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大祓百鬼夜行⑮〜黄金の『幸福(ぼく)』を壊して

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行 #しあわせな王子さま #西洋妖怪

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「西洋妖怪の大親分『しあわせな王子さま』のところへ雲の橋が届いたよっ!」
 開口一番、グリモア猟兵の蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)は、グリモアベースに集まってくれた猟兵達へ告げた。

「しあわせな王子さまは、骸魂の影響を抑え込んだ『黄金形態』で待ち受けているよっ! 完全に意識を保っているから会話もできるけど……」
 だが、骸魂を取り込んでいるということは、彼もまたオブリビオン化している。
 つまり、猟兵達を全力で殺しにかかってくる。
「それは大祓骸魂の『虞(おそれ)』を克服する儀式として必要なことで、王子さま自身の膨大な『虞』を全開放しなくちゃいけないんだよ……っ!」
 今回の異変の元凶である『大祓骸魂』は、凄まじい『虞』を防御力として立ちはだかる。それは決戦の際に猟兵達の障害になるだろう。故に、王子さまはその『虞』を少しでも削るために苦渋の選択をしたのだ。
「膨大な『虞』のおかげか、猟兵のみんなは最初から『真の姿』で戦うことが出来るよっ! 真の姿を晒して戦えば、全力の王子さまにも対抗できちゃうからお得だねっ! 真の姿を晒すタイミングは自由だから、最初からクライマックスでも、ここぞというところで変身してもオッケーっ! あ、知ってるかもだけど、真の姿を開放すると、かなりの負傷を治癒できちゃうよっ!」
 自身の戦闘スタイルに合わせて、真の姿に変身するタイミングを見計らってほしい。

「それと『黄金形態』の王子さまの攻撃は、想像が付くだろうけど全てが黄金の輝きに満ちたゴージャスなものばかりだよっ! でも、綺羅びやかな見た目とは裏腹に威力は殺人級だから、油断しないでねっ?」
 黄金の光を浴びると気が触れるほどの多幸感で身体が爆発して操られたり、猟兵達を不幸にする代わりに自身の幸運を上昇させたり、黄金の花びらで周囲を斬り刻んでくる。
 だが、幸いにも先制攻撃を行ってこない。じっくり腰を据えて対策を講じよう。
「それじゃあ、みんなっ! 覚悟を決めた王子さまとのガチンコ勝負、頑張ってねっ!」
 レモンはグリモアで猟兵達を転送し始めた。

 猟兵達が転送されると、目の前に綺羅びやかな黄金の像が立っていた。
「やぁ、待っていたよ、猟兵諸君。ぼくが『しあわせな王子さま』だ」
 自己紹介をするやいなや、禍々しい『虞』を大量に吹き荒れさせる王子さま!
 彼は猟兵達へ哀願し、懇願する。
「2つの世界を守るため、お願いだ……幸福を冠するぼくを、壊してくれ」
 王子さまは、悲壮に満ちた顔で猟兵達へ襲い掛かってきた――!


七転 十五起
 幸福の王子は、世界のために殉じるのか?
 それを決めるのは、猟兵の皆様です。
 なぎてんはねおきです。

●プレイングボーナス……真の姿を晒して戦う(🔴は不要)。
 真の姿になるタイミングは自由です。最初からでも、ここぞという場面でも。
 真の姿になると、かなりの負傷が治癒します(公式ルール準拠)。
 リプレイ執筆時は、参加者様の真の姿のイラストを参考にします。
 注釈が必要な場合はプレイングに明記願います。
 また、真の姿のイラストを持っていなくても参加できます。
 その際には、どのような真の姿かをプレイングでご説明願います。

●補足情報
 カクリヨファンタズムのオブリビオンは「骸魂が妖怪を飲み込んで変身したもの」です。飲み込まれた妖怪は、オブリビオンを倒せば救出できます。

●その他
 コンビやチームなど複数名様でのご参加を検討される場合は、必ずプレイング冒頭部分に【お相手の呼称とID】若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの総勢が何名様かをプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能です)

 それでは、皆様の熱い戦闘プレイングをお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『西洋親分『しあわせな王子さま』黄金形態』

POW   :    あたたかな光
【黄金の光】が命中した部位に【「理性を破壊する程の幸福」】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD   :    しあわせな光
【黄金の輝き】を解放し、戦場の敵全員の【「不幸を感じる心」】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
WIZ   :    黄金をささげる
自身の装備武器を無数の【黄金】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

久遠寺・遥翔
親分、あんたの覚悟は受け取った
なら俺は今の俺が出せる全力で挑ませてもらう!

イグニシオンに【騎乗】
真の姿となりさらにUCを起動して装甲を犠牲に攻撃特化の形態をとる

【戦闘知識】による予測を【第六感】で補正した心眼で黄金の光を【見切り】
【残像】を織り交ぜて回避しつつ相手の死角を攻める
避けきれない部分は【オーラ防御】を【結界術】でコーティングした多重防御壁で受け薄い装甲を補いつつ
被ダメージは結界で受けた敵の攻撃から【生命力吸収】で回復
【空中戦】で焔の太刀による斬撃と劫火による【焼却】属性の【2回攻撃】を叩き込む

あんたが示した道を開いて、あんたも骸魂から今解放してやる!
安心して戻ってこい!


ミュー・ティフィア
お断りします!私は貴方を壊さない。
オブリビオンとしての貴方を倒して、貴方を救う為に来たんです。
だからそんな悲しい顔はしないでください。
しあわせな王子様なんですから。ね?

スピリドーゾを使って飛び回りながらオブリガードで浄化の光を放って攻撃です!相手の攻撃は結界術やアドリビトゥムの盾受けで防ぎます。

ダメージが嵩んできたら精霊召喚・紅き炎の灯りを発動して真の姿を解放しつつ火の精霊ルミエルを召喚。黄金の花びらを炎の結界で溶かしちゃいます。

もしできそうな出来そうならこの炎でしあわせな王子様を包んだら骸魂だけ燃やしたりとか出来ないかな?

私は彼を骸魂か、護りたいんです。
ルミエル、力を貸してください!


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】
※アドリブ連携歓迎
※ナインス・ラインに搭乗

逸話通り無茶するね、王子様
ま、図太い鉛のハートは助けるさ

アーリー・バードを盾に
ミサイル等全身の火器を乱射
重装甲頼みの我慢比べ♪

ん?精神攻撃…生憎だね、王子様
アタシは『バーサーク・ドクター』
理性は勿論、不幸の認識も歪だよ

その隙にDA36号【エンカウンター】起動
「青い鳥」のお出ましさ♡

確実に当たる距離へワープで肉薄後
分身を活かした超高速乱舞に移行
ビットとプロキオンで蜂の巣&微塵切り
〆にアーリー・バードの刃も叩き込むっ

◆真の姿
ナインス・ライン(青い機体)が
パージや換装等で一回り細身に変形
左肩にビット用バインダー

本人は自己改造のミスで減った巨乳が戻る



 廃屋の中に、様々なガラクタが散乱するこの場所は、妖怪達から『忘れられたものたちの終着駅』と呼ばれる。
 地球の人間達が紛失し、そのまま忘れ去られた品々が此処へ漂流してくる場所。
 そこに、一際不相応な黄金の像が眩く輝いていた。
 西洋親分『しあわせな王子さま』は、やってきた猟兵達へ膨大な『虞(おそれ)』を放ちながら襲い掛かってきた。
「大祓骸魂(おおはらえむくろだま)に続く『雲の道』は、僕の黄金がなくては作れないんだ。そして、僕達「親分」が全力で戦い、そして倒されれば、大祓骸魂が放つ圧倒的な虞おそれも幾らか和らぐ。それが、大祓骸魂に続く雲の道を作る為の『必須条件』なんだ」
 ――だから早く、僕を壊してくれ。
 そう願いを口走りながら、眩い黄金の輝きで周囲を照らし始めた。
 更に、自身を覆う黄金を花弁に変えて、刃として空気中に逆巻かせる王子さま。
 その強力なユーベルコードの数々に、耐性がない猟兵ならば一瞬で再起不能になりかねない。
 だが、ここに集う猟兵達は実力もさることながら、その胸に強い覚悟を秘めたものばかりだ。そして、渦巻く大量の『虞』の影響により、猟兵達は真の姿を曝け出す事が可能となる。

