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古代からの希望

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #ヘルメスデウス・ブレインコア #スターライダー

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●割と最近、遥か彼方のSSWで……
 「やあやあ、作業は順調かしら」
 磁気嵐や隕石群の飛び交う危険な宙域。宇宙船も近寄らぬそんな場所で、一人の女が問いかけた。視線の先にあったのはかつて銀河帝国の用いた帝国旗艦インぺリウム――と酷似した惑星型巨大戦艦。
 帝国継承軍の誕生を目論むプリンセス・エメラルドの旗艦として、新インペリウムの建造が極秘に進められていたのだ。
「完成の暁には多くの宇宙船が、文明が滅亡していくのでしょうね」
 この計画を担っていた幹部「ヘルメスデウス・ブレインコア」は既に倒れた。しかし、この女……クリターニャ・デヴォシカによって計画は引き継がれ、銀河には新たなる脅威が生まれようとしている。
「この宙域には猟兵たちも容易には近づけない……昔うろついていたスターライダー達ならばわからなかったけれど、奴らの船はとっくに宇宙の藻屑。私が滅亡させたの」
 クリターニャは過去に想いを馳せる。
 そして、新インペリアル完成の暁に生まれるであろう新たなる滅亡に胸を躍らせるのであった。

●SSW 古代からの希望
「諸君! 聞いてくれたまえ! 猟書家の計画を察知した!」
 ゴッドオブザゴッド・ゴッドゴッドゴッド(黄金存在・f16449)が大きく手を振った。金色のオーラが眩しい。
「今回、向かってもらいたいのはスペースシップワールド! 宇宙船も近寄らぬ危険な宙域で、新インペリウムの建造が進められているのを予知した!」
 幹部が倒れても計画は続いていたらしい。これを見逃せばプリンセス・エメラルドの戦力は増強され、来るべき決戦の時に大きな障害となるだろう。
 直ちに向かい、破壊しなければ。
「とはいえ、建設現場には諸君であっても容易には近づけぬ! だが、手立てはある! かつてこの宙域を根城としていたスターライダーの存在を察知した! 彼に協力を仰ぐのだ!」
 そのスターライダーはイレズミーンと呼ばれる船に滞在しているらしい。
 この宇宙船は古代の文明を再現した観光船。
 広大な砂漠に石造りの住居や巨大な城壁が建ち並び、古き神を祀った神殿などもあるという。食事も当時の雰囲気を残しつつも味は一級品。
 おまけに祭の時期と重なっており、見るべき場所も多いだろう。
「人も多く訪れているから、そう簡単には見つかるまい! 時間はかかるかもしれないが……焦りは禁物。折角だ。楽しみつつ、スターライダーを探してくれたまえ!」
 手がかりは「タスキ=アジン・クロール」という名前だけ。
 正確な所在は不明だが、船の様々な場所で猟兵の存在をアピールすれば向こうから接触してくるだろう。凄腕と言うからにはそれくらいのことはやってのける。

「まとめよう! 諸君は宇宙船イレズミーンを楽しみつつスターライダーを探す! そして彼の協力を得て新インペリウム建設現場に乗り込み、計画を叩き潰す! ……待ち受ける敵の詳細は不明だが、諸君ならば必ずや果たすことができよう! 期待しているぞ!」
 そうゴッドは告げ、猟兵達を送り出すのであった。

●空を駆けた記憶
「……」
 薄汚れた身なりの老人がイレズミーンを行く。その眼光は鋭く、強い意志を感じさせた。
 だが見上げた空は遙か遠く。
「……ようやくだ」
 そんな彼のつぶやきを聞いたものは誰もいなかった。


納斗河 蔵人
 お世話になっております。納斗河蔵人です。
 今回はSSW、猟書家戦になります。幹部は倒れているので別のボス敵です。

 一章では砂漠の古代文明船でスターライダーを探します。簡単には見つからないので、船に馴染みながらじっくりと見つけ出しましょう。
 二章はボス戦となり、スターライダーの協力を得て危険宙域で宇宙戦です。詳細は二章開始時に説明します。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

 プレイングボーナス(全章共通)……スターライダーを探す/スターライダーの指示に従い行動する。

 それでは、プレイングをお待ちしています。よろしくお願いします。
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第1章 日常 『古代文明船の一日』

POW   :    普段口にしない食べ物を体験する

SPD   :    普段入れない遺跡を体験する

WIZ   :    普段目にしない儀式を体験する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「砂嵐の中を宇宙バイクで駆け抜けるレースの始まりだ! 誰が勝つか、さあ張った張った! 参加者も募集中だよ!」
「遙か昔から伝承された料理が今蘇った! キミはこの多彩な料理を全て食べ尽くすことができるか!」
「この古代遺跡には侵入者を拒む呪いと罠が満載だ! 最深部に眠る宝を手に入れることができるかな?」
 宇宙船イレズミーンは祭の真っ盛り。様々な催しが猟兵達を誘っていた。
 どれも優勝すればかなり目立てるだろう。そうなればスターライダーの情報も集まってくるに違いない。
 それ以外にも楽しめそうなものは目白押し。祭を楽しみつつ人々との交流を深めれば、知っていることを教えてくれる人も出てくるだろう。
 あるいは人捜しの基本は足だ、と船内を隅々まで探索するのもいいかもしれない。
 スターライダーの協力を求めて、猟兵達は各々宇宙船の各地へと散っていくのだった。
 
