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銀河帝国攻略戦➉~破壊工作はお好き?

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「エンペラーズマインドは知っていて?知らなくても行ってもらうのだけど!」
 あっ、でも説明はするのだわ?と璃瑠はドリルヘアーをぶるるんっと揺らした。
 エンペラーズマインドとはワープドライブを妨害する機能を有する、巨大な遺失技術を持った巨大要塞だ。
 ワープドライブを妨害されれば銀河帝国皇帝との戦闘はかなり厳しいものになってしまう。
「とってもお邪魔虫でしてよ!でも、今はチャンスなのだわ!」
 今、銀河帝国の主な防衛部隊は解放軍との決戦に備えて防衛ラインを展開している。つまり、エンペラーズマインドの周辺防衛が手薄となっているのだ。
 もしもまた周辺防衛が厚くなってしまえばワープドライブなしの破壊は困難を極める。
 だからこそ、手薄である今、防衛の隙をついて開口部から中へと潜入し、エンペラーズマインドの心臓ともいえる、【エンペラーズマインド・コア】を破壊し、エンペラーズマインドの機能をなくしたいところ、ではある、のだが。
 そのコアがどこにあるのかはまだわからないのだ、と悄然と璃瑠は肩を落とした。
 ただでさえ広い内部構造にコアを守っている数百を下らない巨大障壁は、どれがコアに繋がっているのかさえ分からない。

 だからとにかく一つでも多く壊してしまえ、という事のようだ。つまり、今回はコアの破壊ではなく、そのコアを破壊するための前哨戦のようなものだ。
 一つでも多く壊せばその分、奥にある【エンペラーズマインド・コア】にたどり着きやすくなる。警備兵に見つからないように奥へ進み、重要そうに見える巨大障壁は特に壊してほしいとの事だった。
 少々脳味噌筋肉思考ではあるが、奥へ、【エンペラーズマインド・コア】へとたどり着くには有効打でもあろう。
 巨大障壁の壊し方はお任せするとの事だ。ただ、巨大障壁は壊せばあっという間に巡回している警備兵がそこへ集まるので逃げるのは困難、壊せても一人一枚が限度だろう。だからこそ、奥へ、コアに近い障壁を壊すように頑張ってほしいのだ。
「敵に見つからないように忍び込み、巨大障壁を破壊する!これが今回のミッションでしてよ!撤退はこちらでなんとかするから、ミッションに集中してくださって大丈夫なのだわ!」
 よろしくなのだわ!と言いながら、璃瑠のグリモアはぐりんぐりんと回って光り始めた。


月月月
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 こんにちは、月月月です。
 今回は破壊工作ミッションとなります。「警備兵に見つからないように潜入し」「巨大要塞を破壊する」、これがこのシナリオの目的となります。奥に行けば行くほど警備兵は多くなるので、潜入方法を考えなくてはいけないでしょう。
 皆様のご参加、お待ちしております。よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『⑩エンペラーズマインド突入戦』

POW   :    密かに潜入し、POWのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

SPD   :    密かに潜入し、SPDのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

WIZ   :    密かに潜入し、WIZのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 要塞とは基本的に外からの攻撃を防衛する能力が高い。攻撃から耐えるためなら、装甲を厚く、堅くすればいい。
 そう、外部からは強い。では、内部からはどうだろう?
 外と同じようにはいかない。堅くしようとも、全て壁で覆うわけにはいかない。厚くしようとも、限界がある。内部からの攻撃にはあまり強くないのだ。
 だからこそ、彼らは侵入者を警戒し、多くの兵士を常に巡回させていた。特に重要なコアを守るために、巨大障壁も多く用意していた。
 しかし、彼らはまだ気づいていなかった。彼ら以外の存在が要塞内部に既にいる事を。そして、その者たちは既に動き出していた。
 彼らが気付き、やっと動き出したのは、障壁の異常を知らせる連絡が届いた時であった。
蒐集院・閉
潜入工作ですか…分かりました、では参りましょう。
その前に、茜羽織は脱いでいきます。名残惜しいですが、目立ちますので。

