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大祓百鬼夜行④〜威風の虞を備えし東洋親分〜

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行 #東方親分『山本五郎左衛門』 #威風形態

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#大祓百鬼夜行
#東方親分『山本五郎左衛門』
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● カクリヨファンタズム・サンモトのマヨヒガ
「にゃふ〜っ、ふぁぁぁぁ」
 そう嘆息しながら背伸びするのは、カクリヨファンタズム四大親分の一人、東洋親分「山本五郎左衛門(さんもとごろうざえもん)」。最近は揉め事を仲裁しなくても、猟兵達がカタストロフを食い止めるお陰で負担が減っていた。
 だが今は自身の拠点であるマヨヒガにて頭を抱えながら、頬をかいている。転機となったのは大祓骸魂の邪気を感じ取ったからだ。
「儂も丁度限界を感じとったから、ほんに助かっていたんだけどにゃあ〜」
 大祓骸魂は太古の究極妖怪。東洋親分のような物好きを除き、誰からも忘れられた存在で、姿が見えなくなり、猟兵でも大祓骸魂は捉えられない。
 彼奴の目的のUDCアースの破壊、通り道のカクリヨファンタズムも含めて、誰にも気づかれる事無く、至極静かに木っ端微塵にすること。その阻止のために敢えて大祓骸魂の軍門に下り、百鬼夜行の骸魂を喰らって、取り憑かれている。
「まずい状況だがにゃ……あんなバケモンに勝つパワーは持っとらんし、仕方ないにゃ」
 その「虞(おそれ)」の力をもってして猟兵と全力の勝負をする。それを倒されることで大祓骸魂の圧倒的な「虞」も和らぐことができる。
 勿論、山本五郎左衛門が無事である保証はない。だがそれが何だと、東洋親分は豪胆に笑う。

「最悪、猟兵さん達に討たれるかもしれんが……まあ、ふたつの故郷を救うためなら、儂らの命ぐらいくれてやるにゃ!」
 そしてマヨヒガからは東洋親分を慕う妖怪達が跋扈し始める。軍団を率いてこその親分よ、と山本五郎左衛門は猟兵達の到着を待つ。
「猟兵さん、それでは殺らせていただきます!」

●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「親分の覚悟は無駄にもできんし、この信頼に応えてやらにゃーならんのー」
 そんなマヨヒガの様子を映し出しながらグリモア猟兵のメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は説明を始める。東洋親分たる山本五郎左衛門が強力な妖怪であるのだが、今回はその「虞」は強烈なカリスマを特化する為に使われている。
「マヨヒガだけではなく、周辺の妖怪すらも影響するカリスマじゃのー。まるで強力な洗脳のようじゃのー」
 その妖怪大軍団を率いて山本五郎左衛門自身も襲いかかってくる。まさしく数の暴力を実現した状態で、生半可なことでは凌ぐことすら難しいだろう。
 今回は真の姿は解放されないが、カリスマに「虞」を変化させているので、山本五郎左衛門本人の威圧や強さはそれほどではない。だが妖怪達は強化されており、雑魚と侮れば敗北は必至だ。
「あと個人的なお願いじゃけど、配下の妖怪も殺さないで欲しいのー」
 東洋親分に従っているとは言え、慕っている山本五郎左衛門の為に動いているだけである。その気持ちを汲み、是非親分と共に救い出して欲しいとのことだ。
 甘いことを言うとメイスンも思う。だが猟兵達を信じるからこそ、期待を込めて転移術式を展開して戦場へと送り届けるのだった。


ライラ.hack
 一番大物そうに見える親分、猫立ち!
 どうも皆様こんにちは。ライラ.hackです。

 このたびは大祓骸魂への雲の道を作るために、東方親分『山本五郎左衛門』との戦いです。
 山本五郎左衛門は骸魂の影響を完全に抑え込んでいますが、大祓骸魂を倒す礎となるべく、カリスマ特化型「威風形態」か、暴力特化型の「暴獣形態」のいずれかになって戦いを挑んできます。威風形態において、山本は大量の「妖怪軍団」を率いて襲いかかってきます。この軍団の強さは「戦争サバイバル」の進行状況によって変化し、🏅100万以下なら攻略は困難、🏅125万以下ならやや難しく、🏅150万以下なら通常並となります。

 補足としてカクリヨファンタズムのオブリビオンは「骸魂が妖怪を飲み込んで変身したもの」です。飲み込まれた妖怪は、オブリビオンを倒せば救出できます。

 以下、特殊ルールとなります。
 プレイングボーナス……親分と妖怪軍団の両方と戦い、誰も殺さないようにする。

 以上となります。妖怪大軍団をもねじ伏せ、東洋親分を打ち倒して、骸魂から解放しましょう!
 それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『東方親分『山本五郎左衛門』威風形態』

