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銀河帝国攻略戦⑨嚆矢、宇宙を切り裂いて

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●移民船ユピテール
「報告! 銀河帝国軍の艦隊を捕捉しました!」
 艦橋に観測員の報告が響く。スペースシップ・ユピテールのブリッジは俄かに緊張が走った。
 解放軍へと馳せ参じたユピテールであったが、その実、戦闘経験はほとんどない。移民船であるユピテールは、銀河帝国との接触を徹底的に避けることで今まで生き延びてきたのだ。
「いよいよか…。各員、戦闘配備! もはや後退は許されんぞ!」
 だが、事ここに至っては逃げ腰でいられるはずもない。ユピテール船長が気炎を上げる。
 この攻勢が失敗すれば、もはや宇宙のどこであっても逃げ延びることはできない。解放軍に参加したスペースシップの乗員たちは、少なからずそう予感していた。
 覚悟を決め、コンソールに向き合う乗員たち。間髪置かず、報告が上がる。
「敵艦より動体射出を観測! 感、多数!」
「詳細を報告せよ!」
「これは……小型戦闘機です! は、速い! すぐに接触します!」
 悲鳴のような報告と共にブリッジのモニターに無数の光点が映された。縦横無尽に動き回る光点は、信じがたいスピードで解放軍のスペースシップへと接近している。
「ッ! 対空砲、奴らを近づかせるな!」
「は、はい!」
 船長の判断は素早かった。戦闘に不慣れなはずのブリッジ要員たちも懸命に指示に反応した。ユピテールの対空砲が唸りを上げ、帝国の戦闘機に火線を放つ。
 しかし、それでも……。
「ダメです! 敵が小さすぎます! 捕捉しきれません!」
「くっ、なんたることか……」
 スペースシップに対して、敵戦闘機は小さすぎた。砲火を掻い潜り、瞬く間にユピテールを射程に捉える。ユピテールには高速戦闘を行える直掩警備兵は存在しない。懐に入られればもはや対抗手段すら持ちえないのだ。
 もっとも接近した戦闘機がユピテールに狙いを定める。それは舌なめずりするかの如く、衝角を構え、スペースシップに突撃した。
「ここまでか……」
 悔恨と共に船長が呻く。ブリッジが怒号と悲鳴に包まれる。
 モニターに写される敵戦闘機。迫りくるそれを絶望の面持ちで見つめ、そして……。

●数刻前、グリモアベースにて
「みんな、準備はいいね?」
 集まった猟兵たちに京奈院・伏籠(K9.2960・f03707)が呼び掛ける。
「ターゲットは『エンぺライダーズ』と呼ばれる帝国の高速戦闘部隊だ。連中は解放軍のスペースシップを狙って侵攻してきている」
 銀河帝国攻略戦の主力は、やはり猟兵たちだ。だが、彼らだけでは覆せない物量の差が帝国軍との間には存在する。
 ゆえに、解放軍に参戦してくれたスペースシップの連合なくしては、この戦いを進めることはできないだろう。
「俺たちが担当するのはエンぺライダーズの小型戦闘機部隊だ。強力な対艦衝角を装備しているから、絶対にスペースシップに接近させちゃいけない。その前に叩き落としてほしい」
 この戦闘機は衝角の他にもレーザービームやミサイルを装備した油断ならない相手である。一方で、機動力を担保するためかサイズはかなり小さく、人間大の猟兵であっても有効打を与えることは十分可能であろう。
「覚悟はできたかい? これから襲撃予想地点に転移させる。すぐに戦闘が始まるハズだから気を付けてくれよ」
 その言葉と共に伏籠のグリモアが光を放つ。準備万端の猟兵たちを見回し、伏籠は最後の激励を送った。
「大丈夫、皆ならやれるさ。頼んだよ、イェーガー!」


灰色梟
 はじめまして、灰色梟と申します。
 マスター登録一発目から戦争シナリオです。人間VS戦闘機、ロマンの塊ですね。
 とにかく敵の戦闘機を落としていくシナリオになります。味方の船を守るのもいいでしょう。
 皆さんの活躍を心待ちにしています。一緒に頑張りましょう。

●このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 集団戦 『ミサイルファイター』

POW   :    衝角突撃
【機体前方に装備された対艦衝角】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ファイターレーザー
【速射式レーザービーム】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    スターシップキラー
【レーダー波】を向けた対象に、【対艦ミサイル『スターシップキラー』】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ベガ・メッザノッテ
ワー!イかした見た目してるネ、壊しがいがあるワー!
ミサイルは攻撃ばっかりしてくるのネー、無闇矢鱈に撃たない方がイイってこと教えてあげなくチャ!

敵の攻撃を【見切り】、態と喰らうように見せかけて『オペラツィオン・マカブル』でデネヴとアルタイル(装備品)がお返ししちゃうノ。
ついでに蜘蛛の撚金糸(装備品)をこのコ達に持たせて【敵を盾にする】、防御もバッチリヨ〜
脱力したアタシはウィーバーとハーズマン(装備品)に受け止めて貰うワ。
アタシは動けないけド、ウチのコたち優秀でショ?おまけに敵にあっかんべーでもしてやるノ〜

●口調プレイングに合わせて下さい。改変アドリブ連携、歓迎です。



「は?」
 ユピテールの乗員も戦闘機の乗り手も、ソレを目撃した誰もが目を疑った。
 突撃するミサイルファイター。その進路にふらりと割り込む人影。それは脱力状態のまま慣性で滑りこんだベガ・メッザノッテ(残夢紅華・f00439)だった。
「ワー! イかした見た目してるネ!」
 ゆらゆらと漂うベガが戦闘機を指して独り言つ。それが聞こえたわけではないだろうが、我に返ったミサイルファイターは咄嗟に彼女に向けてレーザービームを撃ち込んだ。
「思った通りだヨ。みんな、お願いネ?」
 回避すら取らないベガにレーザーが突き刺さる刹那、彼女の影から四機のからくり人形が姿を現す。
 躍り出た人形たちは輝石の瞳を輝かせ、デネヴとアルタイルがレーザーを引き受け、ウィーバーとハーズマンが衝撃で弾かれたベガを受け止めた。
「ウチのコたち、優秀でショ? それじゃ、お返しだヨ」
 言葉に従い、デネヴとアルタイルが前に出る。『オペラツィオン・マカブル』……無効化されたレーザーの持つ破壊力は、いまだからくり人形の中に留まっている。
「バイバイ」
 悪戯っぽく舌を出すベガ。そして、一瞬の閃光。からくり人形から排出されたエネルギーがミサイルファイターに突き刺さった。
 コントロールを失い宇宙に消えていくミサイルファイター。歓声を上げる解放軍のスペースシップ。怒りの唸りを上げる帝国軍の戦闘機たち。
 ここに、戦いの幕が上がった。

成功 🔵​🔵​🔴​

櫟・陽里
集まってくれた皆に希望を
それも猟兵の役割だ
俺がいるから大丈夫、そんな活躍をお見せするぜ!

ユピテール!火力はバッチリじゃねぇか!
俺らがちょい手伝えばこの先の戦場で一緒に戦える頼もしい同志
ブリッジの前を横切りながら手を振り親指を立てる

防衛最優先
速さで負けるつもりはねぇ!
速度を活かし最終防衛ラインを駆け回る
相棒のアクセル全開で敵戦闘機に追いつき体当たり
攻撃を外させる
高速移動からのターンでなぎ払い弾き飛ばす

速度のための軽量化でバイクに兵器は積まない
基本体当たり
上手く避けて敵の同士討ちも狙う

操縦技術を活かして接近並走
エンジン・モーター・センサー類など航行の要所を拳銃で狙撃
足が止まれば味方は攻撃当て放題!



