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大祓百鬼夜行③〜狐狸襲来 百霊鎮守塔外周戦

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行 #プレイングの受付は終了しました

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 寂然と広がる竹林を抜けた先に、そのどこか郷愁を誘う和風の塔はそびえ立っていた。これこそが呪われし「百霊鎮守塔」である。塔の最上階には「百霊灯籠」と呼ばれる灯籠があり、その燈火こそがカクリヨファンタズム最深層への道標となる。また、その燈火は最深層で眠る「竜神親分」の力を抑え込むと言う。
 そして今、竹林を騒々しく進む妖狐や化け狸の姿があった。彼の者たちは骸魂に呑まれ、オブリビオンへと化した者。目指すは塔の破壊。塔と共に「百霊灯籠」を破壊し、猟兵たちが「竜神親分」の元へ辿り着くことを阻もうという魂胆なのだ。

「わらわが観測した状況は以上じゃ。今から向かえば、彼奴らが塔に取り付く前に、皆を塔の近くへと転送することができる」
 桐葉が予知の概要を猟兵たちに伝えると、すかさず桐葉の腰に下がる妖刀が声を発し付け加える。
「あー、最新情報によるとだな、竜神親分の元に至る道については、余り気にしなくてもいいかもしれないぜ。既に竜神親分と交戦している奴らもいるようだしな。てなわけで、注目すべきは『百霊灯籠』の『竜神親分の力を抑え込む』効果の方だな」
 妖刀の説明を引き継ぎ、桐葉が続ける。
「うむ。さすれば、彼の地での戦いを有利に進められよう。ゆえに鎮守塔を守らねばならぬことに変わりはない。そして、此の地にも我ら猟兵を有利にする物がある。鎮守塔に設置された『霊的防衛装置』じゃ」
 霊的防衛装置……猟兵たちの幾人かがその言葉を反復する。
「そうじゃ。塔を守ろうとする者に強力な『破魔結界』を展開する力を与えてくれるのじゃ。任意に発動でき、敵の術から皆を守ってくれるじゃろう」
 それがあれば敵の術やユーベルコードに対し無敵なのでは?! 場が騒めき、何人かの猟兵は楽観し、何人かは疑問を呈する。桐葉は手を挙げ、鎮まるように促す。
「ただし、効果はさほど続かぬようじゃ。それに再度の発動には霊力の充填が必要じゃ。これにかなりの時間を要する。一度の交戦の間に使えるのは、各々一度きりと心得よ。ここぞという時に使うようにの。……それでは――」
 グリモアを操り、百霊鎮守塔付近への転移門を展開しようとする桐葉を妖刀が鍔を鳴らし制する。
「……で、桐ちゃんよぅ、敵さんの詳細は説明無しかよ?」
「え? ああ……、うっかりしておった。……敵は、妖狐や化け狸が、化け狸や妖狐の骸魂に呑まれ、オブリビオンと変化した存在じゃ。妖術を自在に操り、特に変化の術を得意とする。……手強いユーベルコードを放ってくるじゃろうな」
 淡々と語り、集まっている猟兵たちに背を向ける。
「彼奴らのユーベルコードは己を変化させるとともに、相手の精神に働きかけてくるものが多い。術中に嵌れば、抗いがたい状況に陥る者もおるやもしれぬ……だが!」
 装束の袖を翻し振り返る桐葉。グリモアを掲げると転移術を起動し、転送門が展開される。
「わらわは猟兵の、皆の力を信じておる! 惑わされることなく彼奴らを討ち、鎮守塔を守るのじゃ! そして骸魂に囚われた妖狐、化け狸たちを、必ず解放するのじゃ!」
「桐ちゃん、また説明もれだぜ。仕方ねぇなぁ、俺が説明してやるよ」
「ぬぅ……すべて伝えたはずじゃが……?」
 不機嫌な様子で、腰でべらべらしゃべる妖刀を見下ろす。
「……こいつは極秘情報だが、奴ら何故か揃いもそろって『ぺったんこ』らしくてなぁ。そいつがコンプレックスらしいぜ。けどよ、当の本人たちはセクシーとのたまうらしい。なんだか切ねぇなぁ……」
 ビシッと決めたつもりの桐葉だったが、妖刀が余計な口をはさみ、場が微妙な空気に包まれる。
「……と、とにかく皆、準備ができ次第、速やかに現場に向かってほしいのじゃ。よろしく頼むぞ!」
 猟兵たちは、それぞれの想いを胸に、戦場への門をくぐるのだった。


たまゆら
 オープニングをお読みいただき、ありがとうございます。
 「大祓百鬼夜行」にまつわる、1章完結の戦争シナリオとなります。

●目標
 敵を迎撃し、「百霊鎮守塔」及び「百霊灯籠」を守り抜く。
 敵を撃破し、骸魂に呑まれオブリビオン化した妖怪を救出する。
(文言を割かずとも目標が達成された時点で自動的に対処されます)

●プレイングボーナス
「霊的防衛装置」を駆使して塔を守る。
 上記条件を満たすことにより有利になり、プレイングボーナスが与えられます。
 当シナリオでの「霊的防衛装置」の効果は『破魔結界』です。ご使用を忘れずに!
(『破魔結界』は、猟兵を中心に半径2メートル程、球状に広がり、敵の術から守ってくれます。また、敵が結界内に侵入した場合、敵が自分自身に施した術を打ち消してくれます。打ち消されるのは敵の術だけです。持続時間は3分程。術を打ち消すたびに、持続時間は大きく削られます。)

