大祓百鬼夜行㉑〜昨日に向かって撃て
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とあるUDC収容施設。ここには比較的害の無いとされているUDC-Pやオブジェクトが収容されていた。勿論迂闊に外部に出すわけにはいかないし、同時に侵入や襲撃を防ぐための設備が建物内にあった。……あったとされているのは、今その一部が破壊されているからだ。
「異常事態……!? 何が起きている!?」
ここはこの施設の保安を司るマスタールーム。そこには多くのモニターが並んでいるが、そのうちの幾つかが信号途絶によりブラックアウトしている。
「分かりません! ただ推測では何らかの認識阻害を伴った存在が侵入してきていると思われます!」
「全隔壁を下ろせ、その破損状況でそれの動きを見る!」
しかし動きを見えたとして性質の分からない敵をどうすれば良いのか。まずはできる限りの対策で時間稼ぎをすべきと判断し室長はほぞを噛んだ。
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「大祓百鬼夜行の決着も近いわ、でもまだまだ力は足りてない」
水元・芙実(スーパーケミカリスト・ヨーコ・f18176)は集まった猟兵達に向かって説明を開始する。
「この戦いはUDCアースにも広がっているのは知ってるわよね? 皆にはそのUDCって呼ばれてる施設に行って欲しいの。そこに機械のような姿の骸魂が現れるから、これを撃破してきてもらいたいの」
ただ、と彼女は続ける。
「この骸魂は『ユーベルコードを無効化する』ユーベルコードで身を固めているわ。それに私たちが使うような世界を跨ぐような力を持った道具も効果が薄いの。これを突破するためには現地のUDC職員の協力を取り付ける必要があるの。……超常の力が効きにくいなら現地の通常兵器を使うのよ」
場所柄その類の装備に事欠くことはない。流石に対物ライフルやロケットランチャー辺りの代物はないが。拳銃にアサルトライフルや手榴弾、ライオットシールドや特殊合金のバトン辺りなら手に入るだろう。
「それにこれなら現地の職員でも十分に戦えるわ。彼らはUDC-Null、骸魂の存在を直接知覚できないだけで、いると分かればそこに銃を向けることはできるの。ただ最初は状況把握ができてないからその事を説明しないと行けないわ。勿論銃器の類を借りるのにも必要だけど」
そこまで説明すると彼女は猟兵達を見つめる。
「この骸魂は『守れなかった』その悔恨が実体化した物よ。収容されているUDC-P達を改めて守ろうとしているのかも知れないけど、取り込んだとして結局守ることにはならないわ。だから止めてきて上げて」
西灰三
かこにむかってうて。
いつもお世話になっています。西灰三です。
今回は大祓百鬼夜行のシナリオをお送りしします。
詳しい内容はオープニングの通り。
以下プレイングボーナスとなります。
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プレイングボーナス……UDC-Pやエージェント達と協力して戦う。
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以上です。
それでは皆様のプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『原初の古代機械兵器』
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POW : ここから先には通さんよ……
単純で重い【UC、異能、装備効果を無効にする機体から】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : もう、誰も亡くしたくないの!
【UC、異能、装備効果を無力化する重火器】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : キサマラハ、マタワタシカラウバウノカ?
