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銀河帝国攻略戦⑨~走れ烈怒喪卑漢!~

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●その赤いふさふさは
「ヒャッハァー!」
 星々が煌めく宇宙に甲高い叫びが響き渡る。違法改造宇宙バイク特有の荒っぽい排気音を垂れ流しながら走るのは、とあるクローンライダーの一団。
 彼らは帝国最速とも言われる宇宙バイク乗りからなる特殊部隊『エンペライダーズ』の中でも、一等荒っぽい走りをし、その全員がヘルメットに赤いふさふさ――モヒカンを付けていることで有名なチーム『烈怒喪卑漢(レッド・モヒカン)』だ。
「ヒャッハー!解放軍は皆殺しだァ~~!!」
 パラリラパラリラと威圧的な音を発しながら、解放軍の宇宙船に殺到する『烈怒喪卑漢』。
「「「ヒャッハァー!!!!」」」
 熟練の宇宙バイク捌きに、解放軍の警備部隊は為すすべなく、船は撃沈へと向かっていくのであった。

 ●
「手短に説明するわね。」
 予知をしてすぐに急いでここに来たのか、いつもの余裕そうな面持ちに汗を滲ませ、説明に移るのはグリモア猟兵のベラドンナ・ベルティネッリだ。
「遂に始まったエンペラーズマインドの攻略作戦、色々と問題があるみたいだけど、今回あなた達に対処して欲しいのは、こういう奴らね。」
 コッテコテの暴走族のイラストを見せるベラドンナ。いまいち脅威を理解しかねる猟兵達に、ベラドンナは続ける。
「帝国の特殊部隊『エンペライダーズ』の一部隊、それが解放軍の宇宙船を襲撃するわ。ヒャッハーヒャッハー言いながら突撃するだけの集団だけど、恐ろしく速いスピードで、警備部隊も歯が立たないのよ。」
 このままでは、確実に船が沈んでしまうだろう。戦力が減る、というだけではなく、船に暮らす多くの移民の命も失われるのだ。
「ついては、現場に急行してこれを防いでほしいの。連中を調子に乗らせないように、ここで叩いて潰すのよ。」
 ベラドンナは説明を終わらせると、残念そうに溜息を一つ。
「本当は私も行ければいいんだけど、まあ無理な話ね。任せたわよ、猟兵。」


いさぶろー
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 始まりましたね、いさぶろーです。
 今回はヒャッハーなモヒカンとの戦いとなります。
 宇宙空間での戦闘となりますが、猟兵たちには例の宇宙服があるため、生身と変わらず行動でき、推進力も確保されています。
 移民船の警備隊も戦っていますが、速さに対応できないため戦力としてはあまり役に立たなさそうです。プレイングに記載があれば描写しますが、なければ基本的にはないものと思っていただければ。

 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『クローンライダー』

POW   :    スペーススタンピード
単純で重い【宇宙バイクによる超加速突撃】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    インペリアルライド
自身が装備する【帝国製宇宙バイク】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ   :    サイキックバリアモード
対象の攻撃を軽減する【サイキックバリアモード】に変身しつつ、【宇宙バイク搭載の機銃】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

舞塚・バサラ
・SPD

なるほど、確かに速いで御座るな
然らば、某も本気を出すで御座るか
__来たれや、阿弖流為。某の身を食むで御座る

ユベコ使用。代償など【覚悟】の上で御座る

気配を消して(宇宙に紛れるような黒い服装に変装して存在感を目立たないように)全速力で戦場を駆け抜ける
敵を見かけたら上下左右、とにかく相手の隙を【見切り】相手のバイクに苦無やフック付きワイヤーを投げ(早業で投擲)動きを止め、相手の装甲の隙を狙って(鎧無視攻撃、暗殺、だまし討ち)首や腕や脚を攻撃
場合によっては相手のバイクの正面に飛び乗って、相手の動揺を誘ってから【暗殺】する

