたせしました強いやつ! じゃなくってやべーヤツ!
新し親分『バズリトレンディ』とのバブルパワー対決となるシナリオです。ところどころマジでやべーところがありますが、オマージュ、パロディ、伏せ字が良い仕事をしてくれてますねぇってやってくれるので大丈夫です。がんばります。
いつになくアゲアゲテンアゲなテンションでお送りするシナリオとなっております。
新し親分『バズリトレンディ』と『バズリトレンディ御殿』にて、噴出する無尽蔵な『お金』を使ってゴージャス度を競い、彼女を打倒するシナリオになります。
※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
プレイングボーナス……お金で買えそうなものを買いまくりパワーアップする(買ったもので攻撃するのもOK)。
それでは、大祓百鬼夜行を阻止する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『新し親分バズリトレンディ・トレンディ形態』
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POW : 竹やぶで拾ってきたわ!
【多額の現金】を籠めた【大きなカバン】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【戦闘意欲】のみを攻撃する。
SPD : 何があろうと戦い続けんと!
【栄養ドリンク】を給仕している間、戦場にいる栄養ドリンクを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ : ワイちゃんと踊ろうか!
【召喚したミラーボールから光】を降らせる事で、戦場全体が【1990年代前半のディスコ】と同じ環境に変化する。[1990年代前半のディスコ]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:天城望
👑11
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鈴久名・紡
……判った、頑張ろう
とは言ったものの、実は些か自信はない
なぜかは聞かないでくれ
俺は金銭的な価値のあるものにさして興味がない
ならなぜ来たのか?だと……?
怖いもの見たさ、かな
あぁ、すまない
あんたの自分語りに釣られた
では……そうだな、俺はこれとこれで往こう
一つは消失されていたとされるどこぞの王家の秘宝
どこぞの競売で、これをぶっちぎりの億を越えて兆の額で買おう
ほう、これもすごいな
競売であれこれ買いまくる
だって!俺の!金ではないから!
ああ、それからもう一つ
民間の宇宙旅行券というのを買おう
お世話になってる旅団の団員数(13名分)
古いものにも新しい技術にも相応の価値はある
うん、いい気分転換になった……かも?
金とは力である。
ある者は言うだろう。金で買えないものだってあると。
けれど、大抵の場合、金で買えないものは、金で買えるものでどうにかできるものなのである。
「オッケー! バブルフィーバーつってね! ワイちゃんを越えてみせろ猟兵さん!」
ひゅー! と口笛吹きながら、なんか雑なかばんに一杯の現金を詰め込んだ新し親分『バズリトレンディ』が『バズリトレンディ御殿』から躍り出る。
無尽蔵に噴出し続ける『お金』を背景に、彼女は意気揚々と駆け出すのだ。
テンション高すぎて若干ウザい気がしないでもないが、しかしてこれもまた試練である。
「……判った。がんばろう」
えぇ~本当にわかったんでござるか~? と『バズリトレンディ』が猟兵の一人に迫る。
「とは言ったものの、些か自信はない。何故かは聞かないでくれ」
鈴久名・紡(境界・f27962)は若干自信なさげにうなずいて、迫る『バズリトレンディ』と相対する。
そう、彼は金銭的な価値あるものにさして興味がないのだ。
お金に執着しないものにバブリーは理解し難いものであったことだろう。なんでこんな紙切れに躍起に鳴るのか、正直なところ紡には理解できていなかった。
「ならなんで来たとや! この新し親分であるワイちゃんにバブリー具合で勝てないならなんでや! なんでなんです、猟兵さん! バブリーの波にだけは乗らんといてくださいよ!」
いやそれは振りだろもう。
そんな雰囲気の中、紡だけが一人冷静にうなずいた。律儀である。
「怖いもの見たさ、かな」
「で、で~!!! 出た~このむっつりバブリー! 仲間内で怪談話とか肝試しやってる中、何がこれ面白いのかわからないけど、みんなが楽しそうだからそれでいっかって思っちゃうタイプのイケメン出たー! こ、これがイケメン力……! 猟兵さんの顔面偏差値お化けかよ!」
怒涛の口撃である。いや口撃かな、これ?
びゅんびゅん現金詰まったかばんを振り回しながら、なんかイケメンオーラに当てられている『バズリトレンディ』さん。
正直言って目が幸福である。
やべーやつである。
「あぁ、すまない。あんたの自分語りに釣られた。では……そうだな、俺はこれとこれで往こう」
そう言って紡がt手にしていたのは、消失されていたとされるどこぞの王家の秘宝。何処ぞの競売で、これをぶっちぎりの億を越えての兆の金額……すなわち5000兆円で落札したのだ。
「ふぁっ!?」
実在したのか、その単位!
いや、まあそれは良いとしても、紡の歯止め聞いていない。
「ほう、これもすごいな」
彼が見ているのは競売オークションサイトである。なんでもはないが、大抵のものは在るのだ。
多分どっかの怪盗三世とかが盗んだりしたやつなのだ。
あれもこれもどれもこれも買いまくる姿は、本当に金銭的な価値在るものに興味がないと言っていた本人とは思えないほどであったが、まあ、楽しいよね、ショッピングって。
後に紡はこう語る。
『だって俺の金ではないから』
あ、これはかなり来てるですね。やばいですね。
「ああ、それからもう一つ。民間の宇宙旅行券というのを貰おう。お世話になっている旅団の団員の分まで」
しれっとそんなものまで予約していたりする。
いや、それはスペースシップワールド行けば解決するやつでは? と思わないでもなかったが、紡はかまわなかった。
だって買い物楽しいし。
「古いものにも新しい技術にも相応の価値はある。良い買い物をした……」
「なんちゅうバブリーなんや……! こ、これがイケメンのやることかよー!」
ワイちゃんさんこと、『バズリトレンディ』は紡のあまりの散財っぷりとイケメンオーラにやられて、振り回していた現金の詰まったかばんを自分の後頭部にぶつけて昏倒する。
何故か血文字で『イケメンが悪い』とダイイングメッセージが残される。いやまだ死んでないけど。
そんな『バズリトレンディ』を他所に紡ぐは非常に良い気分転換になったと清々しい顔をするのだった――。
大成功
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超弩級怪力魔法幼女・あとみっくはぁと
こころの魔法少女ステッキ、マジカル☆アトミックハンマー♡で変身するよ!
魔法少女☆あとみっくはぁと!ただいま参上♡
とりあえずまずは軽く、東京のランドマークのスカイでツリーな電波塔を購入☆ちなみにスマホ(当然巨人サイズ)で調べたら総工費は650億円らしいよ♡
リミッター解除して限界突破したUCとあとみっく☆ぱわぁとアトミックマジックでスカイなツリーよりも巨大化♡
パンツ見えちゃうかもだけどはぁとは気にしないよ♡
巨人のゴッドハンドスーパーヒロインの人知を超えたマジカルパワー(怪力)で電波塔(建築物)を引き抜いて、あとみっく☆うぃんぐで飛んで空から地形破壊あとみっくランスチャージで重量攻撃するね♡
デカさとはすなわちパワーである。
どういうことなのと、思わないでもないがデカイってことは強いってことなんじゃとは新し親分『バズリトレンディ』の言葉である。
あまりの猟兵さんたちの顔面偏差値お化け具合に彼女はダイイングメッセージを残していたが、まあ、死んでないのでセーフである。
事件は迷宮入りである。
「真実はいつも一つ! てなわけで猟兵さんの顔面偏差値お化けっぷりはやばいやん……ってはれー!?」
現金詰まったかばんをぶん回して猟兵さんボッコじゃい! と『バズリトレンディ』は意気揚々と立ち上がったが、彼女が見上げたのはなんかすごいデカイ足であった。
え、なにこれ現実?
そう思うのも無理なからぬことであった。
「こころの魔法少女ステッキ、マジカル☆アトミックハンマー♡ 魔法少女☆あとみっくはぁと! ただいま参上♡」
超弩級怪力魔法幼女・あとみっくはぁと(どこにでもいるごく普通の女子小学生【5年生】・f30356)の足である。
え、どういうこと? と思わないでもない。
まあ、あれである。猟兵は生命の埒外の存在である。巨人の猟兵だって珍しいものではないは。まあ、多種族換算で10歳な巨人の少女なのである。
「えっ、でっか。色々でっか」
さすがのワイちゃんも驚きである。
いくら様々な種族がいるからってデカすぎじゃろう、と『バズリトレンディ』もおどろ木ももの木さんしょの木である。
ちょっと何言ってるかわかんないですね。
ともあれ、この戦いに体躯のサイズ差は関係ないのである。
「せやで! これはバブリーな戦いなんや! おう! ワイちゃんの金銭感覚のバグっぷりを見せつけたらー!」
そんなこんなで始まったバブリー対決であるが、超弩級怪力魔法幼女・あとみっくはぁとさんのバブリー具合は、そのお体と同じくらいにバブリーである。
まずは軽くとランドマークであるスカイなツリーの電波塔を購入。
ちなみに総工費は650億円である。
やすいのかたかいのか、ようわかんない。だって魔法少女だし。
「はぁとはまだまだ成長期だよ♡」
え、そういう問題? と『バズリトレンディ』は見上げた。まだでかくなんの?
そう、彼女にとって誰よりも大きくなりたいという超弩級なる感情はユーベルコードに寄って昇華され、あとみっく☆おーばぁろぉど♡(アトミック・オーバーロード)として炸裂するのだ。
あのー……購入されたスカイなツリーな電波塔を片手に掴んでいる姿は、怪獣大決戦的なアレにしか見えないんですがぁ、そのぉ。
特撮撮影会場かな? と見紛う程の光景の中、、超弩級怪力魔法幼女・あとみっくはぁとは巨大過ぎる体躯でもって人智を越えたマジカルパワーでもって電波塔を引っこ抜いているのだ。
総工費650億円がー!
「見えてる! 見えてるけど、大きすぎてあんまりよくわかんないやん!」
叫ぶ『バズリトレンディ』。
正直もう、戦いの趨勢は決してない? バブリー具合とかなんとか言ってる暇なくない?
『バズリトレンディ御殿』がミニチュアセットみたいに砕けるほどの衝撃波を伴って、、超弩級怪力魔法幼女・あとみっくはぁとは、あとみっく☆うぃんぐで飛び上がり、空から電波塔を槍のように構え、あとみっくランスチャージでの圧倒的な質量兵器となって振り下ろし、『バズリトレンディ』に振り下ろすのだ。
「か、カラータイマーまだですかー! は、はやくー! このままじゃ普通に地球じゃなくってワイちゃんがピンチなんですけどー!?」
「大丈夫、はぁとがスーパーヒロインだから♡」
何がどう大丈夫なのかわからん!
けれど、振り下ろされた電波塔は頭から『バズリトレンディ御殿』にぶっささり、新たなオブジェとして刻まれることになったのである――。
大成功
🔵🔵🔵
ペペル・トーン
ええと、要はお買い物をしたらいいのよね?
おいで、私の可愛いお友達
好きなものを買ってあげるわ
男の子も女の子も、いつもは私におねだりできないようなものを
言ってちょうだいね
うふふ、みんなの夢が叶えられるのは嬉しいものね
あら、数で押すのはいけないかしら?
流行りって数が作るものでしょう?
あの子達の欲しいもので満たしたなら
そうねぇ、私、物で欲しいものがある人ではないから困ってしまうわ
でも…あの子達の欲しいものをしまう、お部屋が欲しいわね
1人一部屋くらいいるのかしら
ああでも、私達ってデパートに住んでいるから
いっそデパートを新しくするべきかしらね
支配人ですもの、ちゃんと考えているのよ?
