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大祓百鬼夜行㉒~料理デッキで打ち砕け

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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#大祓百鬼夜行


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●グリモアベース
「猟兵さーん! カードゲームしないっすか! カクリヨファンタズムでゲームっす!」
 威勢の良い声がグリモアベースに響く。
 香神乃・饗はルールが書かれた紙を広げて説明を始めた。

 UDCアースに、新し親分直属の強力な妖怪によって闘技場が生み出された。その名も見えざる闘技場『デュエルスペース』。
「ここにはTCG『デュエリストブレイド』で武装で武装した妖怪が待ち構えているっす。
 TCG――トレーディングカードゲーム、つまり、カードゲームのことっす。俺もあんまり詳しくなくて、スマホで調べたんっす」

 皆に戦ってもらうのは、料理マスターデッキで武装した妖怪軍団だ。
 金にものを言わせて買いあさった食材で究極の料理を作ってダメージを与えていく戦闘スタイルだ。
 心に響く料理デッキであれば撃破できるのだという。
 誰かの思い出の料理や、代々受け継いだ料理、今食べたいものデッキでも構わない。食べ物への強い想いが入ったデッキを作り出せば勝機はある。

「いきなりカードゲームって言われても難しいっすよね。
 だから初心者さんでも安心な、闇のエントリーシートを作ってもらったっす!」
 このエントリーシートに書きこんで提出したら、脳内にルールが浮かび上がってくる。
 カードゲームの経験がなくとも、自然とそれっぽい動きが出来るようになるのだ。

 ●エントリーシート
 1:料理の名前
 2:どういう料理
 3:こだわりやエピソード
 4:隠し味

 「例えばこんな感じっす」
 1:焼きたてあつあつ、ビッグサイズの、御手洗団子三兄弟。
 2:もちもちの団子を串で刺して焼いて、醤油と砂糖と味醂で作ったたれで味つけたっす!表面は、ぱりっと、中はもちもち、たべごたえがするっす!
 3:田舎の農家で貰ってきた新鮮な材料で作ったっす! お腹ぺこぺこの親友にお腹いっぱい食べてもらえるように大きいのを作ったっす! 俺の手作りっす!
 4:神社でもらってきたお味噌を入れてあるっす。ご利益があるっす。

 『料理の名前』は、お洒落にしておくと、進化し見栄えがよくなる。
 『どういう料理』は、攻撃力を高める効果がある。
 『こだわりやエピソード』は、防御力を高める効果がある。
 『隠し味』は、相手の隙を突く罠になるようだ。

「レンジでチンしただけのものや、カップ麺ひとつでも、心を込めて作ったら、めっちゃんこ美味しいものになるっす。
 難しく考えないで勝負してほしいっす」
 パンと拳をうちならせば、紅梅の花が開く。誘う先は見えざる闘技場。


ごは
 ごはです。
 ヴァンガりましょう!
 
 このシナリオは、『大祓百鬼夜行』の戦争シナリオです。1フラグメントで完結します。

 フラグメントの行動例は一例です。
 ご自由にお考えください。
 
 カードゲーム初心者さん歓迎のシナリオです! 専門用語は一切必要ありません。
 頂いたプレイングを元に、カードバトル風のリプレイに仕立てて返却いたします。
 エントリーシートを埋めてお送りください。
 言いたいこと、やりたいことがありましたら、余った文字数でご記入ください。

 ●エントリーシート
 1:料理の名前
 2:どういう料理
 3:こだわりやエピソード
 4:隠し味

 ●プレイングボーナス
 デュエリストブレイドで勝負する(殆どのTCGのルールはこのゲームにも存在するものとする)。

 ●プレイング受付
 プレイングは先着順、3名さま分到着で締切ります。
 チーム参加は受付できません。単身参加でお願いいたします。
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第1章 冒険 『デュエルしようぜ!』

POW   :    魂のカードでデュエル!

SPD   :    速攻デッキでデュエル!

WIZ   :    コンボデッキでデュエル!