●概況や補足など
 敵は、塔の周辺に展開します。塔の外側からの破壊が困難であると判断すると、塔の入り口を目指します。
 敵のユーベルコードによっては飛翔能力を得るものがありますが、塔の最上階までは届かないため、直接「百霊灯籠」の破壊に向かうことはありません。また、外壁の登攀という行為も、登攀やそれに準ずる技能を持たないため行いません。

●プレイングについて
 お寄せいただいたプレイングの数によっては、すべての採用ができないと思います。ご承知おきくださいませ。
 共同プレイングを行われる場合は、お互いに誰と行動するか分かるように、共通のグループ名や、お相手の方のお名前とキャラクターIDなどを記述をして頂けると助かります。
 お色気な展開は、おそらく得意ではありません。ご期待なさいませんように。
 過激なプレイング、手に余ると判断したプレイングに関しては不採用とさせていただきます。ご了承ください。
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第1章 集団戦 『妖タヌギツネ』

POW   :    狐狸妖術・妖姿媚態の術
戦闘力が増加する【わがままボディの雪女】、飛翔力が増加する【むちむちばいんばいんの仙女】、驚かせ力が増加する【ぼんきゅっぼんの淫魔】のいずれかに変身する。
SPD   :    狐妖術・酒池肉林の術
【美少女妖怪たちによる百鬼夜行】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【中毒性のある、好みの美少女に接待される幻】を放ち続ける。
WIZ   :    狸妖術・乱痴気騒の術
【対象の性癖に合致した好みの女性への変身】を披露した指定の全対象に【この女性のためなら何でもするという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

イラスト:伊瀬井セイ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

日紫樹・蒼
性格:弱気
性質:ヘタレ
※どんな酷い目に遭っても構いません

塔の防衛か
破魔結界があれば、僕だって
って、今回も、なんだか戦い難そうな相手だなぁ

蒼は自分と同年齢の平凡かつ清楚な女の子が好きなので、相手もそれに変身してくるはず
結界が有効な間は誘惑も無効なので、その間に悪魔を召喚して戦ってもらうことにしますが、どうやら悪魔のお姉様はご立腹の様子
『あら? もしかして、あんな小娘があなたの好みなの?

怒りに任せて暴風や船団の砲撃による無差別攻撃
当然、蒼も巻き込まれます
「ちょ、ちょっと! なんで僕まで!?
『この私を差し置いて、あんな小娘に現を抜かす悪い子にはお仕置きよ!

召喚の代償として徹底的に虐められるのはお約束



 斯くして、少年はカクリヨファンタズムの地に降り立った。見るからに気弱そうで、少女と見紛う風貌の持ち主。彼の名は、日紫樹・蒼(呪われた受難体質・f22709)と言う。
 蒼は、おどおどと落ち着かない様子で周囲を窺った。風に乗って、オブリビオンたちの騒々しい声が聞こえて来るが、まだ姿は見えない。遭遇までにまだ少し時間があるようだ。
「塔の防衛か……」
 蒼は塔を見上げた。オブリビオン達は、この塔の最上階にある「百霊灯籠」もろとも、塔を破壊することを目標にしているらしい。特に「百霊灯籠」は、別の戦場に影響を与えるため死守せねばならない。蒼は、責任の重さを感じ不安になる。だが、この塔に備わった霊的防衛装置は、守り手に「破魔結界」を展開する力を与えてくれるという。
「破魔結界があれば、僕だって……」
 効果は限定的だが、一時的に術の類に対し無敵になれるといってもいい。(上手く活用すれば、冒険小説の主人公のように格好よく活躍できるかも……)ふと、そんなことに思いを馳せかけた時だった。姦しい声がはっきりと耳に届くようになり、蒼は慌てて意識を現実に引き戻した。竹林から次々と姿を現したのは、妖狐や化け狸の少女の姿をしたオブリビオン「妖タヌギツネ」たちだ。
「現れましたね!……って、今回も、なんだか戦い難そうな相手だなぁ」
 思わず逃げ腰になってしまう蒼だったが、たちまちの内に妖タヌギツネたちに取り囲まれてしまう。
「あ~! 可愛らしい女の子がいるよ! 迷子かな?」
「ちっちっちっ! わたしの目は誤魔化せないわよ。この子、女の子みたいに可愛いけれど、男の子だわ」
「そうなんだぁ~。で、わたしのこと、待っててくれたのかなぁ」
「え……あ、あの……僕は……りょ……」
 口々に騒ぎ立てる妖タヌギツネたちに圧倒されて、呆然と立ち尽くしていた蒼だったが、そのうちの一体、平凡で清楚な雰囲気を纏い、蒼と同い年に見える妖タヌギツネが擦り寄ってきた。
「ねぇ、あなたはこんな所で何をしてるの?」
「わっ、わぁぁ!?」
 思いっきり好みな少女に、突然擦り寄られ驚いて飛びずさる蒼。そして、ぺこぺこと頭を下げる。
「あっ……ご、ごめんなさい、急だったから驚いて……」
「そう? 驚かせてごめんなさい。ところで、あなたにお願いがあるの」
「お願い? 僕にできることなら何でもするよ」
 瞳を潤ませ懇願する好みの少女に、二つ返事で答える蒼。
「それじゃあ、お願い。あの塔を壊して」
 儚げに微笑む少女の瞳から目が逸らせない。
「うん……任せて……塔を……」(何かおかしい……)頭の片隅で、わずかに残った冷静な部分が警鐘を鳴らす。(塔を、守らないと……)
「――っ! 破魔結界、発動っ!」
 瞬間、強力な結界が蒼の周囲に展開される。先程まで感じていた目の前の妖タヌギツネへの恋慕の念も掻き消える。しかし、容姿はそのままだ。
(うぅ、本当に戦い難いなぁ……)しかし、結界の効果は長くはない。急ぎユーベルコードを発動させる。
「来たれ、水域を支配せし、大いなる公爵よ。水影の盟約の下、我に力を貸し与えよ!」
 詠唱と共に腕輪から膨大な魔力が溢れ出し、空中に大きな水球を形作る。
『ったく、呼ぶのが遅いのよ!』
 あきれたような声と共に、水球が弾け飛び、その中から女性悪魔ウェパルが姿を現す。同時に大嵐が吹き荒れ、妖タヌギツネたちは、あっけなく薙ぎ倒されてゆく。
「ご、ごめんなさい、敵の術の発動に気が付かなくって……」
『あら? それって……。ふ~ん、なるほどねぇ。もしかして、あんな小娘があなたの好みってことなの?』
 蒼を問い詰めながら、ウェパルが妖タヌギツネを指さすと、大嵐の中から現れた武装船団が容赦なく砲撃を開始する。蒼を誑かそうとした妖タヌギツネを始め、何とか地面にしがみつき大嵐を凌いだ者を吹き飛ばす。ついでに蒼も巻き込み吹き飛ばす。爆風で吹き飛び、大嵐にもまれ、地に叩きつけられる直前でまた吹き飛ばされ……。
「ちょ、ちょっと! なんで僕まで!?」
 多少の加減はしているのだろうが、痛いことに変わりは無い。悲鳴を上げる蒼に、ウォパルは無慈悲に告げる。
『この私を差し置いて、あんな小娘に現を抜かす悪い子にはお仕置きよ!』
 蒼は後年、手記において、こう述べている。――ウォパルの怒りの無差別攻撃は敵を一方的に殲滅するほど苛烈だったが、塔に被害がなかったことは不幸中の幸いだった――と。

