大祓百鬼夜行㉓〜連続ドラマ『きさまの番だぞ』
「は~~~やっぱ『きさ番』は何度見ても最&高やで。お願い、死なないでワイちゃんの推し! けど推しくん、次回死すねんな……もう何周したかわからんから全部覚えてんねん。でもまぢ無理。あ~ここも無理すぎてぴえんや。ぴえん通りこして激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームや……つらたんが過ぎてすこみざわ」
新し親分ことバズリトレンディは、かつて地球のSNS上で大バズりした連続ドラマ『きさまの番だぞ』の大ファンであった。
わずかな情報を深読みして次回以降の展開を推理する考察班、イケメン俳優や恋愛要素に胸キュンするライト層、次々投下される超展開や迷台詞をネタとして楽しむ実況勢、脇を固める名優たちの怪演を絶賛する連ドラマニアなど、とにかくさまざまな層を虜にし、バズりにバズったこのドラマの実態は……驚いたことにサスペンスである。ええっ、そうだったの?
「ワイちゃんよりかっょぃ『きさ番』担この世におる? いや、おらん(反語)は~~~~でも語りてぇ~~語りてぇんよ~~~【ゆるぼ】誰かさぎょいぷ……せや!」
猟兵だ!
きさ番の鬼リピに夢中で忘れかけていたが、このあとここ『バズリトレンディ御殿』で猟兵と勝負することになっていた筈である。
あんなにバズったんだから、猟兵の中にもきさ番を見ていた者がいるに違いない。
いや、たとえ初見でも、見れば必ずこのドラマにハマってしまうはずだ……!
「よっしゃワイちゃんと勝負や……! 『きさ番』の実況で!」
かくして、ワイちゃんvs猟兵のきさ番実況バズり対決が急遽始まったのであった。
●きさまの番だぞ
「『きさまの番だぞ』というドラマ、何年か前にとても流行っていたらしいね。僕も取り急ぎ見てみたんだけど、面白かったよ。浴衣田凶彦役の浴衣田凶彦が浴衣田凶彦に殺されるシーンなんて最高だった」
何を言っているのかわからないと思うが、『きさまの番だぞ』は本当にそういうドラマである。
きさまの番だぞ、通称『きさ番』。
それはUDCアースで過去に放映された、とあるマンションを舞台にした交換殺人がテーマの連続ドラマなのだが。
困ったことに、鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)はそれ以外の内容をすべて忘れてしまったらしい。例のシーンはシュールすぎて覚えていたようだが。
「バズリトレンディさんがきさ番の実況で勝負したみたい」
あんだって?
「バズリトレンディさんには、ここ数年で流行ったものひとつを『バズリ戦闘態』にして自分のユーベルコードに取りこむ特技があるんだけど、それを利用して『きさ番』の名シーンを強制的に見せてくるから」
さすがバズの化身、しっかり迷惑オタクであった。
「きみたちはカメラやスマホを通してこの戦いを見ているオーディエンスに『バズりそうな感想』をつぶやいてあげて。いいねがたくさん来るとパワーアップして勝てるから、倒して虞知らずになろう」
そんなんでいいんだろうか。
バズりそうな感想というのは、なんでも構わない。
変な展開へのツッコミなり、登場人物の愛に泣くなり、推しの尊さや顔の良さを語るなり、普通に怖がるなり、ド真面目に考察するなり、その結果キレるなり、いっそディスって炎上してもバズりはバズりである。
「ううん、やっぱり駄目だ。僕は詳しい内容を忘れてしまったけど、きみたちなら覚えているだろう。いや、初見でもいいリアクションができればバズるさ。行ってらっしゃい」
それでは、きさまの番です。
蜩ひかり
蜩です。
わかる方もわからない方もお気軽にどうぞ。
●遊び方
皆さんには新し親分が再生してくる【架空の連続ドラマ『きさまの番だぞ』の名シーン】を実況していただきます。
①どんな人物がどんな理由でどうやって殺されるシーンか
②そのシーンに対するPCさんの感想
③次に殺人をするキャラクターはどんな人物か
以上の3つを【必ず】ご記入ください。
いただいたプレイングを繋げてバズりそうなトンチキ交換殺人ドラマを作ります。
『そんな馬鹿な』という内容であればあるほど実況がバズります。
戦闘プレなし、UC指定のみでOKです。
プレイングの募集状況はタグをご覧ください。
なるべくたくさん採用したいですが、その分文字数やPCさん自身の描写は控えめになるかもしれません。
状況次第では一旦最終回を迎えての第二部や、再送対応の可能性もなくはないですが、状況次第でとりやめます。すみません。
●お願い
必ずお一人様でご参加ください。
実在の人物や商標等の名前は出さないでください。
それ以外なら大体どうにかします。
需要がなかった場合はサポートを呼んで打ち切ります。
それではよろしくお願いいたします!
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プレイングボーナス……バズリトレンディよりもバズる事で、より多くのハートを集める。
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第1章 ボス戦
『新し親分『バズリトレンディ』バズリ形態』
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POW : HPAH
単純で重い【ハンマーパイナッポー&アッポーハンマー】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : タピオカボディ
自身の肉体を【もちもちのタピオカ】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ : いいねストーム
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【ハートマーク】で包囲攻撃する。
イラスト:天城望
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
レッテ・メルヴェイユ
きさ番!!!!
これがあの有名なきさ番ですね!
聞いたことがありますよ!
このシーンは
はっ…!
迷子のお巡りさんが近所のどら猫に殺られるシーンですね!
迷子になっていただけのお巡りさんをどら猫が狙うなんて!
ビックリしますよね!
あわわわわわ
どら猫が尻尾で叩いたらお巡りさんがメロメロになって…
そうです!これです!
なんてこったー!
あたしは緊張をしました!
どら猫の気持ちよさにお巡りさんも目がくらんで
最後の一撃!!!
ふみふみ!!!
つ、強い…
ねずみを捕まえる猫は爪を隠すのです…
次に殺人をする方は間抜けな泥棒さんでしたね。
窓から落ちて捕まってしまったのです。
そこにもこのどら猫がいました!
●第1話
こうして唐突に始まった、ドラマ『きさまの番です』SNS実況大会。
このドラマ、噂にたがわぬ全宇宙困惑必至の驚愕迷シーンから幕を開けることになるのである――。
「きさ番!!!! これがあの有名なきさ番ですね!」
「いいやんその反応ごっつええ感じやん。きさ番はいいぞ」
ワイちゃん、ご新規様が嬉しすぎて、既に自らいいねを連打していた。
きさ番初見勢のひとりであるレッテ・メルヴェイユ(ねこねこ印の郵便屋さん・f33284)は、ワイちゃん(※字数が多いのでバズリトレンディさんの事は今後一貫してこのように表記します)の出してきたテレビ画面を緊張の面持ちで眺める。
一時期『きさまの番だぞ』とだけ書かれたいたずら脅迫ハガキがちらほら配達物に紛れていた時期があったので、レッテは逐一それをゴミ箱にポイしていたのだが。
そこまで人々を熱狂させるこのドラマっていったい? ちょっと関連動画などを見てみたところ、やはりものすごく気になるシーンがあったので、そこだけ覚えていたのだ。
ついに本物が見られる……! レッテはドキドキしていた。
『困ったな〜またマンションに帰る道わかんなくなっちゃったよ。管理人さん迎えにきてくんないかな……』
「はっ……! このシーンは!」
冒頭、登場したのはマンションに住む若い警官、犬飼・巡(いぬかい・めぐる)だ。
どうやら、お巡りさんなのにたびたび近所で迷子になっている困った人らしい。
「どうしてこんな人がお巡りさんになれたんですか!?」
「せやねん。それやねん。そこはウールーで配信中のオリジナルストーリー観たらわかるで」
「えっちゃんとした設定があるんですか!? き、気になる……!」
しかし今は本編に集中する時間。レッテの目線は、塀の上にいるどら猫に注がれている。噂によると、このどら猫がこのあと大事件を引き起こすのだ……!
