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銀河帝国攻略戦⑩～コアへの道を切り開け

作者：芳乃桜花

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　帝国軍と戦うためのワープドライブを装着された船は、その数を着実に増やしつつあった。
　猟兵達によって救われ、解放軍と合流できた宇宙船が、次々と戦列に加わり、帝国軍の艦隊と戦いを繰り広げている。
　しかし、銀河皇帝の下に辿り着くには、未だ大きな壁がある。
　帝国大要塞『エンペラーズマインド』、ワープドライブを無効化する巨大な要塞が、解放軍の前に立ち塞がる。

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「みんなのおかげで、解放軍の戦力は銀河帝国の艦隊に押し負けない程度にまで大きくなった」
　エスペラ・アルベールは嬉しそうに、それでいて気を緩めはしないまま、猟兵達へと告げる。
　力が増したと言えども、それは今すぐ銀河帝国を打ち破れる程ではない。
　銀河皇帝の下に辿り着くまでには、解放軍の前に大きく立ち塞がる障害が存在する。
「帝国大要塞『エンペラーズマインド』、この要塞が存在する以上、こちらのワープドライブは妨害されてしまう」
　かといって、銀河帝国の誇る要塞を外からの攻撃で破壊するというのも無謀な話だ。
「こういう時は、やっぱり内部からっ！　みんなにはエンペラーズマインドのコアマシンルームまでの道を切り開いてほしいんだっ」
　解放軍との戦いで疎かとなった周辺中域の警戒網の隙を付き、要塞の開口部から内部へ突入、要塞の急所であるコアマシンまでの突入ルートの確保、それが今回の任務となる。
　エンペラーズマインド内部には数百以上の『巨大隔壁』があり、『エンペラーズマインド・コア』を厳重に守護している。
　現状、どれがコアに通じる道であるかは判明していない。
　猟兵達には、秘密裏に『エンペラーズマインド』に突入した後、要塞内を巡回する警備兵の目を盗み、出来るだけ重要そうな『巨大隔壁』の破壊を行ってもらいたい。
　警備兵に発見されずに要塞の奥まで移動できれば、より重要な『巨大隔壁』を破壊する事が出来る可能性もあるだろう。
「敵の懐に飛び込むような物だし、危険もあると思う……だけど、コアマシンまでの道さえ確保できれば、要塞攻略は目前っ、みんな、頼んだよっ！」

第1章 冒険 『⑩エンペラーズマインド突入戦』

POW   :    密かに潜入し、POWのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する SPD   :    密かに潜入し、SPDのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する WIZ   :    密かに潜入し、WIZのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

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　エンペラーズマインドの内部、二人一組で巡回をしていた兵士の内一人が、ふと立ち止まって辺りを見回した。
『どうした？』
『いや、今何か音が聞こえた気が……』
『……なにもないぞ、気の所為じゃないか』
『おかしいな……』
　兵士達が首を捻りつつ歩き去った後、近くの壁面から小さく息を吐く音がする。
（今のは少し危なかったのう）
　音の主は蜂蜜院・紫髪（怠惰な蜂蜜屋・f00356）、その姿は彼女のユーベルコード、陽炎の術によって透明になっており、先程の兵士のように周囲から確認することはできない。
　そのため、彼女の第六感が冴え渡ったこともあって要塞の奥まで侵入することは容易かったものの、この術は代償として解除しない限り彼女の体力を奪い続けていく。
　知らず内に荒くなっていた息をなんとか整えようと、壁に身を預けた際に僅かに音を立ててしまったのが先程までのことだ。
　危機をやり過ごすことができて胸を撫で下ろす紫髪が天井へ目を向けると、小さな蜘蛛型のドローンがこちらに向けて合図を出している。
　ドローンが指し示す方向へ歩を進めれば、そこには周囲に溶け込む迷彩が施されたケープコートを纏うシエル・マリアージュ（天に見初められし乙女・f01707）の姿。
　彼女の側に寄り、陽炎の術を解除して深く息を吐けば、身体に溜め込まれた疲労感が多少は抜ける。
「大丈夫ですか？」
「うむ、まだまだ平気じゃ。シエル殿と協力できたのは幸いじゃったのう」
「私も助かってますから」
　小さく笑みを浮かべる紫髪に対し、シエルは淡々と言葉を紡ぐ。
　互いにその姿を隠すことに長けている身、分岐点を紫髪が感で行くべき道を即決し、シエルが蜘蛛型ドローンを使い周囲の敵兵の位置を探って、陽炎の術を解除して休める場所を探る。
　そんな分業もあって、二人は要塞のかなり奥地まで潜り込むことができた。
「隔壁はあの角を曲がったところじゃな？」
　紫髪の問いに、シエルは小さく頷く。
　十分に息を整え、再び姿を透明としてから角を覗き込むと、巨大な隔壁と、その前に見張りの兵士が一人立っているのが見えた。
　わざわざ見張りを付けている辺り、コアかどうかはわからないにしても重要な場所であることは確実だろう。
　二人は顔を見合わせ頷き合い、まずはシエルが動く。
「罪人に相応しきは、慈悲の刃」
『がっ……！？』
　兵士の影から飛び出た刃が、その命を一瞬にして刈り取った。
　その身体が崩れ落ちるのと同時に、二人は隔壁目掛けて駆け出し、ユーベルコードを発動させる。
「征くぞ！」
「―――！」
　紫髪の生み出した２１の狐火が一つに集まり、隔壁を焼き尽くさんと燃え上がる。
　直後、シエルが突き出した尖竜槍キルシュヴァッサーが、狐火の直撃した箇所と寸分違わぬ箇所を刺し貫く。
　ぎしりと軋む音を立てて隔壁に亀裂が入る、その様子を視界に収めながら、シエルは手にした槍に優しく手を添え。
「キルシュ」
　シエルの呼びかけに応え召喚されたドラゴンの一撃を持って、隔壁は完全に破壊される。
　このまま奥まで踏み込みたいが、今の轟音ですぐにでも敵は集まってくるだろう。
　二人は自らの成果を確認し、グリモアベースへと撤退した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