【UC、異能、装備効果を反射する脚部の龍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
イラスト:8mix
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠大神・狼煙」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
チル・スケイル
「猟兵のチルです。UDC出現を察知し駆けつけました」
まず職員に挨拶、端的かつストレートに説明。
「人間は件の敵を見られませんが、あなた方の武器は通用します」
頭を下げ、武装した職員に同行を頼みます
「この世界の武器が必要です。危険は承知ですが、協力してください」
効きにくいと言っても霜くらいはつくでしょう。大杖から放つ氷の砲弾を爆発させ、敵に氷を付着させます
「宙に浮く氷が見えますね?撃ってください」
敵の攻撃は大振りなはず。予兆を見極め、職員に警告しなければ。
「逃げてください!!」
私はアサルトライフルという武器を借り、職員と共に攻撃に参加
この武器は魔法の杖に似ていて使いやすいですね
黒木・摩那
UCや異能の力を無効化するというのは厄介な相手ですね。
ただ今回はUDC職員がいるので、数の上ではこちらが有利です。
ならば数の有利を生かして戦いましょう。
UDC職員には、骸魂うんぬんを初めから説明するよりも、UDCの不可視なものと説明したほうがしっくり来るのではないでしょうか。
問題なのは骸魂が見えないということです。
これは骸魂の今いる位置をスマートグラスでデータリンク、又は直接レーザーポイントで指示することで、骸魂への射撃を止めないようにします。
あと進行方向には職員を配置せず、死角や後ろから攻撃できるように指示します。
普段は使う機会が無いですが、せっかくですから機関銃射たせてもらいましょうか。
レン・ランフォード
ついにUDCに帰ってきてしまいましたか
これ以上被害が大きくなる前に止めないと
ええ、ここを守ることでその悔恨を晴らしてあげます
現着後、別UDC支部の所属である事と猟兵である事を告げて協力を仰ぎます
自分の知る敵の情報、姿や能力等を伝えて共有し作戦開始
私が前にでて手榴弾の投擲や刀で攻撃
技能が無効にされる可能性もあるので敵の攻撃は余裕をもって回避
叩きつけでその周囲が壊された直後なら皆さんにも場所が分かる筈
どの部位でどのような攻撃をしたか一息で伝え、一斉砲撃してもらいます
UCは地形破壊時の破片が危険な時に使用
さぁ根競べといきましょう
二條・心春
UDCと共に戦うものとして、彼らの危機は放ってはおけません。組織の皆さんにもお世話になってますし、必ず何とかしてみせます!
私は組織から支給された装備を持ってるし、タブレットの中にいるUDCの子達を見せれば信用してもらえるかな。敵の正体と、私達なら見えるけどユーベルコードが効きづらいことをお話しして力をお借りしましょう。UDC-Pの子達を守るためにも、力を貸してください!
私は【超第六感】で攻撃を予想して、皆さんと共有して回避することに専念します。これなら攻撃が当たらなければ無効化されないはず。攻撃の隙を第六感で感じ取れたら、こちらも銃火器で職員の皆さんに一斉攻撃を仕掛けてもらいましょう。
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緊急事態を示す館内放送が鳴り響く収容施設内。その保安室に猟兵達がまとめて転送されてくる。職員達は一瞬身構えるものの、伴った光がグリモアのものだと分かると警戒を解く。緊張は解けてはいないが。
「猟兵のチルです。UDC出現を察知し駆けつけました」
まずは開口一番チル・スケイル(氷鱗・f27327)は自己紹介をする。ここに赴いたのは彼女を含めて4人の猟兵だ。
「君達がここに来たと言うことは『アレ』が何なのか見当が付いている、という認識でいいかね」
「ええ、あれは私達が言うところのUDC-Nullと呼ばれる存在です」
UDCアース出身のレン・ランフォード(近接忍術師・f00762)が端的に説明する。それに対して先程から応対している職員、保安室の室長の目に興味の光が灯る。
「UDC-Nullは存在しないと確認がとれたもののはずだ。最近各地で起きている異常現象と関係があるのだね」
「はい、今は不可視で認識できない敵と考えて貰えば構いません。あれは私達の手だけでは止められないと考えています」
黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)もレンに続いて説明する。それはどういう意味かと問う前にモニターを睨んでいた二條・心春(UDC召喚士・f11004)が割り込んでくる。
「すみません、ちょっといいですか?……ユーベルコードなんだけど、やっぱり通じないみたいです」
彼女は試しにと超感覚を通して敵の動きの予測ができないかと確認していた、しかしどうも上手くはいかなかったらしい。恐らく実戦で使っていたら簡単に無効化されてしまっただろう。
