大祓百鬼夜行③〜星影に灯籠
●百霊鎮守塔
カクリヨファンタズムの最深層に通じる道を示すのは『百霊鎮守塔』の最上階に灯る『百霊灯籠』の光出会った。
最深部への道を照らすと同時に最深部に眠る『竜神親分』の力を弱める光は、骸魂と合体した『竜神親分』と戦う上では必要不可欠なものであった。
それは同時にオブリビオン妖怪にとっては邪魔な存在である。
「我ら嘗ては一つの存在であったが」
「我らは多にして一」
「我らが求めるのは滅びである。然らば」
『竜神片』――それはオブリビオン妖怪の総称である。
嘗ては一人の竜神であったが、邪神との戦いでバラバラになった竜神の破片が邪神の影響と骸魂との合体によって個を得た存在。
彼等の目的は『百霊鎮守塔』の最上階に在る『百霊灯籠』の破壊である。
それさえ破壊してしまえば猟兵達は『竜神親分』の元へと至ることができないであろうと考えたのである。
確かにその通りであった。
猟兵達は急ぎ『竜神親分』の元へ向かい、立ち向かわなければならない。
それが『大祓骸魂』へと至るための道、『雲の道』を紡ぐための必須条件であるのだ。だからこそ、『百霊鎮守塔』を破壊されるわけにはいかないのだ。
「だが、なるほど。やはり塔自体の霊的防衛装置が働いているか」
「結界展開装置」
「御札射出装置」
『竜神片』の圧倒的な数は、しかしそれらの防衛装置をなんなく踏破するだろう。
このままでは『百霊鎮守塔』は破壊され『竜神親分』へと至るための道を塞がれてしまう。
「笑止。この程度で我らを止めるなどできようはずもない――」
まるで津波のように膨れ上がった『竜神片』たちは一気呵成に『百霊鎮守塔』を破壊せしめようと迫るのだった――。
●大祓百鬼夜行
グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まりいただきありがとうございます。今回の事件は、カクリヨファンタズム最深層、『竜神親分』へと至る道を照らす『百霊鎮守塔』の防衛です」
ナイアルテは頭を上げ、猟兵達に説明を始める。
『百霊鎮守塔』の最上階に灯る『百霊灯籠』の輝きが最深層への道を示す。
それは四人の親分たちを倒し、『大祓骸魂』へと至るための『雲の道』を紡ぐためには必要なことなのだ。
「この『百霊鎮守塔』は防衛装置があるのですが、無数のオブリビオン妖怪『竜神片』を前にしては、僅かな時間しか保たないでしょう」
防衛装置は二種類あるようだ。
一つは『結界装置』。猟兵たちが霊力でもって作動させれば、一定時間であるが塔の中に霊的な隔壁が降りてオブリビオン妖怪の塔内への侵入を防ぐし、塔自体への攻撃を無効化できる。
「ですが、過信は禁物です。あくまで一定時間の時間稼ぎでしかありません」
そしてもう一つは『御札射出装置』である。
これらは言ってしまえば弾幕装置だと思えばいいだろう。数で押すオブリビオン妖怪『竜神片』の数は膨大である。
多少のダメージは与える事ができ、弱めることができても、やはり最後に必要なのは猟兵による打撃が物を言う。
「これらを利用し、『百霊鎮守塔』を防衛していただきたいのです。また、この塔を防衛することが後に始まるであろう『竜神親分』との戦いに影響を及ぼすのです」
この『百霊灯籠』の放つ光こそが、『竜神親分』の力を弱めるようであった。
此度の戦い『大祓百鬼夜行』は終盤戦である。ここでまごついているようでは、二つの世界は『大祓骸魂』によって滅ぼされてしまうだろう。
そのために今できることは迅速に『雲の道』を紡ぐことである。
「二つの防衛装置を上手く利用し、どうか『百霊鎮守塔』を防衛してください」
ナイアルテは頭を再び下げて、集まった猟兵達に願うのだ。
迫る『竜神片』たち。
その大群は波のように『百霊鎮守塔』を飲み込まんとしている。しかし、此処には猟兵達がいる。
どれだけの数がいようとも物ともせず、戦いに赴く者たちが。
そんな彼等の背中をナイアルテは頼もしく思いながら見送るのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『大祓百鬼夜行』の戦争シナリオとなります。
カクリヨファンタズム最深層に存在する『竜神親分』へと至る道を照らし、また『竜神親分』の力を抑えると言われる『百霊鎮守塔』の最上階に存在する『百霊灯籠』を波のように押し寄せるオブリビオン妖怪『竜神片』の蹴撃から防衛するシナリオになっております。
またこの『百霊鎮守塔』には二つの防衛装置が設けられています。
皆さんはこの二つの防衛装置を上手く利用しながら『竜神片』を打倒し、『百霊鎮守塔』を防衛する必要があります。
防衛装置の詳細はオープニングをご参照ください。
※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
プレイングボーナス……霊的防衛装置を駆使して塔を守る。
それでは、大祓百鬼夜行を阻止する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『龍神片』
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POW : 肉喰(にくはみ)
自身の身体部位ひとつを【大元の龍神もしくは混ざりあった邪神】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD : 龍乱舞
【回避と攻撃が一体となった神速の旧き套路】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 属性撃
【龍神が司っていた属性での攻撃(投射可能)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【をその属性によって染め上げて】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:白狼印けい
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第四『不動なる者』盾&まとめ役な武士
一人称:わし 質実剛健古風
武器:灰遠雷
防衛戦となると、わしなのよな。
しかし、わりと強引な策よな…?『侵す者』(破壊担当)とて、別な作戦実行するぞ…?
【四悪霊・『界』】。探知も加えた結界術で進軍を抑えつつ、同時に天候操作で濃霧を発生させる。さらに生命力吸収も同時にな。
そこへ『御札射出装置』で攻撃。
最後の一押しは灰遠雷による射撃攻撃よな。霧だとて、結界が視力代わりになるのだ、いる場所はわかる。
相手の攻撃は、そもそも近寄らぬからなぁ。回避しようとしたとて、霧で視界不良ならば満足に行えぬであろう?
