銀河帝国攻略戦⑩~進み、壊せ巨大隔壁
●進み、壊せ
「集まったな。それじゃ、作戦の説明を始めるぞ」
グリモアベースに集った猟兵達をぐるり見て、クロード・ロラン(人狼の咎人殺し・f00390)はにやり笑い言葉を紡ぐ。
「まずは解放軍との合流、お疲れ様! 戦力の確保ができたから、次はいよいよ『エンペラーズマインド』に攻め込むぜ」
集結した『解放軍』を薙ぎ払う予定であった『カイザー・レイ』も、猟兵達の攻撃によって破壊された。銀河帝国は帝国大要塞『エンペラーズマインド』を最終防衛ラインとする強固な防衛ラインを用意し、『解放軍』を迎え撃とうとしているようだ。
「帝国軍の防衛戦力は、『解放軍』のスペースシップとの決戦に向かってる。『エンペラーズマインド』周辺宙域の警戒が疎かになってるから、この隙になら破壊工作が可能だ」
敵の哨戒も、数は多くないが存在する。それらに見つからないよう『エンペラーズマインド』内部に侵入し、破壊工作を行うことによって、『エンペラーズマインド・コア』への道を切り拓くことがこの作戦の目的になると、黒衣のグリモア猟兵は語った。
「『エンペラーズマインド』内部には数百以上の『巨大隔壁』があって、『エンペラーズマインド・コア』を厳重に守護してる。どれがコアに通じる道なのかは……悪ぃが、現状判明してなくてな。恐らく重要そうな『巨大隔壁』は要塞の奥にあるだろうから、まずはとにかく奥への移動を目指してほしい」
要塞内には、警備兵もいる。発見されればそれ以上奥へ進むことは叶わず、手近な『巨大隔壁』を破壊することになるだろう。できる限り要塞の奥へと進むためには、この警備兵達に見つからずに進むための工夫も必要になってくると、告げたクロードは眉を寄せた。
「隠密行動と、破壊行動。いろいろ考えねえといけないけど、この世界を救うために必要な作戦だ。撤退時はグリモアベースへの強制撤退を行うから、『巨大隔壁』破壊後のことは考えなくていい。とにかく、重要そうな『巨大隔壁』を、うまいことぶっ壊してきてくれな!」
みんなの力があれば、絶対勝てる。金の瞳に力強い光灯した少年は、そのままグリモアを起動する。頑張って来いよ。そう激励の言葉紡いで、クロードは猟兵達をエンペラーズマインドへと送り出すのだった。
真魚
こんにちは、真魚(まな)です。
●シナリオについて
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●作戦内容について
隠密によりできる限り内部に侵入し、巨大隔壁の破壊を行うことになります。
攻撃行動だけでなく、いかに身を隠し進むかも重要になってきますので、いろいろ工夫してみてください。
●その他
・ペアやグループでのご参加の場合は、プレイングの冒頭に【お相手のお名前とID】か【グループ名】をお書き下さい。記載なき場合は迷子になる恐れがあります。また、4名様以上のグループはリプレイ執筆までに時間がかかったり、キャパ的に不採用となる場合があります。
・今回のシナリオは、早めにプレイング受付を締め切る可能性が高いです。
それでは、皆様のご参加、お待ちしております。
第1章 冒険
『⑩エンペラーズマインド突入戦』
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POW : 密かに潜入し、POWのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する
SPD : 密かに潜入し、SPDのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する
WIZ : 密かに潜入し、WIZのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