POW   :    どろん衆きませい!
レベル×1体の【東方妖怪のどろんバケラー 】を召喚する。[東方妖怪のどろんバケラー ]は【化術(ばけじゅつ)】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    獄卒衆きませい!
対象への質問と共に、【マヨヒガ(屋敷)のあちこち 】から【東方妖怪の地獄の獄卒軍団】を召喚する。満足な答えを得るまで、東方妖怪の地獄の獄卒軍団は対象を【嘘つきに対して威力増加する鬼棍棒】で攻撃する。
WIZ   :    悪霊衆きませい!
自身が装備する【号令懐刀(ごうれいふところがたな) 】から【東方妖怪の悪霊軍団】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【妖怪憑依】の状態異常を与える。

イラスト:乙川

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎

親分との闘いか、その心に報いるように頑張るとしようか
悪いな、手強いから卑怯な手を使った。後で存分に恨んでくれ

SPDで判定
俺は孔雀輪で【空中機動】【空中浮遊】を使い移動、親分の元まで行く
着いたら、俺と親分の周囲に風の【結界術】を張り軍団からの救援などを防ぐ
銀腕を【武器改造】で刃の無い剣にして【怪力】【鎧無視攻撃】【継戦能力】で戦うが、これは牽制目的

その間リンクアイと義眼の視界を共有、指定UCを発動
義眼の藍の災い:圧壊【重量攻撃】と黄の災い:感電【マヒ攻撃】を【範囲攻撃】で撃ち込み戦闘不能状態にする【優しさ】
終われば親分にも【スナイパー】の技術で撃ち込んでから【気絶攻撃】を行う


セルマ・エンフィールド
えぇ、やりましょうか……その前にお伝えしておきますね。

今から使う技は、99秒の制限と代償の代わりに極めて高い戦闘力を得る。これが終わるまでは、近づかない方が身のためです。

宣言通りに【ニヴルヘイム】を使用。周囲半径100mを覆う絶対零度の冷気で獄卒を寄せ付けないようにします。
獄卒というくらいですし、私が嘘を付いていないことを分かってくれるなら助かりますね。無理して冷気の中を突っ込んでは来ないでしょう。

東方親分と一騎討ちの状況が作れたら向上した身体能力と「フィンブルヴェト」の銃剣による『串刺し』と『スナイパー』の技術による絶対零度の弾丸の『零距離射撃』で東方親分の四肢を狙い無力化します。


メンカル・プルモーサ
…漸く親分衆の1人に辿り着いた…カリスマ性と実力を兼ね備えてるのは中々に強敵だね…
…さて、殺したくもないからきちんと戦い方を考えないといけないか…
よし……それじゃあいつも通りに…このマヨイガを利用するとしようか……
…【戦術構築:奸計領域】を発動…マヨイガを移動しながら術式組紐【アリアドネ】や遅発連動術式【クロノス】を用いて拘束罠を多数設置…獄卒達を次々と拘束するよ…
…質問に対しては基本きちんと答える方向で…嘘もつかないよ…罠の位置とか聞かれてもちゃんと答えるしね…
罠の回避に連動する罠については聞かれないと答えないけど
…配下を拘束しきったら山本五郎左衛門も拘束…骸魂を撃ち抜こうとしようか


村崎・ゆかり
親分の心意気、買った! お望み通り、命懸けの戦いをしてあげましょう。

「結界術」「全力魔法」氷の「属性攻撃」「範囲攻撃」「貫通攻撃」「道術」「仙術」「浄化」を乗せた寒氷陣でお相手するわ。
地面から生える氷の槍で獄卒衆を「串刺し」にして縫い止める。しばらく凍っててちょうだい。

この陣が機能している限り、戦場はあたしの思うがまま。
氷柱をどかしながら奥へ進んで、東方親分を探しましょう。逃げ隠れはしないはず。

いた。
村崎ゆかり、陰陽師。一手お相手仕る!
薙刀で「なぎ払い」、間合いから外れたら氷の槍で下からの攻撃を連続させる。
さあ、覚悟を決めて。親分さんを骸魂から解放してあげる。後はあたしたちに任せてちょうだい。