「あわわわわわ」
犬飼の背後からそっと忍びよるどら猫。そして、どら猫が!
「「飛んだーーー!!!!」」
ワイちゃんとレッテ、綺麗にハモった。合わせつぶやきにいいねが乱れ飛ぶ!
そして、ふわふわなしっぽが犬飼の横っ面をビンタ!
もう一度ビンタ!!
『な、なんてふわふわなんだ……お願いします、どうか私をその肉球で踏んでください!』
叩かれた犬飼は変な方向に喜んでいる。やべえ、このお巡り、すっかりどら猫にメロメロだ!
「犬飼さんなのに犬派じゃないんですか!?」
レッテのもっともなツッコミにいいねが飛ぶ。『きさ番』ヘビロテ勢にとっては、犬飼が実は大の猫好きという秘密は周知の事実……でも最初は絶対そう思うよね、のいいねだ。
そして、地べたに額をつけて懇願する犬飼の背中に、どら猫が飛びのった。
レッテはああっと口元を覆う。
「そうです! これです! なんてこったー!」
ふみふみ! ふみふみ!
『き……気持ちイイ……』
肉球で背中をぷにぷにされまくった犬飼は、あまりの気持ちよさに昇天してしまった。
まさに「なんてこったー!」としか言いようがない衝撃迷シーン。なんでも、最初にこの部分を切り取った動画がバズったのが『きさ番』流行のきっかけだったとか。
前後の流れやバックホーンまでは知らなかったレッテは、とにかく驚愕している。
「つ、強い……ねずみを捕まえる猫は爪を隠すのです……」
「名言キマシタワー……ワイちゃんRTしとこ。あっ! ふみふみはヤメテ!」
そして自爆したワイちゃんは、今見たどら猫に似せて作られたレッテのねこねこ郵便局員ガジェットにふみふみされ、めっちゃダメージを受けた。
「で、でも『きさ番』の再現で攻撃されるなんて……エモい……!」
こうして犬飼は死んだ――。
それを影から見て震えていたのは、以前ほかの部屋に忍びこみ、金品を盗もうとしたところ、窓から落ちて犬飼に捕まってしまった間抜けなマンション住人、石川・六右衛門であった。
『や、やべえ。本当に犬飼が死ぬなんて思わなかったんだ……』
その手に握られているのは――例の『きさまの番だぞ』と書かれたハガキではないか!
「っていうかこのマンション泥棒を入居させてるの!?」
果たして石川は誰を殺すのか! 待て次回!(ネコチャンも出るよ)
大成功
🔵🔵🔵
メレディア・クラックロック
ボク知ってるよ。
初見さんの必死の考察と推しが死んだときの悲鳴が何よりバズるんだって。
つまり――この勝負、『きさ番』初見のボクのが有利ってコトだ!
えっ、冒頭の死体って三輪くんじゃなかったの?
学生が痴情の縺れ……これ地上波で放送してたの?UDCスゴいね。
いやでも動機付けまでしっかり……うん?
二人でひとつだったはずの彼らが恋愛沙汰で仲違いして…その子がいなくなっても仲悪かったことは変わらなくて……だから殺した?
うわ青春シーンの作り込みエグ。この笑い合うシーンを死体見下ろす画にオーバーラップさせるのはクソデカ感情アピール以外の何物でもなくない?
二人が青春してる番外編はよ。
さて次回予告……げっ、社長!?
●2話
「えっ?」
こちらも『きさ番』初見勢のひとりであるメレディア・クラックロック(インタビュア・f31094)は言葉を失った。
推しが死んだ時の初見勢の悲鳴はバズる、そう思っていた時期もありました。しかし、実際に推しが思ってもみなかったタイミングで急死した時はこんな感じである。悲鳴すら無理。無。
そう。
メレディアの推しは――三輪・和哉(みわ・かずや)くんは、2話の冒頭で殺されてしまったのだ。
「嘘だよね? ボク調べたんだけど、三輪くんやってる人って大河・渉(たいが・わたる)くんでしょ? 今UDCアースで一番来てる若手実力派俳優、顔面国宝と名高い人気実力を兼ね備えた大河くんがこんな序盤で退場?」
犯人は、前回完全なる逆恨みでお巡りさんに殺意を抱いていたコソ泥、石川・六右衛門(いしかわ・ろくえもん)。彼はバイト帰りの三輪くんを夜道で襲い、包丁で刺し殺してしまった……画面には、そんなカットが映っていた。
『へ……ヘヘッ、これであっしはこの交換殺人ゲームとおさらばでさぁ!!』
「しかもこんなネタキャラに殺されるの? 前回と口調変わってるし、おかしいよこの脚本!」
「それな。脚本家と演出家が毎週変わるねんこれ……」
ワイちゃんも激しく同意のいいねを飛ばす。帰ったら考察ブログを読み漁り、自分も考察記事を書いてやろうと心に誓うメレディアであった。
だが驚くなかれ。この回のメインはそこではない!
『三輪……』
「うん?」
三輪くんの死体を切なげに見下ろすのは、マンション住人のひとり、観月・龍也(みづき・たつや)。三輪くんとは幼馴染で同じ高校、中学時代は野球部でバッテリーを組んでおり、二人でひとつとも言われていた親友同士だ。
だが、ふたりは共にマネージャーの美沢・美波(みさわ・みなみ)に想いを寄せていた。そして、南が選んだのは三輪くんだった……そのことが原因で、彼らは仲違いをしてしまう。
そんな三人の過去エピソードを、ほぼ一話丸々使って描いたのがこの二話。冒頭部分はともかく、神回と名高い回である。
「やっぱり、三輪くんの名前を書いたのは観月くん……? でも本当に喪ってしまったら彼が大切な存在だったと気づいた的な? あああこれは二人にしか伝わらないサイン……夏空の下泥まみれで笑い合う二人……もう戻れない過去…… このシーンを死体見下ろす画にオーバーラップさせるのはクソデカ感情アピール以外の何物でもなくない?
あ、今の回想待った! 美波ちゃん二人にお弁当作ってきてるけどさ、三輪くんの方ちょっとだけ盛りが丁寧なんだよね! こういう一瞬しか映らないシーンでエグい作り込みやめなよ! あと三人の苗字をMariaのMで繋げないでよ……!」
「お、恐ろしい子や……初見でそこまで理解するなんて……!」
記者さんの語彙力はすごい。ついつい感極まった人の早口つぶやきをしてしまったメレディアに『そうそうそうなんだよね〜』『そこ気づかなかった!』などのいいねが乱れ飛ぶ。
だがまだまだ。きさ番の真骨頂はここからのどんでん返しだ……!
『智也……? え、なんで。し、死んでる……』
『!? 三輪? お前、三輪なのか?』
『観月!?』
「え? え? 三輪くん生きてる……? 三輪くん生きてる! あれ三輪くんじゃなかったの!? ??? えっ……三輪くん生きててえらい!」
なんと冒頭で殺されたのは三輪くんの双子の弟、智也のほうだったという痛恨の人違いオチ。石川オワタ。
もう訳がわからないが、思わず三輪くんをハグする観月くんを見て、メレディアの語彙力さんは爆散した。
「二人が青春してる番外編はよ……」
ワイちゃんはおもった……それもウールーで独占配信してるょって(そして飛んできたいいねが刺さりまくってめっちゃダメージ受けた)。
さて、気になる次回予告だが。
「げっ!? 池沢(いけざわ)社長、美波ちゃんと不倫してたの!? 美波二人の前から突然姿を消しておいて何やってんの!? これもういっそ美波ちゃんをやっちゃった方が……いやいやいや。高校生と……社長の……痴情のもつれ……これ地上波で放送してたの? UDCスゴいね……」
池沢社長なる男、いったいどんなイケメンなんだ……!?