奥に潜り込むって言うなら、【獣相変貌】で小さなトカゲにでも変身してこっそり奥まで進んでみようか。
さらに見つかりにくくなるように、【迷彩】で体の色を周囲と同じ色に変えて、【目立たない】ようにするよ。
敵に気付かれる様子が無いなら、兵士たちの会話に【聞き耳】を立てて情報を得てもいいかもねえ。
良い感じに奥まで潜り込めたら、もう一回【獣相変貌】で巨大な象に変身して、【怪力】任せに【ダッシュ】で隔壁に体当たりをして破壊するよ。
さてさて、どこまで奥に行けるかねえ。
須藤・莉亜
「つまりはかくれんぼってことかな?」
まあ、行けるとこまで行ってみようか。
眷属の狼くんを先行させ、彼から情報をもらいつつ先に進む。
先に警備兵を見つけられたら、1人だけの場合は時喰らいを使い、【先制攻撃】【暗殺】の技能で静かに仕留めよう。
死体は可能だったらどこかに隠したいね。
2人以上だったら、時喰らいを使いつつとっとと他のルートへ逃げる。
巨大障壁を破壊する場合は眷属の腐蝕竜さんを呼んで、彼にぶっ壊してもらおう。
「潜入は初めてだしちょっとワクワクするね。」
ナハト・ダァト
見つかりにくい通路を捜索する為
四ノ叡智で透明化して侵入するヨ
ダクトなんか好ましイ
侵入出来たらすぐに解除ダ
見つかった場合ハ、目潰しで遭遇を回避するカ素早く昏倒させよウ
無駄な戦闘は避けたいからネ
隔壁まで辿り着けたラ
ブラッドガイスト
一ノ叡智・王冠
まずは攻撃力の向上ダ
次はバウンドボディ、武器改造
十分な弾力性と瞬発性を付与しテ
最後に八ノ叡智・栄光、2回攻撃
220本の触手を生み出して、一束に纏めよウ
後は簡単
何度も攻撃を受けた部分を情報収集で検索
その中で脆くなっている個所を探し当てル
限界まデ触手を伸ばシ
思いっきりたたきつけるヨ
ダイナミック壁ドン…!…ン?何か間違えたかナ?
※アドリブ歓迎
シャルロット・リシュフォー
【アドリブ絡み歓迎】
潜入作戦ですのね!シャル、なぜか得意ですのでお任せ下さい!
【第六感】の力で不意の遭遇を避けるよう、身を隠しながら進みますぅ
なるべく人目がない時に移動しますけど、巡回の兵が来た時は【クリスタライズ】を発動し隅でじっと息を殺して去るのを待つです!
【属性攻撃】【全力魔法】で風の魔法を操れるので、音や呼気を漏れないように気流を操作しますっ
場合によっては、風を飛ばして離れた場所のものを倒したりして、警備兵の注意を引いているうちに死角を通り抜けたりします
巨大隔壁に到達できたら、迷うこと無く全力で攻撃します!
シャルの剣は魔法の剣ですから、ただの金属の壁なんて容易く切り裂いてみせますぅ!
セルマ・エンフィールド
ここがエンペラーズマインド……随分と大きいですが、コアマシンさえ落とせばこの戦場は勝利です。確実に前に進むためにも、一歩ずつ進みましょう。
内部の情報はありませんし、こういった施設に関する知識も私は持ち合わせていません。頼りは第六感だけですがやってみましょう。
艦内は忍び足で進み、できる限り哨戒する敵に見つからないように進みます。
もし見張りがいてどうしても通れない通路があれば……見張りの数が少ないようでしたら、持ち込んだ弓で暗殺します。
少し乱暴ですが、より警備が厳重なところが本命でしょうしね。
障壁にたどり着いたならば【冬の尖兵】を使用。全て合体したXXⅢの巨大な氷の兵士の氷の剣で障壁を破壊します。
メンカル・プルモーサ
【連携希望】
……こっそり潜入して……障壁につけばあとはなんとかなるとして……
巡回の兵士は……【面影映す虚構の宴】で誤魔化せる部分は誤魔化す……
監視カメラやセンサはハッキングで騙して…でも長時間やるとばれるから……要所要所で……最低限で済ます……
途中で掛かってる鍵の類は鍵開けで開けて……要塞の構造や兵士の配置から重要な障壁を推測してそちらの方向に向かう……