もつものが多いと大変ね
打ち込まれたスカイでツリーな電波塔がぶっ刺さった『バズリトレンディ御殿』は一種のカオス状態であった。
いや、闇鍋って言ったほうが正しいのかもしれない。
一時期異様に流行ったよね、闇鍋。いや、別に流行ってはおらんやろって誰もが思ったかも知れないが、新し親分『バズリトレンディ』は飛びついた流行りは絶対に忘れないのである。
「とんでもない目にあったけれど、流石は猟兵さんと言っておこうじゃんね! というわけでワイちゃんと踊ろうか! へいかもん、ようちぇけらっちょ! ミュージックかもん! いぇいいぇい!」
ぱちんと指を鳴らした瞬間、『バズリトレンディ御殿』に舞い降りるのは光の乱舞。
そう、何処からともなくミラーボールが召喚され、扇状となった『バズリトレンディ御殿』をディスコホールへと変えてしまうのだ。
意味は?
「そんなもんあらへんのや! 誰も彼もがおどりゃな損! てなわけで、ワイちゃんと朝までサタデーナイトフィーバー! いや今、月曜日だけどなー!」
もうやりたい放題である。
ここ『バズリトレンディ御殿』ではお金を使えば使っただけ強化される戦場である。正直ちょっと意味分かんないけれど、ペペル・トーン(融解クリームソーダ・f26758)はメロンソーダを連想させる髪を翻して、舞い降りた。
ふわふわとした雰囲気はあまりに美少女オーラであり、『バズリトレンディ』は、ちょっと猟兵さんの顔面偏差値お化けすぎる様子に恐れおののいた。
『バズリトレンディ』さんは美少女である。
けれど、ぺぺルの儚げで、それでいて甘やかな雰囲気はさらに上を行くのだ。
「ええと、要はお買い物をしたらいいのよね? おいで、私の可愛いお友達。好きなものを買ってあげるわ」
ふぁ!?
ありふれた楽しいお話ごっこ(サッドマッドデッド・ストーリー)の延長と言うように、幼いフラスコチャイルドたちを乗せた瓦礫でできたお魚型の幽霊船が『バズリトレンディ御殿』に横付けする。
まるでハイヤーである。
幽霊船から溢れるように幼いフラスコチャイルドたちが駆け出す。
もう気分はデパートのおもちゃ売り場である。
だが、何も心配は要らないのだ。ここは無尽蔵にお金が噴出するバブリーな戦場。思い描いたものは何でも手に入る。
そう、ぺぺルのお友達は皆、遊びたいざかりだし、あれもこれもみんな欲しい年頃なのだ。
「男の子も女の子も、いつもは私におねだりできないようなものを言ってちょうだいね」
ぺぺルは微笑んでいた。
まるで慈母の如き微笑みであったが、言ってることはちょっとえげつない。初孫ができた祖父祖母に子供らの天真爛漫な笑顔と瞳で持っておねだりさせるような、お財布にダイレクトアタックなおねだり攻撃でもって、ぺぺルは次々にお金を消費させていくのだ。
「あぁ~経済が潤う音~……じゃなくってね!? あれ!? これ、そういう戦い? あ、そういう戦いでしたわ!」
『バズリトレンディ』が思い描く以上の消費速度である。
「うふふ、みんなの夢が叶えられるのは嬉しいものね。あら、数で押すのはいけないかしら? 流行りって数が作るものでしょ?」
「おっしゃるとおりですわ! でもちょっとぉ、そのぉ、加減とかぁ、してもらえるとぉ、助かるのですけどぉ、なんて!」
あと、ディスコホールはちょっと子供らには早いかなぁ、なんて。
とかなんとか『バズリトレンディ』さんは、腰が低くなっている。
圧倒的な数の暴力。いやさ、子供らの天真爛漫な欲望の前にお金の消費量は加速度的に増えていくのだ。
だって、子供だもの。熱中しやすいし、冷めやすい。
速攻で飽きて、次の玩具にゴー! である。底抜けである。
「そうねぇ、私、もので欲しい物がある人ではないから困ってしまうわ」
「あれ!? もしかしてお話通じていらっしゃらない感じ!? ワイちゃんを上回るレベルでマイペースレディ!?」
するっと『バズリトレンディ』のごますりなんて聞いていないのか、ぺぺルは悩ましげに首をひねる。
そう、ぺぺル自身は物欲がそうあるわけではないのだ。
あ、そうだわ、とマイペースにぺぺルが微笑む。
「うっ! すげぇ、美少女オーラ! 美少女の笑顔でご飯が美味しい!」
「あの子達の欲しい物をしまう、お部屋がほしいわね。一人一部屋くらいいるかしら? ああでも、私達ってデパートに住んでいるから、いっそデパートを新しくするべきかしらね?」
「え、デパート? デパートっておっしゃられた!? はえー……美少女支配人……言葉の響きだけでもうヤバ……エモッ」
なんかわからんが、『バズリトレンディ』はなぞの敗北感に苛まれていた。
いや、バブリーな対決だから間違ってないのだけれど、何処まで言ってもぺぺルは子供らや他の人間たちの事を考えての欲望なのだ。
汚れなき純真なる想い。
幼さと母性が両立する奇跡的マリアージュ!
その輝きに『バズリトレンディ』は敗北感を覚えたのだ。
「敗北を知りたいっていうか、これはもう負けてるやつなのでは!? ワイちゃんもしかして、足りないのは母性なのでは!?」
いや、よくわからんけども。
ぺぺルは微笑み、そんな『バズリトレンディ』に手を差し出すのだ。え、やさし……。
「支配人ですもの、ちゃんと考えているのよ?」
だから、改装費。
「アッ、ハイ……」
ぺぺルはもつものが多いと大変ね、と微笑み、背後で物欲を刺激されまくった幼いフラスコチャイルドたちが消費するお金の金額がどえらいことになっていることに、『バズリトレンディ』は圧倒的敗北感を刻まれ、その場に膝から崩れ落ちるのであった――。
大成功
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東雲・深耶
ク……こんな大量の資金等……資金等……
学園の経費や支援金に使ってくれる!
そう言って学校の各部費や施設維持等に資金を注ぐ
(今季の生徒会の東雲政権も支持率鰻登りだとか、公認会計士の子息令嬢はどこからあんな莫大な資金を持ってきたのか睨みを効かせたそうだが、それはまた別のお話)
ん?ああ、栄養ドリンクを提供してくれるのですか、ありがたい
私は貴公の信念に惚れ込みましてね。一度世界で繁栄の輝きを放ったからこそ
何も忘れたくない、という事ですね
では、改めて自己紹介を
東雲本家筋次男家長女、大和ヶ丘学園生徒会長…東雲・深耶
そう言って八大龍王を抜き放ち、新し親分へと挑んでいく
『バズリトレンディ御殿』。
それは無尽蔵にお金が噴出し続ける黄金の宮。新し親分『バズリトレンディ』は猟兵さんたちのあまりにも気持ちの良いお金の使いっぷりに痺れまくっていた。
いや、痺れているというか、完全に膝から崩れ落ちている。
目もくらむような金額が飛び交い、新し親分としての矜持がなんかこう崩れ去りそうな気がしないでもないが、それでも『バズリトレンディ』は一度は折れた膝を叩いて立ち上がるのだ。
「ええい! 猟兵さんたちの金銭感覚はバグりっぱなしなんかいーい! ていうか、容赦なさすぎでは! 審議、審議入りまーす!」
そんなものはない。
けれど、彼女とて親分の一人である。
何があろうと戦い続けんと。
にじゅうよじかんたたかえますか!
「ファイトーひゃっぱーつ! ささ、ぐいっと栄養ドリングぐびっとね。飲みやすいりんご味。おー、 ハンマーパイナッポー&アッポーハンマー!」
もうめちゃくちゃである。
「ク……こんな大量の資金など……資金など……学園の経費や支援金に使ってくれる!」
!?
いきなりどうしたというのだろうか。
東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)はわなわなと震えている。
風邪? 大丈夫? はい、栄養ドリンコ。
「ん? ああ、栄養ドリンクを提供してくれるのですか、ありがたい」
「いや、風邪引いているなら無理しないほうがよくない? ワイちゃんもたまにはしんどいなーってときもあるし。無理は現金って……」
ぐいっと飲み干して深耶は栄養ドリンクの瓶を『バズリトレンディ』に突き返すのだ。
そんな彼女の瞳はお金にぐるんぐるん渦を巻いている。
あ、これはあれである。お金が必要過ぎるタイプの人の瞳である。いつも資金繰りに大変苦心しているのだろう。
彼女の通う学校の各部費や施設維持などに資金はたっぷり必要なのである。
「えっ、それは学校からでるやつですやん。なんで個人で必要なん!?」
「今季の生徒会の東雲政権も支持率うなぎのぼりだとか、公認会計士の子息令嬢はどこからあんな膨大な指揮をんを持ってきたのかとか、そういう睨みを聞かせるのに必要なんです」
「はえー、猟兵さんって大変なんじゃなぁ……」
『バズリトレンディ』は栄養ドリンクを給仕している間も、なんとなく苦労人そうな深耶の言葉にうなずく。
「私は貴方の信念に惚れ込みましてね。一度世界で繁栄の輝きを放ったからこそ、何も忘れたくない、ということですね」
「そうそう、わかってくれるでござるか~ワハハ! ワイちゃんってば、こういうとこでも人徳出ちゃうか~! にじみ出ちゃうか~! しょうがないにゃあ!」
『バズリトレンディ』はニヘニヘしている。
おっ、こいつ実はチョロいのでは? と勘違いしたくなるほどのであれであったけれど、それでも四人の親分であることには違いない。
「では、改めて自己紹介を。東雲本家筋次男家長女、大和ヶ丘学園生徒会長……東雲・深耶。参ります――!」
すらりと抜き払う日本刀が怪しく輝く。
剣呑な輝きであるが、対する『バズリトレンディ』さんは、流行る漫画には大抵日本刀が出てくることを知っているのである。
死神だって持ってるし、海賊の四刀流だってあるし。少女に日本刀なんてマストでしょう。
クレバーだから『バズリトレンディ』さんは知ってるんだ。
「ていうか、肩書なっが! えっ、ちょっとまって情報が大根、あ、いや、大混雑してるんやけども!? ワイちゃんでもちょっとびっくりするくらいの属性なんですけど!?」
慌てふためく『バズリトレンディ』。
だってそうだろう。一生徒会長が学園に寄付した金額としては、この『バズリトレンディ御殿』におけるお金の消費はちょっとおかしい金額であった。
正直言って、寄付ってレベルじゃないし、どっちかっていうとこれあれですよね、学園買えちゃう額ですよね?
「ええ、ですから、その金額で強化した私の攻撃は……」
「ひょ、ひょっとして、オラオラって見開き7ページ位言っちゃう斬撃ラッシュなのでは――!?」
そうです。
そういうやつです。ヒェッ、と『バズリトレンディ』はうめいたけど、後は言うまでもない。
まあ、具体的に言うと7ページ半位の長丁場である。
深耶の放つ斬撃ラッシュは、それほどまでに長く続き、バブリーなページの(ページ?)の使い方として使った金額に恥じぬ消耗を『バズリトレンディ』に強いたのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
めいっぱいお金を使っていい依頼……?
