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大祓百鬼夜行⑧〜絶死の間合いの中で活路を見出せ~

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

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●カクリヨファンタズム・まぼろしの橋
 カクリヨファンタズムの川には時々、橋が架かる。それはまぼろしのように消える橋ではあるが、それでいて渡った者を黄泉に送るとされる橋である。
 美しい月に照らされ、川は煌めく。ああ、こんな美しい中で黄泉へと行くならば悪くない、と思わせる風景だが、今は違うのだ。
「来たれ、死を望む者達よ」
 その橋に差し掛かった妖怪が偶然と骸魂に取り込まれた。そしてその骸魂は「神」の呪いによって死んだ者たちの無念と憎悪が集まり形となした、魂の残滓であった。
 その呪いと呼べる集合体はただ目に映る全てを破壊しつくす。幽世に倦んだ妖怪が渡るという噂の橋に差し掛かる者達を先に介錯してやるために。
「我が剣の礎となるがいい」
 亡霊は呟く。その異空間はこの憎悪の残骸を倒すか、黄泉に行くしなければ解くことは能わず。人知れずこの狭い橋は死闘の会場となった。

●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「無理矢理殺し合いの空間になったけど、被害者が出る前に対処だよ!」
 狭い橋に佇む悪鬼羅刹の姿を電脳ウインドウに映しながら、エィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)は説明を始める。その瞳が憎悪の残骸を見る目は、敵というよりも哀れみの対象としてだ。
 このまぼろしの橋はカクリヨファンタズムから黄泉に行きたいと思う妖怪の元に現れる。だがその橋を占拠し、「死んだ想い人の幻影」を見せて妖怪を橋に引き寄せ、黄泉に送ろうとする為にその刃を振るう。
「それは殺すということなんだけど、望んでいるからといって殺していい理由にはならないよー!」
 エィミーはそう力説する。妖怪が渡る前に殺されること、そして骸魂に飲み込まれている妖怪が手を下すことを防ぐ為に、猟兵はその空間に入って戦うしかない。
 それは狭い橋であり、最初から憎悪の亡霊と刀の切り結び合いができる間合いで対峙することになる。それはこの異界を作り出した骸魂の意志かはしらないが、小細工抜きでの斬り合いが望まれるということだ。
「この斬り合いを制した方が勝ちとなるし、骸魂さえ倒せば解放されるから頑張ってね!」
 そういってエィミーは転移術式を展開する。互いの命が届く間合ので剣の勝負、それを制した者が勝利を収める橋での決闘が始まる。


ライラ.hack
 狭い橋、逃げれない間合いの死合開幕。
 どうも皆様こんにちは。ライラ.hackです。

 このたびは大祓骸魂を弱める為、狭い橋で斬撃殺戮を起こそうとする大祓骸魂勢力のオブリビオンを撃破するのが目的です。
 カクリヨファンタズムの川には、時折、渡った者を黄泉に送る「まぼろしの橋」が掛かります。幽世に倦んだ妖怪が渡るという噂の橋を「強力なオブリビオン」が占領し、「死んだ想い人の幻影」を見せて妖怪を橋に引き寄せ、黄泉に送る……すなわち、殺そうとしています! 橋に踏み込むと周囲は超空間となり、オブリビオンを倒すか黄泉に行くまで出ることはできません。が、犠牲者が殺される事、そしてこのオブリビオンが殺害の罪を背負う事のどちらも、見過ごすわけにはいきません!

 補足としてカクリヨファンタズムのオブリビオンは「骸魂が妖怪を飲み込んで変身したもの」です。飲み込まれた妖怪は、オブリビオンを倒せば救出できます。

 以下、特殊ルールとなります。
 プレイングボーナス……狭い橋の上でうまく戦う。

 以上となります。今回は剣と剣、避けられない間合いでの斬り合いを制した者の勝ちとなります。
 それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『無銘なる憎悪の残骸』

POW   :    只、不条理への憎悪を抱き
【憎悪】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    其の太刀、神を討つ逆神の刃也
装備中のアイテム「【妖刀村正『逆神』】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
WIZ   :    死して尚、死を畏れ足掻き
【呪いで死した者たちの軍勢】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は無銘・サカガミです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