とりあえずメレディアさんはウールーを見てほしい。3話もお楽しみに!
大成功
🔵🔵🔵
智也の死体を放置したまま、一度は分かたれた道を繋ぎなおすように、強く抱き合う二人の少年。
その足元を例の猫が横切る。
惨劇は、まだ終わらない――。
九泉・伽
※改変歓迎
①
口癖は「秘書が殺った」の議員狡田猾(ずるたなめる47歳)
邪魔者を殺し罪は全て秘書に、首つり秘書はざっと38名
煙草買い占めが運の尽き
刺された後マンションの焼却炉に頭突っ込まれて死亡
うっかり「秘書が殺った」と言い残し事件は混迷に
②
あー珍しく予想通りのが死んだねぇ
こういう平凡な回が周囲を引き立て…え、待って
刺されて頭黒焦げなのになんでしゃべれんの?
てか刺された時に死んでたよね?
遺言なげぇよ5分以上喋ってるし
お前も聞いてないで救急車よんでやれよ
③
「あやや、変なのですぅ」が口癖の阿部まりあ8歳
その正体は「探偵†戦士アベマリア」
殺害現場によく居合わせるのに誰も疑わない
犯罪解決自作自演がモットー
●第3話
池沢・優作(いけざわ・ゆうさく)社長は、マンションの最上階に住んでいる超有名実業家である。ルックスもイケメンだ。
女子高生と不倫をしている上、超超超独占欲が強い事を除けばほぼ完璧超人であった。泥棒から超VIPまで住んでるこのマンション何?
『死んだのは和哉じゃなくて双子の弟!? それなのに、私は危険を冒してあいつを殺さないといけないのか……どうすればいいんだ美波……』
3話は、そんな池沢が『きさまの番だぞ』と書かれた新聞を手に震えている場面から始まる。
今回殺されるのは池沢と同じ最上階の住人、狡田・猾(ずるた・なめる)議員47歳だ。
このあとウールーで独占配信中の番外編にて、秘書を38人首つり自殺させていたことが判明し、サイコパス議員の通称でバズり倒す男である。
『うん? また対立候補を消したのがバレそう? いいんだよ、秘書が殺ったって言っとけば』
「あ、こいつそろそろ死にそう…… 」
九泉・伽(Pray to my God・f11786)は、画面を眺めながらぼやいた。
伽さんレベルになるともう直感でそういう気配を察する。しゃーない。でもその予感を裏切ってほしかったり、やっぱり様式美をなぞってほしかったりする複雑なミスヲタ心。
それはさておき、3話の見所はこれまでの被害者二人に比べて格段に殺しづらい狡田をなんとか殺そうと、池沢社長があの手この手を駆使して謀略を巡らせるシーンである。
きさ番の中でもとりわけサスペンスとして完成度が高いと評価されている回で、2話とは違う層に人気があるのだが――。
『ぐうう……狡田め、いつも私の煙草を買い占めて……なんか個人的にも腹立ってきたぞ。もうどうにでもなれっ! えーい!』
『グワアアアア!!』
追いつめられた池沢社長はなんと、最終的に普通に狡田を刺す。
これまでの努力なんだったの? 社長の地位は? 美波は?
『更にこうして……こうッ! これは首を吊った秘書たちの分ッッ!』
『グワアアアア!!!』
そして、狡田の頭を引っ掴んでマンションの焼却炉にポーイ!(力技)。
「……この池沢社長ってキャラ人気あるでしょ」
「あ、わかる〜? 『イカれ沢』って呼ばれとるけどな」
「あんまり巧くない」
伽は天井を仰いだ。その的確な批評眼にいっぱい『いいね!』が降ってきていた。
「あー、しかし珍しく予想通りのが死んだねぇ。こういう平凡な回(?)が周囲を引き立て……え、待って」
緊迫の知略サスペンスがすべて振りだったのには驚いたものの、きさ番、噂ほどのものでもない……と余裕で煙草をふかしていた伽さんだったが。
次の瞬間、画面を二度見した。
『あやや、変なのですぅ。狡田議員さんが死んでるのですぅ〜』
かなりの棒読みでそう言いながら焼却炉に駆け寄ってきたのは、マンション住人阿部夫妻の娘、阿部まりあ(8)。そこまではまあいい。ギリギリいい。
『いや、私は死んでいない』
「待って刺されて頭黒焦げなのに狡田なんでしゃべれんの?」
驚いたことに、このあと狡田は焼却炉に頭からつっこまれ逆さまの状態で、5分以上にわたってどうでもいい遺言を喋り続ける――(俗に言う『狡神家の一族』シーン)。
バズッターの裏垢を消してくれだの、棺桶に昔好きだったアイドルのCDを詰めてくれだの、本当にどうでもいい。
「てか刺された時に普通死ぬよね? 遺言まだあんのかよ、なっげぇ……そんなんまりあに言うなよ、一応小学生だぞ一応。もっと重要な事沢山あんだろ、ほら犯人の名前とか」
『わかりましたぁ。裏垢を消しちゃいま〜す』
「えぇまりあ有能……いやお前裏垢消す知能あんだったら救急車よんでやれよ」
『ところで、狡田さんを殺した犯人は誰ですかぁ?』
『そ、それは……秘書が、殺っ、……ガクッ』
「死ぬな狡田、いやこいつは死んだほうが良いけどそこでその口癖は出すなよ、ああー事件の手がかりが……」
狡田ってなんだったんだ。遺言の5分はサスペンス部分に割いてほしかった。
ここまで派手な事件を起こした池沢社長、逃げ切れるのか……色々モヤモヤを抱え、黙りこんだままn本目の煙草に火をつける伽に、ワイちゃんはそっといいねを送る。
最初は斜に構えてたクセに、意外と素直なの、いいねって――(なお棍でボコボコに叩かれめっちゃダメージを受けた模様)。
そして次回。
「……まりあの正体は『探偵†戦士アベマリア』!? 同じ番組? 局は合ってる気がするけど時間帯間違えてない?」
な、なんだってー!? すべてはまりあ(8)の陰謀!?
こりゃ4話も正座待機だ!!
大成功
🔵🔵🔵
誰も彼の死を悼まないのか、焼却炉に放置されたままの狡田の変死体。
その足元を例の猫が横切る。
惨劇は、まだ終わらない――。
森永・蝶子
きさ番は名作でしたわ!
もちろん、わたくしも毎週楽しみに観ておりましたの!
毎週誰かが死に、そして次のイケメンが出てくる…実にイケメンの無駄遣いですわ!
今でも思い出すだけでも涙が…!
大変ですわ!この話はわたくしの最推しの彼の回では!?
この重要なシーンは一瞬で終わりますの!見逃し厳禁ですわ!
…はい、ここです!
この、なんやかんや一瞬のうちに道路に突き飛ばされてトラックにはねられる!
え?これだけですのよ?
犯人の手違いで殺されるという悲劇!
まぁ、一瞬アップになる彼の表情の良さがわかるとは…さすがですの!
この後は、彼を密かに想っていた親友がこの交換殺人に参戦するのですわ!
血に染まるイケメンも良きでしたわね!
