8
大祓百鬼夜行⑦〜お月様だってショックなのです

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#カクリヨファンタズム
🔒
#大祓百鬼夜行


0




●お月見しませんか?
「あっ、大祓百鬼夜行への対処、お疲れさまです!」
 今日今宵も忙しく、カクリヨファンタズムの世界へといく猟兵たちへ冬原・イロハ(戦場の掃除ねこ・f10327)が声を掛けた。
「今回は案内する皆さんには、お月見をしてもらいたいのです」
 イロハが猟兵たちを送るのは、一年中真夜中で満月のすすき野だ。どうやらカクリヨファンタズムにはそういった地が幾つもあるらしい。
「骸魂の影響を受けて、すすき野の満月が割れちゃったらしいんです。その中から、超巨大な『カタストロフの幼生』が生まれようとしているんです。皆さんが行くすすき野の幼生は今は全貌が見えていませんがなんかもふりとしてますね」
 ええと、色は私の毛のように白色です。
「これがどんな作用をしてカタストロフが起きるのかは分かりませんが、恐らくちょー簡単にカタストロフってしまうのでしょうね。幼生を消滅させるには、賑やかなお月見をするしかないようですよ」
 お月見が楽しく終われば幼生は消滅し、満月は元に戻るらしい。
 ぱかっと割れているのが、また丸いお月様の姿となるのだろう。とてもカクリヨファンタズムらしい光景だ。
 月が割れている光景を無視し、美しい月だと思い込みながら、お団子を食べたり、踊ったりしましょう、とイロハは言った。
「それこそお月様だって、本当は割れちゃってショックなはずです。貴方は大丈夫だよ、ってお月様を励ますように、こちらが楽しくしているのを嬉しく思ってくれるようにお月見していきましょう」
 ね。
 にっこりと、そう微笑んでイロハは猟兵たちを送り出すのだった。


ねこあじ
 ねこあじです。
 今回は大祓百鬼夜行の戦争シナリオとなります。
 満月もきっとショック。
 お月見しましょう!
 美味しいもの、持ち込みOK。

 プレイングボーナスは、『幼生の事を気にしないようにしつつ、全力でお月見を楽しむ』こととなります。

 プレイング送信の締切などはなく、プレイングの不採用もあります。
 プレイングが来たら今夜から書いていきます。
 さらっとするっとやっていきます。
 それではよろしくお願いします。
151




第1章 日常 『月割れてるけどお月見しよう』

POW   :    全力で月の美しさを褒め称え、「立派な満月」だと思い込む。

SPD   :    賑やかな歌や踊りでお祭り気分を盛り上げる。

WIZ   :    お月見にふさわしいお菓子やお酒を用意する。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

スキアファール・イリャルギ
……若干キマイラフューチャー入ってません?
あれは世界自体が真っ二つに割れたんでしたっけ……
(※キマイラフューチャーの戦争は未経験)

まぁとにかく……コローロ、ラトナ(ひかりとねこさんを呼び出す)
ちょっと協力してくれるかな、一緒にお月見をしよう
ラトナも食べますか、お団子(小さめの団子を差し出す)
ふふ、コローロは月に負けず綺麗に光っているね、綺麗だよ

んー、今宵もいい月です
……とは口で言うものの、躰の怪奇は騒めいております
"何処かいい月だ"とでも訴えてるんでしょうが無視です
もふもふな幼生すっごく気になりますが無視ですよ
お酒飲みながらお団子頬張ってふたりと楽しく語らい気分よく歌いますからね(無理矢理)