死之宮・謡
アドリブ歓迎

ほうほう…制限された戦場での一騎打ちか…中々だな…此方が単騎とは限らんが、な…
まぁ良いさ…我等や妖怪共の代わりに骸魂何て名前の貴様が黄泉に行くが良いさ…

先ずは逃げ場無く橋の上を覆うように衰弱の・呪いの黒霧と炸裂する呪球を展開して戦闘領域を整える
呪いと共に襲い掛かる。怨念も怒りも呑み込みながら剣を弾く様に間合いを維持しながら連撃。逃げ場の無いように薙ぎ払って吹き飛ばし
折を見て【狂瀾】を叩き込み、その後も死ぬまで攻撃


牧杜・詞
相手を斬れば勝ち。とってもシンプルね。
カクリヨやオブリビオンのことがなくても、こちらからお願いしたいくらい。

橋の上っていうのも邪魔される心配がないし、思いきり殺し合えていいわ。
【足場習熟】と【地形の利用】を使って、
狭い中でも欄干まで使って、なるべく大きく立ち回らせてもらうわね。

相手も刀みたいだし、わたしも【鉄和泉】を抜いて【識の境界】を発動。
基本は相手の攻撃を躱しながら戦うつもりだけど、それだけではちょっと足りないかな?
今回は【新月小鴨】も【武器受け】で使っていこう。

何度か切り結んで相手のクセが解ったら、スピードと【フェイント】で崩したところに一閃。
新月小鴨を捨て、両手で鉄和泉を振るうわね。


アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

斬り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ、踏み込みいけば其処は極楽。
手にするは武器改造した結界術で生成した刀。
深い集中力で己の最大限のパフォーマンスを発揮する神懸かり(降霊)。思考は加速(瞬間思考力)し、自分を含めた全てがスローになって行く。
武器を振るう腕の間合い、腰を入れる胴の間合い、踏み込む脚の間合い、走り込む歩の間合い、その間合い全てが我が結界術。
「神仏降霊神憑り 妖の息吹 拾壱の型 須佐之男」
荒波の如き豪刀で、何もかも洗い流すかのように蹂躙してあげるわ。

あ、相手の攻撃は結界術で位相をずらしてすり抜け回避するわ。継戦能力でヒュンケる(動詞)してもいいけど。


シン・コーエン
小細工抜きの斬り合いか、そういうのは嫌いではない。
先ずは灼星剣を出して斬り合う。

相手のUCに合わせて『刹那の閃き』使用。
攻撃を読み、見切りと併せて回避したり、灼星剣の武器受けで受け流す。
攻撃の余波はオーラ防御で防ぐ。

反撃として灼星剣の2回攻撃で斬り上げ、斬り下げる。

ある程度、相手の手の内を知ったなら、一旦下がって距離を置く。
「ここは刀で勝負するか。同じ村正(サムライエンパイア製だが)だしな。」
灼星剣を消し、腰に差した村正に手を掛け、残像を残し、足の裏から衝撃波を放って加速しつつダッシュ。
早業で村正を抜きつつ念動力で刀身を加速し、切断属性攻撃を加えた居合切りで骸魂の剣よりも速く斬ってのける!