●第4話
「きさ番は名作でしたわ!」
「!? 神 降 臨キターーー(゚∀゚)ーーー!!!」
ここにきて初めてのきさ番初見ではない猟兵、森永・蝶子(ハイカラさんの猟奇探偵・f22947)があらわれた! あなた大正時代生まれですよね? いやそんな事はいいんだ。
「まじでじま? ならきさ番のキャッチフレーズ言うてみ」
「ふふふ、名探偵にお任せなさいませ。ズバリ『毎週、死ぬわよ』ですわ!」
「ファイナルアンサー?」
「ええっと……ふぁいなるあんさー!」
「ンン〜〜〜〜正解!!!」
ワイちゃんのテンションはアゲアゲだ(この時点でいいねを連打している)。
蝶子の言うとおり、きさ番の見所は『毎週、死ぬわよ』の公約通り、毎週誰かが死ぬ事だ。だから推しを作って見るのが正解である。
「毎週誰かが死に、そして次のイケメンが出てくる……実にイケメンの無駄遣いですわ! 今でも思い出すだけで涙が……!」
確かにイケメン多い。まだ出てくるらしいし、実際出てきそうな気がする。
「というか大変ですわ! 4話はわたくしの最推しの彼の回では!?」
「!!? もしかして、お嬢様ワイちゃんと同担では……!? やば後でLEIN交換しよ」
それでは、これから推しが死ぬ女子達の悲鳴をお聞きください。
『あやや、変なのですぅ。このおじさん、闇サイトに「狡田氏ね」って書きこんでた履歴がありますぅ』
『ち、違う! 私はやってない……本当なんだ!』
前回驚愕の死にざまを披露した狡田議員の死は、結局彼の遺言通り『秘書が殺った』ということで片付けられた。しかし、それは全て事件解決の手柄を手に入れたい阿部・まりあ(8歳)の自作自演だったのだ。
『くふふ……計算通りですぅ。狡田なら死んでも誰も悲しまないですし、証拠もうまく捏造できたのですぅ。探偵†戦士アベマリア、今宵も大勝利ですぅ』
「ああ、何度見てもまりあ様の狡猾さには鳥肌が立ちますわ……!」
蝶子は震えた。冤罪まで生んでますが大丈夫か? 誰だこんなキャラ考えたのは。
『探偵†戦士アベマリア! 事件の探しに調査出発ですぅ』
そしてまりあはなんの脈絡もなくニチアサっぽい衣装に変身し、部屋の窓から外へ飛んでいった。
「8歳のまりあ様は住人会に出席していませんわ。まりあ様は、その推理力で交換殺人の存在に気付いてしまったのです。そして今から愛するお母様の代わりに殺人を……」
「ううっ、全米が泣いた……」
ちょっとはまりあの好感度回復しただろうか。あ、これもウールーで独占配信してるエピソードです。
さて、そんな腹黒幼女まりあがどうやって完全犯罪を狙うか!
4話で注目されていたのはそこだったのだが。
「この重要なシーンは一瞬で終わりますの! 見逃し厳禁ですわ!」
「あああ観月くん……! もうやめて、ワイちゃんのライフは0よ!」
なんと今回死ぬのは2話で出てきた高校球児の観月・龍也くんだ。うそでしょ? どうやらワイちゃんの推しはこの子だったらしい。
「……はい、ここです! 一瞬アップになる観月くんの表情をお納めください!」
蝶子お嬢様、リピーターの勘で神一時停止。
「ああー観月くん! これから三輪くんと待ち合わせで期待と不安に満ちた面持ちの観月くん! 画面いっぱいに映さんといてや、めっちゃ拡大すると瞳の中にもうトラック見えんねんつらすぎ……ううう、でも顔がいい……」
「この表情の良さがわかるとは……さすがですの! 辛いですが、再生を押しますわ……!」
「ああああ!! やめたげてよぉーーー!!」
『くたばりやがれなのですぅ』
「嫌あ! 観月様!」
どーん!!
観月くん、飛んできた探偵†戦士アベマリアの体当たりで道路に突き飛ばされた。
「肝心な所で犯行が雑や!」
トラックがやってきて、彼の視界が真っ赤に染まり――。
『あやや? 間違えたのですぅ。このお兄さん薄井・影太郎(うすい・かげたろう)さんじゃない……』
「薄井と間違えんなや! それ管理人やないか!」
『くふふ……仕方ないのでぇ、これもまりあの手柄にしちゃいま〜す。もしもし救急車さ〜ん』
「それは前回狡田様の時にしてあげるべきでしたわ……!」
ほんそれ。まりあの好感度はダダ下がりしたが、一部からはめっちゃ人気出た。
『観月……!? なんでだよ観月! 話したいことがたくさんあったのに』
「悲しすぎる……けれど血に染まるイケメンも良きですわ……」
「それな〜わかる〜(わかり手)……」
突然の死。トラックに轢かれてもイケメンパワーで原型を留めている観月くんを、親友の三輪くんが抱き起こす――そんな場面に涙を流す乙女二人のやりとりは、観月担と三輪担にめっちゃいいねされた。
『わかる……』『これは泣く……』のいいねである。
ちなみに、蝶子お嬢様はきさ番の実況に集中し生命維持もやめているので攻撃しなかった。でも時々猟兵の仕事より大事なことあるよね……!
ではお嬢様、次回予告お願いします!
「この後は、彼を密かに想っていた親友がこの交換殺人に参戦するのですわ!」
うわ相関図がすごい事になってそう! 5話も見逃し厳禁やで!
大成功
🔵🔵🔵
無惨にも打ち砕かれた少年達の青春と友情。
その足元を例の猫が横切る。
惨劇は、まだ終わらない――。
シャト・フランチェスカ
今週は誰の番なんだ!
番組表の二番目に書かれてる人が餌食
みたいな考察もあるけど
裏切ってくるでしょ、脚本
霊媒師の双子ってなに
そんなキャラ渋滞することある?
姉の方が昼寝してる
寝言で何か重要な単語を言うかも
これは開いちゃったな
チャネルが…
あ〜まずい降りちゃってる
しかも動物のようだ
ゴリラが憑依、バナナ不可避
しかも血の気が多い個体だ
そうなるよね
同居の妹に殴り掛かる
激しいドラミング
マンション、オレノジャングル…!
えっ
妹、この道40年のマタギを降ろす
フライパンで応戦
これは死んだか…
殴るのってマタギ関係なくない?
双子ってほら
入れ替わりトリックとかあるじゃん
伏線だろうな
次週
利きミネラルウォーターが特技の男が動くぞ
●第5話
「今週は誰の番なんだ! 番組表の二番目に書かれてる人が餌食みたいな考察もあるけど、裏切ってくるでしょ、脚本」
シャト・フランチェスカ(侘桜のハイパーグラフィア・f24181)は、ここまでの配信で完全に『きさ番』に沼ってしまっていた。
ネタバレに配慮しつつ考察サイトをチェックし、ついには過去の番組表まで引っ張りだしてくる始末である。
「いや〜さすが嗣洲沙熔先生ですわお目が高いっ!(ワイちゃん本読まんから知らんけど!)へへ……今度ワイちゃんとコラボ配信オナシャス」
「考えておくよ。それより本編だ」
バズりそうな肩書きに弱いワイちゃんは映えスイーツをお出ししまくっていた。そんなシャト先生を迎えてお送りする第5話、きさ番屈指の問題作だったりする――。
5話は前回またしても手違い殺人で殺されてしまった観月・龍也の葬式シーンから始まる。
今週の主役は、号泣する彼の相棒を遠くから見つめる美少女、夢河(ゆめかわ)・きき。彼女は観月くんの隣の部屋に住む幼馴染で親友なのだが、密かに彼を想っていた……想いを伝える前に彼が逝ってしまった、という切ないシーンだ。
そんなききの部屋の中はまだ描写されていない。これは何か秘密があるに違いないと読んでいたシャト、遂にその扉が開かれる瞬間を固唾を呑んで見守る!