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●闘技場控室
 高級サロンのような煌びやかな一室に、豪華な金ぴかのフードを目深にかぶった、いかにも怪しげなものたちが、円陣に座していた。
「我らお料理四天王の出番がきたようだな。豪勢洋食デッキの金原井義男の力を見せる時が――」
「ちょま!ちょま!金色中華デッキの出番アル。金アルね!」
「スイーツも忘れないでよ。このスイ・スイーツ、スイーツに酔わせてあげるわ」
最期の1席には、人間と同じほどの大きさのクマのぬいぐるみが置かれている。
「「「我ら、闇のお料理デッキ使い成金四天王なり!」」」
 最初から1人足りませんが!四天王らしいです。
●ルール・用語解説
手札は6枚から始まる。
山札からカードひき、場にカードを出していく。
メインディッシュを育てて相手を攻撃する。
メインディッシュの周りに素材などの仲間を置くことができ、その仲間からも支援や攻撃ができる。
墓場に5枚カードがたまるか、心を粉々に砕かれたら負け。

山札は未使用のカード置き場。
墓場は倒された後のカード置き場
ドローは山札からカードをひくこと。
アタックは攻撃すること。
スタンドは行動が終わったカードを再び行動できるように戻すこと。


ナーバ・キャンサ
※猫又姿

闇のエントリーシートというから怖いものかと思えば、素敵に便利なものじゃないか!どれどれ…

1:誰かの思い出のオムライス
2:「塩コショウで下味をつけたチキンを刻み、ライスと共にケチャップでしっかり炒めて作ったチキンライスを薄焼き卵で包みました」――カクリヨ風って言えばいいかな、UDCアースのオムライスとは卵も上にかかっているケチャップも違うんだよね。
3:大祓百鬼夜行で料理ショーに審査員として参加した時に食べたオムライスだよ。いやぁ、あの妖怪の腕は素晴らしかった、とても美味しかった。また食べたい、あの味を布教したいという思いでいっぱいさ。
4:醤油をちょっぴり。カクリヨファンタズムの魂さ。



●デュエル・スタート!
「闇のエントリーシートというから怖いものかと思えば、素敵に便利なものじゃないか! どれどれ……」
 黒い猫耳をピンとたて、ナーバ・キャンサ(猫又もどき・f33334)は、興味津々に闇のエントリーシートを手にとり書き込んだ。
「これでエントリーだ」
 エントリーシートは、ぼうっと淡い光を放って消えた。それと同時に、ナーバの脳裏にルールが流れ込んできた。
「――ルールは全部解った。じゃあ、僕の【オムライスデッキ】で勝負だ」
 あとは、実践あるのみ。双又の猫尻尾がゆらゆら揺れる、今から始まるバトルに胸を躍らせるように。
「では、【豪勢洋食デッキ】で、金原井義男がお相手しよう」
 金ぴかフードの男が立ち上がった。オムライスにはオムライス、新旧オムライス対決がここに始まる。

●デュエリスト・ザ・ブレイド
 バトルは中盤を折り返したところだ。金の力、思い出の力、双方の力は拮抗していたが、手札の少なさからナーバのほうがやや追い詰められかけていた。

●自:手札2枚、罠0、墓場1
●敵:手札4枚、罠0、墓場1
「僕のターンだ、ドロー。ひいたカードを1枚伏せておいて、【薄焼きの卵】を場に出すよ」
【薄焼きの卵】の効果で【香ばしチキンライス】が【懐かしのオムライス】に進化!
 だが、【懐かしのオムライス】の力が【高級チキンライス】を上回っていない! これでは攻撃できない!
「くっ、僕のオムライスが歯が立たないなんて」
「ふははは! そんなボロっちいオムライスが、かなうわけないであろう。
 では、次は俺の番だ、ドロー。
 【金にモノを云わせた卵】【金にモノを云わせた牛乳】を召喚」
 【金にモノを云わせた卵】【金にモノを云わせた牛乳】の力で、【高級炊飯器で炊いたチキンライス】が【超高級ふわとろチキンライス】に進化! 【超高級ふわとろチキンライス】炊き立てのチキンライスの上に、切れば中からとろっと半生卵があふれるオムレツがのっている逸品だ。
 金にものを言わせた食材は、それぞれが力に満ち溢れていて。カード一枚だけでも他の食材たちを蹴落としていける。