『百霊鎮守塔』を守るために転移した猟兵達が見たのは、津波のように群れを為して迫るオブリビオン妖怪『竜神片』であった。
彼等は元は一つの竜神である。
だが、邪神との戦いでバラバラに分かたれた肉片が邪神の影響と骸魂との合体用にって多という個を得たのだ。
「笑止。この程度の弾幕なぞ、弾幕と呼ぶにもふさわしくない」
彼等の動きは攻撃と回避が一体となった超絶為る動きであった。
どれだけ『百霊鎮守塔』に霊的防衛装置が在るのだとしても、彼等の動きを止めることは難しい。
炸裂する御札射出装置からの御札の無数の乱舞も、彼等は躱し、塔を破壊せんと迫るのだ。
「防衛戦と成ると、わしなのよな」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『不動なる者』は、その名の通り質実剛健なる佇まいで持って、『百霊鎮守塔』の前に立つ。
目の前には津波のようなオブリビオン妖怪の群れ。
しかして、それを前にして退くことなど考えられない。
「しかし、わりと強引な策よな……? 『侵す者』とて別な作戦実行するぞ……?」
彼等の一柱である『侵す者』が体の中でしかりとうなずいている。
数で勝るオブリビオン妖怪にとって、力押しは確かに有効な戦術であろう。
けれど、それは猟兵がいなければの話だ。
「そういうセリフは我らを抑えてから言うのだな!」
『竜神片』たちが『不動なる者』へと迫る。
彼等の動きは回避と攻撃が一体となったものである。多数で一を屠る力があるかるからこそ、数で押し切ろうというのだ。
「……此処は悪霊の在るところ」
その瞳がユーベルコードに輝いた瞬間、四悪霊・『界』(シアクリョウ・サカイ)によって強化された天候操作が周囲に濃霧を発生させ、それに触れた者たちの生命を吸収していく。
「ぬ……! この濃霧は……!」
しかし、それだけでは止まらない。
彼等は個であっても強力なオブリビオン妖怪である。どれだけ回避が上手く言ったのだとしても濃霧という形、実体を持たぬものまでかわし切ることはできないだろう。
「弱り目に祟り目。そういうことよな」
生命を吸収していく濃霧によって動きが悪くなったところに降り注ぐ御札の乱舞。
その御札を躱すことができずに、次々と『竜神片』たちが膝をつく。
こうなれば後はひと押しするだけである。
「回避不能の業に、御札による弱体化とくれば……!」
「そうよな。後は射撃でとどめを刺せば、如何にお主らとて動けぬよ」
引き絞る黒弓を携え、『不動なる者』は静かに続ける。どれだけ濃霧に覆われていたとしても、己の操る天候によって、その瞳は射線が引かれているのだ。
「これが策というものよ。敵の進軍が早いのであればこそ、ここで出鼻をくじく。なれば後に続く者たちの術策を描くための時間稼ぎにもなろう。防衛とはこう行うものであるよ」
一段、二段、そして三段構え。
そうやって防衛とは礎を築いていくものであると知らしめるように放たれた霊力の矢は弧を描いて、『竜神片』たちに降り注ぎ、彼等を消滅させていく。
「嘗ては竜神だったものの一欠片、か。安らかに眠れとは言わんが、それでも確かに」
かつて邪神と戦った竜神。
そのばらばらになった肉片が邪神の影響を受けたというのならば、皮肉である。
けれど、今まさにこうして猟兵達によって浄化されるように消えていく姿をみやり、『不動なる者』は己の責務を全うするように、矢をつがえ、空に解き放つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
む、これは所謂…タワーディフェンス…!
バリアと援護を駆使してするタイプかー
なるほどなるほど…
さてと、ひと踏ん張り頑張ろっかな
●
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【Overdrive I.S.T】起動
雷と蒼炎の剣を2つ1組で運用
私は塔の防衛装置の発動に専念しようか
先ずは結界装置を発動して一旦敵を足止め
その後御札射出装置で弾幕を張りつつ、私と召喚した剣達で『斬撃波』を放って弾幕の援護
結界装置の隔壁が消えたら剣に敵の対処を命令
こっちには100組の私が居るようなもんだからね
存分に相手をしてあげるよ
前線は剣達で各個撃破に専念、逐次結界装置を発動して敵集団を分断して撃破していこう
あ、これ見たことある! と『百霊鎮守塔』に迫るオブリビオン妖怪『竜神片』の大群を見た月夜・玲(頂の探究者・f01605)は思わず叫んでいた。
そう、塔を防衛する猟兵たちと迫る敵軍である『竜神片』。その光景を俯瞰して見たのならば、いわゆるタワーディフェンスゲームである。
サブカルマニアである彼女にとって、それは物珍しいものではなく、馴染みのあるものであったことだろう。
唯一ゲームと違うのは、自分がユニットになるということであったけれど。
「なるほどなるほど……バリアと援護を駆使して防衛するタイプかー」
ならば、一踏ん張りしなければならぬと玲は、二振りの模造神器を抜く。
「システム、多重起動。負荷は完全無視――Overdrive I.S.T(オーバードライブ・アイエスティー)」
輝くユーベルコードの輝きが、『百霊鎮守塔』に迫る『竜神片』たちを照らす。
その輝きが意味することを彼等は知るだろう。
あれこそがUDCの力を限定的であれど再現した輝きである。彼等は竜神の肉片の一つであるが、邪神との戦いで影響を受け骸魂と合体した者たちである。
だからこそわかるのだ。
「小癪な。我が死してもなお、その力で我らを滅しようというか!」
膨れ上がる『竜神片』たちの力。
放たれたオーラが地面に落ち、漆黒に染まっていく。それが嘗て邪神と戦いバラバラに散った竜神の持つ属性である。
闇の沼。
ぞぶりと一歩を踏み出すだけで沼地に足を取られるような不快さを醸し出す陣地を生み出した『竜神片』たちに迫るのは、玲が生み出した雷を纏った百振りの剣と蒼炎を纏った百振りの剣である。
「すなわち、百組の私がいるようなもんだからね。さあ、暴れ狂え!」
闇を切り裂く雷と蒼炎が走るように、宙を舞い、飛来する。しかし、対する『竜神片』たちもまた強力なオブリビオン妖怪である。
彼等は即座に行動しようとして、展開された結界装置に動きを止められる。
「――ッ! 防衛装置。絶妙なタイミングで!」
「あったりまえじゃん! 相手が嫌がるタイミングでこそこういうのは発動してなんぼでしょ!」
サブカルマニアを舐めるな、こういうシナリオプレイたっぷりやったよ! と玲は結界装置を作動させ、『竜神片』たちの足を止める。
次の瞬間閃くのは、雷である。
百振りの剣が雷を纏った斬撃を振るい、足を止めた『竜神片』たちの動きをさらに金縛りのように止めるのだ。
「存分に相手してあげるよ!」
其処へ降り注ぐ蒼炎の剣。
打ち出された剣は、『竜神片』たちを各個撃破し、次々と霧散させていく。
「しかし、防衛装置は常に作動はできぬ……!」
「だからこそ、二振り一組なんだよ。雷の力で足止めして、蒼炎でトドメを刺す。そんでもって、その間に防衛装置のクールダウンする時間が終わればさ!」
再び張り巡らされる結界装置。
そう、もはや無限コンボである。相手が何かをしようとした瞬間に即座に防衛装置を展開し、決壊の檻に閉じ込め、雷の力で足止めする。
さらに蒼炎の剣で削り取れば、『竜神片』たちは力の一欠片とて振るうことができずに消滅していくしかないのだ。
「さーらーに、御札射出装置で弾幕を張れば、もう手も足もでないでしょう!」
間髪入れず、玲は御札射出装置を作動させ、弾幕で持って敵の波を完全に押し留め続けるのだ。
その光景はまるで圧倒的な防衛戦術であり、たった一人であっても『竜神片』は『百霊鎮守塔』にたどり着くことができずに霧散して消えていく。
「ふっ、私という☆6ユニットが来た時点でもう勝負は決まってたようなものだよね」
あえて言うならレアリティブラック的な。
玲は暴風のような剣による乱舞によって、『百霊鎮守塔』を守り、見事に前線を維持し続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
クルル・ハンドゥーレ
連携アドリブ歓迎
雲霞の如く湧いとるなあ
逆に言えば数撃ちゃ当たる言うことやな?