『ただいま、ららお姉ちゃん……』
「え、オカルトマニアの双子で片想いしていた幼馴染と死別ってなに。そんなキャラ渋滞することある?」
ある。きさ番なので。
なんとききの部屋は超真っ黒。床には怪しい魔法陣が描かれ、水晶や蝋燭などの怪しい心霊グッズだらけで、ゆめかわとは真逆路線だった。
ベッドで昼寝しているのは双子の姉、夢河・らら。もちろん今回が初登場だ。
『ううん……猫……すべてあの猫が……』
「猫? やはりいつも殺人現場にいるあの猫に秘密が」
『……ううっ!!』
『お姉ちゃん、何!? 今度は何が憑依したの!?』
ららは激しく震え、光を発しながら宙に浮いた。シャトはあまりの衝撃にマカロンを落とした。ただのオカルトマニアじゃなくて霊媒師の双子だった。
「……これは開いちゃったな。チャネルが……」
おっと衝撃が大きすぎるあまりの一段飛ばしたツッコミ、玄人の技だ。
まあ先週は魔法少女が犯人でしたからね。
『ウ……ウウ』
「あ〜まずい降りちゃってる。しかも動物のようだ。この展開なら普通猫が来るけれど……」
『ウホうほゥホホホッッ ウホゥホウホウォウウ ウホゥホウホ?ゥホ ウホゥホウホオホゥホ ウホゥホウホウォッッ ウホうほウッホウォゥゥ ウホゥホウホウォウッホ ウホゥホウホウォゥゥ ウホゥホウホホゥホゥ』
「ゴリラだ! これはバナナ不回避」
「大密林🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌🍌」←これはワイちゃんの台詞
らら、いやゴリラは、激しいドラミングでなんらかのお気持ちを表明している!
「しかも血の気が多い個体だ。あ〜これは来るなゴリラタイム」
『またゴリラなの!? もうゴリラはやめてって……きゃあっ!』
ゴリラは右ストレートでききを殴った!
『ウホ。マンション、オレノジャングル……!』
「そうなるよね……」
出た迷台詞。
すごい! シャト先生、完全にきさ番の世界観についていっている!
「どう応戦するきき……このままじゃゴリラ死一直線だ」
『やるしかない……! ごめんお姉ちゃん、夢河家に伝わる禁じられた術を使うわ。来て……ゴリラ狩り一筋40年、マタギの五里さん!』
「えっ」
ピカアアアっと光ったききは、何かに取り憑かれたように台所のフライパンを握ると、ゴリラ化した姉の頭にフライパンを振り下ろした!
「いやゴリラ狩りはほぼ密猟だから完全に悪霊だし殴るのってマタギ関係なくない?」
『ウホうほホッォ!ッッ』
「だから禁断の術……成程。あ、姉動かなくなった。これは死んだか……」
シャトが神的な実況力を発揮し、いいねを沢山もらっている間に、ららは息絶えていた。犯行を終えたききは姉の机を探る。
そこには、『きさまの番だぞ』と書かれた便箋と『夢河らら』の名が書かれたくじがしまわれていた――ききは静かに涙を流す。
実は観月くんは、以前からららがドラミングで発する騒音に悩んでいた。
逆恨みしたららは、住人会で行われた交換殺人ゲームで観月くんの名前を書いたが、よりにもよって自分を恨んでいる誰かが書いたくじを引いてしまい、ここの所ずっと引きこもっていたのだ。
「初恋と家族愛を天秤にかけ、悲しい犯行に手を染めたききの繊細な心情……くぅ〜ぐう名シーンや……」
「直前のゴリラが強すぎて全然頭に入ってこないじゃないか!」
変な脚本に衝撃を受けたシャトは、反動でエモい桜の海を作った。ワイちゃんはめっちゃダメージ受けた。
「双子ってほら、入れ替わりトリックとかあるじゃん、伏線だろうな……」
シャト先生、さすがにそこまでは回収できる気がしないです。
そして次週。
「ついに来たか。利きミネラルウォーターが特技の男が動くぞ……!」
そんな奴いました!? やば、6話も見なきゃ……!
大成功
🔵🔵🔵
密室で謎のゴリラ死を遂げた美少女、断たれる姉妹の絆。
その足元を例の猫が横切る。
惨劇は、まだ終わらない――。
實生・綿糸楼
かの有名な『きさ番』での実況対決か…面白い。受けてたとう!
!!この回は!「大学生が二人三脚中に川に突き落とされる回」!
まさか「実は大学生が詐欺組織に加担していてその復讐」とは…
まてまて!なんだそのカレカレ詐欺とは!カレーの押し売りをオレオレ詐欺みたいに言うんじゃあない!
だまされる方も騙される方だ!福神漬けとラッキョウが食べ放題だからじゃあないだろう!
いや、そうはならんだろう
なんだこのバラエティ番組みたいな二人三脚は!?
うむ。これで分け前が7:3は納得がいかないだろう。
事故死に見せかけた殺人計画も納得というもの
しかし次の殺人者はそんな『被害者にカレーの食材を卸していた配達業者』か…
●第6話
「かの有名な『きさ番』での実況対決か……面白い。受けてたとう!」
おおさすが『きさ番』、サムライエンパイアご出身の方までご存じでいらっしゃる!
と思ったらえっ、新しい妖怪?? スカイフィッシュ????
この方が既にもうきさ番のキャラかなという濃さだが、6話の実況者はそんな實生・綿糸楼(二代目實生忍軍棟梁・f31351)さんだ。
「!!この回は!『大学生が二人三脚中に川に突き落とされる回』!」
「今週も神回やで……! 鳥肌注意や!」
綿糸楼も噂には聞いていたが、今週は神回である。それでは6話をどうぞ。
『ふう、やっとゴリラが死んだ……これでもう近隣の部屋から苦情が来ることもなくなるよ』
ゴリラ云々のエピソードについては前回を見てほしいのだが、6話で交換殺人のバトンを渡されたのは、4話で標的にされていたものの人違いで命拾いしたラッキー管理人、薄井・影太郎。
その名の通り影が薄く、ウールーで配信中の番外編で明かされたエピソードも『実は利きミネラルウォーターの全国大会優勝者』という非常に地味な内容だが、それゆえ黒幕なのではと怪しむ声も多い。
「くっ、こいつがここで登場……黒幕ではなかったか!」
綿糸楼もその派閥だったようだ。いやでもまだ油断はできないですよ。
そして場面は変わり、噂の河原で大学生が二人三脚をしているシーンへ。
この二人もマンションの住人、相沢・隆司(あいざわ・たかし)と上井(うえい)・パーリィである。
大学生クイズ王相沢とパリピの上井が、偶然の出会いからルームシェアを始め、共に大学生クイズ日本一を目指すことになる彼らのサイドストーリーはなかなかに熱いのだが……。
『ウェーイ、おせーぞ相沢ー。第一ステージは二人三脚なんだろー』
『ま、待ってくれよ、上井ー』
「なんだこのバラエティ番組みたいな二人三脚は!?」
悲しいかな、俳優の演技がヘッポコ。そのおかげで逆にバズるのだが。
「新人さんやから勘弁してほしいンゴ……」
ワイちゃん涙目。しかし、この二人にどんな殺される理由があるというのか?
綿糸楼が画面に注目していると、ついに薄井が走り出した!
「はっや! 辛沢トシユキの無駄遣いではないか!」
実は薄井役をやっているのは有名なアクション俳優だった。薄井にアクションが求められる要素ほぼないのに。しかし、唯一辛沢の真価が発揮されるのがこの数秒だ!
『死ねぇ!!』
『『ぎゃああー』』
薄井、二人三脚中の相沢と上井に華麗な飛び蹴りを喰らわせる!