上手く障壁にたどり着いたら【尽きる事なき暴食の大火】を使用……
障壁に穴を開けて内部にどんどん延焼させて……熱でばれるまでに障壁内部を燃料にして内部をボロボロにする……あとは…混乱狙いで延焼させたまま転送で……
レイブル・クライツァ
見つからない様に、って中々難しい所よね…
普段は黒か白しか着ないから、色的に浮かない様に似たような色の布を纏って変装するわ。
武器は短く畳んで、他装備類で音や乱反射しない様布包み
なるべく人が隠れられそうなスペースを見つけつつ移動し、聞き耳を立てて警戒。
重要そうな話をしていたり、ルートがある程度絞り込めそうなら追跡。
分かれ道等で敵の目を欺かせるのに、行きたい所の反対側へ転がったら音が鳴る鳴り物を投げ、気を惹き時間稼ぎしている内にダッシュで駆け抜ける。
巨大隔壁前にどうしても避けれない敵がいる場合は、巫覡載霊の舞で隔壁への攻撃を優先しつつ、ついでに巻き込んで攻撃するわ。
アドリブ及び他猟兵の方との連携歓迎
紫谷・康行
とにかく手がかりを掴むべきだ
次に繋がる手がかりを
一手ずつ進んでいけばいい
基本方針は探索を主とし出来るだけ戦闘を避け
要塞の構造を理解して安全なルートを探すこと
【消えない空色のカネンカ】を使い気付かれないように気を使いながら足音を殺しつつ要塞内を探索する
分かれ道では耳を澄まして人の声の聞こえない方へ進む
通った道は手持ちの端末でマッピングしながら進み、可能なら仲間にも暗号化したデータを送る
隠れられる場所をいくつか探しておき敵がいた場合はそこに隠れてやり過ごす
鍵がかかっている区画があってもいいように鍵開けの魔法を準備していく
システムダウンさせるプログラムを用意して敵のコンピュータを見つけたら起動させる
空廼・柩
閉ざされたの先には宝が隠されている――ってね
…破壊すべき対象だけれど
まあ、警備に見つからないよう頑張らないと
俺の目立たなさを活用出来るだろう
極力音を立てぬよう、然れど駆け足に隠れつつ移動
視力で遠くに敵がいないか、聞き耳で敵の足音を確認しよう
万一に備えて念の為、第六感にも頼るとしよう
曲がり角の先に警備が厄介だ
曲がる際も少しだけ顔を出す等して逐一確認は怠らない
もし他に一緒に行動している猟兵が居たら、死角を補い合うとしようか
そうすれば見つかる可能性も少くなる筈
…発見した警備に【影纏い】を用いて監視とか出来ないかな?
無事に障壁を発見出来たならば拷問具で攻撃
強く強く殴っていく
…俺も早く此処から帰りたいし
東雲・咲夜
ネグルさん(f00099)と
何かを壊すんを目的にした事はあらへんし
治す方が得意なんやけど…
あんじょう気張ります
巫女装束は常世の神様のご加護があるさかい
【忍び足】で【目立たない】よう潜入
警備の厚い場所では風の神霊さんの【念動力】で
此方から離れた所のもんを弄って注意を反らし
其の間に通り抜けましょ
もし察知されましたら声を上げられるより早く【毒使い】を
酔っぱらったような、眠くなる毒なんですえ
破壊するんはこの壁ですね
ネグルさんの言葉に頷き
光の弓を生成し弦を引きます
彼の攻撃に合さるよう矢を放って
一矢が幾重の光にも分裂し一点を続けざまに射貫くよう
いつも礼儀正しいネグルさんも
熱い一面をお持ちなんですね…ふふ
ネグル・ギュネス
・東雲・咲夜(f00865)殿と同行する
さて、潜入破壊か。
お手の物───とは言い難いが、破壊は得意だ。
まず潜入については、装備とスキル【迷彩】をメインに隠れながら行こう
敵の目線や、監視の機材を、【カリキュレイト・アイ】と【見切り】でするりと抜けるようにして、だ
【障壁破壊】は、ユーベルコードの【剣刃一閃】をメインに、刀を叩きつけ、時に【衝撃波】を飛ばしてブッ壊してやる
咲夜殿、合わせて行きましょう。