成功 🔵​🔵​🔴​

夜刀神・鏡介
この塔も結構綺麗になったようだが、完全に片付けるには後少しってところか
防御結界は便利そうだが俺は前に出て戦うしかないし、いつでも逃げ込めるようにだと立ち回りが限られる
基本は前に出て、例えば敵の数が多くなって面倒な時には一度退いて活用するくらいで

鉄刀を抜いて、敵がどの形態に変身しても対応できるように捌の型【水鏡】の構え
敵の攻撃を受け流してからのカウンターや、後の先を取る事で攻撃される前に切り払うなど、常に落ち着いて攻撃に対応しよう

……いや、頑張って変身したんだなっていうのは分かるが、流石に見た目で惑わされたりしないぞ。剣を振るうには心を落ち着けるのが肝心だからな。今まで、そういう修行も積んできた


フィロメーラ・アステール
「ありのままの姿でいいんじゃない?」
無理に着飾っても長続きしないさ!
素直が一番だ!

よし、何でもして助けてあげるぞ!
いやあ、助ける以外は相手のためにならないからね!
術中なんだか素なんだか自分でもよくわからん。

ここは【おわりを印す天の客星】でいくぜ!
これは強化を解除する技!
変身も解除できると思う!

ここに【オーラ防御】バリアを併せて……【演技】? いや【パフォーマンス】と言うべきかな?
結界を発動させたフリをするぞ!

敵は「もう結界は使えない」と思うかな?
でも実際は使ってない、ヤバくなるまで温存!
切り札を使わない事で利用する!

「結界の仕様おかしくない?」
と戸惑っている隙に光【属性攻撃】の光線でビシバシ!



