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銀河帝国攻略戦⑨~星間騎兵の妨害作戦

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●発令、銀河帝国攻略戦
 『ヘロドトスの戦い』によって、猟兵達に救い出されたフォースナイトの女性、『ミディア・スターゲイザー』。彼女の存在、そして猟兵達の活躍によって、失われた技術『ワープドライブ』が復元された。スペースシップワールドの戦況を打破する可能性を秘めたこの力は、正に『再来せし解放軍の旗印』に相応しいものであった。
 しかし、これをオブリビオン――銀河皇帝率いる銀河帝国軍がみすみす見逃すはずもない。ワープドライブの有資格者であるミディアを亡き者とするために、銀河帝国は大規模な殲滅戦へと打って出る。
 かくして、スペースシップワールドの命運をかけた一大戦争が勃発した。これに破れることがあれば、この広大な宇宙世界はオブリビオンの手に落ち、滅亡は免れない。
 要となるミディアを護衛し、解放軍の戦力を結集させ、『オブリビオン・フォーミュラ』である銀河皇帝を打倒せよ!

●戦史に綴る一頁
「やっほー諸君! 話は聞いてるね? 聞いてなかったら出発前に確認しておいてね!」
 矢継ぎ早に口を開くのは、グリモア猟兵の一人であるウィルマ・シャーオゥ(ヤドリガミの探索者・f00154)だ。
「知っての通り、現在スペースシップワールドは天下分け目の鉄火場状態。今のところは順調だけど、まだまだ気は抜けないのです。ということで、この場の諸君にもきりきりーっと働いてもらうよ!」
 今回、猟兵達に担当してもらうのは『エンペライダーズ宙域での集団戦闘』になる。エンペライダーズとは、帝国最速とも謳われる、宇宙バイクによる精鋭騎兵部隊だ。予知によれば、戦場には本来の隊員以外のオブリビオンも、騎乗訓練を積み指揮系統に基づいて編成されているらしい。
「その中で諸君に相手をお願いするのは、複数の『小型歩行戦車』によって構成されてる小隊です! ……多脚歩行式の戦車が騎乗ってなんか不思議な感じするけど、たぶん専用のパーツ換装とか受けてたりするんじゃないかなー? 実際は見てのお楽しみ!」
 猟兵達の尽力によって、解放軍戦力は充分な数が集まりつつあるのだが……解放軍艦隊には一般人も非常に多いため、『実戦経験が乏しい』という致命的な弱点があるのだ。精鋭集団エンペライダーズはこの弱点を突き、解放軍の攪乱を謀ってくるだろう。そして、この戦域後方には大規模な帝国軍艦隊も控えている。後方に陣取る帝国軍戦力は、虎視眈々と解放軍の迎撃を狙っていた。
 銀河帝国との全面戦争は、現地住民――解放軍として決起した者達の協力なくして成り立たない。味方艦隊が甚大な被害を受けるより早く、エンペライダーズを退け露払いを行う必要がある。
「ヘロドトスの成果……えっと、宇宙服だったっけ。それがあれば宇宙空間でも、諸君の活動に支障はきたさないはずだよ。さて、準備はおーけー? それじゃー存分に暴れておいでー!」


藤川棗
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 メーデー、戦況は順調に進行中。スペースデブリの舞い飛ぶ星間戦域にこれより合流させていただきます、藤川です。
 それでは簡単な補足と参りましょう。

●行動について
 特殊なシナリオとはありますが、内容そのものは普段の集団戦と変わりません。技能を駆使し、ユーベルコードでばっさばっさとオブリビオンをなぎ倒してくださいませ。
 猟兵達はヘロドトスの戦いでとてもすごい宇宙服を手にしておりますので、宇宙空間でも行動に制限がつくことはないでしょう。カッコいい決め台詞、華麗なスタードライビングテクニック、環境を巧みに利用した無重力アクション等ガンガンキメていきましょう。
 せっかくの戦争です。全力で暴れてください。全力でサポートいたします。

●採用について
 『👑達成』を最優先にご案内させていただきます。多数のプレイングをお預かりした場合は、『執筆時点で銀河帝国攻略戦関連シナリオに参加していない猟兵さん』を気持ち優先しつつ、超過採用はあまり行わない予定です。
 後半に控えているであろう脳みそドクターや、銀河皇帝に挑むための軍資金を残しておいてくださいませ。強そうな奴に会いに行くための温存もまた、此度の戦争の一環です。