 若干9歳のミュー・ティフィア(絆の歌姫・f07712)は、開口一番、ミューは王子さまの要求を気高く突っぱねた。
「お断りします! 私は貴方を壊さない。オブリビオンとしての貴方を倒して、貴方を救う為に来たんです!」
 光翼・スピリトーゾがミューの背中からスラスター噴射めいた推力を生み出すと、彼女は自在に空中を踊り始める。そのまま巨大な聖十字架を模した媒介道具である『時空・オブリガード』から、浄化の光を放って攻撃を放ってゆく。
 眩い輝きと黄金の花弁を、自律型浮遊盾の『慈愛・アドリビトゥム』が遮ってゆくも、王子さまの攻撃の密度は完全には防ぎきれていない。
 だが、慈愛を冠した翼の装飾が施された大盾は、ミューを懸命に守り、主の攻撃の機会を窺い続ける。
「お願いですから、そんな悲しい顔はしないでください。あなたは『しあわせな王子様』なんですから。ね?」
「ありがとう……優しいんだね、君は」
 礼を言う王子さまは、一向に攻撃の手を緩めようとはしない。
「でも、もう僕達は戦うしかないんだ。ほら、上手く防がないと君を殺してしまうよ?」
 王子さまは、己に課せられた使命を全うするために戦わざるを得ない。
 だからこそ、もう言葉では彼を止められないのだと、ミューは攻撃を防ぎながら痛感してしまう。
 この会話に、偶然に合わせた2機のキャバリアのパイロットが割り込んできた。
『逸話通り無茶するね、王子様? ま、図太い鉛のハートは助けるさ』
 黒と群青の装甲を纏ったMPC-RW9r-LEX ナインス・ライン――量産型重量級キャバリアのカスタムタイプを操縦するリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)の音声が、機体の外部スピーカーから響く。
 もう一騎、燃え盛る白炎を彷彿とさせるデザインが印象的なキャバリア『イグニシオン』を駆る久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)もまた、王子さまの願いを聞いて行動を起こした。
『親分、あんたの覚悟は受け取った。なら俺は今の俺が出せる全力で挑ませてもらう!』
 真っ先にイグニシオンはユーベルコードを発動させ、真の姿へと至る!
『SYSTEM-IGNIS起動! 装甲を犠牲に、攻撃特化型へ変形!』
 機体から噴き上がる赤いエネルギーが、一気に蒼炎へと切り替わる。
 更に、その装甲を極限まで削ぎ落とすと、久遠寺は機体全体を蒼く燃えがらせてみせた。
 イグニシオンが握る機神太刀“迦具土”に、地獄めいた蒼輝の劫火が噴き上がる!
「その黄金の光、俺には効かない!」
「む……僕の放つあたたかな光を見切っているのかい? さすがは猟兵さんだね」
 卓越した戦闘知識に裏付けされた回避行動と防御術は、イグニシオンの損傷をごく最小限に留めてゆく。
 王子さまは周囲に黄金の輝きをばら撒く一方で、久遠寺に対してはビーム兵器のような射撃として黄金の輝きを放っていた。
 これを久遠寺はイグニシオンを操り、時に回避し、時にオーラと結界で多重構成した炎の多重防壁で受け止め、薄い装甲でも上手く立ち回リながら王子さまの死角へ回り込もうと様子を窺う。
 初見でこれを見抜いてしまう久遠寺の眼力に、王子さまも感服の声を漏らしていた。
 これに触発され、リーゼロッテも攻撃態勢へ移行開始。
『では、重装甲頼みの我慢比べといこうか♪』
 まるで巨大な盾の如き大幅を誇る巨大機剣こと“RXS-175LW-LEX アーリー・バード”で黄金の攻撃を遮りながら、ナインス・ラインに備わった各種兵器を一斉に発射してゆくリーゼロッテ!
 突如として吹き荒れる砲火の嵐を王子さまが浴び続ければ、放たれていた黄金の輝きに若干の陰りが見え始める。
「す、すごい攻撃だね……。でも、おかしいな? 君はなんで、このしあわせな光を浴び続けているのに不幸にならないのかな?」
 王子さまの疑問はもっともだ。
 溢れ出る“しあわせな黄金の輝き”を浴びた者は、自身の『不幸を感じる心』を奪われ、降り掛かる不幸を認知できなくなる。そうすることで他者の幸運を奪う王子さまのユーベルコードなのだが、リーゼロッテは平然していた。
「ん? なるほど、この閃光は精神攻撃……生憎だね、王子様。アタシは『バーサーク・ドクター』。理性は勿論、不幸の認識も歪だよ。そもそも『不幸を感じる心』など、あろうがなかろうが、他人の幸福論に首を突っ込むこと自体が野暮ってものさ♡」
 コクピット内で嗤うリーゼロッテは、自身に王子さまのユーベルコードが効かないと知るやいなや、さらなる追撃を掛けるべく真の姿へ移行する。
「【WD機関】制限完全開放(ザザッ)粒子【PP】の情報ノイズが逆流……」
 リーゼロッテが搭乗しているナインス・ラインの装甲パージと装備換装を行うと、機体は一回り細身になって機動力が爆発的に向上!
 新たな武装として、機体の左肩から発射された銃剣型高機動ビット6基が王子さまの頭上を飛び交い、容赦なく射撃と斬撃を断続的に加え続けてゆく。
「アハッ♡ これがとっておき、DA-36:ENCOUNTER.WD……『青い鳥』のお出ましさ♡」
 碧色の粒子を纏ったキャバリアは、王子さまの周囲を連続ワープで翻弄し、キャバリア用大型ビームランス『BXS-243RW-LEX プロキオン』での連続攻撃で圧倒し始める。
 コクピット内のリーゼロッテも真の姿へと変貌し、何かの間違いで削ぎ落とされてしまった豊満な胸元を揺らしながら前のめりで機体を操縦する。
「アッハハハハ! 分身を活かした超高速乱舞さ! ほらほら、王子様? もっと大量の『虞』を吐き出さないと、本当に壊れてしまうんじゃないかな?」
 サディスティックに笑い声を転がす真の姿のリーゼロッテ!
 王子さまもいくら斃される事を望むとはいえ、まだまだ大量の『虞』を吐き出しきれないうちに破壊されてしまうわけにはいかない。
「これは……想像以上だね。でも、それでこそ僕が見込んだ相手だ、もっと攻撃を加えておくれ」
 リーゼロッテの攻撃がリロードでやんだ瞬間、一気に飛び出してきたのは久遠寺のイグニシオンだ!
 空中から隕石と見紛うほどの勢いで急降下してくる!
「あんたが示した道を開いて、あんたも骸魂から今解放してやる! 安心して戻ってこい!」
「そんな隙だらけのまま突っ込んでくるなんて、無謀じゃないかな?」
 王子様は極太の黄金光線をイグニシオンへ発射!
 それを真正面から受け止めるイグニシオン、装甲が薄いが大丈夫か?
「うおおぉぉーっ! ユーベルコードの幸運を、イグニシオンの軌道エネルギーに変換してやる!」
 久遠寺の懐に収められた金で装飾された古風な懐中時計『アウグストゥス』が魔力で満ち溢れる時、不思議な現象が戦場に発生した……。
 それは、久遠寺が所有するイグニスの骸魂を宿した焔黒剣と呼応して、所有者を守ろうとする結界がイグニシオンを包み込んだのだ。
 攻撃は治癒へ、ダメージはリカバリーへ、全てが反転させる結界を発生させることに成功した久遠寺は、王子さまの攻撃を“吸収”しながら突き進む!
「あんたが俺に幸運を授けてくれるなら! 俺はその幸運であんたを助けてみせる! この一撃が、俺の信念の証左だ!」
 蒼く燃え盛る機神太刀を最上段から振り下ろし、袈裟斬りを放つ久遠寺のイグニシオン!
 王子さまは防御などせず、それを甘んじで身に浴びてみせれば、纏っている金箔が空中に溶けていった。
 これで大祓骸魂への雲の道の礎がまた増えたはずだ。
 そして、此処まで防戦に徹していたミューも、キャバリア達の攻勢に乗って突撃を開始する。
「災厄の魔女より切り離されし、闇を照らす異端の篝火よ。八百万の光宿せし我との絆を以て此処に具現せよ!」
 ボッ、ボボッ、と空中で炎が爆ぜたかと思えば、ミューは真の姿へと完全に切り替わっていく。
 そして、その傍らに現れたのは、赤き魔女の姿をした火の精霊ルミエルだ。
 ミューはルミエルに願う。
「私は彼を、骸魂から護りたいんです。ルミエル、力を貸してください!」
 この言葉に、火の精霊は自信満々に即答した。
「ええ! この炎で私が護るわ!」
 契約履行のために、火の精霊は敵意を持つ存在や攻撃を燃やす炎の結界を創造・展開!
 吹き荒れる黄金の花びらが、たちまち灼熱の結界で溶解していくではないか。
「このままこの炎で、しあわせな王子さまの骸魂だけを燃やしたりとか出来ないかな?」
「やってみるわ!」
 結界で王子さまを包囲し、そのまま炎で包み込んでゆく!
「うわぁ……! 僕の『虞』が……どんどん削られてゆく……!」
 完全に骸魂を焼却することは出来なかったが、それでもかなりの『虞』を王子さまから吐き出させることに成功した!
「それじゃ、そろそろ〆に取り掛かるね♡」
 最高に気分がオーバーハイのリーゼロッテは、今まで盾代わりにしていた大盾兼両刃剣『RXS-175LW-LEX アーリー・バード』を構える。
 まずは内蔵されている機関砲で牽制しつつ、残像を伴うワープで王子さまへ肉薄。
 その背後を取った瞬間、ナインス・ラインの関節部が激しく唸り、唐竹割りがごとく刃を王子さまの脳天へ叩き込んだ!
「……まだだ、まだ、雲の道を作るには足りないんだ」
 悲しげに呟く王子さまは、猟兵達を黄金のユーベルコードで一斉に吹き飛ばす。
 久遠寺もミューも、そしてリーゼロッテも、全力を尽くしたが未だ撃破ならず。
 それほど、オブリビオン化した王子さまが強力だということだ。
 だが、第一波の攻撃としてはかなり王子さまの金箔を削ったことは事実だ。内包する骸魂の『虞』も、膨大な量を吐き出させた。
 3人は事後を後続の猟兵に託し、バトンタッチして前線から退くのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