 塔の前に陣取り、オブリビオンの襲撃を待ち構えるのは二人の猟兵。軍服の上に漆黒のコートを羽織った偉丈夫と、輝きを纏った小柄なフェアリーの少女だ。
「この塔も結構奇麗になったようだが、完全に片付けるには後少しってところか」
 偉丈夫――夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は塔を振り仰ぎ呟く。塔は最上階の「百霊灯籠」を磨き上げることにより、力を取り戻す……という話を耳にしたからだ。片付けるべきは塔を狙うオブリビオンたち。鏡介は視線を前に戻すと、目を閉じ耳を研ぎ澄ませる。その頭上に、フェアリーの少女――フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)が、ゆったりと浮かんでいる。
「ここを襲おうとしてるオブリビオン……妖タヌギツネだっけ? 自分の姿にコンプレックスを持ってるんだってね!」
「そうらしいな。……だから変化の術に拘っているのか?」
「そうなのかも……おっと! 妖タヌギツネたちがやってきたよ!」
 鏡介との会話を中断し、フィロメーラが塔に向かって進軍する妖タヌギツネたちを指さす。鏡介も目を開き見据える。
「ああ、気配は捉えた。俺たち二人で十分相手にできる数だな」
「でも、相手のユーベルコードは面倒そうだ。結界、忘れないでくれよな!」
「ああ。……しかし、結界は便利そうだが、俺は前に出て戦うしかないしな……」
 鏡介の独白にフィロメーラが、きょとんとした表情になる。
「結界は塔の守り手……つまり、あたしたちを中心に広がるみたいだぜ! だから塔から離れても平気だ!」
「む? そうだったのか。すまない、助かった」
 基本的に前に出て戦い、相手取る敵の数が増えた際に塔近くに引き、結界の恩恵に預かる算段でいた鏡介は、作戦を練り直す。
「引かずに戦えるなら、それに越したことはない」
 腰の鉄刀を抜き構える鏡介。フィロメーラも気合を入れ、迫りくる妖タヌギツネを待ち構える。妖タヌギツネたちもまた、二人の姿を捉えていた。
「あの二人、猟兵だね」
「うん、そうだねぇ。塔を攻撃中に絡まれたら面倒だねぇ。先に排除しようよ」
 鏡介とフィロメーラを厄介な存在と認識した妖タヌギツネたちは、向かう先を、塔から鏡介とフィロメーラへ切り替え殺到した。

●剣閃、骸魂を断つ
「こんこんこーん!」
「ぽんぽこぽーん!」
 ちょっと間抜けな掛け声とともに、妖タヌギツネたちはユーベルコードを発動させた。
 鏡介の前に立ちはだかる妖タヌギツネたちが用いたのは、【妖姿媚態の術】だ。たちまち、わがままボディの雪女、むちむちばいんばいんの仙女、ぼんきゅっぼんの淫魔たちに取り囲まれる。だが、鏡介は意に介さない。剣を振るう者として修業を積み重ねてきた彼には、ましてや、まやかしの色気など無意味だ。
(……いや、頑張って変身したんだなっていうのは分かるが、流石に見た目で惑わされたりしないぞ)胸中でため息をつきつつ、素早く構えを変え、ユーベルコードを発動する。
「我が太刀は鏡の如く――捌の型【水鏡】」
 同時に、急降下体当たり攻撃を仕掛けてきた、むちむちばいんばいんの仙女の攻撃を淀みのない動きで受け流し、切り伏せる。その勢いのまま、後の先を取り、わがままボディの雪女との間合いを詰めると鉄刀を突きだす。突きは寸分たがわず骸魂を捉え妖怪から引きはがした。
「――次」
 【水鏡】の構えで鉄刀を振るう度、鏡介の感覚は研ぎ澄まされ、心は文字通り水鏡の如く鎮まってゆく。次々に襲い来る妖タヌギツネの動きを先の先まで確実に捉え、すきを見出し的確に憑依した骸魂を仕留める。
「みんな! 一斉に行くのよ!」
 業を煮やした妖タヌギツネたちが、タイミングを合わせて一斉に跳びかかってくる。
「少し厄介か。ならば……」
 鏡介は敵の意表を突くべく、「破魔結界」を展開させる。結界の効果により変身が、こぞって解除され慌てふためく妖タヌギツネたち。その隙を逃さず、鏡介の刀が一閃する。地面に転がった彼女たちの体から、すうっと骸魂が抜け出し消えていった。
「……今ので最後だったか」
 ふぅ……と緊張を解くと、鏡介は、あちこちで昏倒している妖怪たちの介抱に向かうのだった。

●とりっくすたぁ?
 フィロメーラにはちょっとした策があった。彼女の用いるユーベルコード【おわりを印す天の客星(スペースファイナライザー)】には、塔の霊的防衛装置の『破魔結界』と同等の効果があるのだ。それを利用して、一芝居打とうという魂胆だ。
 フィロメーラを取り囲んだ妖タヌギツネたちが、ユーベルコード【乱痴気騒の術】を発動させ、彼女好みの女性へ変身を遂げる。だが、虚栄心に染まった変身はフィロメーラの心を震わせるに至らない。
「ありのままの姿でいいんじゃない? 無理に着飾っても長続きしないさ! 素直が一番だ!」
 突っ込みを入れながら、【おわりを印す天の客星】と【オーラ防御】の合わせ技を破魔結界に見せかけて、妖タヌギツネたちの術を打ち破る。
「えええっ!? そんなまさかっ!」
「わたしたちの術が……塔の霊的防衛装置の力ね! ええい! もう一度よ!」
「あの塔の霊的防衛装置の効果は、もう打ち止めのはず! 行くわよ!」
 妖タヌギツネは再度、【乱痴気騒の術】を使い、躍起になって誘惑を試みる。
「よし、何でもして助けてあげるぞ! いやあ、助ける以外は相手のためにならないからね!」
 芝居を打ちつつ、再び同じ手で術を破る。それを何度も繰り返す。
「ええ? 何で? どうなってるの?」
「結界の仕様、おかしくない?」
 妖タヌギツネたちが戸惑い始める。
 その様子に、フィロメーラの心には妖タヌギツネへの憐れみの情が沸き上がってきた。芝居のつもりだったが、どうやら徐々に妖タヌギツネたちの術に毒され始めているらしい。(んー? 術中なんだか素なんだか自分でもよくわからん。けど、今がチャンスだね! ……と思えるから、まだ大丈夫だ!)
「全力攻撃だ! 行くぜ!」
 戸惑い、車座になって相談し始めた妖タヌギツネの不意を打って、強力な光属性を帯びた光線を幾重にも放つ。
「そ、そんなぁ!」
「きゃぁぁ!」
 悲鳴を上げ次々に倒れる妖タヌギツネたち。だが、フィロメーラの放った光線は、骸魂だけを的確に射抜き妖怪たちを救い出していた。
「切り札を使わないことで利用する! あたしの作戦勝ちだぜ!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
幾らお嬢様方からのお願いであろうと、塔にお通しする訳には参りません
お引き取り願えなければ…少々、乱暴な方法で骸魂を祓わせて頂きます