今宵は狩りの時間に御座る
無論、狩るのは某達で、狩られるのは貴様らで御座るが


朱・瑞洪
「ふん、軍人にしては随分と口と趣味の悪い不良集団なことだな。」
「まあ、いい…貴様ら帝国の狗共は一匹残らず撃墜させてもらう!」

その宣言と共に片手に持つ銃槍「火龍神機銃砲」による銃撃が行われた。
放たれた銃撃は無数のエンペラダイバーズを標的にした【範囲攻撃】であり、これが直撃して撃墜出来れば上々だ。
撃墜出来なくとも掠りさえすれば、弾に纏ったドラゴンオーラの【属性攻撃】により対象はオーラの鎖で絡め取られ機動力は大幅に落ちるだろう。
また、この際の撃ち漏らしで接近されようものなら、空いた片手や尻尾を用いた【グラップル】による近接格闘や【灰燼拳】で対応させてもらう。

(アドリブ等歓迎致します)


竹城・落葉
 どうやら、次の段階へ進んだようだな。ならば、更なる打撃を与えるとしよう。
 と、敵は『烈怒喪卑漢(レッド・モヒカン)』という奴らか。なるほど、暴走族、あるいは某世紀末風の輩という事か。しかし、どうも品が無い。一つ、品の有る暴力というものを見せつけてやるとしよう。
 我は奴らを迎え撃つとしよう。そして、奴らが突っ込んできたら、【残像】で避け、名物竹城を手に【早業】による『支柱一閃』で切り伏せる。それら一連の戦いにおいて、冷酷な雰囲気を醸し出し、無表情でいるぞ。元武将としての威圧感を見せつけ、奴らをびびらせてやろう。戦う時は静かに、殺す時は非情に……。本当の恐怖もとい暴力とは、こういうものだ。


チトセ・シロガネ
【WIZ】
ワオ!こんな宇宙でもモヒカンは生きてたのネ!
でも世紀末のルールに従ってバッサリスラッシュしてやるネ!

ユー達のバイクの性能は【情報収集】で調べたヨ。
ボクにそのモードは通用しないネ!

基本的には【地形の利用】でデブリや隕石に空間アンカーを引っ掛けてヒットアンドアウェイで戦うヨ!

接敵時は【光輝障壁】を展開して【スライディング】で突っ込むヨ!
障壁をぶつけてサイキックバリアを破壊するのが目的ネ!

ついでに機銃防ぐために【オーラ防御】【念動力】もつけるネ!
そんな豆鉄砲じゃ、世紀末は生き残れないネ!

攻撃時は【早業】で刹那の一瞬を見極め、
【2回攻撃】【鎧無視攻撃】でバッサリネ!
ユーはもうデッドしてるネ!


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携・タンデム大歓迎】
【SPD】

ヒャッハァ!景気いい抗争じゃねぇか!
……え、違う?
まあいいさ。アイツらを止めればいいんだろう?
それならあたしが道を開けてみせるさ……!
相棒と一緒に真正面から突撃!
敵の尖峰と衝突して大惨事……なんてね。
衝突直前で【人機一体】を発動させて、カブをアーマーに変形!
衝撃でばらけたように見せかけて戦場の真っただ中で纏うよ。
装着完了したらすぐさま目の前のモヒカンを殴り飛ばして、
高機動戦闘の開始だぜ!
メーザーも辺りにまき散らして、奴らの戦線を掻きまわしてやる!


白斑・物九郎
●POW
適当なデブリでもありゃそいつを足場に俺めは宇宙船の近場に布陣

オラッ『倭威瑠怒氾斗(わいるどはんと)』って筆字でしたためたノボリを立ててドン!
例え文字文化がアレでも、あの手の輩は「こーゆーの」を見たら“売”って来ないワケ…“無ェ”ーでしょうしヨ…?
“!?”(←恫喝技能)

俺めを狙って来なさいや珍走族共

移民船の警備隊に、召喚されて来た猟兵の人ら
ココらヘンは俺めの狩場ですわ
しばらく近付いてくれなさんなよ
すばしっこい獲物を片ッ端からブチ殺せってんなら、どうしたってこの技が最適解なモンでしてよ

ここに理性と本能の境界の【封印を解く】
――【オーバードライブ】
(野生の勘と怪力で動体を撃滅する魔人と化す)


犬憑・転助
俺のユーベルコードは超嗅覚、キナ臭さだって嗅ぎ分けるぜ!