 カクリヨファンタズムの世界であっても、そのまぼろしの橋は異質を誇っている。常にかかっている橋ではなく、川に突如現れるからだ。
 渡った者を黄泉に送るとされる橋にあって今は妖怪達の介錯人として骸魂に取り付かれた妖怪が一匹あり。その片手には妖刀村正『逆神』が握られている。
 「神」の呪いによって死んだ者たちの無念と憎悪こそがその骸魂の核。故にその狭い橋で振るわれる太刀筋に一切の容赦もない。
「来たか。死にゆく者よ」
「ほうほう…制限された戦場での一騎打ちか…中々だな…此方が単騎とは限らんが、な…」
 そしてその限定された間合いでの一騎打ち空間に足を踏み入れたのは死之宮・謡(存在悪:狂魔王・f13193)。血と憎悪に飢えた敵に魔王たる自身の血潮が滾る。
 憎悪こそ己を構成している存在の一つである。謡は心地よい感情に晒されながらも、心は凪いでいた。
「まぁ良いさ…我等や妖怪共の代わりに骸魂何て名前の貴様が黄泉に行くが良いさ…」
 それ以上は言葉はいらないとばかりに、憎悪の残骸は殺気を放つ。己が霊の部分呪いで死した者たちの軍勢へと変わる。
 この狭い空間で複数の斬撃、避けるられるものではないだろう。だが謡は何事でもないとばかりに逃げ場無く橋の上を覆うように衰弱の呪いの黒霧と炸裂する呪球を展開する。
「憎しみに塗れた軍勢だとこの程度で十分よ」
 強い攻撃力と耐久力を備えているとはいえ、理性を失った獣同然の軍勢。呪いで衰弱したところでさらに炸裂した呪詛の弾丸が身体を消し飛ばす。
 だがそれでも刃を振るわんと憎悪の残骸は謡に攻撃を仕掛ける。その意気はよしとは思うが、謡は剣撃を真正面から弾き返し、間合いを維持しながら周囲の軍勢をかき消すように連撃を放つ。
「恐れを抱いて朽ち果てよ…」
 優雅に振るわれた薙ぎ払いで相手を軍勢ごと吹き飛ばし、逃げ場を塞ぐ。そして能力「狂瀾:魂魄呪(カースド・スピリット)」を発動させる。
 根源的な恐怖がその骸魂に侵食し、魂に刻んだ呪いから、発狂する程の恐怖が理性を回復させる。憎悪に塗れた魂であっても、その痛苦は並大抵ではない。
「その表情こそが、私の望むものだ……」
 そして謡は気にせずに攻撃を繰り出していく。軍勢を減らされて焦った憎悪の残骸は、謡を結界の外へと弾き飛ばす。
 しかし猟兵は一人ではない。謡によって減らされた軍勢を率いる敵に対して、足を踏み入れたアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト魔少女・f05202)は恍惚の笑みを浮かべる。
「斬り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ、踏み込みいけば其処は極楽」
 子供の如き無邪気さと小悪魔の如き妖艶さを併せ持ったアリス。その憎悪の残骸の殺意を向けられても、まるで子供が玩具を見つけたようなテンションであった。
 子供とは無邪気であり、残虐性を持った存在である。その具現化存在であるアリスは、その悪魔的笑みを浮かべ、手にするは武器改造した結界術で生成した刀である。
「心地よい。気持ちいいほど殺気だわ」
 恍惚が快楽となり、アリスの力へと変えていく。それでもその憎悪より分けられた軍勢はアリスに向かって突進して攻撃を繰り出す。
 だが今のアリスは深い集中力で己の最大限のパフォーマンスを発揮する神懸かかった状態である。思考は加速し、自分を含めた全てがスローになって行く。
「遅い、遅すぎるわ」
 アリスがそう知覚するのも無理はない。武器を振るう腕の間合い、腰を入れる胴の間合い、踏み込む脚の間合い、走り込む歩の間合い、その間合い全てがが自身の掌握範囲内である。
 一種の結界術といっても過言ではない間合。軍勢の攻撃をすり抜け、躱し、時には斬り捨てて、憎悪の残骸本体の間合いへとスルリと入っていく。
「神仏降霊神憑り 妖の息吹 拾壱の型 須佐之男」」
 能力「妖の息吹 神憑り(アヤシノイブキ・カミガカリ)」により、己の放つ攻撃が研ぎ澄まされていくのがわかるアリス。憎悪の残骸が攻撃を振るうものの、張り巡らせた結界で位相をずらしてすり抜け回避する。
 そして放たれるは荒波の如き豪刀。何もかも洗い流すかのように蹂躙の斬撃は、憎悪の残骸の魂を引き裂くと共に、分かたれた軍勢をも消し飛ばす。