「【金にモノを云わせた卵】【金にモノを云わせた牛乳】で攻撃。さらに【超高級ふわとろチキンライス】で攻撃だ」
「場に出してあった、【赤い雫のケチャップ】【荒野を飛び回るチキン】と、手札の【腕利き妖怪料理人の魂】でガード」
「ふはははは! どうした? 思い出が何かしたか?
 金を出せば買えないものはない、美味さも、勝利も、強さも、全て金次第だ! 思い出なんぞ、踏みにじってくれる!」

 ――ターンエンド。

●自:手札0枚、罠1、墓場4
●敵:手札2枚、罠0、墓場1
「ダメージ4、しかも、もう手札がない。これじゃ身動きできないじゃないか。
 でも、僕ならきっと引き当てられる。このデッキの、あのカードを! ――ドロー!」
 勝利は絶対あきらめない。青い猫目を凛と光らせ、祈りながら引き当てたのは、切り札の一枚。持前の豪運が呼び寄せた起死回生の奇跡だ。
「馬鹿な! なんだ、そのカードは!」
「きた! 【嗚呼! カクリヨファンタズム】を召喚するよ」
 効果は、懐かしい気持ちを呼び起こし、カクリヨファンタズム産の食材を強化できる。また、墓場から好きなカードを復活できる。
【腕利き妖怪料理人の魂】を復活。その魂がファンを呼ぶ! 効果は、山札のなかから、2枚カードをドローできる。
「【あなたのグルメSHOW!! 審査員のお墨付き】と【推しは推しの推し】をドローするよ」
 【腕利き妖怪料理人の魂】、【審査員のお墨付き】、【推しは推しの推し】が場にあるとき、【懐かしのオムライス】が【誰かの思いでのオムライス】に進化! パワーが大幅にアップする!

「カクリヨ風って言えばいいかな、UDCアースのオムライスとは卵も上にかかっているケチャップも違うんだよね。きっと、魂がこもっている味っていうんだろう」
 トマトの香り、卵の風味、チキンの肉感。どれも濃厚で、忘れられない記憶に残る味。それでいてどこかで味わったことがある懐かしい逸品。

「パワーアップした、【審査員のお墨付き】、【推しは推しの推し】で攻撃だ」
「【金にモノを云わせた卵】【金にモノを云わせた牛乳】でガード」
「じゃあ、更に【誰かの思いでのオムライス】で攻撃だ!」
「【高給取りの料理人】でガード。
 だが、まだ、俺にはライフが1残っている。残念だったな、逃げ切ったぞ。所詮、懐古なオムライスなんぞ……」
「さっき伏せてあったカードを使うよ」
 さっき1枚伏せておいた、罠カードを解き放つ。
 【醤油沼からの呼び声】を発動! 効果は、もう一度カードをスタンドできる。
「昔から慣れ親しんだ味は食欲を刺激するんだ。そう、この懐かしい味を支えるのは醤油だ。隠し味に醤油を使った、オムライス沼からはぬけられないよ」
 トドメだ!
「【誰かの思いでのオムライス】でもう一度攻撃だね!」
「ぐあああああああ! ああ、ただのオムライスのはずなのに、手がとまらん、なんだこれは!」
「あの妖怪の腕は素晴らしかった、とても美味しかった」
「また、食べたくなる、癖になる。醤油、これが隠し醤油というものか」
「そう、僕もまた食べたい、あの味を布教したいという思いでいっぱいさ」
「ぐふっ……最後に聞かせてくれ。その、誰かのとは、お前の思い出か」
「それはもちろん、――《誰かの》だね」
 僕の想い、料理人の想い、皆の想い、色んな思いが詰まった、心の奥底にある懐かしい味。
 それがこの【誰かの思いでのオムライス】。
 UDCアースの新しいオムライスも美味しいけど、この味には敵わない。
「参った、俺の負けだ」
 最後の1枚、【超高級ふわとろチキンライス】が墓場に沈んだ!

 ――ターンエンド。
 ――勝者!ナーバ・キャンサ!!

大成功 🔵​🔵​🔵​




●闘技場控室
「金原井義男がやられたわ」
「ククク……金原井義男は私達の中では最弱アルね」
「ほんと、ただのオムライスデッキ如きにやられるなんて、成金四天王デッキ使いの面汚しだわ」
「おっと、また誰か来たアルね。次は誰がいくアルね?」
空亡・劔
この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いてこの大異変…もう生意気よっ!