「忍び足」を使いまして、静かに、速やかに、可能な限り奥まで潜入します。
その上で、【武装開放・獄卒態】を鉄塊に発動させ、「怪力」等も駆使して隔壁を破壊しましょう。
可能であれば、逃げる前も多少騒ぎを起こして警備兵を集めて蹴散らし、他の猟兵の皆さんが侵入しやすいようにしておきます。

とじは不器用ですが…力仕事であれば自信があります。


月鴉・湊
さぁて銀河帝国に意地の悪い悪戯を仕掛けましょうかね。


UCを仕様し身を隠して潜入する。もちろん忍び足で音を立てずにな。
そしてこのUCは暗殺対象も透明になる。
そう、破壊対象の障壁が一枚消えるんだ。見張りの奴らは大混乱だろうな。
それによりこちらに見張引き付けることも出来て他の猟兵がやりやすくなるだろう。

そして消えていた障壁が見えた頃には破壊されているだろうさ。
俺の刀によってな。この辺りには銀河帝国に恨みを持つ魂がいくらでもいる。おかげで刀にいつもより調子がいいみたいだしな。
破壊工作、静かに、そして派手にやらせてもらいましょうかね。



 その連絡が来る少し前。
 息を殺し、蒐集院・閉(f02941)は通路の角から先を伺っていた。近くに敵の気配がない事を確認し、一呼吸置いてから足を踏み出した。
 しかし、ざっざっという微かな足音に一瞬止まり、また元の角に戻る。巡回兵が曲がってくれば発見されてしまうが、運よく別のルートだった様子で、曲がらず、閉が潜む角を通り越してまっすぐ進んでいった。
 安堵の息を吐き、今度こそ巡回兵たちが来た方向へ進む。もちろん、警戒は怠らずに、だ。
 その身には着慣れた茜羽織はない。今回は潜入という事で目立つために置いてきたのだ。心なしか、いつもより寒さを感じてしまう気さえする。
 さらなる角を曲がった閉は眉をひそめた。前に続くのはしばらく角のない直線通路。急いで駆け抜けてもその間にどちらかから敵が来れば見つかってしまう。
 だが、戻って別の道を、というのは先ほどとは別の巡回兵と鉢合わせになりやすいかもしれない。意を決して閉は進み始めた。
 タイミングは悪く、もうすぐ通路の反対側へ着くという時に曲がり角の先から話し声が聞こえてきた。荷物を運んでいる二人組がこちらへやってきているようだ。
 このままでは正面から出会ってしまうとなった閉は近くの扉へと向かった。
 運よく扉に鍵はかかっていなかった。身体を滑り込ませ、すぐに閉じ、本体である錠前をかける。
 気配を殺し、通り過ぎるのを待つ…が、話し声と足音が扉の前で止まる。ちょうどここが目的地だったようだ。
「ん?なんだ、開かないぞここ」
 がたっがたたっと二度三度と戸が引かれる。無理やり開けられれば見つかってしまう。
「なんか引っかかってんのか?」
「開きそうにないな…整備のやつらに言っておこう」
「そうだな、ここはとばして別の場所へ先に行くか」
 足音と話し声が遠ざかっていく。安堵の息を吐いてから、閉は外へ出た。
 そして、少しいった先に、それはあった。
「…思った以上に大きいですね」
 やっと見つけた障壁を閉は見上げた。壊せるか、と自問し、壊すと答えを出す。
「とじは不器用ですが…力仕事であれば自信があります」
 巨大な身の丈ほどある、武骨な鉄塊を構える。
 ゴウと音をたてて鉄塊と腕が丸々炎に包まれる。赤黒く舐めるように燃え盛る地獄の炎。
 だが、意に介す事はなく、閉は標的を見据えた。
「地獄の悪鬼、鉄火の具足。死者を責め苛み、滅ぼしましょう…!」
 轟音が響き、巡回兵が集まると、そこには巨大な穴をあけ、ぼろぼろと黒い炎に焼かれながら崩れる障壁があった。