「ぐぬうううううううう!」
 さすがの憎悪の残骸もアリスによって軍勢を吹き飛ばされれば、一旦距離を開けざるを得ない。それは自身の敗北を認めることになり、アリスを自身の結界から弾き出すことにもつながる。
 黄泉へと送る自身の間合いが、逆に己を必殺へと追い込まれていることに気づくことはない骸魂。そして牧杜・詞(身魂乖離・f25693)はそんな狼狽する憎悪の残骸のテリトリーに入り込んでくる。
「相手を斬れば勝ち。とってもシンプルね。カクリヨやオブリビオンのことがなくても、こちらからお願いしたいくらい」
 それは嘘偽りのない詞の心境であった。とある森を守っていた一族最後の生き残り、守る者すらも滅ぼした戦闘の申し子。
 戦いこそは殺すことである。それを再現したこの橋の上の空間は心地がよく、居心地も素晴らしいと詞は感じている。
「橋の上っていうのも邪魔される心配がないし、思いきり殺し合えていいわ」
「ならば、思う存分死合おうぞ」
 同類の臭いを感じ取った憎悪の残骸は、手に持った妖刀村正『逆神』を強化していく。軍勢など小競り合いは詞には通用しないと思ったのだろう。
 その直感は正しく、橋という足場を理解し、狭い空間というスペースを把握する。そうすることで初撃の斬撃を優雅に躱し、敵の妖刀に目を向ける。
「いい刀ね。ならばこちらも鉄和泉を抜きましょう」
 刀身が濡れたような深い緑に輝いて見える打刀「鉄和泉」を抜く詞。そしてそのまま能力「識の境界(シキノキョウカイ)」を発動させる。
 己が衝動を解放することで、詞は殺人鬼モードへと移行する。こうなってしまえばスピードと反応速度は桁違いとなる故に、衝動に染まった瞳は憎悪の残骸を捉える。
「根源を示せ」
 そう言ったが最後、逆神と鉄和泉との切り結びが開始される。刀と刀の応酬は壮絶なる火花を散らせ、一撃必殺の斬撃が飛び交う。
 相手の攻撃を躱せないと思った時には腰にある白鞘の短刀「新月小鴨」を抜いて、斬撃を受け止める。さながら二刀流の剣士のような立ち回りと、殺意すらも平然と踏み込む立ち回りで前へと出る。
「小癪な!」
 新月小鴨を打ち崩そうと強い斬撃を放とうとする憎悪の残骸。だがそれをも読んでいた詞は、短刀を捨て両手で鉄和泉を握る。
 すでに何度か切り結び相手のクセは把握している。踏み込みと共にフェイントで斬撃を躱し、足で小突いて体勢を崩した所に強烈な一閃が刻まれる。
「がはっ……!」
 その一閃はまさしく憎悪の残骸の魂に強烈な傷をつける。その証拠に詞はこの橋の結界外に出されていたのだから、ダメージは察することはできる。
 だが膝を折ることのなく、憎悪をまき散らす無銘の残骸。その手に握る妖刀村正『逆神』を握る力が増しているのを見て、シン・コーエン(灼閃・f13886)は感心する。
「小細工抜きの斬り合いか、そういうのは嫌いではない」
 謡に、アリスに、詞に傷をつけられてもなお耐えきって、その刀を振るう力は増す。剣士として立ち会うには極上の相手だとシンは思っていた。
 目の前の戦いを楽しもうという戦人で、尊敬できる強敵との戦いの出会いに心が歓喜する。その気持ちを抑えつつ、深紅に輝くサイキックエナジーの剣「灼星剣」を抜くシン。
「いざ」
「参る!」
 二つの掛け声と共に剣戟が鳴り響く。シンは逆神の能力に対抗する為に、能力「刹那の閃き(セツナノヒラメキ)」を即座に発動させていた。
 対象の、動き・視線・気配・思考を読み切り、剣を結ぶ間にも情報を集める。攻撃を読み、見切りと併せて回避したり、灼星剣の武器受けで受け流す流麗なる動き。
「まだだ!」
 だが憎悪の残骸はさらに攻撃スピードと威力を上げていく。まるで憎悪がその身体に力を与えているようだった。
 それに対して念の為に身体に張っておいた防御のオーラが役に立つ。ただ斬撃を受けるだけではなく、反撃として灼星剣の斬り上げ、斬り下げの連撃を叩き込む。
「ここは刀で勝負するか。同じ村正だしな」
 そう言って一旦下がって距離を置くシン。ある程度、相手の手の内を知ったと判断し、サムライエンパイア製の美しい刃紋の日本刀「村正」を視線を送る。
 灼星剣を消し、腰に差した村正に手を掛ける。憎悪の残骸が極限の一閃を放ってくるが、斬ったのシンの生み出した残像であり、本人はすでに加速した後であった。
「貴様の攻撃、読み切った!」
 足の裏から衝撃波を放っての加速。そこから刹那の抜刀術で村正を抜き、己の念動力で刀身を加速する。
 神速となった抜刀はあらゆる者を切断せんとした居合切りと化し、憎悪の残骸の逆神よりも早くその身体を引き裂く。真っ二つになるかと思われたが、すぐに骸魂の力で引き寄せていく。
「お、の……れ……!」
 忌々し気にシンもまた、橋の結界の外へと出ていくこととなる。彼もまた強者であり、己の生命を脅かすものだと判断されたためだ。