滅びへの希求なんか
ちゃちゃっと吹き飛ばして
雲の道紡ぐん頑張ろ
まあ全方向から来られてもあれや
先制攻撃でUC展開
迷宮作成
迷宮出口近くは曲がり角にし
進路と一度の戦闘人数を制限
猛毒と刺のダメージで弱体化も狙う
敵先頭が接近したら
結界術で強化した結界作動
キャバリアで出口で待ち伏せ
御札射出装置の射線確認し遮らぬようにする
範囲攻撃+破魔+毒使い+マヒ攻撃+鎧無視で攻撃
シールドバッシュと吹き飛ばしで敵同士まとめてぶつける
敵攻撃は見切り+瞬間思考力で分析
武器受け+盾受け+オーラ防御+敵を盾にするで
避けずに防御
有象無象、一昨日おいで!
闇色の沼に沈む大地。
それは嘗ての邪神と戦いバラバラになった竜神の持つ属性であった。それらを解き放ち、猟兵達が守る『百霊鎮守塔』を破壊せんと大群で迫るのが『竜神片』たちであった。
彼等は遅々として進まない進撃にしびれを切らしたように、己たちの個体としての能力を高めるように陣地を作成するのだ。
それは間違った選択ではなかった。
確かに数の利はあれど、猟兵たちの守りは硬い。
ならばこそ、個としての力を底上げし、一気呵成に防衛ラインを突破することこそが、肝要であろうと考えたのだ。
「雲霞の如く湧いとるなあ……」
その様子を見やり、クルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)は呆れたようにため息を付いた。
黒々とした大群。
それはまるで津波のようであったし、『百霊鎮守塔』を押し流し、破壊しようとするものであったことだろう。
けれど、逆に言えばそれは数撃ちゃ当たるということであるとクルルは楽観的に考えていた。
「滅びへの希求なんか、ちゃっちゃと吹き飛ばして『雲の道』紡ぐん頑張ろ」
そう、『大祓骸魂』へと至るために必要な『雲の道』。それを繋ぐためには四人の親分たちの打倒が必須なのだ。
なればこそ、ここで立ち止まっている時間は短ければ短いほどいい。
クルルは己の瞳をユーベルコードに輝かせる。
『百霊鎮守塔』をぐるりと取り囲むように迫る『竜神片』の群れは、あまりにも多い。全方向から責められては、如何に猟兵たちと言えど守りきれるものではない。ならばどうするか――。
「こうするまでや! 百花繚乱、徒然に、廻り廻りてゆく末は――」
花逍遙(ハナニサマヨウ)。
そう、ユーベルコードに寄って生み出された芳しい毒花が無数に咲く鋼の荊でできた迷路が戦場に刻まれ、『竜神片』たちの進撃を阻むのだ。
どれだけ闇色の沼を展開しようとも、その上からクルルのユーベルコードが上書きしてしまえば、意味などないのだ。
「迷宮……! これでは我らの進行方向が!」
そう迷宮であるがゆえに出口もまた一つである。ならば、彼等の進撃経路は定められ、『百霊鎮守塔』を守護するという猟兵たちの目的上、出口から現れる『竜神片』たちを狙い撃ちにするだけでいい。
さらに猛毒の花の香気が彼等を蝕み、出口からでてくる頃には、弱りきっているであろう。
「抜けたとて、容赦せん! ここで結界作動や」
クルルは出口へと到達した『竜神片』たちを前に結界装置を作動させ、彼等の動きを止める。
次の瞬間、襲いくるのは紫電纏う異形の銕の機神の一撃である。
「巨兵による攻撃……ぐっ、さらには!」
その背後より打ち込まれる御札。咲き乱れるように御札が舞い飛び、『竜神片』たちの動きを止め、振り下ろされた一撃のもとに霧散するしかない。
大盾が一気に複数の『竜神片』たちを押しつぶし、『百霊鎮守塔』へとたどり着けぬままに、彼等は消えていくしかないのだ。
「――有象無象、一昨日おいで!」
クルルは異形の銕の機神の中で啖呵を切る。
そう、一人たりとて、一片たりとて『百霊鎮守塔』へ侵入させはしない。
ここに守護する巨兵、己の駆るキャバリアが在る限り、『竜神片』たちの目論見は一つも叶わぬことを知らしめるように、大盾の一撃が『竜神片』たちを粉砕し、吹き飛ばし、霧散させては嘗て邪神と戦った竜神への手向けとするように吹き荒れるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
鈴久名・紡
結界装置と御札射出装置、か……
神力と霊力を注いで射出装置を発動
射出のタイミングはこちらの任意で行えるといいんだがな
煉獄焔戯使用
槍状にした神力で敵の最前列を先制攻撃
同時に第二波に当たる敵の群れへと射出装置を使用
弾幕から抜け出た物には
UCの槍と俺自身の攻撃
俺自身は禮火と葬焔を弓矢に変えて射掛ける
人々の信仰の対象であったなれの果て
欠片になってしまったとして
何故邪神にそれを許す?
許すな――
嘗て、神であったのなら
その矜持と覚悟を示せ
此処までの攻撃をかいくぐってきた敵には
経緯を持って葬焔で殴り飛ばす肉弾戦で対応を
敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避不能時はオーラ防御で防ぎ
負傷は激痛耐性で凌ぐ
滅ぼさせはしない
迸る神力が形を変えていくのをオブリビオン妖怪『竜神片』たちは見たであろう。
空をかける煉獄焔戯(レンゴクエンギ)の輝き。
ユーベルコードが形を為したのは巨大な槍であった。それこそが、鈴久名・紡(境界・f27962)の持つ神力である。
「欠片も残さず、灰燼に帰せ」
解き放たれた槍の投擲。
その一撃は一直線に『百霊鎮守塔』に迫る大波の如きオブリビオン妖怪『竜神片』たちを薙ぎ払った。
凄まじい威力であり、紡の放った神力の一撃は『竜神片』たちを一撃のもとに消滅さえるものであった。
先制攻撃により瓦解した前線であったが、それでもなお穴を埋めるように『竜神片』たちは霧散し消えた同胞たちの屍を越えていく。
「すぐに体勢を整えたか。元は一つの竜神であったことは伊達ではないようだな」
霊力と神力を注いで『御札射出装置』を作動させ、御札の弾幕が第二波となる『竜神片』たちに降り注ぐ。
「この程度で我らを止めようなどと」
彼等の頭部が竜の顎に変形し、放たれた御札を噛み砕くように引き裂いて、『百霊鎮守塔』へと迫る。
彼等の目的はこの『百霊鎮守塔』の最上階にある『百霊灯籠』の破壊である。
『百霊灯籠』さえ破壊すれば、カクリヨファンタズム最深層へと至る道標は失われ、『竜神親分』の力を弱めることさえ不可能になってしまう。
だからこそ、彼等は滅びを確実にするために『百霊鎮守塔』を破壊迫っているのだ。
「人びとの信仰の対象であった成れの果て……欠片になってしまったとして、何故邪神にそれを許す?」
『竜神片』は元は一人の竜神である。
邪神との戦いでバラバラになってしまった肉片が邪神の影響を受け、骸魂と合体したオブリビオン妖怪である。
紡もまた竜神だ。
だからこそ、今目の前に存在している『竜神片』たちに対する思いは他の誰よりも強いものであったことだろう。
戦って朽ち果てたのだとしても。
それでも。そう、そうれでもと叫ぶのだ。
「許すな――嘗て神であったのなら、その矜持と覚悟を示せ」
手にした武装を弓矢に変え、紡ぐは襲いくる『竜神片』たちを真正面から捉える。矢を番え、放つ。
神力が刃となって『竜神片』たちを次々と射抜いていく。
だが、それでも『竜神片』たちは止まらない。
どれだけ弾幕を張ったとして、彼等は止まらないのだ。
全てに滅びを。
ただそれだけのために彼等は走る。そこに嘗て在りし竜神としての意志はなかったのかもしれない。
「いいや、我らは滅ぼすのだ。全てを。バラバラになってしまったのは肉体だけではないのだ。覚悟も矜持も、全て砕けたのだ。だからこそ、我らと同じく全ての滅びを」
それが邪神の影響に寄るものであったとしても、嘗ての竜神の存在を歪めたことは紡ぐにとって許しがたいことであった。
「ならば、俺は嘗ての誇り高いあんたに敬意を持って戦おう」
迫る『竜神片』たちを前に紡は今を生きる竜神として鬼棍棒を振るう。
互いに激突する拳と棍棒が打ち合う音が、まるで剣戟の音のように周囲に響く。
ただ滅ぼすだけだと言った『竜神片』の言葉を否定するように、過去に誇り高く戦って散ったであろう竜神の尊厳を守るために紡は戦うのだ。
「何も滅ぼさせはしない」
放たれる拳を、蹴撃をいなし、躱す。
例え、数で押されるのだとしても、紡は己の心に抱いた意志だけを持って『竜神片』たちと戦い続ける。
激痛など意味をなさない。
もしも、自分が戦いの果に彼等と同じ者になったのだとしても。
それでも自分は自分であり続けると、意志は滅びないのだと証明するように烈火の如き勢いで津波のような『竜神片』の群れを霧散させ続けるのであった――。
大成功
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夜鳥・藍
霊力ってどうやるものでしょう?道を作るかんじなのかな?
