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銀河帝国攻略戦~⑩巨大隔壁を破壊せよ!!

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●グリモアベース
「戦争も、新しい局面に入ったみたいね」
 これまで行われてきた戦闘の記録を読み終えると、アンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)は猟兵達の方に向き直った。
「大規模な戦いで疲弊している中、作戦に参加してくれたことに感謝を。今回の任務は敵要塞エンペラーズマインドへの突入作戦です」
 猟兵達に公開されている戦争マップ、その中で10とマーキングされた箇所を指さしながらアンノットは言葉を続ける。
「現在帝国はこちらの攻撃に戦力を割いており自国の防衛が手薄になっています。その隙を付いて敵の懐に飛び込み、コアマシンまでのルートを開拓するのが今回の作戦です」
 エンペラーズマインドのワープ妨害の影響により、敵コアマシンへ直接転移することはできない。そのため物理的に進路を作る必要があるのだ。
「巡回する警備兵の目を盗んで内部に侵入し、コアを守る巨大隔壁を破壊する……言葉にすると簡単だけど実際はいくつか注意するべき点があるわ」
 まずは警備兵の装備。ヘルメットには通常の視界に加えてサーモグラフィー、X線による透過、赤外線による暗視の三つの機能が備えられており、単純に身を隠すだけではすぐに見つかってしまう。しかし二つ以上の機能を同時に使用することはできないので上手く切り替えさせるのが重要だ。
 次に隔壁そのもの強度。さすがに銀河帝国の重要拠点だけあって並大抵のユーベルコードではビクともしない、そして攻撃の際に出る音は確実に警備兵を呼び寄せてしまうだろう。警備兵の意識を逸らす手段、あるいは音そのものを出さないようにする工夫が必要になる。
 最後に内部の構造が不明瞭ということだ。構造がわからないということは隔壁の先がどうなっているかわからないということ、もし無数の敵が待ち構えていたら目も当てられない。隔壁の先を確認する手段があれば、比較的安全に破壊ができるはずだ。
「以上の三つが主な注意事項、具体的な隔壁の破壊手段は猟兵の皆に任せるわ」
 また隔壁を一枚破壊した時点で無数の警備兵が集まってくるため、強制的に撤退することになる。幸いエンペラーズマインドの内部からグリモアベースに転送することは可能なため、帰り道を心配する必要はない。仮に牢屋に放り込まれたとしても帰還は可能だ……最も、銀河帝国に捕虜を捕らえるという考えがあるかは不明だが。
「これまでとは逆に、可能な限り戦闘は避けて。隔壁の破壊が何よりの優先事項よ……難しい任務だけど、頑張って」


マウス富士山
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●オープニングを見ていただきありがとうございます。今回マスターを努めさせていただきます、マウス富士山と申します。
 今回の戦争シナリオはエンペラーズマインド突入戦。思い思いの方法で敵拠点内に侵入し、目標である巨大隔壁を破壊してください!スニーキングミッションがメインですが、隠れるのが苦手だから囮になる!という行動も大丈夫です。
 皆様のプレイングを心からお待ちしております。
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第1章 冒険 『⑩エンペラーズマインド突入戦』

POW   :    密かに潜入し、POWのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

SPD   :    密かに潜入し、SPDのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

WIZ   :    密かに潜入し、WIZのユーベルコードで巨大隔壁を攻撃する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エミリィ・ジゼル
構造が不明、見つかってはいけない。
そんな攻略情報がないスニーキングミッションで何が大事か。
そう、セーブ&ロードです。

ようするに隔壁までのルート、敵の順路、警戒方法が分かればいいんですよね。
そのためには実際にあたって砕けつつ
情報を集積しながら進んでいくのが一番ってわけです。

どうするかといえば、【やりなおすメイドの術】を使うのです。

まずは突入時にセーブデータを作成し、
適当なルートを進んでみて敵に見つかったらUCでデータロード。
地道に「隔壁まで敵に見つからないルートとタイミング」を探り当て
味方が安全に通れる道を割り出します。

なあに、地道なゲーム攻略は慣れてますのでお任せください。


リック・シックハント
【超過憑依】を短時間使用して生じた流血から【同胞を求めた病獣の狩り】で通気口を通れる鼠や蝙蝠を最大まで生みだして拠点の内部を探るよ
同調の効果で五感や意識は共有してるから、敵の動きや内部構造を逐一他の猟兵に伝えよう

他に内部を探る猟兵がいるなら獣を通して話しかけて情報交換や協力したり、可能なら障壁に集まってくる警備兵たちの一部を獣たちで足止めしたいな
…内出血からの獣は身体を突き破って生まれたりしない?

