大祓百鬼夜行③~木元竹末
●竹林
そこは、竹林だった。
確かに『百霊鎮守塔』へと足を踏み入れたはずなのに。
視界に入るのは、竹、竹、竹、竹、竹、竹、竹、竹、竹。
違いと言えば、光っているか光っていないか程度のものだ。
上へ上へと階段の続く塔。
その中は、沢山の竹で埋め尽くされていた。
●尾鰭のいざない
「伐採してきて欲しいのだけれど」
何をと首を傾げる猟兵たちへ、雅楽代・真珠(水中花・f12752)は小さく口を開いて告げる。竹を、と。
「向かってもらいたい場所は『百霊鎮守塔』だよ」
カクリヨファンタズムの最深層に通じる道を示す、という場所だ。
「この塔の最上階にある『百霊灯籠』はカクリヨ最深部への道を照らすと同時に、最深部に眠る『竜神親分』の力を抑えると言う謂れがあるようだよ」
既に竜神親分との戦いは始まっている。『昨日より今日、今日より明日!』と強くなっていく彼の戦力を削ぐためにも百霊鎮守塔は正常に戻しておく必要がある。
「この塔は長い間放置されたせいで、妖怪竹の竹藪となってしまっている。……竹ってすごいのだよね。石でもこんくりぃとでも貫いて生えてくる」
サムライエンパイアでも普通の竹が家屋を貫いて生えてくるなどよく聞く話である。
塔の中にぎっしりと生えている竹のせいで、塔の中は夜のように暗い。そして足元は階段だ。しかも、ちゃんと階段を昇っていかねば、気付けば一階に戻っている……という不可思議な現象も起きる。
「少し足元が見えづらいし進みにくいとは思うけれど、階段を駆け上がり、最上階を目指して欲しい。妖怪竹に骸魂が入り込んでいるから、きっとお前たちの妨害をしてくることだろう」
そこで、最初の言葉だ。伐採をしてきて、と真珠は再度口にした。
「灯籠は綺麗に磨けば通常の機能を取り戻してくれるよ」
説明はこれで足りるだろうと判断した真珠は、掌の上に蓮と金魚とを浮かび上がらせる。今は戦時中故、急ぎ送った方が良いだろうと判じて。
「ああ、そうだ。――けれど気をつけて。妖怪竹の葉は、触れれば怪我をするからね」
それじゃあ、いってらっしゃい。
掌の上で、金魚がくうるりと游いだ。
壱花
伐採! 伐採! 大伐採!
筍はあまり……ですが、穂先メンマは好きな壱花です。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。1フラグメントで終了します。
●受付期間
公開時から受け付けております。
クリアに達しそうだと判断した際、タグにて「受付○時まで」と出ます。締切一時間前告知です。
採用は先着順ではなく、書きやすいプレイングを採用して早期完結を目指します。
少人数採用になるので、プレイングに問題がなくとも不採用となることもあります。その際は同じ戦場で次に出すシナリオにて少し優先しようかと思っています。
●シナリオについて
グループでのご参加は【2名まで】。
●妖怪竹
葉が鋭く、はらりと落ちてきた葉に触れるだけで結構深く切られます。これは竹の性質であり、骸魂とは関係ありません。
骸魂が入っている竹はわざと揺らして周りの竹の葉を落としてきたりします。また、伐採すると竹が倒れるので、周りを巻き込んでの葉の嵐は相当なものとなるかと思います。
骸魂が入っている竹の識別は出来ません。光っているかどうかは関係ないです。
●プレイングボーナス
『塔の中のトラップを解除する』ことです。
今回は竹の処理に当たります。
●迷子防止とお一人様希望の方
同行者が居る場合は冒頭に、魔法の言葉【団体名】or【名前(ID)】の記載をお願いします。
お一人での描写を希望される場合は【同行NG】等の記載をお願いします。
また、文字数軽減用のマークをMSページに用意してありますので、そちらを参照ください。
それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『暗い竹林』
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POW : 肉体の性能任せに突っ切る
SPD : 見切って速さを生かし突っ切る
WIZ : 魔法などで身を守りながら進む
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ジウ・ココドコ
♢♡
なるほど、竹かぁ
スパスパ切られちゃうのは困るから、特に竹を切った後は注意しないとだね
でもここまで竹があるって、ちょっと壮観だなぁ
……妖怪竹でも筍、生えるんだろうか
これだけ生えればなかなか良い儲けが……って、いけないいけない、今はお仕事!