……よくわからないから射出装置の方を使いましょう。戦場における馬防柵や制圧だったか援護射撃のような使い方でいいでしょうし。
装置を使いまずは勢いを削ぐ。騎兵も勢いがなければその威力は発揮できないといいますし、足止め程度でも十分です。
そのうえで青月をかざし雷光天絶陣にて無力化します。
連続でUCがつかえるなら使用し、使う時間がないなら青月で応戦するようにします。
こんなことになるなら実家(軍関係の家系)にいる時に、軍備や戦場、戦術についてもう少し学んでいても良かったかも。
女子なのもあるけど、家を出るつもりだったから学ばなかったのよね。
津波のように『百霊鎮守塔』へと迫るオブリビオン妖怪『竜神片』たちの群れを前に、霊的防衛装置に手を触れさせた夜鳥・藍(kyanos・f32891)はわずかに首を傾げた。
霊的防衛装置である『御札射出装置』は霊力を注ぐことで作動するようになっている。
けれど、彼女は霊力とは如何なるものであり、どのようにすれば注ぐことができるのかを理解できていなかったようだった。
「霊力ってどうやるものでしょう?」
しかし、やらなければずっとできないままである。
確かに失敗は恐ろしいものであるけれど、そうは言っていられないのだ。やって滅びるか、やらないままに滅びるのか。
二者択一であるというのならば、藍はきっと前者を選ぶだろう。
いつだって道は白紙の未来を進むものである。
「道を作る感じなのかな……」
彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
それは彼女のイメージとなって『御札射出装置』を起動させる。道を作る。己の手のひらと霊的防衛装置の間にパスを繋ぐように。
起動した『御札射出装置』から御札が射出され、迫る『竜神片』たちに降り注ぐ。
何かを防衛するときに肝心なのは、敵に勢いをつけさせないということである。
戦場における馬防柵がそれである。
「制圧だったか、援護射撃のような使い方でいいでしょう。騎兵も勢いがなければ、その突進力は発揮できないといいますし……」
足止め程度でも十分だと藍は手にした青白い輝きを放つ打刀を掲げる。
その輝きは雷光にしてユーベルコード。
「宝貝「雷公天絶陣」――まずは、敵の機先を削ぐ!」
放たれた雷撃が天上より降り注ぎ、『竜神片』たちを霧散させていく。威力は十分であるが、連射はできないだろう。
撃ち漏らしたのだとしても、周囲に帯電する雷撃に寄って彼等は今動けない。ならばと藍は駆け出す。
すでに前線はだいぶ押し上げられている。
だからこそ、敵を『百霊鎮守塔』へとは近づけさせない。
「我らを滅ぼそうとするか、猟兵! だがな!」
吹き荒れる闇色の沼が周囲に出現する。それは元は一つであった『竜神片』たちの嘗ての竜神としての属性が放つ力の奔流であった。
闇色の沼地となった大地に藍の手にした打刀の青白い雷光の軌跡が迸る。
「こんなことになるなら実家にいる時に、軍備や戦場、戦術についてもう少し学んでいても良かったかも」
そんなことを藍はつぶやく。
後悔は先に立たない。けれど、己が今為すことができるのは戦うことだけだ。手にした打刀を振るい、『竜神片』たちと打ち合う。
拳と刀が激突し、火花を散らせる。
その度に思い出すのだ。自分が女子であるからと学ぶ機会がなかったことを。いや、違うな、と藍は思った。
学ぶつもりがなかったのだ。
もとより家を出るつもりだったから自分には関係がないことだと。
「後悔はない。けれど、それが戦わない理由にはならないでしょう」
そう、カクリヨファンタズムもUDCアースも。
そして、自分の愛する家族のいる世界も。決して滅ぼさせはならぬと、藍は今己の手の中にある力を十全に振るう。
ユーベルコードが打ち出す雷撃と共に戦場を走り、『百霊鎮守塔』を破壊せんとする『竜神片』たちを蹴散らし続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
董・白
※アドリブや他猟兵との連携OKです。
【心境】
「結界展開装置」
「御札射出装置」
…なぜか心が引かれる名前です。
結界も符も十八番だからでしょうか?