臭う、臭うぜ?
モヒカンの臭うがぷんぷんすらぁ

超嗅覚で敵がやってくるキナ臭いルートを判別、待ち構える
敵が俺に気づいて逃げない様、着物&浪人笠装備で【忍び足】で【目立たない】ように佇み、射程に入ったら笠を投げ捨てモヒカンを急襲

敵が俺以外の場所に向かって行きそうな場合、その気配を超嗅覚で感知し仲間に知らせ先回りして貰う
俺1人ってわけじゃないんでね

敵が機銃でばら撒いて来たら全ての弾を斬り落とす
サムライに斬れないものは、ないんだぜ?

困った状況になったら頭良いPCに従う
コロ助が傷だらけは望む所です。苦労人ポジションOK

アドリブ歓迎、他PCと絡み希望



 ●移民船・右舷
 暗く冷たい宇宙の海、広がる闇の中にまばらに散った星々の灯りは遠い。幻想的とも言える光景の中、闇に溶け込むような暗い藍色の着物に身を包み、浪人笠を被った侍が一人、遠くに見える移民船を背に宙を踏みしめ立っていた。
 件の侍、犬憑・転助(孤狼の侍・f06830)は、すんすんと鼻を鳴らし、その類稀なる嗅覚を用いて見つけ出したモヒカンがやってくるであろう“キナ臭い”場所で待ち構えていた。
「臭う、臭うぜ?モヒカンの臭いがぷんぷんすらぁ。」
 言葉と共に笠を摘み上げ視界を確保、前方を見据える。
「……ャッハー!」
 ……ブォンブォンブロロロロ!ヴオォォン!
 僅かに聞こえる甲高い叫び、続いて遠くからでもハッキリと聞こえる威圧的な排気音と共にもうもうと立ち昇る排気煙は、間違いなく銀河国際法(認知度が低く、実態として一部施行されている船のみのローカルルールと化しているため、その存在の必要性に関しては諸説あり。)に違反しており、『烈怒喪卑漢(レッド・モヒカン)』のメンバーが使用している違法改造宇宙バイクであることは明らかだ!
「ワオ!本当に来たネ!」
 迫り来る『烈怒喪卑漢』達を視認して感嘆の声を上げたのはチトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)だ。世紀末などとっくの昔に過ぎ去っているこのスペースシップワールドにて、未だモヒカンという概念が生存しているのは奇跡と言っていい。
「あれが『烈怒喪卑漢』か。なるほど、暴走族、あるいは某世紀末風の輩という事か。」
 竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)は、そのしぶとさに少しばかりの感心を抱きながらも、それをおくびにも出さず『名物竹城』の柄に手をかける。
「しかし、どうも品が無い。ここは一つ、品の有る暴力というものを見せつけてやるとしよう。」
 言って、落葉は柄に手をかけたまま静かに瞳を閉じた。
「品のある暴力ってなんだ……?」
 上手く想像がつかなかったのか、疑問符を浮かべる転助。
「ヒャッハー!おぉ、猟兵がいるじゃねェか!引き潰してやるぜェ!」
 そうこうしている内にやってきた『烈怒喪卑漢』のクローンライダー——モヒカンライダーたちは、チトセと落葉を認識すると、更に速度を上げて一直線に突っ込んでくる。
「飛んで火に入る宙のモヒカン、ってなあ!」
 敵に気づかれず、進路上に陣取っていた転助は、浪人笠を宙へ投げ捨てると、真っ先にモヒカンライダーの集団へと飛び掛かり、すれ違い様に一閃。複数のモヒカンを切り捨てる。