 野に広がるススキが風に揺れ、耳をすませばしゃらしゃらと音色が奏でられている。
 ススキ野は今宵も満月――であるはずだった。けれども満月は割れてしまっていて、何かが生まれようとしている。
 天体が割れる――そういえば、とスキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)は、とある戦線の話を思い出した。
(「確か、キマイラフューチャーも割れ……? あれは、世界自体が真っ二つに割れたんでしたっけ……」)
 季節としては同じ頃だったろうか。キマイラフューチャーが真っ二つに割れてバトルオブフラワーズが始まったという記録を読んだことがあった。
 ススキ野で少し開けた場所を見つけるとそこには床几台が。眺めの良い場所なので妖怪の誰かが置いたものだろう。
「でも、まぁとにかく――今宵はお月見日和ですね。コローロ、ラトナ」
 そう呟いて呼び出したのは火花のように瞬く光のコローロと、猫妖精で神モフな毛並みを持つラトナ・ラトリ。
 どうしたの、という風にラトナ・ラトリはスキアファールを見遣る。
「ちょっと協力してくれるかな? 一緒にお月見をしよう」
 座る床几台をぽんと叩けばもふもふな猫妖精がちょこんとお座りをした。 
「ほら、お団子もありますよ」
 食べますか? と小さめのお団子を差し出せば、ラトナ・ラトリのもふりとした腕が動いて猫の手がお団子を持った。
 猫の目のようにまん丸な月見団子。
 いいなぁ、という風に猫妖精とスキアファールの周囲をぱちぱちと光が流れていく。
「ふふ、コローロは月に負けず綺麗に光っているね、綺麗だよ」
 掛けられた言葉が嬉しかったのだろう、コローロが数多の火花を弾いて散らしていった。
「そして私は月見酒を一杯」
 酒器を台座に整え、とくとくと注いで。辛めの酒をゆるりと口に含む。
「んー、今宵もいい月です」
 人を謳歌する言葉を紡げば、躰の怪奇が騒めく。宥めるように甘味の団子を食べた。
(「"何処かいい月だ"とでも訴えてるんでしょうが――」)
 無視ですね、と一択。
「こんなにも良い月なのですから、存分に楽しまないと」
 ねぇと声を掛けて。
 もふもふな幼生も『すっごく』気になるけれども無視だ。気になった分はラトナ・ラトリの頭を撫でて心を満たす。
 見上げれば背高のススキの穂がさわさわと、月の光を弾き揺れている。
 穂光に誘われてコローロも舞い踊りながら光を散らした。一滴一滴の光が煌いて、雫となって落ちていく。
「ああ、楽しそうだね」
 コローロの様子にスキアファールも誘われて口ずさむ。それは歌となり、静かな、けれども絶えず狂気を滲ませる幽世を震わせた。
 のんびりとしたお月見とそれを楽しむ歌声は、大きな月にもきっと届くことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

稷沈・リプス
※自称:人間な男。お月見満喫するために、2020年浴衣姿できた。
月を欠けさせる側なので、本当に気にしてない。※

お月見っすね!おお、いい満月っす。
カクリヨは大きな満月見られるっすから、格別なんすよねー!

せっかくっすから、お団子と渋めのお茶も貰うっすね。
いやー、猟兵になってから月見団子と渋めのお茶の組み合わせ知ったんすけど、これもいけるっすね。
これを舌で楽しみながら、目は月を…満月を楽しむ。うんうん、とても贅沢っすね!

本当、戦争の最中にお月見できるって思ってなかったっすから。ここで楽しんで、英気をやしなって。
そして、勝つために戦いにいくっすよー!



 ススキ野では毎夜お月見を楽しむ妖怪たちもいるようだ。
 けれども今宵はぱっかりと割れてしまっていて――さわさわとした恐れを稷沈・リプス(明を食らう者・f27495)は感じ取った。『蝕』司る神、彼にとってはその空気すら心地良いものであったが。
「おお、今宵もいい満月っす。ね、妖怪さん」
 にっこりと微笑んで、リプスはお月見の準備をしていた妖怪たちへと話しかけた。
「あ、猟兵さんだ」
「ほんと、今夜も良い月だよ、ね?」
 たぬきとうさぎの姿をした妖怪が、にっこりと空を見上げた。
 慕う猟兵たちがそう言うのなら、と今宵も良い月だと褒め称える。
「ん。カクリヨの世界は大きな満月見られるっすから、格別なんすよねー!」
「お月様はいろんな色を見せてくれるよねぇ」
 ほら、今日の色も素敵、とうさぎが見上げてお月様を指差す。そして「あ」と声を上げた。
「猟兵さんにも満月!」
「へへー、粋っしょ」
 リプスが着る浴衣にも、胴部に満月。裾にはススキがあって、歩めば風に揺れるススキのように浴衣の穂もゆらゆら。
「猟兵さん、せっかくだからお茶でも飲んでく?」
 床几台に座りなよ、とたぬきに勧められて。
「ありがとっすー! せっかくっすから、お団子も貰ってもいっすか?」
 どうぞ、どうぞと妖怪たち。月見団子が綺麗に並べられてピラミッドを作っていた。
 お団子と、周囲には何やらキャラクターを模した菓子。
「これは何すか?」
 リプスが尋ねると、うさぎが「これは雪うさぎのマシュマロ」「こっちはスフィンクスなマジパン」と説明をしてくれた。
「スゲー、異文化交流すね」
 そんな会話をしているうちに、熱々のお茶がやってくる。
 ふうふうと、少し冷ましてから一口。お茶は確りと葉が抽出された渋めのもの。
「いやー、猟兵になってから月見団子と渋めのお茶の組み合わせ知ったんすけど、これもいけるっすね」
 月見団子と渋い茶を舌で楽しみながら、目は月を……――満月を楽しむ。
 うんうん、とリプスは頷いた。
「とても贅沢っすね!」
 本当に。
 ありがとうの気持ちを込めて、割れてしまった『満月』を見上げる。
(「戦争の最中にお月見できるって思ってなかったっすから」)
 ここで楽しんで、英気を養って。
 カクリヨファンタズムを救う道のりはまだまだ遠い。けれども危機は待ってはくれず、戦いに明け暮れる日々だ。
「勝つために次の戦いも頑張るっすよー!」
 意気揚々としたリプスの声に、ファイトー! と妖怪たちが声をあげた。
 彼らの漲る活力に、きっとお月様も戦う元気を取り戻していくことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガーネット・グレイローズ
やあ、いい月だね。少し割れてるけど、今は気にしない…。それより今日は、わがガーネット商会の慰労会なんだ。
ユーベルコードで呼び出したのは、グリードオーシャンの屈強な船乗り達。お酒と料理を運んできたら、車座になって楽しい《宴会》の始まり!
焼き肉に干し魚、きついが風味豊かなラム酒。そして特産品のワイン。宇宙で合成食料ばかり食べていた私にとっては、どれも素晴らしいご馳走だ。
「皆いつもご苦労様。今日は飲んで食べて騒いで、明日からまた頑張ってほしい」
宴もたけなわ、船乗り達の陽気な声がすすき野に響き渡る…。輝く月を一瞥し、酒の満ちた杯を月光にかざそう。