黒城・魅夜
釉乃(f00006)と共に
最初から真の姿で

王子、あなたの覚悟は尊いものですが
あなた自身の幸福を忘れておいでです
行きましょう、釉乃、いえ彼女の真の姿、我が主──ユノ様
己の幸福を忘れたところに真の幸福はない、
それを教えてくれたのはあなたなのですから

黄金の光は強力ですが
ユノ様と共にある限り私には抵抗可能です
何故なら……
(ユノ様を抱きしめ、熱く見つめあいながら)
ユノ様と共にあることが私にとっての至上の幸福だからですよ、ふふ
ゆえに既に最高の幸福を得ている私には通じません

主の力で私の牙を剣と為し手を取ってともに突撃
骸魂を撃ち砕き王子を救って見せましょう
ユノ様、かつてあなたが私を救ってくれたようにね


春日・釉乃
我が最愛の従僕たるミア(f03522様の真の姿の名前)と共に、征こうか━。
現世の器に眠りし真の姿を始めから解放し…『剣の花嫁』、いざ参る


王子よ、その『虞』の黄金……私に放ってみせるがいい
吐き出さなければ…お前も救われまい、フフ━。

ミアと手を繋ぎ、祈りを捧げる
…私はミアと永き刻を経て再びに巡り逢えた
これに勝る多幸感など、私には持ち合わせていないぞ
そうだろう━ミア?

(彼女の唇を奪い【世界を革命する力】を発動させ、彼女の発動したUCを革命剣へ変換して、心臓から引き抜く)

そこから早業の咄嗟の一撃で
『運命さえも貫き通す欲望の輝き』を放つ革命剣による鎧無視攻撃をミアと共に━!



 黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)と春日・釉乃(蒼薔薇のPrince・f00006)は、王子さまの前に現れた途端、その姿を真なるものへと変貌させてゆく。
「行きましょう、釉乃、いえ真の姿であり、我が主──ユノ様」
 黒城の姿は、漆黒の半仮面で目元を覆い、漆黒の六枚翼を広げ、紅い闇の中に半ば体が溶け出している、概念や悪霊に近い存在になっていた。
「この身は希望の悪夢という矛盾した姿。この姿に至れたのも、全てユノ様のおかげです」
「我が最愛の従僕たるミアよ、共に征こうか――。もう決して、片時も離れたりするものか、フッ――」
 ユノは目の前で跪く最愛の下僕の顎を指先で持ち上げると、互いの熱の籠もった視線が絡み合う。
 かつての主従が、長い時と経て再び邂逅し、共に歩むことが出来た。
 そんな主従は、互いの手と指を絡ませると、肩を並べて王子さまへ問いかけた。
「王子、あなたの覚悟は尊いものですが、あなた自身の幸福を忘れておいでです」
「それはどういう意味かな?」
 王子さまの疑問に、ミアが淀みなく答えた。
「己の幸福を忘れたところに真の幸福はない、それを教えてくれたのはあなたなのですから」
「UDCアースの童話の事か? あの物語の結末は、王子の鉛の心臓とツバメの亡骸を天使が天上界へ持ち帰り、2つの尊き存在は空で末永く幸せに暮らしてめでたしめでたし、だったな」
「さすがはユノ様、博識でらっしゃいますね」
 ユノの解説に、うっとりと聞き惚れるミア。
 2人だけの世界を作り上げる様は、幸福の体現と言えよう。
「そういうことだ、王子。地球では、王子の自己犠牲は美談として広く語り継がれている。故に、こんなところで自分の幸福を諦めるのは止せ――」
 空いた手を王子さまへ差し出すユノ。
 その視線はまっすぐに、サファイアの瞳へ注がれていた。
「王子よ、その『虞』の黄金……もっと私に放ってみせるがいい。吐き出さなければ……お前も救われまい、フフ――」
「君達も、僕を助けようとしてくれるのかい? 猟兵諸君は優しいんだね」
 王子さまは満面の笑みをたたえながら、発狂しかねないほどの幸運を流し込むあたたかな黄金光を2人へ照射する。
 だが2人は黄金光を回避しようともせず、そのまま直撃を許してしまう。
 王子さまは全力で撃ち込んだ『虞』の一撃が、こうもあっさりと決まったことに違和感を覚えた。
「どうして……君達は避けようとしないのかな? オブリビオン化した僕の幸福は、常人ならば理性が崩壊しかねない。なのに、どうして?」
 その問いに、ミアとユノは正気を保ったまま、平然と言葉を返した。
「黄金の光がもたらす多幸感は強力ですが、ユノ様と共にある限り私には抵抗可能です。何故なら……」
 ミアはユノへ身体を擦り付けるように抱擁すると、熱っぽい視線を主の整った顔へ向けながら告げた。
「ユノ様と共にあることが、今の私にとっての至上の幸福だからですよ、ふふ……」
「嗚呼、その通りだとも……私とミアは、永き刻を経て再びに此世で巡り逢えた。これに勝る多幸感など、私には持ち合わせていないぞ。そうだろう――ミア?」
 ユノも、ミアへ己の愛情を注ぐべく、縋る従僕の愛らしい顔に手を添えながら慈愛の視線を注ぐ。
「ええ、ユノ様の仰るとおりです。偽りの幸福など、私達には不要――ゆえに既に最高の幸福を得ている私には通じません」
「僕よりも幸福な2人だって……?」
 驚愕する王子さまに、ユノが宣言した。
「愛こそ地上で至高の最大幸福だ。それを有する私達の一撃……今から見舞ってやろう、フ――」
 ユノはミアを自分の元へ引き寄せると、腕を回して情熱的に抱き締め始める。
「ああっ、ユノ様……っ!」
 顔を赤らめるミアが目を閉じる。
「共に骸魂を撃ち砕き、王子を救ってみせましょう。ユノ様、かつてあなたが私を救ってくれたようにね……?」
 差し出す彼女の薔薇の花弁めいた可憐な口元を、ユノの唇で塞いだ。
 最初は優しく、だがしかし次第に愛しさと熱に突き動かされて深まるキスに、ミアは次第に身体を弛緩させて、より主へ委ねてゆく。
 蚊帳の外の王子さまは、ただ2人の燃え盛るキスシーンを傍観する他ない。
 だが、王子さまは2人に起きた異変に気が付く。
「……心臓から、剣が現れた?」
「――フ、ようやく気付いたか。ミアのユーベルコードで“肉体と魂の双方を穿ち破壊する牙”を彼女に生やさせ、私がキスで牙を媒介とした『王子を骸魂から救出する』という理想が具現化した革命剣を彼女の心臓から生成して引き抜く。これこそ、“世界を革命する力(テイク・マイ・レヴォリューション)”だ」
 ミアと手を繋いだまま、ユノが王子の元へ駆け出す。
 その片手に握りしめた、絶対無敵の革命剣を王子さまの胸部目掛けて突き放つ!
「この剣の輝きは『運命さえも貫き通す欲望の輝き』だ……どんな黄金よりも気高くて尊き閃光で、王子の骸魂へ貫いてみせる、ミアと共に――!」
「王子、どうか本当の幸福を、思い出してください……!」
「これが……愛の力!」
 2人の願いが込められた革命剣の一突きは、王子さまの鉛の心臓を巣食う骸魂を確実に穿ち抜き、大量の『虞』を黄金の身体から解き放ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シノギ・リンダリンダリンダ
王子、お前は壊しません。こんな素敵な黄金像を壊すなんて大海賊として絶対に無いです
つまり、骸魂(お前)が邪魔なんです

さっさと真の姿を解放
ドールのガワを捨て、様々な呪詛と黄金の星々で構成された宇宙のような霧のヒトガタになり、霧を広げていく
どんな攻撃も数多の特濃な呪詛で腐らせ蝕み、すでにお宝を前にした己にまともな理性は無く、幸福を感じずにはいられない
ここは【我が腹】
呪詛と蹂躙と略奪の空間
霊魂すら腐らせ蝕み傷つけ黄金にする空間
呪詛の霧で全身をハッキングし、骸魂だけを攻撃する

骸魂だけを黄金化させ分離させれたら、王子の剥がれた黄金を追加
道の為に己が宝を分け与えるその姿
大海賊として敬意を表します


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

幸せをもたらすはずのアンタが、
なんて不幸せそうなツラしてるんだい……
良いぜ、その『覚悟』はしかと受け止める。
受け止め乗り越えて、アンタの願いを叶えてみせらぁ!

で、アタシから呼び出して浮かれてるところ悪いけどよ。
いいな珍獣、今回はお遊びなし、マジのマジだかんな。
お前の力も存分に借りるから覚悟しとけ!

決意の表情で珍獣を呼び、そのまま魔法少女姿へ変身し。
そのまま珍獣と一緒に黄金の花吹雪へ突っ込むよ。
アタシの『衝撃波』で大半を吹き散らし、
それでも避けきれなさそうな花弁は当たる「因果」を操作して
「当たらぬ」結果に書き換え突進。
電撃魔法を叩き込みながら『忘却』の因果も覆すよ!!