強力な一撃はボクにはないから、みんなのバックアップに全力を尽くすよ
蝙蝠はちょっと厳しいかもしれないけど、鼠なら少しくらい見かけても怪しまれないはずだよね?
個であり群であるボクたちの連携に死角はないよ!



●たぶんこれが一番早いと思います
「はい、じゃあ早速進んで行きましょう」
「待って待って、しっかり準備してから行かないと」
 転送直後、着の身着のまま要塞の奥へ進もうとするエミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)を引き留め、リック・シックハント(巡る旅人・f00522)は【同胞を求めた病獣の狩り】を発動する。流れる血が沸き立ち、鼠や蝙蝠などの小動物に姿を変えると通気口など人の入れない小さな隙間を通ってエンペラーズマインド内部に広がっていく。
 彼女たちの役割は内部構造の把握、及び侵入経路の割り出し。他の猟兵達が安全に突入できる警備の薄い所を割り出すのは役割なのだが……
「真っ直ぐ行くと武器庫、右に曲がると簡易休息室、左が……整備ドッグかな?」
「休息室にはサボりの警備兵、整備ドックはメンテナンスロボがわんさかいます。武器庫は一見警備が厳重そうですが、実は全部前線に持っていってるので意外と警備が薄いんですね。なので真っ直ぐ行きましょう」
 リックが把握した構造に対し、エミリィはまるで見てきたかのように情報を追加する。探索用のユーベルコードは存在するが、彼女がその手のものを使った形跡は見えない。
「……えっと、じゃあ、このまま真っ直ぐ」
「おっと待ってくださいリック様。現在突入から40秒経過してるのでこのまま行くと武器庫に隠した携帯食を摘まみにきた警備兵と鉢合わせます、ちょっと待機しましょう……このパターンは初めてですね」
「待って!?パターンって何!?怖い!?」
 フードを掴んで強引に引き留めるエミリィと恐怖するリック。そんな二人の頭上を、フッと何かが覆った。
 ディクタトル級巡洋戦艦、どうやら補給で一度戻ってきたらしい。二人の存在に気付いたのか艦からは無数のクローン兵が降り立ち、瞬く間に周囲を囲まれる。
「……エミリィさん?」
「テヘペロ★」
 リックの微妙に冷やかな視線がぶつかり何やら可愛い感じで誤魔化そうとするエミリィだったが、即座に真剣な表情に変わる。
「ご安心くださいリック様、こういう時の切り札もわたくしは持ち合わせています」
「おおっ、やっぱり何か策があるんだね?」
「勿論です……スタート+セレクト+L+R!!」
「何その呪文!?こわ」


 Now Loading・

 Now Loading・・

 Now Loading・・・


●たぶんこれが一番早いと思います
「はい、じゃあ早速進んで行きましょう」
「待って待って、しっかり準備してから行かないと……あれ?」
 始めてみる景色、始めてするやり取り、なのに……何故懐かしい気がするのだろうか?違和感を覚えるリック・シックハント(13週目)だったが、仲間のエミリィ・ジゼル(65週目)が着の身着のまま要塞の奥へ進もうとしているのを見て、慌てて止めに行く。
 その背後ではセーブポイントが妖しい輝きを放っているが、彼がそれに気づくことはなかった。

 ※猟兵達に【かじできないさんの攻略マップ】が配布されました。裏には赤い文字で入ったらすぐに走れと書かれています。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メイスン・ドットハック
【SPD】
最初にエンペラーマインドの指令室に対してクラッキング
監視カメラの支配権を一時的に奪って、対象の隔壁の状況を入手(ハッキング、情報収集、鍵開け)


警備兵の一番厄介なサーモグラフィーを潰すために、電脳魔術を使い全画面が高熱に見えるようになるジャマープログラムを展開
さらにユーベルコード「木を隠すなら森の中」で自身の複製を作り、囮にする
攻撃すると大爆発を起こすトラップにし、騒ぎを引き起こす

隔壁の破壊にはユーベルコード「木を隠すなら森の中」を使用
粘着式のボールを生産し、壁に貼り付けていく
指をぱっちんすると、金属を腐食させる液体に変化
音もなく、隔壁を破壊・脆くさせる