なんだか申し訳なくなる感じだけど、ありがたくはあるかな。
研究とか試作とか、技術系もけっこうお金かかるんだよね。
素材とか実際の材料とかにもわりとかかるんだけど、
なんといってもめんどうなのが『特許』っていうシステム。
大事だとは思うんだけど、知らないところからいきなりツッコまれたりするから面倒なんだよね。
そういう人たちのほっぺを札束で殴r……いえ、お金積んで解k……、
いえいえ、しっかり代金払って和解できるってことだもん。これは便利!
これができれば、林檎さんや花札販売業者が持ってるっぽい、
三次元ディスプレイの技術とかも、使いたい放題でいけるよね。
期待しちゃう、ねー!
世の中には不思議がいっぱいである。
カクリヨファンタズムにおける事件は何処かおかしみがあったことだろう。菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はこれまで解決してきた事件を思い返す。
だがしかし。
今回の事件は、それらに更に輪をかけた不可思議な事件である。
無尽蔵にお金が噴出しつづける『バズリトレンディ御殿』。
そこで今宵行われるのはバブル対決である。そう、より多く、より巨額の、より無節操にお金を使ったヤツが勝つ!
「ワイちゃんよりもバブリーなやつ、出てこいやー!」
いや、今の今まで猟兵達にこてんぱんにされてきた新し親分『バズリトレンディ』が言うとなんとも締まらないものであるが、彼女はギッタンギッタンにされても、普通に立ち上がってくるのだ。
おっ、大丈夫か。
「てにゃんでいべらんめい! ワイちゃんをこの程度でやれると思うなよ、猟兵さん! 後から請求書が怖いとかそんなこと言ってられるかってんですよ! ワイちゃんはなぁ~……流行りと見ればすーぐ飛びついちゃうミーハーちゃんであるが、全部全部覚えてるんです~なので~負けませ~ん!」
一々癪に障ると言うか、触るとやべーやつな雰囲気が丸出しである。
「めいっぱいお金を使っていいんだね?」
理緒はニコリと『バズリトレンディ』さんの言葉を流した。
あっ、この娘流した! 流しましたよ!
「えっ、そのぉ……」
「なんだか申し訳なくなる感じだけど、ありがたくはあるかな。研究とか試作とか、技術系も結構お金かかるんだよね」
あっ、察し。
『バズリトレンディ』は冷や汗が背中を伝うのを感じていた。
そう、研究にはお金はつきものである。技術の革新だとか、社会貢献だとかなんだとかお題目はそれぞれであろうが、要は金がなければ、それらも動かないのである。
ならばこそ、理緒はニコリと微笑んだのだ。
「素材とか実際の材料とかにもわりとかかるんだけど、なんといっても面倒なのが『特許』っていうシステム」
「あ~そっスね~……あっ、ワイちゃんはこれでちょっと失敬致しまして……」
がしっ、と理緒は『バズリトレンディ』の肩を掴む。
馬鹿な! 電脳魔術師だから、電脳世界にダイブしっぱなしで貧弱のはずなのに、この腕力はなんだ!?
慄く『バズリトレンディ』の肩を掴んだまま、理緒は言葉をつなげる。
「大事だとは思うんだけど、知らない所からいきなりツッコまれたりするから面倒なんだよね」
例えばコピー機とかね。
なんだよあのやけくそみたいな特許でできた塊はよー! みたいなそれくらい膨大な特許技術で出来上がるものだってあるのだ。
理緒はうなずく。
「そういう人たちのほっぺを札束で殴……いえ、お金を積んで解……」
「えぇ~……確実に現金で殴ったほうが早いって言ったほうが良くないスか。もしくは裁判で戦うとか」
「いえいえ、しっかり代金払って和解できるってことだもん。これは便利なんだよ!」
だから~と理緒が上目遣いで『バズリトレンディ』に微笑む。
これは天使の笑顔に見せかけた悪魔の笑顔である。
うなずいたが最後である。
それはもうぺんぺん草生えない位にむしり取る気満々の顔である。どっちがやべーかで言えば、多分理緒の金勘定の早さはちょっと怖いレベルというか額が違う。
「これができれば、林檎屋のAさんや花札販売業者のNさんが持ってるっぽい三次元ディスプレイの技術とかも、使いたい放題でいけるんだよね」
ね!
「ねっ、て言われましてもぉ、そのぉ、いくらなんでもそれはぁ、そのぉ……」
冷や汗が出る金額である。
いくら無尽蔵で触ってはならない領域ってあるのである。ましてや片や黄色い電撃鼠の親分である。
まずいっすよ、理緒さん!
「期待しちゃう、ねー!」
絶叫が走る。
それは『バズリトレンディ』の叫びであった。正直言って、法外な値段である。そこまで値段つけなくてもよくない? くらいな値段であったが、理緒の言う『札束で殴る』っていうのはこういうことである。
糸目をつけないってことはこういうことである。
それを体現する凄まじい消費金額でもって理緒は『バズリトレンディ』を大地にクレーターができる位なまでに盛大に打ちのめすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
三上・チモシー
自分、ライ麦ちゃん(大型ナマズ)のおうちが欲しいなぁ。大きい水槽!
素材は当然アクリルで、サイズは……1800×1200×600mmくらいかなぁ
背面が黒いやつね
ろ過装置一式もセットで
あと、水槽を設置する小屋建てて!
そうだ、折角の機会だから、ライ麦ちゃんにお友達を!
アジアアロワナのプラチナ個体50cm!
安いプラチナタイプじゃなく、本物のプラチナね!
(プラチナアロワナの値段は数百万円、状態によってはそれ以上)
餌も買わなきゃね
アロワナフードとナマズフード、とりあえずそれぞれ20kgずつ
あと、金魚とコオロギを100匹
ライ麦ちゃん、これね、全部あのお姉さんのおかげで買えたんだよ!
お礼しようね!
「自分、ライ麦ちゃんのおうちが欲しいなぁ。大きい水槽!」
開口一番そう言ってのけたのは、三上・チモシー(カラフル鉄瓶・f07057)であった。
彼女の言う『ライ麦ちゃん』とは、彼女の飼っている大型ナマズ、食欲旺盛なレッドテールカットである。
普段は50cm程度であるのだが、3m近くまで巨大化できる可愛い子なのである。
そんな『ライ麦ちゃん』のためにチモシーは大きな水槽がほしいと願ったのだ。
「ペットのためにお金を使うって大正義じゃんね! わかる。ワイちゃんもわかる。わかるとも!」
いや~これまでかなり、そのぶっ飛んだ金額を見てきたせいか、大きな水槽っていう単語に新し親分『バズリトレンディ』は騙されていた。
すっかり騙されていた。
「具体的な素材は当然アクリルで、サイズは1800×1200×600mmくらいかなぁ」
おっ、かなり具体的な注文である。
すでにチモシーの頭の中には巨大な水槽の中を悠々自適に泳ぐ姿があるのだろう。なんともちゃっかりしていることである。
けれど、それだけではこのバブリー対決は制することはできないのだ。
「ふっふっふー猟兵さんにしては少々ワイちゃんの竹やぶで拾ってきた現金バックには及ばないようですな~! ゲスゲスッ! これでもくらえい!」
あっ、色々考えているチモシーの背後を取った『バズリトレンディ』が現金バックを盛大に振り回す。
だが、その一撃がチモシーに当たっても、強化された彼女はびくともしない。
「ファッ!? なんで?! あれ!?」
「あと、ろ過装置一式もセットで。あと、水槽を設置する小屋建てて!」
うん?
あれ? と『バズリトレンディ』は冷や汗が出てくる。なんか増えてません? 欲しい物。
「そうだ、折角の機会だから、ライ麦ちゃんにお友達を!」
どゆこと?
そう、チモシーはこの機会に一人では『ライ麦ちゃん』が寂しかろうとお友達がほしいと思っていたのだ。
具体的にはアジアアロワナのプラチナ個体。
モチのロンでお買い求めやすいタイプではなくって、本物のプライなである。お値段は数百万であるし、状態に寄ってはそれ以上になるそうである。
それに餌だって必要なのだ。
「生き物を飼うんだもの。それは当然。アロワナフードとナマズフード。あとあと、金魚とコオロギの生き餌ね!」
にこり。
チモシーの笑顔が眩しい。全部全部『ライ麦ちゃん』のためである。よかったねぇ! と天真爛漫な笑顔で『ライ麦ちゃん』を撫でるのだ。
「具体的な欲望多すぎませんかね、猟兵さん!? ていうか、流石に欲望ただ漏れっていうか、こう、手心っていうかぁ……?」
「ライ麦ちゃん、これね、全部あのお姉さんのおかげで買えたんだよ! お礼しようね!」
流石に『バズリトレンディ』さんも後ずさりする。
だって3mに巨大化した大型ナマズはちょっと怖い。可愛らしいって思えるサイズであればよかったんだけど、3mは流石に怖い。無理。
「ライ麦ちゃん、ご飯だよー!」
突撃、隣の『バズリトレンディ御殿』! みたいな雰囲気で、鯰遁走曲(キャットフーガ)がいい感じに流れ出す。
おっ、BGMかな。
流れ変わったな。
じゃなく、マジでヤバイ強化を受けた『ライ麦ちゃん』が『バズリトレンディ』を追いかけ回すのだ。
「やばいやばいやばいマジでそれはヤバイですって、猟兵さん! 生モノはヤバイってばー! ワイちゃんのおべべがドロドロになってまうー!?」
だが、抵抗虚しいかな。
『バズリトレンディ』は『ライ麦ちゃん』の捕食攻撃の餌食にあい、あえなくドロドロベトベトにされて盛大に『バズリトレンディ御殿』の空を星となって流れるのだった。
そう、あいついいやつだったよ的に――。
大成功
🔵🔵🔵
董・白
※アドリブや他猟兵との連携はOK
【心境】
「仙人は赤貧を過ごすのが定めというか、金銭を必おうしない生き方をするのが務めなのですけど…」
まあ、生前の金銭感覚を一時的に復活する必要があるのでしょうか?
後遺症に注意しないと
【行動】
知っていますか?