アルドユガ・フラルフラル
SPD
ほう古代文明!
書物では見た事がある(世界知識)が…
と歴史マニア魂着火
なに、コースには普段入れぬ遺跡内も含まれるとな!?
とマニア魂大爆発


レース参加
自前のバイクは無いのでレンタルか市販車
要は勝手な振る舞いをせぬワイバーンみたいなものか?(初心者)

不慣れさは騎乗&運転のセンスでカバー
持ち前の勇敢さでグイグイ悪路走破
荒削りだけど原石の輝きは感じさせるかもしれない

どんどん本来の目的を忘れてレースにとのめり込んでゆく
ゴール後は覇を競った者達と健闘を称えあおうぞ
(優勝は無理でも白熱したトップ争いなら食い込めそう?

うむ
本来の目的は忘れておらぬぞ
目当ての御仁の情報収集をレース参加者や関係者に行おう



「ほう! こんな食べ物を実際に食べられるとは……」
 古代文明船イレズミーン。
 祭りで賑わう船の一角でアルドユガ・フラルフラル(とっとこ冒険道・f18741)が目を輝かせた。
 歴史の中で失われ、今は書物の中だけに残されるだけであったはずのこの景色。
 あくまで再現という話ではあったが、こうして目の当たりにして耳で聞いて舌で味わう。
 歴史マニアを自称する彼の魂が燃え上がらないはずがない。
「いやはや、見応えのある遺跡であった。古代人の生き様が、今の時代に通じているのであるな」
 居住可能惑星を失い宇宙に出てもその魂は息づいている。
 その事実を噛みしめながら、彼はイレズミーンを満喫していた。
 と、その時ふと目に入った情報に気になる一文が。
「宇宙バイクレース参加者募集中……コースには――なに、普段入れぬ遺跡内も含まれるとな!?」
 そういわれてはマニア魂大爆発せざるを得ない。
 アルドユガは素早く参加登録を済ませると、大急ぎで出場のためのバイクを調達に走るのであった。

「オイオイオイオイ、なんだァ? そのボロバイクは」
「レース途中で砂嵐に呑まれて行方不明にならないように気をつけなよ! ゲハハハハ!」
 出走の時刻も近いというのに暇人が多いのだろうか? アルドユガは小さくため息をついた。
 とはいえ、初心者丸出しの彼を見ればそういいたくなるのも頷ける。
「そもそもボウズ、ちゃんと走らせられるのか?」
「勝手な振る舞いをせぬワイバーンみたいなものだろう?」
「ワイバー……どこのメーカーだそりゃ」
 薄汚れたボディに古くさいデザイン。中古とはいえよくこんなものが手に入ったものだ。
 本人はよく分かっていないようだが。
「よく分からんが、余を甘く見るでないぞ」
 果たして、実力やいかに。

「おおっ、あの像も書物で見たことがあるぞ!」
 一斉に宇宙バイクが砂漠を駆ける。
 目指すは砂に埋もれた石造りの都市。一団はアーチをくぐり、狭い路地へと滑り込んだ。
「むう、なかなかに難しいの」
 曲がるためにスピードを落とせば、歴戦のスターライダー達は次々とアルドユガを追い抜いていく。
 これでは上位に食い込むのも難しいかもしれない。
「だが、だんだんと慣れてきたぞ……」
 路地を抜け、道が開けた。
 ゴツゴツとした岩が広がる荒涼とした大地に先行する宇宙バイクは足を取られ、あるいは段差を避けてジグサグに走る。
「ここを真っ直ぐに突っ切れば……勝機はある!」
 と、そこでアルドユガは一気に加速する。
 元々センスはあるのだ、後は勇気をもって進めばいい。
 岩場で車体が跳ね上がるが、空中でうまく制御し着地。そのまま再加速。
 一台、二台と追い越しじりじりと順位を上げていく。
 砂嵐が吹き荒れてもしっかりとスロットルを握り宇宙バイクを走らせる。
 さあ、後はゴールに向かって駆け抜けるだけ。
「な、何ッ!」
「あのガキ、追いついて来やがった!」
 先頭集団が近づく。荒くれ達が抜かされまいと逃げる。
 そして、もつれるようにゴールイン。果たして勝者は――

「やるじゃねェか。馬鹿にして悪かったな」
「あの走りを可能にする頑丈な旧式……そういう選択だったのか」
「いやいや、見事であった。余もその走りには熱くなったぞ」
 結局、アルドユガは優勝には至らなかった。
 しかしその走りは大いに認められ、こうしてスターライダー達に囲まれている。
「ところで、どうしてこのレースに出たんだ?」
「うむ、実はかつてさる宙域で活躍した御仁を探しておってな」
 彼らならば、きっと情報を知っているに違いない。
 アルドユガは凄腕スターライダー発見に向けて大きく前進したのであった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