(お色気系にはつれない機械騎士)

脚部スラスターの推力移動で素早く地を駆け攻撃は武器受け盾受け
怪力で振るう大盾と剣で雪女と淫魔薙ぎ倒し
同時並行で肩部格納銃器を銃座のように展開し雪女をスナイパー射撃

さて多勢に単騎
包囲されましたが…頃合いですね

破魔結界起動

敵を纏めて変身解除

(人魚姫に異種婚姻譚…正体隠す御伽話は悲しき結末が多い物
彼女達のありのままを愛する御方との巡り合わせがあれば良いのですが)

それは兎も角、力失い動き鈍った敵集団を今まで充填していたUCで容赦無く纏めて撃破



 百霊灯籠を破壊すべく、百霊鎮守塔へ進軍する妖タヌギツネたち。その進路を阻むように白銀の巨躯が、足元から青白い輝きを放ちながら、閃光の如く疾駆する。突然の乱入者に、妖タヌギツネたちの足並みは乱れ、動きが緩慢になる。この乱入者を野放しにしたままでは、塔に取り付くことは不可能だ。そう判断した妖タヌギツネたちは、乱入者の対応に追われることとなった。
「あんた何者?! 私たちの邪魔をしないでほしいんですけど!」
 苛立った妖タヌギツネが叫び、白銀の巨躯、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は動きを止めた。――彼女たちの動きが変わった。私を排除しなければ塔の破壊に及べないことは理解したようですね――。トリテレイアは大盾を構え朗々とした声で応じる。
「幾らお嬢様方からのお願いであろうと、塔にお通しする訳には参りません」
 その返答に妖タヌギツネたちは殺気立つ。邪魔な騎士を排除すべく、妖姿媚態の術を行使し、次々に色気過剰のグラマラスな姿に変身してゆく。わがままボディの雪女、むちむちばいんばいんの仙女、ぼんきゅっぼんの淫魔。生身の存在ならば、その蠱惑的な姿に思うところもあるのだろうが、機械騎士の態度はつれない。
「生意気ね! こうなったら実力行使よ!」開いた襟から豊満な胸が零れ落ちそうな雪女が、振り上げた拳に吹雪を纏いトリテレイアに肉薄する。
「お引き取り願えないようですね。ならば……少々、乱暴な方法で骸魂を祓わせていただきます」
 トリテレイアは、振り降ろされた拳を大盾で受けると、そのまま力任せに振り抜き、雪女を弾き飛ばした。時間差で淫魔が放った跳び蹴りを剣の腹で受け止めると、素早く剣を翻し叩き伏せる。その状態に隙を見出した敵たちが、トリテレイアを取り押さえようと一斉に押し寄せる。だが、脚部スラスターをフル稼働し一気に距離をとる。
「重たそうなのに、なんて素早いの!」
 むちむちな仙女たちが飛翔し追いすがるが、トリテレイアはスラスター移動を行いながら肩部格納銃器を銃座のように展開すると、次々と狙撃し撃ち落としてゆく。だが、多勢に無勢。徐々に包囲の輪を狭められてゆく。
「さて、多勢に単騎。包囲されましたが……頃合いですね」
 静止するトリテレイアを、妖タヌギツネたちは抵抗を諦めたと取ったらしい。
「観念しなさいね! さあみんな、こいつを鉄屑にするよ!」
 一斉に掴みかかってくる妖タヌギツネたち。トリテレイアは呟く。
「破魔結界起動」
 その瞬間、周囲の妖タヌギツネたちの妖艶な変化は解け、本来の慎ましやかな姿に返る。変身が解け呆然と立ち尽くす彼女たちの姿にトリテレイアは、ふと想う。
(人魚姫に異種婚姻譚……正体隠す御伽話は悲しき結末が多い物。彼女達のありのままを愛する御方との巡り合わせがあれば良いのですが)
 憐れな彼女たちに思いを馳せつつも、トリテレイアは今すべきことをなす。格納スペースから射出された柄のみの剣を手に取ると、胴体部分から伸びるケーブルに接続する。
「ダイレクトコネクトセイバー・イミテイト起動……充填中断、刀身解放!」
 戦いを繰り広げながら、ずっと充填していたユーベルコードのエネルギーは、柄を通じてエネルギーによって構成された純白の巨大な刃と化した。純白の光刃が戦場を薙ぐ。光は妖タヌギツネたちを包み込み、骸魂を在るべき場所へ帰し、妖怪たちを解放してゆく。やがてエネルギーの刃が白い粒子を放ちながら徐々に形を失って消えゆき、戦場に静寂が訪れた。トリテレイアは武器を収めると静かに祈りを捧げた。
(彼女たちの行く末に幸多からんことを……!)