 それでは、皆さまの気力に満ちたプレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『小型歩行戦車』

POW   :    インペリアルキャノン
【機体上部に装備されたビームキャノン】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    タンクデサント
【完全武装した銀河帝国歩兵部隊】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    サイキックナパーム
【機体後部から投射する特殊焼夷弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【搭乗者の念動力で操作できる】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エルシー・ナイン
みなさんも新しい宇宙服で宇宙を飛び回れるようになりましたが、やはり宇宙での戦闘はウォーマシンたるワタシに一日の長があります。

フルアーマー形態で他の皆さんに先んじて敵部隊の只中に突っ込みます。
「周りに味方がいない方がやりやすいのですよね」
【ベルセルクトリガー】を発動し、ガトリングガン&ブラスター&マルチプルミサイルの範囲攻撃及び一斉発射で、目につく戦車達を問答無用で薙ぎ払います。
「戦車の分際で、宇宙を飛ぶなんて生意気ですよ?」
戦車が呼び出した帝国歩兵部隊に対しても戦術は変わりません。全力で暴れさせてもらいます。

「帝国製のウォーマシンとして、これ以上帝国の好き勝手にはさせません!」



●孤軍、されど計略なり
 隊列もままならない艦隊に、高速騎兵部隊『エンペライダーズ』が迫る。その報せを受けて、指定された戦域へといの一番に到着したのはエルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)だった。周囲に他の猟兵の姿はない。完全に孤立した状態である。
「周りに味方がいない方がやりやすいのですよね」
 ウォーマシンである彼女にとって、崩しようのない微笑を湛えたまま、エルシーは独りごつ。それは決して強がりではない。機械種族に由来する冷静さというだけでもないだろう。
「発動、『ベルセルクトリガー』――亡き帝国製のウォーマシンとして、これ以上『アナタがたの帝国』の好き勝手にはさせません!」
 敵陣の直中でエルシーは全武装を展開し、自らのリミッターをも解除する。攻守と反応速度を極限まで研ぎ澄ませ、視界内で動いているありとあらゆる存在目掛けて、ありったけの砲火を叩き込んだ。星間バイクユニットを装備した戦車隊がビームキャノンで反撃するも、判断力に割くリソースすら強化に回したエルシーには敵わない。彼女の装甲に全て阻まれ、逆に更なる損害を生む始末だ。
 足周りに優れた騎兵部隊にとって、この状況下のエルシーはまさに天敵と言える存在だった。特殊仕様小型歩行戦車小隊は、彼女を脅威と見なしたようだ。臨機応変に隊列を組み、一時後退を余儀なくされる。
 その転進の最中にも、エルシーの追撃が止むことはない。それはきっと、彼女の眼から自走するものがいなくなるまで続くだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

竹城・落葉
 成程、どうやら次の段階に進んだようだな。では、我も更なる闘争を図るとしよう!
 ふむ、解放軍戦隊には一般人も多いのか。まぁ、実戦経験が乏しいのは仕方無いだろう。寧ろ、乏しいにも関わらず戦争に赴き、共に戦おうとする意志に感銘を受ける。なら、我らも猟兵の名折れにならぬよう、戦いに身を投じなければなるまいな!
 しかし、戦車が騎乗するとは、中々に面白い図だ。容赦なく切り伏せてやろう。
 我は敵陣へ突撃し、名物竹城を手に『支柱一閃』を用い、【早業】で素早く切り伏せる。ビームを打とうものなら、【第六感】で察知して【残像】にて避けるぞ。戦闘中は冷酷な雰囲気を醸し出し、無表情で戦うとしよう。いざ、尋常に参る!


十六夜・月
奥深くに侵入するにつれて相手は強く、守りは固くなっていくだろう。
私はまだまだ未熟、ベテランの仲間に迷惑はかけられない
仲間の支援をメインに立ち回り皆の役に立てるよう努力しよう。

ver.pul【1610L-BFS】で[スナイパー]し味方の[援護射撃]を行います。
装甲が厚いならば[2回攻撃][鎧無視攻撃]にて確実に潰す。
気づいていないなら[先制攻撃]にて先手を打てば見方も優位にたてるだろうその点は、その場の状況を[見切り]行動する必要があるだろう・・・


ウィンディ・アストレイ
機動兵器の編隊には、指揮系統の統一と意思疎通手段が必要です
それを乱せば、敵の機動やチームプレイを阻害できる筈…!

