銀河帝国攻略戦⑩~破砕
●破砕
猟兵の皆様、お仕事ですとヤドリガミの少女、華切・ウカ(空鋏・f07517)はグリモアベースにて紡いだ。
「スペースシップワールドでの事はご存じだと思いますがそちらに向かっていただきたくて」
現在『解放軍』のスペースシップとの決戦に向かっており、『エンペラーズマインド』周辺宙域の警戒は疎かになっている。
そこでこの隙に、敵の哨戒にかからない少人数で、エンペラーズマインドに潜入。
エンペラーズマインド内部での破壊工作により、『エンペラーズマインド・コア』への道を切り開こうというのだ。
「エンペラーズマインド内部には数百以上の『巨大隔壁』があり、『エンペラーズマインド・コア』を厳重に守護しているようなのです」
現状、どれがコアに通じる道であるかは判明していない。
そこで、秘密裏に『エンペラーズマインド』に突入。その後、要塞内を巡回する警備兵の目を盗み、出来るだけ重要そうな『巨大隔壁』の破壊を行おうということなのだ。
「警備兵に発見されずに要塞の奥まで移動できれば、より重要な『巨大隔壁』を破壊する事が出来るかもしれません。とにもかくにも、壁の破壊あるのみ! なのです!」
そう言って、ウカは手の中でグリモアを輝かせる。
それから、破壊すれば多くの警備兵が集まってくるはず。しかし撤退時はグリモアベースへの強制撤退を行うので、破壊後の撤退方法は気にしなくても大丈夫です! とウカは告げた。
そして、いってらっしゃいませと笑み、猟兵達をエンペラーズマインドへと送るのだった。
志羽
お目通しありがとうございます、志羽です。
●シナリオについて
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
とにもかくにも。
隠密行動、のちの壁破壊となります。
以上です。
ご参加お待ちしております。
第1章 冒険
『⑩エンペラーズマインド突入戦』
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POW : 密かに潜入し、POWのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する
SPD : 密かに潜入し、SPDのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する
WIZ : 密かに潜入し、WIZのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
蜂蜜院・紫髪
*アドリブ連携歓迎
心情:ふむ…迷路のような物かの?こういう時の勘は良いのじゃ。(【野生の勘】【第六感】)
奴らは儂の【陽炎の術】に気づけるじゃろうか?まぁ試してみればいいのぅ。
儂一人ではちと火力が足りないかの?もう一人なら連れ歩けるのじゃし声をかけてみるかの。
行動:【陽炎の術】を使い奥へ進みます。道を選ぶ時は【勘】を使ったり。敵が重点的に見回っている方へ進みます。
隔壁の破壊には【フォックスファイア】を使います。破壊後は人形を盾にしつつ撤退まで戦います。
白波・柾
ようやくお膝元というわけか
まだまだ油断はできないが……やっと、一段階進んだ実感があるな
潜入した以上は目立てない
隠密作戦である以上、いつも以上に慎重にかからねばならない
『目立たない』を利用して潜入
単体潜伏兵として行動
『ハッキング』を利用して近くのコンソールを操作、
重要そうな隔壁はどれか調査する
得た情報は全て他の猟兵と共有、協力
猟兵に有利な戦闘環境にできるように調整できたらいい
『ダッシュ』を使用して目的の隔壁まで迅速に移動し、
到着すれば仲間たちと協力して
隔壁の破壊を試みる
【正剣一閃】で隔壁を攻撃
シエル・マリアージュ
【Garb of Mirage】の【迷彩】で【目立たない】ようにして【忍び足】で密かに行動。
曲がり角などでは蜘蛛型にした【アラクネの紅玉】を【目立たない】ように天井を移動させて【視力】【聞き耳】で安全を確認しながら巨大隔壁を探す。
敵を発見したら【死は闇より来たれり】をその場で発動して敵の位置を把握して敵を避けて移動したり、【目立たない】ように先行させた【アラクネの紅玉】の影に【死は闇より来たれり】を使って影へ移動して敵をやり過ごして、さらに奥深い隔壁を探す。
隔壁を発見したら【鎧無視攻撃】の【ドラゴニック・エンド】で隔壁を貫き【衝撃波】でさらなるダメージを与えて隔壁を破壊して撤退します。
黒玻璃・ミコ
◆心情
ふむふむ、中々に難しいミッションですね
ですが、文字通りにこの『壁』を破らねば先が見えないのですから
ミコさん、ちょっと本気を出しますよー
◆行動
【黒竜の恩寵】で攻撃力UP
ふむ、幸い私は不定形なブラックタールです
【第六感】による閃きに従い
警備の薄い要塞の通気孔と言う【地形の利用】をして
可能な限り内部に侵入しましょう
暗くとも【暗視】出来ますし
要塞内部の構造は【世界知識】による【戦闘知識】と
【拠点防御】でおおよそ見当がつきそうですからね
其っぽい所に着いたら
【気合い】を入れて【怪力】を込めて
【毒使い】に拠る腐食毒を塗った蛇腹剣で外壁と言う【鎧を砕き】ますよー
◆補足
アドリブ、他の猟兵さんとの連携大歓迎
御剣・誉
敵に見つからないように潜入しろだと!?