1
ダークネスラーメン
2
黒マー油を使った黒色の拉麺
クリーミーで濃厚な豚骨スープに煮卵
極上の豚ロースを使ったチャーシュー
スープに沈めればしみ込んで旨味が増すわ
3
あたしは寒いのが得意だけど海とか地球のプールで遊んでた時の出店で食べたら美味しかったの
冷えた体に染み渡る暖かさも特徴ね

隠しというべきかだけど砕いたナッツを入れてるわ

行くわよ!あたしの拉麺デッキ!文字通り味わいなさい!

マジックカード「永久吹雪」を発動!
環境を寒い吹雪に変更!

この寒さの中
体を芯から温めるラーメンはその美味と活力を極限まで高める!
味わえ!救いの一杯を!!



「この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いてこの大異変…もう生意気よっ!」
 空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)はぷりぷり怒り続けていた。
 自分を差し置いて起きた世界変動に、当たり散らすかのように、同じ言葉を繰り返し吐きながら、各地で諍いを解決して回っていた。
「行くわよ!あたしの拉麺デッキ!文字通り味わいなさい!」
「日式拉麺アルか、イイアルよ。それなら私が【金色涼拌麺――冷麺デッキ】でお相手するアルね」
 デッキを掲げ、殺気の籠った目で睨みあう2人の視線が、火花を散らした。

●デュエリスト・ザ・ブレイド
「【金にモノを云わせた海老】【金のもやし】【細切り肉の札束】の力で、【金にモノを云わせた麺】が【金色涼拌麺】に進化アルね!」
「これは……、冷やし中華だわ」
「冷やし中華ではないアルね!【金色涼拌麺】アル!中国の元祖の冷やし麺アルね!日本で出来た冷やし中華とは一味違うアルね」
「見た目は、たいして変わらないわ。どう違うの?」
「【冷やしたゴマ味のソース】が、麺を具を引き締めていくアル!」
「ゴマダレ? 普通にあるわ」
「【金にモノを云わせた海老】【金のもやし】【細切り肉の札束】で攻撃アル!
 見た目の良さで食が進むアル!」
「色どりは綺麗よ」
「隠し味の【金色の柚子】が、さっぱりと効いているアル。暑い時期には爽快に箸が運ぶ逸品アルね!そう、今のような時期は」
「ふうん……」
 どんなに上質で豪華な冷やし麺でも、大妖怪 劔の意志はそう簡単には揺らがない。心に決めた麺があるから。余裕で攻撃をかわして、次のターンを迎えた。

●漆黒のターン
「あっさりさっぱり、元祖も美味しいじゃない。
 でも、次は私のターンだわ!
 【漆黒の豚骨スープ】【黒光りする煮えた卵】【とろける豚ロースチャーシュー】の力を借りて、【漆黒のマー油拉麺】が、闇より深い漆黒の【ダークネスラーメン】に進化するわ!」
「ダークネスといったアルか!」
「そうよ、この【漆黒の豚骨スープ】の闇の力、思い知ればいいわ!
 豚骨のこってりした油がマー油の力で深みを増して、クリーミーで濃厚な汁になっているわ。この、うま味がバリカタの麺に絡んで、ラーメンを最高に引き立てるのよ! 上質の油が力を合わせた集大成というものだわ。その間から、つるっと【黒光りする煮えた卵】が出てくるの」
 濃厚なのだが、重く感じない。もっと食べたいと身体が求めてしまう、これはすべての油を上質なものでそろえているからこそ。そして卵が汁を味変して、更に美味しく引き立てる。
「次は【とろける豚ロースチャーシュー】をスープに沈めて攻撃よ、味がしみ込んだチャーシューは止まらない。うま味マシマシ無限チャーシューを喰らえばいいわ!」
「なにアルね、このチャーシュー、箸が止まらないアルね!」
 脂の上乗せ効果で、トロトロのチャーシューがさらに蕩けて、口の中が気持ちいい。これは、単品でもずっと食べていられる逸品だ。
「博多の麺はタダの麺ではやってけないの! もっと、コシを! コシを! コシを! 強いコシを! そう、バリカタでないと! いけないわ!」
 コシを強調して、激しくシャウトした、コシこそ命! それが肝なのだ。
「この麺、痛いアル! バチバチに硬いアルね!」
「ふにゃふにゃなんてお呼びでないわ。麺はバチバチであってこそよ!」
 ハリガネのように硬い麺はコシがあるという言葉では足りないほど硬い。好みは解れるものだが、金にモノを云わせて柔らかい食材を揃えている者に対して深く突き刺さった。