Blanches Aileのバーニアを全開で噴かして全速力で突撃
(空中戦&ダッシュ)
回避運動とアームドガーダーで敵弾を凌ぎつつ
(見切り&第六感&残像&盾受け&オーラ防御)
敵指揮官を識別します(戦闘知識&情報収集&視力&第六感)

指揮官を見つけたら効果範囲に接近、UC【Akashic Shaker】を発動!
随伴機ごと指揮系統を混乱させて、敵連携を乱します
「今です!一気呵成に攻めましょう!」
ボクは『先制攻撃&一斉発射&2回攻撃』での一斉射撃で
一機ずつ確実に仕留めます

(アドリブ&絡み歓迎)


ミアス・ティンダロス
この戦いは、この世界(スペースシップワールド)の未来を左右するかもしれません。
正直、吐き気がするほど緊張しています……
でも逃げちゃダメです。ベストを尽くさなくちゃダメなんです。
この世界のために沢山の人が頑張っています。僕も頑張らないと……!
敵を倒し、スターゲイザーさん達の船を守ろう!

ユーベルコードを【高速詠唱】し、吹雪を放て敵の行動を封じようとします。
もしできれば、焼夷弾に対してもユーベルコードで消火する。


尾守・夜野
戦車?
はっ!
俺のスレイ(8本足の馬)には関係ねぇな!

馬体を起こして跳ねさせたり、踏みつけさせたりするぞ

デブリを足場にしたり、何もねぇ空間だろうが、宙を駆けさせる

デブリをハンマーに変えた黒剣でカンカン相手の近くに打ち込んで誘導と広い場所の確保
宇宙の大掃除ってな!

誘導し終えたらスレイを反転、勢いを付けて突撃を敢行す!

槍に変えた黒剣を馬上槍のように構え…突撃!



●特殊騎兵小隊を撃滅せよ!
 広大な星の海に集う解放軍艦隊は、猟兵の助けを受けて日々戦線を押し上げる。決起したその数だけを見るならば、既にエンペラーズマインドと周辺一帯を制圧することも可能な程だった。
 しかし、それはあくまで数の話。解放軍を形勢する宇宙船の大半は、移民船と、戦闘に不慣れな一般人によるものだ。ワープドライブという希望に熱狂し、当座の士気なら侮れないものがあるとはいえ……それだけで、経験の差は覆せない。
 エンペライダーズは短時間の襲撃と離脱を繰り返すことで、解放軍の気勢を削ぐ作戦を練っていたらしい。該当エリアに派兵された戦車小隊は一時的に退けられたものの、小隊隊員と指揮系統は未だに健在だ。エンペライダーズ再びの急襲に、猟兵も迎撃へと向かうのだった。

「この戦いは、スペースシップワールドの未来を左右する、ん、ですよね……」
 宇宙空間を移動しながら、固い面持ちでそう溢すのはミアス・ティンダロス(夢を見る仔犬・f00675)だ。緊張で冷え切った手を握りしめ、口内に溜まっていた苦い唾を飲み下す。齢十三の少年にとって、世界の命運は些か以上に荷が重い。
 そんなミアスとは対照的に、竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)は非常に落ちついていた。銀河帝国攻略戦で既に多数の戦場をくぐり抜けてきた女武者は、解放軍の気概について称える様子さえ見せている。
「戦いを知らぬ者までもが、戦おうと奮起しているのだ。なら、我らも猟兵の名折れにならぬよう、戦いに身を投じなければなるまいよ」
「そうだね。私もまだまだ未熟だけれど、皆の足を引っ張るつもりはない。支援は任せて」
 『ver.pul【1610L-BFS】』と銘打たれた長距離狙撃銃を手に、十六夜・月(自由気ままなダンピール・f12574)も頷いた。戦場に居合わせた仲間を気遣う間にも、ウィンディ・アストレイ(W-ASTRAY・f09020)と共に周囲の警戒は怠らない。
「……! 索敵センサに感有り。前方二時の方向です。皆さん、準備を!」
 ウィンディの言葉で全員が構えるや否や、敵影が視認可能な距離にまで接近してくる。その速度は、確かに帝国最速の名に恥じぬものだった。

