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銀河帝国攻略戦⑩~弾丸・潜入破壊工作

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 グリモアベースの一角、そこでは戦争に向けて猟兵達が集まっていた。
「これよりブリーフィングを始める。作戦は次の段階へと進んだ。各員の奮闘により解放軍の戦力が整ったのだ」
 これを受けて周囲の猟兵の反応はそれぞれ。だが、一様にこの戦争への意欲があるのは感じ取れた。
 士気は高い、そう思ったウィルトスは背後に巨大なスクリーンを使って、概要を説明する。
「集結した解放軍への最大の脅威であった『カイザーレイ』は破壊された。帝国はこれに対処すべく大要塞『エンペラーズマインド』を最終防衛ラインとする強固な防衛ラインを用意した」
 背後のスクリーンには宙域図と略式的に描かれた帝国の艦隊、部隊、要塞が映っている。「知っている人もいるとは思うが『エンペラーズマインド』にはワープドライブを妨害する能力を有している。我々の任務はこの『エンペラーズマインド』内部に潜入し『エンペラーズマインド・コア』への道を切り開くことである」
 そう言うと背後のスクリーンは、要塞の開口部を拡大した。
「この開口部から潜入することとなる。内部には『巨大障壁』が数百以上存在し、コアは厳重に守護されている。現状、どの障壁がコアへ通じるものかは分かっていない。諸君らには出来るだけ重要そうな『巨大障壁』を破壊してもらいたい」
 だが、と続けて言う。
「内部には警備兵も存在している。発見されれば面倒なことになるが、発見されなければ重要な障壁を破壊出来るかもしれないな」
 そう言うとウィルトスはまとめに掛かる。
「シンプルに言えば、潜入しての破壊工作だ。何人かはこれまでも経験したことがあるだろう。撤退時にはグリモアベースへの強制撤退を行うから破壊後の撤退方法を考慮する必要はない。各員の奮闘に期待する」


峯雲
 せんっそうっだあああああああ。
 今回は潜入して破壊工作を行うぞ。
 隠密系の技能は活躍できるかもしれないよ。
 皆様のプレイングをお待ちしています。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 冒険 『⑩エンペラーズマインド突入戦』

POW   :    密かに潜入し、POWのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

SPD   :    密かに潜入し、SPDのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

WIZ   :    密かに潜入し、WIZのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

蜂蜜院・紫髪
*アドリブ連携歓迎
心情:ふむ…迷路のような物かの?こういう時の勘は良いのじゃ。(【野生の勘】【第六感】)
奴らは儂の【陽炎の術】に気づけるじゃろうか?まぁ試してみればいいのぅ。
儂一人ではちと火力が足りないかの?もう一人なら連れ歩けるのじゃし声をかけてみるかの。

行動:【陽炎の術】を使い奥へ進みます。道を選ぶ時は【勘】を使ったり。敵が重点的に見回っている方へ進みます。
隔壁の破壊には【フォックスファイア】を使います。破壊後は人形を盾にしつつ撤退まで戦います。


舞塚・バサラ
・SPD
さあて、忍者の本領を発揮する時で御座るな
隔壁までは気配と足音を殺して移動するで御座る(存在感、目立たない、忍び足)
場合によっては天井や遮蔽に隠れるで御座る(地形の利用)
道中邪魔になりそうな敵がいたら、背後、及び隙を突いて排除。鎧?幾ら固めようが、弱い点は存在するで御座るよ(暗殺、鎧無視攻撃)
死体は目立たない場所へ隠蔽

到達したら人格交代(ジッポーを点火)
…さて、拙者の責務を果たそう。
走れ、拙者の眷属
「いつまで」と扉を叩け
ユベコ発動。
複製された大剣で、隔壁の隙間や、構造的に脆い部分
もしくは隔壁の周囲の壁や天井を切断して隔壁の無力化を狙おう
破壊出来ずなら後続への備えを残すべきか(破壊工作)


アマータ・プリムス
潜入して破壊工作は当機の得意分野です

【ハッキング】船内の地図を【情報収集】
その後、船内の監視カメラから当機の姿を消して外套を羽織り【目立たない】ように潜入を開始します

巨大障壁に到達したらトランクを【武器改造】でアンプに変形
取り出したイーリスをアンプに接続し【楽器演奏】でかき鳴らし
【歌唱】して歌【属性攻撃】のUCを人間の可聴域を超える高音で発動
巨大障壁を共振させ破壊します
「 Rock 'n' Roll!」
障壁を破壊できたらそのままトンズラさせていただきましょう
戦場はまだまだここだけではありませんから


※アドリブ、絡み歓迎です


佐久間・嶺滋
………潜入か。暗殺の方が得意なんだが(物騒な発言)

【忍び足】で見付からぬように遮蔽などを意識しながら移動。
通り道の邪魔な警備兵は声をあげられる前に【暗殺】。
声をあげられそうなら【恐怖を与える】。
なるべく派手にならないようにしたい……な。

隔壁へは【サイキックブラスト】の【高圧電流】で機械的に故障させる。
いくらなんでも魔術が発達している訳では無いだろう?