帝国継承軍ね…頭を潰してもまた生え変わってくるとはな
フン、全く厄介な話だ

スターライダーとコンタクトを取るために私が選ぶのは遺跡の探索だ
侵入者を拒む呪いと罠…フッ、いい謳い文句だ

再現したものとはいえ、この古代遺跡は荘厳だな
とは言え、流石にアトラクションの域は出ないが

UCを発動
合体させたドローン数機と共に遺跡に突入
古代人の呪いの声や細い足場が点在する池に行く手を阻む巨大な壁…お化け屋敷とアスレチックが合体した感じか
問題なく突破できるな
猟兵の身体能力と光学迷彩で透明化したドローンを使えば前人未到の記録を打ち立てるだろう

なんだかんだで結構楽しめたな
さて、これでお眼鏡に叶うと良いんだが…



「帝国継承軍ね……頭を潰してもまた生え変わってくるとはな」
 キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は宇宙の向こうで渦巻く磁気嵐を眺めてつぶやいた。
 その中心では新インペリウムの建造が進められているという。
 この計画はある猟書家幹部が行っていたのだが、当人が倒れても別の存在がそれを引き継いでいる。
「フン、全く厄介な話だ」
 骸の月を押し返し、首魁を討つまでその野望は潰えない。終わらせる為の一歩として、キリカは古代文明船イレズミーンへと足を踏み入れた。
「さて、手っ取り早くコンタクトをとるには……」
 グリモア猟兵はいろいろ言っていたが、要は目立てということだ。
 都合のいいことに船では様々なイベントが目白押し。そんな中からキリカが選んだのは、遺跡探索だった。
「侵入者を拒む呪いと罠……フッ」
 いい謳い文句だ。攻略タイムのランキングも公開されており、ここで圧倒的タイムを出せば注目を集めることは間違いない。

 薄暗い遺跡に松明の炎が揺らめく。
「さあ、挑戦者キリカ! 最初の難関をどう突破するのか!」
 所々に設置されたカメラの映像は遺跡の外の巨大モニターに映し出され、彼女を見守る。
 成功か、失敗か。観客はそのどちらかの姿を見せてくれと期待を募らせていた。
「荘厳な作り、迫り来る罠……本当に呪いを感じさせるような雰囲気」
 つい笑みがこぼれる。流石にアトラクションの域を出てはいないが、危険すぎては挑戦者も出なくなるから仕方ないだろう。
 それでも、辺りに響く呪いの声は不安を掻き立てるし、道を開くための謎解きも本格的だ。
 猟兵であっても歯応えを感じさせる。
「さあ、落ちれば命はないぞ! 底なし沼の上を飛んで渡れ!」
 足場はかなり小さく、バランス感覚が要求される。数多の挑戦者がここで脱落していった、と実況が観客に告げた。
 だが、キリカは躊躇いなく一歩を踏みだし、猛烈な速度で反対側へと進んでいく。
「速い速い! これは記録が期待できそうだ!」
「フッ……当然だ!」
 そびえ立つ壁も乗り越え、大きく揺れるロープを掴んで大穴を飛び越える。
 左右から迫る壁が道を塞ごうとしても一瞬で駆け抜ける。
 所々に隠された鍵を見つけだし扉が開かれると同時、キリカを出迎えたのは黄金の輝きであった。
「おめでとう! クリアタイムは……前人未踏! なんと、記録を大幅に塗り替える――」
 歓声が遺跡の外からも聞こえる。
 紙吹雪が飛び交う中で息をつく。すると、ふと頭に何かがぶつかった。
「……ム、用意しておいたのに使わなかったな」
 透明化したドローン……記録のために用意しておいたのだが、探索するうちにその存在をすっかり忘れてしまっていた。
「まあ、なんだかんだで結構楽しめた」
 自分の知恵と身体能力だけで攻略したいと感じさせるほどには、いい出来だった。
「さて、これでお眼鏡に叶うと良いんだが…… 
 これだけ目立てばきっとスターライダーもこちらの存在に気付くだろう。
 インタビューでもアピールしておくかな、などと考えながらキリカは観客の待つ扉の向こうへと歩を進めたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイグレー・ブルー
このような宇宙船もあるとは、我が故郷ながらまだまだ知らないことも沢山あるんですね。宇宙は広いであります!
きょろきょろとイレズミーンを観光いたします。あっあの屋台……いえいえ集中しなくては

宇宙バイクでのレースですか、こういった催しもあるのですね
大きな大会で結果を残し表彰台にあがれば、そうでなくても参加するだけで様々な方々と触れあう機会が増え
あわよくばスターライダー殿のお話を小耳に挟めるやもしれません。
それにわたくし、一度こういったレースに出てみたかったであります……!楽しみだなぁ

風と一つになれるよういい感じに流線型に姿を変えてみて……バイクと一つになったようです!砂嵐をオーラ防御で弾き進みます!