 月鴉・湊(f03686)は微かに聞こえた音に顔を上げた。
「派手にやってるな。さぁて俺も銀河帝国に意地の悪い悪戯を仕掛けましょうかね」
 笑った湊の傍を巡回兵が走り抜ける。そう、走り抜けているのだ。自分たちのすぐ前に侵入者がいるというのに言及どころか目も向けずにその傍を通っていく。
 触れるすれすれを通った彼らに危ないなと呟いた声が聞こえたのか、一人がふと足を止めて今まさに湊が立っている場所を凝視するが、その視線は湊を見ているようで見ていない。仲間に急かされすぐに走って行ってしまった。
 彼らの目がおかしくなってしまっているわけではない。これは湊の力であり、実際に見えなくなってしまっているのだ。ただ、音や体温等は消せないのでサーモグラフィー等の温度を測る機器があれば別だが…常備しているわけもないし、何もないと思い込んでいる空間に使う者は中々いない。
 だからこそ、彼は余裕で障壁にたどり着いた。確認しにきた巡回兵なぞ障害にもならない。
 湊は静かに障壁へと近づいて触れる。それだけで、障壁さえも巡回兵たちには見えなくなった。
 いきなり目の前から今まであった障壁が消える。わけがわからず、危険性も判断しきれないため、彼らは近づかずに遠巻きに障壁があった場所を見やる。
 そんな後ろの混乱は気にせず、湊は妖刀を抜き放ち、様子を見る。
「いつもより調子がいいみたいだな」
 刀に纏わりつく黒いもやがいつもより濃く、感じる力も強い。このもやは所謂恨みの念。恨みを持つ魂たちが一時的に顕現したもの。
 どうやらここいらには銀河帝国を恨む亡霊が多いようだ。
 それはそうだろう。無念に散った者は少なくない数いるからだ。
「…断ち切れ、影楔」
 一太刀目は、右上から左下へ。すぐさま二太刀で左上から右下へ。
 刀を鞘へしまい、軽く蹴り飛ばせば、泰然としていた障壁は斬られた箇所がずれ、そのまま耐え切れずに倒れた。
 低い音を立てて倒れた音は聞こえたのだろう、何が起こったのかとさらに混乱が生じる。
 その彼らの間を堂々と湊は歩き、通り抜ける。焦る必要は何もないというように。
 ゆらり、陽炎のように空気が揺れ、一瞬だけ湊は姿を露わにする。それと同時に倒れた障壁が姿を現した。
 慌てて報告を始める後ろの巡回兵に笑みを向け、また姿を消して悠々とそこを立ち去ったのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

上月・衒之丞
……ふむ、潜入任務、と。
では参りんしょ。
気負う必要もありんせん。
いつもと何も変わりありんせんよ。

隠れもせず、敵陣のど真ん中を駆け抜ける。
隠れる必要もない。勝手に見失って貰うだけだから。
糸を手繰り、張り巡らせ、相手の「視線」を「斬る」、無明弦月流の極意、神無月。
(今は殺す時ではありんせん。ただ先に進みなんし)

とにかく奥へ。
分かれ道は少しでも警備兵が多い方へ。
その分疲労はたまるが、泣き言を言う場面ではない。
進める限りの奥まで辿り着いたら、扉に糸を張り巡らせ、細切れにする。
「無明弦月流、師走……断てぬものなどありんせん」

あとは後続が来るまで気配を消し、静かにその場を後にする。
忍びとは斯くあるべし。


イサナ・ノーマンズランド
POW

【目立たない】ように【迷彩】もとい段ボール箱を被って【忍び足】で潜入。
【聞き耳】と【逃げ足】を生かして警備兵の目を逃れつつ、【野生の勘】や【第六感】によってコアの位置を【追跡】し、レイゲンに交代。ユーベルコードにて隔壁に【破壊工作】を試みる。

「……えんぺらーずまいんど? わかんないけど、おねえちゃんが行ってほしいなら、行ってあげてもいいよ。 えらい?」
「こうみえても、わたしはせんにゅうとはかいこうさくのたつじんなのです。 いまそういうせっていがはえたの」
「なんだかんだ、うちゅうせんのなかってはじめてかも。 ちょうたのしみ」

共闘 アドリブ 改変 なんでも大歓迎です!