この世でお金で買えるもので一番高くつくのはお金なんですよ。あと金。
ということで、このUDCアースで流行している金銭トレードや金や記念金貨の購入。あと最近流行りの暗号資産などですね。
資金を資金で購入します。
その金銭や金貨に破魔の道術を付与して投げつけたりして攻撃します。
では、これが購入契約書です。
UC宝貝「番天印」であなたに押印します。
バブリー。
一言でそう言っても、それとは対極なる生活を送ることを美しいとする者たちだっている。
例えば仙道を邁進する者である。
「仙人は赤貧を過ごすのが定めというか、金銭を必要としない生き方をするのが務めなのですけど……」
そう言って『バズリトレンディ御殿』に噴出し続ける、無尽蔵なるお金を見やり、董・白(尸解仙・f33242)はため息を付いた。
彼女は生前全てを生まれながらにして与えられた者である。
言ってしまえば、成金ではなく生粋のお金持ちであったのだ。だからこそ、彼女はあんまり無尽蔵に湧くお金に興味をもてずにいたのだ。
というかまあ、尸解だからかもしれないけど、そこまでなぁっていう気分であった。
「けど、これが戦いに必要なのであれば……生前の金銭感覚を一時的に復活する必要があるのでしょうね……まあ、後遺症に注意しないと」
これまで清貧を貫いてきた彼女にとってお金とは魔力あるものである。どれだけ立派に仙道を邁進していたとしても、それらを尽く瓦解せしめる力をもつのお金であり、物欲である。
しかし、まあ今の白は猟兵であるし、仙道を修めようとしている存在だ。
なればこそ心配しすぎるのもまた失礼である。
「へいへい猟兵さん! お金使ってる~!?」
もうやけくそである『バズリトレンディ』は、そんな風にはっちゃけたノリで札束撒き散らしながらやってくるのだ。
現金バックをブンブン回している姿は、ちょっとやべーやつである。
「はい。ですが、知っていますか? この世でお金で買えるもので一番高くつくのはお金なんですよ。あと金」
ん? とんちかな? と『バズリトレンディ』は思ったがそうじゃない。
「え、どゆことなの?」
「このUDCアースで流行している金銭トレードや金や記念金貨の購入をさせて頂きます。あと流行りの暗号資産などですね。資金を資金で購入するのです」
おっ、よくわからないって顔を『バズリトレンディ』はしているぞ。けれど、流行り物を忘れぬ彼女であれば理解できるはずだ。
「あ、仮想通貨! なるなるなるほどなーる! けど猟兵さん大丈夫なんです? 大損しちゃうパティーンもあるって言うしぃ……」
「はい、ですからそれも織り込み済みです。それもまたお金を消費することでしょう?」
ならば、お金を使えば使うほどに強化されるという戦場において、これ以上にないほどの消耗をしたということになるだろう。
つまり。
「ふぁっ!? えっ、じゃあ、もしかして……」
「大暴落しても、それは消費ですから。確かに損をするかもしれませんが、別に私は構いませんよ。世界を守るためですから。どれだけ大損してもいいです。では――」
白の手にしたのは巨大なハンコであった。
それを人は宝貝「番天印」(パオペエバンテイン)と呼ぶ。
「も、もしかして……」
「これが購入契約書です。あなたに押印しますね」
にこりと微笑む白。
「ちょっとちょっと待って! なにそれでかい! でかーい! でかすぎる、説明不要! ってならんでしょ! 流石にワイちゃんでもそれはちょっとどうかと思うなってワイちゃんはワイちゃんは思うんだけど!?」
だがもう遅い。
白の振りかぶった宝貝『番天印』は振り上げられている。
仮想通貨の購入契約書に判を押すように振りかぶった巨大なハンコの一撃は、電波塔がぶっ刺さった『バズリトレンディ御殿』を更に震撼させる威力となって『バズリトレンディ』を強かに打ち据える。
いや、それはハンコと呼ぶにはあまりにも巨大すぎた。
打ち込まれた一撃は大地を割り、『バズリトレンディ御殿』の豪華絢爛な装飾を砕いて吹き飛ばし、それはそれはもう見るも無残な光景へと白は塗り替えたのだ。
「ああ、でも大丈夫ですよ。修繕費も、ここのお金から払っておきますから」
まだまだ生前に比べれた大したことがない。
そんな風に白は生粋の皇女そのものな笑顔で『バズリトレンディ』のぺったんこぺらぺらになった姿に言い放つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
実は四人とも、そんなに物欲はない。ないのだが。
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
どうしようかと思いましたけどー。そういえば、長々と考えてたことありましてー。
一、『馬県さんち』の後ろにある山を買う
二、『馬県さんち』隣の空き地を二つ買う
三、その空き地の一つに巨大な水槽置けるようにする(陰海月の泳ぎ場)
四、もう一つの空き地に、修練場作る
五、何となく竹で出来た弓道用の矢(六本一束、約十万円)を五十束買う
ですかねー?
え?お金使っていいのでしょう?
最近の陰海月、食べ物食べすぎ(主に月見と花見)て体重がねー…。
※
ぷくぷく陰海月、巨大水槽楽しみ。ぷきゅ。
人は欲しいと願うからこそ、豊かな生活を、他者よりも優れたるを求めて進化していく生命である。
ならば、欲求強き者こそが生命としての本質を色濃く持つものである。
しかし、すでに死した者であればどうであろうか。
彼等にあるのは情念怨念執念といったものが最も必要なものであったのかもしれない。
猟兵とは生命の埒外に在る者である。
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は四柱の悪霊からなる複合型悪霊である。
嘗て生きていた者たちの残滓であれど、四つの魂が混ざりあった存在ならば、その欲求は凄まじいものであったかもしれない。
けれど、今回に限って言えば彼等に物欲鳴るものはそもそもなかったのかもしれない。
「どうしようかと思いましたけどー。そう言えば、長々と考えてたことありましてー」
そうつぶやいたのは、『疾き者』であった。
「ほんでほんで? ワイちゃんに言うてみぃ」
ぺらっぺらな体になった新し親分『バズリトレンディ』は、なんかどっかのアニメで見たことがあるような表現で元の三次元に戻りつつ、栄養ドリンクをぐぃっと飲み干して、ファイト一発復活するのだ。
正直言って、多方面にヤバイ。
どこもかしこも争ったら確実に負けるところである。やばい。マジで。
しかし、栄養ドリンクを受け取って『疾き者』はシミジミと語るのだ。
「まずは『馬県さんち』の後ろにある山を買う」
「土地を買う。え、土地ころがしとか?」
違うわ。
『バズリトレンディ』は一々相槌を打ってくるのが若干鬱陶しいけれど、まあ、気にしてはならない。
「隣の空き地を二つ買う」
また土地?
え、もしかして、ほんとに土地ころがしとか? あ、違う。
「その空き地の一つに巨大な水槽をおけるようにする。もう一つの空き地に修練場を作る」
これはいわゆるDIY的な?
大丈夫、重機いる?
「なんとなく竹で出来た弓道用の矢を五十束買う」
「なんとなく!?」
だが、なんとなくと言えど、そのお値段六本人束で焼くじゅうまんえんするようである。
じゅうまんえん。
それを五十お買い上げになるという。戦いに必要ってわけでもなく、なんとなくで買う。
まさにそのバブリーな立ち振舞いに『バズリトレンディ』は、うんうんと頷いていた。
わかる。なんとなーくで買う買い物って、後でなんでこれ買ったんだっけってなるけど、その時はとても楽しいし、すっとするよね。ストレス解消ってこうやるんだーっておもうよね。わかる。
けれど、後で見に覚えのない請求書が来て、乗っ取りを疑うけど、見に覚えのあるものばかりで泣きたくなるよね。
「そういう散財したいやんね。ワイちゃんもそういうの大好き」
「ええ、お金使っていいのでしょう? 最近、陰海月、食べ物食べすぎなんですよねー。体重が増えて増えて……」
ちらと見やると陰海月がぷかぷかぷきゅぷきゅ言っている。
巨大水槽楽しみと言わんばかりに、ぷきゅって鳴くものだから、ほっこりしてしまう。
それは『バズリトレンディ』も同様であったのだろう。
ペットいいよね。いい……みたいな雰囲気になっているところに消費したお金の分だけ強化されたユーベルコード纏う忍者手裏剣が、それは風のように(ハヤキコトカゼノゴトク)放たれ、『バズリトレンディ』の後頭部にぶっすり刺さる。
「って、えぇぇー!? なんで!? 忍者なんで!? 汚い忍者汚い! さすが忍者ー! アッ――!?」
『バズリトレンディ』はいつのまにか強化されてぶん投げられた忍者手裏剣によって後頭部から盛大に血を噴出させながら、『バズリトレンディ御殿』にてのたうちまわり、それをのほほんと『疾き者』は見守りながら、縁側でお茶を楽しむように、『馬県さんち』改装計画に思いをはせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
(謎ナレーション:金持ちと成金の違いは何か?それは値を付けるか値を払うか、である。)
えー…お金を使えば使うほど強くなる…
…価格が変動したものはどうなるんだろう……やってみるか
…オーダーメイドのパーティードレス…派手さは抑えめだけど私の体型や成長にも合わせた職人の丁寧な作りが気に入ってね…その仕事ぶりはかなりの価値があったよ…ふむ…値を付けた分だけ出てくるか…
…ならば…この前買った懐中時計…もし同じ職人に頼むなら…(続々出てくる『値を付けた』品物群。これでも名家の出、妥協はしていない)
あ。その栄養ドリンク良いよね…疲れたときに良く効くし…
…じゃ…【狩り立てる嵐の魔犬】で攻撃しよう…
『金持ちと成金の違いは何か? それは値を付けるか値を払うか、である』
謎のナレーションが『バズリトレンディ御殿』に響き渡る。
え、どういう理屈でナレーション入ってるの? 怖い。
新し親分『バズリトレンディ』は頭から血を噴出させながら、未だ己の知らぬ『バズリトレンディ御殿』のナレーション機能におののいていた。
なんか無駄にいい声であるのもちょっと怖い。
一文字幾らの声優さんを起用しているのだろう。もしかして、これからもずっとナレーション入りっぱなし? ならそれちょっと尋常じゃない金額が飛んでいく可能性だってある。
「いやでもクリエイターな方々にお金が入るのはワイちゃんも吝かではないってーかー? むしろ、歓迎すべきことなんやけど? でもでも~、そのぉ、加減してもらわないと~」
だが断る。
「えー……お金を使えば使うほど強くなる……っていうのなら、使いでしょ、俄然。むしろ、使うよ、私は」
そう言って現れたメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の影に『バズリトレンディ』は、びくぅっとする。
マジで孤独なシルエットが動き出せば、それは紛れもなくやつさ。メンカルじゃねーか! ってなるやつである。
「オーダーメイドのパーティドレス」
「え」
「派手さは控えめだけど、私の体型や成長にも合わせた職人の丁寧な作りが気に入っている……」
んん!?
あれ!? もう早速お使いになられていらっしゃる!? 『バズリトレンディ』は驚いた。いやもう光の速さで順応してますやん! もうちょっとお金の使い道悩んだりとかそんなことしないの?
「その仕事ぶりはかなりの価値があったよ……」
ちゃりちゃりちゃりーん!
何このサウンドエフェクト。なんかお金が落ちたみたいな音なんすけど。そう、まさかのサウンドエフェクトまで発注済みである! やばい。
「えっ! まってまって猟兵さん! それってもしかしてもう強化入ってます!?」
「入ってるみたい。値を付けた分だけ出てくるか……ならば、この前買った懐中時計……もし同じ職人に頼むなら……」
続々と出てくる出てくる。
なんか後に価値が跳ね上がりそうなものばかりである。ちゃりちゃりちゃりーん! ってまた音がなる。
もうやりたい放題である。
そう、いまさらだけでメンカルさんお嬢様である。
それもそんじょそこらのお嬢様ではない。メンカルはたいしたことないよって言うかもしれないけれど、マジで名家である。
成金とは一線を画するお家の出の方なのである。
「だ、妥協って言葉を多分辞書から消し去ってるお方じゃん! なにそれマジモンでモノホンのお嬢様ってことじゃんね!? 埒外なのは生命だけにしといてくださいよ! マジで勘弁してくださいよ、猟兵さん!?」
呑まなきゃやってられんわと『バズリトレンディ』は栄養ドリンクをごっきゅごっきゅ飲んでいる。
マジで今日何本目かな?