「ふむむ、このような宇宙船もあるとは……」
 古代文明船イレズミーン。祭りで賑わうこの船をアイグレー・ブルー(星の煌めきを身に宿し・f20814)はキョロキョロと見渡す。
 古めかしい遺跡、不思議な踊り。そもそも宇宙船の中に砂漠なんて合理性を考えれば出てこない発想である。
「SSW……我が故郷ながらまだまだ知らないことも沢山あるんですね」
 しかし、行き交う人たちは皆楽しそうだ。
 遙か昔に失われた文明をこの宇宙時代に蘇らせる。そんな風に考えた人がいたのだろう。
「宇宙は広いであります!」
 うきうきと通りを進めば、鼻をくすぐる香ばしい香り。屋台で売られているのも見たことないものだらけ。
 ついついそちらへと引き寄せられ、視線も向いてしまう。
「――はっ! いえいえ集中しなくては」
 今はスターライダーを見つけ出す任務中。後ろ髪を引かれながらもアイグレーは探索へと向かった。

 さて、しばらく後。彼女は砂漠を駆け抜ける宇宙バイクのレース場にいた。
 しかも観客としてではなく、選手として!
 大きな大会で結果を残し表彰台にあがれば目立てるし、ほかの参加者から何らかの情報を得られるかもしれない。
 そう考えてアイグレーはここにいるのだ。
「ふふふ、わたくし、一度こういうレースに出てみたかったであります……! 楽しみだなぁ」
 だから、断じて遊んでいるわけではない。
 やがてスタートのシグナルが変わり、レースが始まった。
 宇宙バイクはぐんぐんと加速し、参加者達は競い合いながら前へ前へと進んでいく。
「おおっ、これは気持ちいいものでありますな!」
 風を切る感覚に思わず表情もほころぶ。もっと速く走りたい。そんな気持ちが沸き上がった。
 アイグレーの位置は中団と言ったところ。ここから抜けだし先頭集団に追いつくにはどうすればいいだろう?
 答えは、自分の中にあった。
「風と一つに……」
 ぐにゃり、とアイグレーの肌が蠢いた。
 ブラックタールの体は意思に応じてその姿を変える。流線形となったボディは風に拒まれることはない。
 アクセルをひねれば、宇宙バイクは思うがままに加速する。
「見えてきたであります、先頭集団!」
 もう少しだ。もう少しで追いつける。
 目の前には砂嵐が迫っている。勝負を仕掛けるならここだ!
「ここを抜ければ、わたくしの勝ちであります!」
 ぼんやりと、彼女の体から光が溢れる。
 激しく打ち付け視界を塞ぐ砂嵐の中で、そのちいさな輝きが砕けぬ意思を示したのだ。
 一斉に選手達は砂嵐を抜ける。一着でゴールを駆け抜けたのは、アイグレーであった。
 
「お見事! あの砂嵐をあんな速度で駆け抜けるとはな」
「してやられたよ」
「やったー! やったであります!」
 選手達が称讃の言葉を寄せ、アイグレーは表彰台の上で笑顔満面だ。
 華々しい表彰式の影で、そんな様子を見つめる一人の老人。
「時は来た……今こそ希望を蘇らせる」
 踵を返して立ち去る彼に気付いたものは誰も居なかった。今はまだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『クリスターニャ・デヴォシカ』

POW   :    滅亡再演~滅び行くモノの美しさを教えてあげる
【滅亡コレクションから文明を崩壊させた原因】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
SPD   :    死神の月~いいわ、あなたと私の仲だもの
自身の【右腕 】を【死神を宿した三日月の鉤爪】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
WIZ   :    水晶乙女~知るか馬鹿、そんな事より滅亡よ
自身の【装備と全身を透明化させてもなお心臓 】が輝く間、【体内で敵の攻撃を反射・屈折させて放つ反撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナーシャ・シャワーズです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 スターライダー、タスキ=アジン・クロールはこの船のどこにいるのだろう?
 それぞれの存在をアピールしつつイレズミーンを探索していた猟兵達の下に突如メッセージが届く。
 差出人は不明。内容は「暗黒宙域にて待つ」の一言だけ。
 どうやら猟兵達は彼のお眼鏡に適ったらしい。

「来たな……」
 予想通り、宇宙へと出た猟兵達を待っていたのは一人の老人――タスキ=アジン・クロールであった。
 自己紹介もそこそこに、彼は語る。
「クリスターニャ・デヴォシカ……文明の滅亡を見るのが大好きな変態女だ。わしの船も奴のせいで沈んだ」
 彼女がこの宙域で動きを見せていたことに彼は気付いていた。
 だが、猟兵ではないタスキにはそれを食い止めることは不可能。
「お前たちを待っていた。奴を止めてくれ――新たな悲劇が生まれる前に」
 一矢報いる事は悲願であった。
 