 東方親分・山本五郎左衛門。カクリヨファンタズムの四大親分の一人にして、カリスマ性溢れる義侠心の篤い大妖怪である。
 その威風はその身体が発する「虞」にも表れており、並大抵では寄せ付けない強さも示している。何より己についてくる東方妖怪達の数がそれを示している。
 その東方親分が命を賭して猟兵に挑もうとしているのは、大祓骸魂を倒す為でもある。その為ならば自身が犠牲になることも厭わない覚悟を持っていた。
「親分との闘いか、その心に報いるように頑張るとしようか」
 そう言ってルイス・グリッド(生者の盾・f26203)はまずは山本の前に出てくる。一度死んだとき、生まれた場所も友の名も忘れデッドマンとして目覚めた男。。
 だがそんな彼でも山本の悲愴なる覚悟を大きく感じることができた。だからこそ己の力のすべてを出し惜しみなく発揮するべきだと思っている。
「悪いな、手強いから卑怯な手を使った。後で存分に恨んでくれ」
「にゃははは、望む所にゃ! 獄卒衆きませい!」
 そんなルイスに山本の呼びかけに応えた東方妖怪の地獄の獄卒軍団が現れる。嘘つきに対して威力増加する鬼棍棒を装備した精鋭がマヨヒガ中から集結する。
 だがその集結を待つ前にルイスはメガリス「孔雀輪」に乗って空中機動で一気に山本の元へと行く。そして到着と同時に山本と自身との周囲に風の結界術を張り、軍団から隔離する。
「にゃふ~、そういう手できますかにゃ!」
 山本五郎左衛門はすぐにルイスの狙いに気づく。地獄の獄卒軍団からの救援を防ぎ、一気に自身を叩く腹なのだと思い、その懐にある刀を抜く。
 ルイスの銀腕がその刀をぶつかるが、刃のない剣に変化させたそれを思いっきり叩きつける。ルイスとしても結界術が破られる前に山本にダメージを与えなければじり貧だとは気づいている。
「ここまでお膳立てしたんだ。やってやるさ」
 牽制目的で打ち据えている間に術者と視界を共有できるデビルアイの変種「リンクアイ」を起動させ義眼の視界を共有させる。そして能力「不可視の狙撃手(リンクスナイパー)」を発動させる。
 存在を認知されていないリンクアイを介しメガリス攻撃をすることにより、命中率を大幅に上げる技。そして放たれるは、藍の災い:圧壊による重量攻撃と黄の災い:感電の麻痺攻撃を合わせたメガリス呪縛が撃ち込まれる。
「ぐにゃ~~!」
 さすがの山本も認知外からの攻撃は驚いたのか、尻尾の毛を逆立てて反応する。その隙を狙って銀の魔銃の弾丸を山本へと打ち込んで気絶をさせようとするルイス。
 だが気付けと言わんばかりに山本も獰猛なる笑みを浮かべる。そしてルイスは頃合いだと思い、風の結界術が破られると同時に再び孔雀輪にて脱出する。
「さすが猟兵さん、してやられたにゃ!」
 あと一歩でルイスに逃げられたが、それでも山本五郎左衛門は愉快に笑う。思った通りの実力者であるが故に嬉しさで顔が綻ぶ。
 そして山本の瞳には静かに佇むセルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)の姿が目に映る。狙撃手であるが故に、撤退中のルイスを援護するべく、自身に注意を向けさせる。
「えぇ、やりましょうか……その前にお伝えしておきますね」
 本来であれば狙撃手であるセルマが姿を見せるのは愚行である。だが冷静ではあるが冷酷ではなく、危機に陥いれば狙撃の機会を捨てても助けに入るのが彼女の性分だ。
 そして相手の義侠心に応え、自身も宣言する。それは山本への敬意に応える、セルマの心意気でもあった。
「今から使う技は、99秒の制限と代償の代わりに極めて高い戦闘力を得る。これが終わるまでは、近づかない方が身のためです」
 そう言って能力「ニヴルヘイム」を発動させる。それでもなお山本を守るべく、東方妖怪の獄卒軍団が襲い掛かってくるが、周囲半径100mを覆う絶対零度の冷気がセルマを守護する。
 地獄の獄卒がその鬼棍棒をセルマに振り下ろす前に身体が凍り付いてくる。そしてセルマのその言葉が真実がある故に、ダメージが見込めないことがわかってしまう。
「獄卒というくらいですし、私が嘘を付いていないことを分かってくれるなら助かりますね」
 嘘つきでないということが、獄卒たちの目でもはっきりわからせる。それによって冷気という防御範囲内で無理をして突っ込ませる勢いを削ぐのがセルマの狙いだ。
 だがニヴルヘイムの冷気は時間制限のある技だ。限定時間での山本との一騎打ちを作ったら、狙撃を警戒している山本とは裏腹にセルマは突っ込んでくる。おそらく狙撃では当てることができないと感じたからだ。
「狙撃手が接近戦とは、その心意気はよしにゃ!」
 それに応えるべく山本は懐刀を抜いてセルマを斬り裂こうとする。だがセルマは狙撃だけが得意というわけではなく、現在は身体能力も大幅に向上している。
 それを活かして最初の一太刀を躱し、様々な改造が施されたマスケット銃「フィンブルヴェト」の銃剣を山本の腕へと突き立てる。そして振り向き様に両足に銃弾を叩き込む。
「ぐにゃ!」
 一瞬の出来事であったが、山本のダメージはそれだけには収まらない。セルマの銃弾は絶対零度の弾丸で傷口から凍り付いていく。
 それによって動きを阻害し戦闘不能を狙うが、それでも山本の「虞」はその氷をも破壊しようとする。膨れ上がる「虞」とニヴルヘイムの時間切れを察し、セルマもまた山本の間合いから脱する。