「ヒャッハー!機銃でハチの巣にしてやるぜェ!」
 奇襲を受けて仲間が死のうとも、怯まず襲い掛かってくるモヒカンライダーたち。ただのモヒカン、ただの暴走族と侮るなかれ、彼らは確かに帝国軍最速と言われる特殊部隊『エンペライダーズ』に名を連ねる死をも恐れぬ精鋭兵なのだ。周囲を旋回しながら機銃をばら撒くモヒカンライダーたち、猟兵達が見えなくなるほど激しいマズルフラッシュに、敵は穴だらけになったと確信、勝利のヒャッハーを叫ぶモヒカンライダーの耳に、あり得ない声が届く。
「……知ってるか?サムライに斬れないものは、ないんだぜ?」
 刀を振り抜いた体勢の転助は掠り傷程度、背後のチトセに至っては完全なる無傷だ。やったことは単純だ、全ての有効な弾丸を切り捨てるだけ。だが、それを刀一本で成し遂げるのはもはや尋常の技ではなく、絶技と言って良いだろう。
「ヒ、ヒャッハー!」
 予想だにしない結果に、思わず鈍るヒャッハーの声。ないはずの恐怖を感じサイキックバリアを展開し守りに入るモヒカンライダーに、チッチッチ、と指を振るチトセ。
「ユー達のバイクの性能は調査済みヨ。ボクにそのモードは通用しないネ!世紀末のルールに従ってバッサリスラッシュしてやるネ!」
 チトセはモヒカンライダーに向けて勢いよくスライディングで飛び込み、光輝障壁でサイキックシールドを強制的に相殺してそのまま駆け抜ける。
「ヒャッハー!その手の刀は飾りかァ!?」
 下卑た笑みを浮かべるモヒカンライダーに、チトセは告げる。
「ユーはもう、デッドしてるネ!」
「あん?……そんなわけ……」
 現にぴんぴんしているじゃねぇか、と言おうとしたモヒカンライダーが最後に見たのは、3つに分かたれ崩れ落ちる自身の身体だった。
 
「こ、こんな奴ら相手してられるかァ!」
 二人の剣士の実力に完全に飲まれた残ったモヒカンライダーたちは、二人を無視して移民船へと違法改造宇宙バイクを走らせる。
「俺たちの速さには誰も追いつけねェんだ!船を先に沈めちまえば……!」
「させると思うか?」
 ——一閃。声と共に振るわれた名物竹城が鈍い音打撃音を奏で、モヒカンライダーの身体を泣き別れにさせる。
「――支柱一閃」
 静かに、冷酷なまでの無表情で、次々に突っ込んでくるモヒカンライダー達を残像を交えた動きでひらりと躱し、すれ違い様に叩き斬る。
「ひ、ひいい!止まれェ!」
 落葉が発する元武将としての威圧感、どうみても打撃武器なのになぜかスッパリ斬れる理解しがたい光景に完全にビビったモヒカンライダーは、停止して迂回しようと試みるが、全速を出した違法改造宇宙バイクは簡単には止まれない!
「本当の恐怖もとい暴力とは、こういうものだ。」
 戦う時は静かに、殺す時は非情に、品のある暴力を実行した落葉は、作業のように最後のモヒカンライダーを切り捨てるのだった。