他の人との絡み・アドリブOK


メタ・フレン
スニーキングミッションですか。
わたしの技能とUCでどこまで出来るか腕が鳴りますよ。

まず内部構造を【ハッキング】【地縛鎖】【情報収集】で確認し、他の猟兵とも共有します。

次に【ハッキング】でメインコンピューターに潜入して照明を落とし、【レプリカクラフト】で警備兵に化けて【暗視】を使ってやり過ごします。
変装が粗く、時間を掛けると敵の暗視でバレるので、急いで駆け抜けます。

最後に【レプリカクラフト】で精巧な指向性爆弾を作り隔壁に仕掛けます。
一応防音壁も作りますが、完全な防音は無理なので、これまた【レプリカクラフト】でわたしの分身を作ります。
警備兵が来たら、分身に【おびき寄せ】を使わせて、囮にしますね。


木目・一葉
今回は困難な任務だ
思案のしどころだな

【SPD】
ダクトから【忍び足】で【目立たない】よう潜伏
潜伏したまま警備兵一人に『影の追跡者の召喚』を行って追跡させ、まずは巡回ルートを確認
その後、追跡してる警備兵が一人になったところを『影人の涙雨』の速射を放ち、本人が気付く前に倒す
あとはその装備等を奪って【変装】し、敵に紛れたら【コミュ力】で【情報収集】を行う
隔壁の先の情報と、巡回の交代やメンテ等で隔壁を開けることもある筈なので、その情報を収集して仲間に連絡
隔壁を開けるタイミングになれば、変装した自分が仲間と呼応して行動を起こし、できれば隔壁のコンソールを抑えよう
最後は仲間の破壊行動を邪魔されぬよう防衛する


イヴ・シュプリーム
【WIZ】
※心境
……『厳重な警備』……? "ヒト"が見張っているなら……つけこむ隙はいくらでもあるわ……
あまり隠れるのも上手じゃないから……正面から行くわね……?

※戦術<使用技能:【催眠術】【ハッキング】【2回攻撃】【一斉発射】【全力魔法】>
UC【囚ワレル心身】を使用。警備兵の精神を操作し、侵入者に対する認識を阻害します。
また、監視カメラ等に備えて魔法でのハッキングを実施。
隔壁に辿り着いたらUC【叡知ノ光】を収束したものを最大出力で二連、かつ一斉発射で放ちます。

「……見えていても……気付かなければ意味は無いわ……」

「……フォーメーション・ペネトレイト、シュート」

(アドリブ等歓迎です)


レナ・ヴァレンタイン
※他猟兵との絡み、アドリブ歓迎

え、なにこの地図詳しすぎてコワイ
……いかんいかん。出来がよすぎてちょっと根源的恐怖を覚えたが有効ならどんどん使い潰せというしな。細かいことは気にしないでいくか

地図を信じて指示通りにサクッと進む
攻略法をわざわざ明示してるのだ。それから外れて新規パターンを作る必要もあるまい
バレたらバレたで逆に派手に音を立てながら有効ルート外まで敵を釣る
ユーベルコード『軍隊個人』は元々多対一を想定したものだしな

上手く隔壁まで辿り着けたなら、同じくユーベルコードで銃器の数を
増やして、攻撃音を聞いて殺到してくる敵兵の足止めに従事
今回のは数よりも一撃の重さが重要だろうしな

まあ雑魚は任せたまえ


エドゥアルト・ルーデル
かじできないマップありがたい…これなら攻略もラクチンでござるね!
とはいえ最短でダッシュしても破壊すべき隔壁の向こうに誰かいたら即3アウト Delですぞ

なのでこうして【知らない人】に突っ込んでもらう
【知らない人】にヌカランチャーの弾や大型爆弾を持たせて隔壁までガンダッシュ!
拙者がここで隠れて地図を読んでますぞ!あっ視覚は共有しておいてね!

大丈夫大丈夫【捨て身の一撃】の【覚悟】でやればできるできる!
今すぐ隔壁にタッチダウンだ!!君の活躍…忘れないよ…まあやられてもUCだから死んでないんでござるがねブヘヘヘヘ

やられたり任務完了したら再召喚!
次の【知らない人】行ってみよー!