「…漸く親分衆の1人に辿り着いた…カリスマ性と実力を兼ね備えてるのは中々に強敵だね…」
「親分の心意気、買った! お望み通り、命懸けの戦いをしてあげましょう!」
 そしてセルマとバトンタッチするように山本五郎左衛門に挑むのは、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)と村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)だ。
 片やガジェット研究者の一族として名高いプルモーサ家の次女にして有数のウィザード。片や東洋呪術を得意と専門の陰陽道に熊野修験などもかじっている陰陽師である二人の術者が山本へと挑む。
「…さて、殺したくもないからきちんと戦い方を考えないといけないか…」
 山本の親分はこちらを殺る気は満々で「虞」全開にしてこちらに向かってくる。さらに配下である地獄の獄卒軍団も同様であり、鬼棍棒による攻撃は術者にとっては相性はよくない。
 故に近づかれる前に何とかしなくてはならない。何よりゆかりも術式を準備しているらしく、その間にメンカルは自身が手を打つことを決意する。
「よし……それじゃあいつも通りに…このマヨイガを利用するとしようか……」
 メンカルは即座に能力「戦術構築:奸計領域(ウェルカム・キルゾーン)」を発動させる。すでにさきほどのルイスとセルマの戦闘中に設置し終えていた使用者の意の侭に伸び動き、魔力を込めると頑丈になる組紐術式組紐【アリアドネ】を用いた拘束罠を遅発連動術式【クロノス】で起動する。
 その効力は奸計領域の効果によって効力が増し、決して切れない糸となって地獄の獄足達を拘束していく。しかもその罠の設置スタイルは随分とシンプルだ。
「にゃふ~~、もしかして人が通りやすい場所ばかりに!?」
「…そう…嘘もなく正直な罠設置でしょ…」
 当然、山本の質問に対しては基本きちんと答える方向でメンカルは言う。嘘偽りなく、罠の位置とかも聞かれてもちゃんと答える。
 だが罠の回避に連動するトラップについては聞かれないので答えない。そこは虚実合わせ込んだ、メンカルのトラップでもある。
「……古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。冷たく凍えし絶望の爪牙よ。地の底より目覚めて、大地を闊歩する傲慢なる衆愚を穿ち貫け。疾!」
 そしてメンカルが地獄の獄卒の突撃を凌いでいる隙に、ゆかりの準備が整った。結界術だけではなく道術・仙術を合わせ、強大な魔力を乗せた能力「寒氷陣(カンピョウジン)」が発動する。
 存在する戦場全域に地を破り足下から対象を串刺しにする氷の柱を生やす大術式。メンカルがメンカルが拘束し漏らした地獄の獄卒すべてを地面から生える氷の槍で縫い留める。
「しばらく凍っててちょうだい」
 この陣が発動している間はゆかりの意のままに氷を生やすことができ、それを操作できる。故にこれにて地獄の獄卒は邪魔をすることはできない。
 そしてゆかりは視線の先にいる山本五郎左衛門に集中することができる。邪魔な氷柱をどかし、逃げ隠れもせずに威風堂々と構える山本へと突っ込むゆかり。
「村崎ゆかり、陰陽師。一手お相手仕る!」
「望むところにゃ!」
 山本は懐刀で、突撃してきたゆかりの薙刀の薙ぎ払いを止める。だがゆかりの本命は氷の槍での下からの連続攻撃だ。
 足元への攻撃は地獄の獄卒で見たとばかりに軽々と回避していく山本。そのままゆかりの死角を取ろうとするが、瞬間にその方に銃弾が撃ち込まれる。
「にゃ!?」
 それは機会を狙っていたメンカルの術式装填銃【アヌエヌエ】の銃弾であった。そして魔力が籠った弾丸が発動し、アドリアネの組紐が山本の動きを封じていく。
 メンカルの骸魂のみを狙った弾丸も素晴らしかったが、それを逃すゆかりでもない。氷の槍を足元に撃ち込み、拘束を強化してからの薙刀を全力で振り抜く。
「さあ、覚悟を決めて。親分さんを骸魂から解放してあげる。後はあたしたちに任せてちょうだい!」
 それはメンカルとゆかりの全力連携攻撃であった。それはしかと山本五郎左衛門の骸魂を斬り裂き、その魂に亀裂を入れる。

 だが山本はそれでもなお「虞」を発し続ける。まるでこれだけでは足りない、これより遥か高みに大祓骸魂の実力はあるのだと見せつけんばかりに。
 その気に圧せられてゆかりも下がるしかない。だがメンカルは確かに感じ取っていた。山本五郎左衛門の「虞」が開幕当初よりも弱まっていることに、猟兵の猛攻は届くのだということに。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