「あ、あれが伝説の解放軍! いや、猟兵か!」
 危機的状況を潜り抜け、沸き立つユピテールの艦橋。続けざまに観測員が報告を上げる。
「後方より動体反応多数! 味方の信号を放っています!」
「援軍か!」
「はい! それぞれ戦場に展開……速い! 帝国軍以上かもしれません!」
 宇宙を切り裂く流星の如く、猟兵たちが戦場に飛び出す。
 その中でもひと際速い一騎がユピテールのブリッジ前を横切った。
 一瞬の交差。しかし、ブリッジからは確かに、こちらに向かってサムズアップする男の姿が見て取れた。

「よっしゃあ! 行くぜ、相棒!」
 櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)が気迫と共に愛用の宇宙バイクのスロットルを回す。
 ただひたすらに速く! 武装を積まず、軽量化と高速化のチューンを施した宇宙バイク『ライ』が咆哮を上げる。
「俺の前で仲間を落とさせやしねえぜ!」
 彼はスペースシップを狙う戦闘機群にターゲットを定めた。高速で突っ込んでくる敵戦闘機。常人であれば速度の乗った戦闘機に追いつくことなどできない。
 ……常人であれば。
「俺のテク、魅せてやる!」
 まさに縦横無尽。戦闘機に追い縋り、すれ違いざまにドーナツターンを叩きつける。体当たりを受けたミサイルファイターは軋みを上げ、スペースシップへの攻撃を仕損じた。
「うっし、次はどいつだ!」
 速度を殺さず疾走を続ける陽里。素早くナビに目を走らせ戦況を確認。まだまだ敵の数は多い。すぐさま陽里は防衛優先を決断。アクセル全開、次の獲物へと喰らい付いていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ゾーク・ディナイアル
「何が銀河帝国だ!何が銀河皇帝だ!人の頭を踏みつけにしようって奴はぁ!気に入らないんだよぉ!」

☆戦術
SPD勝負
【ハルシオン起動】でボクの専用魔導騎士ハルシオン(灰銀色の巨大な騎士甲冑のようなロボット)に搭乗して戦うよ。
「ボクを改造した奴らもそうだった!千年帝国だの、大陸の覇権だの、そんなもんの為にみんなを犠牲にしてぇぇぇ!」
高速機動で翻弄しながら接近、放たれるミサイルは『見切り』で躱し、ビーム銃で撃ち落とす。
「シネェェェェ!」
接近したら『怪力』機構を用いてビーム剣を『二回攻撃』で連続斬り、更には突き刺して『傷口をえぐる』ように焼き切って撃墜する。

※アドリブ歓迎


目面・真
宇宙戦ならオレも自信があるよ。宇宙で育ったスペースノイド、しかも宇宙空間はこの甲冑を着て自由自在に動けるのでね。
ユピテールの諸君の気概には感謝しよう。この戦闘はオレ達イェーガーに任せて、一人でも多くの人を解放軍に勧誘すべく行動を起こしてもらいたい。そのためにはキミ達の熱い想いが必要だ。頼んだぞ、ヨロシク。

それでは、あのハエを退治しに行こうか。
アームドフォートの砲撃でヤツの軌道を制限して、真っ直ぐにこっちへ飛ぶように仕向けよう。そして、オレにはこの砲撃しか攻撃手段がナイように装う。
レーザー等の遠隔攻撃は空中戦技能で対処だ。避け切るぞ。
近接して間合いに入ったら、大太刀による剣刃一閃で一瞬の勝負だ。



 銀河帝国の目的とはなんだろうか。
 かつての帝国は星々を焼き尽くし、悪辣な支配を宇宙に敷いていた。
 そして今、オブリビオンとして現在に現れた彼らは、人類を殲滅せんと凶行を繰り広げている。
 果たして、その先に何があるのか。彼らは何のために戦火を広げるのか。今ここで、その答えを知ることは叶わない。
 だが、事実として、銀河帝国は武力を以てすべてを破壊しつつある。宇宙の『現在』に住む人々を踏みつぶしながら。