 敵について知る限りのことを教えよう、と彼は続ける。 
 クリスターニャ・デヴォシカは右腕の鉤爪を自在に操る変幻自在な戦いを得意とするという。
「距離を取ればどこまでも腕を伸ばし、近づけば半端じゃない威力の攻撃が飛んでくる。気をつけて戦ってくれ」
 それだけではなく、クリスタリアンの透明化能力も持っている。
 しかも透明化している間はこちらの攻撃を反射することができるというのだ。
「だが、奴の感情が高ぶれば心臓だけは透明にならずに光り輝く……狙うならそこかも知れん」
 そして、数多の滅亡の記録を再現する滅亡コレクション。
 滅亡の原因と言えば数多あるが、戦争、病気、天災……その辺りだろうか。
「わしの船は宇宙戦艦の砲撃で沈んだ……同じ手を使ってくるかはわからんがな」
 知っているのはそれくらいだ、と告げた彼は、猟兵達の顔を見渡してにやりと笑った。
「お前たちならばやってくれるとわしは信じる。期待を裏切るような真似はしないでくれよ?」

「……では、行こうか。エンシェント・ホープ……もう一度力を貸してくれ。希望を送り届けるために!」
 目指すは新インペリウム建造現場。
 タスキの腕は見事で、激しい磁気嵐も小惑星を盾にやり過ごし、荒れ狂う隕石群も的確なルート選択で駆け抜けていく。
 彼なしでは突破できない難所をいくつも潜り抜け、やがて視界に映るのは、建造中の惑星型巨大戦艦。
「ようこそ、猟兵達! まさか滅亡の残滓を見つけだしてここまでやってくるとは、思いもしなかったわ」
「……出やがったな」
 そして待ち受けるクリスターニャ・デヴォシカ。
 戦いの幕は切って落とされる。
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

フン…滅亡を見るのが大好きとは、良い趣味をしているな
では、存分に楽しむがいい…己が破滅していく様をな

まずは距離を取って装備銃器で攻撃
迫りくる鉤爪の動きを見切り銃弾で弾きつつ、本体に乱れ撃ちを行う
距離を取れば射程は五倍だが、それ以外のいずれかは半分となる
どれが半減しても効果的に攻撃を撃ち込めるだろう

フッ…これはまた刺激的な攻撃だな
イレズミーンのアトラクションに就職したらどうだ?

UCを発動
鉤爪が身体を貫きそうになったらその部分を毒霧へと変化させ攻撃を無効化させる
敵の虚を突いたら装備銃器による一斉発射を行って更にダメージを与えていく

随分と熱烈な歓迎だが、生憎と握手はお断りしてるのでね



「新インペリウム完成の暁にはこの宇宙に新たなる滅亡が生まれる……それはとても素敵だわ」
 猟兵達を前に、クリスターニャ・デヴォシカは笑みを浮かべた。
 どうやらスターライダー・タスキから聞いたとおり、この女がこの計画に乗った理由はただ一つ。
「フン……滅亡を見るのが大好きとは、良い趣味をしているな」
 そんな姿にキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は鼻を鳴らす。
 猟書家達の存在がこの世界に脅威を呼び込む事はわかっていたが、こうもわかりやすく非道を望むとは。
「ご理解いただけて光栄だわ。とっても楽しい光景だけれど……残念、それを見られるのは私だけなの」
 キリカの言葉にクリターニャは含み笑い。生きて帰すつもりはない、ということだろう。
「あなたの滅びも、素敵でしょうね」
 しかし関係ない。この女をここで仕留めない限り脅威は去らないのだ。
 銃を手にキリカは告げた。
「では、存分に楽しむがいい……己が破滅していく様をな」

 漂う隕石の隙間を抜けて、宙を駆ける。
 対するクリスターニャもその右腕を鉤爪へと変形させ、キリカの影を追った。
「そうして隠れてばかりでは楽しめないわ!」
 死神の月と呼ばれる鉤爪は確かに強力。盾とした隕石を砕き、キリカの移動先を予測したかのように刃が迫る。
 こちらの攻撃も右腕で弾かれ、通らない。しかし、それも彼女の狙い通りだ。
(やはりな、距離を取れば射程に力を振らざるを得ない)
 どうやらその強さの正体は状況に応じた使い分けにあるらしい。
 長く伸びた鉤爪を操るために、クリスターニャ自身は位置を変えずにいる。機動性を犠牲に射程を得たというわけだ。
「さあ、どうするのかしら? 死神の月は刻一刻とあなたへと迫っているのよ」
 鋭い刃が耳元をかすめる。
「フッ……これはまた刺激的な攻撃だな」
 実際、この攻撃をかわし続けるのは困難だ。
「イレズミーンのアトラクションに就職したらどうだ?」
「減らず口を!」
 鉤爪の攻撃を切り抜け、打撃を与えるための手段、それは。