「幸せをもたらすはずのアンタが、なんて不幸せそうなツラしてるんだい……」
 数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が呆れながら肩を竦める。
 その場に居合わせた大海賊シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)も、王子さまの願いに首を縦に振ろうとはしなかった。
「王子、お前は壊しません。こんな素敵な黄金像を壊すなんて、大海賊として絶対に無いです」
 シノギは王子さまの胸元の鉛の心臓を指差して、言葉を継ぐ。
「――つまり、骸魂。お前が邪魔なんです」
「猟兵諸君はみなお人好しなのかい? 僕の身体に纏う黄金は、『大祓骸魂(おおはらえむくろだま)』ヘ続く雲の道を作るための材料で、僕が大量の『虞(おそれ)』を放って君達に斃されることこそが、『大祓骸魂』の防御力を弱めることに繋がるというのに、何故……?」
 王子さまの戸惑いの声に、シノギは即答した。
「雲の道を作る。王子の骸魂だけを破壊する。両方とも出来てしまうのですよ、この大海賊たるおシノギちゃんには」
「そういうこった、他の猟兵も、道中の妖怪達の骸魂だけを浄化しようと、あの手この手を尽くしてるのさ」
 数宮も、シノギの言葉の信憑性を裏打ちするように頷いた。
「それにしたって……良いぜ、王子さま。アンタのその『覚悟』は、しかと受け止める。受け止め乗り越えて、アンタの願いを叶えてみせらぁ! 絶対に死なせてなるもんか!」
 宇宙カブJD-1725に跨る数宮が、フルスロットルで王子さまを周回し始める。
 それに呼応するかのごとく、王子さまは自らの身体の金箔を剥離させて花弁の刃に変えて辺りへ拡散させていった。
「ちぃっ! 流石にそう簡単に接近させてはくれないってことかい?」
 サイキックエナジーで黄金花弁の刃を叩き落としながら隙を窺うも、数宮はなかなか手出しができない。
 と、ここでシノギが動いた。
「それでは、さっさと真の姿へ変身しましょうか」
 ミレナリィドールであるシノギは球体関節である。
 その関節部から、満天の星空の如くキラキラと輝く霧状の煙が噴き上がってゆく。
 宇宙空間がそのまま大気に滲み出たような霞がシノギの頭上に集まったかと思えば、突如、シノギのドールボディが音を立てて昏倒!
『ふう、やはりガワを捨てると身軽になれていいですね』
 煌めく霞が言葉を発した。
 その正体は、様々な呪詛と黄金の星々で構成された宇宙のような霧のヒトガタだ。
 そして、霧のヒトガタは体積をどんどん膨張させてゆき、黄金の花弁ごと王子さまを丸呑みしてゆく。
『ようこそ、ここは“我が腹(ワタシノオタカラ)”の中。我が財宝の呪い。その一端をお裾分けしますね? たっぷり楽しんでください』
 凄まじく特濃な呪詛の霧が、王子さまを腐食と神経毒と黄金化が絶えず襲う呪詛の海に沈めてしまう。
「これは……僕の身体が腐食した瞬間に、黄金へ変換されてゆく……!?」
 王子さまは、表面だけではなく体全体が完全な純金へ腐りながら作り変えられてゆく!
 それは噴き上がる黄金の花弁のみならず『虞』すら黄金に変えて、シノギの体内へ取り込まれていった。
 黄金を体内に取り込む度に、シノギの理性が徐々に崩壊してゆき、その呂律がたどたどしくなっていく。
『あァ、アぁ! お前ハ既に、私ノお宝の一部ダ! こンな素晴らシいお宝ヲ前にシテ、マともナ理性を保ッてられルだろウカ? イヤ、出来やシナい! アアァ! 私ハ今! 幸福ヲ感じズにハいらレナイ!』
 狂気の強欲の権化が、王子さまをゆっくりと蝕んでゆく。まるで海賊がコレクションをじっくりと愛でるように、一思いにではなく、あえて焦らすように、ゆっくりと王子さまの全てが黄金へ変換されてゆくのだ。
 その光景を目の当たりにした数宮は、あ然としつつも、自身も真の姿へ変身する覚悟を腹に据える。
「……おい、いるんだろ、珍獣?」
「僕の力が必要なのかい? いいよ! さあ、変身だよ、多喜ちゃん!」
 アイマスクとマントを装着した兎のような謎生物が、ひょっこり異空間から登場!
 そのまま数宮を真の姿へ変えるためのアイテムである『らじかる☆ハートロッド』……と呼称する戦車の砲身を差し出さんとしていた。
 だが、それに数宮が待ったをかけた。
「アタシから呼び出して浮かれてるところ悪いけどよ。いいな珍獣、今回はお遊びなし、マジのマジだかんな。お前の力も存分に借りるから覚悟しとけ!」
 マジトーンの数宮の言葉に、マスコット珍獣は感涙を目尻に浮かべた。
「ようやく真剣に魔法少女『らじかる☆たきりん』になってくれるんだね!」
「いや待て? その呼称、初耳なんだが? あーもう、いいから変身だ! その戦車砲身、貸しやがれ!」
 数宮はハートロッド(砲身)を頭上高く掲げると、いつになく真剣な表情で呪文を唱えた。
「らじかる~♪ まじかる~♪ シャイニー☆映え映え、きゅーん♥」
 輝く桃色の光が、数宮の全身を包み込むと、纏っていたライダースーツが光の粒子へ変換された後に、ピンクのフリフリ☆マジカルな衣装へと再構成されていった。
 同時に、跨っていた宇宙カブも、ポップでラブリーかつロリータ要素強めにデコられてゆく。
「どんな不幸も因果反転☆ らじかる☆たきりんが、アンタの不幸を書き換えちゃうゾ☆ ……って、身体と口が勝手に動くの怖ッ!」
 数宮は無意識で此処までの流れを行っていた。
 怖くね?
 珍獣は意気揚々に王子さまを指(あるのか?)差して告げた。
「さあ多喜ちゃん! ネガティブ一色な王子さまを助けてあげよう!」
「ああ! 羞恥心をかなぐり捨てた今のアタシなら、シノギさんの呪いですら因果反転で無効化しながら王子さまの元へ特攻してみせるさ!」
 甘デコ宇宙カブをフルスロットルで発進させると、視界を覆う黄金の花吹雪を衝撃波で吹き飛ばしてゆく数宮!
「この魔法少女の姿になると、ハートロッドを振り回すだけで因果操作と衝撃波をぶっ放せるのさね!」
 魔法(物理)の極みであった!
「今から王子さまの攻撃は全て『アタシには当たらない』よ! 因果を殴って書き換えてやらぁ!」
 ハートロッドで不幸な因果を殴り飛ばし、王子さまのハッピーエンドを強引に引き寄せるべく特攻を仕掛ける魔法少女、それが『らじかる☆たきりん』!
 なお、本人はいたって真剣だ。
『此方モそろそろ、仕上げニ取り掛かりマしょうカ』
 シノギも愛でるのを止め、骸魂を仕留めに掛かった。
『此処ハ呪詛と蹂躙ト略奪の空間。霊魂スら腐らセ蝕み傷つケ黄金にスル空間』
「僕の『虞』が、骸魂が、黄金に……無茶苦茶すぎる!」
 埒外の攻撃に、王子さまが初めて恐怖を口にした。
 この反応に、シノギが思わず笑みをこぼす。
『ウケる。まァ、腐食と神経毒と黄金化が絶えず襲う呪詛の海なンテ、私以外ニ誰が適応出来ルんでショウネ?』
「此処にいるってばよォ!」
 咆哮と共に、マジカル宇宙カブごと王子さまの顔面にダイブする数宮!
 因果を操ることで、数宮はシノギの呪詛の海に適応してみせたのだ!
 これで行動成功率が大幅に上昇する!
「王子さま! アンタの『不幸』も! 『忘却』も! その悲しい結末の全部を! アタシがぶん殴って書き換えてやんよぉッ!」
 戦車砲身で出来たマジカルロッドの全力殴打(サイキック雷魔法)が、王子さまの鉛の心臓を強かに捉えた。
 途端、骸魂の一部が砕けると『虞』となって噴き出した。噴き出した瞬間、シノギの黄金化でだだっ広い金箔へと変換されてしまうと、シノギはそれを応じに身体に貼り付けてみせた。
 呪いの霧が、再びドールボディへ収まってゆく……。
「ふぅ……王子、お前から生み出された黄金はたんまり強奪させてもらいました。その金箔は、猟兵の攻撃で剥がれた部分の修復として、私からの餞別です」
 シノギは王子に頭を下げ、最敬礼をしてみせた。
「大祓骸魂への雲の道の為に、己が宝を分け与えるその姿……大海賊として敬意を表します」
「本当にガッツあるよな、アンタ。だからこそ、アタシ達を信じておくれよ! 絶対、アンタを助けてみせるさね!」
 数宮も王子さまへ不殺の信念を語ってみせると、王子さまはポツリと言葉を漏らす。
「……ありがとう。もしも実現するなら、僕だって、死にたくない……!」
 王子さまの心境の変化が、猟兵達の救出劇に拍車をかける――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
しあわせな王子さま…あの話嫌いですよ
「あれー?知ってるんだ」
たまたまですがね
最期まで人の為に報われず溶かされ捨てられた所で読むのやめました
「そっかー(それじゃ最後知らないんだ」

真の姿
機神搭乗
「これがメルシーとご主人サマとの真の姿だよ☆力が漲るね☆」
基本あの世界では常にこの姿ですけどね

【情報収集・視力・戦闘知識】
強化視力で王子を見据え
是までの戦闘記録と動きの癖を把握
対SPD
【念動力・属性攻撃】
念動障壁を展開
闇属性を付与して黄金の輝きの影響を減らす

不幸を感じる心は…実は少ない
孤独を癒す者が互いに居たから

UC発動
自己犠牲とか大嫌いだ
橋はツバメじゃなくてお前がかけろ

【二回攻撃・切断】
神速連撃炸裂!!