なかなか難易度の高い要求だな……。
周囲の様子を伺いつつ、人の少なそうなところを選んで進んでいこう
万が一見つかった時に備えて敵の服を奪って着てみたりしようか
どうやって奪うかは……まぁ、コミュ力で交渉?
無理なら力づくで。
壁に到達する前にまた敵に見つかったらコミュ力でなんとか逃げ切るぞ
口八丁、手八丁。切り抜ければきっとなんとかなる!
壁の前についたら戦場の亡霊を発動させつつ攻撃だな
うーん、瀕死にならないと力が出ない気がする。
そんな時は見張と称して敵とちょっと戦ってくるか!
瀕死になってからの方がきっとオレは役に立つ!!
アール・ダファディル
隠密のち壁破壊とはまた難儀な作戦だな
しかし、存分やって良い悪戯とあらば話は別というもの
さ、Echo。愉しく『かくれんぼ』しにいこうか
最奥に進むための最善を尽くそう
隠密用の目立たぬ装束に着替えて隠密準備
四方八方に糸を張り揺らして振動から奥に進める道を探し先導する
警備兵に見つからぬよう、使用した糸は即回収
「どんな場所だろうと鼠は入り込む、か」
だから彼等は情報通なんだろうな、とひとり納得sる
見つかっても1人ぐらいなら糸で拘束して無力化させるとも
巨大隔壁といえど隙間や手薄の箇所ひとつぐらいはあるだろう
「待たせたね、Echo。好きなだけ壊していいよ」
≪彼女≫…Echoが遊びやすいように糸で繰ってお手伝い
クレム・クラウベル
流石に要塞と言うだけはある厳重さだな
一矢では致命に届かずとも、積み重ねがやがてその喉を食い破る
ならばその一矢としての任務、引き受けよう
退路の心配もないなら浅い場所よりは深部を狙いたい
適宜身を隠せる場所を探し警備兵の死角を辿る
敵が多い場所は巡回ルート等も観察して進行
機会を不意にするのが一番良くない
深部を目指しつつも無理は侵さず堅実に
破壊する壁を決めたら行動は素早く
脆そうな箇所に集中攻撃しまずは一箇所穴を開ける
2回攻撃等も活用し一点に連続で攻撃を加え
脆い箇所を複数撃ち抜いた後、中心に集中放火し壁全体を打ち破る
……単純な破壊、というのも返って慣れないものだ
こういうのはあいつの方が向いてるのだろうな
レイブル・クライツァ
どうやって向かうか、考えものね…
普段は黒か白ばかりだから、色的に浮かない様周囲の色と似た色の布を纏って変装。
武器は短く畳んで、他装備類で音や乱反射しない様布包み
人が隠れられそうなスペースとなると、天井裏に入れそうならそこから入って暗視で周囲を確認しつつ
無ければ道中の物陰を見つけつつ移動し、聞き耳を立て警戒。
重要そうな話が聞けたり、ルートにある程度目星がついたらダッシュで駆け抜ける。
巨大隔壁前にどうしても避けれない敵がいる場合は、巫覡載霊の舞で隔壁への攻撃を優先しつつ、ついでに巻き込み攻撃。
逆に居ない状態で破壊出来るのであれば、派手に音を鳴らして気を惹く様にする
アドリブ及び他猟兵の方との連携歓迎
●潜入
エンペラーズマインドへと送られた猟兵達。
そこは薄暗い部屋。何か重要な物がある、という事は無く空き部屋の一つだろう。
会議室のような趣もあるが、最近使われたというような雰囲気は全くない。
さてこれからどうするか――というところで、白波・柾(スターブレイカー・f05809)は少し待ってくれと猟兵達へと声をかける。
「ここから情報が得られるかもしれない」
そう言って示したのは扉近くにあったコンソールだ。それは通信装置でもあるのだろう。
ようやくお膝元というわけか、と柾は零しいやと緩く首を振る。
「まだまだ油断はできないが……やっと、一段階進んだ実感があるな」
いつもより慎重にと思いながら柾はそれを操る。
これは隠密作戦なのだから、いつも以上に慎重にと。