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
自ら骸魂に呑まれた妖怪さん達のお心に
応えるためにも鎮守塔を守り抜きましょう

入り口近くに位置取ります
通せんぼです!

UCで強化
一閃は炎の煌めきの如く熱く強く
足さばきは小川がせせらぐように軽やかに
刺突は竹林を吹きぬける風のように速く

更に剣に三属性付与
雪女さんを白熱する銀朱の刃で溶かし
仙女さんを花萌の刃から放つカマイタチで迎撃し
淫魔さんの驚かせを紺碧の刃が宙に描く水鏡で反射

確かにコンプレックスのようです
…とはいえ多勢ではありますね

頃合いを見て防衛装置を発動

破魔結界を纏い動き回り
術をキャンセルしながら次々と切り伏せて参りましょう

終幕
鎮魂の調べ
骸魂さんの静かな眠りを願います

妖怪さん>
お疲れ様でした!



 百霊鎮守塔を破壊すべく、妖タヌギツネたちは塔の外壁へ攻撃を仕掛けるが、重要な役割を担う存在である以上、そう容易くは傷つかない。すでに多方面で、猟兵たちが妖タヌギツネたちから骸魂を祓い、無力化して数を減らしているため尚更、有効打を与えられないでいた。ならば、外壁より脆いと思われる扉を抜き、内部から破壊しようという流れに変わってくる。その動きを予測した騎士装束を纏った2足歩行の黒猫は、塔内部へと続く扉の前に陣取った。
「自ら骸魂に呑まれた妖怪さん達のお心に応えるためにも、鎮守塔を守り抜きましょう」
 細剣を抜き、胸の前で構えると誓いを立てる。だが、骸魂に囚われオブリビオンと化した今の彼女たちは、そんな彼――箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)の想いなど露知らず、次々と妖姿媚態の術により華奢な姿から妖艶な姿へ変身を遂げ襲い掛かる。姿だけでなく、戦闘能力も高まり、油断ならない存在と化していた。
 その中の一人、わがままなボディの雪女が悩まし気に肢体をくねらせると、鋭い氷柱の手槍を手に具現させた。そして体を反らし振りかぶると、仄々に向かって投げつける。仄々は反射的に横に飛び、辛うじてそれを避け、力の差を実感する。
「強化された相手にそのままで挑むのは無謀ですね。誓いを遂げるためにも、私は倒れる訳にいきませんから。――『トリニティ・エンハンス』!」
 体勢を立て直すや否やユーベルコードを発動させた仄々の体に、炎・水・風……三つの魔力が満ちてゆく。一閃は炎の煌めきの如く熱く強く。足さばきは小川がせせらぐように軽やかに。刺突は竹林を吹きぬける風のように速く。
「いきますね」
 仄々は駆けながら細剣に炎属性を宿した。そして地を蹴り疾風の如く繰り出す刺突は白熱を帯びた銀朱の刃となり、氷柱を投げつけた雪女に向かい、その身を溶かす。その仄々を上空から肉感溢れる仙女が鞭剣を振るい打とうとする。が、素早く細剣に宿る魔力を風属性に切り替えた仄々は、その花萌の刃から無数のかまいたちを放ち迎え撃った。そこに拍手が鳴らされる。
「ネコちゃん、ステキ! カッコいいわぁ~」
 グラマラスな淫魔が科を作り、残身の構えの仄々の背後に近づく。魅惑的な唇に指を触れ、「ちゅっ」と投げキッスをすると、どういう原理か、ハートマークが現れ、仄々に向かいふよふよと漂っていく。危険を察知した仄々は、水の魔力を細剣に宿すと、振り向きざまにその紺碧の刃で宙に円を描き、水鏡を出現させた。ハートは水鏡に触れると反射され、主の元へと返ってゆく。
「え? なに?! きゃぁっ!!」
 戸惑う淫魔の元へ辿り着いたハートはそこで弾け、けたたましい騒音をまき散らし、驚いた淫魔は尻もちをついた。
 仄々を油断ならない相手だと認識した妖タヌギツネたちは、足並みを揃え彼を取り囲む。皆、本来の姿と極端なまでに正反対の姿をしている。
「確かにコンプレックスのようです。……とはいえ多勢ではありますね」
 じわりじわりと包囲の輪が縮められる。
「……頃合い、ですね。頼みましたよ、『塔』さん」
 仄々の言葉を合図に、彼の周囲に破魔結界が展開される。彼の近くに居た数名の変身が強制解除された。
「えぇ!?」
「なんで?」
 慌てふためく妖タヌギツネたち。
「効果覿面ですね。この隙は逃しませんよ」
 周囲の一団を素早く切り伏せた仄々は、結界の効果が失われる前にと、戦場を駆け巡る。変身が解け動揺した妖タヌギツネたちは、ユーベルコード『トリニティ・エンハンス』により強化された仄々の敵ではなかった。攻撃を受け倒れた妖タヌギツネから骸魂が切り離され、骸の海へと返ってゆく。あとに残されたのは命がけで猟兵たちに命運を託した妖怪たちの姿。
「妖怪さんたち、お疲れさまでした……!」
(そして骸魂さん……。静かに眠ってください……)
 仄々は竪琴を取り出すと、骸魂たちのため鎮魂の調べを奏で始めた。その澄んだ調べは、はるか遠くまで響いてゆく。きっと彼の海まで……。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルカ・スノードロップ
破魔結界で軽減は出来そうですね