「さようなら。滅びの時よ!」
 クリスターニャの口が大きくつり上がると同時、三日月状の鉤爪がキリカの胴を貫いた。
 上半身と下半身は分かたれ、命は終わりを告げる。そのはずだ。
 だが、キリカはまるでその事を意に介する事なく銃口を彼女へ向ける。
 手応えがないことに気付くが、もう遅い。
 行動を起こすよりも早く”シルコン・シジョン”から放たれた聖なる箴言が弾丸となりクリスターニャを貫いた。
「グッ……その体を変質させたのね」
「そうだ、天国が視えるほどに、甘い香りだろう?」
 引き戻した鉤爪に纏わり付いた毒の霧。
 攻撃の瞬間こそが最大の隙――機動力を犠牲にしたクリスターニャに避ける術はない。
 キリカはその体を『プワゾン』と化してその虚を突いたのだ。
「いいわ、楽しませてくれるようね。あなたが滅び行く様を見るのが楽しみだわ!」
 水晶の体に亀裂を走らせながらも、鉤爪は幾度となくキリカへと繰り出される。
「フッ……随分と熱烈な歓迎だが、生憎と握手はお断りしてるのでね」
 しかし、もうその手は通じない。
 他者の滅亡を望む女は、既に自らの滅びへと向けて歩み出しているのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​


「さて、それじゃあ少し趣向を変えましょうか」 
 タスキ=アジン・クロールの援護によって、磁気嵐と隕石群はもはや猟兵達にとっての障害ではなくなっている。
 してやられたクリスターニャ・デヴォシカは自身にとって有利な領域――即ち、新インペリウムへと誘った。
 未だ建造中といえどその機能の一部は稼働している。クリスターニャが命じればその圧倒的火力は猟兵達へと向けられることだろう。
 しかし追わないという選択肢はない。これを放置すれば脅威にさらされるのは力なき人々だからだ。
「わしが援護する。奴を追うんだ!」
 タスキの声に後押しされ、猟兵達は剥き出しの巨大戦艦へと突入する。
仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!

お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ

口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ

よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね

アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!



「どう、新インペリウムは。素晴らしいでしょう?」
 クリスターニャ・デヴォシカは両の手を広げ猟兵に問いかける。
「完成の暁にはきっと多くの滅亡がこの宇宙に生まれるわ」
「キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから」
 そんな彼女に答えたのは仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)。彼に宿る第三の人格、ネイルは穏やかな表情で告げた。
「綺麗なモノも可愛いモノも、滅び行く姿に美しさがある。私はそう思うのだけれどね」
「悲劇は物語だけで十分。哀しみの涙は見たくないわ」
 ネイルはオブリビオンの「趣味」に美しさを感じない。
 決して相容れぬ美的感覚。この美しき世界を守る為、彼女は戦う。

 耳元を通り抜けるカードの勢いに臆すること無くクリスターニャはにやりと笑う。
 ネイルは距離を取り作りかけの宇宙戦艦をうまく使って攻撃を続けるが、敵も然る者。そう簡単に当たってはくれない。
「そうしてコソコソ隠れているのは美しくないんじゃないかしら」
「ええ、そうね。だから……こうさせてもらうわ!」
 ネイルが指を鳴らすと同時、カード――ルーンカルテに籠められた魔力が解き放たれ光が溢れた。
 カードは外れたのではなく、わざと外したのだ……美しく戦うための布石として!
「ちっ」
「バトルだって芸術よ」
 生まれた一瞬の隙を逃さず、ネイルはダガーを投擲する。
 真っ直ぐにその刃はクリスターニャを貫いた――はずだった。
 手応えはある。しかし、一瞬のうちに彼女の姿は消え失せ、小さな光と声だけが辺りに残った。
「なかなか面白い手だったわ」
「……っ!」
 辺りにいくつもの光が奔った。クリスターニャが透明化した体内でダメージを反射・屈折させて得たエネルギーを放出したのだ。
「やるじゃない。透明な体の中で輝く心臓……美しいわ」
「お褒めに預かり光栄ね……でも、私の胸を打つのは滅亡だけよ!」
 素早い身のこなしで反撃をかわしながら、ネイルはこの能力を打ち破るための手段に考えを巡らせ始めていた。
 
「さあ、どうするのかしら? あなたが攻撃してきても、私は何倍にもして返させてもらうわよ」
「ええ、わかっているわ……答えは、これよ!」
 そうして投擲されたのは黒く塗られた『影の城への招待状(アイン・ラードゥング・シャッテン・シュロス)』。
 クリスターニャはつまらなさそうな表情でそれを見つめた。
「それは通じないとわかったと思ったのだけれどね」
 続けて、ダガーを投擲。こんなもの、クリスタリアンの体が透明化させ、攻撃する者を滅ぼすために待ち構えるだけだ。
 しかし、彼女が招待状をつかみ取ったとき。異変が起こった。
「……!? 動けない!?」
「ご来場、歓迎するわ!」
 そう、招待状は命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。
 透明化してもなお輝き続ける心臓へ向けて、迫り来るダガー。
 影の城へと囚われたクリスターニャは、その切っ先から目をそらすことさえできなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルドユガ・フラルフラル
反応炉へ突撃
愛馬の調子もばっちりであるぞ(第1章の中古バイクを改修)

残滓などとおためごかしておるが
つまりは貴様が滅亡させられなかっただけであろうが
タスキ=アジン・クロールから猟兵へと伝えられた叡智こそが
残滓も残さず貴様を滅亡させるのだ!