●隠し味?
「【コナゴナッツ】を召喚! 隠し味に粉々に砕いたナッツを入れるわ!」
「そこにニンニクスライス……では無いアルか。
 甘い、甘い、あまーいアル! ナッツを入れるなら、ひき肉アルね!
 ナッツ感が肉の粒感を引き立てて美味しくなるアル! ただのチャーシューでは、ばらばらアルね! ただの変わったラーメンアル!」
 つけいる隙を見つけたとばかりに、まくしたてる金。だが、劔の覇気は衰えない。
「そうかしら、ナッツは豚骨スープの風味とコクを高めるし、食感が楽しくて美味しいわよ。
 それに、私の仕上げは、それだけじゃないわ」
「まだ無駄な足掻きをするアルか。やってみるがいいアルね!」
 余裕の表情を浮かべる金。だが、それはすぐに一転することとなる。

「今は【ニンニクヤサイマシマシ】のカードは封じられている。
 でも、私にはマジックカード【永久吹雪】があるわ! その効果を発動!」
 フィールドを寒い吹雪に変更! 凍てつく吹雪が部屋のなかに吹き荒れた。
「フィールド! この部屋の温度を変えてしまうアルか!
 ひょえええええええ!! ちょまちょま! 待つアルね!」
 両肩を抱きかかえるようにして、ぶるるっと震え上がった。吐く息が見る間に白く染まる。
「待たないわ。
 あたしは寒いのが得意だけど、海とか地球のプールで遊んでた時の出店で食べたら美味しかったの」
 寒さなど全く意に介さない。だって、ここに温かいラーメンがあるのだから。
「そう。だから、この寒さの中、体を芯から温めるラーメンはその美味と活力を極限まで高める!
 味わえ! 救いの一杯を!! 【ダークネスラーメン】で攻撃!!!」
「びええええ、私もあったかい日式拉麺が欲しいアル!」
 冷え渡る大地に、金の心が完全に折れた。男は降り積もる雪に埋もれるようにがっくりと崩れ落ちた。

 ――ターンエンド。
 ――勝者! 空亡・劔!!

大成功 🔵​🔵​🔵​




●闘技場控室
「金原井義男に続いて金までやられたのね。成金四天王デッキ使いの面汚しどもだわ」
「次は私がいくわ。甘いスイーツで、とかしてあげるわ」
最後にぬいぐるみが残された、四天王も残すはあと1人。
榎・うさみっち
正直、カードゲーム経験は無い!
UDCアースで売られているのを
「イラスト綺麗だな~」って遠目で眺めたことしか無い!
でも料理は得意なんだぜ! だからこれは勝ったな!(?)

1:これであいつもイチコロ☆チョコみっち様

2:見た目もサイズも完全にうさみっち様に似せた超精巧なチョコレートだぜ!
ノーマルなミルクチョコもあれば抹茶、ホワイト、苺チョコVerもあったりする!

3:とある奴に食わせる為に去年のバレンタインに作ったんだぜ!
特にこの透き通った羽の再現には苦労した!

4:ピーナッツバターだ! コクがアップするぜ!
あとは気合とか魂とか愛とかそういうの!

イメージ画像:2020バレピン(参照は任意)



「正直、カードゲーム経験は無い!」
 ここにきて、未経験であることをドヤ顔で言い放つ、掌サイズの小さな妖精、榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)。
「UDCアースで売られているのを、『イラスト綺麗だな~』って遠目で眺めたことしか無い!」
 イラストマスターが担当されていたりしますね。
「でも料理は得意なんだぜ! だからこれは勝ったな!(?)」
「どういう理由なの! いいわ、成金スイーツデッキで勝負してあげる!」
 このお料理デッキでは、料理に詳しいほど強いカードを引き寄せられ有利になる。
 だが、双方、達人同志の戦いだ。技前だけで雌雄を決するには、長時間を要するかもしれない。