それくらいに『バズリトレンディ』は栄養ドリンクを飲みまくっていた。ついでにメンカルにも差し入れである。
「あ。その栄養ドリンク良いよね……疲れた時によく効くし……」
この栄養ドリンクだって、そこそこ高級って名が着くものであるが、メンカルにとっては普段遣いである。
マジで名家のお嬢様の価値観ヤバイ。
「じゃ……紡がれし魔弾よ、追え、喰らえ、汝は猛追、汝は捕捉。魔女が望むは追い立て喰らう魔の猟犬」
雑にユーベルコードが輝く。
狩り立てる嵐の魔犬(ストーム・ハウンド)の如く魔法陣から追尾性の高い魔弾を連射する術式が発動され、強化に強化された魔弾が、ぶっぱされる。
これはひどい。
まじで酷い。
今日び弾幕シューティングゲームだってもう少し手加減してくれる。
「やー!? やめてやめてくださいよ! ワイちゃんシューティングゲームは下手の横好きだからってあ――ッ!?」
放たれた魔弾に追い立てられながらリアルシューティングゲーム状態になった『バズリトレンディ』を見やり、メンカルはうなずく。
まあ、やめる理由なんて無いよね。
『貴方にとってのお金とはなんですか?』
なんか急にプロフェッショナルの流儀的ななんか、そういうエモーショナルなナレーションが飛び出す。
メンカルは視線を外し、答えるだろう。
「値をつけるもの。価値を見出すもの。そういうものの手段――だよね」
なんだか上手く纏まった感を出しつつ、『バズリトレンディ』を魔弾でメンカルは追い立て、その逃げ惑う背中をカチカチ山の狸ばりに燃やすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薙殻字・壽綯
えっ今日は他人のお金で買い物していいんですか!? そマ!?
見境なき親分さんは……KAKURIYO最速のOILKINGだっていうのか……冗談じゃねえ……
では、合法散財をやります。初めに欲しいものリストにある商品を片っ端からポチっていきましょう。日頃から物欲を溜めておくと良いですね。イヤア欲シカッタンデスヨネソフト音楽ヤ周辺機材ヤPC云々
コツは連打ではなくテンポよく相手に喋らす隙を与えないように、すると親分さんの無敵時間が縮まり挑戦可能になります
が、此方も財力を削り火力調整をしてから挑みましょう
僕は赤字ですが、無を取得したので問題ありません
……こ、これでノルマ達成でしょうかっ?!
沢山、喋ったな……
買い物とは楽しいものである。
物やサービスを受けられるだけでなく、ストレス解消まで行うことさえできるだろう。人は常にストレスを受け止めながら生きる生命である。
であればこそ、消費、浪費というのは生活という生命活動に直結するものであれ、心と体に潤いを与えるものであろう。
それは生命の埒外にある存在である猟兵であっても変わらない事実であったのかもしれない。
「えっ今日は他人のお金で買い物していいんですか?! そマ!?」
いつもの薙殻字・壽綯(物書きだった・f23709)から出たとは到底思えぬ言葉であった。
正直なところ新し親分『バズリトレンディ』は、わりともう満身創痍であった。
何故ってそれはもう猟兵たちの尋常じゃないバブリーなお金の使い方に打ちのめされまくっているからだ。
「見くびってましたわ! ワイちゃんほどの『虞知らず』であっても、猟兵さんたちのお金に対する消費の度合いは、この新し親分のワイちゃんであっても見抜けなかったとは……」
いや何、そのちょっと解説風味なポジションのキャラみたいな言い方。
しかし、それでもなお『バズリトレンディ』を打倒出来ていない所から察するに、未だ消費が足りないのだ。
そう、いうなれば今の壽綯は合法的に散財ができる立ち位置なのだ。
見境無き親分『バズリトレンディ』はKAKURIYO最速のOILKINGとは誰が言ったか。
まあ、石油王みたいなもんである。
だって『バズリトレンディ御殿』には無尽蔵にお金が噴出し続けているのである。ならばこそ、猟兵達は己の欲望を開放し、お金を消費しまくらなければならない。
その分強化されるという戦場に置いて武力はあまり必要無い。
物を言うのはバブリーな振る舞いだけなのだ。
ごくりんこ。
壽綯の喉が鳴る。冗談じゃねぇ……なんという合法的散財。ついでにいうと自分の懐が傷まない安心安全設計である。
「では、合法散財をやります。はじめに欲しい物リストにある商品を片っ端からポチっていきましょう」
「略して干し芋! あーね、わかる。わかりにける。猟兵さんも物欲溜まってるんだにゃあ。仕方ないってやつなのやなーワイちゃんもわかる。干し芋リストに干し芋いっぱい並んでると、誰だかしらんけど送りつけてくれるよね。他人の金で生活したいよね。わかる。わかりすぎてわかりみっとふぁんける」
『バズリトレンディ』、もう猟兵に共感しかしていないような気がするのは気のせいか。それ以上に壽綯がショッピングサイトでポチるタップの速度は早い。早いってもんじゃない。
え、そんなに欲しい物あったの!? となるほどの物欲の発露であった。
いやぁ、日頃から物欲を貯めておくと良いですね、なんて爽やかな笑顔で言うものではない。
イケメン顔面が『バズリトレンディ』のハートをずきゅんどきゅんとしてしまう。
「ワイちゃんの推しが走り出しちゃう! っていうか、あれ!? 音響関係はマジで沼っていうか、底なし沼なんですよ、猟兵さん!?」
「イヤア欲シカッタンデスヨネソフト音楽ヤ周辺機材ヤPC云々」
棒読みである。
なんかカクカクしているような気さえしてくる。え、処理落ちしてらっしゃる? 物欲がオーバーフローしていらっしゃる?
壽綯の目は虚ろであったけれど、タップする指はテンポよくリズミカルであった。
無闇矢鱈に連打しているんじゃあない。
むしろ『バズリトレンディ』が止めるのを遮るようにタップタップたっぷりである。
もうさっきからショッピングサイトからの注文受付完了のメールが鳴り止まぬ。
「あ、あー!? そういうオーディオ系はマジでヤバイですって! って、ああー?! それは伝説の岩盤ボウリングおじさんの! 素敵な音響施設は確かに安定した土台が必要ですけど、岩盤に届くまでボウリングして、セメント流すのは流石に費用がアレなんですけどー!?」
『バズリトレンディ』が止める間もなく、強化されていく壽綯の身体。
噴出するお金を使っただけ強化されていく戦場において、今の壽綯は『バズリトレンディ』を打倒するには十分すぎる力を得ていた。
けれど止まらぬ。
タップは止まらない。
サーチ・アンド・デストロイならぬ、サーチ・アンド・カートインである。
「これはもう赤字覚悟ですね。正直いて、誰かのお金じゃなければ、怖いお兄さんたちが家に押しかけてくる感じのあれです」
これでノルマ達成であろうとばかりに壽綯は、非常に爽やかな汗をキラキラと飛び散らせながら、良い笑顔をしている。
たくさん喋った気がするが、まあ、これもみんな『バズリトレンディ』とのバブリー対決に勝つためである。
「……あれ?」
壽綯は気がついた。
さっきまで居た『バズリトレンディ』がいない。逃げたのかと思ったが、そうじゃない。
よくよく足元を見ると、爽やかイケメンオーラに当てられた『バズリトレンディ』が倒れ伏し、鼻血で『イケメン推せる……』と余韻を味わうくらいの余裕さで、圧倒的敗北を刻んでいたのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
WIZ
舞台に合わせ、封神武侠界で入手したチャイナドレスと中華風扇姿で優雅に登場。でも少し恥ずかしそうに。
皆さんのお金の使い方が半端ないですね<汗>。
賑わっている神社の祭神で、猟兵活動もあってお金には困らないが、慎ましやかな生活を送る詩乃としては悩む。
「そうですね、船の旅をしてみたいので、クイーン・エリザベス号とか良いですよね~♪」
ぽろっと願望を口にしたら、豪華客船が具現化し始め、周囲を圧し潰していく。
詩乃は空中浮遊と自身への念動力行使で安全な空中に避難するが、バズリトレンディさんはそのままディスコともども豪華客船の下敷きになっていく…。
「あら、私はチケットをと、思ったのですけれども<汗>。」
『バズリトレンディ御殿』のダンスホールはエモいミュージックとミラーボールの映し出す綺羅びやかな光によって宛ら、別世界のようであった。
まあ、スカイでツリーな電波塔がぶっ刺さっていたり、ハンコの押印で地形が変形していたりとまあ、猟兵たちのやりたい放題にされていたが、いまだ綺羅びやかな雰囲気は損なわれていなかったのだ。
その別世界とも見紛うダンスホールに降り立ったのは、封神武侠界に手に入れたという新緑の色が美しいチャイナドレスに身をまとった優美なる神、大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)の姿であった。
おみ足が眩しいし、片方だけ華美なるタイツを着用している点に着目して頂きたい。
ありがとうございます。ありがとうございます。
「ありがとうございますやで! 眼福すぎる。目が幸せってことだなってワイちゃん思うな!」
カッ! と目を見開き、詩乃をガン見する『バズリトレンディ』。
正直目が血走っている。
またちょっと詩乃が恥じらっているのが、やばいよね。いや、ホントまじで。マジで神様なので、信仰したくなるのも待ったなしである。
「み、皆さんお金の使い方が半端ないですね……」
詩乃は先行した猟兵たちのお金の使い方にただ圧倒されるばかりであった。
彼女自身自身が祀られている神社は賑わっているので、あまりお金に対しての執着はないようである。
それ以前に猟兵として活動しているからお金には困っていないのである。
というか、お金遣いは荒くないほうであると、その雰囲気からもわかるだろう。楚々として居ながら凛としている佇まい。
見ろよ、世界。
これが植物と活力を司る神、詩乃である。刮目しろ、マジで。
「マジ神。マジ感謝。圧倒的リスペクトッ
……!!」
『バズリトレンディ』さん、もう別の意味でなんか違う世界に行っているような気さえする。
しかし、真面目な詩乃にとって、慎まやかな生活を送っているがゆえにバブリーなお金の使い方というものに対して、あまり思いつくことがないのだ。
「……どうしましょう。あまり思い浮かびませんが……」
そこで、詩乃は、あっ! と声を上げる。何か思いついたのかな? と傾聴すべく『バズリトレンディ』は珍しく黙った。
神の御声を拝聴するのだから当然やろがい! と彼女は多分目で言っていた。ちょろい。
「そうですね、船の旅をしてみたいので、クイーン・エリザベス号とか良いですよね~♪」
そう詩乃がつぶやいた瞬間、凄まじい轟音が『バズリトレンディ御殿』に響き渡る。
「ファッ!? え、何事!? っていうか、あれ……――!」
そう、『クイーン・エリザベス号』である。
詩乃が思い描いた瞬間、噴出するお金を消費して、『クイーン・エリザベス号』が現出したのである。
その巨体は『バズリトレンディ御殿』を普通に押しつぶして、凄まじい衝撃を齎す。
詩乃はすでに空へと飛び上がっているので安全である。
ひらひらとチャイナドレスの裾が揺れるのがまた恨めしい。
「生足魅惑のマーメイドじゃんね! ありがてぇ!」
なんて『バズリトレンディ』は拝んでいるが、大丈夫?『クイーン・エリザベス号』の下敷きになってしまうけど。
「あら……私はチケットをと、思ったのですけれども……」
詩乃は思いがけず、本体っていうか、船事態を現出させてしまったが結果オーライである。
凄まじい衝撃とともに『バズリトレンディ御殿』を押しつぶしていく『クイーン・エリザベス号』を見やりながら、詩乃は冷や汗を一筋垂らして空より崩壊するさまを見下ろすしかない。
「で、ですが……その、これがばぶりーな対決というのであれば……きっと私の勝ち、ですよね……?」
はい。いぐざくとりー!