警備が甘い場所だったのか、それとも簡易な地図程度は誰もが見られるようなものなのか。
どちらかはわからないが周辺の簡易地図を見つけそれに目を向ける。
重要そうな巨大隔壁と呼べるものは――一つだろうか。
しかしそこへ向かうルートはいくつかに分かれていた。
それぞれ、考えやとれる手は様々だ。全員で行くよりも、ここはわかれたほうが賢明。
隔壁の前へ誰かがたどり着ければそれで良いが攻撃を加えれば大きな音が響き、警備兵にも気付かれるだろう。
破壊はある程度の人数が揃ってからと猟兵達はそれぞれ動き始める。
シエル・マリアージュ(天に見初められし乙女・f01707)はひとりで、行動を。
光学迷彩仕様のケープコート――Garb of Mirageの迷彩を用い目立たない様に密やかに、行動を開始した。
大まかなルートを頭に入れ、臨機応変に隔壁までの道を取る。
アラクネの紅玉を、蜘蛛型にして天井へ。
そして曲がり角などではそっと、周囲を確認させていく。
敵の位置を把握できたなら、やり過ごしたり。問題なければそのまま奥へ。
そして確実に、先へと進んでいた。
敵に見つからないように潜入しろだと!? と、話を聞いた時には思った御剣・誉(異世界渡り・f11407)。
「なかなか難易度の高い要求だな……」
そう思いつつ、誉は自分の出来る事を考えていく。
そして一人ではちょっとばかり火力が心元ないと思っていた蜂蜜院・紫髪(怠惰な蜂蜜屋・f00356)と共に進むことに。
周囲の様子を伺いつつ、人の少なそうな所を。
と、曲がった先に見張りをしている警備兵の姿を見つけ二人は足を止める。
「万が一見つかった時に備えて敵の服を奪ってきてみるか?」
その姿をそっと、誉は見てどうやって奪うかと言えば……コミュ力での交渉。
しかし、決裂するような気もする。そうなれば力づくだろう。
しかし、その前に。
試したいことがあると紫髪は言う。
「儂の陽炎の術に気付けるじゃろうか?」
危険は承知じゃが、試してみるかのと紫髪は言う。
「狐火よ、我らを隠せ」
紡げば、紫髪の姿は透明に。
少し離れた場所に警備兵がいる。きょろきょろと通路を見回している警備兵とは距離があり、もし見つかったとしても逃げきれるだろう。
見つかり向かってきた場合は誉が口八丁手八丁でなんとかすると頷く。
紫髪は警備兵の視界に入る。だが、警備兵はこちらに気付かないようだ。
その様子を見ていた誉は、これで問題なく勧めそうだな! と笑み浮かべる。
もっと近づけば物音などで気づかれてしまうだろう。疲労もたまるので、続けては難しい。
だが、それでも見張りがいる要所を抜ける時に使う分では十分だ。
誉と紫髪もまた、順調に敵の懐へと潜りこんでいく。
紫髪は金の瞳をすぅと細め周囲を窺う。
「ふむ……迷路のような物かの? こういう時の勘は良いのじゃ」
任せよ、と紫髪は周囲を見回す。
どちらから人の気配がしないか――野生の勘と第六感と。
感じるものを総動員して右か左か。
「こっちじゃな」
そうして紫髪は行く先を、左を指し示す。
そちらのほうが警備兵も重点的に動いているようだからだ。
危険はともなうが――得るものは大きいだろうと。
黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)はふよんとその身を動かしながらどうしようかと思案する。
「ふむふむ、中々に難しいミッションですね」
けれど、文字通りにこの『壁』を破らねば先が見えない。
「ミコさん、ちょっと本気を出しますよー」
ミコはそのためにも、と紡ぐ。
「いあいあはすたあ……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第壱の竜よ!」