※アドリブ歓迎!



 その地は秋夜の涼やかさに満ちていた。
 風吹けばススキが揺れて、しゃらしゃらと穂の音色。
「やあ、いい月だね」
 ススキ野へと降り立ったガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が幽世の世界に、天から落ちてきそうなほど大きな月へと声を掛けた。
 見た月は本当に割れてしまっていたけれど、今は気にしない、とガーネットの表情も声も穏やかだ。
「しばらくよろしく頼むよ。今日は、わがガーネット商会の慰労会なんだ!」
 さあ、お月見だ! と両腕を広げてユーベルコードを発動させれば「待ってましたァァ!」と野太い大音声。
 呼び出されたガーネット商会の者たちは、グリードオーシャンの屈強な船乗りたち。
 一気に場が騒がしくなる。
「グレイローズ会長、こっちこっち!」
 ガーネットの腕を引っ張って座らせる船乗りその1。
 次々とグリードオーシャンの料理や酒樽、酒瓶を運ぶ船乗りたちも車座になった。
 簡易の竈を組み網を敷けば肉焼き開始。火の周囲に串刺した干し魚を配置すれば、旨みの詰まった香ばしさが立った。
 持たされたガーネットのグラスにはラム酒がなみなみと。
 まろやかで濃厚な香りを楽しんで、ほろ苦くて甘いそれをガーネットは味わう。
 海賊たちの話題は様々だ。やれこの前の商談は上手くいっただの、あの島の特産品が美味しかっただの、航海中にやらかした話、家族の話などなど。
 大らかな雰囲気で快活。豪放磊落な船乗りたちの語り口調は楽しいリズムを刻み、一種の明るい音楽のようだった。時折外してしまうのは御愛嬌。
「はい、ガーネットサン、焼き肉っす!」
「アクアパッツァも食べて食べて」
 ガーネットの皿が空けば次から次へと食べ物が投入されていく。
 食べながら今度は特産品のワインを味わう――初夏という季節に合わせて作られ、仕入れた白ワインは満足の出来だ――うん、良い仕事をする、とガーネットは交渉に訪れた島とその頭領の姿を思い描きひとり頷いた。
(「宇宙で合成食料ばかり食べていた私にとっては、どれも素晴らしいご馳走だ」)
 賑やかな声の音楽や雰囲気は、ガーネットが経験してきた食卓とは全然違うもので、素直に楽しいなと感じた。
 嬉しくて、楽しい。かつて在り、久しく忘れていた、人と食卓を囲むという喜び。こういった時にガーネットはふと感じ入る。
 だからこそ、感謝は今伝える。
「――皆、いつもご苦労様。飲んで食べて騒いで、明日からまた頑張ってほしい」
「はぁい!」
「まだまだ飲むぞ~!」
「次! 長期熟成のラム酒いきましょう!」
 宴もたけなわとなりはじめ、それでも船乗りたちの陽気な声がススキ野に響き渡る――。
 月光の下、踊る穂先がキラキラと。光を弾く様に誘われるように。
 輝く月を一瞥したガーネットは、酒の満ちた杯を月光にかざした。
 映りこむ月がゆらりと揺れて、割れた部分が重なった。歪な満月を刹那に作る。
 月を愛でる彼女と、船乗りたちとの楽しい宴。
 お月様は宴見を。
 皆の活力に満ちた様子が月に元気を与え、幼生の消滅と満月への道を作り上げていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

篝・倫太郎
酒良し!食い物良し!
うっしゃ、お月見しよう!