 あちこちで混乱が起き始める中、隠れずに行動する者もいた。
 上月・衒之丞(f11255)、彼は艶やかな姿で堂々と駆け抜けていた。
 まるで見知った場所とでも言わんばかりの堂々さだが、ここは敵陣。すぐに周りを巡回兵に囲まれてしまう。
「侵入者め!今すぐ止まれ!」
 止まれと言われて止まるのは馬鹿らしい。
 静止の言葉を無視して歩を進める衒之丞へ銃が向けられ引き金に指がかかる。
 侵入者を撃とうとした兵士たちであったが、撃つ前に視界に一文字の線が走り、痛みと共に視界が赤く染まる。
 あまりの痛みに半数の兵は蹲った。蹲っていない兵も見えないままで撃てば衒之丞に当たるよりも味方に当たる可能性の方が高い。同士討ちを考えると撃つことはできなかった。
「無明弦月流の極意、神無月…大人しくしていると良いなんし」
 兵たちの目を奪った鋼線を回収し、今は無力化した兵たちの命までは奪うことはないと、また走り出す。
 さらにやってくる兵を見て、数の多い方へ向かっていくのは別に自殺志願というわけではない。多い方が守りたいと思う方向、つまりより重要な障壁があると考えての事だ。
 その分体力も減るし、相手は何がなんでも止めようとしてくるために怪我も増える。が、それも覚悟の上。
 時には相手を絡め取り、武器を奪い、とにかく先へと走る。
 障壁にたどり着くと、すぐさま鋼線を構える。まだ離れてはいるが、後ろからは巡回兵たちが追いかけてきているのだ。長い猶予はない。
「無明弦月流、師走……断てぬものなどありんせん」
 銀の光が縦横無尽に駆け巡る。言葉通りに、その手から伸びる鋼線が分厚い障壁をバターを切るようにあっさりと切り刻んでいく。
 がらがらと音を立てて細切れになった障壁が崩れ、その破片が身体にぶつかることも気にせず衒之丞は障壁の内部へと飛び込んでいった。
 少し遅れて巡回兵たちが追いつくが、目の前には崩れ落ちた障壁があるのみ。慌てて障壁に駆け寄るが、既に衒之丞の姿はない。
「やばいぞ、先に進まれた!追いかけろ!」
 大きな足音を立て巡回兵たちは追いかける。その背中を見送って衒之丞は小さく息を吐いた。
 衒之丞は障壁の先に行ったのではなかった、障壁の残った部分の裏に身を潜めていたのだ。それに気づかず巡回兵は先へと行ったのだった。
 彼らをやり過ごした衒之丞は別の巡回兵たちが来る前に、とすぐにそこから離れた。


「なんだかんだ、うちゅうせんのなかってはじめてかも。ちょうたのしみ」
 イサナ・ノーマンズランド(f01589)はこそこそっと耳をすました。周りに誰もいないと確認し、ささっと進む。
 今、イサナは要塞内のどこにでもある箱となっていた。ただしくは、箱に隠れた状態だ。通路の壁にぴったりとくっつき、誰かが置いた箱ですよと装う。
「こうみえても、わたしはせんにゅうとはかいこうさくのたつじんなのです。いまそういうせっていがはえたの」
 生えたのか。いや、実際すぐにはバレていない。
 ほとんどの兵はちょっと目をやるだけで走り去る。今は侵入者がいるという緊急事態だからだ。箱には構っていられない。
 だが、その前に止まる足が二本。
「…なんだこの箱。誰だよこんなとこに荷物置いてったやつ」
 こんな緊急事態でも気になる兵がいたようだ。余計なとこで細かいやつである。
 とりあえずどこかの倉庫に持っていこうと思ったのだろう。兵は箱を持ち上げた。思った以上に軽かった、というか軽すぎる軽さにたたらを踏み、イサナと目が合った。
「……」「…………」
 お互い黙って見つめ合うこと一秒。
 イサナは猛然とダッシュした。ぎょっとした兵が追いかけようとするがあまりの速さに追いつけない。
「待てこらー!」
 背後の怒声もなんのその。すたたたっ!とイサナはその場から逃げ去った。
 無事逃げ切ったイサナは辺りを見回した。が、奥への道はどれか分からない。
「…こっちかな?」
 勘頼りに歩き始める。
 そして彼女の鋭い勘は正しい方向へと彼女を導いたのであった。しかも巡回兵とあまり会わない道を通るという運の良さも発揮され、なんとか巨大障壁の一つにたどり着いたのだった。
 障壁を見つめたイサナは一つ瞬きをした。
 …がらりと彼女の様子が様変わりする。
 無邪気な様子から一転、どこか粗暴な雰囲気になる。表情や身のこなしだけでは説明がつかない、中身がそっくり入れ替わってしまったようであり。実際、そうなのである。
「あばよ。此処がテメェの終わりだ」
 もう一つの人格、レイゲンが酷薄に笑い、いつの間にか手にしていた身の丈を超す大鎌を振りかぶる。
 重さを感じさせない動きで障壁に斬りつけ、子供が遊ぶようにめちゃくちゃにしてしまう。
 ある程度壊した後に満足したのかレイゲンは息を吐いてイサナへと戻り、イサナは目の前の壊れた障壁をきょとんとまた見上げたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セルマ・エンフィールド
なんとも大雑把な……まぁ、回り回った手よりは有効なのでしょうか。