【行動】
装置の起動準備を行います。
初めて触るものなので、少し時間がかかるかもしれませんが、その時間は黄巾力士たちに稼いでもらいましょう。まずは結界装置を起動し、龍神片の動きを阻害している隙に黄巾力士を出撃させます。頑張って。
自前のですが黄巾力士に道術で強化した結界術で防御力を与え、囮になってもらいます。
黄巾力士たちが龍神片をおびき寄せてくれている隙に、御札射出装置を起動します。装填している符に破魔の術を付与しました。
よし。発射-。いけー。
『百霊鎮守塔』はカクリヨファンタズム最深層に至るための道を照らす『百霊灯籠』を最上階に戴く塔である。
その輝きは最深層に眠る『竜神親分』を照らし、その力を弱めると言われている。
『百霊鎮守塔』を破壊せんと津波のように迫るオブリビオン妖怪『竜神片』たちは、その重要性をよく理解していた。
『大祓骸魂』へと至るために必要な『雲の道』。
それを紡ぐために必須条件となるのは四人の親分たちと猟兵が全力で戦い打倒することである。
ならば、そもそも『竜神親分』にたどり着けなくしてしまえばいいのだ。
だからこそ、彼等は大群でもって『百霊鎮守塔』を取り囲み幾度となく猟兵達に阻まれてもなお、破壊を諦めないのだ。
「そう、我らの正念場とは此処である! 必ずやあの塔を破壊し、猟兵達に滅びをもたらさなければならぬ」
彼等の数は凄まじいものである。
それが嘗ては一つの竜神であったと思えぬ程の数であったが、董・白(尸解仙・f33242)はにわかに心踊るような感情を覚えていた。
目の前には霊的防衛装置である『結界展開装置』と『御札射出装置』がある。
「……何故か心が惹かれる名前です。結界も符も十八番だからでしょうか?」
白はなんとも言えない感情のままに、装置に手を触れる。
初めて触れるものであるが、構造を理解することに越したことはない。
霊力を注いで起動させる。
思ったよりも扱いやすい。それもそうだろう。カクリヨファンタズムにおいて妖怪たちが最終的に防衛するはずの装置であったのだから、妖怪たちが最も使いやすいように、簡単な作りにしてあるのだろう。
だからこそ、猟兵である自分が初めて触れても操作しやすいのだ。
「これなら、もう少しで……宝貝「黄巾力士」(パオペエコウキンリキシ)、少しの間でいいので防衛をお願いしますね!」
道術によって狩りの命を与えられた宝貝人形たちが召喚され、びしっと敬礼して白と『百霊鎮守塔』を守るために『竜神片』たちが迫る前線へと駆け出していく。
彼等は程々の強さを持つが、一撃で消滅してしまう。
『竜神片』たちの攻撃の前にはひとたまりもないだろうが、それでも時間を稼ぐという意味では十分であった。
「まずは結界装置を作動! さあ、結界展開ですよ!」
起動した『結界展開装置』によって、張り巡らされた結界が『竜神片』たちの動きを止める。
どれだけ強力なオブリビオン妖怪であったとしても、動きを止められれば『黄巾力士』たちの攻撃を躱すこともできないだろう。
打ち下ろされる一撃によって『竜神片』たちが次々と霧散していく。
「次は敵をおびき寄せましょう。一撃でやられてしまうのはまずいので……!」
道術で強化された結界術で『黄巾力士』たちに防御力を与え、『竜神片』たちの進撃を惹きつける囮として機能させるのだ。
敵の数が多いからこそ、引きつけ敵の注意を『百霊鎮守塔』より引き離さなければならないのだ。
数で勝る相手に勝つためには術策こそが必要なものである。
『黄巾力士』たちが白の号令にしたがって、『竜神片』たちを引きつける。十分な距離を保った瞬間、白は『御札射出装置』に霊力を注ぎ込む。
そう、時間稼ぎはこのためにあったのだ。
けれど、『御札射出装置』の御札には、そこまでの威力はない。
「ふふふ、何のための時間稼ぎです。装填している符に破魔の術を付与した私特別製ですよ! よし。発射ー! いけー!」
起動した『御札射出装置』から御札が乱れ打たれる。
それは火線を空に引くように放たれ、凄まじい勢いで『竜神片』たちを飲み込んでいく。
彼等が黒色の津波であるというのならば、白が放った御札はまるで白い閃光のようであった。
津波を打ち砕き、圧倒的な力で込められた破魔の力が炸裂するのだ。
「ば、ばかな……! あの御札には此処までの威力が……!」
何事も工夫次第である。
白は己の破魔の力でもって強化した『御札射出装置』の威力に満足しつつ、次々と御札の斉射でもって『竜神片』たちを薙ぎ払っていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
セルマ・エンフィールド
竜神親分の力を抑える……以前見た予兆では東方親分は竜神親分を「最弱」と言っていましたが、その必要があるあたり言葉通りの意味ではないのでしょうね。
数が多い。こちらも手を増やした方がよさそうですね。維持できる時間は短いですが、その分戦力としては十二分です。
【狼の冬】を使用、12体の氷の狼を召喚し、散開させてその爪と牙で龍神片への対処にあたらせます。
私自身は防衛装置を使用、御札射出装置による御札の『弾幕』による『威嚇射撃』で龍神片足を止め弱らせたところを氷の狼に襲わせる連携で仕留めます。
戦闘可能時間の限界が近づいたら結界装置を起動、一時的に攻撃を凌いでいる間に私は体を休め、他の猟兵と交代します。
かつて多くの猟兵達が見た予兆をセルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は思い出す。
『最弱の竜神親分』。
カクリヨファンタズム最深層に座す『竜神親分』。
言葉通りに受け止めるのならば、四人の親分の中でも最弱である、ということであろうか。
ならば、何故『百霊鎮守塔』の最上階に戴かれる『百霊灯籠』は『竜神親分』の力を弱める必要があるのだろうか。
「その必要性がある辺り、言葉通りの意味ではないのでしょうね……」
セルマの分析は正しかった。
確かに『竜神親分』は最弱である。
けれど、彼は無限に強くなっていくという特性を持つからこそ、『大祓骸魂』への切り札として眠りについていたのだ。
その力は凄まじいの一言に尽きるだろう。
必ずやこの『百霊鎮守塔』を守り、『百霊灯籠』でもって弱体化を為さねば、二つの世界を守ることは叶わないだろう。
「その前にまずはこちら、ですね……」
セルマの目の前に広がるのは津波のようになだれ込んでくるオブリビオン妖怪『竜神片』たちであった。
彼等は回避と攻撃が一体となった流麗なる動きで持って、猟兵たちの防衛ラインを突破しようとしている。
敵の数が多いというのは、少数精鋭である猟兵たちを食い破るには十分な脅威を持っていた。
ならばこそ、セルマの瞳がユーベルコードに輝く。
「あまり時間はかけられません……速やかに終わらせましょう」
そのユーベルコードの名を、狼の冬(オオカミノフユ)と言う。
彼女自身が戦うことはできなくなってしまうが、彼女の二倍はあろうかという氷の狼が召喚される。
ずらりと並んだ12体の氷狼たちの姿は壮観であった。
維持できる時間は短い。けれど、それで十分だとセルマは氷狼たちに指示を出す。
彼女の号令に従うように氷狼たちが戦場を駆け抜ける。
「私達の戦いは常に繋ぐ戦い……ならばこそ、この波状攻撃を食い破る突破力が必要とされる……」
彼女の召喚した氷狼たちは次々と爪と牙でもって『竜神片』たちを食い破っていく。
どれだけ回避と攻撃を一体化させた動きであったとしても、氷狼たちの前には無意味である。
さらにはセルマが作動させた防衛装置による御札の弾幕は効果的に『竜神片』たちを足止めさせ、弱らせるのだ。
それはまさに狩りそのものであった。
セルマ自身が司令塔となって氷狼たちを指揮する。
氷狼たちはセルマの爪と牙となって、『竜神片』たちを片っ端から討ち滅ぼしていくのだ。
「強力無比……ですが、此処までですね」
セルマは己のユーベルコードの輝きが失せてきているのを感じ取って、結界展開装置を作動させる。
これで氷狼達が消えた後、足止めができる。
前線に空いた穴は、他の猟兵達に任せる。その間にセルマ自身は体を休め、一時の休息を取るのだ。
「戦いはまだまだ続きます……持久戦にはさせはしません」
回復すれば、再びセルマは打って出るであろう。
戦いは数である。
けれど、敵だけが波状攻撃をするわけではない。猟兵たちもそうだ。
一人が防ぎ、一人が穿つ。
一人が倒れれば、一人が助ける。
そうやって戦うからこそ、これまでも自身たちよりも強大な存在を打倒してきたのだ。セルマはそれをよく知っている。
「回復は十分。まだ行けます」
セルマの瞳は決して絶望に陰ることはない。
そこにあるのはユーベルコードの輝きだけではない、不屈の、鋼の意志が燦然と輝くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
遥・瞬雷
如何なる世界だろうと、陰陽の調和を保ち世界に安寧をもたらすが仙道の務め。
一つ武者働きさせて貰おうかね。