多分、崩壊していく『バズリトレンディ御殿』の瓦礫の下で『バズリトレンディ』もまた同感であったことだろう。
決まり手は、優美なチャイナドレス、時々空より『クイーン・エリザベス号』であった――!
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、待って無理、てぇてぇ、てぇてぇよ…(ナイアルテさんの様子に尊死するクノイチ)
おっと依頼でしたね(鼻血ふきふき
最初に言っておく
今日の私は鬼神すら凌駕する存在です!
何故か!萌えはお金で買えないからさ!
よくわからなくても
きたないなさすがクノイチ汚いと思っていただければ!
というわけでバーチャルキャラクターらしく
課金アイテム買いまくりますね
ひゃっほーい!!廃課金でフルバフだー!
そしてやっぱり金(きん)ですよ金!
価値が変わらないという金は撲殺武器として重さも十分!
なんでも出来ちゃうバットになり得る存在なのです!
さあ、貴女の罪を数えろ!
※アドリブ連携OK
『バズリトレンディ御殿』がスカイなツリーを打ち込まれ、でっかい豪華客船に押しつぶされてもなお、『お金』は噴出し続ける。
それは新し親分である『バズリトレンディ』が未だ健在であることを示していたし、何よりも彼女自身がまだまだ猟兵達とのバブル対決に意欲的であったからかもしれない。
「もっとだ、もっと輝けぇー! てなくらいにね! 燃やせ! つかめ! この手で! ワイちゃんはまだまだ輝けるんスよ。おっけばーぶりー!」
拳を突き上げ、輝く。
それはミラーボールであり、『バズリトレンディ御殿』が崩壊しても、その場をディスコホールに変貌させるのだ。
光が乱舞し、バブルを象徴するかのように煌めく光景は、あまりにも綺羅びやかであった。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、待って無理、てぇてぇ、てぇてぇよ……」
いきなりどうしたサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)=サン!
転移してきてから急になんか語彙が死んでおりますが!
「むむっ! ワイちゃんの流行りセンサーにビビット来てますが! どうしました猟兵さん! 何かよいことがあったんですか猟兵さん!」
まったく忍べてないクノイチことサージェに駆け寄る『バズリトレンディ』。うっ、やさしっ。
「いえ、大変に尊いものを転移前に見たものでして……」
「鼻血出てるし、出しすぎですよ猟兵さん」
「ふりふり扇子を煽ってお見送りしてくれるなんて……」
「顔がヤバイですよあっやっ、顔っていうかなんていうか、諸々ヤバないです? クノイチとしての自覚あるんです? 恥ずかしくないんです? はいティッシュ」
これは失敬とサージェは思い出し尊死鼻血ぶー状態から復帰しつつ、受け取ったティッシュで鼻血を拭う。
正直、これって戦いかな? と思わないでもないが、それでもサージェの気力はみなぎりまくっていた。
これであと10年は戦えますと言わんばかりであった。っていうか、多分どっかのキャバリエファイターみたいな雰囲気あっった。
「最初に言っておく。今日の私は鬼神すら凌駕する存在です! 何故か! 萌えはお金で買えないからさ!」
「どゆこと!?」
問答無用! とサージェはバーチャルキャラクターらしく課金アイテムを買いまくりである。
課金上限? そんなもんこっちは良識ある大人である。
んなこたぁわかってんだよ、この親分野郎がぁ! くらいなノリでサージェはぽちぽち光速タップで課金アイテムを湯水の如く購入し続けるのだ。
普段ならそんなこと怖くてできようはずもないけれど、今ならば可能である。
「そう、ここには湯水の如くお金が噴出し続けているから! ひゃっほーい! 廃課金でフルパワーだー! そしてやっぱり金ですよ、金! 価値が変わらないという金は撲殺武器として重さも十分! なんでもできちゃうマジカルラジカルバットになり得る存在なのです!」
サージェは黄金バットをブンブン振るう。
マジでやべぇやつの爆誕である。あいつもどいつもそいつもこいつも! この黄金バットにかかれば撲殺一撃必殺である。
なんだ? お酒入ってるのか? と言わんばかりの傍若無人たる振る舞いであるが、これがマネーのパワーである。
「さあ、貴女の罪を数えろ!」
「威風堂々(シノベテナイクノイチ)としてますけど、クノイチとして恥ずかしくないんですかってワイちゃん思うんだけど、ほんとに鈍器として扱うのはどうなのかなーって思わないでもないので勘弁してくださいって――」
言うと思ったかー! と『バズリトレンディ』は跳躍する。
ものすごく悪役っぽいけどいいのか、その跳躍の仕方。どっちかっていうとルパンダイブな感じだけどいいのか。
バネじかけのボクシンググローブが飛んできて壁にめり込むやつだけどいいのか!
「むむっ! いーんです!」
猟兵カードマーン!
サージェはクノイチだけどもまったく忍べていないスラッガーよろしくなフルスイングを振るい、一撃のもとに『バズリトレンディ』を星の彼方へと吹き飛ばすのだった――!
大成功
🔵🔵🔵
シーザー・ゴールドマン
ハハ、親分衆はみんな個性的で良いね。
今回は無尽蔵に湧き出るお金か。
イメージするとお金を消費して出現する、ね。成程。
では、こうしよう。私は『反物質』を少々頂こう。
なに、1g、100兆ドル(1京円)ほどらしいが大丈夫だろう。
何しろ無尽蔵なのだから。
それを材料に『シドンの栄華』創造の魔力で反物質弾を創り出してトレンディ君にプレゼントだ。
そこまでの威力はないよ。せいぜい巨大隕石を消滅させる程度だ。
うん? 反物質も自前で作ればいい?
ハハハ、そんなことをしたらお金が使えないじゃないか。
それでは、どうぞ。(反物質弾を起爆)
私は余波を全力で防がなければならないので、ちょっと集中させてもらうよ。
黄金バットでフルスイングされてかっ飛ばされた新し親分『バズリトレンディ』は、バッティングセンターによくあるホームランの看板に激突する感じで、ずるずると崩壊した『バズリトレンディ御殿』に舞い戻る。
かなりやられ方がギャグ漫画の悪役のそれであるが、いいのか。
多分いいんだろうなぁって所で、竹やぶから突如としてブンブン現金バックを振り回して『バズリトレンディ』さんは再起をはかるのだ。
「さすがは猟兵さんとだけ言っておこう! けど、ワイちゃんだって新し親分って呼ばれている『虞知らず』の妖怪なんや! この程度でへこたれへんでぇ!」
ぶおんぶおんと振り回す現金バックの中身が2億円位である。
なんか具体的だなって思わないでもないだろうが、まあ、そういうものであるのだ。
「ハハ、親分衆はみんな個性的で良いね」
なんて、余裕たっぷりな真紅のスーツを身にまとった美丈夫が余裕たっぷりに一歩を踏み出す。
シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)その人である。
彼にとってお金とは数字でしか無いのかも知れない。超常の人にとって俗世とは隔絶したものであり、お金が彼を必要としても、彼はお金を必要としていないのである。
「ひゃー! いきなり出た! イケメン! 猟兵さんたちの顔面偏差値えっぐ! どうなってんですか! いかんいかんナマモノはだめだって、ばっちゃも言っていた。冷静になるんじゃワイちゃん!」
『バズリトレンディ』はなんか勝手に悶ている。
けれど、シーザーは笑うばっかりである。
「イメージするとお金を消費して出現する、ね。なるほど。では、こうしよう」
「ああっ! 無視して話進めるのたまらんですたいっ!」
おいやべーぞこいつ。
シーザーはなおも笑っている。ちょっとのその余裕が怖い。
ていうか、どうするつもりなのだろうか? この戦いはバブル対決である。すなわちお金をたくさん消費しまくったほうが勝つのである。そういう戦場なのである。なにそれ怖いって思っても仕方ないのである。
そういうもんなのだ。
「私は『反物質』を少々頂こう。何、1g、100兆ドルほどらしいが、大丈夫だろう。何しろ無尽蔵なのだから」
「はんぶっしつ」
そう、とシーザーが笑顔のままうなずく。
いや、はんぶっしつて。
え、アリなのそれ!? と『バズリトレンディ』はびっくりしてしまったが、イメージしたら出てくるのである。なんでもありである。。
「それを材料に私のユーベルコードで反物質弾を創り出して……」
シーザーが廃墟となった『バズリトレンディ御殿』の壁に『バズリトレンディ』を追い詰めて、壁ドンするのだ。
壁ドンですよ奥様!
「ほぎゃ! ワイちゃんまだこういうのは早いっていうかぁ……そのぉ!」
「トレンディ君にプレゼントだ」
「あっかーん! それはあっかーん! もう少し手を繋ぐとかそういう、まだワイちゃんは『お生憎様! アンタみたいなやつには興味ないんだから!』って乙女ゲームの主人公みたいなムーブしないんや! そんでもって『フッ、おもしれー女』って顎クイされたいとかおもってなんかないんだからね! ってえー!?」
そう、一人で勝手に盛り上がっていた『バズリトレンディ』さんであるが、シーザーがシドンの栄華(デウス・アニマ)によって生成した反物質弾をプレゼントすると言ったのだ。
そこまで威力ないから大丈夫だとよとシーザーは微笑んでいた。
多分、コンフィグとかで今、テキストログとか表示されてる。乙女ゲーである。いや、セーブデータ吹っ飛びかねないけどこれ!
「せいぜい巨大隕石を消滅させる程度だ」
「それなら自前で作ればよくないですかねぇ!?」
「ハハハ、そんなことをしたらお金が使えないじゃないか。それではどうぞ」
ノータイムである。
反物質弾を起爆させ、閃光が走る。閃光が走ってるのか? いや、これどうなってんだ?
白黒になって、なんか効果線とか集中線とか色々こう、あれな感じになっているが大丈夫かな!?
「ああ、私は余波を全力で防がねばならないので、ちょっと集中させてもらうよ」
いきなりの塩対応!
シーザーは反物質弾の衝撃を抑え込みながら、優雅にティータイムと洒落込みながら、『バズリトレンディ』さんを因果律の彼方へとぶっ飛ばすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
ツッコミが追いつかないよ
というかほんとに危険だよ
とはいえこれを乗り越えないと
世界が危険なのも事実なんだよね
お金で買えるものを想像か
ならば著名な芸術品を想像するよ
彫刻それも綺麗なものを中心に
事前に美術の目録を調べておいて
高価なのから歴史的価値が高いものまで
どんどん買いまくろう
何故そんな事をするかって?
何となくゴージャス感が出るのもあるけど
まあ、とても素敵な彫像ですの
誰かの創り上げた永遠というのも悪くありませんの
分霊を釣り出すのが目的だよ
でも親分さんもとても素敵ですの
この中でも一際輝く芸術品になれると思いますの
ヤバい奴にはヤバい奴をぶつけるのが一番だね
そいつのは戦闘意欲じゃないから殴っても無駄だよ
反物質弾の一撃で因果律があっちゃこっちゃの大変なことなりかけたけど、そんなことはなかったんだぜとは言えない惨状に成り果てた『バズリトレンディ御殿』。
その瓦礫の中から這い出して、現金バックをよっこいせと背負って現れたのは新し親分『バズリトレンディ』であった。
「ふぃーやっぱワイちゃんてば不可能を可能にする男なんやなぁ。セーフティシャッターがなかったら危なかったぜ!」
いぇいいぇい!