死之宮・謡
アドリブ歓迎

抗うことは出来ても打ち倒すことは出来ず…其れでいて己諸共に果てる覚悟はある、と…
良いぞ…ベストかは知らんがベターは取れる…
覚悟の通りに諸共沈めても良いが…そう、私は他者の思惑通りに物事を運ばれるのが嫌いなのだ…ふふふ…

先ずは衰弱と惑乱の・呪いによる領域を敷いて周りに妖怪軍団諸共妨害にかかり、そのまま【覗きし悪意】で追い打ち……妖怪軍団も倒れるだろうが…強化もされているようだし死にはしないだろうきっと…
自身に纏った呪いで相手の攻撃も呑み込みながらイレンアトラと共に吶喊
立っている妖怪共がいたらそのままなぎ倒し、東方親分に対して連撃


黒木・摩那
東方親分の心意気、しかと受け取りました。
そちらが全力でお相手くださるならば、こちらも本気でお相手するのが道理です。
受けて立ちます。

と、言いつつも殺すわけにはいきませんので、戦う方法は選びます。

ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
ヨーヨーで親分や妖怪の武器を叩き落として【武器落し】、【念動力】で回収します。
次にヨーヨーを絡めたところでUC【サイキックブラスト】を叩き込んで、相手を落していきます。
数が多くなってきたら、ヨーヨーから切り替えて【功夫】で直接ブラストを入れて行きます。