と挑発し再演に砲撃を選ばせる
余の本心からの言葉であるのだがな

UCで高速機動
砲撃は見切って回避
躱せぬ分はオーラ防御&人機一体の宇宙バイク(防具改造)で耐え切る
エネルギー充填し熱核属性の全力広域魔法
クリスターニャごと船中枢を吹き飛ばしてくれる!

先人より学び新たな地平を切り開いてこその歴史と
遺跡やレースが余に教えてくれた
滅亡をただ玩ぶばかりの貴様には分かるまい


アイグレー・ブルー
タスキ殿、ここまで連れてきてくださってありがとうございます。わたくし必ずクリスターニャ殿を退けるであります
わたくしは滅びたりなどしません……!例え目の前に立ちはだかるのが己の身よりとてつもなく大きなものであろうともっ!
それにわたくしそれなりに柔軟な女ですので、割とすぐ集まったりして復活しますよ ふふっ

クリスターニャ殿と真正面より対峙し
UC【ネビュラス・クレイドル】わたくしの髪を星空浮かぶスフィアのような盾にして相手の攻撃を受け止めるであります!力技には力技で参ります
勿論タスキ殿もお護りいたしますよ!それが騎士の役目でありますから
受け止めた後盾を展開。シールドバッシュで敵に体当たりですっ



「流石だわ、猟兵。ここまで私を追い詰めるなんてね」
 クリスターニャ・デヴォシカの水晶の体には亀裂が走り、右腕の鉤爪も当初の鋭さを失いつつあった。
 猟兵達の攻撃によって新インペリウム建造計画は着実に崩壊へと進んでいる。
「観念せい、貴様にもはや勝ち目はない」
 レースを走り抜いた相棒と共に、アルドユガ・フラルフラル(とっとこ冒険道・f18741)はクリスターニャへと突きつける。
 だが、彼女は悪びれる様子もなく笑って見せた。
「そうね、その通りだわ。でもね……あなた達の滅亡へのカウントダウンは、もう始まっているのよ」
「わたくしは滅びたりなどしません……!」
 負け惜しみだろうか? アイグレー・ブルー(星の煌めきを身に宿し・f20814)はその態度に嫌な感覚を覚える。
「いいえ、滅びるわ。オブリビオンとは違って、ね」
「いかん、奴の狙いは!」
 タスキが叫んだ。そう、クリスターニャは。
「新インペリウムと共に、宇宙の藻屑にしてあげる」
 この惑星型巨大戦艦と共に猟兵達を消し去ろうとしているのだ!
「奴を追うぞ! わしが先導する!」
「愛馬の調子もばっちりであるぞ。全速力でいくのだ!」
「承知しました! わたくし必ずクリスターニャ殿を退けるであります!」
 アルドユガとアイグレーがタスキに続く。
 刹那的な発想だ。既に猟兵達は新インペリウムの奥まで入り込んでいる。
 この船に蓄えられたエネルギーが解き放たれれば、脱出よりも早く彼らを呑み込んでしまうだろう。
 阻止するには、クリスターニャを討つしかない。
 
 複雑に入り組んだ機械の隙間を駆ける猟兵達に向けて、迎撃のレーザーが飛び交う。
 クリスターニャの姿はまだ遠い。
「ちっ、これを抜けねばならんか……」
 タスキがチラリとアルドユガを見やる。
 素質はある。だが、まだ不慣れな彼にこのルートを駆け抜けることができるだろうか?
 そんな事を考え一瞬動きを止めたタスキの後部座席から、アイグレーの声が響いた。 
「タスキ殿、アルドユガ殿。攻撃はわたくしがなんとかするであります。スピードを緩めてはなりませんよ」
 星雲の浮かぶ髪を漂わせ、確信に満ちた眼差しで前を見据える。
 彼女は二人のことを信じているのだ。ならば、その期待に応えぬわけにはいかない。
「飛ばすぞ、付いてこられるか?」
「無論! 余のテクニックをしかと目に焼き付けるがよい!」
 迎え撃たんとする光が溢れる危険な艦内を二台の宇宙バイクが行く。
 精密な動作でレーザーの隙間を潜り抜け、阻むものがあればアイグレーの髪が弾く。
「皆さまをお護りする、わたくしだけの-プラネタリア-」
 無数の星が彼女の髪を煌めく。『星雲のゆりかご(ネビュラス・クレイドル)』はその名の通り、激しい攻撃の中で仲間を守り続ける。
 そして、駆け抜けた先で。
「滅亡の残滓がよくぞここまで! いいわ、その眼差し……」
 クリスターニャ・デヴォシカは動力炉を背に滅亡コレクションを高く掲げていたのだった。