●デュエリスト・ザ・ブレイド
「じゃあまず、うさみっち様のターンだぜ!
 ずっとうさみっち様のターンだぜ!」
 攻撃なんて、絶対にさせてやらないぜ。
「そんなのルール違反だわ! デュエルにならないじゃないの!」
「ルール? ルールは無視するためにあるんだぜ☆」
 邪悪にほほ笑んだ。
 闇のエントリーシートには書き込んだから、ルールは頭に入っている。でも、これがルール違反だとは記憶していない。大概のルールはありなのだ。
 そう、「言ったもの勝ち」というルールだ。

「先行は頂いたぜ!
 【ミルクチョコ】【抹茶チョコ】【ホワイトチョコ】【苺チョコ】、四つの力が一つになるとき、【チョコみっちチョコ】が進化するぜ。
 いでよ! 【これであいつもイチコロ☆チョコみっち様】だ!
 見た目もサイズも完全にうさみっち様に似せた超精巧なチョコレートだぜ!」
「なにこれかわいい。皆一緒で分身みたいじゃない」
「はや着替えもあるぜ、やきゅみっち仕様なんてのも出来るぜ!」
「この子で攻撃してくるの? え、やだ、もっと見ていたいからライフで受けるわ」
 チョコみっち様は、甘いもの好き、可愛いもの好きのスイの心に刺さったようだ。ノーガードでダメージを受けた。
 代わりに、チョコ像を食い入るように見つめている。
「特にこの透き通った羽の再現には苦労した!」
「完成度が高いわ、でも、普通のチョコじゃないの。それだけでは、私のデッキは倒せないわ」
 ダメージは貰ったけども、致命傷ではない。まだまだ、これからだ。
「当然、味にもこだわりがある。【香り高きピーナッツのバター】で、チョコみっち様のコクをアップして攻撃するぜ!」
 溶かしチョコにバターを入れると塩味で味がひきしまり、油分により滑らかになる。ピーナツバターの甘みもそれと同じくチョコレートに加えるとコクが一層増すのだ。
「まだまだ、それでも、普通のチョコの域を出ないわ」
 スイは多少のダメージを喰らってもまだ余裕の笑みを浮かべていた。可愛い、美味しい、《それ以上の味付け》とは。

「まだ、普通のチョコだと言い張るのかよ。
 仕方ない。このチョコを、食べようとすると――」
「食べようとすると? どうなるの??」
 言われた通りに食べようと手にとろうとするスイ。だが、
「知らんのか、食べようとすると――ぴゃっ!」
 ぴたりと動きを止めた。文句を言いたげに、チョコとうさみっちを交互に見つめた。喋るチョコではない、声は本人から聞こえていた。
「ほんとうにいいのね? いくわよ」
「ぴゃーーっ」
「もー! ちょっと、なんてことするの? 食べにくいじゃないの」
 再び声をあげられて、食べるのを諦めた。食べようとするたびに声をあげられたら、たまったものじゃない。
「お前が食べるものじゃない、これは『あいつ』用だぞ」
「誰よ、その『あいつ』とやらは」
「いわせんなよ! これは実は去年のバレンタインに作ったんだぜ! 今伏せたばかりのトラップカードで【込められた気合! 魂! すなわち愛】を解き放って、攻撃だぜ」
「!」
 スイの瞳が大きく見開かれた。
「まさか、その、あなた、『いる』のね? きゃーー!! あまーーーいい!!! 糖度が、糖度が高いわーーー!!!」
 甘い甘いコイバナ。
 彼女にとっては、甘いスイーツより、何よりのご馳走で、妄想の海に沈んだ。赤らめた頬に掌を添えて、駆けていった。
「そう、これで、あいつもイチコロだったぜ☆」
 走り去る背をバンと討ち抜くように指さした。
 《あいつ》以外には食べさせられない、世界に一つだけのチョコレート。その甘い味をしって良いのは《あいつ》だけ。

 スイ・スイーツ、戦線離脱により、バトル終了。
 ――ターンエンド。
 ――勝者! 榎・うさみっち!!


●闘技場控室
 四天王はもういない。騒がしかった控室は静まり返っていた。
 残された椅子に大きなクマのぬいぐるみだけが座っている。
 そのぬいぐるみの瞳が、ギラリと光った。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月23日


挿絵イラスト