敵は多数。ここは防衛装置を使いこなすのが正道だね。
宝貝と似たようなものか。なら【仙術】の術理で制御できるかな。
宝貝「央華飾」で【情報集中】。脳裏に周辺広範囲の状況と敵の動きが映し出される。修業で鍛えた【瞬間思考力】で戦況を分析。【戦闘知識】で適切な位置に結界を展開し、御札を投射する事で敵の進軍の動きを制御誘導。散開させず私の前の範囲に集中させる。矢と盾の数に限りがあるなら、攻防には用いず敵の誘導に使うべし。
集めた敵群に【三昧真火】。五行相克の法則を超え、水や属性の理すら燃やす真の炎で焼き払う。
『百霊鎮守塔』に迫るオブリビオン妖怪『竜神片』たちは、思いがけず激しい抵抗に遭い、攻めあぐねていた。
猟兵たちの数は自分たちよりも少ない。
圧倒的に数では己達が勝っているのだ。
「なのに何故未だに、あの塔を攻めきれぬというのだ」
自分たちは嘗て一つの竜神であったのだ。邪神との戦いにこそ敗れ、バラバラになってしまったが、力に関して言えば邪神の影響と骸魂の合体に寄って増しているのだ。
なのに何故。
その疑問だけが彼等の心の中に染み渡っていく。
「如何なる世界だろうと、陰陽の調和を保ち世界に安寧を齎すが仙道の務めだからさ」
その言葉は、『百霊鎮守塔』の中から響く。
言葉の主である遥・瞬雷(瞬雷女仙・f32937)は、宝貝と似たようなものであると霊的防衛装置をたぐり、戦術でもって制御せしめる。
花形の髪飾りの宝貝である『央華飾』によって脳裏に戦場の情報を映し出す。
周囲に展開するオブリビオン妖怪『竜神片』と仲間の猟兵たちの位置を把握する。前線は未だ押し上げられている最中だ。
なるほど、と瞬雷はうなずく。
オブリビオン妖怪たちが攻めあぐねている理由がわかる。猟兵たちの戦いぶりは、見事なものだった。
個としての力を振るいながらも防衛装置を上手く使って数の振りを覆しているのだ。
「一つ私も武者働きさせて貰おうかね」
一瞬で判断を下す。
脳裏に浮かぶ情報から防衛の層が薄い場所を見つけ出し、瞬雷は『結界展開装置』を起動させ、結界によって防衛の層が薄い場所を充填するように厚く遮り『竜神片』たちが突出することを防ぐのだ。
「となれば、そう動くものだろうね、群れというものは」
さらに展開された結界を迂回しようとした『竜神片』たちを襲ったのは、まるで其処に置くように射出された『御札射出装置』の御札の雨であった。
まるで戦場を空から見ているような俯瞰した戦術眼は瞬雷にとって当然の技量であった。
彼女のこれまでの来歴を考えれば、それができて当然であったが、瞬雷は誇らない。
今なすべきことを知っているからである。
御札の雨を逃れた『竜神片』たちが這々の体で防衛ラインを突破してきたが、その前に立つのは瞬雷であった。
「矢と盾の数に限りがあるのならば、攻防には用いず敵の誘導に使うべし」
それは己に言い聞かせるようでもあり、戦いの道具とはかくあるべきであると『竜神片』たちに知らしめるようでもあった。
そう、瞬雷は防衛装置をただの防衛装置ではなく、敵軍を自分の目の前に誘導するために使ったのだ。
何のために?
簡単なことだ。
「纏めて打ち払うためさ。我求め願うは三味の真火 疾く有れかし!」
それは燃やし滅ぼすという現象を具現化した真の炎。
三味真火(ザンマイシンカ)。その炎が瞬雷の周囲に飛び交う。
五行相克の法則を超え、水や属性の理すらも燃やす真なる炎が解き放たれる。例え、邪神と骸魂によって強化された『竜神片』たちであったとしても関係ない。
必滅の炎は、戦場をほとばしり、散々に誘導された『竜神片』たちを跡形もなく燃やし滅ぼし、霧散させる。
嘗ての竜神の成れの果て。
「確かに個としての力と数が合わさったものは強大だろうさ」
けれど、と瞬雷はかぶりを振る。
どれだけの大群であろうとも、それらを制し滅ぼす術策がある。
地の利を得て、そして相手を識り、己を識る。
それさえできれば何も恐れることはないのだと真の炎が火球となって、彼女の道を阻むもの全てを尽く討ち滅ぼしていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
ふーむ………塔の施設を守りつつ迎撃すれば良い…と言っても数が多いこと多いこと…
…数が多いならこちらもやりようがある、と…まずは結界展開装置で進軍を阻んで…
…展開されている間に重奏強化術式【エコー】で重奏強化術式【エコー】を強化…これを繰り返して【エコー】の強化量をどんどん上げていこう…
……そして隔壁が解除された瞬間に多重強化された【エコー】で威力を増幅した【連鎖する戒めの雷】の発動…
…一気に縛り上げて動きを止めると共に雷撃によりダメージを与えよう…
元が1つだけはあって伝播も容易いね…さて、拘束している間に結界発生装置のクールタイムが終わったらまた繰り返しだね…
防衛と一口に語っても、その手法は様々である。
猟兵達が守らねばならぬ『百霊鎮守塔』は霊的防衛装置が備えられていたとしても絶対的な戦力差は覆らない。
オブリビオン妖怪『竜神片』の数は凄まじく、その威容は津波のように幾度となく迫ってくるのだ。
前線で戦う猟兵たちにとって、その第一波、第二波と続く波状攻撃は数の利で勝る『竜神片』は驚異的な存在であったのだ。
「我らの望みは破滅のみ。世界も、何もかも全てを滅ぼして、あらゆるものを無にする。それこそが我らの望み」
彼等は嘗て邪神と戦った竜神がばらばらになった存在だ。
その肉片が邪神の影響を受け、骸魂と合体したことによってオブリビオン妖怪へと変貌した存在だ。
世界を守らんとした竜神の意識はもうないのだろう。
だからこそ、滅びを求める。
「ふーむ……塔の施設を守りつつ迎撃すれば良い……と言っても数が多いこと多いこと……」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は『百霊鎮守塔』を守るために転移してきたが、敵の数の多さに嘆息する。
しかし、嘆息ばかりしていられないのが猟兵の辛いところである。
「数が多いならこちらもやりようがある、と……」
メンカルは『結界展開装置』を作動させ『竜神片』の進撃を食い止める。
彼等の勢いは凄まじいものであるが、結界によって足止めができるのならば時間が稼げる。
彼女の周囲に展開される術式がまるで輪唱のように広がっていく。
それは重奏強化術式『エコー』。
一つの術式がもう一つの術式を強化していく。連なる『エコー』の強化術式は輪を描くようにしてメンカルの周囲に浮かんでいく。
「彼奴は何をするつもりだ……!?」
『竜神片』たちは結界に阻まれながらも、闇色の沼を展開していく。
彼等の元となった竜神が持っていた属性に寄る地形の侵食と強化。それをしてもなお、目の前に広がる膨大な術式の数を見て、目を剥くのだ。
それはあまりにも膨大すぎた。
メンカルの周囲を埋め尽くし、全天すらも覆うような術式の数。
それら全てがたった一つのユーベルコードを強化するためのものであったのだ。
「紡がれし迅雷よ、奔れ、縛れ。汝は電光、汝は縛鎖。魔女が望むは魔狼封じる天の枷」
詠唱が紡がれ、『エコー』によって増幅されたユーベルコードの輝きが空を明滅させる。
周囲に展開された無数の魔法陣の数は、津波のように押し寄せる『竜神片』をも上回るものであったことだろう。
瞬間、放たれた連鎖する戒めの雷(ライトニング・チェイン)は、彼等の体を拘束し、電撃で持ってその身を穿つのだ。
「がっ……ぐぁ……――ッ!?」
それはまさに一瞬だったのだ。
迸る雷撃は、まるで伝播するように瞬時に『竜神片』たちを絡め取り、彼等の体をつなぎ打ちのめしていく。
「元が一つだけあって伝播も容易いね……さて、拘束が解ける時間はどれくらいかな? 結界展開装置のクールタイムが終わるくらいは持つといいけれど」
そう、敵の数が圧倒的であるのならば、こちらもまた数で押し返す。
たった一人であったとしてもメンカルのユーベルコードは、同じ性質を持つ存在に対しては、まさに切り札と言える力であった。
『竜神片』が元は一つの竜神であったとは、彼等にとっての利点であったであろうが、メンカルにとっては与し易い弱点の一つでしかないのだ。
迸る雷撃の鎖が、彼等を一欠片とて逃しはしないと大地を走り、次々と霧散させていく。
一歩たりとて『百霊鎮守塔』には近づくことを許さぬと明滅する術式と雷撃は、まるで蹂躙するように戦場を覆い尽くしていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
こいつらって、言ってみればドラゴンゾンビの一種かしらね? 清め祓いは巫女の十八番。祓い落としてあげようじゃない。
羅睺、塔の霊的防御装置は任せた。強化改造したいならやっていいわよ。それくらいの時間は稼いでみせる。
「竜脈使い」で竜脈の流れを読んで、竜穴にて防衛戦を開始する。霊的施設なら、竜穴の上に建てるのがセオリーだものね。
「結界術」「全力魔法」「範囲攻撃」破壊の「属性攻撃」「衝撃波」「破魔」「浄化」「仙術」「道術」で、天烈陣展開!