まーずは、目を閉じて、深呼吸
催眠術を自分と……
一緒に居るしょこら・烈・疾風に使う

頭上にあるのは綺麗な満月
明るくて、最高に綺麗な満月

うっし!
お前ら、お月見だぞー?

葉野菜や生肉もあるから
まぁ、満足してくれるだろ

俺はまずは月に献杯
それからぐいっと一気に杯を干して

のんびりと手酌で酒を楽しみながら月見
別に酒に酔ってる訳でも無いけど
酒で杯を満たす度に、月に軽く掲げて飲み干して
口説くように褒める

綺麗だなぁ……

なんてうっとり褒めれば
烈が肩に顎を乗せてくる
笑って空いた手でその頭を撫でれば
疾風もしょこも構って!な顔で俺の膝上を取り合うから

皆で月を見上げてこの一夜を過ごす



 幽世の地へ立てば、そこは秋夜の涼やかさに満ちていた。リィリィと鳴く虫たちの声。
 風吹けばススキが揺れて、しゃらしゃらと穂が奏で合う。
 夜といっても様々。紫交じりの藍が含まれた夜色の空には割れてしまった大きな月。
 お月様を見上げて、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は目を閉じた。
 春の空は霞、夏は鮮やかな青空と雲、秋といえば名月だろうと暗示と催眠術を自身にかけて、再び目を開けばそこには割れていない、綺麗な満月。
(「明るくて、最高に綺麗な満月!」)
 倫太郎の琥珀色の瞳に輝きが映りこむ。
「うっし! かかりは上々! お前ら、お月見だぞー?」
 催眠術は共に来たグリフォンのしょこらや狼の烈、仔狼の疾風にも付与されていて、倫太郎の明るい声にぴょんぴょん跳ねたり、尻尾を振ったり。お月様を見上げては周囲を走り回ったり。
「ひと休みできそうなところはあるかな?」
 と倫太郎が周囲を見回せば、ススキ群に飛び込んでいったしょこらが何かを見つけたのか「こっち」というしぐさ。
「おっ、イイトコ見つけた?」
 そう言って倫太郎が案内された先には少し開けた場所。お月見に良いススキ野原なので、きっと妖怪たちの憩いの場というものなのだろう。
「えらいぞしょこらー」
 ラビットグリフォンの黒いもふもふな毛を撫でながら褒めれば、しょこらは満足そうな様子。
「お月見といえば月見団子だけど、さすがにそれはな。ってことで」
 三匹に話しかけながら座って、倫太郎が容器から取り出したのは葉野菜と生肉。
 おすわりとした烈と、数瞬遅れて疾風が倣っておすわりする。
 そして貰った生肉へ大喜びで噛み付いた。
 はみはみと葉野菜を齧り食べていたしょこらは芯の部分に入ったのか、ぱりぱりと微かな音。
「そして俺はこっちー」
 酒器を用意して、まずは月に献杯。それからぐいっと一気に杯を干せば、喉に爽涼な気が通っていった。
 ふ、と呼気を緩めれば空の満月も緩やかな気配に。
 杯に注げば酒の水面に月が映りこむ。
 乾杯、とでもいうように月に向かって軽く掲げてまた飲み干して。
 空の満月と静かなやり取りを交わせば楽しくなってくる。
 掲げて飲んで、逢瀬のようなやり取りは少しずつ月とも仲良しになっていくようだ。
「綺麗だなぁ……」
 うっとりとした声で褒めれば、倫太郎の視界を知りたいのか烈が肩に顎を乗せてくるものだから、ふはっと笑って空いた手で灰色の頭を撫でてやった。彼の金の瞳にも、やっぱり映りこむ満月。
 くっついた背中が温かい。
 烈を撫でていると、脚にたしん! と疾風の前片脚が置かれ、更にたしたしとアピールしてくる。
 しょこらは倫太郎の膝上へとのぼってきた。
「おわ、ちょ……」
 胡坐の窪みにおさまるしょこらを疾風が鼻先で押す。
「疾風はこっちな」
 片方の膝上に黒の毛玉を乗せて、頭から背中にかけて撫でてやれば疾風は満足そうに鳴いた。
 皆で一緒に月を見上げて、穏やかな夜を過ごす――。


 月見をする者がいれば、月もまたその場を見守っているのかもしれない。
 いつもと変わらない、いつもの夜。
 海原のように穂の揺れるススキ野原と見上げてくる者たち。
 骸魂の影響を受けて凶暴化した満月は、ゆるりと穏やかな日常へと向けて時を進めた。

 いつも通り楽しんでくれた『者』たちに影響され、とある時を境にお月様はいつものお月様へと戻るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月14日


挿絵イラスト