「成程、つまり君達の現実改変能力が減衰・無効化される存在だと」
「はい。……この分だと恐らく全て通用しないですね」
摩那のスマートグラスも敵を捉えようとすると途端に調子が悪くなる。ユーベルコード以外の装備も効果が薄そうだ。
「しかし君達はここに来た。と言う事は何か手立てがある、と」
「はい。あなた達は件の敵を見られませんが、あなた方の武器は通用します」
チルがそう言うと室長は視線を通信員に向ける。
「この世界の武器が必要です。危険は承知ですが、協力してください」
「分かった、何より我々はそのための組織だ。人員も必要かね?」
「はい、お願いします」
レンは通信員の呼びかける武器と人員を集めるコールを聞きながら頷く。その彼女の前にいる室長はもう一つと質問を猟兵に投げかける。
「今襲撃中のUDC-Nullの目的は何だ? 大方予想は付いているが」
それに対しては心春が真っ直ぐに室長を見る。
「ここにUDC-Pの子達がいますよね。その子達を取り込もうとしているんです。……なので力を貸して下さい」
「我々は直接UDCと戦える君達を常に支援している。この期に及んでそれを断るような事はしない。それよりも君達と肩を並べて戦える日が来たのが大きい」
室長は運ばれてきたコンテナに入っていた銃を一つ取り整備状況を確認する。そして隔壁の操作で戦いやすいポイントへと敵を誘導するのを指示して猟兵達に伝える。
「我々とて、戦わせるだけの立場は心苦しいのだよ」
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交戦ポイントにまで行く間、敵の姿形や能力について説明をする猟兵達。作戦の結果、相手を確認できる猟兵達が前衛となって攻撃を行い、後から攻撃した箇所に向けて職員達が攻撃をするという手筈を整える。遮蔽物を作り、その裏で敵が来るまで待機している僅かな間、緊張を解すために軽い雑談が入る。
「このアサルトライフルという武器……魔法の杖に似ていて使いやすいですね」
チルは手にしたアサルトライフルの感触を確かめている。猟兵の中には異世界出身者が数多く含まれていることを職員達は知っている、彼らは流石に心の中で『銃みたいな魔法の杖とは』という疑問を流石に浮かべざるを得なかった。ともかく構えは様にはなってるので使えはできるのだろうと判断し何も言わなかったが。
「結構重いですね、これ」
慣れない銃を使うのはチルだけではない、摩那も同じである。普段は超能力を主軸とした戦闘スタイルだが、今回ばかりはあまりに分が悪い。よって普段は使わない武器をレクチャーを受けている。そういう意味で言えば貴重な機会であった。
(「彼らの危機は放ってはおけません」)
銃を握り慣れた手を見て心春は精神を落ち着かせている。彼女が戦うきっかけになったのはそれこそUDC-Pとの接触が始まりだ。だからこそ彼女はこの場にいる誰よりも気が逸っていた、そしてだからこそこうして意識して自分を落ち着かせている、大切なものを守る為に自分を見失わないように。
(「ついにUDCに帰ってきてしまいましたか。これ以上被害が大きくなる前に止めないと」)
レンはカクリヨファンタズムからの戦いがこの地に伸びてきた感慨に更けている。そもそも発端の大祓骸魂がそれを求めていたのだ、ならば当然と言えば当然ではあった。そして、この場所で成すべき事がやってきた。
「行くよ、私達!」
彼女の掛け声を皮切りに一斉に猟兵達が武器をUDC-Nullに向ける。四方八方から放たれる火線が敵をその場に食い止めて、同時にそこに何かが有ることを職員達に指し示す。
「あそこです!」
慣れない銃で攻撃しながら摩那が叫ぶ。そこに向けて職員達の放つ銃弾が吸い込まれ跳ね返らない。
「さぁ根競べといきましょう」
レンも様子を伺いながらダメージを与えていく。しかし相手も簡単には落ちない。背部の火器から全方位に射撃を行う。
「皆さん、隠れて下さい!」
今は目に見えないものより、見に見えるものしか使えない。ミサイルポッドの蓋が開いたのを確認した心春は障害物の影に隠れるよう指示する。そして直様チルが別の指示を叫ぶ。
「ここから逃げてください!!」
瞬間障害物が吹っ飛んだ、職員達には見えないが大ぶりの腕の一撃が薙ぎ払ったのだ。だがしかし大きな一撃だからこそ、大きな隙ができるという事、レンが素早く踏み込んで手榴弾のピンを抜く。
「ここであなたから彼らを守ることで、あなたのその悔恨を晴らしてあげます!」
投げられた手榴弾は弧を描き敵の頭上で破裂し、その頭部を破壊する。そのまま敵はどうと倒れると消滅し、核になった妖怪もカクリヨファンタズムへと還っていく。
「……終わったのか?」
「はい、たった今、あとの事はお願いします」
職員の疑問に摩那が答えると猟兵達の体がグリモアの光に包まれていく、その中で心春もほっと胸を撫で下ろす。
(「良かった、なんとか守れた……」)
猟兵達は成果を胸に帰投するのであった。
大成功
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