モルツクルス・ゼーレヴェックス
【情報収集】を活かす

「いい加減、帝国の連中とも長い付き合いっすからね……」

【世界知識】と今までの経験からの【戦闘知識】で概ねの構造を推察

「ほとんど当てずっぽうっすけど、自分の勘を信じて!!」

【拠点防衛】の知識から重要そうな隔壁を推測

「ここっす!間違いないっす!ワイバーン肉の美味しさくらい間違いないっす!」

手薄なところ進み、見つかりそうなら【睡眠雲】で眠らせて静かに進む

「はっはっは!自分を阻みたいならこの3倍は持ってくるっす!」

目標隔壁に到達したら【高速】で【自在太陽】を打っ放す

太陽24個分の極大の光と炎の【属性攻撃】
自在に【範囲】を操って隔壁を蒸発させる

それでは皆さん、ご一緒に

「たーまやー♪」


シャノン・ヴァールハイト
攻撃するだけで良いのなら、シンプルでありがたい

予め、自身のUCが全力で攻撃出来るだけのスペースがある隔壁の場所を確認し、デバイスに見取り図を入れられるなら入れて、スムーズに迎えるように準備しておく。

自身の動きをトレースするので、周りの状態に合わせた攻撃を行い(剣による突きや斬撃)、隔壁が頑丈で破るのに時間が掛かると判断したら、剣を無駄に巨大な鞘に納め、UCが鞘を隔壁に当てるようにした上で技能『怪力』を使用して鞘を全力で蹴る動きを、UCにトレースさせる予定だ。

アドリブ等は、気にせずにやって欲しい。
(UC使用時、装備3の効果で左腕から血が出て使用不可になります。自分への呪詛と御考え下さい)


ベール・ヌイ
「問…ゴリラに隠密は…できるのか?」「(ヌイ、流石に無理があるかと と書かれた紙を掲げるゴリラ)」

ゴリラと一緒に隠密行動します
隠れる等の技能はないため、『野生の勘』で人のいない場所を進んでいきます
もし見つかれば『先制攻撃』でゴリラの電撃を飛ばし、気絶させようとします。気絶させたら隅っこに隠しておかないとね
隠せそうにないなら他の方の侵入がやりやすくなるように陽動に徹します
陽動の際にはバイクで暴れながら『誘惑』で注目を集めようかな
奥までたどり着けたならばゴリラのフルパワー雷タックルとヌイのフルパワー火鳥乱舞をぶつけます

アドリブ等歓迎です


チトセ・シロガネ
その作戦、面白いネ。裏をかくのは結構好きヨ。

潜入は【迷彩】で姿を隠して
【地形の利用】【第六感】で通風孔や狭い場所を探りつつ
それらを利用して警備の目から逃れつつ移動するヨ。

隔壁は【光輝障壁】をぶつけるよ。壁には壁をぶつけるネ!



 解放軍艦隊との戦闘に戦力を大幅に割いたエンペラーズマインドに接近するのは難しいことではなかった。
警備の穴を見つけると八人の猟兵達は素早く各々の手段で開口部に到達していた。
開口部は内部から船が発進できるほど巨大で、まるで全てを飲み込むかのような威圧感を放っていた。
いざ潜入、と逸る猟兵達を尻目にアマータは辺りを見渡すとそっと近くの端末に近付いていった。
「お待ち下さい、ここはひとまず当機がハッキングを仕掛けて内部の地図を入手します」
 アマータはメイドの七つ道具からハッキングツールを取り出すと端末へと繋いだ。
「おそらくこれは連絡用の端末です。それほど重要な情報にアクセス出来るようにはなっていないでしょうが、当機達にとっては概略図でも得られれば貴重な情報源です」
そう言いながらアマータを素早く情報を抜き取っていく。いくつかのセキュリティを無効化しながらしばらく、無事に障壁の場所が記された概略図を入手することに成功した。
やはりどの障壁がコアへと通じるかは描かれてていないものの、どうすれば最短ルートで障壁へたどり着けるかは分かるようになった。
「皆様、お待たせいたしました」
 アマータはそう言いながら後ろを振り返る。
 そこには、四人の猟兵が地図の情報を待ちわびた様子で立っていた。
……そう、四人の猟兵しかいなかったのである。
「あの、当機の記憶違いでなければ総勢八名のはずですが……」
 他の方々はどちらに、戸惑いながら言葉を紡ぐ。
 それに対してシャノン・ヴァールハイトは少し言葉を濁しながら、困ったように答える。
「ああ、それなんだがな。こういう迷路での勘は良いのじゃ、とか自分の勘を信じて、とか、こっちは人がいない気がする、とかなんとか言って先に入っていったぞ」
そう、ここにいない三人は意気揚々とすでに内部へと潜入していたのである。