黒竜の爪、黒竜の鱗、黒竜の毒と、ミコは糧にした竜の力をもって攻撃力を底上げする。
これで準備完了、とミコが見つめたのは――通気口。
そしてその通気口を同じように見つめていたのはレイブル・クライツァ(白と黒の螺旋・f04529)だ。
「どうやって向かうか、考えものね……」
普段は黒か白ばかりを纏うレイブル。色的に周囲と浮かない様、布をと思ったが白い壁に必要ないかしら、と思わないでもない。
天井裏、ではないけれど通気口は這って行けば十分進めそうな大きさだなとレイブルは思う。
そして、傍らで同じようにそれを見詰めていたミコと視線が合い口を開く。
「……一緒に参りますか?」
「ええ! 警備も薄いでしょう」
そう言ってミコは頷き、先に通気口へ。
そこは暗くはあるが、暗視が可能であるミコにとって問題ない。レイブルも暗視で問題なく進めていた。
内部構造も、先程見せてもらった地図のおかげでなんとなくわかる。
「……下から、足音」
聞き耳たてていたレイブルが小さな声で告げれば、ミコも止まる。
ミコとレイブルは順調に通気口を進んでいく。
下から足音などは聞こえてくるがこちらには気づいてはいないようだ。
時折、金網のようになっており真下が見える所もあり、そこは気を付けて。
「……このあたりでしょうか? あ、光が」
と、少し先に行き止まりと。そして下方が見える金網が見えた。
その時、きっとここに違いない――とミコの第六感が囁く。
金網をそっと外し、様子を伺えば警備兵が複数いる。
あれは倒しておくべきだろう、と頷きあいレイブルとミコは動き出す。
避けれない敵なのだから。けれどもう少し、他の仲間達がここへ辿りつくまで待つ事に。
そしてもう一組――アール・ダファディル(ヤドリガミの人形遣い・f00052)とクレム・クラウベル(paidir・f03413)、柾は共に進んでいた。
「流石に要塞と言うだけはある厳重さだな」
通路を進みながらクレムは周囲を見回す。
何の飾り気も無い無機質な壁だ。同じような光景ばかりが続く。
一矢では致命に届かずとも、積み重ねがやがてその喉を食い破る――今、分かれて動いているのも積み重ねる為。
その一矢としての任務を引き受け、クレムはここに居る。
「隠密のち壁破壊とはまた難儀な作戦だな」
しかし、存分やって良い悪戯とあらば話は別というものと、アールは楽し気に笑み浮かべ、傍らの≪彼女≫に笑いかける。
「さ、Echo。愉しく『かくれんぼ』しにいこうか」
最奥に進むための、最善。
「どんな場所だろうと鼠は入り込む、か」
だから彼等は情報通なんだろうな、と納得しながらアールは手より琥珀揺らめく繰糸を躍らせる。
四方八方に糸を張り巡らせ振動を感じれば、糸をすぐ回収する。
「あちらから複数来る。一人ぐらいなら糸で拘束することもできるが」
「迂回しよう。機会を不意にするのが一番良くない」
クレムの言葉に、アールはそれが良いと頷く。
目的の場所を目指しつつも、無理は侵さず堅実に。
猟兵達は目的の隔壁へと、徐々に距離を詰めていく。
●破壊
最初に、その隔壁へと辿り着いたのはミコとレイブル。
しかし、二人はまだ通気口の中だ。
二人の下を、走っていく猟兵達の姿が見えた。
クレムとアール、そして柾だ。
アールが警備兵たちへ糸伸ばしその動きを絡めとる。
そこへ柾が刃を振るい、クレムが他方からくるものを射る。
だが、三人ではまだ動けるものがいた。
走り込む――その姿を通気口より目にしたミコとレイブルも飛び出し駆けつける。
ミコがそこへ辿り着くよりはやく、神霊体にその身を変えつつレイブルがなぎなたふるえば衝撃波が走る。
そしてミコは体内で生成した猛毒を放った。
その衝撃波に警備兵は吹き飛ばされ、壁に激突するしぐったりとその場に倒れた。