まずは【シェイプ・オブ・ウォーター】でソーダ水の雨を降らせるよ
周りを深海と同じ雰囲気にしちゃえば、竹の葉が飛んでくるのも少しは軽減できるかも
僕はセイレーンだから海の中は得意だし、深海適応は問題ないよからね
準備を整えたら『バトルアンカー』を振り回して竹を伐採し、階段を確認しながら登ります
少し離れた位置の竹を狙おうかな
灯篭を見つけたら僕の服とか使って磨いてみるよ
●
「なるほど、竹かぁ」
踏み入れた塔の中は、ところぜましと竹が生えていた。風もないのにざわざわと葉の鳴る音が聞こえるのは、骸魂が宿った妖怪竹のせいだろう。
「……妖怪竹でも筍、生えるんだろうか。これだけ生えればなかなか良い儲けが……」
竹を見上げてまず思うのは、この竹がお金になるか、否か。
ジウ・ココドコ(ココドコ堂店主・f26704)は商人だ。グリードオーシャンを拠点に各地を旅して回りながら商売をする、旅商人。気まぐれに露店であったり、暫く店舗を借りたりと、気ままに店を開いて客を呼ぶ『ココドコ堂』を営んでいる。
商人はどこまでいっても商人だ。全てのものを売れるかどうかで見てしまう。
ひらりと落ちてきた葉に気付き、慌てて避ける。階段へと落ちたそれを拾い上げて辺りの竹へと滑らせれば、中々の切れ味だった。
(……小さな葉でこれなら、筍の皮は……)
これは商売に向かなそうだ。
途端に竹への興味を失ったジウは、ソーダ水の雨を降らせる。ジウのいるフロアは深海と同じ環境となった。
「これで竹の葉は大丈夫かな」
深海の環境ならば、葉が飛んでくることはないし、セイレーンのジウの行動に不都合も生じない。
「あとは上るのに邪魔な竹を伐採して……っと」
巨大な錨の鎖を手に、振り回して竹を伐採すれば――。
「おっと」
ぷかりと浮きかけた足を、慌てて階段へと戻す。
深海である以上、泳ぐことも可能だし、身体も浮きやすい。
けれど浮いてしまっては、きっと最初からやり直しだ。
「気をつけて進もう」
成功
🔵🔵🔴
御園・桜花
「私と貴方達の望みがぶつかり合っただけなのです…ごめんなさい」
暗視使用
階段を駆け上がりつつUC「シルフの召喚」
通行にどうしても邪魔な竹は切り落とし階段脇に寄せさせる
暗視である程度見えるので、飛んで来る葉は第六感や見切りで躱す
回避できない葉は盾受け
階段近くでなくても、骸魂が入っていると判断した竹はUCで切り倒す
「私も樹木精ですので…罪悪感はあります。けれど、道路を壊し家を突き破るような樹木と、人が共存出来ない事は知っておりますから」
視線を逸らす
屋上に着いたら布で丁寧に灯籠磨き
帰りも通行の妨げになりそうな竹は伐採しながら降りる
「普通の妖怪が来易い場所になれば、今後こんなに繁茂しないでしょう?」
クロス・フレイミー
竹の伐採ですね。了解しました。
相手の戦力を削ぐためにも一刻も早く正常に戻さないといけませんね。
とはいえこの竹は厄介ですね。うかつに刀で切り倒して皆様に迷惑をかけるわけにもいきませんし。
…雷を使って焼いてしまえば何とかなりますかね?