 時は巻き戻る。
「お待ち下さい、ここはひとまず当機が……」
 端末に向かっていくアマータを尻目に蜂蜜院・紫髪、モルツクルス・ゼーレヴェックス、ベール・ヌイ、ゴリラの三人と一匹は奥へと進んでいった。
「要するに巨大な迷路のような物じゃな。わしに着いてくると良い。こういう時の勘は良いのじゃ」
 紫髪にはこういう時の勘には自信があった。
「いやここは自分に任せて欲しいっす。いい加減、帝国の連中とは長い付き合いっすからね……」
 モルツクルスには経験から来る自信があった。
「ヌイはこっちには人がいないと思う……勘だけど」
 ヌイには野生の勘に自信が有るわけでも無いわけでもなかったが、ゴリラがいるから人がいる方向は避けねばならなかった。
 三人はそれぞれ自分が行きたい方向を指差すが、それはどれも違う方向。
誰が正しいのか、どこが正しいのか。三人は思い悩み、しばらく沈黙が場を支配した。
そして示し合わせたかのように一斉に思い思いの方向へ走りだしたのだった。
「いーや、こっちじゃ。こっちが正しいのじゃ」
「ほとんど当てずっぽうっすけど、自分の勘を信じて!」
「やっぱり……ゴリラに隠密は……無理?」
「(ヌイ、流石に無理があるかと)」
この場の誰が正しかったのか。それはこの時点では誰も知らない

「はあ?」
 シャノンから経緯を聞いてのアマータの第一声がこれである。彼女の心情は察せよう。
 荒立ったアマータを宥めようと舞塚・バサラは前へ出る。
「まあまあ、どの障壁がコアへと通じているかは結局分からず仕舞いであるが故、さほど大きな問題では無いで御座るよ」
そして続けて。
「それに敵に見つかった時は、陽動になるで御座る。まあそれはここに居る者にも当てはまるで御座るが」
 そう言うバサラの顔は非常に悪い顔をしていた。
「だが、見つかったからといってそこで失敗になるわけでもないだろう。声を上げられる前に黙らせてしまえば見つかっていないのと同義だ」
 佐久間・嶺滋はそうバサラを制した。
 黙らせる手段については言及しなかったが、その意図はバサラにはしっかり伝わっていたようで。
「確かに、そうで御座るな。目撃者がいなくなれば見つかってないと言えるで御座る」
 いなくなれば、と暗に暗殺をほのめかしていたのだった。
 話が一段落したところでチトセ・シロガネが焦れたように作戦の遂行を促す。
「話していても進まないシ、そろそろ行きまショ?」
 そう言いながら開口部の奥へと進んでいく。チトセ。
「お待ち下さい。まずはこの概略図を……」
まずアマータが後に続き
その後を追うようにこの場に残っていた三人の猟兵は開口部へと消えていくのだった。