私の好みであれば
ぺたんこのままです。背も若干縮むかもしれませんね
どういう反応になるでしょう?
セクシーと宣っているのでしょうから、自身を持つかもしれませんね

『この女性のためなら何でもするという』感情は
『この娘たちを"救済するため"に、何でもする』感情で
動きます

【誘惑】【言いくるめ】で誘い込み
【ロープワーク】で【捕縛】します
【早業】の手刀で、骸魂だけを【吹き飛ばし】ます

元に戻った『妖タヌギツネ』のことは
《宿場》を使って『保護』しますね



 塔を目指す妖タヌギツネの少女たちの前に、さらりと長い緑髪を揺らし立ち塞がったのは、少女と見間違えるほど美しい容貌を備えた男性だった。
 ベルカ・スノードロップ(少女を救済せし夜の王【中将】・f10622)、彼の少女の如き美貌の秘密はダンピールがゆえの特性によってもたらされているのだ。
「なんか、綺麗な人がいるよ」
「邪魔する奴ならやっつけるだけだ!」
「乱痴気騒の術、ぽんぽこぽーん!」
 出会ってすぐに妖タヌギツネたちは術を発動させると、キラキラした輝きに包まれる。
(もしもの時は、破魔結界で軽減は出来そうですね)
 結界を使うタイミングを計りつつ、彼女たちが、いかなる姿に変身を遂げたのか待ち受けるベルカ。
「私の好みであれば、ぺたんこのままです。背も若干、縮むかもしれませんね。どういう反応になるでしょう?」
 操られるリスクより、輝きの中で変身を遂げてゆくシルエットを目の当たりにして、変身後の姿に期待を寄せ胸を昂らせる。
「彼女たちはその姿をセクシーと宣っているのですから、私の賞賛に自信を持つかもしれませんね」
 少女たちの反応を想像すると思わず楽しくなってしまうのだった。
 やがて輝きが消え、ベルカ好みに変身した少女たちがその姿を彼の前に晒す。
「あなたは私たちの虜ね! さぁ、わたしたちのために働きなさい! 塔を壊すのよ!」
「ちょっと待って。なんだか、わたしたち変身前と変わっていなくない?」
「……むしろ縮んでいるような……」
 まさか、得意とする変化の術で失敗? 妖タヌギツネたちの間に動揺が走る。効果が発揮されていないのではないか? 恐る恐る無言で体を震わせるベルカの様子を窺う。
「あぁ……っ! 素晴らしい! なんて私好みなんだ……!」
 突然、両手を大きく拡げ、感激の言葉を口にするベルカ。
「あれ? 効いてる?」
 術を使った当の妖タヌギツネたちが戸惑ってしまう。
「あなたたちのためなら、何でもいたしましょう!」
 優雅な仕草で片膝をつき首を垂れる。
「普段の姿と同じ……、むしろもっと残念な姿に変身しているのにこの反応」
「わたしたちの姿を魅力的だと思ってくれる人が現れるなんて!」
 妖タヌギツネたちは、ベルカの反応に皆、感激していた。
(ははっ……そのままの姿が愛おしくて、破魔結界の効力を抑えてしまいました。罪な娘さん達だ……)
 愛の奇跡なのだろうか? ベルカは妖タヌギツネたちの可憐な姿に惑わされ湧き上がる服従の想いを、ギリギリのところで自分の想いで上書きすることに成功した。『この女性のためなら何でもするという』感情は『この娘たちを"救済するため"に、何でもする』という想いになる。
「美しく魅惑的な姫君たち、あなたたちを一時も離したくはありません」
 コンプレックスだった姿に誘惑され、甘い言葉をささやくベルカに、妖タヌギツネたちは途轍もない快感を覚えていた。その想いは、骸魂のものか、憑代となっている妖怪たちのものか……。
「さあ、私の胸の中へ……!」
 キラキラしたオーラを放ちながら広げられるベルカの腕。その中にふらふらと誘い込まれる妖タヌギツネたち。夢現の中、ベルカの胸に抱かれた彼女たちは、次々に巧みなロープワークで拘束、無力化された後、手刀で骸魂だけを吹き飛ばされる。最後の一人から骸魂を取り除いたベルカは、気を失っている妖狐の少女をそっと地面に横たえると安堵の息を漏らす。どうやら、骸魂を祓い、術者をすべて無力化したことで、乱痴気騒の術も効果を失ったようだ。少女たちは淡い光に包まれた後、本来の妖怪の姿――化け狸と妖狐の少女の姿を取り戻していた。
「皆、可愛らしい寝顔です。……今は休んでください。時間はたっぷりありますよ」
 ベルカはユーベルコード【宿場】(キャージュ)を発動させ、その手に小さな屋敷模型を具現させる。この模型に触れた無抵抗な者はユーベルコード製の温泉付き宿泊施設に吸い込むことができるのだ。
「お代さえいただければ、いつでも出れますからね」
 ベルカはあちこちで倒れている、妖タヌギツネたちを保護していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クライド・エント
【WIZ】
「随分と可愛い女の子達だな、そんなんで戦えんのか?」
(可愛い子相手なため油断気味)