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は此処より外の世界の出身ながら、童話『しあわせな王子さま』を知っていた。
「……あの話、実は嫌いなんですよ。初めて呼んだ時、胸糞悪くなりました。最期まで人の為に報われず溶かされ捨てられた所で読むのやめまたのですよね」
「あれー? 知ってるんだー?」
 相棒の神機メルクリウスこと銀髪少女メルシーが小首を傾げる。
 ……その物語には続きがあるのだが、メルシーは敢えて黙り込むことにした。
 カシムは不機嫌に言葉を返す。
「……たまたまですよ。てか、なんでお前が知ってるんだよ」
「そこはほらー? メルシーは叡智の神様だから☆」
「息子に頭潰されて知能指数が低下したお前に、まさか教養なんて存在したんですね」
「いや~ん、ご主人サマってば辛辣ぅ~! でもゾクゾクしちゃったゾ☆」
 閑話休題。
 2人は西洋親分『しあわせな王子さま』と対峙する。
「……君達は、他の猟兵とは少し趣が違うようだね」
 王子さまは剣呑なカシムの視線に対して、思わず苦笑いする。
「僕を斃すかい? いいよ、存分に攻撃しておくれ」
「お言葉に甘えて……メルシー、此処じゃ人型を保つ意味は薄いだろ。本来の姿に戻れ」
「ラジャッたよ☆」
 銀髪少女は白銀の光を放ちながら、巨大な白金スライムへと姿を変えたかと思えば、徐々に体積を膨張させてキャバリア……人型兵器へと変身してゆく。
『これがメルシーとご主人サマとの真の姿だよ☆ 王子さまの『虞』のおかげで力が漲るね☆』
「いやまぁ、基本あの世界では常にこの姿ですけどね?」
 白銀の装甲に黄金の光輪を背負いし界導神機『メルクリウス』、それを駆るカシムの姿こそが、彼らの真の姿だ。
 王子さまはすかさず、しあわせな黄金の光をメルクリウスの機体に放って、カシムとメルクリウスの『不幸を感じる心』を奪い去ってゆく。
「これで君達は、不幸が降り注いでも何も感じない。そして僕の幸運が跳ね上がり、様々な行動が上手くいくだろう」
「それは……どうですかね?」
 カシムの懐疑的な言葉と共に、万能魔術砲撃兵装『カドゥケウス』から漆黒の魔法弾が放たれた。
 不意打ち気味に被弾した王子さまの周囲が、光すら遮る濃密な闇に覆われてゆく。
「これは……そんな馬鹿な? 僕は君達から奪った幸運で強化されているはずなのに、どうして?」
『それはきっと……メルシー達に『不幸を感じる心』が元から備わってなかったのかもね?』
 自嘲するメルクリウスに、珍しくカシムが同意を示した。
「王子、僕は掃き溜めのような場所で生まれ育ちました。生きるために盗みを覚えて、1分1秒後の未来には人生が終わってしまうんじゃないかと恐怖する日々を過ごしてきました。だから……王子が期待するほど、僕には不幸を感じる心が……実は少ない」
 声を震わせるカシム。
 散々だったクソみたいな毎日を思い返す。
「けど、猟兵になって……お宝や女を漁ってゆく過程で、この馬鹿と出会いました。こいつ、空気読めないし、僕の神経をいつも逆撫でするし、実際狂人で支離滅裂だし、本当にうんざりなんですけど……」
 カシムは一拍の間を置き、深呼吸の後に告白した。
「けど、こいつと出会ってから……僕の人生がすごく、楽しいんですよね。こんな未来が訪れるなんて、思ってませんでした」
「メルシーもね? 神話の時代からずーっと暗くて寂しいところで封印されてて。でも、ご主人サマがメルシーを解き放ってくれたおかげで、今はいろんな世界でデートできるから、毎日がすっごく楽しい☆」
 だから、ひとりと一機は、自身を持って声を重ねる。
『「孤独を癒す者が互いに居たから、そのユーベルコードは効かない!」』
 それは愛ッ!
 強い絆で結ばれたコンビは、王子さまへ一気呵成に攻撃を仕掛ける!
「メルクリウス! お前の力を見せてみろ!」
『速足で駆ける者(ブーツオブヘルメース)! マッハ32弱の超音速連続攻撃を喰らえーっ!』
 ビーム鎌剣ハルペーの斬撃乱舞が、王子さまの身体と骸魂を斬り刻んでゆく!
「僕は自己犠牲とか大嫌いだ。だから、橋はツバメじゃなくてお前自身がかけろ。身勝手に自己満足でくたばんじゃんぇよ」
 粗暴な言葉の中にも、カシムなりの優しさがにじみ出ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空亡・劔
この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いてこんな大異変を起こすなんて生意気よ!
しかも親分達は解決側じゃない!あたしが異変を起こす時に挑んで貰わなければいけないから助けるわよ!

何より…親分に打ち勝ってこそ最強の大妖怪といえるんだからねっ!

真の姿
紅き太陽の如き火の玉を背負った姿(それは百鬼夜行の…

【戦闘知識】で動きを【見切り】
【念動力】で飛び回りながら光の回避に努
【結界術】による結界でダメージと理性の破壊による幸福を軽減

神殺し発動
攻撃力強化
【天候操作】猛吹雪を発生
【属性攻撃】による氷で【弾幕】を展開して動きを抑え

【二回攻撃】で容赦なく【切断】するわ

あたしはあんたに打ち勝ちたい
それが…願いよっ!!



 空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)は世界最強を掲げる大妖怪を自称する。
「この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いて、こんな大異変を起こすなんて生意気よ!」
 西洋親分たる王子さまに、空亡は怒り心頭であった。
「しかも親分達は解決側じゃない! 何してくれてんのよ! いずれ、あたしがこの世界で異変を起こす時に挑んで貰わなければいけないから、今は助けるわよ! ありがたく思いなさい!」
 ツンデレ気味に口走る空亡。
 その口で、ちろりと本音を漏らす。
「……何より、親分に打ち勝ってこそ最強の大妖怪といえるんだからねっ!?」
 宣戦布告。
 次の瞬間、空亡は紅き太陽の如き火の玉を背負った姿へ変貌する。
 殺神魔剣『空亡・紅』と永久凍剣『二世氷結地獄・極』、赫と蒼の刃を携えるその姿は、百鬼夜行を従える妖怪総大将の如き威風堂々とした吐きを纏っていた。
「他の猟兵の戦いをこっそり観察させてもらったわ。幸運を押し付けて理性を破壊するとか、いい趣味してるわ! でも、私には通じないわよ?」
 空亡は天を駆け上がると、霊帯リボンを結界のように展開して光を遮り始めた。
「所詮はただの光、浴びなければどうってことはないわ!」
「僕のあたたかな光が届かないだって?」
 光を浴びたリボンが爆発を繰り返すが、空亡の念動力も相まって意外に頑丈な結界として機能していた。
「西洋親分、あんたの攻撃は封じたわ! 自ら人類の敵側に回ったこと、今から後悔しなさい!」
 空亡は王子さまを“人類の敵”と認定すると、ユーベルコード『神殺しの大妖怪(ヒトビトノオソレノケンゲン)』の効果を発動させた。
 人類の敵への超絶特攻性能と無敵の超防御を身体に宿した空亡は、瞬時に『忘れられたものたちの終着駅』の廃屋内を天候操作で猛吹雪に変えてしまう。
 黄金の輝きを雪で遮ってしまえば、完全に王子さまは手が出せなくなってしまう。
 そこへ、魔剣と凍剣の二連エックス斬りが王子さまへ炸裂!
「人類の敵である……骸魂を斬り刻んであげるわ!」
「うわぁぁ……!?」
 解き放たれる大量の『虞』が、王子さまの全身から発散されていく。
「あたしはあんたに打ち勝ちたい。それが……願いよっ!!」
 ダメ押しに鉛の心臓へ二刀を突き刺し、骸魂へ直接ダメージを与える空亡であった。
 圧倒的な戦術で王子さまを封じた空亡のこの一撃は、骸魂の崩壊を促してゆく……。
 決着のときは、刻一刻と近付いてきていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビスマス・テルマール
西洋妖怪の代表が、あのしあわせの王子様と言うのは意外でしたが……あの物語の様に自己犠牲を。