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　要塞の通路、下方の人が当たる可能性がある部分は綺麗に均されているが、天井近くは手間を惜しんだのだろう、パイプや建材の出っ張りがそのまま放置されている。
　そんな天井付近の出っ張りを掴み、自在に進む少女が一人。
（要塞に美観なんて関係ないですもんね、助かってますけど）
　リコリス・ミトライユ（曙光に舞う薔薇・f02296）はその姿が兵士の視界に入らないようにと、できる限り身を天井へ近づけ、パイプを伝って先へ進む。
　無論、本来の通路でないのだからその手足が次の足場まで届かない所が度々現れるが、それはリコリスにとって道が途切れたことにはならない。
「このぐらいの距離ならっ」
　身体を保持していた手足を放し、その身を宙へと投げ出す。
　要塞の擬似重力によって彼女は床へと落下―――はしなかった。
　スカイステッパー、スカイダンサーの持つその力は、空中を蹴りつけ一時的に空を駆けることを可能とする。
　危なげなく先のパイプへと繋がった彼女は、そこで一息吐いて。
（あ、これって前に聞いたパルクール、ってやつかも。一度やってみたかったんですよね）
　何か若干違う気もするが、本人が納得しているので良しとしよう。
　ともあれ、順調にパイプを伝っていくが、巡回の兵士が増えてくればどうしても限界がある。
　視界に入らず先へ進むことが困難だと判断し、やむを得ず近くの隔壁へと向かい、その拳を強く握る。革製のグローブに取り付けられたライトメタルが輝いた。
「――打ち抜きますっ！」
　捻りの入った拳に乗せられた威力は十分な物、しかし一撃では隔壁を破壊するには至らない。
「何度だって、叩き込んで！」
　一発でダメならば二発、三発、拳の跡を残しつつ、リコリスは拳を叩きつけることを止めはしない。
　その音に周囲の敵がやってくる音を聞きながら、彼女はただ拳を振るい。
「やった！　あ、て、撤退お願いします！」
　遂にその壁を破壊することに成功し、同時に兵士が間近まで迫っていることに気づき、慌ててグリモアベースへと撤退する。

成功 🔵​🔵​🔴​

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　ずるずるぽにょぽにょ。
（ふむふむ、中々に難しいミッションですね）
　暗く狭いその『道』を少女は進む。
（ですが、文字通りにこの『壁』を破らねば先が見えないのですから）
　この場は誰の目にも触れられない、決して少女が見つかることはない。
　例え誰かがこの『道』を気にしたとしても、少女の黒い身体はこの場の闇に同化するだろう。
　逆に少女の瞳は多少の闇に囚われることなく、少女が行くべき道を写し続けている。
（ミコさん、ちょっと本気を出しますよー）
　黒玻璃・ミコ（屠竜の魔女・f00148）は、ブラックタールの身体を最大限に活かし、誰の目にも止まらぬまま、通気口から要塞内部へと侵攻していく。