妖怪憑依は【呪詛耐性】で耐えます。


疎忘・萃請
りぃん、りん
鈴の音響かせ、この危機を知らせてくれた山本の親分の前に立つ

同じく百鬼を率いる鬼として、負けられぬ戦さ場だ
明るく言い放つ山本の親分に少しだけ苦笑し、申し出を受け入れよう

さあ、やりあおう
本気で来るなら、本気で返すのみ
明食鎖を振り回し、妖怪達に当てていく

そろそろ、お眠りよ
暁光鈴を手にし、ころりころり
りぃん、りんと鳴らす

お前の覚悟も、虞も
アタシが貰う。忘れない。
お前のおかげでここに居る
ありがとう
ひとときの眠りを、お前たちに

あとは……任せろ



 山本五郎左衛門の「虞」、今だ衰えることを知らず。マヨヒガにいる東方妖怪達はそう感じ取っていた。
 猟兵の猛攻によって、マヨヒガの東方妖怪軍団の一角である地獄の獄卒達は無力化へと追い込まれた。だがまだまだ戦力は存在する。
 敬愛する東方親分を守る為、自身達を守ってくれた親分に報いる為に共に命をかける。そんな妖怪達の義侠心がこのマヨヒガの結束力を生んでいる。
「抗うことは出来ても打ち倒すことは出来ず…其れでいて己諸共に果てる覚悟はある、と…」
 その覚悟を持った東方妖怪軍団、そして山本に対して死之宮・謡(存在悪:狂魔王・f13193)は感じ入っていた。素晴らしき闘争心がここにあると賛辞を抱かずにはいられない。
 己の負のココロは対極の存在がここにあるということだけで震えを覚える。それは歓喜にも似た感情であり、己が蹂躙するするに相応しい者達だとも感じいている。
「良いぞ…ベストかは知らんがベターは取れる…」
 そしてそんな謡の邪悪さを感じ取ったのか、山本の号令を待たずして東方妖怪の悪霊軍団が襲い掛かってくる。号令懐刀で乱れない連携をするはずの悪霊軍団が動いたのは恐怖からだったのか。
 だが獰猛なる笑みを浮かべて、衰弱と惑乱の呪いによる領域を敷く謡。周囲に呼び寄せてくる妖怪軍団を諸共を動きを妨害してしていく。
「覚悟の通りに諸共沈めても良いが…そう、私は他者の思惑通りに物事を運ばれるのが嫌いなのだ…ふふふ…」
 蠱惑的に笑った謡が発動するのは能力「昏闇の世界より覗きし悪意(インサマリス)」。害意が周辺に満ち溢れ、中空を裂いて覗く渾沌色の瞳が出現する。
 衰弱と混乱が巻き起こっている悪霊達はその瞳によってさらに呪いを強くされる。痛みと呪縛が強くなり、地へとひれ伏す悪霊達。
「…強化もされているようだし死にはしないだろうきっと…」
「やってくれますにゃ!」
 そんな倒れ込んでいる悪霊達を尻目に、謡は自身に纏った呪いで相手の攻撃も呑み込みながら冒涜と狂気に彩られたグレイブ「哀想旋刃イレンアトラ」と共に吶喊する。山本も懐刀を構えて迎撃する。
 だが立っている悪霊軍団をもなぎ倒して進む謡の勢いは凄まじい。渾沌色の瞳が山本の動きを阻害し、謡のグレイブの刃がその身体を刻む。
「…悪いな…」
 謡は連撃を叩き込み、そう呟く。鮮血が舞うが、決して致命傷になっていない傷、そして骸魂を削り取った感触を確かに感じる謡。
 そして悪霊軍団を斬り裂くように現れるのは黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)だ。冷静沈着で抜け目ない彼女がこの機会を逃すわけもない。
「東方親分の心意気、しかと受け取りました」
 そして強烈な「虞」と共にマヨヒガの配下達と共に猟兵の礎になろうとする様は、摩耶にとっても心にくるものがあった。美しい覚悟に応えないわけにもいかない。
 だからこそ全力で打倒することこそ礼儀。謎金属で超頑丈な超可変ヨーヨー『エクリプス』を構える摩耶。
「そちらが全力でお相手くださるならば、こちらも本気でお相手するのが道理です。受けて立ちます」
「望むところにゃ!」
 そう言って山本は号令懐刀で悪霊軍団を摩耶へと殺到させる。妖怪憑依をさせられれば動きが取れなくなる、厄介な相手でもある。
 摩耶も殺すわけにいかないので、いつものオブリビオンと戦うよりかは方法を選ば苦てはならない。故に悪霊軍団の攻撃手段である武器をヨーヨーで叩き落していく。
「とりあえず無力化です!」
 ヨーヨーえ叩き落した武器を念動力で回収し、放り投げていく摩耶。さらに大きな武器を持った悪霊にはヨーヨーを絡めたところで能力「サイキックブラスト」を発動させる。
 両掌からの高圧電流が放たれ、ヨーヨーを通じて電気を流し込み感電させていく。だが周囲を取り囲む悪霊達はどんどん増えていく。
「まだまだこれからです!」
 だがヨーヨーを収めて徒手空拳に切り替える摩耶。功夫を駆使してからサイキックブラストの感電を直接叩き込んでいき、対応してく。
 悪霊の妖怪憑依が身体に触れ支配されそうになるも、呪詛に似た感覚から弾き飛ばす。そうやって戦っている間に「りぃん、りん」と鈴の音が鳴り響く。
「同じく百鬼を率いる鬼として、負けられぬ戦さ場だ」
 奮闘する摩耶を助ける為、そしてこの危機を知らせてくれた山本五郎左衛門に応える為に疎忘・萃請(忘れ鬼・f24649)は戦場へと駆け付けた。忘れられた鬼、目には見えない恐れの総称。
 鈴の音響かせ、山本と悪霊軍団の前に立ち塞がる。それは負けられない戦いであり、山本としても譲れない戦いであった。
「さあ、やりあおう」
「そうだにゃ~。では来るといいにゃ!」
 そんな明るく言い放つ山本に苦笑しながらも、申し出を受け入れる萃請。本気で来るなら、本気で返すのみという気概を持ち突撃する。
 摩耶が引き付けてくれているおかげで萃請に向かってくる悪霊軍団は少なくて済む。全長2尺8寸の分銅鎖「明食鎖」を振り回して、当てて気絶させていく。
「そろそろ、お眠りよ」
 先触れの音を鳴らす暁光鈴を手にし、能力「鬼哭(キコク)」を発動させる。りぃん、りんと鈴が成り、ころりころりと悲しみに染まる泣き声が響く。
 山本の覚悟も、「虞」も自身が抱く。忘れないと告げる。それは山本がいるおかげで、猟兵が、萃請がここに居るという感謝の気持ち。
「ありがとう。ひとときの眠りを、お前たちに」
 悪霊軍団が眠りへと落ち、山本すらも意識が薄れるような甘い眠りの気配を齎す。そしてそれは摩耶にとってもチャンスであった。
 強烈なサイキックブラストの両掌の電撃が山本へと突き刺さる。「虞」を減衰させる一撃と共に、骸魂を貫く強烈なる一撃が突き刺さる。
「あとは……任せろ」

 萃請の一言は山本五郎左衛門の力の限界を感じた故に発せられた言葉であった。あれほどあった「虞」は徐々に猟兵達にも越えられると感じられるものになっている。
 己達を成長させてくれる東方親分に感謝の意を感じつつ、萃請は安らかに眠ってほしいと思う。永遠の眠りではなく、甘い午睡となる休憩の眠りを貴方にへと。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

神崎・ナオ
軍団を相手にしても平然とやってのけるのが魔王ってもんだよ!
相手にとって不足な~し、だね!