 この橋は黄泉へと送る者であり、黄泉に送る力を持つ者はお呼びではない。それを可能としているのは百鬼夜行の骸魂の力の一つでもある。
 そして橋での戦いは苛烈を極め、一つの憎悪の化身を追い詰めていく。その刀身は斬ること能わず、また己が生命も脅かされていることにも気づくことはなかったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オーガスト・メルト
問答無用か
まぁ、その方がこちらとしても分かりやすくて楽でいい

【POW】連携・アドリブ歓迎
デイズ、ナイツ、グロームは待機してろ。この間合いでは下手な手出しは俺に不利になりかねない
『うきゅー』『うにゃ』『チチッ』

【焔迅刀】を構えて戦闘開始する
敵の攻撃を【見切り】、【武器受け】と【残像】を織り交ぜて回避
橋の上なら動き回るよりカウンター狙いの方が良さそうだ
こちらの攻撃は炎の【属性攻撃】による斬撃の【二回攻撃】を主体にする
敵のUCはこちらのUC【赤光断雷】で無効化

おいおい、せっかくの死合いだというのに無粋な力を使うなよ
ガチンコでやろうじゃないか

最後は居合抜きで【気絶攻撃】を叩き込もう


トリテレイア・ゼロナイン
その憎悪を無辜の妖怪達へ向けることは許しません
騎士たる私がお預かりしましょう
その剣でもって、全力を持って私にぶつけるが宜しいかと

逃げ場など無き戦場…ええ、騎士として臨む所
真っ向勝負と参りましょう

UC使用

剣戟を怪力の剣盾の武器受け、盾受けで防御しつつ大盾殴打
センサーでの●情報収集で限られた移動スペースを把握、敵の剣が最大威力を発揮する間合いとならぬよう、細やかでごく僅かなすり足での接近や離脱で微調整

抱えた憎悪はその程度のものですか!
全て吐き出してお見せなさい!

更に肥大化し放たれた斬撃を●瞬間思考力で見切り
自己ハッキングで限界突破した出力で剣で受け止め、絡めとり武器落とし
返す剣で一閃


風嶺・陽
※アドリブ歓迎

はてさて……。ブランク明けに軽く身体を動かそうかと思えば妙なところに行き当たってしまいましたねぇ。
とは言えやることシンプル、要は先に致命傷を与えればいいとそういうことでしょう。

とりあえず【存在感】で威圧しつつのらりくらりと間合いを詰めます。相手の攻撃を【見切り】ながら刃の側面をぶん殴りつつ【受け流し】、間合いを詰め切ったなら【怪力】込みのUCを顔面にでもぶち込んで大人しくさせましょうか。