「……よし、行くぜ」
「はい」
　物陰に隠れて巡回の兵士をやり過ごし、青原・理仁（人間の聖者・f03611）と平良・荒野（羅刹のクレリック・f09467）は要塞を進む。
　身を隠す術が乏しい二人ではあったが、理仁の第六感は兵士の接近を確実に察し、時に身を隠し、時に荒野のサイコキネシスで注意を逸らし、確実に要塞の奥へと向かうことができていた。
（当たりが出るまで隔壁を壊し続けろってか）
　自分が今向かっている隔壁は果たして正解なのかどうか、理仁は一瞬思考を巡らせようとし、すぐに頭を振って余計な考えを捨てる。
　考えた所でどれが目当ての物かなどわかりはしない、ならば目に付く壁を片っ端から破壊していく他にないだろう。
（当たりを推測するよりは、こういう力ずくの方が、楽でいいよな）
　その方が自分の性にも合っている、そう考えながら足を進めていたが、突然その足を止めて、背後の荒野にも動かないよう合図を送った。
「理仁さん？」
「面倒な位置にいやがる」
　荒野からの質問に、通路を曲がった先を示しながら答える。
　角から覗き込めば、隔壁へ向かう通路に三人の兵士が歩哨として立っていた。
「どうにかならねぇか」
「……無理ですね、注意を逸らすにしても、一本道ですし」
　それほど器用なことが出来るわけではありませんし、と申し訳なさそうに続けた部分は耳に入れず、理仁は拳を握って巻き付けてある包帯の調子を確かめる。
　その様子を見て、どうする気かと問えば、やることは一つだろうと返され。
「増援を呼ばれる前に全員ぶっ飛ばして、この先の隔壁を壊す」
「それしかない、ですよね」
　今から戻ったとしても、他の隔壁まで無事に辿り着ける可能性もそれほど高いわけではない。
　ならば、障害を排除して目前にある隔壁を目指すべき。
　覚悟を決め、荒野は理仁へ一つ頷くと、一番遠い兵士へと狙いを付ける。
『うわっ！？』
『なんだ、どうした！？』
　荒野のサイキックエナジーが兵士の一人を吹き飛ばし、残る二人がそちらへ注意を向けた瞬間。
「歯ァ食いしばれよ！」
　背後から放たれた理仁の雷撃を纏った拳が、一人ダウンさせた。
　最後の一人は即座に理仁へ、手にした銃を向けようとするが、その手は言うことを効かずに頭上へと伸ばされる。
『な、なにが……！』
「今です！」
「おう！」
　サイコキネシスによってがら空きになったその胴へ、理仁は容赦なく拳を叩き込んだ。
　残るは最初に吹き飛ばした兵士のみ、そちらへ目を向けると、相手は既に通信機を取り出しそのスイッチを入れようとしている。
　この場で兵士を集められては隔壁の破壊をする時間は残らない、二人が阻止しようと手を伸ばすが、その距離はあまりにも遠すぎた。
　兵士の指が、スイッチへとかかり。
「とーう」
　気の抜けた声と共に落下してきたミコが、兵士の後頭部を直撃し気絶させた。
「は、あ？」
「どうも、危なそうでしたので助力させて頂きました」
「えっと、ありがとうございます？」
　突然の乱入者に困惑する二人へ、ミコは自身の一部を伸ばして二人が向かおうとしていた道を指し示す。
「そこの隔壁が目的ですかね？　私もご一緒しましょう」
「お、おう」
　未だ戸惑いを残しつつ、目的が一緒ならばと大人しくついていく。
　その後は幸いにも兵士に出会うことなく、すぐに隔壁へと辿り着き、三人はそれぞれ、自らの力を解き放つ。
「いあいあはすたあ……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第壱の竜よ！」
　ミコのその不定形の身体が変化していき、黒竜の爪が、鱗が、そして毒がその身に宿り。
「叩き潰す！」
　拳を打ち付ける理仁の身体に、羅刹紋が浮き上がり。
「未熟者ですが、尽力します」
　荒野の周囲には、高められたサイキックエナジーが溢れ出る。
「さあ、合わせていきますよー、あ、腐食毒塗ってるんで触らないでくださいね」
　もうちょい早く言え！　という叫びはミコに届いたかどうか。
　三人の攻撃が隔壁へと炸裂し、轟音と共に崩れ落ちていく。
「や、やりましたね。この先にコアが……？」
「んー、この辺が重要そうっぽいのは間違いなさそうだったんですけど、どうですかねー」
「確かめるのは次の機会だ、今は撤退するぞ」
　隔壁の先が予想していた光景と違っていたか、身を捩って悩むミコをよそに、理仁は告げる。
　今はこの要塞の最奥へ向かうことはできないが、焦る必要は何もない。
「どうせ、近い内に叩き潰しに戻って来るんだからな」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2019年02月05日