そのお耳は伊達じゃあないんだよとばかりに『バズリトレンディ』はぴすぴすとピースサインを猟兵達に向けていた。
なんか余裕だなぁって思う前に佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)はツッコミが追いつかなすぎて、ちょっと困惑していた。
っていうか、その耳はマジでヤバイやつである。ほんとにほんとに危険なやつなのである。
「とはいえ、これを乗り越えないと世界が危険なのも事実なんだよね」
「そうそう、はっきりわかんだね! というわけで猟兵さん覚悟や!」
ぶおんぶおんと現金バックをぶん回しながら竹やぶから拾ってきた2億円分くらいの重さの鈍器となった一撃を晶に見舞わんと『バズリトレンディ』は迫るのだ。
だが、晶が頭にイメージするのは何か。
そう、ここ『バズリトレンディ御殿』に噴出し続けるお金は無尽蔵である。
何でも買えるのだ。
そう、イメージさえすればね!
「ならば著名な芸術品を想像するよ! 彫刻それも綺麗なものを中心に!」
そう、事前に準備していた美術の目録から、晶は即座にイメージしていたのだ。高価なものから、歴史的価値が高いものまで、働く力じゃなくってお金の力でどんどん買いまくるのだ。
「ふぁっ! これって成金ムーヴなのでは! ねぇ、猟兵さん! 成金ってどうしてすぐに美術品買いたがるんやろね!」
「なんとなくゴージャス感が出るからじゃない?」
けれど、晶の狙いは他にあったのだ。
伊達に彫刻ばかりを選んだわけではないのだ。これにはちゃんとした理由がある。
そう、晶は邪神と融合した存在である。
固定と停滞の権能司る邪神。彼女を釣り出すために敢えて彫刻の美術品ばかりをイメージして現出させたのだ。
「まあ、とても素敵な彫像ですの。誰かの創り上げた永遠というのも悪くありませんの」
にゅっと現れたのは邪神の分霊である。
そう、晶は邪神の分霊を釣り出すのもが目的である。
「あっ、ずっけー! ワイちゃんでもそれはちょっとって遠慮しちゃうタイプの裏技やんけ!」
そう、やべーやつにはやべーやつをぶつけんだよ!
「でも親分さんもとても素敵ですの。この中でもひときわ輝く芸術品になれると思いますの」
「ノールックでノーセンキューですのってワイちゃん思うんですけどぉ!」
「やっぱりね。ヤバイ奴にはヤバイ奴って昔から相場が決まってるんだよ。ホラー映画で見たもの」
一周回ってギャグかなって感じだったけど悪くなかったよ。
なんて、感想を晶は悠長に語っているが、『バズリトレンディ』はそれどころではなかった。
だって邪神である。
正直言って、一番やべー奴である。
そんな邪神の分霊に目をつけられてしまったら、確実に石像、彫刻その他の類にされてしまうことは明白である。
「あっ、そろそろ塾に行く時間だ! ママに叱られちゃうからまた今度ね! それじゃ、ワイちゃんはお勉強の時間なので――」
「逃しませんの」
にっこり邪神の分霊が笑う。
それはちょっとした死刑宣告であった。
『バズリトレンディ』は走った。猟兵さんのこと、邪神さんのこと、『バズリトレンディ』はよく知らない。けど、目一杯走ったのだ。
走れ『バズリトレンディ』さん。追いつけ追い越せ引っこ抜けー。
邪神の分霊と『バズリトレンディ』の追いかけっこなレースは、長らく続き、『バズリトレンディ』は這々の体で、邪神の分霊の追撃をホラー映画さながらに逃走し続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ミアステラ・ティレスタム
正直わたしも『バズリ』とか『トレンディ』とか良くわかっておりませんが……えっと、頑張ります、ね?
なるべく高額な欲しいものをイメージすれば宜しいのですね
ではわたしは、『大型の望遠鏡』が欲しいです
神秘的な宇宙を堪能できる望遠鏡はまさに浪漫
いざ、果てなき銀河の世界へ
星の大海に、共に溺れましょう?
ちなみにこの望遠鏡のお値段は約2000億円だそうです
建設費も忘れてはいけません
それから、望遠鏡で見た光景を記録と再現するためのプラネタリウムも欲しいですね
精密なプラネタリウムは最低でも億はかかるのだとか
専用の施設の設置には何億かかるのかしら……?
ふふ、夢が広がりますね
『バズリトレンディ』――それは新し親分にして『虞知らず』の妖怪の名である。
彼女にとって流行りとは飛びつくものであり、消費していくものではない。
だからこそ、全ての流行りを忘れまいとするのだろう。
けれど如何に生命の埒外と呼ばれる猟兵であっても全てを理解しきれることはないのもまた心理である。
「正直わたしも『バズリ』とか『トレンディ』とか良くわかっておりませんが……えっと、頑張ります、ね?」
ミアステラ・ティレスタム(Miaplacidus・f15616)は戸惑いながらも、転移した先を見下ろす。
お金が噴出し続ける『バズリトレンディ御殿』は今や見る影もない。
ディスコホールが野ざらし状態であるのは、猟兵たちの活躍ゆえであると言っていいのか微妙なところであったが、それでもエモいミュージックと共に現れるのは、新し親分『バズリトレンディ』であった。
「ワイちゃん復活! ワイちゃん復活ッ!! いぇいいぇい! 今日もアゲアゲパーリナイッ! フゥー!」
テンションバカ上げである。
もうやけくそである。正直言って、猟兵さんたちの欲望を舐めてたからである。無礼てたからである。
二度言ったのは、これまで散々にこてんぱんにされてきたからである。
「わたしは『大型の望遠鏡』が欲しいです」
「午前二時に望遠鏡を担いでったー! なんか甘酸っぱい青春の歌が流れてきそう!」
ちょっと『バズリトレンディ』さん黙ってて。
そう、ミアステラは神秘的な宇宙を堪能できる望遠鏡に浪漫を見出しているのだ。
彼女の瞳が写すのは、大宇宙である。
はてなき銀河の世界。
それが彼女が望むものであり、それを見据えるのは彼女の夢でもあったのだろう。
それが思いがけず叶ってしまう戦場が『バズリトレンディ御殿』である。
予算? んなものは、ここにはくさるほどあるのである! 札束ビンタなんておちゃのこさいさいである。
おらっ! 早く望遠鏡を出すんだよ! くらいのノリでいいのである。
「星の大海に、共に溺れましょう?」
「ちなみに~一体おいくら万円くらいなんでしょ?」
「約2000億円だそうです。建設費も忘れてはいけません」
……。
「それ望遠鏡っていうか、展望台では!?」
「そうともいいますね。それから望遠鏡で見た光景を記録と再現するためのプラネタリウムもほしいですね。精密なプラネタリウムは最低でも億はかかるのだとか」
ミアステラの瞳がキラキラしている。
星の輝より君の瞳のほうが綺麗だよって誤魔化したいなぁって『バズリトレンディ』さんは思った。
実際やったろーかなって思ったけど、残念ながら猟兵さんの顔面偏差値お化けである。
正直、自分もけっこー美少女だとは思うんだけど、ミアステラの穢れを知らぬ純粋な瞳を見たら邪な自分は多分消滅する。
尊死ってやつである。
「専用の施設設置には何億かかるのかしら……?」
「バブリーが過ぎる! ワイちゃんでももうちょっと遠慮しちゃいますけどぉ!?」
午前二時に踏切の前で担いでいく望遠鏡とは遥かにスケールが違う。
これが猟兵の仕事。
恐れおののくほどにバブリーな雰囲気を身にまとったミアステラの力は言うまでもなく強大そのものだ。
誘奏視(プリマヴィスタ)。それがユーベルコードであっても、魅惑の瞳が命中した『バズリトレンディ』はミアステラの言葉にうなずくしかなく、膨大なお金が消費され、ここにバブル対決は幕を閉じるのだ。
「ふふ、夢が広がりますね」
なんて、そんな素敵な笑顔で言われたら……。
「やるしかないでしょ、いくらワイちゃんでもさー!!」
そんな悲鳴が『バズリトレンディ御殿』の残骸を押しつぶし、立派な天体望遠鏡が設置された施設が上書きされるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ジャム・ジアム
ジアム、キャバリア工場が欲しい
疾影が頑張ってくれるから、バックアップする人たち
UDCアースじゃ?…だめよ、バブルに不可能はない筈
すべてを札束で解決する修羅の世界でしょう、ジアムそう聞いたわ!
武力で目立つと危険ね
だから、外見だけーってふりをするの!
ほらどこかにそういうの、立っ…うん
新エネルギーと宇宙開発の人材をじゃんじゃん雇って
新会社を!先払いするわ、お給料ってずっと発生するのよ
最近宙から変な光がふるし、よくない、親分?
さぁプライベートジェットの用意を
貴方も手伝って。世界を巡るわ!…UDC組織に紹介するものありね
タイトドレスで栄養ドリンク掲げ
船出よ。皆、未来の為に!(親分へ花火を豪勢に打上げ❤️
もはや『バズリトレンディ御殿』は見る影もなかった。
まあ、猟兵との戦いに巻き込まれれば、そうなるのも無理なからぬことであったけれど、それでもなお噴出し続ける無尽蔵のお金は新し親分『バズリトレンディ』との戦い、すなわちバブル対決には問題ないものであった。
だからこそ、ここぞとばかりに己の欲するところを叫ぶ者だっている。
「ジアム、キャバリア工場が欲しい」
言うまでもなく、ジャム・ジアム(はりの子・f26053)の言葉であった。キラキラした瞳にあるのはギラギラした欲望ではなく、彼女のキャバリア『疾影』をバックアップをしてくれる工員たちや整備するキャリアーなど、色々必要であるという彼女の『疾影』へのねぎらいの気持ちのほうが勝っていたのだ。
しかし、UDCアースでは難しいだろうし、カクリヨファンタズムではなおさらのことであろう。
「いやぁ、流石にそれってば、難しいのでは? ささ、まあまずはこの栄養ドリンコでも飲んでファイト一発、ケミカルケミカルってことで――」
「だめよ、バブルに不可能はない筈。全てを札束で解決する修羅の世界でしょう、ジアムそう聞いたわ!」
くわっ!
ジアムの瞳が開眼する。そう、これはバブル対決である。
如何にお金を消費したかが、この戦場においては強化の源になるのだ。ここで妥協していては、戦いには勝てぬし、何より親分である『バズリトレンディ』への侮辱にあたると思ったのだ。
「まってまってワイちゃんでも流石に待ってって言うわ! それいくら掛かるかわかっていらっしゃる猟兵さん!?」
『バズリトレンディ』はこれまで多くの猟兵たちとバブル対決をしてきた。
正直ドン引きする金額やら、え、その発想でそんなにお金いきなり使ってしまう? というような奇想天外さは、まさにふれあい猟兵パークそのものであったけれど。
それでも『バズリトレンディ』はがんばってた。うん、がんばってたよ。
「武力で目立つと危険ね。だから、外見だけーってふりをするの!」
「待って!? お話聞きましょう!? ね、ワイちゃんにいい考えがある――」
「ほらどこかにそういうの立っ……うん、新エネルギーとか宇宙開発の人材をじゃんじゃん雇って新会社を! 先払いするわ、お給料ってずっと発生するのよ」
お話聞くどころではない。
ジアム社長の夢は膨らむばかりである。
先行投資の超絶ホワイト会社。なにそれ、就職したい。ホワイトとなれば優秀な人材が集まってくるものである。
ジアムの思い描いたキャバリア工場はあっという間に建設され、いきなり出来上がってしまう。
これがバブルの力である。
「最近宙から変な光がふるし、よくない、親分? さぁ、プライベートジェットの容易を。貴女も手伝って。世界をめぐるわ!」
がっしりジアムは『バズリトレンディ』の腕を取る。
「えっ、ことわ……えっ、力強ッ!? これ接着してらっしゃる? え、ええっ!?」
戸惑う『バズリトレンディ』をよそにジアムは用意されたプライベートジェットの中に押し込んでいく。
「UDC組織に紹介するのもありね」
「それだとUDC-NULLになっっちゃうやつー! ワイちゃんまだまだカクリヨファンタズムで流行りという流行りを謳歌するって決めてあー、やめてやめて、これ絶対爆発するやつ――!?」
そんな『バズリトレンディ』を他所にジアムはタイトで豪奢なドレスを身にまとい、栄養ドリンクで乾杯している。
え、これなに祝賀パーティ的なやつ?