 その事実がゾーク・ディナイアル(強化エルフ兵の出来損ない・f11288)をひどく苛つかせていた。
「気に入らない……」
 静寂の宇宙でゾークは小さく呟く。
 真っ暗な空間に閃光が走っている。あれは猟兵だろうか、それとも帝国軍だろうか。
 時折、彼方で弾ける火花。あの中でまた、生命が散っていくのだろうか。
「気に入らないんだよぉ!」
 歯を食いしばり、戦場を睨みつけてゾークは吠える。自身の過去が、身を焦がすような狂乱へと彼女を誘う。
「やるぞ、ハルシオン!」
 彼女が乗り込んだ魔導騎士ハルシオンの目に力が籠る。全長7m、見上げんばかりの灰銀色の騎士がレーザーが飛び交う最前線に猛進した。
「そうやって人の頭を踏みつけて! みんなを犠牲にしてえ!」
 ミサイルファイターに取り付いたハルシオンがビーム剣を振るう。格闘戦ともなれば戦闘機よりも人型に分がある。ハルシオンの剛力に抗えず、刃を突き立てられた戦闘機はなすすべもなく沈黙した。
 まるで嵐のように暴れまわる大型の騎士。敵を一機落とせばすぐさま次の機体へと突進してくる。そして小型の戦闘機ではビーム剣の威力を防ぎきれない。
 自然、戦闘機群は彼女から距離を取り始めた。元より目的はスペースシップの撃沈。勝てない相手に固執することはない。
「この! 待てよ!」
 敵の動きを察知したゾークがビーム銃を放つが、敵もさるもの、銃撃をするりと潜り抜けてスペースシップへと接近し……、飛来した砲弾に撃ち抜かれて撃沈された。

「悪いがそのルートは計算済みだ」
 スペースシップの直上にはアームドフォートを展開した目面・真(たてよみマジメちゃん・f02854)が待ち構えていた。
 威風堂々。宇宙戦を想定した火砲を備え、スラスター付きの甲冑に身を包む。そしてその操り手は宇宙育ちのスペースノイド。この戦場において、もっとも効率的な戦いを望めるひとりである。
「ハエ退治、続行だ。ヨロシク頼んだぞ?」
「言われなくたってぇ!」
 ゾークが前線で再び暴れ始めるのを確認し、真も砲撃を再開する。自身も後退するほどの衝撃と共に撃ちだされる砲弾。艦隊の援護のため機動力を重視した猟兵が多い中で、彼の火力は際立っていた。
「数ばかり多いが、それだけではな」
 目元の情報デバイスを頼りに遠距離精密砲撃を繰り返す真。敵機の軌道を制限するかのような砲撃パターンに、ミサイルファイターたちはスペースシップに迂闊に近づくことができない。その上、散発的な反撃程度であれば、真は甲冑のスラスターを巧みに扱って回避してしまう。
 ゆえに焦れる。
「来るか……」
 覚悟を決め、真に向かって突撃する一機の戦闘機。その存在に真もすぐに気づいた。迎撃にアームドフォートから火線を放つが、戦闘機はそれをギリギリで掻い潜り、目下最大の障害へと衝角を突き立てんとする。
 時間にして僅かの攻防。すぐさま縮まる彼我の距離。そして、刹那の交錯。
「勝負は一瞬、だ」
 一閃。最接近の瞬間に抜き放たれた大太刀『義光』はたったの一振りでミサイルファイターを両断した。二つに断たれた機体が真の後方で弾け、二輪の花を咲かせる。
 振り返ることもなく、血振りの後に真は刀を収める。視線を前方に向ければ、前線での戦闘は続いているが、捕捉できる戦闘機群の数は目に見えて減ってきていた。
 背後のスペースシップからも援護射撃は続いている。彼らの熱い気概を胸に感じつつ、真はアームドフォートの砲撃を再開した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】
【SPD】

へっ!いいねぇ、こういうデカブツ相手ってのもさ!
アタシの相棒も非武装だけど、だからっておとなしいロートルじゃねぇよ?
ゴッドスピードライドで一気に高速巡航形態に移ったら、
高速で走り回りながら防衛ラインを押し上げるように
サイキックブラストのバリケードを作っていくよ!
とにかく相手の攻撃に当たらないことと、
サイキックブラストを当てること重視!
頃合いを見計らって聖句を唱え、
【黄泉送る檻】を発動させる!
ま。檻って言っても脱獄できないだろうがねぇ!