かそけき光の流星雨の後は、巨大隕石がお待ちかねよ。近づかれる前に討滅する。
さすがは竜穴。呪力がどんどん湧いてくるわ。
羅睺、そっちの準備が出来たら、やっちゃって!
「こいつらって言ってみればドラゴンゾンビの一種かしらね?」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)はまず、オブリビオン妖怪『竜神片』を見たとき、真っ先にそう思ったのだ。
元は竜神であったという『竜神片』。
邪神と戦いばらばらになった肉片が邪神の影響を受け、骸魂と合体したことによって生み出された存在だ。
彼等の強みは言うまでもなく数である。
同一の存在から生まれたということは、彼等の意思統一を容易にし、連携を密にするのだ。
邪神の力を顕すような頭部が顎を開き、『百霊鎮守塔』を破壊せんと迫る。
その姿に最早嘗ての竜神としての姿はなかった。
「清め祓いは巫女の十八番。祓い落としてあげようじゃない」
式神羅睺に塔の霊的防衛装置の防衛を任せ、ゆかりは駆け出す。
自身の龍脈使いとしての感覚が戦場に満ちる龍脈を感じ取る。敵は数で勝り、こちらは防衛を強いられる。
ならば竜穴にて防衛の陣を敷くのが理にかなった行動であろう。
「小娘が! 我らをたった一人で止められると思うな!」
迫る『竜神片』たち。
その姿は異形であり、異形なる顎を持ってゆかりを噛み砕かんとするのだが、ゆかりの瞳に輝くユーベルコードがそれを許さない。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天より降り注ぐ先触れのかそけき光よ。滅びの遣いを導き、地上をなぎ払え。疾!」
天烈陣(テンレツジン)。
それは戦場に降り注ぐ光の流星雨である。
まるで津波のように迫る闇色の『竜神片』たちを洗い流すような鮮烈な光の煌きが、空より降り注ぎ彼等を打ち据えるのだ。
しかし、それだけでは止まらぬのがオブリビオン妖怪である。
ただ滅びを求め、滅びを実行するだけの存在。彼等の目的は猟兵を打倒することではない。
彼等は『百霊鎮守塔』さえ破壊できればいいのだ。
猟兵たちを『竜神親分』の元に向かわせなければ、それだけで彼等の勝ちが決まる。
「けれど、そう簡単には行かせないわよ」
ゆかりの体に力が満ちていく。
それは龍脈を識る者だからこそであったことだろう。龍脈から流れ出る呪力が体の奥底から湧き上がってくるのだ。
「羅睺、そっちの準備ができたら、やっちゃって!」
放たれる御札射出装置より乱舞する御札。
それらは破魔の力を伴って、降り注ぎ『竜神片』たちの体に張り付いて、封をするように動きを止めるのだ。
ならばこそ、ここで本命の一撃が天より加えられるのだ。
「かそけき光の流星雨の後は、巨大隕石がお待ちかねよ!」
燃え盛る巨大な隕石が天より降り注ぐ。
その光景は『竜神片』達が望んだ滅びの光景であったことだろうが、それは己たちの滅びではなく、他者の滅びであった。
何処まで言っても邪神によって侵された竜神の嘗ての肉体。
骸魂と合体したことによってオブリビオン妖怪となった彼等には、到底許容できぬ事実であったことだろう。
けれど、関係などないのだ。
空より落とされた鉄槌の如き巨大隕石は、必ずや邪神を打ち砕く。
星の一撃によって一瞬で蒸発、浄化された『竜神片』たちは霧散し消えていく。
嘗て邪神と戦ったときのような意志は最早ないのだとしても、それが邪神に影響されることなどあってはならない。
そう願うようにゆかりは流星の一撃に、己の信念を込めるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
正真正銘のタワーディフェンスだね
皆と協力して塔を守るよ
相手が数でせめて来るなら
こちらも数で対抗しよう
まずは僕が結界装置で安全を確保しつつ
使い魔達は一部はお札射出装置で攻撃を
一部は馬防柵で防衛陣地作成を
一部はその護衛で格闘攻撃と金属片での射撃攻撃を
一体は鉑帝竜として攪乱をお願いしよう
がんばるのですよー
結界装置が作動した後は
僕もガトリングガンで
範囲攻撃や制圧射撃で敵を倒していくよ
ドローンで空中から撮影
ゴーグルに転送して敵の動きを把握しつつ戦おう
噛みつき攻撃を仕掛けてきたら
お札や弾で牽制したり
金属化の状態異常で動きを止めたりして凌ぐよ
敵の数が多いといっても無限じゃないはずだ
一体一体確実に倒していこう
津波のように『百霊鎮守塔』に襲いかかるオブリビオン妖怪『竜神片』たち。
その数は数えることもできぬほどの大群であったが、猟兵たちの活躍に寄って、未だ防衛を為し得ていた。
戦いはすでに終盤。
されど、ここで気を抜けば一気に巻き返されてしまうのが防衛戦というものである。
「正真正銘のタワーディフェンスだね」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は目の前の光景を見てつぶやいた。
けれど、皆と協力して戦えば、成せぬことなどないと息を吐き出す。
敵の数は多い。
けれど、こちらだって負けては居ない。
「『結界展開装置』を起動……さあ、みんな。よろしく頼むよ」
晶の瞳がユーベルコードに輝く。
式神白金竜複製模造群体(ファミリア・プラチナコピー・レプリカ・レギオン)である使い魔達が空を飛び、次々と『御札射出装置』へと配置されていく。
展開された結界が『竜神片』たちを押し留め、足止めをする。
その間に使い魔たちの一部が馬防柵で防衛陣地を作成し、さらにその護衛として金属片を打ち込む使い魔たち。
少しでも『百霊鎮守塔』に近づく『竜神片』の数を減らそうとしているのだ。
巧みな使い魔たちの使役に寄って次々と陣地を作成し、拠点を作成していく晶。さらに一体を巨大な試製竜騎「鉑帝竜」に配置し、さながら軍団を指揮するのだ。
「がんばるのですよー」
使い魔たちのやる気を出した声が響き渡る。
打ち込まれる金属片や馬防柵で押し止められる『竜神片』たち。暴れまわる巨大な鉑帝竜。
戦場は混乱の極みにあったが、晶はドローンで空中から撮影し、俯瞰した視点をゴーグルに転送し敵の動きをつぶさに観察していた。
「これじゃ、力押しもいいところだね……これならば僕も打って出たほうが良さそうだ!」