アシェラ・ヘリオース
「なるほど。猟兵の連携とはこのようなものか」
配布されたマップを見て感心する。
ならば、これを活かさねばならないだろう。

やる事は単純な最適行動だ。
【AI搭載型戦術ドローン】を召還して配布マップを入力。自身の行動を部分操作させよう。
意識は周囲に集中するが、体はAIの操作でマップの最適解を進む仕組みだ。
念動力で僅かに身を浮かせ、床を蹴って滑るように素早く移動。
敵がいれば赤のフォースソードを伸ばし、音を立てずに仕留める方針。
隔壁までつけばAIの補助で最大効率の切断ポイントを見切り、フォースソードを最大に伸ばして切断を試みたい。

※アドリブ、連携歓迎


レン・ランフォード
【SPD】
隠れて目標に接近する…忍者らしい事ができそうです
とはいえ、手持ちの装備では壁の破壊は困難…ならそちらから注意をそらしましょうか

かじできないさんの見取り図…これは有り難いです
これを活用し、警備が薄く隠れやすい所に行きましょう
その近くで巡回している兵(1・2人)をコードで分身した1人が釣って誘導してきて
それに気を取られてる内に後ろからガツンと「暗殺」の要領でいきます
そしたら装備を剥いで「早着替え」で「変装」
部屋に時限爆弾をセット(「破壊工作」)して何食わぬ顔で巡回にいきます
爆発が起こったらそちらに誘導しましょう
あとは消火したり現場検証したり
バレたら派手に暴れます

アドリブ・共闘歓迎



●電脳戦
「抜き足、差し足、忍び足……なんて面倒なことやってられんけえのう」
「メイスンさん、こちらの準備はできました」
 空中に浮かぶ無数の仮装キーボードを叩きながらメイスン・ドットハック(引きこもり志望ハッカー・f03092)とメタ・フレン(面白いこと探索者・f03345)は突入直前に配布されたマップを確認する。そこに書かれているエンペラーズマインドの構造は現在二人がハッキングによって手に入れた情報と不気味なまでに一致しており、寒気を覚える程だ。
「まあ、おかげで僕らは楽できちょるけど……こっちも終わった。維持はやっとくき、行ってきんさい」
「わかりました、そちらも気を付けて」
 メタがレプリカクラフトで警備兵に変装して要塞の奥に進んで行くのを確認すると、メイスンはゴーグルに映されたウィンドウに視線を戻す。映し出されているのは一部の監視カメラの映像と照明のコントロールパネル、今は覗き見しているだけだが操作をした瞬間向こうにハッキングがバレるだろう。
「僕はこっちに集中するけ、護衛とナビゲートは任せる」
「ドゥフフ、合点承知の助ですぞ!」
 口調は砕けているが、地図に書かれた攻略チャートを横目に周囲を警戒するエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)に隙は無い。安心して背中を任せることができるだろう。
「そんじゃ、ミッション開始じゃ」
 ウィンドウ向こうの警備兵を不敵な笑顔で見つめながら、メイスンはエンターキーを押した。

●偽装作戦
 バンッという音共に通路の照明が落とされる。しかし警備兵もエンペラーズマインドの護衛を任された精鋭達、慌てずヘルメットを暗視モードに切り替えると電子戦部隊に連絡を取りどこからコンピューターに侵入されたのかを探り出す。同時に近くの警備兵とツーマンセルを取り、互いの背中をフォローする陣形になる。対応力の高さと動じない精神。最も厄介な監視装置が周囲を警戒している中、一つの影が正面から警備兵達の前を駆け抜けた。
 レン・ランフォード(近接忍術師・f00762)。白いマフラーをたなびかせる彼女は照明が落ちているからと油断したか、足音は消しているものの隠れようともせず通路を走る彼女に素早く光線銃の照準が向けられる。侵入されているのは予想済み、手足の一つでも弾いて晒してやれば他の仲間も出てくるだろう。
 そんな考えから放たれた光線銃の弾がレンの身体を撃ち抜いた瞬間、彼女は凄まじい熱と衝撃を放ちながら爆発した。