相手を見つけたら、先手必勝!ということで結界を発動しつつ、武器を用いた【切り込み】で攻撃をしてくぜ!
「時間がもったいないし、さっさと掛かってこいよ!」
と【挑発】しつつ効果時間の限りだけ暴れまくる

結界が終わった後のことはよく考えていないため、効果時間後に自分好みの美少女(金髪ツインテとか黒髪ロングとか)にあざとい仕草でお願いをされると、何でも言うことを聞きたくなるかもしれんが、そこら辺は気合いでなるようになることを祈るぜ(楽観的)



 猟兵たちの奮闘により、塔の破壊を目論む妖タヌギツネたちの集団は、確実に数を減らしていた。
「我らだけでも、塔に取り付き、破壊するのだ!」
「おぉー!」
 もはや目視で把握できる程度の人数となった彼女たちは、小さく気合を入れると、猟兵たちの目をかいくぐり塔を目指す……が。
「随分と可愛い女の子達だな、そんなんで戦えんのか?」
 軽い口調で呼び止めるのは、クライド・エント(だらしない海賊・f02121)だ。
「ちぃ! 早速見つかってしまうとは!」
「戦力不足は、こいつで補うのよ!」
 追い詰められている妖タヌギツネたちは、問答無用で妖術を放つ。乱痴気騒の術……相手の性癖に合致した好みの女性の姿に変身し、虜にしてしまう術だ。
「おっと、そうはいかないぜ! 先手必勝だ!」
 少女たちの愛らしい姿に油断しているかに見えたクライドだったが、彼も場数を踏んだ猟兵だ、即座に反応し塔の防衛装置による恩恵、『破魔結界』を展開する。
「うぅっ、術が!」
 クライドに近づいた、或いは近づかれた妖タヌギツネたちは、瞬時に変身が解除されてしまう。
「時間がもったいないし、さっさと掛かって来いよ!」
 クライドは挑発しながら切り込み、次々に妖タヌギツネたちを切り伏せる。倒された彼女たちは、骸魂の憑依から解放され本来の姿に戻りその場に崩れ落ちる。
「さあ、残りはお前たちだけだな。覚悟しなよ」
 手にした剣をヒュンと振り回した後、正眼に構える。と、見据える妖タヌギツネの姿がゆらりと揺れて……。
「っ!? び、美少女!!」
 クライドの眼前には、金髪ツインテールや、黒髪ロングヘアなどの美しい髪を持った美少女たちが出現した。
「……あれれ? もしかして、塔の防衛装置の効果が切れたのかな?」
「そうだよ、きちんと変身できてるし、あの惚けた顔、わたしたちの術が効いてるんだよ!」
 妖タヌギツネたちは顔を寄せ、ヒソヒソしていたが、好機と捉えてクライドにあざとい仕草で擦り寄っていく。
「ねぇお兄さん……、私からの、お・ね・が・いっ。あの塔を粉々にしちゃって欲しいなぁ」
 金髪ツインテのコケティッシュな美少女に色っぽく迫られ、黒髪ロングの清楚な美少女は、男の庇護欲を掻き立てるように、儚げに可憐に訴える。
「あぁ……殿様。見ず知らずのお方にこのような、お願いは不躾と重々承知なのでございますが、なにとぞあの塔を壊していただけませんか? さもなくば、私は酷い目にあわされてしまうのです……」
 クライドの目が彷徨い、惚けた表情へと変わってゆく。
(俺、もってもてじゃね? ついにこの世の春が訪れたのか……!)
「お兄さぁ~ん」
「殿様……っ」
 妖タヌギツネたちは、ダメ押しとばかりに、媚びっ媚びの芝居を打つ。
「……まだだ……」
 クライドがぼそりと呟く。
「え……?」
「まだ足りねぇ! こんなもんじゃねぇ!!」
 クライドの雄たけびに、何を思ったのか頬を赤らめる妖タヌギツネたち。
「えぇっ!? こ、これ以上はちょっと……」
 妖タヌギツネたちは、もじもじしながら伏し目がちに仲間たちと顔を見合わせる。そして吠えるクライド。
「俺は、もっと、大勢の美少女に囲まれるべきなんだぁ!!」
「えええ……」
 絶妙に肩透かしを食らい、気が抜けてしまう妖タヌギツネたち。気が抜けついでに、術の気まで抜けてしまい、クライドは正気を取り戻す。
「あぶねぇー! 今、術に嵌りかけてたよな俺」
「しまった! 術が解けちゃった」
「もう一度行くわよ!」
 急いで、もう一度クライドを虜にしようと術を放とうとするが、それを許すほどクライドも甘くはなかった。
「もったいない気もするけど、悪いな。次はお互い、もっといい形で出会いたいね!」
 素早く間合いを詰めると、残り数名になっていた妖タヌギツネたちをすれ違いざまに斬り捨てる。斬られた彼女たちは、骸魂の支配から解き放たれ、その場に倒れ伏す。猟兵以外、動く者のいなくなった戦場を見渡す。
「これで、一件落着だな」
 しばらくすれば、倒れている妖怪たちは意識を取り戻すだろう。
「ちょっと楽しませてもらったし、役得ってな!」
 からからと、のんきに笑うクライドだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年06月03日


挿絵イラスト