●移民船・左舷前方
 一方その頃、左舷前方、艦橋付近では、違法改造宇宙バイクを乗りこなす『烈怒喪卑漢(レッド・モヒカン)』のモヒカンライダーたちと一台の宇宙カブが対峙していた。
「やんのかコラァ!?」「てめっオラー!」「ヒャッオラー!」「スッゾコラー!」
 数宮・多喜(疾走サイキックライダー・f03004)は、浴びせかけられる罵声に怯むことなく逆に挑戦的な笑みを浮かべて見せる。
「御託はいいからさっさとかかってきな……!ぶっ飛ばしてやるよ!」
 多喜のわかりやすい挑発に、モヒカンライダーはキレた。
「“舐め”てんじゃネーゾ……?」
 ヴォオオンヴォンブォオオン!
 違法改造宇宙バイクの威圧的な排気音が鳴り響き、モヒカンライダーたちが多喜に車体を向け、狙いを定める。
「“全殺“しだ!行くぜてめぇら!ヒャッハー!」
「「「ヒャッハー!」」」
 違法改造宇宙バイクが空気抵抗を抑え更に殺人的な加速を行えるように変形、一斉に多喜に向かって真っすぐ爆走してくるモヒカンライダーたち。
「気合入れろよ相棒…いくぜ。アタシたちは、一心同体さ!」
 多喜もスロットルを全開にして正面から突撃していく。
「オオオォラア!」
 敵の数は多く、こちらは一人、当然激突すれば負けるだろう。事実、激突の瞬間、多喜は上方へ弾き飛ばされたように飛び、宇宙カブのパーツはバラバラに四散してしまっていた。
「トドメだオラー!」
 突撃、反転、多喜へモヒカンライダーが迫る。狙いは再度生身の肉体を弾き飛ばし、確実に止めを刺すこと。集団の質量と暴力的な加速が合わさり、多喜を飲み込み——モヒカンライダーが宙を舞った。
「言ったよな?ぶっ“飛ば”してやるってな!」
 多喜は、その身をパワードアーマーに包み、拳を振り抜いてにやりと笑った。激突の瞬間、弾かれたように飛んだのはわざとであり、宇宙カブも装着するために意図的にバラバラにさせていたのだ。全てはこの一撃のため、出鼻を挫かれたモヒカンライダーたちは動揺し、準備を完了させた多喜がこの場の主導権を握った。
「ここからが本番、高機動戦闘の開始だぜ!」

 ●移民船・左舷前方・艦橋
「なるほど、確かに速いで御座るな」
 多喜とモヒカンライダーの集団の激しいドッグファイトを遠目で見ながら、舞塚・バサラ(多面巨影・f00034)は敵の速さに舌を巻いた。
「然らば、某も本気を出すで御座るか」
 発動するは降魔化身法、己の身に魔なる者を宿しその力を得る強力なユーベルコードだ。だが、その強力さ故にその発動には代償が伴う。
「__来たれや、阿弖流為。某の身を食むで御座る」
 ――代償など覚悟の上、バサラは迷いなく行使する。宿すは阿弖流為(アテルイ)、かつて天に抗った北の英雄だ。しかしそれも過去の話、今は妖怪、悪鬼、幽鬼か、いずれかの一つに過ぎない。
 気配を消し、黒い衣に身を包み宇宙の闇に紛れたバサラを捉えることはこの場の誰にもできはしない。メーザーと機銃が飛び交い、両者が高速で動き回る戦場へ紛れ込んだバサラは、音もなく宙を蹴り跳躍した。代償たる流血が軌跡を描き、風にたなびく赤いマフラーのように揺らめいた。

「闇に紛れた忍の恐ろしさ、とくと味わうが良いで御座る」
 強化された感覚で放たれたクナイは寸分たがわず違法改造宇宙バイクの剥き出しの駆動部に食い込み、クラッシュを引き起こす。投げ放たれたフック付きのワイヤーは違法改造宇宙バイクの乗り手たるモヒカンの首に巻き付き、締め落し、主を失ったバイクはいずこかへ走り去っていく。
「邪魔者は引き潰してやるぜェ~!!ヒャッ……ッカハ……」
 運悪く闖入者の存在に気づいてしまったモヒカンライダーは、違法改造宇宙バイクを変形させ突っ込んでくるが、正面から飛び乗られ、ヘルメットの隙間にクナイを突き込まれてあっさりと倒される。
「今宵は狩りの時間——まだまだ始まったばかりに御座る」
 どちらが狩る者で、狩られる者なのかは、語るまでもない。