流血、負傷描写も問題ありません。
怯むことなく歩みを進め、この闘いを制するとしましょう。



 無銘の憎悪の残骸は「神」を憎む。その呪いによって死に絶えた無念と憎悪こそが己が根源であると理解しているからだ。
 骸魂となって妖怪を取り込み、このまぼろしの橋にて妖怪達を屠らんとしているのもその憎悪を晴らす為である。元々このカクリヨファンタズムすら儚んで黄泉へと渡ろうとする輩達だ。この刀の錆にして何の咎があろう。
 しかしそれは骸魂である身の上だけの都合だ。殺されようとする妖怪のことも、殺そうとする飲み込まれた妖怪の都合も無視した蛮行を猟兵は許しはしない。
「問答無用か。まぁ、その方がこちらとしても分かりやすくて楽でいい」
 その狭い橋の結界に端を踏み入れたオーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)は気楽な感じで微笑む。独自の騎士道を歩む男は人助けならぬ、妖怪助けだとして無遠慮に殺戮の場に足を踏み入れる。
 独自の騎士道を重んじるお人好しなのは危険を晒している時点でわることだろう。あまり堂々と人助けをするのは好まない故に、感謝も称賛も与えられないこんな戦場は好みだと言える。
「デイズ、ナイツ、グロームは待機してろ」
 『うきゅー』『うにゃ』『チチッ』という返事をドラゴンランスの【デイズ】、竜二輪の【ナイツ】、蜘蛛ロボ【グローム】がそれぞれ行う。本来であればこの頼もしい相棒達と共に戦うのがオーガストの戦闘スタイルだ。
 だがもはや憎悪の残骸の必殺の間合いに入り込んでいる。この間合いでは下手な手出しはれオーガストに不利になりかねないと判断してのことだ。
「別れは済んだか? では死ね」
 そう言うと憎悪の残骸は身体が巨大化し、戦闘能力が増強される。その憎悪こそが燃料であり、強さの源と言わんばかりに剣を振るう。
 オーガストはいかなる高温にも耐える竜の鱗から造られたとされる小太刀「焔迅刀」を構える。巨大なプレッシャーに晒されても攻撃の起こりを見切り、焔迅刀で受け流しながら回避していく。
「おいおい、せっかくの死合いだというのに無粋な力を使うなよ」
 そして橋の上なら動き回るよりカウンターと言わんばかりに能力「赤光断雷(バーントシェンナ)」を発動させる。抜刀から放たれた精錬収束させた魔力を籠めた焔迅刀の魔刃による一閃は、憎悪をによって増幅した歪なる力を絶つ。
 そうして元の体に戻った所に炎を纏わせた焔迅刀の連続斬撃が憎悪の残骸を斬り刻む。それでも怯まずに妖刀村正『逆神』を振るうものの、その刃は宙を斬る。
「ガチンコでやろうじゃないか」
 不敵に笑ったオーガストの居合切りが炸裂し、骸魂の意識を切り絶つ一撃が放たれる。そのまま意識をもっていかれると思ったが、憎悪の感情がその場に踏み留まらせる。
 脅威のオーガストが結界外へと消えていくが、まだ終わりではない。次に姿を現したのは機械仕掛けのパラディンたるトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)だ。
「その憎悪を無辜の妖怪達へ向けることは許しません。騎士たる私がお預かりしましょう」
 澄んだ言葉から感じられるのは純然たる騎士の精神であった。子供向けの騎士道物語群・御伽噺を行動基準・理想と設定された人格データとは言え、今はトリテレイアの行動規範になっている。
 だからこそ理不尽な憎悪の刃は振るわせない。その強い意志と共に剣と盾を構える。
「その剣でもって、全力を持って私にぶつけるが宜しいかと」
 そう言うが早いか、憎悪の残骸は逆神を振り下ろしてきた。憎悪の力で増幅された斬撃は妖怪達をたやすく絶つであろうと予測できた。
 だからこそトリテレイアは剣戟を怪力をもって剣と盾を握りしめ、全力で受け止める。そして防御しつつ、逆神を押し返すようなシールドバッシュを炸裂させる。
「逃げ場など無き戦場…ええ、騎士として臨む所。真っ向勝負と参りましょう」
 能力「機械人形は守護騎士たらんと希う(オース・オブ・マシンナイツ)」を発動させるトリテレイア。己が騎士道を貫く限り、その理想が大いなる力を与える。
 不合理にして、不可解。憎悪の残骸にとってはトリテレイアは理解できる者ではなく、否定するためにも斬撃を打ち込み続ける。
 だがトリテレイアのセンサーでの情報収集で限られた移動スペースを把握する。その上で憎悪残骸の逆神が最大威力を発揮する間合いとならぬよう、細やかでごく僅かなすり足での離脱で最適位置を微調整する。
「抱えた憎悪はその程度のものですか! 全て吐き出してお見せなさい!」
 その位置で肥大化し放たれた斬撃を躱すべくして回避し、自己をハッキングすることで機能のリミッターを外し限界突破した出力で逆神を叩く。一体化しているか落とすことができなかったが、バランスを崩した所に、返す剣の一閃が刻まれる。
「ゴホッ!」
 その反応は顕著であった。次々と刻まれる猟兵達の攻撃を受けて、トリテレイアの傷が骸魂の許容範囲を超えたことを認識する。
 その派手な吐血が証拠であったが、今はそのトリテレイアも結界の外だ。だが一匹の羅刹がその場に立って、迸る殺気を憎悪の残骸に向けている。