攻撃を重ねれば、短時間で破壊出来るはず。
いつまでも邪魔な壁にのさばられても困る
キッチリブッ壊して、踏ん反り返る皇帝の首を叩き落としに行かねばな。
真白・白夜
潜入しての破壊作戦ですか。迅速に行動しましょう。
今回は、人格は変更しません。僕のままでいきます。
『おい!俺に代われよ!俺にも暴れさせろ!』
「隠密活動なんだ!今回は下がっててくれ!」
『…ちっ。しゃーねぇ。…うまくやれよ。』
迷彩を利用して、敵の警備の目を掻い潜りつつ進みます。障害物があれば、そこに身を隠してやり過ごします。始末ができるなら、敵をだまし討ちからコンバットナイフで暗殺して、死体を囮にして進みます。気を取られている敵が少数なら、上記の方法で始末して進みます。
巨大隔壁に到着しましたら、【サイキックブラスト】で攻撃を仕掛けます。
スナイパーで一点に攻撃集中し、二回攻撃で畳みかけます。
●
グリモアガードからの転移が完了すると、猟兵達は一斉に『エンペラーズマインド』の内部へ潜入した。
セルマ・エンフィールド(終わらぬ冬・f06556)は、油断なく周囲を見回す。敵の姿も監視カメラもなく、うまく潜り込めたことにまずは安堵する。
「ここがエンペラーズマインド……随分と大きいですが、コアマシンさえ落とせばこの戦場は勝利です」
そのためにも、今は巨大隔壁の破壊を目指して。確実に勝利を掴むため一歩ずつ進んでいこうと、セルマは忍び足で館内を進み始めた。内部についての情報はなく、こういった施設に関する知識も彼女は持ち合わせていない。頼るのは、己の第六感のみ。けれどセルマの後ろには、追行する仲間がいる。
「潜入作戦ですのね! シャル、なぜか得意ですのでお任せ下さい!」
明るく、ボリュームは抑えた声で語ったのはシャルロット・リシュフォー(歌声アステリズム・f00609)。彼女は極力物陰に身を隠しながら、通路を奥へと進んでいく。
と、そこでセルマの足が止まった。警戒するよう合図を出し、銀髪の少女は手近な小部屋の中へ身を潜める。通路の先を行くのは、二人の警備兵――まだこちらのことは悟られておらず、奥のT字路へ向かっている。隠れていれば、やり過ごせる。
状況を理解して、シャルロットは己の体をぎゅっと抱きしめる。すると彼女の宝石の体は、瞬く間に透明になった。このユーベルコードは使用中体力を削る故、連続使用はできない。けれど敵と遭遇時のみなら、うまく使うことができるだろう。
息潜め、じっと耐える。二人の少女が警戒する先で、敵はゆっくり進んでいく。そしてそのままT字路を右に曲がったのを認めて、二人はほっと息を吐き出した。
そんな二人の足元を、小さなトカゲが音もなく歩いていく。ユーベルコード『獣相変貌(ワイルド・アウェイクニング)』で変身した、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(蛮族キマイラ・f07620)だ。彼女は体を周囲に溶け込む色へと変えて、分かれ道に消えた警備兵追う。彼らは二人、ならば会話もするだろう。聞き耳立てれば、行き先の手掛かりとなる情報があるかもしれない。
『……こんな外側まで、警備する必要あるのか?』
『さてな。俺達下っ端の兵には中枢は任せられないからじゃないか。厄介払いだよ』
自重気味に語りながら、進んでいく警備兵。――その口ぶりからすると、どうやら彼らの行き先は中枢部ではないらしい。
後方の仲間へ目配せし、ペトニアロトゥシカは彼らが進んだのとは逆の道選び進んでいく。
(「さてさて、どこまで奥に行けるかねえ」)
想う心が不思議と弾むのは、困難に挑むバーバリアンの性か。彼女はトカゲの体を器用に操り、通路の先へと歩いていった。
●
「つまりはかくれんぼってことかな?」