対軍用の魔法だってあるんだからね! なんせ魔王(見習い)だからね!
倒した相手に当てない様に丁寧に爆撃するのだって任せて!
よ~し、行っくぞ~!
(なーんて本人の言動に合せて隠れ潜んだ魔王軍の皆さんが本人に気付かれないように、射程内に入った相手へ次々と魔法を放っていき、倒されて解放された妖怪は爆風に紛れてこっそり運んでいきます)
ふははは~、魔王(見習い)の力思い知ったか~!
(なんてドヤァと魔王ムーブしている後ろで、こっそり守るようにオーラ防御を展開している御付きの蝙蝠がやれやれとため息ついてたりします)


東雲・深耶
まずは貴公に敬意を
貴公がいなければ私達猟兵は戦う事すら出来ずにUDCアースとカクリヨファンタズムを破壊される屈辱と敗北を受ける所であった
だが、貴公の覚悟のおかげで私達は『大祓骸魂』と戦えている
その事に、感謝を示しましょう

では、死なせないよう、本気で行きます
お覚悟を

UCは骸魂の影響を断つ第二魔剣を使用
全ての刀を用いて山本殿とその配下と戦っていく

『白先』、『黒後』、未来と過去を断て
『八大竜王』、八属性の妖術を展開
『無壊』、攻撃を防げ
『蒼炎』、『蒼凍』、世界を侵せ
『紫雨』、『アーベラント』、呪詛と浄化を展開せよ

全刀に告げる、不殺を絶対に遵守せよ
そう刀を切り替えながら山本殿達と戦っていく


緋奈森・鈴音
おねーさん達のために色々な犠牲を覚悟で手を貸してくれてるけどー。
犠牲前提だと、後でのんびりするときに思い出してちょっと悲しかったりするからー、犠牲とか無しにできるようがんばろー。

召喚されたどろん衆と五郎左衛門に手裏剣を投擲!
五郎左衛門に一撃与えたら、後は近寄ってくる相手を優先的にー。
向こうは時間が有れば城砦を築いたりできるかもしれないけど、これでおねーさん達も時間が有れば力を増していくことができるようになるしねー。
それに、力を奪うことで、殺さずに戦闘不能にさせて戦線を離れさせ易くできると思うしー。