「殺意すご! いや、そうはならんだろう」
そのまま土手を転がり落ちていった二人はなすすべなく溺れ死んだ。え、なんで?
『ハァ……ハァ……事故死として処理されますように。やっとカレカレ詐欺からも足を洗える……』
「まてまて! なんだそのカレカレ詐欺とは!」
超展開と耳慣れない言葉に綿糸楼のツッコミが止まらない。熱心なきさ番ファンから『その反応いいね!』『これからもっと驚くぞ』のハートがめっちゃ来ていた。
薄井の回想で語られるのは、クイズ王相沢の驚くべき本性であった。
実は彼はその頭脳を悪用し、新手の詐欺『カレカレ詐欺』を行っていたのだ。
ここで重要になってくるのが上井のコミュ力。彼が『福神漬けとラッキョウも食べ放題だから』などと騙り、原価の安いカレーをお年寄りに高額で売りまくる……それがカレカレ詐欺だ!!
「ってただのカレーの押し売りではないか!」
「ですよねー」
ワイちゃんも同意のいいねを押した。相沢、本当にクイズ王か?
「だまされる方も騙される方だが、なんでもオレオレ詐欺みたいに言うんじゃあない! しかし、薄井はなぜ二人にあれほどの殺意を……?」
安心してください。伏線はいてますよ。
「ふふふ。薄井の特技はなんやった?」
「利きミネラルウォーター……あっ! な、なんと! そういう事か!」
そう、薄井はカレーに使われる違法ミネラルウォーターを闇ルートから仕入れ、相沢に横流ししていたのだ!
しかし、儲けの分け前は7:3……前々から割に合わないと感じていた薄井は、交換殺人ゲームに便乗して、事故死に見せかけた殺人計画を実行した。
こうして一人勝ちした薄井は、呪われたマンションの管理人をやめ、最終的に海外逃亡する。ラッキー管理人は伊達ではなかった。
「そ、そんな馬鹿な……ちょっと普通に面白いだと!」
奇跡的にギャグとサスペンスのバランスが取れてしまった神回、それが6話だ。
「ブルーレイ買うか……」
あやかしメダル『お祭りニャンコ』の効果でそのつぶやきはバズりまくり、きさ番界隈は祭り状態になったが、綿糸楼が本当に買ったかは定かではない。
そして次回!
「やはり貴様か……相沢達にカレーの食材を卸していた配達業者!」
あの人ずっと怪しかったよね。7話もお楽しみに!
大成功
🔵🔵🔵
二人を深淵の底に呑みこんだ川は、何事もなかったかのように流れ続けた。
その川辺を例の猫が横切る。
惨劇は、まだ終わらない――。
リインルイン・ミュール
すみません全然知らないデス、知らないので今から観ます!
ふむ、加害者は女性Aサン。好意を寄せる同僚の女性Iサンと付き合っている男性を殺す、と
殺し方はやけに冷静ですが、恋敵への怨みでしょうか……えっもしや違う? 悲しみに暮れるIサンにさり気なく別の男性を引き合わせてますケド!
さっき殺した男性も、かつてAサンがIさんに紹介した……? な、何という事でしょう、「好きなヒトが悲しみに暮れている姿を見たい欲望の為に悲劇を仕組む」のは拗れすぎでは!?
渡りに船で殺しただけで元々怖いヒトじゃないですかーやだー!
いやあ、そういう感情もあるんですねえ……凄かったデス……
次回の殺人者は清掃員? 嫌な予感しかしませんネ
●第7話
さて『きさ番』もいよいよ第7話、そろそろ終盤だ。
そんなところにうっかり転送されてしまったリインルイン・ミュール(紡黒のケモノ・f03536)。大方グリモア猟兵が間違えたんだろう。
「えっ、実況ってなんデス……? すみません『きさ番』も全然知らないデス、知らないので今から観ます!」
だが、来ただけでめっちゃいいねされていた。なぜ。
「きゃわわわ〜! 喋るケモちゃんや、めっちゃおりこうやん! これはバズりまクリスティ、バズりの宝石箱や〜!」
「えっ? えっ?」
ワイちゃんとオーディエンスの皆さんの態度にリインルインは困惑していた。バズる要素しかありませんからね、賢い動物……(彼女はブラックタールです)。
そんなこんなで迎えた7話は、ブラックタールもびっくりのドロドロ昼ドラ回として有名だ。
『薄井は上手いこと相沢達を始末してくれたようね……これで私もはした金欲しさにカレカレ詐欺の片棒を担がなくてすむわ。男ってホント馬鹿ばっかり。ねえ泉……?』
「スミマセン、女性の写真を見ながらブツブツ呟いているこの方は?」
「あーやべーやつや。配達業者の赤井・百合子(あかい・ゆりこ)や。写真の女は青木・泉(あおき・いずみ)っつって、百合子の同僚やねん」
さすがきさ番、鬼バズドラマだけあって男女カプもBLも百合も網羅している。
「泉ちゃんめっちゃいい子やねん。来週彼氏の緑川・当馬(みどりかわ・とうま)と結婚式挙げるんよ……」
あっ濃厚な死亡フラグ!
むせび泣くワイちゃんの隣で、リインルインは必死にストーリーを理解しようとしていた。3話とか5話を見たら仮面がショートして爆発しないか心配です。
この緑川氏もなにか裏がありそうな人物だったのだが、うるせーしらねーそんなの関係ねえとばかりに百合子は緑川を殺る。
誰も見ていない隙に彼のお茶に毒物を混ぜて殺害、という、きさ番にしては堅実な殺し方が逆に百合子の異常性を際立たせていると放送当時は話題になった。
「ふむ。百合子サン、やけに冷静ですが、恋敵への怨みでしょうか……」
世界初! きさ番の実況をするケモノ!
ということでリインルインはめちゃくちゃバズっていた。戸惑いながらも頑張っている所がよけいにカワイイぞ。
愛する人を喪った泉は、当然のごとく絶望のどん底に叩き落とされてしまう。
『うう、当馬さん……わたしがあのマンションに引っ越そうなんて言ったから』
『泉、もう忘れよう……知り合いの業者さんを呼んだから、当馬くんの遺品は整理しておくね。お願いします、黒根さん』
『はい。泉さんの心にせいいっぱい寄り添わせていただきます』
「えっ? もしや単なる怨みじゃない? 悲しみに暮れる泉サンにさり気なく別の男性を引き合わせてますケド!」
この男は百合子と同じマンションの住人で、清掃業者の黒根・大和(くろね・やまと)。クセがすごいきさ番キャラの中では貴重なさわやかイケメン枠だ。最初は頑なだった泉も、段々とその笑顔に心奪われて――。
「……あの、当馬サンが亡くなってから立ち直るの早くないですか?」
「い、泉ちゃんは光やから! 曇ってるところ見たないし尺の都合的なアレで……!」
そして場面は百合子と泉が喫茶店で会話しているシーンへ。ここで衝撃の真実が明かされる!
『わたし、百合子には本当に感謝してるの。当馬さんを紹介してくれたのも百合子だったよね……』
? ????
リインルインはこれまでに得た情報を必死に整理した。
百合子は泉が好き。
だが、その泉に男性を紹介している。
でも、なんら躊躇いを見せることなくその男を殺している。
いくら交換殺人とはいえ、普通もっと悩むのでは……ま、まさか!