敵の船ですし、罠はないかもしれませんが、侵入者検知の仕組みくらいはあるでしょう、細心の注意を払って行動します。

機械に疎い私にできることは、巡回する敵に見つからないように忍び足で出来る限り音を殺して進むことくらいですが……第六感を頼りになんとなく嫌な気配のするところは回避していきましょう。

巨大障壁にたどり着いたら【冬の尖兵】を使用。全て合体したXXⅢの巨大な氷の兵士の持つ氷の剣で障壁を破壊します。


小野寺・チャンコフスキー
しのぶれど ちゃんこだし汁 あじ濃ひは
潜入は力士でもできっぺな?大量のちゃんこ鍋を持って、まるで出前か料理人を装って誤魔化すだよ。『勇気』を出して堂々と立ち振る舞えば、案外バレないもんだっぺよ。
本番は巨大隔壁を突破すること。おらの『怪力』を見せてやっぺよ!!
その前に、ちゃんこ鍋を食って攻撃力をチャージ【チャンコ・ブースター】すっぺよ。
「あぁー、今日もちゃんこがうめぇべなぁ」
 誰かと一緒ならおすそ分けすっぺな。ちゃんこは誰かと囲んで食えばなお美味い。
 とりあえず腹が満たされたら全力も出せるってもんよ。
 張り手……ではなく、渾身のドロップキックで巨大隔壁を蹴りつけるっぺ!
「どっすこーいッ!!!!」