 総勢八名の猟兵は結果として一人一人、個人で障壁の破壊に向かっていった。己の勘を信じて進む三人と人海戦術で障壁を破壊した方が早いという五人の判断の結果である。
 
 一番早く障壁に辿り着いたのは、アマータ・プリズムだった。
 アマータは先程のどうしようもない思いを抱え、悶々としていたのである。
 人海戦術で行くと皆で決めた後、素早く黒い外套を羽織ると、目立たないように一番近い障壁を目指した。
 その障壁を選んだのは別に深い理由が有るわけでもない、ただ近くにあったから、それだけである。
 アマータは先程のどうしようもない思いを逸早く吐き出したかった、ただそれだけである。
 道中の警備員は正面から有無を言わさずトランク、アルジェントム・エクス・アールカで薙ぎ払い、足蹴にし、障壁までの道程を彩るカーペットにしてきた。
 そして障壁まで来たらやることは決まっていた。
 警備員を殴ってきたアルジェントム・エクス・アールカをアンプに変形させとギター式マイク、イーリス・カントゥスを繋ぐ。
「―――聴くだけではなくその身体に。この歌を届けましょう」
 Fama crescit eundo それは彼女の魂の叫びを込めた歌。
 そして叫ぶように歌う。
「Rock 'n' Roll!」
 全ての思いを乗せたその歌は、大気を震わせ、壁、床、天井、そして巨大障壁を震わせる。
 一時だけの彼女のステージ。
終わる頃には障壁は跡形もなく砕け散り、残されたのは原型を推測することすらできない瓦礫の山だった。
「さて、すっきりしたことですし、このままトンズラさせていただきましょう」
 戦場はまだまだここだけではありませんか。
そう言うと、次の戦場へ向けて走りだした。
戦争は未だ継続中である。

 潜入、それは忍者の本領である。
 舞塚・バサラは一番奥の障壁へ向かって進んでいた。入り口から一番遠い場所こそコアに通じているのではないかという考えと、自分ならそこまで素早く近付けるという自負がそこにはあった。
気配を殺し、足音を殺し、敵地であっても知った地形であるかのように利用していく様は隠密の達人と称することに何の違和感もなかった。
 防具に身を包んだ警備員もその忍びの技の前にはあまり無力だった。
「鎧?幾ら固めようが、弱い点は存在するで御座るよ」
音もなく近づくと、陽炎に揺れる不知火火車を隙間に差し込む。
きっと警備員は自分が死んだことにすら気が付かなかっただろう。
そうして辿り着いたのは最奥。
バサラはそっと懐からジッポーライターを取り出す。打火花、阿修羅が刻印それはバサラの人格を切り替えるキー。そしてシュッと火を灯す。
「……さて、拙者の責務を果たそう。拙者は叫ぼう。その悪逆に『いつまで』と」
 陰術:以津真天ト哭キ叫ブ凶鳥、焔と陰で編んだ大剣を複製し念力で中へと浮かす。
「大仰に20個呼び出したが、数は不要。全ての物には弱点があり、そこを突くだけで」
 そう言いながら大剣を操り、障壁の隙間へと差し込んでいく。
「脆く崩れるものよ」
 そう言った時、すでに障壁はバラバラになり奥への道が開けているのであった。

佐久間・嶺滋の潜入は潜入という言葉が持つイメージとは裏腹に大胆なものであった。
「……これで終わりだな」
忍び足を使いながら、遮蔽を利用し警備員へと近づき暗殺する。これを繰り返し、これまで騒ぎにならずに障壁まで接近出来たのである。
「やはり潜入よりも暗殺の方が得意だな」
 そう言いながら振り返ると、そこには地に臥した十数名の警備隊の姿があった。
「流石に警備隊丸々相手にするのは骨が折れたがな」
 これまでも警備員を暗殺して進んできたが障壁まであと少しといったところでまとまって動く警備隊に遭遇してしまったのは不幸と言わざるを得ない。
 あえて音を出すことで一人釣り出して暗殺し、帰ってこないのを不審に思って調べに来た一人を暗殺し、注意が完全に向いたところを回り込んで暗殺する。
 二人組で来たときは恐怖を与えて動きを封じる。
 警備員の撃破数で言えば随一であろう。
そんなこんなで巨大障壁まで辿り着いた嶺滋。
巨大障壁に対してやることはシンプルだった。
「いくら科学が発達してると言っても魔術が発達してるわけは無いだろう?」
サイキックブラストで高圧電流を巨大障壁に放った。
それは内部に誤った電気信号として伝わり、開閉を繰り返す。
そしてバチバチバチと嫌な音を立てると煙を吐いて動かなくなる。
開く途中か閉まる途中か、定かではないがそこには僅かな隙間があり、奥へと続く道が見える。
「これで一様任務は完了だな」