「帝国に戦車? はっ、俺とスレイの敵じゃねぇよ!」
 我先にと駆け出したのは、愛馬『スレイプニール』に跨った尾守・夜野(群れる死鬼・f05352)その人である。漂うスペースデブリを馬蹄で踏みつけながら、夜野は自らの血を介して武装『黒剣』を変容させる。『ブラッド・ガイスト』で殺傷力を増した剣は、いまや鎚と呼ぶ方が相応しい形状だ。強化された鎚をこともなげに振り回し、付近の残留物を敵群に向けて打ち出していく。
「そら、宇宙の大掃除ってな!」
 次々と襲い来るデブリに対して、回避行動を取る戦車小隊。分断と旋回の動きを注意深く観察しながら、ウィンディも純白の背部推進ユニット『Blanches Aile』のバーニアを全力駆動させ、夜野に続く。
「尾守さん、そちらから継続して敵の誘導をお願いできますか? ボクは反対から回り込みます」
「何か策があるって顔だな。いいぜ、元からそのつもりだ!」
 高速の騎兵に引けを取らない自在さで、宇宙空間を無尽に走り回る夜野とウィンディ。一方は馬上からの戦場操作と直接打撃を織り交ぜて駆り、もう一方は何かを探るように回避と防御に徹している。速力に優れた二人にやや遅れて、落葉、月、ミアスの三人も敵小隊との接触を果たした。
「移動用の装備ってやはり便利なんだろう、な!」
 後方の月による援護射撃が、ウィンディの死角に潜り込んだ敵個体を撃ち抜いてみせる。ユーベルコードを用いない狙撃は決定打にこそ欠けるものの、的確な判断による牽制が、味方の行動を大いに助けているのは間違いない。
 月の狙撃によって対宇宙戦闘仕様のバイクユニットを破損したのだろう。動きの鈍った個体目掛けて、落葉が即座に距離を詰める。
「戦車が騎乗するとは、中々に面白い図だ」
 面白い、と口にはしているが、落葉の表情には一欠片の笑みもない。冷酷で、堂々たる佇まい。多重人格者である彼女が、傭兵稼業に勤しむ際の別人格が表れているのだろう。目にも留まらぬ早業で、腰に差した獲物を抜き放つ。呼吸ひとつの間よりも速く、戦車の一体が切り伏せられた。これこそ剣豪が得意とする技、剣刃一閃――いや。
「……って刀じゃねぇのかよ!」
 彼女の頭上で大きく転回していた夜野は、丁度その光景を目にしていた。そして思わず突っ込んでしまったのだ。落葉が手にする獲物、それはどう見ても刃物とは言い難い。
「銘を『名物竹城』という。今の技は支柱一閃だ。この程度、我が刀を抜くまでもない」
 斬撃と見紛う程の鋭利な断面に見事な一撃だが……名物竹城は、完全にバールのような鈍器だった。何故それでここまで斬れるのか。若干困惑しながらも、夜野は愛馬を嘶かせて再度の突撃を図る。対して、ミアスはその様を見て純粋な驚きを示していた。
「すごい……ううん、僕も頑張らないと。ベストを尽くして、皆さんの船を守るんだ……!」
 決意を新たに、ミアスは膨大な祈りの言葉を高速で唱えていく。師の遺した魔導書を開くと、『風に乗りて歩むもの』と呼ばれる存在の頁をなぞった。宙に魔力が円を描き、複雑さを増しながら異空間への繋がりを構築していく。
「風に乗りて歩むもの、偉大なるもの。最も気高い翼をもつ者よ」
 強大な存在への祈り一句を捧げる毎に、書と、それに綴られるものが巫子へと囁きかけてくる――術式を織るミアスには、確かにそんな感覚があった。
「『激凍極嵐・風に乗りて歩むもの(ブリザードベント・イタクァ)』!」
 完成した魔方陣から極寒の吹雪が放たれ、反撃の焼夷弾ごと戦車を凍てつかせてゆく。凍りついた個体が間断ない狙撃で容易く砕け散ると、吹雪は更なる贄を求めて吹き荒れた。
 じりじりと追い詰められていく戦車小隊。そして、とうとうその瞬間が訪れる。
「複合センサ展開。システム完動確認――見つけました、あそこにいるのが指揮官機です!」
 両耳のセンサをアクティブモードへと変形させながら、ウィンディが声を上げた。外観や連絡信号の差異から指揮官機体を割り出したのだ。そのまま彼女は指揮官が布陣する範囲へ接近を図る。『部隊として機能している以上、必ず指揮官が存在する』と、彼女はこう考えていたのだ。そして、指揮系統さえ乱せれば……隊は、必ず崩壊する!
「Akashic Shaker……行きます!」
 ウィンディの複合センサから放たれる振鳴波が因果律の微揺動を引き起こし、随伴機もろともその動きを封じ込む。彼女自身も一転攻勢の構えを取り、仲間へと合図を送った。
「今です!」
「了解……最後くらいは、私に任せろ!」
 あとは一気呵成に攻めるのみ。動かない的であれば、装甲の隙間だって貫いてみせる。月は拍動の微かなブレも計算に含めると、照準を合わせてその引き金を引いたのだった。