「はてさて……ブランク明けに軽く身体を動かそうかと思えば妙なところに行き当たってしまいましたねぇ」
 風嶺・陽(鬼刹猟姫・f06532)にとっては久々の猟兵の仕事、とは言え自分向きのお誂えの戦場だとも思っていた。鈍っている感覚を取り戻し、勘を取り戻す機会が早速訪れたとも感謝する。
 基本的には穏やかな性格なれども、戦場では一匹の鬼。故に戦闘時に沸き起こる衝動的な怒りの苛烈さを隠すことは今はしない。
「とは言えやることシンプル、要は先に致命傷を与えればいいとそういうことでしょう」
 言い表すことのできない存在感を放つ陽に警戒感を示す憎悪の残骸ではあるが、それを無視するように陽は無造作に間合いを詰めてくる。当然、憎悪の籠もった斬撃をもってして迎撃する。
 陽はしっかりと逆神の刃の軌道を目で捉え、その上で体捌きで最小限に回避する。さらに斬撃スピードが上がり体捌きだけでは足りなくなるや、刃の側面をぶん殴りつつ受け流す。
「この、化物が!」
 その陽に鬼を見た憎悪の残骸は、憎しみを昂らせて意地でも斬り刻もうと逆神を打ち込む。さすがの陽でもすべてを回避しきれずに血飛沫が舞うも怯むことなく歩みを進める。
 そしてついに己の拳の間合いへと到達した陽。発動するは能力「鬼哭灰燼掌(キコクカイジンショウ)」の掌底である。
「百の牽制ではなくただ一撃を以て、敵を打ち斃す――!」
 間合いを詰め切った所から、陽の持てるすべてを注ぎ込んだ掌底が顔面にぶち込まれる。恐るべき破壊音と共に、血と肉が弾け飛ぶ。
 肉体はおろか魂をも揺さぶる強打は、憎悪の残骸をも大人しくさせる。膝から崩れ落ちていくのを、当然のように見送る陽。
「これが无二打(にのうちいらず)です」
 そう宣言すると憎悪の残骸は包み込む骸魂の肉体が崩れ落ちそうになっていた。恐らくは骸魂自体を完全に粉砕したのだと思い、辺りを見渡すとまぼろしの橋の結界も崩壊していくようだ。
 勝利を確信する陽が見たのはその残骸の憎悪が消えていたように見えた。まるで強き者達との戦いで憎しみが消え去っていくほどの衝撃を受けたように晴れやかだったと言う。

 こうして妖怪達を黄泉へと送るまぼろしの橋の惨劇を防ぐことができた。これで橋が再び現れても妖怪達は心穏やかに渡り、黄泉へと行くことだろう。
 だが大祓骸魂の百鬼夜行が達成されてしまえば、カタストロフにより二つの世界は滅びる。この戦いを無為にしないためにも、猟兵達は次なる戦場へと向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月16日


挿絵イラスト