果たして、リインルインの頭脳は百合子の行動に隠された心理を見事暴き出す。
「 な、何という事でしょう、『好きなヒトが悲しみに暮れている姿を見たい欲望の為に悲劇を仕組む』のは拗れすぎでは!?」
「うわ〜んクレイジーサイコレズや〜!!!」
初見でそこまで考察できるのは普通にすごい。才能アリです。
『フフ……緑川にはどうせそろそろ消えてもらうつもりだったし、これで私の番は終了。黒根はどうやって始末しようかしら……』
「渡りに船で殺しただけで元々怖いヒトじゃないですかーやだー!」
リインルインの悲鳴はすごくバズった。
そして、百合子の怪演に恐怖したすべてのワイちゃん達をめっちゃ癒した……(いいのか?)(こまけーことはいいんだよ!)
「Aと、Iで、愛……いやあ、そういう感情もあるんですねえ……凄かったデス……」
コレは知らなくて良かったと思いますけどね……リインルインさんの今後への影響が心配になったところで、来週の回は?
「えっ……? そんな、嘘デス。く、黒根サンが殺人を!?」
やっぱりイケメンは信じちゃいけない。どうなる、第8話!
大成功
🔵🔵🔵
親友の恐るべき本性を知らぬまま、純粋な女は微笑んで、ケーキを口に運ぶ。
その足元を例の猫が横切る。
惨劇は、まだ終わらない――。
ロキ・バロックヒート
きさ番か~初めて見るよ
これポテチかポップコーン食べててもいいやつ?
最初からネタバレをするけど
俺様の推しって大体死ぬんだよね
あっはい死んだー
神にでも愛されてそうな美少年死んだよ
妬まれて殺されるなんて美しすぎるって罪なんだね……
腹とか背中ざっくりされたぐらいじゃ
もしかしたら!?って感じで中々死なないけどさ
首が飛ぶか胴体真っ二つは死ぬって俺様きさ番で学んだよ
人間って儚いよね……
いやでもこの死に方酷くない?
チェーンソーで首と胴体三分割はちょっと殺意高すぎて中々ない
絶対美少年を殺してやるっていう気概を感じる
神様もドン引きだよ(ポテチ食べながら)
えっアレとか超絶イケメンじゃん
わ~また殺人が起きちゃうの~?
●第8話
マンション住人のひとり、黒根・大和は、3話で登場した池沢社長傘下の特殊清掃業者で働く爽やかな好青年である。
きさ番のオアシスとして女性人気が高い一方『ここまで何もないと逆に怪しい』『いやこれは怪しすぎて逆に全く裏がないパターン』と、深読み考察勢の中でも何かと話題のキャラだったのだが……。
『はァ……緑川のヤツとは長年ドンパチやってきたが、あんな紙切れ一枚に名前を書いただけで簡単にくたばっちまった。その程度のヤツだったのかよ。はは……呆気ねぇもんだ……』
「え、前回死んだ緑川ちゃんは実はヤクザの若頭で? 黒根ちゃんの正体は……彼を狙っていた凄腕暗殺者? あー清掃員ってそっちのほうね」
「せやねん。清掃員は表の顔なんよ。くぅ〜黒根くん△……すこすこのすこ」
どことなく寂しげな顔で『きさまの番です』と書かれた紙を破り捨てる画面の中の黒根。ワイちゃんに出されたポテチを一緒につまみながらそれを見ているのは、初見ながらここまで並走してきたロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)であった。
再びの神 降 臨。今度は種族的な意味で。
『さて……仕事だ』
その黒根がいよいよ動く第8話。正体がバレた彼の女性人気はむしろ上がった。
ここだけの話、ロキさんは破壊神である。
なのでロキに推されたキャラは大体死ぬ。死ぬのだが、今回ロキの推しである鳴木・章太郎(なるき・しょうたろう)くんは、奇跡的にここまで生き残っていた。
章太郎くんは、セレブがひしめくマンション最上階の一角に住む天才子役という設定だが、『神に愛された美少年』の異名に違わぬ美貌で老若男女を虜にしている。
演じる俳優は超人気アイドルグループ、Rey!Wa!JUMPの山(これ以上名前を言ったらいけない)くんだ。これはもう神に愛されても仕方ないよね。
「きさ番ってあと1話なんだよね。ねえねえもしかして章太郎ちゃん生存ワンチャンない?」
俺様の推しが生き残るかもしれない。手に汗握りながらここまでの展開を見守っていたロキだが、なぜかワイちゃんは無言である。バズッターのテェムレェンもシーンとしている。なぜ?
程なくして、ロキはその理由をこれでもかというほど思い知らされる。
「あっはい死んだー。俺様の推し死んだよ」
真夜中の駐車場でひとりドラマの稽古をしている章太郎くん。その背後から、チェーンソーを持った黒根が忍び寄ってきたのだ。これはもう完璧に死ぬやつ。死因もかなり不安なやつ。
ちょっと期待してしまったが、まあ慣れているといえば慣れているロキは、神妙な顔で推しの最期を見守ることにした。顔がいいのでそれだけでめっちゃいいねされた。
『悪いな鳴木……このチェーンソーはサイレンサー付きなんだ。ったく、面倒な殺し方指定しやがって……』
さすが暗殺者、黒根は一瞬で距離を詰めると――章太郎くんが悲鳴もあげられないうちに首と胴体に切れ目を入れ、死体を三分割にした!
「えっ!? まじで!?」
飛び散る血。転がるリアルすぎる生首。
いきなりのスプラッター展開にロキも絶句した。そう、この8話は残酷描写が過ぎて、きさ番全体のレーティングを下げてしまったある意味伝説の回なのである。
「えっこの死に方いくらなんでも酷くない? 美少年だよ、殺意高すぎない?」
「この回の脚本と演出、前園・紫苑(まえぞの・しおん)とニ池・貴史(にいけ・たかし)なんや……」
それはもう最悪のタッグですね。
隣のワイちゃんは号泣している。黒根も章太郎くんも推し。推しが推しを惨殺、つらい辛すぎる。
「俺様きさ番で学んだよ。腹とか背中ざっくりされたぐらいじゃ、もしかしたら!? って思っちゃうけどさ……首が飛ぶか胴体真っ二つは死ぬって」
刺されたうえ焼却炉で燃やされたのに生きてた人は確かにいた(3話参照)。
見事に章太郎くんを殺害した黒根はというと、暗殺者らしく手早く証拠を隠滅し、クールに去っていった。去り際、章太郎くんに手を合わせていたのが救いといえば救いだったか。
ファッションサイコパスは子供と小動物に甘いが、きさ番にそんな温もりはない。
「クズも美少年も命は平等なんだね。人間って儚い……」
コンプライアンスなんか知ったことかとばかりの突然の残虐シーンに、破壊神様もドン引きであった。まあ慣れてるので普通にポテチ食ってましたけどね、彼。ロキ様の顔ファン達はめっちゃいいねした。
ただでさえ虫の息なワイちゃんは、ロキ様に憐れまれてめっちゃダメージ受けた……。ぴえん。
最終話を前にまた衝撃の事件が起こってしまったが、次がいよいよラストだ。
「今週のは絶対美少年を殺してやるって気概を感じたよね……絶対妬みだよ。はぁ、美しすぎるって罪だよね……あ〜やっぱり最後はこの人の番なんだ。超絶イケメンじゃん浴衣田凶彦」
あるって言ってたもんね、そういうシーン。本当にあったんかい。
わ~また殺人が起きちゃうの~? いよいよ最終回、刮目して見よ!
大成功
🔵🔵🔵
儚くも散った美少年の首が転がる深夜の駐車場。
もの言わぬ遺体の傍を例の猫が横切る。
惨劇は、まだ終わらない――。
パウル・ブラフマン
バズちゃんもきさ番観てたんだ~!
最早セリフも丸暗記しちゃったよね♪(強火担)
どのパートでもどんとこ~い☆
あぁっと
諸々の事件を追っていた捜査一課の
柳生さん(イケオジ)と坂くん(ワンコ系新人)の名シーンだね✨✨
デスクで寝落ちしてる坂くんに
柳生さんがそっと上着を掛けてさ…見てこの視線の演技!