●POW
真の姿に変身し彼の自我がある内に
決着を付けましょう……彼を救う為にも

『オーラ防御&属性攻撃(闇)』を込めた『一斉発射』の『砲撃&範囲攻撃』でばら蒔き

彼の攻撃を出来るだけ遮り

『激痛耐性&オーラ防御』備え
『空中戦&空中起動&推力移動』駆け回り『第六感&瞬間思考力』で『見切り』『属性攻撃(闇)』込めた『残像』回避しつつ

『砲撃&レーザー射撃&制圧射撃』で近付き『早業』で『属性攻撃(闇)&斬撃波』込めた『鎧無視攻撃&切り込み』のUC(剣先イカのイカスミ入りなめろうの大地の力で)を

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎


蒼・霓虹
西洋の親分が幸運使いなのは
何かの因果が働いているのでしょうか

幸運の虹龍の名に懸けて
貴方に勝って必ず貴方を救います!

[WlZ]
わたし自身と彩虹さん共々真の姿に

【高速詠唱】で【オーラ防御&属性攻撃(暗黒)】込めた〈レインボークローバー〉の【弾幕】を【範囲攻撃】ばら蒔き【念動力】遠隔操作しつつ【盾受け&ジャストガード&受け流し】しつつ

〈彩虹(戦車龍)〉を【悪路走破&推力移動】で【操縦】し【第六感&瞬間思考力】で【見切り】回避

機を計り、仲間が居れば
【集団戦術&団体行動】で連携しつつ
【龍脈使い】の力で【魔力溜め&幸運】汲み上げ【高速詠唱】で【属性攻撃(幸運)】込めたUCを

[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]


小雉子・吉備
山本親分や他の親分衆もだけど
王子ちゃんも立派だよね……だけど由来らしき童話の二の舞には

[POW]
真の姿+九頭雉鶏精テクターの姿で
最初っからクライマックスだよっ!

【高速詠唱】で【属性攻撃(闇)&オーラ防御&結界術】込めた〈スロウフールハウル〉【弾幕&砲撃】を【範囲攻撃】展開し【空中戦&推力移動】加速

【第六感&瞬間思考力】で【見切り】時には弾幕を【盾受け】利用しつつ【残像】回避しつつ【動物使い&集団戦術】で〈ひいろ&なまり〉ちゃんにマジックガード各種で指示と〈雉鶏精の羽針〉飛ばし妨害撹乱

黄金使いきる前に
【高速詠唱】で【属性攻撃(幸運)】込めたUC【斬撃波】で決めるっ!

[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]



 ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)に蒼・霓虹(彩虹駆る日陰者の虹龍・f29441)、そして小雉子・吉備(名も無き雉鶏精・f28322)の3名は、西洋親分『しあわせな王子さま』の前で、それぞれの思索を巡らせた。
「西洋妖怪の代表が、あのしあわせの王子様と言うのは意外でしたが……あなたもあの物語の様に自己犠牲を」
「山本親分や他の親分衆もだけど、王子ちゃんも立派だよね……だけど、由来らしき童話の二の舞にはさせないから」
「それにしても、幸運を操るユーベルコード……わたしと同じですね、何かの因果が働いているのでしょうか」
 三者三様の反応を示すが、彼女らはまるで最初から示し合わせているかのごとく連携を始めた。
「幸運の虹龍の名に懸けて、貴方に勝って必ず貴方を救います! 彩虹さん、真の姿になりましょう!」
 蒼の全身に桃色の体毛が生えて、本来の龍神の姿へ至った。
 相棒の虹色戦車龍の彩虹も、ビスマス結晶を纏った蒼鉛戦車龍に変身!
 これには、ビスマス結晶のクリスタリアンであるビスマスが驚きの声を上げた。
「これは……! わたし以外にも、ビスマス結晶を使う猟兵がいたのですね。そうと分かれば負けてられませんね」
 ビスマスもまた、真の姿へ変身を試みる。
「彼の自我がある内に決着を付けましょう……彼を救う為にも!」
 ディメイション・ローカルドライバーに、トリガーとなるガジェットを装着!
 途端、ビスマスの鎧装もまた、ビスマス結晶の蒼鉛鎧に変化し、手元の武器が黄金に輝く巨大マグロに変わった。
「キビも最初っからクライマックスだよっ!」
 小雉子は人型から雉型鳥人間のような姿へ変わると、真っ赤な九頭雉鶏精テクターを纏い、桃太郎の力を体現させる。
 これらに王子さまは、発狂するほどの幸運を与える黄金ビームで攻撃しながら、周囲に自分の体から剥離させた黄金を花弁の如く漂わせて刃の嵐に変える。
「なんのこれしき……!」
 ビスマスは魔法で生み出した漆黒の闇の弾丸をアームドフォートから弾幕としてばら撒く。
 闇が光を遮り、僅かな時間だけ黄金光線が猟兵へ届かなくなってしまう。
「キビも行くよ! 時の愚鈍『スロウフールハウル』発射!」
 小雉子も時空遅延魔法を弾幕として発射!
 2人の弾幕により、王子さまの行動と判断が徐々に抑え込まれてゆく。
 ここに、蒼が駄目押しとばかりに防御弾幕を展開!
「彩虹さん、虹三葉『レインボークローバー』で防御壁を作りましょう!」
『分かりました!』
 戦車龍に差し込まれた魔法カードを媒介に、幸運の気を視認可能まで圧縮具現化させたクローバー型の弾幕が、周囲を漂う黄金の花弁をことごとく弾き換えす。
 完全に包囲され、視界と感覚を鈍らされた王子さまは、完璧なコンビネーションに全く手が出せない。
「ひいろちゃん! なまりちゃん! お願い!」
 小雉子は追撃で立て続けにマジックカード2枚を発現させる。
 燃え盛る真紅の小猿がタックルをかませば、小さな青い狛犬が虹色の火球を口から放った。
「ぅう……! 一体、何が起きているのだろうか……!?」
 状況把握が全く出来ない王子さまは、今や3人の十字砲火を一心に浴びるだけ浴びるほかない。
「おふたりとも、ユーベルコードで一気に決めましょう!」
 ビスマスは輝く手に持つマグロを、剣先イカへと形状を変える。
「なめろうフォースセイバー……ご当地パワー出力全開っ! 剣先イカのイカスミ入りなめろうの大地の力をここに!」
 光り輝く剣先イカ型の大剣と共に、アームドフォートの超至近距離砲撃が王子さまへ炸裂!
「なめろうスプラッシュ……サイクロンッ!」
 爆裂!
「うわあぁっ!?」
 あまりの威力に、王子さまは後方へ吹っ飛ばされる!
「今度はキビが! はあぁぁぁっ!」
 吹っ飛んでゆく王子さまに追い縋ろうと、小雉子は己の髪の毛を変化させた雉鶏精の羽針を発射!
 王子さまへそれらが命中すると、なんと、吹っ飛んでゆく王子さまの動きがスローモーションに!
「キビの雉鶏精の羽針は、対象の時空の動きを鈍らせるよ。そして、追い付いた!」
 小雉子は活性化した霊刀を掲げ、王子さまの懐へ肉薄してゆく。
「光よりも速く、刻の刃は加速する……偽御神刀は雉鶏精の力を乗せて、吠えろ吉備男っ!」
 容赦なく叩き込まれる時空断!
 王子さまの時空が今度は急激に加速してゆく!
「骸魂だけを経年劣化、崩壊させるよ!」
 時空を操る彼女だからこそ出来る芸当だ!
「吉備ちゃん、ビスマスさん、あとは任せて下さい!」
 不殺の意思を貫く蒼は、虹色の幸運エネルギーを媒介に、ユーベルコードを発動!
「どうしても、戦わなければならないのならば……せめて苦痛を知らずに安らかに。送り手の彩雲機『イリディセントコントレイル』ッ!」
 彼女達の頭上から、雷鳴の如きエンジン音が重なって聞こえてきた。
 終着駅の屋根を突き破って突撃してきたのは、虹色の雲で出来た戦闘機『彩雲』だ!
「この戦闘機は、痛みを感じさせずに、攻撃対象を無力化することができます。王子さま、今、助けてみせますから!」
 召喚された戦闘機『彩雲』は98機の大編成部隊だ。
 それらが一斉に空から空爆を行い、王子さまの骸魂と『虞』を痛みを与えることなく削り取ってゆくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アマリア・ヴァシレスク
少しやりにくい感じだけど…世界と、そして王子様も救うために全力で行きます、です!