「残滓などとおためごかしておるが、つまりは貴様が滅亡させられなかっただけであろうが」
 アルドユガがフン、と鼻を鳴らす。
 かつて滅亡させたはずの宇宙船、その生き残りであるタスキが彼女を追い詰めている。
「タスキ=アジン・クロールから猟兵へと伝えられた叡智こそが! 残滓も残さず貴様を滅亡させるのだ!」
 彼がいなければ猟兵達は磁気嵐と隕石群が飛び交うこの宙域へと至ることはできなかった。
 彼の存在こそが、クリスターニャの「失敗」の証しだ。
「言うわね。なら、これはどうかしら」
「……っ! あれは!」
 しかし、彼女が滅亡コレクションから呼び出したもの。それはタスキにとって忘れようもない姿。
「わしの船を沈めた……!」
「滅亡再演……その男の故郷と同じやり方で、叡智とやらごと滅ぼして見せましょう」
 新インペリウムと比べれば小さな戦艦。
 しかしかつてその主砲が放たれたときに、タスキの故郷は消え去った。
(……かかった!)
 だが、それはアルドユガの狙い通り。
 賭けではあるが、あの戦艦がタスキから伝えられた”滅亡の原因“そのものであるのならば――
「やりようはあるぞ!」
「タスキ殿、わたくし必ずクリスターニャ殿を退けるであります」
 だから共に戦ってください。アイグレーの声と共に、ふたつの宇宙バイクが加速する。

「ふふ、あの時もこうしてスターライダー達はちょろちょろと飛び回っていたわね!」
 クリスターニャは戦艦の中から戦況を見つめる。
 滅亡再演は自動的だ。彼女はただ、かつて見た光景をそこに再現するだけ。
 無数に放たれるミサイル群をアルドユガとタスキは潜り抜け、戦艦へと迫る。
「でも、それも無駄な抵抗。主砲によって彼らは全滅。宇宙の塵と消えたのよ」
 新インペリウムの動力炉へと主砲の照準が定められた。
 これを放てば新インペリウムは、この地に集った猟兵たちを巻き込んで崩壊する。
「なかなかに楽しかったわ。新たな滅亡は、別の私に産み出してもらいましょう」
 エネルギーが収束し、光が溢れた。
 これで、全てが終わる――

「タスキ殿、ここまで連れてきてくださってありがとうございます」
「ああ、わしらの命、お前に預けたぞ!」
 だが、その射線上にはタスキとアイグレーが立ち塞がった。
 星雲の浮かぶ髪がスフィア状になり、一つの銀河を作り出す。
「たとえ目の前に立ちはだかるのが己の身よりとてつもなく大きなものであろうともっ! 受け止めてみせるでありますっ!」
「馬鹿が! 数多の船を滅亡させたこの主砲を止められはしないわ!」
 放たれた光と星雲のゆりかごが衝突する。弾けるエネルギーが音のしないはずの宇宙空間で激しく耳を打つ。
 やがて光は消え失せ、そこにあったのは。
「信じられんな……」
「これも、騎士の役目でありますっ!」
「……ッ! 動きなさい! まだ滅亡は訪れていないわよ!」
 守り抜いたアイグレーの姿と、動くはずもない戦艦に拳を叩きつけるクリスターニャの姿。
 そして。
「先人より学び新たな地平を切り開いてこその歴史と、遺跡やレースが余に教えてくれた」
 滅亡の再現はあくまで過去でしかない、オブリビオンそのもの。
 イレズミーンも過去の再現をしていたが、それは未来に進むためのものだった。
 アルドユガは告げる。この勝利は、その違いだったのだ、と。
「滅亡をただ玩ぶばかりの貴様には分かるまい」
 黄金のオーラが彼を、宇宙バイクを包む。その意思は『スーパー・ジャスティス』!
「余が切り開こう! 未来へと続く王道を!」
「ふふ、私自身の滅亡はまだ――」
 一条の光がクリスターニャの乗る戦艦を貫き、崩壊が始まった。

「一矢報いてやった。わしはそれでいい」
 残骸となった新インペリウムを遠くから見つめ、タスキ=アジン・クロールは満足げに頷いた。
 クリスターニャ・デヴォシカの野望は潰えた。少なくとも、この宙域から新たなる滅亡という脅威は取り除かれたと言っていいだろう。
「フッ、滅亡を望む女には骸の海がお似合いだ」
「彼女は……自らの滅亡も美しく感じたのかしら?」
 合流したキリカ、ネイルも勝利と仲間の無事を讃える。
「それよりも……大丈夫なのか、お前は」
 流石に戦艦の主砲を受け止めたのは無茶であったか。アイグレーの姿はボロボロだ。
 しかしタスキの問いかけに、アイグレーは笑って答える。
「わたくしそれなりに柔軟な女ですので、割とすぐ集まったりして復活しますよ」
「フッ、そうか! ならばいい!」
「ふふっ」
 ブラックタールとは不思議な生き物だ。この宇宙にはまだまだ未知が多い。
 ともあれ、全員の力があってこその勝利だった。
「うむ、これにて一件落着であるぞ!」
 アルドユガが力強く宣言する。
 この宇宙に再び災いを呼び寄せるプリンセス・エメラルドの帝国継承軍。
 その野望は、今日のように必ずや打ち砕かれるに違いない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年06月20日


挿絵イラスト