須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)は呟いて、漆黒の狼を召喚した。発見され難く五感を共有する眷属は、此度の偵察には適任だろう。
そうして先確かめながらどれほど進んだか、曲がり角の向こうに警備兵の姿見つけ、莉亜は狼の歩みを止めさせる。
敵は一体、道はしばらく一本道。迂回するより、戦うべきか。
莉亜は眷属操るユーベルコードを解除すると、道を進んでいく。曲がり角を曲がり、警備兵を視界に入れて――敵がこちらに気付いた瞬間、『時喰らい(タイムイーター)』のユーベルコードを発動する。
「ちょっとした悪戯ってとこかな」
止められるのは僅かに二秒、しかしそれだけあれば十分。彼は一足飛びに道を駆け、警備兵に接近、急所狙う一撃で静かに敵を仕留める。
「潜入は初めてだしちょっとワクワクするね」
言葉紡ぎながら、死体は物陰に隠して。障害取り除かれたその横を、何者かが通り過ぎる気配がする。ナハト・ダァト(聖泥・f01760)だ。ユーベルコード『四ノ叡智・慈悲(セフィラ・ケセド)』によって透明化させた体で進み、彼は頭上のダクトへ飛び込んだ。(「無駄な戦闘は避けたいからネ」)
最悪は目潰しや攻撃による無力化も考えていたけれど、仲間が警備兵片付けた隙に進めたのは幸運だった。ナハトは透明化を解除すると、ダクトの中を進んでいく。
●
(「見つからない様に、って中々難しい所よね……」)
周囲を警戒しながら先を急ぐレイブル・クライツァ(白と黒の螺旋・f04529)は、灰色の布を身に纏っていた。武器は短く畳み、音や光の反射が気になる持ち物は丁寧に布で包み、身を隠すスペースを見つけながら彼女は順調に進んでいく。
幾度目かの分かれ道。聞き耳立てたレイブルは、十字路の右側より話し声がすることに気付く。
『交代の時間だ』
『ああ、わかった。しかしこれだけ厳重に警戒していれば、ここまでやってくる外敵などいるわけがないな』
『違いない』
その談笑には、油断が見えた。会話の内容からすると、彼らのいる方向こそが進むべき道だ。
彼女は息を潜めて警備兵の一人が去っていくのを見送り――正面の道へと、小さな鈴を投げ込んだ。
リン、と鳴る鈴は、道を転がり音立て続ける。何事かと思った警備兵は、右の道より十字路を曲がり、正面の道へと歩いていく。
(「今のうちね」)
瞬間、物陰から飛び出したレイブルは、素早い身のこなしで右の道へと入り込む。警備兵がこの通路へ戻るより、早く。音もなく駆けた女は、その先にあった曲がり角へと飛び込んで――そこでふうと、ため息を漏らしたのだった。
●
やがて猟兵達の行く先には、障害となるものが増えていった。警備兵の徘徊する場所も増え、さらに監視カメラも見られるようになる。
(「とにかく手がかりを掴むべきだ。次に繋がる手がかりを」)
自身に言い聞かせるように胸中で呟いて、紫谷・康行(ハローユアワールド・f04625)は手持ちの端末に情報を入力していく。ここまでの分岐、予測される現在地。彼のマッピングは、少なくとも出発点よりかなりの距離離れた地点にいることを示していた。
そうして彼は、道の先を見る。警備兵はいない。設置された一台の監視カメラ、身を隠す場所はいくつかあるが、通過する際カメラに捉えられることは避けられない。
「空へ続く扉に咲く忘れられぬ空色のカネンカよ。我ら空とともに歩み空となるものなり。我が命において我らを空となせ」
口の中で小さく言の葉紡ぎ、彼は霊薬を取り出す。自身にかければ、体は透明に。カメラに映ることなくなったことを確かめて、康行はするりカメラの死角へと移動した。
ついでに、システムダウンさせるプログラムを使って監視カメラを止めようか。杖に仕込んだコンピュータを操作しようと手を伸ばしたところで、彼の傍に眠たげな表情した少女が近付いてきた。メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)だ。