その辺の石ころを【指定UC】で電気エネルギーに変換、【属性攻撃】で竹に雷をピンポイントで当てて、焼いて処理します。
【激痛耐性】はありますが、落ちてくる葉の対策として【結界術】を応用した雷魔法の障壁を自身に張っておきましょうか。
灯篭は…布…【空色のマフラー】、使っちゃいますか…。
【浄化】の力を纏わせて磨きましょう。
これで何とかなるといいのですが…。
●
風が、鳴いた。空気を震わせて。
次いで響くのは、バキバキと折れる音。
「ありがとうございます、シルフィード」
そして、ごめんなさい。
眉を少し下げ、切り倒したばかりの竹へと視線を向ける。御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は樹木精として、同種ではないものの罪悪感を抱いてしまう。それははどうしようもないことだ。
「私と貴方達の望みがぶつかり合っただけなのです……ごめんなさい」
第六感が『妖しい』と告げる竹がいくつかある。その直感はきっとあたっている。出来るだけ遠くから切り倒し、他の竹の葉の被害が此方には来ないようにする。
暗闇にも強い方だし足取りは揺るがず、階段を上るのに邪魔な竹を伐っては上り、また伐って――けれどやはり、気持ちの良いものではない。
(道路を壊し家を突き破るような樹木と、人が共存出来ない事は知っております)
桜は、人々に愛される木。そして彼等は――。
視線を逸し、ため息をつく。
全ての木々が愛され、共存できればいいのに。
「――危ない!」
パチリ。
何かが爆ぜる音とともに、じゅう。桜花の背後に迫っていた葉が焼け落ちた。
「すみません。ありがとうございます」
「いや、俺の方こそ……ありがとうございます。結構片付けて上ってきてくれたでしょう? 進みやすかったです」
振り返った桜花へ、水色のマフラーを首に巻いた黒髪の青年――クロス・フレイミー(狭間の剣士・f31508)がぺこりと頭を下げた。
桜花は伐った竹をわざわざ階段脇に寄せている。そのため進むのが遅くはなるが、後からやってくる猟兵たちにはとても助かっていた。勿論、全ての骸魂に気付くことは出来ないし、取りこぼしもある。けれどあとに続く者の危険度はぐっと下がる。
「ご一緒しても?」
「ええ、喜んで」
柔く微笑み合うのも束の間、骸魂が宿った竹が他の竹の葉を切り落としたのだろう。大量の竹の葉がふたりに降り注ぐ。視界の悪さよりも、物理的に動きが制限されている環境。そして、見切って避けられる量ではない。
「任せてください」
クロスが手を上げて雷の障壁を貼り、触れた葉を焼いていく。
降る葉の中、桜花は神経を尖らせ、骸魂を探す――と、葉を飛ばす竹が見えた。
「あの奥を!」
「あれですね!」
奥の、隣り合うふたつの妖怪竹。
風と雷が、妖怪竹を襲った。
そうして力を合わせて階段を上りきり屋上へと上がれば、そこにあるのは汚れた灯籠。
「これでしょうか」
「そのようですね」
布を取り出す桜花に、首からマフラーを外すクロス。
「……マフラーで磨かれるのですか?」
大事なものでは、と桜花の視線が告げている。
「これくらいしか使えそうな布がなくて……」
「でしたら、これをお使いください」
予備の付近くらい持っております。だって、パーラーメイドですもの。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
クロト・ラトキエ
♢
竹の葉って厄介ですよねぇ。
切れやすいし、ザラっとしてるから治り難い。
浅くてもヒリヒリしますし…
というわけで。
地下茎まで片付けるのは正直、難儀が過ぎますので…
灯籠の光が通る様、斬り倒せば良いですかね?
暗視はそれなりに。
UCの風の魔力を防御力に全振り。
妨害は他へワイヤーを掛け踏み越え、
向けられる葉、倒れ舞い散る葉は風で当たる前に散らして。
階段を駆け上りつつ…
倒す方向はなるべく揃えた方が良いですよね?
生え方を見切り、真っ直ぐなら切り口を斜に、曲がっているなら重心側に倒れる様に、
鋼糸を絡げ巻き、引き斬ってゆこうかと。
竹の後片付けは、全て終わってからが良さそ…
あれ?まさか灯籠磨きまで仕事でしたり…??
ヴァロ・タハティ
♢♡
※セリフは喋らせないでください※
黒猫又のローブ纏って
にゃーごのポーズで、気合い充分!
わ~! おおきいなあ
ボクも大人になったら
これぐらいすくすく伸びるよねえ
(ほわほわ……)
……ハッ!
ばっさい! ボク忘れてないよ!
皆が階段をのぼれるように
ボク、いっぱいばっさいするね!
葉っぱにあたると、いたいんだよね!
降ってきたらこまめに、星の光の「オーラ防御」!
地縛鎖で「地形の利用」してみたり
葉っぱがたくさん落ちてるところをさがすけれど
首を右にこてん、左にこてん
わかんないかも?
じゃーん!
「全力魔法」なUCでばばーん!とばっさい するよ!
倒れてくる竹に気をつけ
きゃー!
『百霊灯籠』までいけたら
ピカピカにするね!
●
いっくぞー!