 ●左舷後部
「召喚されて来た猟兵の人らにも伝えといてくださいや、ココらヘンは俺めの狩場ですんで、しばらく近付いてくれなさんなよって。」
 小型宇宙艇に乗った警備隊員へそう伝えた白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は、手頃なデブリの上に胡坐をかいていた。その後ろには荒々しく威圧的な筆字で『倭威瑠怒氾斗(わいるどはんと)』と書かれたノボリがこれ見よがしに突き立っている。
「例え文字文化がアレで伝わらなくても、あの手の輩は「こーゆーの」を見たら“売”って来ないワケ…“無ェ”ーでしょうしヨ…?」
 頬杖をつきながら『烈怒喪卑漢(レッド・モヒカン)』の襲来を待つ物九郎には、根拠はないが“敵はコレを無視することはできない“という絶対的な確信があった。

 ブォンブォオンヴォヴォンヴォンヴォンヴォオオオオン!パーラッパー!パラリーパラリーパラリラッパー!
 そして、奴らがやってきた。違法改造宇宙バイク特有の威圧的排気音が小刻みに鳴り、主に敵対グループとの抗争時に用いられる『烈怒喪卑漢』決戦のテーマである電子音声が響き渡る。
「ヒャッハー!こいつはゴキゲンなノボリじゃねェか!……テメェ、“調子”乗ってっと“ひき肉”にしちまうぞ?」
 現れたモヒカンライダーは『倭威瑠怒氾斗』のノボリに感心した様子で声を上げると、一転してドスを効かせた声で凄む。
「ハッ、珍走族共がいっちょ前に吠えるじゃニャーですか——やってみなさいや。」
“!?”
 物九郎から突如発せられた威圧に固まるモヒカンライダーたち。
「来ないんですかよ?テメェら俺めと“やり”に来たんでしょうが。」
 挑発にハッとして我に返るモヒカンライダー。
「“上等”じゃねェか……“殺”ってやるよ……!ヒャッハー!」

 ヴォンヴォンヴォンヴォオオオオンバロロロロロロ!!!
 初っ端からトップスピードの殺人的超加速、先陣を切った一機に続いて次々と物九郎の座るデブリへ突撃してくるモヒカンライダーたち。
「片っ端からブチ殺してやりまさァ……ここに理性と本能の境界の“封印を解く”――【オーバードライブ】」
 待ち構える物九郎はやおら立ち上がり、左手の刻印を解放した。『ザ・レフトハンド』と銘打たれたその虎縞の刻印が体表に励起し、まるで侵食するように全身に広がっていく。
「フーッ、フーッ!」
 刻印が全身に広がりきった時、そこに居たのは甚平姿の黒猫のキマイラではなく、理性を捨て、本能で動く“魔人”であった。
「オラァッ!」
 先陣を切ったモヒカンライダーの違法改造宇宙バイクが殺人的な加速のままに魔人へ激突する。
「……ッグググ!――ニ゛ャ゛ア゛!」
 常ならば問答無用でひき肉と化していただろう威力の攻撃を、正面から受け止める魔人。デブリに足をめり込ませ、勢いを減衰させると、超重装甲製の違法改造宇宙バイクの車体を両手でメキメキと押しつぶし、乗り手ごとひしゃげさせる。

 ――ところで突然だが、知っているだろうか。猫は動くものに夢中になる習性がある。これは動く獲物を捕らえようとする狩猟本能が原因だ。つまり本質的に猫は狩る側の生き物なのだ。
「ぐわああああ!」「ごはっ!」「モ、モヒカンダイーン!」
 野生の勘——本能の強い猫のキマイラが、理性を捨てて強い力を得るとどんな存在になるのか。
 ――そう、動体必滅魔人(動くモノ絶対狩り殺すマン)である。