⚾⚽か⚽⚾かでメチャクチャ沸いたよね!!
てかこの直後に押収品が爆発ゥ!
ハイここで転換して場介一課長の自宅♪
震える指で携帯の通話を切る一課長…からの口元の笑みのアップ!
愛憎の縺れだったのかな~…
でも結局二人仲良く死んでるから永遠に一緒なんだよね。
次回!惨劇を引き起こす謎の着ぐるみ
版権の都合でモザイクかかっています☆
●第9話(最終回)
若手イケメン俳優の浴衣田・凶彦(ゆかただ・きょうひこ)は、浴衣田凶彦である。
ここには書けない感じの不祥事を起こし、好感度が爆下がりしてしまったため、ここ近年は仕事を選ばず変な役をたくさんやり、禊をしている。
マンション住人のひとりとして『きさ番』に本人役で出演したのも、その一環であった――(ワイちゃんはそんな彼を応援してるぞ)。
『よし! 鳴木が死んだ! 天才子役だが何だか知らないが、絶対俺の方が美少年だったぞ。最近ちょっと人気だからって調子に乗りやがって……これで俺にもまともな仕事が来る!』
「いや〜そうはならないよね〜。やっぱ浴衣田さんの自虐ネタ最の高✨ってかバズちゃんもきさ番観てたんだ~! 最早セリフも丸暗記しちゃったよね♪」
「浴衣田、マンションの非常階段に名前つけて可愛がってるし、完全にやべーやつやんな」
「一階がメアリーで二階がマリーだったっけ。ちゃんと韻踏んでるのがイケてるよね☆」
なんか強火担にしか伝わらない会話が盛り上がっていた。
語りながらお互いにいいねしまくっている。バズッターで稀によくある光景。
最終回のゲストは、流行に乗って『きさ番』をがっつり見ていたパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)だ。そんな彼とともに、最終回を見ていこう。
『柳生先輩、鳴木くんが殺されてから警察への抗議電話が鳴り止みません……!』
『……お前は働きすぎだ。少し休め、坂。しかし、なぜ次々に殺人事件が起きる。このマンションには絶対に何かある。だが、なぜ手がかりが掴めないんだ……』
画面に写っているのは、一連の殺人や不審死をここまでずっと追ってきた捜査一課の刑事、柳生・一郎(やぎゅう・いちろう)と坂・啓介(さか・けいすけ)の二人。
「ああっと、これは名シーンだね✨✨坂くん役も浴衣田さんだからシュールだけど、そこもイイよね〜🐙✨」
なんでも坂くんを演じる筈だった若手俳優が、放送直前でこれまた不祥事を起こしたため、急遽浴衣田が一人二役をすることになったとか。このドラマ自体も呪われてるのかな?
2話の石川とか、3話の池沢社長とか、つつけば一発アウトな感じのキャラは結構いるのだが、彼らバディはなぜか決定的証拠を掴むことができずにいた。本当になんで。
『休んでなんていられませんよ。オレ、柳生先輩に憧れてるんです。だから、先輩の役に立ちたいんです……!』
そんな中、新人の坂くんは連日の徹夜の疲れが出て、デスクで寝落ちしてしまう。
『坂……休めって言ったろ』
それを見つけた柳生刑事は部屋の照明を消し、彼にそっと上着をかけて立ち去ろうとする。普段は厳しい柳生。しかし、寝落ちした坂を見つめる柳生の優しいまなざしに、視聴者達はおおいに胸キュンした。
「見てこの視線の演技! ⚾⚽か⚽⚾かでメチャクチャ沸いたよね!!」
おっとパウルさんその手の界隈で用いられる伏せ絵文字を出してきたぞ。
これはやっちゃってますね。ガチですね。
「感動した! 🐙ちゃんはワイちゃんの真の仲間や……!
でもな、悲しいけどワイちゃん新し親分なのよね。ワイちゃんがうっかり左右をつぶやいたら荒れに荒れるンゴ。焼きマロ飛んでくるンゴ……」
「バズちゃん……大手って大変だね💦💦」
バズリの暗黒面。
ちなみに柳生のほうは、ティーンからも絶大な支持を誇るイケオジ俳優、東島・秀年(ひがしじま・ひでとし)が演じている。そりゃ人気出ますわ。
交換殺人の謎に迫っていく二人の軽妙なやりとりも、視聴者に好評だったのだが……。
『お、俺のターゲットはあの二人……だが今後の芸能人生のためだ、やるしかない! ポチッとな!』
署を外から見ていた浴衣田が謎の起爆スイッチを押した。
すると、坂くんのデスクに置いてあった押収品が、爆発した――!
「あああ」
「ああああああああ」
言葉にならない悲鳴をあげるパウルとワイちゃん。いやあ本当に突然の死でしたね……でも本家よりはだいぶ優しいと思います。本家ってどこ。
「いや〜、何度見てもスゴいよねこのシーン🌟本当に浴衣田凶彦役の浴衣田凶彦が浴衣田凶彦に殺され……あれ?」
グリモア猟兵の記憶は実はちょっと間違っていた。
正しくは、『浴衣田凶彦役の浴衣田凶彦が浴衣田凶彦を殺した』である。雑!
そして場面は一転して、捜査一課長小岩・准一(こいわ・じゅんいち)の自宅が映される。
『何、柳生と坂が殉職……!? ……わかった。これより総員を挙げて事件を捜査しろ。必ず、ホシを挙げる!』
震える指で携帯の通話を切る小岩。しかし、アップになったその口元には、意味深な笑みが……そう、実はこの小岩もマンションの住人のひとり。交換殺人ゲームの参加者だったのだ。だから、証拠はすべて小岩に握り潰されていたのだ――!
「オレはこれ、単に目ざわりな若手を始末させただけじゃなくて、愛憎の縺れもあったと思うんだよね~……でも結局二人仲良く死んでるから永遠に一緒なんだよね〜」
「う〜んその解釈もありよりのあり。ありおりはべり……」
ワイちゃんとパウルさんはこじらせた事をつぶやいていた。
勿論、そっち界隈の方々からめっちゃいいねされた。
ここまでが9話の内容である。
……全然最終回になってなくない?
このあと捜査一課長どうなるの?
あの意味深などら猫なんだったの? 黒幕は?
その答えは、今や全動画サイトから削除された幻の10話予告にあった。
「あ、オレもリアタイで見てたやつ! 捜査一課長はこの謎の着ぐるみを着て犯行に及ぶんだよね。版権の都合でモザイクかかってるけど☆」
すまんのう……。
虞知らずのト○ー○ォーカーはんも、蜩監督も、96億円の損害賠償だけは怖いねん。
なんちゃらマウスじゃないんや。『そっち』なんやこれ。
虞知らずが過ぎたきさ番スタッフは、触れてはいけないものに触れ、あそこの法務部を怒らせてしまったのだ――。
「お、終わった……。そんなワケで、ワイちゃんは96億寄付してきさ番の続編を作るためにトレンディ形態を習得したんよ……」
非公式設定(虞知らず)。
「はー、猟兵の皆に感謝っ……! 圧倒的感謝っ……! 楽しい時間やったで。ワイちゃんの事は嫌いでも、きさ番の事は嫌いにならないでくださいっ!」
パウルさんの超絶技巧きさ番ダイジェストRAPでめっちゃ色々ダメージを受けたワイちゃんは、そう言い残し。
最後までしっかりバズりながら、満足そうに消えていったのだった。
ご視聴ありがとうございました。それでは、劇場版でお会いいたしましょう!
大成功
🔵🔵🔵