晶はガトリングガンを構えて戦場へと飛び込んでいく。
結界展開装置のクールダウンを待っていては、『百霊鎮守塔』に迫る『竜神片』の大群に飲み込まれてしまう。
ここは攻め込むべきだと考えたのだ。
「敵の数が多いと言っても無限じゃないはずだ」
そのとおりである。
自分だけではない。他の猟兵たちも使い魔たちも、この戦いに参加した者たち全ての思いが結集している。
倒せない敵ではない。ならば、そう、晶たちの敵ではないのだ。
「一体一体確実に倒していこう!」
唸るガトリングガンが火を噴くように弾丸をばら撒き、次々と『竜神片』たちを打ち払っていく。
噛みつこうと迫る姿は危機迫るものであったが、晶にとっては問題ではない。こちらには多くの味方がいる。
使い魔たちによって操作された御札射出装置から放たれた御札の弾丸が打ち込まれ、敵を薙ぎ払っていく。
「数で勝ると言っても質で劣るとは言っていないからね!」
此処にあるのは一騎当千の猟兵達である。
数を頼みにしたところで、自分たちを乗り越えなければ『百霊鎮守塔』は破壊などさせない。
その決意を見せつけるように晶は使い魔たちと構築した防衛戦を強固なものとし、たった一体の『竜神片』すらも突破させずに撃滅せしめるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
塔を守ればいいんだね。防御なら攻撃よりは得意だし、がんばるよ!
大軍を相手にするとき、相手のほうが数が多いときの戦い方としては、
動きを制限して、相手に全力で攻めさせないことが大事だよね!
【迷宮回路】を発動させて、塔の前に迷路を作るね。
塔を囲まれないようにすると同時に、攻めてくる場所を出口からのみに限定。
そこに『御札射出装置』で集中砲火を浴びせよう。
それでも抜けてくる『竜神片』はいるだろうから、
そのときは『結界装置』を発動させて足止め。
【M.P.M.S】をロケットランチャーモードにして、ロケット砲を撃ち込むね。
弾頭は広域殲滅用クラスター弾。敵を一気に殲滅するよ。
ここは絶対におとさせないから、ねー!
戦いにおいて攻め守ることの違いはあれど、己が得意する領分は確かに存在するのだろう。
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)にとって、戦いの中における防衛という役割は非常に得手とするところであった。
普段から電脳魔術に慣れ親しみ、メンテナンスや強化を受け持つことが多いカノジョにとって、『百霊鎮守塔』を守ることは攻め込むよりも気が楽なものであった。
「大軍を相手にするとき、相手のほうが数が多いときの戦いとしては……」
そう、敵の動きを制限し、相手の全力を出させないことが肝要である。
ならば、敵――オブリビオン妖怪『竜神片』にとっての全力とは何か。
それを問うことから始まるであろう。
彼等は多にして一。
元は竜神であり、邪神との戦いによってばらばらになった肉片が邪神の影響と骸魂との合体に寄って今の姿に変じた存在である。
彼等の得意とするところは数の多さに寄る連携の煩雑さではなく、逆に元が一つであるがゆえに連携を密にすることである。
ならばどうするか。
「簡単なことだよね。皆が同じ事を考えるんなら……」
一つのことに集中させてしまえばいい。
多数であることの利点と弱点は表裏一体である。
全てが違う存在であれば、それだけ多くの異なった視点を得ることができる。けれど、統一されていない動きは、群としての動きにほころびを生み出す。
逆に全てが同じ存在であれば、統一された動きを見せ一糸乱れぬ行軍を可能にするが、視野は狭窄するだろう。
「電流の気分を味わって、ねー」
理緒のユーベルコードが輝く。
彼女のユーベルコード、迷宮回路(メイキュウカイロ)は、電子回路基板をもした絶縁体でできた迷路を生み出すものである。
戦場に組み上げられた迷宮回路は、『竜神片』たちを取り込む。
「だが、この程度の迷宮で我らを止められるものか。我らは多にして一。この程度の迷宮など即座に踏破してくれるわ!」
彼等は統一された存在である。
ならばこそ、一つの目的に邁進することは容易であった。けれど、それは言ってみれば、一つ以外のことを群が取れぬということの裏返しでも在るのだ。
「それでも抜けてくるよね……! だから!」
理緒は『御札射出装置』を作動させ、回路から飛び出してくる『竜神片』たちを尽く打ちのめしていく。
出口は一つしかなく、そこからしか出てこないというのであれば、敢えて狙いをつけることも必要はないのだ。
『百霊鎮守塔』に備えられた防衛装置を起動させ、御札でもって集中砲火を加えれば、『竜神片』たちはたちまちの内に霧散してしまう。
さらに屍を越えて突破する物があれど、防衛装置は二つあるのだ。
結界展開装置が起動し、張り巡らされた結界が『竜神片』の動きを止める。
「君が最後の一体、だよ。ここは絶対におとさせないから、ねー!」
理緒がうんしょ、とミサイルランチャーを構える。
重たいのか、たたらを踏みながら構えたさきに在ったのは、『竜神片』の最後の一体であった。
これまで多くの猟兵達が戦いに参加し、これらを打ちのめしてきたのだ。
必ず守ると決めた地を、守る。
その思いが結実した結果であり、理緒の放った広域殲滅用クラスター弾を装填された弾頭が放たれる。
それは万に一つも討ち漏らしがないようにと理緒が選択した弾頭である。
ばらまかれた弾頭が広範囲に降り注ぎ、『竜神片』の最後の一体を徹底的に打ちのめし、霧散させていく。
あの津波のような『竜神片』の群れは尽く霧散し、『百霊鎮守塔』の最上階にて『百霊灯籠』が輝く。
その灯りの照射はカクリヨファンタズムの最深層、『竜神親分』の座す路を示している。
そして、その灯火がきっと最弱と呼ばれた『竜神親分』の力をきっとそいでくれる。
無限に成長し続けると言われた『竜神親分』。
その圧倒的なワイルドカードを猟兵達は打倒しなければならない。きっと『百霊灯籠』は、その未来を明るく照らしてくれる。
それを理緒は信じ、戦いの終わりを告げ、共に戦った猟兵達と共に『大祓百鬼夜行』の終盤へと走り出すのであった――。
大成功
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