●左舷後部・小型宇宙艇ハッチ前方
 朱・瑞洪(紅き黄龍・f04728)は左舷後部の入出ハッチのやや前方で、『烈怒喪卑漢(レッド・モヒカン)』を相手に銃撃戦を繰り広げていた。前方には暴れ回る魔人がいるが、如何せんその攻撃手段は肉弾戦、回り込んで抜けてくる敵は少なからずいる。それをその手に持った銃槍『火龍神機銃砲』を駆使し、的確に撃ち落としているのだ。
「ヒャッハー!押せ押せェ!奴を倒せば略奪の時間だぜェ!」
 もう少しで移民船へたどり着けるとあって、略奪の予感に敵の士気も上昇しているが、瑞洪の銃槍から繰り出される弾幕は厚く、モヒカンライダーは中々近づくことができない。
「ふん、軍人にしては随分と口と趣味の悪い不良集団なことだな。」
 吐き捨てるように呟いた瑞洪。
「まあ、いい…貴様ら帝国の狗共は一匹残らず撃墜させてもらう!」
 銃槍を構えなおし、リロードを行う瑞洪。その隙を待っていたと違法改造宇宙バイクのエンジンをオーバーロードさせ、耐G強化処理をされていなければ耐えられないほどの超・殺人的加速で迫るモヒカンライダーたち。
「ヒャッハー!死ねぇ!」「やってやんぞコラァ!」「命(タマ)ァ寄越せェ!それも一つや二つじゃねェ!全部だァ!」
 口々に好き勝手なことを喋りながら突撃してくるモヒカンたちに、慌てることなく銃槍を向け、薙ぎ払うように放つ瑞洪。
「ヒャッハー!そんなマメ鉄砲なんてきかねェぜ!」
 違法改造宇宙バイクの装甲は硬い。連続で当たるならともかく、カス当たりではダメージは見込めない。
「ぐうっ……!?なんだ!?エンジントラブルか?」
 突然の爆発、そして急な減速、困惑するモヒカンライダーたち。彼らが乗る違法改造宇宙バイクには瑞洪の銃槍から伸びた鎖が巻き付いている。先のリロードで籠めた弾には、ドラゴンオーラが籠められていたのだ!
「終わりだ!」
 そして放たれる本命の攻撃、嵐のように放たれる弾丸から、速さを失ったモヒカンライダーたちは逃れる術を持たず、次々にハチの巣にされていく。
「ヒャッハー!」「てめェはひき肉だァ~!」
 何とか銃弾の嵐を潜り抜け、接近する2機のモヒカンライダーも、一人は乗り手が銃槍に貫かれ、一人は装甲を過信し、超威力の拳で車体を破壊され、片手で首を絞められ対処されてしまう。
「“待”ってたぜェ!この“瞬間”をよォ!」
 両手の塞がった瑞洪、それを狙い迫るダメ押しのモヒカンライダー!その手に持ったビーム・ツルハシを振りかぶり、すれ違い様に叩きつけんとし――。
「残念だったな。俺に届かせるには、もう一手、足りなかった。」
 モヒカンライダーを締め上げるのはドラゴニアンたる瑞洪に備わった強靭な尻尾。仮に他の世界のモヒカンであれば、スペースシップワールドに尻尾のついた種族がいれば、それを考慮して不意を打つことを考え付いただろう。だが、その未来はなかった。紅きドラゴニアンに完璧に封じ込められた3匹のモヒカンは、裂かれ、折られ、潰される運命だ。
「……ヒャッ……ッハ……」
 最期の言葉は、『烈怒喪卑漢』のメンバーが息を吸うように口にしていた言葉。彼らは何を思ってモヒカンをしていたのか、それを知る機会は永遠に失われ、その命が潰える鈍い音を最後に、この宙域のモヒカンは完全に排除されることとなった。

 無事、『エンペライダーズ』の魔の手から移民船を守り切った猟兵達。この勝利は大局的に見ればほんの僅かなものだが、この船に住む移民たちにとっては最重要な戦いであった。移民たちの猟兵を讃える声を背に、猟兵達は次の戦場へと歩み始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月07日


挿絵イラスト