「なんとも大雑把な……まぁ、回り回った手よりは有効なのでしょうか」
 セルマ・エンフィールド(f06556)は通路の先を伺いながら呟いた。
 生真面目な彼女からすれば大雑把極まる作戦に眉をひそめるものだが、乗った上は仕方ないと自分を納得させつつ奥へ向かう。
 左右に分かれた通路に当たったセルマはどちらがいいかと見回した。どちらも同じく奥へ向かえるようではあるのだが…なんとなく、直感で右を選ぶ。セルマが右へ立ち去り、少しした時に左から巡回兵たちが走り出てきた。
 あのまま左を選んでいたらセルマは巡回兵たちと正面からはち合わせていただろう。
 足音を立てず、直感により巡回兵を避けて進む。時々会っても別の道よりは少ない人数ではあったため、なんとかさばき、巨大な障壁の前に出た。
 障壁前には侵入者の報により警戒していたのか、数人の兵士がおり、障壁前へ駆け込んできたセルマを見咎める。
「誰だお前は!?どこから入ってきた!」
 誰何の声にセルマは答えない。
 答えの代わりにわらわらっと現れるのは膝丈下の小さな氷の兵士たち。兵士らしく、整然とセルマ前後に、まるでセルマを守るように整列している。
 その数は二十三体。セルマはその涼やかな容姿も相まってまるで氷の姫君に見える。
「ここからは剣の冬、ということで。行きなさい、兵士たち」
 その声を合図に並んでいた氷でできた兵士たちはお互いに
 身の丈は障壁と同じくらいだろうか。額には「ⅩⅩⅢ」と刻まれた氷の兵士は音にはならない雄たけびを上げた。
「撃て!撃てー!!」
 唖然と見上げていた兵士たちであったが、我に返ると氷の兵士へと銃口を向けて発砲する。
 だが、それらの攻撃は表面を削るばかりで壊すに至らない。
「壊しなさい!」
 下された命令に氷の兵士は即座に反応し、従う。自身に合わせて巨大化した長大な氷の剣を振りかぶり、横なぎに障壁を狙う。
 それはもはや大きすぎて斬るというよりは叩きつけるという言い方が正しい。兵士たちを容赦なく巻き込みながら氷の剣は障壁へと大きな傷跡を残した。
 一度で壊れなければと言わんばかりに二度、三度と剣をふるう。
 二度目で半ばまで抉れた障壁は三度目で向こう側へと氷の剣を通した。
 自身の剣で作った隙間に手を突っ込み、力づくでこじ開ける。障壁はひしゃげ、使い物にはならなくなってしまった。
 セルマは配下の戦果にどこか満足気に頷いたのだった。


「ちょっと通してほしいだ!ちゃんこ鍋が冷めるっぺよ!」
「お、おう、すまん」
 声の威勢のよさに思わずといった風に道を開ける巡回兵と、間を通り抜ける巨漢。その後ろでなんだあれ、出前らしいぞと会話が広がる。
 小野寺・チャンコフスキー(f13595)はちゃんこ鍋の出前として潜入…?をしていた。そもそも宇宙空間にちゃんこ鍋の出前があるのかさえ疑問だ。あるとしたらどっから来てるんだという話である。
 だが、はっきりと言い切る姿には妙な説得力があった。嘘だと断定する理由も反射的に思いつかないし、なまじこの騒ぎは先ほどから起こった事であり、その前に誰か出前を頼んでいてそれが今まさについたとしてもおかしくは…いや、おかしい気しかしないのだが。
 そんな事を冷静に考えられる人物は巡回兵の中にはほとんどいない。
 多少止められるも冷めると圧し通り、なんと障壁前へ。
 着いた彼が何をし始めたか…持参のちゃんこ鍋をなんと食べ始めた。そりゃもうもりもりと。
「あぁー、今日もちゃんこがうめぇべなぁ」
 美味しそうに食べるチャンコフスキーは誰かと食べたかったと一人零す。だが、兵士たちは遠巻きに困惑気味に見るだけだ。美味しそうな匂いがしても、いくら美味しそうに食べていても、たとえお腹が鳴ったとしても。さすがに食べさせてくださいは言いにくいようで。
 そして兵士たちの目の前でちゃんこ鍋はどんどんチャンコフスキーの腹へ消えていき、一粒残らず彼は完食したのであった。
「しのぶれど、ちゃんこだし汁…あじ濃ひは。よっし、いっちょやるべか!」
 うまく決まったと上機嫌で立ち上がる。ごちそうさまの挨拶も忘れない。
 ちゃんこ鍋のおかげで身体に力はみなぎっている。そう、たとえば目の前の障壁を壊せるくらいには。
 しっかりと四股を踏んで地を踏みしめる。何かし始めたのを警戒したのか、障壁との間に巡回兵たちが集結し始めた。
 そのままチャンコフスキーが走り出し、兵士たちが身構え…そうして彼は宙を舞った。
 皆が思わず見上げる中、綺麗にドロップキックの格好になり、そのまま障壁へ激突。
「どっすこーいッ!!!!!!」
 部屋が鳴動し、障壁には地面から二メートルほど上に大きな穴が。そう、ちょうどチャンコフスキーが丸々通れるくらいの大きさだ。
 いろいろとめちゃくちゃな方法ではあったが、チャンコフスキーは確かに一つの障壁を使い物にならなくしたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月09日


挿絵イラスト