交戦開始と同時に追加武装プラットフォームを要請、到着までの時間をレーザーライフルによる【レーザー射撃】で凌ぐ、です
黄金の光は【見切り、ダッシュ】で避けつつ、当たってしまった場合は【覚悟】によって抵抗を試みる、です

フォルタラーツァが到着したら直ちに装着。これが私の真の姿(フルアーマー)、です!
重機関銃にて【制圧射撃】しつつ、【推力移動】で急接近。【怪力、暴力】での全力の【シールドバッシュ】を叩き込んで【体勢を崩す】、です!
そしてその隙に…【リミッター解除、エネルギー充填】! 《決戦砲撃ζ》…行きます、ですっ!!



「驚いたよ……本当にこれなら、僕が取り込んだ骸魂が浄化されそうだ……」
 猟兵達の不殺の信念が、王子さまの骸魂を砕き、斬り裂き、浄化していったことで、内包していた『虞(おそれ)』の大部分は発散されていた。
 それはつまり、あとは王子さまの中の骸魂を完全に破壊すれば、王子さまを救出できるということだ!
「自分の黄金を剥がして、雲の道を作る材料にするなんて……少しやりにくい感じだけど…世界と、そして王子様も救うために全力で行きます、です!」
 アマリア・ヴァシレスク(バイオニックサイボーグ・f27486)は意を決して真の姿へと変貌する。
 黒いレオタードのようなバトルスーツだけを纏い、肩と背中には巨大な追加武装を背負っている。アマリアは、見た目は美しい女性だが、その身体の大部分が人工物で構成されるサイボーグなのだ。
「目標、エンカウント……追加武装プラットフォームを要請、です!」
 更に追加武装を上位権限に要請、異空間からの転送のためのタイムラグの間、彼女は手持ちの武装で対処を始める。
「そっちが光線を放つなら、こちらも遠距離からの狙撃で対抗、です」
 大型レーザーライフル『EMLR-01X』を遮蔽物越しに撃ちまくるアマリア。
「ふうん、射撃対決かい? 面白そうだね」
 王子さまもガラクタの山から山へ渡り移るアマリアを視線で追い回しつつ、発狂するほどの幸運を押し付ける光線を幾度となくビームとして放つ。
「戦場傭兵、なめないでください、です!」
 今まで培われた戦場の勘が、アマリアに危険予知として働きかける。
 ここは『忘れられたものたちの終着駅』……人間達から忘れられた品々が山積している。
 それを遮蔽物として幸運ビームの直撃を免れ、また他のガラクタの山へ猛ダッシュで滑り込む。
 そこで再び射撃と砲撃を繰り替えずアマリア。
 この場は彼女の独壇場だ。
 戦場を駆け抜けてきた経験が、今此処で王子さまを助ける最善手を放ち続ける。
「まさか、この場の地形を有利に戦略の中に盛り込んでくるなんて……だいぶ、僕の金箔が剥がれ落ちてしまったよ。ここまで腕の立つ君は、随分と切れ者じゃないかい?」
「そんな事ない、です……私はただ、王子さまを助けたい一心、です。地形の利用は、今までの癖みたいなもの、です」
 背後に回ったアマリアのビーム射撃が、王子さまの金箔をまた少し削っていった。
 と、ここでようやく追加武装が到着。
「追加武装プラットフォーム『フォルタラーツァ』、換装……これが私の真の姿(フルアーマー)、です!」
 アマリアは一気に勝負を決めるべく、他の武装も同時展開していった。
『フォルタラーツァ』に装着する重機関銃『プロアイア・デ・オツェル』の弾幕で制圧射撃を敢行。
 王子さまは身を守るべく、攻撃の手が途絶えてしまった。
 そこを見逃さないのが傭兵たるアマリアだ。
「ごめんなさい、です!」
 一気に距離を詰めたアマリアは、シールドガントレットで王子さまを殴り飛ばす!
 体勢を崩された王子さまは、その場で仰向けに倒れ込んでしまう!
「今のうち、です! オーバーヒートは承知の上……ですっ!」
 シールドガントレットに内蔵されている短砲身プラズマ砲『フルジェル』に過充電急速チャージを敢行すると、王子さまの鉛の心臓へ狙いを定める。
「これでおしまい……<決戦砲撃ζ(マーレ・ネノロチータ・デ・アルマ・ノーア・ミィ)>……行きます、ですっ!」
 極大出力のプラズマ砲、全弾一斉発射!
 白光の稲妻が砲口から迸ると、高圧高温の弾丸が王子さまの鉛の心臓へ直撃!
「――っ!?」
 王子さまに巣食っていた骸魂が、このダメージ耐えきれずに、遂に完全に崩壊!
 黄金の像から、爆弾のように凄まじい量の『虞』が発散されていった!
「……本当に、骸魂だけを破壊しちゃったね」
「はい……任務達成、です!」
 アマリアは、起き上がれない王子さまに手を差し伸べる。
 王子さまはサファイアの瞳に、真珠の涙を浮かべた。
「ありがとう……! 僕を助けてくれて、本当にありがとう……!」
 王子さまはアマリアの手を握り返して立ち上がる。
 戦闘で剥がれ落ちた金箔が、風に乗って何処かへ運ばれてゆくのを、アマリアは見届ける。
「絶対に、他の親分さん達も助けてみせます、です……! そして、2つの世界を、守ってみせます、です!」
 胸に宿る黄金の決意を宿したアマリアは、全ての元凶が待つスカイツリー・ゲイン塔の方角を睨み付けるのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月19日


挿絵イラスト