「ほらー、そろそろ撤退し時じゃないかしらー?」



「にゃはははっ! さっすが猟兵さん達にゃ!」
 東方親分・山本五郎左衛門は笑っていた。それは歓喜、期待に応えてくれる猟兵達の実力に対する賛辞であった。
 己の「虞」にも動じることなく、マヨヒガの東方妖怪軍団にも怯むことなく押し寄せてくる。その心意気こそ、強大なる大祓骸魂への対抗するに相応しい存在だ。
 その礎になれることは喜ばしいことではある。だが山本が犠牲になることを拒絶するのは東雲・深耶(時空間切断剣術・空閃人奉流流祖・f23717)だ。
「まずは貴公に敬意を」
 深耶が抱くのはただ東方親分に対する敬意であった。山本を筆頭に親分衆がいなければ自身を含めた猟兵は戦うことすら出来ずにUDCアースとカクリヨファンタズムを破壊されるところであった。
 その屈辱と敗北は受け入れがたいものである。それを防ぎ、大祓骸魂と戦えるのは骸魂を受け入れ、「虞」を示して戦うことを決めた山本のおかげであると感じている。
「その事に、感謝を示しましょう」
 だがそれとは別に明治以降から旧華族の伯爵家にして軍事を司った旧家の御令嬢。その矜持からも犠牲を受け入れるほど容易い感情はもっていない。
 だからこそ戦い、勝ち取る。欲しい物は戦って勝ち取ってこそだ。
「では、死なせないよう、本気で行きます。お覚悟を」
「望むところにゃ!」
 そして深耶は能力「第二魔剣・星蝕を射つ日輪と月輪(ホシハミノシュウエン)」を発動させながら、全ての刀を用いて山本とその配下である東方妖怪のどろんバケラー軍団に挑む。
 影響に対する権能を籠めた時空間切断術は、骸魂のみを斬り裂く。そして全ての刀に告げる。
「全刀に告げる、不殺を絶対に遵守せよ」
 転生式次元干渉兵装・封縛刀『白先』『黒後』は未来と過去を断ち、どろんバケラーの動きを封じる。征竜剣『八大竜王』は八属性の妖術を展開し、化術の対抗をする。
 単一元剣『無壊』は拡大変容することによって攻撃を防ぐ。蒼炎妖刀『蒼灯』、蒼凍魔剣『蒼氷』は目の前の世界を凍らせて侵食することで有利な展開を作る。
「にゃんと!」
 そんな山本の身体を妖刀『紫雨』と純化神剣『アーベラント』の二剣によって引き裂く深耶。その浄化と呪詛を同時に叩き込む姿はまさしく剣豪であった。
 だが今だどろんバケラー達は山本を守る為に動く。それを見かねて手裏剣を投擲して身体に突き刺していくのは緋奈森・鈴音(火に願う華・f03767)だ。
「おねーさん達のために色々な犠牲を覚悟で手を貸してくれてるけどー」
 普段は悪戯っぽく笑っている鈴音ではあるが、今回は真剣な表情を浮かべている。相手がオブリビオンではなく、覚悟を決めた山本やマヨヒガの妖怪達であるが故だろう。
 犠牲前提で倒れられると、錫音にとっても後味が悪い。後でのんびりした時に思い出したりしてちょっと悲しくなるのは趣味えはないからだ。
「だから、犠牲とか無しにできるようがんばろー」
「猟兵さん達は……どなたも優しいにゃ~!」
 そんな鈴音を見て山本もどろんバケラー達に号令して化術で攻撃を開始する。葉っぱが手裏剣となって鈴音の手裏剣と対抗して攻撃していく。
 だがさきほど山本に一撃与えた手裏剣こそ、鈴音の本命であった。徐々に力を奪われていく感覚に、山本は違和感を感じる。
「時間があれば城砦を気づいたりできるかもしれないけど、これでおねーさん達も時間が有れば力を増していくことができるようになるしねー」
 そう言った鈴音はどんどん生命力が満ち溢れていくのを感じ取る山本。これはまさか毒か呪いかと思った時にはすでに遅かった。
 能力「七赤金星・夜刀神(シチセキキンセイ・ヤトノカミ)」。全てを貫通する呪いの刻まれた手裏剣を当てることで生命力を奪い続け、他者に力を与える呪いを体現するものだ。
「ほらー、そろそろ撤退し時じゃないかしらー?」
 そう言いながら近寄ってくる敵相手に対応する鈴音。巨大な手甲「彼岸花」を駆使しながら、手裏剣を投擲して迎撃を敢行していく。
 力を奪うことで、殺さずに戦闘不能にして戦線離脱させる作戦。その作戦は功を奏し、どろんバケラー達も倒れていく。だが鈴音も決して殺すまでは吸収せずに倒れた時点で呪いは解除していた。
「だが負けるわけにはいかないにゃ!」
 それでもなお「虞」を発して、どろんバケラー達を奮い立たせる山本のカリスマ。だがそれにも翳りは見え始めている。
 そんな一人のカリスマの前にもう一人のカリスマが現れる。神崎・ナオ(魔王と勇者のハーフな悪魔・f32386)、魔王と勇者の大恋愛の果てに生まれた子だ。
「軍団を相手にしても平然とやってのけるのが魔王ってもんだよ! 相手にとって不足な~し、だね!」
 東方親分の軍勢を率いると聞いて対抗心を燃やすナオ。それはいずれ魔王を継ぐ者としては避けられない戦いであるとも認識していた。
 そして山本もまた最後の力を振り絞って、どろんバケラー達に号令して突撃を敢行させる。自身も懐刀を抜いての吶喊だ。
「対軍用の魔法だってあるんだからね! なんせ魔王(見習い)だからね!」
 そう言って能力「隕石魔法(マオウグンニヨルバクゲキ)」を発動させるポーズを取るナオ。自身が繊細なコントロールと爆発的な威力をもって敵を制圧する魔法。
 それこその隕石の流星を落下させる魔法である。空に向かって魔力を送る仕草を取るナオ。
「倒した相手に当てない様に丁寧に爆撃するのだって任せて! よ~し、行っくぞ~!」
 と言いつつナオの言動に合せて隠れ潜んだ魔王軍の皆さんが本人に気付かれないように、射程内に入った相手へ次々と魔法を放っていく。勿論、ナオの要求通りに、倒れた相手には一切爆撃を当てないようにだ。
 この連携プレイにさすがの山本も驚くばかりであった。そして自身の東方妖怪軍団達にも劣らない連携に感動すらも覚える。
「す、素晴らしいにゃーーーー!」
 そしてどろんバケラー達と共に吹き飛ぶ山本。その爆撃は深耶によって刻まれ、鈴音によって弱体化された身体にはトドメとなった。
 宿していた骸魂は粉々に砕かれ、爆風によって吹き飛んでいく。だが倒されていた妖怪達と共に魔王軍の皆さんにキャッチされ、爆撃の外へと運ばれていく。

「ふははは~、魔王(見習い)の力思い知ったか~!」
 そして隕石魔法(と思い込んだ魔王軍の皆さんの爆撃)が炸裂して穴だらけになったマヨヒガでドヤァと魔王ムーブしているナオ。勿論、東方妖怪達が運ばれて行ったことには気づいていない。
 その後ろで爆風に巻き込まれないようにこっそりオーラ防御を展開している御付きの蝙蝠はやれやれとため息をつく。だが可愛い者は可愛いと、自然と助けてしまうのがナオの魔王軍であった。

 こうして東方親分・山本五郎左衛門は一人の部下を失うこともなく、骸魂だけ破壊されて生き残った。それは猟兵の優しさと強さによるものであり、勝利であった。
 そして最後のナオの姿を見て、自身の「虞」によって引き付けて統率するのではなく、他の何かで軍団を率いる者もいると知れたのは幸福だとも思った。
「あんな親分もいるんだにゃ~」
 そんな呟きが虚空へと響く。だが魔王軍の皆さんはもう少し成長してくださいと思うのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年05月20日


挿絵イラスト