 指揮官機を失った戦車小隊は、瞬く間に部隊としての体を成さなくなる。残存戦力はあるものの、当初想定されていた遊撃による攪乱作戦を実行することはまず間違いなく不可能だろう。
 帰還して次の戦闘に備えるのも、今暫くこの場に留まり掃討戦を行うのも各個人の自由だ。少なくとも、彼らは必要な分の働きを為したのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
戦術規模でどこまで通用するか
試行を増やさねばな

見える敵性個体を残らず魔眼・掃滅で消去
軌道を見切り、自身の視力で捉え得る範囲を最大限纏めて消し飛ばす
自身への攻撃も同様に消滅させる

移動は回廊で適宜
危険な者が近くにあれば退避させる

他の猟兵が付近にいるなら協働


フィスト・フィズム
帝国を相手に事を構えるのは初めてだけど…何にせよまずはこいつらをなんとかしないとね。

【POW】
UC『トリニティ・エンハンス零』で雷の魔力による攻撃力を増強。続いてUC『鷲獅子よ来たれ』でテラ(グリフォン)を召喚し騎乗。
エルシーや他の猟兵に続く形で突撃するわ。
雷の魔力を使った【属性攻撃】【なぎ払い】【範囲攻撃】で組み直された隊列をもう一度崩しに試みる。
敵の攻撃に対しては、黒死の鱗盾による【盾受け】【見切り】で捌くわ。
幾らでもビームを飛ばしなさい!
全力で吹き飛ばしてあげるから!


尾崎・ナオ
【拳銃早打ち】で仕留めるよ!(レベル分の1秒で【黒い拳銃】を発射できる)
「これ、見える~ぅ?」
相手を茶化しながら早打ち!技能【クイックドロウ28】も乗せて、高速の早打ちを仕掛けるよ!
弾薬が足りない?いやいや、大丈夫。拳銃自体が沢山あるから!同じ銃ちゃんと複数装備してるから!

あとは【ナイフいっぱい☆】も使って牽制していこうかなー。
こいつら、意思はあるんだよね?ちゃんと退いてくれると嬉しいんだけど!
ちゃーんと投げる前に【毒使い7】でしっかり毒を塗ってまぁす!
それを念力で【投擲7】!投擲フォームを使うって事で!