 シャノン・ヴァールハイトが向かう障壁は広いスペースに位置する物だった。
 【我は招く、欲死の神魔】は非常に巨大な神魔を召喚するユーベルコード。十全に振るうために巨大な空間を求めていたのだった。
 だが、広いスペースがあるということは障害物がなかった場合、見つかる危険性が高いということでもあった。
 そしてその危惧は現実のものとなっていた。
「参ったな。これほどまでに何もないとはな」
 シャノンの前には障壁の他には何もないだだっ広い空間とそこに佇む警備隊の姿。
 これでは見つからずに破壊するのは不可能。
「しかし、こうなったらもう仕方がない!無念の下に死した非業の魂よ、七星の下に集まり集いて我が敵を塵殺せよ!」
 警備隊諸共障壁を破壊する。その覚悟と共に【我は招く、欲死の神魔】を使用する。
 強大な力を振るえるユーベルコードだが、代償を必要とする。シャノンの身に刻まれた聖印、戦場の真理によって左腕は封じられ、血が溢れ出す。
 左腕が封じられるということは神魔の左腕が封じられているのと同義。
 致命的な欠点足りうる故にシャノンが仕掛けるは短期決戦。
 堕銀の剣を大きく振るい、警備隊ごと障壁を薙ぎ払う。
「これでえぇえええ!」
 その覚悟が通じたのか、障壁には大きな傷が刻まれ、反対側の光景が見えていた。
 警備隊の方はといえば瓦礫降り、土煙が舞っているため確認することができない。
 だがそれは向こうも同じこと。シャノンはこれ幸いと脱出へ向けて動き出すのだった。

チトセ・シロガネは迷彩を利用し巧みに警備の目を逃れていた。
 通気口を通りながら呟く。
「他愛のないことネ」
 その言葉からは余裕さが感じられた。
事実、彼女はこれまで警備員に一切見つからず、接触せずに来れていてるのである。
目指す障壁は入り組んだ構造の奥。
この辺りは通気口によって繋がっている部分が多く、角も多いため潜んで動くのに最適だったのである。
「さて、そろそろ……」
そう言って角を曲がった時だった、通路の先に巨大障壁と思われる行き止まりが見えてきたのだった。
「本当に他愛のないことだったネ。さて壁には壁をぶつけるネ! 悪意を消し去るは光の障壁、我が前に立ち塞がれ、輝く星光の盾よ」
チトセによって放たれた【光輝障壁】はまっすぐ巨大障壁へと飛んでいき、これを粉砕したのだった。

蜂蜜院・紫髪は己の勘に従い、モルツクルス・ゼーレヴェックスとベール・ヌイとは袂を分かち別々の道を進んでいた、はずだった。
「おかしいのう。間違いなく別々の方向へと向かったのに何故こうして合流しておるのじゃ?」
 そう言う紫髪の右にはモルツクルス、左にはヌイ、そして前にはゴリラ。
「不思議っすねえ。でもこれは皆の勘が間違っていなかったってことじゃないっすか?」
 そう朗らかに笑いながらモルツクルスは返す。
 確かに別々の道を進んでいた三人だったが、これといった目的地もなく、己の勘に従って道を進んだ三人は当初の方向とは関係のないところへと進んでいたのである。
「不思議……ヌイは……人の居ない方に進んでたはず……」
 そして何の因果か引き寄せられるように合流を果たしたのであった。
「しかし……三人も集まれば順調も順調じゃのう」
 それは現状を指してのことだった。
紫髪が『狐火よ、我らを隠せ』と陽炎の術を使い自身とゴリラを透明にし、出くわした警備員を出会い頭に先制攻撃、ゴリラの電撃によって何もさせずに蹴散らしていくだけであった。
「ゴリラは……がんばりやさん」
「あれ?これ自分だけ何もしてなくないっすか?!」
 現状を整理した時に自分だけ何もしていないことに気が付いたモルツクルス。
 その慌てる様を優雅に笑いながら紫髪は見つめる。
「モルツクルスは障壁を壊すときに頑張ってくれると信じてるからのう」
それは励ましのことばのようでプレッシャーを掛ける言葉だった。
「ああ、もう!巨大障壁はまだっすかー!」
 そう叫ぶのは無理も無かった。
そして大した障害もなく巨大障壁へと三人は辿り着く。
「さあ見てくださいっす。全ての始原、全ての終焉……其は炎、其は光……汝が力を此処に乞う!」
その詠唱と共に炎が灯る。それは次第に大きくなり、太陽もかくやという輝きを見せる。
「それでは皆さん、ご一緒に」
「「たーまやー♪」」
その巨大な火の玉は障壁へとぶつかったそばから障壁を蒸発させていく。
そして火が消える頃には跡形も残っていないのであった。
「さてこれでミッション完了っすね」
さあ、あとは帰るだけ。
しかしここで三人は気づく。
勘にしたがってここまで来たために道を把握していないことに。
三人の冒険はこれからだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月09日


挿絵イラスト