「あの監視カメラ……ハッキングで、騙してある……」
今やり過ごしたものだけでなく、この先に設置されたものも。カメラがシステムダウンしたと知れれば敵も警戒するだろうが、彼女のハッキングしたカメラが見せるのは、無人の通路だ。しばらくの間ばれることはないだろう。
「でも長時間やるとばれるから……要所要所で……最低限で済ます……」
ぽつぽつと語りながら、メンカルは康行の端末をのぞき込む。マッピングされた道、彼女が見てきた警備兵の配置状況――照らし合わせれば、重要な地点の推測もいくらかできる。
ふいと少女は通路の先見て、分かれ道を迷わず右へと進んでいく。その表情は変わらずぼんやりしたものだったけれど、メンカルの選択に何か確信めいたものを感じて、康行は彼女の後を追うのだった。
●
増えてきた警備兵から身を隠し、静かに様子を伺うのは東雲・咲夜(桜歌の巫女・f00865)。その隣では、ネグル・ギュネス(ロスト・オブ・パストデイズ・f00099)も一緒に敵掻い潜る機会を図っている。
「潜入破壊か。お手の物───とは言い難いが、破壊は得意だ」
「うちは何かを壊すんを目的にした事はあらへんし、治す方が得意なんやけど……あんじょう気張ります」
頼もしい白髪の青年にくすりと笑んで、桜の巫女は敵が背を向けた瞬間彼に目配せする。そして、ネグルが身構えたのを確かめて、風の精霊を操った。雪のように白い指、示す先へ進んだ精霊は離れた場所の小部屋の扉叩き、物音を立てる。警戒した兵達が、銃を構えて扉へ近付く――その隙に、二人はするりと道を進み、物音立てず先を急ぐ。
持ち前の目立たなさを活かしてここまでやってきた空廼・柩(からのひつぎ・f00796)も、静かに道行き、曲がり角で足を止めた。耳を澄ませば、複数の足音。ちらり、眼鏡かけた瞳で先をのぞけば先ほど以上に警備が厚い。
(「閉ざされたの先には宝が隠されている――ってね」)
漆黒の瞳細めて、柩は影纏う蝙蝠を召喚する。発見され難いそれを放てば、警備兵を追うように道を入っていき――共有された視覚が、その道の先に巨大隔壁を見つける。
同時に敵の数を確認すれば、一体、二体――十体はいるか。全ての目を逃れ他の道に入るのは困難で、さりとて全員を無力化しようとすれば、その前に騒がれる危険もある。
どうするべきか――柩が思考巡らせ仲間へ視線向けた時、背後から飛び出す者がいた。セルマだ。彼女は音立てぬ弓矢を番えると、敵の不意打ち一体の急所を射抜く。
「少し乱暴ですが、より警備が厳重なところが本命でしょう」
進めぬなら、ここで攻撃仕掛け隔壁の破壊を目指す。告げる彼女に頷いて、仲間達は武器を手に曲がり角の先へと飛び込んでいく。
いち早く駆けたのは、真白・白夜(多重人格者のサイキッカー・f10864)。コンバットナイフ握り締めて地を蹴る彼の、頭の中では別人格が呼びかける。
『おい! 俺に代われよ! 俺にも暴れさせろ!』
「隠密活動なんだ! 今回は下がっててくれ!」
『……ちっ。しゃーねぇ。……うまくやれよ』
周囲に溶け込む姿で、警備兵へ肉薄したのは一瞬のこと。少年は刃を敵の装甲の隙間へ滑り込ませ、そのまま頸動脈を切り裂いた。
『なっ、こいつ、どこから……!』
『敵襲だ! なぜここまで侵入を許した!』
混乱する敵、その奥に立ち塞がる巨大障壁。
――猟兵達の作戦は、次の段階へと移行した。
●
敵が銃を構え、発射する――それより早く、レイブルが動く。彼女は敵へ接近しながらも軽やかに舞い、その身を神霊体へと変えていく。操るは、『白黒』と名付けた薙刀。黒き柄を振るい、閃く白刃。その軌跡は衝撃波を生み出し、敵も障壁もまとめて飲み込んだ。
『ぐあっ!』
叩き込まれた攻撃に、倒れ伏す警備兵達。その体を乗り越えて、ついに猟兵達は巨大隔壁の前へと到達した。