●特殊騎兵小隊殲滅戦
 指揮官機撃破に前後して、別動区域にて集団を相手取る猟兵もいた。

「我が友テラよ、この声に応えよ!」
 『トリニティ・エンハンス零』で雷の魔力を纏ったフィスト・フィズム(白銀の竜女・f00177)が、続けざまに純白のグリフォン、『テラ』を召喚する。彼女はゆうに三メートルを超す鷲獅子の体躯に跨がると、小隊を迎え撃つべく宇宙空間を飛翔していく。暗く広がる静かの海に、彼女たちの白い翼はよく映えた。
「かかってきなさい……全力で、吹き飛ばしてやろう!」
 黒死の名を冠する鱗盾を構えながら、勇ましくフィストは名乗りを上げる。ここスペースシップワールドでの戦いは初めてだったが、高機能宇宙服のお陰で行動に不自由はない。これまでと変わりなく戦えることを、彼女は改めて確信する。
 フィストが最初に行った身体強化に反応したのだろう。毅然とした彼女に向けて、戦車小隊は『インペリアルキャノン』を次々と放ってくる。回避しきれない攻撃を盾でいなし、範囲魔法で応戦するフィストだが……消耗の蓄積は、彼女の想定よりも早い。
 何故、と思わず歯噛みすると、ふいに鷲獅子が弱々しく鳴いた。
「テラ……!」
 そう。能力強化を施せども、フィストとテラは今、互いに生命力を共有している。フィスト自身は盾での防御も可能だが、鷲獅子の巨体までカバーするのは少々難しかったのだ。
 その時、淡青色の粒子がふわりとフィストに近付いた。これも何かの攻撃か、と咄嗟に彼女は盾を振りかざす。ところがその粒子に触れても、これといった変化は見られない。
「これは……?」
「俺の異能のひとつだが……ふむ。事前に説明をしておくべきだったか」
 怪訝な様子を見せるフィストに答えるのは、輝く粒子の操り主であるアルトリウス・セレスタイト(原理の刻印・f01410)だ。
「これは『回廊』という。望めば一時的に異空間への待避ができる。そして――」
 そして、アルトリウス自らが粒子に触れる。瞬時にその姿がかき消えたかと思うと、敵個体の密集地点へと彼の身体が転移していた。突然現れたアルトリウスに、戦車はタンクハッチを開こうとする。しかしそれよりも速く。瞬きよりもなお速く、アルトリウスは魔眼の力を解放する。彼が望むもの全てを放逐する異能の眼、『魔眼・掃滅』。
「このように、移動手段としても使えるものだ。好きな場所に、好きに行け」
 名が表すとおりの彼の眼は、たちどころに敵性存在を一掃していく。その様を見て、距離を取って立ち回る尾崎・ナオ(人間のシーフ・f14041)は、拍手と共に口笛を吹いた。
「へ~ぇ、べ~んり~! なになに、それって結構びゅんびゅんあちこち行けちゃう系ですか~? すっご~いですね~!」
 笑顔で称えるその言葉だけなら、辛うじて丁寧と言えなくもない。しかし彼女の一挙手一投足から、隠しきれない軽薄さが滲み出ていた。黒い瞳をにまりと細めて、ナオは拳銃二挺をトゥーハンドで構え直す。
「でもナオちゃんは~ノーゥセンキュー! だってさー直接跳ねて撃ってぶーっ潰すほうが楽し~じゃん今ぁ、ねェッ!」
 ナオは甲高い嗤い声を上げて、はしゃぎ回るように敵を撃ちまくる。ガンナーズ・ハイとでも呼ぶべきか。驚異的な速射に対して残弾が追いつかなくなれば、銃ごと放り投げ予備を取り出す。なんとも豪快なリロードを行う有り様だ。
「あっははははは! ねぇ見えるぅ? これ、見えてる~ぅ? 速いよねぇ、すごいよね~ぇ、楽しいよねェ!!」
 戦車そのものも、『タンクデサント』で現れた歩兵も端から撃って、撃って、討ちまくる。全ての銃と弾を使い切れば、今度は猛毒を塗布したナイフを手にするナオ。それを十四個分複製すると、歩兵部隊へと投擲した。歩兵は即座に回避行動を取るが――それを嘲笑うように、毒刃はあり得ない方向へと軌道を変える。
「見て見てナイフいっぱーい☆ これ念力でも動かせるんですよ~残念でしたァ!」
 避けても死角より迫り、掠れば毒という執拗さ。念力操作ゆえに回収も容易であり、これは歩兵対策に格別役に立っていた。
「オレの力が、戦術規模でどこまで通用するものかと思ったが……」
 なるほど、こういうこともあるか、と思わず呟くアルトリウス。フィストには彼の援護も有効そうに思えたが……はたしてそれを彼女自身も望むのだろうか。軽く肩をすくめると、彼は改めて淡青色の粒子を拡散させる。協力の意思を問うように、彼はフィストへと向き直るのだった。

●頁の端より
 指揮官の撃破、および小隊の構成戦力も尽くが滅された。この宙域で為すべきことは、もはや何も残ってはいまい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月10日


挿絵イラスト