「侵入者だ、相手は強力な爆弾を所持している!」
「二人やられた……!援護をっ!!」
 警報が鳴り響く中、二人の警備兵が他のグループと合流する。既に侵入者と交戦した後なのか、兵装には細かい傷が付いていた。
「把握している。最低単位をツーマンセルからフォーマンセルに、貴様らもこちらに合流しろ」
「ああ、ありがたい……っ、侵入者だ!」
 警備兵が叫びながら指を指すと、その方向から刀を構えたレンが突撃してくるのが見えた。慌てて光線銃を構える警備兵を部隊長が手で制し、サーモグラフィーを起動する。
「内部温度が以上に低い、あれは人を模した爆弾だ」
「な、なんと……そう看破されるのか」
 その言葉に部隊長が武器を抜こうとした瞬間、足元から放たれた無数の棘が突き刺さり力なく倒れ込む。残りの警備兵が裏切り者に銃を向けた時にはイヴ・シュプリーム(かつて滅んだ星の希望・f13592)が変装のために身に着けていた警備兵のヘルメットを脱いでいた。
「隊長は敵からの不意打ちで死亡……規則に従って指揮権限はこちらが引き継ぐ……」
 その瞳から放たれた感応波は警備兵から正常な思考を奪い、イヴの言った言葉を静かに肯定した。その様子を確認したもう一人の警備兵、木目・一葉(生真面目すぎる平凡な戦士・f04853)は半ば放心状態の相手に問いかける。
「我々はこれから隔壁の防衛に行かなければならない、重要な場所はどこだ?」
 聞き出した情報を後方で待機しているエドゥアルトに伝え、地図に新たな情報を書き加える。目的地は、そう遠くなさそうだ。

●囮作戦
「敵発見、サーモグラフィーを……」
「させるかよ!」
 レンのもう一つの人格、錬は並走していた自分と同じ姿の爆弾を敵に投げつけ起爆させると、そのまま通路を走り抜ける。メイスンのユーベルコード【木を隠すなら森の中】によって作られたレン型自走爆弾の中に紛れて要塞内を駆ける錬の役割は囮、自分が警備兵を釣っている間に他の猟兵を隔壁に向かわせるのが目的だ。
 しかし、さすがに集まってくる敵の数が多い。一人二人なら相手取れる、四人以上になると手こずり始め、六人を超えたら隠れるのが吉だ。単純に蹴散らすだけなら余裕だが、自分の存在を伝えられないうちに全滅させるとなると難しい。
 そんなことを考えていると正面から十人近くの警備兵が。近くに爆弾はない、舌打ちしながら近くの通気口に身体を滑り込ませると、運の悪いことに彼らは丁度連の隠れている場所の近くで足を止めた。
 錬の背中に冷たいものが走る。奴らのメットには透視機能が付いている、ここに留まれば見つかるのは必至。一か八かと刀を握りしめた瞬間、無数の発砲音と共に錬の眼の前で警備兵達が倒れた。
「警戒度が高い時はこの通路に十人以上の警備兵が来る……か、正確過ぎてコワいなこれ」
 地図を片手に銃器を浮かばせながら、レナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)は錬の隠れている通気口を開く。
「こちらも敵を引き付けよう、多対一ならニンジャよりレギオンの出番だろう?」
「……ま、一人でやるのも限界か」
 錬が通気口から出ると周囲からバタバタと足音が聞こえてくる、どうやら増援がきたようだ。
「さあ、戦争だ。付いてきたまえよ」
「そっちこそ、狙いを間違えるなよ」
 爆発と発砲。二つの音を鳴らしながら、足音は隔壁から遠ざかって行った。

●合流
「ポイントA3から増援要請、援護に迎え」
「了解」
 隔壁前、始めは数十人いた警備兵も広域に渡って始まった戦闘によって数人まで減っていた。コンピューターの侵入口も未だ見つかっていない。一人の警備兵がヘルメットに映し出された時計を確認する、停電が始まって一分弱……そろそろ時間だ。
 音もなく伸びてきた赤い光が、突如として警備兵の頭を飛ばす。同時に四人の警備兵が仲間を手にした光線銃で撃ち抜き、隔壁前は一瞬にして制圧された。
「これで、全員ですか?」
 動きにくい銀河帝国の装備を脱いでレンが普段通りの服装に戻ると、メタ、一葉、イヴの三人も警備兵の装備を脱ぎ捨てる。
「なるほど、猟兵の連携とはこのようなものか。マップの完成度もそうだが練度も高い……押し込まれるわけだな」
 苦笑しながらやって来たアシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)に続いて、知らない人(????・fxxxxx)も合流する。
 これで六人。メイスン、エドゥアルト、レナは隔壁の破壊には参加できないので、現場に集まった猟兵はこれで全員……
「……誰だっ!?」
「むっ、猟兵の仲間ではなかったのか?」
『あ、拙者のユーベルコードでござる』
『信号出してない奴がおると思うたら君のかい、識別できるなんか付けときいや』
『や、知らない人を識別するとか無理でござる』
 知らない人に全力で警戒する一葉と首を傾げるアシェラだったが、エドゥアルトとメイスンからの通信で一先ず矛を収める。そのやり取りを尻目にレンとメタは隔壁に爆弾を取り付け始めた。
「これがメイスンさんから預かった腐食爆弾で、こっちが私の指向性爆弾」
「腐食爆弾は液体になるんですよね。じゃあそれは上の方に付けて……」
 黙々と隔壁への破壊工作を進める二人の背後でイヴとアシェラも破壊のためのユーベルコードを準備する、これで作戦も終了。……そんな空気が流れ始めた時だった。
『隔壁前、頭を伏せろ!』
 突然入ったレナからの通信と同時に、隔壁前の猟兵達の頭上を閃光が走った。