ジアムCEO就任パーティ的な? そんな彼女の前でプライベートジェットという名の打ち上げ花火に押し込まれた『バズリトレンディ』は宇宙へと打ち上げられる。
なんか悲鳴的なものが聞こえたような気がするけど、ジアムCEOは今会社設立のためのスピーチで忙しいのである。
「船出よ。皆、未来のために!」
グラスを掲げ、喝采を受けながらジアムCEOは乾杯の音頭を告げる。
瞬間、背後の空にハートマークの花火が打ち上がり、爆発四散する。
まあ、言うまでもないけど、『バズリトレンディ』を乗せたプライベートジェットというなのロケット花火の閃光であった。
きたねぇ花火だなぁって思わないでもなかったけど、ハートマークの花火はまあ、それは見ごたえのあるもであり、ジアムCEOの就任挨拶は大成功を遂げるのであった――!
大成功
🔵🔵🔵
ルネ・プロスト
彼の光景を垣間見た時、わたしは思ったのです
“あぁ。これは俗に言う、前振りというやつですね?”と
そういうわけであなたのネズ耳に賞金を懸けました
前金5千憶、成功報酬5兆のデッドオアアライブ
魔術的物理的電子的、ありとあらゆる伝達手段で
カクリヨは疎か、つながってるっぽいUDCアースの住民まで含めた数多の民に
もしかしたらとうに忘れ去られた筈の彼の地で一台ブームを巻き起こすかもしれませんね?
やったね親分!
全て全ては是なる者、小鳥人形の口先の業あらば
他の人形同様、小鳥人形も1体ではありませんからね
宛らこの場はコールセンター
電話にメールにテレパスに。嗚呼、通知が全くやみません!
さてさて現在の支出総額は如何に?
プライベートジェットという名のロケット花火が打ち上がって、『バズリトレンディ御殿』であった展望台の空にハートマークが刻まれる。
正直なんかもう、このまま終わりでいいんじゃないかなぁって思わないでもないけれど、新し親分『バズリトレンディ』との戦いは未だ決着が付いていない。
「まだまだっすよ! ワイちゃんはこれからの女ですから! 逃げるは恥だが役に立つって言うでしょ! 恥恋ダンスしないと!」
いや、そういう話ではないとは思うんだ。
空より飛来した『バズリトレンディ』は華麗に黒焦げになりながら、ヒーロー着地を決めて、猟兵たちの前に降り立つ。
「まって、足しびれた。あと膝痛い。めちゃくちゃ痛い……」
知らんがな。
「ああ、此れは俗に言う、前フリというやつですね?」
え、何が? と誰もが思ったであろう。
そう、ルネ・プロスト(人形王国・f21741)は思ったのだ。曇りなき眼をキラキラさせながら、『バズリトレンディ』さんのネズ耳を見つめる。
前金5千億。
成功報酬5兆円のデッドオアアライブ。
え、何言っているか全然わかんないって顔で『バズリトレンディ』はルネの言葉に小首をかしげる。
ちょっと可愛いなぁって思ったけど、おいまさかやめろと誰かが叫んだかも知れない。
その耳に触れるのはまずい。
「え、これはあかんですよ! アンタッチャブルですよ! マジで! おいやめろ。マジでやべーぞ!」
ルネはカクリヨファンタズムは愚か、つながっているであろうUDCアースの住民まで含めた数多の民に魔術的物理的電子的、ありとあらゆる伝達手段で懸賞金を掛けたのだ。
何に?
「そう、貴女のネズ耳にですよ。全て全ては、是なる者、小鳥人形の口先の業あらば、他の人形同様、小鳥人形も一体ではありませんからね」
なになにどうなってんの?
いきなり現れたコールセンター。
居並ぶ小鳥人形たち。はい、こちら『ネズ耳懸賞金センター』ですって声がひっきりなしにコールと共に目撃情報を寄せられる。
「ふぁっ!? なんでそういうことするの!? マジでヤバイ案件になっちゃうじゃないですかやだー! 何、ご連絡先はこちらってテロップまで出してるんや!?」
「やったね親分! もしかしたら等に忘れ去られた筈の彼の地で一大ムーブメントを巻き起こすかも知れませんよ!」
「やだー! そういう悪目立ちはマジで存在毎消されちゃうやつじゃないですかー!」
裁判になったら絶対負ける。
しかし、ルネは容赦しない。マジでやるつもりである。
「……ワイちゃんちょっと用事を思い出したので、ばいなら!」
だが、逃げようとしても無駄である。
すでにルネが敷設したあらゆる懸賞金レースは、世界中に広まっている。もう指名手配とかそんなレベルじゃない大騒ぎになっているのだ。
「電話にメールにテレパスに。嗚呼、通知が全くやみません! さてさて現在の支出総額は如何に?」
おーぷんざぷらいす!
じゃねーわ! と『バズリトレンディ』は叫びながら、わんわん泣きながら逃げ惑う。
それを追う賞金稼ぎ。
もう人の欲望ってば大変なものなんやなぁって他人事のようにルネは思いながら、鳴り止まぬコールセンターで満足気にうなずき、支出金額がとんでもないことになっているのに、我がことながら恐れおののくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
カクリヨFは忘れられたモノの行き着く世界
その輝きを忘れぬ貴女は、この世界の『優しさ』を体現している…
星を失い多くの文化を失伝した世界を故郷に持つ身として、そう感じます
(耳からアイセンサー逸らし)
その姿勢に敬意を表し、全力で参ります
そういえば
UDCアースではノストラダムスの大予言だとか恐怖の大王やらが流行ったそうで
購入物は…資源衛星です
ええ、レアメタルたっぷりの
小惑星からの資源採掘は故郷では常識
現在、発破用の核弾頭を満載し核パルスエンジンで軌道変更済みの隕石は御殿に落下中です
(無敵城塞の準備をし)
通常であれば『核の冬』が来ますが…大丈夫でしょう
そのような空気だと、猟兵としての経験値が告げています
「カクリヨファンタズムは忘れられたモノの行き着く世界。その輝きを忘れぬ貴女は、この世界の『優しさ』の体現している……星を喪い多くの文化を失伝した世界を故郷に持つ身として、そう感じます」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、そっと新し親分『バズリトレンディ』の黒いネズ耳からそっとアイセンサーを逸して言った。
非常に哀愁漂う機械騎士の姿は、それだけでエモーショナルな雰囲気であったが、『バズリトレンディ』は若干辟易したようにつぶやいた。
「そう思ってるなら、もうちょっと早く来てくれてたら助かってたんやけども。そこんとこどうなんでしょ、猟兵さん」
ワイちゃんもう疲れちゃったんだぜ、とげっそしりているのは、今の今までトリテレイアがアイセンサーを逸したネズ耳に掛けられた懸賞金を目当てにデッド・オア・アライブな逃走劇を繰り広げてきた彼女から絞り出した言葉であった。
正直、可愛そうなくらいであったが、トリテレイアは、はやりを忘れぬという彼女の姿勢に敬意を評すると言わんばかりに剣を構えた。
「えっ、この流れでそうくるの!?」
「全力で参ります」
マジで!? 『バズリトレンディ』は飛び上がって、現金バックを握りしめる。この金は竹やぶで拾ってきたんだい! ワイちゃんのお金なんだい! と防御を固める。
この堅物な機械騎士がどんな欲望を具現化するのかわからないけれど、どちらにしたって全力で戦わなければ『雲の道』は紡がれないし、『虞知らず』を習得はできないのだ。
「そういえば」
ぽつりとトリテレイアがつぶやく。
戦いとはあんまり関係なさそうな話が始まるのかなって『バズリトレンディ』さんは期待した。
「わぁい、ワイちゃん、先生が授業中にする内容とは無関係な小話大好きー」
「UDCアースではノストラダムスの大予言だとか、恐怖の大王やらが流行ったそうで」
「ああ、はいはい。あんごるもあもあね。なるなる。あったあった。流行りましたわー。終末大予言ね。書籍もテレビも大成功っすわー」
ほんでほんで? と先を急かすように『バズリトレンディ』さんは食い気味である。こういう昔流行った話大好きなのである。
しかし、トリテレイアは遊びの少ない機械騎士である。
彼の語る言葉にユーモアは少ないのだ。
「購入物は……資源衛星です。ええ、レアメタルたっぷりの」
「……」
どういうこと?
見上げる空にはなんかデカイ資源衛星。なんか形からしてこう、ネオな組織が使ってそうな雰囲気ある。
なんちゃら落としとかそんなん。
小惑星からの資源採掘はスペースシップワールドでは常識である。
居住可能惑星を喪っているのだから、そこからしか資源は得られないのだ。ゆえにトリテレイアは、発破用の核弾頭を満載し、核パルスエンジンで軌道変更済みの隕石を『バズリトレンディ御殿』に差し向けたのだ。
「馬鹿な! 核の冬が来るってばよ! がんばりすぎちゃって真っ二つになっても方一歩落ちちゃう!」
それにトリテレイア自身もただでは済まないはずだ!
「ええ、ですから無敵城塞モードに入ります。動けませんが、あらゆる攻撃に対して無敵になるユーベルコードです」
「そこはトリテレイアは伊達じゃないって言わないんかい! そういう心の光を見せなきゃならんのでしょう!?」
もう色々と大混線状態である。
なんか緑の光がぶわーって見えるのは気の所為であろうか。うん、気のせいだな。
「通常であれば『核の冬』が来ますが……大丈夫でしょう。そのような空気だと、猟兵としての経験値が告げています」
「あっ! この人全部丸投げしおった! って、あー!? 早いっ、早いってば!?」
落ちてくる巨大な資源衛星。
それはまるで冗談みたいな流れ星。
『バズリトレンディ御殿』は此処に消滅した。
ついでに『バズリトレンディ』さんも躯魂との合体を解除されて、知っている人は良く知っている飲茶なシーンが再現されたクレーターの中で最期倒れ伏し、機械騎士トリテレイアは、騎士としてというか、猟兵としてというか、なんとも言い難い勝利を得て、独りごちる。
「――やはり、なんとかなりましたね。そんな気がしてしました。『バズリトレンディ』、貴方という流行り……私はそれを覚えておきましょう」
「なんか綺麗に纏めた――!?」
そんな『バズリトレンディ』の元気いっぱいな叫びとともに、『バズリトレンディ御殿』は、此処に消滅し、バブル対決を猟兵たちは制したのだった――!
大成功
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