 雲霞の如き銀河帝国軍。その底は見えず、銀河帝国攻略戦の行き先は未だ占えない。
 しかし、ことスペースシップ・ユピテールの周辺宙域については、大勢が決しつつあった。
 猟兵たちの活躍により銀河帝国の戦闘機群が一機、また一機と宇宙の藻屑と化していく。数え切れんばかりの威容を誇ったエンぺライダーズももはや僅かに残るばかりだ。
 そしてまた、宇宙を切り裂いて駆け抜ける猟兵がここにも一騎。
「へっ! もう品切れかい? アタシの相棒はまだまだ元気だってのにさぁ!」
 一見して原付二輪のような宇宙バイクを駆り、数宮・多喜(疾走サイキックライダー・f03004)がソラを走る。
 見た目がレトロと侮るなかれ、彼女の多機能宇宙バイクが取っているのは高速巡航形態。その速度たるやミサイルファイターたちと比べても見劣りすることはない。
「どいたどいた! ボさっとしてたら怪我じゃすまねえよ!」
 それでいて、彼女の操縦技術もあってか、大型の宇宙バイクと比べ明らかにターンの小回りが良い。するすると敵のレーザーやミサイルをすり抜けつつ、多喜が高圧電流――サイキックブラストを放つ。
 数多の紫電が奔り残響を残す。ひとたび電撃を浴びれば、すでにダメージを受けていた戦闘機であればひとたまりもなく沈黙していく。
 ……敵軍、残り数機のみ。
「あん? アイツら、妙に固まって……?」
 組織的な作戦行動は不可能と悟ったのか。最後の数機となったミサイルファイターたちは一丸となって行動を開始した。
 せめて一隻でも道連れに。ターゲットにされたのはスペースシップ・ユピテール。複数機による帰路を顧みない強行突入。
 猟兵たちの攻撃を庇い合い、一直線に突き進むミサイルファイター。しかし、最後に立ちはだかったのは、多喜その人だった。
「させるかってんだ! アタシの『檻』からは逃げられないよ!」
 意識を集中し、多喜は聖句を紡ぐ。灰は灰に、過去は過去に。すべてはあるべきところに。
「ashes to ashes,dust to dust,past to past...収束せよ、サイキネティック・プリズン!」
 瞬間、宇宙が弾けた。音のないはずの戦場で、雷鳴が轟き叫ぶかの如き衝撃が走る。
 対象の周囲に高圧電流の檻を形成する必殺のユーベルコード。聖句と共に放たれる特大のサイキックブラストはその出力、実に通常時の25倍。
 高速で突進するミサイルファイターは、当然、目の前の『檻』を回避することはできず、全機まとめて直撃。その機能を停止したのであった。
「だから言ったろ? 脱獄なんてできない、ってね!」
 原付の上で不敵に笑う多喜。長時間走り続けたからか、足元の相棒が不機嫌そうな唸りを上げているのはご愛嬌。
 見れば、あらかたの敵を掃討したのを確認したからか、周辺で戦っていた猟兵たちも集まりつつあった。

●かくして、船は往く
「周囲に敵『エンペライダーズ』の反応なし!」
 観測員の報告でユピテールの艦橋に歓声が上がる。生き残ることが出来た、まだ戦うことが出来る。興奮冷めやらぬブリッジ要員の面々がモニターに映る猟兵たちを称える。
 だが、これはほんの前哨戦に過ぎない。銀河皇帝に辿り着くための戦いはまだまだ続くのだから。
「我々もこの恩を返さねばな」
 船長の指揮により、ユピテールは対艦戦闘を継続する。
 スペースシップの無事を見て取り、猟兵たちも飛び去っていく。……思い思いのエールを互いに交わしながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月06日


挿絵イラスト