●決戦
「錬さん、生きてるか!?」
「どうにかな!」
 ディクタトル級巡洋戦艦。補給の為に入港したそれが、侵入者の存在に気が付いて主砲を放ってきたのだ。壁を突き抜け、おそらく数十人の味方を焼き滅ぼした光が収まり、代わりに無数のクローン兵士がこちらに向かってくる。
「アンタ、その銃で戦艦落とせるか?」
「時間をかければできるかもしれないが……その前に消し炭だろうな」
 つまり、主砲のチャージが完了するまでがタイムリミット。決死の覚悟で武器を構える二人の前で、無数の棘が雨のように降り注いでクローン兵を串刺しにする。
「僕も手伝おう、アレとは交戦経験がある」
 そう言いながら壁の穴からやってくる一葉だったが、それで相手が倒せるわけではないことは自分が一番わかっていた。以前の戦場と違って避けるためのスペースがない、接近するための道も限られ、それもクローン兵に埋め尽くされている。
 それでも、自分たちの後ろに敵を通すわけにはいかない。例え一秒でもそれ以下でも、仲間が隔壁を破壊できるまでの時間を稼がなければ……!

『次のチャージまで三十秒、はよ決めえ!』
 メイスンの叫びと同時に、爆弾のセットを終えたレンとメタが隔壁から離れる。
「私は三人の援護に行きます!」
「デコイを作って敵を巻きます、その間に……」
 レンは壁の穴から三人の元へ向かい、メタは【レプリカクラフト】で黙々と自分たちの偽物を作っては通路に放っていく。これで警備兵の目を少しは誤魔化せるはずだ。
「タイミングはこちらが測る。イヴさんは全力を出してくれ」
「わかった……フォーメーション・ペネトレイト」
 アシェラの身体にAI搭載型戦術ドローンが接続され、イヴの周囲に光が収束する。チャンスは一発、それに全てをかける。AIの算出した攻撃のベストタイミングは、約10秒後。
 背後から銃声と爆発音が響く、穴から抜けていく空気が前髪を揺らす、鳴り響く心臓がやけにうるさい。緊張と焦りで手が震えそうになるのを抑えながら、遂にその時が来た。
 腐食液が隔壁全体を多い、爆発がその形を歪める。畳み掛けるように二つの巨大な光刃が隔壁に突き立てられる。隔壁は赤熱し更に形を歪めるが、即座に崩れ落ちるには至らない。例え主砲でこの身が焼かれようと……そんな思考がアシェラの脳裏に過ぎった瞬間だった。
 二人の間を、知らない人が駆け抜ける。脇には大型爆弾を抱え、後ろを振り向かず真っ直ぐに。元より自分はこのために居たのだと。その背中に呼びかけようとした瞬間周囲の景色が歪み始める、転送が始まったのだ。
 グリモアベースに戻る猟兵の姿は歪んでいない、しかし知らない人は周囲の景色と同じようにその姿を歪ませていた。それは彼がここに残るという意味に他ならない。周囲が敵に囲まれたこの最前線に。
 知らない人の片手が持ち上がり親指を立てる。サムズアップ、自分の行いに心から満足したものが行うハンドサイン。猟兵達の転送が完了し、世界から姿を消すと共に、隔壁は閃光に包まれ轟音と共に崩れ落ちた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月06日


挿絵イラスト