「あたりが強かったようですね……」
しれっとそう言って、このまま壊してしまいますかと紡ぐ。
「もう少し待った方が良い」
アールはしゅるりと、周囲の警戒にも伸ばしていた糸を回収し、これは仲間だろうと告げる。
しばらくすると他の猟兵達もこの場へとたどり着いた。
巨大隔壁は見上げるばかりのもの。白亜の巨壁は無機質で、来るものを拒むような、そんな雰囲気を纏っていた。
壁の厚みはいったいどれほどか。これを開閉するような制御盤などは見当たらない。
しかしこれだけの戦力があれば――破壊も可能だろう。
攻撃をかければ大きな音も、衝撃も響くだろう。そうなれば警備兵もかけつけてくる。
それに立ちふさがる壁はひとりの力では、崩せぬものだ。
「儂一人ではちと火力が足りないかの?」
紫髪はけれど、これだけ仲間がいるから心配はないかと狐火を周囲に巡らせた。しかし、最初の一手とするには少し弱いと皆の出方を伺う。
「壊してやりますよー」
気合いを入れて、怪力を込めて。
蛇腹剣に腐食毒をミコは塗布する。それをしならせ、外壁と言う――『鎧』を砕く。
そう意識すれば、ミコの力は一層強まって。
叩き付けた蛇腹剣が、その壁の一部を溶かして亀裂を作る。
その、亀裂の後を追いかけて。
「俺の一刀―――受けてみろ!」
瞳を伏せ、極限まで研ぎ澄ました精神をもって柾は大太刀『星砕丸』を抜き放った。
嘗て降り注ぐ隕石を砕いたという逸話の残る妖刀は、その隔壁に一閃を走らせ、亀裂の後を広げていく。
「待たせたね、Echo。好きなだけ壊していいよ」
その上に攻撃を加えるのはアールの≪彼女≫――Echoだ。
その言葉通り、遊ぶように攻撃をかけ、その隔壁から鈍い音が低く、重く響く。
「もう一手、必要かしら」
それなら、と先端に白刃のついた、黒を中心とした薙刀をふたたびレイブルは揮う。
放たれた衝撃波は隔壁の内側へ響く様に小さな亀裂を無数に生み出した。
そこへシエルが放ったのは鋭い槍。尖竜槍キルシュヴァッサーが突き刺さり、さくらんぼ色のドラゴンが突撃する。
その攻撃は隔壁の一部に穴を開けるように貫いて、その守りを一層柔らかくした。
そこへ戦場の亡霊を誉は呼び出し攻撃の指示を。攻撃力の高さはお墨付き。
重い一撃を戦場の亡霊は隔壁へと向けた。
「うーん、瀕死にならないと力が出ない気がする」
誉は戦場の亡霊の攻撃の様を見つつそんなことを零し、後方の気配に振り向いた。
誉の目に映ったのはこちらに向かってくる警備兵だ。
瀕死になってからの方がきっとオレは役に立つ! と警備兵と対するべく動いた。
やってきたのはまだ、ひとりだ。
誉は戦場の亡霊を向かわせ、抑え込む。
「……単純な破壊、というのも返って慣れないものだ」
こういうのはあいつの方が向いてるのだろうなと零しながらクレムは番えた矢をシエルの作った跡へと連続で、一点に集中して攻撃を加えていく。
強大な破壊力は無いが正確に突き立てられていく攻撃は十分、ダメージを募らせていた。
そして最後の一矢が入った瞬間、巨大隔壁の保っていたバランスが崩れた。そこへ早く崩れるようにと紫髪の狐火が複数、突撃する。
狐火の攻撃をうけ、内側へと押し込まれた巨大隔壁。それはゆっくりと、己を潰し合うように瓦解を始める。
大きな音を立てながら崩れ、そして塵が巻き上がり視界は白む。それが落ち着けば、嫌でも目に入る。
巨大隔壁の先に開かれた道は訪れる者を飲み込もうとするように暗く開かれていた。
しかしその先に猟兵達が足を踏み入れるより早く強制退去が始まる。
けれど、為さねばならぬ仕事を終えた事は確かだった。
大成功
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