にゃーごのポーズで気合を込めた黒猫又――のローブを纏ったヴァロ・タハティ(キセキ・f05764)は気合い充分! やる気も充分! 黒猫又のローブが気に入っているから、いっくぞーと元気に塔へと踏み込んだ。
(わ~! おおきいなあ)
足元から、竹の肌を視線が伝って、伝って伝って伝って――ころん。
ヴァロの背丈の何倍もある竹を見上げすぎて転がったヴァロは、うんしょと立ち上がる。大人になったらあれくらいになれるのだろうか。それとももっと大きく? 未来はまだまだ未知のヴェールに包まれていて、想像するだけでワクワクする。
(大きくてかっこいい、ステキな大人になるんだ)
かっこよく成長したヴァロが「やあ」とポーズを決めている姿を想像して――ハッ! いけないいけない、お仕事お仕事!
下の方の階は、既にかなりの竹が倒されていて階段を上りやすかった。上っていく内に、時折が分かれてルートが分岐されていき……ついには伐採された跡のない場所へとたどり着いた。
(えーっと、どこかに悪いのいるのかな)
はらはらと舞う葉が見えるが、自然に落ちてきているのか、悪い竹が何かしているのかはわからない。右に首を、こてん。うーん?
(あ! そうだ! クサリを使おう!)
地面挿して、それからえーっと、魔力をたどって……。
うーんうーん。わかんないかも?
嘴の下に手を持ってきて、左に首をこてん。
大地じゃないから仕方ない。
(それじゃあ、全部ばっさいだ! じゃーん!)
解らないなら全部えいってしちゃえばいいんだもんね。
むむむと集中をしてえーいっと魔法を唱えれば、炎の矢がいくつも現れた。
竹の葉は厄介だ。切れやすいし、ザラッとしていて治り難い。はらりと落ちてきた葉にいつ切られたのかも解らず、気付いてからヒリヒリ痛くなることもしばしばある。
その上、妖怪竹であるから、切れ味は更に良いのだろう。
(――新暗器。なんて)
使えたら面白いけれど、投げてもふわりひらりと落ちるだけだからきっと使えないだろう。
浮かんだ考えに小さく笑みを漏らすクロト・ラトキエ(TTX・f00472)は、風の魔力を防御に全振りして竹の中を行く。難なく駆けれた下の階と違い、時折現れる分かれ道のせいか、駆けることができなくなっていた。
仕方がないので、伐採、伐採。また伐採。
倒す方向は、なるべく揃えておく。灯籠に灯りが戻り塔が正常に使えるようになっても竹が消えてくれるわけではないから、きっと後片付けが必要だ。
生え方を見切り、真っ直ぐなら切り口を斜に、曲がっているなら重心側に倒れる様に、鋼糸を絡げ巻き――なるべく離れた竹を伐る。近くのを倒すと地面の葉が舞うだろうし、倒した竹や周囲の竹の葉も巻き込まれる。風で散らすにしても、それだけ一斉に気配が動いては隙きが生じてしまう可能性もあるものだから。
(少し移動しやすくなりましたかね?)
伐り倒していけば、足元の階段が見えてくる。そうすれば後は骸魂の入った竹の攻撃に気をつけて――、
(おや?)
爆ぜる、炎が見えた。誰か人がいるのだろう――そう思った時には、ワイヤーを駆使して駆けていた。あれは、危険だ。そう、思ったから。
(きゃーーーー!)
竹が倒れる方向とか、その後どうなるかとか、全く考えていなかった!
ぴゃーっと慌てて逃げようとするヴァロの背に、燃える竹が迫る。
しかし。
(あれ? ボク、とんでる……!?)
シュッと視界が横に移動したと思ったら、シュッシュッと更に移動して。
ストンと足が地面に降ろされてから、ヴァロの身体を抱えた男が視線を合わせるべく屈んで覗き込んでくる。
「お怪我は?」
どこにもないことを身振り手振りで、だいじょーぶ!
すごーい! おにいさん、ありがとー! もっととびたーい!
●
屋上へとたどり着けば、既に灯籠磨きを始めている猟兵が幾人か。
先にたどり着いていた猟兵と軽く挨拶を交わして、ふたりも灯籠磨きに加わった。
大きな灯籠だって磨かれていけば、曇りは次第に取れていく。
(わあ~!)
ピカピカ輝き出した灯籠にヴァロは万歳と腕を上げて喜び、その姿に小さく笑ったクロトは灯籠の灯りが示す道の先を眺めてから、視線を来た階段へと戻す。竹の後片付けをして帰りましょうか、と。
竹は加工しやすく、耐久性にも優れてる。乾燥させれば燃料にもなり、よく燃えるいい資材だ。色々と使えそうだと溢れた呟きに、ジウの瞳がキラリと光っていた。
大成功
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