周囲の監視カメラや警報装置は、康行がまとめてシステムダウンさせている。異変に気付いた敵側が増援を差し向けてくるだろうが、少しは時間を稼げるだろう。
「破壊するんはこの壁ですね」
そびえる壁に、咲夜が呟く。すると隣でネグルが『桜花幻影』と名付けた太刀構え、合わせましょうと声かけた。
「いつまでも邪魔な壁にのさばられても困る。キッチリブッ壊して、踏ん反り返る皇帝の首を叩き落としに行かねばな」
「いつも礼儀正しいネグルさん熱い一面をお持ちなんですね……」
ふふ、と笑み零し紡ぐ言葉は、頷きと共に。少女は光の矢を生み出すと、彼の攻撃に合わせ放とうと弦を引いた。
瞬間、ネグルが地を蹴り跳ぶ。進む力まで刀に乗せて、振るえばそれは鈴の音響かせて。巨大隔壁へ、刻まれる傷。直後、リンと涼やかな音響かせた『天羽々矢』が、その傷を射抜いた。
頑丈な壁、けれど攻撃重ねれば必ず破れる。ペトニアロトゥシカはユーベルコードで巨大な像へと変身すると、加速し隔壁へと体当たりした。怪力任せの一撃は、床さえも大きく揺るがす。ひしゃげる壁に、間髪入れず近付くは腐蝕竜。呼び出した莉亜は、紫の瞳で眷属見つめて唇を開いた。
「全部食べちゃって?」
声に応え、腐蝕竜が牙をむく。彼が喰らえば、金属だろうとたちまち腐り朽ちていく。
続けてユーベルコードを操るのはセルマ。『冬の尖兵(ウィンター・ソルジャーズ)』――呼び出された二十三体の氷の兵士は、即座に合体し巨大な兵士となる。振るう氷の剣も、また強力で。隔壁大きく切り裂けば、それは壁の向こう側まで到達したようだ。僅かに、光が漏れ始める。
あとは、この穴を拡げるだけ。その路を切り拓こうと、シャルロットは双子の剣を構えて駆ける。
「シャルの剣は魔法の剣ですから、ただの金属の壁なんて容易く切り裂いてみせますぅ!」
金色の刃、銀色の刃。少女が取り回しやすいよう小振りに鍛えられたその剣は、巨大隔壁を十字に切り裂いた。
そこに、叩き込まれる高圧電流。白夜の『サイキックブラスト』は隔壁を揺らし、一撃では足りぬと放つ追撃が、さらに壁を歪ませていく。
あと少しで、壊れる。感じた柩は、手にした拷問具を振り上げた。
(「……俺も早く此処から帰りたいし」)
心で呟き、突き出す『餞』――そう名付けた棺で、強く、強く。殴り続ければ、その度隔壁が形を変える。
そこに、突如現れたのはナハトだ。ダクト通る独自のルートでここまでたどり着いたブラックタールは、己の力を強化して――深淵より、触腕を召喚した。伸びる無数の触手達、それはうねり、一束にまとめ上げられ、後方へ強く引き絞られ。反動で、前へ進む勢いのせて――巨大隔壁の、一番脆くなった箇所へ叩きつけられた。
「ダイナミック壁ドン……! ……ン? 何か間違えたかナ?」
首傾げるナハト、その視線の先で、巨大隔壁が大きな音と共に穿たれる。拓かれる道、けれどその先確かめる前に、メンカルが言葉紡いでユーベルコードを発動する。
「貪欲なる炎よ、灯れ、喰らえ。汝は焦熱、汝は劫火。魔女が望むは灼熱をも焼く終なる焔」
生み出したるは、白色の炎。それは巨大隔壁の残りの部分を焼き付きし、更にその先へと延焼する。
「敵が混乱しているうちに……早く……」
炎操り告げるメンカルに、猟兵達が頷く。果たしてこの道の先が『エンペラーズマインド・コア』なのか――確かめるのは、次の作戦の時でいいだろう。多数の警備兵の足音がする、今は脱出が優先だ。
多くの敵に守られた、巨大隔壁のひとつ。それを確かに猟兵達は破壊した。此度の作戦成功を実感し笑み浮かべる彼らを、グリモアの光が優しく包む。
そうして彼らは全員が、増援が現れる前に無事『エンペラーズマインド』を脱出したのだった。
大成功
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